楽天(★3対11☆)阪神 =交流戦2回戦(2023.06.07)・楽天モバイルパーク宮城=
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阪神
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楽天
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勝利投手:西 勇輝(3勝4敗0S)
敗戦投手:田中 将大(3勝4敗0S)

本塁打
【阪神】ミエセス(4号・7回表ソロ)
【楽天】安田 悠馬(3号・3回裏ソロ),辰己 涼介(4号・3回裏ソロ)

  DAZN
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◆阪神は3回表、佐藤輝の適時三塁打で3点を先制する。1点差とされて迎えた5回には、梅野の適時打と小幡のスクイズで2点を挙げ、リードを広げた。投げては、先発・西勇が6回途中2失点で今季3勝目。敗れた楽天は、先発・田中将が試合をつくれず、打線もつながりを欠いた。

◆阪神高卒2年目の前川右京外野手(20)が、プロ初の3番に抜てきされた。シェルドン・ノイジー外野手(28)が、5月10日ヤクルト戦以来、今季2度目のスタメン落ち。前夜の楽天戦で4打数無安打に倒れ、6月は20打数1安打で打率1割を切っている。不調の助っ人に代わり、前日6日にプロ初安打を放った若武者が、クリーンアップの大役を担う。楽天先発田中将大投手(34)を打ち崩せるか。また、岡田監督は下位打線を改造し、6番には梅野、8番遊撃には小幡が入った。

◆試合前に「OB対決」が行われ、阪神、楽天などでプレーし通算129勝を挙げた下柳剛氏(55)と楽天などでプレーした鉄平氏(40=土谷鉄平)が対戦した。下柳氏は投球前に「エラーしたらグラブは...」と振られ、「投げません」と照れ笑い。07年(平19)10月1日の横浜戦(横浜)で下柳が登板している際、遊撃に秀太、二塁に関本が守っており、秀太がミスを連発。下柳がグラブをたたきつけるシーンがあった。過去の"事件"を掘り返され、仙台の野球ファンも思わず笑顔になった。12年には楽天でチームメートだった2人の対決は、二ゴロで下柳氏の勝ち。守備のミスはなく、最後は笑顔で記念撮影を行った。

◆阪神前川右京外野手(20)が、日米通算193勝の楽天田中将大投手(34)からプロ通算2安打目を放った。初回1死一塁、中前適時打で好機を拡大した。さらに3回1死二塁では二塁への内野安打で出塁。これがプロ初のマルチ安打となった。その後、5番佐藤輝の3点打で生還した。前川は前日6日の同戦で、プロ11打席目で初安打を放っていた。一夜明けの一戦は不振のノイジーに代わってプロ初の3番でスタメン。岡田監督の期待に応える一打を早速放った。

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が、先制の3点適時三塁打を放った。3回1死満塁、楽天先発田中将の低め149キロを捉え、右中間へ走者一掃の一打。自身8打席ぶりの安打は、11試合ぶりのタイムリーになった。「みんなでつないで作った満塁のチャンスでしたし、まずは先制点を取りたいと思っていたので、ランナーをかえすことができてよかったです」とコメントした。さらに5回には、この日2本目となる三塁打。佐藤輝の1試合2三塁打は、プロ初となった。直後の梅の適時打で4点目のホームを踏んだ。この3連戦は宮城・村田町に住む祖父勲さん(84)、祖母美智恵さん(84)が観戦している。スタンドの祖父母も拍手で喜んでいた。最高の"祖父母孝行"で虎に先取点を運んだ。

◆岡田監督が動いた! 阪神小幡竜平内野手(22)が、意表を突く絶妙なセーフティースクイズを決めた。4-2と2点リードの5回、1死一、三塁から初球でバントを試み、一塁側へ転がした。投手田中将がグラブで捕球しそのまま本塁へトスするも、三塁走者梅野が気迫のヘッドスライディングで捕手安田のタッチを間一髪でかいくぐりセーフ。楽天石井監督がリクエストを要求したが、判定は覆らなかった。今季阪神では開幕戦の3月31日DeNA戦(京セラドーム大阪)で青柳が4回に決めて以来、2度目のスクイズ成功となった。【動画】阪神岡田監督は手をたたき満面の笑み 小幡竜平俊足生かしセーフティスクイズ成功

◆阪神西勇輝投手が、突然のアクシデントに襲われた。3点リードの6回、2死一塁から鈴木大への初球だった。投球動作に入り、左足が地面についた瞬間に左足首をひねったとみられ、そのままバランスを崩し、グラウンドにしゃがみ込んだ。安藤投手コーチ、トレーナーが駆け寄り、状態確認のための投球練習を2球試みたが、そのまま歩いてベンチへと下がり、及川にスイッチした。降板後、球団を通じて「試合前から梅野と配球についてしっかり話ができていましたし、うまくリードしてくれたおかげで、いい流れで中盤まで投げることができました。最後はあんな形での降板になってしまいましたが、及川がよく投げてくれました」とコメントした。

◆出た、ギャルピース! 阪神ヨハン・ミエセス外野手(27)が4号ソロで楽天を突き放した。3点リードの7回、津留崎から中堅右へ豪快な一撃を決めた。10日ぶりの1発で貴重な追加点を呼び込み、顔の横でピースするお決まりの「ギャルピース」も飛び出した。

◆序盤、中盤、終盤の追加点で流れをわたさず、阪神が3試合ぶりの白星を挙げた。0-0の3回1死満塁、佐藤輝明内野手(24)の右翼越え三塁打で走者を一掃。11試合ぶりの適時打で3点を先取した。続く5回にも1死走者なしから、プロ初となる1試合2本目の三塁打で好機を演出。梅野の適時打や小幡のセーフティースクイズなどで2点を追加した。3点リードの7回にはミエセスの4号ソロ。9回には4安打5得点を挙げ、ダメ押しに成功した先発西勇は今季3勝目。3回に2者連続の本塁打を浴びたが、以降は無失点を継続した。だが6回2死一塁から投球動作で左足首をひねったと見られ、6回途中2失点で交代となった。岡田彰布監督(65)にとって相手先発田中将はオリックス時代10年8月1日から2分けをはさんで6連敗中。難敵を攻略で、貯金を今季最多タイの18とした。

◆阪神梅野隆太郎捕手(31)が、珍しいシングルヒットを放った。9回1死一塁の第4打席。楽天石橋から左翼越えの当たりを放った。一塁ベースを蹴ると、二塁へ。二塁に到達する直前、返球が間に合いタッチアウトになりそうなタイミングで、梅野は一塁へ引き返した。二塁ベースで左翼からの返球を受けた楽天浅村は、一塁へ戻ろうとする梅野を見て、一塁へ転送。そのまま挟殺プレーになるかと思われたが、二塁のベースカバーが不在で、梅野は悠々と二塁を陥れた。記録はシングルヒット。阪神はその後、5得点を挙げ、2桁11得点で楽天を突き放した。

