阪神(★0対5☆)ヤクルト =リーグ戦8回戦(2023.05.10)・阪神甲子園球場=
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ヤクルト
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阪神
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勝利投手:石川 雅規(1勝1敗0S)
敗戦投手:西 勇輝(1勝3敗0S)
  DAZN
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DAZN

◆ヤクルトは4回表、2死満塁からオスナの適時打で2点を先制する。そのまま迎えた7回には、青木の適時打でリードを広げた。投げては、先発・石川が6回途中無失点で今季初勝利。敗れた阪神は、打線が精彩を欠いた。なお、この試合でヤクルト・石川がNPB記録に並ぶプロ1年目から22年連続勝利をマークした。

◆ヤクルト石川雅規はプロ1年目の02年から21年連続勝利中。今日の阪神戦で56~77年米田(近鉄)に並ぶプロ入り22年連続勝利のプロ野球記録を目指すが、石川は打撃でも1年目から21年続けて安打を放っている。投手がプロ入り22年連続安打をマークすれば53~73年小山(大洋)と56~76年米田の21年を抜く新記録となる。19年からは白星よりも安打を先に記録している石川だが、今年は同じ試合で初勝利と初安打をマークして「22年連続」をダブルで達成できるか。

◆阪神岡田彰布監督(65)がスタメン改造の決断を下した。今季初めて和製打線で臨む。開幕から29試合連続で左翼先発していたシェルドン・ノイジー外野手(28)、2戦連続で右翼先発していたヨハン・ミエセス外野手(27)をスタメンから外し、4年目の小野寺暖外野手(25)を「3番左翼」、井上広大外野手(21)を「6番右翼」で先発させる。ノイジーは今季ここまで打率2割4分6厘、2本塁打、9打点。コンスタントに安打は重ねているが、いまひとつ状態が上がっていない。ミエセスは1軍デビュー戦から2戦連続先発で8打数1安打、打率1割2分5厘。5日広島戦で来日1号を放ったが、9日ヤクルト戦は4打数無安打に倒れていた。一方の小野寺はファームで今季開幕を迎えながら、2軍で3割1分9厘、1本塁打と結果を残して2日に1軍昇格。打席に立った3試合すべてで安打を放つなど、7打数3安打と結果を残している。井上は今季1軍11試合出場で打率2割3分3厘、0本塁打ながら7打点と勝負強さを見せている。前日9日ヤクルト戦に0-1で完封負けした阪神。指揮官はベテラン左腕石川を相手に、若虎の力にかける。

◆昨年12月に名球会入りした阪神藤川球児球団本部付スペシャルアシスタント(SA)の名球会ブレザー授与式が、ヤクルト8回戦の試合前に行われた。同氏は「感謝しかない。すごく素晴らしい時間だった」と振り返った。授与式ではなじみのリンドバーグ「every little thing every precious thing」の曲に乗ってグラウンドに登場。プレゼンターである佐々木主浩氏(55=日刊スポーツ評論家)からブレザーを授与されると、ヤクルト高津監督、阪神岡田監督から花束を受け取った。藤川氏は阪神などで守護神として活躍し、日米通算245セーブを挙げた。05年から22番を背負って球界を代表するストッパーになった。この日は「小魔神くらいにはなれるやろうと、岡田監督が22番にしてくれた」と当時の岡田監督が背番号22を決めたというエピソードも明かした。岡田監督、さらに名球会で先輩でともに22を背負った佐々木氏、高津監督に囲まれ、「すごく縁を感じて阪神タイガース球団にも感謝だし、対戦相手のヤクルト球団にも。本当に感謝しかない」と感激した様子だった。濃紺のブレザーをまとった同氏は今後の活動にも触れ、「もちろん、野球振興ですね。必ず野球を発展させる、スポーツを発展させる。現役で頑張ってる選手とファンの思いの間に入って一体化させるという自分たちの持ってる役割は大きいと思う。頑張っていきたい」と決意を語った。名球会は従来、日米通算で打者が2000安打以上、投手が200勝以上もしくは250セーブ以上に限定されていたが、19年12月の総会で投手の分業制が進み、野球が変化する中で特例が設けられた。「相当する記録保持者」として理事会から推薦され、本総会で会員の4分の3以上の賛成が得られたため、上原氏とともに特例による新加入が初めて決定されていた。

◆球界最年長のヤクルト石川雅規投手(43)が甲子園で躍動した。プロ野球タイ記録となる1年目からの22年連続白星を懸けた今季3度目の先発マウンド。134キロの直球や110キロのカーブと、緩急を付けた持ち前の技巧派投球で阪神打線を手玉にとり、5回1/3を投げ4安打無失点と完璧なマウンドだった。3、4回は先頭打者に出塁を許しても落ち着き払っていた。4回無死一塁で4番大山を118キロのカットボールで捕邪飛に。5番佐藤輝は123キロのスライダーで中飛。6番井上は122キロスライダーで左飛に打ち取った。「毎年1つ1つの積み重ねなので、22年というよりも1つ目の勝利が欲しいというところですね」。登板前、そう話していた石川。球界最年長になっても「1勝の重み」は変わらないといい「1個目がないと次もない。1つ目が早く欲しいというのが毎年変わらないところですね」と語っていた。連続シーズン勝利記録は85~07年工藤(横浜)ら3人の23年だが、1年目からは56~77年米田(近鉄)の22年が最長。大卒としては21年に新記録を達成済みで、石川の軌跡はまだまだ止まらない。【三須一紀】

◆阪神西勇輝投手(32)が7回途中3失点で、3試合ぶりのクオリティー・スタート(QS=6回以上、自責3以下)を達成したが、今季2勝目の権利は得られず降板した。0-0で迎えた4回。2死から3者連続四死球を与え、満塁に。オスナに左前へ運ばれ、2点を献上した。2点ビハインドの7回2死一、三塁では、青木が二塁へゴロを放ち、一塁上の際どい判定となったが、セーフ。岡田監督がリクエストを要求するも覆らず、3点目を失ったところでマウンドを降りた。西勇は今季6戦目の先発。直近2試合は、4月26日巨人戦で3回5失点、3日中日戦で2回6失点と苦しい投球が続いていた。

◆球界最年長のヤクルト石川雅規投手(43)が、プロ野球タイ記録となる1年目からの22年連続白星を達成した。今季3度目の先発マウンドに上がり、5回1/3を投げ4安打無失点。昨季と同じ阪神戦でシーズン初勝利をもぎ取った。「ひとりではできる記録ではないので、家族には感謝したいですし、携わってくれた人、そしてファンのみなさんに感謝したいと思います。22年連続勝利というのもそうですけど、今シーズン初勝利というのは本当に早く手にしたかったので、(ベンチで)みんなに声をかけてもらいました」 長く活躍できる要因を問われると「必死で、しっかりとした準備をすることを心がけています。ひとつ勝つ難しさはわかっている。今日の勝利は次につながる勝利だと思います」とキッパリ。今後へ向け「グラウンドに出ると年齢関係ないので、なんとか結果でひっぱていきたいと思います。何年やりたいとかいう気持ちでやっていたわけではなく、目の前の試合を必死にやってきた結果が22年目なので、今日の勝利におごることなく、次の勝利に向かって準備したいと思います」と話した。連続シーズン勝利記録は85~07年工藤(横浜)ら3人の23年だが、1年目からは56~77年米田(近鉄)の22年が最長。石川が米田の記録に並んだ。大卒としては21年に新記録を達成済みで、自身の記録をさらに伸ばした。

