阪神(★2対3☆)ヤクルト =リーグ戦13回戦(2023.07.08)・阪神甲子園球場=
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ヤクルト
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阪神
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勝利投手:木澤 尚文(2勝1敗0S)
(セーブ:田口 麗斗(0勝2敗19S))
敗戦投手:伊藤 将司(3勝3敗0S)
  DAZN
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◆ヤクルトは初回、村上の犠飛で1点を先制する。その後1-1となって迎えた7回表には、2死満塁の好機で代打・川端が2点適時打を放ち、勝ち越しに成功した。投げては、2番手・木澤が今季2勝目。敗れた阪神は、9回に代打・小野寺の適時打で1点を返すも、反撃は及ばなかった。

◆阪神2年目の岡留英貴投手(23)が、出場選手登録を抹消された。6月23日に今季初昇格し、7月4日の広島戦(マツダスタジアム)の8点ビハインドの8回にプロ初登板し、1回無失点デビュー。登板はこの1試合のみにとどまっていた。この日も試合前練習に参加し、キャッチボールやダッシュで体を動かしていた。

◆阪神ドラフト1位森下翔太外野手(22)が初めて「1番中堅」でスタメン入りした。近本が負傷離脱後、島田が中堅を担っていたが、左投手対策として森下が抜てきされた。岡田監督は前日7日に、森下の中堅での先発出場を示唆しており「そら、外野手やからなあ。大学の時、センターやんか。両方(レフトとライトが)外国人になったらお前、不安やからな」と話していた。「3番左翼」でシェルドン・ノイジー外野手(28)、「6番右翼」でヨハン・ミエセス外野手(27)と両翼は助っ人外国人。

◆阪神伊藤将司投手(27)がリプレー検証で判定が覆るも、崩れず最小失点にとどめた。初回1死一、三塁でヤクルト村上に左犠飛を打たれて1点を献上。直後のオスナの打席だった。一走サンタナが盗塁を試みるも、梅野が送球し、判定はアウト。だが、ヤクルト高津監督がリクエストを要求して、判定がセーフになった。2死二塁とピンチを背負ったが、集中力を切らすことなくオスナを三ゴロに仕留めた。左腕は、71年村山実に並ぶ甲子園12連勝を目指すマウンドだ。

◆ライナーで決めた。ヤクルト村上宗隆内野手が初回に先制左犠飛を放った。1番並木が11試合連続となる安打を遊撃へ放ち、3番サンタナが中前打でつないだ。迎えた1死一、三塁。カウント2-1からの4球目、阪神先発伊藤将の変化球を逆方向に流し、先制した。先月6月30日の広島戦。4回にファウルゾーンへの飛球を追い、三塁側フェンスに激突。左膝を負傷し、1日の広島戦はスタメンを外れていた。スタメン外は昨年10月2日の阪神戦(甲子園)以来、272日ぶりだった。だが、その試合では代打で右二塁打を放ち、万全をアピールした。翌2日の広島戦の第1打席でも右安打を放っていた。試合後、高津監督からは「多少痛みがあるみたいだが、4番が抜けるとすごく影響が大きい。しんどいかもしれないが、出続けることが彼の大きな仕事の1つ」と発破をかけられていた。

◆阪神がまさかの走塁ミスで勝ち越しの好機を逃した。大山がタイムリーを放ち、1-1の同点となった6回1死二、三塁の場面。ミエセスが中堅への飛球を放ち勝ち越し犠飛かと思われたが、タッチアップした二走・大山が三塁でタッチアウトに。三走・ノイジーの本塁生還よりも早いと判断され、得点は認められなかった。岡田監督はリクエストを要求したが覆らず、勝ち越し機を逸した。ベンチにいたナインも甲子園も騒然としていた。

◆ついに止まった...。阪神伊藤将司投手(27)が7回途中3失点で今季3敗目を喫し、甲子園での連勝は「11」でストップした。勝てば球団のレジェンド村山実(66年、70~71年)に並ぶ快挙だったが、あと1歩で達成を逃した。伊藤将は粘りの投球を続け、味方の援護を待った。初回2死一、三塁から村上に左犠飛を許し、1失点。2回以降は低め、コーナーを丁寧に突き、6回まで追加点を許さなかった。打線は1点を追う6回、無死一、二塁のチャンスで4番大山がピーターズから左翼線を破る適時二塁打で同点に追いついた。これがチームの21イニングぶりの得点で、タイムリーに限れば41イニングぶりの一打となった。1死二、三塁からミエセスが中犠飛を放ち勝ち越しに成功した...と思われたが、三塁へ進塁を試みた二塁走者の大山が、三塁走者ノイジーが本塁到達前にまさかの中継プレーでタッチアウトで併殺に。岡田監督がリクエストを要求したが判定は覆らなかった。1-1の同点の7回、伊藤将は先頭村上に左越えの二塁打を許すなど2死満塁のピンチを招き、代打川端に中前への勝ち越しとなる2点適時打を許し、ここで無念の降板。その後打線も追い上げることができずに、甲子園では21年7月10日の巨人戦以来、2年ぶりの黒星を喫した。チームは2連敗で貯金10となり、5月19日以来の貯金1桁台突入が目前に迫った。

◆代打の神様が決めた。ヤクルト川端慎吾(35)が勝負強さを発揮した。1-1の同点に追いつかれた直後の7回2死満塁。カウント0-1の2球目のシンカーを中前にはじき返した。阪神伊藤将の股を抜く決勝2点中前打を放ち、「みんながチャンスで回してくれたので、なんとしてでもモノにしたかった。甘い球が来たら振っていこうと」と語った。伊藤将の甲子園での連勝を「11」で止め、チームは7月に入り5勝目を挙げ好調を維持している。ツイッターでは「川端慎吾」がトレンド入りした。「神様仏様川端様~」「すわほー!川端慎吾、マジで、天才、代打の神様や!」「満塁なら川端慎吾は敬遠されないんだぞ」などと書き込まれていた。

◆/まさにレーザービーム\森下翔太が完璧な送球?ライトから3塁で刺した?プロ野球(2023/7/8)??阪神×ヤクルト??Live on DAZN#DAZNプロ野球 pic.twitter.com/r4N2mqwJEn

