阪神(★1対3☆)ヤクルト =リーグ戦1回戦(2023.04.07)・阪神甲子園球場=
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ヤクルト
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阪神
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勝利投手:石山 泰稚(2勝0敗0S)
(セーブ:田口 麗斗(0勝0敗4S))
敗戦投手:浜地 真澄(1勝1敗0S)

本塁打
【ヤクルト】オスナ(3号・7回表ソロ),山田 哲人(2号・8回表2ラン)

  DAZN
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◆ヤクルトが逆転勝利。ヤクルトは1点を追う7回表、オスナのソロで試合を振り出しに戻す。続く8回には山田が2ランを放ち、勝ち越しに成功した。投げては、先発・小川が6回1失点の好投。2番手・石山が今季2勝目を挙げた。敗れた阪神は、打線が3安打1得点と振るわなかった。

◆阪神の青柳晃洋がヤクルト戦今季初登板。ヤクルト戦は20年まで4勝5敗、防御率3・28も、青柳がタイトルホルダーとなった21年以降は7勝2敗、防御率2・55と成績が良化。21、22年リーグ連覇のヤクルトから7勝は小笠原(中日)の5勝を抑えて最も多い。青柳にとって好相性のヤクルトだが、4番村上には注意。両者の通算対戦成績は46打数19安打、7本塁打、16打点、被打率4割1分3厘。本塁打、打点は対戦打者別ワーストで、50打席以上対戦している打者の中では最も被打率が悪い。

◆どうなる甲子園開幕戦-。阪神は前夜、広島との2回戦が6回表途中で降雨コールドゲームとなり、開幕からの連勝は4でストップした。この日は首位ヤクルトと本拠地開幕戦。午後6時プレーボールだが、同1時30分現在、雨が降り続いている。阪神の予告先発は「雨柳さん」の愛称で知られる青柳晃洋投手(29)。グラウンドの内野黒土ゾーンには全面シートが敷かれており、阪神園芸の職人技にも注目が集まる。

◆阪神がヤクルトとの1回戦を行う甲子園は、雨が降る中、予定通り午後4時に開門した。内野黒土部分には全面シートが敷かれており、阪神園芸も待機中。今季の甲子園開幕戦、阪神の先発は「雨柳さん」こと青柳晃洋投手(29)となっている。

◆阪神園芸のスタッフが、午後4時36分に甲子園内野黒土部分に敷かれていたシートの撤去を開始した。この日、断続的に降っていた雨はおさまりつつあり、絶妙なタイミングで阪神園芸が動きだした。この日は甲子園のレギュラーシーズン開幕戦。予定通り同4時に開門されていた。

◆雨が心配された甲子園で予定通り試合が始まった。阪神園芸のスタッフは、午後4時36分に甲子園内野黒土部分に敷かれていたシートの撤去を開始。この日、断続的に降っていた雨はおさまりつつあり、絶妙なタイミングで阪神園芸が動き出した。その後、試合前に再び雨が強くなった。ただ、グラウンドに水たまりができることなく、無事に試合が始まった。阪神先発は「雨柳さん」こと青柳晃洋投手(29)となっている。この日は甲子園のレギュラーシーズン開幕戦。予定通り同4時に開門されていた。阪神園芸の主な動きなどは以下の通り。午後4時36分 シート撤去開始。午後4時55分 シート撤去完了、水たまりはなく、右打者席の三塁ベンチ側後方付近に少し水が浮いていた程度。シートの水はグラウンド脇の溝に丁寧に注がれた。午後4時55分 グラウンドキーパーによる整備がスタート。午後5時25分 ラインが引かれ始める。午後5時30分 再び雨が降り始める。午後5時32分 選手たちがグラウンドへ。午後5時36分 雨が強くなりマウンドにシートが敷かれる。午後5時40分 アップをしていた選手たちは雨が強くなったためキャッチボールを中断。午後5時43分 公式チア「タイガースガールズ」が外野芝生へ登場。午後5時49分 マウンドのシートが撤去される。

◆女子野球チーム「阪神タイガースWomen」の森若菜投手(24)が、甲子園開幕戦で始球式を務めた。164センチから投げ込む最速129キロの直球が武器の右腕。外角高めへストライクを投げ込み、「緊張はしたけど、そこで弱い気持ちになったらストライクにならない。代表として投げさせてもらってるので、思い切りという気持ちでいきました」と振り返った。実は、周囲からは「雨女」と言われるという。この日の阪神先発は「雨柳さん」こと青柳晃洋投手(29)。雨女と雨柳さんとの組み合わせに「(今日は)豪雨かなと思っています」と苦笑い。ただ、雨中での投球でもしっかりと投げ切ってみせた。同じ投手の青柳については「普通のピッチャーとは違う投げ方で、どんどん打ち取れるところが魅力的なので、尊敬しています」とうなずいた。タイガースWomenは結成3年目。今季から阪神OBの上本博紀氏(36)が監督に就任した。目標を問われると「全国制覇はそうなんですけど、新体制ということで、下の子たちがやりやすいような雰囲気をつくっていきたい」と見据えた。

◆阪神新助っ人のシェルドン・ノイジー外野手(28)が、初回にヒヤヒヤのキャッチを見せた。「3番左翼」で出場。初回2死一塁、ヤクルト村上の打球が左翼に高々と舞い上がった。強い雨の影響で、打球を一瞬見失うジェスチャー。それでも、飛び込む形でなんとか捕球し、3アウトチェンジに持ち込んだ。球場はどよめきと拍手が起こった。

◆雨により試合が一時中断した。初回の阪神の攻撃。2死一塁で佐藤輝明内野手(24)の打席、1ボールの時点で雨が強まり、午後6時23分から中断となった。阪神園芸が素早くマウンド、ホームにシートを敷いた。その後、同6時36分にシートが撤去された。雨が弱まったと見るや、阪神園芸のスタッフが素早く土を入れ、同39分にヤクルトナインが守備に就き始めた。約20分の中断の後、試合が再開した。阪神は初回の攻撃で中野拓夢内野手(26)の犠飛で先制に成功している。

◆前阪神監督の矢野燿大氏(54)が今季のチームに期待した。試合開始から終了まで放送するサンテレビの「サンテレビボックス席」に解説者として出演。監督最終年となった昨季は開幕9連敗と苦しみ「なかなかうまく導けなかった」と振り返った。今季のチームについては「ノイジー、森下は安定感がある。ノイジーは1年間やれるんじゃないか。湯浅も最初からストッパー。形は出来ている状態にこれているのは楽しみ」と語った。

