阪神(☆2対1★)巨人 =リーグ戦6回戦(2023.05.26)・阪神甲子園球場=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
巨人
0010000001700
阪神
00000020X2710
勝利投手:桐敷 拓馬(1勝0敗0S)
(セーブ:岩崎 優(2勝0敗9S))
敗戦投手:鈴木 康平(0勝1敗0S)
  DAZN
チケットぴあ 阪神戦チケット予約 巨人戦チケット予約
◆阪神が6連勝。阪神は1点ビハインドの7回裏、森下の適時打と木浪の犠飛で2点を挙げ、逆転に成功する。投げては、先発・桐敷が7回1失点10奪三振の力投でうれしいプロ初勝利。敗れた巨人は、先発・横川が好投を見せるも、打線が7安打1得点とつながりを欠いた。

◆右腕コンディション不良で2軍調整していた阪神湯浅京己投手(23)が、1軍に合流し出場選手登録された。試合前練習後には「自分はもともと、これぐらいからいくつもりだった。予定が早まったという感覚はないですし、しっかり準備してきたので、チームの力になれるように頑張ります」と力強く話した。2軍戦で3試合計3イニングを投げ、コンディションは「万全です」と言い切る。「シーズン最後までを見据えて、1軍のシーズン中だったらできないことをやってきた。今すぐどうこうとかはないと思いますけど、シーズンを通して状態もボール自体も落ちないように、しっかりやっていきたい」とうなずいた。試合前には巨人大勢と談笑。WBCで共闘した同学年の親友から「俺に会いたいからここで上がってきたんやろ」と、愛あるイジりを受けた。虎の背番号65は「『そう』って言っておきました」とニヤリ。この日発表された、球宴ファン投票の第5回中間発表では、大勢と3396票差の2位。ここから挽回し、ライバルを逆転してのファン投票1位も見据える。昨季最優秀中継ぎ賞に輝きブレークした右腕は、3月のWBCで侍ジャパンの一員として世界一奪還に貢献。帰国後も、開幕から守護神としての起用に応えるため、調整を続けた。3月31日のDeNAとの開幕戦(京セラドーム大阪)で今季初セーブをマークすると、7試合で5セーブ、防御率0・00。右腕の不調を訴え、4月16日に出場選手登録を抹消された。岡田監督は「ちょっと楽な(場面)なあ。7回とか6回ぐらいに」と、いきなりの守護神起用は避ける方針。湯浅は「任されたところでしっかり準備して自分の力を出すだけ」と意気込んだ。

◆巨人が超重量打線を首位阪神にぶつける。前夜のDeNA戦に続き、4番岡本和真内野手を左翼で起用。右太もも裏肉離れから復帰した中田翔内野手が6番に入り、打線の厚みはリーグ屈指のボリュームを誇る。先発は甲子園初登板の横川凱投手が、大阪桐蔭時代以来の聖地を踏む。

◆この日の試合は「伝統の一戦~THE CLASSIC SERIES~」として開催され、両軍が「伝統の一戦」の起源とされる、1リーグ初年度1936年(昭11)のユニホームをモデルにした復刻ユニホームを着用する。昨年は阪神がグレーのビジター用、巨人がホームの白だったが、今季は逆となる。阪神は白地に薄いタテジマが入った「大阪タイガース」のホーム用で戦い、巨人はグレー基調になる。同プロジェクトは16年から両球団で実施しているもの。この日からの甲子園3連戦、8月8日からの東京ドーム3連戦で着用する。

◆ジャイアンツ女子チームの島野愛友利(あゆり)投手(19)が、「伝統の一戦」の始球式に打者として登場した。阪神タイガースWomenの植村美奈子投手-安藤蓮姫捕手のバッテリーとともに、試合前から盛り上げた。島野は2年前に神戸弘陵で、女子野球では初めて甲子園で行われた全国高校女子選手権決勝戦で優勝。「高校生の時は無観客で、観客も少ない中だったんですけど、今回、伝統の一戦のお客さんの前で、もう1度立たせていただいて、あらためて甲子園は良い場所だなと思いました」と実感した。女子野球では両チームが交流戦で、7月22日に甲子園、同29日に東京ドームで対戦を予定。第2の「伝統の一戦」を繰り広げる。

◆巨人中山礼都内野手(21)が連日の"熱唱円陣"で爆笑を誘った。試合前の円陣でナインの輪の中心に座ると、またしても小林にマイクを手渡された。中山はすかさず「今日はどうしても聴いて欲しい曲があります。聴いてください」と自ら前フリ。坂本の登場曲でもあるmaabooの「カンジルママニ(#6 ver)」を歌い上げた。「空に描いた~放物線が~輝く笑顔に届くように~」と力いっぱい歌う姿に、隣で見守った坂本も思わず笑顔を浮かべた。前日25日のDeNA戦(東京ドーム)前にもエレファントカシマシの「俺たちの明日」大熱唱。連日の美声でナインを盛り上げた。

◆巨人ルイス・ブリンソン外野手(29)がアクシデントにもめげずにがっちり捕球した。1点リードの4回2死一塁、阪神大山の左中間への大きな飛球を中堅から全力で追いかけた。慣れない左翼守備につく岡本和が捕球体勢に入るも、ブリンソンがジャンピングキャッチ。その際に岡本和のグラブが顔面にぶつかり顔を抑えて痛がった。一時甲子園は騒然となるも、ボールを離さなかったブリンソンのガッツにファンから拍手が送られた。

◆巨人中田翔内野手(34)が5回に代走を送られ、お役御免の交代となった。先頭の打席で右前へ運ぶと、すぐに代走・丸佳浩外野手(34)に代わり退いた。右太もも裏肉離れから復帰2戦目で、大事を取っての早々の交代に甲子園は騒然とした。丸の代走は、広島時代の12年4月以来、11年ぶりとなった。

◆今季1軍初登板初先発の阪神桐敷拓馬投手(23)が、プロ入り自己最長となる7回を投げ、同最多10奪三振、1失点で先発の仕事を果たした。3回に巨人坂本の左翼への適時打で先制点を献上したものの、140キロ後半の直球を軸に踏ん張った。6回2死一、二塁のピンチで5番大城卓を投ゴロに打ち取り、グラブを力強くたたいた。7回は3者凡退。球数が100球に迫っても勢いは衰えなかった。好投を続けていると7回裏の攻撃で、チームは2得点し逆転に成功。桐敷は代打を送られ、勝利投手の権利を持ってマウンドを降りることになった。21年ドラフト3位で新潟医療福祉大から入団した左腕。昨季は7試合に登板し勝ち星を挙げることができず、3敗を喫していた。昨年7月7日広島戦(甲子園)以来の1軍登板で実力を発揮。5連勝中のチームの勢いに乗り、93球の熱投で甲子園を沸かせた。

◆阪神ドラフト1位森下翔太外野手(22)が、値千金の同点打を放った。打線が巨人が先発横川の前に沈黙。6回まで無得点だったが、7回に2番手鈴木が登板すると流れが変わった。1死から大山が死球、佐藤輝が左前打でつないだ。1死一、二塁で迎えた第3打席。初球から134キロを左前にはじき返し、二塁走者大山が生還。1-1の同点に追いついた。先発桐敷拓馬投手(23)が7回まで1失点の好投。見殺しにするわけにはいかなった。ベンチ前でキャッチボールしていた桐敷は、森下に向かって左手を突き上げていた。

