巨人(★1対2☆)阪神 =リーグ戦2回戦(2023.04.12)・東京ドーム=
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阪神
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巨人
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勝利投手:岩崎 優(1勝0敗0S)
(セーブ:湯浅 京己(0勝0敗4S))
敗戦投手:田中 豊樹(0勝1敗0S)

本塁打
【阪神】ノイジー(1号・4回表ソロ)
【巨人】岡本 和真(1号・8回裏ソロ)

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◆阪神は4回表、ノイジーのソロで先制する。その後は同点を許すも、延長10回に近本が適時打を放ち、勝ち越しに成功した。投げては、先発・村上が7回を無安打無失点に抑える快投。3番手・岩崎が今季初勝利を挙げた。敗れた巨人は、10回に一打同点の好機をつくるも、あと1本が出なかった。

◆巨人中田翔内野手(33)が、ミットでも汚名返上するべく、早出特守を敢行した。試合前練習で、フリー打撃が始まる約30分前からグラウンドに登場。一塁の位置で、川相総合コーチのノックを受け続けた。前夜は昨季ゴールデングラブ賞の名手が、守備で2失策。2点リードの8回1死三塁で、リーグトップタイとなる4号2ランを放ち打撃で取り返していたが、守備でも名誉挽回する。

◆阪神岩貞祐太投手(31)が出場選手登録された。この日の試合前練習からチームに合流。岡田彰布監督(65)は当初、14日からのDeNA3連戦(横浜)での昇格を示唆していたが、前倒しでの1軍昇格となった。代わって、前日11日の同戦で2本の本塁打を浴び4失点した浜地真澄投手(24)が、出場選手登録を抹消された。浜地はこの日、東京ドームで練習を行った。また、発熱、のどの痛みにより特例2023で7日に出場選手登録を抹消されていた渡辺諒内野手(27)が、試合前練習から1軍に合流した。

◆セ・リーグ5位の巨人が2位の阪神と対戦。先発は巨人はメンデス、阪神が村上頌樹。3年目の村上が、2年ぶりの先発で快投を見せた。立ち上がりからキレのいい直球と変化球を駆使し、巨人打線をほんろう。援護は新外国人シェルドン・ノイジー外野手(28)が4回に放った1号ソロによる1点だけだったが、7回までパーフェクトに抑えた。延長10回、1死三塁の好機をつくり、近本が左前適時打。阪神にとっては6試合ぶりの複数得点で勝ち越し。このリードを守り逃げ切った。

◆両軍のスタメンが発表された。阪神は梅野隆太郎捕手(31)に代わり坂本誠志郎捕手(29)がスタメン。巨人は前日11日と同じ顔ぶれとなった。阪神は村上頌樹投手(24)が2年ぶりの先発でプロ初勝利を狙う。巨人は新外国人ヨアンデル・メンデス投手(28)が、来日初勝利をかけた2度目のマウンド。両軍スターティングメンバーは以下の通り。

◆俳優の芳根京子が7年ぶりに始球式に行った。オレンジのアンダーシャツに白のワイドパンツ、背番号89のユニホーム姿で大きく振りかぶってツーバウンド投球。惜しくもノーバウンドとはならずも声出し番長こと岸田行倫捕手(26)のミットにきれいに収まった。「今ドラマの撮影中なんですけど、スタジオの駐車場でマネジャーさんとキャッチボールしたりとか周りの方に教えていただきながら」と撮影の合間に練習を重ねてきた。この日の午後10時にスタートする日本テレビ系のドラマ「それってパクリじゃないですか?」で主演を演じる。"パク"リにちなんで背番号89を選んだ。「やっぱりドラマに絡めたいなと思いまして。それってパクリじゃないですか、パクを選ばせていただきました」とにっこり笑った。

◆新球種「マイカ」と「メイホ」習得? 巨人大勢投手(23)が球団公式ツイッターで魔球の「マイカ」と「メイホ」を練習する動画がアップされた。同球種はお笑いコンビ「チョコレートプラネット」と東京ドームでコラボレーションした際、チョコプラのYouTube企画「財津チャンネル」に出演した際に即興で生まれた"ネタ球種"。「マイカ」の軌道に問われると大勢は「1回球場を出ます」とユーモアたっぷりに切り返した。「メイホ」についても「1回なくなります。ボールの握りはここ(指ではなく曲げた肘の間)」と真顔でボケまくった。アップされたこの日の動画では、大勢が肘の間にボールを挟んで「メイホ」を練習する様子も。これにコラボしたチョコプラ長田がツイッターで「ヤバい!ついに見れるのか!?」と反応。「#大勢はメイホ」「#大勢はマイカ」と「#大勢はガチ」「#大勢は塩」になぞらえたハッシュタグを添えた。ファンはこれに「ドームだと球場出るの難しそう」「おもろすぎる笑」「大勢さん面白すぎ」とSNSで反応した。【関連記事:写真多数】【巨人】芳根京子が白ワイドパンツ始球式 背番89ユニ「それってパクリじゃないですか?」

◆女優・芳根京子(26)がソフトボール仕込みの?投球姿を披露した。巨人阪神2回戦の始球式に背番号89のユニホーム姿で登場。この日の午後10時から始まる日本テレビ系ドラマ「それってパクリじゃないですか?」で主演とあり「それパク(89)」にちなんだ番号を背負いながら、大きく振りかぶって2バウンドしてミットまで届いた。お人よしで情にもろい知的財産初心者で、新米社員を演じる芳根は、始球式に向け公式インスタグラムで「それパク初回放送が盛り上がるよう精いっぱい頑張ります!!」と、劇中で演じるソフトボール部のユニホーム姿の写真をアップ。投球後は、両手でガッツポーズして元気いっぱいの姿を見せ、「楽しかったです。終わった今の方が緊張しています。ふと緊張に今気付いた感じですね。投げているとき、すっごい楽しかったです。みなさん温かく拍手してくださって、すごく心強かったです」と、自己採点は90点をつけた。

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が11打席ぶりにHランプをともした。「5番三塁」で先発。2回1死、1ボール2ストライクと追い込まれながら、外寄り148キロ直球を力強く引っ張り、ライナーで右前にはじき返した。試合前時点で打率1割3分8厘。4月8日ヤクルト戦の2打席目で右前打を放って以来安打から遠ざかっていたが、久々の快音。さらに2死一塁から今季2盗塁目となる二盗も決めた。

◆阪神シェルドン・ノイジー外野手(28)が来日初アーチを豪快に決めた。両チーム無得点で迎えた4回無死、左腕メンデスの初球、内角低め145キロ直球を寸分の狂いもなくフルスイングした。左翼席上段まで届いた今季1号は先制ソロ。「いいスイングができたね。チームとしてまず先に点を取ることができて良かったよ。このままリードして試合を終えることができるように、この後もチームに貢献したいね」と喜んだ。チームでは2日DeNA戦の原口以来2本目の本塁打となった。

◆今季2度目の「伝統の一戦」をアパホテルの元谷芙美子社長(75)と夫の外志雄氏(79)が生観戦に訪れた。元谷社長はトレードマークの赤い帽子をかぶり、バックネット裏から熱視線を送った。かつてはアパホテル主催のイベントで岡本和と対面し、「ずっと応援しているから。大好き。私の強運をあげる」と話し、アパカレーをプレゼントするなど、交流もあった。

◆プロ1軍初勝利を目指す村上頌樹投手(24)が5回まで無安打無四死球のパーフェクト投球で巨人打線を封じ込めた。入団時から熱望してきた智弁学園の先輩、岡本和との対戦は1打席目で空振り三振、2打席目も二邪飛で抑えこんだ。昨季はウエスタン・リーグで防御率、勝率で2冠獲得も、1軍勝利はいまだなし。待望の1勝へ、まずは勝利投手の権利を得た。

◆「伝統の一戦」が超速で展開されている。連日の試合のテンポの早さにSNSがざわついてる。前日12日は試合時間は2時間45分も5回終了までは1時間15分。この日も巨人メンデス、阪神村上が投手戦を演じ1時間19分だった。ファンは「ピッチクロック使ってるんじゃないかってくらい試合展開が早い大差で勝った次の日の巨人」と困惑。試合は5回終了時点で阪神がノイジーの1号先制ソロで1点をリードしている。巨人打線は初対戦となる3年目左腕の阪神村上に1人の走者も出せない完全投球を許している。

◆巨人ヨアンデル・メンデス投手(28)が突如、マウンドから姿を消した。6回まで3安打1失点と好投していたが、7回先頭の佐藤輝への初球と投じた直後に右足を浮かせて苦悶(くもん)の表情を浮かべた。トレーナーと阿波野投手チーフコーチが慌ててマウンドに駆け寄り、そのままベンチ裏まで引き揚げた。原辰徳監督(64)が2番手として鍵谷を告げ、メンデスは91球で緊急降板となった。一方でアクシデント発生の予兆はあった。直前の6回2死の打席でメンデスは二ゴロに倒れるも全力疾走で一塁を駆け抜けた。その際に少し足を引きずる素振りを見せていた。

