ヤクルト(☆6対3★)阪神 =リーグ戦15回戦(2023.07.22)・明治神宮野球場=
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阪神
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ヤクルト
20102010X61101
勝利投手:小川 泰弘(4勝7敗0S)
(セーブ:田口 麗斗(1勝2敗22S))
敗戦投手:青柳 晃洋(3勝4敗0S)

本塁打
【ヤクルト】村上 宗隆(17号・5回裏2ラン)

  DAZN
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◆ヤクルトが4連勝。ヤクルトは初回、宮本とサンタナの適時打で2点を先制する。3-0となって迎えた5回裏には村上の2ランが飛び出し、リードを広げた。投げては、先発・小川が7回途中3失点の好投で今季4勝目。敗れた阪神は、先発・青柳が試合をつくれなかった。

◆今季開幕投手を務めた阪神青柳晃洋が後半戦初戦で先発登板する。同投手は今季開幕のDeNA戦で勝利投手。球宴が始まった51年以降、阪神の開幕投手が後半戦初戦も先発は今季の青柳で14人、28度目となるが、両方で先発勝利を収めたのは59年小山、70、71年江夏、77年江本、08年安藤、13、17年メッセンジャーの5人(7度)。青柳が後半戦初戦も勝利して球団6人目の記録となるか。

◆阪神石井大智投手(25)が、体調不良により「特例2023」の対象選手として出場選手登録を抹消された。代替での昇格選手はいない。今季は前半戦は腰痛による離脱もありながら、勝ちパターンの一角を担うなどキャリアハイの24試合に登板し、1勝0敗、9ホールド、防御率1・09と奮闘を続けていた。前日21日には「投げたい欲がすごいので、どんな場面でも投げさせてもらえるなら行って、自分の仕事をしたい」と連投への決意を語っていた。

◆阪神近本光司外野手(28)が22日、出場選手登録された。右肋骨(ろっこつ)骨折で今月4日に出場選手登録を抹消されていた。18日間のリハビリ、調整を経て、1軍ヤクルト戦が行われる神宮に合流した。この日早速「1番中堅」でスタメン出場する見込み。また、この日先発の青柳晃洋投手(29)も出場選手登録された。

◆阪神前川右京外野手(20)が試合前の守備練習中、打球が顔に当たるアクシデントに見舞われた。外野ノックの最中に打球が左目付近を直撃したとみられる。サングラスに当たったようで、左目の横から流血があった。いったんベンチ裏に下がったが、患部に、ばんそうこうを貼って再びグラウンドに登場。大事には至らず、その後のフリー打撃で快音を響かせた。試合で出番はなかったが「大丈夫です」と強調した。

◆阪神の後半戦初陣のスタメンオーダーが発表された。「右肋骨(ろっこつ)骨折」から復活した近本光司外野手(28)が定位置の「1番中堅」で出場。近本離脱後1番で出場を続けていたドラフト1位森下翔太外野手(22)は、「6番右翼」に入った。先発は今季4勝目を狙うエース青柳晃洋投手(29)。

◆阪神ナインが、18日に脳腫瘍のために亡くなった阪神OB横田慎太郎さんの思いを胸にゲームに臨む。坂本誠志郎捕手(29)の試合前声出しの様子が、球団公式インスタグラムに投稿された。「ヨコも見ていると思うので、まず1個勝てるように」と、後半戦初戦へゲキを飛ばした。坂本の声出し全文は以下の通り。「残り59試合、もう1回みんなで束になってやっていきましょう。いいスタートを切れるようにやりましょう。ヨコも(天国から)見ていると思うので、今日思い切って、まず1個勝てるようにやっていきましょう。さあいこう」

◆ヤクルト村上宗隆内野手(23)が、2試合連発となる17号2ランを放った。3-0の5回2死三塁、阪神青柳に対し、カウント1-2からの4球目、高め直球をジャストミートし、右翼席中段に運んだ。打った瞬間に本塁打を確信し、バットを放り投げると、ベンチを指さし、ドヤ顔で悠然とダイヤモンドを周回。「良い角度であがってくれました」と振り返った。これで自身6試合連続安打。ここ6試合で5本塁打をマーク。夏休みに入り、「村神様」が完全に調子を取り戻した。

◆阪神青柳晃洋投手(29)が、5回7安打5失点(自責4)で降板した。初回、先頭山崎に左前打を浴び出塁を許すと、武岡の打席で自らのけん制悪送球により三塁に進塁を許し、宮本の二塁強襲適時打であっさり先制点を献上。2死一塁からはサンタナに左前適時打を浴び2点目を奪われた。3回には先頭武岡に左中間への三塁打を打たれ、宮本の内野ゴロの間に3点目を許した。5回は2死三塁から天敵村上に右翼席中段への特大2ランを被弾し、この回でマウンドを降りた。青柳は球団を通じ「初回から自分のミスも絡んで失点してしまい、試合をつくることができませんでした。後半戦のスタートを任せてもらったのに応えることができずに申し訳ないです」とコメントした。7安打はすべて左打者に打たれたもので、課題が露呈した。前回11日のDeNA戦(倉敷)では7回2失点で2カ月ぶりの勝ち星を挙げたばかりだったが、2試合連続の好投とはいかなかった。

◆阪神ナインがヤクルトの隙を突く攻撃に翻弄(ほんろう)された。3点ビハインドの5回。先頭の1番山崎が一塁線ライン際セーフティーバントを敢行。際どい打球を投手青柳は見送ったが、フェアとなり出塁を許した。無死一塁となり、2番武岡は犠打を敢行。三塁線への打球を捕手梅野が処理する間に三塁ベースは、がら空きとなった。隙を逃さず一塁走者は三塁へ進塁。無死三塁とピンチを拡大させた。その後、2人を抑え2死三塁としたが、4番村上に右翼席への特大2ランを被弾。痛い失点で、リードを5点に広げられた。

◆阪神ドラフト1位森下翔太外野手(22)がプロ初となる三塁打で、反撃の一打を放った。相手先発小川に2安打に抑えられた7回2死一、二塁。2ボール1ストライクからの外角変化球を捉えた。中堅手山崎は懸命に追いグラブを伸ばすも届かない。フェンス直撃の2点適時三塁打で、阪神にこの試合初の得点をもたらした。森下は神宮での初打点となった。また、直後に梅野が続き中前適時打。5点あった点差を、この回2点差にまで縮めた。

