阪神(☆3対2★)中日 =リーグ戦6回戦(2023.05.04)・阪神甲子園球場=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
中日
00011000021310
阪神
00000012X3700
勝利投手:及川 雅貴(1勝0敗0S)
(セーブ:岩崎 優(1勝0敗1S))
敗戦投手:柳 裕也(0勝3敗0S)
  DAZN
チケットぴあ 阪神戦チケット予約 中日戦チケット予約

DAZN

◆阪神が接戦を制した。阪神は0-2で迎えた7回裏、坂本の適時打で1点差に迫る。続く8回には大山と佐藤輝の連続適時打が飛び出し、試合をひっくり返した。投げては、3番手・及川が今季初勝利。敗れた中日は、打線が相手を上回る13安打を放つも、つながりを欠いた。

◆阪神伊藤将司投手(26)が6回11安打2失点、自己ワーストとなる被安打で降板した。初回はテンポの良い投球で3者凡退。だが、4回1死から中日福永に二塁内野安打を許すと、2死一、三塁にピンチを拡大。横浜高の先輩柳との対決となり、カウント2-1から変化球を捉えられ左前適時打を許した。さらに5回1死一塁では4番石川昂に左越え適時二塁打を浴び、2点目を献上した。6回1死には村松の打球が右手首付近を直撃するも投球を再開。その後2死一、三塁と得点圏に走者を進められたが、大島を投ゴロに仕留めて失点を許さなかった。だが、2回以降は毎回走者を置く苦しい投球に。「全体的に高めに浮いた投球を最後まで修正できませんでした。ただ、悪いなりに粘り強く投げられたかなとは思います。このあとのチームの逆転を信じて応援します」と試合中にコメントした。試合前時点で甲子園の連勝記録は11。本拠地での試合にめっぽう強かったが、この日は本領発揮とはならなかった。

◆阪神坂本誠志郎捕手(29)が反撃の適時打を放った。2点を追う7回、先頭打者の大山悠輔内野手(28)が中越え二塁打を放ってチャンスメーク。2死三塁で坂本に回ると、中日柳の直球を中前に運び、1点差に迫った。これで出場4試合連続安打。

◆阪神大山悠輔内野手(28)が同点適時打を放ち、佐藤輝明内野手(24)が勝ち越し適時打を放った。8回2死一、三塁、4番大山が適時左前打を放ち、同点に追いつく。なおも2死一、二塁、今度は5番佐藤輝がカウント2-1から132キロのチェンジアップを右前に運び、勝ち越しタイムリーを放った。4万人を超える観客もお祭り騒ぎ。虎打線が中日柳を一気に飲み込んだ。

◆阪神が中日に逆転勝ちし、連勝で今季最多タイの貯金4とした。甲子園11連勝中の先発伊藤将司投手(26)が自己ワーストの11安打を浴びながら、6回2失点と粘った。球団では70~71年の村山以来となる12連勝はお預けとなったが、反撃を呼び込む投球を見せた。打線は中日先発柳に抑え込まれていたが、7回に坂本の適時打で1点をかえすと、1点を追う8回に大山、佐藤輝の連続適時打であっという間に逆転に成功。9回は右腕コンディション不良で離脱中の湯浅に代わる守護神、岩崎が1点差を守って今季初セーブを記録した。8回に1イニングを完全投球した及川が2年ぶりの白星をゲット。首位DeNAとのゲーム差を3で保った。阪神が中日に2試合連続で1点差勝ち。今季7度目の1点差勝利で、オリックスと並び両リーグ最多。1点差ゲームでの貯金数はリーグ最多のDeNAと並んで5つと、接戦をものにしている。