◆阪神ドラフト1位森下翔太外野手(22)が肩で甲子園を沸かせた。7回から中堅から右翼に就いた守備で強肩を発動。2点ビハインドの8回無死一塁でヤクルト村上が右前打を放つと、一走丸山和が二塁を蹴って三塁へ。森下が三塁へカットマンなしのノーバウンド送球で相手のチャンスをつぶした。ファンもチームを救う好プレーに大声援を送った。「練習から遠投を常に取り組んでいた。ああやって実戦で成果が出たというのは自信につながるのかなと思います」近本の定位置だった「1番中堅」に初抜てき。右翼スタメンだったミエセスとも連係を取って危なげなくプレーした。「最初はすごく緊張したけれど、回を重ねるごとに慣れていったと思います」。ウエスタン・リーグでも中堅での先発は7度だけだが、無難にこなした。一方、切り込み隊長として期待されたバットでは快音とはならず。「監督から積極的にいけと言われていた」。初回、ヤクルトピーターズの144キロ直球にフルスイング。痛烈な打球を飛ばしたが、右飛と先頭として出塁ができなかった。9回2死一塁でも空振り三振で最終打者に。4の0の結果に岡田監督も「いや、結果出さなあかんのちゃうの。俺ずっと我慢してるんやで、1割6分で。そんなの、(他に)おらんからのお」と嘆いた。それでも、背番号1は前を向く。「今日は結果が出なかったけど、打席内容は次につながる内容だった」。この経験が成長の糧となる。【三宅ひとみ】

◆阪神佐藤輝明内野手の再昇格後初の甲子園でのゲームは、4打数無安打に終わった。初対戦のピーターズの変化球に苦しめられ、左飛、中飛、空振り三振に凡退。「ちょっと変化球が良かったりとかはありましたけど、打ちたかったです」と悔しさをにじませた。2点を追う8回2死二塁では清水に右飛に打ち取られた。

◆阪神浜地真澄投手が1軍再昇格後初の登板で1回を無安打無失点で抑えた。2点ビハインドの9回からマウンドへ。ヤクルト先頭の長岡を二ゴロに仕留めると、中村を150キロ直球で空振り三振。最後は代打浜田を152キロの直球で3球三振に斬った。6月18日のソフトバンク戦以来の1軍登板。「結果はよかったけど、一喜一憂しないようにしたい」と引き締めた。

◆何でやねん!岡田阪神が痛恨の走塁ミスで勝ち越し点をフイにした。1-1の同点に追いついた6回1死二、三塁の場面。ヨハン・ミエセス外野手(27)の中堅への飛球は勝ち越し犠飛かと思われたが、タッチアップした二走・大山悠輔内野手(28)が三塁でタッチアウト。三走・シェルドン・ノイジー外野手(28)の本塁生還よりも早いと判断され、得点は認められなかった。信じられないプレーが最後まで響いて2連敗。岡田彰布監督(65)も怒りモードだ。勝ち越し点は幻となった。1点を追う6回、大山の適時二塁打で同点に追いつき、なおも1死二、三塁で6番ミエセスは中堅へ飛球を上げた。誰もが勝ち越し犠飛と思った。スコアボードにも「ホームイン」の文字と「2」が入り、スタンドからは六甲おろしの大合唱。だが、三塁走者ノイジーが本塁を踏む前に、二塁から三塁を狙った大山が、中堅、二塁と中継され三塁手前でタッチアウトとなり得点は認められなかった。併殺でチェンジ。岡田監督のリクエストも判定は変わらなかった。岡田監督は試合後も怒りが収まらなかった。「何で止めへんのやろ。三塁コーチャーも。焦りじゃないやろ。普通のプレーやんか。勝ち越し点やからのう。(本塁付近で走者に指示する次打者の)梅野も(ハイタッチの)手を挙げとったなあ。あれでノイジーも(走るのを)緩めたやろ。なあ」とあきれるばかりだった。そして自ら「なあ、何回目か知ってる? 今年。プロ野球で」と囲む報道陣に逆質問。「おう、3回目よ。日本ハムと中日と。野球やってたら分かるやろ。もっと勉強せなあかんわな。自分の間近でのプレーやからのう。忘れるもんかな」と苦笑いするしかなかった。中日は5月18日の阪神戦(バンテリンドーム)だった。本塁へ緩めて生還しようとした石川昂より先に細川が三塁を狙って刺され得点が認められなかった。自分たちの目の前で起こったミスだった。三塁を狙った大山は「自分のミスなんで。まるでチームの流れを止めてしまいましたし、相手に勢いをつけてしまったのは事実なんで。もっと冷静に判断するべきでしたし、負けてしまったので申し訳ない」とくちびるをかんだ。常に全力プレーの大山の走塁が裏目となった。指揮官が「そら、伊藤(将)もあれでがっくりきたやろうな」と同点止まりとなった7回に川端に決勝の2点適時打を許した。「自分らで壊してしもうてるやんか。走塁ミスばっかりやろ。ベンチから声届けへんわ『行くな』て。負ける時はそんなもんやんか」と、もどかしそうに話した。2位DeNAも敗れ首位に並ばれることはなかったが、4位巨人が3・5差まで迫ってきた。自分たちで流れを変えるしかない。【石橋隆雄】