◆右腕コンディション不良から復活し、この日1軍昇格した阪神湯浅京己投手(23)が、2番手で登板した。4月13日巨人戦以来、43日ぶりの1軍登板。2点を奪い逆転に成功した7回にマウンドに上がった。先頭の代打梶谷を151キロの高め直球で空振り三振。続く1番吉川を1球で三ゴロに仕留めた。2番坂本には四球、3番秋広には右前打を許し2死一、二塁とされたものの、侍ジャパンのチームメート4番岡本和真を中飛に仕留め、ゼロで切り抜けた。昨季最優秀中継ぎ賞に輝きブレークした右腕は、3月のWBCで侍ジャパンの一員として世界一奪還に貢献。帰国後も、開幕から守護神としての起用に応えるため、調整を続けた。3月31日のDeNAとの開幕戦(京セラドーム大阪)で今季初セーブをマークすると、7試合で5セーブ、防御率0・00。右腕の不調を訴え、4月16日に出場選手登録を抹消された。岡田監督は「ちょっと楽な(場面)なあ。7回とか6回ぐらいに」と、いきなりの守護神起用は避ける方針を示していた。湯浅は「任されたところでしっかり準備して自分の力を出すだけ」と意気込んでいた通り、「8回の男」として快投。プロ初勝利がかかった先発桐敷のため、必死に腕を振った。頼もしい右腕が、首位を走る虎に帰ってきた。阪神湯浅の復帰過程4月16日 右腕コンディション不良で登録抹消。4月18日 鳴尾浜球場でリハビリ開始。4月25日 鳴尾浜球場でネットスロー再開。4月26日 鳴尾浜球場でキャッチボール再開。5月6日 ブルペンで捕手を座らせての投球を再開。力感は「最後は7割くらいで投げました」。17日 ウエスタン・リーグ中日戦(ナゴヤ)で実戦復帰。先発で1回を3安打2失点。岡田監督が視察し、昇格について「日にちは決めていない」と説明。20日 ウエスタン・リーグのオリックス戦(東大阪)で2度目の実戦登板。1回を3者凡退。24日 独立リーグ、ベイサイドリーグ選抜との練習試合に登板し、1回無失点。26日 1軍に登録。即1軍登板。

◆テルの足! 阪神佐藤輝明内野手(24)が、快足を飛ばして1点をもぎ取った。7回1死一塁で巨人鈴木康から左前打を放ち、チャンス拡大。その後、森下の適時打で同点とすると、1死満塁で木浪の打席の場面だった。左翼へのフライを打ち上げると、三塁走者佐藤輝はタッチアップで生還。間一髪で勝ち越し点をゲットした。今季リーグトップタイ5盗塁を決めている男が、足で存在感を発揮した。

◆阪神2年目の桐敷拓馬投手(23)が今季初登板で先発し、7回5安打1失点、毎回の10三振を奪う快投でプロ初勝利を手にした。初回からエンジン全開だった。巨人1番吉川への初球。149キロ直球でストライクを奪い、最後はフォークで空を切らせた。2番坂本を左飛、3番秋広は140キロのフォークで空振り三振。グラブを思い切りたたいて闘志をむき出しにした。3回に1点を失ったが、その後得点圏に走者を置いたのは6回2死一、二塁のみという安定した投球を続けた。打線が0-1の7回に2点を奪って逆転。勝利投手の権利を手にしてマウンドを下りた。"4度目の正直"だった。プロ1年目の昨季は春のキャンプからアピールして開幕ローテ入り。ただ、先発3試合で結果を出せず、2軍に降格した。「悔しい1年になった。来季に向けて本当にやっていかなきゃいけない」。そう誓った今季も開幕2軍スタート。必死に投球を見つめなおした。5月18日の2軍中日戦(ナゴヤ)に先発し、8回を5安打2失点と好投。右腕のコンディション不良から調整登板に入った湯浅の視察に訪れた岡田監督の目に留まり、数少ないチャンスに手に入れた。青柳の代役を任された背番号47が、チームを6連勝に導き仕事を全うした。【三宅ひとみ】

◆巨人が今季6度目の「伝統の一戦」で逆転負けを喫し、連勝は2でストップした。先発の横川凱投手はロッテ藤原、中日根尾、日本ハム柿木らとともに春夏連覇を果たした大阪桐蔭時代以来、1744日ぶりで、プロ入り後は初めての甲子園のマウンドで躍動した。テンポ良く緩急を使った丁寧な投球で、阪神打線を手玉に取った。6回3安打無失点、6奪三振で二塁を踏ませない好投を披露した。1点リードの6回には先頭木浪に安打を許すも、続く桐敷のバントを好フィールディングで二塁進塁を阻止して、ピンチの芽を摘んだ。3回には2死三塁から2年目左腕の桐敷から坂本が左越えの先制適時打。二塁はタッチアウトとなったが「先制点をとることができてよかったです」と横川を援護した。しかし若き左腕に勝ち星をつけることはできなかった。トレードで加入後4試合目の登板となった鈴木康が7回1死から一、二塁のピンチを招くとルーキー森下に左前適時打を浴びて同点に追い付かれた。さらに梅野に左前打を許して1死満塁となったところで降板。3番手高梨が木浪に左犠飛を打たれて勝ち越された。8回には復帰後初登板の湯浅から2死一、二塁のチャンスを作るも、岡本和が中飛に倒れて無得点。9回を岩崎に封じられ、好調の首位阪神を相手に3連戦初戦を落とした。

◆交流戦前首位を決めている阪神が、巨人に逆転勝ちし、連勝を6に伸ばし、今季最多の貯金15とした。2位DeNAが敗れたため、ゲーム差も今季最大の5に広げた。3回、巨人坂本勇人内野手(34)の適時打で1点を先制された。阪神は巨人先発横川凱投手(22)に6回まで無得点と抑えられていたが、7回から登板した2番手の鈴木康平投手(29)を捉えた。1死から大山悠輔内野手(28)が死球で出塁し、佐藤輝明内野手(24)も安打で続いて一、二塁。この好機でドラ1新人・森下翔太外野手(22)が同点適時打を放ち、さらに救援した左腕高梨雄平投手(30)から木浪聖也内野手(28)が勝ち越しの犠飛を放った。この日1軍に復帰した湯浅京己投手(23)が8回に登板し1回無失点。今季初登板の先発桐敷拓馬投手(23)は自己最長の7回を投げ、10奪三振1失点と力投。待望のプロ初勝利を挙げた。

