阪神(☆6対3★)DeNA =リーグ戦1回戦(2023.03.31)・京セラドーム大阪=
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DeNA
0000010203620
阪神
03011001X6900
勝利投手:青柳 晃洋(1勝0敗0S)
(セーブ:湯浅 京己(0勝0敗1S))
敗戦投手:石田 健大(0勝1敗0S)
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◆阪神は2回裏、梅野の適時打などで3点を先制する。その後5-3となって迎えた8回には、小幡のこの日2本目となる適時打でリードを広げた。投げては、先発・青柳が6回途中1失点の投球で今季1勝目。敗れたDeNAは、打線が終盤に追い上げを見せるも及ばなかった。

◆世界一の再会だ。阪神中野拓夢内野手(26)とDeNA牧秀悟内野手(24)のWBC組が、開幕戦前に談笑した。阪神の佐藤輝明内野手(24)と仲がいい牧は、中野とも親交があり、侍ジャパンでさらに仲を深めた。同じ二塁を守ることもあり、宮崎強化合宿ではほぼ毎日ともにノックを受けた2人。世界一の仲間が、今度はペナントを争うライバルとなる。

◆牧先輩、負けません! 阪神ドラフト1位の森下翔太外野手(22)が、中大の先輩でDeNAの4番を務める牧秀悟内野手(24)にあいさつした。試合前のフリー打撃を終えると、三塁ベンチ前でアップしていた牧のもとへ。森下は牧のおなかを触るシーンも見られた。中大の2学年先輩に、早速ボディータッチに成功した。牧をリスペクトしてやまない森下は、前日30日に「ずっとテレビで見ていて、やりたいなと思っていました。自分が思っているより、早く実現するのはすごいうれしい。引かずに頑張りたい」と意気込んでいた。

◆両チームのスタメンが発表された。阪神はオープン戦最終戦から不動のオーダー。ドラフト1位森下翔太外野手(22)は「6番右翼」でスタメン出場する。昨年のヤクルトとの開幕戦は、同じ京セラドーム大阪で悪夢の7点差逆転負け。岡田彰布監督(65)の復帰シーズン初戦を勝利で飾れるか。

◆開幕セレモニーに、男性ボーカルユニットのC&Kが登場し、スペシャルライブを行った。阪神近本光司外野手(28)が、プロ1年目から登場曲に使用している「ドラマ」を熱唱。京セラドーム大阪を盛り上げた。試合前には近本と初対面。ボーカルの1人、CLIEVYは「ハンサムでした」と感激した様子。プロ5年目に挑む近本には「自分が最高と思えるドラマを」と期待。もう1人のボーカル、KEENは「最高のシーズンにしてほしいですね。優勝してほしいですね」と期待を寄せた。

◆阪神中野拓夢内野手(26)が初回から好守備で会場を沸かせた。初回1死で迎えたDeNAの2番打者林の打席。5球目を打つと、センターへ抜けようかという打球に、中野が素早く反応。逆シングルでキャッチし、間髪入れずに一塁へ送球しアウトを取った。中野は今季から遊撃から二塁へコンバート。WBCの侍ジャパンに選出され、チームへの合流が開幕直前となったが、難なくこなした。

◆演歌歌手の丘みどり(38)が試合前に君が代独唱を務めた。人前で君が代を独唱するのは今回が初だといい、「すごく緊張したんですが、とってもいい経験させていただけたうれしかったです」と振り返った。兵庫・姫路市出身。この日選んだ衣装も「阪神を意識した」と黄色の着物を選択した。虎党の黄色で染まる開幕戦の同球場。「もう関西に育って、ずっと家族もそうですし、みんな阪神ファンだったので。そんな舞台で歌えるの夢のようでした」。この日、試合前の始球式を務めたランディ・バース氏(69)とは写真を撮ってもらったといい「家宝にします」と喜んだ。試合前、試合終了後に球場ビジョンで流される「みんなで六甲おろし」の3・4月度の出演者も務める丘。この日も試合前のビジョンで放映された。「毎年思うのが今年こそ優勝っていう思いです」と力を込め、18年ぶりの「アレ(=優勝)」へ、歌でエールを送った。

◆京セラドーム大阪に超特大の「A.R.E.」シートが登場した。開幕セレモニー開始前にグラウンドに搬入されると、外野芝生部分の大半を覆った。スタンドからは確実に目にすることができ、インパクトは十分だった。男性ボーカルユニットC&Kのスペシャルライブや球団OBランディ・バース氏の始球式の間、グラウンドに接地され、存在感は十分。05年以来、18年ぶりの「アレ(=優勝)」を目指す虎の意気込みを示すような特大シートだった。

◆阪神のレジェンドOBランディ・バース氏(69)が、開幕戦の始球式に登場した。現役時代の背番号44のユニホームを着用し、「世界一のファン」という虎党の大歓声を浴びながらマウンドへ。先発青柳とグータッチを交わし、投球はワンバウンドで梅野のミットに収まった。バース氏は「気持ちがいいです。けど、ホームの距離を忘れていて、思ったより遠かったね」と笑みを浮かべた。試合前には85年にバックスクリーン3連発を成し遂げた盟友の岡田監督と談笑したといい、「昔の思い出がいっぱいあって、楽しい時代に戻ったようだった、ハッピーな時間だったよ」と感慨深げ。指揮官への期待として「すごく経験がる方。十分優勝する方法を分かっているはず。若い選手を育てることができるでしょう。是非今年も優勝に期待したいです」とエールを送った。

◆阪神岡田彰布監督(65)が、開幕戦前の「出陣式」で珍指令を出した。球団公式YouTubeで試合前、一塁側ブルペンで行われた「出陣式」の様子が公開された。岡田監督は「ついに今日がね、3月31日きたんで。もうみんな分かっている通り、狙うしかないんで。1年間長いんでいろんなことがあると思うけど、チーム1つになって、苦しい時こそみんなで1つにならなあかんと思うんで。そのへんをよろしくお願いしたいと思うし、グラウンドでやるのは選手だけど、俺らはやりやすい環境をつくって、選手の本当の力が出るようにしたいので、とにかく1年間頑張っていきましょう」と選手、スタッフへ呼びかけると、続けた。「あと、タッチするのにグーとかパーが入り乱れてるから、阪神はパーにしよう。ハイタッチのパー。決めておこう。それでいこう。よっしゃ、頑張っていこう」まさかの"パー指令"に笑いも起こった。その後、指揮官がスタメンを読み上げると、1番近本光司外野手(28)を筆頭に、"パー"でハイタッチが行われた。最後は中野拓夢内野手(26)が「今日からシーズン始まります。個人としていい時、悪い時。チームとしてのいい時、悪い時、あると思います。その時はしっかりとチーム全員で助け合って、同じ方向を向いて1年間、頑張っていきましょう。さあいこう!」とあいさつし、出陣式を締めくくった。

◆DeNA京田陽太内野手(28)が、移籍後初安打をマークした。5点ビハインドの6回1死から代打で出場。カウント1-2から、阪神青柳の変化球を左前にはじき返した。佐野の四球で二塁に進塁し、2死一、二塁から代打宮崎の中前適時打で、チームの今季初の得点を記録した。

◆阪神板山祐太郎外野手(29)が美技を披露した。6回の守備から森下に代わって、「9番右翼」で途中出場。7回1死でDeNA関根の打席。右翼フェンスギリギリの大飛球を華麗にスライディングキャッチ。3番手で登板した浜地を助けるビックプレーで相手に流れを渡さなかった。初回には二塁手中野拓夢内野手(26)が逆シングルの打球を間髪入れずに送球。4回には遊撃手の小幡竜平内野手(22)がジャンピングキャッチ。昨年まで拙守に泣いた阪神がファインプレー祭りを展開した。

◆青柳晃洋投手(29)が自身初となる開幕投手の役割を果たした。初回からエンジン全開だった。先頭佐野を148キロ直球で空振り三振に仕留めるなど3人で料理。4回まで1人の走者も許さない安定の投球を見せた。6回2死一、二塁の場面で岩崎にバトンを託し、6回途中2安打1失点。7個の三振を奪い、昨季"投手4冠"(勝利数、防御率、勝率、ベストナイン)の実力を見せつけた。4回には1死一、三塁の場面で打席が回り、セーフティースクイズを一球で成功。直後のマウンドでは満員のドーム内から「青柳コール」が発生し、帽子を取って一礼した。攻守に活躍した。昨季は開幕投手に指名されながらも新型コロナに罹患(りかん)し、藤浪に大役を譲った。前日の取材では「悔しかった気持ちは今でも忘れていない」と覚悟をにじませていた。1年越しの思いを込め、プロ8年目にして初となる大役を果たした。

