阪神(☆8対7★)中日 =リーグ戦5回戦(2023.05.03)・阪神甲子園球場=
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中日
06000000171330
阪神
020022002X81520
勝利投手:K.ケラー(1勝0敗0S)
敗戦投手:マルティネス(0勝1敗8S)
  DAZN
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DAZN

◆阪神が劇的なサヨナラ勝利。阪神は2点を追う6回裏、大山の適時打で同点とする。1点の勝ち越しを許した9回には、相手失策の間に再び同点とすると、無死満塁から木浪の適時打が飛び出し、試合を決めた。敗れた中日は、2回に6点を先制するも、リードを守りきれなかった。

◆阪神西勇輝投手(32)が3日の中日戦(甲子園)に先発する。開幕からカード頭の登板が続いていたが、雨天中止などの影響で先発ローテーションがずれ、今回はカード2戦目で先発する。「(調整は)難しくない。この1試合を後で経験してよかったと思い返せるゲームになればいいかなと思います。1球目をしっかり奥行き出したり、全神経を集中して、いいマインドで投げられたら」と2勝目へ意気込んだ。

◆今季2勝目を狙う阪神先発西勇輝投手(32)が今季最短2回で降板した。2回、2死一、二塁から8番木下が左翼線への二塁打で先制。この一打を口火に、相手先発涌井からの適時打を含む7安打で今季ワーストの6失点。打者一巡の猛攻となった。西勇は前回登板4月26日巨人戦で、3回5失点。2戦合計、5イニングで11失点となった。

◆えっ、リードオフマンが打点王? 阪神近本光司外野手(28)が6点ビハインドの2回、反撃の2点打を放った。2死満塁から、中日涌井の148キロを左前へはじき返した。今季の打点は16。この打席を終えた時点でセ・リーグトップに立った。開幕から不動の1番を託される選手会長が虎のポイントゲッターになっている。セ・リーグ打点ランキングは以下の通り。※3日午後3時の時点1位近本(阪神)16打点2位中田翔(巨人)15打点3位秋山(広島)14打点

◆敬礼ポーズ流行中? 阪神佐藤輝明内野手(24)が2試合連続の適時打を放った。3点ビハインドの5回1死二塁。中日涌井から右前打を放ち、2点差に詰め寄った。一塁ベース上では、右手で敬礼のようなポーズを決めた。前日2日に適時二塁打を放った際も、同様のポーズを決めていた。

◆阪神がまさかの形で勝ち越しのシーンを逃した。6回、大山悠輔内野手(28)の2点適時打で同点に追いつき、なおも2死一、二塁の場面。押せ押せムードの中、佐藤輝明内野手(24)が打席に入った。中日4番手藤嶋の2球目スプリットは、捕手手前でワンバウンドし、大きくはねた。それを見た二塁走者中野拓夢内野手(26)は三塁へスタート。しかし、このはねたボールをすぐさま中日捕手木下がキャッチ。三塁送球しタッチアウトとなった(記録は走塁死)。勝ち越しのムード高まる甲子園は、一気に大きなため息に包まれた。

◆阪神がサヨナラ勝ちで、連敗を2で止めた。1点を追う9回に守護神マルティネスを攻め、敵失で追いつくと無死満塁から木浪が右前に運んだ。2回に奪われた6点差をじわじわと縮め、最後に逆転するミラクル勝利。阪神の6点差逆転勝ちは22年6月3日の日本ハム戦(甲子園)以来だ。劣勢の序盤だった。先発西勇輝投手(32)が今季ワーストとなる6失点で同最短の2回で降板した。ただ、打線がすぐさま取り返した。直後の2回、近本光司外野手(28)が2点適時打。4点差とし、ドラフト6位富田蓮投手(21)にスイッチ。継投に入った。ブルペン陣が無失点でつなぎ、5回には佐藤輝明内野手(24)の2試合連続となる適時打などで、さらに2点を返した。2点差。逆転の機運は確実に高まった。6回は中日投手陣が3四球。もらったチャンスは逃さなかった。4番大山悠輔内野手(28)が左翼へ同点の2点適時二塁打。6点差をついに追いついた。4番手石井大智投手(25)は6、7回の2イニングを無失点で流れを渡さなかった。ゴールデンウイークで4万2579人が詰めかけた一戦。劇勝でファンをわかせ、貯金を3とした。

◆阪神がサヨナラ勝ちで、連敗を2で止めた。1点を追う9回に守護神マルティネスを攻め、敵失で追いつくと、無死満塁から木浪聖也内野手(28)が右前に自身初のサヨナラ安打を放った。阪神の6点差逆転勝ちは22年6月3日の日本ハム戦(甲子園)以来だ。木浪のヒーローインタビューは以下の通り。-サヨナラの瞬間の気持ちはサヨナラは初めてだったので、すごく水が冷たかったです。-サヨナラの味はつないでもらったので、絶対オレが決めるという強い気持ちがあったので、決められてよかったです。-甲子園の歓声は最高でーす。-ゴールデンウイークで子供たちに格好いい姿を見せられたそうですね。こういう形で終わってよかったと思いますし、今日、両親が見にきていたので、ヒーローになれてよかったです。-両親に思いを体調に気をつけて、これからも長生きしてください。-チームに雰囲気はスタートで出る人もベンチにいる人も本当に試合に入っている。集中して戦えているので、いい雰囲気だと思います。-明日もチケットは売れている明日も今日と変わらず守って打って、絶対勝ちます。-今年の目標はアレに向かってやるのはそうですが、自分としてはこの座を譲らない気持ちで、強い気持ちでやっていきたいです。(公式ファンクラブキッズ会員からインタビュー)-木浪さんに質問です。どうしたら、中野選手みたいになれますかもう中野君だと思うんですけど。もう中野君です。なっているという気持ちを持てば、中野君です。(インタビュアー)-どうしたら木浪選手になれますかなれないと思います。(キッズ会員から)-私は東京に住んでいますが、タイガースの応援のため、関西の中学を受験します。木浪選手はアレに向けて、何をしてくれますかもちろん、活躍して、貢献するのもそうですが、ここにいるみんなを喜ばせたいと思います。

