巨人(★6対9☆)阪神 =リーグ戦19回戦(2023.08.26)・東京ドーム=
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阪神
01012050091102
巨人
0102003006901
勝利投手:青柳 晃洋(6勝4敗0S)
(セーブ:岩崎 優(3勝1敗26S))
敗戦投手:横川 凱(4勝6敗0S)

本塁打
【阪神】佐藤 輝明(15号・2回表ソロ),木浪 聖也(1号・7回表満塁)
【巨人】丸 佳浩(14号・4回裏2ラン)

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◆阪神は1点ビハインドの5回表、木浪の適時打で2点を挙げ、逆転に成功する。そのまま迎えた7回には、木浪のグランドスラムと森下の適時打で5点を加え、相手を突き放した。投げては、先発・青柳が6回途中3失点で今季6勝目。敗れた巨人は、投手陣が振るわなかった。

◆阪神青柳晃洋が今季初めて巨人戦に登板する。昨年の巨人戦は3勝0敗、防御率1・55で、21年5月14日から5連勝中だ。今季の青柳はDeNA戦では5勝1敗も、DeNA戦以外は7試合で0勝3敗、防御率5・50。ほかでは苦戦している青柳が、5連勝中の巨人戦で白星を挙げられるか。

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が、横川から先制15号ソロを放った。2回、カウント2-2から2球ファウルで粘った後に、横川の真ん中付近143キロ直球を振り抜いた。「追い込まれていましたが、強くスイングすることを意識していました。しっかり自分のスイングができたと思いますし、最高の結果になってよかったです」右中間スタンド上段まで飛ばした1発。23日中日戦(京セラドーム大阪)以来2カード連発で、7試合連続の安打となった。

◆/外野手はただ見送るだけ\佐藤輝明が先制のソロHR!右中間スタンドへ特大の打球が...goodbye???プロ野球 (2023/08/26)??巨人×阪神??Live on DAZN#DAZNプロ野球#hanshin pic.twitter.com/cTKXkxLgcs

◆阪神大山悠輔内野手(28)が、ラッキーな内野安打で8試合連続安打を決めた。1点を追う5回無死一塁、左腕横川の外角126キロ変化球に手を出したが、三塁へのゴロとなった。ファウルライン寄りの勢いのない打球となり、三塁手岡本和は見送った。だが、そのまま打球はコロコロと三塁ベースに直撃し、内野安打となった。17日広島戦(マツダスタジアム)から、8戦連続の安打。無死一、二塁と好機を広げ、横川を降板へと追いやった。

◆阪神先発の青柳晃洋投手(29)が、5回2/3を4安打3失点で降板した。打線の援護をもらいながら、2回に犠飛で1失点。勝ち越した直後の4回には巨人丸に逆転2ランを浴びた。5回に再び逆転してもらい、6回2死二塁で打者丸の場面で左腕桐敷と交代した。桐敷が丸を一ゴロに仕留めてピンチを脱出した。2年連続投手3冠の右腕だが、今季は苦戦している。5勝(1敗)は挙げているものの、すべてDeNA戦で、それ以外のカードは0勝3敗。巨人戦は今季初登板で、このカードは21年から5連勝中。苦戦はしたが、勝ち投手の権利を持ってマウンドを降りた。

◆/A.R.E.に向かって突き進む!\今日は木浪聖也の夜だ3安打目はなんと第1号満塁ホームラン!?プロ野球 (2023/08/26)??巨人×阪神??Live on DAZN#DAZNプロ野球#hanshin pic.twitter.com/FLQNfKk9ti

◆阪神木浪聖也内野手(29)が、巨人を大きく突き放す今季1号満塁弾を放った。1点リードの7回1死満塁。この回から登板した鈴木康の135キロ変化球を、右翼スタンドへたたき込んだ。5回にも中堅への2点適時打を放っており、1試合6打点はプロ入り最多となった。385打席目で生まれた、今季初本塁打は、プロ入り初の満塁弾となった。チームでは5月14日DeNA戦(甲子園)で佐藤輝が放って以来、今季2本目のグランドスラムとなった。

◆巨人横川凱投手が悔しそうにベンチをたたいた。1点リードの5回、四球と内野安打で無死一、二塁としたところで降板。「先頭バッターだったり、1球目だったり、そういうところに気を付けていかないと、流れも向こうに行っちゃうと思うので、気を付けていきたい」と臨んだ先発マウンド。警戒していた先頭打者から初回は安打を許し、2回には先制アーチを浴びるなど、結果を残せないままマウンドを降りた。中継ぎから再び配置転換され、先発として4試合連続登板しながら、またしても白星から見放された。前回登板の19日広島戦でも5回途中3失点で5敗目。「どうしても変化球に頼ってしまっている自分もいたので、真っすぐをテーマに置いて、しっかりと強くゾーン内に投げ込めるようにしたい」と直球に軸足を置くも、5回途中6安打4失点4四死球と不安定な投球内容となった。

◆阪神が今季4度目の6連勝を飾り、貯金を今季最多の28に増やした。同一シーズンの東京ドーム6連勝は球団初で、優勝マジックを21に減らした。これで月間18勝となり、残り3試合で球団記録となる月間19勝の更新にも期待がかかる。2回、6番佐藤輝明内野手(24)のチーム単独最多となる15号右越えソロで先制。同点とされて迎えた4回には1番近本光司外野手(28)の中前適時打でいったん勝ち越した。さらに逆転されて1点ビハインドとなっていた5回2死満塁では、8番木浪聖也内野手(29)の中前2点打で逆転。木浪は1点リードの7回1死満塁でも今季1号の満塁弾を放ち、ゲームの流れを決定づけた。打線は7回、3番森下翔太外野手(23)も中前適時打を放つなど、長短3安打に5四球も絡めて打者11人で一挙5得点。この日も選球眼と勝負強さが際立った。投手陣は先発の青柳晃洋投手(29)が5回2/3を3失点で今季6勝目。昨季4戦3勝だった巨人打線を相手に踏ん張った。終盤は救援陣が大量リードにも守られ、なんとか勝利をもぎ取った。

