阪神(☆4対3★)巨人 =リーグ戦23回戦(2023.09.14)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
00000310X41001
勝利投手:才木 浩人(8勝5敗0S)
(セーブ:岩崎 優(3勝2敗32S))
敗戦投手:赤星 優志(3勝5敗0S)

本塁打
【巨人】岡本 和真(39号・7回表ソロ),坂本 勇人(19号・9回表ソロ)
【阪神】佐藤 輝明(20号・6回裏2ラン)

  DAZN
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◆阪神が破竹の11連勝でリーグ優勝を決めた。阪神は0-0で迎えた6回裏、大山の犠飛と佐藤輝の2ランで3点を先制する。投げては、先発・才木が7回1失点の力投で今季8勝目。敗れた巨人は、最終回に坂本のソロで1点差に迫るも、その後の好機であと1本が出なかった。

◆阪神18年ぶりの「アレ」へ、Xデーの朝を迎えた。甲子園駅、甲子園球場周辺は午前9時過ぎ時点で、いたって平穏。虎党の姿も、さすがに見られなかった。優勝マジック1で迎える「伝統の一戦」。アレを決めれば、狂喜乱舞は必至だ。アレの前の静けさ、とも言うべきか。その後、テレビ局の街中インタビューが行われる様子も見られた。

◆18年ぶりの「アレ」へ向けた阪神の試合前練習が、予定通り午後2時から始まった。ミエセスは前夜の試合終わりと同様、ゴーグルを装着しクラブハウスからの通路を歩いた。「そんなの関係ねえ! おなか空いたけど、そんなの関係ねえ!」と日本語で話しながら歩き、ご機嫌な様子だった。

◆マジック1とした阪神の岡田彰布監督(65)が午後2時32分、甲子園球場のグラウンドに姿を見せた。今の気持ちはと報道陣から問われると穏やかな表情で「ずっといつもと変わらへんよ。周りが盛り上がってるだけやんか」と答えた。今日、巨人を相手に胴上げとなれば、前回の05年に自身が舞ったのと同じ状況となる。05年の時は高揚感はあったかの問いには「そんなん覚えてないよ」と笑った。通常通り練習を終え、引き上げた指揮官はベンチ裏コンコースにエレベーターが設置されている場所を発見し、今季初めてエレベーターで1階から2階まで上がった。「全然知らんかったよ。エレベーターな」と驚きの表情をみせた。

◆阪神18年ぶりの「アレ」のXデー当日、試合開始3時間前の甲子園球場周辺は、多くの虎党の姿であふれかえった。球場外周では、虎党が入場口開門を今か今かと待つ中、思わぬ"虎党"も現れた。阪神の帽子と法被を着たトイプードルが聖地外周を、ウキウキした? 様子で散歩していた。優勝マジック1で迎える「伝統の一戦」。岡田監督も前日13日に「そら広島での(胴上げは)嫌やし」と話していたように本拠地でのアレへ盛り上がっている。

◆阪神は18年ぶりの「アレ」へのXデー当日、試合開始前の甲子園球場周辺は、多くの虎党の姿であふれかえった。球場外周では、あの"人気キャスター"も取材に訪れた。今年3月末にABCテレビを退社し、テレビ朝日系報道番組「報道ステーション」(月~金曜午後9時54分)にスポーツキャスターとして出演するヒロド歩美アナウンサー(31)が取材に訪れた。ヒロドアナは本年度から同番組のスポーツを担当。阪神勝利時には「とらほー」とインスタグラムのストーリーズにも投稿し、前日13日には「パインアメとわたし マジック1」と岡田監督の好物であるアメを手にした写真を掲載した。またこの日のインスタグラムのストーリーズには「虎党の皆様 あとひとつです!長年のファンも最近ファンになった方もみんな同じ! 今の心境などを聞かせてください」と投稿し、テレビやSNSと幅広い場所で「アレ」への思いを発信していくようだ。

◆阪神の18年ぶりの「アレ」へのXデー当日、甲子園球場周辺も「アレ」ムードが高まっている。試合開始2時間前の午後4時ごろ、グッズを販売するチームショップアルプスの入り口には虎党の長蛇の列ができた。店内の混雑を避けるため、入り口前には10列ほど蛇行列を設けているが、さらに列は伸び、ショップ横の階段下まで続いた。同ショップの店員は「いつもより1時間ほど列ができるのが早い」と驚き。売れ筋はやはりユニホームで、入荷してもすぐに売り切れるという。18年ぶりの「アレ」へ、虎党も待ち切れない。

◆今日で「アレ」決めるで! 「M1」と優勝目前の阪神のスタメンが発表された。先発はここまでキャリアハイの7勝を挙げている才木浩人投手(24)が大役を務める。前日13日の試合後岡田監督から「才木か。おーーん。まあ力み倒すだろうな。それはもうしょうがないし。まあ行けるところまで思い切り全力でいってほしい」と背中を押されていた右腕。快投で指揮官に胴上げのプレゼントを贈りたい。打線の組み替えはなしで3番森下翔太外野手(23)、4番大山悠輔内野手(28)、前夜に19号満塁弾を放った佐藤輝明内野手(24)の「ドラ1クリーンアップ」で臨む。

◆阪神が18年ぶり6度目のセ・リーグを目前にした。過去の優勝決定日には、さまざまなドラマがあった。ライバルはDeNAの前身(62、64年)セ初優勝の62年、2度目V64年にはいずれも大洋(現DeNA)と激烈な優勝争いを展開。ともに逆転でセ・リーグの覇者となった。大洋は60年に、名将・三原脩監督に率いられ日本一に。前年59年まで6年連続最下位の球団を見事に立て直し、勢いに乗っていた。阪神に2度目、3度目のVを阻まれた大洋は、強豪球団に育つチャンスを失う。後進の横浜が98年に優勝するまで、長年の苦戦を強いられた。岡田猛打賞で栄光(85年)10月16日ヤクルト戦で、21年ぶりのセ・リーグ制覇。2点を追う9回に同点に追いつき、延長10回5-5の引き分け。過去5度のセ優勝決定試合で、引き分けはこのときが唯一。27歳の岡田彰布は5番・二塁でフル出場。二塁打を3本も放ち、打線を盛り上げた。サヨナラで待機(03年)9月15日の広島戦では、9回裏に赤星憲広のサヨナラ安打で勝ち、まず優勝マジック1に。星野仙一監督の指示通りの狙い打ちだった。試合終了後に甲子園で、選手やファンが待機。2時間あまりたってヤクルト敗れるの一報が伝わり、ようやく歓喜の瞬間が訪れた。巨人にダブルの屈辱与えV 就任2年目の岡田監督に率いられ、迎えた05年9月29日、甲子園で巨人を下し優勝決定。ウイニングボールをつかんだのは、左翼手の金本知憲だった。岡田監督の胴上げを見せられた巨人は、同年78敗目。前日に上回ってしまった当時の球団ワースト記録75年の76敗を、さらに更新してしまった。

◆「マジック1」とアレのかかった試合前にシートノックが行われ、球場に拍手と歓声が響いた。開幕戦から欠かさずに行ってきたシートノック。午後5時26分にノックが開始され、ファンから大きな拍手が送られた。その後、スタメンが球場内でアナウンス。大歓声の中、今季最後の「伝統の一戦」を迎えていた。

◆阪神が優勝マジックを「1」として05年以来、18年ぶりの優勝に王手をかけた。14日の巨人戦に勝てば「アレ」が決まる。そんな1日の動きを追った。午後0時54分 岡田監督が自宅を出発同1時15分 甲子園では、阪神園芸が内野の水まき開始同23分過ぎ 球団スタッフらが打撃ケージなどのセッティングを開始同35分 筒井外野守備走塁コーチが選手、コーチ陣でグラウンド一番乗り同50分 大竹ら先発投手陣がグラウンドに姿を見せ始める同55分 長坂ら野手陣がグラウンドへ。個々で体をほぐすなど準備進める同2時 野手陣のグラウンド入り完了同2時12分過ぎ 大竹らがキャッチボール開始同18分 加治屋ら救援投手陣がグラウンドへ同20分 打撃ケージ2カ所で打撃練習開始。糸原と熊谷からスタート同32分 岡田監督がグラウンド入り同41分 この日先発の才木が調整を終え、クラブハウスへ引き揚げる同50分 青柳、村上ら先発陣がマシン相手にバント練習同3時9分 青柳、大竹、村上が練習終了同12分 打撃練習終了。引き続き、ビジターの巨人の練習が始まる同4時 開門同5時 巨人の練習が終了同15分ごろ 一塁側ベンチ前で阪神の選手が体をほぐす。その後キャッチボール同21分 岡田監督がベンチ入り同26分 シートノック開始。球場が沸く同30分 両軍のスターティングメンバーが発表される。1番近本から、阪神選手の名前がアナウンスされるたびに、スタンドから大きな拍手と歓声同39分 阪神杉山オーナーが甲子園入り同55分 スタンドはすでにほぼ満員の状態阪神の選手が守備位置へ。選手紹介では大歓声同6時 試合開始

◆阪神球団初の女性広報として活躍した村山久代さん(64)も大事な試合を観戦した。「きょうはさすがに来るでしょう。本当にうれしいことです」と笑顔を見せていた。村山さんは78年にタイガース入団。98年から阪神では女性初となる広報を務め、球団の名物的存在として活躍、昨年7月限りで退団している。

◆思わぬ形で虎党が悲鳴を上げている。阪神タイガース公式動画配信サービス「虎テレ」がアクセス集中により、サーバーダウン。アレへマジック1となった中での一戦を見ようとファンが一斉にアクセスしている模様だ。SNS上でも「おわた」「さすがに話にならん」と落胆するファンの投稿が相次いでいる。

◆中野拓夢内野手(27)が、1回からスタンドを沸かせた。1死から一、二塁間へのゴロを放つと、巨人一塁手の岡本和が横っ跳びで捕球しようとしたが、ミットに当たって打球はセカンド方向へ。カバーしていた二塁手の中山が捕って一塁へ送球したが、これがそれて内野安打で出塁した。いきなりのチャンス到来に観客は大喜び。さらに3番森下翔太外野手(23)が中前打で続き1死一、三塁の絶好機。スタンドのボルテージはさらに上がったが、4番大山悠輔内野手(28)が遊ゴロ併殺に倒れて先制はならなかった。

◆阪神18年ぶりの「アレ」のXデー当日、球場内の売店が並ぶ通路で、阪神OBの藤川球児氏(43)の登場曲でLINDBERGの「every little thing every precious thing」が流れた。首位独走の阪神は、9月に入ってから負けなしの10連勝で貯金は35、2位とは13ゲーム差となった。王手をかけた阪神は最短で14日に18年ぶりのアレが決まる。前回優勝した05年も甲子園での巨人戦で王手をかけ、優勝前夜に藤川球児が「涙の準備はできています。みなさんよろしいでしょうか」とファンに呼びかけ、翌日に優勝を決めた。その流れをもう一度再現するのか? 虎党でにぎわう通路に、優勝経験者であるレジェンドの登場曲をBGMに、「アレ」へボルテージが上がる。

◆3回裏に他球場の試合経過速報が球場の大型ビジョンに映し出され、神宮のスコア「広島1-2ヤクルト」に阪神ファンが沸いた。神宮では2回に広島堂林が先制ソロ。その直後にヤクルトは長岡の適時二塁打で2点を奪って逆転に成功した。電光掲示板の表示を見た虎党は「うぉ~!!」と反応。広島の勝敗も「アレ」の行方に影響するため、目の前の試合とともに気になる様子。SNSでも「広島が負けてアレ決まるとかやめて!」などの声が上がっている。

◆これが「アレ」への重圧なのか? 阪神が1回に続いて併殺打で絶好の先制機を逃した。0-0の4回、先頭の中野拓夢内野手(27)、森下翔太外野手(23)が連打でチャンスメークすると、4番大山悠輔内野手(28)も内野安打で続き、無死満塁の絶好機。1回1死一、三塁の先制機を大山の併殺打で逃しているだけに、5番佐藤輝明内野手(24)への期待は大きかったが、巨人赤星の変化球に空振り三振。シェルドン・ノイジー外野手(28)も投ゴロ併殺に倒れ、またしても先制できなかった。「アレ」を期待する観客席からは、大きなため息がもれた。

◆阪神の佐藤輝明内野手(24)が、アレがかかった大一番で20号本塁打を放った。大山の先制犠飛が飛び出した直後の6回2死一塁。巨人赤星の127キロスライダーを捉え、ライナー性の打球でバックスクリーンへ放り込んだ。新人から3年連続20発は、2年連続で並んでいた田淵幸一を超す球団新記録となった。1年目の21年は24本、2年目の昨季は20本。今年も13日巨人戦で満塁本塁打を放り込んで3年連続20号にリーチをかけていた。プロ野球では新人から2年連続の時点で左打者の20号は初めて。自らの持つ記録をさらに伸ばした。なお、右打者を含めた新人から3年連続20発は森徹(中日)、有藤通世(ロッテ)、原辰徳(巨人)、清原和博(西武)石井浩郎(近鉄)、牧秀悟(DeNA)に次いで7人目の快挙だ。

◆阪神近本光司外野手(28)が6回先頭で右前打を放ち、新人から5年間の通算764安打として、並んでいた巨人長嶋を超えて単独2位となった。1位巨人長野の767安打にもあと3と迫り、更新は目前だ。この一打が先制の端緒となった。1死から3番森下翔太外野手(23)が、この日3安打目となる左前打で1死一、三塁。ここで、4番大山悠輔内野手(28)が中堅への大きな犠牲フライを打ち上げ、「アレ」へ貴重な先制点を挙げた。さらに、5番佐藤輝明内野手(24)がセンターへ放り込む豪快な20号2ランで追加点。満員の甲子園は地鳴りのような歓声で包まれた。

◆/この大一番で結果を出せるのがスターの資質\今日もセンター後方へ打球は消えた??11連勝での"ARE"へ佐藤輝明が追加点となる2ランホームラン???プロ野球(2023/9/13)??阪神×巨人??Live on DAZN#DAZNプロ野球 pic.twitter.com/OgyklV0cqs

◆〈阪神-巨人〉14日甲子園阪神の「Xデー」となった甲子園の観衆が、今季最多の4万2648人と発表された。開門と同時に客がスタンドになだれ込み、プレーボール時にはほぼ席が埋まった。いつも以上の大声援で、特別なムードを作り出した。

◆マジック1で迎える一戦で、阪神が大山悠輔内野手(28)の犠飛で6回に阪神が先制。さらに佐藤輝明内野手(24)の2ランで3点を先制した。勝てば「アレ」となり、SNSではすでに悲願を確信するファンが出てきた。 X(旧ツイッター)では試合開始直後から盛り上がりを見せていたが、「阪神先制」がトレンド入り。「今日で決まりだな」「アレですね」とアレへ確信のファンが喜びの声を上げている。

◆阪神木浪聖也内野手(29)が美技で甲子園を沸かせた。3点を先制した直後の7回、才木が巨人岡本和に39号ソロを浴びた。1死後、秋広優人に痛烈なライナーを打たれたが、これを木浪がドンピシャのタイミングでジャンプしてキャッチ。今季最多4万2648人を飲み込んだ甲子園のスタンドから、大歓声が沸き起こった。

◆18年ぶりのアレへ向けて、関西地区ではサンテレビが巨人戦を完全生中継。岡田彰布監督(65)とともに、85年日本一メンバーの真弓明信氏(70)と掛布雅之氏(68)がレジェンド解説した。2点リードの7回。2死二塁から近本光司外野手(28)の二ゴロを中山が後逸し、4点目が入った。リードを3点に広げて、ミスタータイガースの掛布氏から「これでほぼ決まったんじゃないですか。相手のミスですからね」との声が上がった。

◆18年ぶりの「アレ」に向けて継投に入った。マシンガン継投でリードを保って8回を終えた。先発の才木浩人投手(24)からバトンを受けて3点リードの8回から2番手で岩貞祐太投手(32)がマウンドに上がった。先頭の代打北村拓に左前打を許すと続く大城卓に適時二塁打を浴びて降板した。続いて石井大智投手(26)がマウンドに上がると、無死二塁から三ゴロで1死。1殺で島本浩也投手(30)にスイッチ。島本は見逃し三振で2死。続く丸を空振り三振に仕留めてほえた。リーグトップの防御率を誇る鉄壁のリリーフ陣がこの大一番でも輝きを見せた。

◆/甲子園は割れんばかりの大歓声\島本浩也が見事な火消し18年ぶりのAREまであとアウト3つ???プロ野球(2023/9/14)??阪神×巨人??Live on DAZN#DAZNプロ野球 pic.twitter.com/rgsDACaVSa

◆阪神岩貞祐太投手が1つもアウトを取れず降板し、ほろ苦の歓喜となった。4点リードの8回に登板し、巨人代打北村に左前打。続く大城卓には、直球を捉えられ、左翼線に適時二塁打を浴び1点を失った。岡田監督から石井への交代を告げられた。今季は中継ぎでフル稼働し、48試合で23ホールドをマーク。鉄壁リリーフの一角としてブルペン陣を支えた。その貢献が色あせることはない。

◆阪神が05年以来、18年ぶりのリーグ優勝を決めた。本拠地甲子園は、その瞬間を見届けようというファンであふれた。今季最多4万2648人が見つめる中で、宿敵巨人に快勝して「アレ」を達成した。9回、マウンド抑えの岩崎優投手(32)が上ると、同投手のテーマ曲であるゆずの「栄光の架け橋」がかかる。すると曲に合わせてファンが大合唱。坂本にソロ本塁打を浴びたが、声援にも後押しされ、最後の打者を二飛に打ち取る。二塁手中野がキャッチすると、待ちに待った「アレ」の瞬間に、ベンチから選手が飛び出し、マウンドに歓喜の輪ができた。岡田彰布監督(65)輪に近づくと、スタンドからは岡田コール。指揮官は、ナインの手で6回宙に舞った。さらに、抑え投手として胴上げ投手となった岩崎も胴上げされた。優勝インタビューに登場した岡田監督は、開口一番「明日から広島行くんでね、なんとかたくさんのファンのいる甲子園でね、決めようと」と話すと、ファンが大いに沸いた。今季最長の11連勝で決めたVに「まさかこんなに9月に強くなるとは...ちょっと勝ちすぎましたね」と笑った。シーズンを振り返り「苦しい時期はなかったですね。5月にすごい勢いで連勝あったんで、それが8月、9月の成績につながったと思う。また来年から楽しみですね」と話した。代名詞となった「アレ=優勝」には「まさかここまで浸透すると思わなかったんで、一応、これでアレは封印して。優勝して」というとスタンドから大歓声と拍手が起こった。CS、日本一へ向けたポストシーズンには「アレは達成しましたけど、CSも乗り切って、最後は日本シリーズ。日本で一番最後まで試合出来るように。(リーグ戦優勝はアレだが)日本一は決めてないんですよ、もしいい言葉があれば」とファンらに求めた。インタビューが終わると、選手、首脳陣らが内野に一列に並び優勝セレモニー。岡田監督が、受け取った優勝ペナントやトロフィーを掲げた。その後「六甲おろし」の曲に乗って首脳陣、選手がペナントを手に場内を1周した。岡田彰布(おかだ・あきのぶ)1957年(昭32)11月25日、大阪府生まれ。北陽(現関大北陽)-早大。早大ではリーグ通算20本塁打。通算打率3割7分9厘と81打点は今でも東京6大学リーグ記録。3年秋に3冠王。79年ドラフト1位で阪神入団。80年新人王。日本一の85年に二塁手でベストナイン、ダイヤモンドグラブ賞(現ゴールデングラブ賞)。94年オリックスへ移り、95年引退。現役通算16年で1639試合、1520安打、247本塁打、836打点、打率2割7分7厘。98年阪神に復帰し、2軍監督などを歴任。04~08年に1軍を率い05年リーグV。10~12年オリックス監督。今季から阪神監督に復帰。175センチ、77キロ。右投げ右打ち。阪神タイガース 1935年(昭和10)年12月、阪神電鉄を経営の基盤に、巨人に次ぐ老舗球団の「大阪野球倶楽部」(大阪タイガース)として設立された。プロ野球が始まった36年から参加し、初代監督は早大出身の森茂雄。1リーグ時代に4度優勝。セ・リーグでの優勝は今回で18年ぶり6度目。吉田監督の85年はバース、掛布、岡田ら強力打線を擁し、日本シリーズで西武を退け初の日本一に輝いた。永久欠番は藤村富美男の10、村山実の11、吉田義男の23。オーナーは杉山健博氏。

