阪神(★2対7☆)オリックス =オープン戦2回戦(2023.03.05)・阪神甲子園球場=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
ORIX
04000100271101
阪神
0002000002411
勝利投手:田嶋 大樹(1勝0敗0S)
敗戦投手:大竹 耕太郎(0勝1敗0S)

本塁打
【オリックス】中川 圭太(1号・6回表ソロ)
【阪神】井上 広大(2号・4回裏2ラン)

  DAZN
チケットぴあ 阪神戦チケット予約 ORIX戦チケット予約

DAZN

◆阪神は、井上がオープン戦2号2ランを放つ活躍。本拠地・甲子園で自慢のパワーをアピールした。一方のオリックスは、新加入の森がマルチ安打をマーク。シーズン開幕に向け、順調な調整ぶりを示した。

◆左腰の張りのため別メニュー調整中のシェルドン・ノイジー外野手(28=アスレチックス)が、離脱後初めてグラウンドで練習を行った。一、二塁間でダッシュを数本、三塁側ファウルゾーンでノックを受け、軽快に打球をさばいた。フリー打撃を行ったヨハン・ミエセス外野手(27=レッドソックス3A)と打撃について意見をかわす姿も見られた。練習後、ノイジーは「グッド、順調だよ」と話し「(岡田)監督とは『どうだった? 』というような簡単な話しかしていない」というが、指揮官は「(ダッシュは)本人がやりたいっていうから。明日はバッティング回りに入る言うてたわ」と6日の練習から屋外での打撃練習も再開予定であることを明かした。9日のオリックス戦(京セラドーム大阪)からの戦列復帰を目指す。

◆阪神はドラフト1位森下翔太外野手(22=中大)が「6番右翼」で初の甲子園でのスタメン入りとなった。先発は現役ドラフトでソフトバンクから移籍した大竹耕太郎投手(27)が務める。左腕の甲子園登板は、済々黌(熊本)時代は春夏通じて2度出場した以来、10年ぶりとなる。前日4日には「高校ぶりに投げるので、自分の投球をしていきたい。まっすぐで空振りやファウルが取れるように、こだわってやりたい」と気を引き締めていた。オリックス先発は田嶋大樹投手(26)となった。

◆オリックス森友哉捕手(27)が、西武からの移籍後の対外試合では初となる安打を放った。5番・捕手でスタメン出場し、2回無死一塁での初打席で阪神大竹の変化球を捉え、左中間を深々と破る二塁打に。無死二、三塁に好機を広げ、フランク・シュウィンデル内野手(30=カブス)の先制打につなげた。森は、チームの対外試合初戦となる2月28日の西武戦(宮崎市清武)からここまで3試合に出場したが、5打数無安打だった。6打席目で"オリックス初安打"をたたき出した。

◆阪神井上広大外野手(21)がオープン戦2号となる左越え2ランを放った。4点を追う4回、先頭の佐藤輝が四球を選び、盗塁に成功。なおも続く1死二塁で、オリックスドラフト1位の曽谷龍平投手(22=白鴎大)の149キロの内角直球を強振し、左翼へ放り込んだ。左翼手は1歩も動くことのできなかった125メートル弾で甲子園を沸かせた。井上の甲子園の本塁打は22年7月3日の2軍オリックス戦でオリックス宇田川以来のアーチとなった。

◆開幕ローテーション候補の大竹耕太郎投手(27)が先発したが、2回に一挙4失点した。3回、6安打、4失点とほろ苦い本拠地デビューとなった。2回に突然崩れた。先頭の杉本を四球で歩かし、続く森には中堅左へ二塁打を許し無死二、三塁。フランク・シュウィンデル内野手(30=カブス)に左前に先制適時打を浴びた。中川圭を歩かし満塁にし、紅林、太田に連続適時打を浴び、この回40球を費やし4点を失った。「自分が打たれる時の典型的な感じで。ヒットを打たれた後に、強気で行けず逃げる投球になってしまった」と悔しそうに話した。現役ドラフトでソフトバンクから移籍してきた6年目左腕は、キャンプ中の実戦3試合で9回無失点と抜群の安定感を見せていた。開幕ローテーション入りの有力候補となっているが、不安の残る内容となった。

◆阪神ドラフト1位の森下翔太外野手(22=中大)が、痛い走塁ミスをおかしてしまった。甲子園プロ初スタメンの6番右翼でフル出場。3打席凡退後の8回第4打席は先頭で四球出塁した。だが、続く井上の左翼への飛球で二塁に向かい、好捕されて一塁に戻った際に、オリックス西野からアピールを受けた。一度踏んだ二塁ベースを帰塁の際に空過していたと判定され、併殺となった。森下は「抜けたと思った? そうですね。見づらい部分があって...。ベースは踏んだ認識で、越した感じではなかった。(ベンチで)筒井コーチが細かく指示してくれました。1回ミスしたことで頭に入る。今後はミスがないようにしたいです」と反省した。岡田監督も「野球人のミスやな、あれは。ルールのミスやからな。(オープン戦で出てよかった?)出ちゃったいうか、本当は出たらあかんで、あれは(笑い)。野球やってて、ルールの問題やからな」と今後の糧にすることを期待した。