◆試合が雨により、初回2死一塁で一時中断した。Twitterでは「阪神園芸」と阪神先発青柳の愛称である「雨柳さん」がダブルでトレンド入り。「今日はもう阪神園芸が諦めても誰も文句言わんやろ」「頑張れ阪神園芸」「阪神園芸対雨、開幕戦」「雨柳さんパワー出すぎ」「さすが雨柳さん」など、ツイートが相次いだ。

◆試合開始から終了まで放送する生中継「サンテレビボックス席」でアクシデントがあった。雨が降る甲子園を映し出した中継は時間通りに開始。ところが、グラウンドを映し出す映像は、なぜかバックネット裏から。いつものセンターカメラからではなく珍しいアングルでの放送となった。アナウンサーは「カメラの不具合」と説明。1回裏にはセンターカメラに切り替わった。この日の中継は前阪神監督の矢野燿大氏(54)らが解説者を務めた。

◆阪神ドラフト1位森下翔太外野手(22)のバットがスタンドまで飛ぶアクシデントが起きた。4回2死一塁の第2打席。ヤクルト小川の内野直球を強振するも、バットは真っ二つに折れた。ヘッド部分が観客が多く観戦する三塁側ベンチ後方に飛び込み、球場もどよめいた。詰まった打球は三ゴロとなり、攻守交代となった。

◆阪神大山悠輔内野手(28)にヒヤリとするシーンがあった。5回表の守備。ヤクルト・サンタナの遊撃へのゴロを小幡がファンブル。すぐさま一塁へ転送すると、大山は足を目いっぱい伸ばして捕球した。この時、一塁に全力疾走で駆け込んだサンタナの左足が、大山が一塁ベースにつけていた右足の足首付近と接触。結果的に"蹴り"を入れられるような形になった。大山はしばらくうずくまり、サンタナも派手に転倒。阪神の一塁ベンチからトレーナーが飛び出したが、大山はプレーを続行した。判定はセーフ。岡田監督がリクエストを要求したが覆らなかった。これで阪神は開幕から4回連続でリクエストに失敗した。大山はその後、気合の一打を放った。同点に追いつかれた直後の7回裏先頭。ヤクルト2番手石山から中前打を放った。アクシデントをものともしない"ど根性打"。攻守に4番が奮闘した。試合後には「また明日あるので頑張ります」と、短いコメントに力を込めた。

◆阪神浜地真澄投手(24)が、ヤクルト山田哲人内野手(30)に痛恨の勝ち越し2ランを被弾した。1-1の8回から登板。先頭の丸山は変化球で右飛に仕留めた。だが宮本にストレートの四球を与え、続く3番山田に甘く入った149キロの直球をバックスクリーンへ放り込まれた。阪神は7回に先発青柳がオスナにバックスクリーン左への一時同点ソロを浴びたばかり。勝ちパターンの投手が投入したが、終盤に重い2点を献上した。登板2試合連続失点に「自分の実力不足です」と唇をかんだ。【試合詳細】甲子園開幕戦!阪神青柳晃洋-ヤクルト小川泰弘

◆甲子園開幕戦に今季12球団最多の4万2465人の観衆が入った。雨による約20分の中断もあったが、満員のファンが、今季から解禁された声出し応援を満喫した。

◆阪神が今季初の連敗を喫した。甲子園開幕ゲーム。4万2465人の観客が見守る中、ヤクルトとの首位攻防戦は投手戦になった。ロースコアの中、虎が2本のアーチに泣いた。雨が降り続ける中、滑りだしは順調だった。初回、1番近本光司外野手(28)が三塁打で出塁。続く2番中野拓夢内野手(26)の犠飛で素早く先制に成功した。その後、降雨により約20分の中断もあったが、先発青柳晃洋投手(29)は粘りの投球でスコアボードのゼロを並べ続けた。しかし7回、先頭のヤクルト・オスナに左中間へのソロアーチを浴び、同点に追いつかれる。青柳は7回112球、5安打1失点の熱投も連勝ならず。8回から継投に入った。8回のマウンドに立った浜地真澄投手(24)も痛い1発を浴びた。2番宮本に四球を与えると、1死一塁から3番山田に中堅左への2ランを許した。開幕から勝ちパターンの一角を任される右腕は2試合連続で失点。マウンドでがっくりとうなだれた。岡田彰布監督(65)は「なんか決めにいく時、高いやろ、ボールなあ。投げた瞬間に高いもんなあ。まあ、ちょっとこれは考えなあかんなあ、今のままじゃ、ちょっとしんどいかも分からん」と指摘。「後ろは決まらへんよ。そんなんな。カチッと決まらへんよ。まだそんな状態やんか。ずっと見とっても、後ろは良くないよな。ホント良くない」と勝ちパターンの投手陣に頭を悩ませた。打線は3安打で1得点。指揮官は「だから、広島のところからみんながピタッと止まってしもたもんな。、みんな(バットの)先っぽばっかりやもんな。芯で捉えとったらアレやけど、みんな先やもんな」と嘆いた。阪神はレギュラーシーズンの甲子園初戦は18年から5連勝中だったが、記録が途切れた。岡田監督の甲子園初戦は、悔しい黒星スタートとなった。

◆阪神がヤクルトと対戦。先発は阪神が青柳晃洋、ヤクルトは小川泰弘。阪神は初回に1、2番コンビで幸先よく先制。試合は雨が激しくなり20分ほど中断する。再開後は両チーム安打が出ず膠着するが、ヤクルトが7回にオスナ、8回に山田から本塁打が飛び出し、ヤクルトがそのまま逃げ切った。阪神青柳は7回4安打1失点の好投実らず。

◆エースが粘り、キャプテンが報いた。同点の8回1死一塁。ヤクルト山田が一振りで大歓声の甲子園を静まらせた。1ボールから、この回から代わった阪神浜地の149キロ直球をバックスクリーンに突き刺した。決勝の2号2ランに「変化球も全然あり得るカウント。真っすぐをセンター方向にイメージしながら、変化球が来たら対応できるように『1、2、3』ではなくコンパクトに行った」と戦略通りだった。球団初の開幕5連勝の後、前日6日の中日戦(バンテリンドーム)で今季初黒星。試合前ミーティングで「負けることもある。でもそれを続けないことが大事」とチーム全体で共通認識を持った。この勝利は先発小川の踏ん張り抜きには語れない。初回先頭の近本を右飛に打ち取った当たりを、右翼サンタナが照明と雨の影響でボールを見失う(記録は三塁打)。続く中野に中犠飛を打たれ先制点を許したが、被安打は6回までこの1本のみ。首位攻防戦を制し山田は「接戦をモノにでき価値あるゲーム。良いスタートダッシュができた」と、開幕から6勝1敗のチーム状態に納得の表情だった。【三須一紀】

