阪神(★2対4☆)オリックス =オープン戦1回戦(2023.03.04)・阪神甲子園球場=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
ORIX
0200010104700
阪神
2000000002610
勝利投手:コットン(1勝0敗0S)
(セーブ:本田 仁海(0勝0敗1S))
敗戦投手:伊藤 将司(0勝1敗0S)
  DAZN
チケットぴあ 阪神戦チケット予約 ORIX戦チケット予約

DAZN

◆阪神は、開幕投手候補の青柳と伊藤将が登板。両投手ともに3回2失点と、課題を残す結果となった。一方のオリックスは、3番手・コットンが3回1安打無失点の好投。期待の新助っ人が、順調な調整ぶりをアピールした。

◆阪神青柳晃洋投手(29)と伊藤将司投手(26)が、4日のオリックス戦で開幕投手バトルの火花を散らす。今年初めての甲子園でのゲーム。鳴り物や声援が開放された聖地で右と左のエース格が再び当日登板し、雌雄を決する戦いに臨む。両投手は今年すでに2度、同日にシート打撃や実戦登板を重ねてきた。岡田監督はまだ3月31日DeNA戦(京セラドーム大阪)の開幕投手を明言しておらず、昨季13勝の青柳と9勝の伊藤将を競わせているように映る。指揮官は「ええ投手からいかんと」とも説明。最有力は青柳だろうが、両者の状態次第で伊藤将の可能性も残し、同じ相手に登板させることで見極めようとしているようだ。青柳も気合十分だ。実戦初登板となった2月23日の中日戦(北谷)は、配球や球種を試すことをテーマに2回4安打1失点。前回は結果にこだわらなかったが、3月からより本気モードにスイッチを切り替える。「僕も開幕投手が決まったわけではない。そこを取るためにも、ある程度は結果を出していかないといけない」と引き締めた。ここへきて開幕候補に浮上してきた伊藤将もエンジン全開だ。新人年の2桁勝利など入団2年で19勝を挙げる実力派左腕は「先発である以上、目指しているところ」と開幕投手への意識は高い。青柳と同様、初実戦となった2月23日の同戦では2回無失点と抜群の安定感を披露。青柳について「タイトルを3つも取っている投手が近くにいるので、参考にしながら負けずに頑張れたら」と切磋琢磨(せっさたくま)を強調しつつ、「結果を求めて投げていきたい」とアピールに燃えている。この日の甲子園全体練習では、ともに同じ調整で登板準備を整えた。開幕投手は青柳か伊藤将か。ハイレベルな戦いが本格化する。【三宅ひとみ】青柳と伊藤将のDeNA戦 ともに好相性を誇っている。青柳は通算24試合に登板し14勝5敗、防御率2・83。伊藤将は11試合で5勝3敗、防御率1・85。昨季に限っては青柳が6試合で3勝1敗、防御率3・18。伊藤将は5試合で2勝2敗ながら、防御率1・58だ。今季の開幕戦の舞台となる京セラドーム大阪での通算成績は、青柳3試合2勝1敗、防御率2・55に対し、伊藤将は2戦2敗の防御率8・10。球場との相性を、岡田監督ら首脳陣がどう判断するかも興味深い。

◆打つぞ甲子園1号! 阪神ドラフト1位の森下翔太外野手(22=中大)が、4日のオリックス戦で甲子園デビューする。途中出場から2打席程度を予定。阪神新人が甲子園のオープン戦で本塁を打てば1980年(昭55)、現監督の岡田彰布以来の快挙で、森下も「打てたら最高」と意気込んだ。新旧ドラフト1位が43年の時を経てシンクロなるか。大勢のファンの前、名刺代わりの1発に期待が高まる。森下がいよいよ、4日のオリックス戦で初めて甲子園の打席に立つ。途中出場から2打席程度を予定。阪神新人が甲子園のオープン戦初戦で本塁打を打てば、80年岡田以来の快挙になる。背番号1も腕ぶした。「打てたら最高。でも一番は打点とかチームの勝利につながるところが大切。結果がホームランになれば一番いいですね」。新庄も桧山も今岡も鳥谷も大山も佐藤輝も42年間こじ開けられなかった開かずの扉。自らの役割も頭に入れ、最高の結果を目指す意気込みだ。岡田監督も「そら覚えてるよ」と思い起こす甲子園1号は80年3月18日の西武戦。「8番右翼」で出場し、3打数無安打で迎えた9回2死、松沼博久から会心の3ランをかっ飛ばした。岡田はこの年、打率2割9分、18本塁打で新人王を獲得。森下も甲子園デビューを1発で飾れば、シーズンで大活躍する最高の景気づけになりそうだ。十分にその可能性は秘めている。沖縄キャンプで結果を残し続け、今や指揮官も開幕3番候補に挙げる。キャンプ中の実戦打率は8試合で3割8分1厘。だがまだ、1発は出ていない。そこで「(打球の)角度が出ていなかった」とキャンプ後の甲子園練習ではバットを少し高く構えるフォームに修正。早速1日には佐藤輝の5本を上回る7本の柵越えを放ち、「すごく打ちやすかった」とアーチ量産への手応えをつかんだ。この日もフリー打撃では広角に鋭い打球を連発。その後は走塁練習や、外野で筒井コーチとの個別守備練習で汗を流した。攻守ともに甲子園仕様に仕上げ、いざ出陣だ。週末で大勢の観客が予想され、森下も「すごく楽しみ」と力にする。甲子園でのプレーは東海大相模(神奈川)で4強入りに貢献した18年のセンバツ以来5年ぶり。当時は15打数4安打でノーアーチ。名刺代わりの甲子園1号に期待が膨らむ。「ルーキーとして元気よくフレッシュに。あまり気負いすぎず、声出していきたいなと思います」。キャンプの勢いそのままに、暴れる準備はできている。【波部俊之介】80年甲子園オープン戦初戦の岡田の本塁打 6球団競合の末、79年ドラフト1位で阪神に入団した岡田は、米国アリゾナ州でのキャンプ終え3月15日に帰国した。チームの甲子園でのオープン戦初戦となった同18日の西武戦に、8番右翼でスタメン出場した。三振、捕邪飛、遊ゴロの3打席ノーヒットで迎えた0-5の9回裏2死。走者2人を置いて前年16勝で新人王に輝いたサブマリン松沼博久の初球、内角真っすぐを左中間ラッキーゾーンへ。この日唯一の得点となる3ランで一矢報い、大きな拍手を浴びた。不慣れな外野守備に苦しみ、8回には田淵の飛球をグラブに当てながら転倒。名誉挽回の一撃に「これで気持ちも楽になりました。最高のホームランです」と初々しく語った。○...井上は「切り替え」の精神で1打席に集中する。4日からのオリックス2連戦は、山岡、田嶋ら実績派ローテ候補の登板が予想される。「打てたり(ボールを)見逃せたら自信になるし、逆に打ち取られたりボール球に手が出たとしても次につなげられる。気にせずに、次の打席で同じ失敗を繰り返さないようにできれば」。一喜一憂せず、泰然自若で打席に臨む。