◆新生岡田阪神が、開幕白星スタートを飾った。岡田彰布監督(65)にとっては、阪神では08年10月12日の中日戦以来、公式戦5283日ぶりの勝利となった。エース青柳が抜群のピッチングをみせた。最速149キロの直球とツーシームを武器に、両サイド、高低を使い分け、4回までパーフェクトピッチング。6回は1死一、二塁から林を三邪飛に打ち取ったところで降板。6回途中2安打1失点の好投だった。打線は序盤に猛攻をしかけた。両軍無得点の2回、先頭大山が中前打で出塁すると、佐藤輝が左翼線への二塁打でチャンスメーク。森下が三塁手林の失策で出塁し、無死満塁から梅野が先制の左前適時打を記録。なおも無死満塁から小幡が中前への適時打で2点目、1死満塁から近本が左犠飛を放ち、3点を先取した。さらに3点リードの4回1死一、三塁からは、9番青柳が一塁線へ絶妙なセーフティースクイズを決め、追加点をたたきだした。7回は4番手のK・ケラーが2点を失い、2点差に迫られた。ただ、8回2死三塁から小幡が左前適時打を放ち、リードを3点に広げ、最後は守護神湯浅が締めてプロ初セーブ。昨季開幕9連敗と大苦戦した阪神が、大事な初戦で貴重な白星をもぎ取り、好発進を決めた。

◆DeNA三浦大輔監督(49)が、スキが見られた楠本の右翼の守備に苦言を呈した。2点差に迫った直後の8回。先頭の佐藤輝の右前への当たりを捕球後、山なりのボールでカットマンの牧に送球し、佐藤輝に一気に二塁を奪われた(記録は二塁打)。2死三塁から、小幡に痛恨の適時打を浴び、リードを3点に広げられた。三浦監督は「スキを見せたプレー。大いに反省してもらいます」と厳しい表情で話した。京田の好守や桑原の好返球など、締まったプレーも随所に見られた一方、林の2失策とともに守備のミスが失点につながった。

◆阪神湯浅京己投手(23)がヒヤヒヤのプロ初セーブを挙げた。3点リードの9回に5番手で登板。3四球で1死満塁となると、京セラドーム大阪がざわついた。「ヒヤヒヤです...。でもやるしかない、と。何も考えずに向かっていくだけでした」心のギアを入れ替えた。11番佐野を3球で見逃し三振。ソトは高めの146キロ直球で遊飛に仕留めた。阪神の投手がシーズン開幕戦で自身の初セーブを挙げたのは、池内豊が79年4月7日広島戦で記録して以来、44年ぶりだ。冷静な自分もいた。「あと1球...あと1球」。ソトを追い込んだ場面で大きなコールが響いた。WBCでも大歓声を浴びていた右腕は「気持ちいいですね、アウェーとは違う歓声があった」と笑顔。「初めてあと1球コールも聞きましたし、あの中でも聞こえていた」。集中した状態でもハッキリと耳には届いていた。ファンの後押しを力に変えた。虎の新守護神は、今季初登板で教訓も得た。「いいところに決まっていた」と手応えも感じた一方、「アバウトにいくところはいかないと」。大胆にストライクゾーンに投げ込む大切さを痛感した。「先頭の四球が反省。不利なカウントになるべくせずに、明日から切り替えてやりたい」。3四球無失点。その数字以上に大切なことを感じ取った。開幕戦でいきなり36球を要したが「今日、リカバリーして臨めるように準備したい」と4月1日のデーゲームに備える。お立ち台では「湯浅はファンを楽しませるために、ああいうピッチングをしたと思う」とイジられ「ヒヤヒヤさせてすいませんでした!」とペコリ。同じ失敗はしない。湯浅ならもう、大丈夫だ。【中野椋】

◆貫禄のマルチ安打発進だ。阪神の5番佐藤輝明内野手(24)が、プロ3年目の開幕戦で2安打を放った。2回無死一塁で左腕石田から左翼へ二塁打を決め、その後の先制劇をお膳立て。8回先頭では入江から右翼へライナーを放ち、好走塁で二塁を陥れた。その後、小幡の適時打で6点目のホームを踏んだ。2回の初安打はファーストスイングで仕留めたもので「ワンスイング目から打てたのでホッとした」と安堵(あんど)した様子。「両方長打でよかった。まず1戦目を取れたことは本当に大きい。これをどんどん積み重ねていきたい」と前を向いた。

◆阪神近本光司外野手(28)は、無安打にも充実の表情で球場を後にした。「イメージ通りのバッティングができてるから、まあいいんじゃないですかね。内容的にもやりたいことがしっかりできている。ボール球も振っていないっていうところが、自分の中ではよかったかなと思います」。2回1死満塁ではきっちりと左犠飛で3点目を呼び込んだ。4回の左飛も当たりは悪くなかった。試合前の開幕セレモニーでは男性ボーカルユニットC&Kが、自身がプロ1年目から登場曲に使用する「ドラマ」を熱唱。記念撮影も行ったといい「今年はライブに参加できるようにしたい」と話した。

◆阪神青柳晃洋投手(29)が、お立ち台で笑いを誘った。9回を1死満塁のピンチをつくりながら無失点で締めた湯浅京己投手(23)について「ドキドキしてたけど、湯浅はファンを楽しませるためにああいうピッチングをしたと思うので、明日からは湯浅らしいピッチング期待したい」と話すと、京セラドーム大阪がわいた。同じくヒーローインタビューに選ばれていた湯浅もにっこり。開口一番、「ヒヤヒヤさせてすいませんでした」とファンに謝罪していた。

◆阪神ドラフト1位森下翔太外野手(22=中大)がデビュー戦を終え、初ヒットはおあずけとなった。オープン戦からのアピールが実り「6番右翼」でスタメン入り。2回先頭の4番大山がバットを折るしぶとい中前打で出塁。5番佐藤輝が左翼線での二塁打と無死二、三塁で打席が回った。カウント1-1から138キロのカットボールを強振し、一塁へ全力疾走。三ゴロの当たりだったが、林のファンブルで出塁となった。4回の第2打席は内角攻めをされ、左飛。5回の第3打席では、DeNA森原の直球を豪快にフルスイング。ファンもどよめくパワースイングを披露し、6回の守備で板山と交代となった。「緊張感を味わえたので、いい経験になった。(打席は)極められていたし、今日は球は見えていた。あとは捉えるだけかなと思います。まずはチームが勝てて良かったです。個人としては1本を出して気を楽にしていきたい」と気を引き締めていた。

◆阪神岡田彰布監督(65)が15年ぶりに阪神で指揮を執り、開幕戦で5283日ぶりの勝利を飾った。試合後の一問一答は以下の通り。(テレビ会見)-最後は湯浅、満塁でソト、よく抑えた「まあ、初めて(の登板)。3点あって。あの(8回に追加した)1点で楽にしたと思ったんだけど。まあ、こんなもんでしょう、開幕ね。本人も抑えないといけないという重圧はあると思うし。みんなで持ってきてくれた9回なんで。内容とかは抜きにして0点で抑えたのはよかったんじゃないかなと」-15年ぶりシーズンで迎えた開幕白星は「点はとれたし、序盤はすごくよかった。(先発の)青柳は7回までいけるんかと思ったけど、序盤から飛ばしていたからね。まあ、なんとか岩崎の1点で。まあ、あとの3イニングはちょっと長かったけど、まあ開幕でね。まあ。昨年は、あんまり関係ないんだけど、いやな感じがしたんよ。昨年の見てたからね。オレは全然昨年は関係ないんだけど。オレは、そういうシーンが頭をよぎったね」-序盤は守備でもいいプレーが「そうですね。まあ、なんていうか、アウトにするボールをアウトにしよう。それを基本的なことにしてずっとやってきたので、今日は本当にいいプレーがあったと思いますね」-こだわりの二遊間、まず中野がいいプレー「そうですね」。-小幡のダイビングキャッチもあった。「あれもね、(4回の)先頭だったので、大きいですね」。-DeNA先発の石田を攻略した。2回は大山と佐藤の安打から得点に「昨年のことを言ったらダメだけど、相当、DeNAの左ピッチャーに抑えられているデータがあったけど、そういうのは抜きにして、今年は今年と言うことで。開幕というのは野手はよくわかるんでね、ヒット1本出るまではやってみないとわからない重圧があるので、早いうちにうってもらわないとダメな2人が早いうちにヒットが出たのでだいぶ楽になったですね」-板山が右翼の守りでいいプレーをした「ああ、そうですね。代えてたんやね、あれね。なんで代えてたんやろ。まあよかったですね。でもね。はい」-8回の1点の取り方が絶妙だった。「梅野の当たりも微妙だったけど、8番の小幡が3本打ったし、そのへんは、本当は2点でも大丈夫なんだけど、あの1点というのは、やっぱりすごく楽にしたんじゃないかな。最後のフォアボール3つ出しても3点というのはだいぶ違ったよね」-岩崎、浜地、Kケラー、湯浅を登板させられた「うーん、ねえ、開幕のプレッシャーとか抜きにしても、ちょっと、ねえ、ボールは高いし甘いしっていうのは、そのへんはだいぶ修正しないといけないところもあるかも分からないね」-今日の勝利を「143分の1だけど、負けるよりも当然まず1つ貯金1つ作った方がいいに限ってるし。とにかく先発6人投げるまでは開幕のつもりで、選手も何とか先発に白星つけられるように、今日みたいな、5点6点取れたけど、援護してやってね、こういう先発ピッチャーが出てくるんで、こういう状態が続くと思うんだけど、辛抱してね、明日も明後日もやっていきたいと思いますね」

