巨人(☆4対2★)阪神 =リーグ戦20回戦(2023.08.27)・東京ドーム=
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阪神
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巨人
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勝利投手:菊地 大稀(4勝3敗0S)
(セーブ:中川 皓太(1勝3敗7S))
敗戦投手:伊藤 将司(8勝5敗0S)

本塁打
【巨人】大城 卓三(15号・6回裏ソロ),坂本 勇人(15号・6回裏ソロ)

  DAZN
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◆巨人が逆転勝利。巨人は2点を追う6回裏、大城卓と坂本のソロが飛び出し、試合を振り出しに戻す。そのまま迎えた8回には、岡本和の適時打などで2点を挙げ、勝ち越しに成功した。投げては、5番手・菊地が今季4勝目。敗れた阪神は、打線が4回以降無得点と振るわなかった。

◆阪神伊藤将司が今季3度目の巨人戦先発。同投手の巨人戦は通算10試合で6勝3敗。新人時代の21年は5試合を投げて1勝3敗も、22年は3戦3勝、今年は2戦2勝。巨人戦は22年5月22日から5戦5勝中。阪神投手が巨人戦6連勝すれば09~11年に8連勝した能見以来、勝敗なしを挟まずに6戦6勝だと02~04年井川以来、球団19年ぶりの記録。

◆巨人吉川尚輝内野手(28)が1軍に合流した。体調不良のため23日に特例2023で出場選手登録を抹消。25日に川崎市のジャイアンツ球場で再始動を経て、5日ぶりに1軍に戻ってきた。試合前練習をこなし調整。不在の間は、門脇が二塁に入り代役を務めていた。

◆巨人が右打者を6人並べ、難敵対策に出た。北村拓己内野手を今季4試合目のスタメンに抜てきし、2番二塁に配置。クリーンアップは3番坂本、4番岡本和で、6番以降は中田翔、長野、岸田と右打者を続けた。昨季から3度の完封負けを含む5連敗中の阪神伊藤将対策と見られ、2連敗中の現状を打破するために、ラインアップを入れ替えた。また、今季クリーンアップの一角に入っていた秋広が、6月16日楽天戦以来、約2カ月半ぶりにスタメンを外れ、体調不良のため特例2023で出場選手登録抹消されていた吉川がベンチ入りした。

◆阪神近本光司外野手(28)がノーヒットで本塁生還を果たした。3回1死の第2打席、メンデスの148キロ直球が右胸付近のユニホームをかすり、死球で出塁。ヒヤリとした1球に、左翼席の虎党からはブーイングが起こった。直後、2番中野の打席でメンデスから受けたけん制がボーク判定となり、二塁へ進塁。その後、パスボールで三塁へ進むと、そのまま本塁を狙おうかとオーバーラン。確認した捕手岸田が三塁へ送球したが、悪送球となり、本塁生還となった。ノーヒットでもぎとった追加点となった。

◆巨人がバッテリーのミス連発で追加点を献上した。1点を追う3回1死から阪神近本にメンデスが死球を与えると、負の連鎖が止まらなくなった。まずボークで得点圏に走者を進められた。さらに1ボール1ストライクからの3球目の外角直球を岸田がパスボールで後逸すると、三塁オーバーランした近本の補殺を狙った三塁送球が大きくそれて、生還を許した。阪神先発は昨季から3完封を含む5戦5敗の伊藤将。天敵を前に無駄な失点は防ぎたかったが、バッテリーで自滅し、2点差とされた。

◆巨人先発のヨアンデル・メンデス投手(28)が、4与四死球で早々に見切りを付けられた。阪神に2連敗で迎えたカード最終戦、初回こそ3者凡退で滑り出したが、2回に先頭から2者連続四球を与え、阪神佐藤輝に先制適時打を打たれた。さらに3回にも1死から近本に死球を与えると、ボーク、捕逸、捕手岸田による悪送球とバッテリー間でのミスが重なり2点目を献上。2死から4番大山にこの試合3つ目の四球を与え、2回2/3で降板を告げられた。前夜はチーム全体で11四死球を与え敗れると、原辰徳監督は「何という言葉で表現していいか分からないね」と言葉が出てこなかった。一夜明けて迎えたゲームで、負の連鎖を断ち切れず、序盤での降板となったメンデスは「先発の役割を果たすことが出来ずに悔しいです。次の登板に向けてしっかり調整します」と、反省した。

◆阪神先発伊藤将司投手(27)が、今季巨人戦22イニング目で初失点を喫した。6回の先頭、代打大城へ投じた初球だった。バックスクリーン方向右に運ばれるソロアーチ。本塁打での初失点となった。その後、1死を奪って迎えた3番坂本にも左翼越え本塁打を被弾。5回まで二塁すら踏ませない投球を続けてきた中、2本のアーチで同点とされた。巨人戦での先発は今季3試合目。過去2戦は完封勝利を含む2勝を挙げており、いずれも無失点で抑えていた。

◆巨人高梨雄平投手(31)が7回から4番手で登板した。7月2日阪神戦で近本に死球を与えて以降、一部阪神ファンから発生していたブーイングは起こらなかった。26日阪神戦以降、試合前には両球団の連名で「一部のお客様による誹謗中傷、過度な野次、替え歌等で相手を侮辱するなど、観戦マナーに反する迷惑行為が散見されております。ご観戦にあたり、このような行為を絶対におやめください」などと観戦マナーの注意喚起がされていた。高梨は木浪を左飛、伊藤将を空振り三振、近本を見逃し三振の3者凡退で締めた。

