◆阪神は初回、森下の適時打で1点を先制する。その後3-2となって迎えた6回裏には、中野と森下の連続適時打などで4点を挙げ、リードを広げた。投げては、先発・村上が7回5安打2失点の力投で今季7勝目。敗れた広島は、守備の乱れから逆転を許し、痛い敗戦を喫した。

◆阪神園芸が手早い雨対策を見せた。午後4時40分頃、甲子園球場には青空も見えるが、雷鳴が鳴り響き始めた。今後の雨の予想される中、約10分でグラウンドには巨大シートが登場。内野一面に敷かれ、降雨に備えた。

◆10連勝中の広島との首位攻防3連戦初戦のオーダーが発表され、阪神は前川右京外野手（20）が7試合ぶりに「6番右翼」でスタメン復帰した。ノイジーを外し、自己最長の6試合連続安打中のドラフト1位森下翔太外野手（22）が「3番左翼」に入った。広島先発野村には前回敵地での対戦で6回を0封されており、リベンジマッチになる。先発は約1カ月ぶりの7勝目を狙う村上頌樹投手（25）。この日、夏の奈良大会を制した母校智弁学園の優勝を祝えるか。

◆阪神園芸が手早い雨対策を見せた。午後4時40分頃、甲子園球場には青空も見えるが、雷鳴が鳴り響き始めた。今後の雨の予想される中、約10分でグラウンドには巨大シートが登場。内野一面に敷かれ、降雨に備えた。その後、雨は降らず、午後5時15分頃にはシートが撤去された。備えあれば憂いなし。雷も無事にやんでいた。

◆ファーストピッチセレモニーに人気野球ゲーム「パワプロ」のマスコットキャラクター「パワプロくん」が登場した。ノーバウンドで投球で108キロをマークすると、スタンドからはどよめきが起こった。また、バーチャルライバーグループ「にじさんじ」所属のVTuberのリゼ・ヘルエスタがバーチャルの世界を飛び出して応援に駆けつけた。今試合は「パワプロ栄冠クロスナイター」として行われる。

◆惜しい！　阪神佐藤輝明内野手（24）が、特大ファウル2本で甲子園を沸かせた。初回2死一塁、広島先発野村の初球の内角球を引っ張った。打球は右翼ポール右への大きな当たり。2球目も同様のコースを引っ張ったが、またも右翼ポール際へのファウルとなった。この時ばかりは、佐藤輝も悔しげな表情を見せた。それでも本塁打を予感させる快音に甲子園はどよめいた。2ストライクから、最後は外の変化球を引っかけ、二ゴロに倒れた。

◆広島野村祐輔投手（34）の連続無失点が、17イニングで止まった。今季初登板の6月29日DeNA戦から3試合連続、通算17イニング無失点を続けてきた。だが初回1死二塁で阪神森下に適時打を許し、1失点。4試合目の初回で止まった。

◆阪神ドラフト1位森下翔太外野手（22）が7試合連続安打となる先制打を見せた。「3番左翼」で出場。1番近本の安打、盗塁で初回から1死二塁のチャンス。2ストライクと追い込まれた後、相手先発野村の129キロスライダーを振り抜いた。「近本さんが盗塁でチャンスを作ってくれましたし、追い込まれていましたが、なんとか食らいつく気持ちがタイムリーにつながったと思います」。低いゴロで二遊間を抜き、走者を返す先制適時中前打。野村に今季初失点をつけた。

◆「ウル虎の夏2023」のイベント企画として、お笑いコンビ・さや香の石井（35）と新山（31）が、甲子園に登場した。昨年の「M－1グランプリ2022」で決勝に進出したコンビは、試合前のスタメン紹介時に「M－1"ほぼ優勝"のさや香でーす！」と自己紹介して盛り上げた。首位攻防戦第1ラウンドでの出演に「死ぬほど阪神ファン」という新山は「（熱狂が）すごかったです。なんで僕ら、こんな重要な試合でやんねんって」と苦笑い。中学生以来の来場という石井は「この熱気がえげつないっすね、ほんまに。なんか鳥肌えぐいっすわ」と興奮気味に振り返った。新山は注目選手に村上の名を挙げ「大竹投手と才木投手が調子よかったけど、点取られてるっていうこの状況にちょっとだけ胸がざわつくというか、それをなんか村上投手に払拭していただきたい、マジで頼むぞって感じです」とエールを送った。

◆阪神村上頌樹投手（24）が広島に逆転を許した。1点リードの3回。小園に適時三塁打で同点に追いつかれ、野間の左前適時打で勝ち越された。首位攻防第1ラウンド。左翼上段は広島ファンが占め、赤く染まっている。「今日もカープは勝ち勝ち勝ち勝ち！」と大声援が響いた。

◆首位攻防戦はシーソーゲームの様相になってきた。初回に阪神は森下の適時打で先制。3回に広島が小園、野間の連続タイムリーで逆転に成功した。阪神1点ビハインドの3回、1死一、二塁から再び森下が右前打。これを右翼野間が後逸し、走者2人が一気に生還。打者走者の野間も三塁に到達した（記録はシングルヒットで打点なし）。首位広島、2位阪神の3連戦第1ラウンドは、序盤から点の取り合いだ。

◆阪神ドラフト1位森下翔太外野手（22）が、珍しい一打で勝ち越し点を呼び込んだ。1点を追う3回1死一、二塁の場面。右腕野村から低いライナーでの右前打を放った。打球に対して右翼手はバックホームへチャージをかけたが、バウンドが合わずに後逸。走者2人が一気に生還し、森下自身も三塁を陥れた。2点適時三塁打かとも思われた一打だが、記録はシングルヒットと、右翼手のエラー。初回の先制打に続く2打席連続安打となったが、打点はつかなかった

◆阪神ドラフト1位森下翔太外野手（22）が7試合連続安打となる先制打を見せた。「3番左翼」で出場。初回に1番近本の安打、盗塁で1死二塁のチャンスが訪れ、2ストライクと追い込まれた後、広島の先発野村の129キロスライダーを振り抜いた。「近本さんが盗塁でチャンスを作ってくれましたし、追い込まれていましたが、なんとか食らいつく気持ちがタイムリーにつながったと思います」低いゴロで二遊間を抜き、走者をかえした。野村に今季4試合目で初失点をつけた。その後、3回、5回にも安打を記録。出場42試合目で初めて猛打賞を記録した。