◆阪神が甲子園開幕戦を白星で飾ることが出来なかった。先発青柳が7回1失点と踏ん張ったが、得点は初回に挙げた中野の犠飛による1点だけだった。8回に2番手浜地が山田に勝ち越し2ランを浴びた。岡田彰布監督(65)は「ずっと見とってもうしろ(中継ぎ)は良くないよな」と振り返った。試合後の一問一答は以下の通り-青柳はいい投球をしていただけに、あの1球が悔やまれる「おーう。あの回なあ。初球なあ。そうなにゃけどなあ。まあ、あとのことを考えたら、なあ。1点勝っててもどうかなあ、というのがアレやもんなあ」-打線も初回のあと、追加点を奪いたかったところだが「いやいや、だから、広島のところからみんながピタッと止まってしもたもんな」-雨で練習が難しい部分がある。「それは関係ないやろ、雨は」-相手ピッチャーにやられた「あれよかったんちゃう、小川な。初戦も0点で抑えとったしな。オープン戦で当たってたけど、オープン戦以上に良かったよな。コントロールがええな」-佐藤輝は惜しい当たりがあった。「いや、惜しいって、みんな先っぽばっかりやもんな。しんでとらえとったらアレやけど、みんな先やもんな」-練習中も佐藤輝を見ていたが、ちょっとタイミングが。「今日はあんまりええことなかったで(笑)」-2番手浜地は「もうだからこないだもそうやったけど、なんかきめに行く時、高いやろ、ボールなあ。投げた瞬間に高いもんなあ。まあちょっとこれは考えなあかんなあ、今のままじゃちょっとしんどいかも分からん。まあなあ、去年あれだけ頑張ったこらなあ、そういう形でなあ、開幕からつこてたけど、ずーっと悪いもんなあ。まあ、これ、2日空いたからなあ、ちょっとはなあ、切り替えてやるかなあと思たけど、初戦もなあ」-やり返す場面だった「前回もなあ、同点にされてるいうのもあるけどなあ、おーん」-あのへんの投手起用は「そうやな。だからうしろは決まらへんよ。そんなんな。カチッと決まらへんよ。まだそんな状態やんか。ずっと見とってもうしろは良くないよな。ホント良くない」-守備では小幡がエラー「エラーぐらい出るよ。お前。山田のトンネルよりマシやろ(笑い)。そんなん、何を言ってるの」-甲子園開幕戦で打線は見どころがなかった「ちょっとな。打つ方がなあ。広島の時はチャンスは作ったけど、1本出なかったけど、今日はほんとチャンスもな、そんな作れんかったしな」-ヤクルトの印象は「いやいや、ピッチャーいいよなあ。開幕からずっとなあ、スコアラーとかのあれも見てたけど。0点台やろ。先発もな、後ろは去年からそろってたけど、先発もいいよなあ」-警戒すべき相手「そらそうや。だって2年続けて優勝してるチームやん。今度も、まだ始まったばかりできょうが初対決やったけど、ちょっとな、打つ方が頑張らんとな」

◆阪神青柳晃洋投手(29)はまたも雨にぬれながら7回1失点と粘投したが、08年安藤優也以来となる阪神日本人開幕投手の2戦2勝を逃した。23年甲子園開幕戦となったヤクルト戦。観客席には黄色のポンチョが散見された。もちろんマウンドの状態も良くない。それでも「雨柳さん」の愛称を持つ「雨男」は難なくゲームを作った。6回まで2安打無失点。だが1点リードの7回、先頭オスナに122キロスライダーを捉えられ、バックスクリーン左に同点ソロを運ばれた。この回限りで降板し「任せてもらったイニングをゼロで帰ってこれなかったことが悔しい」と唇をかんだ。とはいえ、そのマウンドさばきには風格すら漂っていた。すでにプロ通算で先発予定だった12試合が雨天中止となっている。予告先発を導入した12年以降では球団最多記録の持ち主。この日も試合前から断続的に雨が降り続き、1回の攻撃途中には約20分間の中断もあった。その後、阪神園芸による整備も効いて試合再開。イレギュラーな展開にも動じなかったのはさすがだ。初回からノイジーの好捕などにも助けられ「難しいところはあったけど、守備が良かったので助けられた」とバックをたたえた。3月31日の開幕DeNA戦は6回途中2安打1失点で今季初勝利。この日も今季甲子園初の「ピッチャー青柳」アナウンスに聖地全体が沸いた。今や押しも押されもせぬエースとなった男は21、22年の2年間でヤクルト相手に7勝2敗、防御率2・55。23年も「ヤクルトキラー」として王者を苦しめる。【波部俊之介】

◆阪神は開幕から4回連続でリクエストに失敗した。5回表、サンタナの遊撃へのゴロを小幡がファンブル。すぐさま一塁へ送球するも間一髪でセーフとなった。岡田監督がリクエストを要求するも判定は覆らず、小幡に失策がついた。それでも指揮官は「エラーぐらい出るよ、おまえ。山田のトンネルよりマシやろ。そんなん、何を言ってるの」と若武者への変わらぬ信頼を口にした。