◆阪神は2試合連続完封負けで、ヤクルト石川雅規投手(43)にプロ野球タイ記録となる1年目からの22年連続白星を献上した。阪神今岡1軍打撃コーチは試合後、石川について「要はバッター心理からするとね、あの多彩な変化球、ストライクからボールの誘い球。あのボール球を振らされないように我慢してという、当然こういう心理になる」とした上で「今日は特にその誘い球には引っかかってないんだけど、ストライクゾーンの球が打てなかったね、やっぱり。今日は逆になってもうたね。要はストライクを打たないと意味ないでしょ。ボール球を見逃す競技じゃないからね」と振り返った。開幕から26試合で3番を務めたノイジーを、今季30試合目で初めてスタメンから外した一戦。ベテランを前に得点できず、ヤクルトの継投も崩すことができなかった。

◆阪神が2戦連続のゼロ封負けを喫した。打線は散発の5安打と元気なし。5日広島戦の7回から21イニング連続無得点となった。先発西勇は6回2/3 6安打3失点。123球の力投も実らず今季3敗目を喫した。試合のなかった首位DeNAとは再び3ゲーム差に。貯金は3となった。ノイジー、ミエセスと助っ人をスタメンから外した岡田彰布監督(65)はその意図を語った。試合後の一問一答は以下の通り-昨日に続き、チャンスで一打出なかった「チャンスと言うても、今日はお前、複数ヒットにならんからなあ。イニングでなあ」-ヤクルト石川にうまく投げられた「まあ、打たされたなあみたいななあ。そういう感じやろうなあ。うまく」-前回監督時から投げている投手。衰えない「まあ衰えているっていうか、ずーっと、そらお前、長いことやっとるんやから。そないしてな、あの投球術で」-ノイジーとミエセスは調子以前に石川と合う、合わないもあった「いやいや、あんまりな、もう、内容も悪いしな、ノイジーは。別に使わんでもええやんか。なんで使わなあかんの? 別にそんな外して。こっちの判断なわけやから」-ノイジーは判定に苦しむところも「まあ、それはなあ、だいぶ前に言うたもんな」-考えるタイプ。リフレッシュして「いやいや、そら明日は使うよ」-打線に起爆剤がほしいところか「起爆剤ってもうな、そんな起爆剤は、みんな個人個人1人1人がそらな、塁に出ることやんか。それは。そんなのは。点が入らんていうのはヒットがそんな出ないからそら点入らんよなあ。そんなん当たり前のことやから。昨日も4本、5本で、そらなかなか勝てんよ、なかなかそんなもん、なかなか大量点とかにならんやんか。ランナーもたまらんしなあ、こういうゲーム展開やからランナーたまったらな。なんかこう長打でな、そういうイニング作れるけど、なかなかそういうシチュエーションならんしなあ」-西勇は前回、前々回悪すぎたが、今日の内容については。「まあ、まあよう投げたと思うよ。あこ2点でな、7回投げ切ってくれたら、2点やったらっていうのはあったけどな、後半はなあ。もう、あそこでいっぱいやろ。最後あと1人なあ、ゼロでなあ。不運な当たりやったかもわからんけど。あこ帰ってきてくれたらなあ、合格点っていうか役割果たしたと思うけどな」-前回からは立て直した「そらあ、見ての通りやろ。そら。うん。2回で6点取られたピッチャーやから」-4回2死からの3連続四死球「そうなあ。あそこもったいないわな。警戒するのと慎重にいくっていうかな。そのへんやろな」-3回自分が走者を進められなかった「嫌な感じはするわな。だから二塁なんてピッチャーのバント難しいけどな。一塁の時は西なんて簡単にバント決めるやん。そういうもんや、結局な。まあ、そら自分があっこで決めとったら、そういう展開になったか分からへんからな。まあ、それが野球やから。それで点入れへんからそういう展開になったんやから。そんなん、いちいち説明しとってもしゃあない。それが野球やから。長いことやってたら、そんなこといっぱいあるわ。敗因探してもな」

◆球界最年長のヤクルト石川雅規投手(43)が、プロ野球タイ記録となる1年目からの22年連続白星を達成した。今季3度目の先発マウンドに上がり、5回1/3を投げ4安打無失点。昨季と同じ阪神戦でシーズン初勝利をもぎ取った。43歳3カ月の石川が今季初勝利を挙げ、プロ1年目の02年から22年連続勝利。連続シーズン勝利記録は85~07年工藤(横浜)ら3人の23年で、22年以上は5人目。プロ1年目から22年連続勝利は56~77年米田(近鉄)がつくったプロ野球記録に並んだ。また、43歳以上で白星を挙げたのは7人目。過去6人のうち3人は救援勝利だけで、43歳以上で先発勝利は浜崎(阪急)工藤、山本昌(中日)に次いで4人目だ。石川は通算184勝(32位タイ)のうち183勝を先発で挙げており、183先発勝利は藤本(巨人)堀内(巨人)に並ぶ14位タイとなった。

◆9日ヤクルト戦の8回に突然消えた甲子園球場のセンタースコアボードはこの日、正常に稼働した。前日は復旧までに約20分を要していた。球場担当者は「原因はまだこれということが分かっておらず、お答えできることはありません。今日は正常に動いていたということくらいです」と話した。

◆阪神井上広大外野手が16打席ぶりに安打を放った。4月30日ヤクルト戦以来となる「6番右翼」でのスタメン。7回にヤクルト石山から中前打を決め、起用に応えた。4回2死一塁では石川から左翼への大飛球を放ったが、フェンス手前で左翼青木がキャッチ。もうひと伸び足りなかった。「ゲームに出られる時があれば1試合1試合大事。そこで結果を出せるようにやっていくだけ」と前を向いた。

◆ヤクルト石川雅規投手と現役時代をともに戦った高津監督は22年連続勝利に「チームに入ってきた若い頃の石川の投球だった」と昔を回顧した。「しっかり腕を振って、遅い球を速く見せる、低く丁寧に投げる姿はまだ変わってない」と感慨深げ。22年という年月について「なんと言っても周りが勝たせたいと思う人柄。年は取ったけど先輩面することなく謙虚で努力する姿は野球選手のかがみ」と賛辞を贈った。

