阪神(☆4対3★)ヤクルト =リーグ戦18回戦(2023.08.12)・京セラドーム大阪=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789101112
ヤクルト
0101100000003710
阪神
200001000001X4900
勝利投手:馬場 皐輔(2勝0敗0S)
敗戦投手:田口 麗斗(1勝3敗27S)
  DAZN
チケットぴあ 阪神戦チケット予約 ヤクルト戦チケット予約
◆阪神が熱戦を制した。阪神は1点を追う6回裏、坂本のスクイズで同点とする。そのまま迎えた延長12回には、佐藤輝の犠飛でサヨナラ勝利を収めた。投げては、7番手・馬場が今季2勝目。敗れたヤクルトは10回に1死満塁の好機をつくるも、あと1本が出なかった。

◆また出た! いきなり出た! 阪神近本光司外野手(28)が、好守で先発青柳の立ち上がりを助けた。初回1死。ヤクルト武岡の飛球は中堅右奥へ。近本は最短距離で背走すると、最後はグラブを目いっぱい伸ばしてキャッチした。昨年12月には故郷淡路島で自主トレをともにした後輩の大飛球を好捕。先輩の実力を見せつけた。

◆上新電機株式会社が協賛した「Family with Tigers Day×Joshin」のイベントの一環で、NMB48キャプテンの小嶋花梨(24)が始球式に登場した。選手らと同じファミリーデーのユニホームを着てマウンドに向かい、昨年に続いて惜しくもワンバウンドの投球。小嶋は「ドキドキしてて、床がフワフワ浮いてるみたいで、ずっと緊張してました」。点数については「80点です。今日は(コースが)真っすぐはいったんですけど、距離が足りなかったので、80点でした」と笑顔で振り返った。8連勝中の阪神に向けては「9連勝を期待して応援しています。『アレ(=優勝)』も応援してます」とエールを送った。なお、今月7日に同グループの卒業を発表したばかりの渋谷凪咲(26)が、13日の始球式に登場する。

◆阪神大山悠輔内野手(28)の粘りに粘った末に先制点を生み出した。初回1死二、三塁。ヤクルト先発に9球投げさせた末の10球目だった。遊ゴロの間に三塁走者近本が生還。相手が前進守備を敷いていなかった中、きっちりと最低限の仕事を果たしてみせた。さらに佐藤輝明内野手(24)が四球でつなぎ、2死一、二塁で6番シェルドン・ノイジー外野手(28)が右前適時打。初回から2点を奪った。

◆阪神青柳晃洋投手(29)が、押し出し四球で1点を失った。2点援護をもらった直後の2回。2死満塁で迎えたのは、9番投手のサイスニードだった。フルカウントから、最後は外角に142キロが外れた。投手へのまさかの押し出し四球に、京セラドーム大阪はため息に包まれた。その後、並木は右飛に仕留め、1失点でしのいだ。

◆阪神森下翔太外野手(22)が、果敢な走塁を見せるも、タッチアウトとなった。1点リードの3回2死一、二塁。中越えの二塁打で出塁した二塁走者森下は、6番ノイジーの打席で狙った。ヤクルト・サイスニードの変化球がバウンドすると、三塁へ激走。ヘッドスライディングするも、三塁村上がタッチした。結果はアウト。この時、森下の頭が、村上の腹とぶつかり、ヘルメットが脱げた。岡田監督がリクエストを要求するも、判定は覆らなかった。

◆阪神青柳晃洋投手(29)が、自らのミスで同点に追いつかれた。1点リードの4回2死三塁。ヤクルト長岡への初球だった。133キロ変化球を引っかけ、左打者長岡の背中側へ投じる暴投。三塁走者の生還を許した。2回には押し出し四球で1点を失っていた。4回を終え73球と球数もかさんでいる。

◆阪神森下翔太外野手(22)が「土手キャッチ」を決めた。同点の5回1死一、三塁の右翼守備。ヤクルト宮本の右中間への飛球にダッシュし、最後はグラブを伸ばしてキャッチ。ボールはグラブの「土手」部分に収まった。犠牲フライとなり三塁走者が生還。勝ち越しは許したものの、最少失点で切り抜けた。

◆阪神青柳晃洋投手(29)が、5回5安打3失点で降板した。直球は自己最速タイの149キロを計測しながら、3四死球と制球面で課題を残し、球数は5イニングで94球まで達した。味方打線が初回に2点を先取したが、2回に単打2本と四球で2死満塁のピンチを招き、投手サイスニードにまさかの押し出し四球を与えて1点を献上。2回までで球数は44球を数え、4回は2死三塁から長岡へ投じたボールが足元付近の背後を通過する暴投で、同点を許してしまった。5回は1死一、三塁から宮本に右犠飛を許し、勝ち越しを許した。5回の打席で代打を送られ、マウンドを降りた。青柳は球団を通じて「野手のみんなに取ってもらったリードを守り切ることができず、不甲斐ない投球になってしまいました」とコメントした。

◆阪神岩崎優投手(32)が、延長10回を無失点でつないだ。桐敷、岩貞、加治屋とつないできた中継ぎリレーの中、5番手で登板。安打と2つの四球で1死満塁としたが、代打山田を3球で見逃し三振、7番中村は空振り三振に仕留めた。これで18試合連続無失点。6月17日ソフトバンク戦で3失点を喫してからは約2カ月、無失点投球が続いている。連続試合セーブは「7」で止まったものの、きっちりと仕事を果たした。

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が、15打席ぶりに安打を放った。延長10回、ヤクルト阪口から右前打を放った。今試合は1打席目から四球→三振→四球→三振と続いていたが、5打席目で快音を響かせた。

◆阪神鉄壁の投手陣を前に、ヤクルトスタンドから珍コール? が響いた。延長12回表1死。3番宮本の打席で「何でもいいから塁に出ろ!」とスタンドから声が飛んだ。ヤクルト打線は、7回以降1安打だった。しびれを切らしたファンから、ゲキが飛んだ。