◆ついに止まった...。阪神伊藤将司投手(27)が7回途中3失点で今季3敗目を喫し、甲子園での連勝は「11」でストップした。勝てば球団のレジェンド村山実(66年、70~71年)に並ぶ快挙だったが、あと1歩で達成を逃した。打線は1点を追う6回、無死一、二塁のチャンスで4番大山がピーターズから左翼線を破る適時二塁打で同点に追いついた。これがチームの21イニングぶりの得点で、タイムリーに限れば41イニングぶりの一打となった。1死二、三塁からミエセスが中犠飛を放ち勝ち越しに成功した...と思われたが、三塁へ進塁を試みた二塁走者の大山が、三塁走者ノイジーが本塁到達前にまさかの中継プレーでタッチアウトで併殺に。岡田監督がリクエストを要求したが判定は覆らなかった。岡田彰布監督(65)の一問一答は以下の通り。-6回の大山の走塁について「いやいや、もう前の試合から走塁ミスばっかりやろ。なあ。考えられへんけどなあ。なんで止めへんのやろ。三塁コーチャーも」-焦りが出た「焦りじゃないやろ。普通のプレーやんか。勝ち越しの点やからのう。お前。そら、伊藤もアレでガックリきたやろうな。アレで」-あそこは120%セーフでなければいってはダメ「そら当たり前やん。梅野も手を上げとったなあ。あれでノイジーも(走塁を)緩めたやろ。なあ。何回目か、知ってる。今年。プロ野球で」-3回目ですか「おう、3回目よ。えっ、日本ハムと中日とお前。そんなん、お前、野球をやってたらわかるやろ。えーっ。ほんま。野球をもっとみて、もっと勉強せなあかんわな。おんなじこと。おんなじミスばっかりするやろ」-そのうち1つは中日戦で目の前で起きた「まあそんなんお前、自分の間近でのプレーやからのう。忘れるもんかな。全部覚えてるで、ええ? 高めなんかあかんて、この間も、ええ? あれ誰や。中日でも2ストライクから高めでデッドボールを当てて、なんで同じ事ばっかりするんやろな。ヤクルトのキャッチャーの中村は2ストライクから高め構えてる? みんなアウトコースやろ? だから、当たり前のことをやったらええねん。いや、あれはあれやで。三ツ俣を高めで空振り三振を取ったから、その余韻があるんよな。おれはビックリしたよ、高めに構えたから。三ツ俣やから三振よ。そういうなんかもう、野球を考えるんやなしに、当たり前のことをやればいい。あわよくばとか裏をかくとか、そんなんいらんねん。余裕のある時よ。接戦の大事な場面で裏なんかかかれへんって」-5月のいいときはできていた「いやいや、普通にやってるだけやん、別に」-チームとして流れが悪い「チームの流れが悪いて、自分らで壊してしもてるんやんか。そんなことやれなんて一言も言うてないで、普通のプレーやないか、そんなもん。なあ、まあ負ける時はそういうなあ、ミスというかな、走塁ミスばっかりやろ? こないだもそうやろ? そんなもん、ベンチでこっちは何にもでけへんこらのお。ベンチから声届けへんわ、行くなて。大事な場面とかな、接戦とかそう言う時にやっぱりそういうの出るんよ、そういうのな。負ける時はそんなもんやんか。そんなもんお前、焦らんとお前、同点の後のわけやからお前、うち後攻で甲子園で後攻やねんから、何を慌てることあんの。そんなん簡単なことやんか、普通にやっとけばええんよ」-9回無死一、二塁で送らずに代打は確率を考えて「いや確率て、そらお前、渡辺にかけただけやんか、いや確認よ、バントないから確認よ。まあ勝負かけたんやからしゃあないやん、ゲッツーでも。ゲッツー嫌やったらバントさすよ。もう勝ちきるやん」-伊藤将は「いや頑張ったよ、あそこまで。なあ、2ストライクまではな。だから結局追い込んで、次そら最初浜田おるけど、満塁なったらあいつ来るんわかってるやんか、川端が。そういうなんていうの、ここで切るっていうか、そういうお前、なあ、そういう状況判断やんか結局は。浜田なんかけえへんて満塁になって、川端やろ。そういうのが甘いんよな、結局はな」-初めて森下を1番・中堅で「そら、おれへんからや、右バッター」-結果は出なかったが「いや、結果出さなあかんのちゃうの。俺ずっと我慢してるんやで、1割6分で。そんなの、(他に)おらんからのお」-佐藤輝のことも練習中から気にかけて見ていたが「見ての通りよ、そんなん。あれでええと言える? あのチャンスで。そんなん俺に聞くことちゃうやろ、見たら分かるやろ。見たとおり、書いとけよ、俺に言わすことないよ」

◆何でやねん!岡田阪神が痛恨の走塁ミスで勝ち越し点をフイにした。1-1の同点に追いついた6回1死二、三塁の場面。ヨハン・ミエセス外野手(27)の中堅への飛球は勝ち越し犠飛かと思われたが、タッチアップした二走・大山悠輔内野手(28)が三塁でタッチアウト。三走・シェルドン・ノイジー外野手(28)の本塁生還よりも早いと判断され、得点は認められなかった。信じられないプレーが最後まで響いて2連敗。岡田彰布監督(65)も怒りモードだ。○...阪神の藤本敦士三塁コーチはミエセスの中飛で三塁を狙ってアウトになった二塁走者大山の走塁について「本人は自分がセーフになれるという感覚で来たと思うので、前の走者(ノイジー)の足と自分の走力と、あの場面を考えた時にどうすべきだったかなというのは話しました」と確認したと明かした。ミエセスの飛球が風でかなり戻されたことも響いた。「途中でこっちから戻れと(指示を)やったとしても間に合わなかった。おとりできたわけじゃないんで」と話した。

◆甲子園での不敗神話が崩れた。粘投を続けた先発伊藤将司投手(27)は勝ち越し打を許すと、がっくりと肩を落とした。代打川端と対峙(たいじ)した、同点の7回2死満塁。カウント1ストライクからの2球目。138キロ変化球を捉えた打球は自らの足元を抜けていった。「甘い球をしっかりセンターに返されたので。やられたなと思います」。痛恨の中前適時打で2点を献上し、表情に悔しさをにじませながらの降板。7回5安打3失点で、今季3敗目を喫した。打撃陣が1点差を追いついた直後のイニングだった。先頭の4番村上に左越え二塁打を許したが、その後2者連続凡退に打ち取り2死三塁。だが直後の長岡に2ストライクから死球を与えてしまう。「あそこは攻めた結果。その後は切り替えて次のバッターと勝負しようと投げていました」。だが続く中村にも四球を与え2死満塁。勝負を避けられない場面での、代打の切り札川端との対戦になってしまった。「4度目の正直」がかかった一戦だった。ルーキーイヤーの21年9月1日中日戦から、甲子園では負けなし。勝利投手になれば、71年村山実に並ぶ甲子園12連勝の記録がかかっていた。今季甲子園での登板は、4戦全てでクオリティースタート(QS=6回以上、自責点3以内)を達成。だが4月27日巨人戦で勝利して以降は3試合連続で勝ち負けがついておらず、4度目の挑戦だった。52年ぶりの大記録に1歩及ばず「残念です」と球場を後にした。それでも、甲子園での通算成績は13勝4敗。この日も「(状態は)悪くなかったと思います」と、大声援を味方に今季10度目のQSを達成した。得意のホームで、次は白星をつかむ。【波部俊之介】阪神伊藤将の甲子園連勝が11でストップした。ルーキーイヤーの21年7月10日巨人戦を最後に甲子園では黒星がなく、昨季は11試合で7勝負けなし。今季も甲子園では1勝を挙げており、5試合目での黒星となった。阪神投手が甲子園12連勝となれば、70~71年村山実以来、52年ぶりだったが逃した。