◆ヤクルト石川の盟友で球界最年長野手の青木宣親外野手が勝利を大きく引き寄せる一打を放った。7回2死一、三塁で二塁への適時内野安打。41歳が一塁まで全力疾走で駆け抜け、リクエストがあったもののセーフとなり3点目をもぎ取った。高津監督から「シニアスワローズ」と命名された"相方石川"の22年連続勝利について「すごいことですよね。今日もバシバシ良いところに投げていた」と祝福。存在については「いつもストイックに準備している姿は若い選手の手本になる。本当にチームにとって大きな存在」と語った。

◆5月3日以来のスタメンマスクだった阪神梅野隆太郎捕手はフル出場し、快音を響かせた。3回にヤクルト石川からチーム初安打となる中前打を放つなど3打数1安打。だが石川攻略には至らず、リードした西勇ら投手陣も5失点でヤクルトに完敗した。先発マスクの試合は7勝12敗1分け。試合後は険しい表情のまま、クラブハウスに引き揚げた。

◆今季初めて3番左翼で起用された阪神小野寺暖外野手(25)が安打を放った。4回無死、石川からセンターにクリーンヒット。「気負わずに3番目のつもりで」快音を響かせ、今季は11打数4安打、打率3割6分4厘と好調だ。大商大の同期、ヤクルト大西には8回に二ゴロに仕留められ「意識する部分はある。(大西が)1軍で投げる姿を見て、早く1軍に行きたいと思っていた。次は打てるように練習します」とリベンジを誓った。

◆阪神西勇輝投手(32)が今季6戦目のマウンドで7回途中を6安打3失点と粘投した。今季3敗目を喫したが、2戦連続KOからの復調気配を漂わせた。「自分の中では『仕事をする』ということが1番。この試合も前の試合も自分の中でいろいろ整理しながら、球数をかけてゲームを作ると言っていた。仕事はできたかなと思う」。3回までは1安打無失点。0-0の4回、2死から3四死球で満塁とされ、7番オスナに先制の左前2点打を献上した。2点ビハインドの7回2死一、三塁では青木を打ち取りながら、二塁への弱いゴロが適時内野安打に。3失点目を喫したところでタオルが投げられた。岡田監督は「よう投げたと思うよ。2点で7回投げ切ってくれたらっていうのはあったけどな。最後あと1人なあ、不運な当たりやったかもわからんけど。あそこ帰ってきてくれたらなあ、合格点っていうか役割果たしたと思うけどな」と表現。主戦格と認める右腕だけに、次回はさらに高いレベルを求めた。とはいえ、クオリティー・スタート(QS=6回以上、自責点3以内)達成は、1失点完投勝利を挙げた4月18日広島戦以来3戦ぶりだ。直近2試合は4月26日の巨人戦で3回5失点、前回登板の3日中日戦で2回6失点と苦しい投球が続いていた。今季2勝目は遠かったが、前回登板から大きく修正。安藤投手コーチも「反省をしっかり生かしてくれた投球だった。当然、4回のところはもったいなかった。でも7回途中までしっかりゲームを作ってくれた」と納得した。通算111勝右腕の復調は朗報に違いない。【波部俊之介】

◆阪神の新助っ人ビーズリーが登板9試合目で初失点を喫した。3-0とされた7回2死一、二塁の場面でマウンドへ。3番山田を遊ゴロに仕留めて食い止めた。ところが2イニング目の8回に四球から1死一、三塁のピンチを招き、長岡に中前適時打を浴びるなど2失点。1回1/3 2失点に「結果的に打たれているということは捕手が構えたところに投げられていない」と唇をかんだ。

◆阪神及川雅貴投手(22)が9回の1イニングを1安打無失点に抑え、防御率0・00を継続した。1三振も奪ったが「ボールが先行していた」と厳しく自己採点した。開幕2軍スタートも、4月18日に1軍昇格。同月20日から7戦で9回2/3を投げ、自責点はいまだ0だ。ピッチャー返しで唯一の被安打となった山田の打球には「捕れたと思った。フィールディングもしっかり取り組んでいきたい」と反省も忘れなかった。

◆オヤジの背中が今年も輝いた。球界最年長のヤクルト石川雅規投手(43)が今季3度目の先発で初勝利を挙げ、プロ野球タイ記録となる1年目からの22年連続白星を達成した。5回1/3、75球を投げ4安打無失点と好投し、チームは2試合連続の完封で連勝した。これでプロ通算184勝。小さな大投手は「ずっと頭の片隅にある」という200勝の大台までまた1つ歩みを進めた。サッカーW杯日韓大会で日本中が沸いた年だった。青学大を出たばかりの02年4月4日に初勝利を挙げ、22年もの月日が流れても、石川はマウンドに立っていた。167センチの小さな体を大きく使い「ストレートを両サイドに投げ込むことが出来た」と阪神打線に立ち向かった。そして22年間、欠かすことなく重ねた勝ち星。「1人でできる記録ではない。1番は家族に感謝したい」と目尻にしわをつくり、静かに言った。この日の最速は134キロだが「球は遅いけど目いっぱい腕を振って、いろんなボールを投げるのが僕の投球」と、110キロのカーブなど緩急を付けた持ち前の技巧派投球で阪神打線を手玉にした。3、4回は先頭に出塁を許しても落ち着き払っていた。4回無死一塁で大山を118キロのカットボールで捕邪飛。佐藤輝は123キロのスライダーで中飛。6番井上は122キロスライダーで左飛に打ち取った。21年前の初勝利は「必死すぎて覚えていない」と笑う。2年後。長男大耀(だいや)さんが生まれた。その4年後には次男栄寿(えいす)さんも誕生。「子どもが物心つくまで現役でいたい」。それが最初の目標だった。気がつけば長男は大学1年、次男は中学3年になるまで1軍の先発投手で居続けた。昨夏、大耀さんが東海大高輪台の投手として神宮のマウンドに上がった。東東京大会2回戦で100球未満の完封勝利「マダックス」を達成。石川は息子の勇姿をその場で見届けた。「運良く全試合、応援に行けたんですよ」とベスト16で敗退するまで球場に足を運んだ。父の背中を追いかけて始めた野球も、大学進学と同時に硬式は引退。「父さんのすごさは小さい頃より、野球を続けてきた今だからこそ、あらためてすごいと感じる」と感謝の言葉をもらった。「僕が投げなくても野球を見に来ますからね。野球を好きになってくれたことは本当にうれしかった」。いくつになっても息子のヒーローでありたかった。「物心」どころか立派に成長した子どもたちへ、伝えたいメッセージがある。「1試合でも多く1軍のマウンドで投げている姿、勝てなくても、もがいている姿を見てほしい」。人生の厳しさを、父はマウンドで表現していた。【三須一紀】