◆楽天田中将大投手が、5回8安打5失点(自責4)で4敗目(3勝)を喫した。毎回走者を出し、甘く入った球を痛打された。3回1死満塁で、佐藤輝に右中間へ走者一掃の3点適時三塁打を許し、先制点を献上。5回にも2安打を浴び、失策と犠打野選が絡んで2点を失った。「得点に四死球が絡んだり、長打が絡んでというところだった。単純に力負けした部分はあったと思う。今日はそこに尽きます」と肩を落とした。今季10度の登板で、クオリティー・スタート(6回以上自責点3以内)は4度達成。一方で、1試合4失点以上も4度と、好不調がはっきり出ている。今季自身初の連勝はならず。「(課題は)自分の中ではあります。もう1回しっかり映像を見て振り返ってというところです」と改善へ前を向いた。

◆2軍再調整中の阪神糸原健斗内野手(30)、原口文仁内野手(31)が、9日の日本ハム戦(エスコンフィールド)から1軍昇格することになった。岡田監督が「明日、仙台通り越して飛行機に乗るよ」と明言。5月29日に再調整のため登録抹消された左右の代打2人が帰ってくる。原口は、この日の2軍広島戦で本塁打。糸原も状態アップに努めてきた。

◆楽天は、打線の反撃態勢に投手陣が応えられず、阪神に敗れた。阪神先発の西勇は、試合前時点で、対右打者の被打率が3割4分2厘、対左打者が同1割8分9厘。しかし石井監督は、先発メンバーに、浅村以外は8人の左打者を並べた。「右バッターの方が打たれているという数字は僕も見ていたが、ある程度、いまコンタクトできている人を数字以上に考えた」と説明。データよりも好調の選手たちをグラウンドに送り出した。好調の辰己を1番、小郷を2試合連続で3番に起用。3回に3点を先制された直後、安田と辰己の2者連続のソロで1点差に追い上げるなど、西勇に8安打。追い上げムードを作った。一方で、先発田中将が5回5失点で降板。7回には津留崎が1点を失い、9回は石橋が5失点。投手陣が踏ん張れなかった。「(阪神に)ついていかないといけない試合だった。中継ぎにつないで点を取られていくというのは、追いつくにはなかなか難しい状況だった」。ビハインドだからこそ、リードを広げない投球を求めた。

◆阪神梅野隆太郎捕手(31)が4月13日巨人戦以来の6番起用に、打って走っての躍動で応えた。1点リードの3回に右前への適時打。そのまま三塁に進塁すると、小幡のセーフティースクイズに気迫のヘッドスライディングで生還した。5回にも安打を放ち、今季4度目のマルチ安打。4試合連続の安打で、打点も3戦連続となった。今季はスタメン出場32試合中、28試合で7番で起用されていた。岡田彰布監督(65)は6番での起用について「梅野はだいぶバッティングの調子がようなってきたから。おーん。前はなあ、なんかあったときに梅野にバント言うとったけど。もうバントせんでええやんか。だから、どっちか言うたらお前、ポイントゲッターでなあ。それで6番入れたんや。ミエちゃんより先に」と意図を明かした。期待に応える一打で勝利に貢献した。

◆阪神西勇輝投手(32)が、突然のアクシデントに襲われものの、問題なしを強調した。3点リードの6回、2死一塁から鈴木大の初球で投球動作に入った時、左足が地面についた瞬間に左足首をひねってグラウンドにしゃがみ込んだ。ベンチに下がり、及川と交代したが、その後もベンチでナインのプレーを見守っていた。右腕は試合後、「今はもう全然大丈夫」と大事には至っていない様子。岡田監督は「足ちょっとひねったみたい、前もなんか一回あったみたいやけどなあ。大丈夫。最後普通にできとったから、そんな大したことはのお」と説明した。

◆阪神梅野隆太郎捕手が打って走っての躍動を見せた。1点リードの5回1死三塁。相手先発田中将の内角速球に詰まりながらも、前進守備の内野を越える右前適時打を放った。4試合連続の安打で、打点も3戦連続。「前の打席でやられていたインコースのストレートを最高のヒットにできた」と喜んだ。その後、三塁まで進塁すると、小幡のセーフティースクイズにヘッドスライディングでの生還も見せた。4月12日巨人戦以来の6番起用。岡田監督は「だいぶバッティングの調子がようなってきたから。だから、どっちか言うたらポイントゲッターでなあ」と起用の意図を明かした。

◆阪神西勇輝投手がアクシデントに見舞われながらも今季3勝目を挙げた。3回に9番安田、1番辰巳からの連続被弾で2失点を喫したが、以降は無失点を継続。だが3点リードの6回。2死一塁から6番鈴木大への初球に異変が起こった。投球動作の中で、着地した左足首付近をひねり、バランスを崩してしゃがみ込んだ。再度投球練習で状態を確認したが、そのまま交代。6回途中8安打2失点での降板となった。「自分の中でも7回は行けるなという頭だった。ゲームメークができたことはできたけど、投げきりたかった」。悔やみつつも、患部については「今はもう全然大丈夫」と強調。岡田監督も「大丈夫、最後普通にできとったから。あの展開で無理さす必要もないし」と、大事を取った降板と明かした。だが、仲間の奮闘でリードをわたさず今季3勝目。相手先発田中将は昨季の交流戦でも投げ合い、6回途中無失点で勝利した相手。2年連続の投げ合いで白星を挙げ、チームに3試合ぶりの勝利をもたらした。

◆阪神岡田彰布監督(65)が「3番DH」で抜てきした高卒2年目前川右京外野手(20)の起用理由を明かした。前川が3番になったことに「打ったなあ。見事的中したなあ。全部俺がやってんやけどな。違うけど(笑い)。ある程度の順番は。前川の3番は俺が進言した」と自ら提案したと言った指揮官。高卒2年目の先発クリーンアップは98年の浜中以来も、楽天田中将からマルチ安打を記録し、岡田監督の勝負勘も的中した。背番号58の奮闘に「いやいや、きのうヒット1本出て、(気持ちが)楽になっとるしなあ。だいぶええ感じになってきとったから」と活躍をたたえた。