◆阪神ドラフト1位森下翔太外野手（22）が、プロ初の4安打を放つ大暴れを見せた。プロ初の猛打賞を記録し、迎えた6回2死満塁。代わったばかりの左腕戸根から、一塁手強襲の強いゴロを放った。打球はライト方向へ転々と転がり、その間に走者2人が生還。自己最多タイの3打点目を記録した。

◆虎の村上様はバットでも！阪神村上頌樹投手（24）が「二刀流」で存在感を見せつけた。4回に今季2本目の安打となる右前打。6回2死一、二塁では左前田でつなぎ、プロ初マルチ安打とし、この回一挙4得点のビッグイニングを演出した。村上は智弁学園（奈良）3年時、16年センバツ決勝の高松商（香川）戦、延長11回にセンターオーバーのサヨナラ二塁打を放っている。その打棒をプロの世界でも存分に見せつけた。

◆7試合ぶりにスタメン起用された阪神前川右京外野手（20）が、3打席3三振で途中交代した。2回、4回は広島野村に、6回はケムナの前にバットが空を切った。7回表の守備から退くと、ベンチで涙を見せるシーンもあった。これで15日の中日戦を最後に約2週間安打が出ていない。この日は母校の智弁学園（奈良）が奈良大会決勝に勝利し夏の甲子園出場を決めていたが、OB前川は結果を残せなかった。

◆阪神先発村上頌樹投手（25）が投打の活躍を見せ、試合をつくった。1点リードの3回に、小園、野間の連続適時打で勝ち越し点を献上。だが、その後は連打を許さず無失点投球。7回5安打2失点で降板し、救援陣に終盤を託した。「野手の方々に初回から先制してもらい、逆転されてしまった後もすぐに取り返してもらったおかげで、自分のリズムでテンポ良く投げることができました。助けていただいた野手のみなさんに感謝します」打っては右翼、左翼にそれぞれ安打を放ち、3打数2安打。プロ入り初のマルチ安打を決め、バットでも貢献した。

◆阪神が広島との首位攻防第1ラウンドを制し、1日で首位を奪回した。10連勝と勢いに乗る相手をホームでねじ伏せ、ゲーム差0で再び勝率で上回った。先発村上頌樹投手（25）が7回5安打2失点で3試合ぶりの白星となる7勝目をゲットした。3回に小園、野間に連続タイムリーを浴びて逆転されたが、その裏に打線が再び逆転。その後は無失点を継続した。打線は3番森下翔太外野手（22）がプロ初の4安打と躍動した。初回1死二塁。試合前まで防御率0・00だった広島先発野村の甘い変化球を捉え、中前へ先制タイムリーをマーク。自己最長の連続試合安打を7に伸ばした。1点を追う3回1死一、二塁では右前打を放ち、右翼手の野間が後逸する間に一気に2点を奪って逆転した（記録は2点適時失策）。5回1死では詰まりながら左前に運び、プロ初の猛打賞。6回は右翼線へ2点適時打をマーク。4安打3打点で5得点に絡む暴れっぷりだった。投打で若手有望株が活躍し、首位に返り咲いた。

◆阪神岩貞祐太投手が先発村上の後を受け、8回の1イニングを3者凡退で抑えた。9番の代打中村奨を中飛で料理すると、ともに安打を放っていた1番小園、2番野間もピシャリ。小園の打球は自身のグラブをはじきながらもセカンド方向へ転がり、二ゴロをアシストした。1ゲーム差で迎えた広島との首位攻防3連戦。試合後には「絶対勝つ」と3回繰り返し、勝利への執念を見せた。

◆阪神加治屋蓮投手が1回を無安打無失点に抑えた。5点リードの9回にマウンドへ。広島先頭の秋山を一ゴロ、続く松山をカットボールで遊ゴロに仕留める。最後は坂倉を一ゴロとクリーンアップに仕事をさせなかった。「（左打者に）やられている分、強い印象を持ってマウンドに上がりました。大山、木浪がいいプレーで助けてくれて、すごく大きいプレーでした」と感謝していた。

◆新井カープの連勝が「10」で止まった。阪神との首位攻防3連戦初戦で完敗し、1日で首位の座を明け渡した。小園海斗内野手（23）、野間峻祥外野手（30）の連続適時打で2－1と逆転した直後の3回裏、その2人が痛恨の失策。阪神に再逆転を許し、19年5月25日以来の11連勝を逃した。3回1死で、遊撃の小園が近本のイレギュラーした打球を捕れずエラー。先発の野村祐輔投手（34）が続く中野を歩かせて1死一、二塁から、森下の右前打を右翼の野間が後逸。2人の走者がかえり、阪神に再逆転を許した。10連勝中、相手に再逆転された試合はなし。高い集中力で連勝を伸ばしてきた。野間は「もうあそこが、今日は展開的にすべてだった」と悔やみ、小園は「ぼくの守備から流れが悪くなってしまったので、しっかり守備からリズムをつくれるようにやっていきたい」と振り返った。リードを守れていれば打のヒーローになった2人が、試合後は肩を落とした。新井貴浩監督（46）は「ミスは起こるので次が大切。取り返すチャンスはたくさんある」と奮起を促した。今季初登板から3試合続けてきた無失点、与四死球ゼロが止まった野村には「本当に不運が重なったけど、粘り強く投げてくれた。次の登板に期待したい」とねぎらった。次戦はすぐに訪れる。「明日、しっかり頑張りたい」と第2ラウンドに目を向けた。▽広島野村（今季初登板から3試合続いた無失点＆無四球が止まり初黒星）「（阪神森下に）2本やられたので、なんとかしたいなと思います」

◆7試合ぶりにスタメン起用された阪神前川右京外野手（20）が、3打席3三振で途中交代した。2回、4回は広島野村に、6回はケムナの前にバットが空を切った。7回表の守備から退くと、ベンチで涙を見せるシーンもあった。ベンチでは、隣で前川に声をかけていた木浪聖也内野手（29）は「何も言ってないですよ。ただ、何で泣いてんのかなと思って、聞きにいったというか。三振して悔しかったんだろうなと思ったので。『今日終わったわけじゃないし、次やり返したらいいじゃん』っていう感じで、自分が話しただけで。別にそんな取り上げられることじゃないですけど」とサラリ。「自分も若くないので、後輩のそういう場面を見たらカバーできるようにというか、そういう年齢にもなってきているので、普通に寄り添っただけです」とクールに語った。