◆阪神ドラフト1位の森下翔太外野手(22=中大)が、オリックスとのオープン戦で"プロ初盗塁"を記録した。プロ入り後初の甲子園ゲーム。5回、四球で出塁したミエセスの代走で出場すると、ファンからは大きな拍手が起こった。1死一塁、カウント2-2の5球目。佐藤輝が空振り三振に倒れた間に、二盗を成功させた。森下はそのまま「3番・右翼」に入り守備へ。プロでの甲子園初打席にも期待が高まる。

◆阪神岡田監督もビックリだ。オリックス右腕、山下舜平大投手(20)が衝撃の甲子園デビューを飾った。観客1万7603人を前に、阪神戦の7回に今季初実戦登板。オープン戦もプロ3年目で初ながら、周囲の度肝を抜く快投を演じた。先頭の島田にいきなり157キロを連発。最後は自己最速158キロで空振り三振を奪い、スタンドをどよめかせた。ドラフト1位ルーキー森下は156キロで押し込み二ゴロ。売り出し中の井上も直球で追い込み、最後は野茂氏に教わった142キロのフォークで三ゴロに仕留めた。わずか7球の1イニング完全投球だった。昨季は腰の成長痛などで2軍でも8試合登板。オフに両足首の手術を受け、今キャンプではシート打撃に投げただけだった。エンゼルス大谷に憧れ、フォームも所作も似ている。梵内野守備走塁コーチも「大谷そっくり」と話す大器が早速、"大谷級"のボールで両軍を驚嘆させた。これまで西武平良や大阪桐蔭時代の藤浪ら多くの速球投手を受けてきた森は「ヤバいです。バケモンでした。今まで捕った中で一番速い。この先怖いっす」と仰天。敵将の岡田監督も「速いなあ、あれ。山下っていうの。びっくりしたわ。久しぶりに速い球見た」と目を丸くした。まさに名刺代わりの剛球だった。20年ドラフト1位入団。声出しや鳴り物入り応援は今回が初めてだったが「意外と緊張もしなかった」。高校時代は届かなかった甲子園で実力を見せつけ「目標は開幕ローテ入りと初勝利」と力強い。中嶋監督は「楽しみな選手ではありますけどね」と慎重に育成を進める方針だが、末恐ろしい投手がまた1人、オリックスに現れた。【高垣誠】○...開幕投手候補の山岡が、今季初の対外試合で課題を残した。阪神戦に先発したが、立ち上がりから制球が定まらず1回に2失点。72球と球数がかさみ3回を投げきれず、2回2/3で4安打4四球。「ちょっと投げすぎた。四隅を狙いすぎた」と反省した。中嶋監督も「あまりいい内容ではなかったかな」と評し、山岡は開幕へ向け「徐々に上げていけたら。準備はしていきたい」と前を向いた。▽オリックス頓宮(途中出場で2打席連続タイムリー二塁打)「あまり力を入れずに振れて外野の頭を越せた。打球がどこに行こうが自分の形で打てたのでよかったです」

◆阪神佐藤輝明内野手(23)が「声出し応援」を喜んだ。甲子園ではこの日のオープン戦から、マスクを着用しての声出し応援やトランペットなどの鳴り物応援が解禁。「すごく雰囲気がよくて、初めてなので新鮮だった。スピーカーで流れているのとは違う」。佐藤輝はコロナ禍でプロ入りし、ファンの生声による応援は初めて。「小さい時から甲子園で応援していたので、懐かしいなという思いと、その中でプレーするのは新鮮なのと両方ありました」。甲子園のお膝元である兵庫・西宮市で育った佐藤輝は、少年時代にスタンドで猛虎戦士のヒッティングマーチを口ずさんでいた。「歌ってましたね。1つになるし、楽しみでしたね。鳥谷さん、金本さん...、その時のタイガースです。プレーしている側も球場に足を運んでくださるファンもより楽しめるんじゃないですか。すごくいいなと思った」。試合では2打数無安打1四球と快音は響かなかったが、ファンの後押しにうれしげだった。

