阪神(☆8対5★)巨人 =リーグ戦13回戦(2023.07.26)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
03000140X81110
勝利投手:桐敷 拓馬(2勝0敗0S)
(セーブ:岩崎 優(3勝1敗16S))
敗戦投手:菊地 大稀(2勝3敗0S)
  DAZN
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◆阪神は3-5で迎えた6回裏、代打・原口の適時打で1点差に迫る。続く7回には、小幡の2点適時三塁打などで一挙4点を奪い、試合をひっくり返した。投げては、3番手・桐敷が今季2勝目。敗れた巨人は、救援陣がリードを守りきれず、痛い逆転負けを喫した。

◆阪神桐敷拓馬投手(24)が、試合前の練習から1軍に合流した。この日出場選手登録され、及川が登録を外れた。救援陣とともにキャッチボールやダッシュなどで調整を行い、「うれしいですし、後半戦に自分も力になりたいなと思います。別に悪くはなかったんで、コンディション的にも。いつでも呼ばれていいように、やっているだけだった」と意気込んだ。今季は1軍戦2試合に先発。プロ初勝利も挙げたが、6月5日のロッテ戦(甲子園)で5回途中4失点を喫し、翌日6日に出場選手登録を抹消されていた。2軍降格後は公式戦4試合に先発。うち、3試合でクオリティー・スタート(6回以上、自責点3以内)を達成するなど、好投を続けてきた。21日には岡田監督も「今一番ファームでええのは桐敷ちゃうか」と評価。「第2先発的に中(継ぎ)に入れてもええかなあとは思てるけどなあ」と、起用法についても考えを明かしていた。また、この日先発の大竹も1軍メンバーに登録された。

◆「ウル虎の夏2023」のイベントの一環で、お笑いコンビ「インディアンス」が試合前にグラウンドに登場し、スタメン呼び出しなどで甲子園を盛り上げた。ボケ担当の田渕は、漫才衣装でも使用しているおなじみのひまわりをウル虎仕様のユニホームの右胸に着用。普段は左胸につけているが、ユニホームには「Joshinロゴ」が掲出されており「ジョーシンさんは隠せないんで! 反対側につけました、今日はいつもと逆!」と強調した。ツッコミ担当のきむが「スポンサーって立ち位置なんや」と振ると、田渕は「ひまわりも全力サポートしてます!」と笑わせた。きむは大阪、田渕は兵庫出身。2人とも阪神ファンで、熱気あふれる甲子園の雰囲気に興奮しきりだった。「今日来させてもらって1発目が下柳さんとのトークやったんで、めっちゃ光栄で! 『えっ、シモや!』ってなって。その後、川藤さんでしょ。レジェンドすぎて、マジで。めっちゃ緊張しました!」と田渕。阪神OBとの共演を終え、大汗をぬぐった。前夜から始まった「ウル虎の夏」のイベント。初日はビスケットブラザーズが球場を盛り上げ、試合は阪神が勝利した。インディアンスにバトンタッチした。「勝ちたい。つなげたいよね」ときむ。田渕も「インディアンスが来た時負けたってなったらな、今後呼んでもらえへんからな!」とエネルギー満点だ。漫才の時と変わらないマシンガントークだった。同イベントは30日まで行われ、日替わりで芸人が来場する。27日がニッポンの社長、28日がさや香、29日がコロコロチキチキペッパーズ、30日が空気階段の予定となっている。

◆阪神大竹耕太郎投手(28)がプロ6年目、通算31打席目で初打点を挙げた。2点を先制した直後の2回1死一、三塁。巨人グリフィンから二塁へのゴロを放った。打球は高くはずみ、チャージをかけた巨人吉川が、これを捕球できず。記録は失策となり、大竹には打点がついた。バットで自らを援護する「ジエンゴ」に、一塁ベースでは笑顔があふれた。

◆悩める助っ人が甲子園に快音を響かせた。2試合ぶりにスタメン復帰し、6番に入った阪神シェルドン・ノイジー外野手(28)が、先制の2点適時二塁打を放った。両軍無得点の2回無死一、三塁。巨人グリフィンから右中間を破る一撃で走者2人が生還した。自身12打席ぶりの安打。長打は5日広島戦以来、約3週間ぶり。タイムリーは12日DeNA戦以来、2週間ぶりとなった。

◆/彼の守備は本当にすごい!\門脇誠は前だけでなく後ろの打球にも強いんですグリフィンも脱帽の超ファインプレー???プロ野球(2023/7/26)??阪神×巨人??Live on DAZN#DAZNプロ野球 pic.twitter.com/9bGjAFa0er

◆阪神大竹耕太郎投手(28)が、今季ワーストの5失点を喫した。3点リードの6回に捕まった。梶谷に適時打を許し2点差。なおも2死一、二塁、2ボール1ストライクから4番岡本和に右中間への同点の2点適時二塁打を許し、試合は振り出しに戻った。その後、2死一、二塁から6番長野に左中間を破られる2点適時二塁打で勝ち越しを許した。5回2/3を投げ7安打、5失点でマウンドを降りた。ベンチではぼう然とするシーンもみられた。「序盤から3点の援護をもらって、投げやすい展開の中で粘り切れずに降板となってしまい、まだまだ力不足だなと感じました。あらためて1球の怖さを実感した試合でもあるので、今日の反省をしっかり次回以降に生かしたいです」とコメントした。球宴第2戦に登板し、中5日で臨んだマウンドだった。防御率1点台の男が、まさかの5点取られた。規定投球回に再び到達し、防御率1・89はリーグトップだが、苦い後半戦のスタートとなった。

◆/これが球界の千両役者\長野久義はこういう場面で打つ??勝ち越しのタイムリーツーベース???プロ野球(2023/7/26)??阪神×巨人??Live on DAZN#DAZNプロ野球 pic.twitter.com/XtjWTguxj9

◆阪神ファンが7回1死一、二塁で巨人高梨が登場する際、ブーイングを起こした。左翼後方からリリーフカーに乗った左腕が姿を現すと、一斉に「ブー」と浴びせた。2日の巨人戦で、近本が高梨から右脇腹付近に死球を受け、右肋骨(ろっこつ)骨折につながっていた。前日25日の練習時には、高梨が近本に謝罪するシーンもみられた。

◆/真夏の伝統の一戦はまだ終わらない\つまりながらも三遊間を抜けていった佐藤輝明が同点タイムリー???プロ野球(2023/7/26)??阪神×巨人??Live on DAZN#DAZNプロ野球 pic.twitter.com/Vh3rglh4f2

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が値千金の同点打を決めた。1点ビハインドの7回1死一、二塁、巨人高梨の143キロ直球を押し返し、三遊間を破る左前適時打を放った。高梨からの安打は対戦9打席目で初。苦手にしていた投手から貴重な一打を放った。背番号8はこれで3試合連続打点。一時打撃不振にあえいだが、状態が上向いている。その後、坂本の犠飛で勝ち越し。小幡の2点適時三塁打で、この回一挙4得点。虎が巨人を突き放した。