◆阪神岡田彰布監督(65)のリクエストが覆らず、球場が騒然となった。2-2で迎えた7回1死一塁の場面。巨人長野の二塁へのゴロをさばいて中野が一塁へ送球した。その間に丸は二塁を蹴って、三塁へ走った。その姿を見て、一塁手大山が送球。タッチアウトを試みた三塁手・佐藤輝は丸と交錯し、判定はセーフとなった。この判定に岡田監督がリクエストを要求。タッチアウトをしているようにも見えたが、リプレー検証で判定は覆らず。2死三塁から試合が再開された。虎党はこの判定に「え~!!」と騒然。岡田監督もベンチで厳しい表情を見せた。それでも、先発伊藤将が代打秋広を二直にねじ伏せ、最大のピンチをしのいだ。

◆/チェンジアップを完璧に\試合を振り出しに戻す一撃坂本勇人が第15号ホームラン?プロ野球(2023/8/27)??巨人×阪神??Live on DAZN#DAZNプロ野球#giants pic.twitter.com/5dGIEFSeKX

◆阪神伊藤将司投手(27)の巨人戦の連勝が5でストップした。先手を取ったのは阪神だった。2回、2者連続四球で得た無死一、二塁のチャンスに、佐藤輝明内野手(24)が左前へ運ぶ先制適時打。3回には相手失策で1点を追加した。伊藤将は巨人戦に抜群の相性の良さを誇っていた。22年からこの試合前まで5戦5勝。今季は2戦2勝で、計16イニング、得点を許していなかった。この日も初回、先頭の梶谷にいきなり右前打されるが、続く北村拓を併殺打に打ち取るとペースに乗り、5回までゼロに封じた。ただ、終盤に落とし穴が待っていた。2点リードの6回、先頭の代打大城に15号ソロを浴びて巨人戦無失点が21イニングで止まる。さらに2死から坂本に15号ソロで同点。そして8回、2死一、二塁から岡本和に左前へ勝ち越し打を浴び、丸にも適時打を打たれた。岡田監督はベンチを出て交代を告げた。8回途中4失点。"巨人キラー"は、厳しい表情でマウンドを後にした。チームの連勝も6でストップ。快進撃を続けてきた8月も、小休止となった。

◆巨人大城卓三捕手(30)と坂本勇人内野手(34)が、6回に阪神伊藤将からそれぞれ1発を放ち同点に追いついた。伊藤将から得点をあげたのは22イニングぶりだった。大城卓は2点をリードされた6回無死、9番バルドナードの代打で登場。初球の外角直球を振り抜くと、打球はバックスクリーン右に消える15号ソロとなった。反撃の1発に「先頭で何とか出塁することを心がけて打席に入りました。ホームランになってよかったです」と打席を振り返った。伊藤将には昨季から3完封含む5連敗中で、21イニング連続無得点に抑えられており、22年8月3日(東京ドーム)6回以来の得点となった。さらに2死から、3番坂本がカウント1-1から124キロ、外角低めのチェンジアップを左翼席最前列へ15号同点ソロを放った。試合を振り出しに戻し「追いつくことができたので、次は追い越せるように頑張ります」と話した。

◆巨人の代打・大城卓三捕手が1発で試合の風向きを変えた。2点を追う6回先頭の打席、初球の外角直球を振り抜きバックスクリーン右へ15号ソロ弾を運んだ。「先頭で何とか出塁することを心がけて打席に入りました」。阪神伊藤将からは昨季8月3日の6回に奪って以来22イニングぶりの得点となり、反撃の口火を切った。原監督も「あれで南(出身地の沖縄)からいい風が吹いてきたね」とたたえた。

◆巨人が岡本和真内野手(27)の勝ち越し打で、昨季から3完封含む5連敗中の阪神伊藤将に21年7月10日以来の黒星を付けた。11四死球を与えての敗戦から一夜。この日も重苦しい展開で試合が進んだ。先発メンデスが制球定まらず2回2/3を2安打4四死球2失点(自責1)。打線も伊藤将に5回まで無得点に封じられた。しかし、6回に代打大城卓三捕手(30)と坂本勇人内野手(34)の2本のソロで同点に追いつき迎えた8回だった。2死から連続四球で2死一、二塁と好機をつくる。打席にはここまで3打数無安打の4番岡本和が入る。カウント2-2からの5球目、真ん中外より143キロの直球をはじき返すと打球は三遊間を抜け、二塁走者門脇が生還し、勝ち越しに成功した。続く2死一、二塁から5番丸佳浩外野手(34)にも中前適時打が飛び出し、伊藤将をマウンドから引きずり下ろした。連敗で迎えた虎との3連戦の最終カードで一矢報い、対阪神戦の連敗を5でストップした。

◆巨人原辰徳監督(65)が「代走門脇」を切り札に勝ち越しを呼び込んだ。同点の8回に2死から四球を選んだ北村に代えて門脇を送ると、二盗を仕掛け成功。岡本和の左前打で二塁から激走し勝ち越した。阪神からは7月27日(甲子園)以来1カ月ぶりの勝利を挙げ「どきっ」と心境をひと言。東京ドームでは6月30日以来の虎退治となり「決して胸を張れるものではないでしょうけど、チームにとっては大きなこと」と対阪神の連敗を5で食い止めた。