◆阪神が2試合連続の逆転勝利でカード勝ち越しを決めた。1点を追う8回に大山悠輔内野手(28)、佐藤輝明内野手(24)の「4、5番コンビ」の連続タイムリーで勝ち越し。前夜サヨナラ勝利を飾った勢いそのままに、大きな1勝を手にした。岡田彰布監督(65)の一問一答は以下の通り。(テレビインタビュー)-見事な逆転勝ち「そうねえ、ずっとヒットも打たれたし、まあよく2点でね、しのいでたいう感じですね。終盤向こうのピッチャーいなかったんで、柳ね、引き延ばすと思ってたから、後半チャンスあると思ったんすけどね」-8回は大山の同点打「いやいやずうっとね、チャンスメーカーにもなるしね。勝負どころではね、ほんと勝負強いバッティングできるし、両方ね、最近ほんといいね、バッティングしてると思いますね」-佐藤輝は勝ち越しタイムリー「いやいやもう、あっこはね、4、5はね、ほんと、柱なんでね。チームの打つほうのね。やっぱりそこが中心になってそれがすごく機能してるんで、本当に良いとこでタイムリー出ますよね」-伊藤将は粘った「前回はね、初登板で完封だったんですけど、ちょっとボールね高かったかな、とバッテリーコーチも言ってましたけど、何とか打たれながらもしのいで全然合格点ですよ。打つ方もそれまで打てなかったんで」-岩崎が9回で投げた「いやいや、久しぶりだったんで。中5ぐらい空いてんのかな。なかなか投げる機会なかったんで。まあ勝ち越したんで。今日は同点でもいくつもりだったんだけど。1本打たれたけど、それは全然ね。右左関係なしで安心して見てましたね」-昨日、今日とこういう勝ち方は大きい「そうね、どっちに転ぶか分からないようなね、そういう展開だったんで、勝ち切ったのはもうね、まだまだもうちょっとね、すっきりとね、そういうゲームしたいんですけど、まあ、なかなか相手がいることなんで、なんとかね、しのいで勝ってるのは大きいと思いますね」(囲み)-4、5番が機能してると。打線の形も「そうやなあ、まあ、いいとこで回ってくるし、先頭で長打が出るから、なかなか勢いが付くヒットが出るよねえ」-先制されても粘り強く「いやいや、もう辛抱したら今日後半絶対勝負と思てたから。まあ、ねえ、最低7回は来るやろうと思っていたけどね、あの感じじゃ、100球超しても、まだ、全然7、8回はあんまりボールも来てなかったし、チャンスやと思ってたけどね」-加治屋、及川が今日も粘った「そうやね、あの2人は(まだ自責点が)0点やもんな。及川が勝ち投手か、よかったやん(笑い)」-セーブ機会も初めて「なあ、今日言うとったんよ、(評論家として来訪していた)梨田(昌孝)さんにも大野(豊)さんにも言うとったから、湯浅が離脱してからないんだよな、今日初めてちゃう? なあ。ああいう話しとったらそうなるんよな、セーブシチュエーション(笑い)」-湯浅が戻るまで岩崎中心に「まあそこまではなあ、まあ、なるべくなあ、連投というかね、あんまり疲れ残らんように。勝ち越したら最後は岩崎でと、そらもう最初から思ってたけどね。なかなかそういう展開になれへんかったからな、セーブシチュエーションに」-佐藤輝も復調してきた「まぁ、今が普通やない、でも。やっぱりみんなホームラン期待するけど、やっぱりまずヒットというかな、そういういい場面で。別にホームランで3点じゃなくても、タイムリーで2点でもいいわけだから。それは勝ち越せば。最近ほとんどライト方向のヒットばっかやからな。ポイントが良くなってきたということよ」-不思議な勝ちという言葉もあるが「いやいや、予定通りよ。ゲーム展開的にはな。だいたいああいう展開はそうなるやんか。なかなか、あんなぎょうさんヒット出ても1点、2点くらいで。俺、逆やったらやっぱ嫌な感じするもんな。逆の立場やったらヒット1本2本でな。なんか後半嫌な感じするよな」-相手の投手事情も考えて「いや、そらもう見てたら後半絶対チャンスあると思ってたから。マルティネス出てくるか出てけえへんかまで考えてたけど、今日はもう俺は出んと思ってたからな」-ミエセスは広島からか「もう新幹線乗ったん? もう乗ってるかも分からんな、広島行きの」

◆最下位中日が守備の乱れで連敗し、借金は今季最多8に膨らんだ。7回まで1失点と粘っていた先発柳裕也投手(29)を8回の打席にも立たせ続投。しかし、2-1の8回に守備が乱れた。1死一塁で柳は中野を投ゴロ。ただ遊撃村松はベースに入るのが遅れて二塁封殺したものの、一塁転送の際に球をこぼした。併殺崩れの直後、柳がノイジーから3連打を浴びて逆転された。前日3日も1点リードの9回に守乱からサヨナラ負けしていた。立浪和義監督(53)は表情を失ったままで、「村松も入るのが遅れて、柳が1回待ってしまった。ショートが入ってあげないと。あのミスは非常に痛かった」と嘆いた。8回に大島がノイジーの左前打を取り損なう失策で、一走を三進させた。これで両リーグ最多のチーム失策数は「17」に伸びた。柳は8回途中3失点。防御率1・99を維持しながら、5戦0勝3敗。「2-0、2-1で勝たないといけない試合だった。勝たせられないのは自分の未熟さ」と、選手会長は敗戦の責任を1人で背負った。

◆阪神小野寺暖外野手が3戦連続安打でアピールした。「6番右翼」でスタメン出場すると、2回の1打席目に中日柳から左前打を放った。2日に昇格し、中日3連戦は7打数3安打と結果を残した。前日は涌井から、この日は柳からヒットを決め「1軍でずっと投げている投手からヒットを打てたのは自信にして、続けていけるように頑張っていきたい」と意気込んでいた。

◆阪神の伊藤将司投手(26)が打線の援護を受け、勝敗つかず、甲子園の連勝記録を「11」のまま継続した。2回以降は毎回走者を許し、自己ワースト11安打を浴びる苦しい展開の中で、チェンジアップを有効に使うなど6回2失点でまとめた。横浜高の先輩柳との初対決では3、4回に2打席連続で安打を許し「悔しいです。バッティング、よかったです」と苦笑い。「逆転してもらったんで、野手のおかげ。期待に応えられるようにやるだけ」。恩返しの快投を誓った。

◆"代役守護神"がきっちり仕事を全うした。阪神岩崎優投手(31)が中日打線を4人で片付け、今季初セーブをマークした。表情を変えず淡々と投げる姿は、セットアッパーでも抑えでも同じだった。8回に2点を奪って逆転した直後の9回表、リードはわずかに1点。しびれる状況で先頭の岡林を空振り三振。続く大島に左前打を許したが、細川、石川昂の3、4番をぴしゃりと抑えた。「よかったです」とクールに振り返る姿が頼もしい。WBCに出場し、開幕から抑えとして5セーブを挙げていた湯浅が、右腕のコンディション不良で4月16日に登録抹消された。チームは湯浅抹消後、8勝7敗と勝ち越している。ただ、先発投手が完封したり、サヨナラ勝ちする試合もあり、セーブがつく状況になったのはこの日が初めて。4月13日巨人戦の湯浅以来、16試合ぶりに阪神投手にセーブがついた。岡田監督は「勝ち越したら最後は岩崎でと、最初から思ってたけどね。なかなかそういう展開になれへんかったからな」と明かした。鳴尾浜で調整中の湯浅も「僕が落ちてからまだ誰もセーブないんですよね、誰が抑えいくんだろう」と話していた中、昨季28セーブの岩崎がしっかり務めた。左腕は後輩の心中も気遣った。湯浅の2軍調整を伝えるニュースに「なんか報道で焦らされてる感じなんで。しっかりね、流されずに治して帰ってこれるようにみんなで頑張ってるんで」。ブルペン陣の思いを代表し、若き守護神にエールを送った。【高垣誠】