◆阪神岡田彰布監督(65)が15年ぶりに甲子園で指揮した。試合には敗れたが、途中出場のドラフト1位森下翔太外野手(22=中大)が走ってはプロ初盗塁、右翼の守りでは強肩を生かした好返球を見せ、開幕右翼スタメンへ大きく前進した。試合後の岡田監督の一問一答は以下の通り。-打線では板山が1回に2点適時打でアピール。ご覧になって。「ご覧になっていうか、見ての通りやんか。唯一のタイムリー打ったヤツやから、そんなの」-守備面で内外野の連係は「あー、アウトと思ったけどなあ。(6回1死一塁から頓宮の左越え二塁打で、左翼井上、遊撃木浪、捕手坂本と本塁への中継も木浪の送球が)やっぱりちょっとそれた。まあ、コリジョンのあれがあるからなあ。タイミング、アウトと思うよ」-練習の成果が出ている「それはまあ、やってきたことというかな、中継にしてもいい練習の打球行ったからなあ。そういう意味ではアウト、セーフ関係なしにして、やることはできてるなあていう感じよ。そんなん絶対アウトになるわけじゃないからな。なんぼいい球返ってきてもセーフの場合はあるわけやからな、それは。でも、やろうとしてることは今日でもそないして、(8回2死二塁、頓宮の)ライトオーバーにしても、別に(右翼の守備位置を)そんな前にする必要はないんやけど、あれの中継にしても、そう言うことは継続してやっていけばいいと思うけどな」-森下もプロ入り後初めて甲子園でプレーした「なあ、もう1回、2打席立たせたろと思て何とか早い打順に入れたんやけど、(9回は次打者席で試合終了し)もう1人やったなあ。もう1人出たら、あれやけど。明日は頭からいくからアレやけど」-速いピッチャーにも力負けせず振っていった。「速いなあ、あれ、山下いうの。びっくりしたわ。久しぶりに速い球見たなあ」-森下は守備ではいい球を投げていた。「肩ずっといいやん、そら、おまえ。肩というかスローイングがいいからな。サードアウトにしたんでも...。初回でもあれ、本当はセカンドに行かれるとこやで。(杉沢の左安打を)ミエセスにしても早いスローでセカンドに返しているから、あれは本当やったら、足の速いやつやったらセカンドに当然行くようなあれやったけど、うん、まあ、そういう中継とか、そんなんはやってたことがちゃんとやれてるんじゃないかな」-森下は走る方でも戦力に「それはもう戦力って、ここでずっと試合に出るっていうことは1軍戦力としてある程度、そんなしてな、そんなあれやんか、残ってないよ。あと何人かやんか、このメンバーから落とされるっていうかな、ファームに行かなあかんのは」-森下の二盗はサイン「ああ、サイン、サイン。あれは」-サインに応えられる走塁「まあ、走力、それはね、いろんなカウントとかでな、バッターとの兼ね合いもあるし、まあ、足も遅いことはないし、盗塁、スチールできるくらいね、足はあると思うよ」-大山もそろそろと話していたら安打が出た「まあ、出るやろ言うても、出てどうこう言うあれじゃないやんか。なあ、久しぶりにええバッティング見たやん。2打席目な。今年一番ええスイングしたな2打席目がな。サードフライ(結果は捕邪飛)がな。あんな(初回の)ヒットなんて、どうにも思うてないよ、そんな。2打席目のスイングよ。今年イチのスイングしたんじゃない。そういうのを見てるから別に、別にヒット打って一三塁になったからって、何にもうれしないよ。ちょっと2打席目で何となくいい感じになったなと思ったけどな」-サインを出す位置など一塁ベンチからの見え方は「いやいや、普通に普通に。サインは平田が出してたから知らんよ」-15年ぶりに甲子園で指揮した景色は「まあ、別に普通やで。普通やわ、それは」-トランペットや声を出しての応援のある甲子園は「いやオレ、(コロナ禍で制限され)声援ないところでやってないもん。分からん、分からん。前(04年~08年の第1次政権)も声援あったもん」

◆阪神岡田彰布監督(65)が15年ぶりに甲子園で指揮した。開幕ローテーション入りが確実なエース青柳晃洋投手(29)と左腕伊藤将司投手(26)が登板。ともに3回2失点だったが、シーズンへ向け信頼は揺るがない。「開幕投手はまだ決めていない」と7日の韓国代表戦終了後に決める考えを明かした。試合後の一問一答は以下の通り。-先発の青柳は3回2失点。本人は収穫と課題もあったと「まあ、だから。今日は伊藤(将)と青柳がどうやろ。まあ3回な。いろんなことを試すというか。まあ次からは頭からいくから。伊藤(将)にしても、うん」-彼らは信頼している投手「いや、そんなん、もうローテーションで投げるピッチャーかやからな。(2人は)2点ずつ取られたんか。結果って、なあ、まあ抑えられることにこしたことはないけど、まあ、これなあ。初めて、キャンプ終わって、こっちに帰ってきてなあ。向こうではキャンプの中での投球だったし、次の逆算しての、まあ最後の登板と言うかなあ。まあ3回やし。伊藤(将)にしても(登板した)2回とも途中からのアレやったし。当然、先発なわけやから今度から逆算して、先発で投げさすよ」-次回から逆算ということは、この登板は踏まえて本番の登板日は決めるのか「いや、まあなあ。逆算したら、大体分かるやんか。もう今はなあ、予告先発やし。別に隠す必要もないしなあ、もう」-開幕は青柳に決めているのか「いや、まだ決めてないよ。決めていても言う必要ないやろ。予告先発や、言うてるやないか。おーん」-本人に伝えるよりも登板順で分かっていく「いやいや、この4試合で先発陣が投げるから。それから言おうかなって思っているからな。(伊藤将も)次の登板からは当然、頭で行くんやから。今度はな。(これまでの2度は)グラウンドのきれいなところでと思って6回から行かせているけど、次からは頭から行くわけやからな」-4回には岩崎が今季初登板「いつもどっちかというと春先は悪いイメージがあるからな。本人もそれを分かっているかもわからんけど、向こうでは実戦に投げなかったけど、今日の見たら、本人なりに、開幕に合わせてというかな、そういう感じには見えるよな。まだ1回だけやけど」-4回に登板させたのは、相手の主力が多く残っている回だからか「違う違う違う、暖かいうちに投げさそう思っただけやんか。主力とかじゃないやんか、誰が主力かわからへんやんか、オリックスなんか。外国人にしてもわからへんし。暖かいうちに投げさそうと思っただけやんか」