◆阪神が今季初めて2試合連続の0封負けを喫した。岡田彰布監督(65)はヤクルト戦で今季初めて国産オーダーを選択。開幕から29試合連続先発していたノイジー、2戦連続先発していたミエセスを外し、25歳小野寺を「3番左翼」、21歳井上を「6番右翼」で起用した。だが打線は振るわず、計21イニング連続無得点。ヤクルト石川先発時に5連敗となり、首位DeNAとのゲーム差は3に広がった。岡田阪神が打線改造に踏み切った。だが、無情にもスコアボードには「0」が並び続けた。象徴的だったシーンは得点機での拙攻だ。3回無死一、二塁から9番西勇がバスターを試みるも、遊撃のほぼ正面に転がり三塁封殺。2点を追う6回は先頭近本が左中間への二塁打で出塁するも、後が続かず。指揮官は「チャンス言うても今日は複数ヒットにならんからなあ、イニングでなあ」と嘆き節。計5安打で21イニング連続無得点。今季初の2戦連続、3度目の完封負けで2連敗を喫した。今季30試合目で初めてノイジーをスタメンから外す決断を下した。26試合で3番を務めてきた新助っ人は、試合前時点で5月の月間打率が1割9分と下降線をたどっていた。指揮官は「内容悪いしな、ノイジーは。別に使わんでもええやんか。なんで使わなあかんの? こっちの判断なわけやから」と説明。同時にミエセスも外し、3番に小野寺、6番に井上を起用。今季初の和製オーダーを組んだ。だが、助っ人勢2人を外すカンフル剤を投入した打線は結局、43歳石川の熟練の投球術にまたしても屈した。130キロ台の直球と変化球を低め、両サイドに集められ、22年連続白星を献上。石川が先発時はこれで3年越しの5連敗だ。05年には10勝を挙げるなど、岡田監督が前回采配を振っていた時からヤクルトの主戦で活躍していた左腕。指揮官は「うまく打たされたなあ。ずーっと長いことやっとるんやから、そないしてな、あの投球術で」と脱帽するしかなかった。2試合連続完封負けは22年8月23、24日のDeNA戦以来だが、甲子園での連続完封負けは22年5月3、4日のヤクルト戦以来。この時も2戦目にヤクルト石川に5回無失点と打線が丸め込まれていた。3戦連続だけは避けたいところだ。指揮官はノイジー、ミエセスの両助っ人について「明日は使うよ」と明言した。リフレッシュを挟み、爆発に期待したいところだ。今季2連敗は6度目だが、まだ1度も3連敗はない。首位DeNAとは3ゲーム差。カード3連敗だけは阻止して、反攻に転じたい。【古財稜明】阪神は今季30試合目で初の和製スタメンを組んだ。阪神のスタメンが全員日本人だったのは、22年CSファイナル第1戦の10月12日ヤクルト戦(神宮)以来。公式戦では昨季最終戦だった10月2日ヤクルト戦(甲子園)以来だ。このときは1番遊撃中野、2番三塁糸原、3番中堅近本、4番左翼大山、5番一塁原口、6番右翼佐藤輝、7番二塁高寺、8番捕手坂本、9番投手西純だった。阪神今岡打撃コーチ(ヤクルト石川について)「バッター心理からすると、あの多彩な変化球、ストライクからボールの誘い球。あのボール球を振らされないように我慢してという心理になる。今日は、その誘い球には引っかかってないんだけど、ストライクゾーンの球が打てなかった。要はストライクを打たないと意味ないでしょ。ボール球を見逃す競技じゃないからね」

◆お笑いコンビ「マテンロウ」が、試合前のファーストピッチセレモニーを務めた。この日は「オーダースーツSADA DAY」として開催され、同社のスーツを着て登場。投手アントニー(33)、打者は大トニー(33)、審判は同社の佐田展隆社長が務めた。元野球少年で、阪神ファン歴26年のアントニー。昨年5月にも初の始球式を経験した。昨年はやや高めに浮いたというが、この日はストライク投球を披露し、拍手が沸き起こった。「前回は50球くらい投げ込みして、高めにうわずってボール。今回1球も練習せずにストライク投げられたんですよ。何でかなと。まあ、SADAのスーツのおかげかなと。間違いないです」と笑いを誘った。元高校球児の大トニーは「(いつか甲子園に立つのが)夢だったので。まさかスーツで立つとは思わなかったですけど」と笑顔を見せた。

◆両軍のスターティングメンバーが発表。阪神は新助っ人のシェルドン・ノイジー外野手(28)が今季初めてスタメン落ち。代わって小野寺暖外野手(25)が「3番・左翼」に入った。また井上広大外野手(21)が4月30日のヤクルト戦(神宮)以来、6試合ぶりに「6番・右翼」で先発。今季初の和製オーダーでヤクルトの先発・石川に挑む。先発は3試合ぶりの勝ち星を狙う西勇輝投手(32)。ここ2試合は精彩を欠く登板が続いているが、丁寧にコーナーをつき、ヤクルト打線を封じる。

◆昨年12月に名球会入りした藤川球児さんが試合前に名球会ブレザーを贈られた。「素晴らしい時間だった。感謝しかない」と感慨に浸った。藤川さんは阪神などで抑え投手として活躍し、日米通算245セーブをマーク。従来は日米通算で投手は200勝以上もしくは250セーブ以上に限定されていたが、特例で名球会入りした。(甲子園)

◆阪神・梅野隆太郎捕手(31)が三回先頭の第1打席でチーム初安打となる中前打を放った。3日の中日戦(甲子園)以来の先発出場。カウント0-1から左腕・石川の110キロチェンジアップにしぶとく食らいついた。打球は二遊間を抜ける中前打。4月30日のヤクルト戦(神宮)以来のヒットで攻撃の口火を切ると、続く木浪が左前打を放って無死一、二塁と好機を広げた。しかし、西勇は遊ゴロで1死一、二塁。近本は遊飛に打ち取られると、中野は一ゴロで先制点とはならなかった。

◆11日の阪神戦(甲子園)に先発するヤクルトのサイスニード投手(30)は、ダッシュなどで調整。7日のDeNA戦が雨天中止した影響で中8日での登板となり、2度ブルペン入りして投球フォームなどを見直した。今季初の阪神戦で声出し応援が解禁してから初の甲子園に「歴史のある球場で応援の声はすごく大きい。投げられることがすごく楽しみ」と意気込んだ。

◆阪神の先発・西勇輝投手(32)が先制点を献上した。0-0で迎えた四回。先頭の青木を右飛、続く山田を中飛と簡単に2死を奪ったが、ここから突如乱れた。村上を四球で歩かすと、サンタナにも四球、中村には死球で満塁のピンチ。打席にオスナを迎えた。カウント1-2から4球目、高めに浮いた直球を振り抜かれると、打球は左前に弾む2点打。痛恨の失点にうなだれた。