◆「不敗神話」の継続へ、阪神坂本誠志郎捕手が自らのバットで口火を切った。2点を追う7回2死三塁。明大の1学年後輩でもある中日柳の145キロ直球をセンターにはじき返した。1点差に詰め寄る貴重なタイムリーだ。「2-0でいくのと、1点差になるのとでは違う。向こうも後ろのピッチャーが昨日打たれているし、プレッシャーもかかる。なんとか1点取れれば、と思った」前日3日は守護神マルティネスを攻略し、逆転サヨナラ勝ち。1点取れば、展開は変わる。狙い通りの一打で8回の逆転劇を呼び込んだ。これで4戦連続安打。残りの3打席は空振り三振に終わったが、チャンスでさえた。得点圏打率は4割5分5厘と驚異的な勝負強さを発揮している。リードでも先発伊藤将は2回から6回まで毎回安打を許したが、バッテリーでともに粘り、2失点に食い止めた。「ちょっと大変だったと思うけど、粘るピッチングをしたのが、最後につながったんじゃないか」。7回以降はリリーフ陣を巧みに操り、無失点リレー。これで坂本が先発マスクをかぶった試合は開幕から負けなしの8連勝だ。攻守で勝利に貢献。不敗神話継続は偶然ではない。

◆横浜対決は意外な結末を迎えた。阪神及川雅貴投手が1点ビハインドの8回に3番手で登板。7番木下からの下位打線を9球で3者凡退に封じた。チームにリズムをもたらし、その裏に逆転に成功。自身2年ぶりの白星を挙げた。「一応、今季初ですからね。うれしいですね。今日のボールは一応、いただきました」。ウイニングボールを手に、笑みをこぼした。柳と伊藤将という横浜高出身の先発対決が注目されたが、最後に勝利をつかんだのは、その後輩である及川だった。「ブルペンで見ていましたけど、自分もそこに交ざれて良かったです。柳さんはずっと活躍されていて、将司さんもずっと活躍されていて、見習うべき存在。将司さんは同じチームなので聞けるところは聞いて盗めるところは盗んでいきたいです」。今季6試合目で防御率0・00。接戦で左腕の好投が光った。

◆阪神大山悠輔内野手(28)が2試合連続タイムリーとなる同点打を放ち、逆転勝利に大きく貢献した。1点を追う8回2死一、三塁。中日柳の初球、真ん中に甘く入ったフォークを捉えた。打球は猛スピードで三遊間をぶち抜いて左前へ。一振りで劣勢をはね返し、直後の佐藤輝の勝ち越し打につなげた。「もう返すだけだと思ってましたし、しっかりいい準備をして打席に入ることができた。まずは同点、あとは『テル任した』とそんな感じで行きました」反撃ののろしを上げたのも大山だった。2点ビハインドの7回、先頭で柳の初球144キロをたたき、左中間への二塁打で出塁。2死三塁から坂本のタイムリーで本塁へ生還した。2打席連続の初球打ちに「なんとか先頭で出て、まずは1点目を取らないと2点目もない。振らないことには当たんないので」。4安打を放った前夜の同戦も9回先頭で右中間二塁打。大山の打棒が、2試合連続の逆転劇を演出した。これで7試合連続安打。打率はチーム1位の3割3分3厘、リーグ打点王近本の16打点に次ぐ14打点は、ともにリーグ4位だ。得点圏打率も4割と勝負強さを発揮しており、岡田監督は「チャンスメーカーにもなるし、ほんと勝負強いバッティングができる」と絶賛。5番佐藤輝との主砲コンビには「4、5番はね、ほんとチームの柱なんで。そこが中心になって、それがすごく機能してる」とうなずいた。お立ち台ではゴールデンウイーク恒例「こどもまつり」のイベントの一環で、最後に子どもたちからの質問に答えるコーナーがあった。大山は小学生の女の子から「私は将来CA(キャビンアテンダント)になりたいんですけど、夢をかなえるためにはどうすればいいですか?」と問われ、「CAさんになりたい気持ちを強く、ずっと思ってください。そしたら絶対なれます。応援してます」と優しくエールを送った。虎の4番が「諦めない」ことの大切さを、身をもって体現した。【古財稜明】