◆虎の4番は心配ご無用! 阪神大山悠輔内野手(28)が第1打席に今春の対外試合初安打を放った。初回2死一塁。カウント1-2からオリックス山岡の115キロ変化球を左前に打ち返した。2月の沖縄実戦は計25打数1安打。対外試合では23打席無安打と沈黙が続いていたが、ようやく待望のヒットが生まれた。続く佐藤輝の四球で満塁となると、板山のタイムリーで2点を先制。春の甲子園に久しぶりの六甲おろしが鳴り響いた。ただ、見どころは凡打した3回の2打席目だった。ニヤリと笑ったのは岡田監督だ。「久しぶりにええバッティング見たやん」。クローズアップしたのは、山岡の初球143キロを高々と打ち上げ捕邪飛となった打席。「今年一番ええスイングしたな。あんな(初回の)ヒットなんて、どうにも思うてないよ。2打席目のスイングよ。今年イチのスイングしたんじゃない。2打席目で何となくいい感じになったなと思ったけどな」。そう言ってうれしそうにうなずいた。大山の感覚も指揮官とピタリ一致していた。「別に(大事なのは)1本とかそういうところじゃない。(2打席目の感覚は)良かったですね。今日3打席ともタイミングであったりスイングの感じも良かった」。開幕に照準を合わせる4番にとっても、確かな手応えがあった。オープン戦とはいえ、この日も1万7000人以上の観客がスタンドに集まった。声出しや鳴り物応援が解禁された今季初甲子園を終えた大山は「やっぱり声の通りにくさっていうのはある」とコロナ禍前の甲子園をイメージした。「残り甲子園でやれる試合少なくなってくるので、1試合1試合大事にしたい」。大山は大丈夫。岡田監督絶賛のスイングがそれを証明した。【桝井聡】○...渡辺諒が甲子園で移籍後初ヒットを記録した。5回から途中出場で二塁の守備に就き、9回の第2打席でオリックス本田の直球を中前に運んだ。「初めての甲子園のプレーだったので、すごい声援を受けて。その結果しっかり打てたんで、うれしかったですね」。2月26日の日本ハム戦でも2安打を放っており、オープン戦2戦連続安打となった。○...甲子園デビューの新外国人ヨハン・ミエセス外野手(27=レッドソックス3A)は2打数無安打だった。3番左翼で出場し、初回は山岡のスライダーにバットが回って空振り三振。2回は2死一、二塁の好機で三ゴロに倒れた。左翼守備では、初回のフライ捕球でドッと沸く場面も。盛り上がる甲子園に「元気もくれるし、すごくモチベーションになってうれしかった」と気に入った様子だった。○...佐藤輝が「声出し応援」を喜んだ。甲子園で、マスクを着用しての声出し応援やトランペットなどの鳴り物応援が解禁。「小さい時から甲子園で応援していたので、懐かしいなという思いとその中でプレーするのは新鮮なのと両方ありました」。コロナ禍でプロ入りしたこともあり、本拠地でファンの生声による応援を受けるのは初めて。試合では2打数無安打1四球と快音は響かなかったが、ファンの後押しにうれしげだった。

◆阪神岡田彰布監督(65)が4日、開幕投手を7日の韓国代表戦(京セラドーム大阪)終了後に通達する方針を明かした。この日のオリックス戦には大本命の青柳が先発で3回3安打2失点。6回からは対抗の伊藤将も登板し、同じく3回3安打2失点だった。試合後、開幕投手について問われた指揮官は「まだ決めてないよ。決めていても言う必要ないやろ。予告先発やし」とニヤリ笑った。「この4試合で先発陣が投げるから、それから言おうかなって思っている」。これまで同じ試合で青柳、伊藤将を一緒に投げさせてきたが、9日オリックス戦(京セラドーム大阪)からは、先発陣に1試合ずつ割り振りしていく。この日の青柳は左打者の内角へスライダーを試した。「ある程度コントロールしたところにいったので、これからも使っていけるかなと思います」。だが、全体的には「まだまだ。全然ダメだった」と辛口だった。一方の伊藤将は今季テーマの直球を主体に左右の内角を突いた。「直球はいいボールを投げていたので良かったけど、変化球がちょっと高めに浮いているので修正したい」。次回は変化球を低めに集める。岡田監督は「いろんなことを試すというかな。まあ3回やし」と2人の結果は問わなかった。本番モードはシーズン初登板の日程が固まっているであろう次回からになりそうだ。【石橋隆雄】

◆阪神板山が好調をキープした。オリックス戦に「6番右翼」で先発。1回2死満塁で山岡から左前に先制の2点タイムリーを放った。「いいピッチャーから打っているのは自信になる。結果を残さないといけない立場なので、引き続きやっていきたい」。3回にはシュウィンデルの右飛を好捕。途中から一塁も守った。2月25日ヤクルト戦では右中間本塁打でアピール。開幕右翼の本命はドラフト1位森下で、さらに結果を残す必要がある。「森下とか注目されていますけど、自分はできることを積み重ねていく」とワンプレーに集中する。○...セットアッパー岩崎が今季初実戦で1回無安打無失点の貫禄ピッチだ。4回から2番手として登板。先頭ゴンザレスから141キロ直球で見逃し三振を奪うと、続く宗を二ゴロ。最後は若月を三ゴロと危なげなかった。昨年は投げていなかった「ツーシームみたい」というチェンジアップも試投。「これからオープン戦で投げてみて扱えるかどうか」と段階を進めた。岡田監督はブルペンの柱である左腕に「暖かいうちに投げさそう思った」と試合序盤の舞台を用意。「今日見たら本人なりに開幕に合わせているというか、そういう感じには見える」とうなずいた。