◆阪神が首位ヤクルトに屈し、今季初の連敗で甲子園6年ぶりの黒星スタートとなった。1-1の8回に浜地真澄投手(24)が3番山田に痛恨の2ランを被弾。打線も2試合連続で3安打と振るわず、開幕序盤の勢いは完全にストップした。岡田彰布監督(65)のタテジマでは08年9月29日広島戦以来15年ぶりの甲子園白星はお預けとなった。2点を追う9回2死一、二塁、1発出れば逆転サヨナラの場面。森下がハーフスイングで空振り三振に倒れると、甲子園は「ああ~」と大きなため息に包まれた。19年以来4年ぶりの声出し解禁により、今季12球団最多の4万2465人の大歓声がこだました聖地開幕戦。首位ヤクルトに屈し、17年以来6年ぶりの甲子園黒星スタートとなった。勝ちパターンの浜地が誤算だった。1-1の8回、1死一塁で打席には侍戦士の山田。1ボールからど真ん中直球をバックスクリーンにたたき込まれた。浜地はうつむきながら右拳で右ももを殴り、悔しさをあらわにした。2試合連続失点の右腕に指揮官は「決めに行く時にボールが高い。ちょっと考えなあかんなあ。今のままじゃちょっとしんどいかも分からん。ずーっと悪いもんなあ」と苦言を連発し、配置転換や2軍降格の可能性も示唆。「後ろ(中継ぎ)はカチッと決まらへんよ」と頭を抱えた。打線もチーム防御率で12球団最少の0・73を誇る強力ヤクルト投手陣の前に沈黙した。2試合連続3安打の打線に「広島(戦)のところからみんながピタッと止まってしもたもんな」と嘆き節。ヤクルト投手陣には「ピッチャーいいよなあ。開幕からずっとなあ。今日はチャンスもそんな作れんかったし」と脱帽した。5番佐藤輝の調子が上がってこない。若き大砲は3試合連続の15打席連続無安打で、得点圏では5打数0安打と苦戦が続いている。指揮官は「みんな先っぽばっかりやもんな」と指摘。試合前のフリー打撃では佐藤輝に熱視線を送ったが「今日はあんまええことなかったで」と苦笑いだった。指揮官のタテジマに限れば、第1次政権の08年9月29日広島戦以来、5303日ぶりの甲子園白星を飾ることはできなかった。王者はやはり難敵だ。今季もヤクルトを警戒するかと問われると「そらそうや。2年続けて優勝してるチームやん。打つ方が頑張らんとな」とハッパをかけた。満員の甲子園の大声援からも力を借りて、悪い流れを断ち切りたい。【古財稜明】

◆阪神の新外国人ビーズリーが来日初登板で1回1安打無失点だった。2点を追う9回に登板。2死一塁から川端の左安打で一、三塁のピンチを招いたが、最後は丸山和を空振り三振に仕留めた。最速は153キロだった。右膝の張りで出遅れたが2日に1軍昇格。半袖姿で甲子園のマウンドに上がった右腕は「すばらしい経験だった。今後はチームの勝利に貢献できる投球をしたい」と次回登板を見据えた。

◆阪神の新助っ人ノイジーが初回にヒヤヒヤのキャッチで沸かせた。「3番左翼」で出場。初回2死一塁、ヤクルト村上の打球が左翼に高々と舞い上がった。強い雨の影響で、打球を一瞬見失うジェスチャー。それでも、飛び込む形で捕球し、3アウトチェンジに持ち込んだ。「雨と空の色の関係で見えなかった。失点を防げたのでよかった」と胸をなで下ろした。

◆甲子園の今季開幕戦となる7日のヤクルト戦に先発する阪神・青柳は、鳴り物などが解禁された応援を力に変える。「ホームというのはファンの方が一番多く入る。そこで勝つのが一番いい結果。(開幕戦の)京セラでも感じましたけど、僕が入った当初のプロ野球が帰ってきたなという感じがする」。昨季は村上に対し、打率・333、1本塁打。「持てるものすべてを使わなきゃいけない」。燕の主砲を封じ、2連勝を狙う。

◆阪神は6日に開幕からの連勝が「4」で止まり、3日ぶりの勝利を目指す中で甲子園での初戦を迎える。午前中から降り続いていた雨は午後4時30分ごろにおさまり、試合は予定通り行われる見込み。先発は開幕戦で白星をつかんだ青柳晃洋投手(29)。野手は6試合連続同じオーダーで試合に臨む。

◆阪神の新助っ人、シェルドン・ノイジー外野手(28)=前アスレチックス3A=が虎党もびっくりのスーパープレーだ。「3番・左翼」で出場した助っ人は一回2死一塁の守備で魅せる。ヤクルトの4番・村上の打球は高々と舞い上がり、左翼へ。降りしきる雨の影響か、即座に両手を広げて、ボールを見失ったジェスチャーをした助っ人。それでも、落下寸前に体を投げ出し、見事、白球をグラブにおさめた。驚異の反射神経に甲子園の虎党は大盛り上がり。先発の青柳を、好プレーで助け、無失点で切り抜けた。直後の一回、阪神の攻撃では、先頭・近本の打球を、右翼手・サンタナが見失い、三塁打に。続く中野がきっちり犠飛を放ち、先制と、雨の甲子園で明暗が分かれる結果となった。

◆阪神タイガースWomenの森若菜投手(24)が試合前の始球式に登場した。日本の女子野球最速ともいわれる最速129㌔の本格派右腕。セットポジションからの投球は外角高めいっぱいに決まるストライクとなり「代表として投げさせてもらっている以上思い切りいくという意識で投げました」と胸を張った。スタンドを観客が埋めるなかでの投球に「女子野球はお客さんを入れて試合をすることが少ない。誰にでもできない、いい経験ができた」と笑顔をみせた。

◆阪神ーヤクルトの1回戦は降雨のため、一回、阪神攻撃中の午後6時23分に一時中断となった。試合は阪神が一回に中野の先制犠飛で1ー0とリードしている。

◆降雨により午後6時23分に試合は一時中断。阪神園芸によるグラウンド整備が行われ、午後6時43分に再開された。試合は一回、阪神の攻撃中。阪神が中野の先制犠飛で1-0とリードしている。

◆阪神・中野拓夢内野手(26)が一回に先制の中犠飛を放った。「近本さんがチャンスを作ってくれたので『まずは先制点を!』と思っていました。最低限ですが外野まで運ぶことができてよかったです」一回先頭の近本が右翼へ高々と飛球を舞い上げると、ヤクルト・サンタナがボールを見失い、結果的に三塁打に。続く中野がカウント3ー1から、小川の142キロをきっちりと中堅に運んだ。

◆阪神先発の青柳晃洋投手(29)が1―0の四回に初めて得点圏に走者を背負ったが、併殺に仕留めてピンチを脱した。先頭の宮本に四球。山田は中飛に打ち取ったが、4番・村上に対しては四球で1死一、二塁とした。それでもオスナをツーシームで遊ゴロ併殺に料理して危機を脱すると、グラブをポンポンと叩いて喜びを表現した。この試合はチームにとって甲子園での〝開幕戦〟。重要な一戦のマウンドを託された右腕はヤクルト・小川と投手戦を繰り広げた。

◆阪神のドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=が、ヒヤリとするシーンだ。四回2死一塁で迎えた第2打席だった。カウント2ー2から小川の142キロ直球を強振すると、バットが真っ二つ。折れたバットの片側が、そのまま三塁側スタンドへ飛んでいった(結果は三ゴロ)。場内は騒然とするも、ファンは折れたバットを両手で掲げ、大事には至らなかったようだ。