◆阪神が後半戦初陣を白星で飾ることができなかった。先発青柳晃洋投手(29)が役割を果たせなかった。初回に自らのエラーもありいきなり2失点。3回にも1点を失い、5回には2死三塁から村上に右翼席中段への特大2ランを被弾。5回の打席で代打を送られ降板となった。5回7安打5失点で、黒星先行の今季4敗目となった。打線も相手先発小川にペースを握られた。6回まででわずか1安打に封じられ、7回に初めて得点圏に走者を進め、2死一、二塁から6番森下が左中間越えのプロ初三塁打となる適時打で2点を返した。なおも2死三塁から梅野が中前適時打を放ち3点目を奪った。2点差まで迫ったが、7回に島本が先頭の代打浜田に中越え二塁打を許し、1死三塁からサンタナに左翼線への適時二塁打を浴びて再びリードを広げられ、追い上げは届かなかった。18日に阪神OBの横田慎太郎さんが亡くなって初めての試合で、弔い星を届けることはできなかった。

◆阪神が後半戦初陣を白星で飾ることができなかった。先発の青柳晃洋投手(29)が5回7安打5失点で、黒星先行の今季4敗目。打線も7回に3点を奪い反撃に転じたが、9回1死満塁のチャンスを生かすことができなかった。岡田彰布監督(65)の一問一答は以下の通り。-青柳は初回から自分のけん制ミスで「0点やんか。なんで、あんなけん制を投げるんやろ。村上のあれで、お前、チェンジや」-毎回走者を背負っていたが「いや、もう、そらコントロールが全然やもんなあ。あの、打たれた後の映像をとっているからのう。真ん中ばっかりやもんな。逆戻りやなあ、おん」-5回のバントの処理ですが「そんなん、カバーもサードに行けへんやもん。しゃあないやんか。ボケーッとしとんやろ」-それで小川を楽にさせた「曲がりなりにもまだ抑えとったからな。そらな。完璧勝ちゲームやで。3点差で一、二塁でタッチアップ初めて見たわ。びっくりしたわ、俺。最後も1アウト二塁、三塁やで。2点差で。1点差やったらタッチアップやん。状況なんよな。ベンチからいちいちそんなん言われへんやろ。3点差でタッチアップする? え? 1点差やったらタッチアップやん。サードいった方がええねんから。それでライト逃がしたら満塁でええわけやんか。3点差でタッチアップしてどないすんの、ハーフウエーやろ、はあ、だからお前、2点差なってワンアウト二、三塁よ、二塁打やんか、梅野もな、あれ、そんなん全然違うよ、お前、次、代打行くもんも」-普通にやるべきことを「普通にやったらええんやて、状況っていうか、そんなん分かるやろ、そこまでお前、状況状況で、これやったらこれ、これやったらこれなんかゲームの中でそんなん言われへんから指示なんかでけへんからのお。しっかし、びっくりしたわ。満塁で、おい、何してんのって思った。いや、同点には追いついとるよ。1アウト二塁、三塁になってたら。なあ。ホームかえってけえへんから何してんのかなと思った。はっきり言って。しかし、こんななあ。首位にいてるチームが、こんな貯金つくってるチームが、まだそんなことするんやもんな。普通にやっとけばええのにのう。ええ、はっきり言って、オレはそう思うけどな。普通のことがでけへんもんなあ。バント処理にしても、なあ。塁空いてたら、行かなあかんやろ。そんなのは教えることじゃないよなあ。こんなの惜しかったで終わったら...。なんでそんな冷静に、そんな普通に考えたらやなあ...ええ? しっかし、はああ。そういうことやろ」-疲れる試合「そうやろ。それで負けるんやからなあ」

◆右肋骨(ろっこつ)骨折で離脱していた阪神近本光司外野手(28)が1軍復帰し、20日ぶりのゲームにフル出場した。この日1軍登録され「1番中堅」でスタメン出場。4打数無安打だったが、無事にリスタートした。1番センター近本-。神宮球場にアナウンスが響くと、左翼スタンドの虎党のみならず、神宮全体に歓声と拍手が響いた。「1打席目に立った時に、阪神ファンだけでなくて一塁側からもけっこう、拍手をもらったので、今日、こういう形で立てた、みんなの前でプレーできたっていうのは、僕の中ではうれしかったです」第1打席。「甘かったんで、そのままったって感じですね」と初球を捉える。ヤクルト小川の140キロを振り抜き、右中間への飛球。右翼サンタナに捕球されたものの、大きな当たりだった。4打席目は右腕清水の速球を捉え、フェンス手前まで運ぶ中飛。「(1打席目は)カットがなんで、ああいう形で詰まるんだろうというのは思いましたし、4打席目もなんで、『芯詰まり』になるんだろうとは思うんで。それがなんでかっていうのをもう少し考えて、打席に立ちたい」。もう負傷のことは頭にない。どう安打を生み出すか。探究心尽きないヒットマンが帰ってきた。2日の巨人戦(東京ドーム)で高梨から右脇腹に死球を受け、右肋骨を骨折。5日から鳴尾浜でリハビリを開始すると、超速で後半戦開幕ゲームに間に合わせた。ファン投票最多得票で選出されていた球宴は無念の辞退となったものの、試合を経ず、ぶっつけで臨んだ20日ぶりの1軍公式戦。「試合でしか出ない出力もあるんで。まあ、まだ確認はいっぱいあるんで、それはもう、やりながらでしか」と収穫を得た。守備機会も無難にこなし、フル出場。チームは敗戦も、リードオフマンの帰還は、仲間に、虎党に、安心をもたらした。【中野椋】