◆肩と守備もレギュラー級よ! 阪神ドラフト1位の森下翔太外野手(22=中大)が4日、プロ初の甲子園ゲームとなったオリックスとのオープン戦で強肩、俊足を披露し、鳴り物と声援を解禁した虎党を沸かせた。5回から代走で出場。早速"プロ初盗塁"を決めると、8回には右翼から好返球を連発した。虎将として15年ぶりに甲子園で指揮した岡田監督も、ドラ1ルーキーの「走守」に納得顔。最有力候補の開幕右翼スタメンにまた1歩近づいた。「代走森下」のコールに、観客1万7603人が沸いた。5回1死一塁、佐藤輝が空振り三振に倒れた1球。ドラ1ルーキーがスタートを切った。力強いスライディングで二塁を陥れた。「積極的に走りだそう、と」。指揮官のサインに応える"プロ初盗塁"。右足肉離れでキャンプ途中からの1軍合流となっていた不安を、快足で一掃した。甲子園でのプレーは東海大相模で4強入りした18年センバツ以来、5年ぶり。試合前には「こんなに試合の時に間が空いたことがない。どう過ごせばいいか分からない」と初々しかった森下だが、久々の聖地で持ち味を存分に発揮した。右翼守備では8回に強肩を連発した。1死二塁からタッチアップに十分な距離の飛球をさばき、中継へ強烈な送球。「入りはそこまで良くなかったけど、つないで進塁させなかったのは良かった」。三塁を狙いかけた走者大城をすぐに帰塁させた。直後は頭上を越されてから中継に素早く返球し、打者走者を三塁でタッチアウトに。甲子園練習でも筒井外野守備走塁コーチと個別守備練習を継続する中、早くも成果が表れた。この日は岡田監督にとっても、虎将としては08年以来となる甲子園での指揮だった。15年ぶりの景色には「まあ別に普通やで」と淡々と振り返った指揮官だが、ドラ1ルーキーの話題に移ると冗舌に。「肩ずっといいやん。肩というかスローイングがいいから。足も遅いことはない。盗塁できるくらい、足はあるよ」。開幕右翼どころか3番起用すら視野に入るルーキーの動きにただただ納得顔だ。打撃ではオリックス20歳右腕山下の156キロ直球を初球から狙って「重さを感じた」と二ゴロ。43年ぶりとなる阪神新人による甲子園初戦アーチはならなかった。それでも本人は「打球的にはそこまで悪くなかった。次につながると思います」と前向きだ。鳴り物応援や声援が解禁される中、初めて甲子園の熱気も浴びた。「ああいう応援は初めて。迫力もあった。お客さんが増えてくれば、もっと歓声も大きくなる。しっかり味方につけてプレーしたい」。5日オリックス戦は先発出場する予定。3拍子そろう大物ルーキーが、歓声も新たな武器にする。【波部俊之介】▽阪神筒井外野守備走塁コーチ (森下の守備に)良くはなっているし、本人も手応えを感じていると思う。森下はあの肩の強さがあるので、そこを生かせるように(指導している)。いい捕球とか、いい体勢とか。

◆今季の甲子園初戦。両軍のスターティングメンバーが発表された。ドラフト1位の森下翔太外野手(22)=中大=は途中出場する見込み。この日がプロでの聖地デビューとなるドライチが、本拠地の虎党に豪快なバッティングをお披露目する。

◆「4番・一塁」で出場した阪神・大山悠輔内野手(28)が一回に左前打を放ち、今春の対外試合初安打をマークした。一回2死一塁で打席へ。カウント1ー2から山岡の115キロ変化球を弾き返した。三遊間を抜ける左前打で一、三塁と好機を拡大した。大山は、2月12日の紅白戦(宜野座)で西純から左前適時打を放って以降、対外試合で19打数(23打席)無安打だったが、本拠地甲子園の開幕試合で心配なしと言わんばかりのヒットを放った。阪神は続く佐藤輝が四球で2死満塁とすると、6番・板山が2点左前打を放って幸先よく先制に成功。板山は2ランを放った2月25日のヤクルト戦(浦添)に続き、出場2試合連続の先制打と定位置奪取にアピールした。

◆開幕投手候補の阪神・青柳晃洋投手(29)がオープン戦に初登板し、3回3安打2失点だった。「投げ切れたボールも何球かしかなかったので、全然ダメだったなという印象ですね」一回はD4位・杉沢(東北福祉大)の左前打で先頭の出塁を許すも、後続を断って無失点発進した。しかし、2点を先制してもらった直後の二回は再び安打で先頭を塁に出し、1死二塁から来田に右中間を破る適時三塁打を浴びて1点差。続く池田の三ゴロの間に同点とされた。三回は1番・杉沢から西野、シュウィンデル(前カブス)と続く並びを三者凡退に抑えた。2月23日の中日との練習試合(沖縄・北谷)以来の実戦登板では、持ち球すべてでストライクカウントを取れたことは前向きにとらえたが、直球の制球や結果球の精度の甘さを反省。今後に向けて「これから制球だったり高さとか、コースというところはこれからどんどんどんどん上げていかないといけない。右打者にもいい当たりはありましたし、結果だけ見たら左に打たれた、となるので何とも言えないですけど、(左右)どっちに対してもまだまだ(修正の)余地はある」と話した。

◆阪神のドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=が、五回無死から四球で出塁したミエセスに代わって一塁の代走に入り、本拠地・甲子園デビューを迎えた。森下は一死後、佐藤輝の打席で5球目に盗塁のスタートを切ると、送球が一塁側に逸れる間に二盗を決めた。「甲子園でお客さんが入ってやることはプロ入って初めてなので、すごく楽しみ」と語っていた背番号1が、打席に立つ前にまずは「走」で存在感を示した。

◆阪神のD1位・森下翔太外野手(22)=中大=は五回、一走の代走で出場し、二盗に成功後、「3番・右翼」に入った。注目の甲子園初打席は七回1死で、山下舜平大投手(20)の前に二ゴロに倒れ、1打数無安打に終わった。対外試合で23打席無安打だった大山悠輔内野手(28)は「4番・一塁」で出場し、一回に左前打を放った。先発・青柳晃洋投手(29)、4番手で六回から登板した伊藤将司投手(27)は揃って3回2失点だった。岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(オープン戦成績=1勝2敗、観衆=1万7603人)。ーー青柳本人は収穫と課題もあったと「伊藤と青柳がどうやろ。いろんなことを試すというか、おーん。まあ次からは頭からいくから。伊藤にしても、うん」ーーこの登板を踏まえて本番の登板日は決めるのか「逆算したら大体、わかるやんか。今は予告先発やし。別に隠す必要もないしなあ、もう」ーー開幕は青柳に決めているのか「まだ決めてないよ。決めていても言う必要ないやろ。予告先発や、言うてるやないか。おーん」ーー岩崎が初登板(四回の1回を無安打無失点)「どっちかというと春先は悪いイメージがあるからな。本人もそれを分かっているかもわからんけど、本人なりに、開幕に合わせてというかな、そういう感じには見えるよな」ーー相手の主力打者が残っている回に登板「違う違う違う。暖かいうちに投げさそう思っただけやんか。主力とかじゃないやんか、誰が主力かわからへんやんか、オリックスなんか。外国人にしてもわからへん」ーー森下も初めての甲子園「もう一回、2打席打たしたろと思て何とか早い打順に入れたんやけど、もう1人やったなあ。明日は頭からいくからアレやけど(九回2死一塁で前打者の島田が空振り三振)」ーー速いピッチャーにも振っていった(初球の156キロを二ゴロ)「速いなあ、あれ、山下いうの。びっくりしたわ。久しぶりに速い球見たなあ」ーー森下は肩でもいい送球をしていた「肩ずっといいやん、そら、おまえ。肩というかスローイングがいいからな。サードアウトにしたんでも...(八回、右越え適時打を放った頓宮の三進を中継で阻止)」ーー森下の二盗はサイン「ああ、サイン、サイン。アレは」ーー大山にも安打「出るやろ言うても、出てどうこう言うアレじゃないやんか。久しぶりにエエバッティング見たやん。2打席目な。今年一番エエスイングしたな2打席目がな。サードフライ(結果は捕邪飛)がな。あんなヒットなんて、どうにも思うてないよ。2打席目のスイングよ。今年イチのスイングしたんじゃない? そういうのを見てるから」ーーサインを出す位置など一塁ベンチからの見え方は「いやいや、普通に普通に。サインは平田が出してたから知らんよ」ーー15年ぶりの景色は「まあ、別に普通やで。普通やわ、それは」ーー声援のある甲子園は「俺、声援ないところでやってないもん。分からん、分からん。前も声援あったもん」

