阪神(☆2対1★)広島 =リーグ戦3回戦(2023.04.18)・阪神甲子園球場=
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広島
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阪神
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勝利投手:西 勇輝(1勝1敗0S)
敗戦投手:栗林 良吏(0勝2敗5S)
  DAZN
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◆阪神が投手戦を制した。阪神は1点を先制された直後の9回裏、2死満塁から中野の2点適時打が飛び出し、サヨナラ勝利を収めた。投げては、先発・西勇が9回4安打1失点の快投で今季初勝利。敗れた広島は、先発・九里が力投を見せるも、守護神・栗林が誤算だった。

◆阪神井上広大外野手(21)、及川雅貴投手(22)が出場選手登録された。この日の試合前練習から1軍に合流していた。16日に湯浅京己投手(23)、前日17日にはドラフト1位森下翔太外野手(22)が出場選手登録を抹消されていた。井上はウエスタン・リーグで4本塁打をマーク。得点力不足が課題のチームの起爆剤となれるか。及川は同リーグで3試合に登板し8回2/3を投げ無失点と結果を残してきた。貴重な左腕として救援陣に加わる。

◆阪神及川雅貴投手(22)が、22歳の誕生日を迎えた18日、今季初めて出場選手登録された。試合前練習を終え、取材に対応。「自分の中ではずっといい状態を保てていて、ここまでこれている。よかったなという気持ちです」と心境を明かした。2軍では先発調整を続けていたが、中継ぎとしてブルペンで待機する。「両方、自分もいけるように心の準備もしていたので」。2年目の21年は39試合に登板し10ホールドとブレーク。昨年は故障の影響もあり、わずか1試合の登板にとどまった。「その悔しい思いを持って、1月から練習してきた」と覚悟は固い。湯浅京己投手(23)が右前腕の張りなどコンディション不良で2軍再調整となり、チャンスがめぐってきた。同じタイミングで1軍昇格した井上広大外野手(21)とともに「朗希世代」の若武者が虎にエネルギーを与える。

◆阪神のスタメンが発表された。1番から5番までは16日のDeNA戦から変わらず。6番には島田が入り、この日1軍に昇格した井上はベンチスタートとなった。

◆声優の逢坂良太(36)がファーストピッチセレモニーを行った。人気アニメ『ダイヤのA act 2』とモバイルゲーム『実況パワフルプロ野球』のコラボレーションの一環として、主人公左腕の沢村栄純を担当している逢坂が「青道」のユニホームを着て登場。106キロのノーバウンド投球を披露した。「さっき控室で予想していたのが105キロだったので、1キロ早くなりましたね(笑い)。でも、ちょっと悪かったので、60点ぐらい」と笑顔で振り返った。21年10月の「ダイヤのA act2デー」として開催された試合でも始球式を務めており、甲子園での投球は3度目。「1人で投げるのは初めてなので、全高校球児が憧れるあのマウンドで恐れ多い部分はありますけど、楽しもうと全力で投げさせてもらいました」と感無量の様子だった。逢坂は大人気バレーボールマンガ「ハイキュー!!」の赤葦京治や、「鬼滅の刃」遊郭編で妓夫太郎を担当した経歴を持つ大人気声優だ。

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が折れたバットをよけながら無事に送球した。5回1死の場面で、デビッドソンがバットを折りながら三遊間へ打球を転がした。この時、折れたバットのヘッド部分が佐藤輝の足元付近まで飛んだ。観客もざわついたが、華麗によけながら送球。若干送球はそれたが、一塁大山が捕球し、タッチアウトにした。

◆阪神中野拓夢内野手(26)がプロ初の逆転サヨナラ打を放ち、2日ぶりにDeNAと並ぶ首位に再浮上させた。1点を追う9回2死満塁でカウント2-2。あと1死、あと1球で岡田監督にとって第1次政権の07年8月7日以来、5733日ぶりにBクラスに転落した一戦で、守護神栗林から起死回生の一撃を左中間に運んだ。WBCの優勝トロフィー展示が甲子園歴史館で始まった日に、虎の日本代表が侍魂を発揮した。完投した西勇輝投手は初勝利となった。阪神の逆転サヨナラ勝ちは大山の2点本塁打で4-3とひっくり返した21年9月4日巨人戦以来。西勇は完投勝利をマークした。西勇のように味方の逆転サヨナラ勝ちで完投勝ちしたのは、08年9月15日オリックス戦のダルビッシュ(日本ハム)以来15年ぶり。阪神では88年9月11日巨人戦で仲田幸が1失点完投、9回裏に代打田尾の逆転サヨナラ3ランで勝って以来35年ぶりとなった。○...木浪が逆転サヨナラ勝ちにつながる二塁打を放った。1点を追う9回1死一塁。広島栗林の初球直球をとらえ、右翼線に運んだ。「西さんがずっと頑張ってくれて、(直前の)梅野さんも(右前打で)出てくれて、つなごうという気持ちだけですね。この勝ちはでかいなと思います」。3回にも左前打をマーク。今季4度目のマルチ安打で打率4割4分と絶好調だ。阪神は今季2度目のサヨナラ勝ち。前回は4月1日DeNA戦(京セラドーム大阪)で、5-5の延長12回に近本の中前打だった。甲子園では今季初のサヨナラ勝ち。中野は自身初のサヨナラ打。今季甲子園4試合目で、チーム初適時打でもあった。これまでは犠飛か内野ゴロの間の得点のみだった。今季初適時打がサヨナラ打となった。今季甲子園で初の複数得点。過去3戦はいずれもヤクルト戦で1●3、1○0、1△1とすべて1得点だった。