◆7回までパーフェクト投球を見せていた阪神先発の村上頌樹投手(24)が、8回の攻撃で代打を送られた。原口文仁内野手(31)が起用され、二直に倒れた。東京ドームには「え~」とどよめきが響き、村上はベンチで笑顔だった。直後の8回には2番手石井大智投手(25)が登板。ただ、先頭岡本和にソロアーチを浴び、試合は同点に。村上のプロ初勝利も同時に消えた。

◆まさかの1発だった。阪神2番手の石井大智投手(25)が、岡本和に同点ソロを浴びた。7回までパーフェクト投球を続けていた先発村上頌樹投手(24)に代打が送られたため、1点リードの8回に登板。その初球、148キロ直球を左翼席に運ばれた。これで同点。パーフェクトリレーが崩されたと同時に、村上のプロ初勝利が消えた。石井はキャンプからの実戦10試合に加え、シーズンも5試合連続無失点と好調だった。今季"16試合目"での初失点となった。

◆巨人岡本和真内野手(26)が今季1号弾で"パーフェクト投球"を阻止した。8回先頭、この回から代わって登板した阪神石井の初球148キロ直球をとらえ、左中間席へ1号同点ソロ弾を運んだ。今季44打席目にして飛び出した一発。前日まで打率3割9分5厘打ちながら、0本塁打0打点という珍現象に終止符を打った。7回まで阪神村上頌樹投手(24)を前にヒットどころか、四死球も失策もなく打者21人を完全に抑えられていた。過去16人達成した完全試合で、巨人が抑えられた試合は1度もない。直前に村上に代打を送られた際には、スタンドは巨人ファンのどよめきと、阪神ファンのため息が入り交じった。7回の守備では、巨人の先発メンデスが1失点に抑えていたものの、先頭に1球投げたところで右足を痛め緊急降板。アクシデントに見舞われた中で、ようやく生まれた1本が、値千金の同点弾となった。

◆巨人岡本和真内野手(26)が1号ソロで智弁学園(奈良)の後輩右腕のプロ初勝利を打ち砕いた。阪神村上が、完全投球のまま7回で降板。代わったばかりの2番手石井の初球148キロ直球を捉え、左中間席に運んだ。チーム初安打となる同点アーチでプロ未勝利だった後輩の勝ち投手の権利も消えた。SNSでは「野球って怖......いや面白」「野球ってホント不思議なスポーツ」「野球って改めておもろい」「完全試合してる投手を代えたら初球ホームランだもん。野球って怖いな」などのツイートが相次いだ。

◆Twitterで「村上可哀想」がトレンド入りした。7回までパーフェクト投球を続けながらも、8回表の攻撃で代打を送られた阪神先発村上頌樹投手(24)に対するもの。直後の8回裏、2番手石井大智投手(25)が巨人岡本和に同点ソロを浴び、完全リレーとともに村上のプロ初勝利が消えた。Twitterでは「これ以上悲しいことないだろ」「追加点の取れない打線が問題」「村上可哀想すぎて泣きそう」など、コメントが相次いだ。

◆7回までパーフェクト投球を見せていた阪神先発の村上頌樹投手(24)が、8回の攻撃で代打を送られた。原口文仁内野手(31)が起用され、二直に倒れた。東京ドームには「え~」とどよめきが響き、村上はベンチで笑顔だった。直後の8回には2番手石井大智投手(25)が登板。ただ、先頭岡本和にソロアーチを浴び、試合は同点に。村上のプロ初勝利も同時に消えた。村上は球団を通じて「試合前から(坂本)誠志郎さんとも『丁寧に投げていこう』と話をしていましたし、うまくリードしてもらいながら自分らしい投球ができたと思います。特に、四球を出さずに投げられたことが一番ですし、テンポ良く投げることができてよかったです」とコメントした。

◆7回までパーフェクト投球を見せていた阪神先発の村上頌樹投手(24)が、8回の攻撃で代打を送られた。原口文仁内野手(31)が起用され、二直に倒れた。直後の8回には2番手石井大智投手(25)が登板。ただ、先頭岡本和にソロアーチを浴び、試合は同点に。村上のプロ初勝利も同時に消えた。完全投球で交代 最近の主な例では昨年4月17日、ロッテ佐々木朗が日本ハムを8回まで無走者に抑え、同10日オリックス戦に続く2試合連続完全試合を目前としたが、井口監督は益田に交代。延長10回0-1で敗れた。日本シリーズでは07年第5戦、中日山井が日本ハムを8回まで無走者に抑え、チームも1-0でリードしていたが、落合監督は9回に守護神岩瀬を投入。継投による完全試合達成で日本一を決めた。

◆巨人の守護神・大勢投手(23)が貫禄の"ガチ投球"を見せた。同点の9回に10日ぶりに登板。1死からノイジーに四球を与え、続く大山の投ゴロを二塁に悪送球。自らのミスで1死一三塁とピンチを広げた。それでも佐藤輝をフォークで空振り三振に斬ると2死満塁から代打島田を155キロ直球で空振り三振。自らのエラーを取り戻す圧巻投球で、豪快に1回転ガッツポーズを見せた。

◆巨人先発ヨアンデル・メンデス投手(28)が無念の緊急降板した。7回先頭の佐藤輝に初球を投げた際、右足を痛めた模様で交代。4回にノイジーに先制ソロを浴びるも、追加点を許さず6回まで1失点に抑える好投を見せていた。6回の打席では代打が送られずに続投も、アクシデントに見舞われ「出来ることを全力でやりました。途中降板という形になりましたが、最低限の役割はできた」と振り返った。

◆巨人高梨雄平投手(30)がボークをとられ、二塁の白井塁審から説明を受ける一幕があった。10回に1点を勝ち越され、なおも2死二塁で、阪神植田へ1ボールから2球目を投じる前、捕手・大城卓のサインを2度見した動きがボークと見なされた。浮かない表情の高梨に対し、二塁から白井塁審が近寄り説明。2死三塁から再開された。

◆阪神が接戦を制し、巨人戦で今季初勝利を挙げた。3年目の村上頌樹投手(24)が、2年ぶりの先発で快投を見せた。立ち上がりからキレのいい直球と変化球を駆使し、巨人打線をほんろう。援護は新外国人シェルドン・ノイジー外野手(28)が4回に放った1号ソロによる1点だけだったが、7回までパーフェクトに抑えた。完全試合の大記録が見えてきた8回、1点リードの展開などを考慮して、岡田監督は思い切って継投を決断。2番手に石井を送った。だが、石井は先頭の岡本和に同点ソロを被弾。継投策がはまらず、村上のプロ初勝利もお預けとなった。それでも延長10回、1死三塁の好機をつくり、近本が左前適時打。阪神にとっては6試合ぶりの複数得点で勝ち越し。このリードを守り逃げ切った。

◆巨人が初対戦の阪神村上に翻弄(ほんろう)された。7回まで1人の走者も出せずパーフェクト投球を許した。投手が石井に交代した8回に岡本和真内野手(26)の1号ソロで一時同点とするも、延長10回に決勝点を許し万事休す。原辰徳監督(64)は村上について「いい投球をされましたね」。今季初打点となる1発で一矢報いたが智弁学園の後輩にもなる村上の前に2打数無安打だった岡本和は「相変わらずコントロールが良かったです。ストレートも特徴があり、丁寧に投げてきた印象です」と振り返った。また今季初アーチについては「負けたら意味がないので、明日勝てるように頑張ります」と悔しさだけを強調した。

◆巨人大久保博元打撃チーフコーチ(56)が、パーフェクト投球で7回降板した阪神村上頌樹を分析した。「想定以上だったのはマッスラ(カット)が曲がり幅が思ったより広かった。そういう成分があるのは分かっていた。またいいところ投げていた。コース、コースに。緩いシュートを見せられてファウルさせられてから真っすぐ軌道。真っすぐとカットでやられた。左右で振られた。左バッターはそこでフォークが入ってくる。でも5回くらいからバテだした」3巡目に入ってもとらえきれず、7回まで打者21人が完全に抑えられたところで、代打を送られ村上が交代した。「できたら代えてくれたらっていうのと両面あった。代えないで欲しいっていうのは、もう捕まえられるっていうのも感じていた。今回は負けました。僕の対策がうまくいけばよかったんですけど、かなわなかったですね」。打ちたかった半分、打てなかった半分。いずれにしても悔しさを残した敗戦となった。