◆巨人が勝率5割に逆戻りとなった。対阪神は5連敗。今季の伝統の一戦は4勝14敗1分けで、負け越し10となった。中盤でリリーフ陣が猛虎打線にのみ込まれた。1点を追う7回、4番手・鈴木康が二塁打と2四球で無死満塁のピンチをまねいた。阪神坂本は空振り三振で1死を奪った後に粘れなかった。木浪への2球目135キロスライダーが真ん中高めに甘く入った。快音を残され、打球は右翼席に飛び込んだ。痛恨のグランドスラムを献上。さらに7回は1失点を重ね、6点差に広げられ、流れを奪われた。先発横川も5回途中6安打4四死球の4失点と役目を果たせなかった。打線は1点を追う2回に無死満塁から大城卓の犠飛で同点とし、4回に丸の14号2ランで一時は逆転した。しかし、5回に勝ち越され、さらに7回の5失点は重すぎた。直後の7回に代打中田翔の押し出し四球と岡本和の2点適時二塁打で3点を奪って反撃するも、追いつけなかった。投手陣は11四死球でリズムをつかめず。阪神とのゲーム差は14まで広がった。

◆阪神近本光司外野手が6打席で4度出塁し、1番打者として仕事をした。1回に中前打。2回は四球を選び、4回には2死一、三塁から中前へ適時打を放った。「連打でつないでつくったチャンスでしたし、どんな形でもランナーをかえしたいという気持ちでした」。さらに7回には2死から四球で出塁し、森下の適時打で9点目のホームを踏んだ。

◆阪神青柳晃洋投手(29)が苦しみながらも対巨人6連勝を飾った。5回2/3を4安打3四死球3失点と粘り、自身3連勝となる今季6勝目。「得点を取ってもらっても、すぐに返されてしまう展開になってしまいましたが、それでも粘り強く点を取ってくれた野手に感謝です」と仲間に頭を下げた。昨季は巨人戦4試合先発で3勝0敗、防御率1・55。好相性を誇る相手に苦戦した。佐藤輝の先制弾で1点リードをもらった直後の2回、先頭4番岡本和への四球から無死満塁とされ、7番大城の左犠飛で同点とされた。再び1点リードをした直後の4回は2死から5番坂本の左中間二塁打、6番丸の右越え2ランで逆転された。「(坂本)誠志郎のボール球要求が中に入ってしまった。投げミスだった」。投球内容に反省は残ったが、21年5月14日からのG戦連勝を継続した。試合前時点で今季5勝はすべてDeNAからだった。ようやく他球団からも白星をもぎ取り、シーズン終盤のエンジン全開に期待がかかる。「任されたイニングを投げ切れるように、その中で長いイニングを投げられるように、今日の反省を今後に生かしたいです」。大黒柱の完全復調が待たれる。【佐井陽介】

◆阪神森下翔太外野手が"田淵超え"だ。初回に巨人横川から死球を受け出塁。今季10個目の死球は、2リーグ制後の阪神では69年田淵の9個を更新する新人最多記録だ。現在、リーグでも最多だが、森下は「元々、当たりやすい方だったんで、大学時代から(中大時代は通算14個)。10個ってことは、インコースを攻められてるってことで。相手からも警戒されるバッターに少しずつなってるのかなと思います」と前向きに受け止めた。7回にはダメ押し適時打も放つなど4試合連続安打&3戦連続マルチ安打。3番が板についてきた。

◆阪神岩崎優投手が1回を無安打無失点で23試合連続無失点&26セーブ目をあげた。3点リードの9回からマウンドへ。巨人先頭の梶谷を直球で中飛に仕留める。続く、中田翔も直球で右飛とし、最後は代打長野を変化球で右飛で試合を締めた。鉄壁リリーフを継続し、無失点記録も継続している。「1試合1試合みんなで頑張ってきます」と気を引き締めた。

◆巨人は首位阪神に押し切られて同カード5連敗となった。4回に丸の14号2ランで1度は逆転も、投手陣が四球で自滅。先発横川が4回0/3を4失点で役割を果たせなかった。横川、船迫、鈴木康、今村の4投手で10与四球では勝負にならない。打線は9安打で6得点も及ばず。原監督は「詰めの甘さというところはありますね。もう一踏ん張り、そういうところだと思いますね」。貯金を吐き出し、3位DeNAと1・5ゲーム差に広がった。

◆阪神桐敷拓馬投手は"晴れのち雨"のピッチングだった。1点リードの6回2死二塁で先発青柳を救援。4回に2ランを放っている巨人丸を一ゴロに仕留めてピンチを脱出した。5点の援護をもらった7回も続投したが先頭に四球を出し、連打で1死満塁として加治屋と交代し、後続が打たれ3失点。救援に回ってからは初の自責点で、7つめのホールドはついたものの「先頭を切れなかったところが...。点数があっても切ることが大事」と反省していた。

◆阪神が今季4度目の6連勝を飾り、貯金を今季最多の28に増やした。同一シーズンの東京ドーム6連勝は球団初で、優勝マジックを21に減らした。1点を追う5回2死満塁で、8番木浪聖也内野手(29)の中前2点打で逆転。さらに木浪は1点リードの7回1死満塁で今季1号の満塁弾を放ち6打点と大活躍した。試合後の岡田彰布監督(65)の一問一答は以下の通り。(囲み)-木浪のホームランはまさか「いや、まさかやな。まあ、最低でも外野フライは打ちよるなと思ってたけどな」-木浪は満塁でよく打つ「今年はだってキャンプの時も、練習試合とかでホームラン打っとったからな。でもシーズン入って、なあ、なかなか出ないなあっていうのをずーっと持ってたけどなあ。ゼロやったから。まあ今日は一番いいとこで出たよなあ、そういう意味では(笑い)」-今日で木浪はヒットも打点も1年目を上回った。改めて今年の活躍は。「あっそう! まあ活躍ていうか、最初から、あそこ(遊撃)はポジション的に小幡と木浪で2人で、もう8番というのをね。まず守りから入ったとこだから。だから、打つの期待してないから8番にしてるだけであって、でも、あそこで打点とか、やっぱり近本の打点が多いのも、やっぱりそこからの起点やろねえ」-近本も50打点で自己最多に並んだ。「あっそう、それはやっぱり木浪というか8番バッターの出塁が大きいんやろなあ。ピッチャーがバントで送って、近本とかの打点というかなあ」-6番の佐藤輝のホームランもすごかった。「うん、いやいや、まあ、どやろ、5番でも打ってたかなあ。あの初回、でも分からんわ、結局な。おーん」-最近、佐藤輝も四球も選べている「うん、そらフォアボールは選ばんと。みんな選んでるんやから。1人だけ選ばんかったら、そら目立つやろ。今日も結構選んだんちゃうかフォアボール」-今日の四球は10個「10個! あっそう。今日、6回(打席が)まわって来てるやろ、近本とか。最後6違うた? 6やなあ。こんな時に中野とかがタコはあかんわな。目立つよね。目立つというか、何かがっくりくるよな」-森下は10個目の死球「ああ。まあ(相手が)インコースに投げるからやろ」-うまいこと避けてる「まあ、避けてるていうか、そら、お前、抑えようと思うてきよるんやから、そら」-嫌な流れを8回石井が抑えた「まあ、やっぱり今日はちょっと桐敷が2イニング目なあ、ちょっとボールが高めなあ、左に2本ともちょっと高いのが浮いたからな。まあ、あんなの初めてやったな。今までずっとよかったけれど、おーん。まあ、なあ、やっぱり満塁ホームランあったからな。あそこは余裕で、ある程度3点くらいまではって。そんなピッチャー使われれへんし、岩貞で、タイムリーで1点くらい取られても切ってくれたからな、岩貞も。それは想定内よ。8、9石井と岩崎残ってるし、想定内よ。そういう意味でも木浪のホームラン大きかったな、満塁っていうのは」-今季東京ドームでのカード負け越しはなし「ああ、そうか。あんまりそんなのもう考えてないけどな。ま、最後やから明日はな、伊藤(将)やからな、ちゃんと投げるやろ、また」