◆広島新井貴浩監督(46)は1727日ぶりに降り立った甲子園で凱旋(がいせん)星を逃し、首位から陥落した。0-0で迎えた9回表、4番マクブルームの適時二塁打で待望の先制点をゲット。満を持して送り出した守護神栗林が9回裏2死満塁、2番中野に逆転サヨナラ2点二塁打を浴びた。現役時代の07年オフ、広島から阪神にFA移籍。08年から14年まで計7年間、甲子園を本拠地とし、15年から18年までの4年間は再び敵地として戦った。ユニホーム着用では18年7月26日以来となった甲子園。9回に今季14試合目でチーム初となる犠打成功から1点をもぎ取りながら、痛恨の逆転負けで3位に転落した。それでも指揮官は「栗林もそりゃあ打たれることもある。うちのクローザー。また次も信頼して送り出したい」ときっぱり。一夜明けた19日同戦の勝利に集中する。▽広島マクブルーム(9回2死三塁から先制の左翼線適時二塁打)「西勇投手に初回から抑えられていた。自分も3打席立って結果を出せず、もどかしい状況だった。ゾーンで勝負してくるとは思ったので、どうにか自分が打てる球を打つことだけを心掛けてバットを出した」

◆9回1失点で今季初勝利をつかんだ先発西勇輝投手(32)がお立ち台で中野に感謝した。9回に1点を許すも、その裏に中野拓夢内野手(26)の逆転サヨナラ打で今季初白星となった。試合後には投打のヒーローとしてお立ち台に上がり、西勇は「大好きです」と感謝を口にした。打った中野は「西さんが本当に9回1点で抑えてくれて。黒星をつけるわけにはいかないと思った。なんとか自分がかえすことができて、西さんに白星をつけることができて良かったです」と喜んだ。

◆劇的なサヨナラ勝利の裏に、阪神岡田彰布監督(65)の熱い言葉があった。8回を投げ終えた先発西勇輝投手(32)の球数は114球に達していた。8回裏、ベンチ裏で指揮官は「白黒つけてこい。最後やしいってこい」と西勇の背中を押した。西勇は試合後「僕も分かってますと。体は元気だった。9回、投げさせてもらえることに感謝しながら、マウンドに上がった」とうなずいた。結果的に9回表に1点を失ったものの、その裏にチームは逆転サヨナラ勝利で、今季1勝目を完投で飾った。128球の熱投が勝利を呼び込んだ。○...木浪が逆転サヨナラ勝ちにつながる二塁打を放った。1点を追う9回1死一塁。広島栗林の初球直球をとらえ、右翼線に運んだ。「西さんがずっと頑張ってくれて、(直前の)梅野さんも(右前打で)出てくれて、つなごうという気持ちだけですね。この勝ちはでかいなと思います」。3回にも左前打をマーク。今季4度目のマルチ安打で打率4割4分と絶好調だ。