◆阪神が巨人に逆転負けし連勝は6でストップした。先発の伊藤将司投手(27)は4失点で敗戦投手となり巨人戦の連勝が5でストップした。この日で長期ロード1を18勝5敗で終えた岡田彰布監督(65)は「まだまだ強くなると思うよ」と、チームの成長に手応え十分だ。試合後の一問一答は以下の通り。-伊藤将はよく投げた「勝ち負けでな。つけてやりたいと思っていたから。まあ本人も球数をみても全然大丈夫やったけどな」-8回も投げさせたのは信頼の表れか「いやいや。まあ(岡本和の勝ち越し適時打の)1点でなあ。まあ(次は)丸やったしなあ。1点は抑えたらまだわからんし。2点ならちょっとな。うーん。まあ別になあ。勝ち星つかんといいピッチングで終わるんだったら、代えてもいいんやけど。そんなピッチャーと違うからなあ」-ソロを2本被弾「坂本の方が悔やんどったなあ。(バットの)先っぽで、言うとったけどそれはしょうがないよな、ここの球場」-打線は巨人のリリーフ陣に抑えられた。「そうやなあ。今日は、あんまりヒット出んかったけど。うまいこと最初先制したけど、なかなかそれから塁に出んかったもんな、今日は」-相手も小刻みな継投「まあ、小刻みというか、なあ、そら先発あっこ(2回2/3)で代えてるんやからな。小刻みになるよな。そんなもん」-向こうも負けられない。「そら知らんけど、おれは知らんけど」-長期ロードが今日で終わり。8月を振り返って「いやあ、まあ、そら、どうでしたか言われたら、よかったやろ。当然、おーん」-出来すぎ「そら数字的には出来すぎやろ」-一番の要因は。「それはやっぱり、先発がちゃんとイニングなあ、6回ぐらいまでは、もうみんなな、そういう役割を果たす。打つ方も、どっかの打順じゃなしになあ、みんな結構8月はどっからでも点取れたからなあ。点の取れるイニングが多かったやんか、やっぱりなあ、1点、2点ずつでもなあ、そういうのが8月は非常に大きかったよな、やっぱり。どっから始まる打順でもなあ」-シーズン終盤に投打がかみ合ってきたのは「まあ、それは役割やろ、みんながな、分かってきた言うたらおかしいけど、自分のその打順の役割、イニングの役割というかな、ゲームの状況とか見てな、どうしないといけないかとか、そういうのはな、みんな徐々に分かってきたっていうたらおかしいけど、それができてるいうことやろうな。だから、こっちからな、何にもそんな、これはこうせい、こうせいじゃなしにな。選手がみんな分かってきたということやな」-チームそのものが成熟してきた。「まあ、まだまだそれはオレは、ね、強くなると思うよ。まだまだ、その何て言うの、年齢とか今までの経験とかな。そういうのを見ても、まだまだみんながもっといい選手になると思うよ。個人的にもな」-2月から見てきて現状のチーム状態は想定内か「そうやなあ。よくやってると思うよ。うん」

◆/その初球──\代打大城卓三がソロホームラン天敵から今季初得点?プロ野球(2023/8/27)??巨人×阪神??Live on DAZN#DAZNプロ野球#giants pic.twitter.com/L29JsohkZ2

◆巨人坂本勇人内野手(34)が6回に値千金の15号同点ソロを放った。先頭の代打大城卓のソロで1点差に迫り、2死後の打席。カウント1-1から阪神伊藤将の124キロチェンジアップを振り抜いた。打球は高く上がると、両チームファンの歓声と悲鳴が入り交じる中、左中間スタンドに着弾。悠々とベースを1周した。1カ月ぶりの虎退治に「どこが相手でも、勝つために1戦1戦全力でやるだけです」と力を込めた。

◆阪神中野拓夢内野手が3回に中前打で出塁した際、メンデスのけん制球が右脇腹付近に当たり顔をしかめた。それでも「(当たったとき痛かった程度?)そうっすね」と問題ない様子。前夜は6打席無安打も、この日は4打数1安打で今季通算134安打。DeNA牧と並びリーグ2位で、138安打でトップの中日岡林を追う。最多安打のタイトルも射程内だ。

◆阪神石井大智投手が見事な火消しぶりを見せた。8回に伊藤将が2点を勝ち越され、なお2死二、三塁のピンチでリリーフ。巨人中田翔を149キロの直球で空振り三振に切った。石井は「(伊藤)将司さんも粘ってくれていましたし、(坂本)誠志郎さんもいいリードしてくれる中で、いい選択ができたかなと。そこはすごく良かったと思います」と汗を拭った。2連投となったが「投げたいので。全試合投げる気持ちで頑張ります」と意欲満々だった。

◆阪神近本光司外野手が、ノーヒットで本塁生還を果たした。3回1死、メンデスの148キロ直球がユニホームをかすり、死球で出塁。きわどい1球に、阪神ファンからはブーイングが起こった。2番中野の打席で、カウント1-1からのけん制がボーク判定で二進。直後の3球目が今度はパスボールとなり三塁へ進むと、メンデスが本塁のカバーに来ていないのを見逃さず大きくオーバーラン。それを見た捕手岸田が三塁へ送球したが悪送球となり、ボールは左翼ファウルゾーンを転々。近本は難なくホームベースを踏んだ。「ピッチャーがカバーに行ってなかったんで、行けるところまで行ったら、キャッチャーが気づいた」。自慢の足でかきまわして相手のミスを誘い、ノーヒットでもぎとった追加点だった。

