阪神(★7対10☆)広島 =リーグ戦7回戦(2023.05.19)・阪神甲子園球場=
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広島
500021011101201
阪神
00115000071023
勝利投手:ケムナ 誠(2勝0敗0S)
(セーブ:矢崎 拓也(3勝0敗3S))
敗戦投手:及川 雅貴(1勝1敗0S)

本塁打
【広島】堂林 翔太(2号・9回表ソロ)
【阪神】ノイジー(3号・3回裏ソロ),佐藤 輝明(8号・4回裏ソロ),大山 悠輔(4号・5回裏3ラン)

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◆広島は初回、4本の適時打で一挙5点を先制する。その後7-7となって迎えた6回表には無死一二塁から松山の適時打が飛び出し、勝ち越しに成功した。投げては、2番手・ケムナが今季2勝目。敗れた阪神は、最大5点差を追いつく粘りを見せるも、投手陣が崩壊した。

◆中継ぎに配置転換となった阪神西純矢投手(21)が、1軍本隊に再合流した。甲子園の室内練習場でキャッチボールやダッシュなどで調整。「またこうやって1軍で投げさせてもらえるので、どういう場面で投げるのかはわからないですけど、しっかりと投げさせてもらえる場所で一生懸命やりたい」と力を込めた。今季は開幕ローテーション入りを果たすも、4回途中5失点で2敗目を喫した4月20日の広島戦(甲子園)の翌21日に1度出場選手登録を抹消。再び1軍に昇格し、5月14日のDeNA戦(甲子園)では勝ち投手となったが、5回4失点(自責3)と精彩を欠き、首脳陣が中継ぎの配置転換を決めた。岡田監督は15日に右腕について「短いイニングで全力でドーンといく方が力発揮できるかも分からへん。(勝ちパターンでも)全然使えるからなあ」と話していた。

◆阪神ドラフト1位森下翔太外野手(22)が19日、出場選手登録された。試合前は甲子園室内練習場で打撃練習などで汗を流した後、取材に対応。1軍再昇格に「1回落ちて悔しい思いをしたので、あの思いをしないように。1軍でしっかり結果を出していきたい」と決意を込めた。森下は「6番右翼」で開幕スタメン出場したが、11試合、打率1割6分1厘、0本塁打、5打点で4月17日に降格した。約1カ月の2軍生活では19試合すべてスタメン出場し、打率3割、2本塁打、12打点。17日2軍中日戦(ナゴヤ)では、岡田監督が視察に来た1時間の間に2点適時二塁打、3ランと5打点を稼ぎ猛アピールしていた。7連勝中と波に乗るチームをさらに加速させることができるか。「自分が入ったことによって、いい流れを途絶えさせないように。チームの一員として頑張りたい」と力を込めた。代わって井上広大外野手(21)、小野寺暖外野手(25)が出場選手登録を抹消された。

◆ユーチューバー「コヤッキースタジオ」のコヤッキーととーやが、ファーストピッチセレモニーに登場。とーやが投手を務め、ワンバウンド投球を披露した。コヤッキースタジオは、アニメや漫画の考察動画、都市伝説、SF系の雑学などについて語るチャンネルで、チャンネル登録者数101万人を誇る。この日の阪神-広島戦は「いくしまる.com」協賛"いくしまる.com コヤッキースタジオ都市伝説ナイター"として開催される。

◆朝から雨の甲子園だが、阪神園芸の準備力で通常通り試合が行われそうだ。前日から内野全面にシートを敷いて万全の対策。雨脚が弱まった午後4時35分頃からシートを撤収すると、水たまり1つないグラウンドが現れた。開始から撤収完了まで、約20分間の早業となった。その後はマウンドへの土入れなどを行い、試合開始への最終調整が行われた。

◆広島が阪神先発の青柳晃洋投手(29)対策へ、スタメン全員に左打者を並べた。<1>(右)中村貴<2>(左)西川<3>(中)秋山<4>(一)松山<5>(捕)坂倉<6>(三)林<7>(遊)田中<8>(二)韮沢<9>(投)玉村17日に支配下登録されたばかりの中村貴浩外野手(23)を1番右翼で起用。新ユニホームが間に合わず、123番の背番号の練習着で甲子園にやってきた中村貴は「監督には『名前がいいから、大丈夫だ』と言っていただきました」と、同じ名前の新井貴浩監督(46)からエールをもらったことを明かした。また林晃汰内野手(22)も6番三塁で先発。ここまで正三塁手として奮闘してきたマット・デビッドソン内野手(32)が左肩炎症でこの日に出場選手登録を抹消されたこともあり、若い力にかけることに。新井監督は「コウタは頑張っているの知ってる。1軍に上がるときはスタメンって決めていた」と期待を明かした。

◆甲子園での試合前に、かつて西鉄、日本ハム、阪神の監督を務め、11日に亡くなった中西太氏(日刊スポーツ評論家)に哀悼の意を表し、阪神、広島両軍の監督コーチ、選手、ファンら球場全体で約30秒の黙とうをささげた。球場には半旗を掲げられた。

◆1軍"新戦力"の中村貴浩外野手(23)、林晃汰内野手(24)らが、阪神青柳晃洋投手(29)の立ち上がりに襲いかかった。17日に支配下登録されたばかりで、123の旧背番号でデビュー戦に臨んだ中村貴は、1番右翼で先発。初回、青柳の初球を捉えて左翼ポール際に大飛球。プロ初打席を初アーチで飾るか? という夢の打球だったが、惜しくも左翼ノイジーに好捕された。ただ中村貴のスイングが、打線を勢いづけた。2番西川の二塁打、3番秋山の四球で一、二塁とし、4番松山が中前に適時打。5番坂倉も2点目の適時打で続いたあと、6番三塁の林も初球を右前に運んで3点目。この回、阪神のエースから5点をもぎ取った。先制打の松山は「初回からチャンスを作ってくれたので、良い先制点になってよかったです」と振り返り、坂倉も「みんなの良い流れに乗って松さん(松山)に続けて良かったです」と強調。林は「貴浩(中村)が初球から良いスイングをしていたので、勇気を持って打ちに行きました。抜けてくれてよかったです」と「1番中村貴効果」を明かした。