◆巨人高梨雄平投手(32)が17試合ぶりに失点を喫し、阪神に逆転を許した。1点リードの5回1死一、二塁のピンチで登板。2日の阪神戦で近本に死球を与えた影響か、ブーイングが浴びせられたが、「そうだったんですか。結構集中してたんで、あまり音とかは聞こえなかった」と集中してマウンドへ。6月10日ソフトバンク戦から16試合連続無失点中だったが、佐藤輝に左前へ同点適時打を浴びると、四球で1死満塁として坂本に中犠飛を打たれて勝ち越しを許した。さらに2死一、三塁から小幡に左中間への2点適時三塁打を許してこの回一挙4失点。1/3回2安打2失点で降板した。高梨は「投げきれなかったっていうのももちろんあるし、投げきれないということを前提に組み立てるのも自分の中でやらなきゃいけないこと。球種のチョイスが、悔いが残る感じだった。もったいないやられ方だった」と悔しさをにじませた。高梨は前日の試合前、自らの死球で右肋骨(ろっこつ)骨折となった近本に直接謝罪。近本からはサムズアップポーズを送られていた。

◆阪神が巨人に連勝し、首位陥落を阻止した。カード3連戦の勝ち越しも決めた。苦しい展開だった。2回に3点を先制したが、5回まで2安打無失点と好投していた先発の大竹耕太郎投手(28)が、6回に突然崩れ5失点KOされた。だが、その裏に代打原口文仁内野手(31)の適時打で1点差に迫り、7回1死一、二塁から佐藤輝明内野手(24)の左適時打で同点。さらに1死満塁として、坂本誠志郎捕手(29)の中犠飛で勝ち越しに成功。さらに途中出場の小幡竜平内野手(22)が左中間を破る2点三塁打を放ち、巨人を突き放した。チームは3連勝で首位を守った。

◆巨人が屈辱の甲子園6連敗を喫した。シーズン中の甲子園6連敗は94年以来29年ぶりだった。借金は2となり、首位阪神とのゲーム差は7・5に拡大した。中継ぎ陣がリードを守り切れなかった。2点リードの6回から小刻みな継投で逃げ切りを図った。しかし、6回は2死一、二塁から4番手・菊地が代打原口に左前適時打で1点差に迫られた。さらに7回は1死一、二塁からは16試合無失点だった高梨にスイッチするも阪神に傾いた流れを止めきれず。佐藤輝に同点の左前適時打を許すと、坂本にも勝ち越しの犠飛を浴びた。さらに小幡にも2点適時三塁打を続かれ、点差を広げられた。打線は6回に一挙5得点で、一時は逆転に成功した。梶谷が反撃の口火を切る左前適時打を放つと、岡本和が右中間へ一時同点とする適時二塁打。さらに6試合ぶりにスタメンの長野が左中間へ2点適時二塁打で続き、一時は勝ち越した。防御率1点台の阪神大竹を6回途中でKOしたが、終盤に阪神に流れを持っていかれた。

◆阪神の代打の切り札・原口文仁内野手が貴重な仕事をした。5点を奪われ逆転された直後の6回裏2死一、二塁で、代打で登場すると、巨人菊地から左前へ1点差に迫る適時打。これが反撃ののろしとなり、7回の4点奪取につながった。原口は「シェルドン(ノイジー)がよく走ってタイムリーにしてくれた。5点取られた後の回だったので、よかったんじゃないかと思います」と笑顔で振り返った。

◆阪神森下翔太外野手(22)が自己最長タイの5試合連続安打で存在感を示した。5回に右前打を放った。2試合連続で3番で起用されたが、ベンチの期待に応えた。森下はヒットが続いていることには「自信になりますし、次につながる安打が出ていると思います」と話したが「打ち損じてる打球が多かったので、そこをもっと詰めていかないと」と反省も忘れなかった。

◆巨人が逆転負けを喫し甲子園で連夜屈辱を味わった。シーズン中の甲子園6連敗は94年以来29年ぶり。5連敗中は2得点以下に抑えられた中で、3点を追う6回に5点奪い勝ち越したが、7回に救援陣が四球絡みで投壊。4失点で逆転を許した。原辰徳監督は「なかなかクローザーまで9回もってこられなかった。やっぱり原因はありますよ。四球だして交代っていうのはやっぱり難しい状況になりますね」と受け止めた。▽巨人長野(同点の6回2死一、二塁、左中間へ一時勝ち越しの2点適時二塁打)「みんながつないでくれたチャンスだったので、ランナーをかえすことができてよかったです。一塁から(大城)卓三がよく走ってくれました」

◆阪神岡田監督が自在なタクトで「伝統の一戦」を制し、監督通算630勝で元中日監督の落合氏を超えた。試合後、勝利数について問われると「どうでもええわ(笑い)」と一蹴した。7回に一挙4点を挙げての逆転勝利の伏線は、2点ビハインドの6回の攻撃にある。2死二塁で左腕大江に対し、木浪に代わって小野寺を代打起用。「向こうも左に代えたからね、おーん、だから勝負かけたんや」と仕掛けた。小野寺は四球を選び2死一、二塁。ここで巨人原監督が右腕菊地にスイッチすると、岡田監督は投手島本の打席で代打原口を投入した。「右とか関係ない、そこで1点取れるかという回だった」。信じて送り出した代打の切り札が左前適時打で1点差。采配的中で、7回の逆転劇につなげた。7回に2点適時打を放った小幡も途中出場組。起用が結果に結びつき「昨日より今日の方が楽しかったな」と満足げだ。両チーム合わせて10人の中継ぎ投手が投入されたゲーム展開には「大好きやわ。こっちはコマがおるからな」。原監督との采配勝負を楽しみ、3連勝で首位キープ。一気の巨人戦3連勝を狙う。