◆巨人岡本和真内野手(27)が"天敵退治"で対阪神の連敗を5で食い止めた。同点の8回、次打者席で念じた。「俺に回してくれ」。2死一、二塁の勝ち越しのチャンスに、伊藤将の143キロ直球を捉えると打球は三遊間を抜けた。決勝の左前適時打に「もう狙いもくそもない。何とか打とうという気持ちだけ」。4番で主将は、一塁ベースで右手を上げ、感情をむき出しにした。チームの天敵は、自身の天敵でもあった。伊藤将には昨季から3完封を含む5戦5敗。岡本和もこの打席の前まで、今季は9打席無安打に封じられていた。「めちゃくちゃコントロールがいい。カットもストレートもシンカーもチェンジアップも操れて、誘うこともできる」。勝負どころでのリベンジは無心。本能で反応した。伊藤将に今季10打席目での初安打で、21年7月10日以来の黒星を付けた。開幕前も弱点克服のため戦っていた。苦手な早起きを続け、侍ジャパンとして2月のキャンプ中、練習開始前に一番乗りで球場入り。WBCでは2本塁打で本領発揮した。シーズンでも34本塁打、83打点で2冠を突っ走る。阪神戦の同一カード3連敗阻止と同時に、3位DeNAと0・5ゲーム差に再び詰め寄った。「本当にやられてばかりではいけない」。4番の意地を示していく。【上田悠太】

◆夏の快進撃をけん引する左腕が1発攻勢に屈した。阪神先発伊藤将司投手(27)が8回途中7安打4失点で、巨人戦では21年7月10日以来、約2年ぶりの黒星を喫した。「自分の球が高かったという感じですね」5回までは二塁すら踏ませず2安打無失点。球数もわずか62球だった。完封すら予感させた空気を、一振りで変えられた。2点リードの6回先頭、代打大城に初球外角カットボールを、バックスクリーン方向右まで運ばれた。「5回まではしっかり投げてたんですけど...。大城さんの先頭でああいう形になったのが。あれがもったいないなと思います」今季、巨人戦は3戦目。過去2試合は2勝負けなしで無失点投球を継続してきた。今季22イニング目で、本塁打での初失点となった。その後2死からは坂本にも左中間へのソロ本塁打を被弾。Gキラーがまさかの1イニング2発で同点とされた。それでも、岡田監督の信頼は変わらない。同点の8回2死二塁、4番岡本に逆転適時打を浴び、なおも2死一、二塁。球数は112球に達していたが、指揮官は続投を選択した。「(勝ち星を)つけてやりたいと思っていたから。1点は抑えたらまだわからんし。勝ち星つかんと『いいピッチング』で終わるんだったら代えてもいいんやけど。そんなピッチャーと違うからなあ」。結果的に丸に適時打を浴びて降板となったが、厚い信頼を物語る続投となった。自身5連勝が止まり、7月16日中日戦(甲子園)以来、6戦ぶりの5敗目。左腕は「後半の方でちょっと甘い球を打たれたというのがあった。そこはもうちょっと技術を上げたい」と、振り返った。今季最多116球の投球を、次戦の快投につなげる。【波部俊之介】

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が今季自己最長の8試合連続安打で長期ロードを締めた。2回に大山、ノイジーが四球を選択した無死一、二塁。「四球が続いたので、ストライクを取りにきたボールを積極的にスイングする意識でした」。巨人メンデスの152キロ直球を左前に運び、二塁走者の大山が生還。先制適時打を決めた。「ちょうどいい(走者が)かえっていける当たりだった」と胸をなで下ろした。これで4試合連続打点。8月に打ちまくっている。打撃の状態が上向いているかという問いにも「そうだと思います」と認め、手応え十分だ。今季、敵地で最後となった「伝統の一戦」で2試合連続先制打を放った背番号8。関東の虎党にも最後までフルスイングで期待に応えた。ここまで苦戦してきた長期ロードも乗り切った。8月の月間打率は1年目、2年目とも2割2分台。だが、今季は22試合で打率3割5厘、3本塁打。8月の試合残り2試合で3割台をキープしている。「そろそろ打たないと、という感じなので」。打撃不振で6月下旬月に2軍へ降格し、7月下旬に再昇格。悔しい経験も糧にし、結果でアピールし続けている。チームも長期ロードを大きく勝ち越し、本拠地甲子園に帰還する。29日からDeNAとの2連戦に臨む。「変わらずチームで戦っていきたい」。虎の夏男がこのまま最後まで突っ走る。【三宅ひとみ】