◆阪神岡田監督が、最後まで気を緩めなかった。延長12回表2死。ヤクルト4番村上に対し、3ボール1ストライクとなった時点で、申告敬遠を選択。直後、及川雅貴投手から馬場皐輔にスイッチした。"最後の1人"となった塩見を遊ゴロに仕留め、6人のブルペン陣による無失点リレーが完結した。

◆首位阪神が延長12回、今季7度目のサヨナラ勝ちを収め、連勝を今季最長タイの「9」に伸ばした。シーズン2度の9連勝は、直近では19年の広島以来。球団では37年秋の14連勝、9連勝の2度以来、86年ぶり2度目だ。2リーグ制後では初となった。延長12回、先頭中野が左中間への二塁打で出塁。続く森下が四球を選び、大山が右前打でつないで無死満塁のビッグチャンスをつくった。そして佐藤輝が2ボールから田口の3球目をたたき、打球は右中間へ。中堅塩見が捕球し、三塁走者が悠々と本塁へ。若き主砲の中犠飛で最後を締めくくった。佐藤輝のサヨナラ打はプロ3年目で初めて。夏の長期ロード9連勝は藤本定義監督時代の1968年(昭43)を超える球団記録となった。2位広島が敗れたため、2位とのゲーム差を今季最大の7に広げた。今季最多を更新する貯金「23」は、08年最終戦の10月12日以来、15年ぶり。今季最長の6カード連続勝ち越しも決めた。初回に2点を先制したものの、先発青柳晃洋投手(29)が逆転を許し、5回3失点で降板。1点ビハインドの6回、坂本誠志郎捕手(29)がスクイズ成功(記録は犠打野選)。試合を振り出しに戻し、中継ぎ陣も耐え、サヨナラ劇につなげた。「8月12日」は特別な1日だ。球団社長の中埜肇氏が搭乗していたJAL123便、ジャンボ機が群馬県の御巣鷹山に墜落したのが38年前の8月12日。球団初の日本一になった1985年(昭60)のことだ。この年、選手会長を務めていたのが、岡田監督だ。時を経て、2度目の阪神監督に就任した今季、優勝争いの先頭を走っている。18年ぶりのリーグ優勝、そして85年以来の日本一へ。かつての球団社長にささげる白星にもなったはずだ。優勝へのマジックナンバーは最短で15日に点灯する。阪神が延長12回サヨナラ勝ちで今季2度目の9連勝。夏の長期ロード期間では藤本定義監督時代の1968年(昭43)年の8連勝を抜き球団最長となった。シーズン2度の9連勝は19年の広島(11連勝と9連勝)以来だが、阪神では37年秋に14連勝(9月8日~10月4日)と9連勝(10月20日~11月2日)以来、86年ぶり2度目。2リーグ制後は初めてだ。37年は春にも9連勝(6月11日~23日)を記録しており、年間3度の9連勝があった。

◆延長12回に守護神田口が打たれ痛い連敗となった。7回以降はこの日、守備位置を4度(左→一→右→左→右)替えた3番宮本の1安打のみ。3得点も適時打なしだった。高津監督は「競った展開で頭一つ抜け出せるか。そこが難しかった」と前夜に続き1点差での敗戦を悔やんだ。自身も守護神だった経験から午後11時過ぎに登板した田口について「23時に登板することは難しいことではないが、田口は責められない」と語った。

◆阪神が劇的なサヨナラ勝ちで今季最長タイの9連勝だ。3-3の延長12回無死満塁。佐藤輝明内野手(24)が中犠飛を打ち上げ、今季両リーグ最長5時間16分の大激闘に終止符を打った。佐藤輝のサヨナラ打はプロ3年目で初めて。不振で2軍落ちも味わった大砲が、最高の結果で負けない虎を体現した。夏の長期ロード9連勝は球団新記録で貯金は今季最多の23。敗れた2位広島との差も今季最大の7に広げ、いよいよ独走態勢だ。深夜のお立ち台、囲み取材での佐藤輝の一問一答は以下の通り。【お立ち台】-勝利した「試合を勝ちで終わらすことができてよかったです」-初サヨナラ打「今まで何回かチャンスがあって無理だったので、よかったです」-どんな思いで打席に「みんなでつないでもらったので、あとは決めるだけというところで入りました」-打った感じは「犠牲フライで十分だったんで、最高の結果だと思います」-みんなの祝福は「うれしかったですけど、前のバッターがつないでくれたので、決められたと思います」-5時間超え「遅くまで残っていただいて、その声援がパワーになりました。ありがとうございます」-9連勝「12回の攻撃のように、みんなでつないで得点ができているので、よかったです」-日々、どんな意識で「一番は勝つつもりでやってます」-ファンへ「明日も熱い応援よろしくお願いします」【囲み取材】-いつかかけられたいと言っていたウォーターシャワー「いやもう、これ以上ない形で回ってきたので、最低限という気持ちでいきました」-あの場面は回ってこいと「そうですね。でも本当に、みんなでつないでくれたので、最後決めるだけだったので」-苦しい試合が続いていだが、10回にヒットが出て気持ちが楽に「そうですね、でも最後はそんなこと言ってられないので、気持ちで打ちました」-どんな気持ちで打席に「ある程度外野フライというのはありましたけど、しっかり前に飛ばしてというのは思ってました」(自ら)「あざした! おやすみなさーい」

◆/夏の夜長も止まらない!\今季最長5時間20分超えの熱戦は佐藤輝明がプロ初のサヨナラ打で決めた????ロード9連勝の新記録???プロ野球(2023/8/12)??阪神×ヤクルト??Live on #DAZN#DAZNプロ野球 pic.twitter.com/QzX2WfQ0HX

