1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
阪神 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 2 | 6 | 13 | 1 | 0 |
ヤクルト | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 5 | 9 | 1 | 0 |
勝利投手:島本 浩也(1勝0敗0S) (セーブ:岩崎 優(2勝0敗8S)) 敗戦投手:田口 麗斗(0勝2敗11S) |
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◆阪神は2-2で迎えた6回表、近本の適時打に相手失策が絡み、2点を勝ち越す。その後逆転を許すも、9回には2死一三塁から佐藤輝の2点適時打が飛び出し、土壇場で試合をひっくり返した。投げては、5番手・島本が4年ぶりの白星。敗れたヤクルトは、5番手・田口が踏ん張れなかった。
◆ヤクルト久保拓真投手(26)の妹で、伊予銀行ヴェールズ女子ソフトボール部の久保和咲捕手(23)が、始球式を行った。この日はチームが秋季キャンプを張る"第2のホーム"の愛媛・松山市との特別企画「松山DAY」として開催。久保捕手は兄の影響で小2から野球を始め、小6時にはソフトバンクジュニアに選ばれた。中学、高校、短大とソフトボールを続け、20年から女子最高峰のJDリーグ(Japan Diamond Softball League)でプレー。今季から松山市を拠点とする伊予銀行ヴェールズに移籍した。緑を基調とした所属チームのユニホームで登場。右上手から普段より一回り小さい硬式球を、ノーバウンドでストライク投球。「緊張したんですけど、兄からは『思い切り投げてこい』と言われたので、その通りに思い切り投げました」と振り返った。現在、2軍調整中の兄に対しては「兄の良いところは、物おじせず強気で投げていくところ。これからもその気持ちを持って、強気で投げて欲しいです」とエールを送った。
◆阪神ドラフト1位森下翔太外野手(22)が先発吉村貢司郎との「ドラ1対決」でいきなりの安打を放った。「6番右翼」で出場し、2回1死一塁の初打席。カウント0-1から変化球を中堅前にはじき返した。オープン戦では2打席対戦したが、無安打。注目の対決でいきなり結果を出し、3試合ぶりの安打となった。
◆ヤクルト吉村貢司郎投手(25)がヒヤリとする場面があった。0-0の3回1死走者なし、阪神西勇のファウルで折れたバットが、吉村の顔周辺をめがけて飛んできた。とっさにグラブを出して見事に"キャッチ"し、ことなきを得た。その後、吉村は西勇を三振に仕留め、この回も無失点で切り抜けた。
◆オールスターのファン投票で最多得票数に躍り出た阪神近本光司外野手(28)が、御礼の一打を放った。3回の第2打席に吉村貢司郎から中堅打を披露。3試合連続安打で、ファンをわかせた。24日発表時点で、セ・リーグ外野手部門で5万5596票を集めて1位を堅守。前日まで最多のパ・リーグ捕手部門オリックス森の5万4910票を抜き、両リーグトップの得票数となっていた。
◆ほろ苦の「西西リレー」になった。阪神西純矢投手(21)が中継ぎで登板したが、痛恨の連続四球で逆転のきっかけを与えた。遠戚にあたる先発西勇が6回3失点で降板。バトンを受けて1点リードの7回から登板したが、1死を奪った後に2四球を与え、降板となった。中継ぎに配置転換されて以降、2試合目の登板。その後代わった救援陣が逆転を許し、流れをわたす展開となった。阪神は先発の西勇輝から2番手に西純矢をマウンドに送った。阪神の同姓投手のリレーとなると、72~76年に山本重政と山本和行が37試合に、76年に上田卓三と上田二朗が7試合に、それぞれそろって登板した例がある。
◆阪神が9回に試合をひっくり返して今季3度目の4連勝とした。4-5と1点を追う9回に2死一、三塁から佐藤輝明内野手(24)が右翼線へ2点適時打を放って逆転に成功した。貯金は今季最多13となった。終盤まで劣勢だった。1点リードの7回に2番手西純矢投手(21)が投入も1死から2者連続四球与え、1イニングを守ることもできずに交代。2死一、二塁から岩貞祐太投手(31)を送るも、ヤクルト村上に同点の右前適時打を打たれ、即交代。その後に勝ち越しを許していた。この日は2位のDeNAが巨人に0-1で敗戦。3ゲーム差と首位に立ってから最大差をつけた。
◆阪神佐藤輝明内野手(24)が、試合を覆す逆転打を放った。1点ビハインドの9回2死から3番ノイジーが三塁打などで一、三塁。守護神田口の直球を一振りで捉え、打球は右翼線に落ちる、2点適時二塁打。塁上では何度も胸をたたき、喜びを表現した。土壇場で試合をひっくり返す劇的打となった。
◆ヤクルト村上宗隆内野手(23)が一時同点の適時打を放ち「兄弟同日打点」を挙げた。1点を追う7回1死一、二塁、阪神岩貞の内寄り直球を右前にはじき返した。「後ろにつなぐ、その気持ちだけです。大振りせずにコンパクトに打つことが出来ました」と振り返った。この日は弟の日大・村上慶太内野手が東都大学リーグの駒大戦で、代打で初安打初打点をマークしていた。