◆阪神が劇的な逆転サヨナラ勝ちを決め、3日ぶりの単独首位に浮上した。1点ビハインドの9回、2死満塁から中野が左越えの2点適時打を放ち、試合を決めた。先発西勇輝投手(32)は9回1失点、128球の熱投で完投し、今季初勝利を手にした。岡田彰布監督(65)の一問一答は以下の通り。(テレビインタビュー)-劇的な幕切れだったが「ねえ、おーん。なんとか西(勇)にね、きょうはね。前回(4日の)広島でね、あのう1点だったけど追いつかれて、勝ち投手になれなかったんで。まあ、なんとかね、きょうは9回までいけと。まあ、もう1人だったんだけどね」-最後は中野が決めたが、あの対決はどうご覧になったか「いやいや、もうね、あそこ二、三塁か。ねえ、(代打は)原口か渡辺(諒)だったんだけど、原口もあのホームランからあんまり調子よくなかったからね。渡辺にかけたんだけど。まあ近本もね、あの3ボールまで選んで、ああいう形で。まあ、これはもう中野が打ってくれると信じるしかなかったですね」-甲子園では初のサヨナラ勝ち。ファンの声援を感じたか?「甲子園って、きょう4試合目でしょ? 4試合ぐらいで初めてサヨナラ勝ちが出たらエエほうじゃない?(笑い)」-ファンの声援はすさまじいか「ちょっとね、遠征で打てないところがあって、連敗で帰って来たので、ミーティングでも今日は打つ方もハッパをかけたけど、なかなかね。チャンスはつくったけど、最後、1本も出なかったから、あのまま負けるのと、西に負けが付くのとね、西に勝ちが付いて、初戦を取れたというのはめっちゃ大きいんじゃないですかね」-チームにとって勢いが付く勝ち方「そうですね、まあ、ちょっと勢いを付けたいから、やっぱり点を取らないと勢いがつかないんで。こういう勝ち方ばっかりでは勢いが付かないと思うんで、明日からは本当に打つ方がもっともっと奮起しないといけないですね」(ペン囲み)-打つ方にハッパをかけたというのは「いやいや、まあ、ねえ、2カード目やから、これは、今日どっかの新聞にも書いてくれとったけど、前やられたら、今度は向こうもやり返そと思てな、配球とかいろんな面でな、攻め方とかもまた違ってくるし、そういうことを言うたんだ。広島も2カードやったからね、この間の横浜も2カード目でな、全然攻め方も違ってたからな、だからそういうことを言ったんだけど」-西勇はテンポのいい投球で、フィールディングも良かった「ブルペンでは全然悪かったみたいやなあ、だから逆に丁寧に投げたんちゃうかな。今日もうほとんど甘い球なかったやろ、高めなあ。そういう意味では一番最後やけどな。あれフォークの抜けやけど、あそこまで投げたらなあ、もう」-7回で100球を超えていた「いや勝ち負け付けなあかんと思ってたから、点入ったら代えてたよ、そらな、後ろのピッチャーにな。点が入らんから勝ち投手ならんやんか、だからまあ、9回までやったんやけどな。もうあそこが最後やったし、最後なあ、もう1人抑えてくれとったら最高の形やったけどなあ」-シーズン早いうちにローテ投手に勝ちがつくと勢いに乗っていくか「そうよおーん、村上は勝ち投手みたいなもんやったからな、西だけやろついてなかったのなあ、先発でな、そういう意味では今日何とか西に勝ち星つくためにといったらおかしいけど、つくようにな、だからあそこまで投げさせたよ」-バッターもそういうのを感じながら「まあ感じるというか、その前のな、満塁のチャンスで1本出てたらなあ、もうちょっと楽な展開になってたと思うよ、はっきり言うて。まあなかなかな、そういうタイムリーとかもここのところ何試合もでないし、本当に早いうちに吹っ切れてね、タイムリーとかな、出るようになれば先発はちょっと楽に投げられると思うけどな」-苦しい試合は終盤イライラするか「そんなイライラせえへんけど、同点でいってるんやからな(笑い)」-クローザーに黒星「大きいよな。広島もそうやったしな、同点から。後々見たらすごい(大きい)なあ」-中野に積極性が「ちょっと早めに追い込まれるのが多かったから、横浜でもな。きょうはだいぶ振っていっとったけどな」-連敗増えないの大きい「そら大きいやろ、小さいことないやろ。大きいよ」

◆1点ビハインドの9回2死から劇的なサヨナラ勝利で連敗をストップ。DeNAと並び、首位タイに躍り出た。9回1失点で今季初勝利を挙げた西勇輝投手(32)と、守護神栗林から9球粘った末にサヨナラ打を放った中野拓夢内野手(26)が投打のヒーローに選出。お立ち台での主な一問一答は以下の通り。-どんな気持ちか西勇 いや、あのー、8回にピンチがあって、なんとか乗り越えて。まあ監督からベンチ裏で白黒つけてこいと。最後の9回も投げさせて頂いたんですけど、本当にこう自分の中で必ず抑えてやるっていう気持ちが強すぎるとダメだという風にも分かっていたので、冷静に行きたかったんですけど、本当にこの前の試合、その前の試合も7回でちょっと苦しいピッチングをしてたんで。なんとか7、8、9と自分の全力で限界に挑戦して。なんとかこの穴をね、抜け出しかったので。本当なんとか9回まで投げきることができてよかったです。はい-中野の打席はどんな思いで見ていた西勇 そうですね、9回裏は本当に糸原から始まって、皆がこうベンチ裏でいい雰囲気で、いい声で、まあ木浪がつないでくれて。本当にこうみんなで勝ち取る中で、中野があれだけ粘ってサヨナラ打ってくれたこと、感動します-128球。苦しい場面はあったか西勇 んー、疲れというよりは本当にファンの皆さんがあの1点をすごい、『あー』という声が本当に苦しかったんですけど(笑い)僕も同じ気持ちで最後の西川選手まで気持ちを切らさずに野手のみんなが声をかけてくれたおかげで、なんとか最少失点で9回行くことができたのでサヨナラにつながったと思います。ありがとうございます-ダグアウトで岡田監督に白黒付けてこいと送り出された9回マウンド。白星の味は西勇 最高です!-打ってくれた中野選手は西勇 大好きです(笑い)はい。-西の姿は守っていてどう映った中野 いや、もう本当にストライク先行で、いい流れで作ってくれた流れにしっかりと乗って。最後はなんとか気持ちで打つことができました。ありがとうございます-追い込まれてから粘った。どう考えた打席中野 そうですね、正直粘ってたというよりは、自分の中で前にボールが飛ばなかったっていう感覚だったので、あまり良くはなかったんですけど。西さんがもう本当に9回1点で抑えてくれて。西さんに黒星をつけるわけにはいかないと思ったので。なんとか自分が返すことができて、西さんに白星をつけることができて、よかったです-阪神ファンの声援が後押しになった中野 そうですね、その前のチャンスでも凡退してしまったので、本当にそれをやり返すぐらいの気持ちでファンの皆さんが、たくさん温かい応援をしてくれたおかげで打球が抜けたと思います。ありがとうございます。-今日は甲子園にWBC優勝トロフィーも届いた。見たファンも多いはず。縁を感じる中野 そうですね。そういう、トロフィーを飾っていただける日に自分がこうやってサヨナラヒットを打つことができたので、本当に縁を感じます。-明日に向けて一言中野 今日も暖かいご声援ありがとうございます。今日いい流れで勝つことができたので、明日もチーム一丸となって戦いたいと思います。明日も応援よろしくお願いします!西勇 明日も引き続き甲子園になりますので、たくさんの方に来ていただいて、たくさんの応援よろしくお願いします。