◆首位阪神が延長12回、今季7度目のサヨナラ勝ちを収め、連勝を今季最長タイの「9」に伸ばした。12回無死満塁から佐藤輝明内野手(24)が中犠飛で試合を決めた。試合後の岡田彰布監督(65)の一問一答は以下の通り。(テレビインタビュー)-今季最長5時間16分の試合を勝ちきった。今の気持ちは「いやいや、長かったなと思ってますよ」-心地よい疲れ「いやいや、心地はよくないですね」-今日の試合のポイントは「ポイント...、ポイントはどこか分からないですね(笑い)。ポイントは。もうね、序盤はもう、あんま覚えてないですね」-初回は大山の内野ゴロの間、6回は坂本のスクイズで得点。攻撃陣は「いやいや、まあ、今日はそんなね、昨日もタイムリー出なかったけど、今日はヒットもそんなに出なかったし、まあ、ね。裏だからまず同点っていうのはあったんでね。その辺からですね、膠着(こうちゃく)したのは」-延長12回は中野が出て佐藤輝が決めた「いやいや、もう負けはないんで。別に引き分けでもいいし。楽なもんですよ、それは。それは勝ちにつながってね、中野の二塁打で、あ、これはいけるなっていう感じになりましたね」-先発青柳の後、リリーフ6人が無失点「いやいや、それはもう今日は桐敷も2回だし、及川もあそこよくね。最初から(村上に)申告敬遠はちょっと悪いかなと思ったから。予定通りですけどね。それは先発が早かったからね、それは」-9連勝について「いやいや、別に何とも思ってないですよ。毎試合毎試合勝つためにやってるだけで。積み重ねですからね」-明日は伊藤将司「いやいや普通にやるだけですよ。普通にやろうと。それだけやから」(囲み)「(記者が原稿の締め切り時間に)もう間に合わんやろ。もうええやん。間に合わんやろ」-同点のスクイズのサインは出しにくい「いやいやそんなことはないよ。最初からもう」-まず追いつく「そうそうそう。昨日も言ったけど久々後攻やから。助かったわ、(木浪が)ゲッツーでな。桐敷が2イニングいけたからな。あのゲッツーが一番大きかったなあ。1人足らんところや、ピッチャー。その時点では12回いくと思ってないけどな」-青柳は5回で代えた「もういっぱいよ。そんなん全然」-点の取られ方が悪い「悪いというか、ピッチャーの(サイスニードに対しての)押し出しとワイルドピッチじゃのお」-青柳の次回は「分からん、そんな分からへん。(先発)ピッチャー余ってるのに、投げるの待ってるんやから。今日みたいなピッチングしてたらあかんわな、当然」

◆ウオーターシャワーが身に染みた。みんなが駆け寄ってきた。今季12球団最長5時間16分ゲーム。延長12回無死満塁、佐藤輝明内野手がプロ初のサヨナラ打となる犠飛で決着をつけた。「これ以上ない形で回ってきたので、最低限という気持ちでいきました。気持ちで打ちました」2ボールから、捉えたのはヤクルト田口の速球。右中間最深部へ運び、犠牲フライには十分な飛距離だった。「最高の結果だと思います。試合を勝ちで終わらせることができてよかった」。ヒットでもホームランでもない。それでも誇らしい。「前のバッターがつないでくれたので決められた」と、一丸となって戦った仲間に感謝しきりだった。忘れられない光景がある。プロ1年目の21年9月4日の巨人戦。左翼へ伸びる大山の放物線に目を奪われた。逆転サヨナラ2ラン-。甲子園のネクスト・ボックスから見たそれは、かっこよかった。ナインにもみくちゃにされた背番号3の背中。お祭り騒ぎの甲子園。「うわっ、すごいなって...」。プロ野球の醍醐味(だいごみ)を教えてもらった夜だ。自分もその歓喜を味わいたい。「サヨナラ打はいつか打ってみたい」と言ってきた。延長10回、自身15打席ぶりの安打となる右前打で視界も開けた。2試合ぶりに6番から5番に座ったゲームでプロ初のサヨナラ打。「遅くまで残っていただいて、その声援がパワーになりました」。午後11時半前のお立ち台で、ファンに感謝を込めた。サヨナラ勝ちは7度目でチームは今季最長タイの9連勝。今季最長の6カード連続勝ち越しを決め、貯金も最多で08年以来15年ぶりの「23」に増やした。岡田監督は「いやいや、別に何とも思ってない。毎試合毎試合勝つためにやっているだけで、積み重ねですからね」と言った。積み重ねた末に、シーズン2度の9連勝は2リーグ分立後、球団初だ。夏の「長期ロード」9連勝も球団新記録。2位とのゲーム差を今季最大の7に広げたヒーローは「あざした! おやすみなさい!」と取材を締めた。これが猛虎だ。強い。【中野椋】

