◆接戦を制した広島が3連勝。広島は1点を追う6回裏、坂倉の適時打で同点とする。そのまま迎えた8回には、秋山の犠飛で1点を加え、勝ち越しに成功した。投げては、2番手・ターリーが今季3勝目。敗れたDeNAは、打線が相手を上回る10安打を放つも、2得点とつながりを欠いた。

◆DeNAが、広島に競り負け、連勝が3で止まった。試合終了時点で、2位阪神が中日に大量リード中で、阪神が勝てば2位に転落する。1回に佐野の適時打で先制したが、その裏に秋山の二ゴロの間に同点。6回には戸柱の遊ゴロの間に1点を勝ち越したが、その裏に坂倉に同点打を浴びた。先発大貫は、広島床田と投手戦を演じ、6回途中2失点で降板。同点の8回に3番手の上茶谷が1死三塁のピンチを背負って、代わったエスコバーが秋山に決勝の中犠飛を浴びた。前回カードの阪神戦で3連勝を達成。首位浮上で最高のムードで広島に乗り込んだが、苦手のビジターで勢いを止められた。

◆DeNAが広島に競り負け、連勝が3で止まった。2位阪神が中日に勝ち、2日で2位に転落した。広島を上回る10安打を放ちながら、好機であと1本が出ず。試合前時点でリーグトップの防御率1・69だった広島床田に7回2失点と粘られ、9回も2死一、二塁の好機をつくったが、牧が凡退した。三浦監督は「もう1本、もうひと押しというところがね。相手にも粘られた」と唇をかんだ。先発大貫は6回途中2失点とゲームを作ったが、打線が得点した直後のイニングに失点。同点の8回にはイニングまたぎの上茶谷が1死三塁のピンチを背負って、エスコバーが秋山に決勝の犠飛を浴びた。三浦監督は「大貫はよく踏ん張ったけど、取った次の回に点を取られて、ちょっと勢いに乗れなかった」と指摘。2位転落には「まだまだ先は長いので、また明日も頑張ります」と切り替えた。▽DeNA大貫（5回2／3を2失点で勝敗つかず）「勝負どころで粘りきれず、悔しいです。味方が点を取ってくれた後に失点してしまい、流れを持ってくることができませんでした」▽DeNA佐野（1回に先制打）「クワ（桑原）さんが2ストライクから進塁打でランナーを三塁まで進めてくれたおかげで、楽な気持ちで打席に入れた」

◆カープの一員になった日からちょうど1年。広島秋山翔吾外野手（35）がヒーローになった。初回1死三塁で5試合ぶりの打点を挙げ、6回には4試合ぶりの安打から坂倉将吾捕手（25）の同点打を呼び、8回1死三塁では決勝犠飛。リーグ戦再開後は3戦連続無安打と苦しんだが、この日は全3得点に絡み、3連勝の立役者になった。8回の勝負機を振り返り、秋山は「あそこで外野フライが上がったのはすごくホッとしましたし、その前でバントを決めた野間の方がよっぽど緊張したと思うので、それに応えないと、どんな状態が悪くてもやらないといけないと思いました」と、先頭で二塁打を放った菊池涼介内野手（33）、犠打を決めた野間峻祥外野手（30）に感謝した。自身の打撃については、喜びよりもむしろ厳しい表情で振り返った。「1本（安打が）本当に久々に出て、自分の中でこう、勝手に自然と笑顔が出るかなと思いましたけど、あんまりそういう感情にはならなかったということは、自分としてもまたすぐ悪い状態、良い状態が続いてない感じなので、あんまり手応えもないですし。僕自身はあんまり、この1本だけでは喜んではいけないなというのが感情のときに働いたかなと」と、安打が出た安堵（あんど）感はみじんもなかった。それでも、1人1人の奮闘を勝ちの結果につなげた働きこそ、チームが待ち望んだもの。新井貴浩監督（46）は「あの場面で最高の仕事をしてくれましたね。先頭のキク（菊池）も、何とか塁に出たいというのが伝わって来ましたし、野間もしっかりと送ってくれたし。そこで最高の仕事だったと思います。最高の犠牲フライだったと思います」と声を弾ませた。1年前のこの日、球団が秋山獲得を発表した。中心選手となって成績と姿勢で引っ張ってきたからこそ、秋山が苦しむときはチームが立ち上がる。一丸のカープが連勝を3に伸ばし、首位阪神と4ゲーム差の位置につけた。

◆２８日の１１回戦に先発する広島・森下暢仁投手（２５）がキャッチボールなどで汗を流した。「いいバッターが並んでいる。クリーンアップの状態が良い。（得点圏で回すと）点数が入るので先頭から自分の投球ができるようにしたい」前回登板の６月１７日の西武戦（マツダ）は６回７安打２失点で自身３連勝。昨秋に右肘の手術を受け、今季の１軍初登板は５月にずれ込んだもののここまで７試合で３勝１敗、防御率１・８９と好投を続けている。

◆広島が競り勝って３連勝した。１―２の六回に坂倉の適時打で同点。八回に秋山の犠飛で勝ち越した。床田が７回２失点と粘り、ターリーが３勝目。矢崎が１２セーブ目。ＤｅＮＡは好機で一本が出ず、首位から転落した。