◆神がかりの4連勝だ! 阪神が土壇場で試合をひっくり返した。1点を追う9回2死でシェルドン・ノイジー外野手(28)の放った飛球をヤクルトの右翼手が後逸し、三塁打で出塁。2死一、三塁で佐藤輝明内野手(24)が右翼線に逆転の2点二塁打を決め、劇的勝利となった。貯金を13に増やし、2位DeNAと3ゲーム差に広げた。神宮が沸き立つ。佐藤輝が二塁ベース上で両手を広げる。虎党で黄色に染まった左翼スタンドが揺れる。ベンチで仲間がバンザイしている。攻撃が終わるとみんなが迎えてくれた。「うおおお!」。声にならない声で叫ぶ。万雷の「輝コール」にまた、心が揺れた。「絶対に回ってくると思って準備していました」。こういう場面を待っていた。1点ビハインド。9回2アウトから試合が動いた。3番ノイジーの飛球をヤクルトの右翼並木が後逸し、三塁打で出塁。4番大山が四球でつないだ。覚悟は決まった。「初球からいこうと」。田口の初球の真っすぐをしばく。右翼線に打球が転がる。一塁走者大山が、長駆ホームイン。土壇場からの逆転2点適時二塁打だ。「最高で~す! めちゃくちゃうれしかったです!」。チーム単独トップ、リーグ2位タイの27打点。勝負強い5番が、ヒーローインタビューで神宮の夜空にさけんだ。憧れの先輩が太平洋を渡った。レッドソックス吉田正尚。22年1月、自主トレをともにした男の活躍は当然、気になる。時にテレビ中継を目にし、スマホで情報をチェックする。4月上旬。フェンウェイパーク左翼にそびえる特大フェンス、通称「グリーンモンスター」を越える1発を放ったシーンに震えた。同時に「僕もグリーンモンスターよりいきますよ」と言った。遠く離れていても、刺激を与えてくれる存在に違いない。WBCで世界一をけん引した先輩ばりの勝負強さで試合を決めた。最後の最後、左の主砲の一撃でひっくり返し、今季3度目の4連勝。岡田監督も「でっかい1勝やなあ。大きいより、もうちょっとデカいなあ。9回2死からやからな。野球てな、最後まで分からんてもう、本当にな。3アウト目まで分からんいうことや」と、この1勝の価値をかみしめる。先発全員安打で、貯金は今季最多13。2位DeNAに今季最大の3ゲーム差をつけた。18年ぶりの「アレ(=優勝)」へ独走に入ってもおかしくない勢いだ。「乗ってます! 明日も勝ちます!」。ヒーローになった背番号8は力強く約束し、神宮のファンへ手を振った。【中野椋】
◆阪神が1点を追う9回2死から逆転勝ちし今季3度目の4連勝。貯金も今季最多13とし、2位DeNAとのゲーム差は3に開いた。1点ビハインドの9回2死から3番ノイジーが三塁打などで一、三塁。佐藤輝明内野手(24)が、右翼線へ逆転の2点適時二塁打を放った。試合後の岡田彰布監督(65)の試合後の一問一答は以下の通り。-大きい勝利「なあ、ツーアウトやからなあ」-佐藤輝がしっかり打ってモノにした「そらツーアウトやんか。そこまでなあ、つないだということやからなあ」-ノイジーもしっかり三塁までいけた「うん、まあ。(右翼手は)照明にはいったんかなあ。たぶん。照明やろうな」-大山も一塁からよく走った「うん。いや、もうなあ。代走いなかったからなあ。延長があったしな」-西勇も6回、1点差でよく粘った「そうや。まあ、あそこで。最低、同点はいくと思ったけどなあ。まあ、その後よ。(西純の)あの2つのフォアボールよ」-前回と同じ形に「前回言うたことをそのままやってしもうたよな。(サンタナは)代走出る選手な。フォアボール出したら。松山と同じことやんか。投げるとこなくなってしまうよ、あんなことやってたら」-1点リードの7回を任せたのは期待「いやいや、ほんの3日前ぐらいの話やから。そやんか。3日、4日前か。3日や。2戦目やから」-6回は西勇に抑えきってもらう「そんなん当然やそんなん。そら追い越されるまで投げさせるよ。先発ピッチャーやねんから」-リリーフ陣も固定せずやっている。「なるべく連投というかなあ、最後はそら岩崎でいくんやけど、まあ状況によってやなあ。ベストメンバーじゃないやんか、リリーフ陣の、そういうこと、ここで固められへんやんか」-8回の1イニングを無失点の島本は初登板で初勝利「ええボール投げとったよなあ。うーん。勝ち投手や」-4年ぶり「ああ、そう(笑い)。オレもお前、初めてかな思て聞いたんよ、終わってから、ほんなら『前してました』言うから」-この前は大きい1勝と。今回は。「でっかい1勝やなあ。大きいよりもうちょっとデカいなあ。ええ(笑い)」-9回2死から。「そうやなあ。うーん。まあ、そういうことやな。野球てな。最後まで分からんてもう、本当にな3アウト目まで分からん言うことやろな」-相手にしては痛い1敗「いや、そんな、お前、相手のことは知らんがな。関係ない、相手のことなんか(笑い)自分とこの勝ち負けやからな、そんなもん」-6回も2死から8、9番で逆転「うん、だから、後ろもな、ヒットも出るしな、今はな。どっからでもチャンスとか作れるよな。そこで1本出るかやからな。どういう打順から始まろうとな」-吉村からも今日は2点「悪かったんちゃうか、あっこで交代したのはな。70球くらいで。こっちは知らんけど、交代したから逆に嫌やったわ。そのまま崩せそうやったからなあ」-2軍練習試合に登板した湯浅の報告は「報告はあったよ。そら言うことないけど、よかったらしいやん」(以下、バスの前)-もともと湯浅は投げない予定だったのでは「調子ええから投げたんやろ。はよ上がりたいらしいわ(笑い)。でも、まだなあ」-昇格はまだ「(2軍で)もう1回投げるよ」
◆ヤクルトは1点リードの9回2死走者から逆転を許し、6連敗となった。同2死から、ノイジーの打球を代走から右翼に入った並木秀尊外野手が後逸(記録は三塁打)。その後、一、三塁から守護神・田口が佐藤輝に痛恨の逆転二塁打を浴びた。並木は「照明に(打球が)全部かぶった。なんとか体に当ててでも前に落とそうと思ったんですけど...。自分のせいで負けたので次、こうならないようにやっていきたい」と振り返った。▽ヤクルト高津監督(4回を70球2失点で降板の吉村に)「状態が悪いっていう表現がいいですね。(今後の起用は)今の時点では何とも言えないです」