◆アレ!! 阪神が宿敵巨人を下して、18年ぶりのリーグ制覇を決めた。03年の9月15日を1日上回り球団史上最速V。9月は負けなしで破竹の11連勝で飾った。阪神は6度目リーグ制覇となった。【巨】赤星、今村、菊地【神】才木、岩貞、石井、島本、岩崎【本】佐藤輝20号 2ラン(6回)、岡本39号ソロ(7回)、坂本19号 ソロ(9回)【広】遠藤、アンダーソン、河野、中崎、大道、島内、栗林【ヤ】高橋、清水、石山、木沢、山本、阪口【本】堂林11号ソロ(2回)、山田11号ソロ(3回)、村上29号ソロ(3回)【巨人】1番長野 空振り三振2番門脇 空振り三振3番丸 捕邪【阪神】1番近本 見逃し三振2番中野 一安3番森下 中安打。センター失策の間に中野が三塁へ。1死一、三塁4番大山 遊併殺初回いきなり1死一、三塁チャンスも4番大山悠輔併殺打で先制機逃す【巨人】4番岡本 中安打5番坂本 左飛6番秋広 中飛7番岸田 中飛才木浩人ヒヤリ...巨人坂本の特大飛球がフェンスギリギリ左飛 この3連戦いまだ無失点【阪神】5番佐藤輝 空振り三振6番ノイジー 遊ゴロ7番坂本 空振り三振【巨人】8番中山 右飛9番赤星 一邪1番長野 左安打2番門脇 左飛【阪神】8番木浪 見逃し三振9番才木 見逃し三振1番近本 見逃し三振甲子園の大型ビジョンに「広島1-2ヤクルト」阪神ファン沸く「うぉ~!!」【巨人】3番丸 二ゴロ4番岡本 一飛5番坂本 一飛【阪神】2番中野 左安打3番森下 右安打。無死一、二塁4番大山 遊安打。無死満塁5番佐藤輝 空振り三振6番ノイジー 投併殺これが「アレ」への重圧か?またも併殺...4回1死満塁もノイジー併殺打で先制できず【巨人】6番秋広 二直7番岸田 空振り三振8番中山 四球9番赤星 空振り三振【阪神】7番坂本 中飛8番木浪 二ゴロ9番才木 空振り三振【巨人】1番長野 投ゴロ2番門脇 捕邪3番丸 二ゴロ【阪神】1番近本 右安打2番中野 中飛3番森下 左安打。1死一、三塁4番大山 センターへ先制犠飛。神1-0巨5番佐藤輝 センターへ20号2ラン。神3-0巨6番ノイジー 左飛近本光司が巨人長嶋超え、新人から5年間の通算安打...からの大山悠輔先制犠飛佐藤輝明が大一番で3年連続20発!新人からは球団新 過去に原辰徳、清原和博ら6人【動画】阪神佐藤輝明が咆えた!「アレ」へ向かって20号2ラン バックスクリーンへ消えるSNS上は「アレ」確信「今日で決まりだな」大山悠輔犠飛&佐藤輝明2ランで3点先制に【巨人】4番岡本 レフトへ39号ソロ。神3-1巨5番坂本 見逃し三振6番秋広 遊直7番岸田 三ゴロ木浪聖也ナイスキャッチに甲子園大歓声 秋広優人の痛烈ライナーにドンピシャでジャンプ才木浩人が「アレ」かかる大一番で7回1失点 8勝目権利得て降板【阪神】巨人2番手は今村7番坂本 左安打8番木浪 投犠打代打原口 二邪1番近本 セカンドの失策から二塁走者の坂本が生還。神4-1巨2番中野 二ゴロミスタータイガース掛布雅之氏、アレ確信「ほぼ決まった」真弓明信氏とレジェンド生解説【巨人】阪神2番手は岩貞代打北村 左安打9番大城 レフトへ適時二塁打。神4-2巨阪神3番手は石井1番長野 三ゴロ阪神4番手は島本代打萩尾 見逃し三振3番丸 空振り三振鉄壁救援陣がマシンガン継投でリード保って9回へ【阪神】巨人3番手は菊地3番森下 二ゴロ。リクエストも判定覆らず4番大山 見逃し三振5番佐藤輝 左安打6番ノイジー 右飛【巨人】阪神5番手は岩崎4番岡本 二飛5番坂本 レフトへ19号ソロ。神4-3巨6番秋広 ライトへフェンス直撃の二塁打代打梶谷 二ゴロ。2死三塁8番北村 二飛18年ぶりアレ!11連勝締めで球団最速 復帰1年目岡田監督「オレが思っている以上やで」アレ!! 球団史上最速で18年ぶり6度目のリーグV 文句なし破竹の11連勝で決めた「アレ」成し遂げ岡田彰布監督ついに封印解いた!「今日で封印。みんなで『優勝』をね」岩崎優、亡くなった横田慎太郎さんの登場曲「栄光の架け橋」でマウンドへ ファン大合唱胴上げ投手は岩崎優、坂本勇人にソロ浴びるも締めた 18年ぶりリーグ優勝【動画】阪神が18年ぶりリーグ優勝 11連勝で、甲子園で決め「アレ」がついに現実のものに【巨人】1(右)長野2(遊)門脇3(中)丸4(一)岡本和5(三)坂本6(左)秋広7(捕)岸田8(二)中山9(投)赤星【阪神】1(中)近本2(二)中野3(右)森下4(一)大山5(三)佐藤輝6(左)ノイジー7(捕)坂本8(遊)木浪9(投)才木【写真特集】阪神岡田監督「アレ」達成!やっと言えた「優勝」語録と写真で歓喜への道振り返り【写真特集】阪神18年ぶり「アレ」達成!11連勝フィニッシュここまでの戦い振り返り【阪神】18年ぶりアレで花咲いた!金本知憲の種まき→矢野燿大の水やり/05年からの歩み【阪神】Xデーの甲子園は今季最多の観衆4万2648人11月に阪神Vパレード実施へ 御堂筋での開催案浮上 吉村洋文知事「兵庫と共催で実施したい」11月に阪神Vパレード実施へ 御堂筋での開催案浮上 吉村洋文知事「兵庫と共催で実施したい」15日から阪神優勝セール 「18」にちなんだ商品、優勝した年にちなんだジュエリーなどが登場阪神のアレ目当てに甲子園外にも1000人集結 兵庫県警も雑踏警備の中、六甲おろしの大合唱阪神「アレ」の道頓堀ダイブの"目隠しシート"が設置される 大阪・戎橋周辺

◆阪神岩崎優投手(32)が脳腫瘍で亡くなった横田慎太郎さんの登場曲でゆずの「栄光の架け橋」でマウンドへ上がった。2点リードの9回に登板。同期入団の横田さんが使用していた思い入れのある曲で登場した。ファンも栄光の架け橋を大合唱。スタンドには背番号24のユニホームを掲げたファンが多くいた。

◆阪神が18年ぶりのリーグ優勝を果たした。胴上げ投手はクローザーの岩崎優投手(32)だった。2点リードの9回。今季リーグ最多56度目のマウンドに上がると、球場を埋め尽くした大観衆から拍手が送られた。先頭の岡本和を二飛で打ち取ると、坂本にはレフトへ1発を浴びた。続く秋広には右中間へフェンス直撃の二塁打を打たれたが、続く打者を二ゴロに仕留めると、最後は二飛を中野がつかんでゲームセット。32セーブ目を決めると、マウンド上に歓喜の輪ができた。

◆/阪神タイガース18年ぶりのリーグ優勝達成??\11連勝で、甲子園で決めた阪神タイガース??アレがついに現実のものに?????プロ野球(2023/9/14)??阪神×巨人??Live on DAZN#DAZNプロ野球 pic.twitter.com/w6cGQmSD00

◆05年のリーグ制覇から長い月日を経て、ようやく「アレ」にたどり着いた。18年は決して無駄な時間ではなかった。【05年】2年ぶりのリーグ制覇2年ぶり5度目のリーグ優勝(1リーグ時代を含め9度目)を果たした。M1で迎えた伝統の一戦。チームの屋台骨を支えたJFKリレーで見事に締めた。【06~08年】2→3→2位引き続き岡田彰布監督が指揮を執ったが優勝に届かず。08年は2位と最大13ゲーム差をつけたが巨人にひっくり返されて歴史的V逸。岡田監督が責任を取って辞任した。【09~11年】4→2→4位真弓明信監督が率いたが、Aクラス入りは10年の2位のみ。【12~15年】5→2→2→3位和田豊監督が率いた。14年には2位からCSを勝ち抜いたがソフトバンクに敗れて下克上日本一は逃した。【16~18年】4→2→6位チームの抜本的な改革を託されて金本知憲氏が監督に就任。「超変革」を掲げて戦うもAクラスは17年の2位のみ。だが、就任直後の15年ドラフトでは5位で青柳晃洋を指名。16年ドラフトでは大砲として大山悠輔を1位で獲得。3位には才木浩人を指名した。【19~22年】3→2→2→3位21年はリーグ最多77勝を挙げたが、ゲーム差なしの5厘差でV逸。それでも、優勝こそ逃したが指揮を執った4年ですべてAクラス入り。ドラフトでも20年には1位佐藤輝明、2位伊藤将司、5位村上頌樹、6位中野拓夢、8位石井大智を指名し、獲得した。

◆パイン株式会社がSNSを通じ、阪神の18年ぶりリーグ優勝を祝福した。優勝した瞬間、十数秒の動画を投稿。パインアメのパッケージに「レ」の文字を重ね、「パインアレ」とお祝い。パインアメのフォントで「オメデトウ ゴザイマス」と言葉を添えた。パインアメは岡田彰布監督(65)が試合中になめていたもの。名物品がサプライズでSNSを盛り上げた。

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◆阪神森下翔太外野手(23)は、自身3度目の1試合4安打はならなかった。1回に中前打、4回には右前打、そして6回には左前打と広角に打ち分けて迎えた。8回には巨人3番手の菊地から、二遊間への緩いゴロ。きわどいタイミングだったが、一塁は判定アウト。すかさず岡田監督がリクエストをしたが、ビデオ判定の結果は変わらず。しかし、ドラ1ルーキーは「アレ」のかかった大事な試合で3安打。優勝に大きく貢献した。

◆兵庫出身の阪神才木浩人投手が、地元の悲願に貢献した。18年ぶり「アレ」のかかる巨人戦(甲子園)に先発し、7回3安打1失点で自己最多を更新する8勝目を挙げた。初回から155キロを計測しエンジン全開。6回まで二塁を踏ませず、7回に岡本和に浴びたソロによる1失点で踏ん張った。地元で悲願を達成。「自分がこういう試合で任せられて試合で仕事ができたのは、すごくいいこと。これからの野球人生としてもすごくいい経験をさせてもらえた」。残り15試合のローテ次第では2桁勝利に届く可能性も残した。

◆アレ!! 阪神が宿敵巨人を下して、18年ぶりのリーグ制覇を決めた。2003年の9月15日を1日上回り球団史上最速V。9月は負けなしで破竹の11連勝で飾った。6度目のリーグ優勝を果たしたチームは、1958年の西鉄以来65年ぶり。大一番で虎党の大歓声に背中を押され、虎ナインが躍動した。打線は6回1死一、三塁から4番大山悠輔内野手(28)が先制の中犠飛で均衡を破り、なお2死一塁から佐藤輝明内野手(24)がバックスクリーンへの20号2ランで加点した。新人から3年連続20本塁打以上は球団初で、NPBの左打者では史上初の快挙だ。優勝の決まる一戦で役者っち活躍が光った。投手陣では先発の才木浩人投手(24)がプレッシャーをはねのけ7回1失点の好投で8勝目。8回は岩貞が1点を失ったが、石井、島本が後続を断った。最後は守護神岩崎優投手(32)が締めくくり、胴上げ投手となった。05年にリーグ優勝に導いた岡田彰布監督(65)は阪神で15年ぶりに指揮を執り、猛虎を復活させた。就任直後から大山の一塁、佐藤輝の三塁固定を決断。遊撃の中野を二塁にコンバートするなど改革を次々に実施。ボール球を振らないことを徹底させ、大幅な四球数アップを成功させた。投手陣も先発では村上、大竹らの能力を見極め、ともに初の2桁勝利に導いた。ブルペン陣は当時の絶対的勝利の方程式ではなく、「JFK」とは違い、7、8回を固定しない変幻自在の継投策を講じた。救援投手は昨年の借金10からプラス18の貯金8。巧みな采配で強い阪神を取り戻した。05年同様に、地元甲子園での巨人戦で悲願のV奪回を成し遂げた。聖地はお祭り騒ぎに包まれた。

◆18年ぶりのリーグ優勝を決めた阪神岡田彰布監督(65)が、お立ち台から全国の野球ファンに向けて、「アレ」に続く、日本一の代替ワードを公開募集した。勝監督インタビューでのこと。就任直後からチームが優勝を意識しないよう、これまで「アレ」と表現してきた。その2文字について「今日でアレは封印、みんなで優勝を分かち合いたい」と語った。この先はクライマックスシリーズ、日本シリーズと戦いが続く。日本一について聞かれると、「アレは達成しましたけど、最後は日本シリーズ、日本で最後まで試合できるように。日本一はまだ言葉を決めていないんです。いい言葉があったら教えてください」と呼びかけ、ファンを喜ばせた。

◆阪神の4番大山悠輔内野手(28)は、決勝犠飛で18年ぶりのアレを呼び込んだ。1回1死一、三塁で遊ゴロ併殺打に倒れたが、4回無死一、二塁では17打席ぶりの安打となる遊撃内野安打。6回1死一、三塁で中堅に犠飛を打ち上げた。これでリーグ最多の8犠飛。「なんとか1点と...。初回のチャンスもつぶしていましたし、まずは1点というところで犠飛で1点入ってくれた。本当に良かった」と涙をぬぐった。

◆阪神が11連勝で18年ぶり6度目のリーグ優勝を決めた。12球団最年長監督の阪神岡田彰布監督(65)が復帰1年目で「アレ(=優勝)」へと導いた。優勝監督インタビューでは「18年も優勝から遠ざかっているチームを、今この日を迎えるとは思ってなかった。これはみんなの力が結集した結果」と喜んだ。岡田監督の優勝監督インタビュー全文は以下の通り-今の気持ちいや、あのー、明日から広島行くんでね。何とか今日甲子園でね、たくさんのファンの前で、絶対今日決めようと。みんながその気持ちでいったので。本当にうれしく思います。-最後のアウトを取った瞬間はどんな思い難しいね、局面とわかっていたんですけど。まあ、1点でも勝てば良かったので。岩崎が一番分かってると思うので、ベンチで安心して見てました。-今シーズン最多の11連勝で決めたえっとー、勝負は9月とずっと言ってたんですけど。まさか9月にこんなに強くなるとは思ってなかったので。ちょっと勝ちすぎましたね。ちょっと早いかもわからないですけど。これはもうみんなが選手が力をつけて、そういうチームが出来た。選手のおかげだと思います。-投手陣はえっとあのー、最初は西(勇)と青柳でいっぱい勝てると思ったんですけどね。なかなか勝てなかったですけど(笑い)。まあ、あのー、ちゃんと帽子取っといてもらって(笑い)。(2人帽子取る)でもあの、さすがにね勝負の8月まで帳尻合わせてくれて。それはさすがだと思ったですけど。若い村上とか大竹も本当によく頑張って10勝ですから。そういう意味ではみんながピッチャー陣もカバーして、当然先発もそうですけど、やっぱりブルペン陣が、みんながすごいんですよ。みんなが力あるので、誰を出しても、勝ってるゲームは。まだJFKまではいかないですけどね。-打線はどこからでも点を取れる打つ方は開幕からあまり打順を変えないで。この打順なら一番点を取れるかなというのがあって、それがスタートして。優勝の瞬間までこの打順でいけたのは適材適所というかみんなが仕事をしたと。数字はそんなによくないんですけど、得点とかいろんな意味で数字を塗り替えている。そのへんは野手もちゃんと役割を果たして、もっとみんな力つけてうまくなってくると思いますよ。-ここまではどんな道のりあまり苦しい時期も本当なかったですね。4月からね、4月5月とだんだん力つけていくかなと思ったら。5月にすごい勢いで連勝があったんで。その結果が8月からの9月の成績だと思うので。本当、力つけてますけど、まだまだ個々の選手は若いし、伸びる要素は十分。また来年から楽しみですね。-今シーズンはアレと言い続けてきた。あのお言葉を聞きたいまさかここまでね、すごい人気じゃないけど、すごいみんなに浸透するとは思わなかったので。一応今日でアレは封印して、みんなで優勝を分かち合いたいと思います。-選手、スタッフ、関係者にどんな言葉をちょうど去年の9月だったんですけどね。監督要請が出たのが。9月で1年なんですけど、まさかこんなに早くね、18年も優勝から遠ざかっているチームを、今この日を迎えるとは思ってなかったので。これはみんなの力が結集した結果と思う。これは本当に強いタイガースを毎年作って、また喜びをみなさんと一緒に分かち合えたら最高だと思いますね。-日本一に向けての思いアレは達成しましたけど、次のステージですね。クライマックスもありますけど、そこも乗り切って、最後は日本シリーズということで。当然ね、みんなわかっていると思いますけど、1位で通過したということは当然負けられない。日本で一番最後までね、試合ができるように。アレを決めたのは優勝までだったんでね、日本一は言葉を決めてない。だからもし、なんかいい言葉があれば教えてと思いますね。-ファンへえー、開幕から今年はすごい人が甲子園球場に足を運んでくれたみたいで。本当にありがとうございました。まだ次のステージもありますから、こんだけいっぱい入ると、これ以上入れないんでね。これはもうしょうがないですけど。阪神ファンの人は日本全国たくさんいると思うので、テレビとかラジオとかでも応援してもらって。僕らはその応援に応えることしかないんで、最後まで頑張りますので、引き続きよろしくお願いします。

◆阪神坂本誠志郎捕手(29)は優勝決定試合で最後までマスクをかぶり5投手をリードし大号泣した。今季は70試合に出場。開幕当初は梅野との併用が続いたが、8月13日ヤクルト戦で梅野が死球による左尺骨骨折で離脱。その後は全試合でスタメン出場した。11連勝で優勝に到達し、この間全て先発投手に白星がついた。優勝決定試合で最後までマスクをかぶり「甲子園で決められて最高です」と喜んだ。

◆阪神が11連勝で18年ぶり6度目のリーグ優勝を決めた。12球団最年長監督の岡田彰布監督(65)が復帰1年目で「アレ(=優勝)」へと導いた。阪神は11連勝でV。阪神の11連勝以上は、82年6月18日中日戦~7月2日巨人戦11連勝(1分け挟む)以来、41年ぶりの快挙で、花を添えた。2桁連勝で優勝したのは、58年に13連勝で優勝を決めた西鉄以来2度目で、セ・リーグでは初。9月14日に優勝決定は、2リーグ制後では90年巨人(9月8日)16年広島(9月10日)に次いで3番目のスピード。阪神では03年の9月15日を抜いて最速。阪神が巨人戦で、年間最多タイとなるカード17勝目。阪神の過去の巨人戦17勝は、79年(9敗)03、04年(ともに10敗1分け)の3度。最多貯金は79年の8。今季は残り2試合に連敗しても7敗で、最多貯金10以上が決まった。佐藤輝が新人から3年連続の20号。1年目から3年以上続けて20本塁打以上は今年の牧(DeNA)に次いで7人目。過去6人はすべて右打者で、左打者では史上初めて。阪神は先発才木が勝利投手となり、11試合連続で先発投手に白星。これは63年9月29日中日戦~10月10日中日戦以来、60年ぶり。

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◆巨人原監督が敵軍の胴上げを胸に焼き付けた。首位阪神に同一カード3連敗でリーグ優勝を決められた。阪神戦は今季17敗目(5勝)と水をあけられた。「忘れてはいけないのは、この上ない悔しさというものを肌で感じたわけですから。特に若手、中堅は、これは糧としてもらいたい」と求めた。借金1となり、3位DeNAとは2・5ゲーム差に広がった。◯...岡本和が自己最多に並ぶ39号ソロを放った。7回先頭で左翼席に運んだ。チームに28イニングぶりの得点も空砲に終わった。阪神が歓喜する姿を目に焼き付け「目の前で(胴上げされるのは)初めて。Aクラスを目指して頑張りたいなと思います」とCS進出を果たし、ポストシーズンでの再戦を誓った。

◆阪神島本浩也投手(30)が無失点投球で、巨人打線の流れを断ち切った。石井の後を受け、2点リードの8回1死二塁で登板。萩尾、丸を2者連続三振で仕留めた。8月22日中日戦から、7試合連続で無失点。今季は開幕を2軍で迎えながらも、5月22日に1軍昇格後は防御率1・78。「やってやるぞっという気持ちがかなりでた。いつもと違うというか、球場の歓声もすごかった。そういうのも楽しみながら投げられた」。抜群の安定感でブルペンを支えた。

◆/セ・リーグを制した阪神タイガースの表彰式\岡田監督へ優勝ペナント授与???プロ野球(2023/9/14)??阪神×巨人??Live on DAZN#DAZNプロ野球 pic.twitter.com/L7ITYBbeWk

◆阪神が宿敵巨人を下して、18年ぶりのリーグ制覇を決めた。03年の9月15日を1日上回り球団史上最速V。9月は負けなしで破竹の11連勝で飾った。阪神は6度目リーグ制覇となった。就任1年目の岡田監督の下、「アレ」までの今季の戦いを写真とともに振り返ります。<阪神6-3DeNA>3月31日京セラドーム大阪【記事】岡田監督、アレへ1勝! 14年5カ月ぶりの勝利に歓喜の"パー"タッチ<阪神6-5DeNA>4月1日京セラドーム大阪【記事】総力サヨナラ!2年ぶり開幕連勝 ドロー寸前の延長12回2死走者なしから最後は近本<阪神1-0ヤクルト>4月8日甲子園【記事】現役ドラフト最速!新加入の大竹耕太郎が価値ある1勝「いい意味で先駆け、前例に」<巨人1-2阪神>4月12日東京ドーム【記事】岡田監督「勝ったからね、よかったものの、ねえ...」勝利も表情晴れず<阪神2-1広島>4月18日甲子園【記事】中野拓夢、プロ初逆転サヨナラ打 甲子園でのWBCトロフィー展示開始日に侍魂を発揮<中日0-2阪神>4月22日バンテリンドーム【記事】村上頌樹は反骨心が原動力「今の成績なら誰も僕のこと知らない」故郷淡路島で知った現実<阪神15-0巨人>4月27日甲子園【記事】「Gキラー」伊藤将司、初登板で巨人打線完封「最高です!」村山実以来の甲子園11連勝<阪神8-7中日>5月3日甲子園【記事】プロ初サヨナラ打の木浪聖也は孝行息子、前日2日は母の誕生日「これからも長生きして」広島0-5阪神>5月5日マツダスタジアム【記事】ミエセス1号 1軍デビュー戦で豪快弾&豪快キャッチ「6番右翼」任せろ<阪神1-0広島>5月20日甲子園【記事】森下翔太プロ初サヨナラ打「悔しい思いをずっとしていて」レギュラー奪取へ再び名乗り<西武1-3阪神>5月30日ベルーナドーム【記事】村上頌樹が鍛える「遅筋」直球覚醒の裏に地道な壁当て、リベンジ勝利から投手4冠へ加速<阪神11-3中日>6月27日甲子園【記事】陥落2日で首位再奪取、頼れる4番大山悠輔とどめ9号 14戦ぶり2ケタ得点6月28日【記事】球宴ジャックだ!最多票の近本光司「多くの人に支えてもらって逆に力をもらっている」<巨人0-3阪神>7月1日東京ドーム【記事】虎に激震...近本光司が「右肋骨骨折」で出場選手登録抹消 巨人戦で右脇腹付近に死球<阪神1-0ヤクルト>7月9日甲子園【記事】森下翔太「重み...ありますね」虎救ったプロ1号記念球「両親に初ヒットのと一緒に贈る」<阪神5-3ヤクルト>8月13日京セラドーム大阪【記事】16年ぶり10連勝!小野寺暖の初V打で17年ぶり貯金24 15日にも優勝マジック点灯<阪神5-3ヤクルト>8月13日京セラドーム大阪【記事】梅野隆太郎、死球骨折で離脱に無念「このために常に頑張ってきている」V争い渦中に悲劇<広島3-5阪神>8月16日マツダスタジアム【記事】「どこと優勝争いしてるの?」岡田監督、輝外し鬼采配で18年ぶり「アレ」までM29<DeNA2-1阪神>8月18日横浜【記事】岡田監督、怒りの猛抗議で勝負への執念を植え付けた 敗戦も優勝マジック減って「28」<阪神4-3中日>8月22日京セラドーム大阪【記事】4番の一撃でM25!大山悠輔「ここは決めるべきだと」2死無走者から劇的サヨナラ打<巨人6-9阪神>8月26日東京ドーム【記事】59年ぶりオリックスとの御堂筋シリーズ実現へ夢膨らむ 木浪聖也プロ初満弾でマジック21<ヤクルト2-4阪神>9月1日神宮