◆阪神前川右京外野手(20)がプロ初3番で初マルチ安打と起用に応えた。打線テコ入れとして大抜てき。昼のミーティングで告げられた。「ほんまにびっくりしました」。高卒2年目の先発クリーンアップは98年の浜中以来も、堂々デビューだった。初回1死一塁。日米通算193勝の楽天田中将の低め変化球を右前に運んだ。「とてもすごい投手から打てたので、素直にうれしい。いい結果でよかった」3回1死二塁では二塁への内野安打で出塁。初のマルチ安打も放った。「だいぶ集中して入っていけたかなと思います」と初めてづくしも手応え十分だ。前川は小さい頃、「おにいちゃんにはぜったいまけへんからな」と兄夏輝さん(21)に言い続けた。「野球で実力が上だった兄に負けたくない一心でした」。ともに野球に打ち込んだが、ある日、兄から愛のムチを浴びた。「『そんな野球の感じでいいんか?』って。そこからスイッチが入った」。すぐに、硬式野球チーム「津ボーイズ」に入り、メキメキと成長。名門智弁学園に門をたたいた。大役を託されても、持ち前の負けん気の強さで爪痕を残した。仕掛け人はやはり指揮官だった。岡田監督は「前川の3番は俺が進言した。きのうヒット1本出て、(気持ちが)楽になっとるし、だいぶええ感じになってきとった」とたたえた。だが、本人は満足しない。「打ったあとの打席をもっと大事に、自分のやるべき事をしたい」。1軍定着へ、もっと打つ。【三宅ひとみ】

◆阪神岡田彰布監督(65)の打撃改造がハマり、楽天に快勝した。3番に高卒2年目の前川、6番梅野、7番ミエセスに加え、8番に小幡を2カ月ぶりにスタメンに抜てき。それぞれが持ち場で役割を全うし、好投手田中将から3年連続で白星を挙げた。指揮官の一問一答は以下の通り。-今日スタメンで使った選手がみんな打ちましたね「おう、打ったなあ。見事的中したなあ。全部俺がやってんやけどな。違うけど(笑い)。ある程度順番は。前川の3番は俺が進言したけどな」-3番というのは経験という意味で「いやいや、昨日ヒット1本出て、(気持ちが)楽になっとるしなあ。だいぶええ感じになってきとったから」-3番で結果を残すあたりは「だから、まあ8、9も左でなあ。まあ普通だったら、そんなに左を並べへんけど。むこうは(抑えの)松井1人やろ。中継ぎもなな(いない)だから、後ろはクローザーだけやから。左を並べてもワンポイントなんか絶対けえへんで。けえへんもクソも、いてないんやからなあ。左が、中継ぎが。だからもう、全部左を並べよう言うて」-捕手の打順を9番から6番にしたのは「梅野はだいぶバッティングの調子がようなってきたから。だから、前はなあ、木浪のときも8番左でなあ、1、2(番)左で、なんかあったときに梅野にバント言うとったけど。もうバントせんでええやんか。だから、どっちか言うたらお前、ポイントゲッターでなあ。それで6番入れたんや。ミエちゃんより先に」-梅野は適時打も「まあ、その前に三振しとったからのお」-佐藤輝も2本の三塁打「あそこな。今日1日、『ここだけでええぞ』言うたんやけどな。ほんまにそのとおりな。あの1本でだいたい、ヒット1本ぐらいしか出えへんねんから1試合で。ええとこで出る方がええやろ」-1本でいいと佐藤に伝えたのか「違う違う、そんなん伝えへんけど、ベンチで言うとったんや。『打つんやったらここの1本でええわ』言うて」-小幡のセーフティースクイズも成功「もうな、だから、2点な。ホームラン、ホームランで2点な返されて嫌な感じやったからやっぱりもう1点欲しかった。左でなかなか難しいけど小幡な、ちゃんとやったよな」-9回にも5点「いや、湯浅のつもりやったんよ。湯浅から加治屋になって、それで西純になったんや。そんな、あんだけ点差開いたらな」-4点差で岩崎「今日だけ使った。今日は。(湯浅は)こないだも最後延長で2アウト取ってポンと終わってればなあ、あれやったけど、その後ヒット、ヒット打たれたやろ? だからなんかこう、1回3人できちっとな、終わらしたかったよな。あのセーブつかんでもな、まあ、あんなけ点差空いたらもう、まだ連戦あるからなあ」-小幡を使うタイミングも難しかった「いやいやちょっと木浪もだいぶな、おーん、ちょっとバットも出んようなっとったし、ワンバンとかボール球振るようなってたから、ちょっとリフレッシュの意味も兼ねてな、小幡もだからあんなサヨナラ打ってからもなあ、ずっと良かったから、ちょうどなあ、昨日も負けたし、ええタイミングやなあ思たからなあ。まあそういう代役というか代わりがみんな打ちよったからなあ(笑い)」-小野寺も守備とバッティングで「まあ、守備は、あれはうまいことファンブルしてサードでアウトすること考えとったらすごいけどなあ。あれはまあ。でもその後、あれは大きかったよ、でもなあ」-西勇はアクシデントがあった「足ちょっとひねったみたい、前もなんか一回あったみたいやけどなあ。及川は次から行こかなあ思たから。まあ、ちょっと前倒しになったけどなあ。左があんだけ8人もおるから、左はいきたかったけどなあ」-西勇は大ごとではない「ああまあ、大丈夫最後普通にできとったから、足首前も何かやった言うとったけど、そんな大したことはのお、なあ、あの展開で無理さす必要もないし」-ミエセスも打った。外野のレギュラー争いが激しくなる「打ちよったなあ、あいつなあ。使わなあかんあんな打ったら、しゃーない。やっぱりあいつは代打はあかんな。ずっと言うてたんよ、この間の満塁でもなあ、何か集中力がないというか、ボケーッとしとんな代打いった時、だから4打席ある方が何か試合に入っていけるかもわからんなあ」-良い場面で打つ「ボール振らんやろあいつなあ。ほんまに。(昨オフに)取る時の映像はボールばっか振っとったけどなあ。ボール振らんからなあ。フォアボールも選ぶなあ」-ミーティングの内容をしっかり学んでいる「分からんわ、それは。何考えてるか分からへんわ、あいつは。でもちゃんとな、野球を覚えようというか、そういうのは見えるからな。研究してるまではいかんかもやけど、でもやっぱり、みんなのスイングとか配球とか見て学んでるから、あないして見送れると思うよ」

