オリックス(☆1対0★)ヤクルト =日本シリーズ4回戦(2022.10.26)・京セラドーム大阪=
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ヤクルト
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ORIX
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勝利投手:宇田川 優希(1勝0敗0S)
(セーブ:ワゲスパック(0勝0敗1S))
敗戦投手:石川 雅規(0勝1敗0S)
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◆オリックスが接戦を制した。オリックスは3回裏、2死二塁の好機から杉本が適時打を放ち、先制に成功する。投げては、先発・山岡が5回途中無失点。その後は3人の継投で、虎の子の1点を守り抜いた。敗れたヤクルトは、打線が相手を上回る6安打を放つも、無得点とつながりを欠いた。

◆オリックスのエース山本由伸投手(24)が、指先の感覚を確かめるように10メートルほどの距離でキャッチボールを行った。山本は、22日の日本シリーズ初戦(神宮)で、左脇腹を痛めた影響で5回途中緊急降板。24日まではノースロー調整で安静していたが、前日25日にはボールを握り、「壁当て」を行っていた。患部の状況良化が最優先で、予定されていた第6戦の先発マウンドは回避する見通し。今シリーズでの復帰は難しい状況にあるが、早期回復に努める。

◆中日の新たな打撃コーチに就任する和田一浩氏(50=日刊スポーツ評論家)が26日、ナゴヤ球場の秋季練習を視察し、私服姿のまま指導を行った。左膝靱帯(じんたい)再建手術を受け、来夏の復帰を目指す石川昂弥内野手(21)には45分にわたって指導するなど「和田コーチ」が精力的に始動した。立浪監督の要請を受け、8年ぶりに古巣のユニホームを着る和田氏が正式契約を前に動きだした。メイン球場でレビーラ、ガルシアのキューバコンビのスイング軌道などを確認すると、屋内練習場に場所を移し、座った状態でティー打撃を行う石川昂にマンツーマンでアドバイスを送った。「彼の考え方を聞きながら、指導というか基本的な部分の話をしました。手の使い方を含めた体の連動性などですね。もともとある程度打てていた選手なのでそれプラス(の手助け)が出来ればと思います」と説明。7月の左膝手術から再起を目指す石川昂は、「教えていただいたことをしっかり整理して、また明日から頑張ります」と厳しいリハビリが続く中での新たな出会いに目を輝かせた。立浪監督は「このチームの打撃コーチは大変だと思いますが、思い通りにやってもらえばいい」と全幅の信頼を寄せる。「今はいろんな理論があるが、選手が迷わないようにはしていきたい」。和田氏の気持ちは11月に予定される沖縄秋季キャンプでの本格始動に向かっていた。

◆2勝1分けで迎えた第4戦、ヤクルト高津臣吾監督(53)が「3番山田」を復活させた。前夜は打線組み替えが功を奏し、「1番二塁」で決勝3ランを放った山田哲人内野手(30)を"定位置"に戻した。またベテラン青木宣親外野手(40)をスタメン起用。42歳で先発する石川雅規投手とともに、ベテランに命運を託した。

◆両チームのスタメンが発表された。オリックスは4試合目で4通り目となる打順となり、吉田正尚外野手(29)が初戦以来の4番に復帰。また「1番中堅」に佐野皓大外野手(26)、「9番二塁」に昨年の日本シリーズ第5戦で2安打を放って勝利に貢献した太田椋内野手(21)を初スタメンに抜てきした。ヤクルトは、前日25日に決勝3ランを放った山田哲人内野手(30)が2試合ぶりに3番に入り、また1、2戦は代打だった青木宣親外野手(40)が「6番左翼」で初めて先発出場する。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)が先制機を逃した。1回1死一、二塁で最初の打席が回ってきたが、オリックス山岡に二ゴロに抑えられた。オール変化球攻めだった。最後はカウント3-1からチェンジアップを引っかけた。走者は、それぞれ進めなお2死二、三塁としたが、次のオスナは遊ゴロ。チャンスは作ったが、得点はならなかった。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)が再びの好機で凡退した。二ゴロに終わった1回1回1死一、二塁に続き、3回2死一、二塁の第2打席は空振り三振だった。フルカウントから低めのスライダーにバットが回った。第1打席は全5球が変化球。第2打席は初球と3球目に直球を投げられ、ともにボール。それ以外は、チェンジアップ、スライダーと変化球中心に攻められた。