◆阪神西勇輝投手(32)が、初めて味わう優勝の味をかみしめた。「全然、想像しているものよりも、もう何十倍もうれしさがこみあげてきた」と感慨深げに話した。オリックス時代は優勝に縁がなく、19年に移籍した阪神でも主戦投手として活躍も、ここまで優勝経験はなかった。移籍5年目の今季は、なかなか波に乗れず、2軍調整も経験するなど苦戦した。それでも8月に1軍復帰後は4戦2勝。特に12日の巨人戦では完封で7勝目を挙げてチームに貢献した。「12球団一の熱いファンの方々と一緒に優勝できたのもそうだし、本当にファンの方々のおかげで優勝できたって言っても過言でないと思います」と熱狂的な応援で後押ししてくれたファンに感謝した。

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◆阪神が11連勝で18年ぶり6度目のリーグ優勝を決めた。12球団最年長監督の阪神岡田彰布監督(65)が復帰1年目で「アレ」に導いた。岡田監督はリーグトップの防御率を誇る投手陣を褒めつつも「JFKまではいかない」とファンを笑わせた。優勝監督インタビューで投手陣について「先発もそうですけど、やっぱりブルペン陣が、みんながすごいんですよ。みんなが力ある」と褒めた後、「まだJFKまではいかないですけどね」とオチをつけてファンの笑いを誘った。先発陣では、まず西勇輝投手(32)と青柳晃洋投手(29)の名前を挙げた。「最初は西(勇)と青柳でいっぱい勝てると思ったんですけどね。なかなか勝てなかったですけど。まあ、あのー、ちゃんと帽子取っといてもらって」。お立ち台から笑いながら脱帽を促すと、ベンチ前の2人は帽子取って「謝罪」した。それでも「でもあの、さすがにね、勝負の8月まで帳尻合わせてくれて。それはさすがだと思った」と続け、今度は「落として持ち上げる」絶妙な褒めトークを展開した。さらに「若い村上とか大竹も本当によく頑張って。10勝ですから」と今季プロ初勝利から10勝を挙げた村上頌樹投手(25)と、現役ドラフトで移籍1年目で同じく10勝の大竹耕太郎投手(28)を称賛していた。【林亮佑】

◆阪神が11連勝で18年ぶり6度目のリーグ優勝を決めた。12球団最年長監督の阪神岡田彰布監督(65)は11連勝でゴールに「ちょっと早すぎる」と笑った。2リーグ制後、9月14日に決定するのは03年の同15日を抜いて球団最速で、11連勝でのフィニッシュはリーグ初となった。岡田監督は「ちょっと早いかもわからないですけど」と笑い、「これはもうみんなが選手が力をつけて、そういうチームが出来た。選手のおかげだと思います」と選手をたたえた。9月を勝負の月と話しながら、5月には球団最多の月間19勝。8月も18勝と勝ち星を積み重ね、9月を迎えた。さらに9月は負けなしの11連勝。岡田監督は「えっとー、勝負は9月とずっと言ってたんですけど。まさか9月にこんなに強くなるとは思ってなかった。ちょっと勝ちすぎましたね」と自らも驚きの圧勝劇でペナントレースを制した。

◆オリオールズの藤浪晋太郎投手(29)が14日、自身のインスタグラムのストーリーズを更新した。古巣・阪神の優勝の一戦をタブレットで観戦している様子を3本投稿。試合中は「早起きして観てるやんか。おーん」。優勝を決めると「朝から感極まってます。Vやねん!!」と喜んだ。さらに、岡田監督の優勝インタビューの画面写真とともに「『アレ』の次は『ソレ』よ。おーん。」と投稿。指揮官の「アレを決めたんは優勝まで。日本一はね、なにかいい言葉があれば教えてください」の呼びかけに提案した。

◆左脇腹の筋挫傷で離脱している阪神の湯浅京己投手(24)が甲子園に駆け付け、胴上げに参加した。「チームがアレして、素直にうれしいですけど、シーズン中、ほとんど力になれなかったので、そこは悔しい部分が大きい」と話した。守護神と期待された今季は15試合で0勝2敗8セーブ3ホールドと不本意な成績。回復は順調で9月中の実戦復帰を目標としている。「ポストシーズンに向けて、しっかりリハビリとか順調に来ているので、CS、日本シリーズに向けて、自分のできることをやって、最後少しでもチームの力になれればなと思っています」と前を向いた。

◆阪神岡田彰布監督(65)がアレを封印して「日本一」の新「アレ」言葉を募った。グラウンドで行われた優勝インタビューで「アレを決めたのは優勝までだったんでね、日本一は言葉を決めてない。だからもしなんかいい言葉があれば教えて」とまさかの監督から募集を呼びかけ。聞いていたファンやナインは笑いに包まれた。SNSではすでに多数の説が浮上。「コレでよろしくお願いします」「ソレやろ」「SORE(ソレ)でいこう」など多くの案が挙がっていた。

◆阪神が11連勝で18年ぶりのセ・リーグ制覇を飾った。圧倒的な強さを発揮し、ライバルたちを圧倒。ペナントを逃した5球団の監督たちがコメントした。▽広島新井貴浩監督 まだ阪神との戦いは残っている。CSもある。まだまだ先がある。今、総括することはできない。自分たちは、また次の目標に向かって、みんなで頑張っていきたいと思います。▽DeNA三浦大輔監督 1、2番にやられた。特に試合の中盤から後半にかけて点を取られた。投手陣も非常に良かったし、なかなか点を取れなかった。(野球が)より細かくなって、じわじわと引き離された印象。▽巨人原辰徳監督 1番、2番、8番、ここにかなりやられたなという印象ですね。岡田監督が、ちょっと眠っていた選手を生き返らせたり、その辺の選手掌握術というのは大きかったなというふうに思います。▽ヤクルト高津臣吾監督 強かった。野球は投手だなと思った。なかなか先発を打ち崩せず長いイニングを投げ、その後の救援陣もいろんなバリエーションの投手が控えていて、なかなか点を取らせてくれなかった。▽中日立浪和義監督 阪神は圧倒的な投手力で試合の流れを持っていき、ディフェンスもしっかりしていた。四球1つにしても(選手が)役割をしっかり果たし、そういう意識を持っていた。打率がすごくいい選手もいないが、得点圏での勝負強さだったりが全然違う。全て見習わないといけない。

◆阪神岡田彰布監督(65)の監督就任334日目でのリーグ優勝がネット上で話題となっている。リーグ優勝を果たした05年の日本シリーズで、ロッテに4連敗を喫した阪神。同シリーズでは4戦計4得点33失点での敗退となっていた。SNSでは「日本シリーズでは33-4の借りを返して欲しい!!」、「もし日シリにロッテ来たら阪神ファン震えるぞ」、「運命のいたずらがすぎる」などの声が上がっていた。

◆阪神が05年以来、18年ぶりのリーグ優勝を決めた。本拠地甲子園は、その瞬間を見届けようというファンであふれた。今季最多4万2648人が見つめる中で、宿敵巨人に快勝して「アレ」を達成した。○...左尺骨骨折で離脱中の梅野が、甲子園で「アレ」の瞬間を見届けた。「もう、最高やね」。同期入団でかわいがっていた後輩で、7月に亡くなった横田さんのユニホームを持って歓喜の輪に向かい、岩崎に手渡した。「ヨコの本当に着てたユニホームを持って、あのグラウンドにみんなで立てたのは本当に最高なこと。あいつへの思いっていうのは人一倍自分も強いんで、本当によかった」と感慨深げだった。

◆阪神が11連勝で18年ぶり6度目のリーグ優勝を決めた。12球団最年長監督の岡田彰布監督(65)は甲子園でのV決定にホッとした表情だった。マジック1で迎えた大一番。満員の甲子園での胴上げとなり「いや、あのー、明日から広島行くんでね。何とか今日甲子園でね、たくさんのファンの前で、絶対今日決めようと。みんながその気持ちでいったので。本当にうれしく思います」と頬を緩めた。この日優勝を逃していれば、15日からのマツダスタジアムでの広島2連戦に持ち越しとなっていた。指揮官は王手をかけた13日に「いやあ、そら広島での(胴上げ)嫌やし。スタンドの(阪神)ファンが少ないし(ビジター席がグラウンドから)と遠いからなあ」と話し、地元でのV決定を望んでいた。

◆20号2ランで18年ぶりVに大きく貢献した阪神佐藤輝明内野手(24)がアレへの喜びを爆発させた。大山が先制犠飛を放った直後、巨人の先発赤星のスライダーをバックスクリーンへ豪快に放り込んだ背番号8。試合の流れを一気に呼び込んだ立役者だった。「いやもう間違いなく僕史上で一番最高な日ですね。もう、最高ですね、それだけです」と勝利の瞬間をかみしめた。今日のヒーローの1人となった佐藤輝はクラブハウスへ戻り、すぐにビールかけの準備へ。「とりあえず今日は喜んで、また切り替えてやっていきたいと思います!!」。ゴーグルを身につけながら球場を後にした。

◆10~15年に阪神で活躍したマット・マートン氏(41)が14日、自身のX(旧ツイッター)で虎の18年ぶりの優勝を祝った。「リーグ優勝、おめでとうございます」と記し、虎や日の丸、クラッカーの絵文字を添えた。マートン氏は来日初年度の10年に当時のNPB記録となる210安打をマーク。14年には首位打者を獲得するなど、6年間で1020安打を放った助っ人。この日の午前中には「"ARE" Ganbarimasho!」と記し、海外から古巣の優勝に思いをはせていた。

◆阪神岡田彰布監督(65)が甲子園で18年ぶりのリーグ優勝を決めた後、共同記者会見の会場に移動し、選手たちは会見に臨んだ。強さの要因を問われると「なかなか分かりにくいものなんですけど、普通にやってたら白星が重ねていった。監督が『なんとなく強くなっていった』って言ったらおかしいけど、本心がそういう気持ちですね」と表現した。「選手の力は劣ってない。中に入って、少し変えれば勝てるんじゃないかと、それは間違ってなかったと思いますね」と語った。以下、一問一答--18年ぶりに甲子園で決めたリーグ優勝。心境はそうですね。まあ、1年目で、こんなに早く今日を迎えるとは、正直思っていなかったんですけど区切りの甲子園最後で、まして巨人戦ということで、そういう意味では今日達成できてホントうれしく思います。--胴上げの最中の気分はいやいや、まあ久しぶりやったんですけど、だいぶちょっと軽くなったんでね、今年は。まあ、6回っていうか、前回(05年)は5回というのはタイガースが5度目の優勝だったんで、今回6回目の優勝だったんで、みんなに6回って決めましたけどね。--就任1年目で即結果の達成感達成感はありますけどね。まあ、どうですかね。18年ぶりって、その時は自分やったなあって、途中で思うくらいですね。あれから勝ってないんだって。何か少し変えれば、勝てるんじゃないかと、それは間違ってなかったと思いますね。

◆18年ぶりの優勝にファンもウキウキだ。早くもSNSでは「優勝セール」がトレンド入り。「楽しみ」や「爆買いしたい」とセール品買いに意気込む投稿も見られた。また、スポンサーの「Joshin」もトレンド入り。家電の名前を挙げながら、"買う宣言"している声もあった。すでに関西大の宮本勝浩名誉教授(78=理論経済学)が関西地域で約872億2114万円の経済効果があると試算。今春WBCでは約654億3329万円を大きく上回る試算が発表されている。久々の大規模セールに関西ではさらに盛り上がりそうだ。

◆阪神を18年ぶりのリーグ優勝に導いた岡田彰布監督(65)が現役時代に使われていた応援歌が「復活」した。優勝監督インタビューを終えてお立ち台を離れる際に流れたもので、SNSでは「ここで岡田の応援歌(コンバットマーチ)は感動するわ」「岡田さんの応援歌、本当に名曲だよな-」「良い応援歌だなあと改めて思うし、こういうタイミングで演奏するならチャンステーマとして採用してほしい」などと感動と復活を願う投稿が続いた。

◆阪神近本光司外野手(28)が、大役へ向けて意気込んだ。甲子園で18年ぶりのリーグ制覇を決め、その後、共同記者会見場へ移動。この後に控えるビールかけでは、選手会長として最初の音頭を取る。会見で、ビールかけの発声役について問われると「あの場は勢いだと思うんで、勢いに任せていいかなと思います」とにやり。その後、村上に「近本さんが盛り上がるようなことを言ってくれると思うので、それに乗っかりたい」と振られると「いっちゃいます」と答え、笑ってみせた。

◆阪神ヨハン・ミエセス外野手(28)が奈良の大仏スタイルでビールかけに登場し、岡田監督にいじられた。ミエセスは最前列で「本日の主役」のタスキを着け、奈良の大仏をほうふつとさせるかぶり物を着けて大興奮している様子。それを見た岡田監督がすぐにイジった。「ミエちゃん今日は主役ちゃうよ。成績にともなった暴れ方をしてくださいね」と注意。ナイン大爆笑で笑いを誘った。ミエセスは指揮官の愛のあるいじりに「監督とはいつも冗談言い合ってるので普通のことなんですけど...そんなのカンケーない!!」とコメント。小島よしおの鉄板ネタ「そんなの関係ねえ」を舞台上でも披露した。

◆日刊スポーツは14日、阪神優勝の号外約3万部を梅田、ミナミなど大阪市内5カ所で配布した。甲子園での応援を終えた虎党が大阪に移動するタイミングと重なり、興奮冷めやらぬうちに号外に手を伸ばし「阪神優勝、むっちゃうれしい」「次は日本一や!!」などと歓喜にひたっていた。

◆阪神4番の大山悠輔内野手(28)が、決勝犠飛で18年ぶりのアレを呼び込んだ。1回1死一、三塁で遊ゴロ併殺打に倒れたが、4回無死一、二塁では17打席ぶりの安打となる遊撃内野安打。6回1死一、三塁で中堅に犠飛を打ち上げた。これでリーグ最多の8犠飛。声震わせながら「良かった~、ホントに...。ホントに良かったです。うれしいです...」と号泣した。一問一答は以下の通り大山-おめでとうございます「(号泣して声震わせながら)良かった~、ホントに...。ホントに良かったです。うれしいです...」-決勝犠飛「9月に入ってからチームメートに助けられてばかりだった。なんとか1点...初回のチャンスもつぶしていましたし、まずは1点というところで犠飛で1点入ってくれた。あとに輝がホームラン打ってくれた。中継ぎ陣が頑張って抑えてくれて勝てた。本当に良かったなと思います」-しんどかった「いろんな経験をしましたし、今日こういう風に優勝できてうれしいです」-優勝の瞬間はどんなことが頭をよぎったか「いろいろありますけど、ドラフトから始まり最下位も経験した。いろんな先輩の支えがあった。

◆岡田監督が甲子園の夜空に6度、舞った。阪神が今季最多4万2648人のファンの声援を受けて、18年ぶり6度目のリーグ優勝を決めた。2リーグ制後、9月14日に決定するのは03年の同15日を抜いて球団最速で、11連勝でのフィニッシュはリーグ初。圧倒的な力で独走した。12球団最年長監督の阪神岡田彰布監督(65)が復帰1年目で「アレ(=優勝)」へと導いた。さあ、次は38年ぶり日本一に向けて突き進む。「岡田コール」の中、甲子園の夜空に向かって笑顔で宙を舞った。6回だったのは球団6度目の優勝を意味した。最後は11連勝の独走。「まさかこんな9月に強くなると思わなかったので、ちょっと勝ち過ぎましたね」とドヤ顔で虎党を沸かせた。12球団最年長監督がぶっちぎりでゴールテープを切った。「せめて、あと5年早よしといてくれたらのお。もうちょっと体力もあったのに」。08年歴史的V逸で阪神監督を辞任。オリックスでの悔しい3年間から11年後、65歳でようやく現場に復帰。「そら歯がゆいよ」。評論家としてネット裏から愛する猛虎を見続け湧き上がる思いを1年目から爆発させた。選手を知るため前回監督時より炎天下でもグラウンドに立ち練習を見る時間が増えた。練習態度などに戦う姿勢が見えなければ主力でも容赦なかった。6月24日、DeNA戦後には、佐藤輝を2軍降格。誰よりも厳しく接したが「使わなあかん選手」と思いはブレなかった。最適な距離感になり、心も成長した佐藤輝の打棒が9月に火を噴いた。若い選手に自分で考えさせるのではなく、状況判断や作戦面など、岡田監督が責任を取る形で、決まり事もシンプルに「普通の野球」を教えた。プロに横一線はない。昨年11月からふるいにかけ、厳しく線引きし、役割を与えた。開幕前には自ら球団に掛け合い四球の査定をアップ。開幕前日のミーティングでナインに伝え、選んだ四球452は12球団トップだ。昨年の358個から激増した。勝つ喜びを覚えたナインは岡田野球にのめり込んだ。指揮官は「理解したからこういう成績なんやろ」と胸を張った。夏場にはスーツがぶかぶかになった。陽子夫人は「苦労しないでダイエットできてよかった」と笑う。体重が4キロ減っていた。ナイター後に外食に出ることもほぼなくなり、帰宅しても枝豆をつまむくらい。食事量が減りスリムになった。ストレスと過労。ただグラウンドでは若いナインに乗せられた。指揮官のベンチでの笑顔、ガッツポーズが増え、気持ちも若返った。3月に岡田監督の自宅に実家の仏壇が移され、86年に55歳で亡くなった父勇郎(いさお)さんと再び同じ屋根の下で暮らす形となった。幼少期から阪神愛を育んだ父は、快進撃を喜んでいるはずだ。旧知の阪急阪神ホールディングスの角和夫会長から、球団の体質改善も含め、再建の切り札として監督要請を受け、優勝で応えた。14日はリーグ優勝では03年星野阪神の15日より早い最速V。出陣した自宅周辺ではまだセミが鳴き続けていた。18年間優勝していないから簡単に「優勝」と言うなという意味の「アレ」が、流行語のようになった。陽子夫人は「何か『アレ』がギャグのようになって、どんどん広まっていったのも主人らしいですよね」と笑う。指揮官は「今日でアレは封印して優勝で。アレは優勝までだったんで、日本一は決めてない。何かいい言葉があったら教えてほしいですね」と笑わせた。11月には66歳を迎える。阪神歴代最年長リーグ優勝監督となったが「来年はやるわ」と、記録更新となる2年目もやる気満々。85年以来2度目の日本一で、さらなる喜びを若虎に伝える。【石橋隆雄】最年長V監督 今年満66歳の岡田監督は、13年星野仙一監督(楽天)と並び球界最年長優勝監督となった。当然チームでも最年長。過去の優勝監督の優勝年での満年齢を出すと石本秀一=42歳(37年秋、38年春)若林忠志=39歳(44、47年)藤本定義=60歳(62、64年)吉田義男=52歳(85年)星野仙一=56歳(03年)岡田彰布=48歳(05年)球団最年長だった藤本監督を、大幅に更新した。(過去の2度優勝監督は2度目Vの年齢)生え抜き全試合4番誕生か 大山はここまでチーム全128試合に4番打者として先発出場。優勝年に全試合で4番を務めた選手は、85年掛布雅之130試合、05年金本知憲146試合の2人。このまま全試合スタメン4番がなれば、生え抜きでは掛布以来2人目、右打者では初となる。犠飛の量産 今季の犠飛はここまで、12球団断トツの44を数えた。チームの年間記録は08年の46で、更新の期待もかかる。なお今季の最多は、14日巨人戦でも優勝を決めるV犠飛を打ち上げた大山の8。球団初の年間2桁犠飛も見えてきた。

◆阪神が18年ぶりのリーグ優勝を果たし、14日深夜、歓喜のビールかけを盛大に行った。事前に約4000本のビールを用意。約25分で中締めを迎えた。あいさつを務めた坂本誠志郎捕手(29)が「平田ヘッド、ひと言」と言うと、平田ヘッドコーチは「パインアメー!」と絶叫。再び坂本がマイクを持つと「監督が9月が一番強くって言ってましたけど、10月が一番強くなるぞ!」と力強く呼びかけ、中締めとなった。

◆阪神エース青柳晃洋投手が「アレ」に大興奮した。昨季「投手3冠」を手にしたが、今季序盤は不振が続き苦しんだ。2軍落ちを経て後半戦で復活を遂げ、前日13日の巨人戦では6回無失点で自身5連勝で8勝目を挙げた。「いろいろあったけど、優勝したら関係ないっすね、最高です!」。この日は甲子園で歓喜の輪に加わり会心の笑みがはじけた。

◆阪神の今年の新人投手で唯一1軍登板を経験している富田蓮投手(22)も、胴上げに駆け付けた。「(最後に)球場内を回って、優勝を実感しました。1年目から経験できて本当によかった」と喜びを爆発させた。三菱自動車岡崎から22年ドラフト6位で入団。4月1日DeNA戦(京セラドーム)の延長12回に8番手でプロ初登板して1回を無失点に抑えると、その裏にチームがサヨナラ勝ちしてプロ1勝目をつかんだ。今季はここまで1軍で8試合(先発1試合)に登板し、1勝1敗、防御率4・09。6月上旬に2軍に降格。ウエスタン・リーグでは先発で登板を重ね、13試合で5勝2敗、防御率1・60の成績を残している。胴上げ投手で、先輩左腕の岩崎優投手(32)からは「1年目からこういう経験できてよかったね」と声をかけられた。3カ月ぶりに1軍に合流し、チームメートから「誰? 誰?」と愛のあるいじりを受けた富田は、足早に祝勝会へ向かった。

◆阪神が18年ぶりのリーグ優勝を達成した。岡田彰布監督(65)の共同会見での一問一答は以下の通り。-18年ぶりに甲子園で決めたリーグ優勝。心境は「そうですね。まあ、1年目で、こんなに早く今日を迎えるとは、正直思っていなかったんですけど。5月くらいからチームも勢いじゃないんだけど、白星を重ねていってね、まあマジックが出て、そうですね、ずっと最初にね、NHKさんが4月より5月、5月より6月っていうかね、もうチームを変えたっていうかね、非常に若いチームになったんで、まあ、ゲームの中で、徐々に力をつけていくかなあという感じを持ってたんですけどね。それが、そのスピードというか、すごく早く自分なりにはすごく手応えがあったんですけどね」「勝負の9月がね、どういう形になるかと思ったんですけど、今まで以上にね、この9月というのはね、ホントに力をつけてね、チームみんなでの勝利と思うんで。そういう意味で、区切りの甲子園最後で、まして巨人戦ということで、そういう意味では今日達成できてホントうれしく思います」-胴上げの最中の気分は「いやいや、まあ久しぶりやったんですけど、だいぶちょっと軽くなったんでね、今年は。まあ、6回っていうか、前回(05年)は5回というのはタイガースが5度目の優勝だったんで、今回6回目の優勝だったんで、みんなに6回っていうふうに決めましたけどね」-月を追うごとに強くなっていった。そういう流れに持っていくためにチームに落とし込んでいったものは「どうですかね。毎日試合があるんで。まあ、成長というか、中にいるとなかなか分かりにくいものなんですけど、まあ変な言い方ですけど、何か普通にやってたら、白星を重ねていった。正直な気持ちですね。これが。だから別に、ずっと言い続けてるのは守り重視で、それは変わらないんですけど。まあ、監督が何となく強くなっていったというのはおかしいんですけど、ホントに本心はそういう気持ちですね」-就任1年目で即結果の達成感「達成感はありますけどね。まあ、どうですかね。18年ぶり、18年ぶりって、その時は自分やったなあって、途中で思うくらいですね。はっきり言って。あれから勝ってないんだっていうそういう印象が強かったですけど、何とかね、チームを変えてというかね、メンバー、ポジション、いろんな意味でね、やっぱり、僕は昨年までずっとスタンドで見てたんですけどね、選手1人1人の力ていうか、それは全然劣ってないと思うし、当然優勝争いできるね、そういうチームだなあと見ていたんですけどね」「何か少し変えればね、勝てそうというか、それが正直な気持ちだったんですけど、それをどういう形でするかっていうのはね、まあキャンプから、キャンプ前から構想を練ってたんですけど、一番ベストな形でね、スタートしてまあ、ある程度ベストな形で今日を迎えることができたということは、やっぱりずっとチームを外から見てたんですけど、中に入ってもやっぱり選手の力があって、何か少し変えればと、勝てるんじゃないかと、それは間違ってなかったと思いますね」-前の監督時代から変えたこと、意識して変えなかったことは「いや、あの、前は03年、05年と優勝したんですけど、03年は三塁コーチャーでね、いてたんで。その1年越しの05年ということで、ある程度、完成されたチームというのがあったんで。03年のメンバーがね、ほとんど残った中での05年だったんで、あんまりね、言うことというか、コミュニケーションというか選手との会話とかはやっぱり少なかったですね」「今年の場合は自分がやりたい野球というか、その辺で、まあちょっと変えないといけない部分がある。これは一番はとにかく守り重視でということなんですけど、そういう意味で、まあ前回よりは選手とね、話す機会は今年はだいぶ増えましたね。やっぱりね。それは自分のこういう野球をするというのを選手に伝えないといけないのでね。前回はずっとユニホームを着ていてね。今回はずっとユニホームを脱いでたのでね。その辺の違いはあったと思いますけど」-日本一を表す言葉をまだ考えていないと「そこまで頭が回らなかったですね。はっきり言ってね」-共同インタビューまでの間に思いついたか「いやいやいや、まだそこまで考えてないですけど。まあ、あんまり思い浮かばないですね、いい言葉が」-祝勝会に向かう選手に言葉を「いやいや、それはもう、選手が頑張った結果なんで。まあ、僕らは少しのフォローというか手助けというか、グラウンドでやるのは選手なんで。思う存分ね。だいたい、初めてかもわからないんでね、みんなね。思い切りビールかけてほしいですね」

◆株価も絶好調や!! プロ野球阪神の親会社「阪急阪神ホールディングス」の株価が14日、年初来高値を更新した。今年の取引開始となった1月4日に3800円だった株価は14日終値で5645円。年初来で+48・55%の好パフォーマンスを記録している。昨年から新型コロナの規制が徐々に緩和されたことにより、阪神電鉄、阪急電鉄の鉄道事業が回復。ホテル事業や旅行関連の収支も改善し、5月発表の決算では営業利益、純利益などが大幅に上昇した。業績の回復に加え、チームの好調も株価上昇の後押しになったかも?