◆阪神がサヨナラ勝ちで、連敗を2で止めた。1点を追う9回に守護神マルティネスを攻め、敵失で追いつくと無死満塁から木浪聖也内野手(28)が右前に自身初のサヨナラ安打を放った。阪神の6点差逆転勝ちは22年6月3日の日本ハム戦(甲子園)以来だ。岡田彰布監督(65)の一問一答は以下の通り。-2回表で0ー6からの大逆転。今の心境は「いやいや、すぐ2点ね、返して。まあそうやなあ、つなぎっていうかね、けっこうチャンスは作れてたんでね。そこでうまいこと、タイムリー出て。2点ずつだったけど。2点差なったときはね、これはいけるかなあというアレはあったですね。6回か。うん」-つないで、好調の木浪が決めた「いややっぱり、先頭ね、昨日もおんなじね、先頭だったけど、きょうはうまく打ち返して。あの二塁打が大きかったねえ。やっぱりねえ」-苦しい状況だったが、梅野も四球でつないだ「最後もね、その前もだし、まあね、何かの形でチームに貢献するようにね、みんなそういう気持ちがあるんで。まあね、調子が上がらなくても、ああいうフォアボールはすごく大きいですね。やっぱりね」-各球団の抑えを打っている「なあ...。まあ、うまくそらね。なかなかそら抑えからそら打てないけど、こら打ったことによってそら自信になると思うし。そういう意味では負けてる展開でも諦めずに最後いけばっていうみんながそういう気持ちになればいいと思いますね」-今日のポイントは「いやいや、ターニングポイント、まあ、ねえ、あのこの間もそうだったけど、及川が2イニング行ったり、今日も富田が2イニング、ピシッと流れをね、こう、なんかすぐに2点入ってすぐ3者凡退、3者凡退で流れをもってきたんでね。そのへんで2点取れたいうのと、あのへんでなんとなく、おーん。これいけるんじゃないかとね。おーん。リリーフ陣の踏ん張りじゃないですか」-6点差逆転勝ち「もう6点取られてね、ああ、これ初めて3連敗するなと思ったんだけど。でもやっぱり3連敗しなかったから。そういう意味では打てる時もあるし、こういう形で打てない時もあるんだけど。まあ、ねえ、連敗しないというかね、大きな連敗しない、これはまあ、ピッチャー陣のね、好不調でそういう流れになってるみたいやけど、その分バッターがね、取り返すというかね、そういう意味ではね、いい形になってきたと思いますね」-明日へひとこと。「もうちょっとスッキリね、明日はこっちが先制してね、何というか、ゆっくりと(笑い)、ファンの人に見てもらいたいですね」

◆阪神がサヨナラ勝ちで、連敗を2で止めた。1点を追う9回に守護神マルティネスを攻め、敵失で追いつくと無死満塁から木浪聖也内野手(28)が右前に自身初のサヨナラ安打を放った。阪神の6点差逆転勝ちは22年6月3日の日本ハム戦(甲子園)以来だ。岡田彰布監督(65)の一問一答は以下の通り。-リリーフ陣が流れを作った「そうやなあ、最後なあ、あんな、先頭に死球だして暴投でお前、もうちょっとこれであかんかなと思たけどなあ」-監督としては勝たないといけない試合だったか「いやいや、ずーっと3連敗もなかったしね。2つ負けたら次の試合は辛抱して勝ってたので、今日は初めて3連敗するなあ、思たけどなあ」-石井も2イニング投げた「いや、石井、だからね、投げるねえ、まあ、ピッチャーが完封したり勝つ時がね、なかなかその、うまくね、こう投げる機会というかね。こうちょっと開いたり、だからもう岩崎も開いてたから投げさすと思うたけど、やっぱり岩崎は勝ち越してからやないと、今、湯浅がいてない状況やからね。うん。だから、石井もほんと久しぶりでね。だから、2イニング目の方がよかったよな。最初、ちょっとボールがいってなかった感じしたけどな」-木浪はずっと状態がいい「おん、まあ、見ての通りや。そら、なあ。ああ1本打ったらすぐに猛打賞、固め打ちするな。なあ、最初に1本打ったらなあ」-チャンスメークの働きもしている「いやいや、だから1、2番があんだけ打点挙げてるんやから、そら木浪の影響よ。それは」-1番とクリーンアップに打点。やっぱり打つべきところがしっかりと「そうやなあ。まあ、木浪、木浪じゃないわ、2アウトからのも大きかったよな、近本のな、タイムリー2点もな。やっぱ、2アウトからいうのは、けっこう向こうもダメージ受けると思うし、ね。そんなノーアウトからつくったチャンスじゃなかったから、余計そんな感じ受けるよなあ」-大山も「いやいや、最後はうまいこと打ったよな、でもなあ。昨日と全く同じな、シチュエーションやったけど、今日は1点やったからな。大山、何か形でな、出たらと思うてたけどな。まあ、二塁打とは思わんかったな」-西が前回に続き良くなかった「西、あかんなあ、おーん。あんだけ初球、バンバン打たれるか、でもなあ。まあ、やっぱ、ちょっとわからんけどなあ、おーん、まだ」-考える余地はある「そら、あるある、それはなあ、やっぱりなあ。あまりに悪すぎるもんな、おーん。まあ、またそれはまあ、おいおい。いますぐに決めることじゃないと思うから。それはちょっと考えいていかなアカンかもわからんけどな」-2回は打順が回ってこなくても、もう交代だった「もう、交代交代。まだつくってなかったんや、ほら。途中では。そら、つくれへんよ、まだ。初回がうまいことなあ、切り抜けて。今日は大丈夫かなと思った矢先の2回やったからなあ。それも2アウトからやろ。2アウトから8番、9番やからな、結局」-立ち直る感じは「いや、ない。なかったな、今日は」-今日は監督のお孫さんが見に来ていた「来とったよ。帰ったんちゃうかなあ。長いよ。飽きたやろ」-帰ってるかもしれない「帰ってる、帰ってる。多分、帰ってたと思う。わからんかったけど」