◆阪神岡田彰布監督(65)が、思い切った継投策が裏目に出たが、巨人戦今季初勝利を挙げた。8回だった。7回までパーフェクト投球を見せていた3年目の村上頌樹投手(24)に代わり、2番手石井を告げた。「完全試合」を継続中の投手を交代-。思わぬ交代劇に、観客席からはどよめきが起こった。村上は立ち上がりからキレのいい直球と変化球を駆使。援護はノイジーの1号ソロによる1点だけだったが、巨人打線を寄せ付けなかった。指揮官も「調子はいいのはもうずっと聞いてたんで」と話すが「あんなピッチングするとは本当思わんかった」と想像以上の投球だった。リードがわずか1点という僅差の展開。立ち上がりから飛ばした村上に疲れの色も出ていたこと...。もともと「6回行ってくれれば」という思いだっただけに、指揮官は交代に「悩まなかった」という。7回も巨人の2、3番に左打者が並ぶこともあり、左投手をスタンバイしていたという。「そら完全試合いうのはあったけど、3人で完全試合という方をね、優先したんや(笑)」。結果的に、8回に石井が先頭の岡本和に同点ソロを被弾。継投策ははまらず、村上のプロ初勝利もお預けとなった。それでも延長10回に勝ち越し、その裏のピンチも湯浅が乗り切って勝利した。岡田監督は、延長戦でつかんだチーム一丸での勝利に「大きい大きい。それはもう大きいよ。勝ちは誰になったん? 今日は岩崎か? チームの勝ち星は村上でええやろさ。当然やんそんなん、当たり前やん」と、勝利を呼び込む熱投を見せた3年目右腕をたたえた。

◆阪神石井大智投手(25)は試合後、反省の言葉が口を突いた。「ほんとに申し訳ないことをしてしまった。頌樹(村上)に勝ちをつけられなくて申し訳ない」。ドラフト同期右腕の奮闘に応えられなかった悔しさがにじみ出た。先発村上頌樹投手(24)が7回までパーフェクト投球。その後を継いで、8回から2番手で登板した。ただ、先頭岡本和への初球、左翼への同点ソロを浴びた。ベンチに帰ると村上から「落ち込まないでください。次、僕が迷惑かける番なので」と声をかけられた。その言葉に、どれだけ救われたことか。「頌樹もそう言ってくれたので、切り替えて、明日しっかり抑えられるように準備したい」。リベンジの一戦はすぐにやってくる。

◆阪神村上頌樹投手(24)は充実した表情だった。2年ぶりの先発登板で7回までパーフェクト投球。「ほんとに、7回投げ切れたことがよかったし、目の前のことだけを考えていた。何も意識せず無駄なランナー出さない、四球出さないようにと思っていたのがよかった」と振り返った。村上の試合後の主な一問一答は以下の通り。-余力は「少しはあったけど...、(チームが勝てて)よかったです」-交代はいつ言われた「前のイニングから帰ってから。(7回を)投げ切って、交代と」-その時の気持ちは「なにも、普通に『交代か』って感じでした」-パーフェクト投球だけどやり切った感はあったのか「ほんとに7回投げ切れたことがよかったし、目の前のことだけを考えていました。何も意識せず無駄なランナーを出さない、四球を出さないように、と思っていたのがよかったです」-狙い通りの投球ができたのか「いろいろ誠志郎さんと話し込んでやっていたので、いいようにハマってくれました」-智弁学園の先輩岡本との対戦は「ほんとに巨人の4番ですごい打者。打たれたくない気持ちが強かったです」-次にもつながるか「自信を持って投げれる。よかったです」-石井が打たれてしまったが「ほんとにチームが負けてないのでよかったです。チームが勝てばよかった。ホームランを打たれてから3人で抑えたのは、石井さんがすごい。これから僕が迷惑かけると思うので。どうせ自分が迷惑次かけると思うので、はい」-緊張は「めちゃめちゃありましたし、リリーフやってて1イニング、1イニングって経験があったからこういう形になったと思います」

◆阪神が延長戦で巨人に競り勝ち、今季巨人戦初勝利を挙げた。岡田彰布監督(65)が、7回までパーフェクト投球を見せていた3年目の村上頌樹投手(24)を代え、2番手石井が岡本和に同点ソロ浴びたが、延長10回に近本の勝ち越し打で勝利した。試合後の岡田監督のテレビインタビューは次の通り。-いろんなことがあったが今の心境は「いやいや、まあ勝ったからね、よかったようなものの。頭のなかでずうっとね、完全試合いけたんかなあっていうね。それは残ってますね。ちょっとね、片隅にね」-先発村上は7回パーフェクト「そう、まあ6回も考えたんだけどね、7回ね、打順とかがまわってくるあれで、後ろも投げてなかったんでね。まあ初めてやったんでね、完全試合の、そういう継投っていうのはね。でも、あそこまで投げたらね、ほんと合格点で、あとはまあ、ね。後ろの勝ちパターンのピッチャーでね。みんなで完全試合っていうのも頭をよぎったんでね。まあ、あの(石井の)1球はもったいなかったけどね」-村上のプロ初勝利もかかっていた。球の評価は「もう、キャンプからね、長いイニングいけるねと。去年まではずっと先発やってたんで、ファームのほうで。いろんな話をキャッチャーから聞いても、ストレートがね、数キロ速くなったって、去年よりもね。速くなってるいうのはずっとわかっていたんで。どうだろう。チャンスで、雨とかでね、伊藤将のあれで、チャンス回ってきて。これは当然ね、もう次もそういう形でね、先発やらさないといけないですね、はい」-あとを託した石井投手、あの1発が、というところ「まあ入りね、入り...難しいかわからないけどね。まあ、なんかちょっとブルペンでね、変化球はちょっとうわずってたいうんでね。こういう局面というかね、ゲームの流れ的には、本当1発ね...。この球場もそうだけど、そういうのは注意しないといけないんだけど。次のいい教訓にね。石井もそれは、今年初めて、そういう競ったゲームっていうかね、経験してるんで。次は失敗のないようにしてくれたらいいと思いますね」-打撃の方では、中軸ノイジーに1発が出た「本当に1発だけだもんね。まあでもね、ずっとこういう展開が続いてるけど、どっかでやっぱり吹っ切らないとね、おーん。なかなかね、このままではいかないんで、やっぱりどっかでこう、爆発してほしい気はあるんだけどね。それは明日期待しますよ」-延長に入ってからは、先頭の木浪がフォアボールを追い込まれてから、もぎ取った形「いやいや、もうね、当然1点勝負で、まあ先攻なんでね、もうなんていうか、とにかく先っていうかね、フォアボールでもやっぱりもうヒットと同じなんで、先頭出たのが大きかったですね」-最後近本が決めたが「サードまで行けたんでね、バントも含めて。近本はもうなんかね、なんとかしてくれるとは思ってましたけど」-岡田監督にとっては08年以来の巨人戦勝利「いやいや、それはもう全然気にしてないですね。まあ今年ね、昨日は最初のゲームで、ああいう負け方があったんで、今日はなんとか勝ちたかったんで、まあね、五分になってよかったと思いますね」-明日はカード勝ち越しをかけて先発西純投手ですが、どのようなゲームを期待「(西純は)前回ちょっと悪かったんでね、ちょっと雨の影響もね、あったんですけどね。明日はぜひいいピッチングしてほしいと思いますね」

◆これが野球だ。巨人岡本和真内野手(26)が今季1号アーチで"完全試合"を阻止した。阪神村上が7回に完全投球のまま降板。8回先頭、2打席凡退に封じられた智弁学園(奈良)で2学年後輩の右腕ではなく、2番手石井との対戦だった。その初球、148キロ直球を捉えた。左中間席への1号同点ソロ。44打席目で前日まで打率3割9分5厘も、0本塁打0打点だった珍現象に終止符を打った。走者すら出せなかった中、代わりっぱなを同点アーチで試合を一時振り出しに戻した。後輩のプロ初勝利を1球で打ち砕いたのは何かの縁か。野球の面白さ、怖さ、難しさが詰まっていた。WBCでは米マイアミの球場の雰囲気を全身で味わった。短期決戦で一戦必勝のヒリヒリ感の中、歴代最強といえるチームメートと日々全力でプレーした。巨人では不動の三塁でも、侍ジャパンでは一塁に加え、左翼も守った。世界一メンバーとして凱旋(がいせん)した帰国会見で「野球ってこんなに楽しかったんだなと思いました」としみじみ言った。今季初の感触で笑顔を満開に咲かせて味方ベンチに戻った。ナインは大盛り上がりで流れは巨人ペース...と思われたが、10回に決勝点を奪われた。10回1死一塁、本塁打でサヨナラの場面で岡本和に打順が回ったが、侍ジャパンで同僚だった湯浅に一邪飛に抑えられ、「負けたら意味がないので、明日勝てるように頑張ります」と次の戦いに目を向けた。野球は厳しく、面白くて、難しい。世界の舞台で野球の魅力を再認識した。岡本和にとって「野球とは、ファンと共にあるもの」。だから明日も明後日も、その次も打つ。【小早川宗一郎】