◆阪神が今季4度目の6連勝を飾り、貯金を今季最多の28に増やした。同一シーズンの東京ドーム6連勝は球団初で、優勝マジックを21に減らした。1点を追う5回2死満塁で、8番木浪聖也内野手(29)の中前2点打で逆転。さらに木浪は1点リードの7回1死満塁で今季1号の満塁弾を放ち6打点と大活躍した。試合後の岡田彰布監督(65)の一問一答は以下の通り。(テレビインタビュー)-序盤から点を取り合う展開となった「1回逆転されてね。あの(丸の)ホームランで。まあ、でも、ここはなんか、もうちょっと点が取れそうだったので。まあ、今日はこういうゲーム展開かなあ、というのはあったんですけどね」-木浪が本当にいいところで打った「いやいや、(7回は)まあヒットは出るかなと思ったですけど。まさかホームランとはねえ。まあ、第1号ですもんねえ。これが」-あの本塁打の場面を振りかえって「いやいや。ねえ、その前(5回)のタイムリーもねえ、満塁で打ったし。まあ、なんとかね。(7回は)前の坂本が三振したあとだったでしょ。ねえ、なんとかね。最低でも犠牲フライ。まあ犠牲フライだったら次(9番桐敷)は代打いってたんですけどね。1点やったら。まあ、でも一番いいところで一番いいホームランが出たんじゃないですかね」--木浪選手の8番。ずっと起用されているが、きょうはいい形で表れた「いやいや。もう全然打順を上げるつもりもないし。ずっとね、そのつもりでやってますから」-先発青柳の内容は「あそこ(4回)でちょっとね。丸のホームランていうのは逆球でね、あの1球はもったいなかったというのはありますけど。まあ、あのね、今日は他のピッチャーも間隔空いてるピッチャーもいてたんで、最初からはあそこは、(6回の)丸からは桐敷でいこうと思ってたんで」-6連勝の内容「やっぱり先発もね、ずっと6回ぐらいまで投げてるし。打つ方が結構、いいつながりというか。やっぱり点ね、昨日もそうですけど、点取れてるというのが先発ピッチャーもちょっと安心してじゃないですけど、ある程度計算できる。だからすごく打つ方とピッチャーがいい流れで来てるんじゃないかな」

◆阪神4番大山悠輔内野手(28)は直近の6試合で5度目のマルチ安打を記録した。まずは1点を追う5回無死一塁、当たり損ねの三塁への打球が内野安打となり、この回2得点の逆転劇を誘導。1点リードの7回は先頭で巨人3番手鈴木の初球を引っ張り、三塁線を破る二塁打からこの回5得点を呼び込んだ。これで8戦連続安打と安定感が際立つ。

◆"恐怖の8番"で優勝マジック21だ。阪神木浪誠也内野手(29)が1点を追う5回に逆転タイムリー。7回にはプロ初の満塁弾で勝利を決定づけ、プロ初の6打点の大活躍で4度目の6連勝に貢献した。チームは貯金を今季最多の28に増やし、巨人から10個の荒稼ぎだ。パ・リーグではこの日、オリックスに優勝マジック24が点灯。1964年(昭39)の南海-阪神以来、59年ぶりに関西シリーズが実現する夢がふくらんできた。木浪の一振りでケリをつけた。1点リードの7回1死満塁。「細かいことは考えずに」と打席に臨んだ。この回から登板した4番手鈴木康と対峙(たいじ)。甘く入った3球目、135キロのスライダーを逃さなかった。その瞬間「行ったかも」と確信めいた打球は、右翼席へ一直線に飛び込んだ。今季385打席目で生まれた1号アーチは、勝利を決定づけるプロ入り初のグランドスラム。「あまり考えないで初球からいけた。ああいう形で打てたのは、すごく良かった」。満面の笑みで、かえした3走者とハイタッチを交わした。決勝打もこの男だった。1点を追う5回2死満塁。2番手船迫から逆転の2点タイムリーを中前に運んだ。今季の満塁打率は14打数7安打で驚異の5割。「(満塁時は)チャンスなので、積極的に行こうという気持ちしかない」。"恐怖の8番"は"満塁男"の異名も頂戴して絶好調だ。4回の第2打席でも左二塁打を放ち、トータル3安打6打点。97安打、打点35はいずれも5年目でキャリアハイとなった。29試合を残し、どちらも同期近本との「キナチカ」で活躍した1年目を超える好成績だ。「1年目を超えられたのはよかった」と語るが「(こだわりは)規定打席ですね」と満足はしていない。打率は2割9分。初の規定打席到達&3割のチャンスは逃さない。岡田監督も「まさかやな」と驚きの満塁弾だった。それでも「全然打順を上げるつもりもないし」と、今後も8番で固定起用し続ける方針だ。先発青柳も6回途中3失点と粘りを見せた一戦。「やっぱり先発もね、ずっと6回ぐらいまで投げてるし。打つ方とピッチャーが良い流れで来てるんじゃないかな」と、投打のかみ合いににんまりだ。球団新の東京ドームでの巨人戦6連勝。貯金は今季最多の28に増やしたが、うち巨人から10個の荒稼ぎだ。2夜連続のG倒で、チームは4度目の6連勝。優勝マジックは21に減らした。29日からは本拠地甲子園での戦いが再開。一気にカード3連勝を決め、最高の形で聖地に戻る。【波部俊之介】1964年(昭39)の御堂筋シリーズ セは阪神、パは南海(現ソフトバンク)が優勝を飾った。阪神は梅田、南海は難波と、大阪の北と南の中心地にターミナル駅を置いていた。この2駅を結ぶ大阪の大動脈から「御堂筋シリーズ」の異名を取った。2勝3敗と王手をかけられた南海は、外国人投手スタンカの、2日連続完封勝利の離れ業で、4勝3敗で日本一を達成した。関西にはセの阪神、パは南海のほか阪急、近鉄の4球団があったが、以後日本シリーズでの関西対決はなかった。