◆輝が決めた! 阪神が劇的なサヨナラ勝ちで今季最長タイの9連勝だ。3-3の延長12回無死満塁。佐藤輝明内野手(24)が中犠飛を打ち上げ、今季両リーグ最長5時間16分の大激闘に終止符を打った。佐藤輝のサヨナラ打はプロ3年目で初めて。不振で2軍落ちも味わった大砲が、最高の結果で負けない虎を体現した。夏の長期ロード9連勝は球団新記録で貯金は今季最多の23。敗れた2位広島との差も今季最大の7に広げ、いよいよ独走態勢だ。ウオーターシャワーが身に染みた。みんなが駆け寄ってきた。今季12球団最長5時間16分ゲーム。延長12回無死満塁、佐藤輝がプロ初のサヨナラ打となる犠飛で決着をつけた。「これ以上ない形で回ってきたので、最低限という気持ちでいきました。気持ちで打ちました」2ボールから、捉えたのはヤクルト田口の速球。右中間最深部へ運び、犠牲フライには十分な飛距離だった。「最高の結果だと思います。試合を勝ちで終わらせることができてよかった」。ヒットでもホームランでもない。それでも誇らしい。「前のバッターがつないでくれたので決められた」と、一丸となって戦った仲間に感謝しきりだった。忘れられない光景がある。プロ1年目の21年9月4日の巨人戦。左翼へ伸びる大山の放物線に目を奪われた。逆転サヨナラ2ラン-。甲子園のネクストバッタースサークルから見たそれは、かっこよかった。ナインにもみくちゃにされた背番号3の背中。お祭り騒ぎの甲子園。「うわっ、すごいなって...」。プロ野球の醍醐味(だいごみ)を教えてもらった夜だ。自分もその歓喜を味わいたい。「サヨナラ打はいつか打ってみたい」と言ってきた。延長10回、自身15打席ぶりの安打となる右前打で視界も開けた。2試合ぶりに6番から5番に座ったゲームでプロ初のサヨナラ打。「遅くまで残っていただいて、その声援がパワーになりました」。午後11時半前のお立ち台で、ファンに感謝を込めた。サヨナラ勝ちは7度目でチームは今季最長タイの9連勝。今季最長の6カード連続勝ち越しを決め、貯金も最多の23に増やした。岡田監督は「いやいや、別に何とも思ってない。毎試合毎試合勝つためにやっているだけで、積み重ねですからね」と言った。積み重ねた末に、シーズン2度の9連勝は2リーグ分立後、球団初だ。夏の「長期ロード」9連勝も球団新記録。2位とのゲーム差を今季最大の7に広げたヒーローは「あざした! おやすみなさい!」と取材を締めた。これが猛虎だ。強い。【中野椋】阪神が延長12回サヨナラ勝ちで今季2度目の9連勝。夏の長期ロード期間では藤本定義監督時代の1968年(昭43)年の8連勝を抜き球団最長となった。シーズン2度の9連勝は19年の広島(11連勝と9連勝)以来だが、阪神では37年秋に14連勝(9月8日~10月4日)と9連勝(10月20日~11月2日)以来、86年ぶり2度目。2リーグ制後は初めてだ。37年は春にも9連勝(6月11日~23日)を記録しており、年間3度の9連勝があった。阪神の優勝マジック点灯は最短15日で変わらず。13日に阪神が勝ち、広島が負け、15日の直接対決で阪神が勝てばマジック29が点灯する。

◆阪神中野拓夢がサヨナラ劇の口火を切った。延長12回。先頭で左中間へ二塁打で出塁した。「自分が出るか出ないかでは雰囲気が違う。どんな形でも塁に出ようと思っていた」と、意地を込めた。初回は右前打で先制劇につなげた。打率2割9分7厘で3割目前。虎のつなぎ役が頼もしい。ノイジーが出場7試合ぶりの適時打を含むマルチ安打と奮起した。「6番左翼」で出場。1点を先取した直後の初回2死一、二塁から、サイスニードの151キロ直球を逆方向にはじき返し、3試合連続ヒットとなる右前打で二塁走者をかえし、2点目をたたき出した。「いい形で追加点が取れてよかったし、チームに貢献できてうれしいね」。6回1死一塁からは中前打を放ち、直後の坂本のスクイズにつなげた。

◆阪神が劇的なサヨナラ勝ちで今季最長タイの9連勝だ。3-3の延長12回無死満塁。佐藤輝明内野手(24)が中犠飛を打ち上げ、今季両リーグ最長5時間16分の大激闘に終止符を打った。夏の長期ロード9連勝は球団新記録で貯金は今季最多の23。敗れた2位広島との差も今季最大の7に広げ、いよいよ独走態勢だ。阪神岡田彰布監督(65)が粘りの継投で延長12回サヨナラ勝ちにつなげた。今季最長の5時間16分の死闘を終え「長かったなと...もうね、序盤は、あんま覚えてないですね。ポイントはどこか分からないですね。いやいや(12回表終えて)もう負けはないんでね。別に引き分けでもいいし」と苦笑いした。先発青柳が5回94球で3失点とピリッとせず1点リードされた6回から継投策に入った。「今日は桐敷も2回だし、及川もあそこよくね」とイニングまたぎをした2人をほめた。桐敷がまず6回を無失点に。その裏、同点に追いつきなおも1死一、三塁のチャンスで木浪が二ゴロ併殺。9番桐敷まで打順が回らず、7回もイニングまたぎすることができた。指揮官は試合後「(木浪の)ゲッツーで桐敷が2イニングいけたからな。あのゲッツーが一番大きかったな。ひとり足らんとこや、ピッチャー。その時点では12回いくとは思ってないけどな」と余裕たっぷりに桐敷続投の場面を振り返った。前日休養でベンチ外だった加治屋が9回に「0」を刻み、10回は守護神岩崎が1死満塁も後続を連続三振。11回から及川が回またぎし12回2死から村上に3ボール1ストライクとカウントが悪くなったところで申告敬遠。馬場が右の塩見を遊ゴロに仕留めヤクルトの勝ちをなくした。岡田監督にとって日本一になった85年の8月12日は、忘れられない1日だ。日本航空123便墜落事故の520人の犠牲者の中に、当時の球団社長中埜肇氏も含まれていた。ジャンボ機は群馬県の御巣鷹の尾根に墜落した。動揺したチームは翌13日から6連敗。この年、岡田監督は選手会長を務めていた。広島で選手だけのミーティングを行い、そこから再び息を吹き返しリーグ優勝、日本一へと突っ走った。あれから38年、岡田阪神が首位を独走している。【石橋隆雄】

◆阪神青柳晃洋が、5回5安打3失点と課題を残した。直球は自己最速タイの149キロを計測しながら、3四死球など制球を乱し、球数は5イニングで94球まで達した。右腕は「野手のみんなに取ってもらったリードを守り切ることができず、ふがいない投球になってしまいました」と反省した。打線が2点を先取した直後の2回に2死満塁のピンチを招き、投手サイスニードに押し出し四球を与えた。4回は2死三塁から長岡へのボールが足元付近、背後を通過する暴投となって同点を許した。5回は1死一、三塁から宮本に右犠飛を浴び、一時勝ち越された。岡田監督は青柳について「もういっぱい(いっぱい)よ。ピッチャーの押し出しとワイルドピッチじゃのお」と苦言を呈した。今後については「そんなん分からへん。(2軍の)ピッチャーが投げるの待ってるんやから。今日みたいなピッチングしてたらあかんわな、当然」と2軍降格の可能性を示唆した。