◆阪神岡田彰布監督(65)が4回の井上広大外野手(21)の左翼への特大2ランに「びっくりした。打った瞬間に」と絶賛した。8回には一塁走者のドラフト1位森下翔太外野手(22=中大)が走塁ミス。井上の左翼へのライナーを相手外野手に好捕された時には二塁をまわっていたが、あわてて帰塁した時にもう1度二塁を踏まずに帰塁。相手のアピールプレーでアウトになった。岡田監督は「野球人のミス」と話した。一問一答は以下の通り。-井上が真っすぐをホームランにした。いい内容が続いているが「おーん。(今日の試合は)あれだけやったなあ、ほんま。まあ(キャンプ)最後に真っすぐをなあ、沖縄(名護)で打ってなあ。まあ、ほんと。あれが唯一目立ったなあ、あれが」-その後の打席も自信をつけたような感じだったが「最後(8回の左翼へのライナー)も、ええ感じで打ったしなあ」-以前、つかんだという話をしていたが「うん。自分の中ではなあ」-真っすぐを課題に挙げていたが、きょうも149キロを本塁打「まあだから、沖縄も最後は(速い)真っすぐだったしなあ。まあ、その変ではなあ。ちょっと自分の中では、なんかつかんだものがあるんちゃうんかなあ」-監督もベンチで立って驚いていた「おーん。びっくりしたよ、うん」-飛距離がすごかった(球場表示125メートル)「うーん、まあ久しぶりに見たなあ。打った瞬間に。打球がなあ」-外野定位置を争う板山が打った次の日に井上が打つ流れは、競争がいい形になっている「そうやなあ、まあなあ、この時期は出す順番で相手のピッチャーも違うし、なかなか評価は難しいけど、出た時に結果を出すというか、当落線上というか、その辺の選手が何人かいてるから、すごくいいアピールになるし、ああいうのを見せてくれたら当然、1軍の戦力になるなと思うよな、やっぱり」-5回から梅野がマスクをかぶり実戦復帰「本人がもういける言うてな。だから試験的に2イニングだけ守れって言うたんよ、きょうの朝よ。本人がいけます言うからさ。もうだいぶええんちゃう。昨日から(打撃)回りとか入ってるしな、シートノックもな」-あす以降、スタメンの可能性も「まあ使えると思うよ。きょうの様子見てたらな」-森下が8回に走塁ミス「あれはもう、野球としてのミスやからな。野球人のミスやな、あれは。ルールのミスやからな」-オープン戦で出てよかった「出ちゃったいうか、本当は出たらあかんで、あれは(笑い)。野球やってて、ルールの問題やからな」-本人も反省「そらそうやろ、あんなの凡ミスやん。ルールのミスやからのお、結局。ちょうど俺も見とったから、ああっと思ったよ。そしたらセカンドがすぐ言ったしな」-4回の佐藤輝の盗塁はサインか「知らんよ、昨日言うたやん。平田(ヘッドコーチ)が出しとるから、知らんよ」帰塁時のベース空過 走者が塁を離れ、フライやライナーを捕球されて元いた塁に戻る際には、途中の塁を含めすべてのベースを踏む必要がある。公認野球規則5・09cでは、「アピールプレイ」と題して「ボールインプレイのとき、走者が進塁または逆走して各塁に触れ損ねたとき、その塁を踏み直す前に、身体あるいは触れ損ねた塁に触球された場合」アウトになると定めている。なお長嶋茂雄(巨人)は現役時代に、外野飛球で二塁を踏み直さずに一塁に戻ってのアピールアウトを3度も記録。「長嶋の三角ベース事件」と語り継がれている。

◆阪神岡田彰布監督(65)が、三塁手佐藤輝明内野手(23)の送球ミスを責めなかった。9回に1死一塁から大城の三塁前へのボテボテの当たりにダッシュし、一塁へジャンピングスローも悪送球となった。記録は三塁内野安打と二塁への進塁は三塁失策となった。だが、岡田監督はその積極性を評価した。5回に相手クリーンアップを3者連続三振を奪ったカイル・ケラー投手(29)も「ボールが低めにいっている」とほめた。一問一答は以下の通り。-中盤はミスがあった。9回には大城の三塁内野安打を佐藤輝が一塁に悪送球「送球エラーってあんなんは、佐藤の本人のエラー、本人の送球やから」-個々のレベル上げていく必要がある「レベルって、握れなかったら投げんかったらええんよ。まあ難しいな、おーん、だからヒットエラー(内野安打と二塁進塁が失策)になるわけやろ? でも、あれを投げるな言うたら消極的やしな。そやねん、だからアウトにしようと思って、ちょっと握ってなくて投げて、なるわけやから、それは責められへんやんか。いつも言うてるやん、ファインプレーはいらない、アウトにできるボールをアウトにするって、アウトにできるってあれはヒットやんか。ヒットエラーやろ、ヒットをアウトにする必要ないやんか。だからそんな1個のエラーでどうこういう問題じゃないやんか、そんなの。そんなん意識しすぎよ、エラー何個したとか、俺ら何にも思てないよ、そんなの」-勝負にいっての守備「じゃあ投げんかったらヒットで終わりやもん。誰も文句言わへんやん。そういうことやん、だから数字とかじゃないっていうんや」-Kケラーが5回に相手クリーンアップを3連続三振「だから、そうやろ。最後名護で投げてな、外国人で一人ブルペンに入ってな、そういうことやろ。(K)ケラーだけやったやん、次の日、(キャンプ)最終日にブルペンに入ってな、投げて。そんなん2日連続外国人なんか入らへんやん、ブルペン。でもアイツは2年目やからそういう危機感があるいうことやろな。はっきり言って。そないしてな、そういうことになったら、段々そういう投球になる言うことやろ」-ボール自体にも変化を感じた「いや、よかったんちゃう。低めに。高めのボールもあったけどな、最初、あれは(打者がゴンザレスで)外国人同士の力勝負にいっとるんや、あれはな。先頭バッターはな、高めにいったけど、そのあとは低めにいってたからな」-先発の大竹は4失点「まあ、フォアボールからやな。キャッチャーには言ったけど、ボールがひとつ多いよな。だから、三振を取るための伏線のボールで三振を取るっていうピッチャーもおるかもわからんけど、大竹の場合はそうじゃないからな。やっぱ打たせて取るピッチャーやから、あんな沖縄でバンバン三振を取ったからな。でもあれはほとんど見送り三振やで。いいとこいっての三振やからな。おんなじストレートでも空振り三振と違うわな。そういう、基本的には打たせて取る、タイミングを外してアウトにするピッチャーやからな、結局は。そのへんがバッテリーで考えな。今日も試合中に言うたけどな。見てみっ、このカウントなって。みんなバッティングカウントやろ、そういうところよな」