◆阪神小野寺暖外野手が再昇格後1打席目で結果を残した。2点を追う9回2死三塁から代打で出場。田口の外角低めスライダーに食らいつき、しぶとく一、二塁間を破る適時打で1点を返した。「(5日に)上がってきて1打席目だったので、何とか食らいついて結果を出そうと思って打席に入ったので、1本出てよかったです」と振り返った。

◆阪神・岡留英貴投手(23)が出場選手登録を抹消された。大卒2年目右腕は6月23日に今季初昇格を果たすと、4日の広島戦(マツダ)でリリーフでプロ初登板し1回無失点でデビューを飾ったが、登板はこの1試合にとどまった。

◆両軍のスターティングメンバーが発表。阪神は伊藤将司投手(27)が、1970―71年の村山実以来となる甲子園12連勝を懸けて先発する。今季はヤクルト戦2試合に先発し、0勝0敗ながら防御率2・45と好成績を残している。また、右肋骨の骨折のため、2軍でリハビリ中の近本に代わり、ドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=がプロ初の「1番・中堅」で出場する。先発での出場は6月25日のDeNA戦(横浜)以来となる。

◆阪神は木浪聖也内野手(29)の二塁打などでチャンスを作ったが、上位打線が凡退して、無得点で攻撃が終了した。0―1の三回、先頭の木浪が右翼線二塁打で出塁し、続く伊藤将も三塁側へ絶妙な犠打を決めて1死三塁。1番の?1位・森下(中大)は死球で一、三塁と好機が広げたが、2番・中野が3ボールから空振り三振、ノイジーは一飛に打ち取られて無得点に終わった。今季初対戦のヤクルトの助っ人左腕、ピーターズを打ち崩すことはできなかった。

◆阪神は大山悠輔内野手(28)が同点打を放ったが、直後のミエセスの中飛はまさかの走塁ミスで勝ち越し犠飛にならなかった0-1の六回に中野の四球、ノイジーの左前打で無死一、二塁の好機を演出。ここで4番が打席に立つと、ヤクルト先発・ピーターズの高めに浮いたスプリットを引っ張り、左翼線への適時二塁打で同点に追いついた。これがチームとして41イニングぶりの適時打となった。続く佐藤輝は空振り三振に倒れると、なおも1死二、三塁でミエセスの打球は中堅へ。ヤクルト・並木が捕球し、中継プレーで二走の大山が三塁で憤死。三走のノイジーが本塁を踏む前に、3アウト目が成立したとして、生還ならず...。甲子園はため息が充満した。すぐに岡田監督がリクエストし、リプレー検証したが、判定は覆らなかった。追加点がまさかの形で幻となった。

◆ヤクルトの村上が一回1死一、三塁で3試合ぶりの打点を挙げた。伊藤将のカットボールをたたくと、強い打球が左翼へ。ノイジーのほぼ正面で捕球されたが、俊足の山崎が生還した。試合が中止となった7日は室内練習場に最後まで残ってバットを振り込んだ。本人は意図を明かさなかったが、高津監督は「4番だから、ハッパをかける意味でも、あいつが打たないと駄目」と不振が続く昨年の三冠王に奮起を求めていた。首位チームを相手にさっそく期待に応えた主砲。先頭で打席に入った七回には初回と同様に左へ強い打球を飛ばし、これは野手の頭上を破って二塁に達した。3試合ぶりの安打で好機をつくると、川端の適時打で勝ち越しの生還を果たし、勝利に貢献した。

◆阪神・伊藤将司投手(27)は6回2/3を投げて5安打3失点で降板した。左腕は甲子園12連勝がかかっていたが、記録ストップの可能性も出てきた。チームが同点に追いついた直後の七回だった。二塁打と四死球などで2死満塁のピンチを招くと、代打・川端に2球目のツーシームを中前へはじき返されて勝ち越しの2点打とされた。ここで阪神ベンチは動き、2番手・石井をマウンドに送った。伊藤将は今季最多の115球の奮投も、七回に2死から痛恨の勝ち越し打を食らい、リードを許した。この試合で勝利を挙げれば、1970-71年の村山実以来の甲子園12連勝となったが、正念場で踏ん張れなかった。

◆またも〝代打の神様〟が仕事を果たした。1―1となった後の七回2死満塁でヤクルトの代打・川端慎吾内野手(35)が中前2点打。阪神先発・伊藤将のシンカーをはじき返し「同点に追いつかれて、みんながチャンスで回してくれたので何としてでもモノにしたかった」と笑顔を見せた。今季は代打で38打席に立ち、34打数14安打の打率・412、9打点。勝負強い35歳のベテランが驚異的な数字を残し続けている。

◆阪神は拙攻が響いて連敗を喫した。勝負所で痛い攻撃のミスが出た。0―1の六回、中野の四球、ノイジーの左前打で無死一、二塁の好機を作ると、大山悠輔内野手(28)が左翼線への適時二塁打を放った。チームとして41イニングぶりの適時打で同点に追いつくと、なお1死二、三塁でミエセスの打球は中堅へ。ヤクルト・並木が捕球し、中継プレーで二走の大山が三塁で憤死。三走のノイジーが本塁を踏む前に3アウト目が成立したとして、生還はならず。勝ち越しの絶好機がついえた。1-3の九回には小野寺の適時打で1点を返したが、逆転は逃した。先発の伊藤将司投手(27)は一回一、三塁から村上の犠飛で1点を失うも、二回から六回まで1安打で無失点。しかし七回、2死満塁で代打・川端に2点打を許して降板した。2021年から続いていた甲子園での連勝が「11」でストップする悔しい敗戦となった。