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が本拠地甲子園で、2リーグ分立以降の球団8000号となる8号ソロを放った。4点を追う4回。先頭打者として左腕玉村の初球143キロツーシームを強振。大歓声とともに、中堅フェンスを越える123メートル弾となった。初回から5点を追う苦しい展開の中、ノイジーが3回に放った3号ソロで王手。佐藤輝は球団にとって節目の1発と聞くと、「マジですか!? 背番号も8だしキリが良くてうれしいです」と喜びを語った。なお、ホームランボールはすでに回収されており、20日から甲子園歴史館に展示される。【阪神2リーグ制以降(1950~)区切りの本塁打】1号 藤村富美男(1950年)1000号 ソロムコ(1963年)2000号 遠井吾郎(1972年)3000号 佐野仙好(1979年)4000号 真弓明信(1985年)5000号 ディアー(1994年)6000号 金本知憲(2003年)7000号 新井良太(2012年)阪神が1950年(昭25)の2リーグ制後、セ・リーグ通算8000本塁打を達成した。ノイジーが3回に左翼スタンドへソロ本塁打を放り込みリーチ。佐藤輝が4回にバックスクリーンへソロ本塁打を放ってメモリアルアーチとした。50年に藤村富美男が1号本塁打を放ってから、74年目にして8000本へ到達。なお、阪神がセ・リーグで8000本への到達が最も遅い。

◆阪神シェルドン・ノイジー外野手(28)が、甲子園初アーチとなる3号ソロを放った。5点を追う3回2死、広島玉村の114キロの変化球を捉え、左翼スタンドに放り込んだ。2戦連発を放った4月13日の巨人戦(東京ドーム)以来、26試合ぶりの1発に「ゲーム展開的にもまずは1点返したいという気持ちだったし、甘い球を逃さずにコンタクトすることができてよかったよ」と喜んだ。助っ人砲は守備でもみせた。初回の中村貴の左翼ポールフェンス際への打球をジャンピングキャッチ。攻守で甲子園を沸かせた。反撃ののろしをあげる1発は、2リーグ制後の球団8000号への王手弾となり、4回先頭の佐藤輝が中越えのメモリアル弾を放った。さらに4点を追う5回無死一、二塁からは低めの変化球を中前にはじき返す適時打をマーク。4点目を奪い、相手先発の玉村をマウンドから引きずり降ろした。

◆阪神の先発青柳晃洋投手(29)が、またしても初回につかまった。先頭中村貴には左翼ポールのフェンス際まで放たれた打球を左翼手ノイジーがジャンピングキャッチ。しかし、続く西川に左翼線への二塁打を浴び、秋山には四球を許し、1死一、二塁から4番松山に中前適時打を打たれてあっさり先制点を献上。さらに坂倉に右前打を浴び、1死一、三塁から林に右前タイムリーを許した。なおも1死満塁から韮沢に左前への2点適時打を浴び、2点を追加された。これで初回の失点は4試合連続となった。先発玉村昇悟を含め左打者9人を並べた広島打線にいきなり打者一巡の猛攻を許し、一気に5点を先取された。2回以降は立て直したかと思われたが、3点ビハインドの5回に2死満塁から投手玉村に右前への2点適時打を浴び、再びリードを広げられた。5回を投げ、今季ワースト7失点で降板となった。

◆阪神大山悠輔内野手(28)が、値千金の4号同点3ランを放った。中野、ノイジーの連続タイムリーで3点差に迫った直後の打席、無死一、二塁から代わったばかりのケムナの低め変化球をすくい上げ、左中間スタンドまでかっ飛ばした。「点差があっても誰も諦めていませんでしたし、野手が頑張ってチームを助けられるようにこのあとも頑張ります」最大5点差を振り出しに戻す1発に、甲子園はお祭り騒ぎの大歓声の包まれた。

◆阪神が乱打戦で競り負け、7連勝で止まった。初回に先発青柳晃洋投手(29)が5点を失ったが、打線が反発力を見せた。3回に3番シェルドン・ノイジー外野手(28)が3号ソロ、4回に佐藤輝明内野手(24)が8号ソロ、5回に大山悠輔内野手(28)に4号3ランとクリーンアップそろい踏みで本塁打が飛び出すなど同点に追いついた。しかし2番手及川雅貴投手(22)が勝ち越しを許すなどリリーフ陣も踏ん張れなかった。大山悠輔、佐藤輝明が打点を挙げると、昨年から9連勝中だったが、「不敗神話」も途切れた。首位を快走する阪神が本拠地で小休止となった。佐藤輝と大山のアベック本塁打とアベック打点の連勝がそれぞれストップした。そろって本塁打なら21年6月12日楽天戦から5連勝、そろって打点を挙げれば今季は8戦全勝で22年9月23日広島戦から9連勝中だったが、ストップした。阪神は3番ノイジー、4番大山、5番佐藤輝のクリーンアップ3人に本塁打が飛び出した。クリーンアップ全員が本塁打を放ったのは22年5月18日ヤクルト戦(神宮)以来で、3番マルテ、4番佐藤輝、5番大山。8番西純にも1発が出た。甲子園では、金本監督時代の17年9月2日中日戦で3番福留、4番大山、5番中谷がそろって本塁打を記録して以来6年ぶりで、8番坂本にも本塁打が出た。