◆阪神が巨人に逆転勝ちし今季2度目の6連勝。貯金を今季最多の15とした。2位DeNAが敗れ、ゲーム差は5に広がった。先発のプロ2年目左腕・桐敷拓馬投手(23)は7回1失点でプロ初勝利を挙げた。試合後の岡田彰布監督(65)の一問一答は以下の通り。【テレビインタビュー】-1点差。しびれるゲームでした「そうですね。なかなかちょっと。今日は(横川とは)2回目なんですけどね。でも、なんか...あのグラブですかね。なんか全然タイミングが合わなくてね。まあ、(先発の)桐敷が辛抱していけば、後半いけるかなあというのはあったんですけどね、はい」-桐敷はどうだったか「いや、あんまり調子がよくないというね。試合前のね、ブルペンの(報告だった)ね。まあストレートがよかったと聞いていたんで。ストレートでどんどん押していったと思うんですけど、まあ尻上がりにね、変化球がよくなって。まだ次の回もね、同点だったらいくつもりだったんでねはい」-今日も打線の集中力がすごいですよね「それ(6回)まで3本かな。だから、そうですね。あそこ1アウトからですけど、大山が出たら、なんとか後ろがつなぎそうなね。みんな桐敷が勝ってなかったのはわかっていたみたいなんで。なんとか桐敷に勝ち星をつけてやろうという、そういうのがあったんで、最後、木浪も左だったですけどね、ほんと最低限の仕事をしましたね」-7回に巨人は横川から鈴木に代わった「そうですね、もう1人出したら代打くるかなと思ったけど、たぶんあそこで代わるだろうと思ってたので。まだ3イニングあったのでチャンスあるなと思ってましたけど」-湯浅が久々に登板「(2軍で)あと1、2戦あってね、今日も厳しい場面じゃなしに、ちょっと楽な場面でいかそうと思ったけど、7回、8回にね。打順は9番からやったんですけど、ね、あと1、2点あったらもうちょい楽に投げられてたと思うけど、厳しい場面になったけどなんとか抑えてくれて良かったですね」-湯浅は守護神ではなく、もうしばらく中継ぎで「そうですね、本当は今日ファームで投げてあげるつもりだったんだけど、まあ、いろんなあれがあったんで。とにかくゼロでいけたいうのは大きかったと思いますね」-貯金が今季最多15「これも積み重ねなんで、まあ、こんなうまいこといくことはこれから先ないと思うんだけど。まあ、とにかくそら相手もいることだから負けることもあると思うんだけど、それを何とかね、少なく、あんまり連敗しないようにね。先発ピッチャーが頑張ってくれてるんで、そういう意味では助かりますね」-交流戦まであと2試合「もうね、明日明後日は元気なピッチャーがいてるんで、ちょっと安心して交流戦を迎えたいですね」【ペン囲み】-桐敷は予想を上回る内容「ああ、予想上回ったな。神宮の時(24日)にピッチング見て、キャンプの時よりもだいぶいいなと、そんな話はしてたんだけど、まあ、今日、ストレートはけっこう、力あるって言ってたけど、あとは変化球やなあと、そういう話はしてた、ピッチングコーチと」-6回の桐敷の打席で代打は考えなかった「いやいや全然、そんなの。ずっとまだ8回もいかすつもりやったから。まああれは100(球)いっても大丈夫だから、まあなんとか、投げないと勝ち星つかないから」-キャンプやオープン戦から印象が変わった部分は「どうだろう、やっぱりコントロールかな。だからキャンプの時もブルペンで言ってたのは、ボール自体は伊藤(将)と遜色ないって、まだボールの力は桐敷の方がある方だけど、そこはコントロールのね、違いでローテーション入れるか入れないかっていうね、そういうのが、やっぱりあるなあというのは話してたので。まあ、今日も途中からは変化球がね、カウント球でコースにいってたんでね。ストライク取れてたんで。これはある程度行けるなあと思ったけどね。7回くらいまではね」-森下もらしいヒットで「うん。まあ、そうやなあ。いい時に出てるよね。まあ、だから集中打で。チャンスらしいチャンスは、あの回だけだから。うん。まあ1点で辛抱しとったからね。何とかなるかなっていうのはあったけどね」-昨日はミエセス、今日は森下と日替わりでヒーローが「いやいや、やっぱり打てば打点になる打順やし、今は。まあ今日は1、2番がな。最後、中野が打ったけど1、2番が全然塁に出なかったから、あんまりそのチャンスを作れんかったいうのはあるけど、まあ、明日は打つやろな、1、2番はな、おーん」-横川交代は想定内「いや、もう代わると思ってたよ、球数じゃなしに。まぁ本当はもう1人出して打順回らせても良かったんやけど、もうこれはベンチの雰囲気見てたら代わるなと思ってた。まあちょっとあのイニングで落ちてたよ、ボールは。あれ投げとったらチャンスあったかも分からん、だいぶ落ちたよ、球数やなしに。そう見てたよ、球数じゃなしに」-貯金15「いやいや、そらまだまだやろ。(08年に)23でも勝てんかったやんけ、そんなんお前」

◆巨人中田翔内野手(34)が途中交代した。右太もも裏肉離れから前日に復帰。2試合連続でスタメン起用され、5回先頭の打席で右前打を放ったところで代走・丸を送られた。大事を取っての早々の交代に甲子園は一時騒然。中田翔は土のグラウンドに対してケアしながら「(状態は)変わらず。今日は出力上げて走るような当たりを打っていないんで。蹴り方とかを考えながら、出力を上げていけるようにしていきたい」と、細心の注意を払いプレーを続けていく。

◆巨人鈴木康平投手が、移籍後初黒星を喫した。1点リードの7回に登板。先頭こそ一飛に打ち取るも、阪神大山を死球で甲子園のスタンドはボルテージが急上昇した。佐藤輝と森下に連打を浴び同点に追いつかれると、梅野にも打たれ3連打で満塁としたところで降板。後続が犠飛を打たれ、1/3回を3安打2失点で黒星がついた。オリックスからトレードで加入した鈴木康は「独特で、パ・リーグにはない応援で、のみ込まれた感があった」と、伝統の一戦の雰囲気に動揺した。ただ、すでに気持ちを切り替えリベンジを期し「この応援を味方に、自分を応援してくれているんだなっていう気持ちで、次はやり返したい」。原監督も「次につなげてくれるでしょう」と変わらず期待を込めた。

◆阪神2年目の桐敷拓馬投手(23)が今季初登板。先発で自己最長の7回5安打1失点、毎回の10三振を奪う快投でプロ初勝利を手にした。阪神の投手が伝統の一戦でプロ初勝利を飾ったのは21年4月7日伊藤将以来だった。桐敷の一問一答は以下の通り。-初のヒーロー「とてもうれしいです」-ファンへ自己紹介「2年目の桐敷です、お願いします!」-去年までとは違う大歓声「とても最高です!」-ウイニングボールは「両親にあげたいと思っています」-10奪三振「梅野さんと話して、初回から思い切り行くと話していたので、それが結果的によかったです」-伝統の一戦で勝利「とてもうれしいですし、ユニホームも特別な仕様ということで、特別な1日になりました」-プロ野球人生の抱負「これからもチームのために粘り強く頑張っていくので、お願いします!」-投球を振り返って「球自体はよかったですけど、ブルペンのときは正直、多少ばらつきあったんですけど、それでもゾーンで思いきり腕振るっていうのは切り替えてやってたんで、よかったです」-1点差で抑えられたのは自信に「こういう場面でゼロでいけたのは非常にうれしいですし、これがましてや初勝利のピッチングにしたら本当によかったと思います」-昨年は白星が遠かった。喜びはより大きいか「大きいですし、スタート地点じゃないですけど、1勝ということができたのでほっとしてますし、ここからまた頑張りたいなと思いますね」-毎回の2ケタ奪三振は「そんなに三振の数は意識はしてなかったですし、そんなにとってたんだって感じですね」-今までいろんな人に支えられてきた「非常にうれしいですし、いろんな方々のおかげだと思っています。そういう方々に1人1人連絡をしていきたいなと思っています」-2年目での初勝利「昨年に勝ててなかったので、実際ここまでシーズン開幕してあんまり調子よくなかったので不安な気持ちはありましたけど、そこは切り替えてやってきたんで、遅かったというのはありますけど、初勝利できたんでうれしいです」

◆阪神湯浅京己投手(22)は内心、ヒヤヒヤだった。右腕コンディション不良から復活し、1軍昇格で即やってきた復帰登板。1点リードの8回に2番手でマウンドへ。2死から四球と安打で一、二塁のピンチを作った。ボールが先行するシーンが目立ち「3人で抑えようと思って行ったけど、変に力んじゃってヒヤヒヤでした」と振り返った。「心の中で"キリー"って叫んでました。"キリごめん"って言ってました」"キリ"とは、同学年で自主トレをともにした桐敷拓馬投手(23)。7回1失点で勝利投手の権利を得てマウンドを降りていた。「去年から同級生で誰が(先に)初勝利するやろなって話していて。自分がもらったんですけど、初勝利。キリも自主トレからずっと一緒にやっていて。今日は練習からリラックスしてたので大丈夫やろと。だから余計に3人で終わらせて、自分もいい感じでいきたかったけど、逆に力みました。でも、よかったです」。最後は岡本和を151キロの直球で中飛に打ち取り、安堵(あんど)した。アドレナリンを出しまくった右腕は、「しっかり寝られそうか」との問いに「簡単に寝れます」と笑い、取材エリアを後にした。【中野椋】