◆苦しむ中でも、4番打者としての責務を果たしている。ヤクルト・村上宗隆内野手(23)が一回1死一、三塁で先制の左犠飛。三走・山崎の生還を見届けると、手をたたいて喜んだ。「もうちょっと僕が打てば勝てると思うので。これからも必死に戦っていけるように頑張っていきたいです」かねて、主砲としての覚悟を示してきた。試合前の時点で打率・228、12本塁打、38打点と満足いく結果を残せていないのは確かだが、誰よりも悔しいのは村上自身だ。前日7日には予定されていた阪神戦が降雨中止となり、室内練習場で最後まで残って打撃練習を行った。汗だくになりながらスイングを続ける姿に、懸命に状態を上げようとする思いが表れていた。完全復調は誰もが願っている。高津監督は前日7日に「満足はしていないでしょうね。4番だから、発破をかける意味でやっぱりあいつが打たなきゃ駄目ですよ。あいつにはやっぱりランナーがたまって回ってくるわけだし、あいつが出塁してホームに帰ってこないと駄目だと思っている」と発破をかけた。七回には先頭で16打席ぶりの安打となる左越え二塁打を放ち、好機を演出。その後、2死満塁となり、代打・川端の中前2点打で生還した。「もっともっと打てるように頑張りたい」とも口にしていた村上。背中に期待と重圧を背負いながら、戦い続ける。(赤尾裕希)

◆ヤクルトは1-1出迎えた七回、2死満塁のチャンスで代打・川端慎吾内野手(35)が勝ち越しとなる中前2点打を放ちチームを勝利に導いた、以下、川端のヒーローインタビュー。--決勝打を放って「率直にめちゃくちゃうれしいですね」--7回同点ツーアウト満塁のチャンスでの登場「みんながつないでくれたチャンスだったので、なんとかかえしてやろうと思って打席に入りました」--打球はセンターに抜けた「抜けた瞬間ヒットになってくれると思ったので、よっしゃーと思って一塁に走りました」--今日のヒットで代打での打率が4割を超えた「本当に初球からどんどん甘い球が来たら積極的にいこうって常に頭に入れてやってるので、それがいい結果につながっているのかなって思ってます」--チームも7月に入って5勝1敗と勝ち越し「すごくベンチの雰囲気もいいですし、状態も上がってきてるので、これからどんどん勝っていきたい」--ファンにメッセージ「また明日も勝てるように頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします」

◆阪神は1-1に追いついた六回、なお1死二、三塁でミエセスが中堅へ飛球。三走・ノイジーが勝ち越しのホームインかと思われたが...。二走の大山が三塁で憤死。ノイジーが本塁を踏む前に3アウト目が成立したとして生還は認められなかった。1点差で敗れた試合後、大山は「自分のミスなので、あれでチームの流れを止めてしまいましたし、相手に勢いをつけてしまったのは事実なので。もっと冷静に判断するべきでしたし、チームに迷惑かけてしまったので申し訳ないと思っています」と話した。

◆ヤクルトが、一回に村上の犠飛で先制、1―1の七回に代打川端の2点打で勝ち越した。?ヤクルト・川端が七回に代打で登場し、勝ち越しの2点二塁打。代打起用は今季38度目で、打率・412(34打数14安打)、1本塁打、9打点。通算では打率・275(273打数75安打)、2本塁打、47打点。?勝利打点は4日のDeNA戦(九回に代打で勝ち越しの1点二塁打、横浜)に次いで今季2度目。1週間に2度記録したのは、2021年4月20日の広島戦(七回に代打で勝ち越しの1点単打、マツダ)、同23日の中日戦(六回に代打で勝ち越しの1点単打、神宮)以来2年ぶり。阪神戦で勝利打点を挙げたのは、13年9月14日(六回に先制の1点打、神宮)以来10年ぶりで、代打では初めて。

◆阪神・伊藤将司投手(28)の甲子園連勝が「11」で止まった。七回2死満塁で代打・川端慎吾内野手(35)に中前に勝ち越し2点打を浴びて降板し、2021年7月10日の巨人戦以来の甲子園黒星を喫した。同点に追いついた六回1死二、三塁でヨハン・ミエセス外野手(27)の中飛に三走シェルドン・ノイジー外野手(28)の生還より、二走大山悠輔内野手(28)の三塁憤死が早かったため、勝ち越しを逃した。九回、代打・小野寺暖外野手(25)の適時打で1点差としたが、最後は初の「1番・中堅」に入ったD1位・森下翔太外野手(22)=中大=が空振り三振に倒れた。2度の得点機で凡退した佐藤輝明内野手(24)は復帰3試合で12打数1安打。5月20日以来の「貯金10」となった岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(成績=42勝32敗3分、観衆=4万2630人)。ーー六回の大山の走塁について「前の試合から走塁ミスばっかりやろ。考えられへんけどなあ。なんで止めへんのやろ。三塁コーチャーも」ーー焦りが出た「焦りじゃないやろ。普通のプレーやんか。勝ち越しの点やからのう。伊藤もアレでガックリ来たやろうな。アレで」ーー120%セーフでなければ「当たり前やん。(次打者の)梅野も手を挙げとったな。あれでノイジーも緩めたやろ。何回目か、知ってる。今年。プロ野球で」ーー3回目ですか「おう、3回目よ。日ハムと中日。野球をやってたらわかるやろ。ホンマ。野球をもっと見て、もっと勉強せなアカンわな。おんなじミスばっかりするやろ」ーー中日戦は目の前で起きた(5月18日)「自分の間近でのプレーやからのう。忘れるもんかな。全部覚えてるで、エエ? 高めなんかアカンて、この間も、エエ? あれ誰や。中日でも2ストライクから高めでデッドボールを当てて、なんで同じ事ばっかりするんやろな。ヤクルトのキャッチャーの中村は2ストライクから高め構えてる? みんなアウトコースやろ? だから、当たり前のことをやったらエエねん。(七回1死三塁から)三ツ俣を高めで空振り三振を取ったから余韻があるんよな。俺はビックリしたよ、高めに構えたから。三ツ俣やから三振よ。当たり前のことをやればいい。あわよくばとか裏をかくとか、そんなんいらんねん。余裕のある時よ。接戦の大事な場面で裏なんか、かかれへんって」ーー5月はできていた「普通にやってるだけやん、別に」ーーチームとして流れが悪い「チームの流れが悪いて、自分らで壊してしもてるんやんか。そんなことやれなんて一言も言うてないで、普通のプレーやないか、そんなもん。負ける時は走塁ミスばっかりやろ? こないだもそうやろ? そんなもん、ベンチでこっちは何にもでけへん。ベンチから声届けへんわ、行くなて。大事な場面とかな、接戦とか、そう言う時にそういうの出るんよ。負ける時はそんなもんやんか。同点の後のわけやから、甲子園で後攻やねんから、何を慌てることあんの。そんなん簡単なことやんか、普通にやっとけばエエんよ」