◆大逆転メモリアルデーを夢見たけど...。首位阪神は2度の5点ビハインドを追いつく反発力を見せながら、8連勝を逃した。5番佐藤輝明内野手(24)が8号ソロで2リーグ分立以降の球団8000号を放ち、3回には3番シェルドン・ノイジー外野手(28)が3号左越えソロ、5回は4番大山悠輔内野手(28)が4号同点3ランを記録。球団6年ぶりの甲子園クリーンアップそろい踏みアーチを達成したが、最後は救援陣が力尽きた。佐藤輝が打ち上げた白球は、甲子園のカクテル光線に照らされながら夜空に舞った。スタンドインすると大歓声だ。2リーグ分立以降の球団8000号となる8号ソロ。1950年、「ミスタータイガース」と呼ばれた藤村富美男の1号から始まった球団史に名を刻んだ。4回裏先頭、4点ビハインドだった。玉村の143キロ直球を強く押し返し、中堅右の無人ゾーンに届かせた。反撃の1発に「いい角度で上がって入ってくれてよかったです」。球団スタッフに球団通算8000号になったが? と問われると「マジですか!? 背番号も8だしキリが良くてうれしいです」とうなずいた。大逆転への号砲になることを、誰もが願った。3回のノイジーのソロは2リーグ分立以降の球団通算7999号。佐藤輝の同8000号、そして5回には大山が一時は同点弾となる3ランを放ち、これが同8001号となった。だが6回以降、自慢の中継ぎ陣が力尽きた。甲子園では6シーズンぶりとなるクリーンアップそろい踏み弾も、両軍合わせて22安打17得点の乱打戦を制すことができず。連勝は7で止まり、中盤はお祭り騒ぎだった甲子園も最後はため息に包まれた。ただ、記念の一撃を糧にしないわけにはいかない。背番号8は4試合ぶりのアーチで5月は早くも5本目。プロ1年目の5月に初の「月間MVP賞」に輝いた5月男が量産態勢だ。打席では、まるで「控えめなイチロー」のように右手をセンター方向に向け、じっと見つめてから構えに入る。「状態が悪くなったら(右肩が)内側に入ってきてしまうので」と説明する通り、ホームベースに対して体を常に平行に保つためのもの。力が抜けるフォームがパワーの源になっている。試合後には「たまたま僕が8000号を打っただけ。特にないですけど、9000号を目指して頑張ります」と力を込め、「やっぱり1本だけじゃなく、2本3本と打てるように」と勝利に結びつく一打を誓った。メモリアルな夜を、ただの負けでは終わらせない。【中野椋】阪神が1950年(昭25)の2リーグ制後、セ・リーグ通算8000本塁打を達成した。ノイジーが3回に左翼スタンドへソロ本塁打を放り込みリーチ。佐藤輝が4回にバックスクリーンへソロ本塁打を放ってメモリアルアーチとした。50年に藤村富美男が1号本塁打を放ってから、74年目にして8000本へ到達。なお、阪神がセ・リーグで8000本への到達が最も遅い。2リーグ制後の球団通算8000号=阪神 19日の広島7回戦の4回、佐藤輝が今季8号を放って達成。1号は50年3月11日の藤村富。2リーグ制後に8000本到達は11球団目で、現12球団で楽天と阪神だけが打っていなかった。なお、1リーグ時代からの通算本塁打は8366本。佐藤輝と大山のアベック本塁打とアベック打点の連勝がそれぞれストップした。そろって本塁打なら21年6月12日楽天戦から5連勝、そろって打点を挙げれば今季は8戦全勝で22年9月23日広島戦から9連勝中だったが、ストップした。阪神は3番ノイジー、4番大山、5番佐藤輝のクリーンアップ3人に本塁打が飛び出した。クリーンアップ全員が本塁打を放ったのは22年5月18日ヤクルト戦(神宮)以来で、3番マルテ、4番佐藤輝、5番大山。8番西純にも1発が出た。甲子園では、金本監督時代の17年9月2日中日戦で3番福留、4番大山、5番中谷がそろって本塁打を記録して以来6年ぶりで、8番坂本にも本塁打が出た。

◆新井カープが総力で、阪神の連勝を7で止めた。阪神青柳対策に、投手の玉村含めて球団史上初の9人全員左打者オーダーを編成。立ち上がりに5安打で一挙5点を奪って虎のエースを攻略し、最後はベテラン松山の決勝打で勝ちきった。「全員の頑張った勝利だと思う。チーム一丸となっていい勝ち方だったと思います」。新井監督の声が誇らかに響いた。初回、打線を勢いづけたのは17日に支配下登録されたばかりの中村貴だった。「1番右翼」で先発し、初回の初打席で青柳の初球を捉えて左翼ポール際への大飛球に。左翼ノイジーの好守にスタンドインを阻まれ、左飛に終わるも「いい感じで打てた」と本人には自信に、味方打線にははずみになった。怒濤(どとう)の攻撃だった。4番松山が中前へ先制打。坂倉も2点目の適時打で続き、さらに2年ぶりに1軍の打席に立った林が3点目の適時打を右前に運んだ。この回、一挙5得点。5回には5点差を追いつかれたが、6回に松山の左前適時打で勝ち越し。37歳のベテランは「本当に粘り強く、カープの野球ができたと思います」と胸を張った。6回以降は継投で阪神の反撃を抑えきった。G7広島サミットで来日中の英スナク首相が前日18日に岸田首相と会談し、カープのロゴ入りの靴下を披露。エールも送ってくれた。英国首相にも見てもらいたい、カープ一丸の勝利だった。【堀まどか】スタメン全員左打ち 巨人原監督が20年9月16日、阪神青柳対策として球団史上初めてスタメンに全員左打者を並べた(両打ちの若林を含む)。12年7月7日には楽天星野監督が西武牧田の対策で9人全員左打者に(両打ちの松井を含む)。大リーグでは筒香らのレイズが20年9月11日レッドソックス戦で、1901年以降初めて両打ちを含まない9人全員左打者を起用した。広島は佐々岡監督の21年6月3日、日本ハム金子を相手に左打者9人を並べたが4回表途中でノーゲーム。成立した試合では今回が球団史上初めてだ。

◆阪神中野がチーム3点目となる左前適時打を放った。5点を追う5回無死一、三塁で広島左腕玉村の内角高めに詰まりながらもしぶとく左前へ落とした。「とにかく後ろにつなぐという意識で打席に入りました。いい当たりではなかったけど、いいところに飛んでくれました」。3連打でクリーンアップへつなぎ、ノイジーの適時打、大山の4号3ランと一挙5点を奪った。

◆中継ぎに配置転換された阪神西純が、2回1失点(自責0)と課題を残した。前回先発で5回4失点だった14日DeNA戦から中4日空けて1軍本体に再合流。試合前に「投げさせてもらえる場所で一生懸命やりたい」と話していた右腕は、1点ビハインドの7回から3番手で登板。先頭韮沢の打球が右もも裏付近に直撃するも、ガッツをみせて投ゴロに。登板を続行し、2四球を許したが無失点。だが8回は先頭松山に四球を与え、味方守備のミスも絡んで1失点を喫した。

◆途中出場の阪神小幡が、守備で痛恨のミスを犯した。6回に1死から代打で出場し、そのまま遊撃の守備に就いた。1点ビハインドの8回1死三塁。前進守備で林の遊ゴロを捕球し、本塁送球で勝負をかけたが悪送球。野選とエラーが重なり、点差を2点に広げてしまった。小幡は「あそこで投げないという選択肢も大事だと思う。投げた中ではしっかり抑えられるように意識してやっていきたい」と引き締めた。