◆阪神が計7四球を奪って、劇的なサヨナラ勝利につなげた。初回は先頭近本が四球で出塁し、5番佐藤輝も四球でつなぎ、大山の先制打、ノイジーのタイムリーが生まれた。6回は1死から佐藤輝の四球が足掛かりとなり、坂本が1点ビハインドの6回1死一、三塁からセーフティースクイズを試み、投手右側に転がした。大西がグラブトスでバックホームを狙ったが、捕球できずにまさかの"スルー"で二塁方向へ転がり、同点とした。坂本は「もうちょっとちゃんとしたバントできたらよかったですけど、(サインが)出ると思っていた」と振り返った。延長12回にも無死二塁から森下が四球を選び、佐藤輝のサヨナラ犠飛につながった。四球は安打と同じくらい価値がある-。岡田体制で重要視する四球の数は、今季103試合目の今試合で、早くも昨季の「358」を超えた。今季、リーグ断トツの数字は確かな得点源になっている。阪神のチーム四球数は364と12球団最多。最少の中日219とは140以上の差がある。この日も得点した回にはすべて四球がからんでおり、チーム打率は2割4分4厘でリーグ4位だが、四球も生かして12球団最多396という得点力につなげている。

◆両軍のスターティングメンバーが発表。阪神は青柳晃洋投手(29)が先発する。ヤクルト戦は今季2度目の先発で、0勝1敗、防御率は3・75。前回登板した7月22日(神宮)では5回7安打5失点(自責4)で黒星を喫しただけに、リベンジのマウンドとなる。チームはこの試合で勝利すれば、5月20日ー30日に記録した、今季最長の9連勝に並ぶ。

◆阪神・伊藤将司投手(27)が試合前練習に参加し、13日のヤクルト戦(京セラ)での先発登板に向けてキャッチボールなどで調整した。「(相手)打線は非常に調子がいいので、自分の投球をできたらいいなと思います」後半戦に入ってからは7月23日の同戦(神宮)から3連勝中。対ヤクルトは今季4度の対戦で1勝1敗だが、クオリティスタート(先発で6回以上、自責点3以内)は全てで達成と先発の役目は果たし続けており、今回も好投に期待がかかる。この暑い時期にあって7月1日の巨人戦(東京ドーム)以来、6試合ぶりとなる屋内での登板は追い風で、「涼しいので長いイニングを投げられたらいいなと思います」。1アウトでも多く取り、プロ4度目の登板で初となる京セラでの白星をつかむ。

◆「Family with Tigers Day × Joshin」として開催された試合で、NMB48の小嶋花梨(24)が始球式に登場した。セットポジションから右腕を振ると、白球は捕手・坂本の前でワンバウンドしてミットに収まった。昨年に続いて始球式で投球を披露した小嶋は「ドキドキして、フワフワ浮いているみたいで緊張しました。たくさんの方が見てくださって温かい空間でした」と振り返った。2週間前に阪神タイガースWomenの水流麻夏投手、前田祐里投手から投げ方を一から教わったといい、「すごく難しくて深いなと思いました」と話した。試合前の時点で8連勝中と首位の阪神については「9連勝を期待して応援しています。アレも応援しています!」とエールを送った。

◆東北福祉大から入団3年目のヤクルト・山野太一投手(24)が、13日の阪神戦に先発する。今季初登板となった前回1日の巨人戦では7回無失点でプロ初勝利。祝福のメッセージは300件ほどきたといい「みんなすごい喜んでくれたのでうれしかった。返信は大変でした」と笑った。プロ通算3度目の登板で阪神とは初対戦。近本、中野の1、2番コンビを「塁に出すと大量失点につながると思うので気を付けたい」と警戒した。

◆阪神が一回に2点を先制した。光ったのは積極的な走塁だった。まずは先頭の近本が四球で出塁すると、中野の打席で初球からスタートを切り、セ・リーグトップの今季19個目の盗塁となる二盗に成功。右前打で続いた中野も1死一、三塁から二盗を決め、好機を拡大した。4番・大山は遊ゴロを放ち、三走・近本が先制のホームイン。中野が盗塁を決めていなければ併殺でチェンジとなっていた可能性もあり、この回の2盗塁が相手先発・サイスニードの立ち上がりを崩す効果的な攻めとなった。さらに佐藤輝が四球を選んでの2死一、二塁では6番・ノイジーが151キロをとらえて一、二塁間を破り、中野が2塁から生還して、さらにもう1点。この回はこの2点の先取で終わったが、ここでも一走・佐藤輝が一気に三塁を陥れる走塁を見せ、チーム全体で果敢な姿を示す攻撃だった。

◆阪神・青柳晃洋投手(29)が2本の安打などでピンチを招き、1点を献上した。2点の援護をもらった直後の二回だ。先頭の4番・村上、サンタナに連打を浴び、その後も犠打と四球などで2死満塁とピンチを広げた。ここで打席には投手・サイスニード。しかし、ボール先行の投球が続き、最後はフルカウントから押し出し四球で1点を失った。なおも満塁で並木を右飛に仕留めてなんとか最少失点で切り抜けたが、1点差に縮められた。

◆阪神・青柳晃洋投手(29)が暴投で失点した。四回、サンタナの右翼線二塁打から2死三塁のピンチを招き、長岡への初球が暴投となった。坂本はアウトコースを要求していたが、青柳が引っ掛けて白球は長岡の背後を通過し、バックネット方向へ転々。その間に三走が生還し、同点とされた。一回は押し出し四球で得点を許しており、制球面で精彩を欠く場面が目立った。