◆ヤクルトのホセ・オスナ内野手(30)が「7番・一塁」で出場し、四回2死満塁で2点適時打を放った。貴重な先制点に「2アウトからチャンスで打席が回ってきたのでなんとかものにしたかった。先制できてよかった」と喜んだ。2死から村上、サンタナの四球と中村の死球で満塁のチャンスとなって迎えた第2打席。カウント1―2から阪神先発、西勇の内角高め145キロの直球をはじき返して左前に運んだ。試合前時点で打率・300、6本塁打、15打点と好調。チームを支える来日3年目の助っ人が、頼もしい活躍をみせて新人から22年連続勝利を目指す先発の石川雅規投手(43)を援護した。

◆阪神がまた得点の好機を逸した。六回先頭の近本が二塁打でチャンスメークするも、塁上に釘付けとなった。リードオフマンの一打を生かしたい打線だったが、続く中野が遊ゴロで1死。ここでヤクルトは2番手の木澤にスイッチした。小野寺は空振り三振、4番・大山は初球を高々と打ち上げ、中飛とホームが遠い。阪神打線は三回も先頭の梅野が中前打を放って無死一、二塁と好機を作りながら無得点。四回は先頭の小野寺が中前打を放ったが、大山が捕邪飛、佐藤輝が中飛、井上が左飛と得点することができなかった。六回までに3度、先頭が出塁しながらも無得点ともどかしい展開が続いている。

◆雲一つない澄み切った夜空の下、43歳の達成感ある表情が映えた。ヤクルト・石川雅規投手が今季3度目の登板で、5回1/3を投げ4安打無失点。阪神打線を手玉に取り、凡打の山を築いた。「しっかり一人でも多く投げるのが先発としては大事。もちろん1人で投げ切るのが一番ですけど、一人でも多く長いイニングを投げたい」登板2日前にそう意気込んでいた通り、仕事を果たした。立ち上がりから直球を中心に組み立てた。最速は134キロ。近年は多くの投手が150キロ台を記録し、160キロ台をたたき出す投手もいる中、球速ではなく、切れと制球力で勝負するのが石川の真骨頂。何より「攻めの姿勢」を崩さず、ストライク先行で勝負した。打者20人中4球以上投げたのは11人で、うち9人が3球でカウント1―2という投手有利な状況を作った。球速は関係ない。広く、低く、奥行きを使って攻めた。三回無死一、二塁のピンチも冷静で西勇を遊ゴロ、近本を遊飛、中野を一ゴロに仕留め無失点。六回途中でマウンドを譲ったが、最高の投球内容だった。今年から球界最年長になった。ただ、「年齢や実績で飯は食えない」というのが石川の口癖だ。チームメートで球界野手最年長となった41歳の青木は、同じ痛みや喜びを分かち合える戦友。「ノリ(青木)は『石川さんは200勝いけるし』って言ってくれる。俺はノリに『日米通算3000安打いけるよ』と話している。いてくれることが大きい。刺激になるよ」。まだまだ若手には負けていられない。熟練の技を、ベテランの意地を見せた75球だった。(赤尾裕希)

◆阪神の先発・西勇輝投手(32)は6回2/3を投げ6安打3失点で降板。123球の力投も実らなかった。四回2死から3連続四死球で満塁とされると、オスナに左前に運ばれ2点を献上。その後は粘りの投球を続けたが、七回1死から長岡に右前打を浴びると、2死として塩見に中前打を許して2死一、三塁。青木はボテボテの打球に打ち取ったが、これが適時内野安打となった。岡田監督はリクエストを要求も、判定は覆らず3点目を献上。ここで無念の降板となった。

◆阪神は完敗。打線が散発の5安打に終わり、2試合連続のゼロ封負けを喫した。三回に梅野、木浪の連打で無死一、二塁と好機を作るも、西勇が遊ゴロ、近本は遊飛、中野は一ゴロに倒れた。四回、六回といずれも先頭打者をヒットで出しながら、後続がつながらず無得点。拙攻に苦しんだ。先発の西勇は四回2死から3者連続四死球で満塁とすると、オスナに2点打を浴びて先制点を献上。七回にも1点を失い、6回2/3を投げ、6安打3失点。123球の力投も実らず、今季3敗目を喫した。阪神は連敗で貯金は3。試合のなかった首位・DeNAとは再び3ゲーム差となった。

◆ヤクルトは石川が六回途中4安打無失点で今季初白星を挙げ、22年連続勝利をマークした。打線は四回にオスナの適時打で2点を先制し、終盤も効果的に加点した。阪神は2試合連続の零敗。西勇は七回途中3失点で3敗目。

◆ヤクルトは石川が六回途中4安打無失点で今季初白星を挙げ、22年連続勝利をマークした。石川のヒーローインタビューは以下のとおり。--プロ入りから22年連続の勝利、日本プロ野球記録に並んだ「ありがとうございます」--今の気持ちは「ひとりでできる記録ではないので、家族にも感謝したいですし、携わってくれた人、そして、ファンの皆さんに本当に感謝したいと思います」--ベンチから祝福の声はあったか「そうですね、本当に22年連続勝利もそうですけども、やはり今シーズンの初勝利というのは早く手にしたかったので、皆に声をかけてもらいました」--22年間活躍ができている要因は「必死でしっかりとした準備をするのを心がけてます」--今日で184つ目の勝利「ひとつひとつの積み重ねですけども、やはり、ひとつ勝つ難しさっていうのを、すごくわかっているので、今日の勝利は次に繋がる勝利だと思います」--バッター陣の奮闘は「なんとかしてあげたいという気持ちが伝わってきたので、それにつられて、僕も中村のナイスリードに助けられてピッチングすることができました」--誰に感謝を伝えたいか「やはり家族に感謝を伝えたいと思います」--若い選手もどんどん増えてきた「長くやらせていただいてますけども、チームの戦力になって、チームの勝利に貢献したい思いが強いので。グラウンドに出ると年齢関係ないので、なんとか結果で引っ張っていけるように、頑張っていきたいと思います」--どんなシーズンにしていきたいか「何年やりたいとかっていう気持ちでやったわけではなく、目の前の試合を必死にやってきた結果が22年目。今日の勝利におごることなく、次の勝利に向かってしっかりと準備したいと思います」--ファンにメッセージを「今日もたくさんのご支援どうもありがとうございました。シーズンまだまだ長いですけど、なんとかスワローズらしい戦いをして、優勝目指して、一戦一戦頑張りたいと思いますので、今後ともご声援よろしくお願いします」