◆阪神・大山悠輔内野手(28)が一塁の守備で交錯し、右足を痛める場面があったが、プレーを続行した。五回1死でサンタナの平凡なゴロを遊撃手の小幡がファンブル。急いで一塁に送球し、大山が捕球。しかし、打者走者のサンタナの足が、ベースを踏んでいた大山の右足にひっかかり、両者が転倒した。大山は右足を痛める素振りを見せ、トレーナーと平田ヘッドが駆け寄ったが、ベンチには下がらず、そのままグラウンドに残った。打者走者のサンタナはセーフ判定となり、阪神ベンチはリクエストを要求も判定は覆らず。遊撃の失策としてプレーが再開された。

◆8日のヤクルト戦に先発する阪神・大竹耕太郎投手(27)はダッシュなどで調整した。「長打を打てる打者の前に走者を出さないように。大胆に投げられたら」。昨年12月の現役ドラフトでソフトバンクから加入。5日の広島戦(マツダ)が雨天中止となり、仕切り直し。甲子園での移籍後初登板へ「応援の力をいただいて、いいリズムで投げられればいいかな」と意気込んだ。

◆阪神・青柳晃洋投手(29)が七回に同点弾を浴びた。先頭のオスナに対する初球、甘く入ったスライダーをとらえられてバックスクリーン左へ。今季初被弾となり、試合を振り出しに戻された。青柳は昨季、オスナに対し、6打数3安打で打率5割と苦手にしており、この日も燕の助っ人に手痛い一発を許した。

◆一振りで試合を振り出しに戻した。ヤクルトのホセ・オスナ内野手(30)が、1点を追う七回先頭でバックスクリーン左への3号ソロ。ダイヤモンドを一周すると、喜びを爆発させた。阪神先発・青柳が投じた初球だった。122キロのスライダーを捉え「(四回1死一、二塁の)チャンスで凡退してしまったので取り返したい気持ちと、(先発の)小川が素晴らしいピッチングをしているので点をとってあげたかった」。打線の中核を担う助っ人が、来日3年目も自慢の打棒でチームに貢献している。

◆雨が降っても、不運があっても、崩れることなく堂々とマウンドに立った。ヤクルト・小川泰弘投手(32)が阪神打線を相手に六回まで1安打1失点と試合をつくった。「3連戦初戦ですし、いつも通り強気のピッチングで流れをつくれるようにやっていきたい。(阪神は)新しい戦力も入って、シーズン初対戦なのでしっかりと打者を打ち崩しながら向かっていきたい」前日6日にはそう意気込んでいた小川。敵地・甲子園は試合前から降雨で、開始前後も降ったり止んだりと難しいコンディションだった。午後6時23分からは雨脚が強くなり20分間の中断。それでも「天候には勝てないですし、どういう状況でも自分の力を出せるように準備したい」と口にしていた通り、動じずに淡々と投げた。直球の走りは良く、制球も安定していた。一回は、先頭・近本の飛球を右翼手・サンタナが見失い三塁打に。2番・中野の中犠飛で先制を許した。ただ、最少失点で切り抜けることろがエースの投球。3番・ノイジーに四球を与えたが、大山、佐藤輝を連続三振に抑えた。今季の個人目標に「15勝」を掲げる小川。3月31日の開幕戦(対広島、神宮)では7回無失点と好投して初勝利を挙げた。選手会長として、エースとして、勝利を呼ぶプレーでチームを引っ張る。(赤尾裕希)

◆阪神・青柳晃洋投手(29)は7回112球を投げ、4安打1失点で降板した。悔やまれるのは1―0の七回だ。先頭のオスナに初球の甘く入ったスライダーをバックスクリーン左へとはじき返されて同点被弾。六回までは得点圏に走者を置きながらも無失点で粘っていたが、球数が100球を超えた七回に失点。今季2勝目をつかむことはできなかった。2番手として1―1の七回に登板した浜地真澄投手(24)は1死一塁で山田にバックスクリーンへ2ランを浴びて勝ち越しを許した。

◆ヤクルト・山田哲人内野手(30)が勝ち越しの2号2ランを放った。山田は1-1で迎えた八回1死一塁の場面で打席に立つと、1ボールから浜地の149キロ高め真っすぐをバックスリーンに運び3-1と勝ち越した。山田は「イメージ通りの良いスイングが出来ました」とコメント。この逆転弾にネットのヤクルトファンは「素晴らしすぎる」「さすが我らがキャプテン」「頼りになる」など歓喜の声が上がった。

◆ヤクルト・山田哲人内野手(30)が1―1の八回1死一塁で、バックスクリーンへの2号2ランを放った。「ファーストストライクから甘い球は積極的に打とうと決めて打席に入りました。イメージ通りの良いスイングができました」。阪神2番手の浜地が投じた149キロの直球を捉え、2日の広島戦(神宮)以来、4戦ぶりの一発となった。

◆阪神の新外国人、ジェレミー・ビーズリー投手(27)=前パイレーツ3A=が来日初登板し、1回無失点だった。1―3の九回に登板し、1死からサンタナに四球。長岡を空振り三振に仕留めたが、代打・川端に左前打で一、三塁とピンチを広げた。直後に二盗も決められたが、丸山和を空振り三振に斬って危機を脱した。最速は153キロを計測した。ビーズリーは2月の春季キャンプ中に右足のコンディション不良を訴えて離脱。以降は別メニュー調整を続け、2軍戦で実戦復帰後、2日に1軍に登録された。

◆阪神が逆転負けで連敗を喫した。先発した青柳晃洋投手(29)は雨の降りしきる中、粘りの投球を見せるも、1-0で迎えた七回。先頭のオスナに、痛恨の3号ソロを被弾した。青柳は7回4安打1失点、112球の力投も打線の援護に恵まれず。2番手の浜地が、山田に2ランを浴び、勝ち越された。 打線は一回先頭の近本が、ヤクルトの右翼手・サンタナが打球を見失う間に、一気に三塁へ(記録は三塁打)。続く中野が中犠飛を放ち、幸先よく先制したが、その後はヤクルトの先発・小川の前に沈黙。中継ぎ陣を打つこともできず、わずか3安打に終わった。