◆乗っテル打! 阪神佐藤輝明内野手(24)が今季2度目となるV打で勝利に導いた。大山が同点打を放った直後の8回、中日柳から値千金の右前適時打。今季最多の4万2596人の観客はお祭り騒ぎとなった。「ゴールデンウイーク こどもまつり」開催期間中の成績は3試合連続打点で打率3割超え。連日にわたって子どもたちのヒーローとなり、今季最多タイの貯金4をもたらした。聖地のボルテージは最高潮に到達していた。4番大山が同点打を決めた直後の8回裏2死一、二塁。甲子園全体のザワつきが簡単に収まらない中、5番佐藤輝の脳内は冷静だった。「柳投手が素晴らしい投球をしていて、やられていた。最後は絶対打つぞっていう気持ちで入りました」7回無死二塁の第3打席はチェンジアップで二ゴロに仕留められていた。同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかなかった。第4打席、2ボール1ストライク。再び中日柳から投じられたチェンジアップを今度は狙い打った。強烈な打球で一、二塁間を破り、値千金の決勝点をたたき出した。「チェンジアップでやられていたので、それを最後に打てたのは大きかった。抜けてくれてよかった」送球間の間に二塁へ進むと、塁上で何度も手をたたいて喜びを爆発させた。ゴールデンウイークにはめっぽう強い。2日から始まり、ひらがなでスコアボードに名前が表記される「ゴールデンウイーク こどもまつり」。「さとうて」こと佐藤輝の3日間の打撃成績は3戦連続打点で打率3割6分4厘。昨年も含めれば4戦連続打点だ。子どもたちの前で連日ヒーローであり続けた背番号8に、岡田監督も納得顔。「ポイントが良くなってきたということよ。4、5(番)はほんと柱なんでね。しのいで勝ってるのは大きい」。チームの勝ち方、主砲たちの働きに自然と笑みがこぼれた。ヒーローインタビューでは、ファンクラブKIDSから「ホームランを打つコツを教えてください」と問われ、笑顔で即答した。「いっぱい食べて大きなれよ!」。お立ち台の後に「緊張していたと思うんですけど、しっかり質問もしてくれて立派だなと思います」とたたえる姿もまたヒーローらしかった。チームは2日連続でビハインドの展開から白星をもぎ取った。前日3日の中日戦は6点差をはね返して逆転サヨナラ勝ち。この日は2連勝を飾り、貯金を今季最多タイの4に増やした。1点差ゲームの勝利数は両リーグ最多タイの7回。「接戦の虎」が勢いのまま、昨季4勝7敗1分けと大きく負け越したマツダスタジアムに乗り込む。【三宅ひとみ】

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が今季2度目となるV打で勝利に導いた。大山が同点打を放った直後の8回、中日柳から値千金の右前適時打。今季最多の4万2596人の観客はお祭り騒ぎとなった。「ゴールデンウイーク こどもまつり」開催期間中の成績は3試合連続打点で打率3割超え。連日にわたって子どもたちのヒーローとなり、今季最多タイの貯金4をもたらした。佐藤輝は4月初旬から、バットに自分なりの工夫をこらしていた。グリップエンドに黒いテープをグルグルに巻いたオリジナルのカスタムバットで練習、試合に臨んでいる。「テーピングを巻いています。感覚的に持った感じがしっくりきて、なんとなくなんですけど『いい感じ!』だなと。滑りにくくしてくれる効果もある」一方、フォームはすり足気味にしたり、ほぼノーステップでもフリー打撃を行った。フォーム、道具ともに手探りしながら、打撃不振の打開策を見いだそうともがいていた。この日は「しっくりきている」と言うバットでV打を決めた。テープを巻くか、巻かないか。たった数ミリの世界。さらなる進化のため、細部へのこだわりも探求中だ。【阪神担当 三宅ひとみ】

◆両軍のスターティングメンバーが発表され、阪神は伊藤将司投手(26)が先発マウンドに上がる。左肩の違和感から復帰し、今季初登板となった4月27日の巨人戦(甲子園)で2安打完封勝利。横浜高の先輩である中日の先発・柳裕也投手(29)との投げ合いを制し、自身の甲子園12連勝を目指す。

◆阪神・伊藤将司投手(26)が先発し、二回のピンチを乗り越えた。一回を内野ゴロ3つの三者凡退で発進し、続く二回は1死からビシエド、D7位・福永(日本新薬)に続けて右前にポトリと落とされる不運な形の連打でピンチを招いた。しかし、3日に2安打3打点と結果を残した木下に対しては外角いっぱいに変化球を決めて見逃し三振に仕留めて2死。続くD2位・村松(明大)は9球に粘り合いのすえ、中飛に抑えてゼロを刻んだ。伊藤将は甲子園ではここまで負けなしの11連勝中。横浜高の2学年先輩となる中日・柳との初めての投げ合いを上々の形で滑り出した。

◆阪神・伊藤将司投手(26)が今季初失点を喫した。二、三回はともに2安打を許して招いたピンチを脱出していたが、試合を動かされたのは四回だった。1死からD7位・福永(日本新薬)、木下に連打を浴び、続くD2位・村松(明大)の併殺崩れの遊ゴロで一、三塁。ここで打席には横浜高の2学年先輩で、プロでは初の投げ合いとなる柳を迎えた。2―1のバッティングカウントから投じた135㌔を振り抜かれると、打球は三遊間を破り、左前へ。三回の中前打に続く2打席連続安打となる一打で、先制点を与えた。伊藤将は今季初登板だった前回4月27日の巨人戦(甲子園)で2安打完封。今季13イニング目で初めてホームを踏まれた。

◆中日・石川昂弥内野手(21)が五回にレフトへのタイムリー二塁打を放って1点を追加点をあげた。柳裕也投手(29)が四回に先制の左前打を放って1-0とリードの五回。遊撃内野安打で出塁した大島を塁に置いた1死一塁で、1ボールから伊藤将の直球をとらえてレフトへ運び、2-0とリードをひろげた。4月21日の阪神戦(バンテリン)以来9試合ぶりのタイムリーで今季4打点目とし、「打点をあげられて良かったです」とコメントした。

◆阪神・伊藤将司投手(26)が先発し、6回11安打2失点で降板した。序盤は一回を三者凡退、二、三回は2安打でピンチを招きながら踏ん張ってゼロを並べた。しかし、四回は2死一、三塁で投げ合う横浜高の2学年先輩・柳に三遊間を破られて先制点を献上。続く五回も1死一塁で4番・石川昂に左翼越えの適時二塁打を浴び、失点を重ねた。六回1死ではD2位・村松(明大)の痛烈なゴロが右手首付近に当たるアクシデントもあったが、治療を受けたのちに続投。その後のピンチを断ち、この回をもって交代を告げられた。二回から5イニング連続で複数安打を許し、被安打が2桁に達するのはプロ3年目、45度目の登板で初。甲子園ではプロ入りから無傷の11連勝中だったが、2点ビハインドでの交代となり、勝敗の行方を仲間たちに託す形となった。

