◆日本ハムが投手戦を制した。日本ハムは両軍無得点で迎えた7回表、万波のソロで試合の均衡を破る。投げては、先発・北山が6回無失点の好投。その後は4人の継投で逃げ切り、北山は今季初勝利を挙げた。敗れた西武は、打線が9回2死まで無安打に封じられるなど振るわなかった。

◆西武呉念庭内野手（29）の邪飛捕球をめぐって審判団が協議した。3回2死一塁、日本ハム矢沢の邪飛を、三塁を守る呉念庭が三塁ベンチに入り込みそうになりながらキャッチした。球審もアウトのコールをした。西武ナインもスリーアウトでベンチに戻ろうとしたが、捕球前のベンチ着地にも見えたため、日本ハム新庄監督が確認を要求した。結果、審判団の協議が1分以上続き、最終的に責任審判の市川二塁塁審がアウトを宣告した。

◆日本ハム北山亘基投手（24）が今季初先発し、6回ノーノー投球で降板した。75球、2四球、5奪三振。先発投手としては初の勝利投手の権利を得て、マウンドを降りた。北山は降板後、「1軍で長いイニングを投げるのは初めてでしたが、マルティネスのいいリードのおかげで落ち着いて投げることができました。野手からもたくさん声をかけてもらって助かりました」とコメントした。北山は今季、中継ぎとして3試合に登板したが、先発調整のため4月13日に登録抹消。2軍戦では2試合に先発し、同23日のロッテ戦では5回64球を投げ、2安打2四球、1失点で勝利を挙げた。1軍での先発登板は昨季の開幕戦以来、2度目だった。7回から2番手でロドリゲスが登板した。

◆西武が敗れ、2カード連続で負け越した。日本ハム投手陣の前に、あわや継投によるノーヒットノーランを喫するところだったが、9回2死、1番の愛斗外野手（26）が5番手田中正の外角148キロを臆せず引っ張り、ライナーでレフト前へ。土壇場でのチーム初安打となった。その後、鈴木も安打で続いたが、後続が倒れた。愛斗は「その前に守ってる時に、これ、ノーヒットで最後回ってくるかも...って思ったんですけど、いざ打席に行ったらそれは考えてなかったっすね」と振り返った。相手先発北山については「いいまっすぐですね」とし、捕手のマルティネスについては「今日の配球でいったら、投手の良さを前面に引き出した配球じゃないかと思います」とコメントした。試合開始直後には、日本ハム1番矢沢の右翼への低いライナーをダイビングキャッチし、今季最多2万7523人の観衆をわかせた。今季すでに何度も好プレーを見せている名手は「（屋根とスタンドの間の）吹き抜けてるところとボールの色が一緒になるんですよ。それでちょっと見えなかったんですけど、勘でグラブ出したら入りました」と、さすがの勝負度胸を見せた。【金子真仁】

◆西武は2カード連続で負け越した。9回2死から愛斗、鈴木が連打し、継投ノーヒットノーランは阻止した。松井監督は「簡単に終わることなく何とか次につなげるという意味では非常に粘れたかなと思います」と前を向いた。4番を務めてきた39歳中村が2試合続けてスタメンを外れたことには「この2日は計画通りに、また明日からも試合ありますから」と休養優先の方針だったと明かした。

◆日本ハム万波中正外野手（23）が決勝弾となる5号ソロを放った。7回1死、西武松本の直球を捉え、左中間スタンドまで運んだ。前日3日までの5試合で19打数2安打と苦しんでいただけに待望の1本だった。「ようやくいい当たりが出て、しかもホームランになってくれて、最高の1本だったなと思います」。北山の今季初勝利にもつながる一打となった。「北山さんに勝ちを付けたいと思っていたので」と喜んだ。▽日本ハム・マルティネス（北山を先発初勝利に導く好リード）「（日本語で）キタヤマ、スバラシイ、マッスグ。スゴイ。ツヨイ。ポーン！　ヘンカ（変化球）モ、カーブ、スライダー、チェンジアップ。イイヨ、ゼンブ、スバラシイ」▽日本ハム建山投手コーチ（先発転向で今季初勝利の北山に）「期待以上の投球をしてくれました。リリーフでは力んでボールが浮くことが多かった。先発で力が抜けるとストライク先行できるのがよかった」▽日本ハム田中正（9回2死から被安打も、無失点リレーで締めて3セーブ目）「あ、（継投で）ノーノーだったんですか！？　マジっすか。あ、そうなんすか。しっかりゼロで終わることだけ考えました」