◆そら、上出来よ。阪神岡田彰布監督(65)が優勝マジック21と足踏みも余裕の笑みを浮かべた。今季東京ドーム最後となる試合に敗れたが、夏の長期ロードを18勝5敗で終了。若いチームの快進撃に「まだまだ強くなる」と断言した。29日からは約1カ月ぶりに本拠地甲子園に戻ってDeNA2連戦に臨む。月間最多勝利の19勝に王手をかけており、球団記録も射程圏。もう、これ以上強くなったら、どうなるんや!?今季最後の東京ドームは逆転負けで終わった。それでも同球場では8勝3敗1分けと宿敵を圧倒する戦いぶり。岡田監督もナインらと整列して帽子を取ってスタンドのファンへあいさつ。その表情は余裕たっぷりの笑顔だった。指揮官は「勝ち負けつけてやりたいと思ってたから」と、先発伊藤将を同点の8回もマウンドへ送り出した。だが、岡本和、丸に連続適時打で勝ち越された。打線も4回以降は三塁すら踏めなかった。観戦したかわいい男の子の孫2人に夏休みのプレゼントとはいかなかったが、「今日はあんまりヒット出んかった」とサバサバ。怒気は一切含んでいない。それもそのはずだ。この日で8月1日からの夏の長期ロードが終了。18勝5敗で、一気に抜け出した。「よかったやろ。当然。そら数字的にはできすぎやろ」と、ニンマリだ。その要因について「先発がちゃんとイニングなあ。6回くらいまで、みんな役割を果たす」とまず先発陣の踏ん張りを上げた。夏のロード23試合中21試合、勝った18試合すべてで先発は5回以上投げている。「打つ方もみんな結構8月はどっからでも点取れたからな」と打線全体がよかったことも挙げた。8月のチーム打率は2割8分7厘、近本、大山、佐藤輝、木浪とレギュラー4人が月間打率3割を超えている。投打ががっちりかみ合っての独走状態に「役割をみんなが分かってきた。打順の役割、イニングの役割とかな。ゲームの状況とか見て、どうしないといけないとか。それができている」と、チームの成長を実感。さらに力強く言い切った。「まだまだオレは強くなると思うよ。まだまだみんながもっといい選手になると思うよ」昨秋の就任時から若いチームが試合を重ねるごとに成長すると楽しみにしていた。佐藤輝、森下らには1日1日が大きな経験だ。29日からは1カ月ぶりに本拠地甲子園に戻る。球団月間最多勝利の更新も十分にあり得る。「アレ(=優勝)」への重圧を感じながらの終盤戦を戦い抜くことで、岡田阪神はさらに強さを増していく。【石橋隆雄】阪神は長期ロードを18勝5敗の勝率7割8分3厘で終えた。甲子園で30試合以上を行うようになった56年以降では最多の勝利数となった。阪神は8月18勝で球団の月間最多勝利数19まであと1勝で足踏み。今月は残り2試合あり、記録更新の可能性がある。

◆巨人・吉川尚輝内野手(28)が1軍復帰した。23日に特例2023で出場選手登録を外れてからは、川崎市のジャイアンツ球場でティー打撃、ノックなどで汗を流していた。この日から1軍に合流し、ダッシュ、ノックなどで調整。頼れる正二塁手が元気な姿で戻ってきた。

◆両軍のスターティングメンバーが発表され、阪神は伊藤将司投手(27)が先発する。7月23日のヤクルト戦(神宮)から5連勝中。さらに巨人に対しては2021年7月10日(先発で4回6失点、甲子園)で黒星を喫したのを最後に、22年5月22日(完封、甲子園)から3完封を含む5戦5勝と好相性を誇る。26日同様、5番にはシェルドン・ノイジー外野手(28)が入り、佐藤輝明内野手(24)は6番。

◆阪神は二回、佐藤輝明内野手(24)の適時打で1点を先制した。7連勝へ向け好発進した。大山、ノイジーの連続四球で無死一、二塁とし、迎えた最初の打席。メンデスの152キロ速球にバットを合わせて左前に飛ばした。8月はこの試合の前まで打率・304、3本塁打、14打点と好調の男が、前日26日の先制本塁打に続いて試合を動かした。

◆阪神・近本光司外野手(28)にヒヤリとする場面が訪れた。1-0の三回1死で打席に立つと、巨人の先発左腕・メンデスの初球のツーシームが内角へ。近本は体を引くようにして投球を避けたが、ユニホームをかすめて死球となった。虎党からはブーイングが飛んだ。近本は7月2日の巨人戦(東京ドーム)で死球を受けて、離脱したこともあり、虎党からは心配の声がスタンドから漏れた。直後の中野の打席でメンデスの一塁けん制がボークとなり、二進。さらに3球目の直球が捕逸となり、三塁に進む。近本が大きく三塁ベースを回ったのを見て、捕手・岸田が三塁に送球するも大きくそれ、一気に生還し、無安打で2点目のホームを踏んだ。

◆阪神・中野拓夢内野手(27)にけん制球が直撃するアクシデントがあった。チームは三回、中野の打席で近本が捕逸と送球エラーの間に二塁から生還。2点目を加えた直後、中野はメンデスから中前打を放って出塁した。続く森下の打席でメンデスのけん制球が中野の右脇腹を直撃。中野は痛がる素振りを見せたが、立ち上がってプレーを続行した。

◆阪神の先発・伊藤将司投手(27)が2―0の六回、代打・大城、坂本にソロ本塁打を浴びて同点に追いつかれた。五回まで2安打無失点と抑え込んでいたが、この回先頭で打席に入った大城卓に初球の直球を捉えられた。打球はバックスクリーン右に着弾するソロ本塁打。伊藤将は15イニングぶりの失点を喫すると、2死から坂本にもチェンジアップを捉えられ、打球は左中間スタンドへ。昨年9月21日の広島戦(甲子園)以来となる1試合2被弾で、試合が振り出しに戻った。

◆巨人・大城卓三捕手(30)が反撃の15号ソロを放った。2点を追う六回先頭で代打で出場。ここまで2安打に封じ込まれていた伊藤将の直球を捉え、バックスクリーン横にたたき込んだ。これで伊藤将からは今季22イニング目で初得点をマーク。途中出場した強打の捕手が、豪快な一発で難敵攻略の突破口を開いた。