◆7試合ぶりにスタメン起用された阪神前川右京外野手（20）が、3打席3三振で途中交代した。2回、4回は広島野村に、6回はケムナの前にバットが空を切った。7回表の守備から退くと、ベンチで涙を見せるシーンもあった。試合後は「もっと強くならないといけないと思いました」とコメントした。岡田監督は「え？　そんなんで泣いてたらあかんやろ。それは汗やろ、暑いから」と話した。これで15日の中日戦を最後に約2週間安打が出ていない。この日は母校の智弁学園（奈良）が奈良大会決勝に勝利し夏の甲子園出場を決めていたが、OB前川は結果を残せなかった。

◆阪神が10連勝で乗り込んできた広島との首位攻防第1ラウンドを制し、1日で首位を奪回した。ゲーム差0で再び勝率で上回った。先発村上頌樹投手（25）が7回5安打2失点で3試合ぶりの白星となる7勝目をゲットした。打線は3番森下翔太外野手（22）がプロ初の4安打3打点と躍動した。試合後の岡田彰布監督（65）の一問一答は以下の通り。（テレビインタビュー）－10連勝と勢いにのる広島に初戦勝ったが「そうですね。やっぱり村上の頑張りときょうは森下ですかね。はい」－森下はプロ初の猛打賞となる4安打「プロ初だったんやったの！　そう。ずっと内容もいいし、追い込まれても右にうまく打つし。まあ、ね。ずっとこれを続けてほしいですね、はい」－3番森下にはどんなことを期待しているか「うーん、やっぱり、まあ引っ張りだけじゃなしに右の方向に打てるんで。つながりというか、そういう風なのもあるし、追い込まれてもね。うまく対応できてるんで。うん、まあ規制はせずに普通に打たしているんでね、はい」－打線では四球も稼いで、4度得点にもからんだが「いやいや、ずっとね。開幕からいってきたフォアボールの重要性というかね。まあ、だから、そういう意味では、やっぱり、いいところでのフォアボールというかね、そういうつなぎがね。やっぱりビッグイニングまでにはいかないけど複数得点になっているんじゃないですかね」－先発村上のピッチングの評価は「初めて今年先発（ローテーション）で投げてるんで、今回も10日ぐらい空いたのかな。オールスターで1イニングあったんだけど、まあ一番間隔開けて。一番、ピッチャー陣の中では未経験で初めてだったんで一番開けたんですけどね。2点は取られましたけど、この時期7回までね、100球、本当に良く投げたと思いますね」－後半戦はどんな活躍を「活躍っていうか、本人は投げるゲームは全部勝つつもりでいるんじゃないですかね。前半も良かったですけどね、継続して後半もやってくれると思いますね」－1日で首位に返り咲いた。初戦を取った「向こうは10連勝でいつか負けるんだから、それが今日だったいうことだし。全然別に気にしてなかったし。まだね、昨日も言ったけどまだ7月なんで。9月ならあそこ（6回の村上のところ）で代打いってますよ。村上の時ね。7月だからそんな慌てる必要ないんで。まあ、うまく村上ヒット打ったけどね」－明日の先発は青柳。「いやいや、どんなピッチングしてくれるか楽しみにしてます」

◆阪神が10連勝で乗り込んできた広島との首位攻防第1ラウンドを制し、1日で首位を奪回した。ゲーム差0で再び勝率で上回った。先発村上頌樹投手（25）が7回5安打2失点で3試合ぶりの白星となる7勝目をゲットした。打線は3番森下翔太外野手（22）がプロ初の4安打3打点と躍動した。試合後の岡田彰布監督（65）の一問一答は以下の通り。（囲み）－初回は近本の盗塁がきいた。「そうよなあ。その前も（サインを）出しとったけど、走れんかったんやろ、スタートきれんかったんやろ、中野のとき（笑い）。まあ、普通はスタートのタイミングやからなあ。（サインは）ディスボールじゃないから」－近本が戻ってきて、調子のいい時の野球になってきた。「そうよなあ、やっぱり足使えるし。まあ、それが理想で開幕スタートしたわけやから。そういう足が使える、1、2番でってな」－1点リードの6回2死一、二塁で9番村上は代打考えなかったか「いやいや、もう全然準備してなかったよ。それは」－球数的にも。「何とかあと、7回までいって、2人で行こと思てたから。投げてない3人でな。連投だけはささんととこと、今日はね。ゲーム展開もね、まあ、球数とかいろんな意味で、あと1回かなというのはあったから、もう、裏ではバット振っとったけど、代打陣は。代打陣には説明しといたよ。『9月やったら（村上に）代打いっとったよ』と、『7月やからいかんかった』とちゃんと説明したよ」－相手の継投のタイミングを見て、流れを読むことを大事にしているとこれまでも話しているが「いや、別に、そう、まあ、代える必要がない場面やし、あそこでね、まあ、そら木浪がアウトになってしまったら、それで別によかったんだけど。また、つながっても、あと1イニング抑えてくれて、次（の回）はまた1番からっていうのがあったから。まさか、そうだな、あれ、どうなんだろうなあ、用意してなかったのかな、ネクストに左バッター出ししてたら、用意してたかも分からんけどな。そのへんは駆け引きやからな。そら、もう」－3番森下というプランは「そんなん一番考えてたんは、キャンプ。半年たってやっと実現したなと、お前、平田と話しとったよ」－キャンプの時には右にも打てると期待して「うんうん。OBも書いてたよ。クリーンアップ3番と。今日、半年後に実現したな。やっとな」－一方では前川が3打席連続三振「そうなんよな。ちょっとおかしかったからなあ。ファームでちょっと打席打ってこいて言うたんやけど、なんかタイミングあってないな」－試合中、ベンチで泣いていた「え？　そんなんで泣いてたらあかんやろ。それは汗やろ、暑いから」－前川の今後は「ちょっとな。調子悪いからファームにも2日連続。1日と思ったけど、もう1日立たそうと思って行かせたんや。でも、なんかなあ」－当てにいくような打撃「フリーバッティングもあんまよくないもんな、ずっと。中（室内）で打ったりしとるけど、やっぱりゲームでああいう内容になってしまうと、なかなか上がってこないよな。ゲームでポンとな、ヒットでも1本出ればだいぶ違うと思うけど、そのへんは難しいよ。これからはいいもんを使っていかなあかんからな、これからは」－森下は4安打すべて追い込まれてから「それが価値があるよな」－1番から5番が固まりそう「今度6番で困るかも分からんやん。どっかで困らんとこっちの仕事がなくなるやん」