◆劇勝の裏に、再び主砲の激走あり-。阪神が佐藤輝明内野手(24)の右翼への2点適時二塁打で、9回に試合をひっくり返した。1点ビハインド。2死一、三塁からの一打。一塁走者として長駆ホームインしたのが、四球で出塁した大山だった。佐藤輝も「ナイスランです」と、試合後は感謝しきりだった。代走は送られなかった。岡田監督は「うん。いや、もうなあ。代走いなかったからなあ。延長があったしな」と説明。4番は猛然とダッシュし、決して間一髪ではないタイミングでスライディングし生還してみせた。大山は20日の広島戦(甲子園)の9回にも好走塁を決めていた。2死一、二塁の場面で二塁走者だった。森下翔太外野手(22)の左前打で一気にホームイン。ルーキーの初サヨナラ打をお膳立てしていた。三塁コーチャーの藤本内野守備走塁コーチが「悠輔も常に全力疾走してくれるし、常にかえるって気持ちを持ってくれてる子」と絶大な信頼を寄せる背番号3。またも仲間の活躍を演出してみせた。
◆阪神が1点ビハインドの9回2死から、逆転劇を見せた。口火を切った3番ノイジーは田口の直球をライナーで右翼へ。この打球に右翼手並木は走りながらグラブを出したが、捕球できずに後逸。フェンスまで届く三塁打となり、その後の勝ち越しを演出した。岡田彰布監督はこのプレーについて「(右翼手は)照明に入ったんかなあ。たぶん。照明やろうな」と語りつつ「野球てな、最後まで分からんて。本当にな、3アウト目まで分からん言うことやろな」と振り返った。 敗戦寸前でひっくり返し、今季3度目の4連勝。指揮官も認めた劇的勝利となった。
◆阪神西純の中継ぎ転向2戦目のマウンドはほろ苦い結果となった。遠戚の先発西勇からバトンを受け、1点リードの7回に登板。先頭山崎を投ゴロで打ち取ったが、その後2者連続四球を与えて降板。プロ初ホールドはならなかった。「他の中継ぎの人に迷惑かけてしまって申し訳ない気持ちでいっぱい。輝さんだったりシェルドンが打ってくれて、チームが勝ったので本当に良かった」。初の"西西リレー"となったが、悔しさをにじませた。○...先発西勇が6回3失点と粘った。2点リードを奪った直後の6回、塩見に適時二塁打を浴びたものの同点には追いつかれなかった。「西西リレー」をつないだ2番手西純が崩れ、その後、逆転を許し3勝目とはならず。それでも「ピンチで野手が声をかけてくれて心強かったですし、梅野もリードで引っ張ってくれたので、なんとか粘りながら最低限試合を作れたかなと思います」とうなずいた。阪神は先発の西勇から2番手に西純をマウンドに送った。阪神の同姓投手のリレーとなると、72~76年に山本重政と山本和行が37試合に、76年に上田卓三と上田二朗が7試合に、それぞれそろって登板した例がある。
◆阪神島本浩也投手(30)が1392日ぶりの勝利を挙げた。今季初登板は1点ビハインドの8回。「ゼロで抑えて、次の回にいい流れを持っていけるようにと思って投げました」。ヤクルト先頭の長岡をフォークで空振り三振。中村には右前打を打たれたが、崩れなかった。代打浜田を中飛とし、最後は山崎を遊ゴロに仕留め、電光掲示板に「0」を刻んだ。「逆転すると思って、見ていました」。9回に佐藤輝が逆転の2点二塁打を放ち、勝ち投手になった。19年8月1日中日戦(甲子園)以来の白星。指揮官は「ええボール投げとったよなあ。うーん。勝ち投手や」とたたえた。20年11月に左肘のトミー・ジョン手術を受け、昨年8月に1軍で復帰登板。今季は尊敬してやまない岩崎との自主トレに初参加した。「岩崎さんは中継ぎの左ピッチャーで一番実績もあって、すごいなと思う。自分もそういう投手になれるように」。鉄仮面の極意や、勝負時の駆け引きの話をメインに吸収した。この日は師匠の前で、有言実行の好投を披露。9回へバトンをつないだ。試合後、島本は岩崎から記念球を渡された。その姿を見た岡田監督はベンチ前で待ち構えていた。「初めてかな思って聞いたんよ、終わってから。ほんなら前(に勝利)してましたって言うから」と初勝利で記念撮影があると思いこんでいた。思わず2人で笑みを浮かべた。好投も光り、15年4月2日からの121試合連続無敗と球団記録も更新した。育成出身のプロ13年目。「しっかりゼロで抑えられたことがよかったかなと思います」。記念球をぎゅっと握りしめ、勝利に浸った。【三宅ひとみ】
◆阪神ドラフト1位森下が神宮でのプロ初安打を放った。2回1死一塁、ヤクルト吉村の低めスライダーを中前へはじき返し、スタンドも大盛り上がり。中大時代、神宮は東都リーグの主戦場。両親が観戦する中「Hランプ」をともした。「いい形で振れているので後は継続して。あとは結果を出すだけなので、このままやっていきたいです」と笑顔で振り返った。
◆得点圏の鬼! 阪神近本が、一時勝ち越しとなる適時内野安打を放った。2-2の6回2死二、三塁。ヤクルトの左腕山本から二塁へゴロを放った。猛ダッシュで一塁に駆け込むと、山田の一塁送球が大きくそれて、二塁走者も生還。自身も二塁に進んだ。「西さんがつないでくれたので、なんとかという思いでした。いい当たりではなかったですが、タイムリーになってくれてよかったです」。直前に二塁打でチャンスメークした先発西勇の思いを背負い、バットを振った。この一打で得点圏打率は5割に到達。「しっかり打つだけなんで」と言葉少なだったが、4割5分8厘で2位のDeNA宮崎を大きく上回るクラッチヒッターぶりを発揮。打点も1番ながら、24打点目を記録し、主軸の佐藤輝、大山に次ぐチーム3位だ。3回にも中前打を放ち、今季16度目のマルチ安打となった。オールスターのファン投票では、前日まで最多のパ・リーグ捕手部門オリックス森の5万4910票を上回る5万5596票を獲得。両リーグトップの得票数に躍り出た。神宮の虎党に、人気の理由を実力で示した。【波部俊之介】○...梅野が序盤の流れを呼び込む同点打を放った。大山、佐藤輝の連打などで1死満塁とした4回。フルカウントから先発吉村の125キロスライダーを捉え、二遊間を抜く2試合連続の安打を決めた。今季全試合でバッテリーを組む先発西勇を援護する適時打。「みんなでつないでつくったチャンス。西さんも頑張ってくれていたので、どんな形でもランナーをかえしたいと思っていた」と会心だった。○...木浪が今季9度目のマルチ安打をマークした。同点に追いついた直後の4回1死満塁。7打数無安打と抑え込まれていた先発吉村の直球を捉え、三遊間を破る適時打を放った。「追いついた直後のいい流れ。ゲッツー崩れでもいいくらいの気持ちで必死に食らいついた。タイムリーになってくれてよかった」。同点の6回には左腕山本から三塁線を抜く2本目の安打で出塁し、一時勝ち越しを演出した。
