◆西武は1-2で迎えた8回表、マキノンと児玉の適時打で2点を奪い逆転する。続く9回には中村が適時二塁打を放ち、貴重な追加点を挙げた。投げては、先発・高橋光成が9回5安打2失点の完投で今季3勝目。敗れたオリックスは、打線が5回以降1安打と振るわなかった。

◆フィギュアスケート女子で世界選手権2連覇中の坂本花織（23＝シスメックス）が特別始球式を行った。背番号「11」のオリックスのユニホームを身にまとい、満面の笑みでマウンドへ。思い切りよく投げ込むと、ボールはきれいな弧を描いてノーバウンドでキャッチャーミットに収まった。始球式を終えたあともニコニコ笑顔は変わらず。「練習でまずグラウンドで投げさせてもらって、その時から結構緊張してて、練習では何回かあちらこちらに行ってたんですけど、本番ちゃんとできたので、良かったです」と満足そうに振り返った。背番号「11」は頂点に立った証。「世界選手権で日本人初の2連覇というので、2にしようかなと思ったんですけど、やっぱり1がいいなと思って、1と1で2連覇の意味で、11にしました」。その世界選手権中には、ちょうどワールド・ベースボール・クラシック（WBC）が行われており、世界女王も刺激をもらっていた。「公式練習のアップしてる時に、ちょっとアップを一時放棄して見ちゃうぐらい、すごく応援してました」。決戦の合間に、正座して祈りながら見ていたことを明かした。この日の点数を聞かれると「えー...95！」と充実感たっぷりの様子。華麗な投球で野球ファンを魅了していた。

◆オリックス杉本裕太郎外野手（32）が2戦連続となる6号2ランを放った。0－0のまま迎えた4回2死二塁、西武高橋光成の内角152キロ直球をはじき返した。「久しぶりに打った瞬間、入ってくれると思いました」。本塁打を確信した杉本はバットを投げ、ボールは左翼席へ飛び込んだ。「先制点になってくれてよかったですし、ランナーをかえすバッティングができてよかったです！」前夜21日は西武今井からソロ本塁打を放ち、リーグトップの5号をマーク。西武の強力先発2人に、持ち前のパンチ力を見せつけた。

◆オリックスは山本由伸投手（24）が自己ワースト11安打を浴び、8回途中11安打3失点で逆転負けを喫した。勝てば首位浮上の可能性もあった一戦で敗れ、連勝も3でストップした。4回まで毎回の安打を許すも、要所で三振を奪い無失点で切り抜けていた。4回裏には西武先発の高橋光成から杉本が先制の6号2ラン。山本も両手を上げて喜んだ。5回に先頭の児玉から連打を浴びて1点を失うも最少失点でしのぐと、回をまたいで5者連続三振。リードを守り抜くかと思われたが、8回に3連打を浴びて同点に追いつかれて降板。2番手の宇田川もしのぎきれず、児玉に勝ち越しの左前適時打を許した。山本が2ケタ安打を許すのは、昨年5月3日のソフトバンク戦（ペイペイドーム）で10安打を浴びて以来。前回14日ロッテ戦に続き、エースが黒星を喫した。

◆西武愛斗外野手（26）が意地を見せた。チームはこの日、オリックス山本由伸投手（24）から計11安打。ロッテと並ぶ首位タイに浮上した。1番に座る愛斗は2本の二塁打を放ち、5回には得点にもつなげた。「（山本から）安打を打ったことほとんどないので、安打のイメージが湧かない...。流れが良かったです」と振り返った。前日21日、4回に得意の右翼守備でチャージに失敗し失策。さらに6回は前進守備から必死に後方の打球を追いかけダイビングキャッチを試みるも、最後にボールがこぼれ、決勝点になった。感情をグラブにぶつけるシーンもあった。日頃から「投手の人生を背負って守ってるって気持ちを1球も忘れずにやりたい」と意識している。「今井が投げてて、後輩なんで。エラーして、その後のあの打球、グラブ入ってるんですけど。みんなからは『愛斗しか追いつかないし、必死にやってくれたことだから、気にしなくていい』って言われましたけど、そこを気にしなくなったら僕の取りえがなくなっちゃうので。グローブに当たってる以上は絶対に取らないといけないです」まずはバットで取り返し、大きな1勝に貢献した。【金子真仁】