◆阪神がついに「1点地獄」から脱出した。1-1の同点で迎えた10回表、四球と捕逸、犠打で1死三塁の好機をつくると、1番近本光司外野手(28)が勝ち越しの左前適時打。6試合ぶりに2点目を奪った。チームは4日広島戦で5得点して以降、6日同戦は無得点で降雨コールド負け。7日からのヤクルト3連戦、前日11日巨人戦はすべて1得点どまりだった。プロ初勝利を目指した先発村上が7回完全投球のまま降板し、2番手石井が8回に痛恨の同点ソロを献上した一戦。負けられない戦いで値千金の1点をもぎ取った。

◆阪神3年目の村上頌樹投手が、2年ぶりの先発で快投を見せた。立ち上がりからキレのいい直球と変化球を駆使し、巨人打線をほんろう。援護は新外国人シェルドン・ノイジー外野手が4回に放った1号ソロによる1点だけだったが、7回までパーフェクトに抑えた。延長10回、1死三塁の好機をつくり、近本が左前適時打。阪神にとっては6試合ぶりの複数得点で勝ち越し。このリードを守り逃げ切った。阪神は2得点を挙げ、連続1得点以下を5試合で止めた。6試合に伸びていれば、球団では12年以来11年ぶり5度目のワーストタイとなるところだった。阪神は、シーズン最初の巨人3連戦を東京ドームで行ったカードでの連敗を、12で止めた。この条件での勝利は18年の開幕戦、3月30日以来。19、20、22年と3年連続3タテを食らわされていた。岡田監督の巨人戦勝利は、オリックス時代の12年6月2日以来、3966日ぶり。阪神の監督としては、08年8月29日(甲子園)以来、5339日ぶり。東京ドームに限ると、同年8月13日以来5355日ぶりとなった。岡田監督の阪神での勝利数が399勝となり、400勝に王手を掛けた。球団最多は藤本定義514勝。以下400勝以上は(2)吉田義男484勝(3)松木謙治郎460勝。なお岡田監督はオリックス時代には188勝を挙げている。

◆阪神村上頌樹投手(24)は笑っていた。8回表、自身の打席で代打原口がコールされると、ホッとしたように白い歯を見せた。2年ぶりの1軍先発マウンドで7回まで5奪三振でパーフェクト投球。「目の前だけを考えていた。意識せず、無駄なランナーを出さないと思っていた」と、充実感がにじみ出た。7回を投げ終えマウンドを降りると交代を告げられた。84球。余力は「少しあった」。ただ、「ほんとに、7回投げ切れたことがよかった」。智弁学園の先輩岡本和は三振を含む2打席無安打に封じ「絶対に打たれたくない気持ちがあった」と胸を張った。身長175センチ。決して角度があるわけではない。ただ、アマチュア時代から、受けた捕手が「村上の球は伸びが違う」と語る球質を武器に勝負の世界を生きてきた。「あんな低く糸を引くように投げられるのが理想なんですよね」目に焼き付けているのは通算224勝のレジェンド左腕、工藤公康が巨人時代に内海哲也と遠投する姿。「肩の高さから決して垂れない。僕もああいう遠投ができるように」。岡本を仕留めた直球も、垂れることなくホップするように捕手坂本のミットに収まった。岡田監督は「キャッチャーから聞いてもストレートが去年から速くなってるいうのは分かっていた」と直球の威力を評価。「次も先発やらさないといけない」とローテの一角を託すと明言した。プロ1年目は2軍で最多勝、最優秀防御率、勝率1位の投手3冠。昨季は2軍で防御率、勝率の2冠となりながら1軍昇格は1度もなかった男が、チャンスをつかんだ。8回に同点弾を浴びた同期入団の石井にはベンチで「落ち込まないでください。次は僕が迷惑かけると思うので」と声をかけた。プロ3年目の飛躍へ。決して遠くない未来に初勝利が待っていそうだ。【中野椋】▽阪神岡田監督(村上の今後について)「これは当然ね、次も先発やらさないと。当たり前やん、そんなの。あんなピッチングして、使えへんことはないわ」▽阪神安藤1軍投手コーチ(村上について)「(交代は)監督の決断ですし。もうナイスピッチングというだけですよ。ほんとよく投げでくれました。できれば勝たせてやりたかったです」

◆阪神が延長戦で巨人に競り勝ち、今季巨人戦初勝利を挙げた。岡田彰布監督(65)が、7回までパーフェクト投球を見せていた3年目の村上頌樹投手(24)を代え、2番手に起用した石井が岡本和に同点ソロ浴びたが、延長10回に近本の勝ち越し打で勝利した。試合後の岡田監督の一問一答は次の通り。-村上の継投は悩んだか「いや全然悩まんかった(笑)それは悩まんかった。おーん」-空振りが取れなくなっていたから「ちょっとね、6回くらいもちょっと考え...ボール、そらね、初先発でね、最初からローテの谷間っていうかね、そういうチャンスが回ってきたわけだから、当然最初からどんどん飛ばしていくというか、でもまあ、調子がいいというのはずっと聞いてたんで、まあ、あんなピッチングするとは思わんかった、逆にね(笑)。だからね、4回、5回、フォアボールも出してないしなというのはあったけど、7回、先頭(打者)だったんだけど、あそこ左も用意しとったから、おーん、2、3(番)と左が並ぶところでね。とにかくあそこまで投げてくれたらいうのはあった。後ろで、そら完全試合いうのはあったけど、3人で完全試合という方をね、優先したんや(笑い)」-あと村上に勝ち星がついていれば「そうよね。まあでも、これは(村上に)勝ち星というより勝ち星よ、おーん。チームの中では勝ち星ついてるよ」-最後勝ち切ったっていうところは大きい「そうよね、やっぱり大きいよな。ヤクルトの時と同じような展開になってな。結局ね、どっちも点取れんっていうかな。うん」-勝ち切ったのは大きいが打線がもっとというところ「いや、それはもうなあ、もう1週間言うてるで。1週間言うてる」-しっかり断ち切ってくれた湯浅の存在っていうのも大きかった「いやいや、まあ、(10回に)追い越さんかったらな、まだ投げてなかったと思うけど、1点でも追い越して湯浅行くのがあれでな。まあ湯浅は先頭ちょっとヒット出たけど、まあ0点には抑えてくれるっていうかな。そういう信頼はある。湯浅に関してはね」-佐藤輝もヒット1本打ったが「うん、1本だけやろ?」-佐藤輝があそこで、チャンスで打ってれば楽に「あぁ9回か。まーそんなん言うてもしゃあない」-今日は村上の好投が勝利に結びつき、チーム一丸の大きい勝利だったと思うが「いやいや、大きい大きい。それはもう全然大きいよ、勝ちは誰になったん?。今日は岩崎か? チームの勝ち星は村上でええやろさ。当然やん、そんなん当たり前やん」-坂本が村上の良さを引き出してたかなと「うん、もうプルペンからね、もう発揮しとったからね。もうそら梅野にしても坂本にしても、村上が一番調子いいですって言うとった。だから安心して、リードしたんちゃう?」-今後もローテで使える投手のメドがついたのが大きい「そうやなあ。それは使わんとなあ。当たり前やん、そんなの。あんなピッチングして、使えへんことはないわ。明日の西純のほうが心配や。こないだのブルペンでもな、昨日のブルペンでも」-こういう7回まで完全試合は初めて「初めてやわ」-長年やっていても「ないないないない」-どういう感じ「どういう感じもくそも1-0で勝ってるわと思っとった。そんなのお前。そんなん意識してないけど。あと2点ぐらいあったらな。(村上を)行かしたかもわからん。3-0やったら...。たぶんもうな、ここはホームランとかあるから、ヒット打たれるか、1点...」-球数のメドはあった?「6回いってくれたらいいと思ってた。はっきり言うて。おーん。だからもうきょうは村上、富田でいこかなと思ってたからな。7、8回ぐらいまで。佐々木朗希やったら投げさせとったけどな。1-0でもな。投げさすやろ。村上じゃ3-0じゃないと投げさせられへん。そのへんは違うところ」