◆両軍のスターティングメンバーが発表。阪神は西勇輝投手(32)が先発する。前回登板した17日の中日戦(バンテリンドーム)では7回5安打1失点で今季2勝目をマーク。抜群の制球力を駆使したコーナーを突く投球で、チームを今季3度目の4連勝に導く。打線は今季3度の対戦で2敗、防御率1・06と苦しめられているヤクルトのドラフト1位・吉村(東芝)と4度目の対戦。好調の猛虎打線が、苦手を払しょくする。
◆阪神のドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=が二回1死一塁の第1打席でチーム初安打となる中前打を放った。カウント0-1から、ヤクルトのドラフト1位・吉村(東芝)のスライダーを捉えた。中前に運ぶ一打で好機を演出。中大時代に主戦場とした思い出の神宮では、これが初安打となった。チーム全体として苦手とする吉村を、ルーキーが撃ち、チャンスを作ったが、後続が倒れ無得点に終わった。
◆阪神・梅野隆太郎捕手(31)が0-1の四回1死満塁で同点の中前適時打を放った。1死から大山が左前打、佐藤輝が左翼線へ二塁打を放って二、三塁の好機を作ると、D1位・森下(中大)が死球で満塁。梅野が打席に向かった。フルカウントから6球目、ヤクルトのD1位・吉村(東芝)のスライダーを捉えると、打球は二遊間を抜ける同点打。梅野の出場2試合連続安打&打点で試合を振り出しに戻した。阪神はなおも1死満塁で、木浪が打席へ。カウント0-2から4球目、低めの直球に合わせると、左前に弾むタイムリー。苦手とする吉村からこの回4本のヒットを重ね、一気に逆転した。
◆「松山DAY」として開催され、ヤクルト・久保拓真投手(26)の妹で伊予銀行ヴェールズ女子ソフトボール部の久保和咲捕手(23)が始球式を行った。「初めてこんな大勢の方の前で立ったので、本当に緊張した。兄からは『思い切って投げてこい』といわれたので、その通り思い切り投げました」緑を基調とした所属チームのユニホーム姿で登場。中学から現在まではソフトボールをプレーするが、兄の影響で小学2年から野球を始め、小学6年時にはソフトバンクジュニアに選ばれた実力を発揮し、見事にストライク投球をみせた。現在は2軍で調整中だが、兄が活躍する神宮のマウンドに立ち「あそこで投げていると思うと、すごいなと思う」と尊敬のまなざしを向けた。
◆阪神・中野拓夢内野手(26)が五回の第3打席に左前へ二塁打を放ち、11日のヤクルト戦(甲子園)から自己最長を更新する12試合連続安打とした。カウント0-2から、同じ三菱自動車岡崎からプロの世界へと飛び込んだ左腕・山本のスライダーを捉えた。左翼手・山崎がダイビングキャッチを試みるも打球は外野芝生を転々。一気に二塁へと到達した。
◆阪神が勝ち越し。近本光司外野手(28)が適時内野安打を放った。2-2で迎えた六回。2死から木浪が三塁線を破るヒットを放つと、西勇が今季初安打となる二塁打で二、三塁の好機を作った。打席には近本。カウント1-1から左腕・山本の変化球に食らいついた。二遊間を襲った打球に、近本は激走。二塁手・山田がジャンピングスローもこれが悪送球となり、二走・西勇も生還した(記録は近本が1打点、二走の生還は失策)。
◆阪神の先発・西勇輝投手(32)が大ピンチを抑えた。4-2と勝ち越して迎えた六回。先頭の山田に不運な中前打を許すと、村上にも右前打で無死一、二塁。塩見に右翼フェンス直撃の適時二塁打を浴び、4-3でなおも無死二、三塁の大ピンチを背負った。それでもオスナを空振り三振。長岡は三邪飛と同点のホームを踏ませない。代打・川端は申告敬遠で満塁。ここで代打・太田。フルカウントから6球目で二ゴロに仕留め、マウンドで雄たけびをあげた。
◆踏ん張り切れなかった。ヤクルトのドラフト1位・吉村貢司郎投手(25)=東芝=が今季8度目の登板となる阪神戦に先発。4回6安打2失点でマウンドを降りた。「つながりだったり、一発だったり打力があるチームなので、自分のボールをしっかりと投げつつ、相手を見ながら投げられたらと思う」首位を走る阪神打線を警戒して臨んだ。試合前の時点で3試合で2勝0敗、防御率1・06という相性の良さはあったものの「全然そんなことはない」。慢心はなかったが、流れを呼び込めなかった。1点リードの四回だった。1死から大山、佐藤輝に連打を浴び、森下に死球を与えて満塁。梅野に中前適時打、木浪に左前適時打とされた。何とか西勇を二ゴロ併殺打に抑えたが、ここで交代。悔しさの残る70球だった。自身のバットで得点を入れただけに、勝ち星につなげたかった。三回1死三塁の第1打席に右犠飛を放ち、プロ初打点をマーク。その直後に一時勝ち越しを許してしまった。開幕前、高津監督は右腕について「失敗と成功を繰り返して、いろいろ勉強になったらいい」と成長を期待した。チーム状況は苦しいが、ルーキーらしくフレッシュな気持ちでマウンドに立ち腕を振る。失敗を糧にし、成功につなげるだけだ。(赤尾裕希)