◆阪神前川右京外野手が「6番右翼」で7試合ぶりにスタメン出場したが、3打席連続で三振を喫し途中交代となった。2、4回は広島野村に、6回はケムナの前に沈黙。7回表の守備から退くとベンチで涙を見せ、木浪に慰められる場面もあった。「強くならないといけないと思います」。これで15日の中日戦からは約2週間安打が出ていない。岡田監督は「なんかタイミングあってないな」と指摘したが、今後も1軍で起用し続ける方針。涙については「そんなんで泣いてたらあかんやろ。それは汗やろ、暑いから」と語った。

◆阪神森下翔太外野手（22）が、プロ初の4安打＆3打点の大活躍で広島の連勝を10で止め、一夜で首位を奪い返す大ヒーローになった。初回の先制打に続き、1点を追う3回は走者2人を置いた場面で痛烈な右前打を相手が後逸する"ラッキーな逆転決勝打"。6回にもダメ押しの2点打を放つなど、3番起用の4試合は打率4割1分2厘の勝負強さだ。長期ロード前のラスト甲子園で、きょうもあすも新井鯉を連倒し、一気の首位固めといきたい。持ってる男・森下の日だった。3点リードの6回2死満塁。戸根のカーブをフルスイングでとらえた。強い打球はイレギュラーバウンドし、一塁手を強襲する右前2点タイムリーとなって勝利を決定づけた。プロ初の猛打賞も超え、球団新人では19年8月4日の広島戦で近本が放って以来の4安打をマーク。左へ中へ真ん中へ広角に打ち分け、3打点もプロ入り初だ。「人生でも4安打は初めてだと思う。大事な試合で打てたのはよかった」"ラッキーな決勝打"も森下デーの象徴だった。初回に先制打を放ったが、3回に村上が逆転を許した。そして迎えた1点を追う3回1死一、二塁。野村の外角低め変化球を強振し、低いライナーを右前に運んだ。ここで右翼の野間がバックホームを狙ってチャージをかけたが、まさかの後逸。同点と逆転の走者2人が一気に生還する"打点0の2点三塁打"になった。「絶対に自分で決めてやろうと、強い気持ちを持っています。ラッキーなヒットだけど、エラーだとしてもヒットだとしても良かったと思う。チャンスはこだわりたいので」学生時代から持ってる男だ。東都リーグの中大時代も、1年春の東洋大戦の初打席で放った初安打が初タイムリー。大学最終戦の日大戦は最終打席で左翼越えにソロ。ドラフト会議前日の猛アピールが岡田監督の目に留まり、堂々の1位指名を勝ち取った。「野球では持っているなと思うところもある」と胸を張る。岡田監督もキャンプ時から抱いていたという「3番森下」ズバリにご満悦。相手の右左に関係なく打つ姿に「今日、半年後に実現したな。やっとな」と喜んだ。寝る子は良く打つ子だ。日々、高い睡眠の質を求めてやまない。理想は10時間睡眠で最低でも8時間は寝る。「なるべくスマホもいじらない。寝られない時もあるけど、何も考えないように、眠くなるように頑張るしかないです」。心静かに自制してのフル充電が、活躍の秘訣（ひけつ）だ。夏の長期ロード出発前のラスト甲子園は、大事な広島との首位攻防3連戦。森下のバットで、前日奪われたセ界1位を一夜で奪い返した。3番4試合の打率は驚異の4割1分2厘。プロ最長の7試合連続安打継続中だ。「あと2試合勝ち切って、必ず首位でいきたいです」。背番号1が「アレ」に欠かせないピースになってきた。【三宅ひとみ】

◆完全復活だ！阪神近本光司外野手（28）が、2安打3得点1盗塁の活躍で首位奪回に貢献した。初回先頭で広島野村の低めチェンジアップを右前にクリーンヒット。その後、3番森下の打席で初球にリーグトップの14個目の盗塁を決め、森下の中前打で先制のホームを踏んだ。「先制できたのはよかったと思います」。帰ってきた1番打者が攻撃に勢いをもたらした。右肋骨（ろっこつ）骨折から復帰後3試合目で初安打を放ち、4試合連続ヒット中。1点リードの6回2死満塁では押し出し四球を選び、8回には2試合連続マルチの中前打を放つなど、完全復活を印象づけた。3得点には「森下も4本打っていたので、それでかえってこれたのもあります」とにっこりだ。森下の新人4安打は球団では19年の近本以来。「僕も4安打打ちたいなあ、むしろ3安打でいいから、3安打をもっと増やしたい」と笑った。岡田監督も復活を遂げた近本に「やっぱり足使えるし、それが理想で開幕スタートしたわけやから。足が使える1、2番でってな」と目を細めた。イメージ通りの打席が増えてきたという背番号5は「状態的にもいいんじゃないですかね」と胸を張った。頼れるリードオフマンが、打線をグイグイ引っ張る。【古財稜明】

◆阪神村上頌樹投手（25）が、打って投げての大車輪で7勝目を挙げた。1カ月ぶりの白星をアシストしたのは、自らのバットだ。1点リードの6回2死一、二塁で、広島ケムナから左前打。4回の右前打に続く快音で、プロ初のマルチ安打を決めた。「打点入らんかった...って感じで。チャンスだったんで、ちょっと（打点が）欲しかったですね」と一塁ベース上で笑った。満塁機をつくり、近本が押し出し四球。中野、森下の連続適時打で一挙4得点のビッグイニングを演出し、勝利を決定づけた。「（代打が）あるかなと思ったけど、いかせてくれた。『打つ』という気持ちで。つなごうと思っていました」智弁学園（奈良）3年時、高松商（香川）とのセンバツ決勝の延長11回、甲子園でサヨナラ二塁打を放った。高校、大学のチームメートが「頌樹のバッティングは野手に負けてない」と口をそろえる打棒。普段は打撃練習をほとんど行わないというが、大事な首位攻防第1ラウンドで、プロでも健在のセンスを発揮した。この日、母校の智弁学園は奈良県大会で2年ぶり21回目の優勝。甲子園出場を決めた。中継を見届け、小坂将商監督（46）に「おめでとうございます。自分も負けないように頑張ります」とLINEを送った。「後半戦初戦、絶対勝つという気持ちだった」。後輩たちがつかんだ吉報にハートを燃やし、腕を振った。本業もバッチリだった。3回に逆転を許したが、その後は踏ん張り、7回5安打2失点。103球の粘投で大竹に並ぶチームトップの7勝だ。1年目の21年に初黒星を喫した広島からは、3度目の対戦で初勝利を挙げた。「10勝したいと思ってるので、あと3勝」と満足はしていない。お立ち台では夏の甲子園に挑む母校とともに「もっともっとアツい夏にしたいなと思います！」と誓った。若武者が「二刀流」で輝き、再奪首を導いた。【中野椋】▽阪神岡田監督（村上について）「2点は取られましたけど、この時期7回までね、100球、本当に良く投げたと思いますね。本人は投げるゲームは全部勝つつもりでいるんじゃないですかね。前半も良かったですけどね、継続して後半もやってくれると思います」