◆オリックスが杉本裕太郎外野手(31)の左前適時打で先制点を奪った。3回2死二塁で6番杉本に打席が回った。1回の第1打席では2死満塁から空振り三振。先制機を逃していた中で第2打席も好機で回ってきた。1ボールからヤクルト石川の甘く入った変化球を引っ張り込んだ。打球は左前に弾んで二塁走者が生還した。昨年の日本シリーズでは全6試合で4番に座ったが、今年は第4戦まで4番での先発出場はなし。この日も6番とクリーンアップを外れているが、昨年の本塁打王が貴重な打点をたたき出した。

◆オリックス先発の山岡泰輔投手(27)は5回途中5安打無失点でマウンドを降りた。毎回走者を背負う苦しい投球。初回は2死二、三塁を、3回には2死一、二塁とピンチをつくったが得点は許さず。2回と4回には併殺を奪って要所を締めた。1点リードの5回には1死から1番塩見に中越え三塁打を許した場面で降板。2番手宇田川優希投手(23)が山崎、山田を連続三振。中嶋聡監督(53)の思い切った継投で同点のピンチを脱した。

◆オリックスの宇田川優希投手(23)が連続三振でピンチを脱した。1点リードの5回。先発の山岡泰輔投手(27)が1死から1番塩見に中越え三塁打を許して降板。無失点ながら2番手の宇田川がマウンドに上がった。1死三塁と犠飛も許されない場面。2番の山崎にはフルカウントからフォークで空振り三振。続く山田に対しても1ボール2ストライクからフォークを投げ込み見逃し三振を奪った。若月健矢捕手(27)もワンバウンドのフォークを止めるなど、体を張って三塁走者の生還を阻止。中嶋聡監督(53)の思い切った継投に宇田川が2者連続三振で応え、同点のピンチを脱した。宇田川は仙台大から20年育成ドラフト3位で入団した2年目右腕。今年7月28日に支配下入り、7月31日には1軍昇格した。9月8日にはプロ初勝利をつかむなど、レギュラーシーズンでは19試合で防御率0・81とブレークを果たした。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)の第3打席、オリックス宇田川優希投手(23)との力勝負は四球に終わった。6回先頭で、オリックスバッテリーはオール直球勝負を選択。156キロボール、150キロボール、156キロ見逃しストライク、155キロ空振り、157キロボールでフルカウント。そして6球目、157キロが低めに外れ四球となった。安打にはならなかったが、村上は見応え十分の力勝負の末に四球を選んだ。これで、今シリーズ4試合連続で出塁を果たした。第1打席はオール変化球攻めで、最後はカウント3-1からチェンジアップを引っかけて二ゴロ。第2打席はフルカウントから低めのスライダーに空振り三振。初球と3球目に直球を投げられ、ともにボール。それ以外は、チェンジアップ、スライダーと変化球中心に攻められていた。

◆ヤクルト石川雅規投手(42)が、日本シリーズの最年長勝利記録更新を逃した。先発マウンドでは、ピンチで走者を背負いながらも2回まで無失点。3回に先制を許すも、最少失点にとどめた。勝てば42歳9カ月で、50年若林(毎日=42歳8カ月)のシリーズ最年長記録を更新できたが、5回2安打5四死球1失点で味方の援護がないまま降板。「一番長くユニホーム着てやれるのは幸せなこと。そこはやっぱり、日本シリーズにかけるものっていうのは、特別なものがある」と、意気に感じながら登板したが、金字塔はお預けとなった。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)の第4打席は、0-1の8回1死走者なしで山崎颯に左飛に倒れた。6回の宇田川との対戦(四球)に続く力勝負を挑まれた。150キロ台後半の直球を連発する山崎颯に、村上もフルスイングで応える。最後はフルカウントからの7球目、左飛に打ち取られた。