◆4連勝を逃した直後、広島新井貴浩監督(46)の表情はさすがに赤く上気していた。1727日ぶりにユニホーム姿で降り立った甲子園で痛恨の逆転サヨナラ負け。守護神栗林で1点リードの9回裏2死満塁から試合をひっくり返され、悔しくないわけがない。それでも敗戦を一身に背負い、「栗林も打たれることもある。うちのクローザー。また次も信頼して送り出したい」。首位陥落、3位転落にも泰然自若を貫いた。懸命に手は尽くした。阪神先発西勇を相手に0-0で迎えた9回表無死一塁、2番野間には今季14試合目で12球団最遅となるチーム初犠打を成功させた。3番秋山が進塁打を決め、2死三塁から4番マクブルームの左翼線適時二塁打で待望の先制点を奪取。「本当にワンチャンスを取るんだという気迫は伝わってきた。(7回無失点の)九里もナイスピッチングだった」。ナインの取り組みに手応えを感じるから、敗戦にも胸を張った。現役時代の07年オフ、広島から阪神にFA移籍。08年から14年まで計7年間、聖地を本拠地とした。カープに戻って最終年を戦った18年7月26日以来となった甲子園ゲームの味はほろ苦かった。縦じま時代は4番、主砲として満身創痍(そうい)の状態でチームを支え抜き、苦悩した期間の方が長かったかもしれない。まさかの結末に「まあ、そうですね...」と多くを語らなかった将。指揮官としても当然、悔しさを糧にはい上がる。【佐井陽介】

◆最後は自分で白黒つけてこい! 阪神先発西勇輝投手(32)が、岡田監督の猛ゲキに応え、完投で今季の1勝目を挙げた。8回まで114球を要し、無失点投球。そんな8回裏の攻撃中、ベンチ裏で指揮官から声をかけられた。「最後やし、いってこい! 白黒つけてこい!」2回裏から4回表まで雨が降った肌寒い甲子園。熱い続投指令が飛んだ。燃えないはずがない。「僕も、分かってます、と。交代したくなかった。体は元気やった。9回を投げさせてもらえることに感謝してマウンドに上がりました」。9回2死からマクブルームに適時打を浴び1点を失ったが、その裏、逆転サヨナラ勝利。9回128球、4安打、6奪三振、1失点の熱投が報われた。「結果的に1点取られて、あの1球はほんとに悔やむ。次は最後まで後悔のない球を投げていきたい」。勝ってもなお反省を忘れない背番号16の気迫ピッチがなければ、劇勝は生まれていない。3試合連続クオリティー・スタート(6回以上自責3以内)をマーク。ただ、前の2試合はいずれも7回を投げ切れなかった。「何とか7、8、9と自分の限界に挑戦して。この穴を抜け出したかった」。しかも、守護神湯浅が右前腕の張りで出場選手登録を抹消される緊急事態。前日17日の甲子園練習で「完投いきたい」と燃えていた右腕が、予告通りの白星をたぐり寄せた。仲間のゲキにも支えられた。9回に失点するとすぐ、「点取り返します」と中野らが声をかけてくれた。お立ち台でサヨナラ打の中野に「大好きです!」と言い、照れ笑い。「あのまま0-1で負けたとしても、尾を引くような感じじゃない。一丸となって勝てた1勝」。8回は自らの好フィールディングで相手犠打を阻止。ワンチームで連敗を2で止め、DeNAと並ぶ首位再浮上に大きく貢献した。背中を押した岡田監督も「西に勝ちが付いて、初戦を取れたというのはめっちゃ大きいんじゃないですかね」と喜んだ。火曜日の男が見せた気迫と気概が、虎の首位戦線を引っ張る。【中野椋】

◆阪神が逆転サヨナラ勝利。DeNAと並んで首位に再浮上した。9回裏、2死満塁で中野拓夢内野手(26)が広島栗林からサヨナラ打を放った。9回完投した先発西勇輝投手(32)は初勝利となった。「いい名前ですね」-。プロ野球選手になってから、中野や中野の家族は、特にそう言われることが多くなった。96年6月28日、山形・天童市で中野家の三男坊として誕生。母節子さんが「3人目の子どもには絶対につけたかったんです。字もかっこいいし、なんか、いいんですよね」と、名前で特にこだわったのが「夢」だった。とにかくかっこいいから選んだ「夢」。そこに、「画数も何もない、ほんとうにたまたまなんです」と、深い理由はなく「拓」がセットになった。節子さんは「何かスポーツのできる子になってほしいな...」と願い、子育てに励んだ。そんな"夢"を込められた拓夢がWBCで世界に羽ばたき、甲子園でヒーローになった。これからもたくさんの人に夢を与え、そして自らの夢を切り拓いていく。【阪神担当=中野椋】