◆阪神・西純矢投手(21)が2番手で4-3の七回のマウンドに上がった。先発・西勇輝に後を託されてマウンドへ。場内に「阪神のピッチャー、西に代わりまして西」とコールされると、大きな歓声が沸き起こった。先発から中継ぎに配置転換された西純は19日の広島戦(甲子園)以来の登板。先頭の山崎は投ゴロに仕留めたが、続くサンタナに四球を与えた。1死一塁から迎えるはヤクルトのクリーンアップ。山田にも四球を与え、1死一、二塁としたところで無念の降板となった。
◆待望の神宮初安打が飛び出した。阪神D1位・森下翔太外野手(22)=中大=が二回1死一塁から中前打。前日は公式戦初の神宮の試合で4打数無安打に終わっていたが、ヤクルトのD1位・吉村(東芝)とのドライチ対決を制した。先制を許した直後の四回には、打線が一丸となって難攻不落の右腕へ襲いかかった。梅野が力強く振り抜いた鋭い打球は、二遊間を突破。吉村から大きな1点をもぎ取ると、球場の雰囲気は一変した。「みんなでつないで作ったチャンスでしたし、西(勇)さんも頑張ってくれていたので、とにかくどんな形でもランナーをかえしたいと思っていました」1死からまずは4番・大山が左前打を放つと、続く佐藤輝は内角直球をフルスイングではじき返して左翼線に落とし、二、三塁。森下も死球で出塁し、満塁のチャンスが訪れた。ここで打席に向かったのが梅野。二回の第1打席では1死一、二塁の先制機で三ゴロ併殺と悔しい結果に終わっていたが、リベンジした。フルカウントからやや高く浮いたスライダーを打ち返す。打球は果敢に飛び込む二塁・山田のグラブをすり抜けて中前へ。すぐさま試合を振り出しに戻した1点は、女房役としても西勇への大きなプレゼントになった。この一打に木浪もしっかりと続く。外角いっぱいに投げ込まれた直球に食らいつき、バットの先に当てて三遊間を破って、勝ち越し。逆転に成功し、右腕をこの回限りでマウンドから引きずり下ろした。ルーキー右腕にはこの試合まで今季3度の対戦で、プロ初勝利を含めて早くも2勝を献上。防御率1・06とカモにされ、前回対戦した5月9日(甲子園)で6回零封に抑え込まれると、岡田監督が「あんまり苦手意識作ったらアカンよなあ。もう吉村にずっとなあ。3回目やからなあ」と嘆いていた。それでも、この東京遠征に乗り込む22日の指揮官は「あれ以上(の好投)はないよ。今度は打つとは思うで。まあ打ってくれんと困るから。何回も何回も(打てなかったから)」とニヤリ。そう予感した通り、初めて2点を取って早期降板に追い込んだ。2-2の六回には、2死二、三塁から近本の二塁への適時打と相手の悪送球で2点を勝ち越した。(須藤佳裕)
◆阪神が七回に逆転された。4-3で迎えた七回。2番手の西純が1死から乱れる。2者連続四球で1死一、二塁。4番・村上を迎え、岡田監督は左腕・岩貞にスイッチした。しかし村上に右前適時打を浴びて同点。なおも1死一、三塁のピンチで今度は加治屋をマウンドへ送った。打席には塩見。三ゴロに打ち取ったが、三ゴロ併殺崩れの間に、三走が生還した。一塁走者の判定に対して、リクエストを要求した岡田監督だが、リプレー検証の結果も判定は変わらず。終盤に突入したタイミングで痛い失点となった。
◆阪神が逆転勝ち。4-5で迎えた九回に2死からノイジーが三塁打。大山が四球で一、三塁の好機を作ると、佐藤輝が田口の初球を右翼線に運ぶ2点二塁打で逆転した。投手陣は4-3で迎えた七回に、2番手・西純が連続四球でピンチを招くと、岩貞が村上に同点打。加治屋が三ゴロ併殺崩れの間に一時勝ち越しを許したが、野手陣が救った。先発の西勇は6回7安打3失点と粘投。阪神は今季3度目の4連勝で貯金13。2位・DeNAが敗れたため、ゲーム差は3に広がった。
◆阪神が逆転勝ちで4連勝。今季最多貯金を「13」に更新した。1点を追う九回、田口麗斗投手(27)を攻め、二死無走者からシェルドン・ノイジー外野手(28)が三塁打、大山悠輔内野手(28)が四球を選び、佐藤輝明内野手(24)の右翼線への2点二塁打で、試合を決めた。島本浩也投手(30)が2019年8月1日の中日戦(甲子園)以来の白星。岩崎優投手(31)が8セーブ目。五回に二塁打をマークした中野拓夢内野手(26)は自己最長の12試合連続安打。「6番・右翼」のD1位・森下翔太外野手(22)=中大=は2打数1安打1死球1三振だった。チームは昨年8月以来の4カード連続勝ち越しで、DeNAと3差。岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(成績=27勝14敗1分、観衆=2万7185人)。ーー大きい勝利「ツーアウトやからなあ」ーー佐藤輝がモノにした「そらツーアウトやんか。そこまでなあ、つないだということやからなあ」ーーノイジーもしっかり三塁までいけた「うん、まあ。(右翼手の並木は)照明に入ったんかなあ。たぶん。照明やろうな」ーー大山も一塁からよく走った「代走いなかったからなあ。延長があったしな」ーー西勇も六回、1点差でよく粘った「最低、同点は行くと思ったけどなあ。その後よ。(七回に登板した西純の1死からの)2つのフォアボールよ」ーー前回と同じ形に(19日の広島戦で四球から失点)「前回言うたことをそのままやってしもうたよな。代走出る選手にフォアボール出したら(四球出塁のサンタナに代走・並木)。(広島の)松山と同じことやんか。投げるとこなくなってしまうよ、あんなことやってたら」ーーあそこを任せたのは期待「ほんの3日前ぐらいの話やから。そやんか。3日、4日前か。3日や。2戦目やから(20日の試合前にアドバイス)」ーー島本は初登板で初勝利「エエボール投げとったよなあ。うーん。勝ち投手や」ーー4年ぶり「あぁ、そう(笑)。俺もお前、初めてかな思て聞いたんよ、終わってから、ほんなら前してました言うから」ーーこの前は大きい1勝と。今回は「デッカイ1勝やなあ。大きいよりも、ちょっとデカいなあ。