◆「村上様」完全復活ヤ! ヤクルト村上宗隆内野手(23)が2試合連発となる17号2ランを放ち、4連勝に導いた。3-0の5回2死三塁、阪神青柳の4球目、真ん中高め直球を強振し、右翼席中段に放り込んだ。打った瞬間に本塁打を確信してバットを放り投げると、ベンチを指さし、ドヤ顔で悠然とダイヤモンドを周回。「今日はしっくりくるものはなかったんですけど、何とかああいう場面で1本打てたので良かったです」と振り返った。大事な後半戦初戦、慣れ親しんだ本拠地お立ち台に上がると「まだまだこんなもんじゃないです。もっともっと打ちます、頑張ります」。頼もしい言葉でファンの大歓声を浴びた。昨季は日本選手最多となるシーズン56本塁打を放ち、史上最年少の3冠王に輝いたが、今季前半戦は打率2割4分2厘と苦しんだ。それでも「打席の中の入り方など試行錯誤してきた中で。はい、つかみました」と終盤に手応えをつかむと、ここ6試合連続安打で5本塁打と量産態勢に入った。きっかけの詳細は「内緒ですね。これはまだ企業秘密なので」と明かさないが、「昨年の感覚を求めすぎてもあまり良くない」と、常に最善の感覚を追い求める。価値ある1発で、キングの巨人岡本和に3本差に迫る単独2位に浮上。出場のなかった球宴休みはサウナでリフレッシュしてきっちり"整った"主砲は「僕らは上を目指してやるだけなので。いいスタートが切れたと思います」。夏本番を迎え、いよいよ本来の姿を取り戻した。【鈴木正章】○...エース小川が7回途中3安打3失点で4勝目を挙げた。序盤からテンポ良く4回1死までパーフェクト。久々にお立ち台に上がると「ムーチョ(中村)がしっかりリードしてくれましたし、バックがしっかり、もり立ててくれた」と感謝した。6月6日ロッテ戦以来の白星で通算96勝。節目の100勝まであと「4」に迫った。▽ヤクルト高津監督(後半戦白星発進で4連勝)「勝ってスタートできたのはよかったと思います。僕は信じてる」▽ヤクルト・サンタナ(7回にこの日2本目の適時打)「点をとられた直後だったので何とか取り返したかった。良い場面で打つことが出来て良かったです」▽ヤクルト宮本(1回の先制打など2打点の活躍)「(ドラフト同期の)ムネ(村上)とお立ち台で一緒になるのは初めてだと思うので、それがよかったです」

◆ヨコ、打ったよ。阪神梅野隆太郎捕手(32)が、天国にささげるマルチ安打を放った。13年のドラフト同期だった横田慎太郎さんが脳腫瘍のため28歳の若さで亡くなり、この日が告別式。ヤクルト戦は終始劣勢だったが諦めず、7回に2点差に迫るタイムリー、9回にも右越え安打を放ち、悲しみを胸に精いっぱいのプレーを届けた。弔い星は持ち越したが秋に必ず、横田さんにアレを届ける。決意を新たにした1日になった。梅野は右手ひとさし指を天に向けた。野球を愛した仲間への思いを込めるかのように。意地の適時打をささげた一塁ベース上。試合後「横田さんを思ってか」と問われると、うなずいた。「そうっすね。そういうものもあるし、そういう思いを同期入団でね、強く持ってるんで。最後まで戦い抜きたいですね」亡き友に送る後半戦初安打のタイムリーは7回だった。0-5から森下の2点打で3点差に迫りなお2死三塁。ヤクルト2番手石山の外角速球を中前に運んだ。3点を追う9回1死一、二塁では、右越え安打で満塁機をつくった。試合は終始相手ペースだったが、最後まで諦めない。諦めるわけにはいかなかった。18日に亡くなった横田さんは、4歳年下の13年のドラフト同期。同じ九州出身。担当スカウトは田中秀太現2軍コーチと共通点が多かった。訃報直後には「横田の諦めない姿から、プロ野球選手として最後まで諦めずに戦い抜くという思いを強くしました。横田の思いも常に自分の中に持ち続けて、現役生活をまっとうしていきたい」と決意を込めていた。直接最後のお別れはできなかったが、供花を鹿児島に送り、東京からバットで盟友を悼んだ。「前半戦、自分でも成績がよくなかったので、後半戦、取り返せるチャンスがあると思う。とにかくチームの勝利をと思って、これからまた戦っていきたい」弔い星は送れなかったが、病と闘った横田さんの分まで全力でプレーする。18年ぶりの「アレ」を必ず、天国に届ける。【中野椋】

◆重い空気をルーキーが吹き飛ばした。阪神ドラフト1位森下翔太外野手(22)が猛虎の意地を体現した。小川の前に無得点が続いた0-5の7回。2死一、二塁の好機で、2点をかえすプロ初三塁打を放った。「2打席打ち取られていて、なんとかチャンスだったんで、1本出そうという思いで打席に立ちました」三ゴロ、見逃し三振で迎えた3打席目は、浮いた変化球をしっかりとらえた。打球は中堅フェンスを直撃し転々とする間に、一気に三塁を陥れた。昨年まで在籍した東都リーグの中大で暴れ回った神宮で、これがプロ初打点。静まりかえっていた東都の虎党をこの日初めて沸かせ、続く梅野の適時打も呼び込んだ。今季は開幕右翼を勝ち取ったが2度の2軍落ちを経験。プロの壁をはね返すべく、6月23日に再昇格。その後近本が離脱すると、1番打者を担い穴を埋めた。この日から近本が復帰し、開幕と同じ「6番右翼」に戻った。「出るからには、チームの勝利に貢献したい。その中で自分のスタイルをしっかりやりながら」。後半開幕戦でしっかり岡田監督の期待に応えた。18日のフレッシュ球宴(富山)では全セの4番を務め、決勝打を含む3安打3打点でMVPを獲得した。勢いそのまま好調をキープしている。「今日は負けちゃいましたけど、また明日しっかり勝って(甲子園に)戻りたい」。勢いに乗る背番号1が、後半戦はがっちりレギュラーをつかみ取る。【波部俊之介】