◆阪神中野拓夢内野手(26)がプロ初の逆転サヨナラ打を放ち、3日ぶりにDeNAと並ぶ首位に再浮上させた。1点を追う9回2死満塁でカウント2-2。あと1死、あと1球で岡田監督にとって第1次政権の07年8月7日以来、5733日ぶりにBクラスに転落する一戦で、守護神栗林から起死回生の一撃を左中間に運んだ。WBCの優勝トロフィー展示が甲子園歴史館で始まった日に、虎の日本代表が侍魂を発揮した。悲劇の完封負け寸前、中野が一振りで歓喜に変えた。9回表に均衡を破られ、重苦しい雰囲気で始まったその裏。仲間が2死満塁をつくり、しびれる展開で回してくれた。もう打つだけだ。広島守護神の栗林に3球で追い込まれたが、粘りまくった。4球目のフォークを見極め、4球連続ファウル。満員の大観衆が1球ごとに揺れた。そして9球目。フォークを拾って左翼手の頭を越した。中野 正直、打った瞬間はもう越えるかわからない。『頼む。越えてくれ』っていう気持ちで走ってました。クローザーをみんなでつないでつないで、なんとか打つことができました。開幕2戦目のDeNA戦以来、甲子園では今季初のサヨナラ勝ち。中野自身プロ初のサヨナラ打で、しかも逆転の冠つきという最高の形で決めた。岡田監督にとって、負けていれば第1次政権07年8月7日以来、5733日ぶりのBクラス陥落の危機。指揮官は勝利の瞬間、口を開けて万歳し、満面の笑みで中野と握手を交わした。「中野が打ってくれると信じるしかなかった。横浜ではちょっと早めに追い込まれるのが多かった。今日はだいぶ振っていっとった」とたたえた。「2番」には"教科書"があった。同じWBCの侍ジャパンメンバーで、御利益がありそうな顔として「近藤大明神」の呼び名もあるソフトバンク近藤だ。「お手本にしているといえば、近藤さんの2番の打席。積極的に行くところはいく、ボールを見るところは見ることをベンチから見て、使い分けているとわかった。自分もシーズンで2番を打つ上で積極的にいける部分は粘っていきたいと思った」。WBCは、世界一の「2番」を肌で学んだ貴重な期間でもあった。この日の最終打席は「中野大明神」ばりの一打でチームを救った。「ファウルを打ちながら、いやらしい打席を送れた」と納得顔だ。劇的な勝利でチームは3日ぶりにDeNAと並ぶ首位に浮上。この日はWBCの優勝トロフィーが甲子園歴史館で展示された初日でもあった。「トロフィーを飾っていただける日に、自分がサヨナラヒットを打てたので、本当に縁を感じます。明日以降は投手陣に負担をかけないように頑張っていきたい」。WBCでの財産を生かし、輝きを放ち続ける。【三宅ひとみ】中野は自身初のサヨナラ打。今季甲子園4試合目でチーム初適時打でもあった。これまでは犠飛か内野ゴロの間の得点のみだった。今季初適時打がサヨナラ打となった。

◆阪神近本光司が今季2本目の三塁打で相手にプレッシャーをかけた。7回2死で、左中間を破り、俊足を生かして、悠々と三塁を陥れた。「思うことがあったので、それができてよかった」。9回2死二、三塁の打席では、カウント3-1から申告敬遠で歩いた。劇的なサヨナラ勝ちに「みんなの雰囲気に、流れに乗るだけです」と笑みを見せた。

◆阪神梅野隆太郎が突破口を開いた。1点を追う9回1死で広島栗林のフォークを流し打ち、右前打で出塁。9回に先制を許したが西勇の力投に思うところがあった。「あれだけ頑張ってくれているし、ヒットでこういう最高の形になって、勝利までプレゼントできてよかった。みんなの力で勝ったと思う」。攻守で勝利に貢献し、充実感を漂わせた。

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】阪神タイガース中野拓夢が9回裏2死満塁から逆転サヨナラ打。土壇場での劇的勝利に、岡田彰布監督はじめみんなが歓喜でした!

◆1軍昇格した阪神・井上広大外野手(21)はベンチスタートとなった。今季2軍では打率・258(66打数17安打)、4本塁打、13打点と長打力を発揮してアピールしてきた。試合前のフリー打撃では低いライナー性の打球を打つことを意識しながらバットを振り、50スイングでサク越えは3本。虎党が集う甲子園でのプレーに向けて「本当に1年目から温かいご声援をいただいたなかで野球ができている。結果を出したいという気持ちはあるけど、結果が出る出ないを別にして、全力で、というのを一つ自分の中で決めてやっていけたら」と気を引き締めた。右翼は島田海吏外野手(27)が7試合ぶりのスタメン出場。先発は西勇輝投手(32)が務める。

◆阪神は三回、四回と先制のチャンスを逃した。三回は1死から8番・木浪がチーム初安打となる左前打を放ち、続く西勇が犠打を成功。1番の近本が四球を選び、2死一、二塁と好機を広げた。ここで打席に入った中野はファウルで粘ったが10球目で一ゴロに倒れた。四回はノイジー、大山の連打で無死一、二塁。しかし佐藤輝は二ゴロ。1死一、三塁から島田は浅い中飛に終わり、梅野が四球を選んだが木浪が二ゴロに倒れた。好機で2度凡退が続き、14日のDeNA戦(横浜)の二回に近本が放った適時打を最後に、20イニング適時打なしとなった。