◆阪神大竹耕太郎投手(27)が4失点で開幕ローテーション当確とはいかなかった。甲子園で初先発し、2回に突然崩れた。無死二、三塁から新外国人シュウィンデルに左前先制適時打。続く中川圭にこの回2つめの四球を与えると、紅林、太田に連続適時打を浴び、1死も奪えず一気に4失点。大竹は「自分が打たれる時の典型的な感じ。逃げる投球になった。ゴロを打たせようとして、ちょっと置きにいくような」と反省した。3回で72球を費やし4失点。キャンプでは3試合9イニング無失点の抜群の内容で開幕ローテーション6番手へ大きく近づいていたが、初の本拠地マウンドで不安の残る内容となった。岡田監督は「ボールがひとつ多いよな。バッテリーで考えな。打たせて取る、タイミングを外してアウトにする投手やから」と、打者有利なカウントにする場面が多かったと指摘。次回、結果で再び先発枠をたぐり寄せる。

◆阪神梅野隆太郎捕手(31)が、志願の前倒し復帰で全開をアピールだ。右肘の違和感から再起し、5回の守備から途中出場。K・ケラーの3者連続三振を導くなど、2イニングを1失点にまとめた。打っても6回のオープン戦初打席で、漆原の140キロ真っすぐを左前へ。自身今年初の甲子園でファンに攻守万全を示し、充実の表情を浮かべた。梅野 回復が予定より早く、1日も早く、の気持ちでした。時間をもらっていた分、しっかり治療と調整をしてきたので。監督がコメントしている9日より早く出られてよかったです。当初の予定より4日も早い復帰だった。岡田監督は「無理ささんでエエ」と9日オリックス戦を目安にしていた。だが、2月25日のヤクルト戦(浦添)の試合前練習で負傷した患部は、想定以上にスピード回復。この日の試合前に自ら出場OKを申し出、復帰が決まった。指揮官も一安心だ。岡田監督 本人がもういける言うてな。だから試験的に2イニング守れって言うたんよ。今日の朝よ。本人がいけます、言うから。だいぶエエんちゃう? 昨日から(打撃)回り、シートノックも入ってるしな。見立ては軽症でも、患部はデリケートな場所。だがこれで、一抹の不安も一掃された。何より、扇の要の早期復帰は士気を高める。6日はいよいよ侍ジャパンとの強化試合。スタメン復帰について指揮官は「使えると思うよ。今日の様子を見てたらな」と笑顔で明かした。エンゼルス大谷、レッドソックス吉田らの出場も見込まれる日本代表戦。"梅バズーカ"をさく裂させれば、開幕へ最高の景気づけになる。【松井清員】○...日本ハムから移籍の渡辺諒内野手がオープン戦3試合連続安打とバットでアピールを続けている。2番二塁でスタメン出場。初回はオリックス先発左腕田嶋から四球を選んだ。5回の第3打席ではドラフト1位曽谷の直球を左前へ運んだ。「しっかりうしろにつなげるというのを意識して打席に立っているので。そこだけですね」とつなぎの打撃でオープン戦の打率は5割だ。○...石井大智投手が8回に登板し3者凡退に抑え勝利の方程式入りをアピールした。右の池田には直球2球で追い込み、オフに覚えたフォークで3球三振を奪った。「2年間、ホールドもセーブもひとつもない。今季はプラスの数字をひとつでも多くと思っている」。過去2年は18試合ずつ登板しているがまだホールド、セーブは記録していない。今季は勝ちパターンで仕事をするために「0」を重ねる。○...加治屋蓮投手が7回に登板し3者凡退に抑えた。今季実戦は4試合5回無安打無失点と完璧な投球を続ける。「真っすぐも変化球もいい感じで投げられている」。オリックスのドラフト2位、内藤鵬内野手(18=日本航空石川)にはカットボール、スライダーで続けてファウルを奪い、最後はフォークで遊ゴロに仕留めた。「開幕1軍は決まっていないので、結果を出さないと」と好投を重ねていく。○...岡田監督は佐藤輝の失策に複雑な表情を浮かべた。9回に大城の高いバウンドのゴロを一塁に悪送球。ワンヒット、ワンエラーで1死二、三塁のピンチを招き、2失点につながった。指揮官は「握れんかったら投げんかったらエエんよ。ヒット(内野安打)をアウトにする必要はない」としつつ、「あれを投げるな言うたら消極的やしな。責められへんやんか。難しいな」と腕組みしていた。