◆阪神・坂本誠志郎捕手(29)が0-2の七回、中前に適時打を放って1点差に迫った。この回先頭の4番・大山が中堅へ二塁打を放って出塁。続く佐藤輝の二ゴロの間に三塁に進み、2死で坂本がこの日の3打席目を迎えた。明大の1学年後輩でもある中日の先発・柳が3球目に投じた直球をたたき、中前に運ぶとスタンドから大きな歓声が起こった。この日スタメンマスクの坂本は、この試合まで先発した試合で7戦7勝。〝負けない男〟が意地の一打で反撃ムードを演出したが、続く木浪が空振り三振に倒れ、一気の逆転とはならなかった。

◆阪神は1-2の八回、大山悠輔内野手(28)と佐藤輝明内野手(24)の適時打で逆転に成功した。虎のクリーンアップが、ここぞの場面で勝負強さを示した。この回1死から1番・近本が四球で出塁。中野は投ゴロに倒れるも、ノイジーが左前打で一、三塁とチャンスを広げ、迎えた大山の第4打席。中日の先発・柳の初球を捉え、打球は左前へ。同点に追いつくと、なお一、二塁で続く佐藤輝は一塁手のミットをかすめる右前打。二走が生還し、逆転に成功した。六回まで柳の前に2安打と苦しんでいた打線だったが、七回に坂本の適時打で1点差に詰め寄ると、続く八回に攻略成功。129球を投じた難敵をマウンドから引きずりおろした。

◆阪神が逆転勝ち。打線は前半は柳を打ちあぐねて六回まで無得点。しかし2点を追う七回、大山の二塁打でつくった2死二塁で坂本が中前に適時打を放って1点を返す。八回には2死一、三塁から大山がレフトへタイムリーを放って2-2と追いつき、続く佐藤輝がライトに勝ち越し打を放った。 先発の伊藤将は四回に柳、五回には石川昂に適時打を浴びるなど、6回11安打2失点。九回に登板した岩崎が今季初セーブをあげた。阪神は連勝で貯金を4とした。

◆国指定の難病「胸椎黄色靱帯骨化症」からの復活を期す中日の福が1軍に昇格した。左の中継ぎとして苦しいブルペンを支えるべく「これから必死に頑張る」と意気込んだ。8年目の30歳。昨年10月に手術を受けてリハビリに励み、4月4日に2軍戦で今季初登板を果たした。2軍では10試合に登板し、0勝1敗、防御率1・93だった。

◆阪神が今季最多4万2596人の観衆の前で2連勝。1点を追う八回、大山悠輔内野手(28)、佐藤輝明内野手(24)の連続適時打で逆転した。注目の九回は岩崎優投手(31)が締めた。6回2失点で降板した伊藤将司投手(27)は黒星を逃れ、次回登板で甲子園12連勝を目指す。連続無失点イニングが「39」でストップしたが、七回に追撃の適時打を放った坂本誠志郎捕手(29)のスタメン試合は「8戦全勝」となった。今季初勝利の及川雅貴投手(22)は2021年7月12日のDeNA戦(甲子園)以来の白星。岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(成績=15勝11敗1分、観衆=4万2596人)。ーー4、5番が機能すると打線の形ができる「そうやなあ、まあ、いいとこで回ってくるし、先頭で長打が出るから、勢いが付くヒットが出るよねえ」ーー先制されても粘り強く「今日後半絶対勝負と思てたから。(中日の柳は)最低七回は来るやろうと思っていたけどね。七、八回はあんまりボールも来てなかったし、チャンスやと思ってたけどね」ーー加治屋、及川が粘った「そうやね、あの2人は(まだ失点が)0点やもんな。及川が勝ち投手か、よかったやん(笑い)」ーーセーブ機会も初めて「なあ、今日言うとったんよ、(NHKで解説を務めた)梨田(昌孝)さんにも大野(豊)さんにも言うとったから、湯浅が離脱してからないんだよな、今日初めてちゃう? なあ。ああいう話しとったらそうなるんよな、セーブシチュエーション(笑い)」ーー湯浅が戻るまで岩崎中心に「そこまではなあ、まあ、なるべくなあ、連投というかね、あんまり疲れ残らんように。勝ち越したら最後は岩崎でと、最初から思ってたけどね。なかなかそういう展開になれへんかったからな」ーー佐藤輝も復調「やっぱりみんなホームラン期待するけど、まずヒットというかな、いい場面で。別にホームランで3点じゃなくても、タイムリーで2点でもいいわけだから。それは勝ち越せば。最近ほとんどライト方向のヒットばっかやからな。ポイントが良くなってきたということよ」ーー不思議な勝ちという言葉もあるが「いやいや、予定通りよ。ゲーム展開的にはな。だいたいああいう展開はそうなるやんか。あんなぎょうさんヒット出ても(被安打13)1点、2点くらいで。俺、逆やったら嫌な感じするもんな」ーー相手の投手事情も考えて「そらもう見てたら後半絶対チャンスあると思ってたから。マルティネス出てくるか出てけえへんかまで考えてたけど、今日はもう俺は出んと思ってたからな」ーーミエセスは「もう新幹線乗ったん? もう乗ってるかも分からんな、広島行きの」