◆阪神湯浅京己投手(23)はクールな表情に本音を隠していた。「心で"キリ、ごめん!"って叫んでました。力んじゃってヒヤヒヤでした」右腕コンディション不良から復活し、1軍昇格即復帰登板。逆転した直後の8回にマウンドに上がり、四球と安打で2死一、二塁のピンチを作った。同学年でもある桐敷の初勝利がかかった試合でやられるわけにはいかない。侍ジャパンで共闘した岡本和を、この日最速タイの151キロで中飛に仕留めた。1回無失点。「アツアツでした!」とお決まりのセリフも飛び出した。4月16日に出場選手登録を抹消されて間もなく、太平洋の向こう側から連絡が入った。「大丈夫?」。WBCを共に戦ったパドレス・ダルビッシュがLINEを送ってくれた。「サプリは、これ飲んだ方がいいよ、ご飯はこういうことに気をつけた方がいいよって。ありがたかったです」すぐにサプリメントを購入。成長ホルモンの分泌を促すアルギニンを10グラム、筋分解を抑制する効果のあるグルタミン5グラムを、2時間おきに摂取した。「朝起きてすぐ、そこから寝るまで2時間後、2時間後、2時間後...」。味はない粉末を毎日水で流し込んだ。血液促進効果があり、患部の炎症を抑えることにつながる必須脂肪酸「EPA」を多く含むサバを求め、練習帰りにスーパーに通った。オフから1人暮らしを始めた右腕は「料理はちょっと...。しめさばとか塩焼きを買って食べるんです」。1軍復帰のため、ダル先輩の教え通りに実践した。当初は連投テスト後に昇格するプランもあった。ただ、大型連勝で救援陣に負担がかかっており、この日の2軍戦登板も飛ばしての前倒し昇格。岡田監督は「楽な場面」での起用を想定しながら1点差の8回に起用し「厳しい場面を抑えてくれた」とたたえた。どんな場面でも期待に応える右腕は「今度は自分が支えられるように」ときっぱり。首位を走る虎に、頼もしい男が帰ってきた。【中野椋】

◆阪神桐敷拓馬投手(23)が伝統の一戦でプロ初勝利を挙げた。今季初先発で自己最多の7回を10奪三振5安打1失点と快投。7回裏に味方打線が3安打を集中させ、試合をひっくり返した。プロ1年目の昨季は開幕ローテ入りも先発3試合で結果を出せなかった。2年目左腕が待望の結果を出した。桐敷好投の裏側に、福原2軍投手コーチの助言があった。ファームでもがく左腕を「バッターへの詰めの部分でボールが甘くなる。変化球とかストライクからボールに投げたらいい時に甘くなったり」と分析し、「意志を持って投げる」意識を伝えてきた。ブルペンからカウントやコース、高さなどを想定して投球。福原コーチは「『ここはしっかりワンバウンドを投げにいく』とかね。ボールを投げにいって、ストライクを取りにいくとか」と振り返る。前回登板の18日ウエスタン・リーグ中日戦では8回完投2失点。「投げたいボールはちゃんと首を振ったりしていた。フォークとかだったらはっきりワンバウンドで投げるとか。意志を持って投げていました」と手応えも十分だ。二人三脚で磨いた「目的意識」がこの日、実を結んだ。【阪神担当=波部俊之介】

◆阪神ドラフト1位森下翔太外野手(22)は一切ひるまなかった。1点を追う7回1死一、二塁。2打数無安打で迎えた3打席目、生命線の積極性を前面に押し出した。「自分の持ち味を消す方が怖い。持ち味をどんどん出していくには凡打でも仕方ない。個性をつぶさないように、自分のプレーを貫いた」初対戦となる鈴木康の初球、外角134キロスライダーを振り抜いた。三遊間を抜く同点打。キャッチボールを始めていた先発桐敷の肩の力を抜かせた。2戦ぶりに「6番右翼」で先発し、復刻ユニホームを着た「伝統の一戦」で放った巨人戦初安打。今季最多4万2615人の観客の大歓声を呼び込み、木浪の勝ち越し犠飛につなげた。「こういう特別なユニホームを着てやれることは光栄ですし、こういうユニホームを着て、新たに自分も心を入れ替えて野球に取り組める。明日も打っていきたい」岡田監督は「いい時に(ヒットが)出てるよね。集中打で。チャンスらしいチャンスは、あの回だけだから。やっぱり打てば打点になる打順やし、今は」とルーキーの一打に満足げ。ただ、もちろん慢心はない。2試合ぶりの「6番右翼」。前日25日にはミエセスが1発でアピールしており、激しい競争が続いている。「まだ固定されていないので、固定されるくらい結果を出して、チームの勝利に貢献したい」。お立ち台で「まだ慣れていないです」と本音を語ると大歓声。初々しくも頼もしいルーキーの一打が6連勝を呼び込んだ。【波部俊之介】木浪が決勝犠飛を放った。1点を追う7回に森下の適時打で追いつき、なお1死満塁で代わったばかりの高梨から左翼へ飛球。三塁走者の佐藤輝が本塁に滑り込んだ。「何とか事を起こしたかった。レフトフライなんですけど、テルもよく走ってくれて感謝です」。好守でチームを救った前夜に続き今度は打撃で6連勝に貢献した。佐藤輝が激走で桐敷にプロ初勝利をプレゼントした。7回1死一塁で巨人鈴木康から左前打を放ち、チャンス拡大。その後、森下の適時打で同点とすると、1死満塁で木浪の打席の場面だった。左翼へのフライを打ち上げると三塁走者佐藤輝はタッチアップで生還。間一髪で勝ち越し点をゲットした。「ああいう展開だったので藤本コーチもいくぞって言っていたので、思い切って走りました」と振り返った。梅野が好リードで桐敷のプロ初勝利を支えた。オフの自主トレをともにし、シーズンへの準備を整えてきた後輩。「なんとか引っ張ってあげたい」と攻守に思いを込めた。「一番はまっすぐが良かった。まっすぐが切れていた」。打撃でも7回、森下の同点打のあとに左前打で続き、木浪の決勝犠飛につなげた。中野が連続試合安打を14に伸ばした。得点にはつながらなかったものの、2試合連続でマルチ安打をマーク。接戦の中、じわじわと巨人投手陣を苦しめた。「苦しい展開だったんですけど、なんとか勝ち越して。桐敷がよく投げていたんで、なんとか逆転してあげたいという気持ちもあったんで」と好投した桐敷をねぎらった。ノイジーが自慢の強肩でピンチを救った。3回2死三塁から坂本に左翼フェンス直撃の適時打を許したが、左翼手ノイジーがクッションボールを素手でキャッチし中継の遊撃手木浪へノーバウンドで返球。二塁ベースカバーに入った二塁手中野につなぎ打者走者坂本を刺した。「ゲーム序盤だったので、何とかひとつでも多くのアウトを取ることが大事」と好守備で6連勝に貢献した。

◆阪神岩崎が貫禄の投球で9回を締め、桐敷のプロ初勝利をアシストした。最少リードの状況で先頭の代打ウォーカー、丸を連続三振。ブリンソンには内野安打を許したが、代打の長野を空振り三振に仕留めた。9セーブ目を挙げた左腕は「抑えられてよかったです」と笑顔。湯浅の復帰には「またみんなでやっていけたら」とブルペン陣の総意を代弁した。

◆初勝利をあげた阪神桐敷拓馬投手(23)が27日、一夜明け喜びの声をあげた。前日26日の巨人戦で7回1失点の好投で初勝利をつかんだ左腕。この日の試合前練習に参加し、ジョギングやバント練習をして汗を流した。前日は、祝福のメッセージが100件以上もあったという。「地元の同級生とか野球にあまり興味がない子から『試合見てたよ!』って言ってくれた。自分をきっかけに、野球を見てくれてうれしいです」と笑顔だった。気持ちはもう切り替わっており、見据えるのは2勝目だ。「自分の中では巡ってきたチャンスを無駄にしないよう(にと)、登板前からもずっと思っていたので、結果につながってよかったです。でも、大事なのは次だと思うので、また次から気を引き締めていきたい」と意気込んだ。