◆阪神大山悠輔内野手(28)は試合後、敗戦という事実だけを静かに受け止めた。「勝てなかったことが全て。プラスもありましたけど、まだまだ課題もある」。とはいえ、虎党に夢を見させてくれたアーチの価値は決して色あせない。メモリアル弾は佐藤輝に譲ったが、4番の球団8001号は甲子園を大いに盛り上げた。先頭の代打渡辺諒から4連打で3点差に迫った5回無死一、二塁。押せ押せムードの中、右腕ケムナのボールゾーンに沈む138キロスライダーをすくい上げた。「点差があっても誰も諦めていませんでした」。左中間へ伸びる打球に左翼西川の足が止まった瞬間、球場は大歓声。一時は試合を振り出しに戻し、ナインの士気をさらに高めた。一方、反撃ムードを作ったのは3番ノイジーだった。5点を追う3回2死、左腕玉村の内角寄りチェンジアップをとらえ、左翼席に3号ソロを運んだ。「展開的にもまずは1点返したかった。甘い球を逃さずにコンタクトすることができた」。この球団7999号がなければ、その後の猛追はなかった。そんな助っ人も敗戦後は唇をかんだ。1点を追う7回の最終打席で右飛に倒れ「(3回の)スイングを最後の打席に打つことができたら...。チームとしても、なんとか逆転したかったところ。勢いも与えられたのかなと思うと悔しい」。25打点でリーグ2位タイにつけた大山も「明日しっかりやり返せるように頑張ります」と力を込めた。5点差を2度も追いついた。だが、甲子園では球団6シーズンぶりのクリーンアップそろい踏みアーチは、結果的に空砲に終わった。次戦こそ得点を勝利につなげたい。【波部俊之介】

◆阪神・西純矢投手(21)が中継ぎとして1軍に再合流した。「去年はシーズンの終り頃だったので、今回はまだシーズン序盤で、違う感じですけど、いろいろな人を見て勉強したいなと思います」。今季は先発として開幕ローテーション入りを果たすも、4試合の登板で2勝2敗、防御率5・59。昨年のシーズン終盤、クライマックス・シリーズ(CS)などで経験した中継ぎに配置転換することが決まった。岡田監督はこの日の広島戦から中継ぎとしてベンチ入りする方針だと明言。右腕は「こうやってまた1軍で投げさせてもらえるので、どういう場面で投げるかは中継ぎなので分からないですけど、しっかりと自分が投げさせてもらえる場所で一生懸命やりたいと思います」と意気込んだ。また才木浩人投手(24)も1軍に合流。ブルペン投球などで調整した。登板予定の21日の広島戦(甲子園)に向け「頑張るしかない。しっかり体も休められたので、ここからはノンストップでシーズン終わるまでいけるように」と力を込めた。この日はドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=が1軍に再昇格。21日には才木が出場選手登録される見込みで、小野寺暖外野手(25)と井上広大外野手(21)が出場選手登録を抹消された。

◆阪神のドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=が1軍に合流し、「一回(2軍に)落ちて、悔しい思いをしたので、あの思いをしないように、この1軍でしっかりと結果を出していきたい」と意気込みを語った。森下はオープン戦でチーム打撃3冠の結果を残して1軍の開幕スタメンを勝ち取ったが、20打席無安打に陥るなど4月上旬から調子を崩し、4月17日に2軍降格となった。徐々に調子を取り戻すと、岡田監督が視察した今月17日のウエスタン・中日戦(ナゴヤ)では2試合連続本塁打を含む3安打5打点と猛アピールに成功。2軍戦は19試合の出場で打率・300、2本塁打、12打点を記録して再昇格をつかんだ。この日は試合前に室内で練習し、ウォーミングアップでは佐藤輝らと談笑。マシン打撃、フリー打撃などに取り組んだ。チームは7連勝中で首位を走っており「自分が入ったことによって、いい流れを途絶えさせないように。チームの一員として頑張りたい」。背番号1が好調の虎をさらに勢いづけるべくバットを振る。

◆阪神のD1位・森下翔太外野手(22)=中大=が1軍の練習に合流した。4月17日に登録抹消され、2軍では19試合に出場し、打率・300で12打点。16、17日の中日戦(ナゴヤ)では2試合連続本塁打を放った。1軍では11試合出場で打率・161の5打点。4月4日の広島戦(マツダ)の第4打席から20打席連続無安打で抹消された。森下の主な一問一答は以下の通り。ーー新たな気持ちで「そうっすね。まあ、本当に一回落ちて、悔しい思いをしたんで、あの思いをしないように、この1軍で、しっかりと結果を出していきたいなと思ってます」ーー2軍ではやりたいことできた「こっちにいて、落ちた時より、そこの課題っていうのも潰せていると思います。まだまだやるべきことはあると思うので、しっかり準備して試合に臨みたいなと思います」ーーどういったところを「打球の角度が出なかったので、うまく出せるように自分の中でも、いろんなことを試してやっていました」ーー好調の1軍を見てウズウズしていた「自分が試合に出て、チーム勝てれば一番なんですけど、チームが今いい状態になってるので、自分が入ったことによって、いい流れを途絶えさせないように、チームの一員として頑張りたいなっていうのがあります」ーー変えた所は「この前ホームラン打った時とかは足上げたり、元々、足をあんまり上げないような打撃フォームから、少し上げてみたり。相手のピッチャーだったり、試合によって自分も変えていこうと思っているんですけど。いういろんなアイディアが出たのが自分の可能性が広がったと思います」ーー配球なども考えるように「簡単には打たせてもらえないので。配球だったり相手のクセもしっかり頭の中に入れて、対戦することは大切だなと。落ちて試合をやってみて思いました」ーー足を上げる効果は「足を上げた方が体の中で勢いが出ますし、打球は飛びやすくなると思うので。足をあんまり上げないフォームでやっていたんですけど、自分に求められることを考えた中で、長打力は大切だなと思ったので。試しとしてやっています」ーーいい状態の維持は1軍でも課題「結果は残し続けないといけないと思うので。その日その日で変えているようだと、結果もついてこない。いい形っていうのは自分の中で見つけたいと思います」

◆両軍のスターティングメンバーが発表。7連勝中で首位を走る阪神は青柳晃洋投手(29)が先発する。前回登板の12日、DeNA戦(甲子園)は7回1/3を7安打3失点で開幕戦(3月31日)以来、登板5試合ぶりの今季2勝目をマークした。広島は青柳対策として、スタメン全員が左打者。復調気配漂うエースが、連勝の波に乗り、鯉打線を抑える。この日、1軍に再昇格したD1位・森下翔太外野手(22)=中大=はベンチスタート。2試合連続でヨハン・ミエセス外野手(27)が「6番・右翼」で先発する。