◆因縁の左腕打ちで3連勝! 阪神が宿敵巨人との激戦を制し、首位陥落を阻止した。1点を追う7回1死一、二塁、5番佐藤輝明内野手(24)が8打席無安打と苦戦していた左腕高梨から値千金の同点打。さらに1死満塁から7番坂本誠志郎捕手(29)の中犠飛で勝ち越し、小幡竜平内野手(22)の左中間2点三塁打でトドメを刺した。近本光司外野手(28)の右肋骨(ろっこつ)骨折の原因となった死球を与えた左腕を打ち崩し、0ゲーム差の首位を死守した。4万人を超える虎党の大歓声を、佐藤輝は一塁ベース上で一身に浴びた。1点を追う7回1死一、二塁、巨人が菊地から高梨にスイッチする。左腕は近本に死球を当てて右肋骨を骨折させていたことから、甲子園は大ブーイングに包まれた。ボルテージが最高潮に達する中、2球目だ。内角直球を逆方向へ。三遊間を突破し、二塁走者が生還。試合を振り出しに戻し、聖地はお祭り騒ぎとなった。「めっちゃうれしいっすねー、うれしいっすね。(高梨から)1本も打ってなかったのでよかったです」天敵高梨との9度目の対戦で初安打。試合後は思わず笑みがはじけた。直後、1死満塁から坂本が勝ち越しの中犠飛を打ち上げ、小幡がダメ押しの2点適時三塁打を決めた。何より勝利がうれしかった。「バット変えていい感じです」。好調の要因の1つが「森下バット」だ。23日の敵地ヤクルト戦。3打席凡退で8回の打席に向かう直前、ベンチで隣に座っていた森下の相棒を見つけ「これでええわ」と拝借した。「いい感触だったので、ちょっと試してみようかなと」。1死一、二塁から左中間を破る適時二塁打を放ち、勝利に貢献。この一戦から3試合連続打点と新相棒がハマっている。森下のバットの長さは佐藤輝とほぼ一緒の85・1センチ。重さは10~20グラムほど軽い870グラム前後だという。佐藤輝はスイングした時の「バランスが違う」と説明。森下は「グリップは細めで先っぽの方に重みがあって、トップの方にバランスがあります。テルさんはそれがちょっと合っているのかな」と分析する。大山も同じ型で使用するなど、森下バットの人気は上昇中。新人の相棒が、主砲の快打に一役買っている。2回無死一塁では5試合連続安打となる右前打を放ち、ノイジーの先制打につなげた。2試合連続マルチ安打。岡田監督は同点打の場面を振り返り、「あそこは絶対、左(投手)が来るんだけど。だいぶタイミングもいいし、空振りも今までの空振りと全然違う。左が来ても打つかなと」と予感が的中して納得顔だ。チームは7月2度目の3連勝で3カードぶりの勝ち越しを決め、首位を死守した。これで94年以来29年ぶりの甲子園巨人戦6連勝だ。勝負の夏。苦しみからはい上がった背番号8が、再び主役の座を取り戻しそうな気配だ。【古財稜明】▽巨人高梨(1点リードの7回1死一、二塁で登板も1/3回を2安打2失点。17試合ぶりに失点し)「もったいないやられ方だった。球種のチョイスに悔いが残る。今日の反省を踏まえて次の投球をしたい」阪神が甲子園で巨人に6連勝したのは、94年7月7日から9月3日にかけて6連勝して以来、29年ぶり。なお2リーグ分立後の連勝最長は79年6月22日~9月5日の7連勝で、27日も勝てばこれに並ぶ。

◆阪神坂本誠志郎捕手が決勝の勝ち越し犠飛を決めた。5-5の7回1死満塁。巨人高梨から中堅へ打ち上げ、三走大山が生還した。ヒーローとなった坂本は「ここまで飛んだらさすがに犠牲フライになるかなとは思ったんですけど、前に落ちなかったり越えなかったのが僕らしいなと思いました」と笑顔で振り返った。

◆阪神岩崎優投手が今季16セーブ目を挙げ、通算47セーブとして球団では久保田、ウィリアムスに並ぶ歴代8位タイとなった。3点リードの9回に登板し、1安打は許したが、しっかりとゼロで抑えて勝ち試合を締めくくった。左腕は「よかったです。明日も頑張ります」と話して引き揚げた。

◆阪神先発の大竹耕太郎投手が今季ワーストの5失点を喫した。3点リードの6回、梶谷、岡本和、長野に適時打を浴び、この回だけで5安打5失点。「序盤から援護をもらって、投げやすい展開の中で粘り切れずに降板となってしまい、まだまだ力不足だなと感じた。あらためて1球の怖さを実感した」と反省した。球宴第2戦に登板し、中5日で臨んだマウンド。試合をつくることはできなかったが、打線が逆転し黒星は免れた。

◆正念場を耐えてプロ2勝目をつかんだ。阪神桐敷拓馬投手(24)が1回を無安打無失点と踏ん張った。昨季4月8日広島戦以来となる中継ぎマウンド。1点ビハインドの7回に登板し、流れを引き寄せた。「最初の入りが悪かったけど、その後は1人1人を打ち取れて、自然とアウトを重ねられたかなと思います」先頭門脇に四球。1死二塁から味方の失策で吉川を出塁させても落ち着いていた。2死一、三塁と最大のピンチで好調秋広と勝負。「思い切り投げるしかなかった」。フルカウントから持ち味でもある内角を攻めたツーシームで空振り三振。魂の投球でガッツポーズを決めた。この日1軍に昇格して即登板。2軍では先発登板がメインでぶっつけ本番のリリーフ登板だったが、役割を全うした。降板直後の7回裏、打線が一気に4点を奪って逆転に成功。白星のおまけもつき、「うれしいです。今日は本当に(佐藤)テルさんや(坂本)誠志郎さん、小幡や野手の皆さんに感謝したい」と感謝した。岡田監督は「あの段階では、桐敷は3イニングでもいかそうかと思ってた。大きかったね。1アウトから左2人をいい形で、秋広を三振にしたのは次の登板につながる」と納得顔だ。試合後のベンチではバッテリーを組んだ坂本とタッチを交わし、充実した表情を浮かべた。「次のためにも反省していきたい」。もちろん、この白星も成長の糧にする。【三宅ひとみ】

◆虎の伏兵が、ここぞの場面で集中力を見せた。代走から出場した阪神小幡竜平内野手(22)が値千金の適時三塁打で試合を決めた。7回だ。佐藤輝の同点打、坂本の中犠飛で逆転に成功し、なおも2死一、三塁。この試合初打席が回ってきた。カウント1-1から左腕高梨の142キロ直球を左中間へはじき返した。「打った瞬間、抜けてくれると思った」。飛球は前進していた外野陣をあざ笑うかのように芝生を転々。開幕戦以来となる117日ぶりのマルチ打点を記録し、「地響きぐらい揺れていた」と振り返る歓声の中、高く拳を突き上げた。途中出場での起用が続く中、4日広島戦以来となる打席だった。走攻守で出場の可能性がある立場に「慣れは難しい」。そんな中、投手の代役などでネクスト・バッタースボックスに立つ瞬間は絶好のチャンスなのだという。「そこでもタイミングが取れる。いざ出たときに、しっかりプレーできるように」。積極的に代役を務め、より近い位置から相手投手の球筋を研究。当初は「若手だから」と向かっていた仕事も、今は大切な意味を持つ。6月3日ロッテ戦(甲子園)でサヨナラ打を記録するなど、得点圏打率は4割1分7厘。「後から行く場面はどこで行っても緊張して当たり前。緊張しながらどれだけ準備できるか」。地道な準備は確実に勝負強さにつながっている。試合前には2軍戦にも出場し、5打数1安打。岡田監督も「朝早く起きて5打席練習してますから」とフル稼働した末の一打にニヤリだ。今季開幕戦は遊撃スタメン出場。もちろん、現状に甘んじることはない。「やっぱりスタートから出ることが1番。そこでモノにできるように」。研ぎ澄ました集中力で、存在感を高めている。【波部俊之介】