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が「日本生命セ・パ交流戦」の楽天戦で2本の三塁打を放ち、チームを勝利に導いた。3回1死満塁から走者一掃となる先制の3点適時三塁打を放つと、5回にも三塁打。楽天田中将大投手(34)を攻略した。スタンドで見守った祖父勲さん(84)、祖母美智恵さん(84)に最高の「祖父母孝行」になった。試合後、勲さんは「佐藤輝明」とプリントされたタオルを振りかざしていた。ヒーローインタビューで孫は「目の前で打ててよかった!」と言った。活躍が何よりもうれしい。勲さんは「(調子が)下向きだったからね。これをきっかけに上がっていってほしいね」と願い「オーバーフェンスが見たいね。まだ明日もあるから」と代名詞の本塁打を求めた。祖父から孫へ、アドバイスも送っていた。「もっと初球から振っていけって言ってるんだけどね」。ただ、「じいちゃんはそう言ってるんだけどね。あの子は頭かたいから(笑い)。頑固だからさ(笑い)」と苦笑い。それでも結果で応えた孫は、やっぱり頼もしい。宮城・村田町在住。2年前の仙台での交流戦も現地観戦した。スタンドから茶封筒に包んだ小遣いを渡そうとすると、「いいよ、いいよ」と照れ笑いで断られた思い出がよみがえる。「(小遣いは)今年はないよ」と勲さん。「贈り物はよく、いろいろと送ってくれる。お菓子とか、お茶が好きだから私はお茶を、家内(美智恵さん)には花なんか送ってくれるよ」。成長した孫に目を細める。「石の上にも3年じゃないけど、何とか上向きに、順調に進んでほしいなと思ってますけどね」とエールを送った。美智恵さんは「空港に降り立った時にね、メールくれたんです。空港に降りましたって。優しい子なんです。もう少し強い子になってほしいんですけども。それがプレーに出ますからね」とさらなる成長を願う。「昨日もネット裏にいたんだけど、手を挙げたら応えてくれた。喜んで帰らせてもらって」と、2人は孫の活躍に笑顔だった。

◆杜(もり)の都はパワースポット! 阪神佐藤輝明内野手(24)がマルチ三塁打でチームを勝利に導いた。3回に満塁の走者一掃となる先制3点三塁打を放つと、5回にも三塁打。楽天マー君を攻略した。6月は打率1割台と苦しむも、祖父母の住む東北の地でお目覚めだ。チームは今季最多タイの貯金18。2位DeNAとは今季最大の6・5ゲーム差となった。佐藤輝が4度、手をたたいた。三塁ベース上で喜びをかみしめる。バックネット裏の一塁側上段で見守った祖父勲さん(84)、祖母美智恵さん(84)も、何度も拍手を送ってくれた。3回1死満塁で走者一掃の3点適時三塁打。「目の前で打つことができてよかったです! うれしいです」。2人の声援を力に変えた。楽天田中将の低め149キロを片手でさばいた。ライナーで右中間を襲い、自身44打席ぶりの適時打で先制。5回にも右中間への三塁打で、プロ初の1試合2三塁打だ。日米193勝右腕とは通算9打数4安打。"マー君キラー"がチームの対田中将3年連続白星を運び、岡田監督の「対田中将連敗」を6で止めた。2年ぶりの仙台での交流戦。2年前も現地観戦した祖父母の前で、田中将から本塁打を打った。スタンドから勲さんが、茶封筒に包んだ小遣いを手渡そうとし「いいよ、いいよ」と照れ笑いで断った思い出が懐かしい。勲さんは「今年は(小遣いは)ないよ」とにっこり。代わりに「テルから贈り物を送ってくれるんだ」。勲さんにはお茶を、美智恵さんには花を、たびたびプレゼントする。高校までは宮城・村田町の祖父母宅への帰省が、佐藤家の毎年の恒例。勲さんのミットにボールを投げ込んだ日々が原点にある。離れていても、感謝の心は忘れない。勲さんからは「初球から振っていけ」とアドバイスももらっていた。「なかなか頑固だから聞かない」と笑うが、孫は結果で応えてみせた。美智恵さんとは普段からLINEでメッセージを交換。「優しい子なんです。もう少し強い子になってほしい。それがプレーに出ますからね」。思いを背負って強くなる。6月は打率1割台の男が、思い出深い「パワースポット」仙台で復活し、チームは20試合ぶりの2桁得点。2位DeNAに今季最大となる6・5ゲーム差をつけ、貯金18は今季最多タイだ。祖父から「願わくばスタンドインを」と、本塁打を求められた孫は「頑張ります!」。ヒーローインタビューで「明日も勝ちます」と宣言すると、勲さんが「佐藤輝明」とプリントされたタオルをうれしそうに振りかざしていた。【中野椋】

◆阪神及川雅貴がスクランブル登板で4奪三振の快投を見せた。6回2死一塁、先発西勇が左足首付近をひねるアクシデントに見舞われ、緊急登板。先頭鈴木大には四球を与えたが、直後の代打炭谷から4者連続で空振り三振に仕留め、今季4ホールド目を記録した。「ちょっとボールが高かったかなと思ったけど、勢いに任せた部分もある。そういう細かいところもしっかり反省していけたら」と振り返った。阪神岩崎優が18試合ぶりに失点した。4点リードの8回にマウンドへ。楽天先頭の小深田に右前打を許すと、4番浅村にも右前打。1死一、三塁で岡島に左前打を打たれて、1点を献上した。岩崎は4月2日DeNA戦(京セラドーム大阪)以来、約2カ月ぶりの失点となった。岡田監督は岩崎の8回起用理由に「(4点差以上では)今日だけ使った」と万事に備えてだと説明した。

◆阪神岡田彰布監督(65)の打撃大幅改造が見事にハマった。不振のノイジーを外し、3番に高卒2年目の前川を抜てき。状態が上がってきた梅野を6番に上げ、8番遊撃には4月7日ヤクルト戦以来2カ月ぶりに小幡を起用した。6試合ぶりに先発したミエセスも1発を放つなど、それぞれが持ち場で役割を果たし、楽天戦の快勝に貢献した。指揮官はスタメンで起用した選手の奮闘ぶりにえびす顔だ。「おう、打ったなあ。見事的中したなあ。全部俺がやってんやけどな。違うけど」とニヤリ。「ある程度順番は(決めた)。前川の3番は俺が進言したけどな」と明かした。5回の攻撃で采配がさえ渡った。4-2と2点リードの1死一、三塁で打席には小幡。初球でセーフティースクイズを試み、一塁線へ転がした。田中将がグラブで捕球しそのまま本塁へトスするも、三塁走者梅野がヘッドスライディングで捕手安田のタッチをかいくぐった。"してやったり"の笑顔をみせた指揮官は「(3回に)ホームラン、ホームランで2点かえされて嫌な感じやったから、やっぱりもう1点欲しかった。左でなかなか難しいけど小幡な、ちゃんとやったよな」と評価。今季阪神では開幕戦の3月31日DeNA戦(京セラドーム大阪)で青柳が4回に決めて以来2度目のスクイズ成功で、リードを3点に拡大させた。久々の小幡の起用について指揮官は「ちょっと木浪もだいぶな、ちょっとバットも出んようなっとったし、ワンバンとかボール球振るようなってたから、ちょっとリフレッシュの意味も兼ねてな」と説明。「小幡もあんなサヨナラ打ってからもずっと良かったから、ちょうどなあ、昨日も負けたし、ええタイミングやなあ思たからなあ。まあそういう代役というか代わりがみんな打ちよったからなあ」と笑いが止まらない。岡田監督VS田中将に限れば、オリックス監督時代を含め連敗が6でストップ。5時間超えゲーム一夜明けで臨んだ前日6日の敗戦の借りを返す会心の仙台ナイトとなった。【古財稜明】