◆ヤクルトの日本一王手は、お預けとなった。2勝1分けと負けなしで臨んだ第4戦だったが、打線がオリックスの継投に抑えられた。初回から6回まで毎回走者を出しながら、あと1本が出なかった。0-1の5回には1死から塩見泰隆外野手(29)が中堅フェンス直撃の三塁打を放った。1死三塁と絶好の同点機をつくった。だが、オリックスはここで先発の山岡に代わり、宇田川が登板。150キロ後半の直球にフォークを操る右腕の前に、山崎晃大朗外野手(29)は空振り三振。山田哲人内野手(30)は見逃し三振に倒れた。先発した42歳9カ月の石川雅規投手(42)は4回以外は走者を出しながら、5回2安打1失点で踏ん張った。ただ、援護がなく、50年若林(毎日=42歳8カ月)のシリーズ最年長勝利の記録更新はならなかった。村上宗隆内野手(22)にも1発は出なかった。前日の第3戦に大勝した高津臣吾監督(53)だが、油断はなかった。「いつもと変わらないです。0-0でスタートするので、先に点を取りたいと思いますね」と話していた。だが、もくろんだ先取点を逃し、今シリーズ初黒星を喫した。それでも、星勘定で有利な状況は変わらない。第5戦で勝って、球団初の2年連続日本一へ王手をかけたい。

◆オリックスが今シリーズ初勝利。1点差をものにして、1勝2敗1分けとした。

◆オリックスが今シリーズ初勝利。1点差をものにして、1勝2敗1分けとした。投手陣がヤクルト打線を抑えた。先発の山岡泰輔投手(27)は毎回走者を許しながら、2併殺を奪うなど要所を締めた。5回途中で降板し、2番手宇田川優希投手(23)がマウンドへ。5回1死三塁から連続三振。6回も1死一、三塁とピンチを招くが、0で切り抜けた。2番手宇田川、3番手山崎颯一郎投手(24)ともイニングまたぎでスコアボードに0を並べた。3回には2死二塁から6番杉本裕太郎外野手(31)が左前適時打で先制点を奪った。貴重な1点を投手陣が守り抜いた。第3戦を終えて2敗1分けだったのは過去に3チーム。そのうち、62年東映と86年西武は逆転で日本一。3分の2が日本一となっている。オリックスも26年ぶりの日本一へ、逆襲が始まった。オリックスが1-0で逃げ切り、今シリーズ初勝利を挙げた。シリーズの1-0勝利は14年<5>戦ソフトバンク以来17度目となり、オリックスは初めて。オリックスの安打は3本だけで、3安打以下の勝利はシリーズ8度目(最少は2安打勝利)。オリックスにとっては3安打以下の勝利も初めてになる。2連敗後に初勝利を挙げたケースは16年日本ハムまで過去18度あり、逆転優勝は6度でV確率33%。逆転Vの6度は次の試合も勝ってタイに戻しており、27日の試合は負けられない。2番手の宇田川が日本シリーズ初勝利。宇田川は20年育成ドラフトで入団し、今年7月に支配下登録。育成ドラフト出身選手がシリーズで勝利は、09年<5>戦山口(巨人)11年<5>戦山田(ソフトバンク)17年<5>戦砂田(DeNA)17、19、20年に計4勝の石川、同3勝の千賀(ともにソフトバンク)に次ぎ6人目。育成から支配下に登録された年に勝ったのは宇田川が初めてだ。なお、宇田川は23歳11カ月で、オリックスでは95年<4>戦小林の24歳10カ月を抜く球団最年少勝利。

◆オリックスは第5戦の先発に左腕田嶋大樹投手(26)を送り出す。登板前日に取材に応じ、短期決戦での投球について「結構1イニング目から全力で行っちゃいますかね。リーグ戦の時はちょっと考えてピッチングはするんですけど、まあ後ろもたくさんいるし、3回、4回でガス欠になってもいいぐらいの気持ちでは上がってます」と話した。今季は規定投球回には届かなかったが、自己最多の9勝(3敗)、防御率2・66の好成績を残した。昨年の日本シリーズは3戦目に先発し5回途中1失点で降板、勝敗はつかなかった。入場制限のあった昨年と違い、今年は満員の観客の声援を受けられそうで「(ファンに)後押しされるようなピッチングができたらいいなっていう感じですね」と気合を入れた。