◆阪神ノイジーが14試合ぶりのマルチ安打で復活を印象づけた。「6番左翼」で2試合ぶりに先発出場。両軍無得点の2回無死一、三塁、12打席ぶりの安打となる右中間2点二塁打で先制劇の主役を張った。「いい感覚で捉えることができたよ。ランナーをかえすという自分の仕事ができてうれしいよ」。2点を追う6回には1死から中前打を放ち、2死一、二塁から代打原口の左前適時打で4点目のホームを踏んだ。

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】ウル虎の夏、久々にお立ち台に帰って来た坂本誠志郎と小幡竜平で巨人に連勝。同点の7回、一気に3点を突き放した2人の笑顔がお立ち台にあふれました。

◆阪神が伝統の一戦で痛恨の敗戦を喫し、6月26日以来31日ぶりに首位陥落となった。甲子園での巨人戦連勝も6で止まった。0ゲーム差で2位につけていた広島がヤクルトに勝利し、新井監督政権初の10連勝で4月17日以来の単独首位を許した。先発の才木浩人投手(24)が巨人打線に一気にのみ込まれ、5回途中を自己ワーストの7失点(自責3)でKOされた。4回に大山が一時同点弾となる12号ソロを放った直後の5回1死、梶谷の右翼越えソロで勝ち越しを許した。さらに2死走者なしから岡本和の遊撃後方へフラフラと上がった飛球を木浪が落球(記録は失策)。大城に四球を与えて2死一、二塁とされると、中田には中前適時打を浴びた。なおも2死一、二塁、今度は長野に右中間2点二塁打を献上。たまらず岡田監督から降板を告げられた。2番手の馬場も2点二塁打を浴び、才木の失点は7に。自己ワーストを甲子園で更新してしまった。打線は6点を追う7回に3得点。4点を追う8回に佐藤輝明内野手(24)が11号ソロを放ったが、試合を振り出しには戻せなかった。

◆阪神が巨人に敗れ6月26日以来31日ぶりの2位へ転落した。甲子園での巨人戦連勝も6で止まった。0ゲーム差の2位だった広島がヤクルトに勝ち、新井監督政権初の10連勝で4月17日以来の単独首位を許した。先発の才木浩人投手(24)が5回途中を自己ワーストの7失点(自責3)でKOされた。試合後の岡田彰布監督(65)の一問一答は以下の通り。-5回は追いついた後だけに「まあ、その通りや」-1点勝ち越された後、岡本和の飛球を木浪が捕れなかったのが痛い「おーん。まあ、それは。助けられることもあるわけやから。なあ。あとは、そういうときはピッチャーが頑張ったらええだけの話やんか」-3回も投手の戸郷に打たれて四球という最悪の展開「まあまあ。(2番手馬場も)あの誰や、交代した先頭(門脇)か。なあ、考えられんよな。真っすぐばっかりいって」-才木の次回は「まだ終わったばっかりやからそんなん分からん。まあ、昨日、おとといのゲーム見とってな、先発ピッチャーが6回くらいまでしのいだらっていうのをな、見てるはずやからな」-終盤打線は追い上げた「だから、それは言うてるやん。その通りやんか。そら戸郷で6点はきついで、はっきり言うて。だから昨日、おとといのゲーム見とったら、先発ピッチャーの役割いうの分かるやんか、そら。まあな、(9イニング全部)3者凡退なしやろ? もうフォアボール全部絡んでな。うん」-佐藤輝の打球が上がってきた「いやいや、だからずっと調子上がってる言うてるやんか、別に」-明日からロード前最後の甲子園3連戦「どういう感じって、普通にやるだけやんか。ピッチャーはあないしてな、ある程度6回くらいまで頑張ったらええいうことよ。見たら分かるやん、昨日、おとといのゲーム見たら。そういうことやん」-広島と順位が入れ替わった「まだ順位なんか。何試合あるの、まだ7月やで、今。大丈夫もクソもないわ。広島が勝ってるか負けてるかも知らんわ」

◆阪神・桐敷拓馬投手(24)が26日、1軍に合流した。桐敷は今季1軍初登板だった5月26日の巨人戦(甲子園)でプロ初勝利をあげ、6月5日のロッテ戦(甲子園)で登板。五回途中5安打4失点。翌6日には登録抹消となっていた。1軍戦2試合に登板して1勝0敗、防御率3・86。2軍では12試合に登板して3勝3敗、防御率3・98。

◆両軍のスターティングメンバーが発表。阪神は森下翔太外野手(22)が2戦連続の「3番・右翼」でスタメン出場。25日はプロ入り後初めてクリーンアップでのスタメン出場を果たし、六回に大山の逆転弾につながる右前打を放ち、4打数1安打。さらなる活躍で中軸の役割を果たしたい。先発の大竹耕太郎投手(28)は5月27日の巨人戦で7回を無失点と好投。ライバル球団相手に快投なるか注目となる。

◆「6番・左翼」で2試合ぶりにスタメン出場したシェルドン・ノイジー外野手(28)が、二回に右翼越えの先制2点二塁打を放った。先頭の大山の死球と佐藤輝の右前打でつくった無死一、三塁で、カウント1ボールから巨人先発・グリフィンの高め直球を逆方向へ打ち返した。打球は角度よく右中間へ伸び、右翼の頭上を越えた。二者が生還する適時二塁打で2ー0とリードした。ノイジーは7月12日のDeNA戦(甲子園)以来の打点となった。さらに攻勢は続いく。坂本の犠打と木浪の敬遠で1死一、三塁と再びチャンスに。ここで大竹の打球はセカンド前へのボテボテの当たりとなったが、これを二塁・吉川尚がファンブルしてエラーに。三走のノイジーが3点目のホームを踏んで、大竹がプロ31打席目で初の打点を記録した。

◆球宴に出場した巨人・戸郷翔征投手(23)が27日の後半戦初登板へ向け、調整した。6月14日の西武戦(東京ドーム)以降の3試合は7回以上を投げ、自責点2以下に抑えたが白星がついておらず「僕が点を取られて、チームの勝ちを逃してしまっているので、僕自身の責任。いい結果が出ることを祈りたい」と気合を入れた。

◆巨人・長野久義外野手(38)の勝負強さが光った。「6番・左翼」で今季5度目となるスタメン起用。3点を追う六回、チームは岡本和の2点二塁打などで同点とし、さらに2死一、二塁で長野が左腕の大竹から左中間を深々と破る2点二塁打を放った。チームはこの回に一挙5得点で逆転した。今季、広島から復帰したベテランは、4月26日の阪神戦(甲子園)で復帰後初本塁打となる決勝の3ランを放っており、またも虎の本拠地で大きな一打を放った。

◆先発した阪神・大竹耕太郎投手(28)は六回途中7安打5失点で降板した。五回までは4奪三振で許した安打も2本と快調にゼロを並べたが、崩れたのは3ー0で迎えた六回。門脇と吉川尚の安打で招いた1死一、二塁で梶谷に左前に運ばれ1点を失うと、さらに2死一、二塁から岡本和に右中間への2点二塁打を浴び、3ー3の同点に追いつかれた。続く大城には死球を与えて2死一、二塁。ここで6番の長野に左中間を破るタイムリー二塁打を浴びて3ー4と逆転を許した。直後に島本への交代を告げられて降板。ピンチで踏ん張れず、悔しいマウンドとなった。