◆中日は6点リードを守り切れず、今季3度目のサヨナラ負けを喫した。1点勝ち越した9回に守護神マルティネスを送ったが、守備が乱れた。無死二塁で佐藤輝の二塁へのゴロを福永が後逸して同点。続く代打原口の左前打を大島がファンブルし、一塁走者の三塁進塁を許した。守乱が無死満塁から木浪のサヨナラ打につながり、立浪監督は「両軍ともだがミスが出た。早い回に1、2点入れば(阪神が)諦めムードになったが」と肩を落とした。▽中日涌井(2点リードの5回に降板も13年ぶりの甲子園勝利を逃す)「6点を取ったあとに(2回裏先頭四球で)こっちのリズムにできず、点を取られたのが敗因。申し訳ない」▽中日福永(9回無死二塁で同点許す適時失策)「自分のミスで負けてしまったので、悔しいです」

◆これが4番だ! 阪神大山悠輔内野手(28)が逆転サヨナラ勝ちの口火を切った。1点を追う9回先頭。相手マウンドには難攻不落の守護神マルティネスがいた。「とにかく塁に出るだけ」。初球ファウルの後、145キロをとらえた一打は右中間を破る二塁打となった。敗色ムードを一転させてチームに勇気を与え、後の同点、サヨナラを呼び込む大仕事。「結果的に塁に出れてよかったし、後ろの選手たちがつないで、つないで勝てた。最初に6点取られて厳しい流れでしたけど、チーム一丸で勝てた勝利。勝てたことが一番大きかった」と充実の表情だった。リベンジを決めた。右腕とは前日2日にも2点を追う9回の先頭打者で対戦。あえなく3球三振に仕留められた。見せた4番の意地に岡田監督は「最後はうまいこと打ったよな。昨日と全く同じシチュエーションやったけど、今日は1点やったからな。大山、何かの形で出たらと思うてたけどな。まあ二塁打とは思わんかったな」とたたえた。同点に追いつく一打も主砲から生まれた。2回以降、6点差をジワジワ縮めて2点差に迫った6回。中日投手陣の3四球などで2死満塁とし、勝野から左前へにタイムリーを放って2人を生還させた。「(あの場面は)気持ちではない。狙い球だったりスコアラーさんと話して、準備をしっかりできていたので。それをしっかり打ち返せたのもある」と胸を張った。3回に中前打、5回には右中間へ二塁打を放つなど、今季初の4安打をマーク。連続試合ヒットも6に伸ばした。3連敗を阻止する価値ある1勝。「今日は今日でもう終わり。また明日、しっかり準備していこうと思います」と引き締めた。今季、全試合で4番を担う背番号3。次戦もバットで聖地をわかせる。【波部俊之介】

◆阪神原口文仁捕手が9回に代打で出場し、サヨナラ打につながる左前打を放った。相手の失策で同点に追いついた直後の無死一塁。守護神マルティネスの155キロ直球をとらえた打球は三遊間を抜き、一、三塁と好機を拡大させた。右の代打として起用が続く中、11打席ぶりの安打。「しぶいヒットでしたけど、いいところに飛んでくれたので良かった。いい形で後ろにつなげられた」とかみしめた。○...梅野が「つなぎ役」で勝利に貢献した。9回無死一、三塁で打席が回ると粘って四球を選び、木浪にお膳立て。先発復帰した2日中日戦からチームは2連敗したが、逆転勝ちにホッとした表情を見せた。岡田監督は「何かの形でチームに貢献するようにね、みんなそういう気持ちがあるんで。調子が上がらなくても、ああいうフォアボールはすごく大きいですね」と評価した。

◆巨人がヤクルト戦で0-6→8-7、阪神も中日戦で0-6→8-7と、この日は2チームが6点差をひっくり返した。1日に2チームが6点差以上の逆転勝ちは、1リーグ時代の49年11月21日に阪急が大映戦(0-6→17-8)阪神が東急戦(0-6→10-7)で記録して以来、74年ぶり2度目。2リーグ制後では初めてだった。

◆子どもたち、野球って最高だろ! 阪神木浪聖也内野手(28)が、プロ初のサヨナラ打を放ち、連敗を2で止めるヒーローになった。同点に追いついた9回、なお無死満塁で中日守護神マルティネスから右前へ。0-6の劣勢をはね返して最後の最後に逆転し、今季3度目のサヨナラ勝ちと貯金3に貢献した。ゴールデンウイーク恒例の「こどもまつり」として開催された一戦で、不屈の男がネバーギブアップを体現した。木浪は昨季、自己ワースト41試合の出場にとどまった。開幕スタメンも初めて逃した。久保田運動具店のブランド「スラッガー」のバットを何度、微調整したことか。長さ、重さ、感触...。何がベストか悩んでいた。自身にしか分からない感覚があるからこそ、いろいろと試した。「これ、お願いできますか?」。他球団の選手のバットを参考に、自身の相棒を5ミリ削ったのは昨秋のこと。メーカーの担当者もすぐさま対応し、長さ85・5センチあったバットが85センチになった。振り抜きやすいよう、ミリ単位で悩み抜いた1本が劇打を生み出した。選手に密着し、球場ではこまめにコミュニケーションを取る担当者は「昨年は苦しんでいたと思うけど、表情には一切出さなかったです」と振り返る。お立ち台で「最高でーす!」と明るく叫んだヒーローは、クラブハウス手前の囲み取材で「プレッシャーはなかったです」と言った。迷いの消えた男は強い。【阪神担当 中野椋】