◆ヤクルトは1-1で迎えた八回、山田哲人内野手(30)が勝ち越しの2号2ランを放ち接戦を制した。以下、山田のヒーローインタビュー。--同点の八回、どんな意思で打席に立った「積極的にファーストストライクからフルスイングするつもりでいきました」--打ったのはストレート「真っすぐをしっかりとセンターへ。イメージ通り打てたかなと思っています」--打った手応えは「しっかり芯で捉えることができました。自分のスイングができて感触はよかったです」--ヤクルトらしい粘りの野球「こういう接戦をものにできて、価値のあるゲームだったと思います」--開幕から7試合、手応えは「チームの状態もいいですし、昨日は負けましたけど、今日はしっかり勝てたので、いいスタートダッシュができた」--明日、明後日は甲子園でデーゲーム「今日みたいなバッティングができればなと。勝ちにつながるバッティングがしたい」

◆阪神が逆転負けで連敗。一回、中野拓夢内野手(26)の犠飛で先制したが、先発の青柳晃洋投手(29)が七回、ホセ・オスナ外野手(30)に同点ソロを打たれて、降板。2番手の浜地真澄投手(24)が八回、四球後に山田哲人内野手(30)に勝ち越し2ランを浴びた。九回1死一、二塁で中飛に倒れた佐藤輝明内野手(24)は15打席連続無安打。その後、空振り三振に終わったD1位・森下翔太外野手(22)=中大=が最後の打者となった。ジェレミー・ビーズリー投手(27)が九回に来日初登板し1回無失点だった。試合は降雨による一時中断後に再開された。甲子園開幕戦を落とした岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(成績=4勝2敗、観衆=4万2465人)ーー青柳は、あの一球が悔やまれる「おーう。あの回なあ。初球なあ。そうなんやけどなあ。まあ、後の事を考えたら、なあ。1点勝っててもどうかなあ、というのがアレやもんなあ」ーー打線も一回の先制後に追加点を奪いたかった「広島のところから、みんながピタッと止まってしもたもんな」ーー相手ピッチャーにやられた「アレはよかったんちゃう、小川な。初戦も0点で抑えとったしな。オープン戦で当たってたけど、オープン戦以上に良かったよな。コントロールがエエな」ーー佐藤輝は惜しい当たりがあった「いや、惜しいって、みんな先っぽばっかりやもんな。芯でとらえとったらアレやけど、みんな先やもんな」ーー練習中も佐藤輝を見ていたが、タイミングが。「今日はあんまエエことなかったで(笑)」ーー浜地は「この間もそうやったけど、何か決めに行く時、高いやろ、ボールなあ。投げた瞬間に高いもんなあ。これは考えなアカンなあ、今のままじゃ、ちょっとしんどいかも分からん。去年あれだけ頑張ったからなあ、そういう形でなあ、開幕から使ったけど、ずーっと悪いもんなあ。切り替えてやるかなあと思たけど」ーーやり返す場面だった「前回(4日の広島戦)もなあ、同点にされてるいうのもあるけどなあ、おーん」ーー終盤の継投は「だから、後ろは決まらへんよ。カチッと決まらへんよ。まだそんな状態やんか。ずっと見とっても、後ろは良くないよな。ホント良くない」ーー守備では小幡がエラー(五回)「エラーぐらい出るよ。お前。山田のトンネルよりマシやろ(笑い)。そんなん、何を言ってるの」ーー甲子園開幕で打線は見どころがなかった「ちょっとな。打つ方がなあ。広島の時はチャンスは作ったけど、一本出なかったけど、今日はほんとチャンスもな、そんな作れんかったしな」ーーヤクルトの印象は「ピッチャーいいよなあ。開幕からずっとなあ、スコアラーとかのアレも見てたけど。0点台やろ。先発もな、後ろは去年から揃ってたけど、先発もいいよなあ」ーー警戒すべき相手「そらそうや。だって2年続けて優勝してるチームやん。まだ始まったばかりで、今日が初対決やったけど、打つ方が頑張らんとな」

◆阪神で1994年に新人王に輝き、米大リーグのアスレチックス、ジャイアンツ、楽天と渡り歩き、日米通算91勝をマークしたサンケイスポーツ専属評論家の藪恵壹氏(54)は7回112球を投げて1失点だった青柳晃洋投手(29)の交代のタイミングに言及。「六回で十分」とし、継投が遅れた理由として3月31日、DeNAとの開幕戦で5回?で交代した時の青柳の〝表情〟にあると推測した。勝負を分けたポイントは青柳の交代のタイミングだ。六回で100球。そこで十分だった。開幕してまだ2度目の登板で、前回は93球。一気に七回まで投げさせる必要はなかった。結果的に痛恨の一発をオスナに浴びてしまう。青柳を交代させて、救援陣がいないのなら話は別だが、九回の湯浅を除いても、浜地、Kケラー、台頭している石井らメンバーは揃っている。交代が遅れた要因の1つに、前回の交代が影響しているのではないか。開幕戦で青柳が微妙な表情を見せた。「えっ、交代?」というような顔。正直、内心で思っても表情に出すのは良くないのでは、と感じていた。当然、首脳陣も見ている。だから今回は、「じゃあ、もうちょっと投げてみろ」となったのではないか。青柳自身は右打者の内角にシュートだけでなくスライダーを投げ込むなど、成長した部分を見せてくれた。次回も期待できる内容ではあった。ただヤクルトが好投していた小川でも六回で交代させたのとは対照的な継投。明暗もそこではっきり分かれた。もったいない試合になった。決勝アーチの八回も、ヤクルトの選手起用にやられた印象だ。浜地が1死から宮本を歩かせて、代走が並木。足のスペシャリストだから、配球はどうしても真っすぐ中心になりがち。そこを見透かされて、山田は真っすぐ狙いで見事に打ち返されてしまった。浜地がもう少し低く投げていれば本塁打はなかっただろうから、悔やまれるシーンだった。まだまだシーズンは長いので、浜地が反省して、次に生かしてくれればいいのだが。ヤクルトは打てないながらもいい攻撃をしている。投手陣がずっとこのまま盤石で行くとは思えないが、戦力的に充実しているのは間違いない。

◆ヤクルトの鉄壁の救援陣がスコアボードに「0」を刻んだ。七回から石山、清水、田口と勝ちパターンを担う投手が1イニングずつを抑え、開幕からリリーフ陣は24回?を無失点。チーム防御率は12球団トップの0・73で、開幕7試合で計6失点は2012年の中日と並ぶプロ野球最少記録。それでも高津監督は「いいことですね、ということでとどめます」と気を引き締めた。