◆巨人・坂本勇人内野手(34)が六回、同点の15号ソロをマークした。2点を追う六回、代打の大城卓が、伊藤将から中越えの15号ソロを放って1点を返した。そして2死後、坂本が伊藤将の外角低め、124㌔のチェンジアップを下半身で粘って振り切り、左中間席へ。スタンドインを見届けると、一塁を回ったところで笑顔を浮かべ、颯爽とダイヤモンドを一周した。8月12日以来12試合ぶりのアーチで、3番起用に応えた。これでプロ野球歴代53位・山田哲人(ヤクルト)に並ぶ通算281本塁打とした。

◆2―2の七回、4番手で登板した巨人・高梨雄平投手(31)に対し、阪神ファンからブーイングが起こった。高梨は7月2日の巨人―阪神(東京ドーム)で登板し、阪神・近本に投じた初球が右脇腹付近を直撃。近本は右肋骨(ろっこつ)を骨折して一時離脱した。高梨は2死後、近本と対戦。見逃し三振に打ち取った。

◆阪神・伊藤将司投手(27)が終盤に勝ち越し点を奪われた。2―2の八回2死から連続死球で一、二塁。ここで打席に岡本和を迎え、5球目の甘く入った直球を左翼へはじき返されて勝ち越しのタイムリーとされた。続く丸にも真ん中気味に入ったカットボールを中前へ運ばれてリードを広げられた。巨人戦5連勝中で、2021年7月10日(先発で4回6失点、甲子園)で黒星を喫したのを最後に負けがなかったGキラーの左腕が今季の東京ドームのラストゲームで攻略され、7回2/3を投げて4失点で降板となった。

◆阪神は終盤の失点で接戦を落とし、7連勝を逃した。打線は二回、佐藤輝明内野手(24)の適時打で先制。三回には死球で出塁した近本光司外野手(28)がボークと捕逸、捕手の悪送球で生還して2点差としたが、以降は巨人の救援陣の前に沈黙した。巨人戦5戦5勝だった伊藤将司投手(27)は無失点に抑えていた2―0の六回、大城と坂本にソロ本塁打を浴びて同点とされる。八回も続投し、2死から四球2つを与えて一、二塁のピンチ。ここで4番・岡本和に左前適時打を許し、勝ち越しを許した。続く丸にも適時打を浴びたところで降板。八回途中7安打4失点で無念の交代となり、5敗目(8勝)を喫した。

◆巨人が逆転勝ちで阪神戦の連敗を5で止めた。六回に代打の大城卓と坂本のソロで同点。八回に岡本和の適時打などで勝ち越した。5人の救援陣が無失点でつなぎ、菊地が4勝目。阪神は伊藤将がリードを守れず、連勝が6で止まった。

◆4位・巨人は2点を先取されながらも終盤に逆転した。原辰徳監督(65)はD4位・門脇(創価大)の足を絡めた攻撃などで昨季から5戦5敗だった伊藤将を攻略した一戦を振り返り、「いろんな形でやらないと、今のタイガースは勢いのある非常にいいチームですから」と同一カード3連敗を阻止した勝利を噛みしめた。指揮官の主な一問一答は以下。――最後は九回2死一塁で門脇がよく後方の遊飛を捕った「彼のスピードというか、守備力というのは非常に素晴らしいものがある。よかったですね」――同点の八回に苦手の伊藤将から3、4点目をもぎ取って降板させた「う~ん、ね! 決して胸を張れるものではないでしょうけど、チームにとっては大きなことですね」――決勝打の岡本和は内角攻めの中、内角を打った「4打席あるわけですからね。いろいろ考えながらというのはあるでしょうけど、(同点の八回2死一、二塁で)追い込まれながらも打てたという。あの辺の勝負強さが増してくれるとチームにとっても大きい。今日は3番(坂本)、4番(岡本和)、5番(丸)という、うちの中心選手が良く働いてくれた」――八回2死から代走の門脇が盗塁で作った好機から決勝点「そうですね。いろんな形でやらないと、なかなか今のタイガースは勢いのある非常にいいチームですから。その部分は逆に思い切って仕掛けるということが必要だと思いますね。ナイススティールだったと思いますね」――快勝「でも、まだまだ反省するところもあってね。無駄な四球もまだあるしね。今日は2点に抑えたのはもちろん頑張ったんですけれどもね。きょうは勝ち抜けたという部分で、潔く反省して次につなげたいと思います」――次のカードは広島戦「ここからは一戦一戦。カープにはやられっぱなしですから。選手もしっかりと対策を講じているでしょうし、われわれもしっかり戦っていきたいと思います」――2点を追う六回、大城卓の代打本塁打が大きかった「もうあれで風がね、南からいい風が吹いてきたね。(大城卓の出身地の)沖縄のいい風って沖縄の方言でなにかあるの?」――救援陣が無失点「先発投手(三回途中2失点のメンデス)が本来のというところからいくと流れ、リズムが(悪かった)ね。よく2点で抑えたといえば抑えたしね。その後の田中千晴がよく投げたと思いますね。みんなよく投げたと思いますね」――三回はメンデスのボークや捕手の岸田の捕逸と悪送球などで失点「分かりやすい反省点ですよ。バッテリー間での一人相撲という言葉はあるけど、『二人相撲』。そんな感じじゃないの?」――秋広を(スタメンから)外す決断「秋広の〝お兄ちゃん〟(兄貴分の中田翔)にかけたんだけど、なかなかお兄ちゃんももうひとつだったね」――阪神戦は1カ月ぶり勝利「ドキッ」――東京ドームでは6月以来「もう3日前のことは忘れるよ(笑)」