◆11日に心不全のため90歳で亡くなった中西太(なかにし・ふとし)さんをしのび、この日の一戦は半旗で行われる。試合開始前には選手、監督、スタンドのファンが黙とうをささげた。中西さんは1980年から81年まで阪神の監督を務め、岡田彰布監督(65)の新人時代に打撃指導。現虎将のキャリアとしての第一歩を監督、コーチとして後押しした。

◆「3番・左翼」で出場した阪神、シェルドン・ノイジー外野手(28)が試合開始から、わずか1分でスーパープレーを披露した。一回先頭の中村貴の初球だった。高々と舞い上がった白球は風にも流され、左翼ポール際へ。落下地点を見極めた助っ人は、フェンス際でジャンピングキャッチ。白球をもぎ取ると、甲子園が大歓声に包まれた。ノイジーは18日の中日戦(バンテリンドーム)でも、左翼から強肩を発動し、失点を防いでいる。守り勝つ野球を掲げる岡田阪神。連勝街道をひた走るチームを、ノイジーが守備から支えている。

◆阪神の先発・青柳晃洋投手(29)が左打者9人を並べた広島打線にいきなりつかまった。一回先頭の中村貴は左翼手・ノイジーのファインプレーで何とかアウトに仕留めるも、続く西川に左翼線を破る二塁打を浴びて1死二塁。秋山に四球で一、二塁とすると、4番・松山に中前適時打を浴びてあっさり先制点を献上した。広島打線の猛攻は終わらない。坂倉に右前打、林にも右前打で一気に0-3とされると、韮澤に2点左前打を浴びて0-5。打者一巡の猛攻で初回から5安打5失点と乱調した。青柳は4月21日の中日戦(バンテリンドーム)からこれで4試合連続で初回に失点。課題の立ち上がりの悪さを修正できずにいる。

◆阪神が得点の好機を逃した。0-5で迎えた二回。先頭の大山が左前打を放つと、佐藤輝も左前打で続いて無死一、二塁。ミエセスが見逃し三振に倒れたが、梅野が四球で1死満塁の好機を作った。打席には打率・337の木浪。しかし空振り三振で2死。最後は青柳が二ゴロに倒れ、無得点に終わった。

◆阪神の新助っ人、シェルドン・ノイジー外野手(28)が0-5の三回に反撃の3号ソロを放った。2死で打席へ。カウント1ー2からファウルで粘って8球目だった。114キロチェンジアップを捉えた。打球は左翼席へ。打球速度164キロ、打球角度25度、飛距離124メートルの一発は、4月13日の巨人戦(東京ドーム)以来の3号。うれしい甲子園初アーチで反撃ののろしをあげた。

◆阪神の新助っ人、シェルドン・ノイジー外野手(28)が0-5の三回に反撃の3号ソロを放った。2死で打席へ。カウント1ー2からファウルで粘って8球目だった。114キロチェンジアップを捉えた。打球は左翼席へ。打球速度164キロ、打球角度25度、飛距離124メートルの一発は、4月13日の巨人戦(東京ドーム)以来の3号。「打ったのはスライダー。ゲーム展開的にもまずは1点返したいという気持ちだったし、甘い球を逃さずにコンタクトすることができてよかったよ」とコメントした。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が四回に8号ソロを放った。玉村の初球、143キロを一閃。高々と舞い上がった白球はバックスクリーン右で弾んだ。14日のDeNA戦(甲子園)以来となる8号は打球速度171キロ、打球角度34度、飛距離123メートルの一発。これが2リーグ分立後の球団通算8000号となり、虎の大砲がまた球団史に名を刻んだ。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が四回に8号ソロを放った。玉村の初球、143キロを一閃。高々と舞い上がった白球はバックスクリーン右で弾んだ。14日のDeNA戦(甲子園)以来となる8号は打球速度171キロ、打球角度34度、飛距離123メートルの一発。これが2リーグ分立後の球団通算8000号となり、虎の大砲がまた球団史に名を刻んだ。「打ったのはツーシーム。いい角度で上がって入ってくれてよかったです。(球団通算8000号になったが?)マジですか!?背番号も8だしキリが良くて嬉しいです」と広報を通じてコメントした。

◆先発した阪神・青柳晃洋投手(29)は5回8安打7失点で降板。試合を作れなかった。左打者9人を並べ、対策を講じてきた広島打線に一回からつかまる。打者一巡5連打の猛攻で一挙5失点。二回以降は立ち直ったかに見えたが、五回は2死から林に死球、田中に二塁打を浴びると、申告敬遠で満塁。投手の玉村に2点打を許した。青柳はこれで4試合連続で初回に失点。精彩を欠く投球が続いている。

◆阪神・大山悠輔内野手(28)が五回に起死回生の同点3ランを放った。2-7で迎えた五回。先頭の青柳に代打・渡辺諒が登場。141キロ直球を左中間にはじき返し、二塁打を放つと、続く近本が右前打でつないで、無死一、三塁。中野が左前にポトリと落とす技ありのタイムリーを放つと、3番・ノイジーの中前適時打で4ー7と点差を縮めた。なおも無死一、二塁の好機で、広島は2番手・ケムナをマウンドへ。打席には4番・大山。カウント2ー2から5球目だった。138キロスライダーを捉えると、打球は左中間スタンド最深部へ。スタンドギリギリに飛び込む一発は5日の広島戦(マツダ)以来となる起死回生の4号3ラン! 一回に5点差をつけられながらも、打線が中盤に追いつき、甲子園は大興奮に包まれた。

◆阪神・大山悠輔内野手(28)が五回に起死回生の同点3ランを放った。2-7で迎えた五回。先頭の青柳に代打・渡辺諒が登場。141キロ直球を左中間にはじき返し、二塁打を放つと、続く近本が右前打でつないで、無死一、三塁。中野が左前にポトリと落とす技ありのタイムリーを放つと、3番・ノイジーの中前適時打で4ー7と点差を縮めた。なおも無死一、二塁の好機で、広島は2番手・ケムナをマウンドへ。打席には4番・大山。カウント2ー2から5球目だった。138キロスライダーを捉えると、打球は左中間スタンド最深部へ。スタンドギリギリに飛び込む一発は5日の広島戦(マツダ)以来となる起死回生の4号3ラン! 一回に5点差をつけられながらも、打線が中盤に追いつき、甲子園は大興奮に包まれた。「打ったのはスライダーかな。点差があっても誰も諦めていませんでしたし、野手が頑張ってチームを助けられるようにこのあとも頑張ります」とコメントした。