◆阪神岡田彰布監督(65)はぶぜんとした表情で、報道陣の前に現れた。「疲れるわ。あきれて」とため息をついた。大事な後半開幕戦は"走塁と守備のミス"が響いて3-6で敗戦。「完璧、勝ちゲームやで」と強い口調で言い放った。一番の怒りは9回の走塁ミスにあった。3点を追い、ヤクルト抑えの田口を攻めて1死一、二塁。梅野が放った右越えの大飛球を丸山和が捕れず、単打となった場面だ。二塁走者大山はタッチアップの態勢をとっていたため、本塁にかえれず、三塁止まりになった。「3点差で一、二塁でタッチアップ、初めて見たわ。ビックリしたわ。オレ。1点差ならタッチアップやん。(あの場面は)ハーフウエーや。(大山が生還して)2点差になって1死二、三塁よ。二塁打やんか梅野も。全然違うよ、次、代打行くもん。同点には追いついとるよ」ひとつの走塁ミスが、押せ押せの流れを断ち切ったと、不満を隠さなかった。「首位にいてるチームが、こんな貯金つくってるチームが、まだそんなことするんやもんな。惜しかったで終わったら」。なあなあで済ませれば後々、命取りのプレーにつながるかもしれない危機感を募らせた。この日、右肋骨(ろっこつ)を骨折した近本が1番中堅で復帰。遊撃以外は開幕時と同じ現状のベストオーダーで必勝を期したはずだった。だが、後半戦の先発の軸にと託した青柳は5回5失点で降板。「コントロールが全然やもんな。逆戻りやなあ」と投球内容にも首をひねったが、投球以外のミスにも納得がいかなかった。1回は一塁へのけん制悪送球から先制点を献上。5回無死一塁では捕前の犠打で、三塁がガラ空きになって三進を許し、直後に村上に2ランを浴びた。「なんでけん制を投げるんやろ。バント処理にしても、塁空いてたら、行かなあかんやろ。そんなことは教えることじゃないよな」2位広島とは勝率わずか3厘差で、ゲーム差なしに迫られた。7月は特に走塁や守りのミスが目立つ。「普通にやったらええんやて」とイラ立ちを隠せない。23日も連敗して、広島が勝てば、6月26日以来の首位陥落となる。苦い敗戦を薬に、今夜こそしっかり勝ち切りたい。【石橋隆雄】阪神青柳(5回5失点で4敗目)「負けてしまったのがすべて。僕が勝てるチャンスがあるような試合にできなかったのが反省です」

◆阪神・近本光司外野手(28)が22日、神宮の1軍本隊に合流した。7月2日の巨人戦(東京ドーム)で死球を受け、その後に受けた検査で右肋骨骨折と診断。同4日に1軍選手登録を抹消されていた。20日に甲子園で行われたシート打撃では、3打席で2安打。21日に取材に応じた岡田監督は「そらもう、いくつもりでおるから、最初から。当然、そら1番やのう」と1番でのスタメン起用を明言していた。

◆阪神・前川右京外野手(20)が試合前練習中にアクシデントに見舞われたが、大事には至らず、通常通りのメニュー調整をこなした。外野での守備練習中、打球がサングラスに直撃。サングラスが破損し、左目付近から流血したが、大事には至らなかった。その後、絆創膏を張るなどして応急処置し、打撃練習を行った。

◆両軍のスターティングメンバーが発表。阪神は右肋骨骨折で戦列を離れていた近本光司外野手(28)が「1番・中堅」で昇格即スタメン出場する。近本は7月2日の巨人戦(東京ドーム)で死球を受け、右肋骨を骨折。同4日に出場選手登録を抹消されていた。試合出場は2日の同戦以来。今季打率・275、4本塁打、35打点と打線をけん引してきたリードオフマンが後半戦の〝開幕戦〟から再びチームを引っ張る。

◆右肋骨骨折から復帰し、「1番・中堅」で先発した近本光司外野手(28)が先頭で打席に向かった。ヤクルト先発・小川の初球、カットボールに快音を響かせるたが、惜しくも右飛。それでも離脱前と変わらぬ鋭いスイングをみせ、全国の阪神ファンを安堵させた。

◆ヤクルトが一回に2点を先制した。まずは1死三塁で宮本丈内野手(28)が二塁へ適時内野安打を放ち、1点を先制した。「前進守備だったので強い打球を心がけました。先制することができて良かったです」一回、先頭の山崎が左前打。続く武岡の打席で阪神・青柳が一塁へけん制悪送球し、その間に山崎が三進に成功した。武岡が空振り三振に倒れて1死三塁となったが、宮本が二塁へ内野安打。さらに2死一塁からサンタナが左前適時打を放ち、1点を追加。2―0とした。

◆阪神・青柳晃洋投手(29)は不安定な立ち上がりだった。一回、先頭の山崎に左前へはじき返されると、直後に牽制(けんせい)悪送球で無死三塁のピンチを招く。続く武岡は空振り三振に仕留めるも、宮本の二塁強襲の適時打で先制を許した。その後、サンタナにもタイムリーを浴びて2点差とされた。三回には先頭の武岡のフェンス直撃の三塁打を許し、宮本の遊ゴロの間に走者が生還して3点目を失った。前回7月11日のDeNA戦(倉敷)では7回2失点で2カ月ぶりの白星を挙げていた右腕だったが、後半戦開幕となるこの日は立ち上がりの投球に苦しんだ。

◆阪神・青柳晃洋投手(29)がヤクルト打線による〝バント攻め〟でピンチを招くと村上に2ランを食らい、5回5失点で攻略された。0-3の五回だ。先頭の山崎に一塁線への絶妙なセーフティーバントで安打にされて出塁を許すと、続く武岡もバントで三塁線に転がされて犠打となり、三塁のカバーに戻らなかった佐藤輝の隙を突き、一走の山崎が三塁を陥れてピンチが広がった。宮本はフルカウントからなんとか三ゴロに打ち取ったが、4番・村上に高めの球を右翼席に運ばれて2ランを被弾。後続を断ったが、5回7安打5失点で交代が告げられた。

◆ヤクルト・村上宗隆内野手(23)が五回2死三塁で右翼席上段へ17号2ランを放り込んだ。「タケシさん(宮本)のカバーをしたかった。いい角度で上がってくれました」3―0の五回。1死三塁で三ゴロに倒れた宮本を一撃でカバーした。2死三塁で打席に入り、カウント1―2からの4球目、高め直球を一閃した。打球は高々と上がり、右翼席上段へ着弾。打った村上はバットを放り投げ、ベンチを指さし確信歩きで一塁へゆったりと足を進めた。直近5試合で4本塁打と状態を上げていた主砲。後半戦に向け「(感覚が)「はまってきている」と好感触を手にしていた。豪快な一発でリードを5点に拡大してみせた。