◆阪神前川右京外野手（20）が7試合ぶりのスタメン出場で3三振を喫し、悔し涙を見せた。「6番右翼」で出場したが、3打席連続三振。2、4回は先頭打者として広島野村に、6回無死一塁ではケムナの前に沈黙した。7回の守備から途中交代。ベンチでは涙を見せ、木浪から声をかけられる場面も見られた。前川は「強くならないといけないと思います」と力を込め、球場を後にした。15日中日戦（甲子園）から約2週間安打が出ておらず、12打席連続無安打。岡田監督は「なんかタイミングあってないな」と指摘したが、今後も1軍起用を続ける方針。涙については「そんなんで泣いてたらあかんやろ。それは汗やろ、暑いから」と、かばった。

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】阪神森下翔太がプロ初の4安打に3打点と大活躍。恐怖の3番としてチームに勢いをつけてます！

◆阪神中野が試合を決定付ける左前適時打を放った。6回に近本の押し出し四球で2点リードとし、なお2死満塁。1ストライクから右腕ケムナの145キロ高め直球を捉えた。「真っすぐ系に力負けしないようにいこうかなと思っていた。ボール気味の球でしたけど、うまく打つことができました」。7試合連続の安打で、2試合連続適時打となった。

◆開幕から２軍で主にストッパーを務めていた阪神・小林慶祐投手（３０）が１軍に合流した。 今季ここまでに１軍昇格はなく、２軍では２５試合に登板して１勝３敗１１セーブ、防御率３・６０だった。２０２２年の登板数は１０試合、２１年は２２試合だった。

◆両軍のスターティングメンバーが発表。阪神は前川右京外野手（２０）が「６番・右翼」で７月１６日の中日戦（甲子園）以来のスタメン出場を果たした。広島先発の野村からは前回対戦で１安打。フレッシュな若虎が１０連勝中と波に乗る広島の勢いを止める。先発は村上頌樹投手（２５）。直近２試合はいずれも敗戦。６月２９日の中日戦（甲子園）を最後に７月は勝ち星に恵まれていない。広島とは前回対戦した７月６日（マツダ）に７回５安打３失点と粘投も今季４敗目を喫した。リベンジのマウンドで久々の勝利を手にする。

◆阪神・青柳晃洋投手（２９）が試合前練習に参加し、２９日の１４回戦での先発登板に向けてキャッチボールなどで調整した。 「あまり広島に勝てていないので、できることをしっかりとやるぐらいしかできないと思うので、打者みんないいですし、左打者でいい選手がそろっているので、一人一人アウトを積み重ねていけたらいいかなと思います」 。５月１９日（甲子園）の対戦では５回８安打７失点と打ち込まれる悔しい結果。翌２０日から２カ月弱に及ぶ２軍調整を経て臨む、リベンジの再戦だ。 前回登板した後半戦初戦となる２２日のヤクルト戦（神宮）では自らのけん制ミスがなどで５回７安打５失点。「後半戦は１試合でも多く貢献できる試合ができれば」と残りのシーズンを気持ちよく駆け抜けるためにも、広島相手の大事な一戦で勝利をもたらす。

◆阪神が理想的な形で先制。リードオフマンの近本光司外野手（２８）が口火を切った。広島の先発・野村の２球目、１２４キロチェンジアップを捉えて右前へ。中野は左飛に倒れたが、続く森下の初球でスタートを切った。悠々セーフの今季１４盗塁目で１死二塁とチャンスメークすると、森下が１２９キロスライダーを捉えて中前へ。快足を飛ばし、近本が先制のホームを踏んだ。

◆大砲のパワーに甲子園が揺れた。阪神・佐藤輝明内野手（２４）が一回の第１打席へ。広島の先発・野村の初球、１３４キロカットボールを強振した。鋭く放たれた白球はあっという間に右翼ポール際へ。惜しくもファウルの判定に、球場はどよめきとため息に包まれた。佐藤輝はその余韻が残るなか、続く１２６キロスライダーも強振。この打球も再び右翼ポール際に切れていく大ファウルとなり、甲子園はより一層のどよめきに包まれた。結局、二ゴロに倒れた佐藤輝だが、試合前の時点で６試合連続安打＆４試合連続打点と打撃は絶好調。次打席以降に大きな期待がもてる内容となった。

◆阪神・森下翔太外野手（２２）が一回に先制の中前適時打を放った。「近本さんが盗塁でチャンスを作ってくれましたし、追い込まれていましたが、なんとか食らいつく気持ちがタイムリーにつながったと思います」。１死二塁の好機で野村の１２９キロスライダーを捉えた。これで７月１７日の中日戦（甲子園）から自己最長を再び更新する７試合連続安打と絶好調。２試合連続打点とクリーンアップとしての風格も漂ってきた。

◆阪神が相手のミスに付け込んで逆転。森下翔太外野手（２２）がこの日２本目のヒットを放って得点を導いた。１－２と逆転された直後の三回。１死から近本の打球を遊撃手・小園がファンブル。中野が四球でつないで一、二塁の好機を作った。打席には先制適時打を放った３番・森下。カウント２－２から７球目だった。１３７キロカットボールを捉えると、痛烈な打球は右翼で弾む。この打球を広島・野間が後逸。走者２人が一気に生還し、森下も三塁まで進んだ。打点こそつかなかったが、広島の先発・野村は試合前の時点で１７イニングを無失点で防御率０・００の右腕。先制打を含め、ドライチが難敵を打ち崩した。