◆この日から中継ぎ要員としてベンチ入りした阪神・西純矢投手(21)が7ー8の七回に登板した。先頭の韮澤は投手強襲の打球。右太もも付近を直撃したが、落ち着いて投ゴロに仕留めた。続く代打・堂林に四球を与えたが、中村貴を二ゴロ、西川に四球で一、二塁としたが、最後は秋山を二ゴロに仕留めた。試合前には「先発のときからバッター、一人一人に全力で投げていたのでそこは特に変わることはない。こうやってまた1軍で投げさせてもらえるので、どういう場面で投げるかは分からないですけど、しっかりと自分が投げさせてもらえる場所で一生懸命やりたいと思います」と話していた右腕。何とか無失点で切り抜け、仕事を果たした。

◆広島の林が今季初打席で打点を挙げた。一回、松山と坂倉が適時打を放ってなお一、三塁のチャンスに、初球の外角球を引っ張って一、二塁間を破った。昨年は1軍出場がなかった5年目の22歳。2年ぶりの適時打に、笑みを見せた。左肩痛のデビッドソンに代わり1軍昇格したばかりだ。17日に育成から支配下登録された新人の中村貴も1軍合流し、1番で先発。最初の打席で左翼へ大きな飛球を放った。林は「(中村)貴浩が初球からいいスイングをしていたので勇気を持って打ちにいった」と刺激を受けて、力に変えた。左打者を並べた打線に抜てきされた2人が勢いをもたらし、広島は一回に5点を挙げた。

◆阪神が守備のミスから失点した。7ー8八回。2イニング目のマウンドに上がった西純は先頭の松山に四球。代走・羽月が送られた。坂倉の打席の2球目、スタートを切った羽月に、捕手・梅野が悪送球。盗塁と失策で無死三塁のピンチを背負った。坂倉を浅い左飛に仕留め1死を奪った西純だが、続く林の打球を今度は小幡が捕手の頭上を大きくそれる悪送球(記録は野選と失策)。7-9とされ、無安打で大きな1点を失った。

◆最大5点差を追いつきながら、試合終盤の守備のほころびも重なり、阪神が競り負けて連勝は7でストップした。 一回に先発の青柳が5失点を喫する苦しい立ち上がりとなったが、打線は三回にノイジーの今季3号ソロ、四回には佐藤輝が2リーグ分立後の球団通算8000号となる今季8号ソロで追い上げ、五回は2本の適時打と、大山の同点3ランで試合を振り出しに戻した。 甲子園の虎党も一時はお祭り騒ぎとなったが、六回に2番手の及川が松山に勝ち越しタイムリーを浴び、7ー8の八回は1死三塁から林の打球を遊撃・小幡が捕手の頭上を大きくそれる悪送球(記録は野選と失策)で7ー9とされ、九回には1点を失い、自ら流れを手放した。

◆広島は一回に打者11人で5点を先行し、五回にも2点を追加。同点とされた直後の六回に松山の適時打で勝ち越した。六回以降は救援陣が無失点でつなぎ、矢崎が3セーブ目。阪神は青柳が5回7失点と崩れ、連勝が7で止まった。

◆阪神の連勝が7でストップ。2度の5点ビハインドから追いついたが競り負けた。三回はシェルドン・ノイジー外野手(28)の3号ソロ、四回の佐藤輝明内野手(24)の8号ソロが2リーグ分立後球団8000号。五回には大山悠輔内野手(28)の4号3ランで同点とした。しかし六回に登板した及川雅貴投手(22)が与えた1点が決勝点となった。八回には四球、失策、野選が絡み、無安打で9点目を献上した。大山&佐藤輝の〝アベック弾連勝〟は5で止まった。9人の左打者を並べた広島打線に一回、5点を奪われた青柳晃洋投手(29)は登板4試合連続の初回失点。再昇格のD1位・森下翔太外野手(22)=中大=の出番はなし。小野寺暖外野手(25)と井上広大外野手(21)が再調整となった。今季最多失点を喫した岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(成績=23勝14敗1分、観衆=4万50人)。ーー打線はよく追い上げたが「追い上げたって。そら同点まで行ったわけやからなあ」ーー一回に5点取られると、なかなか追いつくのも「なかなかって。そら、よう追いついた方やんか」ーー青柳はずっと立ち上がりが「うん、いやあ、ずっとやんか。なあ。何回も同じことをなあ、お前。うん」ーーボール自体も「そらボール自体もアカンやろ。5点も取られるんやから。ボール自体の問題やないやないか。何点取られか、というところやろ。そら、初めて投げさせたピッチャーと違うんやから」ーー我慢して来たが、今日も同じ「そら同じやんか。あんなんもう‥」ーー再調整も考える「再調整って、そらもうこっちが決めることやからな。普通に考えたらそうやんか。ずっーとお前、先発ピッチャーが五回以上投げて勝ち星ついてる流れをな、そういう流れでずっと来てるわけやから。(相手投手に2点打を浴びた)五回もあんなん、ピッチャーに打たれへんかったら勝ち投手やで。ツーアウトからデッドボールからやろ。勝ち投手なんやで7ー5で。ならんで良かった勝ち投手に」ーー自分で立ち直ってもらわないといけない「いや、もうエエわ、青柳の話はもう、ホンマに(笑)。分かるやんか、そんなもん、お前。毎回毎回、同じこと書いても」