◆阪神が宿敵巨人を下して、18年ぶりのリーグ制覇を決めた。03年の9月15日を1日上回り球団史上最速V。9月は負けなしで破竹の11連勝で飾った。阪神は6度目リーグ制覇となった。3年目の中野拓夢は内野の要に成長した。昨季ベストナインも獲得した遊撃と別れ、今季から二塁へコンバートされた。「試合に出られるのであれば、こだわりはなかった。すんなり受け入れて、セカンドを頑張ろうと思いました」。2年時には甲子園にも出場した日大山形、東北福祉大でも経験したポジション。「昔、こういう風に守っていたなと思い出しながら」。体に染みつく感触は出場を重ねる度に精度を増し、再三の好守でチームを救った。山形出身ながら、幼い頃から阪神ファン。当時9歳の05年、最後の左飛は今も脳裏に焼き付いている。18年がたち、WBC日本代表として世界一貢献から始まった23年。ウイニングボールをつかみ、忘れられない「アレイヤー」となった。

◆阪神岩崎優投手(32)が、背番号24のユニホームとともに甲子園の中心で3度宙に舞った。2点リードの9回に登板。1死から坂本に左越えの1発を浴びたが、リードを死守。最後は北村を遊飛に仕留め、左手のグラブを突き上げた。虎ナインが一目散に集結。球場全体が歓喜に包まれた。「ホッとしました。ひと言で言えば『うれしい』になりますけど、それだけでは言い表せないです」7月18日、同期入団の阪神OB横田慎太郎さんが脳腫瘍のため28歳でこの世を去った。この日は「横田の思いも背負ってお願いしました」と、現役時代に横田さんが登場曲で使用していたゆずの「栄光の架橋」をバックに登場し、虎党も大合唱で背中を押した。岩貞が中心となり、現役時代のユニホームを鹿児島の実家から拝借。盟友とともに、歓喜の瞬間を味わった。帰宅時や車の中、トレーニング中。岩崎は今でもふと横田さんを思い返すという。「(頭の)どこかにいて。『頑張らないといけないな』とさせてくれる」。追悼試合の7月25日巨人戦では岩崎が2点リードの9回を無失点。マウンドではウイニングボールを天に掲げ、お立ち台では「最終的に一番いい報告ができるように」と誓いを立てた。。思いは実り、「本当にこういう形になってよかった」と胸をなで下ろした。10年目の今季はセットアッパーから始まり、湯浅の離脱で5月から守護神に定着。この日でリーグトップタイの32セーブ。MVP級の活躍で、若い投手陣を引っ張った。天国で見守る友へ、最高の「アレ」を届けた。【古財稜明】

◆阪神湯浅京己投手が再起を誓った。鳴尾浜から甲子園に駆けつけた右腕。ナインとともにアレの瞬間を味わった。今季はWBCで世界一に貢献し、チームでは守護神を任されたが、右前腕のコンディション不良、左脇腹の筋挫傷とけがに苦しみ8セーブにとどまった。「アレするのは素直にうれしいですけど、力になれなかったのは本当に悔しいです。みんなすごい投手ばかりで、それを見てリハビリも頑張れた。早く戻って、少しでも力になれるように準備できれば」と力を込めた。

◆阪神が18年ぶりにリーグ優勝した。○...阪神今岡打撃コーチが公約を実現した。古巣の指導者に決まった当時は「岡田監督を男にする」と明言していた。現役時代も03年首位打者、05年打点王で優勝に貢献。阪神1軍の指導は初めてだったが「監督の選手との距離のとり方は絶妙で、だれもマネができないと思いました。コーチとして声をかけていただき学ぶことができました」と頭を下げた。

◆岡田ファミリーも歓喜! 岡田監督の長男・陽集さん(38)が日刊スポーツに特別手記を寄せた。海外勤務するインドネシアから「かっこいいよ!」とメッセージを届けた。【聞き手=寺尾博和編集委員】まさか監督に復帰して1年目で優勝するとは思っていませんでした。もちろん優勝してほしいと望んではいましたが、そんな簡単に勝てる世界ではないと思っていたので驚きです。サラリーマンとしては定年を迎える年齢で、選手も若いし、野球界の様子も変わったでしょうから心配していました。でも楽しそうに、やりがいを感じながら、あの年でやりたいことをやっている。若い選手もドライで、クール、いわゆるZ世代な感じかなと思いましたが、父の技術論とか経験談を聞いて貪欲に吸収してくれるようで、うれしそうでした。しかも勝利という結果に導くのですから、父の姿がうらやましく、かっこいいです。昨年は小学1年生と3年生の子供を連れたおじいちゃんとして、USJで2時間も行列に並んでくれました。息子たちも野球に興味を持つようになりましたし、素晴らしい記憶として残るはずです。本当に誇らしく、心からおめでとうという気持ちでいっぱいです。(インドネシアにて)

◆阪神伊藤将司投手が、2年ぶりの2桁星で先発ローテーションの柱になった。「優勝は初めて、感動します」。左肩違和感で自身の開幕が約1カ月遅れたが、左のエースとしてフル回転した。今年4月、父正宏さんは、コーチを務める地元千葉の少年野球チーム「南条日吉スポーツ少年団」の名前を「横芝光タイガース」に変更。野球人口の減少で9人に満たないが「将司の地元と知ってもらえたら野球をするきっかけになるかも」と願いを込め、タイガースとつけた。左腕は「僕が活躍して子どもたちにも知ってもらいたい」。ウル虎の夏イベント仕様のユニホームも寄贈し、少年たちはそれを着て練習している。20年黄金ドラフトのタフネスマンの原動力だ。

◆岡田ファミリーも歓喜! 岡田監督の陽子夫人(64)と長男・陽集さん(38)が日刊スポーツに特別手記を寄せた。V監督を支えた虎のファーストレディーはチームスローガン「A.R.E.」誕生の秘話を披露。愛息は海外勤務するインドネシアから「かっこいいよ!」とメッセージを届けた。【聞き手=寺尾博和編集委員】突然の"岡田コール"に感極まりました。でもほっとしました。マジックが点灯したとはいえ、必ずしも優勝できるとは限らない世界なのはわかっているつもりでした。今は安堵(あんど)したというのが正直な気持ちです。最後は突っ走った感じで、球団史上最速Vとうかがって驚きです。主人は知人からいただいた赤飯を食べて家を出たので"前祝い"になりました。孫たちも駆けつけて、その瞬間を見届けることができたので良かったです。05年はすでに出来上がったチームを率いた優勝でした。今回はベストシーズンを送ったことがない成長過程のメンバーばかりで、監督として自身がつくり上げたという手応えがあったのではないでしょうか。若手が監督に登用される球界の流れにあって、65歳の主人が吉田義男さん、野村克也さんの就任時より1歳上とうかがったときは「エーッ!」と驚いたものです。監督に復帰するまでの間も「なんであんなとこ守ってるねん?」とかテレビにつぶやく姿を間近で見ていたので、また現場でやりたいんだろうなと思っていました。"オカダの考え"を反映させたのがスローガンの「A.R.E.」です。広告代理店に勤務する妹に相談を持ちかけて完成しました。特に"R"(リスペクト)には、技術だけでなく、伝統を継承する意味のメッセージを込めたつもりです。キャンプでOBの鳥谷さん、赤星さんらを臨時コーチに招いたのも、自分が先輩から伝授されて受け継いだことを意識したと思います。タイガースの歴史と伝統をつなぐ責任の証しだったのではないでしょうか。時には「しんどいよ」ともらしたこともあります。負けが込んだ交流戦は雨もあったし、移動も大変で苦しかったと思います。自宅では遠征先のホテルであまり食べないような、ほっこりした料理で、できるだけリラックスしてもらうことに努めたつもりです。主人は現役時代から球場を行き来する道順を変えるなど験担ぎをしてきました。わたしもテレビで試合を見る椅子の位置を変えたり、YouTubeのダイジェスト版を見て勝った日は次も見るとか、同じバッグと靴をそろえて出かけるなど、自然と体が動いたのは不思議でした。ペナントレースを戦い抜く過酷さを、将としての"やりがい"が上回った。わたしはそう見ていたし、なにより阪神を強くしたい一心で、タイガースの伝統をつなぐ使命感を持ち続け、そして"二人三脚"で戦ってきたつもりです。夢は達成されました。甲子園で宝塚歌劇のフィナーレを見ているみたいでした。主人はこの優勝で学んだ後輩が、タイガースの"未来"を築き、継承してくれると信じていると思います。ファン、関係者の皆さまに、心より感謝いたします。おめでとうございます--。(阪神監督夫人)

◆歓喜の瞬間、甲子園の空に背番号24のユニホームが掲げられた。7月18日。13年ドラフトで岩崎、岩貞、梅野と同期入団の阪神OB横田慎太郎さんが、脳腫瘍のため28歳でこの世を去った。岩貞が中心となり、現役時代のユニホームを鹿児島の実家から拝借。空に向かい、最高の報告を届けた。前半戦が終わり、翌日の訃報。岩貞は写真フォルダーを見返して思い出を振り返っていた。「10年前の写真とか、台湾に一緒に行った時の写真とかが出てきて。本当に寂しいというか、そういう気持ち」。それでも、戦いは止まらない。「横田がどう思っていようが、僕らはそれを勝手に背負ってというか。同期だった僕らはそう思いながらやっていきたい」。声を震わせ、絞り出すように誓った。追悼試合の7月25日巨人戦では岩崎が2点リードの9回を無失点。マウンドではウイニングボールを掲げお立ち台では誓いを立てた。「1日1日いい報告ができるようにして。最終的に一番いい報告ができるように」。同月23日ヤクルト戦は梅野のマルチ安打などで後半戦初勝利。盤石な戦いを続け、この日を迎えた。帰宅時や車の中、トレーニング中。岩崎は今でもふと横田さんを思い返すという。「(頭の)どこかにいて。『頑張らないといけないな』とさせてくれる」。天の仲間は、最後まで力をくれた。【波部俊之介】

◆阪神石井大智投手が、自己最多登板でリーグ制覇に貢献した。8回無死二塁で救援登板。長野を三ゴロに仕留めバトンをつなぎ「最高です」とかみしめた。5月11日にプロ初勝利を挙げた夜、腰の違和感で治療を受け、帰宅したのは翌朝午前3時。妻に伝え、おめでとうの空気に満ちるはずのリビングで2人で泣いた。腰の骨に亀裂が入り「生まれたての鹿みたいな歩きしかできない...」。夏場に体調不良に見舞われた。苦難の連続も、岡田監督のもとプロ3年目で覚醒し、38試合で防御率0・79。勝ち試合を任されるまでに成長した。秋田高専出身でNPB史上初となる高専卒選手。20年ドラフト支配下選手で全体最後の74番目で名前を呼ばれた男が、下克上で輝いた。

◆4番Vで「史上最悪」評価を覆し、号泣した。阪神大山悠輔内野手(28)が「4番一塁」を守り抜き、虎を18年ぶりアレに導いた。セ・リーグ最多の四球数で23年岡田阪神の肝を体現し、一塁での好守備や激走でもチームを鼓舞。球団生え抜き選手に限れば85年掛布雅之以来38年ぶりの全試合4番スタメンはもう間近だ。日刊スポーツ独自企画「比べるのは昨日の自分」の特別版として独占優勝手記を寄せ、今季の舞台裏を語り尽くした。【取材・構成=野球デスク・佐井陽介】実は優勝マジックがともった頃、YouTubeで「阪神 優勝」と検索しました。僕は茨城出身で、幼少期は祖父に連れられて東京ドームの巨人戦を観に行ったぐらい。阪神で優勝することの重みを知っておきたかったんです。調べると03年、05年のテレビ特集が残っていて、道頓堀の様子も映っていました。泣いて喜ぶ方も多くてジーンと来てしまって...。でもやっぱり実際に味わう胴上げは格別でした。もう本当にうれしくてうれしくて...。優勝の瞬間はドラフトや最下位の経験が脳裏をよぎって、大泣きしてしまいました。これまでは頂点を知らない野球人生でした。小、中学校時代は県大会にも出られず、つくば秀英高校でも県ベスト8が1回だけ。白鴎大でもリーグ戦で1度も優勝していません。「勝ちたい」という欲求は誰にも負けません。だからチーム一丸で勝ち取った"初優勝"が本当にうれしい。岡田監督が四球の大切さを意識させてくれて、打線のつながりも増しました。常にベンチを盛り上げてくれた原口さん、糸原さんたちの声も大きな力になりました。今季は岡田監督が「4番一塁」に固定してくれました。例年以上に「自分がやるんだ」と良い意味でプレッシャー、緊張感を持って臨みました。監督はよほど悪くなりかけた時だけ的確なアドバイスをくれて、併殺打でも「しゃあないやろ」とコメントしてくれる。今岡打撃コーチはキャンプ中から「クソボールを振っても何も言わないから」と信頼してくれた。期待に応えたいと必死になる中、本音を言えば首位独走中も毎日しんどかった。勝ち試合でもギリギリの展開が多くて...。心身ともに疲れ切った時は7年前のドラフト動画を見返して、なんとか心を奮い立たせました。今だから明かせますが、僕のプロ野球人生は「謝罪」から始まりました。16年秋に阪神からドラフト1位指名された時、会場にいた観客の反応は「えー!?」と後ろ向きな悲鳴でした。プロ野球選手になるという夢がかなった瞬間なのに、本当にショックでした。親や家族も傷つけてしまって「自分に力がないからだ。有名じゃないからだ」と情けなくて...。ある雑誌の阪神ドラフト採点は50点で「史上最悪」とまで書かれました。知り合いに同期入団組の連絡先を聞いて「オレのせいでこんな言われ方してごめん」と謝り倒した悔しさは今も忘れません。まだプロで1試合も戦っていない選手に、もう僕のような思いは絶対にしてほしくない。2度とあんな"事件"が起こらないように、自分が評価を覆して見返すんだ-。他の選手にはないモチベーションが、今季も僕を支えてくれました。今では自分の名前が入った赤タオルを掲げてくれるファンの方々も増えました。応援してくれる方々のためにも優勝できて本当に良かった。岡田監督はもちろん、大卒なのに1年目に「半年間しっかり体を作れ」と将来を考えてくれた金本監督、実績もないのに4番で使い続けてくれた矢野監督にも感謝しかありません。「阪神の4番」は活躍したらすごく盛り上げてもらえるけど、翌日に打てなければたたかれる宿命です。以前は気持ちのコントロールに難しさを感じていました。記事を見て「うわっ」と影響されてしまったり...。今はSNSもやめて情報を目にしないことで、感情の浮き沈みを少なくできています。何よりいい結果でも悪い結果でも普段通りに接してくれる妻と猫2匹に助けられて、打てなくてもエラーしても引きずらずに済むようになりました。とはいえ、シーズン終盤は2位広島が勝ち続ける中「追われる重圧」にも苦しみました。9月1日の敵地ヤクルト戦では体がフワフワして、こだわってきた一塁守備でファウルフライを落とし、グラブの下をゴロで抜かれ、悪送球...。なんとか2点差で逃げ切った直後、クラブハウスで思わず「勝って良かった!」と叫びました。僕なんかまだまだ。特に9月はチームメートに助けられてばかりで...。だから仲間と優勝を分かち合えたことが本当にうれしいんです。今季は現時点で全試合に出場できています。阪神で大先輩の鳥谷敬さんや狩野恵輔さんにサプリメントや食事について教わり、ウエートトレやショートダッシュも日々のルーティンに取り入れた成果かもしれません。ただ、シーズンにはまだ先があります。CSに日本シリーズ。引き続き、勝つためだけに全身全霊を注いでいくつもりです。(阪神タイガース内野手)

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が、夢のアーチを描いた。6回2死一塁で赤星からバックスクリーンに飛び込む2ラン。「頼むから入ってくれ! と思って走っていました」。プロ野球史上7人目、左打者では史上初の新人から3年連続の20号だ。2試合連発の優勝弾。やっぱり怪物だ。「もう間違いなく僕史上で一番最高な日ですね。今までで一番の歓声でした」6月24日夜、新横浜駅から名古屋への新幹線で同期入団の栄枝にLINEを入れた。「明日からよろしく」(佐藤輝)。「どしたん?」(栄枝)。「今、名古屋向かってる」(佐藤輝)。6月は打率1割7分9厘。DeNA戦後、2シーズンぶりとなる2軍降格を告げられていた。「ホテル着いたら部屋来いや」(栄枝)。最後にそんなメッセージが送られてきた。午後11時、栄枝の部屋にこもった。「終わったことはしゃあない」「すぐ上がるんやし調整したらええ」。静かに寄り添ってくれた。それが、身に染みた。カード途中の2軍行き通告。心にモヤモヤがなかったわけではない。それでも、現実を受け止め前を向けたのは、仲間のおかげだった。「明日から頑張っていくわ」と言い、部屋を出た。翌朝には和田2軍監督に「やります!」と言い切った。目の色が変わった。「同期唯一の野手なんでね、ありがたかったですね」。今でも、あの30分の会話を忘れない。プロ3年目。また強くなれた瞬間だった。本塁打と打点でチーム2冠。岡田監督の方針で三塁に固定された守備も含め「まだまだじゃないですかね」と、さらなる高みを見据える。西宮生まれ西宮育ち。地元甲子園で、大器の笑顔が輝いた。【中野椋】

◆やっぱりサトテルが中心! 阪神18年ぶりのリーグ制覇の中心となったのは、佐藤輝明内野手(24)、伊藤将司投手(27)、中野拓夢内野手(27)を代表とする「20年黄金ドラフト」のメンバーです。3選手はプロ1年目から主力。今季はそこに加え、3年目で初の2桁勝利とブレークした村上頌樹投手(25)、自己最多登板で防御率0点台のリリーフ石井大智投手(26)が1軍で活躍しました。将来の正捕手候補、栄枝裕貴捕手(25)も「第3捕手」として優勝の瞬間を1軍で迎えました。変則左腕岩田将貴投手(25)、高いポテンシャルを誇る高寺望夢内野手(20)、支配下返り咲きを目指す佐藤蓮投手(25)とバリエーション豊富です。阪神担当記者が各選手に聞いて回り、完成した相関図。キャッチフレーズとともにお楽しみください。

◆阪神が宿敵巨人を下して、18年ぶりのリーグ制覇を決めた。03年の9月15日を1日上回り球団史上最速V。9月は負けなしで破竹の11連勝で飾った。阪神は6度目リーグ制覇となった。▽阪神嶌村聡球団本部長「副本部長となり責任ある立場で編成に携わりだした5年前に目指していたチームに近いものとなった。中軸、中核を日本人選手で配置する。20年ドラフトは前年が高校生(中心の)ドラフトやったんで、次は投打ともに即とは言わないが戦力になるのが近い選手をと。(ドラフト6位の)中野は1、2番打者型の大学社会人の遊撃手グループで1、2(番手)で残っていた。ドラフトは僕の考えは何を捨てるか。まだ若いチーム。伸びしろが大ありやと思います」

◆「アレ」の瞬間、甲子園のマウンド上で鉄仮面が破顔した。阪神岩崎優投手を中心に虎ナインが一目散に集結。球場全体が歓喜に包まれた。「勝てばたくさんの人が喜んでくれる。やりがいを感じたシーズンでした」。10年目の今季はセットアッパーから始まり、湯浅の離脱で5月から守護神に定着。シーズン半ばからは1つの球種で緩急をつけ、投球のテンポを変えるなど工夫を凝らした。「気づいた点があればできるだけ早く。後から言うよりも今起こっていることを伝えるのが一番分かりやすい」と後輩への助言を送り続けながら、自身初のタイトル争いに食い込む31セーブを挙げるなど、成績で引っ張った。岡田監督の「普通にやるだけ」という常とう句が、左腕の心に留まった。「それが自分にも刺さったじゃないですけど、自分にできることをしっかりやるだけというか、余計なことを考えなくなりました」と感謝した。ブルペンリーダーが、MVP級の活躍で若い投手陣を先頭で引っ張った。【古財稜明】