◆右前腕の張りで2軍調整中だった阪神・湯浅京己投手(23)が出場選手登録され、西純矢投手(21)が抹消となった。この日の巨人戦で今季初先発する桐敷拓馬投手(23)も登録された。湯浅は3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場。チームに合流後は開幕を守護神として迎え、7試合の登板で5セーブを記録。しかし、4月16日に登録を抹消され、検査の結果、右前腕などに強い張りがあることが分かった。以降はファームで調整し、今月17日のウエスタン・中日戦(ナゴヤ球場)で実戦復帰。ソフトバンク戦(鳴尾浜)で登板予定だったが、前倒しでの昇格が決まった。試合前練習でキャッチボールなどで調整。練習後に取材に応じ、「しっかりチームの力になれるように頑張ります。任されたところでしっかり自分の力を出せたら」と意気込んだ。2軍降格の西純は開幕ローテ入りするも、ここまで2勝2敗、防御率5・82。今月に中継ぎに配置転換され、24日のヤクルト戦(神宮)では1/3回を投げて2四球で降板。その後、救援登板した投手が走者をかえされて2失点を記録していた。26日のウエスタン・ソフトバンク戦(鳴尾浜)で早速登板し、1回無失点だった。

◆両軍のスターティングメンバーが発表され、阪神は2年目の桐敷拓馬投手(23)が今季1軍初登板のマウンドに上がる。2軍では登板8試合全てで先発し、出番に備えていた背番号47がプロ初勝利を懸けて戦う。「6番・右翼」にはドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=が入った。

◆右前腕部の張りから1軍に復帰した阪神・湯浅京己投手(23)が26日、巨人戦(甲子園)前に報道陣に対応。残るシーズンにかける思いを語った。以下、一問一答。――予定よりも早く1軍合流。今の状態は「自分はこれくらいには行くつもりだったので、予定より早まったという感覚はないですし、しっかりチームの力になれるように頑張ります」――ブルペン陣からはどんな声をかけられたか「みんな結構心配してくれて『大丈夫か?』って、ブルペン以外の方にも気にしていただいたので、万全の状態にしてきていると思うので、しっかり力になれるように頑張ります」――岡田監督は六回、七回での起用を考えているみたいだが「任されたところでしっかり自分の力を出せたらと思っています」――1軍復帰の連絡がきたのは「昨日の夕方くらいです」――そのときの気持ちは「(投手コーチの)福(原)さんとか2人に呼ばれて、ちょっと来いと言われて、そうやなと思いながら行って、しっかり力になれるようにと思いました」――離脱した期間は救援陣の頑張りをどう見ていたか「やっぱりさすがだなという感じですね。自分がしっかりリリーフの負担みたいなのを増えてると思うので助けてもらった分、しっかりと自分がそこでみんながきているときに助けられるように頑張りたいなと思います」――コンディションは「万全です」――岩崎とはどんなやり取りを「自分の顔を見た瞬間にKK(ケラー)に向かって『ふぅ』って言ってました」――(WBCでもチームメートだった同い年で仲のいい)巨人・大勢と再会して「ラインでもやり取りしていますし、久しぶり感はなかったですけど、『俺に会いたいからここで上がってきたの?』と言われたので。『そう』って言っときました」――2軍から戻ってきたからには最後までフルスロットルで「そうですね。シーズン最後までしっかりレベルアップできるように、トレーニングとか1軍のシーズン中だったらできないようなことができたので、今すぐどうこうというのはないと思いますけど、しっかりシーズンを通して状態的にもボール自体も落ちないようにしっかりやっていきたいなと思います」

◆27日の7回戦に先発する阪神・大竹耕太郎投手(27)はショートダッシュなどで汗を流した。巨人とはソフトバンク時代も含めて初対戦。「打つとチームに影響力のある坂本さんや、岡本(和)さん、中田さんから長打を食らわないように気を付けたい」と注意する打者を挙げた。今季はこれまで6試合に登板し、5勝0敗、防御率0・48。開幕6連勝を目指すマウンドに向け「自分のピッチングをすることだけ」と意気込んだ。

◆阪神の先発・桐敷拓馬投手(23)は三回に1点を失った。二回まで4つの三振を奪って無安打に抑えていたが、三回は先頭の門脇に中前打を浴びた。続く横川の打席で二盗を許し、吉川尚の二ゴロの間にも進塁。2死三塁で坂本との対戦を迎えた。2球目に投じた146キロの直球を捉えられ、打球は左翼の頭を越えてフェンス直撃。1点を許した。ノイジーが素早いクッション処理で中継に送り、打った坂本は二塁でアウトに。バックが盛り立て、さらなるピンチの芽は摘んだ。

◆今季から本格始動した巨人女子チームの島野愛友利投手(19)が始球式に打者として参加し、「改めて甲子園は良い場所だなと思いました」と実感を込めた。兵庫・神戸弘陵高時代にエースとして全国制覇した島野は、阪神女子チームのバッテリーとともに登場。「すごい貴重な機会をいただいた。マウンドは試合で立てればうれしい」と振り返った。巨人と阪神の女子チームは7月22日と29日に交流戦2試合を行う。女子チームによる初の伝統の一戦。島野は「今から歴史を作っていかないといけない。それに値するような試合を見せたい。それを見ている小さい女子選手がいると思う。そうした子たちが、この舞台を目指すきっかけになればいい」と自覚をにじませた。

◆巨人の新外国人、グリフィン投手(27)が5勝目を目指し、27日の阪神戦で先発する。阪神相手に初めて投げる左腕はキャッチボールなどで調整し「バッティングの良いチームという印象。ストライクゾーンを攻撃的に攻めて、打たせて取ることで少ない球数で長いイニングを投げたい」と意気込んだ。選抜大会などをテレビ観戦してきたといい「良い球場」と胸を高鳴らせた。

◆巨人のルイス・ブリンソン外野手(29)がド派手なプレーでチームを救った。1点リードで迎えた四回の守り。2死一塁で阪神・大山が放った左中間フェンス際の打球へ、中堅手・ブリンソンが勢いよく走って飛びつき、好捕。その瞬間に同じく捕球態勢に入っていた左翼手・岡本和のグラブに顔面が激突。ボールは離さなかったが、ブリンソンは痛そうに顔面を抑えた。ベンチからトレーナーが慌てて駆け付けたが、助っ人は心配そうに見つめる岡本和とトレーナーに無事をアピールし、ベンチへ戻った。その後も出場を続けた。

◆阪神は0-1の七回、ドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=の適時打、木浪聖也内野手(28)の犠飛で2点を追加して逆転した。1死から大山が死球で出塁し、佐藤輝が左前打で一、二塁と好機を拡大。ここで森下にこの日の3打席目が回った。巨人の2番手・鈴木の初球スライダーを捉えて左前へ。大山が二塁から本塁へ激走し、同点に追いついた。続く梅野も左前打で1死満塁とし、木浪が代わった高梨の2球目を左翼へ運ぶ犠飛で逆転。好投の先発・桐敷拓馬投手(23)に勝ち投手の権利をつける2得点で、6連勝へ前進した。

◆阪神の先発・桐敷拓馬投手(23)は7回5安打1失点でマウンドを降りた。この日が今季初登板で速球とフォークのコンビネーションがさえ二回までに4つの三振を奪う立ち上がり。しかし三回、先頭の門脇に中前打を浴びると、走者を進められて2死三塁で坂本との対戦を迎える。2球目に投じた146キロの直球を捉えられ、打球は左翼の頭を越え、フェンス直撃の適時打で1点を許した。続く四回、五回といずれも走者を背負うピッチングになったが無失点で切り抜け、六回も失策と安打で2死一、二塁とピンチを背負ったが、大城を投ゴロに打ち取って得点を許さず。桐敷はマウンドで手をポンとたたいた。六回の攻撃では打席に立ち、七回も続投。三者凡退で切り抜けた。打線は七回に2得点を加え、桐敷には代打が送られてお役御免。93球で10三振を奪い、勝ち投手の権利を持ってマウンドを託した。