◆オリックス、阪神で176勝を挙げ、引退後も両チームでコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家の星野伸之氏(57)は一回に5点を与えるなど、5回7失点で降板した阪神・青柳晃洋投手(29)のフォームについて言及した。いきなり5失点の青柳の投球を見せられると、かなり心配だ。広島打線が左打者を9人並べて、外角へのツーシーム、シンカーを徹底して狙ってきていた。好調時の青柳なら、この2つの球種は遠くに見えて手が出なかったり、打ってもファウルにしかならなかった。ところが、初球からドンドン打たれてしまった。背景には青柳のフォームが影響している。昨年までの青柳は投球フォームの中で「そっと沈む」という表現が当てはまったが、今季は力が入り過ぎて、スムーズに沈めていない。打者にとって分かりやすいフォーム、つまりタイミングが取りやすくなっているのだ。いい球を投げなければという思いで力が入るのだろうが悪循環だ。今後の調整は分からないが、この投手が中心でローテを回さないと、いくら好調な阪神でも苦しくなる。踏ん張らなければという点では及川、西純も課題が浮き彫りになった登板だった。及川は左打者が続く場面で登板したのだが、ほとんど内角を突けていなかった。外ばかりの配球で打者が読みやすくなっていた。どこかで内角へ思い切って投げ込まないと苦しい。西純は八回無死一塁から盗塁を決められたシーンが分岐点だった。モーションが大きいので、どうしても走られやすくなるのだ。一時は同点にした戦いを見ると「阪神はかなり強い」と感じる一方で、及川、西純らが抑えないと、中盤以降からの継投に入った展開では苦しくなってしまう。打線が元気だからこそ、救援陣の踏ん張りはこの先のポイントになる。

◆広島の松山が今季初の4番起用で、2安打2打点の活躍だった。一回に中前に先制打。「思い切って打った結果、いいところに飛んでくれた」と振り返った。六回は左前に勝ち越し打。「絶対に1点をもぎ取ってやろうという思いだった」と勝負強さを存分に発揮した。37歳のベテランは代打の切り札とされている。「スタメンはやっぱり楽しい。結果を出すことでその機会も増えると思う」と貪欲だった。

◆六回から2番手で登板した及川は1回1失点で今季初黒星。「打たれた球が全部高かった。ここ最近で一番反省しないといけない」と唇をかんだ。最大5点差を打撃陣が一気に追いついた後の登板だったが、西川、秋山、松山の中軸に3連打を浴びあっさり勝ち越しを許した。「切り替えていくしかないので」と前を向いて次戦に備える。

◆闇が深まる聖地に、美しい放物線を描いた。ノイジーが甲子園で初本塁打。左翼スタンドへの一発で反撃ののろしをあげた。「まずは1点返したいという気持ちだったし、甘い球を逃さずにコンタクトすることができてよかった」0―5の三回2死から広島の先発・玉村に対しファウルで粘り、8球目のチェンジアップを振り抜いた。スコアボードに逆襲の「1」を刻むと、3―7の五回無死一、二塁でも中前へ適時打を放ち、大山の同点3ランを呼び込んだ。守備でも試合開始直後の一回に左翼フェンス際の当たりをジャンピングキャッチし、攻守で貢献した背番号7。ただ、自身は7―8と再びリードされた後の七回1死で右飛に倒れたことを「チームとしてもなんとしても逆転したかったところですし、(打てれば)勢いも与えられた」と悔しがった。(邨田直人)

◆先発から中継ぎに配置転換された西純が、1点ビハインドの七回から3番手として登板し2回1失点(自責0)。昨季9月21日の広島戦(甲子園)以来プロ2度目の救援登板も、「いつも通り準備した」と冷静だった。七回はピンチを招きながらも無失点で切り抜けたが、八回に四球で出したランナーが2つのエラーで生還し、痛恨の追加点を献上。「まだ(試合展開が)分からなかったのでゼロで行きたかった」と悔しがった。

◆高く舞い上がった白球はバックスクリーンに向かって弧を描く。どれだけ点差が離れていてもあきらめない。佐藤輝が豪快に振り抜いた一打は、2リーグ分立後の球団通算8000号のメモリアルアーチとなり、甲子園の夜空に輝いた。「ちょっと上がりすぎましたけど、入ってくれてよかった。次は9000号を目指して頑張ります」1-5で迎えた四回先頭の第2打席。玉村の143キロツーシームを振り抜いた。バックスクリーン右に弾んだ8号ソロは、早くも昨季に並ぶ今季5本目の甲子園弾。浜風と友達になりつつある大砲は「いい風が吹いているときに打てているかな」とうなずいた。節目の一撃には「たまたま僕が8000号を打っただけなんで」と謙遜したが、「背番号も『8』だしキリがよくてうれしい」と誇らしくもあった。偉大な先輩たちが積み重ねてきた記録を彩り、またも球団史に名を刻んだ佐藤輝。プロ3年目の今季はチームの主軸として後輩たちを引っ張る立場にもなった。この日、1軍に再昇格したD1位・森下(中大)が2軍に落ちたときも、「早く(1軍に)戻ってこいよ」と激励のメッセージ。中心選手としての自覚と責任は日に日に増している。これからの未来、若虎の先頭に立つ佐藤輝が中心となり、今度は球団通算9000号を成し遂げてくれるはずだ。メモリアル弾もむなしく、チームは敗戦し、連勝は7で止まった。ただ、岡田監督は最大5点差にもくじけなかった打線を「よう追いついたほうやんか」と評価した。その中心にいたのも、やはり佐藤輝だ。「やっぱり1本だけでなくて、2本、3本と打てるように頑張ります」次は空砲にしない。何度だってアーチをかけ、虎を勝利に導いていく。(原田遼太郎)

◆大山は一時同点となる3ランでチームを活気づけた。ノイジーのタイムリーで4―7とした直後の五回無死一、二塁で2番手・ケムナのスライダーをとらえて左中間席へ運ぶ4号とした。それでも、試合に敗れ、「追いついたからにはしっかり勝ち試合に持っていきたかった」と悔しさをにじませた。セ・リーグ2位タイの25打点と勝負強さが光る4番は「明日しっかりやり返せるように頑張ります」と次戦を見据えた。