◆阪神・森下翔太外野手(22)が0-5の七回に意地の一打を放った。先頭の中野が左前打で出塁も、ノイジーは相手好守にはばまれて中飛、大山は一飛に倒れた。2死一塁から佐藤輝が四球でつないで、初めて得点圏に走者が進む。カウント2-1からルーキーが快音を響かせた。中堅手の頭上を抜ける一打で一気に三塁へ。18日のフレッシュオールスター(富山)で最優秀選手賞(MVP)を獲得した勢いそのままに反撃ののろしを上げた。

◆滞空時間の長いアーチにドヤ顔を見せた。ヤクルト・村上宗隆内野手(23)が、3―0の五回2死三塁で2試合連続となる17号2ラン。打球がスタンドに吸い込まれるとバットを放り投げ、ベンチに向かって「やったぞ!!」と人さし指を掲げた。完璧だった。カウント1―2から阪神先発、青柳の真ん中高め直球を一閃。高い弾道で右翼席中段に飛び込む一発に「いい角度で上がってくれました」と自画自賛した。直近6試合では5発目。前半戦は苦しい打撃が続いたが、後半戦初陣で完全復活を告げる号砲を鳴らした。始まりは12日の中日戦(神宮)だった。今季2度目の1試合2本塁打をマークすると試合後に「いろいろと発見があった」とつかむものがあった。前半戦最終戦となった17日の巨人戦でも一回に16号3ラン。好調の理由は「企業秘密です」と、にやけながらも「打席の中の入り方だったり、つかんでいる」と自信をのぞかせていた。〝天敵対策〟が功を奏した。ヤクルトは苦手とする阪神先発、青柳の前に5人の左打者を並べるオーダー。すると一回から打線はつながり、7安打5得点を奪って、五回まででマウンドから降ろした。変則右腕に対して昨季の神宮では4試合でヤクルトは1勝3敗、チーム打率・168と大苦戦。今季は負けじと対策を練って、攻略した。(森祥太郎)

◆ヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(30)が七回1死三塁で左翼線へ適時二塁打を放った。3―5と点差を詰められた直後の七回。先頭の代打・浜田の中越え二塁打と村上の二ゴロで1死三塁の好機をつくると、サンタナが決めた。フルカウントからの7球目、外角低めスプリットを捉えて左翼線へ。この日2本目の適時打で、6―3と再び点差を広げた。

◆ヤクルトが4連勝。一回に宮本の適時内野安打などで2点を先行。五回に村上の2試合連続本塁打となる17号2ランで突き放した。七回途中3安打3失点の好投で、今季4勝目を挙げた小川のヒーローインタビューは以下のとおり。--大事な後半戦の初戦「どんどん攻めていくという気持ちで。テンポよく投げられてよかったです。ありがとうございます」--投球を振り返って「ムーチョ(中村悠平捕手)がしっかりリードしてくれましたし、バックも盛り立ててくれて、 自分のピッチングができたと思います。ファンの皆さんの声援も届いていました。これからも頑張っていきます」--打撃陣をどう見ていたか「みんなでやってるっていう、そういう野球ができたと思いますし。こういう試合を続けていけば、必ず上に行けると思うので、それを信じて一戦一戦頑張っていきたいと思います」--チームは4連勝「(六回に)バント決めることができて良かったです。後半戦入って、暑くなってきました。皆さんも体に気を付けて、僕たちも熱い野球ができるように一戦一戦必死に頑張っていきます。これからも応援よろしくお願いします。ありがとうございます」

◆ヤクルトは一回に宮本丈内野手(28)の適時打などで2点を先制。3点リードの五回には村上宗隆内野手(23)が17号2ランを放ち阪神に快勝した。先発の小川泰弘投手(33)は7回途中3失点で4勝目(7敗)。以下、宮本のヒーローインタビュー。--一回に先制タイムリー「初回のチャンスだったんで、先に点を取って主導権を握って試合を進めれたらいいなっていうところだった。いい結果が出てよかったです」--打撃好調の要因「本当に前半戦がちょっと全然駄目だったんで、なんとか後半戦チームの勝利に貢献できるってようにってやってきた結果かなと思います。これからも続けていきたい」--ファンにメッセージ「後半戦がスタートして、いいスタート切れたんで、明日からもしっかり勝って、上を目指してやっていきたいと思います」

◆ヤクルトは一回に宮本丈内野手(28)の適時打などで2点を先制。3点リードの五回には村上宗隆内野手(23)が17号2ランを放つなど、阪神に快勝した。先発の小川泰弘投手(33)は7回途中3失点で4勝目(7敗)。以下、村上のヒーローインタビュー。--17号2ランの手応えは「打った瞬間、いったかなと思いました。あの打席はランナー三塁で、前のバッターの(宮本)丈さんがアウトになったので、なんとかカバーしようと思って打席に立った。点を取れてよかったです」--6試合で5本塁打と量産態勢に入った「まだまだこんなもんじゃないです。もっともっと打ちます、頑張ります」--ファンにメッセージを「今日から後半戦が始まって、こうやっていい形で勝つことができました。 残り59試合。1つ1つ勝っていって、最後まくれるように頑張ります。応援よろしくお願いします」

◆ヤクルトが投打にかみ合い勝利した。4番の村上宗隆内野手(23)が五回に特大の17号2ランを放ち、直近6試合で5発と好調。投げては先発・小川泰弘投手(33)が6回?を4安打3失点で今季4勝目を挙げた。試合後の高津臣吾監督(54)の主な一問一答は以下の通り。――村上の1発が大きかった「そうですね。今日は1本しか打たなかったんですけど(笑)。1本って、ヒットをね。1本しか打たなかったですけど、その1本がすごく効果的な2ランだったので。あの1本は非常に大きかったと思います」――先発の小川が4勝目「今日はスピードもあって、非常に、中村とのコンビもすごくいい形で進んでいったんですけど。最後もしかしたらへばったかもしれないですけども、ああいうところ(七回)をやっぱり投げきってほしいなと思いますね。もっともっと、目標は15勝、200イニングなので。そこに近づけるにはああいうところをクリアしていかないととは感じました」――山崎や宮本を先発起用したのは阪神・青柳対策「そうですね。ムネの前に左バッターを並べてというふうには考えてました。まあ、ちょっと、今いる左バッターで誰が1番いいのか、どういう並びがいいのか、いろいろ考えましたけど、結果的にはみんなよくつないで点をとったと思います」――後半戦初戦をいい形で勝利「勝ってスタートできたというのはよかったと思いますね。これがいつまでも続くわけではないですし、これからもっともっとしんどいゲームが待っていると思うと、きょうに関してはすごく良いゲームで喜んでいいのかなと思いますけど、これが終わったらまた明日のことを考えたいですね」