エエ(笑)」ーー九回二死から「そうやなあ。うーん。まあ、そういうことやな。野球てな。最後まで分からんてもう、本当に3アウト目まで分からん言うことやろな」ーー相手は痛い1敗「相手のことは知らんがな。関係ない、相手のことなんか(笑い)。自分とこの勝ち負けやからな、そんなもん」ーー六回も2死から8、9番で逆転「後ろもヒットも出るしな、今はな。どっからでもチャンスとか作れるよな。そこで1本出るかやからな。どういう打順から始まろうとな」ーーヤクルト・吉村からも2得点「悪かったんちゃうか、あっこで交代したのはな。70球くらいで。こっちは知らんけど、交代したから逆に嫌やったわ。そのまま崩せそうやったからなあ」ーー湯浅の報告は(2軍の練習試合に登板)「報告はあったよ。そら言うことないけど、よかったらしいやん」ーー元々投げない予定だったのでは「調子エエから投げたんやろ。はよ上がりたいらしいわ(笑い)。でも、まだなあ」ーー昇格はまだ「もう一回投げるよ」
◆現役時代は南海、西武に所属し、引退後は西武、ダイエー、阪神の3球団でヘッドコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家・黒田正宏氏(75)はヤクルトのD1位・吉村貢四郎投手(25)=東芝=から2点を奪った打線を評価すると同時に、1/3回を投げ、2四球2失点の西純矢投手(21)にも言及した。見事な九回2死から逆転劇だった。どこからでも点が取れる打線は相手にとって脅威だろう。価値ある1勝だが、「苦手な相手」になりかけていたヤクルト先発・吉村を攻略したことを評価したい。今まで緩急に苦しんでいたが、この日は各打者にセンター返しの意識が徹底されていた。二回に森下がチーム最初の安打を中前に放った。三回の近本も中前だった。2点を奪った四回も佐藤輝の左翼線二塁打は気持ちはセンター返しだったし、梅野の同点打も中前。力任せになりすぎず、素直にバットを出した結果が攻略に結びついた。春先の相性は選手は意識していないものだが、開幕から2カ月、3カ月と打ち崩せない時期が続くと雑音が入ってきて、意識する。点を奪えたのは今後に明るい材料。試合にも勝ったことで吉村への嫌なイメージは全く残らない。意味のある1勝だ。心配なのは西純。抜群の制球力を持っている投手ではないのだが四球、四球では検証すらできない。内角を打たれた、外角を打たれた、変化球を打たれた...なら課題解消の糸口は見つけやすい。制球難は送り出す首脳陣も一番困る。次のチャンスをもらうためにも、大いに反省してもらいたい。
◆最後にドラマが待っていた!! 阪神はヤクルトに6-5で逆転勝ちし、4連勝。1点ビハインドの九回2死走者なしの崖っぷちから一、三塁のチャンスを作り、佐藤輝明内野手(24)が試合をひっくり返す2点二塁打を放った。執念でもぎ取った大きな1勝。今年の虎はゲームセットまで絶対にあきらめない!!神宮の奇跡が、虎党に歓喜の渦を巻き起こす。最後まであきらめなかった。佐藤輝のバットから放たれた白球は右翼線で弾む。野球は九回2アウトから-。ドラマのような逆転劇の主役となった男は、二塁ベース上で何度も、何度も右手を握りしめた。「相手もいい投手ですし、強い球を投げてくるので、しっかり振ろうと思っていました。『絶対打つ』って決めていたので、その結果の通りになってよかった」先行され、逆転し、追いつかれ、勝ち越しては逆転されるシーソーゲーム。勝負はどちらに転ぶかわからない展開で迎えた4-5の九回。ヤクルトの守護神・田口の前に、虎は簡単に2死に追い込まれた。ただ、ドラマはここから始まる。3番・ノイジーが三塁打。ネクストバッターズサークルに入った佐藤輝は集中力を高めた。「絶対に回ってくると思って準備していました」。大山が四球でつなぎ、2死一、三塁。田口の初球、内角高め直球を振り切り、白球を右翼線に運んだ。逆転の2点二塁打に神宮が地鳴りのような歓声に包まれた。
◆白球が右翼後方に転がっていくのを確認すると、迷わず二塁を蹴った。虎党の大歓声が響き渡る中、183センチ、105キロの巨体が揺れる。三塁ベースを悠々と踏み、息を弾ませた。九回2死からの逆転劇はノイジーから始まった。「出塁することが一番大事だったので、できてよかったね」4-5の九回2死走者なしで打席に立つと、守護神・田口にカウント1―2と追い込まれても顔色一つ変えない。狙いすましていたかのように5球目の直球を振り抜くと、ライナー性の打球は右翼へ。前進しながら捕球を試みた並木の目の前で白球は弾み、右翼後方へ転々。来日45打席目で初の三塁打を記録した。その後、佐藤輝の二塁打で代走の植田が同点のホームを踏み、一走の大山も勝ち越しのホームイン。逆転劇を呼び込んだノイジーは、ナインと喜びを分かち合った。前日23日は3ランを含む5打点の大活躍を見せ、この日は5打席目で快音を響かせてダイヤモンドを駆け回った。その大きなストライドが虎の勝利へ大きく前進させ、「走るだけだったよ」と冷静に振り返った。岡田監督は「(右翼手は打球が)照明に入ったんかな」とニンマリ。敗戦してもおかしくなかった状況から運も味方につけて、試合をひっくり返した。2月の春季キャンプからノイジーが徹底しているのは、目いっぱいの力でスイングせずにボールに確実にコンタクトすることだ。「いつも外野の間にライナー性の当たりを打つことを意識している」と本人が話すように、試合前の打撃練習でもリラックスした状態でライナー性の打球を外野に飛ばす。この日の九回も練習通りの鋭い打球がドラマを生んだ。勝負強い打撃に加え、チームのためなら全力疾走も体を張った守備もいとわない。そんな頼れる背番号「7」が虎の快進撃を支えている。(織原祥平)