◆阪神・青柳晃洋投手(29)が5回5安打3失点で降板した。五回1死で並木にセーフティーバントで内野安打で出塁を許す。武岡にも右前打で続かれて一、三塁とされると、宮本の右翼への犠飛で勝ち越し点を奪われた。なおも2死二塁で、村上に死球を与えたが、サンタナを空振り三振に仕留めて踏ん張ったが、その裏の攻撃で代打が送られて交代となった。青柳は今季はヤクルト戦2試合に登板して0勝1敗、防御率3・75(試合前時点)。燕から白星を目指して腕を振ったが、勝負どころでの四球や暴投などが失点につながり、会心の投球とはならなかった。

◆執念のヘッドスライディングで、ナインを鼓舞した。ヤクルト・サンタナ外野手(31)が、四回先頭で右翼方向へ打球を放つと、二塁ベースに頭から滑り込んで二塁打を記録。その後、川端の二ゴロで三進し、暴投の間にホームへ生還した。試合前時点でチームトップの打率・296。11本塁打、43打点と好調で、二回にも右前打をマーク。主砲・村上の後ろを担う恐怖の5番打者として存在感を発揮している。常に全力プレーをみせる根幹には「チームのために何とかしたいという気持ちが強い。一試合一試合集中して戦って、全力を尽していきたい」との思いがある。今季は7月26日に体調不良を訴えて特例2023で抹消された。それでも「1日でも早く復帰したかった」と高津監督に志願して8月1日の巨人戦(東京ドーム)から復帰。指揮官は「本当は登録するつもりはなかった。練習の状態をみて決めようと思ったのですが、本人が『いける、いきたい、いかせてくれ』と言ってきたので、その言葉に甘えました」と明かしていた。気持ちを前面に出してプレーするだけでない。村上とは試合前の練習などでよく会話するシーンが見られる。サンタナは「野球のことだけでなく、個人的な会話もちろんする。いつも村上に『君は素晴らしい選手だよ』と伝えています」と若き主砲を支えている。来日3年目。チームの中心を担い、上位猛追に向けて欠かせない存在となっている。(森祥太郎)

◆阪神・坂本誠志郎捕手(29)が同点スクイズを決めた。2―3で迎えた六回だ。1死から四球と安打で一、三塁の好機を作り、坂本が打席へ。2番手・大西の初球にバットを寝かせてセーフティースクイズ。ゴロの打球は投手と二塁手のそれぞれグラブの横を通り抜け、三走が生還した。坂本は一塁上でしてやったりの表情を浮かべた(記録は犠打野選)。直後、木浪は二ゴロ併殺に倒れたが、坂本が〝奇襲〟を成功させて試合を振り出しに戻した。

◆気合が空回りしたのか、独り相撲で自らを苦しい状況に追い込んでしまった。先発した阪神・青柳晃洋投手(29)が押し出し四球と暴投などで失点を重ね、5回5安打3失点、94球で降板した。8連勝と波に乗る岡田阪神にさらに勢いをつけたかったが、課題の残る登板になった。「2連覇するようなチームなので、自力はある。もちろんいい選手はそろっている。誰の前でも点は入ると思うんですけど、ランナーを出さないように、ためないように頑張るしかない」試合前は静かに闘志を高めていたが、マウンドに上がると勝負どころで制球に苦しんだ。一回は三者凡退の立ち上がりを見せ、その裏に打線が奮起し2点をプレゼントしてもらった。だが、二回だ。村上、サンタナの連打と犠打で1死二、三塁とされ、中村は四球で塁が埋まった。長岡は浅い左飛に打ち取ったが、投手のサイスニードにフルカウントから外角への142キロのツーシームが外れて痛恨の押し出し四球となった。

◆阪神が延長十二回無死満塁、佐藤輝明内野手(24)がプロ初のサヨナラ打を犠飛で飾り、チームは球団記録となる夏のロードで9連勝を飾った。一回に大山悠輔内野手(28)の内野ゴロとシェルドン・ノイジー外野手(28)の適時打で2点を先取したが、青柳晃洋投手(29)が投手への押し出し四球、暴投、犠飛で3点を奪われ、六回の坂本誠志郎捕手(29)のスクイズ(記録は犠打野選)で同点に追いつき、5時間16分の死闘を制した。今季7度目のサヨナラ勝利で、延長戦は6勝3敗4分。6カード連続の勝ち越しで2位(広島)との7差は今季最大。

◆ヤクルトはサヨナラ負けを喫した。8番手の田口が3―3の延長十二回に2安打と四球で無死満塁のピンチを招き、佐藤輝に犠飛を許して、力尽きた。5時間16分の試合に高津監督は「競った展開には持ち込めたが、一つ抜け出すのが難しかった。仕方ない」と疲労をにじませた。六回以降は無得点だったことが響いた。延長十回1死満塁では代打山田が見逃し三振、中村が空振り三振に倒れた。高津監督は「向こうもいい球を投げていたので」と話した。

◆阪神が延長十二回無死満塁、佐藤輝明内野手(24)がプロ初のサヨナラ打を犠飛で飾り、チームは球団記録となる夏のロード9連勝を飾った。一回に大山悠輔内野手(28)の内野ゴロとシェルドン・ノイジー外野手(28)の適時打で2点を先取したが、青柳晃洋投手(29)が投手への押し出し四球、暴投、犠飛で3点を奪われ、六回の坂本誠志郎捕手(29)のスクイズ(記録は犠打野選)で同点に追いつき、5時間16分の死闘を制した。今季7度目のサヨナラ勝利で、延長戦は6勝3敗4分。2位(広島)との7差は今季最大で貯金「23」は2008年以来。今季最長の6カード連続勝ち越しを決めた岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(成績=61勝38敗4分、観衆=3万6117人)。★テレビインタビュー編ーー今季最長の試合を勝ちきった「いやいや、長かったなと思ってますよ」ーー心地よい疲れ「心地はよくないですね」ーー試合のポイントは「ポイント...、ポイントはどこかわからないですね(笑)。ポイントは。序盤はもう、あんま覚えてないですね」ーー一回は大山の内野ゴロの間、六回はスクイズで得点。攻撃陣は「今日はそんなね、昨日もタイムリー出なかったけど、今日はヒットもそんなに出なかったし、裏だからまず同点っていうのはあったんでね。その辺からですね、膠着したのは」ーー最終回は中野が出て佐藤輝が決めた「もう負けはないんで。別に引き分けでもいいし。楽なモンですよ、それは。中野の二塁打で、これは行けるなっていう感じになりました」ーー青柳の後、リリーフ6人が無失点だった「今日は桐敷も2回だし、及川もあそこよくね。(延長十二回の村上は)最初から申告敬遠は悪いかなと思ったから。予定通りですけどね」ーー9連勝について「別に何とも思ってないですよ。毎試合毎試合勝つためにやってるだけで。積み重ねですからね」ーー13日は伊藤将司「普通にやるだけですよ。普通にやろうと。それだけやから」★囲み編「(新聞の締め切りに)もう間に合わんやろ。もうエエやん。間に合わんやろ」ーー同点のスクイズのサインは出しにくい「そんなことはないよ。最初からもう」ーー青柳は「もう一杯よ。そんなん全然」ーー点の取られ方が悪い「悪いというか、ピッチャーの押し出しとワイルドピッチじゃのお」ーー次は「わからん、そんな分からへん。ピッチャー余ってるのに、投げるの待ってるんやから。今日みたいなピッチングしてたらアカンわな、当然」