◆阪神・湯浅京己投手(23)が2―1の八回に2番手でマウンドに上がり、1軍復帰後初登板を果たした。先頭の代打・梶谷を速球で空振り三振に打ち取ると、吉川尚は1球で三ゴロに抑え、あっという間に2死とする。坂本を四球で歩かせ、秋広に右前打を許して一、二塁のピンチを招いたが、4番・岡本を中飛に打ち取って無失点で切り抜けた。湯浅は今季の開幕前にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場。開幕後は守護神として7試合で5セーブを挙げたが、右前腕の張りで4月16日に出場選手登録を抹消された。2軍で段階を踏んで状態を上げ、今月17日のウエスタン・中日戦(ナゴヤ)で実戦復帰。この日出場選手登録され「任されたところでしっかり自分の力を出せたら」と意気込んでいた。

◆身も心もたくましくなった左腕が、聖地に帰ってきた。プロ野球初年度の1936年をモデルにした復刻ユニホームを両軍が着用した伝統の一戦。巨人・横川凱投手(22)は「阪神との大切な3連戦の頭の試合。いい流れを持ってこられるように」と勝負のマウンドに立った。190センチから繰り出す角度ある直球に多彩な変化球を織り交ぜ、3回を打者9人で料理。まだ冷たさが残る浜風を受けながら、小気味いいテンポで捕手のミットを鳴らす。1点リードの六回は先頭に安打を許したが、次打者のバントを素早くさばいて二塁封殺する強気のフィールディングを披露。6回3安打無失点、二塁を踏ませない好投だった。さかのぼること5年。大阪桐蔭高3年時に甲子園で春夏連覇を成し遂げ、「史上最強世代」の一員として脚光を浴びた。ただ、当時は根尾(中日)らに次ぐ3番手。注目度では4番打者の藤原(ロッテ)や根尾に劣った。今でもオフに顔を合わせる元チームメートは盟友でありライバル。「一番活躍したい」と語気を強める。育成と支配下を行き来してきた苦労人。グラブをはめる右手を頭上に掲げる豪快な新フォームで道を切り開き、安定感のある投球を続ける。「胸を張って『これだけできた』といえるようなシーズンにしたい」。飛躍を期す22歳が、高校以来の甲子園で成長の跡を示した。(鈴木智紘)

◆今季初先発の阪神・桐敷拓馬投手(23)が7回1失点でプロ初勝利をあげた。三回に坂本の適時打で1点を先行されるも、走者を背負った四回から六回は大崩れすることなく無失点で切り抜けた。六回の攻撃では打席に立ち、七回も続投。三者凡退で切り抜けて白星をつかんだ。1点差の八回には、この日出場選手登録されたばかりの湯浅京己投手(23)がマウンドへ。右前腕の張りで2軍調整から復帰し、走者を背負いながら緊迫の八回を無失点でシャットアウト。最後は岩崎が試合を締めた。 打線は六回まで沈黙したが、七回に逆転。ドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=が1死一、二塁から左前へ適時打を放って同点に追いつくと、なお満塁で木浪聖也内野手(28)が左翼に犠飛を放って勝ち越した。チームは7連勝の後、1敗を挟んで再び6連勝で直近14戦13勝。貯金を「15」に伸ばした。DeNAが敗れたため5差となった。

◆阪神が6連勝で、今季最多貯金を「15」に更新した。1点を追う七回1死一、二塁からD1位・森下翔太外野手(22)=中大=の左前打で同点。さらに1死満塁から木浪聖也内野手(28)の左犠飛で勝ち越した。先発の桐敷拓馬投手(23)は7回1失点でプロ2年目で初勝利。1軍に復帰した湯浅京己投手(23)が八回に登板し、1回無失点。最後は岩崎優投手(31)が締めた。チームは直近14戦で13勝。観衆は今季最多を更新する4万2615人。岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(成績=29勝14敗1分、観衆=4万2615人)。ーー桐敷は予想を上回る内容「予想上回ったな。神宮の時にピッチング見て、キャンプの時よりもだいぶいいなと、そんな話はしてたんだけど。ストレートは結構、力あるって言ってたけど、あとは変化球やなあと、そういう話はしてた、ピッチングコーチと」ーー六回の桐敷の打席で代打は考えなかった「全然、そんなの。八回も行かすつもりやったから。アレ100(球)行っても大丈夫だから、投げないと勝ち星つかないから」ーーキャンプやオープン戦から印象が変わった部分は「コントロールかな。キャンプの時もブルペンで言ってたのは、ボール自体は伊藤と遜色ないって、ボールの力は桐敷の方がある方だけど、コントロールの違いでローテーション入れるか入れないかっていうね。そういうのは話してたので。今日も途中からは変化球がカウント球でコースに行ったんでね。ストライク取れてたんで。ある程度行けるなあと思ったけど」ーー森下もらしいヒットで「そうやなあ。いい時に出てるよね。集中打で。チャンスらしいチャンスは、あの回だけだから。1点で辛抱しとったからね。何とかなるかなっていうのはあったけどね」ーー25日はミエセス。日替わりでヒーロー「打てば打点になる打順やし、今は。今日は1、2番がな。最後、中野が打ったけど1、2番が全然塁に出なかったから、チャンスを作れんかったいうのはあるけど、明日は打つやろな、1、2番はな」ーー横川交代は想定内(6回80球無失点で交代)「もう代わると思ってたよ、球数じゃなしに。ベンチの雰囲気見てたら代わるなと思ってた。あのイニングで落ちてたよ」ーー貯金15「いやいや、そらまだまだやろ。23でも勝てんかったやんけ、そんなんお前」(2008年、82勝59敗3分で2位。このシーズンで阪神監督辞任)

◆オリックス、阪神で176勝を挙げ、引退後も両チームでコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家の星野伸之氏(57)はプロ初勝利を挙げた桐敷拓馬投手(23)について言及した。桐敷は一回から大胆に攻めていこうと決めていた。腹の座った攻めの投球が巨人打線を圧倒していた。真っすぐでストライクを取ったことが球数の少なさにつながり、七回まで投げられた。150キロは出なくても、大胆に攻める気持ちがあれば抑えられることを証明した感じだ。ベンチの動きを見ると、逆転しなければ八回の続投もあったようだ。長いイニングを投げての初勝利。相当な自信になったはず。心配になったのは三回で突然、球威が落ちた。2安打に盗塁が絡んで1点を失ってしまった。下位から始まるという気持ちの変化があったのかもしれない。ただタイムリーを放った坂本をノイジーが好返球で二塁で刺したプレーが大きかった。四回以降は再び球の力が戻った。梅野のリードも冴えていた。二回2死二塁からブリンソンを迎えた場面では変化球狙いを見抜いての真っすぐ連投で見逃し三振。五回無死一塁で再びブリンソンに対しても、変化球狙いを見透かしての真っすぐで空振り三振。桐敷を支えた。湯浅は100%ではない感じ。全体的に球が高く、思ったところに投げられていなかった。いい球と悪い球が交互に来る感じ。久々だから、仕方ない部分もある。ベンチも楽な場面で投げさせたかったのだろうが、桐敷が予想以上の長いイニングを投げたこともあって、1点差の八回というシビアな登板になった。ただ結果として抑えたので、いいイメージで次の登板には向かうだろう。

◆巨人は接戦を落とした。原辰徳監督(64)は「2点目が重かったですね」と淡々と振り返った。三回に先制したものの追加点を奪えず、八回に逆転された。打線は阪神の左腕・桐敷に毎回の10三振を喫した。1点リードの六回は1死一塁から秋広がバントを失敗し投飛。大久保打撃チーフコーチは「いい勉強になったと思うけど、1軍は勉強(の場)じゃない。身に染みて分かっていかないと同じことをやる」と指摘した。

◆巨人・横川凱投手(22)が6回3安打無失点と好投したものの、打線の援護に恵まれず白星をつかめなかった。「(大城)卓三さんに引っ張ってもらって、テンポよく投げることができた。ストレートが良かったので変化球も生きて自分の投球ができた」と振り返った。最速145キロの直球に多彩な変化球を織り交ぜ、3回を打者9人で料理。1点リードの六回は先頭に安打を許したが、次打者のバントを素早くさばいて二塁封殺する機敏なフィールディングも見せた。原監督は二塁を踏ませない好投を「ナイスピッチング」とたたえた。