◆アレ!! 阪神が宿敵巨人を下して、18年ぶりのリーグ制覇を決めた。03年の9月15日を1日上回り球団史上最速V。9月は負けなしで破竹の11連勝で飾った。阪神は6度目リーグ制覇となった。甲子園一塁側ベンチから18年ぶり「アレ」へのドラマは生まれた。阪神の甲子園一塁側ベンチでの座り位置をイラストにしました。吹き出しは日刊スポーツの妄想トークです。

◆現役ドラフトで移籍した阪神大竹耕太郎投手は自身初の2桁となる10勝2敗で、チームに8個の貯金をもたらした。常勝ソフトバンクでこれまで3度のビールかけに参加したが「そりゃ、今回が一番うれしいビールかけになりますよ」と、充実感いっぱいに美酒を浴びた。113回2/3投げ与四球はわずか8個と抜群の制球力とテンポのよさで勝ち星を重ねた。長年先発ローテーションで実績を残す西勇、青柳から貪欲に学び、初めて1年間投げ抜いた。昨オフ初開催の現役ドラフトで岡田監督ら首脳陣は満場一致で大竹を指名した。早大の先輩が指揮官となり、巨大戦力の中で埋もれ、もがいていた大竹の野球人生が鮮やかに変化した。伊藤将に続く左の先発として、満点回答。「僕、CSも日本シリーズも投げているんですよ」。重圧のかかる短期決戦も経験済みの左腕が、日本一へと導く。

◆阪神選手会長の近本光司外野手(28)は、リーグ制覇が決まった瞬間、センターで歓喜を爆発させた。6回に右前打を放ち、大山の犠飛で先制のホームを踏んだ。入団5年目以内で通算764安打。巨人長嶋を超えて単独2位だ。8回には二ゴロで相手失策を誘い、貴重な4点目を挙げた。「あ~よかった。よかった...。(胴上げは)よく上がってんなあって思ってました(笑い)」7月2日巨人戦で右脇腹に死球を受け右肋骨(ろっこつ)を骨折。肺を包む胸膜が傷つくほどの重傷だった。「折れててもできる」。早期復帰しか考えていなかった。だから、20日後にはグラウンドに立った。9月3日ヤクルト戦。同じような場所に死球を受けたが打撲の診断で済んだ。骨折箇所から約3センチ、ズレていたから助かった。耐えた。2試合欠場し、スタメンに戻ってきた。数センチが命運を分ける。バットでも同じだ。その勝負に勝つためにストイックどころか"変態"になれる。衝撃の発言が飛び出したのは、7月下旬のことだ。「人間も魚みたいなもんやからなあ」真顔で言った。関学大3年時から「ゆるトレ」に取り組む。遠征先のホテルで、あおむけに寝転んで足で山をつくり、背中を左右に揺らす。まるで魚が泳ぐかのようにゆらゆら、と。人類の祖先である魚類のような動きは交感神経を鎮め、人間本来の自然治癒力を高めてくれる効果があるという。人間=魚。常人には理解しがたい発想が、野球人生の核にある。すでにキャリアハイの打点を挙げるなど、ポイントゲッターとしても機能した。涙の終戦から10カ月。骨太な猛虎の先頭に近本がいる。【中野椋】

◆甲子園の夜空に6度、舞った。阪神が今季最多4万2648人のファンの声援を受けて、18年ぶり6度目のリーグ優勝を決めた。2リーグ制後、9月14日に決定するのは03年の同15日を抜いて球団最速で、11連勝でのフィニッシュはリーグ初。圧倒的な力で独走した。阪神岡田彰布監督(65)が復帰1年目で「アレ(=優勝)」に導いた。同監督は来季についても「来年はやるわ」と明言。さあ、次はさらなる高み。気力十分の12球団最年長監督が、虎を38年ぶりの日本一に押し上げる。「岡田コール」の中、甲子園の夜空に向かって笑顔で宙を舞った。6回だったのは球団6度目の優勝を意味した。最後は11連勝の独走。「まさかこんな9月に強くなると思わなかったので、ちょっと勝ち過ぎましたね」とドヤ顔で虎党を沸かせた。12球団最年長監督がぶっちぎりでゴールテープを切った。「せめて、あと5年早よしといてくれたらのお。もうちょっと体力もあったのに」。08年歴史的V逸で阪神監督を辞任。オリックスでの悔しい3年間から11年後、65歳でようやく現場に復帰。「そら歯がゆいよ」。評論家としてネット裏から愛する猛虎を見続け湧き上がる思いを1年目から爆発させた。選手を知るため前回監督時より炎天下でもグラウンドに立ち練習を見る時間が増えた。練習態度などに戦う姿勢が見えなければ主力でも容赦なかった。6月24日、DeNA戦後には、佐藤輝を2軍降格。誰よりも厳しく接したが「使わなあかん選手」と思いはブレなかった。最適な距離感になり、心も成長した佐藤輝の打棒が9月に火を噴いた。若い選手に自分で考えさせるのではなく、状況判断や作戦面など、岡田監督が責任を取る形で、決まり事もシンプルに「普通の野球」を教えた。プロに横一線はない。昨年11月からふるいにかけ、厳しく線引きし、役割を与えた。開幕前には自ら球団に掛け合い四球の査定をアップ。開幕前日のミーティングでナインに伝え、選んだ四球452は12球団トップだ。昨年の358個から激増した。勝つ喜びを覚えたナインは岡田野球にのめり込んだ。指揮官は「理解したからこういう成績なんやろ」と胸を張った。夏場にはスーツがぶかぶかになった。陽子夫人は「苦労しないでダイエットできてよかった」と笑う。体重が4キロ減っていた。ナイター後に外食に出ることもほぼなくなり、帰宅しても枝豆をつまむくらい。食事量が減りスリムになった。ストレスと過労。ただグラウンドでは若いナインに乗せられた。指揮官のベンチでの笑顔、ガッツポーズが増え、気持ちも若返った。3月に岡田監督の自宅に実家の仏壇が移され、86年に55歳で亡くなった父勇郎(いさお)さんと再び同じ屋根の下で暮らす形となった。幼少期から阪神愛を育んだ父は、快進撃を喜んでいるはずだ。旧知の阪急阪神ホールディングスの角和夫会長から、球団の体質改善も含め、再建の切り札として監督要請を受け、優勝で応えた。14日はリーグ優勝では03年星野阪神の15日より早い最速V。出陣した自宅周辺ではまだセミが鳴き続けていた。18年間優勝していないから簡単に「優勝」と言うなという意味の「アレ」が、流行語のようになった。陽子夫人は「何か『アレ』がギャグのようになって、どんどん広まっていったのも主人らしいですよね」と笑う。指揮官は「今日でアレは封印して優勝で。アレは優勝までだったんで、日本一は決めてない。何かいい言葉があったら教えてほしいですね」と笑わせた。「来年はやるわ」と、66歳の2年目もやる気満々。85年以来2度目の日本一で、さらなる喜びを若虎に伝える。【石橋隆雄】

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】18年ぶりにセ・リーグ優勝を果たした岡田阪神。長らく使った「A.R.E」も終了。11連勝でのフィニッシュはリーグ初で球団最速V。歓喜が甲子園や関西の街を包みました。

◆阪神が今季最多4万2648人のファンの声援を受けて、18年ぶり6度目のリーグ優勝を決めた。2リーグ制後、9月14日に決定するのは03年の同15日を抜いて球団最速で、11連勝でのフィニッシュはリーグ初。圧倒的な力で独走した。12球団最年長監督の阪神岡田彰布監督(65)が復帰1年目で「アレ(=優勝)」へと導いた。阪神が05年以来、18年ぶりのリーグ優勝を決めた。阪神の優勝は1リーグ時代に4度、セ・リーグで6度の通算10度目。優勝回数を2桁に乗せたのは巨人47度、西武23度、ソフトバンク21度、オリックス14度に次いで5球団目だ。阪神はお久しぶりの優勝が多い。15年ぶり以上のブランク優勝はプロ野球13度目だが、そのうち阪神は62、85、03、23年と4度もある。今季は5月に19勝、8月に18勝を挙げ、セ・リーグで初めて月間18勝以上を2度記録。15試合残してV決定は、セ・リーグでは90年巨人の16試合に次ぐ余裕のゴールだった。

◆阪神が今季最多4万2648人のファンの声援を受けて、18年ぶり6度目のリーグ優勝を決めた。2リーグ制後、9月14日に決定するのは03年の同15日を抜いて球団最速で、11連勝でのフィニッシュはリーグ初。圧倒的な力で独走した。12球団最年長監督の阪神岡田彰布監督(65)が復帰1年目で「アレ(=優勝)」へと導いた。

◆阪神が宿敵巨人を下して、18年ぶりのリーグ制覇を決めた。03年の9月15日を1日上回り球団史上最速V。9月は負けなしで破竹の11連勝で飾った。阪神は6度目リーグ制覇となった。それは左尺骨骨折から1週間後の記憶だ。梅野隆太郎はグレーのソファにうずめていた身を乗り出し、80インチの大画面に映し出された光景に目を細めた。「誠志郎、勝って投手に向かう時の喜び方が今までと全然変わりましたよね。マサシと抱き合う姿を見て、気持ち分かるわ~って」8月20日の敵地DeNA戦を自宅観戦していた。2点リードの9回裏2死一塁。あわや同点2ランというソトの大飛球が右飛に終わった直後、完封した伊藤将司と坂本誠志郎が歓喜する姿に胸が高鳴った。「自分が頑張らなきゃ、という感情があふれ出ている。まるで自分の3、4年前を見ているようで...」23年、梅野は不動の正捕手として開幕を迎えた。岡田彰布監督が就任早々から固定を明言。ただ、一個人としては順風満帆のスタートを切れなかった。打率は1割台前半。自慢の強肩もどこかおとなしい。実は右肩に強い痛みを抱えていた。根っからの九州男児。出るからには言い訳などしないが、実はイニング間の投球返球中でさえ痛みが走っていた。痛み止めの薬を飲み、派生して痛めた首をバキバキと鳴らす日々。「あの時は正直、ボールを投げたくなかった」。そんな状況下で、徐々に注目を集めた捕手が2学年下の坂本だった。後輩は村上頌樹、大竹耕太郎とのコンビで先発マスク時の連勝を9まで伸ばした。次第に先輩と後輩は先発マスク時の勝敗を比較されるようになった。「正直、面倒臭かった。誠志郎と自分はお互い切磋琢磨(せっさたくま)しているだけなのに、面白おかしくされて...」。それでも2人の関係は揺らがなかった。梅野は8月13日ヤクルト戦で死球を受けて骨折し、今季中の戦列復帰が厳しくなった。「頼むな。頑張ってくれ」「はい。早く治してください」。京セラドーム大阪でそんな会話をする数時間前、2人はあらためて互いを認め合っていた。3点リードの5回表2死二塁から山田哲人に2ランを浴びた直後、先発マスクの梅野が一塁ベンチに戻ると、坂本が声をかけた。「あれ、真っすぐでしたか?」「うん。真っすぐ」「ですよね。僕でも真っすぐ行きます」前方を走る梅野の背中を、坂本が追う。そんな関係をもう8年も続けてきた。後輩は3年連続ゴールデングラブ賞の先輩を尊敬し「近くで勝負できるのは幸せ」だと言う。先輩は後輩を「賢いのは分かっている」とたたえる。きっと2人にしか分からない絆がある。梅野のもとには今も時々、配球を批判した内容の手紙が届くそうだ。「なぜあそこで内角直球?とか。捕手は根拠があっても打たれたら批判される。永遠に我慢なんです」。主戦捕手としての苦悩を知るから、重責を1人で背負うことになった後輩の胸中が気になって仕方がなかった。「自分は今年、責任を背負いすぎてどうしたらいいのか分からない時が初めてあった。誠志郎も絶対しんどかったはずなので」甲子園で悲願のアレ成就。2人はカクテル光線の中心で静かに抱き合った。【野球デスク=佐井陽介】

◆阪神が18年ぶりのリーグ優勝を成し遂げた。試合が終わるとナインは笑い、涙し、そして抱き合った。一夜明けに読みたい、そんな主な選手の前夜の喜びの声は以下の通り。大山悠輔(試合後に涙)「(号泣して声を震わせながら)良かった~、ホントに...。ホントに良かったです。うれしいです...。いろいろありますけど、ドラフトから始まり最下位も経験した。いろんな先輩の支えがあった。感謝しています」近本光司(骨折乗り越えた選手会長)「あ~よかった、よかった、って。そんな感じでした。(監督の胴上げは)どんな感想...いやあ、よく上がってんなあ、って思ってました(笑い)。ここで決めたいっていうのは僕らだけじゃなくて、球場に来ている皆さんがそう思っていたと思うので。それができたっていうだけでよかったんじゃないですかね」佐藤輝明(5番三塁で本塁打、打点のチーム2冠)「いやもう間違いなく僕史上で一番最高な日ですね。(大山の涙に)本当に僕よりもずっと長いことプレーしてきて、こみあげてくるものが僕以上にあったのかなと思いますね。本当にすごい、いい先輩たちに囲まれて優勝できて良かったです」中野拓夢(2番二塁、セカンドコンバートでさらに成長、優勝試合ではウイニングボールをつかむ)「最後、自分のところに飛んできたので、喜びながらというか、いい歓声をあびることができたので、とてもうれしかったです。世界一を経験できた年に、こうやって優勝もできた。(CSや日本シリーズでも最後に○をつかみたいか?)全部の最後、自分が捕れるように、頑張りたいなと思います。めっちゃ言わされた~(笑い)。結構、持ってるんで。大学日本一も最後ウイニングボールも自分がセカンドフライを捕ってるので。持ってるのかな。全部根こそぎとりにいきたいなと思います」森下翔太(1年目で3番担う)「優勝をあんまり人生で経験したことがなかったので、ああやってマウンドで集まれるのはすごいうれしいです」木浪聖也(8番遊撃でレギュラー)「今まで苦しい時とかのこととか、支えてくれた人の顔がバッと浮かんで、感謝しかないです。本当に最高の気持ちです。やってきたことがうそじゃなかったって証明できたのでこれからも継続してやっていきたいと思います」坂本誠志郎(梅野離脱後、スタメンで投手陣支える)「ほんとうによかった。甲子園で決めることができてよかったです。(ビールかけは中締めのあいさつを務め)監督が9月が一番強くって言ってましたけど、10月が一番強くなるぞ!」村上頌樹(プロ3年で10勝と覚醒)「あんま覚えてないです。うれしすぎて。ファンの皆さんもあれだけ盛り上がったので、うれしいです。(当初予定だった15日の先発が及川に変更され)今日はいっぱい楽しんで、疲れをとりたいと思います」才木浩人(先発し7回1失点で勝ち投手に)「いや、よかったですね。やっぱこういう試合で、7回までしっかりゲーム作れたっていうのは、すごいいい経験させてもらえたかなと思います。これからの野球人生としても、すごいいい経験させてもらえたかなと思います」岩崎優(9回を締め胴上げ投手に)「ほっとしました。(登場曲は亡き横田さんの栄光の架橋)横田の思いも背負って(変更を)お願いしました。普通ではできない経験をさせてもらったのですごくありがたいかなと。汗なのか涙なのか分かりません」島本浩也(火消し役としてフル回転)「いつもとまた違うというか、球場の歓声もすごかったのでそういうのも楽しみながら投げられたかなと思います」伊藤将司(2年ぶり10勝)「優勝初めてなんでうれしいです。感動しています」西勇輝(終盤に復活)「全然、想像しているものよりも、もう何十倍もうれしさがこみあげてきたし、12球団一の熱いファンの方々と一緒に優勝できたのもそうだし、本当にファンの方々のおかげで優勝できたって言っても過言ではないと思います」青柳晃洋(苦しみながらも8勝)「いろいろあったけど、優勝したら関係ない。最高です」梅野隆太郎(骨折で離脱中も胴上げに駆けつける)「監督にもね、もう早く治してくれっていう言葉をかけてもらったんで、しっかり戻るだけじゃなくてね、そこで活躍できるように、しっかり準備してやりたいですね。歓喜を最後ね、ベンチから行くっていうのはね、なかなか最初考えづらかった部分はあるけど、やっぱりチームの輪に入れたっていうのは、感謝してるし、そういう思いを持って、またCS、日本シリーズとつながっていくので。今日は今日でね、こういう歓喜で、今日の1日は本当に忘れられない1日なんで。本当に。みんなが頑張ってくれたおかげでチームが勝って、本当に優勝できたことを誇りに思うし。集団のこの若いチームで勝ててよかったです」

◆優勝へのマジックナンバーを1としている阪神は14日の巨人戦(甲子園)に勝つか、負けても広島がヤクルト戦(神宮)に敗れれば優勝が決まる。阪神が引き分けた場合は広島が引き分け以下なら阪神の優勝となる。18年ぶり6度目の〝アレ〟のXデーとなる確率が極めて高いとみられる14日の甲子園のチケットが、チケット転売サイトの「J」や「R」で高額出品されている。中にはライト外野指定席が1枚125万円という驚きの価格設定のものもあった。この席はシーズンシートの一角であるため、所有者の割り出しを避けるためか現在は出品が削除されている。だが、50万~60万円前後の出品が複数残っているほか、10万~15万円前後で出品されているものの中には実際に購入されたものもあった。阪神球団は公式サイトにて「【チケットの営利目的での転売は禁止です】」と赤字で注意喚起を行っている。また、チケット不正転売禁止法が2019年から施行されており、違反者は1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はその両方が科される。

◆阪神は14日、公式ホームページとX(旧ツィッター)で紙ふぶき、紙テープなど物の投げ込みを禁止すると呼びかけた。試合進行および試合終了後のイベント等の妨げとなるため。また試合終了後に球場内や球場周辺で混雑が予想されることから、チームショップアルプス、ファンショップダグアウト及び阪神甲子園球場内タイガースショップは営業時間を変更。試合途中で閉店する可能性があることも発表した。18年ぶりのリーグ優勝の可能性があり、混乱を避けるために事前に対策を講じた。

◆阪神・及川雅貴投手(22)が試合前練習に参加。先発が見込まれる15日の広島戦(マツダ)に向け、意気込んだ。「しっかり後ろにつなげるようにという気持ちではいますけど、自分も聞いたばかりですし、あまり実感もないのでまだなんとも言えないですけど、つなげていこうという気持ちでいます」今季は中継ぎとして26試合に登板し、2勝1敗、6ホールド。防御率は2・51。1軍公式戦での先発はプロ3年目で初めてだ。かねてより先発への思いを語っていた左腕だが「特に心境の変化とかはないです。やることは変わらないですし、先発だからというのはいまは特にないです」と冷静だった。阪神は当初、15日は村上頌樹投手(25)が先発する予定だったが、マジック「1」で迎えた14日に優勝する可能性があり、15日はブルペンデーとして臨む。

◆マジックを1として迎える一戦を前に、午後4時の開門を前に多くの虎党が列を作った。ライト応援席付近の21号門にはおよそ200人のファンが詰めかけ、通常ピーク時の倍を超える行列だという。当日券はもちろん完売。18年ぶりの悲願に向け、現地の興奮は最高潮だ。

◆両軍のスターティングメンバーが発表。18年ぶりのリーグ優勝へマジック「1」としている阪神は才木浩人投手(24)が先発する。今季はここまで7勝5敗、防御率2・10。巨人戦での前回登板は8月10日(東京ドーム)でこのときは7回1/3を投げ2失点で勝利投手となった。優勝条件は①阪神勝利②広島敗戦③ともに引き分けーの3パターン。甲子園を埋めつくす虎党の前で-。岡田監督胴上げの瞬間は、もうすぐそこだ。

◆阪神・門別啓人投手(19)が15日の広島戦(マツダ)で1軍デビューする可能性が出てきた。岡田監督は14日に18年ぶりのリーグ優勝をした場合、15日にドラフト2位左腕の起用を示唆した。「門別投げさそうと思って、門別上げて。(フレッシュ)オールスターで言うとったからなあ、『見てますか』って」。15日はブルペンデーとなり、先発は及川。門別はルーキーイヤーの今季、ウエスタン・リーグで11試合に登板(内先発6試合)し、2勝2敗、防御率は3・12。将来の左のエース候補として期待がかかる存在だ。

◆優勝へのマジックナンバーを1としている阪神は14日の巨人戦(甲子園)に勝つか、負けても広島がヤクルト戦(神宮)に敗れれば優勝が決まる。阪神が引き分けた場合は広島が引き分け以下なら阪神の優勝となる。18年ぶり6度目の〝アレ〟へ向け、ファンが歓喜に沸くあまり不測の事態を防ぐため、大阪府警は約1300人を投入する厳戒態勢を敷く。これを受け、各国の在外公館も自国民に向けて注意喚起を発した。首都ソウルの梨泰院(イテウォン)で昨年10月に150人以上が死亡した雑踏事故が起きている韓国の外交部は日本に滞在中の韓国人に向け、「道頓堀への訪問を控えてほしい」と異例の警告を出した。「日本のプロ野球の人気球団、阪神タイガースが優勝を目前にしており、過去の阪神の優勝時にはファンが暴走し事故が発生している」と道頓堀エリアを避けるように促した。台湾の領事館にあたる台北駐大阪経済文化事処も「9月14日は心斎橋、道頓堀、通天閣、甲子園球場などへの外出は控えてください」と公式X(旧ツイッター)で呼びかけた。コロナ後のインバウンド需要の拡大を受け、日本を訪れる外国人は増えている。関西空港には格安航空会社(LCC)が多く発着することから、関西圏は特に外国人観光客が多く戻ってきており、道頓堀のグリコ看板などは人気の観光地となっている。

◆定刻通り、午後6時に試合開始。阪神の先発・才木浩人投手(24)がマウンドに上がった。才木が1球を投じるごとに、甲子園を埋めつくした虎党が大歓声を上げる。才木は先頭の長野を153キロ直球で空振り三振に斬ると、続く門脇はフォークで3球三振。丸は152キロ直球で押し込み捕邪飛と、圧巻の立ち上がりを見せた。

◆阪神が一回の好機を逃した。一回1死から中野が一塁手のミットをはじく内野安打を放って出塁すると、続く森下が中前打。中堅・丸が打球をファンブルする間に、中野は一気に三塁に到達した。1死一、三塁で打席には4番の大山。しかし、赤星の投じた4球目。スライダーを引っ掛け、痛恨の遊ゴロ併殺。先制とはならならず、甲子園は大きなため息に包まれた。

◆三回終了時に、バックスクリーン大型ビジョンに他球場の途中経過が表示。甲子園の虎党が盛り上がった。ヤクルトと神宮で対戦している2位広島は1-2(二回終了時)とビハインドの展開。阪神はこの一戦に敗れても、2位広島が負ければ18年ぶりのリーグ優勝が決定するとあって、虎党から歓声が上がった。甲子園の一戦は、三回を終えて0-0。阪神・才木、巨人・赤星の投手戦が続いている。