◆ヒヤヒヤの勝利に阪神岡田彰布監督(65)も肝を冷やした。最後は3点差で守護神湯浅が1発浴びれば逆転の1死満塁のピンチを背負ったが、佐野、ソトを抑え何とか0点で踏ん張った。岡田監督は「嫌な感じがした。昨年のシーンがよぎった」と、同じ球場で昨年の開幕戦では7点差逆転負けしたことが頭をよぎったと明かした。試合後の一問一答は以下の通り-6回の青柳の交代は思い切った「いやいや、あれ始まる前は7回までいける言うとったんや。80(球)いってなかったしな。でも途中であの回だけはいかそうと思ったけどな。まあ、後ろのピッチャーも楽なところで投げさせたかったしな、結局。そういうのもあってな。あれはオレが間違ってな。まさか神里に代打出すとは思わんかったからな。だから2番(林)は辛抱したんやけどな。あれはオレが間違ごうたな。ちょっと。宮崎が出てくるとは思わんかった」-ああいう場面は経験豊富な岩崎「うん。まあ、だから、そうよね。左っていうのもあったし、やっぱり一番経験のあるね。だから結局は、もしランナーいてる時に交代するのであれば岩崎いこうと思ってた。経験あるもんでないと。ほかのピッチャーは、初めての登板はイニングの頭からいかそうと思っとったんでね」-ベンチで点を取る。スクイズなど効果的な「まあ、そうだな。追加点という意味ではね。まあヒットの割には効率的にな、点取れたと思うし。まあ、そういう意味ではよかったんちゃうかな。バリエーションというか、そういうのもね、だいたい流れ的にはすごい、いい流れで点数を、追加点も重ねられたしね」-9回以外の継投は今後も展開をみながら「そうやな。まあ誰でもよかったいうとおかしいけど、みんなちょっとね、開幕させてやりたいというのがあるから。それもな、楽な時に投げれたらいいけど、楽なところで投げさせて2点取られたら、後がきつくなるからな、でもな。あんまりそれもあれやけど。まだまだ開幕してない野手もいるし、ピッチャーもいるけど、あしたも開幕みたいな感じになると思うよ。みんなが落ち着いた感じにできるまではな」-小幡がいいスタート「おお、いい流れで入ったねえ。今までの分くらいヒット打ったんちゃうか」-最後まで悩んで決めた遊撃手だが「いや、いつでもいけるショートがいるからや。木浪というな」-四球なども効果的に絡めた「下位の方が入りそうな気がするな。それはええことやんか。下位からも点数取れたら、そらええことやけどな」-終盤は昨年がよぎったと「いや、よぎるよ。パッと見たら(K)ケラーやったから。よぎるやろ。オレは何にも関係ないけど、そらしゃあないやん。投げてるの(K)ケラーやったから、そらよぎるやろ。よぎったよ、そやろ。当たり前やろ。(もし)オレ、スタンドで見ててもよぎったよ。スタンドでもベンチでもよぎったよ」-昨年の開幕戦の再現にならなかったことがよかった「そうやなあ。だから四球3つ出しても0点に抑えたことが大きいんじゃないかな、湯浅にしても。まあ次の登板はああいうことはないと思うけど。これは後ろのピッチャーなんか先発に勝ち付けたる、自分もセーブつく、ホールドつくと、それが後ろのピッチャーのプラスマイナスが大きいっていうけど、まず先発にな、勝ち星をつけるのが一番やからな、結局。それはよかったな。後ろのブルペンも苦しんだけど、最終的にはな、やっぱ湯浅も0点で抑えたのがよかったんじゃないかな。1点でも取られるのと、0点というのはな」-スッと勝つよりも良かった面も「いやいや、そらスッといってほしいよ。そら、こっちは。でも143試合もしたら、いろんなこと起きるよ。それが起きても、うまいこと0点で終わってくれる起き方だったらええけどな、今日みたいにな」

◆森下クン、これがドラ1先輩のお手本打や! 阪神不動のクリーンアップを形成する4番大山悠輔内野手、5番佐藤輝明内野手が、先制劇を演出した。2回先頭、大山がバットを折りながらも中前へ運ぶ。今季チーム初安打をしぶとく決め、流れはグッと虎に傾いた。続く佐藤輝は左翼への二塁打。今季自身初打席初安打で無死二、三塁と好機を拡大させ、梅野、小幡の連続適時打につなげた。「どんな当たりであっても、もうオープン戦じゃない。シーズンは結果なので。そういう意味では良かったですし、チームが勝てたのが一番良かった」と大山。佐藤輝は「ワンスイング目でヒットを打てたので、ホッとしました」とうなずいた。後ろを打つ森下に"続け"と言わんばかりの快音だった。5回無死一、三塁では2番手森原から大山がきっちりと中犠飛。終わってみれば3点差に迫られ、9回もピンチを作った試合。この1点が貴重だった。「最低限ですが役割を果たせた」と背番号3。佐藤輝も8回に好走塁で二塁を陥れる二塁打を決め、マルチ安打発進。その後、6点目のホームを踏んだ。23年、OS砲がどっしりと打線の中心に座り続ける。【中野椋】

◆阪神の新守護神湯浅京己投手(23)が、ヒヤヒヤのプロ初セーブを挙げた。3点リードの9回に5番手で登板。3四球で1死満塁となると、京セラドーム大阪がざわついた。「ヒヤヒヤです...。でもやるしかない、と。何も考えずに向かっていくだけでした」昨年のヤクルトとの開幕戦は最大7点差をひっくり返され敗戦。悪夢再び...。そんな虎党の心配は、WBCで世界一に輝いた右腕には不要だった。佐野を3球で見逃し三振、ソトは高めの146キロ直球で遊飛。阪神の投手がシーズン開幕戦で自身の初セーブを挙げたのは、池内豊が79年4月7日広島戦で記録して以来、44年ぶりだ。緊迫したシチュエーションでも冷静な自分がいた。「あと1球...あと1球...」。ソトを追い込んだ場面で「初めての『あと1球コール』、聞こえてました」。笑顔で「(歓声は)気持ちいいですね」とも言った。ファンの声援を力に変えゼロで切り抜けた。今季初登板で教訓も得た。3四球に「アバウトにいくところはいかないと」。大胆にストライクゾーンに投げ込む大切さを痛感した。「先頭の四球が反省。不利なカウントになるべくしないように」。無失点の事実以上に、大切なことを感じ取った。お立ち台では青柳から「湯浅はファンを楽しませるために、ああいうピッチングをしたと思う」とイジられ、「ヒヤヒヤさせてすいませんでした!」とペコリ。同じ失敗はしない。湯浅ならもう、大丈夫だ。【中野椋】▽阪神岡田監督(湯浅について)「まあ、こんなもんでしょう、開幕ね。本人も抑えないといけないという重圧はあると思うし。みんなで持ってきてくれた9回なんで、内容とかは抜きにして0点で抑えたのはよかったんじゃないかなと」湯浅がプロ初セーブを挙げた。阪神の投手がシーズン開幕戦で自身の初セーブを挙げたのは、池内豊が79年4月7日広島戦で記録して以来、44年ぶり。なお池内は交換トレードで南海(現ソフトバンク)から移籍。球団生え抜き投手に限ると湯浅が初。

◆DeNAは「青柳対策」がはまらず、阪神岡田監督に復帰後初勝利を許した。昨季1勝3敗だった天敵青柳攻略に向け、投手の石田を含む左打者8人を並べるオーダーを選択。昨季終盤と同じく、3年連続打率3割超えの宮崎、本塁打王2回のソトを外し、勝負をかけたが、青柳相手に1得点に終わった。三浦監督は「そう簡単に攻略できない投手。序盤のビハインドが響いた」と唇をかんだ。守備のミスで流れを失った。本職は二塁だが、オープン戦から打撃好調のルーキー林を三塁で起用。だがプロ初出場の重圧からか2失策。8回には佐藤輝の右前への安打を楠本が山なりで返球したスキを突かれる形で二塁打とされ、指揮官は「大いに反省してもらいます」と苦言を呈した。代打から出場した宮崎が2安打3打点で気を吐いたが、反撃届かず。三浦監督就任後、開幕戦は3連敗を喫した。■石田、開幕戦3連敗3度目の開幕投手を務めた石田が、4回4失点で自身の開幕戦3連敗を喫した。初回は完璧な立ち上がりだったが、2回に4長短打とルーキー林の失策も絡み3失点。4回にも青柳のスクイズで追加点を奪われた。「いい流れを作ることができなかったことが一番の反省点です」と悔しさをにじませた。