◆オリックス森友哉捕手が、マルチ安打を記録した。5番に入り、2回無死一塁の初打席で阪神大竹のチェンジアップを捉え、左中間を破る二塁打。通算6打席目で対外試合初安打を放ち、3回無死一塁も三遊間へ流し打った。「1本早く出したいなと思っていた。ゲッツーだけは打たないように、チャンスメークという部分で逆方向にしっかり打てました」。甲子園は、大阪桐蔭時代の12年春夏連覇など通算4度の出場で打率4割7分3厘、5本塁打、11打点を残した球場。そこで新たな1歩を踏み出した。投手との対話も重ねている。初めて先発マスクをかぶり、ローテーション左腕の田嶋には「自信を持って。いい意味でオラオラしながら投げた方が打者からすれば脅威」と助言。ドラフト1位の曽谷には「しっかり自分のいい球を投げること」と、今は結果より持ち味優先と伝えた。中嶋監督は「今(森が)やることは自分のチームの投手を全部知ること」と見守る。打って4点先制につなげ、投手の力を引き出すリードでオープン戦連勝。攻守で、新たな扇の要になりつつある。【堀まどか】

◆オリックス開幕投手候補の田嶋大樹投手が心強い味方を得た。オープン戦初登板で3四球は出しながら3回を1安打無失点。キャンプから取り組んだフォーム固めを確認しながら、最速150キロもマークし「真っすぐはよかった」とうなずいた。投球に集中する狙いでサングラスを着用。「自分の世界に入れるんで。ドームでもかけるつもりでいます」。阪神応援団の大歓声も、耳に入らなかったという。「しっかり世界に入り込めてるんで、もうちょっと着けてやってみようかなと思います」と明かした。

◆ドラフト1位のオリックス曽谷龍平投手(22=白鴎大)は予定の2イニング持たず1回1/3 2失点で降板した。明桜(秋田)2年夏以来の甲子園で、4回から登板。先頭の佐藤輝を自己最速の152キロ速球で攻めるも四球で歩かせ、1死から井上に被弾。「これまでやってきたものとは違う。そこで結果を残していかないといけない世界。もっともっと練習していきたい」と反省した。

◆あるぞ、半世紀ぶり開幕生え抜き打線!阪神井上広大外野手(21)が、オープン戦トップタイとなる推定125メートルの2号2ランを放った。オリックスとのオープン戦(甲子園)に「7番左翼」で出場。4回に岡田彰布監督(65)も仰天のアーチを左翼席に掛けた。開幕左翼本命の新助っ人シェルドン・ノイジー外野手(28=アスレチックス)がけがで出遅れている状況だけに、スタメン奪取も十分あり得る。72年以来、51年ぶりとなる生え抜きスタメンで開幕を迎える可能性もある。打った瞬間に球場の誰もが確信した。4点を追う4回1死二塁の場面だ。カウント3-2から7番井上が、オリックスのドラフト1位曽谷が投じた149キロ内角球に反応。豪快なスイングで軽々と左翼席中段に突き刺した。左翼手が1歩も動けない125メートル弾。「しっかり振ることが本当に打席の中でできている。追い込まれてから、しっかりとスイングできることで安打や長打につながっている」。オープン戦トップタイの2本塁打、打率3割3分3厘と勢いが止まらない。ベンチから見ていた岡田監督も思わず立ち上がった。若き大砲の1発に「ビックリしたよ。久しぶりに見たなあ、打った瞬間に。なんかつかんだものがあるんちゃうんかな」と目を細めた。フルカウントでさらに集中力が増した。2月の沖縄・宜野座キャンプで今岡1軍打撃コーチが「3-2カウントは繊細に」とチームに呼びかけた言葉を頭にあった。本塁打を放った打席は2球で追い込まれながらも、際どいボール球を見切ってフルカウントに。最後は甘いボールを完璧に仕留めた。内容の濃い打席に打った本人も「しっかりと捉えられて良かった」と納得顔だ。6日は侍ジャパンとの強化試合が待っている。メンバーには、2年連続で自主トレを行っている巨人岡本がメンバー入り。さらに、今オフに自主トレをした西武山川や、履正社の先輩・ヤクルト山田もいる。「師匠とやっと同じグラウンドに立てるんやって。見て学んで何かを引き出しにしたい」。岡本と同じグラウンドに立ってプレーするのは20年の3月8日の巨人戦以来。何倍もパワーアップした姿で試合に臨む。開幕左翼の本命である助っ人ノイジーはキャンプ中に左腰の張りを訴えて試合から遠ざかっている。井上がスタメンに名前を連ねれば72年以来、51年ぶりに開幕で生え抜き打線が生まれる可能性もある。「そのために3月で結果を出して、開幕戦に出られるようにやっていきたい。本塁打も打ちたいし、打点も稼ぎたい」。実現のため、バットで結果を残し続ける。【三宅ひとみ】阪神の開幕戦で先発全員が阪神に新人入団した開幕戦となると、72年4月9日中日戦以来、51年ぶりとなる。新人の1番・中村勝広、3番・望月充ら、9人全員が生え抜きだった。全員が日本人だった開幕戦は、78年4月1日巨人戦が最後。なおこのときのオーダーには、池辺巌(前ロッテ)、島野育夫、江本孟紀(ともに前南海)と3人の移籍選手がいた。○...才木が6日の侍ジャパン戦(京セラドーム大阪)に先発する。前回登板の2月24日日本ハムとの練習試合(名護)では4回1安打無失点、無四球で好投した。「変化球ではなく、思いっきりまっすぐで勝負したい。三振狙ってまっすぐや、決め球のフォークをしっかり投げ切るとか。シンプルな投球、自分のスタイルで投げていきたい」と侍斬りへ意気込んだ。」○...勝利の方程式入りを狙う2年目のK・ケラーが、強力な中軸3者三振に斬った。5回から3番手で登板。先頭の3番ゴンザレスには粘られたが10球目の149キロ真っすぐで見逃し三振。4番杉本はフォークで見逃し、2安打していた5番森もフォークで空振りに斬った。「クリーンアップの好打者相手に、しっかり抑えられて気持ちよかったよ」と笑顔。岡田監督も「良かったんちゃう? (全体的に)低めにいってたからな」と評価していた。阪神西純(6日、侍ジャパンとの強化試合に登板予定)「なかなかない経験ができる試合だと思うので、しっかり楽しみながら、自分の投球ができたらいいなと思います」