◆5連敗中の甲子園で喫した二回の3失点が、巨人に重くのしかかった。先発のグリフィンは前夜に決勝アーチを放った先頭の大山を2球で追い込みながら、外角を狙った速球が立て続けに外れて四球を許した。ここから2連打に味方の失策も絡んで一気に先手を奪われた。助っ人左腕にとって、5月20日以来の白星となる5勝目を懸けた後半戦初登板だった。「細かい修正をして、楽しみに待っていた」とマウンドに上がったが、試合前時点で防御率1・48の大竹との投げ合いで先取点を奪われたのは痛かった。チームは後半戦最初のカードとなったDeNA2連戦で連勝発進を決めたが、なかなか波に乗り切れない。上位の阪神と広島には前半戦でともに5つの負け越しを喫しており、原監督は「タイガース、カープ。この辺にはもう少し一人一人が対応する。そういうものを見せないといけない」と指摘していた。大竹には前回5月27日の対戦で7回無失点に抑えられていたが、この日は3点を追う六回に一挙5点を奪って攻略。岡本和が右中間、長野が左中間を破る2点二塁打をそれぞれ放った。「みんながつないでくれたチャンスで何とかしたかった」と岡本和。後半戦で巻き返すべく、この回の攻撃のように束になりたい。(鈴木智紘)

◆阪神は六回に代打・原口文仁内野手(31)が左前タイムリーを放って4-5と1点差に迫った。3-5で2点を追いかける展開となった六回の攻撃。1死からノイジーが巨人2番手・船迫の直球をとらえて中前打で出塁。2死後に木浪が代わった大江から四球を選び、一、二塁のチャンス。ここで代打で登場した原口はさらに代わった4番手菊地の3球目、スライダーを左前に運び、ノイジーが二塁から一気に生還。4ー5と1点差とした。走者を返す仕事で意地を見せた原口は「しっかり初球から振れたことが、いい結果につながったと思います。いいところに飛んでくれましたし、シェルドン(ノイジー)がよく走ってタイムリーにしてくれました」と息をはずませた。

◆甲子園が異様な雰囲気に包まれた。阪神は4―5と1点を追う七回に安打と四球で一、二塁とチャンスメーク。ここで巨人ベンチは投手交代し、高梨がコールされた。高梨は左翼からリリーフカーで登場。この際に阪神ファンから一斉にブーイングを起こった。2日の巨人―阪神(東京ドーム)では高梨が近本に死球を与え、その後、近本は右肋骨骨折の診断を受けてチームを離脱していた。近本は22日のヤクルト戦(神宮)から実戦に復帰。今カード初戦の25日の試合前練習時には高梨が近本に近づき、近本が指でOKポーズを作るシーンがあった。

◆七回に阪神が試合をひっくり返した。4-5で1点を追ったこの回、先頭の中野が巨人4番手の菊地から左前打を放って出塁。1死後、大山の四球で一、二塁とチャンスを広げると、代わってマウンドに上がった5番手・高梨から佐藤輝明内野手(24)が左前にタイムリーを放って5-5の同点に追いついた。続くノイジーが四球を選んだ1死満塁で坂本誠志郎捕手(29)がセンターへ犠飛を上げて6-5と勝ち越しに成功。さらになお一、三塁から、途中出場の小幡竜平内野手(22)が左中間を破る2点三塁打を放って8-5とリードを広げた。またこの回、高梨がマウンドに上がる際には、近本光司外野手(28)に死球を与えて右肋骨の骨折、欠場へとつながった経緯から、スタンドの虎党ファンが強烈なブーイングを浴びせる一幕もあった。

◆阪神が逆転勝ち。4-5の七回に佐藤輝明内野手(24)が同点のタイムリーを放つと満塁から坂本誠志郎捕手(29)の犠飛で勝ち越し、さらに小幡竜平内野手(24)が2点三塁打を放って8ー5とリードを広げた。先発した大竹耕太郎投手(28)は六回に崩れて六回途中5失点で降板したが、打線がカバーした。

◆快音を残した打球は、広い甲子園の右中間を真っ二つに割り、ワンバウンドでフェンスに到達する。2試合ぶりにスタメンに戻ってきた阪神・ノイジーが先制点をたたき出す2点二塁打。12日のDeNA戦(甲子園)から21打席ぶりの適時打に二塁ベース上で大きくうなずいた。「打ったのはツーシームかな。いい感覚でとらえることができたよ。得点圏にランナーがいる場面だったし、ランナーをかえすという自分の仕事ができてうれしいよ」大竹VSグリフィンと、左腕同士の対戦となった「ウル虎の夏」第2戦の二回。大山の四球、佐藤輝の右前打で無死一、三塁の好機をつくると、打席に入るは6番・ノイジー。初球のナックルカーブを平然と見逃すと、カウント1―0から2球目の甘く入ったツーシームを一閃。力強くはじき返された打球が右中間を破ると、大山に続いて佐藤輝も一塁から一気に生還。2点を先制すると、その後も1死満塁から大竹の二ゴロ失の間に1点を加え、幸先よく3点をリードした。ノイジーは左翼の守備でも大竹を助けた。一回、先頭・吉川の打球は三塁線を抜き、左翼線へ。これをフェンスに到達する前に素早く抑えると、二塁に矢のような返球。俊足の吉川は一塁を大きくオーバーランするも送球を見て自重し、二塁進塁を防いだ。大竹が後続を抑え、先制点を許さなかった。ノイジーは開幕からここまで88試合中65試合で3番を務めるも、7月は16試合のうち7試合のみで、打率も・231(試合前)と下降気味。そんな中、左腕を相手に先発出場し、攻守に指揮官の起用に応えた。六回に大竹が梶谷、岡本、長野の適時打で一挙5点を失って逆転を許すも、打線は巨人が小刻みに送り出すリリーフ陣に襲いかかる。六回に代打・原口の左前適時打で1点を返すと、七回には佐藤輝の左前適時打、坂本の中犠飛、小幡の左中間への2点三塁打で計4点を挙げて逆転した。8-5で勝利し、甲子園での巨人戦は6連勝。首位を堅守した。(中屋友那)

◆巨人は救援陣が粘れず2連敗を喫した。原辰徳監督(65)は「なかなかクローザーまで持ってこられなかったというところだね」と悔やんだ。1点リードで迎えた七回にイニングをまたいた菊地が、1安打1四球で1死一、二塁のピンチを招いて高梨にスイッチ。左腕も嫌な流れを食い止められず、2本の適時打と犠飛で一挙4点を奪われた。これで甲子園では1994年以来、29年ぶりの6連敗。首位阪神とのゲーム差は7・5に開いた。指揮官は「フォアボールを出して交代というのはね、やっぱり難しい状況になりますね」と指摘した。