◆阪神の後半戦は黒星スタート。2位広島とはゲーム差なしとなった。青柳晃洋投手(29)が一回、自身の一塁けん制悪送球などで2点を失い、三回には加点を許し、五回には村上宗隆内野手(23)に17号2ランを浴びるなど、5回5失点で降板。打線は七回、D1位・森下翔太外野手(22)=中大、梅野隆太郎捕手(32)の適時打で2点差に迫ったが、その裏、1点を奪われた。九回1死満塁の好機も無得点に終わった。右ろっ骨の骨折から「1番・中堅」で復帰した近本光司外野手(28)は4打数無安打だった。岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(成績=46勝36敗3分、観衆=2万9698人)。ーー青柳は一回から、けん制悪送球「0点やんか。何で、あんな、けん制を投げるんやろ。村上のアレで、お前、チェンジや」ーー毎回走者を背負っていたが「そらコントロールが全然やもんなあ。打たれた後の映像をとっているからのう。真ん中ばっかりやもんな。逆戻りやな、おん」ーー五回のバント処理ですが「そんなん、カバーもサードに行けへんやもん。しゃあないやんか。ボケーッとしとんやろ」ーーそれで小川を楽にさせた「曲がりなりにも、まだ抑えとったからな。そらな。完ぺき勝ちゲームやで。3点差で一、二塁でタッチアップ初めて見たわ。びっくりしたわ、俺(九回1死一、二塁で梅野の右越え安打に二走・大山がタッチアップの構えで生還できず)。最後も1アウト二塁、三塁やで。2点差で。1点差やったらタッチアップやん。状況なんよな。ベンチからいちいちそんなん言われへんやろ。3点差でタッチアップする? え? 1点差やったらタッチアップやん。サード行った方がエエねんから。それでライト逃がしたら満塁でエエわけやんか。3点差でタッチアップしてどないすんの、ハーフウエーやろ、はあ、だからお前、2点差なってワンアウト二塁三塁よ、二塁打やんか、梅野もな、あれ、そんなん全然違うよ、お前、次、代打行くもんも」ーー普通にやるべきことを「普通にやったらエエんやて、状況っていうか、そんなん分かるやろ、そこまでお前、状況状況で、これやったらこれ、これやったらこれ、なんかゲームの中でそんなん言われへんから、指示なんかでけへんからのお。しっかし、びっくりしたわ。満塁で、おい、何してんのって思った。いや、同点には追いついとるよ。1アウト二塁、三塁になってたら。なあ。ホームかえってけえへんから何してんのかなと思った。はっきり言って。しかし、こんななあ。首位にいてるチームが、こんな貯金つくってるチームが、まだそんなことするんやもんな。普通にやっとけばエエのにのう。はっきり言って、俺はそう思うけどな。普通のことがでけへんもんなあ。バント処理にしても、なあ。塁空いてたら、行かなアカンやろ、そんなのは教えることじゃないよなあ」ーー疲れる試合「そうやろ。それで負けるんやからなあ」

◆ヤクルト・小川は七回途中3安打3失点で、6月6日のロッテ戦以来の今季4勝目を挙げた。六回まで阪神打線を1安打に封じ、四回2死から4者連続三振を奪った。後半戦初戦を白星で飾り「力むことなく力強い球がいった。ストライク先行で攻められた」と手応え。巻き返しへ「こういう試合を続けていけば必ず上に行ける。次もいい投球ができるように」と力を込めた。

◆6月20日の楽天戦以来の「1番・中堅」で先発出場したヤクルト・山崎晃大朗外野手(29)が攻守で躍動した。打っては一回に左前打、五回にも一塁前にセーフティーバントを決めてチャンスメーク。守備では七回無死一塁でノイジーの大飛球をフェンスにぶつかりながら好捕した。青柳対策として左打者を5人並べた高津監督は「ああやって一回に先頭が出ると、こちらは元気が出る。非常に大きな出塁」と評価した。

◆阪神の後半戦は黒星スタート。先発の青柳晃洋投手(29)が一回、自身の一塁けん制悪送球などで2点を失い、三回には加点を許し、五回には村上宗隆内野手(23)に17号2ランを浴びるなど5回5失点で降板した。現役時代は阪神、南海で活躍し、引退後は阪神で投手コーチやフロントでも尽力したサンケイスポーツ専属評論家の上田二朗氏(75)は、青柳の投球フォームについて「おとなしくなっている」と指摘した。青柳が前回登板(11日)で勝利投手になった際に、フォームそのもののスピード感のなさが気になっていた。ただ、結果が伴ったので、制球を重視したからなのか、と納得したのだが、この日の投球を見て、「これは青柳の投球ではない」と改めて強く感じた。やはりフォームがおとなしくなっている。青柳といえば、左足を上げ、打者とのタイミングをずらし、前へググッと踏み込んでいく力強いフォームが本来の持ち味。それが今は、制球を重視したいがために、スーッと入っていくフォームになっている。極端な言い方をすれば置きにいく球を投げてしまっている。