◆阪神の先発・村上頌樹投手（２５）が五回のピンチをしのいだ。先頭の上本に左前打を許したが、続く田中を遊飛。大盛の一ゴロで２死二塁とピンチを背負って代打・磯村を迎えた。それでも、カウント２ー２から５球目、１３３キロフォークで空振りを奪って三振。この回途中から大粒の雨が降り始めたが、雨にも負けず勝ち投手の権利を手にした。

◆阪神・森下翔太外野手（２２）が３ー２で迎えた五回１死の第３打席で左前打を放ち、プロ初の猛打賞を記録した。２番手・ケムナの１４７キロ直球に詰まりながらも左前へ。森下は一回に先制の中前適時打。そして三回には逆転を導く右前打を放っており、プロ入り後初めて１試合３安打をマークした。

◆阪神の先発・村上頌樹投手（２４）が打撃でも魅せた。３－２で迎えた六回２死一、二塁の好機。ケムナの１３６キロスライダーにバットを合わせた。鋭い打球は三遊間を抜ける左前打。野手顔負けの打撃センスで満塁の好機を演出すると、近本が押し出し四球、さらに中野が左前打で大きな追加点を導いた。村上は四回にも野村から右前打を放っており、これでプロ初のマルチ安打をマーク。投げては６回２失点と試合をまとめ、投打にわたる〝二刀流〟の活躍だ。

◆阪神・森下翔太外野手（２２）が止まらない。５－２とリードを広げて迎えた六回２死満塁の好機。フルカウントから代わったばかりの広島・戸根の１１８キロカーブを捉えた。痛烈な打球は一塁・松山のミットを弾き、外野を転々。この日、４安打目となる２点打でさらにリードを広げた。五回の第三打席で左前打を放ち、プロ初の猛打賞をマークしたばかりのルーキー。ここまで４打数４安打３打点とクリーンアップの仕事を果たしている。

◆先発した阪神・村上頌樹投手（２４）は７回５安打２失点と試合をまとめた。一回はわずか９球で三者凡退と完璧な立ち上がり。１－０の三回に２点を奪われたが、直後に味方が逆転し、その後は安定した投球でゼロを並べた。五回２死二塁のピンチは代打・磯村をフォークで空振り三振。六回、七回と１死から走者を許したが、落ち着いて後続を断った。村上は打撃でも躍動。四回に野村から右前打を放つと、六回２死一、二塁の好機ではケムナから左前打を放って打線をつなぎ、大量得点につなげた。プロ初のマルチ安打とバットでも魅せ、６月２９日の中日戦（甲子園）以来、約１カ月ぶりの今季７勝目を大きく手繰り寄せた。

◆阪神が快勝で首位に返り咲いた。「３番・左翼」で先発した森下翔太外野手（２２）が、４安打３打点と躍動した。一回に先制の中前適時打を放つと、１－２で迎えた三回１死一、二塁の好機では痛烈な右前打。これが、相手右翼手の後逸を誘い、逆転に導いた。五回にも左前打を放ってプロ初の猛打賞をマークすると、六回２死満塁の好機ではとどめの２点打。クリーンアップに定着しつつあるルーキーが試合を決めた。 先発の村上頌樹投手（２４）は７回５安打２失点で、今季７勝目（５敗）。２安打と打撃でも貢献する二刀流の活躍だった。阪神は首位攻防の初戦に勝利し、勝率の差で再びリーグ首位に浮上した。

◆阪神が首位返り咲き。広島の連勝を「１０」で止め、一日でセ界トップに戻った。「３番・左翼」のＤ１位・森下翔太外野手（２２）＝中大＝がプロ初の猛打賞を４安打３打点で飾り、自己最長を更新する７試合連続安打。２連敗中だった村上頌樹投手（２５）は６月２９日の中日戦（甲子園）以来の白星で７勝目（５敗）。「６番・右翼」で球宴後、初スタメンの前川右京外野手（２０）は３三振で途中交代を命じられた。シーズン５０勝に到達した岡田彰布監督（６５）の主な一問一答は以下の通り（成績＝５０勝３７敗３分、観衆＝４万２６３７人）。ーー一回は近本の盗塁がきいた（右前打を放ち、１死後に二盗成功）「その前も出しとったけど、走れんかったんやろ、スタート切れんかったんやろ、中野の時（笑）。ディスボールじゃないから」ーー近本復帰後、いい時の野球になってきた「足使えるし、それが理想で開幕スタートしたわけやから。足が使える１、２番でってな」ーー六回２死一、二塁で村上への代打は「全然準備してなかったよ。それは」ーー球数的にも「ずーっと投げとったからなあ。何とか七回まで行って、２人で行こと思てたから。投げてない３人でな、連投だけはささんとこと、今日はね。ゲーム展開もね。球数とかいろんな意味で、あと１回かなというのはあったから、裏ではバット振っとったけど、代打陣は。代打陣には説明しといたよ。『９月やったら（村上に）代打、行っとったよ』と、『７月やから行かんかった』とちゃんと説明したよ」ーー相手継投のタイミングを見て、流れを読むことを大事にしていると話しているが「代える必要がない場面やし、そら（四球の）木浪がアウトになってしまったら、別によかったんだけど。また、つながっても、あと１イニング抑えてくれて、次（の回）はまた１番からっていうのがあったから」ーー３番・森下というプランは「プランもくそも、そんなん一番考えてたんは、キャンプ。半年経ってやっと実現したなと、平田と話しとったよ」ーーキャンプの時には右にも打てると期待して「うんうん。ＯＢも書いてたよ。クリーンアップ３番と。今日、半年後に実現したな。やっとな」ーー前川が「そうなんよな。ちょっとおかしかったからなあ。フーァムでちょっと打席打ってこいて言うたんやけど、なんかタイミングあってないな」ーー泣いていた「え？　そんなんで泣いてたらアカンやろ。それは汗やろ、暑いから」ーー今後は「調子悪いからファームにも２日連続。一日と思ったけど、もう一日立たたそうと思って行かせたんや。でも、なんかなあ」ーー当てにいく「フリーバッティングもあんまよくないもんな。中で打ったりしとるけど、やっぱりゲームでああいう内容になってしまうと、なかなか上がってこないよな。ゲームでポンとな、ヒットでも１本出ればだいぶ違うと思うけど、その辺は難しいよ。これからはいいもんを使っていかなアカンからな」ーー森下は追い込まれてから「それが価値があるよな」ーー１ー５番が固まりそう「今度６番で困るかも分からんやん。どっかで困らんとこっちの仕事がなくなるやん」