◆日本ハム新庄剛志監督（51）は思わず、報道陣に確認した。「双子？　」。いやいや、先発で6回無安打無失点の好投し、先発初勝利を挙げたのは北山亘基投手（24）で間違いない。「北山君ですよね！いやいや、良かった。以上」。指揮官に陽気なジョークを言わせるほど"先発北山"は"中継ぎ北山"とは見違えるほど力強く、完璧だった。「うれしいですね」と笑みを浮かべた2年目右腕はウイニングボールを右手で掲げて、無邪気に喜んだ。ほどよく力が抜けた投球フォームから、直球は最速152キロ。セットアッパーで課題としていた制球がまとまり、あまり使っていなかったスライダーも交えながら、西武打線を翻弄（ほんろう）した。「本当に1イニング、1球ずつっていう意識で投げていた」と、ゼロを並べ続けた。バッテリーを組んだマルティネスの起用は新庄監督が「昨日、飯を食っていた時に決めました」。大柄の捕手で「的が大きいので思い切って投げなさい」という狙いも的中。6回無安打無失点、2四球の快投。先発転向が見事にはまった。2軍戦で5回64球が最多だっただけに、この日は80球がリミットだった。7回以降は1カ月前までブルペン仲間だったロドリゲス、玉井、宮西、田中正が9回2死まで無安打無失点リレーを続けた。継投でのノーヒットノーランは惜しくも逃したが、会心の勝利に新庄監督も「北山君とグワチョ（マルティネスの愛称）と投手陣には足を向けて寝れないっすね」。これで2カード連続勝ち越し。最下位脱出へ向けて、個々とチームが絶賛成長中のチームは、追い上げ態勢も徐々に整ってきた。【木下大輔】

◆日本ハムは、あと1歩で継投でのノーヒットノーランを逃したが、会心の完封勝利で2カード連続勝ち越しを決めた。中継ぎから先発転向した北山亘基投手（24）が今季初先発で6回無安打無失点と快投。救援陣も9回2死まで無安打リレーを続けたが、田中正があと1人のところで安打を許して快挙を逃した。それでも、きっちりと7回に万波中正外野手（23）が放った5号ソロの1点を守り切った。新庄剛志監督（51）の試合後の一問一答は以下の通り。新庄監督　北山君と（マルティネスの愛称）グワチョと投手陣には足を向けて寝れないっすね。－北山はノーヒットノーラン継続中でも交代新庄監督　いやいや全然、彼は先発が今回初挑戦みたいなものなので。あそこは、きっちり。あそこで切っておいて、次チャンスがあれば行かせたいなと思います。完璧なピッチングでしたね。あとワンテンポ半、テンポが速かったら最高でしたね。フォアボールも2つ出したけど、あんまり高めにポンポンポンポン浮くボールがないっていうのが、先発に転向して正解、大事なポイントにはなりましたね。－真っすぐが走っていた新庄監督　あれくらいの力感でいいんですよ。ほんとに。で、ランナーがパって出た時に、セカンドとかにいったときに、中継ぎでやっていた、ちょっとレベルを上げて投げてくれれば、中継ぎの経験も生かせるかなと。いいピッチャーは、そういうピッチングをするので。－いろんな球種を使っていた新庄監督　うまくグワチョがリードして、ちょっと合わなかったら首を振ってね。結構安心して見ていられる。－マルティネスの起用は決めていた？新庄監督　オレが？　昨日の飯を食っていた時に決めました。－理由は新庄監督　北山君が久々の先発なので、あんまり考えさせない方がいいかな、キャッチャーがああだこうだって。アバウトにいってくれるんじゃないかなっていうところで。あと、（大柄で）的が大きいので、思い切って投げなさいっていうところでした。－北山の投球は期待以上？新庄監督　もちろん。双子？　北山君ですよね。いやいや、よかった（笑い）。あと万波君、ナイスホームランね。

◆日本ハム松本剛外野手が8回に右前打を放ち、自身最長となる13試合連続安打をマークした。「あまり意識はせずに、とにかくヒット1本でもという感じがある。毎試合1本、打てるように頑張りたいです」と冷静に受け止めた。チームは連敗阻止で2カード連続の勝ち越し。「負けたら連敗が続く感じだったので、今日勝ったことに意味があると思う」と話した。