◆阪神・加治屋蓮投手(31)は2点ビハインドの七回に2番手で登板。石川昂に安打を許したが、後続を断ってゼロに抑えた。今季の登板数は早くも10試合に到達し、失点もゼロを継続。「接戦で投げているところもあるし、右打者が多いところで出させてもらっている。右打者は絶対に抑えて、ベンチの信頼を勝ち取って、左打者も抑えられるように頑張りたい」と好投継続に意欲を示した。

◆5日の広島戦(マツダ)に先発する阪神・大竹耕太郎投手(27)はダッシュなどで調整。今季は3戦全勝と数字も残せており「負けているよりは勝っている方が投げやすい」と自信を持って敵地に乗り込む。広島打線とは4月19日(甲子園)に対戦済み(6回?で1失点)。配球については「(同28日の)ヤクルト(戦)も2回目でしたし、それはやっていきながら。事前にこうとは決めない」とマウンド上で対応する。

◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(79)は阪神が打線全体で中日・柳裕也投手(29)を攻略したと明言。大山悠輔内野手(28)、佐藤輝明内野手(24)の連続適時打もあり、いいリズムになって来たと語った。好投の中日・柳をチーム一丸で攻略した阪神打線の粘りは、ホンモノとみていいだろう。3日の中日の投手起用から考えて、柳を引っ張ることは予想されていた。阪神ベンチの指示が徹底されていて、一球でも多く投げさせる意図を持って打席に入った打者が数多く見られた。この積み重ねが柳へのダメージとなり、球数が増えた七回あたりから球威が落ち始め、八回に逆転。地道な作業が花開いての逆転勝利だ。大山は打席で自信を持ち始めている。七、八回の安打は、相手を見下ろしていた。中軸打者に絶対に必要な心理状態だ。現状は「球をつかまえている」という表現が当てはまる。捉える確率が急上昇して、センター返しを意識して、いい形で打てている証拠が七回の左中間二塁打、八回の左前打になった。今の形を継続すれば、自然と打球は上がり始める。本塁打も増える。本塁打が出る〝前段階〟に入ったと言っていいだろう。佐藤輝は打席でドッシリ感が出てきた。見送る際にも体が浮き上がったりしない。打撃フォームの中で、しっかりテークバックが取れているから、自然とドッシリ感が伝わってくるのだろう。打点を稼いでいた1、2番に当たりが出なかった。代わって4、5番が打点を稼いだ。誰かが下降線なら、誰かが調子を上げる。長いシーズンでは重要。阪神はいいリズムになっている。

◆阪神・伊藤将司投手(27)は自身ワーストの11安打を浴び、六回には中日・村松の打球を右手首付近に受けるアクシデントもあったが、6回2失点と粘った。横浜高の2学年先輩・柳との念願の初対決では適時打も許し「悔しいです。自分なりの仕事はできたと思うので、次回にまた対戦できたらいい投球をできるように頑張りたい」と前を向いた。無傷11連勝中の甲子園不敗神話も継続。「本当に野手のおかげ。期待に応えられるようにやるだけ」と感謝した。

◆阪神・及川雅貴投手(22)が1点ビハインドで八回のマウンドを任され、三者凡退に抑える好救援。直後の攻撃で逆転を呼び、2021年7月12日のDeNA戦(甲子園)以来、2年ぶりの通算3勝目を手にした。「一応、今季初ですから、うれしいです。ストライクを先行させて3人で抑えるというのが一番いい流れだと思うので、そこは常に心がけてやっている。きょうはそれが一番、内容としてよかった」。横浜高の先輩・伊藤将の黒星を消す投球を冷静に振り返った。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が同点に追いついた直後の八回2死一、二塁で中日・柳裕也投手(29)から右前に決勝打。お立ち台で、あの打席は何が違った?と問われ「気合いが違いました」。決勝打の前に大山悠輔内野手(28)の同点打が飛び出したとあって、「絶対打ってくれるってネクストで見ていたので、準備していました」と語った。

◆阪神・大山悠輔内野手(28)が八回に同点打。これで7試合連続安打となり、お立ち台では「返すだけだと思っていましたし、いい準備をして打席に入ることができたので、まずは同点、あとはテル任せたと、そんな感じでいきました」とコメント。2点を追う展開に「たとえ何点負けていても諦めている選手はいないので、その気持ちがいい方向に行っている結果だと思います」とナインの思いを代弁していた。

◆阪神・坂本誠志郎捕手(29)が七回、1点差に詰め寄る左前へ適時打。「(スコアで)0―2でいくか1点差になるかでは、昨日も後ろの投手は打たれているし、プレッシャーもかかるし、何とか点を取れればなと思っていました」と話した。伊藤将が11安打浴びながら2失点。「ずっと走者が出ていた大変だったと思いますけど、でも、粘る投球をしたのが最後につながったんじゃないかなと思います」。自身の連続無失点イニングは「39」でストップしたが、スタメン試合は8戦全勝。負けない男は健在だ。

◆阪神・岩崎優投手(31)が1点リードの九回に登板。1安打を許したが2三振を奪って、昨年9月28日のヤクルト戦(神宮)以来のセーブを挙げた。チームでは4月13日の巨人戦(東京D)の湯浅以来、16試合ぶりにセーブがついた。試合後、2軍で調整を続ける湯浅について聞かれると「報道で合わせさせられている感があるから湯浅は。まあしっかり、流されずに、治して帰ってくれれば、みんなでがんばって。そっとしてください」と話していた。