◆九回2死からの逆転劇を演じた後の神宮球場内のクラブハウス。阪神・岡田監督は興奮冷めやらぬ表情で〝ミラクル勝利〟の余韻に浸った。「野球てな。最後までわからんて。本当にな、3アウト目まで、わからん言うことやろな」ノイジーの打球が右翼に上がった瞬間、一度は負けを覚悟した。4-5で迎えた九回2死走者なし。右翼手・並木が、照明とボールが重なって後逸(記録は三塁打)したのがドラマの始まりだった。このあと大山が四球。続く佐藤輝の右翼線への当たりで、代走の三走・植田に続き、大山が激走で、勝ち越しのホームを踏んだ。この日の相手先発はD1位・吉村(東芝)。これまで3戦2勝、防御率1・06と手玉に取られていた。そんな〝難敵〟から四回までに2点を奪い、マウンドから引きずり下ろした。しかし、4-2の六回、先発の西勇が塩見に適時二塁打を浴びると、七回に登板した西純が1死から連続四球。そのあとリリーフ陣がつかまって逆転を許し、流れは完全にヤクルトだった。そんな敗戦の気配が漂う展開を、土壇場の九回2死から頼れるクリーンアップが変えてみせた。「そこまでなあ、つないだということやからなあ」と岡田監督。野球は、最後の最後まで何が起こるかわからない。あきらめない虎が手にした大きな1勝をアレにつなげていく。(三木建次)
◆土壇場逆転の余韻が収まる気配がない中、冷静な表情で試合を締めた。さすがは百戦錬磨の男。虎の最終回を任される岩崎は、やっぱり頼もしかった。「はい、よかったです」6―5と主導権を奪うも、一発出れば同点で、打順は2番から。そんなもうひとヤマありそうな巡り合わせも、先頭の代打・西田を空振り三振に斬り、山田は遊直に抑えて2死とすると、最後は村上をスライダー5連投で二ゴロに仕留めた。これで14試合連続無失点となり、直近9試合で1勝8セーブと安定感は抜群だ。20日の広島戦(甲子園)から4試合連続登板となっても「勝っているし、一日空いているし、はい。頑張ります」。らしさ全開のコメントが、好調を物語っていた。(須藤佳裕)
◆この試合まで勝ってしまうんだ...。九回2死。絶対に負けを覚悟していたアナタ、岡田阪神を甘く見てはいけない。42試合目で早くも27勝。このペースで勝っていけば、シーズン92勝になる。ひょっとしたら、驚異的なプロ野球記録を樹立して優勝してしまうんじゃないか。だって負ける気がしないんだから。この先、毎日が記録ラッシュの予感がしてきた。ただ、プロ野球の記録なんてものは、そこらじゅうに転がっている。昨夜の試合でいえば、中野が自己最長の12試合連続安打を放ったとか。島本がタナボタ初勝利をマークしたとか。個人の〝ささやかな〟記録もあれば、完全試合のようなとびっきりの記録もある。それをド派手に(?)読者にお伝えするのも、新聞社の務めであります。81年前の1942年5月24日。後楽園球場で行われた大洋-名古屋は、何と延長28回の死闘になった。打ち切り制が導入されている日本のプロ野球ではルール上、これを上回ることはもう不可能。おそらく日本プロ野球界不滅の大記録だ。参考までに、この試合はトリプルヘッダー(そんなことをやっていたんだ)の3試合目。そして結果は日没引き分け。もしナイター照明があったら、戦いはどこまで続いていたんだろう。昨日、実はサンスポのトラ番にも超個人的ではあるが、大記録が生まれた。野球小僧がそのまま大人になった男、こよなく野球を愛する須藤佳裕が、神宮球場でヤクルト-阪神を取材。「900試合野球観戦」を達成したそうだ。「子供の頃から収集癖がありまして。観戦したチケットをすべて残していたんです。どうしたらいいかな? と思っていた時に見つけたのが、野球観戦専用のノート。そこにチケットを貼りつけ、見た試合をずっと記録してきたんです」
◆右翼・並木の守備には、やはり触れざるを得ないだろう。九回、後ろにそらして三塁打にしたノイジーの打球は、通常ならノーバウンドでキャッチできるライナー。並木のしぐさからして、照明が目に入ったと考えるのが妥当で、ツキがなかった...と、いえなくもない。それでも、本拠地なのだから、照明の位置とプレーに及ぼす影響は、熟知しているはず。正面からまっすぐ行くのではなく、照明を避けるように、視線と動きをずらして捕球するのが正解だ。何より、外野手は〝最後のとりで〟。後ろに野手はいないのだから、体に当ててでも止めねばならない。打球を怖がることなく、気迫を前面に押し出すべき場面だった。打順を大きく組み替え、七回に逆転にこぎつけた。リリーフ陣も盤石で、逃げ切り成功-。九回2死まではヤクルト本来のシナリオだっただけに余計、もったいない。むしろ阪神の方が、ヤクルトの株を奪う戦い方をしている。大山が粘って四球を選び、佐藤輝が最後に一撃。みな、必死だ。このチームは手ごわいということも、付け加えておく。(サンケイスポーツ専属評論家)
◆悔しい~!! 九回2死無走者から逆転勝利した強い強い阪神を表現する『ミラクル』以上の言葉を知らない自分の無知が悔し~い!!本日、神宮球場のほぼネット裏最前列で観戦していた俺は、八回終了して負けていても必ず逆転すると信じていたのだ!ところが九回2死からノイジーの三塁打が出たとき、あ~大山と佐藤輝を申告敬遠で歩かせ満塁で次打者勝負をされたら勝ち目なし...。と内心あきらめていたら、佐藤輝と勝負してくれた~!! それ以上に逆転打のサトテルちゃん「サイコーでーす!!」。その一方で先発西勇輝の白星を消す原因の2四球を出した遠戚にあたる西純矢は大丈夫か!? これが西家のお家騒動に勃発したりしないか心配や~! は冗談だけど本日もコントロールを乱した西純矢しっかりせーや!!岡田さんはゲーム差や貯金より、アレのための勝利の方程式かつてのJFKに並ぶ『JIY』(純矢、岩崎、湯浅)をつくることが大切だと考えているに違いないのだ!! にしても、猛虎はやっぱり言葉はわからないけど、ミラクル以上に強し!!