◆村神様が止まらない!! プロ野球は22日、各地でナイター6試合が行われ、後半戦がスタートした。ヤクルトは阪神15回戦(神宮)に6―3で勝利し、今月2度目の4連勝。村上宗隆内野手(23)が3―0の五回2死三塁で右翼席へ17号2ランを放ち、直近6試合で5本塁打とペースを上げてきた。主砲の快音とともに、リーグ5位からの逆襲が始まる。会心の一撃にドヤ顔だった。村上が、3―0の五回2死三塁で右翼席中段へ17号2ラン。球場全体の視線を一身に浴びてゆったりと歩き出した。「打った瞬間に入ったなと思いました。いいスタートが切れてよかった。まだまだこんなもんじゃないので、もっともっと打ちます」〝難敵攻略〟だ。昨季の神宮では1勝3敗、チーム打率・168と封じられていた阪神先発、青柳に対して一回から2点を奪うなど攻め立てると、主砲がとどめの一発。高めの直球を一閃し「いい角度で上がってくれた」と自賛した。前半戦は17試合連続で本塁打なしの期間があるなど苦しい打撃が続いたが、もうその姿はない。直近6試合で5本塁打。球宴期間を挟んで2試合連続のアーチをマークし、17本塁打はリーグトップの岡本和(巨人)と3本差。51打点は同トップの牧(DeNA)と5点差で、タイトルを狙える位置まで一気に駆け上がってきた。不振の要因を大松打撃コーチは「下半身の粘り」と分析していた。昨年の映像などを見直して「日によって下半身の使い方が違う。遠くに飛ばそうとして体全体が力んでいる」と感じたという。それに対して主砲は足腰を中心に再度鍛え直そうと走り込んだり、休日返上でマシンに向かってバットを振り込んだり。成果が実を結び、同コーチは「無意識に遠くに飛ばせるようになった」とうなずいた。

◆空の上から見守ってくれている横田さんへ、神宮から弔いのタイムリーをささげた。阪神・梅野が苦境で快音を響かせ、虎は勝利を目指してあらがい続けた。「そういう思いは、同期入団でね、強く持っているので。本当に最後まで戦い抜きたいですね」2-5の七回2死三塁。森下の2点打の直後、代わったばかりの石山の直球を捉える中前適時打で反撃ムードを高めた。一塁ベース付近では右人さし指をそっと空へ伸ばし、哀悼の思いを表した。18日に脳腫瘍のため、元阪神の横田慎太郎さんが28歳の若さで亡くなった。梅野は2014年のドラフト同期。親交も厚く、訃報が球団から公表された際には「横田の諦めない姿から自分もプロ野球選手として最後まで諦めずに戦い抜くという思いを強くしました」とコメントしていた。九回も右越えのヒットを放ち、4日の広島戦(マツダ)以来の複数安打。梅野は「前半戦は成績もよくなかったので、後半戦は取り返せるチャンスがある。日々思いながら、続けていくことが大事。チームの勝利を思って、これからまた戦っていきたい」と誓った。

◆後半戦開幕のマウンドを託された阪神・青柳は、5回7安打5失点で4敗目。背信投球となり、悔しさをにじませた。「負けてしまったのがすべてなので。僕が勝てるチャンスがあるような試合にできなかったのが反省ですね」一回に山崎に左前打されると、直後に一塁への牽制(けんせい)が悪送球となって無死三塁に。宮本に二塁強襲の先制打、サンタナにもタイムリーを許した。「僕のミスからなので、僕が悪い」。さらに五回には2死三塁で4番・村上に高めの直球を右翼席中段まで運ばれてとどめを刺された。後半戦のキーマンに指名されていた青柳は「後半戦のスタートを任せてもらったのに応えることができずに申し訳ない」とざんげした。(織原祥平)

◆「5番・三塁」で後半戦の開幕を迎えた阪神・佐藤輝は、九回無死一塁で田口の直球を捉え、右翼ポール際に特大ファウル。球場がため息に包まれる中、直後に右前打を放った。「最後(ヒットが)出たのでよかったです」。10号3ランを放った17日の中日戦(甲子園)から球宴を挟んで2試合連続安打。「いい形になってきたのでしっかり練習して頑張っていきたい」と前を向いた。

◆阪神・近本は右肋骨(ろっこつ)骨折から1軍に復帰し、出場登録即「1番・中堅」で先発。近本は4打数無安打もフル出場した。「全部試合に出られたのがよかった。試合でしか出ない出力もあるので、確認はやりながらやるしかない。一塁側からも拍手をもらったので、みんなの前でプレーできたのはうれしかった」と振り返った。

◆試合前の阪神円陣で坂本が声出しを務めた。「残り59試合、ヨコ(横田慎太郎さん)が見てると思うので、もう一回みんなで束になって良いスタートが切れるようにやっていきましょう!」。18日に脳腫瘍のため死去した元阪神の横田慎太郎さんの名前を出し、一丸となって戦うことを呼びかけた。23日こそ天国の横田さんに勝利を届けたい。

◆阪神・中野は勢いそのままにマルチ安打で好機を演出した。四回にチーム初安打となる右前打を放てば、七回にも左翼線へ落とし、森下の2点打につなげた。「個人としてはよかったけど、チームが勝たなきゃ意味がない」。17日の中日戦(甲子園)で3安打、19、20日の球宴でもそれぞれ安打を放って好調も、チームの敗戦に「切り替えてやっていかないといけない」と気を引き締めた。

◆プロ野球の後半戦が開幕し、阪神はヤクルトに3―6で敗れた。岡田彰布監督(65)は、九回1死一、二塁で右越えの打球で三進止まりだった二走・大山悠輔内野手(28)の状況判断ミスを一刀両断した。守備でもミスが出て、2位・広島にゲーム差なしと迫られた。こんなことでは先が思いやられる...。信じられへん! 後半戦開幕を託した青柳が一回に牽制(けんせい)悪送球から失点し、5回5失点の背信投球。守ってもバント処理で三塁カバーがおらず、進塁を許してしまう...。それよりも岡田監督が開口一番に「疲れるわ。あきれて」と怒りをにじませたのは、九回の二走・大山の状況判断ミスだ。「首位にいてるチームが、こんな貯金つくってるチームが、まだそんなことするんやもんな。普通にやっとけばええのにのう」指揮官が指摘したのは、3-6で迎えた九回1死一、二塁の場面。梅野の打球は右翼手・丸山和の頭上を越えた。当然、二走の大山は本塁に生還していると思ったが、三塁に止まっていた姿に目を疑った。「完璧に勝ちゲームやで! 3点差で一、二塁で、タッチアップ初めて見たわ。びっくりしたわ、俺」