◆日本ハムの救援陣が無失点リレーで虎の子の1点を守り切った。6回無安打無失点の流れを受けて7回に登板したロドリゲスは「少し緊迫した状況ではあったが、北山投手がつくった流れを引き継いで、しっかり投げることができた」と1回無安打無失点。8回は山川を得意とする玉井がワンポイントできっちり仕事を果たし、宮西が後続を断った。9回は田中正が無失点。宮西は「すごい、いいことやと思いますよ」と充実の表情で球場を後にした。

◆日本ハム万波中正外野手（23）が、西武戦（ベルーナドーム）で値千金の決勝弾を放った。7回1死、西武松本から左中間席へ推定135メートルの特大決勝5号ソロ。完封リレーの投手陣を援護した。5試合ぶりのアーチでチームを勝利に導いた「マンチュウ」が、5日からの楽天3連戦（エスコンフィールド）でも大暴れする。万波が親愛なる"教授"に先発勝利をプレゼントした。7回1死、西武松本の145キロの直球を完璧に捉えた。特大の弧を描き、左中間スタンドへ吸い込まれた。「北山さんに勝ちを付けたいと思っていた」普段からトレーニングの相談も、教授の愛称を持つ北山亘基にしている。開幕前の3月20日には、一緒に札幌市内の真駒内滝野霊園へ。万波の運転でドライブを楽しみながら、同園で有名なモアイ像も鑑賞。公私で慕う北山が無安打投球を続けていたのは「代わった時に気付きました」。快挙には気がつかなくても、0－0の緊迫した状況はもちろん知っていた。北山に白星を－。そんな思いが打球には乗った。大きな1発となりそうだ。前日3日までの5試合で19打数2安打と不振が続いていた。3日は三振で最後の打者に。「勝敗を左右するようなタイミングでの打席が多いなと感じますし、打たなかった時は責任感みたいなものをすごく感じる」。中軸を任される意味をかみしめる日々の中で、飛び出した決勝アーチ。クリーンアップから外さない新庄監督も「万波君、ナイスホームランね」とたたえ、万波も「格別な勝利だと思います」と満面の笑みを浮かべた。5日からはエスコンフィールドに戻って楽天3連戦に臨む。今季2度対戦して3三振と苦戦している田中将が相手。「僕自身、打つのに苦労しているので、なんとか今までの凡退を生かしてじゃないですけど、挽回できるように頑張りたいなと思います」。試合後は緑色のスーツとリュックの「みどりの日コーデ」に装いを替えて球場を後にした。黄金週間ラスト3連戦もアーチ連発で北海道を沸かせる。【石井翔太】▽日本ハム・マルティネス（北山を先発初勝利に導く好リード）「（日本語で）キタヤマ、スバラシイ、マッスグ。スゴイ。ツヨイ。ポーン！　ヘンカ（変化球）モ、カーブ、スライダー、チェンジアップ。イイヨ、ゼンブ、スバラシイ」▽日本ハム建山投手コーチ（先発転向で今季初勝利の北山に）「期待以上の投球をしてくれました。リリーフでは力んでボールが浮くことが多かった。先発で力が抜けるとストライク先行できるのがよかった」▽日本ハム田中正（9回2死から被安打も、無失点リレーで締めて3セーブ目）「あ、（継投で）ノーノーだったんですか！？　マジっすか。あ、そうなんすか。しっかりゼロで終わることだけ考えました」

◆昨年３月２５日のソフトバンクとの開幕戦で球団では６６年ぶりとなる新人での開幕投手を務めた日本ハム・北山亘輝投手（２４）が同戦以来となる先発登板で６回を７５球、無安打無失点、２四球と好投した。「１軍で長いイニングを投げるのは初めてでしたが、（捕手の）マルティネスのリードのおかげで落ち着いて投げることができました。野手の皆さんからもたくさんの声を掛けてもらって助かりました。皆さんに感謝したいです」ポンセ、ガントの両外国人が負傷で帰国するなど先発陣の駒不足から、新庄剛志監督（５１）が北山の先発転向を決断。４月１３日に出場選手登録を外れ、先発調整に専念してきた。北山自身も「先発完投してチームを勝利に導く投手になりたいという思いで入団した。チャンスをいただけるのはありがたい」と前向きに挑戦。３日には「（２軍施設のある）鎌ケ谷に行った日からこの日に向けてしっかり過ごしてきたので、人事を尽くして天命を待つぐらいの気持ちで。ここで（先発のポジションを）つかむか、つかまないかっていうのは個人的にもチーム的にも本当に勝負だと思う」と話していた。