◆ビッグフライ、サトウサン! 阪神佐藤輝明内野手(24)が、秒速の先制15号ソロで打線を勢いづけた。0-0の2回の先頭打席。カウント2-2から巨人先発横川の143キロ直球を完璧に捉えた。外野手はほぼ定位置から動かず、G党もただ眺めるだけの弾丸打球は、右中間席中段に飛び込む120メートル弾となった。「追い込まれていましたが、強くスイングすることを意識していました。しっかり自分のスイングができたと思いますし、最高の結果になってよかったです」着弾まで約5秒の弾丸ライナー。エンゼルス大谷の代名詞となっている秒速のビッグアーチを見届けた場内は少し間を置いてざわめいた。ぼうぜんとする横川を横目に、佐藤輝は笑顔で生還した。牙をむいた規格外スラッガーの本領を、「伝統の一戦」で発揮した。指揮官のハッパにも応えた。前日25日も2安打2打点で勝利に貢献。だが、岡田監督は「もうちょっといい内容やったら、明日そのまま5番でいこうと思ってた」と左腕の今村相手に凡打した最後の打席内容を厳しく指摘。そして左腕が先発だったこの日の打順は5番から6番に降格。奮起を促された試合で課題の左腕を打ち、男の意地を見せた。指揮官は「5番でも打ってたかなあ。でも分からんわ、結局な」と苦笑いだったが、結果的に降格作戦がハマって目じりは下がる。もう左も苦にしない。23日の中日戦(京セラドーム大阪)では小笠原から14号。左投手からの1発は、昨季20本中5本。15本目で昨季と並ぶ5本目に到達し、この日も左腕を打ち砕いた。「右も左も打率はそんな変わらないけど、ホームランを打ったのはよかった」。7試合連続安打で、月間打率も3割台に上昇。「(打撃は)良い感じです。もっと打ちたいですね」。痛快G倒を演出した背番号8がさらなる爆発を誓った。【三宅ひとみ】

◆阪神・伊藤将司投手(27)が先発予定の27日の巨人戦に向けてショートダッシュやキャッチボールなどで調整した。「ドームは(ホームランが)入りやすいので、低めに丁寧に投げられたらいいなと思う」左腕は7月23日のヤクルト戦(神宮)から5連勝中。さらに巨人に対しては2021年7月10日(先発で4回6失点、甲子園)で黒星を喫したのを最後に、22年5月22日(完封、甲子園)から3完封を含む5戦5勝と好相性を誇る。今季の東京ドームでのラストゲームのマウンドに上がる伊藤将は「巨人打線も調子いいので、自分の投球をしていい形で終われたら」と気合を入れた。

◆両軍のスターティングメンバーが発表され、阪神は青柳晃洋投手(29)が今季初めて巨人戦で先発する。昨年の同戦では3勝0敗と結果を残した右腕が、今季初めてDeNA以外からの勝ち星を目指す。

◆巨人のヨアンデル・メンデス投手(28)が27日の阪神戦(東京D)での先発へ、先頭打者のアウトを自らに課した。「前回登板の反省点である先頭先頭打者に対して足らなかったことを、今週自分なりに練習してきた」前回20日の広島戦(マツダ)では、来日最短の2回2/3を4安打4失点でKO。毎回の先頭打者に四球、本塁打、四球を許し、リズムをつかめなかった。来日1年目の左腕は「2ストライクまでいくと、日本人のバッターは粘ってくる。できる限り初球からどんどんストライクを取って準備したい。要はコントロールだ」と課題を口にした。この日はキャッチボールなどで調整。海外でもチームメートだったことで仲のいいバルドナードとリラックスした表情を見せながら練習した。

◆阪神・森下翔太外野手(23)が一回、1死二塁で巨人の先発・横川から死球を受けた。4球目に投じた144キロ直球がユニフォームをかすめた。森下はリーグ単独トップとなる今季10個目の死球。23日の中日戦(京セラ)の試合後には、内角攻めについて「そこは意識しすぎてないというか。攻められるものだと思って打席に立っている。その中で当たれば次は投げづらくなる。全然当たっていいかなと思っています」と話していた。打線は続く大山、ノイジーが凡退し、先制のチャンスを逃した。

◆阪神は二回、佐藤輝明内野手(24)の15号ソロ本塁打で先制した。打った瞬間に柵越えとわかる豪快弾をたたき込んだ。巨人先発・横川の143キロ直球を捉え、打球は右中間スタンドへ一直線。2試合ぶりの一発でリードを奪い「追い込まれていましたが、強くスイングすることを意識していました。しっかり自分のスイングができたと思いますし、最高の結果になってよかったです」とコメントした。前日25日の試合では5番に入り、失策を帳消しにする2安打2打点の活躍。岡田監督は左腕の今村に打ち取られた第5打席を振り返り「左ピッチャーな、もうちょっといい内容やったら、明日そのまま5番でいこうと思ったけど、明日はやっぱり変えなあかんな」と語っていた。指揮官の言葉通り、この日は打順をひとつ下げて6番で出場。その最初の打席で大きな一発を放った。

◆阪神の先発・青柳晃洋投手(29)が1―0の二回に1点を失った。一回を三者凡退でスタートした青柳が二回にピンチを迎えた。先頭の岡本に四球を与えると、坂本に中前打、丸に右前打を浴びて無死満塁。ここで大城卓に左犠飛を浴びて同点に追いつかれた。なおも1死一、二塁でブリンソンを迎えたが、ここはツーシームで三ゴロ併殺に打ち取り、逆転は許さなかった。