◆これが野球だ。巨人岡本和真内野手(26)が今季1号アーチで"完全試合"を阻止した。阪神村上が7回に完全投球のまま降板。8回先頭、2打席凡退に封じられた智弁学園(奈良)で2学年後輩の右腕ではなく、2番手石井との対戦だった。その初球、148キロ直球を捉えた。左中間席への1号同点ソロ。44打席目で前日まで打率3割9分5厘も、0本塁打0打点だった珍現象に終止符を打った。走者すら出せなかった中、代わりっぱなを同点アーチで試合を一時振り出しに戻した。後輩のプロ初勝利を1球で打ち砕いたのは何かの縁か。野球の面白さ、怖さ、難しさが詰まっていた。WBCでは米マイアミの球場の雰囲気を全身で味わった。短期決戦で一戦必勝のヒリヒリ感の中、歴代最強といえるチームメートと日々全力でプレーした。巨人では不動の三塁でも、侍ジャパンでは一塁に加え、左翼も守った。世界一メンバーとして凱旋(がいせん)した帰国会見で「野球ってこんなに楽しかったんだなと思いました」としみじみ言った。今季初の感触で笑顔を満開に咲かせて味方ベンチに戻った。ナインは大盛り上がりで流れは巨人ペース...と思われたが、10回に決勝点を奪われた。10回1死一塁、本塁打でサヨナラの場面で岡本和に打順が回ったが、侍ジャパンで同僚だった湯浅に一邪飛に抑えられ、「負けたら意味がないので、明日勝てるように頑張ります」と次の戦いに目を向けた。野球は厳しく、面白くて、難しい。世界の舞台で野球の魅力を再認識した。岡本和にとって「野球とは、ファンと共にあるもの」。だから明日も明後日も、その次も打つ。【小早川宗一郎】■初の延長落とし原監督「2点目がね」今季初の延長戦となる接戦を落とした。阪神先発村上に7回まで完全投球を許した。8回に一時同点とするも延長10回にバッテリーミスも絡み決勝点を奪われた。原監督は「(阪神村上に)いい投球をされましたね。まあ、やっぱりなかなか2点目がね」と指摘。6投手のリレーで2失点だった投手陣は「責められないところはあるけどね」とかばった。巨人大久保打撃チーフコーチ(阪神村上について)「想定外はマッスラの曲がり幅が思ったより広かった。(交代は)代えてくれたらというのもあったし、もう(体力が)落ちているというのもあった」

◆手放しで喜べぬG戦初勝利-。阪神が完全試合ペースから一転し、延長にもつれた接戦を制した。先発村上頌樹投手(24)が7回まで無安打無四球無失点の快投を見せたが、岡田彰布監督(65)は継投を決断。8回に2番手で石井大智投手(25)が、まさかの同点被弾で裏目に出た。阪神監督としては自身15年ぶりの巨人戦勝利にも、指揮官は「完全試合いけたんかなあ」と浮かない表情だった。今季初のG倒を果たしても、岡田監督の表情は晴れなかった。「心境はまあ...、勝ったからね、よかったようなものの、ねえ...。頭の中でずうっとね、完全試合いけたんかなあっていうね。それは残ってますね。ちょっとね、片隅にね」。延長10回の接戦を制したが、大きな決断が裏目に出た。8回の攻撃だ。7回まで完全投球を続けた村上に代打を送った。その瞬間、東京ドーム全体から「ええ~っ!」とどよめきが起こった。完全試合でプロ初勝利を飾った投手は過去にいない。大記録がかかっていたが、継投を選択。その裏に2番手石井が同点被弾で、完全リレーはおろか村上のプロ初勝利も消えた。長い監督生活でも初めての決断だったが迷いはなかったという。「悩まなかった。完全試合での継投は初めて。あと2点くらいあったらな。いかせたかもわからん。(村上は)6回までいってくれたらいいと思っていた。佐々木朗希やったら投げさせとったけどな。1-0でも。でも、村上じゃ3-0じゃないと。そのへんは違うとこやな」と、苦笑まじりに意図を説明した。描いたのは、完全リレーだ。安定感を発揮していた石井を投入し、湯浅で締める。「後ろで完全試合というのはあった。あの1球はもったいなかった。入りは難しい。ブルペンでちょっと変化球がうわずっていたから(直球で)いったみたいだけど。ゲームの流れ的には1発には注意しないと。まあ次のいい教訓にね。石井も今年初めて競った試合を経験してるんでね」。8回先頭の岡本和に打たれ、プランは崩れた。それでも10回に近本が決勝タイムリー。「(記録は岩崎だが)チームでの勝ち星は村上よ。初先発で最初から飛ばしていっていた。まあ、7回1死で(丸、梶谷の)左2人のところで左(投手)も準備していた。何とかあそこまでと」とたたえた。岡田監督にとって、阪神では15年ぶりのG戦勝利となった。阪神監督としては通算400勝に王手。「今日は何とか勝ちたかった。(打線が打てず)ずっとこういう展開が続いているけど、どこかで爆発してほしい。それは明日期待しますよ」。苦い勝利をかみしめ、宿敵に勝ち越す。【石橋隆雄】

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】1点差を競った巨人戦に先発した阪神村上頌樹が7回パーフェクト。8回、代打で交代直後に惜しくも同点。記録に迫った快投と、その表情を再現します。※一部セリフは想像です※

◆「1点地獄」からの脱出だ。阪神近本が試合を決めた。延長10回1死三塁。「うわ、高梨さんかなと思ってました」と自身の打席で変則左腕の高梨が登場。カウント3-2からの6球目、内角寄り144キロ直球をしぶとく左前に運ぶ決勝適時打。「みんながつないだ状況。僕はもうなんとか1点入るようにと考えてました。打った瞬間、どこ行ったんだろうと思って。『ああ、そこにある』と思って。よかったです」。チームは6日広島戦に0-3で敗れてから、5戦連続で1得点以下が続いていた。呪縛を解く2得点目となった。後輩の力投も刺激になった。7回完全投球の先発村上は同じ兵庫・淡路島出身。自身が毎年行う淡路島自主トレに昨年12月には2年ぶりに参加した。中堅の守備位置から投球を見届け「一番僕がびびっている。真っすぐで空振り取れているところが」と驚きを隠さなかった。ヒーローインタビューでも「本当、素晴らしいピッチングをしていた。あいつが投げている時になんとかもっとリードを広げたいなと思っていた」とねぎらった。負ければ、嫌な雰囲気になりかねなかった。選手会長の一振りが、貧打の流れを変える。【波部俊之介】

◆阪神石井が痛恨の1発を浴びた。7回まで完全投球を続けた先発村上の後を受けて、1点リードの8回に登板。先頭岡本和に、まさかの同点弾を浴びた。その後は、3者連続三振で最少失点に抑えたが、キャンプからの実戦10試合を合わせ、"今季16試合目"での初失点となってしまった。「本当に申し訳ないことをしてしまった。でも頌樹も落ち込まないでくださいと言ってくれたので。切り替えて明日しっかり抑えられるように準備します」と語った。

◆阪神ノイジーは両手をバットに吸いつかせたまま、お手本のような「人の字」型のフォロースローを決めた。巨人左翼手の梶谷は1歩も動けず。視線の先は左翼席上段だ。自身10試合目、41打席目での来日初アーチは豪快な先制弾。チームは延長10回の激闘を制し「勝ったことが一番です。全試合勝ちたいので」と静かに安堵(あんど)した。両チーム無得点の4回無死。左腕メンデスの初球、内角低め145キロ直球をフルスイング。チームでは2日DeNA戦の原口以来、ようやく今季2本目の本塁打。助っ人は試合終了直後、早くも次戦以降に目を向けた。「このままいい流れに乗って明日も勝って(カードを)勝ち越して、次のカードにもいい流れを持っていけたらと思っています」。来日1年目は開幕10試合を終え打率3割8厘。大崩れしなさそうな空気が頼もしい。○...阪神佐藤輝が11打席ぶりの安打を放った。「5番三塁」で先発し、2回1死走者なしカウント1-2からの4球目。左腕メンデスの148キロ直球を右翼前に運んだ。8日ヤクルト戦以来となる安打。久しぶりの安打にも岡田監督は「うん、1本だけやろ」とさらなる復調を求めた。その後今季2つ目の盗塁も決めたが、延長10回2死一塁から悪送球でエラーを記録した。

◆腰痛からの復帰を目指す巨人中川皓太投手(29)が5カ月ぶりとなる実戦形式のマウンドに立った。13日、ジャイアンツ球場で、昨年11月以来となるシート打撃に登板。直球、スライダーを交え、打者4人を四球1つの無安打に抑えた。復帰のステップを1つ上がった。「コントロールは(今季実戦形式)初めてにしては、それなりに投げられたかな」とうなずいた。喜多には内角低めに直球を投げ込み、見逃し三振に斬った。増田陸に与えた四球も際どいコースに投げ込んだ結果だった。昨季は腰痛でリハビリに明け暮れ、登板なしだった。慎重に復帰のステップを上がってきた。増田陸からも「スライダーはキレキレでした」と驚かれた。中川は実戦復帰に向けて「体と相談しながら、順調に行けば、試合ももうすぐ入っていけるかなと思う」と見据えた。もちろん無理にペースを上げることはしない。育成契約から再出発を図る左腕は「なるべく早く戻るっていうのは常に持っているが、またけがをしたら意味がないので」と着実に復帰の道を目指していく。