◆阪神・岩崎優投手(31)が九回に登板。チームに訪れた久々のセーブシチュエーション。わずか1点のリードを守り抜いた。「(勝利に貢献できて)よかったです」先頭の岡林を143キロ直球で空振り三振。続く大島には三塁線を破って出塁され、生還を許せば同点となる走者には代走・高松を出されたが、ここでも動じない。冷静にけん制を挟んで駆け引きしながら細川にバットの空を切らせて2死。最後は五回に適時二塁打を放っていた石川昂を三ゴロに料理し、試合を締めくくり、昨年9月28日のヤクルト戦(神宮)以来のセーブを挙げた。今季の守護神・湯浅が右前腕の張りのため4月16日に登録抹消となり、リリーフ陣は一丸で穴を埋めなければならない状況となった。だが、大量点差や先発の完投などもあり、セーブがつく展開が訪れず。久々に発生したこの機会で左腕が役目を果たし、湯浅以外では今季初となる通算32セーブ目を記録した。岡田監督も「今日は同点でも(岩崎で)いくつもりだったんだけど。1本打たれたけど、それは全然ね、右左関係なしで安心して見ていましたね」と評価。経験豊富な背番号13を中心とし、湯浅の復帰を待つ残りの期間も変わらず、盤石ブルペンを保っていく。(須藤佳裕)

◆阪神・大山悠輔内野手(28)が一振りで流れを変えた。走者なしではチャンスを作り、得点圏では適時打。これぞ4番の仕事。甲子園の大歓声を一身に浴び、少しだけ表情を緩めた。「(走者を)返すだけだと思っていましたし、いい準備をして打席に入ることができた。まずは同点、あとはテル任せたわ、そんな感じでいきました」1点を追う八回にドラマが生まれた。敵失などが絡んで2死一、三塁の好機で打席に立つと、積極的な姿勢ですぐに勝負を決めた。「いつも(初球から)振る気持ちは持っている」。先発・柳の初球、外角のチェンジアップをとらえて左前へ。三走・中野が同点のホームを踏むと、直後に佐藤輝の決勝打が飛び出した。0-2の七回にも先頭で初球に反応して中越え二塁打で出塁し、坂本の適時打を呼び込んだ。大山はこれで7試合連続安打とし、打率は規定打席到達者の中でチームトップの・333と絶好調。さらに得点圏では・400(20打数8安打)と勝負強さが光る。岡田監督も「チャンスメーカーにもなるし、勝負どころではほんと勝負強いバッティングできる。最近ほんといいバッティングしてると思う」と目を細めた。大山は決して口数が多いタイプではないが、プレーと、野球に向き合う姿勢で引っ張り、常に後輩たちの手本であり続ける。高卒4年目の井上は「気持ちの切り替え方だったり、次の打席に前の打席(のイメージ)を持っていかないという考え方は勉強になる」と話す。言葉でなくともその背中で語りかけている。虎の4番はチームの顔。打てば拍手喝采を浴び、そうでなければ敗戦の責任を背負うこともある立場だが、「勝つことでクローズアップされるけど、僕一人では勝てない。みんなが頑張ってくれているからこそ」と仲間に感謝した。「勝つことの大切さを改めて感じたし、勝つことの難しさも改めて分かったので、油断や隙のないように頑張りたい」勝利の喜びをかみしめつつ、表情を引き締めた。大山の春は5月になっても終わらない。(織原祥平)

◆阪神・坂本誠志郎捕手(29)が0-2の七回2死三塁で明大の後輩・柳から1点差に詰め寄る中前適時打を放った。「0―2でいくか1点差になるかでは(違う)。昨日も後ろの投手は打たれているし、プレッシャーもかかるし、何とか点を取れればなと思っていました」。ここまで出場10試合で27打数10安打、打率・370、5打点。得点圏打率・455とチャンスで結果を出しており、打率1割台だった昨季までからイメージチェンジ。捕手としてもスタメン出場した試合は8戦8勝。六回まで11安打された伊藤将を辛抱強くリードして2失点にとどめ「走者が出ていて大変だったと思いますけど、粘る投球をしたのが最後(の勝利)につながったんじゃないかなと思います」と息をついた。

◆阪神は2試合連続の逆転勝利。今季最多4万2596人が詰めかける中、八回、同点とした直後に佐藤輝明内野手(24)が右前に勝ち越し打。6点差をひっくり返した3日に続き、頼れる5番が勝利に貢献した。甲子園の〝チビっ虎〟たちを救うヒーローが、最後の最後に逆転ドラマを完結させた。主役はやっぱり、佐藤輝だ。打球が鋭く一、二塁間を破り、大仕事をやってのけた。「柳投手が素晴らしい投球をしていて、最後は絶対打つぞという気持ちで入りました。(最後の打席は)気合が違いました!」スーパーヒーロー見参は1―2で迎えた八回だ。4番・大山の一打で同点とすると、なおも2死一、二塁で迎えた第4打席。先発・柳に苦しめられた七回までを振り返り、狙い球は一つになった。「チェンジアップでやられていたので、チェンジアップはすごく頭にありました」カウント2―1からの4球目、沈むチェンジアップを強振。気合の表れか、右翼線へ転がる打球を見て、ガッツポーズを作った。試合が始まってから3時間。初めて奪ったリードに、集まった今季最多4万2596人が沸き上がった。ヒーローの出番は試合後も続く。恒例の「ゴールデンウイーク こどもまつり」でチビっ子インタビュアーの長谷川颯太くん(10)から受けた質問は「ホームランを打つコツはありますか」。佐藤輝は颯太くんを真っすぐ見つめ、力強く答えた。「いっぱい食べて、大きなれよ!」ホームランボディーを作り上げ、幾度もアーチを描いてきた経験も踏まえて送ったアドバイス。憧れられる存在として、説得力を持って少年少女に夢を見せた。2021年5月2日の広島戦(甲子園)で4番デビューを果たし、逆転満塁本塁打を含む1試合5打点。だが、スタンドに目を輝かせてくれる子どもたちはいなかった。コロナ禍で無観客の中で行われた2021年の〝リベンジ〟に「お客さんが入っているんで、よりうれしいですね」と喜んだ。試行錯誤の時間が結果として表れてきた。4月26日の巨人戦(甲子園)で待望の今季1号本塁打を放ってから、この日までの8試合で打率・370(27打数10安打)、3本塁打、9打点と完全復活。岡田監督からも指導を受けながら、ノーステップから足を上げる打撃フォームに戻したり、タイミングの取り方を工夫するなど、進化を求めて練習してきた。指揮官も「最近ほとんどライト方向のヒットばっかやからな。ポイントが良くなってきたということよ」と成果を認める。3日は相手のミスで同点につながる一打を放ち、この日は勝ち越し打。連日の逆転勝利に貢献し、チームの貯金は今季の最多タイとなる「4」に伸びた。「チームもいい流れで来ていますので、引き続きご声援のほどよろしくお願いします!」佐藤輝のお立ち台での呼びかけに、全虎党が惜しみない声援を送った。敵地で広島との3連戦が続くゴールデンな週末も、勝利で走り抜ける。(邨田直人)?...佐藤輝の殊勲安打は、4月29日のヤクルト戦(神宮)で先制ソロを放って以来、今季2度目?...佐藤輝が中日・柳から打点を挙げたのは、昨年7月17日(甲子園)の一回無死満塁で右前2点打を放って以来。通算対戦成績は打率・290(31打数9安打)、0本塁打、3打点