◆先発した西武・松本航投手（２６）は７回６安打１失点で降板。走者を背負いながらも粘りのピッチングで六回まで無失点に抑えたが、七回１死から万波に先制ソロを浴びるとその回を持って１０６球で降板した。?松本コメント「今日はまっすぐで押しながらも要所を変化球で打ちとったり、全体的に粘れたと思います。真っすぐでファウルを取れましたし、無四球でいけたのも良かったです。次回の登板もまっすぐを軸に、いいピッチングができるようがんばります」

◆日本ハムは七回に万波のソロで先制し、５人の無失点リレーで守り切った。北山は速球と落ちる球がさえて６回を無安打に封じ、今季初勝利。田中正が３セーブ目を挙げた。西武は松本が好投したが、打線が２安打に終わった。

◆西武は打線が相手５投手の前にわずか２安打に終わり、今季２度目の零敗。先発した松本航投手は７回６安打１失点の好投も打線の援護なく２敗目を喫した。試合後の松井稼頭央監督（４７）の主な一問一答は以下の通り。ーー九回２死からチーム初安打の後、連打で最後に好機は作った「２アウトでしたし難しい場面でしたけど、愛斗が思いきりよく打ってくれたので（安打）１をつけることができた。その後の（鈴木）将平も追い込まれながらも粘って（中前打で）つなげた。負けましたが、あそこで簡単に終わることなく次につなげるという意味では粘れたかなと思う」ーー先発・松本は７回１失点の好投も２敗目「松本も１失点でよく頑張ってくれた。援護ができなかったので、次回は打つ方で松本を援護できるよう頑張っていきたいと思います」ーー先発転向した日本ハム・北山に６回無安打に封じられた「昨年も対戦はしてますけど、先発になって初めて対戦でやっぱり真っすぐや、左にはチェンジアップ。あの抜け感というか真っすぐの質があって、あのチェンジアップってなかなかね難しいのかなと思った。また次回対戦あれば、しっかり対策を練ってやり返せるようにしたい」ーー中村は２試合連続でスタメンを外れた「この２日間（先発を外れたのは）は元々の計画通り。また明日から試合もありますし、それは本人にも伝えていた」

◆西武は継投での無安打無得点試合をあと１死で阻止。意地は示したものの２安打に終わり、今季２度目の零敗を喫した。先発の北山を攻略できず、６回を無安打に封じられた。松井監督は「真っすぐが良かったし、いい緩急もついていた」と脱帽した。それでも九回２死から、愛斗がチーム初安打となる左前打を放ち、鈴木が中前打で続いた。指揮官は「負けはしたが、簡単に終わることなく、次につながるという意味では粘れた」と切り替えた。

◆日本ハムの万波が０―０の七回に５号ソロを放った。松本の甘い速球を左中間席へ。前の２打席はいずれも凡退していただけに「ようやくいい当たりが出た。最高の一本」と何度も拳を握った。６回無安打無失点と好投していた北山とは、開幕前に２人でドライブに行くほどの仲だ。「ベンチで代わりそうな雰囲気を感じていた。北山さんに勝ちをつけたいと思っていたのでよかった」と会心の笑みを浮かべた。

◆九回２死から安打を許し、プロ野球史上６度目の継投によるノーヒットノーランは逃したが、日本ハム・新庄剛志監督（５１）は「双子？　北山君だよね？　完璧なピッチング。今日は足を向けて寝られないっスね」と上機嫌で球場をあとにした。指揮官の言葉通り、主役は昨年３月２５日のソフトバンク戦でルーキーながら開幕投手にサプライズ指名された北山亘基投手（２４）だった。先発陣の駒不足から４月中旬に救援から先発に転向。プロ２度目の先発は６回７５球で無安打無失点、５奪三振の快投で今季初勝利を挙げた。「一球一球に集中して投げられたし、（三回２死三塁では）中継ぎの経験が生きたというか、ギアを上げて、三振を狙って取れた」博学であることから、チームメートには「教授」と呼ばれる。京産大時代から独学でトレーニングやコンディショニング理論を学び、コロナ禍では足指の感覚を養うためにオンラインサロンに入会し、クラシックバレエダンサーの西園美彌氏の〝魔女トレ〟に師事。また、昨年の愛読書は「弓と禅」（オイゲン・ヘリゲル著）。一方で、今季開幕前の３月２０日には、この日に決勝弾を放った万波と２人で札幌市内の真駒内滝野霊園モアイ像までドライブ観光するなど社交的な一面も持ち合わせる。「すごくうれしいけど、今日は始まりに過ぎないので、これを継続できるかが大事」。北山〝教授〟に浮かれるところはなかった。（東山貴実）