◆阪神・浜地真澄投手(24)が出場選手登録を抹消され、岩貞祐太投手(31)が登録された。浜地は11日の巨人戦で八回に登板し、2被弾を含む4安打4失点。登板3試合連続失点と不振だった右腕に代わって、左肩の違和感から2軍戦で実戦復帰していた岩貞が昇格。当初は14日のDeNA戦(横浜)から1軍合流の見通しだったが、ブルペン立て直しを図るため、この日登録された。

◆両軍のスターティングメンバーが発表。阪神はプロ3年目の村上頌樹投手(24)が今季初先発する。ルーキーイヤーの2021年に2試合に先発した右腕だが、昨季は1軍登板なし。悲願のプロ初勝利に向かって腕を振る。打率・138と不振に苦しむ佐藤輝明内野手(24)はこの日も「5番・三塁」で先発。東京ドームで不振脱却のきっかけをつかみ、同期右腕を打でアシストする。

◆阪神・西純矢投手(21)が、13日の巨人戦先発に向けて試合前にキャッチボールなどで調整した。東京ドームは昨季、5月1日に初登板して7回1失点の好投で白星を挙げた球場ということもあり「ポジティブにいきたい」と力を込めた。今季初登板だった6日の広島戦(マツダ、六回表降雨コールド)では5回6安打3失点で黒星。「打たれた変化球は高かった」と前回の反省を糧に白星を目指して腕を振る。

◆2021年以来、2年ぶりに1軍の先発マウンドに上がった阪神・村上頌樹投手(24)が圧巻の立ち上がりだ。11日に3安打をマークした先頭のオコエを三ゴロに仕留めると、続く丸は147キロ直球で1球で左飛。3番・梶谷は135キロフォークで空振り三振に仕留めた。わずか8球で3者凡退。1軍初勝利へ、順調なスタートを切った。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が二回の第1打席に8日のヤクルト戦(甲子園)以来、3試合&11打席ぶりのヒットを放った。1死で打席に向かうと、カウント1ー2から、メンデスの148キロ直球を振り抜いた。鋭い打球が右前へ。試合前の時点で打率・138と不振に苦しんでいた男は、久々の快音に両手をパンッとたたいて感情をあらわにした。佐藤輝は2死後の坂本の打席で、今季2個目の盗塁をマーク。先制点には結びつかなかったが、勝利に向けて全力プレーをみせた。

◆大阪桐蔭高出身の5年目左腕、巨人・横川凱投手(22)が13日の阪神戦(東京ドーム)に先発する。前回6日のDeNA戦(横浜)では6回1失点と好投したが、打線の援護がなく今季初黒星を喫した。通算7度目の登板でプロ初勝利を狙う22歳は「今まで通り、目の前の試合、打者に対してしっかりと投げていきたい」と意気込んだ。

◆阪神の新助っ人、シェルドン・ノイジー外野手(28)=前アスレチックス3A=が四回に左翼スタンドへ豪快な1号ソロを放った。「良いスイングができたね。チームとしてまず先に点を取ることができて良かったよ。このままリードして試合を終えることができるように、この後もチームに貢献したいね」0-0の四回先頭で迎えた第2打席だった。巨人先発のメンデスが投じた初球。145キロを一閃!打った瞬間、スタンドインと分かる打球は阪神ファンの待つ左翼スタンド上段で弾んだ。チームとしても、2日のDeNA戦(京セラ)で原口が放って以来の2本目の一発。長打力を期待され虎にやってきた助っ人が、試合の均衡を破った。

◆阪神の先発・村上頌樹投手(24)が七回まで一人の走者も許さないパーフェクト投球を続けるも、八回の攻撃で代打を送られ降板した。一回、オコエを三ゴロ、丸を左飛、梶谷を三振とわずか8球で料理すると、テンポよく凡打の山を築いていく。二回は智弁学園高(奈良)の先輩でもある、巨人の4番・岡本和を空振り三振。坂本を空振り三振に斬った。打者2巡目を迎えても快投は続いた。味方の好守にも助けられながら、スコアボードにゼロを並べていく。3巡目に入った七回はオコエ、丸、梶谷をわずか6球で三者凡退に抑えた。完全試合という偉業達成が現実味を帯び東京ドームが異様な空気に包まれる中、迎えた八回。阪神の攻撃。1死から岡田監督は村上の打席で、代打・原口を投入。「ええー」と虎党から声が上がった。それでも村上はプロ初の勝ち投手の権利を持って降板。中継ぎ陣に後を託したが、リリーフの石井が初球を巨人・岡本に左翼席へ運ばれ同点。プロ初勝利は持ち越しとなった。

◆阪神の2番手・石井大智投手(25)が1-0の八回に登板。先頭の岡本和に痛恨の1号ソロを浴びた。初球148キロ直球を痛打されると、打球は左中間スタンドに弾む同点のソロ。直前の攻撃で岡田監督は七回まで完全投球を続けていた先発の村上に代打を送り、中継ぎ陣に後を託したが・・・。指揮官の采配が裏目に出た形となった。

◆巨人・岡本和真内野手(26)が0-1の八回先頭で1号ソロを放った。甘く入った初球の直球を逃さず、左中間席へたたき込んだ。チームは七回まで村上を前に一人の走者も出せず。岡本和は代わったばかりの石井から意地の一発を放った。

◆アクシデントに見舞われた。先発した巨人・メンデス投手(28)が六回まで3安打1失点と粘りの投球を見せたが、七回途中で緊急降板。来日初勝利はまたもお預けとなった。突然の出来事だった。七回のマウンドに上がった左腕だったが、先頭の佐藤輝に初球を投じた直後、右脚を気にするしぐさを見せた。ベンチから阿波野投手チーフコーチやトレーナーが駆け付けたが、そのまま降板。何らかの異変が起きたとみられ、2番手には鍵谷が告げられた。昨季、メキシカンリーグで最優秀投手に輝いたベネズエラ出身の助っ人。この日は最速151キロの直球とスライダーを駆使し、阪神打線を押し込んだ。四回にはノイジーにソロを被弾したが、失点はこの1点のみ。村上との白熱した投手戦を繰り広げていただけに何とか踏ん張りたかった。前回5日のDeNA戦(横浜)では六回途中5安打2失点。試合こそつくったが、チームが敗れ初黒星を喫した。本拠地での初白星に向け「自分にとって東京ドームで勝つことは特別。日本で勝つことがかなうように頑張りたい」と思いを明かしてだけに無念の降板となった。打線も村上の前に七回まで一人の走者も出せない完全投球と封じ込まれ、力投する左腕を援護することができなかった。(樋口航)

◆阪神が延長戦を制した。先発した村上頌樹投手(24)は七回まで一人の走者も許さない完全投球。しかし、八回、村上の打席で岡田監督は代打・原口を投入した。これが裏目となり、2番手・石井が岡本和に痛恨の同点ソロを被弾した。打線は四回にノイジーが先制の1号ソロを放つも、追加点が遠い。九回は1死二、三塁の好機を作るも、佐藤輝が空振り三振に倒れた。それでも、延長十回1死三塁で、近本が勝ち越しの左前打。選手会長が意地の一打で今季初のG倒に導いた。

◆?阪神・村上頌樹投手(24)が7回を投げ、被安打、与四死球0のまま降板した。先発投手が7回以上を投げて走者を一人も出さずに降板したのは、昨年4月17日のロッテ・佐々木朗希(8回、対日本ハム)以来。2007年11月1日の日本シリーズ第5戦では中日・山井大介が八回まで完全投球で降板。九回に岩瀬仁紀が投げて日本シリーズ初となる継投での完全試合を達成した。?阪神で無安打無得点を達成した投手をみると、1992年6月14日の湯舟敏郎(対広島)が八回2死まで、04年10月4日の井川慶(対広島)が八回1死まで完全投球だった。50年3月16日の田宮謙次郎(対国鉄)は九回2死まで完全に抑えたが、その後安打を打たれ無安打無得点試合を逃した例がある。

◆阪神が6試合ぶりの複数得点で競り勝った。延長十回1死三塁、近本光司外野手(28)が左前に決勝打を放った。村上頌樹投手(24)は7回完全の圧巻投球を見せたが、代打を送られ、八回に石井大智投手(25)が岡本和真内野手(26)にソロを浴びて、プロ初勝利を逃した。岡田彰布監督(65)は試合後のテレビインタビューで「勝ったからよかったようなものの、頭の中はずっと完全試合行けたんかなというね、それは残ってますね。片隅にね」とコメント。84球での交代に「六回も考えたんだけど、打順とか考えて、後ろも投げていなかったんで。初めてだったんで完全試合の継投というのはね。あそこまで投げたら合格点で。あとは勝ちパターンのピッチャーで。みんな(継投)で完全というのもよぎったんでね」と話した。