◆五回の守備から出場した阪神・渡辺諒が九回2死で中前打。昨秋日本ハムからトレードで加入後、本拠地で〝初安打〟をマークした。「ホームとして初めての甲子園だったので、すごい声援が後押ししてくれて、その結果しっかり打てた。うれしかったですね」。この日から甲子園でも解禁された声出し応援に触れ「ファンの声援があるのは楽しいし、うれしい」と力をもらっていた。

◆阪神・岩崎が2番手で四回に登板し、三者凡退に仕留めた。従来の持ち球とは変化が異なる〝新チェンジアップ〟を試投。「投げられても扱えるかどうかとなると別なので、そこはもうちょっとこれからという感じ」と、開幕まで〝テスト〟を続ける。球を受けた坂本は「打者の反応を見てもすごく有効なボールになるんじゃないかなと感じました」とうなずいていた。

◆阪神・佐藤輝は声出し応援が解禁された甲子園に感慨深い表情を浮かべた。「小さいとき甲子園によく応援に来ていて、懐かしいなという思いと、その応援の中でプレーするのは初めてなので新鮮な気持ちと両方あった」。試合前の円陣では「ファンの皆さんにいいところを見てもらいましょう」とナインに檄。2打数無安打に終わったが、虎の主軸として、これから何度も歓喜の渦を巻き起こす。

◆阪神・大山が対外試合24打席目(6試合目)で初安打を放った。一回、2死一塁から山岡のチェンジアップを左前へ。板山の先制2点打をおぜん立てした。「きょうは3打席ともすごくよかった」と手応えをつかんだが、岡田監督が復調を確信したのは、三回に捕邪飛に倒れたシーン。「今年一番ええスイングしたな。あんな(一回の)ヒットなんてどうにも思うてないよ。2打席目のスイングよ」と独自の視点で4番の復調を喜んだ。

◆六回から4番手で登板した阪神の左腕・伊藤将は3回を投げて2失点。六回に1死から西野を中前打で出塁させると、頓宮に左翼への勝ち越し二塁打を浴びた。七回は連続三振を奪うなど3人で抑えたが、八回に先頭を四球を出し、2死二塁から頓宮に今度は右翼への適時二塁打を許した。「ストレートはいい球を投げられていたが、六回と八回は変化球が高めに浮いている部分があった。先頭への四球をなくせれば」と次回登板で修正するべきポイントを挙げた。

◆阪神の新外国人ミエセス(前レッドソックス3A)は「3番・左翼」で本拠地・甲子園での初実戦に臨んだが、空振り三振、三ゴロ、四球で2打数無安打。「投手の球にどれだけ対応していけるかを考えながら打席に立った。(守備は)普通にこなすことができた」と振り返った。甲子園の声出し応援も初めて味わい「みんな元気をくれるし、すごくモチベーションになってうれしかったです」と喜んでいた。

◆右肩の違和感で別メニュー調整をしていた阪神・梅野が全体練習に合流。フリー打撃では快音を響かせ、試合前のシートノックにも参加した。「打った感じはまったく問題なくやれている」と順調な回復を強調。実戦の復帰時期について、岡田監督は「それはまだわからん、わからん」と明言を避けたが、順調なら9日のオリックス戦(京セラ)が有力とみられる。

◆開幕スタメンあきらめん! 「6番・右翼」で出場した阪神・板山祐太郎外野手(28)が一回に先制打。ドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=らと争う外野の開幕スタメン争いに猛アピールした。快音が歓声を呼び込み、打球は左翼芝生で弾んだ。目が覚めたときから、この瞬間をイメージしてきた。板山が開幕スタメンへ、猛アピールの先制打だ。「森下とか注目されていますけど、自分は自分のできることを毎日積み重ねていく。チャンスだったので打てる球がきたら、どんどんいこう、と。いい投手から打てたことは自信にしたい」一回2死満塁で迎えた第1打席。山岡の144㌔直球をとらえた。左前に運ぶ2点打。2ランを放った2月25日のヤクルト戦(浦添)から、出場2試合連続の先制打で甲子園の虎党をわかせた。昨季は1軍で14試合の出場にとどまり、打率・125。わずか1安打しか残せなかった。それでも、昨年の秋季キャンプでその打棒が岡田監督の目に留まり、評価は急上昇。2月の春季キャンプでも、熾烈な外野手争いの中でたびたび名前が挙がるようになった。指揮官は、別メニュー調整中のノイジー以外の左翼手候補を4、5日のオリックス戦で均等に出場させる方針を示していた。この日、新外国人ミエセスは2打数無安打、21歳の井上は1打数無安打だった一方、板山は3打数1安打2打点で意地をみせた。プロ7年間で培ってきた経験値がある。「1打席目とか最初の守備の準備というのは朝起きたときから始まっている。自分はなんとなくイメージしながら、準備するようにしている」起床した瞬間から、頭の中は試合のことでいっぱい。日々のルーティーンは、早めに球場入りして行う20分間ランニング。その日の体調はどうか。自分にいま足りていないものは何か。汗をかきながら己に問いかけ、準備してきた。三回の右翼守備では、シュウィンデルの鋭い打球をスライディングして好捕。「あれは自分の中では普通」とサラリと言ってのけた。これも、付け入る隙のない準備をしているからこそ。すべてのプレーに存在感が際立ついまの板山なら、右翼ではなく左翼での開幕スタメンだって現実味を帯びてくる。「まだ(開幕まで)1カ月もある。いいときも悪いときもあると思うけど自分のできることをやっていきたい」油断も慢心も一切ない。「3・31」の先発に名前を刻む。そのときをイメージし、たゆまぬ準備を進めていく。(原田遼太郎)阪神の外野事情 中堅は近本で決定的で、右翼はD1位・森下(中大)が抜け出した。左翼は新外国人のノイジー(前アスレチックス3A)が有力だが、左腰の張りで別メニュー調整中。岡田監督は「候補は2、3人」として、ミエセス(前レッドソックス3A)、井上、板山らを競わせる方針。