◆あちゃー、やっちまった...。阪神ドラフト1位の森下翔太外野手(22=中大)が、岡田監督も苦笑いの走塁ミスをおかしてしまった。「6番右翼」で甲子園プロ初先発でフル出場。3打席凡退後の8回の第4打席は、先頭で四球で出塁。次打者井上の左翼への飛球で二塁へ向かった。オリックス左翼手池田が、頭を越しそうな打球を背走しながら好捕。それを見て一塁に戻った際に、オリックス二塁手の西野が返球を受けて二塁を踏みアピール。1度踏んだ二塁ベースを帰塁の際に踏み直していなかったと判定(公認野球規則5・09c「アピールプレイ」の2)され、まさかの併殺となった。責任審判の吉本審判員は「西野選手からアピールがあったので(アウトの)ジャッジをしました」と説明。森下は「抜けたと思った? そうですね。見づらい部分があって...。ベースは踏んだ認識で、越した感じではなかった。(ベンチで)筒井コーチが細かく指示してくれました。1回ミスしたことで頭に入る。今後はミスがないようにしたいです」と反省した。ルーキーに"レッスン"した形の西野は「森下君が1回ベースを踏んでそのまま帰ったんでアピールして。そんなに数多くあるプレーではないんですけど、判断ミスしがちなところがあるんで。自分も気をつけてるぶん、守備のときに見てたっていうのがありました」とプロの先輩として、細かい目配りに胸を張った。岡田監督も森下の走塁に「ああって思った」という。そのうえで「野球人のミスやな、あれは。ルールのミスやからな。(ミスが)出ちゃったいうか、本当は出たらあかんで。あんなの凡ミスやん」と苦笑いした。森下にとっては少々高い"授業料"となったが、失敗も貴重な糧にして、プロの世界を生き抜く術を身につける。【高垣誠】

◆阪神岡田監督は佐藤輝の失策に複雑な表情を浮かべた。9回に大城の高いバウンドのゴロを一塁に悪送球。ワンヒット、ワンエラーで1死二、三塁のピンチを招き、2失点につながった。指揮官は「握れんかったら投げんかったらエエんよ。ヒット(内野安打)をアウトにする必要はない」としつつ、「あれを投げるな言うたら消極的やしな。責められへんやんか。難しいな」と腕組みしていた。

◆阪神のドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=が「6番・右翼」で出場する。甲子園での試合でスタメンに名を連ねたのはプロ入り後初。4日の同戦はベンチスタートだったが、五回に代走で出場し、二盗に成功。七回の打席では二ゴロに打ち取られるも、思いきりのいいスイングでスタンドを沸かせた。また、現役ドラフトでソフトバンクから加入した大竹耕太郎投手(27)が先発登板。熊本・済々黌高3年時に出場した選抜大会以来、10年ぶりに甲子園のマウンドに立つ。

◆「7番・左翼」で出場した阪神・井上広大外野手(21)が4点を追う四回1死二塁、オリックスのD1位・曽谷龍平投手(22)=白?大=から2ランを放った。149キロを振り抜き、左翼スタンドまで運んだ一発は飛距離125メートルで、チームの今季甲子園第1号。「食らい付いていく、積極的にいくことをテーマにしてやっていけたら」とオリックス2連戦に向けて気合を高めていた右の大砲候補が、反撃のノロシをあげた。キャンプ中の実戦9試合(紅白戦と1、2軍の練習試合を含む)で打率・364を記録。8安打、3本塁打、10打点はチームトップで、岡田監督からはキャンプMVPに指名された。今季4年目の大器が、定位置争いを自慢の長打力を見せた。