◆阪神のエース青柳晃洋投手(29)が、6回途中2安打1失点の好投でチームを2年ぶりの開幕白星発進に導いた。自己最速タイの149キロ直球を軸に、両サイド、高低を使い分け、4回まで完全投球。抜群の立ち上がりでチームを鼓舞し、見事に初の大役を全うした。お立ち台でファンの祝福を受け「(大歓声は)久々ですけど、最高ですね」と充実の表情を浮かべた。岡田監督の助言を生かした。開幕前ラスト2試合は制球に苦しみ、指揮官からクイック投法が原因の1つと指摘を受けた。真意を確かめるべく、25日の練習中に指揮官に自ら歩み寄った。その際に「もっとアバウトにいっていいんじゃないか」とアドバイスを受けたことを明かし、「打たれるまでアバウトに、ストライクゾーンで勝負しようと思った。それがうまくいったと思う」と振り返った。今オフはより強い真っすぐを求め「(左)足を地面についてから投げる」ことに重きを置いた。帝京大時代から師事する日本工学院の内田幸一トレーナー(47)は「右腕が遅れてムチのように出てくるというのが理想。分かってても打てない真っすぐを投げるためですね」と説明。昨年からウエートトレに加え、投球動作に近い形のトレーニングを組み込んだ。フォームの再現性を高めると同時に、直球の質を向上させた。開幕投手に白星がついたのは18年メッセンジャー以来5年ぶり。日本人に限れば11年能見以来12年ぶりで、個人ではシーズン初戦4連勝だ。昨年開幕直前に新型コロナに感染した影響で立てなかった舞台で雪辱を果たし、チームに大きな「1勝」をもたらした。【古財稜明】青柳が大学時代から師事する内田氏は、阪神のエース右腕を「能力的には凡人なんです」と笑う。川崎工科から帝京大を経て、ドラフト5位で阪神に入団。決してエリート街道とは言えない道を歩みながら、球界を代表する投手となった姿を見てきただけに、「その彼がたゆまぬ努力と常に昨日の自分を越えていく意識を持ってきたことで、天才たちを料理していく姿がいつも痛快です」。内田氏は昔話の「うさぎと亀」を例に、青柳を「亀」と表した。「ヤギはとにかくあきらめない。できるまでコツコツやる。人生できるかできないかじゃなく、やるかやらないかを証明してくれる貴重な亀だと思ってます。凡人でもやり方次第でここまで行けるという姿を日本中に見てほしいです」。この日も関東から京セラドーム大阪にかけつけて、愛弟子の勇姿を見届けた。岩崎がヒヤリ投球で0回1/3を1安打無失点で乗り切った。6回2死一、二塁で先発青柳から岩崎にスイッチ。代打宮崎に中前適時打を浴びたが、DeNA4番牧を内角直球で空振り三振とし、最少失点でこの回を切り抜けた。岡田監督は岩崎、湯浅らリリーフの投球について「開幕のプレッシャーとか抜きにしても、ちょっと球は高いし、甘いのはだいぶ修正しないといけないところもあるかも分からないね」と冷静に分析した。K・ケラーは1回2安打2失点で耐え抜いた。5点リードの8回にマウンドへ。1死二、三塁で宮崎に適時中前打を浴び、2点を失った。昨季開幕戦の大逆転負けあるだけに、球場もざわざわ。それでも、4番牧を空振り三振、5番楠本を中飛に仕留め、なんとかリードを守った。岡田監督も「パッと見たらケラーやったから。よぎるやろ」と苦笑いだった。

◆アレへ1勝だ。阪神がDeNAとの開幕戦(京セラドーム大阪)を白星で飾った。岡田彰布監督(65)が積極的にタクトを振って勝利をたぐり寄せた。好投を続ける青柳晃洋投手(29)を6回途中でスイッチ。前のめりの継投策でリードを守った。遊撃スタメンで起用した小幡竜平内野手(22)が3安打2打点と活躍。荒波に乗りだした岡田丸が最高の船出だ。5283日ぶりの勝利に12球団最年長の岡田監督はホッとした表情を見せた。3点差まで追い上げられ、最後は湯浅が1発出れば逆転の1死満塁のピンチを背負ったが、佐野、ソトを打ち取り切り抜けた。「嫌な感じがしたんよ。オレは全然昨年は関係ないんだけど。そういうシーンが頭をよぎったね」。昨年の開幕戦は7点差逆転負け。今年は湯浅が踏ん張った。継投も思い切りがよかった。5回まで1安打無失点だった開幕投手の青柳を6回2死一、二塁で左腕岩崎にスイッチ。「まさか神里に代打出すとは思わんかったからな。オレが間違ったな。宮崎が出てくるとは思わんかった」と、想定外だったが、経験豊富な岩崎を出すことは決めていた。攻撃でも勝利への執念の采配だった。3点リードの4回1死一、三塁から投手の青柳に初球スクイズを指令。きっちりと成功させた。3月27日に指揮官が休日返上で先発投手の練習に顔を出し、バント指導した成果だった。8回も無死二塁から代打糸原の二ゴロで三塁に進め、小幡の適時打につなげた。「まあ、ヒットの割に効率的に点取れたと思う」と、9安打6得点の白星に、ベンチで点を取る岡田野球の力を見せた。この日、自宅を出る時に「あまり寝れんかったわ。(気持ち的に)ちょっとなあ」と、笑った。開幕の高ぶりを抑えられなかった。赤飯とタイの尾頭付きを食べ、満開の桜の下、京セラドーム大阪へ乗り込んだ。チケットは完売。満員のスタンドを何度も大歓声で酔わせた。2、3戦目もチケットは完売。虎党の熱も高まっている。試合直前に一塁側ブルペンで行われた出陣式(球団公式YouTubeで公開)で岡田監督は「苦しい時こそみんなで1つにならなあかんと思うんで。とにかく1年間頑張っていきましょう」と選手、スタッフへ呼びかけると「あと、タッチするのにグーとかパーが入り乱れてるから、阪神はパーにしよう。ハイタッチのパー。決めておこう。それでいこう。よっしゃ、頑張っていこう」とまさかの"パー指令"で笑いを誘った。若いチームに岡田監督の勝利への執念が伝わっていけば、本気で「アレ」が見えてくる。【石橋隆雄】岡田監督の阪神での勝利は、08年10月12日中日戦以来、5283日ぶり。同年は最大13差を覆され、同月10日に巨人の優勝が決定。辞任を決めていた岡田監督の最終戦でもあった。なお阪神の監督としての最長ブランク勝利は、村山実監督が88年4月14日巨人戦で挙げた5840日ぶり。前回は選手兼任として指揮を執っていたが、72年はチームが低迷し、投手に専念することを決断。金田正泰ヘッドコーチに監督を委譲した。このため同年4月18日ヤクルト戦が監督として最後の白星となっていた。

◆阪神小幡竜平内野手(22)が指揮官の起用に応えた。"初ずくめ"となった自身初の「8番遊撃」開幕スタメンで、走攻守に躍動。「試合始まるまですごく緊張していた」と振り返る中、堂々としたプレーで黄色く染まった球場を何度もわかせた。2回の第1打席。梅野の適時打で先制した直後、無死満塁の場面。今季「初打席」を迎えると、134キロ変化球をはじき返して「初安打初打点」を記録した。4回には12球粘った末にこの日2本目の安打。8回の第4打席では2点リードの2死三塁から貴重な追加点となる左翼前打で「初猛打賞」。直後には二塁への「初盗塁」も記録した。岡田監督は遊撃手に対してレベルの高い守備力を求める中、守備でも4回に佐野の安打性のライナーをジャンピングキャッチで好捕。攻守で期待に応え「いい流れで(シーズンに)入ったねえ。今までの分くらいヒット打ったんちゃうか」と冗談交じりに活躍を喜んだ。木浪との激しい遊撃争いを制し、プロ5年目でつかんだ開幕定位置。当時から変わらない意志を持ち続け、この日に至った。2年前、1軍経験が浅かった21年3月、鳴尾浜で遊撃へのこだわりを語っていた。「やっぱりショートが内野を引っ張っていかないといけない。ピッチャーに声掛けだったりコミュニケーションを増やしたい。プレーの幅も準備力も上がっていく。そこは意識的にやっている」。この日も8回にK・ケラーが安打を浴びると、即座に声をかけにいった小幡。揺るがない思いが実を結んだ。9回には最後の遊飛もキャッチし試合を締めくくった。「まずは1年間しっかり1軍で戦い抜くってことを意識して。成し遂げたことがないので。しっかり『レギュラー』って言われるように頑張りたい」。最高の結果にも浮かれず、明日に向かう。【波部俊之介】■梅野先制打阪神梅野がチーム今季初得点となる適時打を放った。「7番捕手」でスタメン入り。2回に先頭の4番大山が中前打、5番佐藤輝が左翼線への二塁打、6番森下が三塁手の失策で出塁と無死満塁の絶好のチャンスで打席が回った。カウント1-2と追い込まれながらも、頭の中は冷静。131キロのチェンジアップを強振。左前に運び、欲しかった先制点を呼び込んだ。背番号2もガッツポーズで喜びを爆発。「なんとか事を起こしたかったですし、コンパクトに打つことができた。先制することができてよかった」と胸をなで下ろした。今季は岡田監督から正捕手を託された。その期待に応える形で打撃と守備で活躍。初白星に貢献した。青柳、湯浅とお立ち台に立ち、笑顔。「やってやるぞって気持ちで迎えているので、応援よろしくお願いします!」とファンと喜びを分かち合った。■中野、好守で流れ呼んだWBCで世界一に貢献した中野が、二塁の守備で流れを呼び込んだ。初回の1死走者なし。2番林が二遊間へ打球をはじき返すも、逆シングルで捕球し、そのままジャンピングスロー。正確な送球でアウトにした。今季から守る二塁の守備で早速の美技を披露し「セカンドとして初めての中で、1発目のプレーでああいうプレーが出たのは大きかった」。盗塁も記録し、持ち前の足と守備でわかせた。■ノイジー、マルチ安打新外国人ノイジーがマルチ安打を記録した。5回の第3打席。無死一塁から151キロ直球を詰まりながらも左中間へ運んだ。7回には1死二塁の好機で中堅前へ。本塁を狙った走者近本が間一髪アウトとなったが、勝負強い打撃を見せた。「まずはチームが勝てたことが本当にうれしい。この流れに乗って明日もチームの勝利を優先してプレーしていきたい」と喜んだ。■板山、右翼で好捕板山が美技を披露した。6回の守備から森下に代わって、「9番右翼」で途中出場。7回1死でDeNA関根の打席。右翼フェンスギリギリの大飛球を華麗にスライディングキャッチ。3番手浜地を助けるビッグプレーで流れを渡さなかった。初回は二塁手中野が逆シングルの打球を送球。4回には遊撃手の小幡のジャンピングキャッチ。昨年まで拙守に泣いたが、ファインプレー祭りを展開した。