◆1軍に復帰した阪神・湯浅京己投手(23)が1点リードの八回に登板し、四球と右前打で2死一、二塁の窮地を招いたが、岡本和真内野手(26)を中飛で仕留めた。4月13日の巨人戦(東京D)以来の登板に大歓声を受け「アツアツでした」とコメント。四球時やボールが重なった時の心境を聞かれ「(心の中で)ごめんっていってました(笑)」。無失点の再発進に「ゼロでいけたってことは大きいですし、これから本当にチームの力になれるように。ブルペンで支えてもらってきたぶん、自分がしっかり支えられるように頑張りたいなと思います」と語った。

◆1点を追う七回1死一、二塁から左前に同点打を放った阪神のD1位・森下翔太外野手(22)=中大=は「ファンの人たちからしたら、伝統の一戦でもあるので、打てたから、よかったかなと思います」と巨人戦での殊勲打に笑顔。「まだ(右翼は)固定されていないので、やっぱり固定されるくらい、打って結果を残してアピールして、チームの勝利に貢献したいと思います」と話した。

◆阪神・木浪聖也内野手(28)が執念で決勝点をもぎとった。1-1の七回1死満塁で、左腕・高梨の外角低めのスライダーにバットを合わせ、左犠飛。三走・佐藤輝を生還させた。「ゲッツーは絶対避けたい場面。なんとか外野へ、という気持ちはありました。テル(佐藤輝)もよく走ってくれたんで感謝ですね」。打率・317の恐怖の8番打者。岡田監督は「最低限の仕事をしましたね」と目を細めた。

◆プロ2年目で初勝利を挙げた阪神・桐敷拓馬投手(23)が中学時代に所属した行田リトルシニアと、本庄東高野球部でチームメートだった鈴木颯太さんがメッセージを寄せた。初勝利おめでとう!  もう感動しかありません! テレビで試合を見ていたのですが、ドキドキして気が気じゃなかったですね。こうやって勝つ姿を見て、僕も本当にうれしいです。桐敷の最大の特長はプレッシャーに強いところ。疲れているときとかでもタフさがある。ピンチで内野がマウンドに集まるときに彼によく声をかけましたが、『オッケー、2アウトね』みたいにいつも冷静でした。高校3年の頃にはカウントが3ボールになっても三振を取れる雰囲気があって、本当に三振を簡単に取ってしまう。そのときに普通の高校生じゃないのかなと感じました。謙虚さも忘れません。どんなにいいピッチングをしようが、プロになろうが、決しておごることはありません。チームメートだったときはエースだからといって話しかけるなというオーラはなくて。和気あいあいとしていて、いじられたりとかもするタイプでした。初めて会ったのは行田リトルシニアのとき。1年の秋の大会では僕がBチームのキャプテンで、桐敷がエース。その大会でAチームが優勝した一方で、僕らは初戦敗退。プレーボールがかかってすぐにランニングホームランを打たれて、僕も桐敷もチーム全員が呆然としたのを覚えています。3年生では桐敷は18番をつけていたけど、1番がチームのエースナンバー。4番手、5番手の投手という扱いでした。チームは主戦投手を試合の後半に起用する方針だったので、桐敷は4番手という扱いながら試合で先発していたけど、早々にノックアウトされて交代というのがいつもの流れで...。お互いが中学で思うようにいかなかった分、高校でレギュラーで出られるようになって、苦しい思いも、いい思いも共有してきました。同じ本庄東高に進学して、一番記憶に残っているのが、3年の夏の県大会2回戦で、埼玉栄に2―1で勝ったときです。両チーム全校応援かなと思うほど球場が満員になるくらいの盛り上がりの中で桐敷が9回1失点で完投してくれて...。勝利が決まって駆け寄って抱きついた瞬間が本当にうれしかった。一緒に苦しいときも経験した仲間と最高の試合ができて、最高の時間だったし、それを共有できたことが一番よかったです。この日の試合後、グラウンドに一礼する姿を見て、学生の頃と変わっていなかった。どんなときも謙虚で、決しておごることのない今のままの桐敷でこれからも頑張ってほしいと思います。(談)■桐敷 拓馬 1999(平成11)年6月20日生まれ、23歳。埼玉・鴻巣市出身。本庄東高から新潟医療福祉大を経て、2022年ドラフト3位で阪神入団。同年は7試合に登板し、0勝3敗、防御率5・02。最速150キロ。年俸1100万円。179センチ、90キロ。左投げ左打ち。背番号「47」

◆阪神・梅野隆太郎捕手(31)は桐敷のプロ初勝利をアシストし「何とか引っ張ってあげたいという気持ちはあった。率直におめでとう」と自主トレ仲間の後輩をたたえた。「一番切れていた」と評価する真っすぐを中心にリード。0―1の六回2死一、二塁のピンチでは「甘くいくことが一番ダメ」と声をかけ、大城卓を投ゴロに仕留めた。バットでも七回1死一、二塁で左前打を放ちチャンスを拡大。木浪の決勝犠飛につなげた。

◆阪神・中野拓夢内野手(26)は四回1死で左前打を放ち、連続試合安打を自己最長の14に伸ばした。八回にも左翼線への二塁打で5月に入って11度目の複数安打を記録。「1試合1本打つつもりで。気持ちがうまく整理できている」と好調の要因を語った。3連戦の初戦を制し「桐敷のために逆転してあげたかった。苦しくて、しびれる展開だったけど、しっかりと守り勝ててよかった」と満足げだった。

◆「湯浅」の名前がコールされると、1軍復帰を待ちわびていた虎党がドッとわいた。阪神・湯浅が1点リードの厳しい場面で1回1安打無失点。ともに1999年生まれの桐敷のプロ初勝利の権利も守り抜き、復活の1ホールドをあげた。「キリ(桐敷)の初勝利がかかっていましたし、めっちゃいい投球をしていた。絶対に3人で抑えようと思っていったんですけど、変に力んじゃって、ランナーを出してヒヤヒヤでした」試合後は表情を緩めたが、登板時の大歓声には「アツアツでした」と闘争心を燃やした。逆転した直後の2-1の八回。2死から坂本は四球、続く秋広は右前打で一、二塁とされたが、3月のワールド・ベースボール・クラシックでチームメートだった岡本和を151キロで中飛に打ち取った。制球を乱した場面は「心のなかで、キリーッと、叫んでいました。キリ、ごめんっていってました」とちゃめっ気たっぷりに振り返った。右前腕の張りで2軍調整を続け、当初はこの日も鳴尾浜での登板だった。中継ぎ強化のために〝前倒し〟で昇格し、4月13日の巨人戦(東京ドーム)以来となる1軍のマウンド。岩崎につなげるセットアッパーという仕事も〝前倒し〟で、岡田監督も「厳しい場面じゃなしに、ちょっと楽な場面でいかそうと思ったけど。何とか抑えてくれてよかった」と目を細めた。「去年から同級生で(プロ)初勝利、誰がするやろって、ずっと話していました。最初は自分がもらったんですけど。キリは練習のときからリラックスしていて、大丈夫やろと思っていました」と湯浅。昨年、一足先にプロ初勝利を手にした右腕が仲間の記念すべき1勝をアシストした。(新里公章)

◆復刻版ユニホームで行われた一戦は、1―0の七回に2点を奪われて逆転負け。試合中盤から拙攻が続き、巨人・原辰徳監督(64)は「(2点目が)重かった」と3度繰り返した。三回に坂本の左越え適時打で先制。その後も毎回のように走者が出たものの、六回1死一塁での3番・秋広のバント失敗など桐敷に苦戦。6回無失点の横川を援護できなかった。流れが相手に傾く中、七回は17日にオリックスからトレードで加入した鈴木康が登板。1死後に死球と3連打で同点とされ、代わった高梨が木浪に決勝犠飛を許した。2失点の鈴木康は移籍後4試合目で初黒星を喫し、「(阪神ファンの)パ・リーグにはない応援に飲まれてしまった。自分の実力不足」と唇をかんだ。敵地・甲子園の圧倒的な雰囲気も「伝統の一戦」が持つ怖さだ。(谷川直之)