◆夏本番を前に、主将のバットが温まってきた。ＤｅＮＡの３番、佐野恵太外野手（２８）が一回に先制打を放ち、自身８試合連続安打をマークした。「クワ（桑原）さんがツーストライクから進塁打でランナーを三塁まで進めてくれたおかげで、楽な気持ちで打席に入ることができた」一回、先頭の関根が左中間への二塁打で出塁。続く桑原に対し、広島バッテリーは右方向への打球を阻止すべく内角への投球を徹底してきた。左脚の肉離れから復帰した２番打者は、その中でもカウント１―２と追い込まれてからの４球目、最後も内角球に詰まりながらも何とか右寄りの投ゴロを転がし、二走の関根を三塁へと進めた。迎えた１死三塁の絶好機で巡ってきた佐野の第１打席。昨季５打数１安打も、その一本で本塁打をマークしている床田から、内角球を力強く振り抜き鋭く一、二塁間へ。二塁手・菊池が何とか追いつくも弾き、三走が先制のホームを踏んだ。３試合連続打点をマーク。三回には左前打、九回には一塁内野安打で３安打猛打賞となった。しかし、試合は２―２の八回に犠飛で決勝点を許して逆転負け。２位阪神が勝ったため、首位から転落した。

◆広島のターリーが、八回を三者凡退に打ち取り、３勝目を手にした。「次の投手にバトンを渡すつもりでいつも投げている。たまたま自分の投げた後に援護があって、勝ち星が付いた試合だった」と謙遜した。この日に再び出場選手登録され、今季２９試合目の登板。休養目的で登録を外れた間は「家族との時間を大切に過ごした」そうで、心身ともにリフレッシュできたようだ。

◆ＤｅＮＡは３番の佐野恵太外野手（２８）が一回、先頭の関根の二塁打と桑原の投ゴロでつくった１死三塁のチャンスに二塁への適時内野安打で応えた。「クワ（桑原）さんが進塁打で走者を三塁まで進めてくれたおかげで楽な気持ちで打席に入ることができた」と床田のツーシームを捉えた。三回と九回にも安打を放ち今季５度目の猛打賞。これで８試合連続安打、３試合連続打点。チームは首位から転落するも主将が状態を上げてきた。

◆あと一歩が遠かった。ＤｅＮＡは広島を上回る１０安打を放つも、決定打を欠いて逆転負け。阪神を相手に３連勝を飾って首位に浮上してから、わずか２日で２位に逆戻り。三浦大輔監督（４９）は「複数走者を出し、もう一本、もう一点、もう一押しというところがね。相手にも粘られた」と唇をかんだ。一回に佐野の適時打で幸先よく先制。その後の２死一、二塁を含め計５イニングで得点圏に走者を進めながら、追加点は六回に戸柱の遊ゴロの間に挙げた１点のみ。２―３の九回に２死から一、二塁のチャンスをつくったが、４番・牧が一邪飛に倒れ試合が終了した。一回に１点を失った先発の大貫は二回から五回まで無安打投球と立ち直った。昨季、イニング別最多の１８失点した〝鬼門〟の六回は１死一、二塁で西川を三振に斬り、続く坂倉は追い込んだ後に同点打を許して降板。〝あと１球〟に泣き「勝負どころで粘りきれず悔しい」と肩を落とした。今季、ホームで２３勝８敗１分けと圧倒的な強さを誇るチームは、ビジターで１５勝１９敗。それでも三浦監督は「打線はそれほど悪いわけではないので、また明日です」と気持ちを切り替えた。（浜浦日向）

◆勝ち越しの瞬間、両手をパンッとたたき感情をあらわにした。２─２の八回１死三塁。広島・秋山が左腕エスコバーの外角スライダーに食らいつき、決勝の中犠飛を放った。「外野フライが上がってすごくほっとした。どんなに状態が悪くてもやらないといけないと思った」３試合連続無安打から一転、この日は存在感を発揮した。０─１の一回１死三塁では二ゴロで打点を挙げ、１─２の六回１死一塁では１５打席ぶりの安打となる右前に運んで坂倉の同点打を演出。１安打２打点でチームの３連勝に貢献した。広島２年目の今季は鉄人ぶりを発揮している。開幕から６８試合でチーム唯一のフルイニング出場。ターンオーバーの採用するチームでグラウンドに立ち続ける３５歳を新井監督は「いつも言っているけど（打者は調子の）波がある。上がってくるのは時間の問題。最高の犠牲フライ」と変わらぬ信頼を強調した。西武、米大リーグ挑戦を経て昨年６月に広島に加入した。日本球界に復帰の際、広島を選んだ理由の１つが侍ジャパンで同僚だった菊池の存在。移籍後は投手情報の共有や野球観を語り合って切磋琢磨（せっさたくま）している。この日、二塁打２本で秋山とともにお立ち台に上がった菊池は「おじさん２人、〝ウナギイヌ〟と頑張りたいと思う」と先輩の裏ニックネームを使って活躍を誓った。チームは逆転勝ちで貯金は今季最多タイの４。ベテランパワーで上位の阪神とＤｅＮＡの背中を追う。（柏村翔）