◆巨人の先発、メンデス投手(28)が七回途中で緊急降板した。3安打1失点と力投したが、七回先頭の佐藤輝に初球を投じた直後に右脚の違和感を訴え、マウンドを鍵谷に譲った。右脚がつったとみられ、大事には至らない見込み。初勝利はお預けとなり「途中降板という形になったが、最低限の役割はできた」と振り返った。

◆阪神が6試合ぶりの複数得点で競り勝った。延長十回1死三塁、近本光司外野手(28)が左前に決勝打を放った。村上頌樹投手(24)は7回完全の圧巻投球を見せたが、代打を送られ、八回に石井大智投手(25)が岡本和真内野手(26)にソロを浴びて、プロ初勝利を逃した。一回に11打席ぶりの安打を記録した佐藤輝明内野手(24)は九回1死二、三塁の勝ち越し機に空振り三振。開幕から適時打はなく得点圏は13打席で8打数無安打(4四球1犠飛)。D1位・森下翔太外野手(22)=中大=は3打数無安打で16打席連続ノーヒット。シェルドン・ノイジー外野手(28)は四回、41打席目で来日初本塁打。岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(成績=6勝3敗1分、観衆=3万5474人)。★テレビインタビュー編(一部抜粋)ーーいろんなことがあったゲーム「勝ったからよかったようなものの、頭の中はずっと完全試合行けたんかなというね、それは残ってますね。片隅にね」ーー村上は七回84球「六回も考えたんだけど、打順とか考えて、後ろも投げていなかったんで。初めてだったんで完全試合の継投というのはね。あそこまで投げたら合格点で。あとは勝ちパターンのピッチャーで。みんな(継投)で完全というのもよぎったんでね」★囲み編ーー村上の交代は悩んだか「いや全然悩まんかった(笑)それは悩まんかった。おーん」ーー空振りが取れなくなっていたから「当然最初からどんどん飛ばして行くというか、調子がいいというのは聞いていた。あんなピッチングするとは思わんかった、逆にね(笑)。そら完全試合いうのはあったけど、(投手)3人で完全試合という方をね、優先したんや(笑)」ーー村上に勝ち星がついていれば「チームの中では勝ち星ついてるよ」ーー打線がもっと「もう1週間言うてるで。1週間言うてる」ーー佐藤輝も1本出た「うん、1本だけやろ」ーー佐藤輝がチャンスで打っていれば「九回か。まーそんなん言うてもしゃあない」ーー大きい勝利だったと思うが「大きい大きい。それはもう全然大きいよ、勝ちは誰になったん?。今日は岩﨑か? チームの勝ち星は村上でエエやろ。当然やん、そんなん当たり前やん」ーー坂本もリードもよかった「プルペンから発揮しとったからね。梅野にしても坂本にしても、村上が一番調子いいですって言うとった。だから安心して、リードしたんちゃう?」ーー今後もローテ「それは使わんとなあ。当たり前やん、そんなの。あんなピッチングして、使えへんことはないわ。明日の西純の方が心配や」ーー七回まで完全試合は「初めてやわ」ーー長年やっていて「ないない」ーーどのような感じか「どういう感じもクソも、1-0で勝ってるわと思っとった。そんなのお前。そんなん意識してないけど、お前なあ。あと2点ぐらいあったらな。行かしたかもわからん。3-0やったら...ここはホームランとかあるから」ーー球数のメド「六回行ってくれたらいいと思ってた。はっきり言うて。佐々木朗希やったら投げさせとったけどな。1-0でもな。投げさすやろ。村上じゃ、3-0じゃないと投げさせられない。そのへんは違うところ」

◆巨人は打線が散発2安打と沈黙し、接戦を落とした。阪神先発・村上に七回まで完全投球を許し、得点は八回に2番手・石井から岡本和が放った1号ソロのみ。原監督は「やっぱりなかなか2点目がね。もう少しバッターが奮起しないと。(村上に)いい投球をされました」と脱帽した。大久保打撃チーフコーチは「(村上は)真っスラの曲がり幅が思ったより大きかった。いいところに投げられた。打つ人が打たないとこういうゲーム展開になる」と淡々と振り返った。

◆現役時代は阪神、南海で活躍し、引退後は阪神で投手コーチやフロントでも尽力したサンケイスポーツ専属評論家の上田二朗氏(75)は7回完全の村上頌樹投手(24)から石井大智投手(25)の継投に〝疑問〟を呈した。投手出身者として、ヒット1本打たれるまでは村上を続投させてほしかった。伝統の一戦で、七回までパーフェクト。野球人生で再び、こんな試合展開があるだろうか。そう考えると「もったいない」と思ってしまうのだ。私自身、大学時代(東海大)に完全試合を経験した。プロに入ってからも、九回2死までノーヒットノーランの投球をしたことがある。当時を思い出しながら、ベンチでポーカーフェースを装う村上を一生懸命に応援していた。また投手コーチとして、好投する投手も見てきた。だから、どうしても投手の立場に立ってしまう。村上が七回、球威が落ちてきたというが、試合終盤に球威が落ちるのは当たり前。完投するためには、八、九回は一番きつい。その苦しみを乗り越えて、投手は成長していくものだ。もちろん、岡田監督が全責任を負う監督であり、決断したことは尊重はしたい。結果だけをみて「何で代えた?」は誰でも言える。そういう議論はしたくない。この展開だから、この試合は絶対に負けるわけにはいかない。村上にプロ初勝利を...。岡田監督がチーム全体を考えた末の結論なのだろう。140キロ台の速球を、多彩な変化球で150キロ超に見せる投球ができれば、初勝利の日はすぐに来るだろう。付け加えたいのは石井だ。あの状況は、野球の投手継投の中で一番難しい登板だ。どんな投手でも大変。一発浴びた後を3者三振に仕留めた投球は、最大級に評価したい。

◆巨人・坂本勇人内野手(34)が二回、八回に空振り三振を喫して通算1321三振となり、球団最多を更新した。試合前まで王貞治と並んでいた。プロ野球最多は中村(西武)の1991。

◆選手会長が虎を救った。阪神・近本が延長十回1死三塁の好機で高梨の144キロ直球を左前に運び、決勝打。「ホッとしてます。みんながつないだ状況だったので、なんとか1点入るようにと考えていました」と喜んだ。先発した村上は同じ淡路島出身の後輩で、オフには同島で合同自主トレを行う仲だ。完全投球ペースでG打線を翻弄した後輩に「僕が一番びっくり。真っすぐで空振りを取れるようになった」と目を細めた。次こそ後輩のプロ初勝利をお膳立てしてみせる。

◆もつれにもつれた「伝統の一戦」で、先制パンチを放ったのはノイジーだった。内角直球を捉えた出場10試合目での来日1号で先制に成功。パーフェクト投球を続ける先発・村上を鼓舞し、僅差の一戦で勝利に貢献した。「勝ったことが一番です。とくにその球種を狙っていたというわけではなく、しっかりライナー性の打球、強いボールが打てるボールを狙っていました」いつも冷静な助っ人が、表情を緩めながらベンチ裏の通路で声を弾ませた。四回先頭。巨人先発の左腕、メンデスの初球145キロを捉え、大きな放物線を描いて左翼席上段まで運び去った。「全試合に勝ちたいんでね。この試合だけではなく」と胸を張った。価値ある1打点をマークし、出場10試合で打率・308(39打数12安打)と安定。開幕から日本球界への対応力を発揮し、打撃面の課題にも日々取り組む。貪欲な新外国人がどんどん長打を増やせば、打線はさらに活気づく。チームにとっても原口に続いて今季ようやく2本目となるアーチ。岡田監督も「本当に1発だけだもんね。ずっとこういう展開が続いてるけど、どっかでやっぱり吹っ切らないとね」と打線の〝覚醒〟に期待を込めた。「このいい流れに乗って明日も勝ってこのシリーズ勝ち越して、次のシリーズにしっかりいい流れを持っていけたら」待望の虎1号が飛び出したノイジー。強烈な一撃をガンガン打っていく。(新里公章)