◆ヤクルト・小川泰弘投手(32)が6回1安打1失点の好投で勝利に貢献した。試合開始前から雨が降る中、一回は近本の打球を右翼手・サンタナが見失って三塁打となり、中野の中犠飛で先制を許した。直後に20分間の中断もあったが「仕切り直しだと思って気持ち切り替えた。1試合1球に悔いを残したくない。その思いで自分を奮い立たせた」と、青柳との投手戦を振り返った。

◆ヤクルトは7日、阪神1回戦(甲子園)に3-1で勝利し、雨中の首位攻防戦を制した。主将の山田哲人内野手(30)が八回1死一塁でバックスクリーンへ勝ち越しの2号2ランを放った。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一に輝き、現役メジャーリーガーから多くを学んで帰還。開幕7試合で6勝を挙げるのは2008年に並ぶ球団最多となり、計6失点は12年の中日と並ぶプロ野球最少記録となった。甲子園の夜空に白球が舞った。燕党の歓声と虎党の悲鳴がこだました。1―1の八回1死一塁。山田がバックスクリーンへ、決勝の2号2ラン。今季12球団最多4万2465人の大観衆の注目を一身に集めた。「積極的にファーストストライクからフルスイングするつもりでいった。芯で捉えることができたし感触はよかった」一走には俊足の代走・並木。2番手右腕・浜地が1ボールから投じた149キロの直球を完璧に捉え「強引にならないよう、しっかりセンター方向にイメージ通りの打撃をした」とうなずいた。指揮官の期待に応えた。昨季まで右横手投げの青柳を得意としておらず、先発時はスタメンを外れることもあったがこの日は3番で出場。高津監督は「最初の対戦で体も元気。今はレギュラーとして当たり前のように出てもらう」と説明し、「一本に絞ってバックスクリーンまで運ぶんだから、哲人の打球だった」と称賛した。

◆阪神は雨中の甲子園開幕戦となったヤクルトとの首位攻防戦に1-3で逆転負けし、2連敗を喫した。好投の青柳を打線が援護できず、一回に犠飛で挙げた1点のみ。岡田彰布監督(65)は打率1割台に低迷する5番・佐藤輝の不振を嘆き、八回に決勝2ランを被弾した浜地のセットアッパーからの配置転換を示唆した。2点を追う九回1死一、二塁。一発出れば逆転サヨナラの好機で佐藤輝が力のない中飛に倒れると、甲子園開幕戦を勝利で飾りたかった岡田監督はベンチで険しい表情のまま首をかしげた。続く森下も空振り三振に倒れてジ・エンドだ。「(4打席は)みんな先っぽばっかりやもんな。芯でとらえとったらアレやけど、みんな先やもんな」この日も佐藤輝のバットから快音が聞かれず、15打席連続無安打。主軸の近本、中野、ノイジー、大山らが打率3割越えしている中で、梅野とともに打率も・167に低迷。佐藤輝は「もう一回、気持ちを切り替えて頑張ります」と言葉少なだった。もちろん、佐藤輝だけが悪いわけではない。指揮官は「ちょっとな、打つ方がなあ。(前日の)広島のところからみんながピタッと止まってしもたもんな。チャンスもそんな作れんかったしな」と頭をかいた。一回、先頭の近本が右翼手のサンタナが打球を見失うラッキーな三塁打。続く中野の中犠飛で先制したが、二回以降は小川の緩急自在の投球に凡打の山。救援陣も打てず、〝スミ1〟で敗れた。岡田監督は2008年9月29日以来5303日ぶりに虎のユニホームを着て甲子園で指揮を執ったが、悔しい逆転負け。勝てば単独首位だったが、雨の中でも足を運んだ4万2465人の期待に応えられなかった。「2年続けて優勝してるチームやん。きょうが初対決やったけど、ちょっとな、打つ方が頑張らんとな」。アレのためには、2連覇中のヤクルトを倒すことが必要。そのためにサトテルや打撃陣の奮起を求めた。(三木建次)

◆先発した阪神・青柳晃洋投手(29)は雨の降りしきる中、7回4安打1失点、112球の力投も打線の援護に恵まれなかった。雨は止めど、チームが勝利できなければエースの表情が晴れることはない。小川と演じたエース同士の投手戦。青柳にとって、1点リードの七回に浴びた同点ソロは痛恨だった。「七回も任せてもらった中で、ああやって初球、先頭で点を与えたというのが一番悔やまれるところかなと思います」燕打線を相手に、六回までにぴったり100球でわずか2安打に抑えていた。しかし、七回先頭・オスナに投じた初球の122キロのスライダーは真ん中付近へ。力強く振り抜かれると鋭い弾道の打球はバックスクリーンの左へ消える同点弾となった。勝ち越されることなく粘り抜いた7回4安打1失点だが、序盤の降雨もいとわず腕を振り、味方の守備にも助けられながらゼロを並べたからこそ、あの一球に対する悔しさは大きい。ヤクルトの2連覇中のレギュラーシーズンでは、一昨年が7試合登板で4勝1敗、昨季は5度対戦して3勝1敗と、燕の壁になってきた。ただ、王者の座をさらわれたという現実を直視すれば「そこに勝たないと、今年僕たちが上にいくことはない」と強いライバル心を燃やす。「去年と比べて右打者が多く出ていたのもそうですし、攻め方が変わったというよりはメンバーが変わったな、と」村上や山田、オスナにサンタナと強打者ぞろいはもちろんのこと、丸山和、浜田といった新戦力も多く起用されているのが今季のヤクルトだ。一戦交えて得た情報も指先に伝え、次こそ土をつける。(須藤佳裕)

◆中野が一回無死三塁で先制の中犠飛を放った。「近本さんがチャンスを作ってくれたので、『まずは先制点を!』と思っていました。最低限ですが外野まで運ぶことができてよかった」。これが阪神の唯一の得点だった。二塁守備では雨でグラウンドがぬかるむ中、3度の守備機会を危なげなくこなした。

◆2番手で登板した浜地が決勝2ランを被弾。2試合連続失点とピリッとしない内容が続く右腕に、岡田監督は配置転換を示唆した。「ちょっとこれは(起用法を)考えなあかんなあ。今のままじゃちょっとしんどいかも分からん」1―1の八回に登板。1死から四球で塁に出すと、山田に高めに浮いた直球をバックスクリーンに運ばれた。開幕から勝ちパターンの一角として起用されてきたが、4日の広島戦(マツダ)でも八回に登板して1失点。「単純に自分の実力不足です」と反省しきりだ。勝利の方程式を固定できず、岡田監督は「後ろ(中継ぎ陣)はよくないよな」と嘆く。浜地の配置転換を含め、ブルペンの立て直しが急務になる。(織原祥平)