◆オウオウ、強すぎる~! 阪神は「伝統の一戦 ~THE CLASSIC SERIES~」として、1936年の大阪タイガースのユニホームを着用した一戦で今季2度目の6連勝、貯金は最多の15とし、2位DeNAとは最大5ゲーム差となった。1点を追う七回にドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=が同点打。ミスタータイガースの系譜を継ぐ!偉大な先人たちの思いを引き継いで、背番号1がバットを振り抜いた。森下が放った打球は、鋭く三遊間を破る。スコアボードに会心の「1」を刻み、今季最多4万2615人を詰め込んだ甲子園が揺れた。87年前から続く激闘の歴史に、光り輝く白星を加える同点打。6連勝に貢献した。「絶対決めるという、強い気持ちで打席に立ちました! 打点にこだわりを持っているので、ああいうところで1本出てよかったです」0―1の七回にドラマを巻き起こした。1死から大山が死球で出塁し、佐藤輝が左前打で一、二塁と好機を拡大。ここで森下に回ってきた。「大山さんと輝さんは絶対的に警戒されるバッター。やっぱり、6、7、8(番)が打てないと点に絡まない」。ここまで2度の凡退を反省しながら、武者震いしていた。巨人の2番手、オリックスからトレードで加入したばかりの鈴木康の初球、スライダーを狙っていた。サヨナラ打を放った20日の広島戦(甲子園)と同じ初球打ちという強心臓ぶりを見せつけた。試合を振り出しに戻し、木浪の勝ち越し犠飛を演出。2位DeNAとは今季最大5ゲーム差と独走状態に入ってきた。「こういう特別なユニホームを着てやれることがすごく光栄ですし、このユニホームを着て、自分も心を入れ替えて野球に取り組める」森下が胸元のロゴを見つめながら、特別な思いを寄せた。「伝統の一戦シリーズ」として1936年の復刻ユニホームを着用。「伝統の一戦」はここから始まった。大阪タイガースとして日本プロ野球最初のシーズンに臨み、12月に迎えた巨人と3試合の優勝決定戦。「洲崎決戦」として語られるこの3連戦で、初代ミスタータイガースの藤村富美男や景浦将が躍動。しかし、3連投した巨人・沢村栄治らの前に1勝2敗で苦杯をなめた。まだ「職業野球」の形すら曖昧だった黎明期に産声をあげたTGの死闘は現代まで脈々と受け継がれ、刻んだ勝負の一戦一戦が伝統になった。

◆移動してプレー。移動してプレー。長いシーズンを戦うプロ野球選手は大変だ。東京ドームでの戦いを終えた巨人も、神宮での戦いを終えた阪神も、甲子園へ大移動して即試合の日だった。密着する番記者だって、移動して取材、移動して原稿。体力がないと務まらない。「眠いです。この電話をするのも辛いぐらいに眠いです。だって、寝ていないんですから」トラ番・織原祥平がホントに眠そうな声。25日夜は遅くまで劇的勝利の原稿を山ほど書いて、興奮で眠れなかったのか? 今後の取材の準備をしていたのか? それとも...。寝ていない理由は深くは追及しなかった。眠らず仕事ができる若さはうらやましい。というわけで、トラ番屈指の精鋭は朝6時過ぎの新幹線で帰ってきたそうだ。「でも、眠いなんて言ってられないですよね。西純矢投手なんて、移動して、鳴尾浜球場のデーゲームの2軍戦で投げているんですから。2軍に降格しましたが、1軍で先発するのが、彼の本当の任務だと思うので、しっかり再調整して、1軍のマウンドに帰ってきてほしいです」未来のエース候補の奮闘に刺激を受け、元気いっぱい(?)甲子園に戻ってきた織原記者。待っていたのは、〝あの〟復刻ユニホームだった。「伝統の一戦」の起源とされている1936年当時のユニホームをモデルにした復刻バージョン。個人的意見を言わせてもらうなら、シンプルにしてカッコいい。最近、やたらド派手だったり、意味不明の〝戦闘服〟を各球団、次々と送り出してきているが、やっぱり野球のユニホームはこうでなくっちゃ。昔のプロ野球って、シンプルにしてカッコよかったのだ(何度も繰り返してすみません)。

◆よっしゃー! アレへのピースが出そろったでェ!!村上、伊藤将、大竹、才木、西勇に続く〝6本目〟の先発投手に若虎左腕の桐敷が名乗りを上げたー!! 当然、このまま2年連続最多勝の青柳が黙っている訳はないから、わが阪神は毛利元就の「三本の矢」の倍を超えた「七本の矢」やー!!そして、クローザーとなるであろう湯浅の復活まで同じ日ってムフフ...。盆と正月が虎党に来ちゃいました~!!さらに、さらに好調虎の悩み6番打者は誰? 前日はミエセスが同点ホームラン、そして本日はルーキー森下が同点タイムリー! 要するにそーいうことでいいんです! 今季はアレのために、6番はお楽しみメニューとしましょう!!巨人は原監督がそれまで猛虎打線が嫌がっている横川を交代させてくれたラッキーもあるけど、決勝打が木浪の渋い犠飛というのも強いチームの証なのだ!!貯金15。この勢いで巨人3連戦、あと2つも勝ちまっせ!! で、交流戦突入、最悪18戦全敗しても借金1や、ぐらいの気持ちでいったれ!! 今の最大の敵は守りにいくことやでー!!

◆興ざめしたよ。伝統の一戦。百戦錬磨の監督対決。そして、何年もローテーション入りして2桁を勝っているような顔をした、若い先発による素晴らしい投手戦。その流れが一気に変わって、がっかりだ。原監督が先に、引いてしまったね。なぜ、横川が六回限りで降板なのか。無四死球とコントロールよく、スイスイ打ち取っていた。交代させる理由はどこにあるのか。あらかじめ区切りをつけていたのか。内情はどうあれ、その日の状態と内容を見て、判断すべきだ。ローテ投手から、エース級へと成長させるには、長いイニングを任せるのが、何よりのステップなんだ。ましてチームは、リリーフが泣きどころ。完投できる強い投手を1人でも増やさないと、この先も苦しいままじゃないか。育てられないというなら、それはスタッフの責任問題。6回くらいで満足しているのであれば、それは本人の自覚の問題でもあるよ。(サンケイスポーツ専属評論家)

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
29141 0.674
(↑0.007)
-
(-)
99182
(+2)
128
(+1)
25
(-)
23
(-)
0.254
(-)
2.700
(↑0.04)
2
(-)
DeNA
23181 0.561
(↓0.014)
5
(↓1)
101173
(-)
162
(+1)
41
(-)
8
(-)
0.264
(↓0.003)
3.660
(↑0.06)
3
(-)
巨人
23220 0.511
(↓0.012)
7
(↓1)
98174
(+1)
188
(+2)
50
(-)
11
(+1)
0.252
(↓0.001)
4.060
(↑0.04)
4
(-)
広島
22220 0.500
(↑0.012)
7.5
(-)
99158
(+6)
154
(+4)
32
(+1)
19
(+1)
0.249
(↑0.001)
3.180
(↓0.02)
5
(-)
ヤクルト
17262 0.395
(↓0.01)
12
(↓1)
98158
(+4)
188
(+6)
42
(-)
27
(-)
0.230
(↑0.002)
3.820
(↓0.06)
6
(-)
中日
16280 0.364
(↑0.015)
13.5
(-)
99119
(+1)
144
(-)
16
(+1)
10
(+1)
0.239
(↓0.001)
2.910
(↑0.07)