◆阪神の今季開幕戦。両軍のスターティングメンバーが発表され、阪神はドラフト1位の森下翔太外野手(22)=中大=が「6番・右翼」で開幕スタメンを果たした。岡田監督から開幕戦のキーマンに挙げられたルーキーはオープン戦で打率・314、3本塁打、8打点のチーム3冠をマークするなど猛アピール。入団当初から目標に掲げていた開幕スタメンの座をつかみ取った。また、新助っ人のシェルドン・ノイジー外野手(28)=前アスレチックス3A=は「3番・左翼」で先発。同じく指揮官からキーマンに挙げられた右の大砲助っ人が開幕戦で虎を勝利に導く。

◆DeNA・三浦大輔監督(49)が阪神との開幕戦を前にチームに訓示を行った。内容は以下の通り。おはようございます。いよいよ、きょうから俺たちの頂点に向かっての挑戦が始まります。みんな、緊張しているか? あるよな。俺も緊張しているし、コーチもスタッフも、相手も審判もファンも緊張していると思う。緊張しているのは自分一人だけじゃないということを分かって、出る選手は思い切ってプレーしてほしい。143試合、長いシーズン良いときもあれば悪いときもある。打てないときは、それ以上に守ってやる。打たれたときは、1点でも多く取ってやる。それを1年間、全員でカバーしながらやっていこう。キャンプで話をしたよな? 投・打・走の目標。そして、ごみの分別、DeNAにかかわるすべての方に明るく元気にあいさつする。とにかくこれを1年間貫いてやっていこう。そして、選手、コーチ、スタッフ全員がDeNAの一員であることに誇りを持って、1年間思い切って、DeNAらしく戦っていこう。OK?

◆「2番・二塁」で先発した阪神・中野拓夢内野手(26)がいきなり好守をみせ、京セラを沸かせた。一回1死。DeNAのD3位・林(駒大)の鋭い打球がセンター方向を襲った。中野が逆シングルで好捕すると、素早く一塁へ転送。中野は今季、遊撃から二塁へコンバート。守備位置が変わっても、日本代表に選出された自慢の守備力でさっそく虎を救った。

◆阪神のドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=が「6番・右翼」で先発し、プロ初打席に立った。二回、先頭の大山が中前打、続く佐藤輝が左翼線へ二塁打を放ち、無死二、三塁の先制機で打席へ。カウント1ー1から石田の138キロを強振した。ボテボテの打球にルーキーは全力疾走。これが三塁手・林のファンブルを誘い、無死満塁と好機を拡大した。

◆阪神・梅野隆太郎捕手(31)が二回に先制の左前打を放った。先頭の大山が中前打、佐藤輝が二塁打、D1位・森下(中大)が三失でつなぎ、無死満塁の絶好機で打席へ。カウント1ー2から石田の131キロチェンジアップを捉えた。打球は左前に弾む先制打。一塁に到達すると、右手をグッと握りしめ喜びを爆発させた。守っては初の開幕投手を任された青柳を好リードし、強力DeNA打線に的を絞らせない。今季はキャンプ前から岡田監督に正捕手と明言され、「いい責任感を持ってやってくることができた」と自信をもって立った開幕戦のグラウンド。指揮官の期待に応える一打で虎の正捕手がチームに勇気を与えた。さらに小幡竜平内野手(22)が中前適時打、近本光司外野手(28)の犠飛で3点を先取した。

◆1985、86年に2年連続三冠王に輝き、「史上最強助っ人」と称された元阪神のランディー・バース氏(69)が始球式に登場した。注目の投球は捕手・梅野の構えるところから大きくそれたが、「気持ちよかった。ホームプレートの距離が思ったより遠かったね」と笑顔。ファンから温かな拍手にはお辞儀をして感謝の気持ちを示した。始球式前には岡田監督や平田ヘッドコーチといった現役時代にともにプレーした、かつての盟友と再会し「会話というより笑顔になることが多かった。昔の楽しかった時代に戻ったようだよ」と喜んだ。チームはバース氏が現役時代の1985年以来、日本一を達成できておらず、リーグ優勝も2005年を最後に遠ざかっている。それでも「岡田監督は現役時代にも優勝経験があるし、2005年も監督として優勝しているので、優勝する方法を十分、分かっているはず。ぜひ優勝に期待したい」とエールを送った。

◆プロ5年目で初の開幕スタメンを勝ち取った阪神・小幡竜平内野手(22)が二回に追加点となる中前適時打を放った。「梅野さんがタイムリーを打ってくれたおかげで、少し気楽に打席に入ることができました。追加点を取ることができてよかったですし、この後の打席も集中してまた1本出せるように頑張ります」二回無死満塁で梅野が先制の左前適時打を放つと、なおも無死満塁で打席へ。石田の134キロカットボールを中前に運んだ。先制打を放った梅野も「追い込まれてしまって何とか事を起こしたかった。コンパクトに打つことができました。先制することができて良かった」とうなずいた。

◆手堅く1点をもぎ取る岡田野球の真骨頂が四回の攻撃で飛び出した。3ー0の四回。1死から梅野が四球を選んで出塁すると、8番・小幡が驚異の粘りをみせる。ファウルで食らいつきながらカウントを整えフルカウントとして12球目。スタートを切った一走・梅野に、遊撃手・森がカバーに入ろうとするも、小幡の打球が二塁方向へ動き出した森の逆を突く形となり、中前に弾んだ。エンドランに成功し、1死一、三塁と好機を広げると、投手・青柳が打席へ。その初球だった。バットを寝かせた青柳は一塁方向へ絶妙なバント。スクイズに成功し、4ー0と貴重な追加点をもぎ取った。

◆阪神の新助っ人、シェルドン・ノイジー外野手(28)=前アスレチックス3A=が五回の第3打席で来日初安打をマークした。二飛、空振り三振に続いて迎えた五回無死一塁の第3打席だった。2番手の森原に対し、フルカウントとすると151キロ直球を振り抜いた。詰まりながらも、パワーで中前に運び、公式戦で来日初の「H」ランプが点灯。無死一、三塁と好機を拡大すると、4番・大山がきっちりと中犠飛を放ち、阪神が5ー0とリードを広げた。

◆先発した阪神・青柳晃洋投手(29)は5回2/3を投げ、2安打1失点。勝ち投手の権利を持って、中継ぎ陣に後を託した。一回先頭の佐野を3球三振に仕留めると、林を二ゴロ、神里を空振り三振で抜群の立ち上がり。二回は先頭のWBC日本代表の牧を三振に仕留めるなど、四回まで一人の走者も許さないパーフェクト投球をみせた。自身のスクイズなどもあり、5ー0と大きくリードして迎えた六回。1死から代打・京田に左前打を浴びると、佐野に四球で一、二塁とこの日初めてのピンチ。林を三邪飛に打ち取り、二飛としたところで、岡田監督は岩崎にスイッチした。岩崎は代打・宮崎に中前適時打を許して1点を失うも、4番・牧を空振り三振に仕留め、ピンチを脱出した。

◆5年ぶりの開幕投手を務めたDeNAの石田は4回4失点で降板した。一回は三者凡退で好スタートを切ったが、二回に先頭打者の大山を打ち取った当たりが不運な中前打となったのを起点に崩れた。無死満塁から連続適時打を浴びるなど3失点。四回にも1点を奪われた。「僕の仕事は試合をつくること。気負いすぎずマウンドに立てたら」。序盤からつまずき、自身3度目の大役も白星をつかむことはできなかった。

◆阪神・板山祐太郎外野手(29)が5-1の七回、右中間の打球に飛び込んで捕球するファインプレーをみせた。七回1死から、DeNA・関根が放った打球に反応した。右中間へ飛んだ打球に向かって背走し、打球に対して後ろ向きのままスライディングしてボールをキャッチ。この回からマウンドに上がった浜地を助けた。この日は先発したD1位・森下(中大)に代わり、六回途中の守備から途中出場。六回に迎えた最初の打席では空振り三振に倒れたが、守備で存在感を示した。

◆開幕戦に先立って行われた阪神の出陣式の様子が、球団公式YouTubeチャンネルでアップされた。ナインの前に立った岡田彰布監督(65)は「いろいろなことが、長いシーズン、あると思うけど、これはチーム一つになって、苦しいときこそ、みんなで一つにならなアカンと思うので。その辺をね、よろしくお願いしたいと思うし。グラウンドでやるのは、選手なんだけど、俺らはフォロー組なんだけど、やりやすい環境を作って、選手の力が本当の力が出るね、そういうね、フォローをしたいので。とにかく1年間頑張っていきましょう」と鼓舞した。さらに続けて、チーム内のハイタッチ問題にも言及。「それと、タッチするのにグーとか、パーが入り乱れているから、阪神はパーにしよう。なあ。グーより強いもんな。ハイタッチはパー。これ決めておこう。グーより強いから、パーの方が。それでいこう」と緊張感を解く岡田節も健在だった。