◆昨年12月に行われた現役ドラフトでソフトバンクから加入した阪神・大竹耕太郎投手(27)が先発し、3回6安打4失点と乱調だった。「自分が打たれるときの典型的な感じ。ヒットを打たれたあとに、動揺してではないですけど、そこで強気でいけなかった、逃げる投球になってしまった」一回は力強いボールで押して三者凡退で発進したものの、二回は制球面などで苦しんだ。先頭の杉本を四球で歩かせると、森の左中間二塁打で無死二、三塁とされ、シュウィンデルには左前適時打を許して先制点を献上。さらに中川圭を四球で出してピンチが満塁に広がると、紅林に右前適時打、太田には中前2点打と連続で痛打を浴び、一気に4点を失った。前回登板した2月25日のヤクルトとのオープン戦(沖縄・浦添)では右打者の内角を果敢に攻めるなどして3回1安打無失点、5奪三振と好投を披露。春季キャンプ中の実戦で結果を残して開幕ローテ入りに向けてアピールを続けていた。しかし、これまでになく走者を背負い、「自分のテンポでいかないときにどう抑えるかだと思うので、それが今日に関しては全然できなかった」と反省しきり。ソフトバンク時代は1、2軍を通して甲子園での登板はなく、マウンドにあがるのは済々黌高3年時に出場した選抜大会以来、実に10年ぶりだったが「楽しむような余裕はなかった」と肩を落とした。

◆阪神が3連敗。開幕ローテを目指す先発の大竹耕太郎投手(27)が二回に打者一巡の攻撃を許すなど、3回6安打3四球で4失点。「6番・右翼」で甲子園初スタメンのD1位・森下翔太外野手(22)=中大=は右飛、空振り三振、遊ゴロ、四球の3打数無安打。八回には自身の走塁ミスで併殺を喫した。また九回には「5番・三塁」で出場した佐藤輝明内野手(23)の一塁悪送球から、ダメ押しの2点を奪われた。攻撃では「7番・左翼」の井上広大外野手(21)が四回に2ランを放ったものの、チームは4安打だった。岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(オープン戦成績=1勝3敗、観衆=1万8591人)。ーー井上がいい内容を出している「あれだけやったなあ、ホンマ。最後に真っすぐをなあ、沖縄(名護)で打ってなあ。ホント、アレが唯一目立ったなあ、アレが」ーー監督も立って驚いていた「おーん。びっくりしたよ、うん」ーー飛距離がすごかった「久しぶりに見たなあ。打った瞬間に。打球がなあ」ーー中盤はミスがあった「送球エラー(佐藤輝が九回に高いバウンドの打球を処理して、ジャンピングスローしたが悪送球)ってあんなんは、佐藤の本人のエラー、本人の送球やから。おーん」ーー個々のレベル上げる必要がある「レベルって、握れなかったら投げんかったらエエんよ。アレを投げるな言うたら消極的やしな。責められへんやんか。いつも言うてるやん、ファインプレーはいらない、アウトにできるボールをアウトにするって。アレは(タイミングは)ヒットやんか。ヒットエラーやろ。ヒットをアウトにする必要ないやんか。1個のエラーで、どうこういう問題じゃないやんか、そんなの。意識しすぎよ、エラー何個したとか、俺ら何にも思てないよ、そんなの」ーー勝負にいっての守備「じゃあ投げんかったらヒットで終わりやもん。誰も文句言わへんやん。そういうことやん、だから数字とかじゃないっていうんや」

◆オリックスのD1位・曽谷龍平投手(22)=白?大=が四回からオープン戦初登板。先頭の佐藤輝に四球を与え、1死後、井上に2ランを浴びた。さらに4-2の五回に連続四球などで1死満塁とされ、降板。1回1/3を2安打2失点の結果に「自分が仕留めたと思った球でもしっかりミートしてきますし、四球にしても全部が自分の実力不足だなと」と振り返った。

◆オリックスの先発・田嶋大樹投手(26)は3回無失点。「いい感じで投げられたんじゃないかと思います」と手応えを口にした。許した安打は三回、近本に許した内野安打のみ。キャンプからサングラスをかけて投球しており「自分の世界に入れる」と話す。開幕投手候補にも名を連ねる中、中嶋監督は「ボール自体は良くなってきているかなと思う」と評価した。

◆西武からフリーエージェント(FA)権を行使し加入したオリックス・森友哉捕手(27)が阪神戦に「5番」で出場。オープン戦で初めて先発マスクを務め、2安打を放った。鋭い当たりで、Hランプを灯した。対外試合で無安打だった森が、甲子園で持ち味の打撃力を発揮した。「めちゃよかったです。早く(スタメンで)出えへんかなと思っていたので。自分がそこに入って、つなぎに徹して、というのができればいいのかなと思います」二回無死一塁で大竹の変化球を左中間に運んだ。深々と破って、二塁打に。1イニング4得点をおぜん立てした。4-0の三回にも無死一塁から外角の変化球を左前へ弾き返し、好機を拡大。虎に大勝し〝演出家〟としては最高だったが...。「全然、かえしてもらっていいんですよ」と中嶋監督。打線の軸を担っていた吉田が米大リーグ、レッドソックスに移籍。森は西武時代の2019年、打率・329で首位打者に輝き、そのときの得点圏打率・411もリーグトップだった。リーグ3連覇を狙う指揮官にとっても、森のバットで一気にたたみかけたい。だからこそ「つなぎ」ではもったいない。森は「自分の役割だと思っているので、しっかりつなぐというのは継続してやっていきます」と繰り返した。打線は11安打で阪神に2連勝。謙虚な森は、すぐに中嶋監督の要望にも応えられる。(北池良輔)