◆阪神は1―1の四回、近本光司外野手(28)の適時打で1点を勝ち越した。勝負強さがまたも光った。2死一、三塁で迎えた第3打席。カウント2―2から横川のカットボールを捉え、打球を中前へ運んだ。悔しがる横川を横目に涼しい顔で一塁へ。この一打で打点を2021年に並ぶ自己最多の50打点に伸ばした。

◆阪神の先発・青柳晃洋投手(29)が2―1の四回、逆転の2ラン本塁打を浴びた。打線が四回に奪ったリードをすぐに吐き出してしまった。2死から坂本に左中間へ二塁打を許し、迎えた丸とのこの日2度目の対戦。2球目に投じたツーシームが甘く入った。森下と近本が懸命に追った打球は、右中間スタンドへ。青柳はマウンドで悔しさをにじませた。

◆巨人・丸佳浩外野手(34)が1点を追う四回、阪神・青柳から逆転の14号2ランを放った。2死から二塁打で出塁した坂本に続いて打席に入り、カウント0-1から、甘く入ったツーシームを豪快に振り抜いた。高い弾道で右中間席へ放り込むと、スタンドから大歓声が湧き上がる中、表情を崩さずダイヤモンドを1周。原監督らが腕で「〇」を作るお決まりの丸ポーズで出迎えた。25日の第1戦では2打席連続三振で途中交代させられていただけに、3試合ぶりの一発で存在感を誇示した。

◆阪神が2―3の五回、木浪聖也内野手(29)の2点適時打で逆転した。点の取り合いでも譲らないのが今の猛虎打線だ。この回先頭の森下が四球、大山が三塁への内野安打で無死一、二塁とし、ここで巨人の先発・横川が降板。代わった船迫にノイジー、佐藤輝が連続三振を喫したが、坂本が四球を選び2死満塁で木浪が打席に入った。3球目のスライダーにバットを伸ばし、打球は二遊間を破って中前へ。走者2人が生還して逆転に成功した。この試合の前まで満塁時の打率・417(12打数5安打)の満塁男の一打で、またもリードを奪った。

◆会心でなくとも、飛距離十分だった。体を駒のように回転させ、スタンドまで運んでいった。1点を追う四回2死二塁。巨人・丸佳浩外野手(34)が、阪神・青柳から2019年以来、4年ぶりのアーチとなる14号2ランをたたき込んだ。「浮いてきた球をしっかりと強くたたくことができた。いい結果になってよかった」1-2の四回2死二塁で回ってきた第2打席。変則右腕・青柳が投じた内角直球を振り抜いた。打った瞬間こそ、顔をしかめたが、大きな放物線を描いた打球は、G党の待つ右翼席に着弾。第1打席の右前打に続く、2打席連続安打で一振りで試合をひっくり返した。状態は上向きだ。左膝の蜂窩織(ほうかしき)炎から16日に復帰して以降は、20日までの5試合で9打数1安打。鳴りを潜めていたが、前カードのヤクルト戦(東京ドーム)からは5試合で3本塁打をマーク。7年連続で20本塁打を記録している強打者に快音が戻ってきた。プロ16年目の34歳。チームの中でもベテランの域に差し掛かっている。「僕はチームでも年齢が上の方なので、ある程度しっかりやらないといけない」。高卒3年目の秋広やドラフト4位・門脇(創価大)ら若手が台頭する中、主軸としての責任感は日に日に増している。原監督がハッパをかけて奮起を促していた背番号8が存在感を示した。(樋口航)

◆阪神の先発・青柳晃洋投手(29)は、4―3の六回途中4安打3失点でマウンドを降りた。今季初の巨人戦は粘りの投球が続いた。1―0の二回は無死満塁で大城に犠飛を許し、同点に追いつかれる。2―1と味方が勝ち越した直後の四回には、丸に逆転2ランを浴びた。打線は五回に逆転し、青柳は六回のマウンドへ。1死から岡本に死球を許し、2死二塁で丸との対戦を迎えたところで交代を告げられた。代わってマウンドに上がった桐敷拓馬投手(24)が丸を一ゴロに抑えてリードを死守。岡田監督の信頼厚い〝スペードのエース〟がまたも役割を全うした。

◆阪神・木浪誠也内野手(29)が4―3の七回1死満塁で右翼へ今季第1号の満塁本塁打を放った。〝満塁男〟の本領発揮だ。鈴木の2球目スライダーを一閃すると、打球が吸い込まれるように右翼スタンドへ消えた。この試合では五回にも満塁で2点適時打を放っており、満塁時の打率は・500(14打数7安打)。〝恐怖の8番〟が自己最多の6打点で、接戦だった試合の流れを一気にチームに持ってきた。

◆阪神は9―3の七回、救援陣が捕まって3失点を喫した。大量リードの直後に巨人打線の猛攻にあった。六回から続投した2番手・桐敷が1死満塁のピンチを招き、代打・中田が告げられたところで右腕の加治屋にスイッチ。しかし、押し出し四球を与えて1点を失い、4番手・岩貞がマウンドに上がった。岩貞は秋広を空振り三振に抑えたが、続く岡本には左中間へ2点適時二塁打を許して3点差とされた。なお2死二、三塁と続くピンチで坂本にも148キロ直球を捉えられたが、これは佐藤輝の正面。三直で難局を切り抜けた。