◆阪神・岡田彰布監督(65)が5-1の七回、本塁への生還を巡ってリクエストを行った。場面は七回1死二塁。阪神の3番・ノイジーが中前打を放ち、二走の近本が一気に本塁を狙った。DeNAの中堅手・桑原が好返球で、ホームへ滑り込んだ近本はアウトの判定。岡田監督はリクエストを行ってリプレー検証が行われたが、判定は覆らず、追加点とはならなかった。新外国人のノイジーはマルチ安打の活躍も、シーズン初打点はお預けとなった。

◆三度目の正直、とはならなかった。5年ぶり3度目の開幕投手を任されたDeNA・石田健大投手(30)は、4回5安打4失点で降板した。「無駄な四球やイニングの先頭を出塁させてしまったことは反省しなくてはいけないですが、それ以上に良い流れを作ることができなかったことが一番の反省点」3度目の開幕マウンドに「落ち着いて試合に入ることはできた」と語った通り、一回は先頭の近本を二飛、続く中野も空振り三振に仕留め、三者凡退の好スタートを切った。しかし、二回先頭の大山のバットを折りながらも中前に落ちる不運な安打から暗転。要所で球が甘く入り、2本の適時打と犠飛で一挙3点を先取された。四回も四球からエンドランを絡められ、1死一、三塁から青柳にスクイズを許し、リードを広げられた。2017年にヤクルト戦(神宮)で初めて務めた開幕投手は、6回3失点で黒星。翌年、2度目の開幕マウンドもヤクルト戦(横浜)で5回5失点に終わり、黒星を喫した。その後は中継ぎ転向や不振も経験。昨季、再び先発ローテの一角を担い、再び巡ってきた大役に「僕だけが開幕というわけではない。そういう考えができるようになった」と精神面の成長を語っていた。今度こそ―。白星を期して上がったマウンドだったが、悔しい結果に終わったが「ボール自体は良いボールもあり、考え込むほどではないので、投球のリズムやテンポを意識しながら次回登板まで取り組みたい」と前を向いた。

◆阪神が逃げ切り、開幕戦に勝利した。二回無死満塁で梅野が先制打を放つと、プロ5年目で初の開幕スタメンを勝ち取った小幡が中前適時打で続き追加点。近本が犠飛を放ち、3点を先行した。四回には先発の青柳がスクイズを決め、4ー0。五回には足を絡めて無死一、三塁とすると、大山が中犠飛。手堅く1点を積み重ねた。初の開幕投手を務めた青柳は5回2/3を2安打1失点で今季1勝目。六回1死一、二塁のピンチから林を三邪飛に仕留め、2死とすると、岩崎にバトンを渡した。その岩崎が代打・宮崎に中前適時打を浴びて1失点。八回にはK・ケラーが再び宮崎に2点中前打を許し、5ー3と迫られたが、八回に小幡がしぶとく左前適時打を放ち、6ー3。最後は新守護神の湯浅が1死満塁のピンチを背負いながらも、何とか締めた。岡田監督は1次政権時代の2008年10月19日、クライマックス・シリーズ第1ステージ中日戦の2回戦(京セラ)で勝利して以来、阪神の監督としては5276日ぶりの公式戦勝利をあげた。

◆DeNAは追い上げも及ばず、開幕黒星スタート。三浦大輔監督(49)就任後、3年連続の黒星発進となり、開幕カードは7試合で0勝6敗1分けとなった。3年ぶり5度目の開幕投手を託した石田が、4回4失点で降板。打線も阪神・青柳対策として、4番・牧以外は8人の左打者を並べるオーダーを組んだが、六回途中2安打1失点の好投を許した。八回は楠本の緩慢送球から失点するなど、記録に残らないものも含めて手痛いミスが響いた。

◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(79)は8番で3安打2打点の小幡竜平内野手(22)を絶賛した。開幕戦は勝つことが最優先。そのためには、先手先手で点を奪って優位に進めることが重要。先手先手で元気な投手を投入することも重要。岡田監督の采配も「先手」を意識したものだった。正解だ。四回に青柳にセーフティースクイズを命じたのも、少しでもリードを広げようという意図が伝わってきたし、六回途中で余力があった青柳を交代させたのも、自信のあるリリーフ陣を早めに投入しても大丈夫だという自信があるからこそ。開幕戦は少しでも多くの選手に経験させて、シーズンに慣れさせたい思いも監督にはあったはず。采配が裏目になったケースもあったが、それを責めるわけにはいかない。試合で光ったのは小幡。開幕スタメン抜てきに応えた。8番打者があれだけしぶとく粘って投球数を増やし、さらにはタイムリー2本。特に八回2死からのタイムリーは貴重だったし、守備でもファインプレーがあった。7番の梅野とともに、下位打線でつながりを生んだ功労者だ。今季の阪神は、一発で勝つのではなく、つないで勝つ野球をしなければいけない。それが小幡の活躍で開幕からできたことも大きい。ノイジーもコンパクトな打撃でセンター返しを心がけての2安打。自信がついただろう。言い出したらキリがないが、1勝に上回るものはない。2戦目からは、監督も選手も落ち着いて戦えるだろう。

◆DeNA・三浦大輔監督(49)は試合後、右翼手・楠本の八回の緩慢プレーについて「隙を見せた、ミスだと思います。非常に大きな1失点。大いに反省してもらいます」と厳しく言及した。問題となったプレーは八回、宮崎の2点打で3―5と最大5点差から2点差まで追い上げ迎えたその裏の守りだった。先頭の佐藤輝の右前打をワンバウンドで捕球した楠本は、二塁手・牧へ力のない山なりの返球。この隙を逃さず、佐藤が二塁を陥れた。続く代打・糸原の二ゴロは、佐藤輝が一塁で止まっていれば併殺打の可能性もあったが、進塁打となり三塁進塁を許し、小幡の適時打で再び点差を広げられた。指揮官は就任時から試合終了まで諦めず全力プレーを求めてきただけに、開幕戦から手痛いプレーとなった。

◆DeNAは青柳攻略に失敗した。主力の宮崎、桑原らを外し、4番の牧以外は全て左打者を並べたが、抑え込まれた。青柳から安打を放ったのは牧と代打で出た京田だけ。策が決まらず、三浦監督は「そう簡単には攻略できない投手。これを明日につなげていく」と言うしかなかった。終盤は追い上げたが、九回1死満塁から佐野、ソトが凡退するなど決め手を欠いた。三浦監督は就任から3年連続黒星スタートとなった。(京セラ)

◆DeNAのドラフト3位新人の林が「2番・三塁」で開幕戦先発出場したが、ほろ苦いデビューとなった。守備では2失策。打撃も六回の好機で三邪飛に倒れるなど3打数無安打と振るわなかった。オープン戦でアピールに成功して本番を迎えたが力を出せず「気持ちが揺らいだ。何もできなかった」と唇をかんだ。三浦監督は「使っているのはこっち。やり返してくれるでしょう」とかばった。(京セラ)

◆阪神が白星発進。二回に梅野隆太郎捕手(31)の先制打などで3点を先取。2点差に詰め寄られた八回には小幡竜平内野手(22)が二回に続く適時打を放つなど、6ー3で開幕戦勝利を飾った。シェルドン・ノイジー外野手(28)、佐藤輝明内野手(24)はそれぞれ2安打、1安打の大山悠輔内野手(28)は犠飛による1打点。先発の青柳晃洋投手(29)は5回?を投げて1失点。四回にはスクイズも決めた。九回は湯浅京己投手(23)が3四球で1死満塁の窮地を招いたが、プロ初セーブをマークした。岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(成績=1勝0敗、観衆=3万6093人)ーー青柳の交代は思い切った「アレ始まる前は七回まで行ける言うとったんや。80(球)いってなかったしな。でも途中であの回だけはいかそうと思ったけどな。後ろのピッチャーも楽なところで投げさせたかったしな。アレは俺が間違ってな。まさか神里に代打出すとは思わんかったからな(六回2死一、二塁で岩崎投入も、神里の代打・宮崎に中前適時打許す)。だから2番(林)は辛抱したんやけどな。あれは俺が間違ごうたな。ちょっと。宮崎が出てくるとは思わんかった」ーーああいう場面は経験豊富な岩崎「もしランナーいてる時に交代するのであれば岩崎行こうと思ってた。経験あるもんでないと。ほかのピッチャーは、初めての登板はイニングの頭からいかそうと思っとったんでね」ーーベンチで点を取る。スクイズなど効果的だった「追加点という意味ではね。ヒットの割には効率的にな、点取れたと思う。いい流れで追加点も重ねられたしね」ーー九回以外の継投は今後の展開を見ながら「誰でもよかったいうとおかしいけど、みんな開幕させてやりたいというのがあるから。まだ開幕してない野手もいるし、ピッチャーもいるけど、明日も開幕みたいな感じになると思うよ」ーー小幡がいいスタート「いい流れで入ったねえ。今までの分くらいヒット打ったんちゃうか」ーー四球なども効果的に絡めた「下位の方が入りそうな気がするな。それはエエことやんか。下位からも点数取れたら、そらエエことやけどな」ーー去年がよぎったと(八回に4番手のK・ケラーが2失点)「よぎるよ。パッと見たらケラーやったから。よぎるやろ。俺は何にも関係ないけど、そらしゃあないやん。投げてるのケラーやったから、そらよぎるやろ。よぎったよ、そやろ。当たり前やろ。(もし)俺スタンドで見ててもよぎったよ。スタンドでもベンチでもよぎったよ」ーー再現にならなかったことが良かった「だからフォアボール3つ出しても0点に抑えたことが大きいんじゃないかな、湯浅にしても。次の登板はああいうことはないと思うけど」ーースッと勝つよりも良かった面も「そらスッと行ってほしいよ。こっちは。でも143試合もしたら、いろんなこと起きるよ。それが起きても、うまいこと0点で終わってくれる起き方だったらエエけどな、今日みたいにな」