◆阪神が逆転勝ちで首位を死守。甲子園で巨人戦6連勝は1994年以来、29年ぶり。2点を追う六回、代打・原口文仁内野手(31)の適時打で追い上げ、七回に佐藤輝明内野手(24)の左前打で同点。さらに1死満塁から坂本誠志郎捕手(29)の中犠飛で勝ち越し後、途中出場の小幡竜平内野手(22)の2点三塁打で突き放した。七回に再昇格即登板の桐敷拓馬投手(24)がプロ2勝目を挙げた。9連勝の2位広島とは依然、ゲーム差なし。3連勝の岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(成績=49勝36敗3分、観衆=4万2630人)。★テレビインタビュー編(抜粋)ーー七回は一気呵成「昨日もそうですけど。やっぱり佐藤がねえ、あそこは絶対、左(投手)が来るんだけど。そこでだいぶタイミングもいいし、打てそうな感じ、言うたらおかしいですけど。最後の空振りでも今までの空振りと全然違う空振りをしているんで。まあ、左が来ても打つかなっと。そういう感じで見ていますね」ーー上昇の兆しありですね「はい、そうですね」★囲み編ーー七回は桐敷がゼロで抑えた「アレ大きかったね、1アウトから左2人ね、おーん。最後、秋広の三振がね(七回2死一、三塁から空振り三振)。いい形で三振にして、次の登板につながると思うね」ーー原口も「(右腕・菊地に対し)原口は代えようとは思わなかった。1、2(番)が左やからね。でも右とか関係ないから、そこで1点取れるかという回だったので、0点でもよかったんだけど、そこは3イニング用のピッチャーを入れる場所が必要やったからね。それで1点取れたのはよかったね」ーー途中出場組が活躍。監督冥利に尽きる「そうやねー。いい時の流れていうかな、やっぱりみんな追い込まれてのフォアボールとか、空振りとかもなくなると、つながりというか、いい流れになるよね」ーー四球も絡んで得点に。監督の野球が浸透している「4つの四球もあったけど、追い込まれてからのフォアボールもあったし、こっちにとっては大きいし、向こうにとっては、ものすごい痛いと思うしね。そのへんは、いい流れで点を取れてた時の流れになって来た感じはするよね」ーー今後に向けても大きな試合に「今日はね、おーん」ーー相手は小刻みな継投。監督としてはどう「いやいや、大好きやわ。こっちはコマがおるからな。やっぱ向こう、ブルペン陣よくないからね。大竹の時でも1点やったらっていうのあったよ、まあ2点になったけどね。5-3になったけど、まだ4イニングあったからね。それはもう、全然。大竹に、もったいないでって言うたけど」ーー久しぶりに采配機会が多く楽しかったのでは「おーん、昨日より今日の方が楽しかったな」ーー元中日・落合博満監督の勝利数を抜いた(これで監督通算630勝)「どうでもエエわ(笑い)」

◆巨人は救援陣が踏ん張れず、2連敗。甲子園では6連敗となった。4番手の高梨雄平投手(31)が17試合ぶりの失点を含む2安打2失点で逆転を許した。高梨は「死んでも抑えないといけない試合というのがある。そんな試合ばかりなんですけど。きょうも抑えたかったです。後悔の残る...間(の取り方)とか球種とか、全部のチョイスがもったいなかった。結果論ですけど」と悔しさをにじませた。異様な雰囲気の中で登場した。2日の阪神戦(東京ドーム)で近本の右脇腹付近に死球を当て、近本が右肋骨(ろっこつ)を骨折したことによるブーイングが甲子園の虎党から起こる中、1点リードの七回1死一、二塁で4番手として登板。佐藤輝に同点の左前打を許し、坂本には中犠飛、ノイジーはすべてボールで四球を与え、最後は小幡に直球を捉えられ、2点二塁打を許して逆転を許して降板した。リーダー的存在としてブルペンを引っ張る左腕は「(いいコースに)投げ切れなかったのもあるし、投げ切れないということを前提に組み立てることもやっていないといけない。(無失点の登板が続き)何でもいけるだろうとなっていた。そんな打たれ方だった。今日の反省を踏まえて次にどういう投球をするか、その繰り返しです。(ブーイングは)集中していたので、聞こえなかった」と話し、気持ちを切り替えた。

◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(79)は同点打の阪神・佐藤輝明内野手(24)に言及。球宴が復活のきっかけになったのではと推測した。今回は佐藤輝をホメる。2人のサウスポーから2安打。八回2死一、二塁で左腕から打った最後の投ゴロもいい当たりだった。テークバックができて、ボールとの距離が取れて、一番大事な「間」ができていた。以前の評論で「間」が抜けていると厳しく評したが、5打席を見ていると「いつでもヒットが打てる」形になっている。以前なら1試合で何度も見かけた意味のないスイングも一度もなかった。自分の中で何かを見つけたのかもしれない。元々、力を持っている選手から、ようやく「雰囲気」が伝わってきた。佐藤輝の打撃はオールスターの期間を境に変わってきている気がする。私も経験があるが、他球団の選手から見聞きしたことは財産になった。佐藤輝も、何らかのヒントを得たのかもしれない。肝心なのは、いい形をどう継続していくか。好不調がノコギリの歯のように激しかった。今の打撃を自分がどう理解しているか。忘れないためにどうすべきか。いつでも思い出せるようにできるか。本人にしか分からない部分だ。コンスタントに成績を残せる打者になるか。波の激しい選手に戻るか。この先の何試合かが分岐点になるかもしれない。先発・大竹にも触れておきたい。六回は暑さによるバテを感じた。打者は3巡目に入ると、投球に慣れてくる。ほんの少しの球威の落ちも気付く。いくら好投していても、ある程度の対応はできるようになる。そのタイミングで投手の方にバテがあると、一気に打ち込まれてしまう。大竹はフルシーズン投げ抜いた経験がない。夏場は早めの交代を考えておくべきだろう。

◆岡田監督の超積極采配が逆転勝利を導いた。一挙5点を奪われて3-5と追いかける展開となった六回2死二塁。8番・木浪を迎えた場面で巨人・原監督が左腕・大江を投入すると、虎将もすかさず動いた。「向こうも左に代えたからね。おーん。だから勝負かけたんや」四回の打席で右前打を放っていた木浪に代えて、代打・小野寺を指名すると、スタンドからはどよめきの声があがる。小野寺は期待に応えて四球を選び、2死一、二塁。次の手は投手の島本に代打・原口を起用することだった。ここで原監督は右腕・菊地をマウンドへ。岡田監督は「代打の代打」を送らず、原口に託す。この采配が的中した。原口は左前適時打を放ち、1点差に。試合の流れが完全に虎に傾いた瞬間だった。岡田監督は「(相手投手が右腕になっても)原口は代えようとは思わなかった。もう右とか関係ないから、そこで1点取れるかという回だったので、まず1点差にしとけば。だから早めに勝負かけた」とニヤリ。七回、佐藤輝が同点打、坂本の勝ち越し犠飛の後、守備から途中出場させていた小幡が左中間を破るダメ押しの2点三塁打と、打つ手打つ手が当たりまくり、小刻みな投手リレーで逃げ切ろうとした原采配を粉砕した。自画自賛。そして戦力の差を強調した。「(こういう野球は)大好きやわ。こっちはコマがおるからな。やっぱ、向こうはブルペン陣がよくないからね」打撃不振のノイジーを「6番・左翼」でスタメンさせると、先制2点二塁打を含む2安打とハッスル。終盤はベンチスタートの面々が結果を出したことに、「きのうよりも、今日のほうが楽しかったな」と思わず本音も。前夜のヒーローは逆転弾を放った大山だったが、この日は岡田監督の選手起用の妙が光った。これで阪神、オリックスを含めて監督生活9年目で通算630勝(557敗42分け)。前回政権時に火花を散らした元中日監督、落合博満氏の勝利数(629勝491敗30分け)を超えたが、あっさり「どうでもええわ」。2位広島がゲーム差ゼロで離れない中、今季7度目の3連勝で首位を守った。今はアレしか見えていない。(三木建次)