◆子どもたち、野球って最高だろ! 阪神木浪聖也内野手(28)が、プロ初のサヨナラ打を放ち、連敗を2で止めるヒーローになった。同点に追いついた9回、なお無死満塁で中日守護神マルティネスから右前へ。0-6の劣勢をはね返して最後の最後に逆転し、今季3度目のサヨナラ勝ちと貯金3に貢献した。ゴールデンウイーク恒例の「こどもまつり」として開催された一戦で、不屈の男がネバーギブアップを体現した。木浪は一塁ベースを回ると、バンザイしてウオーターシャワーを浴びた。「サヨナラは初めてだったので、すごく水が冷たかったです」。それでも身に染みる。4万2579人の大観衆、ゴールデンウイークで子どもたちも大勢詰めかけた中で、プロ5年目で初のサヨナラ打。「去年ヒーローがなかったので、それが一番うれしかったですね、甲子園でできたっていうのが」と照れ笑いした。「絶対に俺が決めるという強い気持ちがあった」。同点に追いついた9回無死満塁。覚悟は決まっていた。直前、梅野の打席では「いいところで俺にこい」とすら思っていた。中日守護神マルティネスの156キロを右前に運んだ。最大6点あったビハインドをひっくり返した。ネバーギブアップを体現し、4時間16分の熱戦に終止符を打った。チームメート、スタッフの誰もが「ストイック」と口をそろえる。春季キャンプでは日の出前から「体を起こすために」と30分以上のウオーキングを欠かさない。体が起きると、ウエートルームにこもり、筋力強化に励んだ。関係者が「現役時代の鳥谷さんのよう」とレジェンドを重ねる28歳。人知れず汗を流してきた日々は、甲子園で輝くためにある。地元青森から両親が訪れた一戦でヒーローになり、最高の親孝行だ。前日2日は母忍さんの誕生日。父弘二さんは「最高のプレゼントになったと思います」と笑った。お立ち台で「体調に気をつけて、これからも長生きしてください」と呼びかけてくれた息子には試合後、「ナイスバッティング」とLINEを送り「ありがとう」と返ってきた。今季4度目の猛打賞。打率3割4分9厘のハイアベレージで規定打席到達は目前。開幕遊撃は後輩の小幡に奪われたが、ここまでスタメン20試合ノーエラーだ。攻守で躍動すればするほど、両親の活力にもなる。岡田監督も不動の遊撃としての評価を高めつつある。「見ての通りや。すぐに固め打ちするな、最初に1本打ったらなあ」とたたえた。連敗を2で止め、貯金3。負けていれば首位DeNAとの差は4に広がっていた。「明日も今日と変わらず守って打って、絶対勝ちます」。泥くさい男が、6点取られても諦めない虎の象徴だ。【中野椋】阪神の6点差逆転勝ちは22年6月3日日本ハム戦(甲子園)での1-7→9-7以来。0-6からの逆転勝ちは、17年5月6日広島戦(甲子園)での0-9→12-9以来、6年ぶり。このときの9点差は球団史上最大差の逆転勝ちだった。阪神の今季サヨナラ勝ちは3度目。4月1日DeNA戦(京セラドーム大阪)では近本が山崎から、4月18日広島戦(甲子園)では中野が栗林から。この日は木浪がマルティネスから。いずれも左打者が、相手の守護神からサヨナラ打を放っている。阪神は中日マルティネス相手に初のサヨナラ勝ち。マルティネスには来日1年目の18年に先発登板した際に黒星をつけているが、救援登板で黒星をつけたのは2度目。前回は21年9月21日(バンテリンドーム)で同点の9回に木浪の勝ち越し犠飛で3-2で勝った。阪神はサヨナラ勝ちで3連敗を阻止。今季の阪神は2連敗が最長。なお、阪神以外のセ・リーグ5球団は今季すでに3連敗を喫している。

◆えっ、リードオフマンが打点王!? 阪神近本が0-6の2回、反撃の2点打を放った。2死満塁から中日涌井の148キロを左前にはじき返した。今季満塁では3打席で2打数2安打1犠飛の4打点の"満塁男"。「そんなに気にしてはないです」と笑ったが、巨人中田翔を抜く16打点でセ・リーグトップにつけた。"1番の打点王"は超レアだ。8番の木浪が好調でチャンスをつくっていることも打点が増えている要因だ。「そうですね。(木浪がサヨナラ打を決め)よかったですよ。調子もいいし、守備でもいいプレー出ているので」。8番と1番での23年型キナチカコンビが得点源となっている。岡田監督も近本を高評価。「すぐ2点かえしてね。2アウトから大きかったよな。近本のな。2アウトからは、結構向こうもダメージ受けると思うしね」。ミラクル勝利を呼んだ陰のヒーローに、惜しみない賛辞を送った。

◆阪神ドラフト6位新人の富田が2回パーフェクトで悪い流れを断ち切った。先発西勇がまさかの2回6失点で降板。味方打線が2点をかえしたあとの3回から登板し、3三振を奪って3人ずつで片付けた。「2点取ったので流れがちょっと来てると思った。任された回はしっかり流れを呼べるよう心がけながら投げた」。岡田監督も「2イニング、ピシッと流れをね、2点入って、すぐ3者凡退で流れを持ってきた」と称賛した。

◆阪神佐藤輝明内野手(24)がミラクルを呼んだ。9回無死二塁。中日マルティネスのスプリットを強振。強い打球は二塁手の正面に転がったが、福永がまさかのトンネル。大山が生還して、同点に追いついた。「結果、後が続いたので、よかったです」。続く代打原口の左前打では大島のファンブルを見逃さず、一気に三塁に進む好走塁を見せた。相手のミスにつけ込んで守護神にプレッシャーをかけ、劇的サヨナラに貢献した。開幕直後から打率1割台に沈んでいたが、完全に上昇気流に乗った。5回1死二塁では涌井の内角寄りスライダーをとらえ、一、二塁間を破るタイムリー。2点差に迫る大きな一打だった。「よかったです」。前日2日には相手守護神の内角直球を引っ張り、右翼線二塁打。昨年まで苦しめられた「内角」と「速球」への対応力は確実に増している。打率は2割3分まで上がった。4月26日の巨人戦では6番に降格したが、ここから7試合で9安打8打点と息を吹き返した。2戦続けて、4番大山との連打が見られた。4、5番コンビが力強さを発揮すれば、打ち負けない。佐藤輝は9回、木浪のサヨナラ打に喜びを爆発させた。「まあ、うれしかったです」。得意の5月。自信を取り戻し、長打を量産する。