◆18年ぶりのリーグ優勝へのマジックナンバーを1として迎えたこの試合、阪神の公式動画配信サービスの「虎テレ」がアクセス集中により〝パンク〟した。虎テレの公式X(旧ツイッター)は「過去最高のさらに数倍という非常に大きなアクセスにより接続しづらい状況が発生しています」と説明。想定を大きく上回るアクセスが集中しつながりにくい状態が続いている。

◆阪神は0―0の四回、満塁の絶好機で先制を逃した。栄光に王手をかけた虎からあと1本が遠い。先頭の中野が左前打で出塁し、続く森下は逆らわず右前へ。無死一、二塁とすると、4番の大山は遊撃への内野安打でつないだ。無死満塁の絶好機を作ったが、佐藤輝が空振り三振に倒れ、続くノイジーは捕手への投ゴロ併殺で得点できなかった。甲子園の大歓声がため息に変わった。

◆阪神は0―0の六回、大山悠輔内野手(28)の犠飛で先制した。白球が打ち上げられた瞬間、大歓声が上がった。大山が4番の仕事を果たした。近本、森下の安打で1死一、三塁となって迎えた第3打席。先発・赤星の3球目を中堅へ運んだ。一回、四回と好機で凡退していた背番号3がスコアボードに「1」を刻んだ。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が1-0と先制した六回に20号2ランを放った。大山の犠飛で先制し、なおも2死一塁で打席へ。赤星の127キロスライダーを薙ぎ払った。バックスクリーンに飛び込む20号2ラン。新人から3年連続で20本塁打を達成した。左打者に限れば、同記録はプロ野球記録の快挙。ダイヤモンドを一周した大砲はベンチで「バモス!」とさけび、喜びを爆発させた。

◆巨人・岡本和真内野手(27)が、2021年に記録した自己最多に並ぶ39号ソロを放った。3点を追う七回先頭。カウント1ー1から阪神・才木が投じた147㌔の直球を捉え、左翼席までかっ飛ばした。7日のヤクルト戦(神宮)以来の一発で、自身初の40号に王手をかけた。チームは2試合連続で零封負け。主砲の豪快な一撃で、10日の中日戦(東京ドーム)から28イニングぶりにスコアボードに得点を刻んだ。

◆阪神・才木浩人投手(24)が先発し、7回3安打1失点と好投した。9月負けなしの10連勝で優勝マジックを「1」まで減らして迎えた、〝アレ〟のかかった大一番。一回から直球を主体にした攻めの投球で向かっていった。まずは先頭の長野相手に真っすぐを連発し、高めの153㌔でバットの空を切らせた。続く門脇もフォークで空振り三振に仕留めると、丸は152㌔で捕邪飛に打ち取り、無失点発進。二回は先頭の岡本和に初安打となる中前打を許したが、後続を外野フライ3つに抑えてチャンスを作らせず、2死から安打を浴びた三回もしっかりとゼロを刻んだ。勢いづくと、六回までは二塁すら踏ませなかった。六回に先制を含む3点の大きな援護をもらい、七回には岡本和に反撃のソロを浴びたものの、ここを最少失点。直後の攻撃で代打が送られて交代となった。11日の練習後には「優勝がかかったどうこうに対して特別な心境というのはあまりない。自分はいつも通りというか、変わらずにという感じでいます」と話していた右腕。堂々たる投球で、悲願の〝アレ〟達成への流れを作った。

◆1-4で迎えた八回、阪神のリリーフ投手陣が細かい継投をみせて巨人の攻撃を1点にしのいだ。この回3番手で登板した岩貞祐太投手(32)が先頭の代打・北村に左前打を許すと、続く途中出場の大城に適時二塁打を浴び、4-2とされた。なお無死二塁のピンチで石井大智投手(26)が登板し、長野を三ゴロに打ち取る。1死二塁で今度は島本浩也投手(30)が4番手でマウンドへ。代打・萩尾に対して1-2から直球を内角に投げ込み見逃し三振。丸もカウント2-2からスライダーで空振り三振に斬って取り、火消しに成功した。

◆阪神・岩崎優投手(32)が4-2の九回のマウンドへと上がった。登場曲は「栄光の架け橋」が流れる。この曲は脳腫瘍のため28歳の若さで亡くなった横田慎太郎さんが現役時代に登場曲としていた。岩崎の思いに、スタンドの虎党も大合唱。〝アレ〟目前、スタンドが一つになった。

◆阪神が巨人を下し、18年ぶり6度目のセ・リーグ優勝を達成した。先発の才木が直球を主体にした攻めの投球で巨人打線に立ちはだかり、六回までは二塁を踏ませず無得点とゲームメークした。その好投に応えたい打線は六回、近本と森下の安打で1死一、三塁を作り、大山の中犠飛で先制。さらに続く佐藤輝は節目の20号となる2ランをバックスクリーンにほうり込み、主導権を握った。才木は七回に岡本和に左翼ソロを浴びたが、7回3安打1失点と好投した。4―1の八回からは継投に入り、2番手・岩貞が連打を浴びて1点は返されたものの、その後を石井から島本へと小刻みにつないでリードを守り、そして九回の岩崎へとリレー。守護神は坂本に左翼ソロを浴び、その後もピンチを背負った、何とか断ち切って試合を締めくくり、悲願を成し遂げたナインはマウンドに歓喜の輪を作った。今季のチーム最長となる11連勝で両リーグ最速での80勝目となり、9月14日での〝アレ〟達成は、同15日だった2003年を1日更新する球団最速。甲子園で宿敵を相手に独走Vを決め、まるで18年前の歓喜を再現するかのようなシーンに、球場は黄色く染まったスタンドからの大歓声で包まれた。

◆地鳴りのような歓声が響いた甲子園球場の雰囲気にのみ込まれた。先発した巨人・赤星優志投手(24)が6回3失点で降板。10連勝中の猛虎打線の勢いを止めることはできなかった。チームは九回に1点差まで追い上げたが、阪神・岡田監督の胴上げを見ることに...。「相手の優勝というよりはCS(クライマックスシリーズ進出)がかかっているので、そこに向けてチームが勝てるように頑張りたい」2005年以来、18年ぶりの〝アレ〟に王手をかける阪神に、自身3連勝中の勢いで立ち向かった。立ち上がりから140キロ台後半の直球、110キロ台のカーブなどを操り、翻弄。0-0の四回には無死満塁のピンチを背負ったが、佐藤輝を空振り三振、ノイジーを投ゴロ併殺に仕留めた。安定感抜群の投球で、5回まで自己最多タイの8三振を奪った。突如、歯車が狂ったのは六回だった。先頭の近本に右前打で出塁を許すと、1死一塁からは森下にも左前打を浴びた。1死一、三塁とされ、大山の中犠飛で先制点を献上。さらに2死から佐藤輝に2試合連続の2ランをバックスクリーンにたたき込まれた。五回まで阪神・才木との手に汗握る投手戦を繰り広げていただけに右腕は「最後、粘り切れなかった。特に最後は1点で粘りたかったですが、ホームランの一球が悔やまれます」と肩を落とした。(樋口航)

◆阪神が巨人を下し、18年ぶり6度目のセ・リーグ優勝を達成した。今季就任した岡田彰布監督(65)は選手が優勝を意識しすぎないように「優勝」とは言わず「アレ」という表現を使用。また囲み会見の合間によく発する「おーん」のフレーズや岡田監督がよく食べている「パインアメ」も虎党の間では大きな話題となった。野球界では昨年、日本選手最多の56本塁打を放ち、史上最年少で三冠王に輝いたヤクルト・村上宗隆内野手(23)が「村神様」でユーキャン新語・流行語大賞を受賞しており、「今年の流行語大賞は『アレ』にほぼ決定」「『ペッパーミル』や『あこがれるのはやめましょう』あたりのWBC関連ワードを抑えて『アレ』が流行語大賞取りそうな勢い」などとSNSの虎党からは「アレ」や「おーん」の受賞を期待する声が上がっている。★野球界の新語・流行語大賞の受賞例・1986年「新人類」(清原和博、工藤公康、渡辺久信)・94年「イチロー(効果)」(イチロー)・95年「NOMO」(野茂英雄)、「がんばろうKOBE」(仰木彬)・96年「メークドラマ」(長嶋茂雄)・98年「ハマの大魔神」(佐々木主浩)・99年「リベンジ」(松坂大輔)、「雑草魂」(上原浩治)・2015年「トリプルスリー」(柳田悠岐、山田哲人)・16年「神ってる」(緒方孝市、鈴木誠也)・21年「リアル二刀流/ショータイム」(大谷翔平)・22年「村神様」(村上宗隆)

◆巨人・原辰徳監督(65)が、18年ぶりのリーグ優勝を決めた今季の阪神について語った。この日を含めて今季は5勝17敗1分けと苦しめられたライバルを「今年のタイガースはとてもいいチームだったと思います。非常にそつのないと言うか、ミスが少ない。競り負けた印象が非常に強いですね」と潔く認めた。続けて「やっぱり(打線の)1番(近本)、2番(中野)、8番(木浪)にかなりやられたなという印象ですね」と、中軸の脇を固めた左打者トリオに舌を巻いた。「あとは岡田監督がいろんな選手を2軍に落としたり、経験させたり、ちょっと眠っていたような選手を生き返らせたりね。その辺の選手掌握術というのは大きかったなと思いますね」と敵将の手腕にも敬意を表した。岡田監督は中軸の一人、佐藤輝を2軍落ちさせるなど大胆な手を打って再生させた。原監督にとって1学年上の岡田氏は、東海大、早大時代から互いを高め合ってきた間柄。原政権下の2008年は岡田監督が率いる阪神との最大13ゲーム差を逆転して優勝し「メークレジェンド」と呼ばれるなど、監督同士としてもしのぎを削ってきた。

◆阪神が巨人を下し、18年ぶり6度目のセ・リーグ優勝を達成した。今季就任した岡田彰布監督(65)は選手が優勝を意識しすぎないように「優勝」とは言わず「アレ」という表現を使用。指揮官がよく食べている「パインアメ」も虎党の間では大きな話題となった。岡田監督が「優勝」を表現する代わりに使う言葉。「ライバル球団に隙をみせるフレーズで、刺激を与えたくない」というのが理由。オリックス監督時代の2010年、選手に交流戦の優勝を意識させないように使い始めた。今季のスローガンは「A(Aim=目的)」「R(Respect=尊敬)」「E(Empower=パワーアップ)」を組み合わせた「A.R.E.」(エー・アール・イー)に決まった。大阪市の老舗菓子メーカー、パイン株式会社が1951年に発売したロングセラー商品。パイナップル果汁が使われ、岡田監督は試合中に7、8粒ほど食す。アメの真ん中に穴をあけたのは、発売当時に高級品だったパイナップルの輪切りの缶詰がヒントになった。

◆ついに宙に舞った。有言実行の胴上げだ。前回は就任2年目の2005年、47歳の秋だった。あの頃は、すぐに次があると信じていた。17年の空白が続くとは思わなかった。「終わっていたら勝っている。そんな試合をしたい」。復帰会見で発した言葉通りのゴール。劇的なゲームはない。大逆転勝ちも然り。阪神・岡田彰布監督が目指す野球で、見事なまでに体現した。舞台裏を関係者は「選手の気持ちがわかるようになった。それが最大の変化」だと言い切った。例を挙げるとすれば監督賞だ。「そんなん、いらんやろ。誰が喜ぶんや? 」04年から5年間の在任中、ある意味、岡田監督の口癖だった。奮発した前任者の故星野仙一氏に反発するかのように、〝現ナマ〟にアレルギーを示した。「そんなんで選手は嬉しいの? ほしいの? なんぼ、球団から、もろてると思てんねん」。金本知憲氏を筆頭に、それなりの高額年俸者が顔をそろえていた。ただ『監督賞』の3文字に不快感を抱く選手なんているはずがない。金一封が入った封筒を開封することなく、額に入れて、リビングの壁に掛ける若手だっていた。選手の思いを伝えられても、理解を示すことはなかった。監督賞と言っても、金銭を出すのは球団。あくまでも名目上のご褒美。他人の財布で自分の懐に響くものではない。気持ちの問題。それでも首を縦に振ることは少なかった。出しても渋々...の態度は選手に伝染する。余計な〝誤解〟を呼ぶ。ムチを入れても動かない。08年の歴史に残るV逸は典型的な例だった。あれから15年、今回は素直に〝寸志〟を選手に贈っているという。前回政権時は前任者と比較され、星野氏の二番煎じだと言われた。それが嫌だったのだろう。もらった方は期待に応えようと思う。恩返しを誓う。その繰り返しで白星を積み重ねた。時には舌鋒鋭く、辛辣なコメントを吐く場合もある。しかし選手との距離を縮めたことが勝因のひとつだった。選手には試合中、口にするパイン級の甘いアメ? とムチ。ならばコーチ陣は「束縛からの開放」。前回政権時は個人行動はご法度。ハマスタでの第3戦はデーゲーム。次のカードが甲子園なら試合後、選手は移動するのが普通。バンテリンDでのナイターでも試合終了が早ければ、帰阪は可能。しかし当時の岡田監督は自身が移動しなければ許さなかった。打撃コーチが帰阪しようものなら「よう帰れるな。打てんのに」となり、激怒する。結束力を高めたかったのか。意固地なまでに『軍団』を形成しようとした。忠誠心を問うた。今回は自由行動。オリックス監督時代から、恐れられていた? 部屋飲み儀式も、新型コロナ感染防止のため、食事会場のみに限定された。54歳で迎えた2012年、シーズン途中でオリックス監督の座を退いた。事実上の解任だった。「紙切れ一枚でクビやったわ」。以降の10年間、阪神で指揮官交代の時期になると、候補として名前が挙がった。戦力がありながらも勝てない。特に19年から4年間の矢野燿大監督時代は、歯がゆさばかりが募った。還暦を過ぎ、体を張れる最後のチャンス。阪急阪神HDからの全面バックアップを得て、ウップンをぶつけたシーズンでもあった。性格などは変わりようがない。ただ65歳の秋は、柔和になった。選手の気持ちを考えた。「お疲れさん」。18年前にはなかった労いの言葉に、コーチ陣はどう反応すればいいのか迷ったほど。当たり前のフレーズも、前回政権を知る人間にとっては異例の発言だった。「楽しんだらエエんや、ここまで来たら」。だからオカダ野球とは対極の位置にある「楽しむ」を使って、選手への信頼感を表現した。今までの岡田監督なら考えれないフレーズも、今季の象徴だ。まだCSがある。勝ち抜けば05年、ロッテに「4得点ー33失点」の末に4戦4敗の惨敗を喫した日本シリーズが待っている。18年ぶりのセ界制覇から、38年ぶり2度目の日本一へ。岡田監督は手のひらに選手とコーチを乗せて、頂を目指す。(次回は9月25日掲載)■稲見 誠(いなみ まこと) 1963年、大阪・東大阪市生まれ。89年に大阪サンスポに入社。大相撲などアマチュアスポーツを担当し、2001年から阪神キャップ。03年、18年ぶりのリーグ優勝を経験した。現在は大阪サンケイスポーツ企画委員。

◆阪神が11連勝で2005年以来、18年ぶり6度目のリーグ優勝を飾った。六回、大山悠輔内野手(28)の中犠飛で先制し、さらに佐藤輝明内野手(24)の20号3ランで加点。7回1失点の才木浩人投手(24)以降は継投に入り、最後は岩崎優投手(32)が締めた。佐藤輝は通算7人目で球団初の新人から3年連続20本塁打。また巨人戦年間17勝は1979、03、04年に並ぶ最多。2桁連勝での優勝は58年西鉄(13連勝)以来。今季最多の観衆4万2648人が駆け付けた甲子園で球団最速の「9・14」に岡田彰布監督(65)の体が6度宙に舞った。岡田監督の主な一問一答は以下の通り(成績=80勝44敗4分、観衆=4万2648人)。ーーいまの気持ちは「いやあの、明日から広島行くので、なんとかきょう甲子園でね、たくさんのファンの前で、絶対きょう決めようと、みんながそういう気持ちでやっていたので、嬉しく思います」ーー最後のアウトを取った瞬間の思いは「え? 最後? 難しいね。局面はわかっていたんですけど、まあ、ね、1点でも勝ちは勝ちなんで、岩崎が一番そのところはわかっていると思うんで、ベンチでね安心して見てました」ーー11連勝で決めた「えっと、ま、勝負は9月ってずっと言い続けてたんですけど、まさか9月にこんな強くなるとは思っていなかったので、ちょっと勝ち過ぎましたね。ちょっと早いかもわからんけど、選手が力をつけてそういうチームができたので、選手のおかげやと思います」ーー今季の投手陣について「最初は西と青柳でいっぱい勝てると思ってたんですけどね。なかなか勝てなかったですけど、(ここでベンチの青柳に向かって)ちゃんと帽子取っておいて。でもあの、さすがに勝負の8月からはちゃんと帳尻を合わせてくれて、2人ね。それはさすがだと思う。その分、若い村上とか大竹がよく頑張って、10勝ですから、みんながカバーして当然先発陣もそうですけど、ブルペン陣がみんながすごいんですよ。みんなが力あるんで、誰を出しても勝ってるゲームは行ってくれる。JFKまではいかないですけど」ーー今季の打線について「打つ方は開幕からあまり打順を変えないで、この打順だったら一番点が取れるかなというのがあって、それでスタートした。優勝の瞬間までこの打順で行けたということは、みんなが適材適所というかみんなが仕事をしたということ。数字はあんまよくないんですけど、野手も役割を果たした。まだまだ力をつけてうまくなっていくと思いますよ」ーーここまでの道のりを振り返って「道のり? いままでの? あまり苦しい時期もなかったですね。本当、4月、5月とだんだん力付けていくかなと思ったら、5月にすごい勢いで連勝があったんで、その結果が8月から9月の成績だと思うんでね。本当に力付けてますけど、まだまだね個々の選手は若いし伸びる要素は十分。また来年が楽しみですね」ーーアレがようやく実現「まさかここまで、すごい人気じゃないけど、みんなに浸透するとは思わなかった。きょうでアレは封印して、みんなで優勝を分かち合いたいと思います」ーー支えてくれたスタッフ、関係者にかけたい言葉「ちょうどね去年の9月に監督要請を受けた。まさかこんなに早くね。18年も遠ざかってるチームがこの日を迎えるとは思ってなかった。これはフロントを含めてみんなの力を結集させた結果。強いタイガースを毎年作って、また喜びを分かち合えたらこれからも最高だと思いますね」ーー次の戦い、日本一に向けて「アレは達成しましたけど、次のステージですね、クライマックスもありますけど、それを乗り切って最後は日本シリーズというので、1位で通過したので負けられないと思うし、日本で一番最後まで試合をできるように、アレを決めたんは優勝までだったんでね。日本一は決めてないんですよね。言葉をね。もしなんかいい言葉があったら教えて欲しいと思います。まだ通過点ですけど、開幕からたくさんの人が甲子園に足を運んでくれたみたいなんで、本当にありがとうございました。まだ次のステージもありますから、こんだけいっぱい入るともうこれ以上入れないんでね球場もね。阪神ファンの人、日本全国たくさんいると思うので、テレビ、ラジオとかでも応援してもらって、僕らはその応援に応えることしかないので、最後まで頑張りますので、引き続き応援よろしくお願いします」

◆偉大な父、そして、じいじ-。阪神・岡田彰布監督(65)の長男・陽集(ようしゅう)さん(38)と2人のお孫さんがお祝いメッセージを寄せた。グラウンドを離れた将は温かい家庭人。好々爺としての役割もしっかり果たした。就任1年目で優勝するなんて...。驚きとともに父の偉大さを再認識しました。仕事の関係で私はインドネシアのジャカルタに駐在しており、インターネットを通じて胴上げを見させてもらいました。8月27日に妻と子供2人で東京ドームでの巨人戦を観戦し、その後、父と食事をしました。前回優勝したときの2005年、私は大学生。最大13ゲーム差をひっくり返されて優勝を逃した08年は社会人になって東京にいました。あれから15年。悔しい思いは近くで見ていました。父の喜びは格別でしょうね。よく「どんなお父さんか」と聞かれます。私には優しかったし、怒られた記憶はあまりないんです。でも、新聞などで選手に「普通にしたらええんよ!」と言っているのを見ると、僕も小さいときによく言われたなぁと。受験のときに「いい点を取ろうと思うから本番で緊張する。いつも通りでええんよ」と。ただ、合格するために「しっかり準備しろ」とよく言われました。今も、この言葉は、仕事にも役に立っています。あまり口には出さないのですが、先のことをいろいろ考えているという印象が強いですね。昨年からはジグソーパズルに夢中になっています。(西宮市の)実家に帰ると完成したパズルがいくつかあって...。簡単なものは、よく息子(孫)のために...と送られてくるんですよ。将棋はよくやっていますし、クロスワードパズルもはまっている。とにかく頭を使ったことをやるのが好き。それが野球の戦術につながっているかもしれませんね。今、僕が気にしているのは健康面ですかね。体調が理由で辞任された星野仙一さんが阪神の監督に就任されたのは54歳。今の父は10歳ほど上ですから。そこは母(陽子さん)がいるから大丈夫だと思うし、性格は昔に比べると丸くなったかなぁと(笑)。なによりも孫の存在が大きいですね。すごくかわいがってくれて。昨年、僕の息子2人をつれてユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行ったとき(人気アトラクションの)「マリオカート」に乗るために2時間、順番待ちをしていたのもいい思い出です。次の目標は1985年以来の日本一ですね。僕も家族全員でV旅行に行けたら良いなと思っています。小学1年生のお孫さん 「じいじへゆうしょうおめでとう。今年からやきゅうを見たり、やるのが楽しくなって、グローブもかってくれてありがとう。東京ドームのあとにごはん食べられたのがうれしかったよ。毎日、タイガースのせんしゅのうち方やなげ方のマネをしながら、おうえんしてます。また、キャッチボールするのを楽しみにしてるね」

◆阪神が巨人を下し、18年ぶり6度目のセ・リーグ優勝を達成した。阪神・佐藤輝明内野手(24)が今季20号を放ち、プロ1年目から3年連続で20本塁打以上(24→20→20)をマークした。左打者ではプロ野球初で、13年の清原和博(西武、巨人=1986-98年)、12年の原辰徳(巨人=81-92年)、8年の有藤道世(ロッテ=69-76年)、5年の石井浩郎(近鉄=90-94年)、3年の森徹(中日=58-60年)と牧秀悟(DeNA=21-23年)に次いで7人目。

◆大阪府の吉村洋文知事と大阪市の横山英幸市長は14日、阪神タイガース優勝を受けて、11月にも大阪市内でパレードを実施すると明らかにした。市のメインストリート「御堂筋」での開催案が浮上している。大阪市内で記者団の取材に応じた。吉村、横山両氏はホテルのテレビで優勝を見届けた。吉村氏は「18年ぶりの優勝おめでとうございます。兵庫と共催でパレードを実施したい」と満面の笑み。横山氏も「ようやく『アレ』じゃなく優勝と言える」とほっとした表情で祝福した。

◆阪神・大山悠輔内野手(28)が試合後、号泣して声を震わせながら「良かった~、ホントに...。ホントに良かったです。うれしいです...」。六回1死一、三塁からの中犠飛が決勝点となり「9月に入ってからチームメートに助けられてばかりだった。なんとか1点...初回のチャンス(1死一、三塁で遊ゴロ併殺)も潰していましたし、まずは1点というところで犠飛で1点入ってくれた。あとに輝がホームラン打ってくれた。中継ぎ陣が頑張って抑えてくれて勝てた。本当に良かったなと思います」と話した。優勝の瞬間はどんなことが頭をよぎった?との問いには「いろいろありますけど、ドラフトから始まり最下位も経験した。いろんな先輩の支えがあった。感謝しています」と語っていた。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が六回、大山悠輔内野手(28)の中犠飛での先制後に20号2ラン。「いやもう最高ですね、それだけですね」と試合後は声を弾ませた。大山の涙については「僕よりもずっと長いことプレーしてきて、こみあげてくるものが僕以上にあったのかなと思いますね。本当にすごいいい先輩たちに囲まれて優勝できて良かったです」とコメント。「間違いなく僕史上で一番最高な日ですね」と笑顔を見せていた。

◆阪神・近本光司外野手(28)は「いい勢いで試合ができましたし、選手それぞれがそれぞれの役割を果たしていたんで、いい形で、いい結果できたと思うので、はい」とコメント。「ここで決めたいっていうのは僕らだけじゃなくて、球場に来ている皆さんがそう思っていたと思うので。それができたっていうだけでよかったんじゃないですかね」と語った。

◆九回に故横田慎太郎さんの登場曲「栄光の架け橋」をバックにマウンドに向かった阪神・岩崎優投手(32)は「横田の思いも背負って(変更を)お願いしました」。涙よりも喜び? との問いには「分からないです。汗なのか涙なのか分かりません」と語り、「マウンド上がるまでは普通でした。上がってからはちょっと違いましたけど。でも貴重な体験だと思います」と振り返っていた。

◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(79)は優勝した阪神の強さを改めて分析、四球が攻撃陣だけでなく、投手陣にも相乗効果をもたらしたと分析した。佐藤輝はこの9月、タイミングが合い始め、体を開かされない打撃ができるようになり、自分の形で打てるようになっている。そうすれば打球も上がり、飛んでいく。今月は「満点」だった。これからはいわゆる消化試合に突入するが、そこを超えれば戦いのステージが上がる。研究もされる。その中でも自分の形を貫けるかどうか。どしっと構えて「いらっしゃい」という形で打てていたこの9月の打撃を続けていってほしい。今年の阪神の強さはやはり、四球だろう。相手投手は四球で走者を出せば「次は歩かせてはならない」となる。そうなれば置きにいくような球がきて、次の打者は打ちやすい。たたみかける攻撃ができるわけだ。それを見た阪神の投手陣は四球がもたらす影響を学ぶ。今度はその投手陣を見て、野手陣が四球をもぎ取ることの価値を知る。そういう相乗効果がプラスに働いたのではないだろうか。優勝できる戦力は2、3年前からそろっていたが、岡田監督が選手を適材適所で起用し、ついに優勝に導いた。しかも巨人戦で、だ。ホンマにおめでとう!!