◆阪神で１９９４年に新人王に輝き、米大リーグのアスレチックス、ジャイアンツ、楽天と渡り歩き、日米通算９１勝をマークしたサンケイスポーツ専属評論家の藪恵壹氏（５４）は１点リードの六回に４点を加えた場面に言及。２死一、二塁で打席に村上頌樹投手（２５）のシーンに疑問を投げかけた。勝負どころの判断は難しい。六回２死一、二塁で打席に村上の場面。岡田監督は「９月なら代打」という趣旨の話をしたが、私は勝負をかけて代打を送っても良かったと思っている。結果的に村上がヒットを放って、打線がつながって勝負を決める４点が入ったのだが、村上が打っても、代打が打っても、意味合いは一緒。代打で勝負をかけて、勝ちに行く野球を見たかった、というのが個人的な考え。７月とはいえ、すぐに８月。しかも首位攻防。もう勝負をかけていい時期だろう。七回から岩貞、加治屋、岩崎の３枚を投入して勝ちにいくほうが自然だ。特に七、八回を任せる岩貞、加治屋は安定化も十分。村上がもう１イニングを投げたことで、岩崎を温存する形になったのはチームとしてプラスではあるが。広島には強さを感じた。投手陣は強力だし、下位打線が出塁して、上位で返すという阪神とよく似た得点パターンを持っている。ただ西川が不在のため、核になる秋山を抑えきったことが阪神の勝因でもあった。

◆広島は連勝が１０で止まり、１日で首位から転落となった。三回に一度は逆転したが、その裏に２失策が絡んで再びリードを許してからは、流れを呼び戻せなかった。新井監督は「まだ５０試合以上ある。順位的なものは気にしていない。ヤマ場はまだ先にあると思う」と淡々とした口調で振り返った。三回に適時打を放った小園と野間が、その裏、そろって失策する皮肉な展開。指揮官は「エラーは野球に絶対あるから」と責めることはなかった。むしろ「次が大切。取り返すチャンスはたくさんある。次に期待したい」とかばうように話した。

◆悔しかった。前川は六回、３打席連続の空振り三振に倒れた直後、ベンチで人目をはばからず、大粒の涙を流していた。自分へのふがいなさで、感情を抑えられなかった。「もっと強くならないといけないなと思います」歓喜の輪ができた試合後、２０歳は必死に声を振り絞った。この日は気合十分だった。１６日の中日戦（甲子園）以来、後半戦になってから初めて「６番・右翼」で先発のチャンスをもらったが...。二回は広島の先発・野村のチェンジアップに、四回はスライダーにバットは空を切った。３－２で迎えた六回無死一塁。ここでもケムナの投じたスライダーにまったくタイミングが合わず、七回の守備から交代となった。岡田監督は、ベンチ内で前川が涙を流していたことに気づかなかったというが、「そんなんで泣いてたらアカンやろ。それは汗やろ、暑いから」。やんわりとオカダ流のジョークで励ました。５月末に１軍デビューし、３番を１２試合任されるなど、６月は１５試合で打率・３５８（５３打数１９安打）を記録したが、１５日の中日戦（甲子園）で安打を放って以来、１２打席連続無安打。指揮官も「フリーバッティングもよくないもんな、ずっと。中（室内）で打ったりしとるけど、なかなか（調子が）上がってこないよな。ゲームでポンと、ヒットでも１本出ればだいぶ違うと思うけど」と心配だ。「２軍には落とせへんよ」－。この悔しさをバネに、プロの壁を乗り越えるしかない。（三木建次）

◆阪神・岩貞が八回に２番手で登板。５点差と大量リードの場面ではあったが、先頭の代打・中村奨を中飛、小園を二ゴロ、野間を遊直と三者凡退で抑え、広島打線に反撃の隙すら与えず。勝ちパターンを担う左腕が、次戦以降にもつながる投球をみせ、試合後は「絶対勝つ。それだけしかないです。絶対勝つだけです」と何度も必勝を宣言した。

◆阪神・近本は一回先頭で右前打を放ち、１死から今季１４個目の盗塁に成功。森下の先制打につなげた。八回にも中前打を放ち、４試合連続安打＆２試合連続マルチ安打と復調気配。「状態的にはいいんじゃないですかね」とうなずく。新人では自身以来となる４安打を放った森下に「僕も４安打、打ちたいな。むしろ３安打でいいから、３安打をあと何回かしたい」と刺激をもらっていた。

◆阪神・佐藤輝は３打数無安打に終わり、連続試合安打は６、連続試合打点は４でストップした。それでも、第１打席は初球から２球連続で右翼ポール際へ、場内がどよめくほどの大ファウル。六回先頭の第３打席は四球で大量得点の契機を作るなど、打席の中で内容はあった。次は勝利を決める一打を放つ。