◆一塁を回ったところで右手を勢いよく上げ、両手を上げ、締めに右手を振り下ろした。西武児玉亮涼内野手（24）が勝ち越し適時打を放ち、全身で表現した。難関のオリックス山本をマウンドから下ろした8回2死満塁。児玉はネクスト・バッタースボックスにいる時から練っていた。「フォークがいいのも分かっていましたけど、前の打者が四球。ランナーが三塁にいて、フォークも投げにくい部分もあるかな」遊撃守備同様の落ち着きぶり。直球一本に絞り、始動をやや早めにコンパクトに。三遊間を割った。ドラフト6位ルーキーは、離脱中の源田に代わって遊撃を任される。一時は打率が3割台に乗っていたものの、4月13日の第2打席以降、19打席連続で安打がなかった。移動ゲームも増え、疲れも蓄積してくる。前日21日、詰まりながらも久々の安打。「フルカウントまで粘って。本当にそういうヒットが今後大事になってくると思うので」。この日は5回、オリックス山本からも安打。必死に堅実に、本来へ戻そうと努めている。適時打の場面。9番児玉に対して、松井稼頭央監督（47）は「代打？　そこは考えてなかったですね」と即答した。「速球への強さはもちろんあると思うし、思いきりも非常にいい打者ですからね」。努力と結果で得た信頼を、さらに深める。まだ18試合を消化したに過ぎないペナントで、この仕事ぶり。選手層が厚くなっていく。【金子真仁】

◆西武高橋光成投手（26）が自己最速157キロを投げたのは9回2死、最後の1球だった。元チームメートのオリックス森を見逃し三振にし、約2年半ぶりの完投勝利。投げきった125球に「疲れました」と笑いながら「157キロはすごくうれしい。最後まで久々に投げきれましたし、まだまだ行けるなって」。メジャースカウト陣も視察する中、すごみを示した。わずか2～3秒で切り替えた。4回、杉本に先制2ランを浴びた。内角球が少し甘かった。左翼席中段まで4秒足らずの豪快ライナー。打球の行方と杉本に視線が集中する陰で、高橋は早かった。着弾直前にすでに、マウンド上で球審に次のボールを求め、グラブを構えていた。「結果はそんな気にしないで、もう打たれてしまったので」。次打者に3球種を使って3球三振に仕留め、また勢いに乗った。捕手の柘植が言う。「どんどん上がってくる感じなので。いつもあとの方が良くなるイメージです。定まってくる感じがあります」。引きずらないメンタル、緊迫の9回まで託せるだけの球威。エースの力量を存分に見せた。オリックス山本との投げ合いも「やっぱり気持ちが入りました」とアドレナリンを高めた。熱投した上で勝ったのが大きい。山川、源田が不在ながら、これで首位タイに浮上した。23日先発のエンスには「やればできる」「言い訳しない」という日本語を習得させたエース兼選手会長。まさしく、そんな戦いが西武を強くしている。【金子真仁】

◆試合前の特別始球式にフィギュアスケート女子で世界選手権２連覇を果たした坂本花織（シスメックス）が登板した。「１と１で２連覇の意味」の思いを込めた背番号１１を背負ってマウンドに上がり、力強いフォームからの投球はノーバウンドで捕手のミットへ収まった。３月のＷＢＣの決勝は、世界選手権のフリーの当日。試合前の公式練習前のアップの最中に日本代表の試合が行われ、「ちょっとアップを一時放棄してみちゃうぐらい、すごい応援してました」とリアルタイムでテレビ観戦。その後の世界選手権では、日本人初の２連覇を達成した。大役を終えた坂本は「結構、緊張はしたんですけど、ちゃんと届いてよかったです。えー...９５（点）！」と笑顔で語った。

◆オリックス・杉本裕太郎外野手（３２）が２試合連発となる６号２ランを放った。「打ったのは真っすぐです。久しぶりに打った瞬間、入ってくれると思いました。先制点になってくれてよかったですし、ランナーをかえすバッティングができてよかったです！」相手先発の高橋に対し、三回までわずか２安打。０－０の四回、攻撃前には、円陣を組んで臨み、２死二塁で打席へ。初球、内角の１５２キロを狙いすましたかのように捉えると、本塁打を確信。乾いた打球音とともに左翼席へ吸い込まれた。杉本が本塁打を放てば、２０２２年７月２９日のロッテ戦（ＺＯＺＯ）からチームは８連勝と不敗神話は継続している。先発の山本にとっても強力なアシストとなった。

◆西武の高橋が３季ぶり完投で今季３勝目を飾った。５安打２失点、無四球と安定していた。打線は１―２の八回にマキノンと児玉の適時打で逆転。九回に中村が適時二塁打を放った。オリックスの山本は八回途中１１安打３失点で２敗目。