◆阪神・岡田彰布監督(65)が共同インタビューで、18年ぶりの胴上げを振り返り「久しぶりだったですけど、(体重が)軽くなったんでね、最近は」とコメント。また宙に舞った6回については「タイガースにとって6回目の優勝だったので、みんなで6回というのは決めましたけどね」と話していた。

◆阪神が球団史上最速で18年ぶり6度目のセ・リーグ制覇を決めた。1リーグ時代を含めると10度目の優勝となった。2005年の前回優勝に導いた岡田彰布監督(65)が15年ぶりに監督に復帰し、栄冠を再びつかんだ。共同会見での岡田監督の主な一問一答は以下の通り。ーー18年ぶりに甲子園で決めたリーグ優勝、心境は「1年目で、こんなに早く、今日を迎えるとは正直思っていなかったんですけど。5月くらいから白星を重ねて行ってね。マジックが出て、最初に言っていたのが、4月より5月、5月より6月というか、チームを変えたいというか非常に若いチームになったので。ゲームの中で徐々に力を付けていくかなと言うのは思っていたんですけど」(さらに続けて)「自分なりにはすごく手応えがあったんですけどね、勝負の9月がどういう形になるかなと思ったんですけど、みんなの勝利だと思う。甲子園、巨人戦と言うことで、そういう意味では、達成できて本当にうれしく思います」ーー胴上げの心境「久しぶりだったですけど、(体重が)軽くなったんでね、最近は。タイガースにとって6回目の優勝だったので、みんなで6回というのは決めましたけどね」ーーチームに落とし込んだもの「毎日試合があるんで、成長というか、中にいると力を付けたのが分かりにくいものなんですけど。変な言い方ですけど、普通にやっていたら白星を重ねて行った。正直な気持ちですね。ずっと言い続けているのは守り重視で、監督が何となく強くなったっておかしいんですけど、本当に本心はそういう気持ちですね」ーー1年前に期待を背負って就任。最高の結果「達成感はありますけどね。18年ぶりと言われて、18年ぶりって、その時自分やったなって途中で思うくらいですね。はっきり言って。あれから勝っていないんだなと、そういう印象が強かったですけど、メンバー代えて」ーー15年ぶりの監督就任、前の時と変えた部分、変えなかった部分は「2003年、05年と優勝しましたけど、03年もサードコーチャーでいたので。完成されたチームというか、そういうのがあったんで。2003年のメンバーがいた中でのアレだったので、コミュニケーションとか会話とかは少なかったですね。今年に関しては自分のやりたい野球というか、変えないといけない部分が、一番は守り重視という部分なんですけど。前回よりは選手と話す機会は増えましたね。自分がこういう野球をするというのを伝えないといけないので。今回はユニホームを脱いでいたので、その違いはあると思いますけど」ーー日本一を表す言葉はまだないと「そこまで考えていなかったですね、はっきりいって」ーーここまでで考えたか「まだそこまで考えていないですけど。あんまり思い浮かばないですね、いい言葉がね」ーー選手たちに祝勝会でどんな言葉を「選手たちが頑張った結果なので。少しの手助けというか、グラウンドでやるのは選手なので。思う存分ね、初めてかもわからないんで、思いっきりビールかけてほしいですね」

◆阪神・岡田彰布監督(65)が来季、2年契約の2年目を迎える。7月に阪急阪神ホールディングス代表取締役会長兼グループCEOの角和夫氏(74)がサンケイスポーツの取材に対して続投方針を明かしていたが、杉山健博オーナー(64)も優勝を受けて「当然、あれじゃないですか。この野球を続けているとさらに(選手が)伸びると思います。そのためには、岡田監督に頑張っていただくというのが、私は当たり前じゃないかなと思っています」と明言した。「誰が見てもこれだけの戦績を残されて、チームが立派に成長している。(続投は)みんな異口同音な考えじゃないかと思います」。岡田監督もこの日までに「来年はやるわ」と答え、2024年は2リーグ分立後、球団史上初のリーグ2連覇を目指す。2024年は2リーグ分立後、球団史上初のリーグ2連覇を目指す。

◆六回1死一、三塁から先制の犠飛で〝アレ〟を呼び込んだ大山悠輔内野手(28)は仲間たちと抱き合い、泣きじゃくった。「ホントに良かったです。うれしいです...」周りの支えがあったから、前を向いて戦えた。「毎日がつらかった。一人だったら無理だと思う」と本音を漏らす。打てばヒーローとなり、凡退すれば非難を浴びるのが猛虎の4番。そんな厳しい状況に置かれながらもここまで全試合出場できたのは家族のサポートがあったから。「家族の存在が一番。どんな結果であれ、いつも通り接してもらえる。これほど心強いことはない」。妻も愛猫も常に自然体でいてくれる。野球を忘れさせてくれる家族がそばにいてくれたから、苦境も乗り越えることができた。「ドラフトから始まり、最下位も経験した。いろんな先輩の支えがあった。感謝しています」大山こそが猛虎の魂。重圧から解放された男の涙は光に照らされ輝いた。(織原祥平)

◆森下翔太外野(23)が大一番で3安打を放ち、今季5度目の猛打賞をマークした。一回、四回、六回と単打でつなぎ、六回の佐藤輝の本塁打など3得点を呼び込んだ。「2試合打てていなかったので、なんとか打ちたいと思っていた。気合を入れて臨みました」。優勝の瞬間は右翼から歓喜の輪に飛び込み、顔を真っ赤にして大興奮。「最高なところで最高な気分です! 優勝をあんまり人生で経験したことがなかったので、ああやってマウンドで集まれるのはすごいうれしい」と笑顔を浮かべた。

◆聖地を渦巻く大歓声に乗って、白球は一直線に飛んでいく。M1で迎えた大一番。佐藤輝明内野手(24)が〝アレ〟を決めた。求め続けた弾道で夢をかなえ、輝く大砲はさけんだ。「間違いなく、僕史上で一番最高な日です。いままでで一番の歓声でしたね」大山の犠飛で先制した直後の六回2死一塁。赤星の127キロスライダーを捉えた。打球は弾丸ライナーでバックスクリーンに吸い込まれる。甲子園のマンモスが揺れた。左打者ではプロ野球史上初となる新人から3年連続20本塁打。新たな勲章を胸に、初めてセ界の頂点に立った。「思い描いていたシーズンとは違いました」大きな期待を背負って臨んだプロ3年目のシーズンは開幕序盤から苦しんだ。6月には2年ぶりの2軍落ちという屈辱。「結果も出ていなかったので。ただ、しっかり頑張ろうと思った」。真正面から自分と向き合い続けるしかなかった。117試合の出場で打率・250。20本塁打と78打点はいずれもチームトップ。苦しみ、もがきながらも佐藤輝は〝アレ〟に間違いなく貢献した。それでも、「まだまだ、じゃないですかね」と満足はしていない。「きょうは喜んで、また切り替えてやっていきたいと思います」タイガースの黄金時代が始まった。その中心で、佐藤輝はアーチを描き続けていく。(原田遼太郎)

◆2005年時は主力選手だった今岡真訪1軍打撃コーチ(49)がチームを支えた。05年打点王で6年ぶりに阪神に帰ってきた今岡コーチの言葉に、突出した成績の選手がいない中で、攻撃陣が無類の勝負強さを誇った〝ヒント〟があった。--05年は岡田監督と選手の関係。当時〝何も言われない信頼〟を感じていたと話していた。監督、コーチでの関係性は「僕がコーチの立場で、監督とどういう関係やなんて一切気にしたことない。僕らの仕事は選手を見ること。選手が何か変えたら気付く、何か言ってきたら何て答えてやろうかなと思って、毎日見てるわけなんで」--グラウンドでの指導を見たことがない「選手が聞いてきたら。僕は基本的に教え魔なんで(聞かれれば)ずっとしゃべってます。(ただ)みんな自分の論理を持っている。なぜ言わないかというのは(技術は)全員に当てはまらないから。打線としてやってほしいこと、〝野球観〟は一緒だけど」--ロッテ・佐々木朗ら好投手と対戦する時、どんな考えを「八回ココイチ(ここ一番)のチャンス。大体耳にするのは、いい投手は早く仕掛けろよと。でも自分の体験談も合わせて、ココイチのときは、まず投げさす。(好投手は)0-0からでも2ストライクからでも一緒。格闘技で言ったら間合いを測るということ。間合い測ってないのにパンチしたって当たらないよって。間合いを測るには見るしかない。打ちにいくふりして見る。相手が『ん?』って思った時点で多分五分以上になっている。駆け引きを頭に入れるということです。今やっているのは、中野は2番だから省くけど、近本、大山、木浪。近本なんか、明らか。状況によって、全然違う」--近本や木浪は得点圏打率が高い「僕らが見ていても打ちそう。間合いが合っているということ。僕自身も打点挙げているとき、初球からじゃほぼ答えは出ない。ココイチは見る。それを全員がやったら球数を投げさすことにもつながっていくし、効果的。いい投手やから(早く)仕掛けようっていったら多分負ける」--佐々木朗に勝ったロッテ戦は、今季唯一の円陣を組んだ「あれは僕なりの、どうにか間合いを取ろうって。相手に『なんかやってるな』って思わせれば。だから(円陣では)何も言ってないよ。やっただけ」

◆リーグ屈指の投手陣を率いた阪神・安藤優也投手コーチ(45)は「大竹と村上、リリーフでも桐敷がパッと出てきてくれた。新戦力に恵まれた年」と声を弾ませた。岡田監督が率いた2005年は先発投手としてVを経験し、今回の再登板にあわせて1軍に〝昇格〟した。「(岡田監督は)今年はすごく笑顔が多い。今はより身近にいて、笑顔がすてきだなと思います」と語った。

◆プロ初勝利を含む10勝を挙げた阪神・村上頌樹投手(25)はベンチから駆け出し、歓喜の輪の中に消えていった。「(歓喜の輪に加わった瞬間は)あんまり覚えていないです。うれしすぎて!!」智弁学園高時代に選抜優勝したこの甲子園で、プロとしても頂点に立った。〝アレ〟の力になれたことがうれしかった。初めて宜野座組となった春季キャンプは周囲を見回してばかり。ブルペンでは岩崎が切れ味抜群の直球を投げ、大竹や伊藤将の制球力にも驚いた。才木や西純は剛球でミット音を鳴らし「隣でああいう速い球を投げているのを見たら変に力んだり。嫌でしたね」。身を置く集団のレベルの高さを五感で再認識した。ただ「このままじゃダメだな...。今年無理だったらクビかな...」と勝負をかけたシーズンでへこたれてはいられない。沖縄を離れる前に「この競争に勝てば自信になると思うんですよ」とギラついていた目で未来を見つめ、4月12日の巨人戦(東京ドーム)では7回零封。巡ったチャンスをモノにし、今ではローテの中心だ。ただ、実力ある仲間に囲まれれば注目を浴びてもなお「『この試合でダメだったらどうしよう』という不安はずっとある」。危機感を失わない男が歩んできたシンデレラロードは、周囲に見上げられる高い場所へと続いていた。「1年だけじゃダメ。2年、3年と続けて、やっと。ローテをしっかりと、ずっと守っていきたい」飛躍の今季が基準となり、野球人生は進み始める。たどった屈辱の日々が決して無駄ではなかったと証明してみせたその右腕で、さらに明るい未来を切り開く。(須藤佳裕)

◆白球が夜空高く舞い上がる。中野拓夢内野手(27)が両手を広げた。最後までグラウンドに立ち続けた男に野球の神様からプレゼント-。ウイニングボールをガッチリつかみ、歓喜の輪に飛び込んだ。「最後自分のところに飛んできて、いい歓声を浴びることができてとてもうれしかったです」九回2死三塁。北村拓の打球を追いかける。試合前、「自分が最後にフライを捕ることを想像しながら守ろうかな」と思い描いていた最高の瞬間に笑顔が弾けた。開幕からチーム唯一のフルイニング出場。「ベストコンディションのときはほぼなかった」。疲れはもちろんあった。ただ、それよりも信じてグラウンドに立たせてくれる岡田監督の期待に応えたかった。「フルイニングは誰でも目指せる記録じゃない。監督が使ってくれているからこそ、だと思うんです」〝アレ〟を目前に控えても、岡田監督は「いつも通りやるだけよ」と強調した。中野も同じようにあえて〝いつも通り〟を意識した。「普通に過ごしている結果が、限りなくベストに近い状態で臨めている要因。何かを変えてということをしたら、逆に体調が崩れてしまう気がした」。だから、ここまで128試合を完走することができた。人生初のビールかけを経験した3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。そのときから、「次は阪神で-」が夢だった。「WBCのときは先輩に思い切って(ビールを)かけることができなかったので、今回はどんどんみんなにかけまくりたい。もちろん、岡田監督にも」。感謝の思いを胸に、祝杯を手に取る。夢にまで見た歓喜の瞬間。中野は虎将のもとへと駆け寄った。(原田遼太郎)

◆前回の優勝同様、阪神・岡田彰布監督(65)を支えた平田勝男ヘッドコーチ(64)は「この年になって、1軍の優勝を経験できたというのは格別なものがある」と喜びを噛みしめた。今季「一番きつかった」と振り返るのは唯一負け越した6月。5日のロッテ戦(甲子園)では延長十二回の末、引き分け。翌日、仙台へ空路での移動中の機内では一睡もせずに指揮官とミーティングを行ったという。疲労を考慮した練習への変更などスケジュール調整が奏功し、チームは復調。参謀役は「周りの人に恵まれた」と感謝した。

◆大切に育て、鍛えた男たちが、たくましい柱になった。生え抜きが躍動しての圧倒的Vに、編成面の責任者である阪神・嶌村聡球団本部長(56)も熱い思いをあふれさせた。「万感、胸に迫る、という言葉がピッタリと当てはまる瞬間です。まず、うれしい。『中軸、中核は日本人選手』という配置を5年前から目指していた。今のチームの編成は、100(点)とは言いませんが近いものはある」チームは2003、05年の「黄金期」ののち、FA選手や助っ人陣の補強に積極投資した時期があった。そして16年からの金本政権、19年からの矢野政権では「改革期」に入る。18年に取締役副本部長に就任した同氏は、より本格的に育成重視に舵を切った。「日本人選手で編成を組んだほうが、長期的に戦えるチームが作れる。外国人選手もFA選手も必要だが、比重を生え抜き、ドラフト中心(に置いて)でできればいい。18年から一年一年積み重ねてやってきた」アマチュアスカウト、プロスカウト、国際スカウトら編成スタッフとの対話を重視し、一方で部屋での会議は数を減らした。それぞれの思いをダイレクトにくみ取りたかった。基本に忠実に、そして道理にかなうという思いを込めて「正当と正統」がモットーだ。「まだまだ若いチーム。伸びしろは大あり。今後につなげていくことが一番大事です。ファンが喜んでもらえるチームを目指してやっていこうと思います」常勝軍団への歩みは、まだまだ止めない。(新里公章)

◆阪神・岩崎優投手(32)は24番のユニホームを持ちながら3度、宙を舞った。ポーカーフェースの左腕も目を赤くして声を震わせた。「ほっとしました。(感情は)言葉に表せないです」7月18日に脳腫瘍のため28歳の若さで亡くなったOBの横田慎太郎さんの登場曲「栄光の架橋」で九回のマウンドに上がった。「横田の思いも背負って(変更を)お願いした」。リードを守り切り、もみくちゃになった。横田さんが帰らぬ人となってからは練習中や車の運転中、ふとした瞬間に思い出が蘇った。「一緒に入団した頃とか、最後の引退試合のシーンとか。(心の)どこかに(横田)いて、頑張らないといけないなって思いにさせてくれる」。最高の仲間たちと勝利を積み重ねて、横田さんに優勝を届けた。「日本一が本当の〝アレ〟だと思っています」虎を日本一へと導く〝栄光の架橋〟になる。

◆阪神が球団史上最速で18年ぶり6度目のセ・リーグ制覇を決めた。1リーグ時代を含めると10度目の優勝となった。2005年の前回優勝に導いた岡田彰布監督(65)が15年ぶりに監督に復帰し、1年目で栄冠を再びつかんだ。7月28日からトップの座を譲らず、9月に入ると無敗の11連勝で一気に頂点に立った。日本シリーズ進出を争うクライマックスシリーズ(CS)には10月18日開始のファイナルステージ(6試合制)から出場。38年ぶり2度目の日本一を目指す。涙はなかった。念願だった甲子園での胴上げ。「9・14」-。宿敵・巨人を倒し、球団史上最速で18年ぶりの〝アレ〟を成し遂げた岡田監督は満面の笑みを浮かべて6度舞った。「甲子園でね、たくさんのファンの前で絶対決めようと。みんながそういう気持ちでいったので、ほんとうれしく思います」今季最多の4万2648人が「岡田コール」の大合唱だ。9月11連勝でつかんだ頂点に「勝負は9月と、ずっと言い続けてたけど、まさか9月にこんなに強くなるとは思っていなかった。これは選手が力をつけて、チームができたということ。選手のおかげだと思う」とナインをたたえた。2005年に47歳の若さで頂点に導いてから冬の時代を味わった。「紙切れ一枚でクビよ」。08年に阪神の監督を退任後、10年にオリックスの指揮官を務めたが3年目はシーズン終了まで任される方針が一転、最下位が決まった翌日の試合直前に解任を言い渡された。「勝たなアカンということをな。パ・リーグの野球を知ることができて勉強になった。またチャンスがあればユニホームが着たい」。阪神でもう一度と思ってもオファーはなし。反骨心を煮えたぎらせていた中、優勝請負人として声がかかった。

◆7回3安打1失点の阪神・才木浩人投手(24)が8勝目(5敗)。先発投手全員に白星がつく11連勝の流れを作った。「いつも通りというふうに思っていても、周りの雰囲気にすごい特別感あった。歓声のおかげで今日のピッチングがあるかな」声援も力にした威力十分の直球で押し、六回まで二塁を踏ませず。その回の先制劇を呼び込んだ。許した点は七回、岡本和に浴びたソロの1点のみ。堂々たる投球で、歓声を膨らませだ。「こういう試合で自分が先発で投げることになって、任せられたところで仕事ができたというのは、すごくいいこと。これからの野球人生としても、すごくいい経験させてもらえた」と語っていた。

◆阪神・伊藤将司投手(28)は笑顔で仲間と熱く抱き合った。「最高でーす! 優勝初めてなので、うれしいです」2年ぶりの2桁勝利をマークし、順風満帆に見えた今季、前半戦は「苦しいときもあった」という。5月18日の中日戦(バンテリンドーム)を最後に1カ月半も好投しながらも白星がつかない時期が続いた。そんな時に昨オフに合同自主トレを行った先輩の岩貞から助言をもらい、気持ちを切り替えることができた。「自分の防御率だったりを見ながらずっと投げていた」。白星は水もの。あえて個人成績に着目するようにしたことで安定感に磨きがかかり、夏場には登板5連勝を記録した。「チームに貢献できて、本当によかったです。感動しています」虎に欠かせない左腕は勝利の美酒に酔いしれた。