◆巨人・岡本和真内野手(27)が同点の八回2死一、二塁で決勝の左前適時打を放ち、お立ち台で歓声を浴びた。チームも昨季から5戦5敗、自身も今季9打数無安打と苦手だった同学年の左腕、阪神・伊藤将の内角直球を捉え、一塁上では珍しく咆哮をあげた。主砲はヒーローインタビューで「ずっとやられていましたし、『何とか俺に回してくれ』と思っていた。打てて良かった」と闘志あふれるコメントで観客を沸かせた。この八回は2死無走者から北村が四球で出塁。D4位・門脇(創価大)が代走として起用され、二盗で好機を拡大した。岡本和の一打で本塁へ激走したことにも触れ「門脇もしっかり走ってくれて、適時打になったので本当にありがたい気持ちです」と語った。一塁上で激しいガッツポーズを繰り出したことについて聞かれると、「いや、そんなことはないと思います」とサラリ。最後は主将として「一つでも多く勝てるように頑張っていきますので、ご声援よろしくお願いします」とファンに約束した。

◆巨人・大城卓三捕手(30)が反撃ののろしを上げた。スタメンマスクは岸田に譲ったが0―2の六回先頭、代打で伊藤将から中越えへ15号ソロを放った。「出塁することを心がけた」という本塁打で逆転の流れを呼び込んだ。このあと2死から坂本の同点弾、八回に岡本和と丸の連続適時打が生まれた。原監督は沖縄出身の大城卓の一発に「あれで南からいい風が吹いてきたね。『沖縄のいい風』って沖縄の方言で何かあるの?」とご機嫌だった。

◆巨人は6投手の継投で勝利をもぎとった。先発メンデスが2回2/3を2安打2失点で降板。三回途中から2番手で上がったD3位・田中千(国学院大)が2回1/3を無失点に抑える好救援で流れをつくった。以降はバルドナード、高梨、菊地、中川が踏ん張って、2番手からの5投手は無失点で逆転劇につなげた。原監督は「田中千晴がよく投げた。六、七、八回もみんなよく投げた」と救援陣をたたえた。

◆難敵を粉砕! セ・リーグ4位の巨人は27日、阪神20回戦(東京ドーム)に4-2で逆転勝ちし、阪神戦の連敗を5で止めた。4番の岡本和真内野手(27)が、同点の八回に伊藤将司投手(27)から決勝の左前適時打。「『何とか俺に回してくれ』と思っていた」と昨季から5戦5敗、自身も今季9打数無安打と苦戦していた同学年左腕を主砲のプライドで打ち砕いた。3位・DeNAとは0・5ゲーム差に接近。34本塁打、83打点でリーグ2冠を走る主砲を先頭に反攻を続ける。主砲としての意地だった。ネクストバッターズサークルの岡本和は心の中で祈った。「何とか俺に回してくれ」。2-2の八回。前打者の坂本が四球でつないだ2死一、二塁で勝ち越しの左前適時打。昨季から5戦5敗の伊藤将を攻略し、2021年7月10日以来の黒星をつけた。「ずっとやられていましたし、何とか打ててよかった。(二走の)門脇もしっかり走ってくれて、適時打になったのでありがたい」カウント2-2と追い込まれてから、143キロの直球を引っ張った。二走・門脇の生還を見届けると、普段は感情を表に出さない主将が拳を握ってほえた。同学年の左腕から今季10打席目で放った初安打で伝統の一戦にケリをつけ、両リーグ最多となる今季16度目の勝利打点。松井秀喜のシーズン最多(02年)に並んだ。

◆灼熱(しゃくねつ)の夏に負けないパワフルなスイングで、佐藤輝がこの日も虎党を熱くさせた。打球を左前に飛ばし、塁上で充実の表情をのぞかせる。これまで苦しんだ8月に快音を何度も響かせて、8試合連続安打締めで夏の長期ロードを駆け抜けた。「ちょうどいい、(二走が)かえってこられるなと思ったので、良かったです」二回の第1打席に見せ場がやってきた。大山、ノイジーが続けて四球を選び、無死一、二塁でこの日最初の打席へ。初球の150キロ直球にバットが空を切ったが、この1球で球筋を見切った。続く152キロ直球を捉えて打球は左翼手の前へ。かなり手前に落ちた分、二塁から激走した大山が生還した。26日の15号ソロに続く先制打で4試合連続打点も記録。白星こそ逃したが、またも試合を動かした。「(8月は)そろそろ打たないとって感じなので」夏場の好調を問われ、手応えをにじませた。これまで8月は佐藤輝にとって〝試練の月〟になっていた。ルーキーイヤーの2021年は打率・222、2022年は打率・228と失速していたが、今季は違う。ここまで23試合にわたる8月の長期ロードを終えて、打率・305(82打数25安打)、3本塁打、15打点と絶好調。コンスタントに結果を残している。15日の広島戦(マツダ)で好機に凡退し、翌日から2試合先発を外れたが、その期間も腐らず室内練習場でバットを振った。大粒の汗を流して打撃と向き合い、18日のDeNA戦(横浜)でスタメン復帰後は全試合安打で打率・400(30打数12安打)、2本塁打、6打点と好調キープ。29日のDeNA戦からは、7月30日以来となる甲子園での試合が待つ。ホームの大歓声を受け、〝アレ〟へ向かう最終盤を戦う準備はできている。「(状態は)いいと思います。また変わらず、チームで戦っていきたいと思います」上り調子の佐藤輝が、慣れ親しんだ聖地に帰って大暴れする。(邨田直人)