◆阪神が6連勝。五回2死満塁で逆転の2点打を放った木浪聖也内野手(29)が七回に1号満塁本塁打を右翼席に運んで1試合6打点の活躍。10本塁打目で初のグランドスラム。佐藤輝明内野手(24)が二回、今季自己最長の7試合連続安打を15号ソロで記録した。六回途中3失点の青柳晃洋投手(29)はDeNA以外から初白星で6勝目(4敗)。巨人戦は21年5月14日(東京D)から6連勝。九回を締めた岩崎優投手(32)は23試合連続無失点で26セーブ目を挙げた。また東京Dの年間6連勝(1分挟む)は球団初。マジックは1減の「21」。8月を18勝4敗としたチームは27日の20回戦で夏の長期ロードを終える。岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(成績=69勝41敗4分、観衆=4万1345人)。ーー木浪のホームランはまさか「まさかやな。最低でも外野フライは打ちよるなと思ってたけどな」ーー木浪は満塁でよく打つ(14打数7安打で17打点)「今年はキャンプの時も、練習試合とかでホームラン打っとったからな。でもシーズン入って、なかなか出ないなあっていうのをずーっと持ってたけどなあ。ゼロやったから。今日は一番いいとこで出たよなあ、そういう意味では」ーー打点も1年目を上回った。改めて今年の活躍は(97安打&35打点はキャリアハイ)「あっそう! 活躍ていうか、最初からポジション的に小幡と木浪で、8番というのをね。まず守りから入ったとこだから、打つの期待してないから、8番にしてるだけであって、でもあそこで打点とか、近本の打点が多いのも、そこからの起点やろねえ」ーー近本も50打点で自己最多に並んだ「あっそう、木浪というか8番バッターの出塁が大きいんやろなあ。ピッチャーがバントで送って、近本とかの打点というかなあ」ーー6番・佐藤輝のホームランもすごかった「どやろ、5番でも打ってたかなあ。あの初回(一回2死一、二塁で5番・ノイジーが遊ゴロ)、分からんわ、結局な」ーー最近、佐藤輝も四球を選んでいる「そらフォアボールは選ばんと。みんな選んでるんやから。1人だけ選ばんかったら、そら目立つやろ。今日も結構選んだんちゃうかフォアボール」ーー10個「10個! あっそう。今日、6回(打席が)まわって来てるやろ、近本とか。最後6違うた? 6やなあ。こんな時に中野とかがタコ(5打数1四球)はアカンわな。目立つよね。目立つというか、何かガックリ来るよな」ーー森下は10個目の死球「まあ、インコースに投げるからやろ」ーーうまく避けている「避けてるていうか、そら、お前、抑えようと思うて来よるんやから」ーー嫌な流れになりそうなところを八回に石井が抑えた「今日は桐敷が2イニング目な、ボールが高めなあ、左に2本ともちょっと高いのが浮いたからな。あんなの初めてやったな。今までずっとよかったけれど、満塁ホームランあったからな。あそこは余裕で、ある程度3点くらいまではって。そんなピッチャー使われへんし、岩貞で、タイムリーで2点くらい取られても切ってくれたからな、それは想定内よ。八、九回は石井と岩崎残ってるし、想定内よ。そういう意味でも木浪のホームラン大きかったな、満塁っていうのは」ーー東京ドームでは負け越しなし「あんまりそんなの、もう考えてないけどな。最後やから明日はな、伊藤やからな、ちゃんと投げるやろ、また」

◆阪神が6連勝。五回2死満塁で逆転の2点打を放った木浪聖也内野手(29)が七回に1号満塁本塁打を右翼席に運んで1試合6打点の活躍。10本塁打目で初のグランドスラム。佐藤輝明内野手(24)が二回、今季自己最長の7試合連続安打を15号ソロで記録した。六回途中3失点の青柳晃洋投手(29)はDeNA以外から今季初白星で、6勝目(4敗)。巨人戦は21年5月14日(東京D)から6連勝。九回を締めた岩崎優投手(32)は23試合連続無失点で26セーブ目を挙げた。また東京Dの年間6連勝(1分挟む)は球団初。マジックは1減の「21」。8月を18勝4敗としたチームは27日の20回戦で夏の長期ロードを終える。

◆巨人・岡本和真内野手(27)が2打点を挙げ、82打点とし、DeNA・牧を抜いて打点リーグトップに立った。七回2死満塁で迎えた第4打席。カウント1-0から岩貞のスライダーを完璧に捉え、左中間を破る2点二塁打を放った。反撃ののろしを上げる一打で3点差まで迫ったが、七回の5失点が響きあと一歩及ばず。試合には敗れたが、頼れる主砲が、34本塁打、82打点でリーグ2冠に躍り出た。

◆4位・巨人は1点ビハインドの七回に4番手・鈴木康が木浪に満塁弾を許して突き放された。2連敗で勝率は再び5割に。巨人・原辰徳監督(65)は投手陣が記録した計10四球(1死球)に「何という言葉で表現していいか分からないね...」と嘆き節だった。四球について「積極的な四球というのはあると思いますよ」とすべてを否定はしないながらも「でもやっぱり投手のエラーという四球もある。それをどういうふうにしっかりとバッテリー間は考えているか」と反省を促した。七回に2安打3四球で5失点した鈴木康へ、マウンドで交代を告げた際、厳しい表情で話しかけた。「カツを入れたのか」と報道陣から質問され、「東海グループ(国際武道大出身)で気心が知れているから。彼はとてもいいものを持っているから、それをここに出さなきゃと。カツは入れていないよ」と明かした。

◆現役時代は阪神、南海で活躍し、引退後は阪神で投手コーチやフロントでも尽力したサンケイスポーツ専属評論家の上田二朗氏(75)は10四球1死球を与えた巨人投手陣に巻き込まれる形で〝乱投〟の様相を呈した試合での阪神・岡田彰布監督(65)の采配を絶賛した。野球の難しさ、複雑さを感じさせる試合でもあった。巨人の投手陣のひどさ。あれだけ四球を連発していては、勝てるはずがない。現在の順位にいる原因が投手陣にあるのだろう。野球の難しさ、と表現したのは、相手投手が乱調だと、それに巻き込まれるケースがある。この日の阪神投手陣は私にはそう映った。調子自体は決して悪くないのに、相手のリズムの悪さにより乱れてしまった。桐敷がその典型。投げている球は心配いらないが、リズムに乗れず先頭打者への四球から失点してしまった。ただ心配はいらない。次回登板に影響はないだろう。唯一の心配は加治屋(七回1死満塁で押し出し四球)。球の軌道が全く安定していなかった。キレもなかった。四球を与えただけで交代させた岡田監督はさすがだ。続投させて立ち直りを期待するのではなく、岩貞を投入して、相手の勢いを止めることを優先させた。豊富な救援陣が揃っているからできる継投ではあるが、最少失点に抑えるには、どの継投が正解かを瞬時に見極める判断力は群を抜いている。九回に試合が終わった時に、1点でリードしていればいい、というのが岡田野球の基本的な考え方。実績が十分でも「状態は良くない」と感じたら、打者1人に投げただけでも代える決断力を持っている。〝乱投〟の試合だったが、岡田采配の冴えは変わることはなかった。