◆阪神が2試合連続完封負け。三回無死一、二塁、六回無死二塁など好機を作りながらも、石川雅規投手(43)の前に決め手に欠いた。西勇輝投手(32)は四回二死から連続四球と死球で窮地を招き、ホセ・オスナ外野手(30)の左前打で2点を献上。七回には青木宣親外野手(41)の二塁内野安打で3点目を与えた。自身2連敗で1勝3敗。シェルドン・ノイジー外野手(28)を初めてスタメンから外した打線は5日の広島戦(マツダ)の七回から21回連続無得点。首位DeNAと3差となった岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(成績=16勝13敗1分、観衆=4万586人)。ーー9日に続き、チャンスで一本が出なかった「チャンスと言うても、今日はお前、複数ヒットにならんからなあ。イニングでなあ」ーー石川にうまく投げられた「打たされたな。そういう感じやろうなあ。うまく」ーー前回監督時から投げている投手。衰えない「衰えているっていうか、ずーっと、そらお前、長いことやっとるんやから。そないしてな、あの投球術で」ーーノイジーとミエセスは調子以前に石川と合う、合わないもあった「内容も悪いしな、ノイジーは。別に使わんでもエエやんか。なんで使わなアカンの? 別にそんな外して。こっちの判断なわけやから」ーーノイジーは判定に苦しむところも「それは、だいぶ前に言うたもんな」ーー考えるタイプだから、リフレッシュして「そら明日は使うよ」ーー打線に起爆剤がほしい「起爆剤は個人個人、1人1人が塁に出ることやんか。ヒットがそんな出ないから、点入らんよなあ。そんなん当たり前のことやから。昨日も4本で勝てんよ。大量点とかにならんやんか。ランナーもたまらんしなあ。こういうゲーム展開やからランナーたまったら、長打でな、そういうイニング作れるけど、そういうシチュエーションならんしなあ」ーー西勇の内容については「よう投げたと思うよ。2点でな、七回投げ切ってくれたら、2点やったらっていうのはあったけどな、後半はなあ。もう、あそこでいっぱいやろ。(青木の二塁内野安打は)不運な当たりやったかもわからんけど。ゼロで帰ってきてくれたら、合格点っていうか役割果たしたと思うけどな」ーー前回からは立て直した「見ての通りやろ。(3日の中日戦の)二回で6点取られたピッチャーやから」ーー四回2死からの3連続四死球「あそこもったいないわな。警戒するのと慎重にいくっていうかな。そのへんやろな」ーー三回は自身が走者を進められなかった(無死一、二塁でバント失敗後に遊ゴロで二走が三塁封殺)「嫌な感じはするわな。だから二塁なんてピッチャーのバント難しいけどな。一塁の時は西なんて簡単にバント決めるやん。そういうもんや、結局な。あっこで決めとったら、そういう展開になったか分からへんからな。それが野球やから。点入れへんから、そういう展開になったんやから。そんなん、いちいち説明しとってもしゃあない。それが野球やから。長いことやってたら、そんなこといっぱいあるわ。敗因探してもな」

◆球界最年長野手のヤクルト・青木宣親外野手(41)が2―0の七回2死一、三塁で二塁への内野安打を放つなど1安打1打点と活躍。貴重な追加点を全力疾走でもぎ取り「なんとか1点が欲しかった。あんな形だったけどよかったなと。とにかく全力で走りました」と笑みを浮かべた。6回無失点で新人から22年連続勝利を挙げた球界最年長の石川雅規投手(43)の姿に奮起。外野から2学年上の先輩の投球を守り「本当にすごい。バシバシ良いところに投げていましたし、打者を翻弄していた」と刺激をもらい結果につなげた。神宮のクラブハウスのロッカーはお隣同士。青木は石川の存在に「いつもストイックに準備している石川さんの姿は若い選手のお手本になる。チームにとってすごく大きな存在」と尊敬のまなざしを向ける。年齢を重ねてもまだまだ燕のベテランたちは頼もしい。

◆43歳の壁にはね返された。阪神はヤクルトに0―5で敗れ、今季初めて2試合連続の零封負けを喫した。平均年齢27歳の和製打線を組んだが、球界最年長のヤクルト・石川雅規投手(43)にひねられて22年連続となる白星を献上。岡田彰布監督(65)はベテランの投球術に屈した若虎打撃陣に奮起を促した。狙い球がきた! と思ったら芯を外され、ボールと思ったらストライク。球場に虎党のため息ばかりが充満する。緩い変化球あり、ズバッとコースに投げ込む直球あり。石川の老練な投球術で翻弄された。この日の最速は134キロ。それでも、平均年齢27歳の阪神打線は、ヤクルト先発の43歳左腕にまんまとやられた。岡田監督は悔しさをにじませ、打線改造の不発を嘆いた。「打たされたなあ、みたいななあ。そういう感じやろうなあ。うまく。ずーっと、そらお前、長いことやっとるんやから。そないしてな、あの投球術で」ヒットが続いたのは、三回先頭・31歳梅野の中前打、28歳木浪の左前打で無死一、二塁とした場面だけ。このチャンスは32歳西勇がバスターで走者を進められず、28歳近本は真ん中付近の110キロカーブで遊飛、26歳中野は2ボールから外角いっぱいの直球を2球見逃して追い込まれ、最後は低めの121キロシンカーで一ゴロに片付けられた。試合序盤から巧みに勢いをそがれ、5試合連続安打中だった24歳佐藤輝も2打席凡退に打ち取られた。25歳小野寺を今季初の3番で起用し、右翼には21歳井上を配置。30試合目で初のスタメン落ちとなったノイジーについて、指揮官は「内容も悪いしな、ノイジーは。別に使わんでもええやんか」と説明した。5月の月間打率・190(21打数4安打)と苦しむ助っ人を外し、生きのいい和製打線で石川に挑んだが、16年のキャリア差を見せつけられた。

◆また、大きな勝利を積み重ねた―。ヤクルト・石川雅規投手(43)が10日、阪神8回戦(甲子園)で5回?を投げて4安打無失点。今季3度目の登板で初勝利を挙げ、1956-77年の米田哲也(阪急など)のプロ野球最長に並ぶ入団年から22年連続勝利をマークした。5-0の勝利に貢献し、チームは6カードぶりの勝ち越し。借金を1に減らした。澄み切った夜空の下、緊張がほぐれ、表情を崩した。石川が今季3度目の登板で5回?を4安打無失点と好投し、22年連続勝利を達成。ヒーローインタビューでは帽子を取り何度も頭を下げた。「本当に一人でできる記録ではないので家族、携わってくれた方、ファンの皆さんに感謝したい。今シーズン初勝利を早く手にしたかった」石川らしさが詰まった投球だった。直球の最速は134キロ。近年は160キロ台を出す投手もいる中、球速ではなく、切れと制球力で勝負するのが真骨頂だ。バッテリーを組んだ中村と話し合い、直球主体で攻めると決めた。打者20人中、4球以上を要したのは11人で、うち9人が3球でカウント1―2とストライク先行。広く、低く、奥行きを使って攻め、三回無死一、二塁のピンチも冷静に後続を断った。特別な1勝になった。43歳3カ月で、自身の持つ球団最年長勝利記録を更新。さらに、プロ1年目から22年連続勝利となり、通算350勝を誇る米田哲也の史上最長記録に並んだ。レジェンドの言葉が支えになった。小学生の頃、地元の秋田で名球会メンバーによる野球教室が開かれた。約100人の野球少年がいる中、ひと際小さかった石川に声を掛けてくれたのが米田氏だった。「一番いい投げ方をしている。体の大きさは関係ないから、頑張れ」。勇気をもらった瞬間だった。石川は「30数年経って、米田さんの記録に並べたのは本当にうれしい。あのお言葉が原点です」と感謝した。