◆ヤクルトが、またも大幅に打線を組み替えて第4戦に臨んだが、オリックス投手陣の前に完封負けを喫した。昨季から続く同カード10試合目でチームは初の無得点となった。第3戦で1番に起用され、今シリーズ1号となる先制3ランを放った山田を3番に戻し、塩見を定位置の1番で起用。野手最年長40歳の青木を「6番左翼」で今シリーズ初めて先発起用。4番村上、5番オスナ、7番サンタナ、9番長岡以外を組み換え、序盤からチャンスは作ったがあと1本が出ず。高津監督は「今日のベストはこれだと思って起用したんですけどね。得点圏でどこかで1本打たなきゃいけなかったですね」と振り返った。1回から無死一、二塁の好機をつくるも、山田、村上が凡退。9回無死二塁の同点機にもあと1本が出ず。指揮官は「今日は反省するところはたくさんありますね」と厳しい表情。2年連続日本一へ、王手は持ち越しとなった。

◆ラオウが雪辱打で試合を決めた。オリックス杉本裕太郎外野手(31)が、3回2死二塁から先制の左前適時打を放った。1回の第1打席は2死満塁から空振り三振。先制機で空を切ったが、第2打席でリベンジを果たした。この一打が決勝打となり、チームは第4戦にして初勝利。パ・リーグ王者の反撃が、ここから始まる。ようやく笑みがこぼれた。3回2死二塁、杉本が、ヤクルト石川の2球目チェンジアップをたたいた。打球は左前で弾み、先制適時打になった。一塁へ走りながら、杉本は力強く拳を握った。「なんとかやり返したい気持ちでした」。チームは2敗1分けと苦境に立たされていた。5番からスタートした今シリーズ。だが調子はいまひとつで、シーズン終盤から打席でのスタンスを狭めるなど打撃フォームでも試行錯誤。前夜は打順が7番に下がり、この日は6番で起用されたが、初回2死満塁の絶好機で空振り三振。それだけにベンチでホッとした表情を見せた。中嶋監督も「まだまだ注文することはいっぱいあるが、タイムリーっていうのは大きい」とたたえた。杉本は打席でポーカーフェースを貫く。これはベテランの能見投手兼任コーチのひと言がきっかけだ。あるとき「(気持ちが)表情に出やすい。それだと不利になるから出さないようにした方がいいよ」とアドバイスをもらった。杉本は「能見さんは投手なのに野手の自分たちのこともよく見ているなあ」と感心するとともに、感謝した。それ以来、大先輩の助言に従って、打席に入るときは無表情を心がけている。"ポーカーフェース打法"で呼び込んだ今シリーズ初勝利。お立ち台で杉本は打席での狙いを問われ「それはシリーズが終わるまで秘密にしておきます」とニヤリ。もちろん第5戦以降も打つためだ。勝てばポーカーフェースはいらない。試合後は、思い切り勝利を喜んだ。【高垣誠】○...今年のシリーズで初のスタメンに抜てきされた太田が、2出塁で好機を作った。昨年は第5戦で2安打を放って勝利に貢献。この日は9番・二塁で先発し、2回1死一塁から四球で出塁。7回1死からは中前に初安打を放ち、2死二塁まで好機を広げた。いずれも得点にはつながらなかったが、堅守で投手陣を支えた。○...佐野皓がプロ初の日本シリーズスタメンに抜てきされた。昨年はすべて代走で4試合に出場。この日は1番・中堅で先発し、初回、ヤクルト石川の初球ストレートを捉えて左翼線を破る二塁打。自身のシリーズ初安打もマークした。この長打を起点に2死満塁まで好機は広がったが、得点にはつながらず。だがフル出場で、シリーズ初勝利に貢献した。オリックスが1-0で逃げ切り、今シリーズ初勝利を挙げた。シリーズの1-0勝利は14年<5>戦ソフトバンク以来17度目となり、オリックスは初めて。オリックスの安打は3本だけで、3安打以下の勝利はシリーズ8度目(最少は2安打勝利)。オリックスにとっては3安打以下の勝利も初めてになる。2連敗後に初勝利を挙げたケースは16年日本ハムまで過去18度あり、逆転優勝は6度でV確率33%。逆転Vの6度は次の試合も勝ってタイに戻しており、今日の試合は負けられない。