◆ヤクルトは、競り勝って7月に入り6試合で5勝と好調をキープしている。1―1とされた後の六回1死二、三塁で、中飛を並木から返球された二塁手の三ツ俣が、本塁ではなく三塁へ送球する好判断でアウトに。阪神・岡田監督がリクエスト要求するも、リプレー検証の結果判定は覆らなかった。ヤクルト・高津臣吾監督(54)の主なコメントは以下の通り。――逃げ切ったナイスゲームだった「守備が大事だなと思わされるゲームでしたね。非常によく守ったし、いいプレーたくさんあったし、あとの2点目がなかなか取れなかったんですけど。バッテリーを中心によく守ったなと思います」――ピーターズは六回途中4安打1失点と粘りの投球だった「立ち上がりも非常に良くて。六回先頭か、フォアボールから始まってしまったんですけども。全然内容的には良くて、あのフォアボールでしょうね。少しバテたかもしれないですけどね」――六回1死二、三塁からの中継プレーが大きかった「あれはこちらのプレーとしてはすごくいいプレーでしたね。ちょっと相手の走塁のこともあるのでたくさんはコメントできないですけど、あのワンプレーは大きかったと思いますね」――三ツ俣は一回にもボテボテのゴロを右手で捕球してアウトに。二回には中前へ抜けそうな打球に飛びついて好捕。守備が光った「繰り返しになりますけど、取れるアウトを取れたかどうか。取れるアウトでランナーを残してしまったんじゃないかとか、そういうところがやっぱり野球のワンプレーのね、一つのアウトの大きさというのが勝ち負けにつながっていくわけなので。そういう意味では今日はみんなよく守った。サードは1人エラーしましたけど(笑)。よく守ったと思います」――村上は打撃面で活躍「でも初回のああいうレフトへのフライ、ああいうバッティングされると本当にピッチャーは嫌でしょうね。ランナー三塁において、引っ張るだけじゃなくてしっかり外野まで持って行って点を取るという。素晴らしいバッティングだったと思います。その後のヒットも内容のあるヒットだったと思います」――前日7日の居残り練習の成果「もう毎日居残りすればいいんだよ、あいつ(笑)」

◆阪神・小野寺が意地の一打を放った。九回2死三塁で代打で登場すると、守護神・田口のスライダーをしぶとく右前へ運び、1点差とした。「何とか食らいついて結果を出そうと思って打席に入った。1本出てよかった」。5日に昇格後、初めての打席で勝負強さを発揮し、6月7日の楽天戦(楽天モバイルパーク)以来、1カ月ぶりに打点を記録した。

◆阪神・佐藤輝は走者がいる状況で3度凡退し、4打数無安打に終わった。同点に追い付いた直後の六回無死二、三塁では先発のピーターズの外角のスライダーに空振り三振。八回2死二塁では清水のフォークに反応するも右飛に倒れた。「何とかして打ちたかった」と唇をかんだが、5日に1軍再昇格後は打率・083(12打数1安打)。岡田監督は「見ての通りよ。あれで(状態が)ええと言える?」と語気を強めた。

◆阪神D1位・森下(中大)が「1番・中堅」で先発出場。打順、守備位置ともにプロ入り後初で、守備では四回の飛球など無難にこなした。「初めはすごく緊張したが、回を重ねていくごとに慣れていった」。七回の守備から右翼に入り、八回無死一塁から右前打で三塁を狙った一走に対してレーザービーム。ノーバウンド送球でタッチアウトにした。打っては三回1死三塁で死球を受けて好機を広げたものの、それ以外は4打席凡退。「きょうは監督から積極的にいけといわれた。次につながる内容だったので、つなげていきたい」と前を向いた。

◆何でや!! 阪神はヤクルトに2―3で敗れ、2連敗となった。同点に追い付いた直後の六回1死二、三塁で、二走・大山悠輔内野手(28)の三塁憤死で勝ち越し犠飛が幻になったことが痛かった。6日の広島戦に続く走塁ミスに、岡田彰布監督(65)の堪忍袋の緒が切れた。こんなことをやっていたらアカン!!うそやろ!? 目が点になった。同点に追い付いた六回だ。1死二、三塁からミエセスの中飛で勝ち越しや、と手を叩いて喜んだ直後だ。二走・大山が三塁でタッチアウト。チェンジのコールに、聖地に悲鳴と怒号が響いた。岡田監督は4番の大失態に辛辣(しんらつ)なコメントを並べた。「考えられへんけどなあ。なんで止めへんのやろ。(藤本)三塁コーチャーも。ベンチから声、届けへんわ。(三塁に)行くなて」引き寄せた流れを自ら手放した。六回無死一、二塁で大山が左翼線への適時二塁打。チームで41イニングぶりとなるタイムリーで追い付いた。なおも1死二、三塁の好機。ミエセスが放った中堅への飛球で、三走・ノイジーがタッチアップで本塁へスタート。同時に、二走・大山も三塁へスタートを切った...。打球を処理した中堅・並木から中継に入った三ツ俣をへて三塁の村上へ。ノイジーが本塁ベースを踏む前に、大山は三塁でタッチアウトとなり、勝ち越し犠飛が幻となった。岡田監督は「ノイジーの生還が早かったのでは」とリクエストしたが、リプレー検証後も判定は覆らなかった。「(次打者で本塁付近にいた)梅野も手をあげとったなあ。あれでノイジーも(走塁を)緩めたやろ」とチクリ。さらに報道陣に「何回目か、知ってる」と問いかけた。今回の走塁ミスに似たケースは今季2度あった。そのうち一度は、阪神ナインも目撃している。5月18日の中日戦(バンテリンドーム)。相手の八回2死一、二塁の場面だ。村松が左翼線に安打を放ったが、二走・石川昂が本塁手前でスピードを緩めたため、ホームインより前に一走が三塁で憤死し、得点が認められなかった。「自分(たち)の間近でのプレーやからのう。忘れるもんかな。(自分は)全部覚えてるで」と首をかしげた。直後の七回、伊藤将が2点を奪われ、甲子園の連勝記録は11で止まった。「伊藤(将)もアレでガックリきたやろうな。アレで」と吐き捨てた。