◆DeNAのドラフト3位・林琢真内野手(22)=駒大=が「2番・三塁」で初出場するも、3打数無安打、2失策で、七回に途中交代の〝ホロ苦デビュー〟に「気持ちが揺れていた。持っているものを出せず、何もできなかった」と肩を落とした。オープン戦で12球団3位の打率・296をマークするなどアピールし、30日に開幕スタメン起用を告げられた。しかし、オープン戦では何度も好守備を連発していた守りで、二回、五回にいずれも失点につながる2失策。2打席無安打で迎えた六回1死一、二塁では1球で三邪飛に倒れ天を仰いだ。大学時代は主に二塁手ながら、オープン戦で三塁や遊撃、外野も守り、開幕戦でも青柳対策として左打者8人を並べるオーダーの中、三塁で起用した三浦監督は「使っているのはこっち。明日またやり返してくれるでしょう」とかばった。

◆エースの右腕から、虎の2023年は幕を開けた。念願の開幕投手で湧きあがる高揚感も表に出さず、力強くマウンドに君臨。5回?を2安打1失点と粘った青柳に、開幕星が届いた。「入りが大事だと思っていたので(序盤から)全力でいきました。開幕ではできすぎかなというぐらい、いいボールがいった」一回先頭の佐野を148キロ直球で三球三振に仕留めると、速球中心でグイグイと押した。二回先頭・牧はクイックでタイミングをずらして空振り三振に抑えるなど、球速も含めた緩急で的を絞らせず、四回までパーフェクト。六回に安打と四球で得点圏に走者を背負い、2死にこぎつけたところで球数が93球に達して交代した。四回1死一、三塁の第2打席ではスクイズを決めて4点目を奪い、投打両面で勝利に貢献。「チーム自体が勝てたというのが、本当に大きい」と一丸でつかんだ勝利に笑顔だ。昨季、初めて大役を託されたが、開幕直前に新型コロナウイルスの陽性判定を受けて回避。悔しさだけでなく「本当に(藤浪)晋太郎(現アスレチックス)に申し訳ない」と代役を務めた右腕への思いが胸を埋めた。

◆九回2死満塁。手に汗握る展開の中、「あと1球!」のコールが背中を押す。湯浅はゆっくりと息を吐くと、最後は渾身のストレートで27個目のアウトを奪い、苦しみながらも公式戦初セーブをマークした。「ヒヤヒヤさせてすみませんでした!」お立ち台で謝罪するほど、ハラハラする内容だった。6―3の九回にマウンドへ。いきなり代打・大田、戸柱に連続四球。桑原を見逃し三振に仕留めたが、京田にも四球を出して1死満塁―。それでも長打が出れば同点という場面で粘り強さを発揮した。佐野を内角の直球で3球三振に仕留めると、最後はソトを遊飛に打ち取って試合終了。「四球を出してしまったところは反省」と振り返りながらも、「あそこで0点に抑えたのは自信にもなる。チームを負けさせなかったのでよかった」と胸をなで下ろした。開幕戦で記念すべきセーブを記録した新守護神に、岡田監督も「抑えないといけないという重圧はあると思う。内容とかは抜きにして、0点で抑えたのはよかったんじゃないか」と評価した。世界一に貢献したWBCで強烈に目に焼き付いた光景がある。九回のマウンドに抑えとして上がり、胴上げ投手となった大谷(エンゼルス)の姿は理想の守護神像の一つでもあった。大会MVPの投球をブルペンから見ていた湯浅は「カッコイイなと思った。ああいうふうに自分もタイガースで試合を締めたいなと思った」。世界を体感し、さらに成長した若虎は〝アレ〟のためにこれからも九回に登板する。「(セーブ)数は気にしていないけど、しっかりゼロに抑えて数字が積み重なっていけば」次こそファンをヒヤヒヤさせず、アツアツな投球で試合を締める。(織原祥平)

◆小幡が3安打猛打賞、2打点の大活躍。ドームに響かせた快音で、勝利に貢献した。「試合が始まるまで、始まってからも緊張していたと思います。フワフワした気持ちもあった。その中でもしっかりプレーできたなと思います」「8番・遊撃」としてプロ5年目で初の開幕スタメン。梅野の一打で先制し、なおも無死満塁で迎えた二回の今季初打席。石田の134キロカットボールを振り切った。中前にポトリと落とす技ありの適時打に、右拳をグッと握りしめた。四回1死では粘って12球目を中前へ。青柳のスクイズへとつなげると、2点差に迫られた八回2死三塁は、価値ある左前適時打を放ち、3安打2打点。盗塁もマークすれば、四回は先頭・佐野の打球をジャンピングキャッチと守備でも魅せた。走攻守で光った8番打者に岡田監督も「おお、いい流れで入ったねえ。今までの分くらいヒット打ったんちゃうか、3年分くらい」とジョークを飛ばすほど上機嫌。期待に応えた小幡も「勝ててよかったなと思います」と笑顔をのぞかせた。「1年間、1軍で戦い抜くということをテーマにして、しっかり『レギュラーだ』といわれるように頑張りたい」まだ、ここからが本番。不動の遊撃手と呼ばれるまで、奮闘は続く。(原田遼太郎)

◆亡き恩人が眠る大阪で、新たなスタートを切った。中日からトレードで新加入のDeNA・京田陽太内野手(28)が、0―5の六回に代打で出場。移籍後公式戦初打席で初安打となる左前打を放ち、「ベイスターズでの初打席で、何とか打てて良かった」と反撃の起点となった。昨季4打数無安打に抑えられた阪神・青柳のシンカーを捉えた。そこから打線がつながり、宮崎の適時打でチーム今季初得点となるホームイン。その後も2四球を選んで好機を広げ、遊撃で好守備も見せた。オープン戦は打率・160と結果を残せなかったが、しっかりと本番に合わせた。新天地で背負う番号は「98」。中日の同期入団で、2021年8月に27歳の若さで急逝した木下雄介さんが着けていた背番号だ。グラウンドを離れても仲が良く、何でも話せた1学年上の恩人。中日時代は木下さんが着用していたTシャツをロッカーにかけ、自宅に思い出の写真を飾っていた。DeNA移籍に際し「本当に僕の中でお世話になった方。一緒に頑張ろうという思いも込めて」と、自ら背番号98を選んだ。運命か―。新天地で初めて迎えた開幕戦は、木下さんの出身地、大阪での試合だった。スタンドには、家族ぐるみで親しかった木下さんの妻と子供が、応援に駆けつけてくれていた。特別な存在が、京田に力を与えた。「少ないチャンスだと思うけど、そういう与えられたところで何とかチームに貢献できるようにやっていきたい」雄介さん、見ていますか-。開幕戦勝利はならなかったが、京田がベイスターズで確かな一歩を踏み出した。(浜浦日向)

◆勝った~! プロ野球は5試合が行われ、全12球団が開幕した。阪神はDeNA戦(京セラ)に6―3で勝ち、15年ぶりに復帰した岡田彰布監督(65)はチームを2年ぶりの白星発進に導いた。スクイズあり、早めの継投ありで、1点をしぶとく取って守り切るオカダ野球を展開。こりゃあ、今年のタイガースは強い! アレに向かって、一直線や!!6-3の九回2死満塁。湯浅がソトを遊飛に打ち取ると、スタンドに詰めかけた3万6093人から大歓声がわき起こった。ベンチの岡田監督はようやく少し表情を緩めるとポンと手をたたいて、大きく息を吐いた。「嫌な感じがしたんよ。去年(逆転負けを)見てたからね。俺は(評論家で)全然関係ないんだけど、そういうシーンが頭をよぎったね」五回を終えて5―0。気は早いけど、快勝? と思っていたら、ハラハラさせられた。六回に1失点。八回にはK・ケラーが2失点。最終回は湯浅が3四球で満塁のピンチ。「パッと見たらケラーやったから、(頭を)よぎったわ」。昨年の開幕戦は最大7点差を大逆転されて黒星。くしくも同じ助っ人がマウンドにいた。だが、同じ轍は踏まなかった。15年ぶりにタテジマに袖を通し、采配を駆使して勝ちにいった。「序盤はすごくよかった」。二回に主軸と見定めた大山、佐藤輝の連打から3点を先制すると、四回は青柳にスクイズを命じて追加点。五回は中野の機動力でもう1点を奪い、主導権を握った。六回以降も采配が決まった。「ランナーがいるときに交代するのであれば(経験豊富な)岩崎でいこうと思っていた」。六回2死二、三塁で岩崎を投入して継投開始。七回には途中出場させた板山が、右翼フェンス際の大飛球をスライディングキャッチした。「なんで代えてたんやろ? まあ、良かったですね」とニヤリと笑った。