◆阪神先発の西勇は6回3失点で試合を作った。4―2の六回は無死から3連打で1点差とされるも、オスナを空振り三振、長岡を三飛、太田を二ゴロに抑え追加点は許さず。ガッツポーズでマウンドを降り「周りがしっかり声をかけてくれた。本当に頼もしくマウンドにいることができた」と感謝した。打っては六回2死一塁から中堅へ二塁打を放ち、近本の適時打を呼び込んだ。今季初安打が得点につながり「たまたま打って、ああやって得点にからんだのはすごいよかった」と喜んだ。
◆阪神・梅野が0―1の四回1死満塁で中前同点打を放った。「みんなでつないで作ったチャンスでしたし、西(勇)さんも頑張ってくれていた。とにかくどんな形でもランナーをかえしたいと思っていた」。打線全体で苦戦していた吉村に見舞った効果的な一打で、一時逆転のイニングを演出。3打点を挙げた21日の広島戦(甲子園)から2試合連続適時打とし「いまはヒットゾーンに飛び始めている。まあいいのかな」とうなずいた。
◆阪神・島本が1点ビハインドの八回に今季初登板。1回無失点と好投すると、九回に打線が逆転し、2019年以来4年ぶりの白星が舞い込んだ。「ゼロで抑えて、次の回にいい流れに持っていけるようにと思って(投げた)」。先頭の長岡を空振り三振に仕留め、右前打を浴びるも後続を抑えた。試合後は岩崎からウイニングボールを受け取り、笑顔だった。
◆阪神・木浪は1―1の四回1死満塁で、左前へ適時打。見逃せばボールだった外角低めへの球に逆らわず、三遊間を破ってリードを奪った。「いい感じで打ちにいけていたというのが、一番よかったかなと思います」。六回も2死から左前打を放ち、打率を近本(・321)に次いでチーム2位の・316とした。
◆阪神・西純が4―3の七回、プロ入り後初めてホールドシチュエーションで登板したが、1死から連続四球でピンチを招き、交代させられた。「冷静な気持ちではいけなくて、すごく力んでしまった」。結果は?回で2失点。交代後にチームは逆転され、危うく敗戦投手となるところだった。先発からの配置転換で中継ぎとして出番をもらう中での苦しい投球。岡田監督は「投げるとこなくなってしまうよ、あんなことやってたら」と厳しかった。
◆阪神・中野が五回の第3打席で左前へ二塁打を放ち、自己最長の12試合連続安打とした。「安打が続いていることは、自分自身1日1本打とうと思っているので、そこは良いと思う」。同じ三菱自動車岡崎からプロ入りした左腕・山本のスライダーを捉えて記録を伸ばした。打率も16日の中日戦(豊橋)から3割を維持する背番号51は「以降もしっかりと、良い内容の打席が迎えられるように」と先を見据えた。
◆阪神D1位・森下(中大)は二回1死一塁で中前打を放ち、大学時にもプレーした神宮での公式戦で初安打。両親が球場に駆け付けた中で安打が生まれ「1本は打てたのでよかった」と胸を張った。四回は1死二、三塁の好機で打席に入り、死球でその後の2本の適時打を演出。さらなる活躍に向け「いい形で振れていると思うので継続して、あとは結果を出すだけだと思っているので、そのままやっていきたい」と前を向いた。
◆阪神・近本は2―2の六回2死二、三塁から二遊間に放った当たりが二塁への適時内野安打になった。悪送球も重なって2点を一時勝ち越し。「結果的にヒットになったので、それで2点も入ったのでよかった」とうなずいた。この一打で得点圏打率は再び・500(36打数18安打)に到達。この日、オールスターのファン投票中間発表で両リーグトップ(5万5596票)に立った背番号5が、きっちり役割を果たした。
◆阪神・大山は九回2死三塁で四球を選んだ。「自分が決める気持ちで打席に入っていましたけど、そこは冷静に打席にしっかりと入れたので、結果、四球になった」。続く佐藤輝の右翼線への当たりで一塁から全力疾走し、逆転のホームイン。「(佐藤輝が)打った瞬間にもう走るだけだと思っていました」と決死の激走に、佐藤輝も「いやー、もう、それはナイスランです」とたたえた。
<セ・リーグ順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
阪神 |
27 | 14 | 1 | 0.659 (↑0.009) | - (-) |
101 | 173 (+6) | 123 (+5) | 22 (-) | 22 (-) |
0.254 (↑0.002) | 2.710 (↓0.05) |
2 (-) |
DeNA |
23 | 16 | 1 | 0.590 (↓0.015) | 3 (↓1) |
103 | 169 (-) | 156 (+1) | 39 (-) | 8 (-) |
0.267 (↓0.002) | 3.680 (↑0.06) |
3 (-) |
巨人 |
22 | 21 | 0 | 0.512 (↑0.012) | 6 (-) |
100 | 168 (+1) | 182 (-) | 49 (+1) | 10 (+1) |
0.250 (-) | 4.100 (↑0.1) |
4 (-) |
広島 |
21 | 21 | 0 | 0.500 (↑0.012) | 6.5 (-) |
101 | 150 (+6) | 142 (+2) | 31 (+2) | 17 (-) |
0.248 (-) | 3.120 (↑0.05) |
5 (-) |
ヤクルト |
17 | 24 | 2 | 0.415 (↓0.01) | 10 (↓1) |
100 | 150 (+5) | 175 (+6) | 41 (-) | 27 (-) |
0.229 (↑0.001) | 3.690 (↓0.03) |
6 (-) |
中日 |
14 | 28 | 0 | 0.333 (↓0.008) | 13.5 (↓1) |
101 | 110 (+2) | 142 (+6) | 13 (-) | 9 (-) |
0.239 (-) | 3.000 (↓0.06) |
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