◆阪神岡田監督は「リリーフ陣の踏ん張りじゃないですか」と、大逆転劇の立役者として救援陣をほめた。西勇KO後、富田が2回、ビーズリーが1回を0封。2点を追う6回から投入した4番手石井も2イニングを無失点に抑えた。指揮官は「投げる機会が開いて。だから2イニング目の方がよかったな」と中4日でのマウンドを評価。同点の9回はK・ケラーを送った。4月中旬の守護神湯浅離脱後、同点で7回以降を迎えるのは、14試合で2度目だった。「岩崎も(中4日と)開いてたから投げさそうと思うたけど、やっぱり岩崎は勝ち越してからやないと」と継投理由を説明した。

◆阪神・西勇輝投手(32)が先発する。前回登板した4月26日の巨人戦(甲子園)では3回9安打5失点と悔しい結果だったが、「自分の結果として受け止めて前を向くしかない。あとで経験してよかったと思い返せるようなゲームになればいいんじゃないかなと思います」と気持ちのリセットは完了。中6日で向かう今季最初の中日戦登板は、涌井とのパ・リーグ出身の実力派右腕対決としても注目だ。

◆ビッグイニングだ!! 中日・木下拓哉捕手(31)が二回2死一、二塁から先制の左翼線2点二塁打を放った。木下は今季の阪神戦初安打。この一打が打線に勢いを与え、投手の9番・涌井も適時打で続いて西武時代の2010年以来となる自身13年ぶりの打点を挙げた。岡林の四球を挟み、大島、細川も連続適時打。石川昂にもこの回2安打目となる中前打が出て、阪神の先発・西勇に打者11人の猛攻を浴びせて一挙6点を奪った。

◆阪神・西勇輝投手(32)が先発し、今季最短となる2回での降板となった。魔の二回だった。2死一、二塁で木下にチェンジアップをとらえられて左翼線へ2点二塁打されると、続く投手の涌井にも中前適時打を許した。さらに、岡林の四球を挟み、大島のゴロ打球は一塁・大山の手前で不運にもイレギュラーする二塁打となって4点目。なおも二、三塁では3番・細川に右前2点打を喫した。この回だけで集中7安打を浴びて屈辱の6失点。直後の攻撃で代打を送られた。前回登板した26日の巨人戦(甲子園)でも9安打5失点で3回で降板。2試合連続で序盤に打ち込まれる悔しい結果となった。

◆阪神・近本光司外野手(28)が反撃ののろしを上げる2点打を放った。0―6の二回2死一塁から木浪、代打・小野寺の安打で満塁にチャンスを広げて打席へ。先発・涌井の5球目、低めの直球を左前へはじき返して2点を返した。得点圏では打率・563(16打数9安打)、11打点とチャンスにめっぽう強い男のバットがこの日も快音を響かせた。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が2試合連続となるタイムリーで2点差とした。2-6の五回だ。先頭の中野が先発・涌井の甘く入った直球をとらえて右中間へ。中堅・岡林が白球をつかみそこねている間に三塁を陥れてチャンスメークした(記録は二塁打と失策)。直後のノイジーの内野ゴロの間に3点目のホームを踏んだ。反撃はまだまだ続く。4番・大山の打ち上げた打球は右翼から左翼へと吹く浜風の影響もあって、右翼線に落ちて二塁打で出塁。ここで佐藤輝が打席に立つと、スライダーを引っ張り、一、二塁間を抜ける適時打とした。佐藤輝はこれで2試合連続タイムリー。試合前時点で得点圏打率・118と開幕から不振だった男が復調をアピールする一打をこの日も放った。

◆中日・涌井秀章投手(36)が今季初安打となる適時打を放った。涌井が安打を放ったのはロッテ時代の2015年以来8年ぶり。チームが2点を先制した二回、涌井は2死二塁の場面で打席に立つと、西勇の変化球を中前に運んだ。涌井の適時打もあり、中日はこの回一挙6点を奪った。この一打でネットでは「涌井さん」がトレンド入りし、「ナイスバッティング」「かっこよすぎ」などの声が上がった。また、ここまで9打席無安打だった涌井は、2日に中日公式ユーチューブチャンネルで公開された動画で大野雄大に「先輩、バッティングがひどすぎるんで、バッティング練習をしっかりしといてください。見てられません」などとイジられていたこともあり、中日ファンで知られるSKE48の日高優月(25)もツイッターで「大野さん見てるかな」と反応していた。

◆阪神・大山悠輔内野手(28)が2点打を放ち、最大6点差から同点に追いついた。4-6の六回、3つの四球で1死満塁の好機を作る。ノイジーは二邪飛に倒れたが、4番がきっちりと仕事を果たした。3番手・勝野の高めに浮いたフォークを左前へはじき返して2点打とした。4試合ぶりに打点を挙げた。大山は三、五回にも快音を響かせており、今季2度目の猛打賞。打率も3割を超え、絶好調だ。

◆阪神・岩貞祐太投手(31)が5番手として同点の八回に登板し、1回無失点と粘投した。1死から加藤翔に右前打で出塁されると、岡林の投前バントを自ら二塁へ悪送球し、ピンチを迎えた。しかし、続く大島を中飛に抑えて2死。細川にはフルカウントから四球を与えて満塁となったものの、4番・石川昂はとらえられた当たりでありながら149㌔直球で中飛に抑え、無失点で乗り切った。チームは二回、五回、六回に2得点ずつ挙げ、最大6点差を追いついていた。大ピンチを招きながらもスコアボードにしっかりとゼロを刻み、流れを渡さなかった。