◆勝ててよかった~。阪神は12日、巨人に2-1で勝利。岡田彰布監督(65)は2季ぶりに先発して走者を1人も出さない完全投球を続けていた村上を7回で降板させる鬼采配をふるうも、2番手の石井が同点弾を浴びて裏目に。それでも延長十回の近本の決勝打でなんとかG倒。勝ったけど心臓に悪いわ...。「代打・原口」のアナウンスに東京ドームの左翼席に陣取った虎党は「えーっ」と叫んだ。1-0の八回1死。今季初先発でプロ初勝利を目指す村上は七回まで完全投球で、あと6人をアウトにすれば球団史上初となる完全試合達成だった。〝鬼采配〟をふるった岡田監督が苦笑いで振り返った。「勝ったからよかったようなものの、ねえ。頭の中で、ずうっと完全試合いけたんかなって。それは残ってますね。(頭の)片隅にね」負けていれば、笑いごとで済まされなかった。村上の歴史的快挙の可能性を自らの判断で止め、試合を落とせば「采配ミス」と不名誉なレッテルを貼られたところだった。「佐々木朗希(ロッテ)やったら投げさせとったけどな、1-0でもな。村上じゃ、3-0じゃないと投げさせられない。3人(の継投)で完全試合という方を優先したんや」実際に、この構想はいきなり崩壊した。〝完全リレー〟を託された2番手の石井が八回、先頭の岡本和に初球を左中間席に運ばれて同点アーチを被弾。スタンドからはもちろんブーイング。岡田監督もベンチで苦笑いを浮かべるしかなかった。

◆湯浅が〝アクシデント〟にも動じず、最後を締めた。2-1の延長十回に登板すると、2死一塁で中田翔を三ゴロに打ち取り、試合終了...と思ったら、これを佐藤輝がまさかの悪送球。2死一、二塁とピンチを背負ったが、坂本を落ち着いて三ゴロに仕留めた。リーグトップタイの4セーブ目。守護神として「展開を見ながら、自分のやるべきことをできるように、しっかり準備をしてます」と頼もしさを増している。

◆あわや完全試合を許すところだった。延長十回で競り負けた巨人は、初対戦だった村上に歯が立たず、七回まで一人の走者も出せなかった。原辰徳監督(64)は「いい投球をされましたね」と唇をかんだ。意地の一打を放ったのは、八回先頭の岡本和だった。投手が石井に代わるアナウンスが流れ、伝統の一戦を見守った大観衆がざわめく中、甘く入った初球の直球を左中間席へ。今季11試合目で待望の1号ソロを放ち、初打点を挙げた。岡本和にとって、村上は奈良・智弁学園高の2学年後輩。打者の手元で動く速球で翻弄した右腕を「相変わらずコントロールが良かった。ストレートも特長があり、丁寧に投げてきた」と評した。決勝点には四球と捕逸が絡んだ。それでも、指揮官はバッテリーを責めなかった。「なかなか2点目がね。もう少しバッターが奮起しないと」と2安打の打線に苦言を呈した。(鈴木智紘)

◆東京ドームに漂う緊張感も声援も力に変え、熱投した。2年ぶりに先発した大卒3年目の阪神・村上頌樹投手(24)が7回を投げて完全投球。プロ初白星こそつかなかったが、スコアボードに刻んだゼロの数がすべてを物語っていた。「なんも意識せず、無駄なランナーを出さないようにしようと思っていたのがいい結果につながったかなと思います。とにかく7回を投げ切れたことがよかった」直球は140キロ台後半ながら、カットボールやフォークを有効に使い、完全投球を続けた。5奪三振、内野ゴロ8、フライアウト8。奈良・智弁学園高の先輩、岡本和も空振り三振、二邪飛に打ち取り、待ち望んでいた対決にも完勝した。84球で七回を投げ終えたところで交代が告げられたが、「普通に交代か、という感じだった」と完全試合達成への心残りはなかった。2番手で登板した石井が岡本和に同点ソロを浴びて初白星は幻となったものの、「これから絶対に助けてもらうと思うので、そこは何も思わなかったです」ときっぱり。「なんとか勝ってよかった」とチームの勝利を喜んだ。2021年に東洋大からドラフト5位で入団。1年目から2軍では2年連続で投手部門の複数タイトルを獲得するなど結果を残したが、昨季まで1軍登板はわずか2試合で、いずれも序盤にKOされていた。そんな現状を打破すべく、今年1月には2年連続で最多勝に輝いた青柳との合同自主トレに参加。そこで同じドラフト5位入団から虎のエースに駆け上がった先輩から授かった金言が飛躍のきっかけになった。「バッターが立ったら力が入るし、どれだけ力まずに投げられるかが大事」-。脱力して投げるために左足のつき方の意識を変えたことで下半身に体重が乗るようになり、球速もアップ。この試合でも力強い直球が光り「自主トレからやってきた形がちゃんと結果に出た」と手応えをにじませた。

◆石井は1-0の八回に2番手で登板も、先頭の岡本和に初球を左中間スタンドに運ばれた。〝2023年初失点〟は同期入団・村上の勝ち星を消す形となり、「本当に申し訳ないことをしてしまった」と陳謝。ただ、「頌樹(村上)も『落ち込まないでください』と言ってくれたので次に切り替えて、あした、しっかり抑えられるように準備したいと思います」と前を向いた。

◆佐藤輝は二回の第1打席で右前打を放ち、11打席ぶりのヒットをマークした。「よかったです」。ただ、九回1死二、三塁の好機では空振り三振。勝ち越して迎えた延長十回2死一塁の守備でも平凡な三ゴロを一塁へふわりと投げて悪送球にするなど精彩を欠いた。これで得点圏は今季13打席無安打。「それ(好機での一本)は毎日(打ちたいと)思っています」と口数少なく球場を後にした。

◆阪神タイガース、そして野球はサイコーや!!「岡田! 何しとんねん、何でパーフェクトの村上を交代させるんや!!」「アホか! 実績のない村上の交代はチームが勝つために当たり前やろー!!」こーいう熱い議論が交わされるのが野球♪ るんるんなのよ~!! 七回までパーフェクトの村上は『新・村神様』とあがめて次の登板が楽しみやー!!しかし、村上、西純、才木と若虎の先発陣には夢があふれとるでェ!! 西純は鋼のように強いボールをほうり、才木はムチのように伸びる球を投げ、そして村上は軽いテンポから球種を操る。いうなれば『妖精投球』なのだ!!に、しても打てん...。その代表が佐藤輝なのだ!! だけど、俺は佐藤輝を決して見捨てない、その代わり罵声も止めない!! それは、佐藤輝のバットが火を吹かなかったら、1985年以来の日本一はまずないと思っているから!! 完全試合より、その先にある夢を猛虎ナインは手にしてくれよ!!

◆村上の交代を見て、野球ファンなら思い出しただろう。2007年の日本シリーズ。八回まで完全試合だった山井を、落合監督が交代させた。九回は岩瀬が締めて、中日が日本一に。でも、大記録目前の交代に、賛否両論がしばらく鳴りやまなかった。あの日、この「虎のソナタ」も山井の交代で意見が飛び交うことに。「虎」の話題は吹き飛んだ。筆者の主張はよく覚えている。「交代させるのは、監督の勝手。ただ、史上初めての日本シリーズでの完全試合を見たかった。それだけ」あれから16年。昨夜の試合に思うことは同じ。「岡田監督の采配に文句をつける気なんて毛頭ない。ただ、阪神タイガース史上初めての完全試合を見たかった。それだけ」そうなんですよね。伝統ある阪神ですが、完全試合を達成した投手はゼロ。村山実も、小山正明も、江夏豊も、小林繁も、幾多の名投手が在籍したけれど、誰一人、「完全男」にはなっていない。そう思うと、単純に「続投させていたら、どうなっていたんだろうなぁ」と思うのだ。まあ、勝負事にタラレバは許されない。まあ、このタラレバを一番感じているのは岡田監督かもしれない。続投やろ! 交代で正解! 交錯する思いは、1面から3面までの記事で満喫していただくとして、虎ソナはサトテルを心配している。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
731 0.700
(↓0.078)
-
(-)
13226
(+1)
17
(+6)
8
(-)
13
(-)
0.175
(↓0.002)
1.440
(↓0.45)
2
(-)
阪神
631 0.667
(↑0.042)
0.5
(↓1)
13329
(+2)
29
(+1)
2
(+1)
9
(+4)
0.222
(↓0.012)
2.640
(↑0.21)
3
(1↑)
DeNA
550 0.500
(↑0.056)
2
(↑1)
13336
(+6)
35
(+1)
10
(+2)
2
(+1)
0.268
(↑0.014)
3.310
(↑0.26)
3
(-)
広島
550 0.500
(↓0.056)
2
(-)
13329
(+2)
26
(+5)
7
(-)
3
(-)
0.221
(↓0.01)
2.520
(↓0.33)
5
(-)
巨人
470 0.364
(↓0.036)
3.5
(-)
13232
(+1)
31
(+2)
10
(+1)
1
(-)
0.232
(↓0.017)
2.370
(↑0.17)
6
(-)
中日
370 0.300
(↑0.078)
4
(↑1)
13318
(+5)
32
(+2)
3
(+2)
1
(-)
0.228
(↑0.009)
3.140
(↑0.13)