◆阪神が逆転サヨナラ勝ち。1点を追う九回2死満塁で中野拓夢内野手(26)が栗林良吏投手(26)から、9球目を左越えに運ぶ2点打を放って、劇的勝利を収めた。勝ち投手は九回に1点を奪われた西勇輝投手(32)で今季初勝利。昇格した井上広大外野手(21)、及川雅貴投手(22)の出番はなかった。

◆阪神が逆転サヨナラ勝ち。1点を追う九回2死満塁で中野拓夢内野手(26)が栗林良吏投手(26)から左越えに2点打を放って、劇的勝利を収めた。勝ち投手は九回に1点を奪われた西勇輝投手(32)で今季初勝利。昇格した井上広大外野手(21)、及川雅貴投手(22)の出番はなかった。四回無死一、二塁で二ゴロに倒れた佐藤輝明内野手(24)は得点圏14機会で8打数無安打(5四球1犠飛)となった。DeNAと並んで同率首位に浮上した岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(成績=8勝5敗1分、観衆=4万152人)。★テレビインタビュー編ーー劇的な幕切れ「西に今日はね。前回広島(4日のマツダでの一戦)で追いつかれて、勝ち投手になれなかったんで。今日は九回まで行けと。もう一人だったんだけどね」ーー最後は中野「(1死)二、三塁か。(代打は)原口か渡辺だったんだけど、原口も、あのホームラン(2日のDeNA戦)から、あんまり調子よくなかったからね。渡辺にかけたんだけど。中野が打ってくれると信じるしかなかったですね」ーー甲子園では初のサヨナラ勝ち「甲子園って、今日4試合目でしょ? 4試合ぐらいで初めてサヨナラ勝ちが出たらエエ方じゃない?(笑)」ーーファンの声援は「遠征で打てないところがあって、連敗で帰って来たので、ミーティングでも今日は打つ方もハッパをかけたけど、なかなかね。チャンスはつくったけど」★囲み編ーー打つ方にハッパをかけた「前やられたら、今度は向こうもやり返そと思てな、配球とかいろんな面でな、攻め方とかもまた違ってくるし、そういうことを言うたんだ。広島も2カードやったからね、この間の横浜も2カード目でな、全然攻め方も違ってたからな、だからそういうことを言ったんだけど」ーー七回で100球を超えていた(終わってみれば九回128球)「勝ち負け付けなアカンと思ってたから、点入ったら代えてたよ。点が入らんから勝ち投手ならんやんか」ーーローテ投手に勝ちが付くと勢いが出る「そうよ、おーん。村上は勝ち投手みたいなもんやったからな、西だけやろついてなかったのなあ、先発でな」ーーバッターもそういうのを感じながら「感じるというか、その前のな、満塁のチャンスで1本出てたら(四回2死満塁で木浪が二ゴロ)、もうちょっと楽な展開になってたと思うよ、はっきり言うて。タイムリーとかも何試合も出ないし」ーー苦しい試合は終盤イライラするか「そんなイライラせえへんけど、同点で行ってるんやからな(笑い)」ーー相手の守護神に黒星が付いた「大きいよな。(4日の)広島もそうやったしな、同点から。後々見たらすごい(大きい)なあ」ーー中野に積極性が「早めに追い込まれるのが多かったから、今日はだいぶ振って行っとったけどな」ーー連敗を続けないのは大きい「そら大きいやろ、小さいことないやろ。大きいよ」

◆現役時代は阪神、南海で活躍し、引退後は阪神で投手コーチやフロントでも尽力したサンケイスポーツ専属評論家の上田二朗氏(75)は西勇輝投手(32)の投球と続投させた岡田彰布監督(65)の采配を評価すると同時に打線に奮起を促した。西勇を九回まで投げさせた岡田采配に拍手を送りたい。白星が付いたことは大きい。西勇だけでなく、広島・九里の投球も見事。その中で、生命線の制球がさえわたり、球のキレも素晴らしかった西勇。九回無死から菊池にうまく拾われてヒットを許し、わずかだがリズムを乱したのか。マクブルームにツーシームが抜けて高めに入ってタイムリー二塁打を浴びた一球が128球で唯一の失投だった。八回1死一塁からのバント処理で、二封したシーンも特筆もの。フィールディングは自分を救う。本当に良く投げ、よく守った。チーム状況を考えて、「少しでも長いイニングを」と発言していたが、前向きな姿勢、強い気持ちは高く評価したい。湯浅が不在。さらには開幕以来、昨年まで活躍した中継ぎ陣が、今ヒトツ。浜地は2軍落ちし、岩崎も三振が奪えず苦しい登板が続いている。その状況を一番分かっている岡田監督は「この試合だけは継投したくない」と内心では思っていたはず。最高にうれしい、西勇の完投だっただろう。打線には苦言を呈しておきたい。最後は逆転サヨナラになったが、八回までは全くつながりを欠いた。四回にノイジー、大山に連打があったが、クリーンアップに期待されるのは長打。ひと振りで試合状況を変える働きを期待しているのに、〝水鉄砲〟は困る。援護のない打撃状態が続くようでは、投手が大変だ。たまったものではない。攻撃陣、特にクリーンアップの奮起を促したい。