◆投げるたびに甲子園のスタンドをどよめかせた。4番手で七回から登板したオリックス・山下舜平大投手(20)は先頭への初球から2球続けて157キロをマーク。自己最速158キロもたたき出し、視線を独り占めにした。「思った以上に(球速が)出ました。開幕ローテーションを狙っていますし、初勝利がまだなので、そこはクリアしたいと思います」福岡大大濠高時代に憧れたマウンドで、初めて登板。島田を158キロで空振り三振に仕留めると、D1位・森下(中大)は初球の156キロで二ゴロ。最後の井上は、キャンプで野茂英雄氏から指導を受けたフォークで三ゴロに打ち取った。受けた森も「化け物。この先怖いッス。今まで受けた中で一番速い」と目を丸くした。2021年D1位で入団し、まだ公式戦1軍出場はない。昨年11月に両足首の手術を受けたこともあって中嶋監督は「そんなに急がせないで」とけん制したが、期待ばかりが膨らむ圧巻のピッチングだった。(北池良輔)

◆阪神のドラフト1位・森下(中大)は五回無死一塁から、一塁走者のミエセスの代走で出場。1死後、佐藤輝の打席の5球目でスタートを切り、サインに応えて二盗を決めた。「代走で行くのは事前に言われていた。積極的に走り出そうというので行けました」そのまま「3番・右翼」に入り、打席が回ったのは七回1死。オリックス・山下の初球、156キロ真っすぐを振り抜いた。二ゴロとなったが「打球的にはそこまで悪くなかった。次につながる」と好感触だった。守備では八回2死二塁で、頓宮の打球が前を守っていた森下の頭上へ。捕球はならなかったが、素早くフェンスに詰めてノーバウンドで中継し、打者走者を三塁でアウトにした。これには岡田監督も「肩、ずっといいやん。スローイングがいい」とたたえた。初めて本拠地でプレーし、鳴り物応援や声援も初経験。「迫力もありましたし、もっとお客さんが増えてくれば歓声も大きくなる。しっかり味方につけてプレーしたい」と喜んだ。岡田監督は5日のオリックス戦でのスタメンを明言した。

◆開幕投手候補の青柳晃洋投手(29)はオープン戦初登板で、3回3安打2失点だった。胸のうちに満足感は残らなかった。オープン戦に初登板した青柳だったが、結果は3回3安打2失点。開幕を見据え、〝現在地〟を確認するマウンドとなった。「投げ切れたボールも何球かしかなかった。全然ダメだったなという印象ですね」失点した二回は宗に中前打を許し、一回に続いて先頭打者に安打で出塁された。二盗を決められて1死二塁となると、来田には低めのツーシームをとらえて右中間を破る三塁打とされ、1点差。続く池田の三ゴロの間に同点のホームを踏まれた。直球の制球力や追い込んだ後のボールの精度など、持ち帰った課題は多い。昨季に2年連続最多勝&投手3冠(13勝、勝率・765、防御率2・05)に輝いた実績十分のエースが開幕投手候補の「筆頭」であることに変わりはない。3月31日・DeNA戦(京セラ)での大役について岡田監督は「まだ決めてないよ。決めていても(報道陣に)言う必要ないやろ」と明言しなかったが、「(登板日を)逆算したら、だいたい分かるやんか」とニヤリ。最終決定は、この日が初戦だった関西ダービー2連戦と、WBCに出場する日韓両代表との強化試合(6、7日、京セラ)の計4試合で先発陣がひと通り登板し終えた後にも通告される予定だ。「これから制球だったり、高さとかコース(に投げる精度)というところは、これからどんどんどんどん上げていかないといけない」と青柳。不安要素を取り除く時間はまだ残されている。理想の自分に近づくためならば、課題が噴出したこと自体が収穫。岡田虎の行く末を占う指先に、磨きをかけていく。(須藤佳裕)

◆今から28年前の3月4日も、阪神とオリックスがオープン戦を行っていた。舞台はグリーンスタジアム神戸(現在のほっともっと神戸)。ただ、意味合いは例年とちょっと違った。この年の1月17日に阪神・淡路大震災が発生。両チームの本拠地周辺は壊滅的な被害を受けた。本当に復興できるんだろうか...。お客さんは見に来るんだろうか...。そんな思いが交錯する中、被災地で初めて行われたプロ野球だった。不安は一瞬で消えた。被災者はプロ野球を待っていた。スタジアムに集まった観衆は1万人。前年のオリックスのオープン戦開幕を上回ったのだ。「ガンバロウKOBE」と描かれた外野芝。選手は駆け回り、ファンは大歓声を上げた。あの日は試合前から楽しめた〝話題〟もあった。阪神の先発・山崎一玄投手が「イチローを4球で打ち取る」と大胆予告。その前年に彗星(すいせい)のごとく登場した球史に残る大打者に挑戦状をたたきつけ、スポーツ新聞は大盛り上がり。結果は...。1番イチローは初球をヒット。すかさず二盗。2番田口が3球目をタイムリー。「4球で打ち取る」はずが「4球で失点」というオチに。それでも、山崎投手は潔かった。「想像以上にすごい打者でした」-。時代は流れたが、令和の時代にも、こういう〝場外戦〟も楽しめる、存在感がある選手の登場を待ちたいところです。28年後の阪神vsオリックスは、コロナ時代からの変貌という意味で、新たな1ページだった。甲子園に鳴り物の応援が帰ってきた。ファンが歓声を上げていた。そして、六甲おろしが...「いきなり1番の近本の打席で『近本の応援曲ってこんな感じだったっけ』と不思議な気分に。去年までも、球場内で曲は流れていたんですが、ナマの曲とずいぶん違う印象です」そう教えてくれたのはトラ番・原田遼太郎。到来した「新時代」は流れる曲だけではなかった。