◆D1位・森下(中大)は甲子園デビューを果たしたが、2点を追う九回2死一、二塁の好機でプロ初三振を喫し、最後の打者となった。四回の第2打席には折られたバットを三塁側スタンドまで飛ばす三ゴロに倒れるなど、4打数無安打に終わった。雨にぬれたグラウンドで守備は無難にこなしたが、快音を響かせることはできず「試合に負けたので、何もないかなという感じです」と悔しさをにじませた。

◆懐かしい大音響だった。「タイガースの甲子園」が戻ってきた-。そう感じさせてもらった九回裏だった。大歓声が選手を後押しする。大山の四球なんて、たぶん、コロナ禍だったら選べていなかったのでないか。それぐらい、ツバメの守護神・田口に余裕はなかった。昨夜は及ばなかったが、これから先、熱狂の甲子園が、声の力が、きっとタテジマ戦士の味方になるだろう。そういう意味では、納得の1敗だ。でも、数時間前は、まさか試合ができるとは想像もしなかった。さすが甲子園! さすが阪神園芸!土砂降りの中、昼下がりの甲子園に到着。傘を差してもずぶぬれだ。いきなり、一番好都合な人物と顔を合わせた。「さすがに無理やろ? 中止か?」話しかけた相手は金沢健児クン。阪神園芸のグランドキーパーのリーダーであり、今や「阪神園芸株式会社スポーツ施設本部甲子園施設部長」の肩書を持つ。甲子園が大好きな野球ファンなら知らない人はいないぐらいの有名人。「神整備」を陣頭指揮する男。そして、返ってきたのは、無責任な問いかけを一蹴するものだった。「やれます、やれます。大丈夫です」自信満々。ニヤリ。このやり取りをトラ番たちに伝えると「金沢さんが言うのなら、間違いないですね」。みんな納得の表情になった。金沢クンの言葉は神の言葉なのか? 同時刻、SNSの世界では「神整備を見に行こう!」が合言葉になっていた。

◆ふっ~、やっぱりセ・リーグの王者ヤクルトには力が及ばないのか...。先発の青柳は降雨の中で7回4安打、失点はオスナのホームランの一発だけ。さすが雨ヤギさんだった。それ以上にスゲ~とシビレたのは、絶好調の投球と比較したら70%の仕上がりなのに、このマウンドは見事と言うしかないのだ!!なのに2番手・浜地よ、なんで致命的な2ランを山田に許すんじゃ~!! 2005年、岡田さんのJFK(ジェフ・ウィリアムス、藤川、久保田)やったら、そんなことはなかったやろー!!と声を荒らげた全国の虎党に一言。「JFKじゃないから!」浜地も、岩崎も、湯浅も、石井も、K・ケラーもみんな、好投手だけど、今のところ誰一人、JFKの一員には入れない力量という現実...。この課題を岡田阪神、どーする!?ちゅーか!! その前にわずか3安打の打線を叱らんで、どーすんねん!!ですよねェ...。トホホ。どーせ、誰も言わないんだろうから、オレが批判覚悟で言うけど、佐藤輝を打者版・藤浪晋太郎にしないこと。そーすりゃ、本人も、阪神も頂点に行けるわー!!

◆阪神・杉山オーナーが、就任後初めて甲子園で公式戦を観戦したが、本拠地初勝利を見届けられず。「でも今日はあの天気の中で試合ができてよかったし、あれだけ多くのお客さんの中で試合ができて、私はよかったなと思います」と話した。チームは悔しい逆転負けとなったが「143試合あるんで、勝つときもあれば負けるときもある」と冷静だった。

◆阪神・近本が運も味方に安打と先制点をもたらした。一回、小川の直球を高々と打ち上げると、右翼手のサンタナが打球を見失い、後方に白球がポトリ。その間に俊足を飛ばして三塁打とし、直後の中野の犠飛で先制のホームを踏んだ。2日のDeNA戦(京セラ)以来、3試合ぶりの安打。しかし、後の3打席は凡退に終わった。

◆阪神・大山が五回の守備で交錯し、右足を痛める場面があった。1死でサンタナの遊撃へのゴロを小幡がファンブル。一塁送球を大山が捕球する際、打者走者のサンタナの足が大山の右足にひっかかって両者が転倒した。大山は痛がるしぐさを見せたが、プレー続行。七回には中前打を放った。試合後は「あしたも試合があるので頑張ります」と患部の状態については話さず、球場を後にした。

◆阪神・ノイジーが一回の守備で紙一重の捕球をみせた。2死一塁から4番・村上が左翼に放った飛球を一時見失うも、落下寸前に体を投げ出し、リカバーしてかろうじて白球をキャッチ。雨が降る中の守備で「失点を防げたのでよかったです。(雨で)見えなかったですね。あと、空の色もあって」と振り返った。打撃では九回1死から右前打を放ったが、得点には結びつかなかった。

◆阪神の新外国人右腕、ビーズリーが九回のマウンドに上がり、初登板を果たした。四球と左前打などで2死二、三塁のピンチを招いたが、丸山和を150キロ直球で空振り三振に斬り、1回無失点で終えた。「緊張しながらも、本当にすばらしい経験。失点しなかったことはよかった」。次回の登板に向けて「もっとテンポよくいいピッチングをしていかないといけない」と気を引き締めた。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
610 0.857
(↑0.024)
-
(-)
13618
(+3)
6
(+1)
7
(+2)
10
(+1)
0.181
(-)
0.730
(↓0.05)
2
(-)
阪神
420 0.667
(↓0.133)
1.5
(↓1)
13724
(+1)
20
(+3)
1
(-)
5
(-)
0.260
(↓0.031)
3.230
(↑0.04)
3
(-)
巨人
340 0.429
(↓0.071)
3
(↓1)
13619
(+2)
18
(+4)
4
(-)
0
(-)
0.236
(↑0.013)
2.250
(↓0.17)
4
(-)
DeNA
240 0.333
(-)
3.5
(↓0.5)
13716
(-)
27
(-)
3
(-)
0
(-)
0.214
(-)
4.120
(-)
4
(2↑)
広島
240 0.333
(↑0.133)
3.5
(-)
13713
(+4)
15
(+2)
4
(+1)
2
(-)
0.213
(↑0.014)
2.300
(↑0.07)
4
(-)
中日
240 0.333
(-)
3.5
(↓0.5)
13711
(-)
15
(-)
0
(-)
1
(-)
0.235
(-)
2.420
(-)