◆途中出場した阪神小野寺暖が、バットで存在感を示した。7回の左翼守備から途中出場。9回1死二、三塁で左前へ2点適時打を放ち、これが今季初適時打となった。8回の守備では自らのミスから三進を狙った浅村を、好送球でなんとか三塁タッチアウトに仕留めた。「1本出てよかったけど、守備は反省したい」と語った。阪神ミエセスがダメ押しの4号ソロを放った。3点リードの7回に楽天津留崎の直球を捉え、中堅右へ放物線を描いた。ダイヤモンド1周時は恒例の"ギャルピース"でナインをもり立てた。10日ぶりの本塁打に背番号55は「最初の打席からいい感覚だった。これからもしっかり準備しながら、1日1日つづけていきたい」と振り返った。

◆阪神・伊藤将司投手(27)が先発する8日の楽天戦に向けてキャッチボールやショートダッシュなどで調整した。前回登板の1日の西武戦(ベルーナ)では5回5安打4失点で今季初黒星。制球面で課題を残していただけに「前回は真っすぐも変化球も全部高めでやられていたので、同じミスをしないように」と修正を誓った。プロ1年目の2021年の6月12日(前名称:楽天生命)に楽天と初対戦し、7回4安打1失点で白星を挙げており「2年前にここ(の球場)で白星をとれたので、今年も取れるように頑張ります」と語った。この日の練習前には横浜高の同級生の楽天・渡辺佳と談笑。「(試合に)出てきたらしっかり見逃し三振をとりたい」と闘志を燃やした。

◆「3番・DH」で出場した阪神・前川右京外野手(20)が一回1死一塁で迎えた第1打席でいきなり中前打を放った。田中将の138キロスプリットを捉えた。鋭い打球は二遊間を突き破り、一、二塁と好機を演出。6日の同戦でプロ初ヒットをマークした若虎が、クリーンアップで起用した岡田監督の期待に応えた。

◆阪神・前川右京外野手(20)が三回1死二塁の第2打席で、二塁強襲の内野安打を放った。一回には中前打を放っており、これでプロ初のマルチ安打をマーク。3番起用した岡田監督の采配がズバリとはまり、1死一、三塁の好機を作ると、大山は死球で満塁。佐藤輝が走者一掃の3点三塁打を放ち、阪神が先制した。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が先制の3点三塁打を放った。「打ったのはストレート。みんなで繋いで作った満塁のチャンスでしたし、まずは先制点を取りたいと思っていたので、ランナーをかえすことができてよかったです」0-0の三回1死満塁の好機。田中将の149キロ直球を捉えた。打球は右翼・小郷の頭上を越え、外野芝生を転々。快足を飛ばし、悠々と三塁へ到達した。佐藤輝は5月25日のヤクルト戦(神宮)以来の打点。祖父の勲さん(84)、美智恵さん(84)が見守った一戦でしっかりと結果を残した。

◆阪神が追加点。佐藤輝明内野手(24)がこの日2本目となる三塁打から猛虎打線がつながった。3-2の五回1死から佐藤輝が右中間を破る三塁打を放つと、梅野がしぶとく右前へ運び1点を追加。さらにミエセスの打球を三塁・小深田がファンブルし悪送球。1死一、三塁と好機を作ると、小幡が初球でセーフティースクイズを決めた。楽天ベンチはリプレー検証を要求も判定は覆らず、犠打野選で5-2。リードを広げた。

◆楽天・安田悠馬捕手(23)が「9番・捕手」で先発出場し、右翼席に3号ソロを放った。0-3、三回1死走者なし。阪神先発、西勇の2球目を引っ張った。球団広報を通じて「打ったボールは分からないです。ただ、その中でうまく反応して打つことができたのでよかったです」とコメントした。

◆楽天・辰己涼介外野手(26)が「1番・中堅」で先発出場し、右中間席に4号ソロを放った。安田悠馬の3号ソロで1-3とした三回1死走者なし。阪神先発、西勇の3球目を仕留めた。球団広報を通じて「打ったのはスライダー。ここから地道にあげていきたいと思います」とコメントした。今江打撃コーチは、安田との連弾について「3点を先制されたが、2点をすぐに返せたのは大きいですね。まずは次の1点を相手よりも早くとっていきたいです」と明かした。

◆阪神の先発・西勇輝投手(32)がアクシデントで降板した。5-2で迎えた六回2死一塁。鈴木大に対して、この日の89球目を投じた直後だった。体勢を崩してマウンドに倒れ込む。投球時に左足をひねったとみられ、負傷交代となった。投球練習後は自力で歩いてベンチへと引き揚げた右腕。5回2/3を投げ8安打2失点の粘投で今季3勝目の権利は手にしている。西勇の後を受け、2番手として及川が緊急登板。鈴木大に四球を与え2死一、二塁のピンチを背負ったが、代打・炭谷を空振り三振に仕留め、無失点で切り抜けた。

◆阪神、ヨハン・ミエセス外野手(27)が七回に豪快な4号ソロを放った。3番手・津留崎の初球、149キロ直球を一閃。白球はバックスクリーン右で弾んだ。ミエセスは5月28日の巨人戦(甲子園)以来の一発。恒例となったピースポーズでさっそうとダイヤモンドを一周した。

◆楽天の田中将は今季最多の4四死球を与えるなどぴりっとせず、5回を8安打5失点(自責点4)で降板した。一、二回のピンチは切り抜けたが、0―0の三回に2四死球と安打で1死満塁を招くと、5番佐藤輝に走者一掃の三塁打を浴びた。2―3の五回も1死から佐藤輝に三塁打を許したことをきっかけに、守りのミスも絡んで失点を重ねた。前回登板は7回を4安打1失点で約1カ月半ぶりの白星をマーク。「いいきっかけにして、こういう投球を続けていくことが一番大事」と話していたが、今回は三者凡退が一度もない不本意な登板となった。