◆ここから、常勝軍団へ-。昨年12月に就任した阪神・杉山健博オーナー(64)がインタビューに応じ、5年10年かけて着実に進んできた球団のチーム作りと、それを結実させた岡田監督の手腕を高く評価した。近年のドラフト戦略の成功で、外国人や補強に頼らない〝生え抜き〟中心で戦力を充実させたタイガース。まだまだ若く、成長途上のチームが、黄金期を作っていく。--18年ぶりの優勝「昨年12月にオーナー職に着任しましたが、球団を挙げて今年は必ず優勝を果たそうという思いでやってきましたので、個人としても球団としても非常にうれしい。見事に成し遂げたチームのみなさんには心よりおめでとうと伝えたい。ファンの方は本当に温かい、熱い応援をずっと続けてくださって感謝の気持ちでいっぱいであります。心より御礼申し上げたい。この優勝を期に子供さんを含めて、新たなタイガースファンが誕生することを心から願っています」--改めて勝因は「やはり岡田監督が非常に素晴らしかった。私も監督と考えが一致しているのですが、守り勝つ方針で進めたということが一番大きかったですね。私は優勝するには成長が不可欠な条件と思っていたので、守り勝つ野球を標榜し、(監督が)それを実践するための手だてを数々講じ、それがチームに浸透して、さらに選手が役割を理解した上で成長していく。その積み重ねで、ここまできたと思っています」--岡田監督は「勝たなければいけないというのは使命として強く持たれていた。すごいなと感心したのは、1人1人の選手を自分の目でよく見ておられる。長所短所、性格もすごく把握され、頭に置いた上で決断されている。勝利を勝ち取ることが最大のミッションでしたが、同時に選手にいいきっかけを与えて、伸ばしていこうと。(それを)同時に成し遂げられたのが、非常に素晴らしい」

◆ともに勝負の後半戦に状態を上げ、中軸を担って阪神を18年ぶりのリーグ優勝へ押し上げた阪神・佐藤輝明内野手(24)と森下翔太外野手(23)の特別対談が実現した。2学年差の大卒ドラフト1位の大器2人がたっぷりと語り合う!(取材構成=中屋友那、原田遼太郎、邨田直人)佐藤輝(以下、輝) チームとしてすごくみんなで野球をして、本当になんて言うのかな...。そういうみんなで勝ったシーズンだった、という気がするね。森下(以下、翔) 自分は1年目でプロ野球のことも全然分かっていないですけど、こうしていきなり優勝を経験できるチームに入ることができて、すごくうれしいことだなと思います。輝 翔太とは同じ大卒のドラ1で、左右は違うけど、ホームランを打つバッターとして頑張ってほしいなと思ってきた。チームがタイムリーが欲しいときに打ったりとか、優勝争いの中でしっかりと打ってきたのは立派だなと思ってみていたよ。翔 自分はもう、前後を良いバッターに挟まれているので。いい意味で自分へのプレッシャーもそこまでかけ過ぎずに。もしダメでも輝さんもいますし「後ろの先輩方が打ってくれる」とか「つないだら何とかしてくれる」とか、そういう気持ちで打席に立てていたので。本当に頼りになる先輩方だなと思ってやってきました。輝さんとはベンチでもほとんど近くにいますよね。後ろ側は比較的年齢の高い方が座っていて。自然に僕らが前に行ったりになるので、近いんですよね。輝 自分がヒットが出なくなったとき、翔太のバットを借りたこともあったね。もう、隣に座ってたんで。なんでもよかった(笑)。隣にあったバットを『ちょっと借りるわ』って。アイブラック(注1)とかも、遊び心というかね。翔 あとは僕が初めて2軍に落ちたとき(注2)に輝さんがLINEをくれましたよね。「早く戻ってこいよ」と。結果がすべての世界で、後輩のことを気にするアレ(必要性)もないと思うんですけど。そうやって言ってくれる先輩がいたことで、すごく気持ちが楽になったんです。(降格は)自分一人でどうにかできることではなかったので、あのときは助けていただきました。輝 自分も1年目に2軍行ったりとかもあったから(注3)。「多分大丈夫だろうけど、まあ一応LINEしとこうかな」と。それだけだよ。②に続く。(注1)9月1日のヤクルト戦(神宮)に、森下はほおの下まで伸びた「アイブラック」を施して出場。直前3試合無安打だった弟分に佐藤輝が「入れてみれば」と提案し描いた。効果はてきめんで森下は先制8号ソロ。チームは優勝マジック18を再点灯させた(注2)森下はオープン戦を打撃主要3部門チームトップで終え開幕スタメンにも「6番・右翼」で名を連ねたが、直後に不振に陥り4月17日に出場選手登録を抹消された(注3)ルーキーだった2021年の後半、佐藤輝は35打席連続無安打と大不振に陥り、9月10日に初めて出場選手登録を抹消された。再昇格後、無安打は59打席連続まで伸びた

◆ともに勝負の後半戦に状態を上げ、中軸を担って阪神を18年ぶりのリーグ優勝へ押し上げた阪神・佐藤輝明内野手(24)と森下翔太外野手(23)の特別対談が実現した。(取材構成=中屋友那、原田遼太郎、邨田直人)翔 僕たちが3、5番のときも、その間にはチームの軸というか、大山さんがいてくれて。それによって自分も他の選手もやりやすい環境でできた面はあったと思います。大山さんがいなければこの状況はなかったかなって思います。輝 すごい出塁率が高いし、後ろを打つ自分にとってはランナーがいる場面っていうのは打点のチャンスもあるから、まあほんとにすごい。たくさん塁に出て下さってすごいな、と。翔 あとはチームとして団結力を感じたのは、やっぱり「投手のために」というところですよね。とにかく失点を少なく抑えてくれるので、なんとか勝利をつけたいっていう思いがみんなあったと思うんです。そういう流れを作ってもらって、投手と野手が一丸になっているっていうのはすごく感じていました。輝 本当に一人一人がこう、やるべきことやってきた積み重ねの結果だよね。(続けて)でも、翔太と自分は同じように大卒ドラフト1位で入ってきたけど、あまり重圧を感じたりする2人じゃないよね? 苦労とか感じてる?翔 いえ、全然ノンプレッシャーです(笑)。なんもッスね。輝 2人で食事に行っても、そういう野球の話も全然しないよね。この前もたまたま治療院に行って一緒だったから「じゃあ行くか」って焼き肉に行ったけど...。翔 そこまで「アレ」も意識していなかったかもしれないですね。「最終的に(アレに)なったらいいわ」って感じでしたよね? 自分はそうです(笑)③に続く。

◆ともに勝負の後半戦に状態を上げ、中軸を担って阪神を18年ぶりのリーグ優勝へ押し上げた阪神・佐藤輝明内野手(24)と森下翔太外野手(23)の特別対談が実現した。(取材構成=中屋友那、原田遼太郎、邨田直人)翔 初めて輝さんに会ったのは、1月の新人合同自主トレ中の鳴尾浜でしたっけ...?輝 いやぁ、覚えてない。翔 鳴尾浜にいましたっけ? 輝さん。輝 たまに現れてたけど、初めて会ったのは沖縄かも分かんない。翔 キャンプも僕がけがの影響で2軍スタート(注4)で、1軍へ合流したら皆さんと「初めまして」だったので。輝さんとパッと一対一で会って話したわけじゃなかったんですよね。輝 まあそんなに第一印象はないね、お互いに(笑)。でもここまで見てきて、性格は結構違うと思う。翔太はガツガツいくタイプだけど、僕はそんなタイプじゃない。何事においても。翔 似てはいないと思うんですけど、合うか合わないかで言ったら合うと思うんですよ、自分は。輝さんは結構どちらかというともう「自分の野球スタイルでやる」っていう感じなので。自分もそういうのがいいと思っているんですよね。輝さんの「型にはまっていない」感じが、僕の中では関わりやすさにつながっています。輝 自分が関わっていくタイプじゃないんでね。来てくれたら、まあ答えようかなとは思うけどね。翔 僕は、基本的にはあんまり隠しごともしない方で、聞いちゃうし言っちゃうので、自分はどんどん関わっていきます!(笑)輝 最近は野球のことというよりは、私生活で例えば「退寮したらどこ住む」とか、そういう話はちょっとしたりしたよね。車の話とか。翔 聞いたッス! 自分、全然、車詳しくないんで。輝 そういうのは自分も先輩方に助けてもらった部分もあるから。なにかしてあげたいなって、思ってるよ。翔 輝さんの車はかっこいいんですけど、さすがに僕にはちょっとまだ早いかなって...。スポーツカーは段階踏んでから乗ってみたいですね(笑)④に続く。(注4)自主トレ期間に右足肉離れを発症した森下は、2月のキャンプも2軍の沖縄・具志川スタートとなる。2月15日から1軍の宜野座に合流した

◆ともに勝負の後半戦に状態を上げ、中軸を担って阪神を18年ぶりのリーグ優勝へ押し上げた阪神・佐藤輝明内野手(24)と森下翔太外野手(23)の特別対談が実現した。(取材構成=中屋友那、原田遼太郎、邨田直人)輝 今年一番のプレーは何だったかと言われても自分じゃ分からないけど、翔太はやっぱりカープ戦のホームラン(注5)かな。あとは意外とフェンス際の守備! フェンスを恐れずにいく感じがスゴい。自分も去年まで甲子園で外野を守ってきたけど結構難しいし、翔太がフェンスを恐れずにファウルゾーンへ向かっていく感じには〝野生感〟がある。翔 いやぁ、怖いところは怖いですけど。アウトになるボールをアウトにした方が、自分的にもチーム的にもプラスになるので。そこは恐れる気持ちより、アウトにしたいっていう気持ちが勝る感じですよね。(続けて)輝さんの一番はやっぱりホームランですよね。ベンチも盛り上がりますし、やっぱりギリギリじゃなくて毎回打った瞬間に分かるホームランなので。それはベンチから見ていても、塁上にいても「ウワァ!」ってなります。輝 翔太と「ホームランを5本打ったらPRADAのリュックをプレゼントする」って約束をしたのは結構最初の方だったね。このままじゃ無理なんちゃうかなと思ったら、打った(笑)翔 自分も無理だと思ったッス(笑)。いくつもりではありましたけど。打球の角度が上がらなかったんで、なかなか厳しいなと思って...。まぁ頑張りました!輝 はまればしっかり打てるっていうのは証明できて、自信もついていると思うし。まだクライマックスシリーズや先があるけど、自分からはもう何もないよ(笑)。もう好きなようにやってくれれば。翔 リュックとかをもらったり、ご飯も何度もごちそうになっているんで。これからは輝さんから何が欲しいとかじゃなく、もうもらったので、しっかり恩を返せるようにやっていきたいです!輝 期待されているのはホームランだよね。お互い、やっぱり。翔 そうですね。いいところで勝利につながる一本が打てれば。他が4タコでも、そういう一発勝負というか短期決戦なんで。打率とかじゃなく、いい場面でしっかり打てるようなバッティングをこの先もやっていきたいですね!完。(注5)森下は1、2位の直接対決初戦となった9月8日の広島戦(甲子園)で一回に先制の左越えソロ。球団新人の右打者では1980年の岡田彰布以来の2桁本塁打とした

◆阪神・岡田監督の妻・陽子さんがリーグ優勝に際し、サンケイスポーツに手記を寄せた。猛虎復活へ全力を注いだ指揮官と二人三脚で歩んだことを明かした。甲子園で息子の妻と2人の孫と一緒に観戦しました。就任1年目で優勝できるなんて、主人は本当に幸せだと思います。(前回優勝した)2005年は〝大人のチーム〟で、ベンチでは感情を表に出すタイプではなかったと記憶しています。だから、たとえばサヨナラ勝利で万歳をしている姿を見て「えっ」という感じですよね(笑)。一生懸命やった選手たちが結果を出すことが、うれしいんでしょうね。開幕から全試合、最初から最後まで、テレビなどで必ず見ています。きっかけは主人の現役時代、結婚2年目の試合中(1983年7月10日の広島戦)のけがでした。右大腿二頭筋を断裂して病院に運ばれて...。私は妹と外出していて、その事実を知るのが遅かったんです。それから、野球選手はいつどうなるかわからないと試合を見るようにしています。その習慣は監督になってからも続いています。たとえば、主人が「あの回は...」と言ったとき、あの場面か、と理解できるようにするためです。こちらが事実を知らないと『お前に言っても仕方がない』となってしまうから。

◆黄金期、到来-。阪神・近本光司外野手(28)が優勝手記を寄せた。選手会長としてチームをけん引。7月に死球で右肋骨(ろっこつ)を骨折し、3週間離脱した際はシンプルな思考を身につけたことを明かした。シーズンMVPの有力候補に挙げられる不動の1番打者は、日本一へ全力プレーを誓った。優勝することができました! 決まった瞬間はほっとする気持ちが強かったですね。ファンの皆さん、熱い応援ありがとうございました!2年前、春季キャンプの最後に「今年から黄金期に入ります」と言いました。これからの数年で優勝できる、と思えていたからこその言葉です。だから優勝が近付いたときは「やっと優勝できる」という思いもありましたが、驚きはあまりなかったです。俺たちの野球、普通の野球をすれば優勝できる。そんな感覚でプレーできていました。それに今季は若い勢いを感じました。新しい戦力でいえば大竹や村上、野手なら森下。彼らが抑えて打ってくれたら、勢いにも乗れる。僕や大山や中野が打っても「当たり前やろ」と思われるようになってきていると感じるので、その分(佐藤)輝や森下が打ってくれたら、どんどん勢いがついてくる。それが今年のいい流れだったのかなと思います。7月は右肋骨骨折でチームを離れました。鳴尾浜で体を動かし、昼過ぎに家に帰って、時間になったら阪神の試合にテレビのチャンネルを合わせる日々。「もっとこうしたらいいのに」って、ファンとして野球を見ていました。テレビで見る野球からは、現場での試合中とは違う感覚を得ました。チームの空気感がわからない分、得る情報量が少なく感じる。自分の打撃にもその感覚を置き換えてみました。「もっとシンプルに、簡単にやったらいいのに」。打席にいる自分をテレビ越しに見たら、きっとそう思うだろう、と考えました。

◆阪神ファンのフリーアナウンサー、森たけし(63)がコラム「と・らたん!」で18年ぶりの優勝を祝福した。5月と8月以降の快進撃から無事に!阪神タイガースがセ・リーグを制することが出来ました!ファンの皆様!おめで?た~ございます!今どきの若者なら『素直にうれしい!』というのでしょうけど、私の場合は、身内意識が強いせいか、自分が応援しているチーム、選手、スタッフの全ての皆さんに勲章が付いたことが、とってもうれしいです。日本一になった1985年、入社3年目の私は、21年ぶりの優勝の瞬間、梅田花月の楽屋で平参平さん、宮川大助・花子さんと神宮球場の試合をテレビで見るロケをしていました。優勝決定後、月亭八方さん、オール巨人さんが梅田花月に現れ、万歳三唱の歓喜。若かったせいか、この年の優勝が一番記憶に残っています。その時は無我夢中で徹夜の特番でしたが、あとでよく考えたら、何故、阪神が優勝すると、梅田で車が燃え、道頓堀川に人が飛び込むのか? かなり驚きの現象でした。18年ぶりの2003年、2005年の優勝の時は、個人的に阪神を取り扱う番組を担当しておらず、一人のファンとして喜んでおりました。スゴい方々がFAで来てくれたおかげが大きい! 阪神も「補強してでも優勝を狙う!」というメジャーリーグのような企業体質に改善されたのだな! という印象でした。そもそも、ドラフトで戦力を均等に配分しているのですし、6チームですから、6年に一回ぐらいは優勝しても良いはずなのに、阪神がなかなか優勝出来ないのは、実に理不尽です。過去の優勝のチャンスを振り返ると、一昨年はゲーム差ゼロ、5厘差というショックで優勝を逃し、2010年もマジック点灯しながらダメ。2008年などは7月22日にマジック46を点灯させながらダメ。正直、これから先、私の目が黒いうちに阪神が優勝することは無いのでは? と超悲観的になっておりました。

◆本当にこの日が来たんだなぁ...。岡田監督の胴上げを見ても、まだ信じられない。2023年。タイガースは強かった。強かったけれど、こんな不思議な優勝は見たことがない。モグラたたき。そんなシーズンだった。DeNAが、広島が、追いかけてきても〝一日天下〟が精いっぱい。阪神に追いついたり、迫ったりした瞬間に力尽きるのだ。敗戦処理がいない投手陣。これも不思議だった。あのJFKという勝利の方程式を作り上げた知将が、今度は毎日、予想が困難な継投で乗り切っていった。全員で築いた方程式。後の世では「新時代の野球」と呼ばれているかもしれない。それにしても、2度目のリーグ優勝は立派のひと言。2リーグ分立後、阪神では藤本定義に並ぶ最多タイ記録だ。でも、藤本監督って知ってます?「伊予の古だぬき」そう呼ばれた。当時の選手は「じいさん」「じっちゃん」と慕った。伝統の巨人と阪神で監督を務め、両方を優勝に導いた。この人しか達成していない偉業だ。「打撃の神様」と呼ばれた巨人監督・川上哲治を「おいっ、テツ!」と呼び捨てた。川上が入団時の監督だから当たり前なのだが、当時の阪神の選手は「今度の監督はすごいぞ」とささやき合った。盟主・巨人と平気で渡り合うという点では「アレの人」に似ている。オールスターでセ・リーグ監督・川上が江夏豊を3連戦3連投させた。すると藤本は「おいっ、テツ! うちの江夏を酷使しやがって」。満座で怒鳴り、川上は直立不動になったという。古だぬきを知る阪神の大物OBに聞いてみた。「選手とはほとんど野球の話はしなかった。笑って世間話をするだけ。その代わり、コーチをメチャクチャ厳しく叱責していたなあ」これも「アレの人」との共通項かも。コワモテの藤本だったが、飛行機が大嫌い。空の上では、一番後ろの席で、いつも手を合わせて祈っていた。そんな怖がりの、意外な一面を目撃した選手たちには、親しまれた。

◆ファンに感謝! 阪神・梅野隆太郎捕手(32)がサンスポ読者にシーズンを通して思いを伝える「梅ちゃんバズる!」。今季は骨折による離脱はあったが、開幕から正捕手として奮起。競り勝てた喜びや、ポストシーズンでの復帰を目指す気持ちをつづった。プロ10年目という節目に最高のシーズンを送れました。これは僕だけのものじゃありません。タイガースを応援してくれるファンがいる。ずっとタイガースの優勝をファンは待ち望んでいました。僕らでは語れない歴史があると思っています。入団したとき、『阪神が勝ったらお父さんの機嫌がいいんです』と言ってくれたファンもいました。お父さん、お母さん、子供。そんな家族とのつながりも含めて、優勝の歓喜を届けたかった。18年ぶりという長い間、待っていてくれたファンの皆さんに感謝して、全国の阪神ファンとみんなで祝いあって、みんなで喜び合いたいです。これまで、優勝という目標には、なかなかたどり着けませんでした。胴上げは何回も目の前で見てきました。たくさん悔しい思いをしました。そんな悔しさを持っている選手が、若手の中でも増えてきた。今年こそは今年こそはと思って勝ちにこだわる、戦う集団になってきたんじゃないかなと思っています。チームの姿勢として、やっぱり勝って喜ぼうよ、と。振り返ると、競り勝つ、守りで緊迫したゲームをとった1勝は大きいです。6月4日のロッテ戦(注1)。少ないチャンスで4番が打って、才木は逃げることなく攻め切ってくれた。佐々木(朗)投手に競り勝てたという意味でも大きな一戦となりました。そして、今年は捕手として連敗をとめる作業というのを意識していました。ここでは負けちゃいけないというところでしっかりと勝ち切れた粘り強さ。チーム全体で大型連敗しなかったのは強みだと思っています。

◆阪神が球団史上最速で18年ぶり6度目のセ・リーグ制覇を決めた。タレント、ダンカン(64)は次男で俳優、虎太郎(24)と喜びを分かち合った。怒濤(どとう)の11連勝で虎党待望のアレ、おめでとう!! そして、ありがとう!! しかも、アレのエンディングが甲子園で宿敵の巨人に3連勝だってんだから、岡田阪神、しびれたァ!!俺はアレを祝い、ビールかけならぬ岡田監督のラッキーアイテム、パインアメで「トラ年」生まれの次男・虎太郎(とらたろう)と『パインアメかけ』でバンザーイ、バンザーイ、バンザーイ!!18年ですか...。オギャ~と産声をあげた赤ちゃんが高校を卒業し、オリンピックなら4度開催。俺はこの日が来ることをひたすら信じて、阪神の全試合をスコアブックに記入し続けている。2006年から本日までの虎打線の計9万6437打席、虎投の放った計37万3525球が長いとは感じず...。アレの瞬間、うっすらと目頭を熱くしたのでした。今年のアレは特別な意味を持つ。本日、24歳の佐藤輝が20号2ラン。大一番に度胸満点の投球を演じた才木も24歳。さらに坂本、大山、中野、木浪、森下、近本、投手陣も村上、大竹、青柳、伊藤将と、み~んな20代のピチピチなのだ!! 俺が幼い頃に悔しい思いをした、巨人のV9を超えるV10を成し遂げてくれる夢が見えるのだ!!岡田采配は自分を信じる力が半端ない。〝右へならえ〟の令和の時代には、もしかしたら厄介? 例えば助っ人なのに打力を発揮しないノイジーを、批判されようが使い続けた。その結果、『守備の助っ人』を誕生させた。さらに8月19日、スタメンに起用した小幡が3安打を放つと「小幡をスタメンに推したのは俺だけやでェ! 他のコーチは木浪、言うとったんや」と言い放つ。9月4日、森下が「新人の右打者としては、岡田さん以来の2桁ホームランですね?」とインタビュアーに聞かれると「まだ8本あるやん(岡田さんは18本)」。負けず嫌いの子供やんかー!!(笑)

◆阪神タイガースのセ・リーグ制覇を願い、毎年恒例の「日本一早いマジック点灯」を行う兵庫県尼崎市の尼崎中央3丁目商店街のマジックが15日、「0」になった。阪神の悲願の優勝から一夜明けたこの日の午前11時すぎにマジック「1」から、「0」にボードがめくられ、歓喜の瞬間を見届けようと商店街に詰めかけたファンを喜ばせた。記念品として、岡田彰布監督(65)の好物の「パインアメ」や、ビールが配られた。セールも行われる予定。阪神は前日14日の巨人戦(甲子園)に4―3で勝ち、球団史上最速で18年ぶり6度目のセ・リーグ制覇を決めた。岡田阪神が悲願を達成し、虎党のお祝いムードはしばらく続きそうだ。

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
80444 0.645
(↑0.003)
優勝
(-)
15504
(+4)
374
(+3)
71
(+1)
69
(-)
0.247
(-)
2.610
(-)
2
(-)
広島
69594 0.539
(↑0.004)
13
(-)
11455
(+6)
466
(+5)
90
(+1)
71
(-)
0.246
(-)
3.180
(↓0.02)
3
(-)
DeNA
65613 0.516
(↑0.004)
16
(-)
14486
(+8)
459
(+3)
100
(+4)
27
(-)
0.248
(-)
3.270
(-)
4
(-)
巨人
63642 0.496
(↓0.004)
18.5
(↓1)
14486
(+3)
482
(+4)
152
(+2)
44
(-)
0.255
(-)
3.570
(-)
5
(-)
ヤクルト
52753 0.409
(↓0.004)
29.5
(↓1)
13484
(+5)
516
(+6)
110
(+2)
58
(-)
0.240
(-)
3.680
(↓0.02)
6
(-)
中日
48764 0.387
(↓0.003)
32
(↓1)
15347
(+3)
450
(+8)
62
(+2)
32
(-)
0.238
(-)
3.150
(↓0.04)