◆絶体絶命の窮地を救った!! 阪神は18日、広島に2ー1で今季2度目のサヨナラ勝ち。ことごとく好機を逸して迎えた九回2死満塁、中野拓夢内野手(26)が値千金の逆転2点打を放った。首位攻防戦の初戦を制して連敗を2で止め、DeNAと並んで首位に浮上。でも、19日はもっとスッキリ勝ってや~!!あと1アウトでゲームセットの危機から虎を救い、大きい白星をもたらした。中野がプロ初のサヨナラ打となる逆転2点タイムリーをかっ飛ばし、西勇の熱投に報いた。チームメートも虎党も、劇的な決着にお祭り騒ぎ。ヒーローの執念が連敗を2で止め、チームを首位に押し上げた。「西さんが9回1点で抑えてくれた。西さんに黒星をつけるわけにはいかないと思っていたので、自分が(走者を)返せて、白星をつけることができてよかったです」歓喜のウオーターシャワーを浴びた背番号51はお立ち台で胸を張った。右腕が九回に痛恨の先制点を献上した直後の攻撃だ。0-1の九回1死から梅野の右前打、木浪の右翼線二塁打で二、三塁とし、2死後に近本は申告敬遠。満塁から広島の守護神・栗林の9球目、外角低めのフォークを捉えた。打球が前進守備の左翼の頭を越える。今季、チームにとっての甲子園初タイムリーで、黒に染まりかけていた星の色を変えた。三、七回の得点機はいずれも凡退し、「とても悔しいなかでの最後の打席だった」。1日のDeNA戦(京セラ)以来、今季2度目のサヨナラ勝利。最後の最後でチャンスをものにしたヒーローは「(水を浴びて)気持ちよかった」とちゃめっ気たっぷりに笑った。WBCの優勝トロフィーが甲子園に届いたこの日、米国での経験を聖地で生かした。3月21日のWBC準決勝・メキシコ戦。九回に村上(ヤクルト)が放った逆転サヨナラ打をネクストバッターズサークルで見届けた。「(打席が回ってきても)打つイメージはなかったですね。正直、『頼む、村上決めてくれ!』とネクストに行ったときは思った。でも、決めてヒーローになりたかった気持ちもある。そこは半々」。勝利を願う思いと、勝負師としてのプライドが交錯した大舞台の経験は、ここ一番で生きた。「最後の打席よりWBCの方が緊張してました。自分としてはいい緊張感でいい経験ができたぶん、こういう場面で自分の思った打撃ができました」とうなずいた。試合前の野手ミーティングでハッパを掛けた岡田監督は「配球とかいろんな面でな、攻め方とかもまた違ってくる。この間の横浜も2カード目でな、全然攻め方も違ってたからな。そういうことを言ったんだけど」と明かし、「そら大きいやろ、小さいことないやろ。大きいよ」と劇的な勝利に声を弾ませた。WBCでともに戦った湯浅はこの日から2軍調整。中野は「守護神がいない間に、逆に上がるぐらいで盛り上げていけたら」と誓った。新井カープに先勝し、DeNAと並んで首位浮上。侍の世界一に貢献した男が、岡田阪神をセ界一へと導く。(新里公章)

◆逆転サヨナラ劇の口火を切ったのは梅野だ。0-1の九回1死で栗林から右前打を放った。「(打席で)集中していい結果で、きっかけを作れた。(チームも)苦しい時期が続いているんで、何とかね」。自身も開幕から不振で打率・135、0本塁打、2打点。バットで勝利に貢献できなかっただけに喜びもひとしおだ。「西(勇)さんが好投してくれたから。勝利までプレゼントできて...。本当にみんなの力で勝ったと思う」と興奮気味に話した。

◆近本は九回2死二、三塁で打席へ。今季2度目のサヨナラ打に期待が懸かったが、カウント3-1から申告敬遠でチャンスを広げた。劇的なサヨナラ勝利に「(西勇の好投は)ありがたいです。でも、僕らがやらないと、とは思っていました。みんなの雰囲気に、流れに乗るだけです」と結んだ。

◆もう後がなくなった九回裏。阪神・木浪の迷いのない一振りが虎を、甲子園中を奮い立たせた。初球をたたいて右翼線へ二塁打。地獄から天国に駆け上がるサヨナラ劇の〝助演男優賞〟になった。「西さんがずっと頑張ってくれていて、梅野さんが出て、とにかくつなごうという気持ちで初球からいきました」九回の広島に重い1点を奪われた、その直後の攻撃。一死から梅野が右前打で出塁すると、にわかに反攻のムードが球場を包んだ。その後押しも受け、守護神・栗林の直球に反応した。最高のお膳立て打で、代走を送られお役御免。ベンチでは先発・西勇の隣に陣取り、歓喜の瞬間を迎えた。遊撃の開幕スタメンだった小幡に代わり、8日のヤクルト戦(甲子園)から8試合連続で先発。打率・440(25打数11安打)と好調だ。この日も三回の左前打と合わせて2安打。四回2死満塁の絶好機では二ゴロに倒れたが、最後にチームの勝利に貢献し、西勇の力投に応えられた喜びを語った。「投げている姿が伝わってきたので、点数取りたいな、というのはたぶん野手にも伝わっていたと思う。この勝ちはでかいなと思います」打順は8番でも存在感は特大。欠かせないピースであることを、結果で証明し続けている。(邨田直人)