◆阪神のシェルドン・ノイジー外野手(28)が試合終盤の逆転のチャンスで凡退した。同点の八回、四球と安打で2死一、三塁の好機で打席に立ったが、6番手・祖父江の外角低めの変化球に空振り三振に倒れて勝ち越しとはならなかった。ノイジーは一回に中前打で出塁するも、五回の第3打席、六回の4打席目はともに得点圏に走者を置いた状態で凡退した。

◆阪神は中日に今季3度目のサヨナラ勝ち。6-7で迎えた九回、大山悠輔内野手(28)の二塁打でつくった無死二塁で佐藤輝明内野手(28)の二塁へのゴロが敵失となり、走者が生還。7ー7に追いつく。さらに無死満塁とチャンスを広げ、木浪聖也内野手(28)が右前にサヨナラ打を放った。先発した西勇輝投手(32)は二回に1死一、二塁から木下、涌井に連続タイムリー、四球を挟んで大島と細川にも連続タイムリーを浴びて6失点。この回限りで降板し、今季最短の2回KO。一時6点ビハインドを背負いながら打線が奮起。二回に近本光司外野手(28)の2点打、五回には佐藤輝のタイムリーなどで2点を挙げ、さらに六回には大山の2点タイムリーで同点に追いつく粘りを見せた。阪神は連敗を2で止め、貯金を3とした。

◆阪神が最大6点差をひっくり返し、木浪聖也内野手(28)のプロ初のサヨナラ安打で連敗を「2」で止めた。同点の九回に1点を勝ち越されたが、その裏、無死二塁からの佐藤輝明内野手(24)のゴロを二塁・福永裕基内野手(26)がトンネルし、同点。さらに安打と敵失が絡んだ無死満塁で木浪が右前打を放った。西勇輝投手(32)が二回に6点を失ったが二、五回に2点ずつ加え、六回に大山悠輔内野手(28)の2点打で追いつき、今季3度目のサヨナラ勝利を飾った。阪神の6点差逆転勝利は2022年6月3日の日本ハム戦(三回終了時で1ー7、甲子園)以来。チームは12球団唯一の3連敗ナシ。岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(成績=14勝11敗1分、観衆=4万2579人)。ーーリリーフ陣が流れを作った「そうやなあ。(九回に登板したK・ケラーが)最後なあ、あんな、先頭に死球出して暴投(一塁牽制悪送球)でお前、これでアカンかなと思たけどなあ」ーー監督としては勝たないといけない試合だったか「ずーっと3連敗もなかったしね、2つ負けたら次の試合は辛抱して勝ってたので、今日は初めて3連敗するなあ思たけどなあ」ーー木浪はずっと状態がいい「見ての通りや。一本打ったらすぐに猛打、固め打ちするな、なあ、最初に一本打ったらなあ」ーーチャンスメークも「だから1、2番があんだけ打点挙げてるんやから木浪の影響よ。それは」ーー今日も1番とクリーンアップに打点「木浪、木浪じゃないわ。(二回の)2アウトからのも大きかったよな、近本のな、タイムリー2点もな。2アウトからは結構、向こうもダメージ受けると思うし、ね。ノーアウトから作ったチャンスじゃなかったから、余計そんな感じ受けるよなあ」ーー大山も「最後はうまいこと打ったよな(九回先頭で二塁打)。昨日(2日の中日戦は1ー3の九回先頭で空振り三振)と全く同じシチュエーションやったけど、今日は1点やったからな。出たらと思うてたけどな。二塁打とは思わんかったな」ーー西勇がよくなかった「西、アカンなあ、おーん。あんだけ初球、バンバン打たれるか。ちょっとわからんけどなあ」ーー考える余地はある「そら、あるある、それはなあ、やっぱりなあ。あまりに悪すぎるもんな、おーん。まあ、またそれは追々。今すぐに決めることじゃないと思うから。それはちょっと考えなアカンかもわからんけどな」ーー二回は打順がまわってこなくても交代「もう、交代交代。まだ(2番手投手が肩を)作ってなかったんや。そら、作れへんよ。初回がうまいこと切り抜けて。今日は大丈夫かなと思った矢先の二回やったからなあ。それも2アウトからやろ。2アウトから8番、9番やからな、結局」ーー立ち直る感じは「いや、ない。なかったな、今日は」

◆現役時代は阪神、南海で活躍し、引退後は阪神で投手コーチやフロントでも尽力したサンケイスポーツ専属評論家の上田二朗氏(75)は、6点差をはね返し、さらに土壇場で逆転サヨナラ勝ちした粘りを称賛。また、この1勝は限りなく意味がある。シーズンを振り返ったときに「6点差をはね返して逆転サヨナラ勝ちしたあの試合がポイントだった」と語り合うことになるのでは。間違いなくターニングポイントの試合だ。死闘を見ながら、思い出したのは1973年。阪神と巨人が最終戦の130試合目で戦い、阪神が敗れて優勝を逃した、あのシーズンだ。10月11日。阪神は7-0とリードしながら、最終的には追いつかれて10-10。振り返れば痛すぎるドローだった。あの年は、それ以外にも「あの試合に勝っていたら...」というタラレバが何試合もあった。優勝して不思議ではないシーズンだった。が、最終決戦で勝った巨人が優勝する。今回はその逆。エース格が打ち込まれての6点差は敗戦を覚悟しても不思議ではない。そこから追いついた時点で、今度は絶対に負けられない試合になった。ところが九回、K・ケラーが死球、悪送球などで失点。得意(?)の独り相撲で勝ち越し点を許す。それすらもはね返した阪神の粘りの攻撃。木浪も、大山も褒めたい。三回以降をつないだ救援陣もK・ケラー以外は全員がヒーローだ。

◆阪神の西勇は今季最短の2回KOと乱調だった。二回は打者11人の攻撃で7安打を許し、6点を奪われた。打線の奮起もあって勝ち負けは付かず「中継ぎのみんなに迷惑をかけたことが大きい」と反省した。打たれた4本の適時打のうち、3本が初球の変化球。甘くなったところを捉えられ、岡田監督は「あまりに悪すぎる。(立ち直る兆しが)なかった」と話した。(甲子園)