◆力強い弾道で右中間席へと突き刺した先制ソロで、新人年から3年連続15本塁打に到達した。阪神・佐藤輝明内野手(24)が球団新人では田淵幸一(1969年-78年)以来、2人目の快記録を達成。価値あるアーチをかけて乱打戦の勝利に貢献し、虎の歴史にも名を刻んだ。「先制点だったので、よかったです。(対戦する投手は)右も左も打率はそんなに変わらないと思うんですけど、やっぱりホームランを打てたのでよかったと思います」虎党を熱狂させた一撃を、試合後は冷静に振り返った。0-0の二回先頭でカウント2-2から左腕・横川の内角への143キロ直球をガツンと弾き返し、主導権を握った。この日の安打は23日の中日戦(京セラ)以来2試合ぶりの本塁打のみだったが、七回の第4打席は四球を選んでビッグイニングを演出し、八回のも四球で出塁した。ド派手な活躍に加え、選球眼でも渋い働き。今季最長の7試合連続安打とし、「いい感じできている」とうなずいた。若き大砲は助っ人にも積極的に話しかけ、仲間の絆を強めてきた。練習開始前のアップや試合開始前のシートノックの合間にミエセスが歩いていると、まずはあいさつ。「ケロケ?」ドミニカ共和国特有のあいさつで「元気?」「調子どう?」という意味。佐藤輝自身が助っ人砲と会話するため、周囲に言葉の意味や単語を学びながら、距離を縮めている。日々の小さな積み重ねがベンチの一体感につながり、乱打戦を制する原動力になった。前日5番から6番に〝降格〟させた岡田監督は「どうやろ、5番でも打ってたかなぁ。あの初回、でも分からんわ、結局な」と辛口評価?も、2四球は「そら、フォアボールは選ばんと。みんな選んでるんやから。1人だけ選ばんかったら、そら目立つやろ」とうなずく。もちろん、愛情の裏返し。だからこそ佐藤輝は「もっと打ちたいですね」と気合を込めた。すべてはアレへの通過点。ガンガン打ちまくって、快進撃を支える。(新里公章)

◆先発の阪神・青柳は六回途中4安打3失点で6勝目。2―1と味方が勝ち越した直後の四回、丸に逆転2ランを浴び「自分の調子は悪くなかったですけど、結果的にはよくなかった」と失点の仕方を反省した。4―3の六回2死二塁、丸を迎えたところで降板。代わった桐敷が一ゴロに仕留めてリードを守り「1点差だったので、キリ(桐敷)がああやって抑えてくれたことで、きょう勝てた」と感謝した。

◆3点リードの九回に3試合ぶりに登板した阪神の守護神・岩崎は危なげなく三者凡退で試合を締めた。「(抑えられて)よかったです」。梶谷、中田翔をいずれも直球で打ち取ると、最後は代打・長野をチェンジアップで右飛に仕留めて26セーブとし、リーグ2位の中日・マルティネスに並んだ(1位はヤクルト・田口の29)。23試合連続無失点と抜群の安定感を誇る左腕は「1試合1試合みんなで頑張っていきます」と力を込めた。

◆阪神・石井が9―6の八回に登板し、無失点で乱打戦を落ち着かせた。代打・北村に中前打を許したが、岸田を149キロで遊ゴロ併殺。中山に右翼へ二塁打を浴びたものの、続く重信を遊ゴロに抑えた。「相手も八回を切り抜けて、試合展開的には嫌な予感は多少あったんですけど。なんとか自分ができること、と思って投げました」。7試合連続無失点と好リリーフを続けている。

◆最強の8番! 阪神は巨人を9-6で下し、今季4度目の6連勝。貯金は今季最多の28で、優勝へのマジックナンバーを21とした。8番・木浪聖也内野手(29)が七回に放った今季1号の満塁弾を含む自身初の1試合6打点。満塁男ぶりを発揮し、東京ドーム6連勝を決めた。パ・リーグ首位のオリックスにもM24が点灯。関西2球団Vが現実味を帯びてきた。きれいな放物線を描いて、白球が右翼スタンドに消える。ベースを一周する手前で、木浪が満開の笑顔を咲かせた。最強であり最恐の8番の今季1号は試合を決める満塁弾。プロ5年目で初のグランドスラムで、満塁男として本領を発揮した。「打った瞬間『いったかも』っていう感じだった。打つって決めて、積極的にいけた結果。本当によかったです」劇弾は4―3で迎えた七回1死で生まれた。「積極的にいこうという気持ちしかない」と、鈴木の2球目、スライダーを一閃。シーソーゲームにピリオドを打つどころか、大勢が決したかのような一打で、虎党からの大歓声を独り占めした。2―3の五回には、2死満塁で二遊間を破る逆転の2点打。自己最多の6打点をたたき出し、満塁打率は・500(14打数7安打)と恐ろしい。球団が18年ぶりの優勝を果たした2003年には、このポジションに藤本敦士(現1軍内野守備走塁コーチ)がいた。8番で球団最多の118試合に先発し、121安打を放って打率・301を記録。20年が経過し、木浪が登場。27日にも8番で100試合先発出場を飾る見通しで、まだ30試合弱を残して藤本の36打点に迫る35打点。つなぎ役として、近本ら上位打線の打点増も導き、陰のMVPの貢献度だ。

◆痛みにも、執拗な内角攻めにも屈しない。何度ボールを当てられようとも歯をぐっと食いしばって一塁へと向かうド根性の阪神・森下翔太外野手(23)に怖いものはない。死球の後には快音を響かせてクリーンアップとして働きを見せた。「もともとデッドボールは当てられやすい方だったので、(中央)大学時代から。そこの慣れというのはあるので」一回1死二塁。前夜に2ランを放っているルーキーに対し、巨人バッテリーは警戒を強めた。左腕・横川の4球目、内角の直球がユニホームをかすめる。リーグ単独トップの10死球で、球団新人では1969年の田淵幸一の9個を抜き歴代最多となった。257打席目での記録更新。「(死球が)10個ということはインコースを攻められているということ。相手から警戒されるバッターに少しずつなっているのかな」と前向きだった。6月23日に再昇格するまでは2軍で打撃フォーム改良に取り組んだ。投手からの厳しい内角攻めに苦しみ、生き抜く術を模索した。降格前は振り出すタイミングで右肩にバットを寝かせるように構えていたが、インコースのボールに対応できるようにバットを垂直気味に構えるような構えに変更。内角球をさばきやすくするのと同時に、死球対策のためでもあった。七回には2死一、二塁で今村から中前への適時打を放てば、九回にも投手強襲の内野安打でマルチ安打。4試合連続安打と、死球を食らっても勢いは止まらない。「センター返しができているというのが一番。好調の要因かなと思う」これまでに受けた10個の死球は投手から逃げなかった勲章でもある。森下はこれからも強気にバットを振り、大胆不敵に突き進む。(織原祥平)