◆一度はゆがんだ表情が、最後は歓喜の輪の中でキラリと輝いた。指揮官、仲間の言葉に背中を押されて最後までマウンドに君臨した西勇が、4安打1失点完投。逆転サヨナラ劇でその手に届いた今季初白星で、128球の熱投は報われた。「梅野のリード、配球パターンの意思疎通がすごくよかったですし、キーになるボールをうまく使ってくれた」持ち球を満遍なく駆使し、序盤に降った強い雨もいとわず赤ヘル打線と勝負。八回までは回の先頭を出塁させなければ、得点圏にも走者を進めない圧投だった。しかし、援護なく0―0で迎えた九回。先頭・菊池に左前打を浴び、犠打と二ゴロで2死三塁とされ、4番・マクブルームに追い込みながらも高めに抜けたチェンジアップを、左翼線にはじき返された。白球が芝生を弾んだ瞬間はしゃがみこみ、立ち上がっても天を仰いだ右腕。スタンドの悲鳴も胸に突き刺さる、悔しい一球だった。だが、八回攻撃中にベンチ裏で岡田監督から直々に「(自分で)白黒付けてこい」と託され、心を奮い立たせて向かった九回。点を取られても、内野陣はマウンドで「何とか点を取り返します」と心強い言葉をかけてくれた。最後は西川から三振を奪い、仲間に託した。お立ち台では有言実行のヒーロー・中野に「大好きです!!」と声を弾ませた。岡田監督も「村上は勝ち投手みたいなもんやったからな、西(勇)だけやろ、(勝ちが)ついてなかったのなあ、先発でな。何とか西に勝ち星つくためにと言ったらおかしいけど、つくようにな。だからあそこまで投げさせたよ」と、期待に応えて〝白〟をもぎ取った右腕をねぎらった。西勇は「本当にチーム一丸となって取れた1勝。野手に感謝しながら次の試合にしっかりと臨みたい」と先を見据えた。これでオリックス時代のプロ3年目から13年連続勝利。32歳のチーム最年長も、これで〝快幕〟だ。(須藤佳裕)

◆あのまま0-1で負けていたら-。こういう試合を勝てないのが阪神なんや...と去年までなら、妙に納得していた。でも、岡田監督になって、去年までなら負けていた試合を、なぜか勝っている。村上が完全試合ペースなのに交代した12日の巨人戦もそう。非情の交代直後に同点弾を浴びる。最悪の展開。ところが終わってみれば勝っていた。不思議の勝ちがいっぱいあるチームに生まれ変わったのか。いや、「不思議」で片づけたら、岡田監督に失礼だ。1年前の4月18日。阪神は、やっと、やっと、シーズン2勝目をマークした。チーム成績は2勝15敗1分。プロ野球史に残るどん底をはいまわっていた。昨年、広島に初勝利を挙げたのは、驚くなかれ7月6日だった。それが、カープにもう2勝目だ。そう考えたら、すごく強いチームに思えてきたぞ。試合前の練習を、バックネット裏最前列で本紙専属評論家・上田二朗氏と並んで見学。平田ヘッドコーチがわざわざあいさつにやってきた。「勝ったときだけ、画面に大きく映るなぁ」タテジマの大先輩でもある上田氏のイジリに苦笑いの平田ヘッド。

◆先発・西勇の気迫のマウンドに、ズタボロ打線が見殺しのゼロ行進を続ける...。孤独のマウンドで放った124球目、非情にもマクブルームの打球はレフト線に弾み、土壇場で1点を許してしまう...。与えてはいけない1点を与えたのに、全国の虎党の胸の中は「西よう放った!!」「阪神は負けてもあんたは勝ちや!!」と西勇のその立ち向かう姿に感動さえ覚えていたのだ!!そして、迎えた九回の攻撃。その全国の虎党の気持ちが猛虎打線に牙をむかせたのだ!! 9球粘って鯉の守護神・栗林から逆転サヨナラ打を放った中野はもちろん、その場面を作った梅野、木浪、近本ありがとう!!こよいは男がしびれる(女もか)『猛虎感動甲子園サヨナラ劇場』に祝杯の美酒と歓喜の涙で溺れそうやんか~グスン!! これをきっかけに湿った打線とも別れ酒や!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(1↑)
DeNA
850 0.615
(↑0.032)
-
(↓0.5)
13048
(+2)
39
(-)
11
(-)
3
(-)
0.266
(↓0.005)
2.850
(↑0.24)
1
(1↑)
阪神
851 0.615
(↑0.032)
0
(↓0.5)
12939
(+2)
41
(+1)
5
(-)
11
(+1)
0.223
(↑0.001
2.790
(↑0.13)
3
(1↑)
ヤクルト
861 0.571
(↑0.033)
0.5
(↓0.5)
12837
(+2)
30
(-)
8
(-)
15
(-)
0.182
(↓0.003)
1.900
(↑0.14)
3
(2↓)
広島
860 0.571
(↓0.044)
0.5
(↑0.5)
12943
(+1)
37
(+2)
11
(-)
4
(-)
0.229
(↓0.007)
2.470
(↑0.03)
5
(-)
中日
590 0.357
(↓0.028)
3.5
(↓0.5)
12936
(-)
47
(+2)
3
(-)
4
(-)
0.252
(↓0.002)
3.050
(↑0.14)
6
(-)
巨人
5110 0.313
(↓0.02)
4.5
(↓0.5)
12746
(-)
55
(+2)
13
(-)
1
(-)
0.228
(↓0.004)
3.200
(↑0.08)