◆阪神のカイル・ケラー投手(29)がオリックス戦(甲子園)の五回に登板し、3者連続三振の快投をみせた。実戦初登板だった2月26日の日本ハムとのオープン戦(名護)では1回3失点と炎上し、岡田彰布監督(65)が「日本の野球をなめたらあかん!」と怒りを爆発させた。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する湯浅京己投手(23)に代わる開幕守護神候補でもある助っ人の〝改心〟に、将もご満悦だ。俺の忠告を聞いたからよ。そう言うかのように、岡田監督は何度もベンチでうなずいた。熱い視線を送ったのは、投げ込み不足のまま登板した1週間前のオープン戦で失点した助っ投3投手のうちの一人、K・ケラーだ。「アイツは2年目やから、そういう危機感があるいうことやろな。はっきり言って」2-4の五回にマウンドへ。まずは米大リーグ通算107発を誇る新外国人、ゴンザレスを149キロ直球で見逃し三振に。杉本をフォークで見逃し三振を奪うと、最後は森を3球で空振り三振に仕留めた。最速は153キロだった。「最後、名護(日本ハム戦)で投げてな。(翌日)外国人で一人ブルペンに入ってな、そういうことやろ。(K)ケラーだけやったやん。(キャンプ)最終日にブルペンに入ってな、投げて」

◆阪神のドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=が「6番・右翼」で甲子園初のスタメン出場を果たした。ところが、八回に一走として飛球が捕球されたことを確認して逆走する際、二塁ベースを踏み損ねてアウトを献上するミス...。ここまで鮮烈な活躍を見せてきた期待のルーキーも猛省するしかなく、開幕前に貴重な学びを得た。公式戦でなくてよかった。ただでさえ注目が集まる一戦で、逆に注目を集めてしまった。甲子園のド真ん中、二塁上で、森下が〝勇み足〟だ。「今後はああいうミスがないようにしたいと思います」〝事件〟が起きたのは八回だった。森下が先頭で四球を選び、無死一塁の場面。次打者の井上が左翼へ大きな飛球を上げた。一走の森下は二塁を回り三塁に進みかけたところで、左翼手がボールをつかんだのを見てあわてて一塁へ帰塁。ところが、二塁ベースをもう一度踏むことなく一塁に戻ってしまったため、オリックスの二塁手・西野からの指摘でアピールプレーとなり、アウトに。珍しいダブルプレーを喫してしまったのだ。

◆阪神で1994年に新人王に輝き、米大リーグのアスレチックス、ジャイアンツ、楽天と渡り歩き、日米通算91勝をマークしたサンケイスポーツ専属評論家の藪恵壹氏(54)は3回6安打4失点の大竹耕太郎投手(27)に言及すると同時に、安藤優也投手コーチ(45)らコーチ陣との〝連係〟の必要性を説いた。大竹は触れないわけにはいかない。好投が続いていたので、一度くらいは打たれた方がいいと思っていた。好結果を残し続けると、逆に開幕に向けて不安になるもの。過去、オープン戦絶好調でシーズンに入って全くダメというケースを何度も見た。球自体は悪くないので4失点を心配する必要はない。あえて指摘するなら右打者の外角直球の制球を、もう少し精度をあげてもらいたい。左腕投手にとって生命線なので、こだわって欲しい。4日に投げた伊藤将にしても、過去に阪神で活躍した能見、岩田ら左腕にしても、右打者の外角直球に磨きをかけることで好成績につながった。大竹の持ち球でもあるツーシーム、チェンジアップも、「外角の威力」があってこそ効果的になる。もう一点、気になったのは大竹が打ち込まれて止まらなかったシーン。安藤コーチが紅林に右前適時打を打たれてマウンドに行った。5人連続で出塁された後。コーチがマウンドに行くのは「流れを止める」「投手を休ませる」などの意味があるが、結果的に、その後も太田に適時打を浴び、送りバントを決められ、と流れを止めることができなかった。シーズンなら、もう少し早く行くべきだろう。おそらく、安藤コーチも十分に理解しているだろうし、大きな心配はしていないが、今後に向け、マウンドへ行くタイミングは検証すべき課題となったことは確か。私も経験があるが、投手の立場から言えば、カッカしていて聞き流したりするもの。いかにコンパクトに、的確に、言葉を伝達するか。投手コーチの役割は大きい。

◆現役ドラフトでソフトバンクから加入した阪神・大竹耕太郎(25)が5日、オリックスとのオープン戦(甲子園)に先発。力を込めたボールを次から次へと外野にはじき返され、結果は3回6安打4失点。悔しい〝甲子園デビュー〟となった。「自分が打たれるときの典型的な感じ。逃げる投球になってしまった」悪夢を見たのは二回だった。4番・杉本の四球から、さらに1四球を挟んで9番の太田まで4連打を浴び、一気に4点を失った。春季キャンプ中の実戦では好投を続けてきた左腕だが、変化球の制球などに苦しむ姿はまるで別人で「自分のテンポでいかないときにどう抑えるか。全然できなかったし、修正していかないといけない」と必死に前を向いた。熊本・済々黌高3年時以来、3627日ぶりの甲子園のマウンドは「楽しむような余裕はなかった」。次こそ結果を残し、悲壮感を拭い去る。