◆阪神が逃げ切った。打線は三回1死満塁の好機で佐藤輝明内野手(24)が、走者一掃の三塁打を放って3点を先行。佐藤輝は五回にも三塁打を放って祖父母が観戦に訪れた仙台で躍動すると、七回にはミエセスが4号ソロを放ち、突き放した。先発した西勇は、5回2/3を投げ、8安打2失点。89球目を投じた際に体勢を崩し、アクシデントで負傷交代となったが、代わってマウンドに上がった及川が後続を断ち、七回は3者三振で切り抜けた。八回は岩崎が1点を失うも、味方の守備にも助けられてリードを守る。最後は西純が締めた。阪神は貯金を今季最多タイの18に戻し、2位DeNAが敗れたため、ゲーム差を今季最大の6・5に広げた。

◆阪神が今季3度目の2桁得点で快勝。楽天・田中将大投手(34)を攻略した。三回1死満塁、佐藤輝明内野手(24)の自身11戦ぶりの適時打で3点を先取。五回は梅野隆太郎捕手(31)の適時打と4月7日のヤクルト戦(神宮)以来のスタメンとなった小幡竜平内野手(22)のスクイズで加点した。七回にはヨハン・ミエセス外野手(27)が4号ソロ、九回には5点を挙げた。スタメン落ちのシェルドン・ノイジー外野手(28)に代わって「3番・DH」に入った前川右京外野手(20)はクリーンアップデビューを初のマルチ安打で飾った。3勝目(4敗)を挙げた西勇輝投手(32)は六回2死一塁からの投球の際に転倒し、降板した。DeNAと今季最大の6・5差とした岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(成績=35勝17敗2分、観衆=1万7168人)。ーースタメン起用の選手が打った「打ったなあ。見事的中したなあ。全部俺がやってんやけどな。違うけど(笑)。ある程度順番は。前川の3番は俺が進言したけどな」ーー3番は経験という意味で「昨日(6日)ヒット1本出て楽になっとるしな。エエ感じになってきとったから」ーー結果を残すあたりは「8、9も左でなあ。普通だったら、そんなに左を並べへんけど。むこうは松井一人やろ。クローザーだけやから。左を並べてもワンポイントなんか絶対けえへんで。けえへんもクソも、いてないんやからなあ。左が、中継ぎが。だから全部左を並べよう言うて」ーー捕手を9番から6番にしたのは「梅野はだいぶバッティングの調子がようなってきたから。どっちか言うたらポイントゲッターで、6番入れたんや。ミエちゃんより先に」ーー佐藤輝も2本の三塁打「今日一日、ここだけでエエぞ言うたんやけどな。ホンマにその通り。ヒット一本ぐらいしか出えへんねんから1試合で。エエとこで出る方がエエやろ」ーー一本でいいと佐藤輝に伝えた「違う違う、そんなん伝えへんけど、ベンチで言うとったんや。打つんやったら、ここの一本でエエわ言うて」ーー小幡のセーフティースクイズも成功「ホームラン、ホームランで2点返されて、嫌な感じやったから、もう1点欲しかった。左でなかなか難しいけど小幡は、ちゃんとやったよな」ーー九回にも5点「湯浅のつもりやったんよ。湯浅から加治屋になって、それで西純になったんや。そんな、あんだけ点差開いたらな」ーー4点差で岩崎「今日だけ使った。今日は。1回を3人できちっと終わらしたかったよな。あんなけ点差空いたらもう、まだ連戦あるからなあ」ーー小幡を使うタイミングも難しかった「木浪もバットも出んようなっとったし、ワンバンとかボール球振るようなってたから、リフレッシュの意味も兼ねてな、小幡もサヨナラ打ってから、ずっと良かったから、昨日も負けたし、そういう代役というか代わりがみんな打ちよったからなあ(笑)」ーー西勇は「足捻ったみたい。前もなんか一回あったみたいやけどなあ。及川は次から行こかなあと思ったから、前倒しなったけどな」ーー西勇は大事には至らない「大丈夫。最後普通にできとったから、あの展開で無理さす必要もない」ーーミエセスも打った。外野のレギュラー争いが「打ちよったなあ、アイツな、使わなアカン。あんな打ったら、しゃーない。アイツは代打はアカンな。ずっと言うてたんよ。集中力がないというか、ボケーッとしとんな代打いった時、だから4打席ある方が試合に入っていけるかもわからんな」ーーいい場面で打つ「ボール振らんやろ。ホンマに」ーーミーティングの内容をしっかり学んでいる「何考えてるか分からへんわ、アイツ。でも野球を覚えようというか、そういうのは見えるからな。研究してるまではいかんかもやけど、みんなのスイングとか配球とか見て学んでるから、あないして見送れると思うよ」

◆現役時代は阪神、南海で活躍し、引退後は阪神で投手コーチやフロントでも尽力したサンケイスポーツ専属評論家の上田二朗氏(75)は五回の阪神・小幡竜平内野手(22)のスクイズなど、〝オカダ野球〟がフルに発揮された試合だと評価した。岡田監督の野球がフルに発揮された試合だったし、同時に選手たちが岡田野球をしっかり理解していると感じた試合でもあった。この試合でいえば五回。1死から梅野のタイムリーで1点を追加した直後に、ミエセスは三ゴロ失で一、三塁。ここで小幡には初球にセーフティースクイズ。まさに相手のミスに付けこむ野球だ。作戦に応えてスクイズを決めた小幡、三塁走者の梅野も立派だった。岡田野球の浸透を感じたシーンだ。不調のノイジーをスパッと外すところも岡田監督らしい。はっきり言葉に出すから、選手は「結果を出さなければ外される」と危機感を抱き、同時に「結果を出せば使ってもらえる」と意気に感じる。ノイジーに代わって3番に据えたのが前川。この打線の組み方もいかにも岡田流だし、与えられたチャンスで2安打した前川はよく打った。この逸材を、将来的にはDHではなく、守備に就かせて、セ・リーグの戦いの中で成長させてもらいたい。6番に打順が上がった梅野がタイムリー、9番に起用した島田も2安打。すべてうまく回転していた。不振の外国人を外すのは、当たり前のようで、意外に即決できる監督は少ない。岡田という監督はそれができる。チーム内競争を活性化させている手腕もお見事。拍手を送りたい。

◆5月31日の西武戦(ベルーナ)以来、6試合ぶりに先発したミエセスが終盤に4号ソロを放ってリードを広げた。「ベンチでしっかり投球を見ていた。狙い球を絞っていこうと思っていた」。七回2死で3番手・津留崎が投じた初球の真っすぐをバックスクリーン右へと運んだ。本塁打はすべてスタメン出場した試合で記録しており、岡田監督も「(代打起用より)4打席ある方が何か試合に入っていけるかもわからんなあ」とニヤリと笑った。