◆フレッシュオールスターでMVPに輝いた勢いと力を発揮した。白球は神宮の空を舞い、中堅手の頭上を抜け、外野の芝生で弾んだ。打順は6番になっても、森下が後半戦の開幕で〝一番〟の輝きを放った。敗戦の中、主力の自覚をにじませたドライチが次戦への希望をつなげた。「(小川には)2打席打ち取られていたので、チャンスだったので1本出そうという思いで打席に入りました」小川の好投になすすべなく迎えた0-5の七回。2死一、二塁とこの日初めて得点圏に走者を進めた好機で打席に立った。カウント2-1から4球目。甘く入ったカットボールを見逃さない。中越えの2点三塁打。意地の一打で燕のエースをマウンドから引きずり下ろした。「出るからには本当にチームの勝利に貢献したい。その中で自分のスタイルを貫きながらやっていきたい」右肋骨(ろっこつ)骨折で戦列を離れていた近本が「1番・中堅」で昇格即スタメン復帰した。それでも、「6番・右翼」に森下の名があった。しかも、これまではスタメンを外れることの多かった右投手が相手先発でもだ。森下は近本不在の11試合のうち、8試合で「1番」でのスタメン起用。この間は打率・219ながら、5打点、2本塁打と勝負どころで結果を残した。3月の開幕戦も「6番・右翼」で先発したが、前半戦で2度の2軍落ちを経験。そこからはい上がって必要不可欠な戦力として認められ、後半戦の〝開幕戦〟にも出ることができた。指揮官の期待に応える反撃打で、プロ入り後の神宮初打点もマークした。中大時代、東都大学野球で主戦場とし、「自分の大学生活のすべてだった」と振り返る思い出の球場で刻んだ新たな一歩目。ゼロ行進の重苦しいムードを破って一矢を報いた。それでも、一発出れば同点だった九回無死一、二塁では一邪飛。「配球を読みながら打席に入ったんですけど、相手のボールの方が上回った」と唇をかんだ。「あしたしっかり勝って(甲子園に)戻りたいと思います」悔しさを糧に前を向く姿は頼もしい。勝負の後半戦。虎の背番号1は〝アレ〟が決まるその瞬間まで、主力としてバットを振り続けていく。(原田遼太郎)18日のフレッシュオールスター(富山)でウエスタン・リーグ選抜の4番・右翼で先発出場。一回1死一、二塁で右中間を破る先制の2点二塁打をかっ飛ばした。七回にも中前適時打を放って3安打3打点と躍動し、最優秀選手(MVP)を獲得。富山のファンに「勝負は後半戦。自分も気を引き締めて、最後も首位で終われるように頑張っていきたい」と誓っていたドライチが、後半戦でMVP級の活躍をみせていく。

◆何がオールスター猛虎軍団や!! 打っては六回まで1安打、守っては後半戦復活エースとなるはずの青柳が五回まで5失点のサンドバッグ...。クソ~(涙)、アレが遠のいてゆく~!!まず、青柳だけど、ストライク、ボールがハッキリし過ぎているし...。思い切ってキャッチャーを坂本に代えて次のマウンドへ!! という問題でもなさそうなのが悲し~い!! 青柳よ、2年連続最多勝のプライドでどーにかしてくれよー!!一方、梅雨明けの神宮なのに本日も湿りっ放しの猛虎打線はどないすんねん!? 一番レフトスタンドが沸いたのが、近本復帰のスタメンアナウンスって...。相変わらず打てないノイジーを使っているのもイライラするけど、そのノイジーを抜けない小野寺、前川も気合を入れんかい!!力み過ぎの佐藤輝はゴルフの練習をするべし!! インパクトの瞬間まで力を入れない勉強になるはず!! ちなみに本日のBSテレ東『ゴルフ交遊抄』(前7・30)に俺が出るからしっかり見とけ...と、ちゃっかり宣伝しちゃいました。

◆さあ、ペナントレース後半戦の開幕だ。一回、近本の右飛に始まって、鋭い打球が次々と飛んでいく。が、ことごとく相手の野手の正面だったり、好捕されたり。嫌な予感しかしない展開。案の定...。小さなミスがいくつも重なっての敗戦だ。球宴ブレークを経て、待ちに待った後半戦。神宮球場の半分を埋めた虎党にとっては、何とも辛い黒星スタートになってしまった。気分が晴れたのは、五回終了後の神宮名物、大花火大会だけ?!試合をしてくれるほうがありがたいトラ番記者たちはどんな気分かな?と神宮の原田遼太郎に尋ねてみたら...。「球宴ブレークといっても、全く久々感がありません。ボクは球宴取材を外れて、毎日昼間はチームの練習取材。終わったら夜、球宴をテレビ観戦。すると画面はタテジマ戦士ばかり。結局、普段と全く変わっていなくて。岩崎さんが『せっかく球宴に出たのに』と周囲が阪神勢ばかりで景色が変わらないことをボヤいていましたが、同じ気分です」つまり「さあ」という気分には、ほど遠いらしい。追い打ちをかけるように、嫌な黒星。お江戸の夜は重苦しかったようだ。まだまだ、勝負はこれからや! 気を取り直すわれわれの思いを、察していたのが、実は岡田監督だった。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
46363 0.561
(↓0.007)
-
(-)
58307
(+3)
260
(+6)
41
(-)
42
(-)
0.236
(-)
2.820
(↓0.03)
2
(-)
広島
48380 0.558
(↑0.005)
0
(↓1)
57298
(+5)
284
(+3)
54
(-)
48
(+1)
0.247
(↑0.002)
3.040
(↑0.01)
3
(-)
DeNA
43392 0.524
(↓0.007)
3
(-)
59310
(+2)
290
(+4)
57
(-)
19
(-)
0.251
(↓0.001)
3.160
(↓0.01)
4
(-)
巨人
41421 0.494
(↑0.006)
5.5
(↑1)
59303
(+4)
315
(+2)
98
(+3)
28
(+1)
0.248
(-)
3.620
(↑0.02)
5
(-)
ヤクルト
36462 0.439
(↑0.007)
10
(↑1)
59304
(+6)
324
(+3)
72
(+1)
44
(-)
0.237
(↑0.001
3.600
(↑0.01)
6
(-)
中日
34492 0.410
(↓0.005)
12.5
(-)
58247
(+3)
281
(+5)
40
(+1)
26
(+1)
0.242
(-)
2.940
(↓0.02)