◆阪神のドラフト1位・森下翔太外野手(22)=中大=が4日のオリックス戦で〝甲子園デビュー〟。たった1打席、たった1スイングだったが、見守ったサンケイスポーツ専属評論家の土井正博氏(79)は「真っすぐに振り負けないスイングは天性のもの。松井稼頭央(現西武監督)に匹敵」と絶賛。通算465本塁打&2452安打の大打者にして名指導者が、現代野球に希少価値の「剛速球を打ち返す打者」の誕生を予言した。見ることができたのはひと振りだけだったが、1スイングで森下の非凡さ、すごさが伝わってきた。オリックス・山下は、ただものではない真っすぐを投げていた。その力のある高めの快速球(156キロ)に対して、力強いフルスイングができていたのだ。「スイングして当てる」ではなく、「フルスイングして当たる」打撃ができる打者だ。あのコースに来ると、どうしても当てに行く打者が多いのだが、森下は下半身を使って振るため、手打ちにならず、投球を〝つかまえる〟スイングだった。これができる打者が最近では非常に少なくなってきている。ヒットが欲しくなると、どうしても当てに行くのだ。昔の打者は「真っすぐに強くなければプロで生き抜いていけない」という傾向が顕著だった。それが、高校野球に金属バットが導入されて以降、強いスイングをしなくても打球が飛んでいくため、巧さが重視される時代が到来。手打ちに近い打撃でも、プロである程度の成功は可能になった。

◆4日に行われたオリックスとのオープン戦から、甲子園での鳴り物応援や、声を出しての応援(マスク着用)が解禁された。阪神・原口文仁内野手(31)も試合前から「ファンの人が声を出して応援してくれるのは、またさらにパワーをもらえるので、本当に楽しみです」と話していた。この一戦は六回に代打で登場して空振り三振、八回は一飛に倒れたが、虎党からの激励は耳に届いていたことだろう。シーズン中も勝負強い打撃で何度も何度もスタンドを、ドッとわかせてくれるはずだ。背番号94は、こんな変化にもノスタルジーを感じていた。「記者の皆さんも、いろんな規制がとけて、ぶら下がり(取材対象者の横を歩いて質問する)だったり、グラウンド周辺にいるっていうのは、すごく懐かしいというか、すごく久しぶりの感覚。そういったものも懐かしいです」。コロナ禍によって制限された取材エリアや取材方法も、徐々に緩和されている。個人的にも3年ぶりの距離感だ。2020年3月。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、大相撲の令和2年春場所は、史上初の無観客で開催された(昭和20年夏場所も一般公開していないが、傷病軍人は招待された)。当時、相撲担当だった。仕方がないとはいえ、柵で約2メートルの距離がとられた状態で力士を取材するのは、違和感しかなかった。2月の沖縄・宜野座キャンプ、そして3月の甲子園。取材の〝自由度〟は広がってきた。原口は「1カ月、沖縄で練習をやっていると、甲子園に帰ってきて違う感覚になる。毎年、今の時期は新鮮な気持ちで練習できている」という。オフと南国での調整で土台を作り、いざ本番へ。取材も、指定された場所で待っていれば対象者がやってくるという方式はなくなりつつある。ということは、背番号94の熱い思いを一言一句漏らさないよう、ぴったりと横に張り付ける足腰に鍛え直さないと...。(新里公章)

DAZN

<オープン戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
日本ハム
300 1.000
(-)
-
(-)
22
(+9)
16
(+6)
4
(+1)
2
(+1)
0.320
(↓0.003)
4.000
(-)
1
(-)
巨人
300 1.000
(-)
0
(-)
15
(-)
8
(-)
1
(-)
2
(-)
0.292
(-)
1.000
(-)
1
(5↑)
ORIX
100 1.000
(-)
0
(-)
4
(-)
2
(-)
0
(-)
2
(-)
0.219
(-)
2.000
(-)
1
(6↑)
西武
100 1.000
(-)
0
(-)
4
(-)
1
(-)
0
(-)
3
(-)
0.250
(-)
1.000
(-)
5
(2↓)
広島
210 0.667
(↑0.167)
0
(↓1)
11
(+2)
8
(-)
0
(-)
2
(+1)
0.274
(-)
1.730
(↑0.92)
6
(3↓)
阪神
120 0.333
(↓0.167)
1
(-)
13
(+2)
14
(+4)
4
(-)
2
(+1)
0.243
(↓0.028)
4.500
(↑0.26)
6
(3↓)
DeNA
120 0.333
(↓0.167)
1
(-)
9
(+1)
13
(+4)
1
(-)
2
(+1)
0.204
(↓0.021)
3.120
(↑0.06)
6
(-)
ヤクルト
121 0.333
(-)
1
(↑0.5)
23
(+2)
23
(+2)
4
(+1)
6
(-)
0.259
(↓0.023)
4.750
(↑0.92)
9
(5↓)
ソフトバンク
010 0.000
(-)
1
(-)
0
(-)
2
(-)
0
(-)
0
(-)
0.172
(-)
2.000
(-)
9
(2↓)
中日
020 0.000
(-)
1.5
(↑0.5)
9
(-)
15
(-)
3
(-)
0
(-)
0.214
(-)
5.000
(-)
9
(2↓)
楽天
030 0.000
(-)
2
(-)
19
(+6)
27
(+9)
2
(+1)
3
(+1)
0.340
(↓0.007)
9.990
(↓0.07)