◆「8番・遊撃」で4月7日のヤクルト戦(甲子園)以来の先発出場の小幡が躍動した。4-3の五回1死一、三塁では初球を絶妙なセーフティースクイズ。相手野選を誘い、貴重な追加点を挙げると「何となくあるかなと。一発で決められたのがすごく大きかった」と胸を張った。2安打1打点と結果を残し、岡田監督は「小幡もサヨナラ(3日、ロッテ戦、甲子園)打ってからもなあ。ずっと良かったから」と笑顔だった。

◆西勇はアクシデントに見舞われながらも、5回?を8安打2失点。何とか踏ん張って試合を作り、3勝目をつかんだ。「チームが勝ったことが一番。ゲームメークできたけど、投げ切りたかった」3―0の三回に2者連続被弾で1点差とされたが、以降は修正した。しかし、六回2死一塁で迎えた鈴木大への初球で左足を踏み外して足首をひねった。ベンチに下がってそのまま降板となり「あの回、及川に急遽(きゅうきょ)いってもらって本当に申し訳ない」と後輩に頭を下げた。岡田監督は「あの展開で無理さす必要もない」と説明し、西勇も「(左足首は)全然大丈夫」と問題なしを強調した。次回も予定通り、中6日で14日のオリックス戦(甲子園)に向かう予定だ。(織原祥平)

◆フラフラと舞い上がった打球は右前にポトリと落ちた。3-2の五回1死三塁。梅野がチームにとって貴重な4点目となる適時打で、6番起用に応えた。「テル(佐藤輝)が、いい形で三塁に行ってくれたし、あの打席はという思いで(打った)」1-1からの3球目、田中将の投じた内角高めのツーシームを強振。決して当たりはよくなかったが「結果が出るのも、しっかり振り切れているから。本当にやり返せてよかった」と笑顔を浮かべた。さらに三塁に進むと、小幡のスクイズで本塁に頭から突入。捕手のタッチを絶妙に避ける好走塁で5点目を奪った。九回1死一塁からは左翼フェンス直撃の二塁打で5得点の口火を切った。交流戦に入ってからは打率・368(19打数7安打)、3打点。岡田監督は「バッティングの調子がようなってきたから」とうなずいた。打撃の調子が良くなれば、リードやインサイドワークもさえわたるのが梅ちゃんだ。乗ってきた扇の要が猛虎の進撃を支える。(三木建次)

◆力強いスイングで鋭い打球を弾ませ、阪神・前川右京外野手(20)がつかみ取ったチャンスに結果で応えた。「3番、DH・前川」。プロ初安打を放った翌日に、クリーンアップに名を連ねても動じない。2安打で役割を果たした。「打てるところをしっかり打つということで、ある程度(狙いの)幅を絞った中で、いい結果が出たので良かった」一回の第1打席から、自慢の打力を発揮した。1死一塁で田中将のスプリットを捉え、二遊間を破って中前へ。三回は1死二塁で真ん中付近のツーシームを見逃さず反応した。二塁内野安打で好機を拡大し、佐藤輝の3点三塁打を呼び込んだ。日米通算193勝の右腕攻略に貢献し「とてもすごいピッチャーから打てたので、うれしかった」。クリーンアップとして、十分過ぎる見せ場を作った。20歳0カ月での3番起用は1967年の藤田平の19歳11カ月に次ぐ年少出場だ。先人は阪神の生え抜きで初めての通算2000安打を達成し、名球会入りを果たしたレジェンド。56年ぶりに迫ったところからも期待値の高さがうかがえる。高卒2年目では1998年の浜中治以来。前日6日にプロ初安打を放ったばかりだったが、岡田監督は「きのうヒット1本出て、(気持ちが)楽になっとるしなあ。おーん。だいぶええ感じになってきとったから」と理由を明かした。

◆今年もマー君撃ちで孝行や!! 阪神は楽天に11―3で快勝。佐藤輝明内野手(24)が、三回1死満塁での走者一掃を含む2打席連続の三塁打を放ち、チームを覆う重苦しいムードも吹き飛ばした。大好きな祖父母が住む宮城は第2の故郷。8日も大暴れ締めで首位独走の猛虎をさらに加速させる。杜の都は不思議な力をくれる。低く放たれた弾道に、佐藤輝は2度、三塁まで走った。2年前と同じように、日米通算193勝の田中将を撃ち、マイク越しに伝えた感謝の言葉。観戦に訪れた祖父母の前で、最高の結果を届けた。「チャンスだったので積極的にいこうと思ってスイングしました」0-0で迎えた三回1死満塁の好機。「いい投手なのでしっかり振っていこうと思っていた」。149キロ直球を振り抜くと、白球は右翼・小郷の頭上を越える。走者一掃の三塁打。5月25日のヤクルト戦(神宮)以来の打点に拳を握った。五回1死では141キロスプリットを捉えた。低く鋭い打球はあっという間に右中間を突き破る。快足を飛ばして再び三塁へ。続く梅野の適時打で4点目のホームを踏んだ。同じ仙台で、ルーキーイヤーにマー君からアーチを架けたときのような熱狂を再現し、ヒーローインタビューでスタンドを見上げた。「うれしいです。(祖父母の)目の前で打つことができて良かった」宮城県に住む祖父の勲さん、祖母の美智恵さん(ともに84)がバックネット裏で孫の雄姿を見守った。佐藤輝にとっていつも以上に気合が入る3連戦。2人はいつでも、どこでも味方でいてくれる最高で最強の応援団だ。

◆阪神には村神様が...。一方、対する楽天にはかつて「マーくん、神の子...」とノムさん(野村克也氏)がたたえた本日の先発・田中将大がいるけど、ホントの神様はわが阪神の岡田監督じゃねーのか!?だって、前日6日にプロ初安打を放った高卒2年目の前川をいきなり3番に起用ってありまっか~!? で、その前川が2安打ってアレアレアレ~とありまっか!? さらにルーキー森下と6番併用で起用しているミエセス(この日は7番)がキチンと一発!! 木浪の控えにまわっていた小幡が五回に見事な初球スクイズを決めるわ、2安打するわ! 同じく控えにまわることの多い島田も2点三塁打を含む2安打! おまけに途中出場の若虎・小野寺が左前へ2点打、そしてちょっと悩める佐藤輝が三回満塁で走者一掃の三塁打!!(ちなみに佐藤輝は3安打連続で三塁打なのだ) その上、先発の西勇は5回?を8安打、2本塁打を浴びても倒れない『パンチマシン投法』で勝利投手となったのだ!!やることなすこと全てがハマる、今季の岡田采配...。最後に大阪名物の大オチだけはやめたってー!!