◆中日の涌井は援護をもらいながらもぴりっとせず、5回で10安打を浴びて4失点。6得点した直後に先頭の四球から2失点するなど流れを手放すような投球に「こっちのリズムにできなかった。今日の敗因かなと思う」と肩を落とした。甲子園では13年ぶりとなる勝利を狙ったが、投球フォームが安定せずに苦戦。「これから何回も同じ景色を見ると思うので、次はぴしゃっと抑えたい」と巻き返しを誓った。(甲子園)

◆奇跡のようなフィナーレを迎えるためには、佐藤輝の勝利への執念が詰まった強烈な〝同点二ゴロ〟も必要不可欠だった。1点を追う九回に相手の適時失策を誘い、五回にもタイムリーを記録。復調気配の若虎が大逆転勝利に貢献した。「よかったです。(サヨナラの瞬間は)どう見たというより、うれしかったです」最大6点差を少しずつ詰めて迎えた6-7の九回無死二塁。竜の守護神・マルティネスの145キロのスプリットをはじき返すと、白球は黒土の上を鋭く跳ねてD7位・福永(日本新薬)がトンネル。甲子園に充満しかけたため息が大歓声に変わる間に、二走・植田が同点のホームを踏んだ。「結果、後が続いたのでよかった」。3-6の五回1死二塁では右前適時打を放ち、劣勢のなか奮闘し続けた。4月は苦しんだが、直近5試合は打率・368(19打数7安打)、2本塁打、6打点とノッてきた。この日も「ゴールデンウイーク こどもまつり」が開催され、ちびっ子ファンもひらがな表記の「さとうて」の躍動する姿に大喜びだ。「(五回は)チャンスで打てたので、よかったです」と佐藤輝は胸を張った。黄金週間でさらに状態をあげ、首位・DeNA猛追の原動力になる。(新里公章)

◆リリーフ陣の奮投が逆転サヨナラ劇で実った。2―6の三回以降を5投手で継投。D6位・富田(三菱自動車岡崎)が先陣を切った。「2点を取って流れがきていると思った。任された回はしっかりと流れを呼べるように、というのを心がけながら投げていた」緩急を操り三回はD7位・福永(日本新薬)、同2位・村松(明大)を連続三振。先制打を放った木下も二ゴロに料理した。四回も10球で鮮やかにゼロを2つ刻んだ。岡田監督も「富田が2イニング、ピシッと流れをね。あの辺でなんとなく『これいけるんじゃないか』と」と〝よぎる〟ほどの快投だった。ビーズリー、2回を投げた石井、岩貞とつないで八回まで零封リレー。守護神・湯浅の離脱を一丸でカバーする男たちがたくましくバトンをつなぎ、逆転劇を呼んだ。(須藤佳裕)

◆阪神・西勇輝投手(32)が8安打6失点と打ち込まれ、今季最短となる2回でKOされた。「中継ぎのみんなに迷惑をかけた事が大きい」。打線の猛反撃に助けられ黒星はつかなかったが、3回5失点だった4月26日の巨人戦(甲子園)に続く背信投球。岡田監督は次回の登板機会について「いますぐに決めることじゃないと思うから。それはちょっと考えていかなアカンかもわからんけどな」と話した。

◆逆方向に打ち返した鋭い弾道の打球が、右中間をきれいに抜けた。6点ビハインドに心が折れかけ、再度勝ち越されてガクッと肩を落としていたチビッ子たちが、4番の一打にまた身を乗り出した。1点を追う九回先頭。大山悠輔内野手(28)が放った二塁打から、最高の結末へとつながっていった。「もうとにかく塁に出るだけなんで。結果的に塁に出られてよかったです」マウンドには守護神のマルティネス。1点が数字以上に遠く感じられる苦しい展開から、4番の一打が活路を切り開いた。続く佐藤輝の二ゴロが敵失を呼び同点。そのままドラマチックなサヨナラ劇へ突き進んだ。「後ろの選手たちがつないでつないで、勝てたんで。最初6点取られて厳しい流れでしたけど、チーム一丸となって勝てた。勝てたというところが一番大きかったんじゃないかなと思います」4-6の六回には、3四球で得た2死満塁の絶好機で3番手・勝野を撃ち、左前へ同点となる2点打。三回1死では中前打。五回1死でもフラフラと上がった打球が右前へ落ちる二塁打を放ち、6点ビハインドからの逆転の中心で躍動した。

◆阪神・梅野隆太郎捕手(31)は3打数無安打だったが、同点に追いついた九回無死二、三塁で四球を選んで出塁。木浪の劇打につなげるなど2四球と選球眼を光らせた。岡田監督も「最後もね、その前(七回の四球)もだし。まあね、何かの形でチームに貢献するようにね、みんなそういう気持ちがあるんで。調子が上がらなくても、ああいうフォアボールはすごく大きいですね」とうなずいた。スタメンマスクをかぶった試合でチームが勝利するのは4月18日の広島戦(甲子園)以来、7試合ぶり。6投手をリードし勝利に力を貸した。

◆阪神・岡田彰布監督(65)の小学校3年生と1年生になる2人の孫が甲子園を訪れて中日戦を観戦し〝戦うおじいちゃん〟に声援を送った。試合後、虎将は「きとったよ。(試合途中で)帰ったんちゃうかなあ。(試合が)長いよ。あきたやろ」と笑った。「ゴールデンウイーク こどもまつり」で大勢のちびっ子ファンも詰めかけた甲子園で、2人の孫の熱視線も感じながら、虎を勝利に導いた。