◆誰もが思い出したはず。1年前の悪夢を。2年連続で大逆転負けを食らったら...。でも、世界の舞台を経験した守護神は、最後の一線で踏ん張る力を持っていた。アレ劇場開幕-。全国1億の虎党のみなさま、おめでとうございます。さあ、いいことだけを思い出しましょう。二回無死満塁から、梅ちゃん、よく打った! 四回の青柳のセーフティースクイズ、おみごと! さすがに意表を突かれた。これも岡田采配か。最初に指揮官に就いた2004年とは違って、試合中に岡田監督の笑顔が目立った。と、大ベテラン記者たちが「監督も変わったなぁ」と驚きながら見ていた。とにかく、いい試合だった。昼下がり。開門にはまだ時間があるのに、京セラドームへ向かう地下鉄は、タイガースのレプリカユニホームを着たファンで埋まっていた。待ちに待ったプロ野球の、阪神の季節到来だ。待ちに待っていたのはファンだけでない。わがサンケイスポーツも...。運動部長・堀啓介は試合前にドームに顔を見せてごあいさつ。忙しそうだ。これも開幕の風景。当番デスクは野下俊晴。実は4月1日付の人事でレース部への異動が決まっており、昨夜が「ラスト運動部勤務」だった。「運動部デスクは確か2015年からです。阪神の優勝を見られなかったのが心残りです。僕は阪神の臨時増刊(雑誌)も担当していて何冊も作ったんですが、結局、優勝記念号にだけは縁がなくて。まあ、その分、現場記者時代にも担当したオリックスの優勝記念号には2度も携わりましたが...。この1勝はデカい。レース部のデスク席から、岡田阪神の大躍進を祈ってます」去り行く人がいれば、やってくる人も。本日付でレース部から運動部次長として戻ってくるのが川端亮平。かつてトラ番としてブイブイ活躍していた男です。川端のお話はおいおい紹介していくことにします。

◆自宅でテレビ観戦していました。最後はハラハラしましたけど、勝つことができてホッとしています。コーチ、選手、球団の方。応援してくださっているみなさまに、感謝の気持ちでいっぱいです。昨年秋に監督就任のお話をいただいたときは年齢も年齢ですし、体力的に大丈夫かなと思いました。顔のしわも多くなって、髪も減ってしまったけど(笑)。ユニホームを着て戦っている姿をみて、すごくエネルギッシュだな、現場が好きなんだなと感じております。昨秋の安芸キャンプ、そして春の宜野座キャンプから帰ってきたときに「すごくやりがいを感じているんや」と話していました。「選手がすごく素直で、吸収するスピードも速い」とうれしそうでした。前回(2004~08年)は、実績のある選手が多かったじゃないですか。今回は若い選手がほとんど。伸び盛りで、ピークに達している人は一人もいないでしょ。主人も「完成品にしたいんや」と話していました。この前「疲れてないの」と聞いてみたら「そら、しんどいよ」と言うんですけど、その言い方が「元気だけど、しんどいよ」みたいな感じでした(笑)。本当に、好きなことをやらせていただいていると思いますね。独特の関西弁で、あまりしゃべるのは得意じゃないから、今の若い選手の方も戸惑いがあるかもしれませんし、近づきにくい雰囲気もあるでしょう。「野球がうまくなりたい」「この選手を一流に育てたい」という思いが合致すれば、年齢差は関係ないと思います。新聞を読んでも、若いときはもっと厳しい感じだったみたいに書かれています。今はとがっている部分が丸くなって、いい感じにきたなと私は勝手に解釈しています(笑)。年齢とともに食事の量もお酒の量も自然と落ちている感じで、飲みすぎると次の日に疲れるらしいです。シーズンは長いですし「疲れ」も来るでしょうが、基本的にはタフな人間。ユニホームを着れば、元気が出る人ですから。体に気をつけて、応援してくれるファンのみなさまが期待しているアレを目指して頑張ってほしいと、せつに願っています。(阪神監督夫人)

◆ARE、アレ、あれ~の岡田阪神、バンザーイ!! 九回、新守護神の湯浅がアレ?と3四球を与えた。一発を食らえば、昨年の開幕戦で7点リードを逆転された悪夢が再び...とおびえたけど、よく踏んばってくれた。湯浅、プロ初セーブ、オメデトウ!!開幕戦に勝って、WBCの世界一くらい虎党は興奮なのだ。えっ、大ゲサ過ぎる? いえ! 昨年の阪神は開幕17試合を終えて1勝だけだったという事実、あなたは知ってまっか~!?新ショートの小幡はうれしいアレ! 3本もヒットを打ったのだ。打線は頼もしかったけど、やはり本日のヒーローは青柳さまでーす!! DeNAの先発オーダー、見ました? サイドスローの青柳対策として、牧以外の8人は左打者。番長三浦さん、カツアゲみたいなもんよ~!!しかし、青柳さんは番長におびえなかった。先発した左打者には一本もヒットを許さなかったんだから!! よっしゃ、こよいはカラオケで懐かしの『わたしの彼は左きき』を熱唱して、お祝いじゃー!!

◆阪神のD1位・森下翔太外野手(22)=中大=が「6番・右翼」で出場。第1打席は三失で出塁したが、3打数無安打で六回途中から退いた。打席に入るたびに大歓声を浴び「個人としてもまずは(安打を)1本出して、気を楽にしたい」と次戦を見据えた。スタンドで見守った父・善文さんも「みんなが頑張っている波に乗ってもらえれば。気負わずやってほしい」と期待していた。

◆今季から二塁にコンバートされた阪神・中野拓夢内野手(26)が美技で魅せた。一回1死で林の中堅へ抜けようかという打球を逆シングルで捕球し、素早く一塁へ送球。「セカンドとして初めての中、よかったです」と声を弾ませた。2打数無安打も1四球1盗塁1犠打と存在感を発揮。試合前の円陣での声出しでは逆転負けした昨季開幕戦の雪辱を誓い、「近本さんに言われて、やりました」と語った。

◆「1番・中堅」の阪神・近本光司外野手(28)は二回、2点を先制して、なお1死満塁で左翼へ犠飛を放ってリードを広げ「イメージ通りのバッティングができている」と語った。試合前には登場曲を歌うC&Kのライブを見届け、開幕戦の雰囲気を楽しんだ。2打数無安打だったが「内容的にもやりたいことがしっかりできている。ボール球を振っていないところが自分の中ではよかった」と手応えを口にした。

◆「3番・左翼」で出場した阪神のシェルドン・ノイジー外野手(28)が上々のタテジマデビューを飾った。4-0の五回無死一塁で来日初安打となる中前打でチャンスメークし、大山の犠飛につなげた。七回にも中前打を放って4打数2安打の結果に「この流れに乗ってチームの勝利を優先して戦っていきたい」と力を込めた。初安打の記念球は「MLBでの初安打の横に飾りたい」。新助っ人が開幕星に貢献した。

◆「7番」で出場した阪神・梅野隆太郎捕手(31)が先制打で先発の青柳晃洋投手(29)を援護した。二回無死満塁で石田のチェンジアップを捉え、左前へ。この回3得点へ導き、「自分が打って、そこから下位打線で(点を)取ったのが大きいですし、いい援護になったと思う」とうなずいた。先行する展開で5投手をリードし、開幕戦勝利に貢献。正捕手の役割を果たし「どんな形であっても勝つことができてよかった」と胸を張った。

◆「5番・三塁」の阪神・佐藤輝明内野手(24)は二回無死一塁から左翼線へ二塁打を放ち、この回3得点のきっかけを作った。「1スイング目でヒットが出たので、ホッとしました」。八回の第4打席は右前への当たりだったが、打球のはね方を「しっかり見てました」と見逃さず二塁へ。好走塁も光って2本の長打を放ち、勝利に貢献し「まず一戦取れたことは大きい。これを積み重ねていければ」と力を込めた。

◆「4番・一塁」の阪神・大山悠輔内野手(28)は二回先頭でバットを折りながら中前打として、先制点をおぜん立て。4-0の五回無死一、三塁では中犠飛で今季初打点を挙げ、3打数1安打1打点で開幕戦勝利に貢献した。「どんな当たりでもシーズンは結果。そういう意味では1本出てよかった。なによりチームが勝てたことがよかった。しっかり反省して、いい準備で(次戦を)迎えたい」と気合を入れ直した。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
ヤクルト
100 1.000- 1424024 0.2580.000
1
阪神
100 1.0000 1426302 0.3103.000
1
中日
100 1.0000 1426301 0.3243.000
4
DeNA
010 0.0001 1423600 0.1824.500
4
巨人
010 0.0001 1423610 0.1614.000
4
広島
010 0.0001 1420400 0.1114.500