◆余裕の1敗よ-。阪神は巨人に2-4で逆転負けを喫し、夏の長期ロードを18勝5敗で終えた。連勝は6で止まったが、同ロードで大きく勝ち越し、岡田彰布監督(65)は「出来すぎ」と納得の表情。甲子園に戻ってからの戦いに向けて「まだまだ強くなる」と手応えを示した。18年ぶりのアレはもうすぐ。虎が成長を続けながら歓喜のゴールテープを切る。夏の長期ロード最終戦は白星でフィニッシュできなかった。それでも、岡田監督の表情には充実感がにじんでいた。10連勝を記録するなど18勝5敗と想定を大きく上回る勝ち越し。虎将は報道陣から感想を求められると、ニヤリと笑った。「まあ、そら、『どうでしたか』と言われたら、良かったやろ。当然、おーん。そら数字的には出来すぎやろ!!」昨秋の安芸キャンプから選手を指導し、岡田野球が浸透したと確信したのが、8月1日から始まった夏の長期ロードだった。「まあ、俺はね、まだまだ(チームは)強くなると思うよ。何て言うの、年齢とか、今までの経験とかな。そういうのを見ても、まだまだ、みんながもっといい選手になると思うよ。個人的にもな」この日は先発の伊藤将が2-0の六回に2被弾で追いつかれ、八回に岡本和、丸に連続適時打を許した。打線は4安打で2得点。チームの連勝は6でストップしたが、岡田監督はこの23試合で選手たちの無限大の可能性を感じ取った。

◆痛くもかゆくもない1敗だと思う。そりゃあ、負けるのは悔しいし、勝ったほうが、きょうの月曜日を気分よく過ごせただろうが、巨人だってボロクソにやられて連敗した後だ。必死にもなる。余裕をかまして、言わせていただく。「たまには、こんな日もあるさ」まさか、8月の終わりに、夏の長期ロード最終戦の日を、こんな気分で迎えるとは...。奇跡としか思えない。奇跡で片付けたら、頑張ったタイガースの選手たちには申し訳ないが。「死のロード」と呼ばれた遠い昔から、8月は負け越すもの、と教えられてきたし、実際、目の前に黒星が並んでいく様を見せつけられてきた。先入観ってヤツもある。覚えておられるでしょうか。夏の長期ロードが始まる前に、トラ番やデスクたちに「ことしの長期ロード23試合は何勝何敗」アンケートを実施したことを。7月31日付のこのコーナーだった。「13勝10敗」そう答えたのが、トラ番のエース記者・原田遼太郎。全く同じ数字を弾き出したのが、デスク・長友孝輔。長友は昨年までのトラ番キャップ。最も阪神を熟知してそうな2人の〝置きにきた〟答えだった。そして今、結果は出た。18勝5敗。こんな数字、誰が当てられるというのだ! 常識のある(?)トラ番記者なら、絶対に正解できない成績を、2023年岡田阪神は残した。「いえいえ、ちょっと待ってください。ボクの予想を忘れてませんか? ボク、何て言いましたっけ?」長期遠征のゴールを東京ドームで迎えたトラ番・織原祥平が、ものすごいドヤ顔で話しかけてきた。

◆クソー! わが阪神のよもやの敗戦!! 何で~? 何で巨人が阪神に勝つ? ちゅ~か、何で今の阪神が巨人に負けます~!?だって、順調にマジックを減らす6連勝を続けていたじゃないのさ!! だって、本日も巨人キラーの伊藤将が五回まで快投を演じていたじゃないのさ!だって、だって、巨人だって、前日に続き二回先頭から連続四球で佐藤輝に先制タイムリーを献上してくれたじゃないのさ! 三回なんて、近本の死球にボークと捕逸で1点を贈ってくれるし...。どこからどー考えても、阪神が負けるとは考えられない展開のはずだったのに...。トホホホ。ま、強いて挙げれば、わずか4安打と寂しい打線だけど、それもここまで打ってくれたから責められないし...。そーです、本日はアレ(優勝)のための休養日だったんです!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
69424 0.622
(↓0.005)
M21
(-)
28451
(+2)
351
(+4)
61
(-)
61
(+1)
0.249
(↓0.001)
2.730
(↓0.02)
2
(-)
広島
63504 0.558
(-)
7
(↑0.5)
26420
(+7)
413
(+7)
80
(+1)
67
(+1)
0.246
(-)
3.180
(↓0.03)
3
(-)
DeNA
57553 0.509
(↓0.005)
12.5
(-)
28420
(+1)
403
(+2)
79
(-)
24
(+1)
0.249
(↓0.001)
3.210
(↑0.02)
4
(-)
巨人
57561 0.504
(↑0.004)
13
(↑1)
29443
(+4)
427
(+2)
137
(+2)
41
(+1)
0.257
(-)
3.590
(↑0.03)
5
(-)
ヤクルト
47653 0.420
(-)
22.5
(↑0.5)
28429
(+7)
464
(+7)
98
(+1)
55
(-)
0.239
(-)
3.750
(↓0.01)
6
(-)
中日
42693 0.378
(↑0.005)
27
(↑1)
29320
(+2)
410
(+1)
50
(-)
30
(-)
0.240
(-)
3.250
(↑0.03)