◆阪神・原口文仁内野手(31)は7-7と同点に追いついた直後、九回無死一塁で代打で登場。1ストライクからの2球目、マルティネスの155キロを三遊間へ運び、自身11打席ぶりの安打をマークした。左翼・大島が打球をファンブルする間に、一走・佐藤輝が判断よく三塁を奪ってチャンスがさらに拡大し「しぶいヒットでしたけど、いいところに飛んでくれたのでそれは良かった。いい形で後ろにつなげたので。テル(佐藤輝)が本当にいい集中力でしっかりと走っていたので、つなげられてよかったなと思っています」と振り返った。4月2日のDeNA戦(京セラ)でチームの今季1号アーチとなる一発を放って以来、この日まで10打数1安打だった。チームの代打陣全体でも試合前時点で代打打率・100(40打数4安打)だったが、小野寺にも渡辺諒にも代打安打が出た。打てない間も重圧のかかる局面での起用が続いてきた原口だが、この一打をきっかけに頼もしい当たりが戻れば、虎の戦い方はさらに盤石となる。

◆阪神は最大6点差をひっくり返し、中日に逆転勝利。木浪聖也内野手(28)のプロ5年目で初となるサヨナラ打で連敗を「2」で止めた。岡田彰布監督(65)の頭にも今季初の3連敗がよぎる展開から、一丸で猛反撃! 九回にも1点を勝ち越されたが、最後は今季3度目のサヨナラ勝利で「ルーズベルトゲーム」を制した。厳しいコースでも構わず振り、白球は右翼の芝生に弾む。木浪は最後まで白球のゆくえを見届け、一塁を回ったところで両手を挙げた。プロ初のサヨナラ打で激戦にピリオドを打った。ウオーターシャワーを浴びながら、晴れ晴れとした笑顔でナインと抱擁だ。「つないでもらったので。『絶対俺が決める』という強い気持ちがあったので、決められてよかったです」6―7の九回だ。敵失で同点に追いつき、なおも無死満塁で打席が回ってきた。「プレッシャーはなかった」。1―2と追い込まれ、4球目をファウル。打席から離れて呼吸を落ち着かせる。スイッチを入れ直し、迎えた5球目、内角高めの156キロをとらえて試合を決めた。

◆阪神・近本光司外野手(28)が反撃の号砲を鳴らした。6点を先制された二回に2死満塁で打席が巡ると、涌井の148キロをとらえて左前へ快音。ひと振りで2点を返し、沈んだ甲子園の雰囲気を一変させた。今季の満塁機は2打数2安打4打点。「そんなに気にしていないです」とチャンスでも冷静に打席に立てる頼もしいリードオフマンは、試合前までリーグ2位だった打点を「16」としブリンソン(巨人)と並んで1位に立った。

◆『負けに不思議な負けなし、勝ちに不思議な勝ちあり』は名将ノムさん(野村克也氏)の言葉。6点差を猛虎打線が追いついてくれたのに八回、岩貞が送りバントを焦ってセカンドへ悪送球。九回にはケラーが先頭に死球を与えるわ、けん制ミスをするわで勝ち越し点を許してんだから、それで勝とうってほうがずうずうしい!ところが九回、あっと驚く福永のトンネルが出て同点。最後は100セーブに王手をかけている竜の守護神マルティネスから木浪がサヨナラヒット! 天国のノムさん、まさにこれが〝不思議な勝ちあり〟なんですね!?「ムフフ...。そういうこっちゃ」。ちが~う!! 別にノムさんの安らかな眠りを妨げる気はないけど、決して不思議な勝ちなんかじゃなーい!!球場に詰めかけた42579人の大歓声と、全国の虎党の祈りが強く後押しした勝利です! 熱き虎党の応援で、阪神は『勝ちに不思議な勝ちなし』。これで日本一になりまっせェ!!

◆1点を追う九回無死。大山が二塁打を放ったその瞬間に、甲子園球場記者席の虎ソナ筆者の携帯電話が鳴った。誰やねん! こんな緊迫した場面で掛けてくるのは? 電話になんて出ている暇はないで。無視や! 野球に集中や!と思いながら発信者の名前を見たら「川藤幸三」。言わずと知れた浪速の春団治。タイガースOB会長ではないか。あの怖い顔が思い浮かぶ。仕方ない。電話に出た。--何の用ですか? 阪神の最高の場面ですよ、今は!「アホ! おまえ、自分の財布を忘れていってるやろ。はよ、取りに来んかい!」エッ、まさか。確かにポケットにない。その直前まで、球場内のOBルームで川藤さんと並んで、阪神野球についての〝ご指導〟を受けていた。ということは...本当にありがとうございました。一文無しになるところでした。平身低頭している、その目の前で阪神が奇跡のフィナーレを迎えていた。阪神が勝って、財布が戻って、2023年5月3日は、生涯忘れられない日になった。常識を超えたシーンが、プレーが、次々と飛び出す予測不能な名勝負だった。こんな展開は誰も予測できない。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
DeNA
1780 0.680
(↑0.013)
-
(-)
11886
(+4)
72
(+1)
15
(-)
6
(-)
0.251
(↑0.001)
2.700
(↑0.07)
2
(-)
阪神
14111 0.560
(↑0.018)
3
(-)
11795
(+8)
77
(+7)
12
(-)
14
(-)
0.244
(↑0.007
2.730
(↓0.14)
3
(-)
広島
13130 0.500
(↓0.02)
4.5
(↓1)
11788
(+1)
79
(+4)
22
(+1)
9
(-)
0.244
(-)
2.770
(↓0.07)
4
(-)
ヤクルト
12141 0.462
(↓0.018)
5.5
(↓1)
11677
(+7)
86
(+8)
18
(+1)
23
(+1)
0.211
(↑0.009)
3.030
(↓0.2)
5
(-)
巨人
12150 0.444
(↑0.021)
6
(-)
11696
(+8)
115
(+7)
27
(+3)
3
(-)
0.244
(↑0.003)
4.140
(↓0.12)
6
(-)
中日
9160 0.360
(↓0.015)
8
(↓1)
11866
(+7)
79
(+8)
4
(-)
6
(-)
0.240
(↑0.004
2.740
(↓0.1)