◆足元を抜けた白球がそのまま二遊間を破ると、思わず天を仰いだ。阪神・伊藤将に待ち受けていた、悲劇の七回。粘り切ることができず、「11」まで積み重ねてきた甲子園での連勝は、ついに終止符が打たれた。「(調子は)悪くなかったと思います」一回に左犠飛で先制点を与えるも、感覚の良かった直球にツーシームやカットボールを交え、的を絞らせることなく立て直した。三回からの4イニングは無安打と圧倒した。しかし、味方の走塁ミスで勝ち越せなかった直後の七回は、渡した流れに押されるようにピンチを招いた。先頭の4番・村上に左越え二塁打を浴び、2死後には長岡を0―2と追い込みながらも強気に内角を攻めた結果、死球となった。「切り替えて、次の打者と勝負しようと思って投げた」。だが、中村には四球を与えて満塁とすると、代打・川端に中前への2点打を許した。「甘い球をしっかりとセンターに返された。やられたなと思います」と脱帽するしかないベテランの一打を食らい、ここで降板した。6回?5安打3失点で喫した今季3敗目は、2021年7月10日の巨人戦以来となる本拠地での黒星。ルーキーイヤーの途中から甲子園では11連勝中で、1966年、70―71年と2度記録した〝2代目ミスタータイガース〟村山実に並ぶ球団2位の12連勝が懸かっていた。前3試合では好投しながら勝ち運に恵まれず、満を持して臨んだ〝四度目の正直〟だった。待ち受けていた現実に「残念です...」と言葉を絞り出した。とはいえ、甲子園との好相性が揺らぐことはない。悔しさにまみれながらも、マウンドを降りる際は詰めかけた4万2630人の大多数を占める虎党から、ねぎらいの拍手を送られた。甲子園に愛される男がチームに勝利をもたらし、また一から新しい歴史を積み重ねていく日々が始まる。(須藤佳裕)

◆こんな気分の悪いチェンジも珍しい?! もちろん、六回の攻撃だ。大山が三塁で憤死して、誰が見ても勝ち越すシーンが幻に終わったのだから。思い出しませんか? 13年前のあの有名なシーンを。2010年5月24日のロッテ戦。4-4の同点で迎えた九回1死満塁。城島が犠飛には十分なフライを打ち上げた。サヨナラ勝ちを確信して、バットを持ったまま一塁ベースの手前で状況を眺めていたのだが。三走・マートンの生還に歓喜しようとしたその瞬間、二走・新井(現広島監督)がタッチアップで猛然と三塁へ爆走するのが目に入ってきた。中堅からの返球を受けた二塁手・井口(前ロッテ監督)は、サヨナラの走者を殺すことを諦め、三塁へ送球。間一髪のプレーになってしまった。ホームインが早く、サヨナラは認められたのだが。あの日、サンスポの記者席で並んで見ていたのは、小早川毅彦氏(サンケイスポーツ専属評論家)。「井口の状況判断は恐るべし。あの状況で三塁へ投げる決断ができるなんて。これぞプロ」絶句していたのを思い出した。本来ならサヨナラの歓喜の輪ができるはずだが、城島が、金本が、新井に歩み寄って、「何やってるんや!」の大叱責。新井は何度も「すみません」と謝っていた。城島は「永遠に語り継がれるプレーになるところだったわ」とあきれ果てていた。ただ、あの夜はみんな、笑っていた。結果は勝利だったから。

◆勝てた試合だった-。阪神で1994年に新人王に輝き、米大リーグのアスレチックスなどを渡り歩いて日米通算91勝をマークしたサンケイスポーツ専属評論家・藪恵壹氏(54)は六回、流れに逆らった暴走で憤死した大山と、九回の代走でスタートを切る素振りを見せなかった植田の姿を厳しく指摘。やるべき野球の徹底を訴えた。勝ち越せなかった六回の走塁ミスは、あまりにも痛すぎる。同点にしてなお1死二、三塁。タッチアップには十分な打球だったから、二塁走者が考えるのは「絶対に自分がアウトにならない」ことだった。それを、何を思ったのか、猛然と三塁に滑り込んでアウトになるだけでなく、得点も認められないという最悪のケースに。状況さえ把握していたなら、三塁ベースに到達しないところで滑り込めばいいし、挟まれてランダウンプレーに持ち込んでもいい。1点を取ることが、何よりも優先されるべきシーンだった。キャンプで、この状況を想定しての練習をしてきていないのだろうか。攻撃側も、守備側も、もう一度、確認しておく必要はあるだろう。岡田監督は、流れに逆らう野球を嫌う。誰よりも流れを大事にする野球をする。その監督のもとで、この流れに逆らうプレーが起きてしまった。一番ショックなのは岡田監督だろう。厳しく引き締め直すことが予想される。

◆あゝ無情の甲子園...。伊藤将司の甲子園不敗神話も11で止まった(涙)。六回、大山のタイムリー二塁打で同点に追いつきなお1死二、三塁。しかし、その大山がミエセスの犠飛で勝ち越しと誰もが確信したその時、三塁を欲張ってホームインより先にタッチアウトで、幻の逆転となってしまったのだ!振り返れば、6日の広島戦も追撃ムードを自ら消してしまうノイジーの無謀な走塁があったし...。2試合連続走塁ミスで負けって、どんだけ焦っとるんやータイガース!! そう、走塁ミスも打線がつながらないのも、全ては『焦り』なのだ!!じゃ、その焦りはどこからきているかと言うと、DeNAや広島、巨人にジワジワと追い上げられているのに、それでも首位にいる窮屈さで金縛り状態になっていると思うのだ!! だったら1回死んで楽になっちまえー!! 追い抜かれちまってもええよー!! 肩の力抜いていこうぜー!!そーだ、大山以外、甲子園の担当者にお願いして「8番サード、佐藤輝明」「8番センター、森下」「8番レフト、ノイジー」と打者全員8番でアナウンスしてもらおうか? 8番なら楽に打てるやろー!!