◆阪神は広島に7-10で敗れ、連勝が7で止まった。先発の青柳晃洋投手(29)が一回にいきなり5失点するなど、5回8安打7失点で試合を作れず。4試合連続で立ち上がりに失点しているエースについて、岡田彰布監督(65)は「普通に考えたらそうやんか」と2軍降格を明言した。青柳の復調なしに18年ぶりのアレはない。我慢の限界だった。エースだから...と特別扱いしない。岡田監督の堪忍袋の緒が切れた。5回7失点で降板した青柳の処遇について、2軍での再調整も考えているかという質問にキッパリと言い切った。「再調整って、そらもう、こっちが決めることやからな。まあ、普通に考えたらそうやんか」7連勝中のチームの勢いに水を差したことを許せなかった。一回に3者連続適時打などで5点を許し、「ずっとやんか。なあ。何回も同じことを。ボール自体の問題もなにも。初めて投げさせたピッチャーと違うんやから」とバッサリ。一回に失点をするのは4月21日の中日戦(バンテリンドーム)から4試合連続となり、虎将の怒りも収まらなかった。二回以降はなんとか無失点に切り抜け、三回にノイジー、四回には佐藤輝に一発が飛び出し、さあ反撃ムードと思った矢先の五回だ。2死から死球と二塁打で二、三塁とされ、申告敬遠で投手の玉村と勝負。その初球をあっさりと右前へ運ばれ、痛恨の2点打を浴びたシーンにまたまたプッツンだ。「五回もピッチャーに打たれへんかったら(青柳は)勝ち投手やで。ツーアウトからデッドボールからやろ。勝ち投手なんやで7-5で。勝ち投手にならんで良かった」5回7失点。直後の五回の攻撃で同点に追いついた。勝ちがつけば、反省は生かされない。「(昨年まで)2年連続最多勝の投手やんか」と春季キャンプからエースに調整法を一任した指揮官。シーズン中、何度もアドバイスを求められ、「俺は話を聞きに来た選手には、ちゃんと思ったことを伝えるよ」と膝を突き合わせて〝オカダの考え〟を伝えた。「お前には期待しているんよ」。そろそろ本来の実力を発揮してくれるだろうと期待していた分だけ、失望感も大きかった。「もうええわ。青柳の話はもう、ほんまに。分かるやんか、そんなもん、お前」エースの話題を途中で打ち切った。2軍降格は先発ローテに定着した2019年以降では初めて。どん底からはいあがってくるのを待つしかない。(三木建次)

◆六回から代打で途中出場し、その後遊撃の守備についた小幡が送球ミスを犯した。7-8の八回1死三塁。前進守備で林の打球を捕球したが、梅野への送球が上へ大きくそれる間に三走・羽月が生還し、林を二塁に進めてしまった(記録は野選と失策)。「あそこで投げないという選択肢も大事だと思う。投げた中ではしっかり抑えられるように意識してやっていきたい」。2打数無安打と攻守で悔しさの残る一戦となった。

◆五回の先頭で代打出場した渡辺諒が、一時同点劇の口火を切った。玉村の2球目を捉えて左中間を破る二塁打。「点を取られた後の先頭だったので、なんとかいい形で後ろにつなげようと思って、まずは塁に出ることだけを考えて。それがいい結果につながってよかった」。3日の中日戦(甲子園)以来、4打席ぶりの安打で存在感を示した。

◆今季ワースト7失点の青柳は「普通に打たれたので、実力不足かなと思う」と振り返った。一回に5安打を浴びて5失点すると、五回にも2死から与えた死球から2失点。立ち上がりの投球に苦しむ右腕は「ボール自体は悪くない。逆になんで(点を)取られたのか、なんで抑えられたのかわからない」と首をかしげた。

◆プロ野球クイズ~!! さあ問題です? 本日の阪神-広島。阪神は先発青柳が一回にあれよあれよという間に5点を奪われただけでなく、五回には満塁から投手の玉村に2点打を食らうKO...。しかし、猛虎打線が8連勝に向けて火を吐いたァ!! 何と五回に一気5得点でミラクル同点劇や。さあ、勝利したのはどっちのチーム!?あ、大ヒントを一つ。猛虎打線はクリーンアップのノイジー、大山、佐藤輝がホームランを打っているよー!! そ~、勝ったのは広島でした~!! っておい、ウソやろー!! 5点差を追いついたら、その勢いで、中軸3人がアーチを打って、負ける方が難しいやろ~!! グスン(涙)...。8連勝は夢と消えたけど、この敗戦をVへの価値ある1敗にしたれ!!悔しいけど、現状の青柳は使えない!! それを素直に受け止めて、不振の梅野と2人はかつて、中日の小川健太郎と木俣のバッテリーが王貞治を封じるために背面投げ(振りかぶって背中から放った)の特訓をしたように、2軍で2人の時間をつくってあげるのも手だと、俺は思うのだ。

◆球団通算8000号。すごい数字だ。背番号8、佐藤輝のシーズン8号が8000号になるってところが、生まれながらのスターだろう。「節目のホームランはすごい選手ばかりです」読売テレビのナイター中継で言っていた。2リーグ分立後の1号がミスタータイガース藤村富美男。3000号が勝負強さはピカイチだった佐野仙好。4000号は1985年日本一の時の最強1番打者・真弓明信。6000号は鉄人・金本知憲。説明するまでもない。あれだけ打っていたら、そりゃあ、節目でも打つだろう。タイガースの歴史を彩った大打者の名前が並んでいた。5000号に、世紀の空砲・ディアーという助っ人が入っているが、まあ、そういう偶然もあるだろう。キャンプだけ打った助っ人だ。キャンプ地・安芸の防御ネットが「ディアーネット」と名付けられたことで、ごく一部の阪神ファンには有名だが。ディアーが5000号を放った事実は記憶から完全に消え去っていた。佐藤輝の8000号も含めて、タイガースが甲子園では珍しい一発攻勢だったが、昨夜に限ってはカープのアッと驚く新打線にやられた。試合前。発表されたカープのスタメンを眺めて、ビックリ仰天した。いつから、こんなメンバーで戦っていたんだろう? 菊池涼がいない? 助っ人もいない? と思って調べたら、この試合からだった。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
23141 0.622
(↓0.017)
-
(-)
105156
(+7)
114
(+10)
21
(+3)
19
(-)
0.253
(↑0.001
2.790
(↓0.17)
2
(-)
DeNA
21150 0.583
(-)
1.5
(↑0.5)
107155
(-)
146
(-)
38
(-)
7
(-)
0.269
(-)
3.830
(-)
3
(-)
広島
20180 0.526
(↑0.012)
3.5
(↑1)
105142
(+10)
132
(+7)
28
(+1)
15
(+1)
0.252
(↑0.002
3.220
(↓0.1)
4
(-)
巨人
19200 0.487
(-)
5
(↑0.5)
104153
(-)
172
(-)
43
(-)
9
(-)
0.252
(-)
4.260
(-)
5
(-)
ヤクルト
17211 0.447
(-)
6.5
(↑0.5)
104136
(-)
155
(-)
37
(-)
27
(-)
0.226
(-)
3.630
(-)
6
(-)
中日
13250 0.342
(-)
10.5
(↑0.5)
105101
(-)
124
(-)
11
(-)
9
(-)
0.242
(-)
2.840
(-)