◆阪神・井上広大外野手(21)が5日、オリックスとのオープン戦(甲子園)に「7番・左翼」でスタメン出場し、オープン戦2号となる左越え2ランを放った。打った瞬間ソレと分かる125メートル弾に、岡田彰布監督(65)も驚きを隠せず。4年目の大器はまだまだ猛アピールを止めず、将を悩ませる。打って打ちまくって、開幕スタメン左翼の座へと突き進む!打球速度177キロの驚異の弾道は、井上の強い意志そのものだった。何が何でも1軍に食らいつく。そして、打線に組み込まざるを得ない状況にする-。オープン戦2号2ランで、外野の定位置争いを、また混沌(こんとん)とさせた。「この大声援の中で(野球を)やれることが(プロ入り以来)なかった。この甲子園の2試合目で打てて、温かいご声援をいただいて本当にうれしく思います」鳴り物での応援や歓声が解禁された本拠地が、打球をさらに加速させてくれた。0-4の四回。先頭・佐藤輝の四球と二盗で1死二塁となると、ここで井上がオリックスのD1位左腕・曽谷(白?大)の149キロ直球を左翼席へと放り込んだ。どっしりと一塁側ベンチに腰掛けていた岡田監督も、破壊音とともに飛び出した125メートル弾に、ベンチから身を乗り出した。「びっくりしたよ、うん」。2月26日の日本ハムとのオープン戦(名護)に続いての一発で、キャンプからの全実戦11試合で、はや4本塁打という量産だ。

◆野球のルールは意外に難しい。スーパールーキー森下がアウトをコールされた八回の走塁。すぐに理解できましたか? 詳しくは4面の記事を読んでいただくとして、要するに一塁ベースをスタートし、二塁ベースを踏んで、その先まで進んでいたときは、戻るときも二塁ベースを踏んで戻らなくてはいけない。来た道を、必ず戻りましょう-。こう書けば、難しくはない。当たり前のこと。イージーミスだ。クレバーな雰囲気を漂わせているドライチ君だから、おそらく二度と、この失敗はしないはず。オープン戦で良かった。これがシーズンに入ってから起きて、敗戦につながったりしたら、〝痛恨! 高い授業料〟と指摘されていたかも。まあ、誰だってミスはする。今や日本中が注目している世界の二刀流・大谷翔平(エンゼルス)の大ボーンヘッドを目撃したことがる。あれは2015年7月28日のオリックス-日本ハム戦。打者・大谷が申告敬遠され、栗山監督(当時)はすぐに代走を送った。よくある野球の1シーン。ところがこのとき、大谷は一塁ベース方向へ歩みながらも、ベースを踏むことなくベンチに戻った。チームメートの指摘で慌てて一塁ベースを踏み直しに。オリックスベンチは猛抗議。当然だ。審判団が集まって協議。ルール上は、一度は走塁を〝放棄〟した大谷がアウトになっても不思議ではないプレーだったが、なぜか、大谷はアウトにならず、そのまま試合は進行していった。スーパースターは運まで味方するのだろうか。今となっては、そう思うしかない。翌日、報道陣に囲まれた栗山監督は「あの場面の直後は、(大谷が)ずいぶん早くベンチに戻っているなぁとは思った。そういうルールも教えていなかったわれわれの責任」と表向きには自分を責めた。大谷が〝見えない場所〟で叱られたかどうかは分からない。が、大谷が〝大事に大事に育てられている〟と感じた出来事だった。

DAZN

<オープン戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
300 1.000
(-)
-
(-)
15
(-)
8
(-)
1
(-)
2
(-)
0.292
(-)
1.000
(-)
1
(-)
ORIX
200 1.000
(-)
0
(-)
11
(+7)
4
(+2)
1
(+1)
2
(-)
0.269
(↑0.05
2.000
(-)
3
(2↓)
日本ハム
310 0.750
(↓0.25)
0
(-)
26
(+4)
21
(+5)
6
(+2)
4
(+2)
0.295
(↓0.025)
4.250
(↓0.25)
4
(2↑)
DeNA
220 0.500
(↑0.167)
1
(-)
12
(+3)
14
(+1)
1
(-)
2
(-)
0.208
(↑0.004)
2.310
(↑0.81)
4
(5↑)
ソフトバンク
110 0.500
(↑0.5)
1
(-)
3
(+3)
2
(-)
0
(-)
1
(+1)
0.277
(↑0.105)
1.000
(↑1)
4
(3↓)
西武
110 0.500
(↓0.5)
1
(↓1)
5
(+1)
4
(+3)
0
(-)
3
(-)
0.188
(↓0.062)
2.120
(↓1.12)
4
(1↑)
広島
220 0.500
(↓0.167)
1
(↓1)
11
(-)
11
(+3)
0
(-)
2
(-)
0.244
(↓0.03)
2.120
(↓0.39)
8
(2↓)
ヤクルト
122 0.333
(-)
1.5
(↓0.5)
24
(+1)
24
(+1)
5
(+1)
7
(+1)
0.240
(↓0.019)
3.800
(↑0.95)
9
(-)
楽天
130 0.250
(↑0.25)
2
(-)
24
(+5)
31
(+4)
3
(+1)
4
(+1)
0.309
(↓0.031)
8.370
(↑1.62)
9
(3↓)
阪神
130 0.250
(↓0.083)
2
(↓1)
15
(+2)
21
(+7)
5
(+1)
3
(+1)
0.220
(↓0.023)
4.890
(↓0.39)
11
(2↓)
中日
020 0.000
(-)
2
(↓0.5)
9
(-)
15
(-)
3
(-)
0
(-)
0.214
(-)
5.000
(-)