◆阪神・近本が3年目の2021年にマークしたシーズン自己最多の50打点に並んだ。1―1の四回2死一、三塁で、横川のカットボールを中前へ。一時勝ち越しの適時打となった。「連打で作ったチャンスでしたし、どんな形でもランナーをかえしたいという気持ちでした」リーグトップの得点圏打率も再び4割にのせる(・400)など、勝負強さは群を抜く。岡田監督は近本の打点の多さについて「やっぱり木浪というか、8番バッターの出塁が大きいんやろなあ。投手がバントで送って、近本が打点というかなあ」と〝分析〟した。この日は同じ左投げ左打ちの外野手とあって、プロ入り後からお手本にしている大島(中日)が通算2000安打を達成。大学社会人出では最速で達成した〝先輩〟が、次は近本と言っていると伝え聞くと「そうなんですか。(モチベーションに)なったりするのかな」とニヤリ。今はアレのために、好機で放つことしか頭にない。(三木建次)

◆七回1死満塁。木浪のドッカ~ン1号で東京ドームの虎党は狂喜乱舞だった。この満塁ホームランは永遠に記憶に残るだろう。伏兵のグランドスラムが、18年ぶりの「アレ」への期待を確信に変えてくれた...。こんなシーン、遠い昔にあったよな。1985年10月10日。甲子園。18年ぶりの優勝にばく進するタイガースの相手はヤクルト。3点リードの八回に飛び出したのが、伏兵・平田勝男(現ヘッドコーチ)の満塁ホームランだった。熱狂的な虎党が酔いしれた。叫んだ。平田が満塁ホームランを打つんやから、もう優勝や!令和のいま。木浪が満塁ホームランを打つんやから、もう間違いない?!マジックは1つ減って「21」や!京セラドーム。オリックスは延長十二回を戦ってスコアレスドロー。その瞬間に、こちらもマジックが点灯した。「24」いよいよ、パ・リーグもゴール地点がおぼろげに見えてきた。思い切りハシャギましょうか。関西の野球ファンが夢にまで見た「関西ダービー」の日本シリーズに、一歩も二歩も近づいているのだから。いま、騒がずして、いつ、騒ぐんだ!!過去、関西のチーム同士の日本シリーズはたったの一度。阪神タイガースvs南海ホークス。1964年のこと。東海道新幹線が開通し、1度目の東京五輪が開催された年だった。あの年、セ・リーグは大混戦。阪神は「負ければ終戦」という危機を何度も乗り越え、奇跡の大逆転Vを決める。優勝決定は9月30日。中日とのダブルヘッダーの1試合目に、ようやく...。この「9・30」でセの全日程が終了。シーズン最後の日に優勝が決まったのだった。試合後、阪神ナインは、甲子園球場内の喫茶に集まって、ビールやジュースで乾杯して、ささやかに2年ぶりの優勝をたたえ合った。

◆カキーン!! 恐怖の8番打者、木浪が東京ドームで巨人のお株を奪う満塁ホームランを含む3安打6打点。ご立派!!前日の8得点、そして本日は9得点した猛虎打線におびえる巨人投手陣...。その証拠に、与えた四死球は11個だってんだから阪神は強すぎる!! 来季からチームごとエンゼルスに移って、大谷くんと一緒に世界一を目指したろかー!!(というくらい調子に乗っていま~す♪)こんなに強いんだったら、さらに欲深くなってやるー!! 26日現在、セ・リーグの3割打者はわずか3人、その中になぜか阪神の顔がいないんです。近本も中野も大山も木浪も、2割9分台なのだ!! よって、アレ(優勝)はもう当確だろうから、近本、中野、大山、木浪の『打率3割カルテット』を成し遂げるんや!! そして、4人の頭文字をとった『中近大木』(長打が少なくても大きな勝利をつかめるという意味)の四字熟語を永久に残そうじゃないの。第3戦の先発は伊藤将ね。『伊藤完全』も、いいじゃない!!

◆競った展開の勝負どころで、1点を守り切れずに負けの流れにはまるか。守り切って勝ちの流れに乗るか。巨人と阪神の差は、やはりリリーフ陣。出てくる投手の防御率があれほど違えば、結果も数字通りになる。その明白さに関してはトドメを刺されたね。いっそのこと、思い切ったらどうだろう。中日が25日のDeNA戦でみせた。2-8とリードされた九回に4番手の近藤が10失点。勝ち試合用のリリーフしか残っていなかったため、最後までいかせたという。巨人も、リリーフに経験を積ませて育て上げるという意味で、もっと長く投げさせてもいい。短いイニングで細かくつないでも、どうせどこかで誰かがつかまる。また駄目だったか...で終わっていては、明日につながらないのだから。もちろん、それ以前に先発も長く投げさせないと。この日の横川のように、1点のビハインド程度では代えない。それこそ、10点くらい取られてこい、とね。育てることに目を向ける、転換期ではないかな。(サンケイスポーツ専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
69414 0.627
(↑0.003)
M21
(↑1)
29449
(+9)
347
(+6)
61
(+2)
60
(-)
0.250
(↑0.001
2.710
(↓0.03)
2
(-)
広島
63503 0.558
(↑0.004)
7.5
(-)
27413
(+7)
406
(+6)
79
(+2)
66
(-)
0.246
(↑0.002)
3.150
(↓0.01)
3
(-)
DeNA
57543 0.514
(↑0.005)
12.5
(-)
29419
(+2)
401
(-)
79
(-)
23
(+2)
0.250
(-)
3.230
(↑0.03)
4
(-)
巨人
56561 0.500
(↓0.005)
14
(↓1)
30439
(+6)
425
(+9)
135
(+1)
40
(-)
0.257
(-)
3.620
(↓0.05)
5
(-)
ヤクルト
47652 0.420
(↓0.003)
23
(↓1)
29422
(+6)
457
(+7)
97
(-)
55
(-)
0.239
(↑0.001)
3.740
(↓0.03)
6
(-)
中日
41693 0.373
(↓0.003)
28
(↓1)
30318
(-)
409
(+2)
50
(-)
30
(-)
0.240
(-)
3.280
(↑0.02)