◆ヤクルトの〝代打の神様〟が燕党の祈りに応えた。1―1の七回2死満塁で、代打で出場した川端慎吾内野手(35)が中前へ決勝の2点打。試合後には甲子園の左翼席一部に陣取ったファンへ、歓喜のあいさつをした。「率直にめちゃめちゃ、うれしい。みんながつないでくれたチャンスだったので、(走者を)何とかかえしてやろうと思って打席に入りました。抜けた瞬間、ヒットになってくれると思ったので、『おっしゃー』と思って一塁に走っていました」狙いすました。阪神先発・伊藤将が投じた2球目のシンカーをはじき返した。今季は代打で打率・412(34打数14安打)、1本塁打、9打点。日本一に輝いた2021年には代打でシーズン歴代2位の30安打を放っており、「同じような感じで、自信をもって打席に入れている」とうなずいた。昨季は新型コロナウイルスの影響で打率・175、0本塁打、7打点と苦しんだだけに、プロ18年目にかける思いは強い。5位のチームは7月に入り、5勝1敗と好調。無類の勝負強さを誇るベテランは「すごくベンチの雰囲気もいいですし、状態も上がってきているので、これからどんどん勝っていきたい」と誓った。(赤尾裕希)?ヤクルト・川端が七回に代打で登場し、勝ち越しの2点二塁打。代打起用は今季38度目で、打率・412(34打数14安打)、1本塁打、9打点。通算では打率・275(273打数75安打)、2本塁打、47打点。?勝利打点は4日のDeNA戦(九回に代打で勝ち越しの1点二塁打、横浜)に次いで今季2度目。1週間に2度記録したのは、2021年4月20日の広島戦(七回に代打で勝ち越しの1点単打、マツダ)、同23日の中日戦(六回に代打で勝ち越しの1点単打、神宮)以来2年ぶり。阪神戦で勝利打点を挙げたのは、13年9月14日(六回に先制の1点打、神宮)以来10年ぶりで、代打では初めて。

◆〝神判断〟が流れを変えた。同点に追いつかれた直後の六回1死二、三塁で、中飛からの中継プレーを「6番・二塁」で先発したヤクルト・三ツ俣大樹内野手(31)が三塁へ送球。三走が生還する前に刺殺して追加点を防ぐと、直後の七回に勝ち越した。今春の沖縄・浦添キャンプから「緻密さ」を求めてきた高津臣吾監督(54)は「守備が大事だと思わされるゲーム。あのワンプレーは大きかった」と称賛した。上空に強い浜風が吹いていた甲子園。試合の風向きはワンプレーで変わった。首位・阪神相手に競り勝った高津監督は「守りの野球」を体現した選手をたたえた。「守備が大事だなと思わされるゲームでした。野球のワンプレー、一つのアウトの大きさが勝ち負けにつながっていく。みんなよく守ったと思う」好判断で虎党を黙らせた。1―1とされた後の六回1死二、三塁。ミエセスの中飛を並木から返球された二塁手の三ツ俣が、本塁ではなく三塁へ送球し、本塁生還より一瞬早くタッチアウト-。一時はスコアボードに「2」が刻まれたが、球審・津川は生還を認めず。阪神・岡田監督がリクエスト要求するも、リプレー検証の結果、判定は覆らなかった。

◆プロ野球の試合を裁く審判による判定のジェスチャーは、試合を引き立たせり、球場全体のムードを左右する大切なポイントとなる。そう感じさせた場面が7月8日の阪神―ヤクルト(甲子園)であった。阪神は六回に1-1に追いついてなお1死二、三塁の場面。ここでミエセスの打球は左飛となり、走者はそれぞれタッチアップした。三走・ノイジーが本塁を踏めば犠飛で勝ち越し点となったが、それより先に二走の大山が中継から三塁への好返球に阻まれてタッチアウト。3アウトで攻撃終了となり、勝ち越しを逸する無念のシーンとなった。このプレーの直後、阪神サイドはリクエストを要求。審判団が約1分半、ビデオによるリプレー検証を行った結果、結局判定はくつがえらなかった。試合の一塁塁審を務め、責任審判として検証後の判定をコールした吉本文弘審判員は、記録員に向かって頭上で「×」をつくるように両手を振り、得点が認められないことを示す「ノーランスコア」のジェスチャーをとった。この際、吉本塁審がはじめに三塁方向を向いて腕を振ったため、虎党ファンは「大山はセーフ」のジェスチャーと勘違いしたか、スタンドから大きな歓声が挙がった。だが、結局は〝ぬか喜び〟となり、余計にガッカリ感が広がった。吉本審判員が試合後にジェスチャーについて説明してくれた。「三塁アウトが先なのか、得点のベースを踏むのが早いかということへのリクエスト。それに対して『その前に(大山が)アウトになってますよ、得点はありません』という意味です。なかなかないケースなんで、タイムプレーで。紛らわしかったですかね?」。戦う両チームには判定結果はすんなり通じても、見ている観客にはちょっぴり分かりにくかったかも、との気遣いをみせていた。近年は敷田直人審判員の「卍ポーズ」など、各球審がストライクのジェスチャーで見せる個性的な動きにもファンが目を向けるようになり、プロ野球の観戦スタイルもより多角化してきている。ストライク、ボール以外にも審判が見せるジェスチャーはさまざま。プロ野球観戦の楽しみ方として、もっと注目されてもいいかもしれない。(上阪正人)

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
42323 0.568
(↓0.007)
-
(-)
66283
(+2)
234
(+3)
38
(-)
39
(-)
0.237
(-)
2.820
(↓0.01)
2
(-)
DeNA
41332 0.554
(↓0.008)
1
(-)
67293
(-)
267
(+6)
53
(-)
17
(-)
0.254
(↓0.001)
3.280
(↓0.03)
3
(-)
広島
41370 0.526
(↓0.006)
3
(-)
65275
(+1)
270
(+5)
50
(-)
38
(-)
0.247
(-)
3.190
(↓0.03)
4
(-)
巨人
39361 0.520
(↑0.006)
3.5
(↑1)
67280
(+6)
280
(-)
87
(+1)
24
(+1)
0.252
(↑0.002)
3.550
(↑0.05)
5
(-)
ヤクルト
31432 0.419
(↑0.008)
11
(↑1)
67262
(+3)
292
(+2)
61
(-)
40
(+2)
0.232
(↑0.001
3.580
(↑0.03)
6
(-)
中日
30452 0.400
(↑0.008)
12.5
(↑1)
66218
(+5)
253
(+1)
32
(-)
22
(-)
0.239
(↑0.001)
2.890
(↑0.02)