◆原口は3-5の六回2死一、二塁で代打で登場。代わったばかりの菊地に対し、2ストライクから左前に1点差に詰め寄るタイムリーを放った。直前に5点を奪われ逆転されていただけに、反撃ムードを呼び起こす貴重な1点に。「追い込まれていたので何とかしようと。飛んだところがよかった」。代打中心に出場し、8打席ぶりの安打。6月16日のソフトバンク戦(甲子園)以来、久々に打点をあげ、大きく息をついた。

◆ウル虎G倒や! 阪神は8-5で巨人を破り、首位をキープ。同一シーズンでは29年ぶりに甲子園での巨人戦で6連勝とした。佐藤輝明内野手(24)が課題の左腕から2安打。七回には難敵の高梨から同点打を放ち、逆転劇を演出した。大砲の復調で、暑くて熱い夏が本格化する!虎に活力を、希望を、興奮をもたらすのは、やはりこの男だった。痛烈な打球が三遊間を破り、真っ黄色に染まった甲子園が沸きあがる。逆転への流れを引き寄せたのは、佐藤輝の一打。〝ウル虎〟大活躍で宿敵巨人を連倒し、勝利の輪の中で笑った。「めっちゃうれしいっすね!! しっかりとコースを絞った」六回に一挙5点で逆転されるもあきらめない。直後に代打・原口のタイムリーで1点を返し、4―5で迎えた七回だ。安打と四球でチャンスを作り、巨人ベンチは左腕・高梨を投入。佐藤輝にとっては過去7打数無安打4三振という難敵だったが、何度もやられるわけにはいかない。初球で空振りした143キロ真っすぐを2球目でジャストミート。鋭い打球を逆方向にはじき返し、二走・中野を同点のホームに迎え入れた。この回4得点での逆転劇につながる快音。初の高梨撃ちを振り返る声には実感が満ち、自然と弾んだ。「(今まで)1本も打てていなかったので、よかったです」二回にも初球打ちで左腕グリフィンから右前打を放って先制機を演出し、2試合連続マルチ安打。5試合連続安打&3試合連続打点と、後半戦に入って猛虎打線をけん引する活躍に、岡田監督も「左(投手)が来ても、打つかなという感じで見ていますね」と信頼を寄せ、やり遂げてくれた仕事をたたえた。「バットを替えていい感じですね」試合後、佐藤輝は好調の理由を明かした。それが、この日も使用した茶色&黒色のツートンカラーのバット。本来の持ち主はテルではなく、「森下が横にいたので。これを使ったら打てるかな、と」と神宮2連戦から〝ルーキーの相棒〟を拝借していたのだ。自前のバットよりも重心がトップに寄っているといい、スイングにより遠心力をかけられることに好感触。これまでに他の選手の用具を借りることは「あんまりなかったですね」と振り返るが、打撃向上へ模索する中での出会いが、テルの打棒を上向かせている。同一シーズンに甲子園で巨人に6連勝するのは1994年以来、29年ぶりだ。長期ロードに出る前の本拠地6連戦(25-30日)は「ウル虎の夏2023」と銘打たれ、華やかな「ウル虎イエローユニホーム」を着用してプレー中。伝統の一戦での快進撃をまだまだ止めるわけにはいかない。「一戦一戦、勝ち進めるようにやっていくので。頑張ります」2位広島がヤクルトに逆転勝ちし、敗れていれば首位陥落だった一戦で、こちらも負けじと逆転星をつかんだ。頼れる背番号8が〝ウル虎〟快進撃の中心に立つ。(須藤佳裕)?...阪神は今季の巨人戦は9勝3敗1分け。5カードすべて負け越しなし。?...甲子園での巨人戦は4月27日から6連勝。2002年9月24日から翌03年5月1日にかけて6連勝して以来、20年ぶり。同一シーズンでは1994年7月7日~9月3日の6連勝以来、29年ぶり。

◆芯で捉えた打球が左中間を破る。ダイヤモンドを駆ける小幡の姿に、満員の甲子園球場が沸いた。三塁に到達し、右の拳を突き上げた。勝利を決定づけたのは途中出場の小幡の2点三塁打だった。「感触も良かったですし、走っているときは気持ち良かったです。(球場が)ほんとに、地響きぐらい揺れていましたし、ベンチもすごい盛り上がっていたので、自分も興奮しました」4―5と1点を追う七回。佐藤輝の適時打と坂本の犠飛で逆転し、なおも2死一、三塁で打席に立つと、左腕・高梨の3球目の直球を左中間へはじき返した。7月の打席は4日の広島戦(マツダ)以来、2打席目。少ないチャンスをものにした小幡がシーソーゲームを決着させた。今季は開幕7試合目で遊撃手の座を木浪に譲り、ここまでわずか49打席ながら、打率は・317の好成績、お立ち台にも3度も立つなど、印象的な活躍が続く。その理由は、どんな状況でも準備を怠らず、常に出場機会を求めて努力を続ける日々の取り組みにある。この日は午後0時30分開始のウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦(鳴尾浜)に出場し、5打数1安打。そのまま甲子園へ移動し、〝親子ゲーム〟で巨人戦に臨んでいた。「(2軍戦の)最終打席に感じたすごくいい感覚のままできたので、それはすごくよかった」と取り組みを結果につなげた。ナイターの日には午前11時ごろから、森下と前川とともに打ち込みをする。1軍の野手では若手の3人だが、お互いに刺激を受け、切磋琢磨して練習に励む。1軍の打席が久しぶりでも「その分、振っていたので、同じように入れた」と話し、そこには確かな練習量からくる自信があった。岡田監督も「朝早く起きて(ウエスタン出場で)練習していますから。ヒット出てよかったですね」と評価。真夏の厳しい戦いで、小幡の力はきっと必要になる。「やっぱりスタートから出ることが一番なので、後半戦はものにできるように頑張っていきたいと思います」レギュラー再奪取に向け、強い思いを口にした。スーパーサブとは呼ばせない。試合に出てチームを引っ張り、虎を〝アレ〟に導く。(中屋友那)