◆西武は先発した西武・高橋光成投手（２６）が９回５安打２失点、８奪三振の好投で自身３シーズンぶりとなる完投で今季３勝目を挙げた。以下、松井稼頭央監督（４７）の試合後の主な一問一答は以下の通り。－－高橋が３シーズンぶりの完投で３勝目「素晴らしかった。もうその一言でしょう。（杉本の２ランで）２点取られましたけど、それ以降もしっかりと粘ってくれた」－－エースの意地が見えた「本人も最後まで降りるつもりはなかったでしょうし、その中でなんとか（高橋）光成に勝ちをと思っていた。勝ちをつけられて良かった。最後は（自己最速の）１５７キロも出て、もう言うことないでしょう」－－打線はオリックス山本から１１安打「（山本は）なかなか点の取れる投手ではないし、得点圏にいってもそこから点を取らしてくれないピッチャー。（打線は）諦めずなんとかつないで、ずっとプレッシャーかけてくれていた。それがあの後半につながったと思うし、本当にナイスバッティングだった」

◆西武のドラフト６位・児玉亮涼内野手（２４）＝大阪ガス＝が試合を決める一打を放った。同点の八回２死満塁。２番手・宇田川の２球目を左前に運んだ。二回の先制の好機で見逃し三振に倒れ「１打席目が悔しい結果だったので『絶対に打つ』という気持ちで打席に入った」。この日も２安打をマークするなど身長１６６センチの新人が、右手小指のけがで離脱中の源田の穴を攻守で埋めている。

◆西武は山本に１１安打を浴びせるなど打線が活発だった。１―２の八回は先頭からの３連打で追い付き、山本を降板に追い込む。代わった宇田川からは、新人の児玉が速球を左前に運び、勝ち越し打を放った。「直球一本で狙っていこうという気持ちで打席に入った」と胸を張った。ワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）日本代表のオリックス両投手に力負けせず、チームはロッテと並んで首位に立った。松井監督は「本当に粘り強く、つないでくれた」と満足げだった。（京セラ）

◆必勝態勢だったが...。オリックスが終盤に試合をひっくり返され、４連勝を逃した。山本は自己ワーストの１１安打を浴び、八回途中３失点。２点のリードを守りきれず、唇をかんだ。「最後のところを粘り切ることができず悔しいです。ただただ、それだけしかありません」序盤から最速１５６キロを計測し、五回から六回にかけては５者連続三振を奪うなど順調だった。四回には杉本がリーグ単独トップとなる２試合連発の６号２ランで先制に成功。ラオウに一発が飛び出せば２０２２年７月２９日のロッテ戦（ＺＯＺＯマリン）からチームは８連勝中。誰もが勝利を確信したが、１点リードの八回に３連打で同点とされ、なおも１死二塁で代わった宇田川が勝ち越しを許した。「（調子は）良くはなかった」と山本。１４日はロッテ・佐々木朗と、この日は西武・高橋と、エース同士の投手戦に競り負けて自身２連敗となった。エースに土がつき、杉本の不敗神話も崩壊。ここで立て直し、首位戦線に食らいついていく。（北池良輔）

◆自慢の長髪をなびかせ、エース対決を制した。西武・高橋光成投手（２６）が５安打２失点完投で３勝目。３季ぶりの完投を無四球で飾り、チームをロッテと並ぶ首位に導いた。「やっぱり気持ちが入った。何とか９回を投げ切れてよかった」球界を代表する山本との対決。四回に杉本に先制２ランを浴びたが「うまく切り替えられた」と六回以降は一人の走者も許さなかった。九回２死。昨季まで女房役だった森を迎えると、この日１２５球目で自己最速を１キロ更新する１５７キロを計測し、見逃し三振を奪った。オフは球速アップを課題に、無駄な動きを省くコンパクトなフォームへの改造に励んだ。土台となる肉体も鍛え、昨季までベンチプレスで挙げられる重量は９７キロ前後だったが、今年１月の自主練習で１００キロを挙げるまでになった。「最高。最後に自己最速が出たのもよかった」とうなずいた。昨年の契約更改でポスティングシステムを利用しての将来的な米大リーグ挑戦を直訴。今季４試合で３勝０敗、防御率０・８４と圧倒的な数字を残している。チームは昨年９月１日以来、２３３日ぶりに首位に浮上した。就任後初の首位に松井監督は「選手が一試合一試合、頑張っている成果。（高橋は）素晴らしかった。もうその一言」と絶賛。チームの優勝、そして自身の夢実現に向け、エース右腕はさらなる高みを目指す。（石井孝尚）