◆イッツ、翔太イム！！　阪神は広島に７－２で快勝し、一夜で首位に返り咲いた。「３番・左翼」で出場した森下翔太外野手（２２）が一回の先制打などプロ初の４安打を放ち、３打点を挙げて１０連勝中だった広島の勢いを止めた。７試合連続安打と絶好調のドライチが、首位攻防戦でも大暴れや！！甲子園で〝森下劇場〟を演じた。「３番打者」が板についたドライチが大暴れ。何度もガッツポーズを作ってみせた。広島との首位攻防戦の初戦で、「人生初」の４安打。１０連勝の鯉を止める３打点をマークし、虎がわずか一夜で首位返り咲きだ。「勝つ気でいたし、乗っているチームで初戦が絶対大事だと思っていた。絶対自分が決めてやろうという、強い気持ちしか持っていない」前回登板で６回３安打無失点の好投を許し、今季初白星を献上した広島の先発・野村を相手にしても、勢いに乗るルーキーは止まらない。一回１死二塁から、カウント０―２と追い込まれながら外角低めのスライダーを中前にはじき返した。自己最長の７試合連続安打で、野村から今季１８イニング目で初めて得点を奪った。１―２と逆転された直後の三回は１死一、二塁から、またも追い込まれながらも７球目のカットボールを捉えて右前へ快音を響かせた。痛烈な打球を右翼の野間が後逸する間に森下は一気に三塁へ。３―２と試合をひっくり返し、これが決勝点となった。五回にも２番手・ケムナの直球を左前打とし、自身プロ初の猛打賞をマークすると、５－２の六回２死満塁からは３番手・戸根から右前に２点打。３度の得点圏で勝負強さを発揮した。プロは体が資本。１年目の森下は寝ることで体を作ってきた。「睡眠はかなり意識してとるようにしています。疲労がたまりやすくて、一番（疲労が）抜けるのは睡眠だなと思ったので」。目標とする睡眠時間は１０時間。ナイターで体が興奮している日にも、しっかり食事をとり、スマホを触らずに睡眠環境を整えて体を休める。フレッシュオールスターを含め、屋外球場が自身連続１７試合目のこの日も疲労の色は一つもなく、グラウンドで躍動する背番号１の姿があった。岡田監督も「きょうは森下ですかね。ずっと内容もいいし、追い込まれても右にうまく打つし。ずっとこれを続けてほしいですね」とご満悦。４試合連続の３番起用で、固定できていなかった３番がようやく落ち着いたことについては「そんなん一番考えてたんは、（春季）キャンプ。そんなのは。半年たってやっと実現したなと、平田（ヘッドコーチ）と話しとったよ」と明かした。「悔しい思いを何度もしたので、毎試合気合を入れて臨んでいる。まだ首位攻防戦は残っているので、しっかりあと２試合勝ち切って必ず首位で行きたい」森下が宣言した。最終打席は捕邪飛に倒れたが、打席に向かうだけで満員の虎党から歓声が上がった。２度の２軍落ちを経験し、１軍定着を求めていたルーキーは、いまや欠かせない３番打者に成長。これからも猛虎打線の中心に立ち、〝アレ〟へ突き進む。（中屋友那）

◆阪神・中野は六回２死満塁の好機でケムナの１４５キロ直球を左前に運ぶ適時打で、７試合連続安打とした。「真っすぐ系に力負けしないようにと思っていた。うまく打つことができた」。１－２の三回１死一塁では、今季無四球だった野村から四球を選んで、逆転をお膳立て。「冷静にボールを見極められたと思いましたし、あそこの四球は大きかった」と振り返った。

◆阪神・木浪がベンチで涙を流す前川をフォローした。「『まだ今日終わったわけじゃない。次やり返せばいいじゃん』と（声をかけた）。自分も若くないので、後輩のそういう場面をみたらカバーできるように。普通に寄り添っただけです」。自身は九回に松山の中堅に抜けそうな打球を好捕し、流れるように一塁へ送球しアウトに。頼もしい遊撃手が後輩とチームに救いの手を差し伸べた。

◆ゴロゴロゴロ...雷鳴とどろく試合前の甲子園。突然、空が暗くなってきた。ポツポツポツ...やばい、小雨も降り始めた。グラウンドでは神整備の集団・阪神園芸が大慌てで内野を覆うシートをかぶせていた。まさか、中止？　嫌な予感が脳裏をよぎる。同じ時刻、球場隣接の仮設ステージ上に、サンケイスポーツ専属評論家・藪恵壹氏が。人気お笑いコンビ・さや香、毎日放送・金山泉アナウンサーとともに、雷にビビりながらトークショー。なぜか藪氏だけが「ウル虎の夏」特製Ｔシャツを身に着けていないことを指摘される。「ボクに合うサイズがないんですよ。毎年、言ってるんですが...」アナタがデカすぎるのだ。恒例の「ウル虎の夏」期間中は、入場者も、球場内の関係者も、実況アナも、希望する野球解説者も、みんなが着ている。来年は、藪さん用のスーパーＢＩＧサイズ、ぜひ用意してもらえれば。そんなバカ話をしていると、いつの間にか怪しい雲は消えていた。シートを上げる。今度はマウンド付近でホースを持った阪神園芸職員が散水。シートをかぶせたかと思えば、次の瞬間には水をまいている。この〝加減〟は素人には分からない。まあ、おかげで無事、プレーボール。交流戦ブレークが終わってリーグ戦再開となった１カ月ぐらい前、この阪神ｖｓ広島３連戦が首位攻防戦になると予想した人が、この世にいただろうか？！

◆森下で勝ったァ！！　そして第２戦は森下（広島の先発）に勝つでェ！！虎の３番・森下がプロ初の４安打で３打点。いい仕事、おおきに。シーズン前半に戸惑っていた１軍投手への順応には目を見張るばかりなのだ。強いスイングが持ち味だけど、決してホームラン打者ではない（申し訳ない）と俺はみる。走攻守の全てでハイレベルなのは間違いないので、元広島の緒方孝市や阪神ＯＢなら真弓明信のような、スマートに相手を刺す蜂に育ってくれと願うのだ。森下の活躍に村上の好投で一夜にして首位を奪還。広島からすれば、いい負けだったのでは？１０連勝もしていたら、いつかは負ける。三回に小園と野間のダブルエラーで逆転され、六回には押し出し四球を含む３四球を与え、森下に許した安打も一塁手・松山のミスでは？　ウミを出し切り、第２戦でリフレッシュできるのでは？（でもリフレッシュしなくていいよ）。よって、第２戦をキッチリと勝利することがＶ争いを大きく左右するのだ！！

◆首位攻防第１ラウンドのプレッシャー...とまでは感じなかったが、広島には、こんな思いが横切っていたのではないか。１０連勝もしたら、そろそろ負けどき。それが今日か－と。リードされても投手が踏ん張り、終盤に勝負という、得意のパターンに持ち込めなかった。三回には上本、野間と内外野にエラーが出た。六回はケムナが押し出しを含む３四球を与えた。目に見えるミスによって失点を重ねたところに、そろそろ...という意識と不安が透けてみえた。選手の粒はそろっているが、強力なカードや、コレといったヒーローがいるわけではない。そもそも１０連勝自体、接戦ばかりで、勝敗がどちらに転んでも不思議はなかった。それだけに落ちるときは早く、大きな連敗の危険性がつきまとう。せっかく奇跡のような躍進を見せているのだから、負けを引きずらないこと。２９日の第２Ｒを大事に戦ってもらいたい。（サンケイスポーツ専属評論家）