◆阪神・坂本がベンチからの指示を遂行し、同点の3点目を生んだ。「(スクイズのサインが)出るだろうと思っていた。なんとか追いついてその後、粘れたというのは最後の輝(のサヨナラ)につながったと思う」。2―3の六回1死一、三塁で2番手・大西の初球でスクイズを敢行。ゴロを相手の投手と一塁手が捕球できず、内野を転々とする間に三走が生還した(記録は犠打野選)。守備では計7人の投手をリードして六回以降はゼロを並べ、勝利に貢献した。

◆阪神・馬場は連夜のワンポイント起用に応え、2勝目を挙げた。延長十二回に及川が2死から村上にボール先行の投球となり、最終的に申告敬遠。ここで登板すると、塩見を遊ゴロに抑えて直後にサヨナラ劇が生まれた。「四球OKという気持ちで上がった。自分の思い通りの投球ができた」。11日も1死を奪って2年ぶりの勝利を挙げており、2連勝となった。

◆阪神・ノイジーが1点を先制して迎えた一回2死一、二塁でサイスニードの151キロ直球を捉え、右前適時打を放った。「いい形で追加点が取れてよかった。チームに貢献できてうれしい」。2-3の六回1死一塁では大西のチェンジアップにバットの先で食らいつき、中前打で同点劇をお膳立て。3試合連続安打と状態を上げてきた。

◆夏の暑さを吹き飛ばすかのように、爽快な風をまとって阪神の最強1、2番コンビが走った。チャンスメークはお手のもの。止められない快足に、快音も響かせ、近本&中野が躍動した。「セーフになっちゃいますねぇ」まずはリーグ屈指のリードオフマンが魅せる。一回先頭、四球で出塁すると、中野の打席で初球に二盗。ヤクルトベンチはたまらずリプレー検証を要求した。判定は変わらずセーフ。さらに、つなぎの2番は右前打であっという間に無死一、三塁の好機を作った。1死から、今度は中野が走る。悠々セーフの二盗で二、三塁。これで併殺の心配がなくなった。大山の遊ゴロ、ノイジーの右前適時打でそれぞれホームへと生還。自慢の足を生かした絶妙なチャンスメークで序盤の主導権を奪った。「いろいろと近本さんと話し合いをしていきながらやってきた。うまく二人で話し合いはできていると思います」すっかり定着した〝チカナカ〟コンビ。中野は先輩との共同作業に胸を張る。ネクストバッターズサークルやベンチで共有するのは、相手投手のクイック速度や癖のこと。さらに「走れる、走れない、という話の中で、走れないときは速く(打ちに)いっていいよと言われています」。今季から2番を任されるようになった中野にとって、待球するべきか、しなくともいいのか、投手ごとに示してくれる1番の存在は心強い。中野は延長十二回先頭で左中間を破って、激走で二塁打にし、最後の最後もチャンスメーク。佐藤輝の犠飛でサヨナラのホームを踏み、喜ぶ仲間の輪に飛び込んだ。試合後には治療を受けるほどの大激闘だった。「勢い? 連勝しているから、という気持ちもあるんじゃないですかね。勝っちゃいますね。本当にそれに尽きます」と振り返った近本は、リーグトップを独走する19盗塁。中野は単独2位の13盗塁とセ界の〝盗塁リレー〟を虎の1、2番が席巻している。11日に連続試合安打が15でストップした近本だが、五回に中前打を放って変わらず打棒は好調。中野も延長十二回に二塁打と執念をみせた。打って、走って、チャンスメーク。セ界最強の1、2番は、このまま夏のロードを突っ走る。(原田遼太郎)

◆今季最長ゲームを制した! 阪神は延長十二回の末、4-3でヤクルトを破り、今季2度目の9連勝。無死満塁で佐藤輝明内野手(24)がプロ初のサヨナラ打となる中犠飛を放った。貯金は15年ぶりの「23」にふくらみ、2位広島には今季最大の7ゲーム差をつけた。真夏の快進撃は続く。Vロードまっしぐらや!鋭く振り抜いたバットから白球が高々と放たれる。京セラドームの天井を見上げ、佐藤輝は勝利を確信した。全身で浴びた歓喜のウオーターシャワーが心地いい。12球団今季最長の5時間16分の激闘は、輝く大砲の夢をかなえて最高の結末を迎えた。「試合を勝ちで終わらすことができてよかったです。犠牲フライで十分だったので最高の結果だったと思います」3-3で迎えた延長十二回無死満塁。カウント2-0となり腹をくくった。「2ボールだったんで、向こうも心をくくって投げてくると思った」。最低限、外野に飛ばせばいい。田口の147キロ直球を捉え、飛距離十分の中犠飛。中野がホームへとかえってくる。最後に刻んだ1点は佐藤輝にとってプロ初のサヨナラ打点。夜遅くまで残ってくれたファンから大歓声がわき起こった。「今度はあっち側にいきたいっすね」プロ1年目のオフ。ポツリとつぶやいた一つの夢があった。大山ら先輩にかけてきたサヨナラのウオーターシャワー。次は水をかける側ではなく、かけられる側になりたいと思った。「今まで何回か(サヨナラの)チャンスあったんですけど、きょうはよかったです」2年越しにかなえた夢は、つないでくれた仲間がいたからこそかなえることができた。「みんながつないでくれたので、最後決めるだけでした。みんながつないでくれたから」