◆七回、5-5の同点に追いついてなお1死満塁で、坂本が中犠飛を上げて勝ち越し点をもたらした。「どんな形でもいいから点を取りたいところ。ストライクゾーンに来たボールを前に飛ばせば何か起きるんじゃないかという思いだった」。捕手としては5投手をリード。とくに、七回のピンチを無失点で切り抜けた3番手の桐敷を「バタバタといかず粘ってくれたことが大きかった」とねぎらった。

◆ノイジーが「6番・左翼」で2試合ぶりにスタメン復帰し、走攻守でハッスルした。二回は右中間へ先制の2点二塁打を放ち「ランナーがいる場面で長打が打てたのは最近なかなかできなかったことだったので、うれしい」。守備でも強肩での進塁抑止や好捕、走っては六回の原口の左前打で二塁から激走で本塁生還と暴れ回り「自分だけじゃなく、チームの勝利だと思うよ」と充実感を漂わせた。

◆この日1軍昇格したばかりの桐敷が4-5の七回に3番手で登板。先頭を四球で出塁させると、味方失策も絡んで2死一、三塁のピンチを招いたが「もう、思いっきり投げるしかなかった」と腹をくくり、秋広をフルカウントからの148キロで空振り三振に仕留めた。直後に味方が逆転し、先発で手にした5月26日の巨人戦(甲子園)でのプロ初勝利に続き、中継ぎ登板での2勝目。「うれしいです。今日はほんとにもう、本当に野手の皆さんに感謝してます」と喜んだ。

◆甲子園で対巨人シーズン6連勝は1994年以来らしい。29年もさかのぼらなければいけないのは寂しい話だが、この連勝をドンドン伸ばしてもらいましょうか。ちなみに29年前の5連勝目と6連勝目は、9月に入ってすぐだった。熱狂的な虎党がどれだけ覚えておられるだろうか?実はこのとき、首位・巨人に連勝したことで、阪神は優勝の可能性が十分にあったのだ。9月に入って8試合で7勝1敗。まだまだ行ける!当時の紙面は大騒ぎになった。気をよくした当時のオーナーが監督の続投を決断。が、そこから悪夢の7連敗。続投を発表しながら、監督問題が収まらないという、暗黒時代の阪神ならでは騒動に発展していった。さらに言うなら、この年は巨人と中日が同率で最終戦で優勝が決まる、あの「10・8国民的決戦」のシーズンでもある。ほんの1カ月前まで、実はタイガースにも芽はあったんだよなぁ。あれから29年。ことしの猛虎は違いますよ! 巨人は敵じゃない。暑さのほうが強敵かもしれない。朝、天気予報を見ていたら、27日が暑さのピークだと言っていた。トラ番・須藤佳裕によると、甲子園球場とクラブハウスを結ぶ陸橋(通路)も、サンルーフがオープンになって外気が〝注入〟されていたそうだ。「普段は閉めっぱなしですから、閉鎖された通路は蒸し暑くて、不快指数MAX。取材する僕らも助かりました」

◆ガオーッ!! 猛虎がほえた! 牙をむいた!!七回、佐藤輝の同点タイムリーに、坂本の勝ち越し犠飛、さらに若虎・小幡の2点三塁打と一気に4点を奪って逆転や!! と、そのシーンはド派手だったけど、本日勝利に導いたのは決して派手じゃないけど、逆転された直後の六回。1点を取ることにこだわった岡田采配だったのだ!!2点差なのに1死一塁からの坂本のバント(結果は打たせて進塁打)や代打の切り札、原口の起用。それに応えてタイムリーを放った原口も必殺仕事人、お見事!!勝ったけど一つ気になったこと!! ヒーローインタビューの坂本も小幡もおとなし過ぎるやろー!!(最近ず~っとそうじゃない?) うれしい時にはしゃぐのは若者の特権!! もっとハジケて勝利の興奮を共有させてくれー!! いい子になるなー! 走攻守、そしてコメントで虎党を歓喜させるのもプロの仕事やでェ!!

◆巨人が一挙5得点で逆転したとき、つぶやいてしまった。「残り4イニング...。守り切れん」。案の定だ。2番手の船迫から大江、菊地、高梨。ことごとく出塁を許し、4イニングどころか、六回と七回の2イニングで計5失点。このリリーフ陣で勝て、というのは無理というものよ。総じて、ストライクが思うように入らず、打たれるのは真ん中の甘い球。たとえワンポイントだとしても、細かなコントロールは身につけてないといかん。今の陣容はもはや、入れ替える必要があるね。といって2軍にも、人材がいないのだろう。ならば、1イニングを抑えられる投手を作るしかない。せめて、1人目の打者に対する集中力を、養わせるしかない。試合前、原監督はエモトに「いつかきっと、ウチにもいい回り(巡り)が来ます」と予告した。原監督の前向きさが、唯一の光明かな。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆先発の大竹は六回途中7安打、移籍後ワーストの5失点でKOされた。五回までゼロを並べたが、3点リードしていた六回に梶谷、岡本和、長野のタイムリーを浴び、突如崩れた。「最初からよくなかった。(こらえどころで)抑えられないのは力不足。次はそこで踏ん張れるよう頑張る」。それでも、再び規定投球回に達し、防御率は1・886でギリギリで1位だ。

◆大山がビッグイニングを生み出す「線」の攻撃を演出した。二回先頭、七回1死一塁、八回2死二塁の場面で四球を選び、3四球。二回は3得点、七回は4得点につながった。四球数は早くも昨季マークした自己最多の59に並んだ。「勝ってよかったと思います。線になれて、後ろの人たちがつないで勝てたんでよかったです」。落ち着いて打席に立ち、安定した働きを続けている。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
49363 0.576
(↑0.005)
-
(-)
55323
(+8)
269
(+5)
42
(-)
44
(-)
0.238
(↑0.002
2.830
(↓0.03)
2
(-)
広島
51380 0.573
(↑0.005)
0
(-)
54312
(+5)
291
(+3)
56
(+2)
48
(-)
0.248
(-)
2.980
(↑0.03)
3
(-)
DeNA
44412 0.518
(↓0.006)
5
(↓1)
56316
(+1)
304
(+7)
58
(-)
20
(-)
0.248
(↓0.001)
3.200
(↓0.03)
4
(-)
巨人
42441 0.488
(↓0.006)
7.5
(↓1)
56314
(+5)
327
(+8)
101
(-)
28
(-)
0.248
(↓0.001)
3.640
(↓0.06)
5
(-)
ヤクルト
36492 0.424
(↓0.005)
13
(↓1)
56312
(+3)
339
(+5)
74
(+1)
46
(+1)
0.236
(↓0.001)
3.650
(↓0.01)
6
(-)
中日
35512 0.407
(↑0.007)
14.5
(-)
55258
(+7)
290
(+1)
40
(-)
26
(-)
0.243
(↑0.002)
2.950
(↑0.02)