◆「こどもの日」を前にして、子供たちが一番喜びそうな2人がお立ち台に並んでいた。大山と佐藤輝。ご両人がヒーローなら、どう考えても一年を通じても最高級の試合だろう。虎ソナはサトテルの大ファン。こんなスケールの選手がタテジマに来るとは思ってもいなかったので、たまに打っただけでも興奮。ホントはもっと打ってほしいけれど。3日の2点差に迫るタイムリーも、そして昨日の決勝タイムリーも、狭い一、二塁間を抜けていった。実はこの打球が好きでして。ホントはホームランを打ってほしいけれど。本日5月5日は、史上初めて王シフトが敷かれた日。1964年5月5日の巨人-広島(後楽園)。王貞治を打席に迎え、カープ守備陣がササッと一塁側に寄った。ライトがライト線に、センターが右中間に、レフトが左中間に。内野はサードがショートの位置に、ショートがセカンドの位置に、セカンドは一、二塁間に。引っ張った打球が圧倒的に多い王に対する、カープの苦肉の策。実は王はこの前の試合(悔しいけれど阪神戦)で4打席連続本塁打。その勢いを止めたいという心理作戦もあったらしい。第1打席は一直。「5打席連続」を防ぐことはできた。その試合、王は4打数ノーヒット。が、ダブルヘッダーの2試合目はシフトをあざ笑うように右中間へのホームラン。世界の王は、すごかった。その後も、シフトの狭い一、二塁間を超速で抜けていくヒットを何本も重ねた。サトテルにも、そんなシフトが通用しない打者になってもらいたいなぁと思いながら眺めていた。連日の一、二塁間の打球に、勝手に空想が膨らんで...。ご容赦を。

◆ウッヒョ~! 前日のサヨナラ勝ちに続いて、本日も追い詰められた終盤の八回に逆転劇!! ゴールデンウイーク(GW)のこども祭りだから64歳の俺も子供に戻って、ハシャいじゃうもんね~!!同点打の4番・大山さんステキ~? 勝ち越しタイムリーのサトテルさんカッコイイ? 俺も大人になったら2人のようになりたいでーす!! えっ、大人通り越してジジイじゃねーかって? そーでした...シュン。じゃあ、せめて子供だった半世紀以上も前のGWのプロ野球の思い出を語らせて~。当時埼玉の少年だった俺は、後楽園球場によく行ったなぁ...。あの頃のGWは外野席が確かダブルヘッダーで150円(1試合だと100円)。「GWって、ジャイアンツ対ホエールズ(現DeNA)の日かよ! タイガースの『T』も入れろー!!」と、その頃からおバカな子だったでしょう。勝手に球場内を探検と称してウロウロ...。小さな窓をずらしたら目の前に背番号8が!! そう、風呂場はレフトスタンドの下にあって8番はあの名手・高田繁さんの後ろ姿だったのです!! 今も昔もGWサイコー!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
DeNA
1880 0.692
(↑0.012)
-
(-)
11789
(+3)
74
(+2)
17
(+2)
7
(+1)
0.251
(-)
2.670
(↑0.03)
2
(-)
阪神
15111 0.577
(↑0.017)
3
(-)
11698
(+3)
79
(+2)
12
(-)
14
(-)
0.244
(-)
2.700
(↑0.03)
3
(-)
広島
13140 0.481
(↓0.019)
5.5
(↓1)
11690
(+2)
82
(+3)
22
(-)
9
(-)
0.244
(-)
2.790
(↓0.02)
4
(1↑)
巨人
13150 0.464
(↑0.02)
6
(-)
115104
(+8)
122
(+7)
30
(+3)
3
(-)
0.246
(↑0.002)
4.240
(↓0.1)
5
(1↓)
ヤクルト
12151 0.444
(↓0.018)
6.5
(↓1)
11584
(+7)
94
(+8)
21
(+3)
23
(-)
0.216
(↑0.005)
3.110
(↓0.08)
6
(-)
中日
9170 0.346
(↓0.014)
9
(↓1)
11768
(+2)
82
(+3)
4
(-)
6
(-)
0.244
(↑0.004
2.730
(↑0.01)