◆ちょっと待て~昔の偉い人!! 『待てば海路の日和あり』は確かに、延長十二回、5時間16分、わが阪神は佐藤輝のサヨナラ犠飛で、夏の死のロード球団新記録となる9連勝でバンザーイ!!だけど、長過ぎるわ~と、勝ったのにことわざに八つ当たりしているのだ。例えば俺、阪神の試合のスコアブックを何十年も記入しているけど、本日は両軍の投手合わせて449球ですよ~。その一球一球をまんじりともせず、この蒸し暑い夜に書き続けている俺の気持ちも...。いやいや、六回から十二回まで無失点継投をしてくれた6投手の踏ん張りを思ったら、弱音は吐くまい、嘆くまい! 欲しがりません、アレまでは!! ですよね。ただ、投手のサイスニードに押し出し四球や、キャッチャーも捕れない暴投で、失点を重ねた青柳はペナントではもう使えないのだ!! よって青柳は日本シリーズ開幕戦に向けて、完璧に仕上げてくれれば良し!!

◆「アイドルの始球式は織原クン、任せたよ!」サブキャップ新里公章が独特の落ち着いた口調で指示を出していた。「こじりん」ことNMB48の小嶋花梨さんが京セラドームのマウンドに登場。新里は、アイドルと聞くと取材に行きたがる織原を迷わず指名。だが、以前に比べると、織原のハシャギっぷりが低調だ。虎ソナが見逃すはずがない。「NMBは嫌いじゃないです。ただ、アイドル始球式は山ほど取材しすぎて、飽きてきているんです。戸田恵梨香さんや福原遥ちゃんのときは興奮もしたんですが...」ぜいたくなことを言い出している。困ったもんだ。「先日、女子高校野球の決勝戦で皇室の佳子さまがお見えになっていましたよね。一度でいいから、ああいう取材がしたいですね」恐れ多いことを言い出した。地べたをはいずり回ってネタを探すトラ番は、決して近づいてはいけない存在だ。「こじりん」に全力投球しましょう! なんだかんだ言いながらも、現役アイドルをすぐそばで見られるわけで、織原はブツブツ言いながら最終的には楽しそうに取材に向かった。そういえば、「神スイング」で有名な稲村亜美さんが15日の広島-阪神(マツダ)で始球式を務めることを自身のX(旧ツイッター)で報告していた。11球団目の本拠地での登板で、12球団制覇へリーチ。残るは巨人の東京ドームだけとか。

◆選手が岡田監督の意図を正しく理解するチームになった! 近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打を残した土井正博氏(79)=サンケイスポーツ専属評論家=は、初球セーフティスクイズに心の準備をして決めた坂本と、近本の盗塁を〝待てる〟中野に強さを感じたと指摘。「佐藤輝を5番に固定できれば、この打線は完成」と期待した。優勝にふさわしいチームに、あと一歩-。岡田監督の采配を、個々の選手が予測し、対応できるようになってきたのが、今の阪神の強さ。「この監督はどんな野球をするんだろう」からスタートしたチームは、「この監督ならこうするはず」と選手が考えるチームになった。象徴的なのは六回1死一、三塁から坂本が決めた初球セーフティースクイズだ。打席に入る姿を見ていたが、坂本自身が作戦を予想し、準備がしっかりできていたからこそ、しっかり決まる。一回の攻撃もそうだ。近本が四球を選ぶ。続く中野は初球から盗塁があると思っているから、早いカウントでは打っていかないという気持ちで打席に入っている。監督の意図を選手が理解しているチームは、チグハグな野球をしない。なんで走った? なんで打った? なんで打たなかった? というシーンがない。ということは、負けない野球であり、連敗しない野球。私が見てきた中では、広岡達朗さんが西武監督時代に実践していた野球に似ている。現状の順位で、連敗しなければ、一歩も二歩も、優勝に近づく。非常にいい野球を繰り広げている阪神に、ひとつだけ注文するとすれば、佐藤輝だ。この日の内容は決して悪くはない。甘く入ってきた球はヒットにした(十回)し、サヨナラ勝ちも決めた。2四球を選び、六回の四球は貴重な同点のホームも踏んでいる。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
61384 0.616
(↑0.004)
-
(-)
40396
(+4)
312
(+3)
53
(-)
53
(+2)
0.244
(-)
2.720
(-)
2
(-)
広島
55463 0.545
(↓0.005)
7
(↓1)
39357
(+2)
366
(+3)
66
(+1)
57
(-)
0.245
(↓0.002)
3.190
(↓0.01)
3
(-)
DeNA
51483 0.515
(↓0.005)
10
(↓1)
41369
(+1)
357
(+5)
69
(+1)
21
(-)
0.248
(↓0.001)
3.200
(↓0.03)
4
(-)
巨人
50511 0.495
(↑0.005)
12
(-)
41391
(+5)
378
(+1)
124
(+1)
36
(-)
0.254
(-)
3.570
(↑0.03)
5
(-)
ヤクルト
43572 0.430
(↓0.004)
18.5
(↓1)
41372
(+3)
400
(+4)
85
(-)
52
(-)
0.237
(↓0.001)
3.670
(↑0.01)
6
(-)
中日
39613 0.390
(↑0.006)
22.5
(-)
40303
(+3)
360
(+2)
46
(-)
29
(-)
0.242
(↓0.001)
3.170
(↑0.01)