◆仙台駅から、あおば通りの木漏れ日に癒されながら歩いて西へ。この地に来ると、つい口ずさんでしまうのだ、あの名曲を。青葉城恋唄です。やがて、広瀬川を渡って、ちょっぴり急な坂道を登っていくと、そこに青葉城址が。かの有名な独眼竜・伊達政宗公の銅像が立っている。いつ見てもカッコいい。スマホでパシャリ。以前にも撮ったっけ?! 何枚目やねん!以上、思い出話です。仙台へ行くと、ついついワンパターンを繰り返していたなぁ。遠く離れて編集局内で書いているだけで、♪広瀬川...と歌いたくなる。そんな散歩をしたのかなぁ? トラ番・原田遼太郎に尋ねたら、「朝から働いてますよ」と笑われてしまった。「中野選手が母校・東北福祉大で表彰されたので、行ってきました」仙台駅からJRに揺られて4駅目。その名の通り「東北福祉大前」という駅の改札を抜け、さってどっちかな?と思ったら、学生さんがみんな同じ方向へ向かう。ちょうど登校時間だった。「彼らについて行けばいいんだ! 歩きながら、懐かしい学生時代を思い出してました」都の西北の、かの有名な大学を卒業した原田。ちょっぴり青春気分を味わってのWBC戦士取材になったようだ。「世界一に輝いた記念のユニホームを寄贈したんですが、学校側の方が〝秘話〟を明かしてくれました」

DAZN

<交流戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(2↑)
ソフトバンク
530 0.625
(↑0.054)
-
(↓1)
1035
(+4)
26
(-)
4
(+1)
2
(-)
0.259
(↑0.004)
3.040
(↑0.44)
1
(-)
ORIX
530 0.625
(↓0.089)
0
(-)
1027
(-)
19
(+10)
2
(-)
3
(-)
0.231
(↓0.007)
1.950
(↓0.84)
3
(1↓)
ヤクルト
430 0.571
(↓0.096)
0.5
(-)
1132
(-)
23
(+6)
5
(-)
1
(-)
0.266
(↓0.025)
3.450
(↓0.51)
3
(4↑)
阪神
431 0.571
(↑0.071)
0.5
(↓1)
1032
(+11)
28
(+3)
4
(+1)
4
(-)
0.226
(↑0.022
3.040
(↑0.14)
5
(3↑)
西武
440 0.500
(↑0.071)
1
(↑1)
1024
(+2)
23
(+1)
5
(+1)
7
(-)
0.215
(↓0.002)
2.440
(↑0.22)
5
(2↓)
DeNA
440 0.500
(↓0.071)
1
(-)
1031
(-)
26
(+4)
3
(-)
1
(-)
0.265
(↓0.013)
2.710
(↑0.06)
5
(2↓)
日本ハム
440 0.500
(↓0.071)
1
(-)
1029
(-)
20
(+1)
11
(-)
3
(-)
0.264
(↓0.015)
2.380
(↑0.19)
5
(3↑)
巨人
440 0.500
(↑0.071)
1
(↑1)
1030
(+10)
30
(-)
10
(+2)
3
(-)
0.272
(↑0.018)
3.800
(↑0.55)
5
(2↓)
中日
440 0.500
(↓0.071)
1
(-)
1024
(+1)
33
(+2)
4
(-)
6
(+4)
0.243
(↑0.001)
3.610
(↑0.19)
5
(3↑)
広島
440 0.500
(↑0.071)
1
(↑1)
1016
(+1)
26
(-)
3
(+1)
4
(-)
0.198
(↓0.014)
3.210
(↑0.48)
11
(1↑)
ロッテ
251 0.286
(↑0.119)
2.5
(↑1)
1029
(+6)
36
(-)
9
(+1)
4
(-)
0.224
(↑0.012)
4.180
(↑0.57)
11
(-)
楽天
250 0.286
(↓0.047)
2.5
(-)
1122
(+3)
41
(+11)
5
(+2)
4
(+1)
0.252
(↑0.011
5.460
(↓0.79)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
35172 0.673
(↑0.006)
-
(-)
89221
(+11)
159
(+3)
30
(+1)
27
(-)
0.249
(↑0.003
2.700
(↑0.02)
2
(-)
DeNA
28231 0.549
(↓0.011)
6.5
(↓1)
91209
(-)
192
(+4)
44
(-)
9
(-)
0.263
(↓0.002)
3.460
(↑0.02)
3
(-)
広島
28260 0.519
(↑0.01)
8
(-)
89181
(+1)
182
(-)
36
(+1)
24
(-)
0.241
(↓0.003)
3.100
(↑0.06)
4
(-)
巨人
27280 0.491
(↑0.01)
9.5
(-)
88207
(+10)
225
(-)
62
(+2)
14
(-)
0.253
(↑0.003)
3.980
(↑0.07)
5
(-)
ヤクルト
21312 0.404
(↓0.008)
14
(↓1)
89192
(-)
218
(+6)
48
(-)
28
(-)
0.234
(↓0.002)
3.780
(↓0.05)
6
(-)
中日
21330 0.389
(↓0.007)
15
(↓1)
89147
(+1)
182
(+2)
22
(-)
16
(+4)
0.240
(-)
2.940
(↑0.02)

<パ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ORIX
31222 0.585
(↓0.011)
-
(-)
88210
(-)
170
(+10)
40
(-)
21
(-)
0.258
(↓0.002)
2.880
(↓0.1)
2
(-)
ロッテ
27203 0.574
(↑0.009)
1
(↑1)
93182
(+6)
155
(-)
33
(+1)
29
(-)
0.235
(↑0.002)
2.930
(↑0.05)
3
(-)
ソフトバンク
28212 0.571
(↑0.008)
1
(↑1)
92182
(+4)
168
(-)
31
(+1)
23
(-)
0.243
(↑0.001)
3.120
(↑0.06)
4
(-)
日本ハム
25310 0.446
(↓0.009)
7.5
(-)
87184
(-)
181
(+1)
43
(-)
29
(-)
0.227
(↓0.001)
2.870
(↑0.03)
5
(-)
西武
23301 0.434
(↑0.011)
8
(↑1)
89155
(+2)
181
(+1)
37
(+1)
35
(-)
0.231
(-)
3.020
(↑0.04)
6
(-)
楽天
19311 0.380
(↓0.008)
10.5
(-)
92151
(+3)
208
(+11)
42
(+2)
40
(+1)
0.215
(↑0.002
3.570
(↓0.12)