◆大卒4年目の阪神・小野寺が2021年10月12日の巨人戦(東京ドーム)以来、2年ぶり2度目となる3番に入った。「あまり気負わず。3番目なだけで打順は関係なく」と臨み、四回の第2打席では石川の直球をライナーではじき返す中前打。打席に立った4試合ではいずれも安打を放つなどアピールを続けているが「チャンス(六回1死二塁)で三振でした。1本出てますけど、2本目、3本目出せるように頑張ります」と反省を忘れなかった。

◆4月30日のヤクルト戦(神宮)以来のスタメン出場となった阪神・井上は、七回1死で石山のスライダーを中前に運び、16打席ぶりに安打を放った。縦に落ちる変化球に対応し「直球の速い投手だったので、直球を打ちにいって合わせられたのはよかった」と次につながる一打となった。助っ人のミエセスらと出場機会を争う立場。「1試合1試合が大事だと思うんで、そこで結果を出すだけ」と前を向いた。

◆もうひと踏ん張りというところで白球をはじき返され、悔しさをにじませた。背信投球が続いていた西勇は試合を作ったが、先制点献上が重くのしかかって今季3敗目。それでも、前向きな言葉で登板を振り返った。「自分の中でいろいろ整理しながら、球数をかけてゲームを作るっていうのはもともと言っていたし、仕事はできたかなと思う」四回2死で4番・村上から連続四球。中村には強気に内角を攻めた結果、死球となり満塁に。続くオスナに高めの直球を左前へ落とされて、登板4試合連続で先制点を奪われた。球数が100を超えた七回もマウンドに上がり、四球と安打などで2死一、三塁と正念場を迎えた。青木の高いバウンドの打球は際どいタイミングで二塁内野安打となり、ベンチもリプレー検証を要求したが、判定は覆らず。3点目を失ったところで降板となった。七回途中123球を投げて6安打3失点。黒星はついたが、3試合ぶりにクオリティスタート(6回以上を投げ、自責3以内)を達成。前回3日の中日戦(甲子園)では今季最短の2回6失点でKOされていただけに、今回ばかりは簡単にマウンドを降りられなかった。前回からの修正を見せた右腕に岡田監督は「よう投げたと思うよ。(七回の青木の打球は)不運な当たりやったかもわからんけど。あそこを(無失点で)帰ってきてくれたら、合格点っていうか、役割を果たしたと思うけどな」と一定の評価をしつつ「あそこもったいないわな」と四回の連続四死球を悔やんだ。復調の兆しを見せた西勇が、次こそ虎を勝たせる。先制のホームを踏ませない投球で役割を全うする。(織原祥平)

◆ヤクルト・石川雅規投手(43)が10日、阪神8回戦(甲子園)で5回?を投げて4安打無失点。今季3度目の登板で初勝利を挙げ、1956-77年の米田哲也(阪急など)のプロ野球最長に並ぶ入団年から22年連続勝利をマークした。5-0の勝利に貢献し、チームは6カードぶりの勝ち越し。借金を1に減らした。石川が最高の応援団に勝利を届けた。昨年末、生まれ育った秋田に帰った。コロナ禍だったため一人での帰省だったが、実家では母の泰子(たいこ)さんが作ったきりたんぽ鍋に父の昭芳さんと舌鼓を打った。70歳を過ぎた両親からは「一年でも長く、けがなく頑張って」と背中を押された。夫人の聡子さんは常に前向きな言葉で前を向かせてくれる。2人の息子には「もう少し父親が頑張っている姿を見せたいよ」と思いがあふれる。22年連続勝利を挙げ「家族に感謝を伝えたい」と胸の内を明かした。

◆球界野手最年長のヤクルト・青木宣親外野手(41)が10日、22年連続で勝利を挙げた2学年上の石川に祝福のメッセージを寄せた。長年スワローズを支えてきた兄貴分について「なくてはならない大きな存在。ずっと一緒にプレーしていたい」と思いを激白。同日の阪神8回戦(甲子園)では適時内野安打を放ち、白星をアシストした。石川さん、22年連続勝利おめでとうございます。大きな故障をせず、長い間勝ち星を積み重ねられていることは本当にすごいですし、ずっと自分と向き合ってこられたんだなと思います。神宮球場のクラブハウスのロッカーが隣で、普段からいろいろなことを話します。悩みを相談したり、「まだまだこれから。何年も頑張っていきましょう」と励まし合ったり。お互い投手と野手で球界最年長ですが、年齢は関係ないと言っています。言葉はもちろんですが、一つ一つの行動に刺激を受けています。いつも目の前のことに集中して、何かを考えながら一生懸命取り組んでいます。クラブハウスでの立ち居振る舞いや実際に試合でプレーしている姿がすごく模範的というか、みんなその姿に影響を受けていると思います。石川さんとは同じ時代を生きてきて、野球界のことやスワローズの歴史、先輩たちから受け継がれたものや、いろいろなことを理解し合えます。そういうことを共有できる存在ってすごく大切だと思いますし、僕にとっては本当になくてはならない大きな存在。兄貴ですね。通算200勝を達成した試合では一緒にグラウンドに立っていたい。選手として、石川さんが200勝を挙げる背中を見たい。そして、僕もその大きな1勝に貢献したいです。(東京ヤクルトスワローズ外野手)

◆佐藤輝は4打数無安打。2日の中日戦(甲子園)から続いていた連続試合安打は5でストップした。昨季、打率・375(8打数3安打)と好相性だった石川には、第1打席で三飛、第2打席は中飛と、いずれも体勢を崩されて凡退。「コントロールもよかったので、いい投球をされた。次はやられないようにしたいです」とリベンジを誓った。

◆阪神・木浪は三回無死一塁の場面でカウント1-1から石川の外角直球に対して逆らわず、左前にライナーではじき返して6試合連続安打とした。外角球に対して「狙ってというか、外を意識していたのでああいう形になりました」と冷静に振り返った。打率はチームトップの・364。とくに左投手に対しては・421と好調を継続し、下位打線の核となっている。

◆石川には素直に賛辞を贈りたい。おめでとう。さすがだね、と。今季登板した2試合とは、球の切れとコントロールが違った。逃げることなく、内角を思い切りよく突いていた。ストレートで初球からポンポンとストライクを取るケースも目を引き、打者を戸惑わせ、変化球を追いかけさせた。まさに、してやったりだ。甲子園という舞台も、プラスに働いたか。四回2死一塁での井上の左飛などは神宮ならあわや、という当たり。広い球場で、ますますゆとりを持てたのだろう。もちろん、この投球をすれば、他の球場でも十分に勝てる。技巧派といえども、基本はストレート。そしてコントロール。本来の投球を取り戻すには、いい機会になったはずだ。石川は私が監督時代の2002年に入団してきた。身長は同じくらい低いのに確か公称は169センチ(現在は167センチ)。「ウソでしょ、そんなにないだろう?!」と、背比べしたことを思い出す。実際、同じくらいだった(笑)。まあ、私の身長は今さら明かさないとして...。小さな体で、ここまで勝ち続けるとは立派なものだ。プロの世界で生きるためには、やはり下半身が大事。その上で技術を磨く。経験を糧にする。石川が教えてくれることは、実に多い。何より、全ての野球少年に夢を与える存在だ。少しでも長く、マウンドに立ち続けてもらいたい。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆レジェンド藤川球児氏が名球会ブレザーに袖を通していた。プレゼンターは大魔神・佐々木主浩氏。達成感にあふれた笑顔。いい光景だった。昔は、名球会入会基準の200勝や2000安打が「きょうにも達成」となると、名球会員(200勝、2000安打達成者)の誰かが必ず当該選手が出場する球場に出向いて、決定した試合後に即、ブレザーを着せるセレモニーが行われるのが慣例だった。ある選手が「あと一本」が打てずに、チームは盛岡、仙台、福島の東北シリーズに突入。たまたま郷里・山形に里帰りしていたサンケイスポーツ専属評論家(当時)・皆川睦雄氏に大役の白羽が立った。新幹線のチケットを頼まれた。が、お盆の帰省ラッシュの真っ最中。東北新幹線の指定席なんて取れるはずがない。毎日、朝5時前に駅に行って、自由席に並んだ記憶が...。そこまでしたのに、ある選手は「あと一本」が打てずに、違う球場で達成して、違う名球会員からブレザーを渡されていた。妙に腹が立った。そんな昔の出来事を思い起こしながら、ふと気が付いた。栄光に満ちあふれた藤川氏だが、特例により入会が決まったため、手にできなかったものがある。それが「達成した試合」。そう思うと残念な気がする。決めた瞬間の映像はやっぱり感激がよみがえるものだ。本人は全く気にしていないかもしれないが。2000安打、200勝、250セーブ-。どれも難易度は「スーパーMAX」。今後は、藤川氏のように特例入会が増えるのだろう。記念日がない会員も、当たり前になっていくのだろうか。当番デスク・川端亮平は、「藤川球児」の全盛時のトラ番。2006年からの3年間はリアルに球児番として密着。かわいがってもらった。JFK、涙のお立ち台、10連投10連勝、そして火の玉ストレート...。数々の球児伝説を間近で見てきた。そんな元トラ番に一番の思い出を聞いたら、意外過ぎる答えが返ってきた。「あれは08年の終盤。神宮で負けた直後でした。グラウンドを歩いて帰る岡田監督に、心ないヤジが飛んだんです。さすがに岡田監督もキレてスタンドに向かって突進。その時でした。すぐ後ろで取材を受けていた球児さんが血相変えてヤジった人間の方に向かっていこうとしたんです。すぐ横にいた僕も、他社の先輩記者も、慌てて球児さんの前に立って必死で止めました」

◆「つまんね~」×5。2試合連続零封負けで、その前が雨、雨、移動日と虎党はこの5日間阪神の得点を目にしていないんだよ~!1点も奪えなかったんだから、先発の西勇を責めるのも酷だけどさあ...。何でなの? なぜか相手投手よりも先に得点を許してしまうクセが...。誰か粘り強い投球を見せてくれる見本でもいたらと思ったら、目の前にいた~!! 石川雅規投手、入団から22年連続の白星、悔しいけどお見事でしたア!!前日、俺がここでノイジーの起用方法を考えるべきだ! と提言したらさすが岡田さん、ノイジーに代わり3番に小野寺を入れただけじゃなく、21歳の井上をスタメンに使ってきたー!! いいね! いいね!! 若虎起用!!ウム? 第3戦先発は27歳の伊藤将。キャッチャーの坂本が29歳。大山、佐藤輝、木浪に中野、外野が井上、近本、小野寺なら...。おおおー!! 全員20代の『和製20'Sタイガース』の完成やー!! 若虎軍団5日間の「つまんね~」をぶっ飛ばしてくれー!!

◆中日、西武、阪神で通算1560安打を放ち、楽天初代監督を務めた田尾安志氏(69)=サンケイスポーツ専属評論家=は三回無死一、二塁からの西勇の場面は「バスター切り替えではなく、送りバントを貫くべきだった」と主張。勝てない西勇に対しては「逃げている印象。向かっていく石川と対照的」とライバルの研究を勧めた。打線を工夫するのは悪くない。特にノイジーに関しては、攻守に不安要素が出てきており、スタメン落ちもやむを得ない。この日は全体的に石川の投球術にやられてしまったが、小野寺、井上、ミエセス、さらには2軍にいる森下を含めた外野の選手たちに頑張ってもらいたい。雨で広島戦を2試合流し、3日間、試合がなかった。打者は1日の休みは歓迎だが、2日以上生きた投手の球を見ないと、スピード感が微妙に狂う。2試合連続完封は、そんな影響があるのかもしれない。試合を振り返って、一番のポイントは三回の西勇のバント失敗だろう。西勇はもともとバントが上手な選手。追い込まれてもバスターではなく、送りバントを貫くべきだった。1球だけバスターにして、相手の守備を下げる作戦はありかもしれないが、何球も連続してのバスターはどうか。投手・西勇が勝てていないだけに、何とか走者を進めて近本で先取点を奪う展開にしたかったところ。バスター変更は作戦的に中途半端な印象が否めない。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
DeNA
19100 0.655
(-)
-
(-)
114117
(-)
100
(-)
28
(-)
7
(-)
0.262
(-)
3.190
(-)
2
(-)
阪神
16131 0.552
(↓0.019)
3
(↓0.5)
113103
(-)
85
(+5)
15
(-)
15
(-)
0.239
(↓0.003)
2.630
(↓0.08)
3
(-)
広島
15150 0.500
(↑0.017)
4.5
(↑0.5)
11395
(+4)
87
(-)
22
(-)
9
(-)
0.249
(↑0.004)
2.670
(↑0.1)
4
(-)
ヤクルト
15161 0.484
(↑0.017)
5
(↑0.5)
111107
(+5)
120
(-)
28
(-)
24
(-)
0.225
(↑0.001
3.510
(↑0.11)
5
(-)
巨人
14180 0.438
(-)
6.5
(-)
111118
(-)
136
(-)
36
(-)
6
(-)
0.247
(-)
4.160
(-)
6
(-)
中日
12190 0.387
(↓0.013)
8
(↓0.5)
11280
(-)
92
(+4)
6
(-)
7
(-)
0.243
(↓0.003)
2.610
(↓0.05)