◆プロ21年目のヤクルト石川雅規投手(42)が、惜しくも金字塔に届かなかった。3回先頭に死球を与え、2死二塁で迎えた杉本に先制適時打を許した。初回先頭二塁打を浴び、得点圏に走者を背負うこと9打席目。しのぎ続けたピンチだったが、ついにとらえられた。これが決勝点となり「やはり先制点を取られたのが全てです」と1点に泣いた。5回2安打1失点での降板。結果は黒星でも、42歳9カ月の経験値を凝縮した。最速は134キロ。投球術を駆使し、初回は杉本から空振り三振を奪った。吉田にも安打を許さず。劣勢の状況下、プレートを外し何度も「間」をつくった。「しっかりとゲームメークすること。昨年のように自分に勝ちがつけばうれしいですけど、なんとか先発としてゲームをつくるのが一番」。50年若林(毎日=42歳8カ月)のシリーズ最年長記録には届かなくても、スタイルを貫いた。何度味わっても日本シリーズは格別だった。4度目のシリーズ登板。初勝利は昨年第4戦、同じオリックスに6回1失点でつかんだ白星だった。15年は2試合先発して2敗。「一番長くユニホーム着てやれるのは幸せなこと。そこはやっぱり、日本シリーズにかけるものっていうのは、特別なものがある」。リーグ戦後、CS登板がなく日本シリーズまでの調整期間では、頂上決戦を見据えてきた。先制点を与えても動じることなく、4回は3者凡退に抑え反撃を待った。マウンドでは何度も汗を拭い、ロジンを左手でたたき、気持ちをリセット。小さな大投手の魂を込めた88球だった。【栗田成芳】先発した42歳9カ月の石川が敗戦投手。シリーズで40代投手の黒星は06年<2>戦山本昌(中日)以来で、石川は50年<4>戦若林(毎日)の42歳8カ月を抜く最年長黒星。ヤクルトは40歳9カ月の青木も6番左翼で先発出場。同一球団の40代選手が同一試合に2人出場するのは、92年<6>戦ヤクルトの杉浦(代打)と八重樫(代打)93年<6>戦ヤクルトの杉浦(代打)と八重樫(代打)11年<4>戦中日の谷繁(8番捕手)と佐伯(代打)に次いで4度目。2人が先発出場は初めてだった。

◆ヤクルト青木宣親外野手(40)が今シリーズ初先発で安打を放った。「6番左翼」で出場。2回先頭で山岡から右前打を放った。直球2つで追い込まれたが、3球目のチェンジアップが高めに来たのを逃さなかった。6回1死三塁では宇田川から四球で好機を広げ、代走を送られた。日米通算19年目のベテランだが「日本シリーズに2年連続なんて、なかなかできない経験。何とか、もうひとつ乗り越えたい」と臨んだ。高津監督は「いい働きでした」と評価。球団初となる日本一連覇王手はお預けとなったが、青木の存在感が光った。

◆オリックスが執念の継投で反撃の1勝を挙げた。「SMBC日本シリーズ2022」の第4戦(京セラドーム大阪)。1点リードの5回1死三塁で、宇田川優希投手(23)が救援登板し、2者連続三振でピンチを脱した。6回も抑えると、3番手山崎颯一郎投手(24)も2回無安打無失点の力投。最後はジェイコブ・ワゲスパック投手(28)が締めた。炎の「USJ継投」で逃げ切り、1勝2敗1分け。26年ぶり5度目の日本一へ、第5戦でタイに持ち込む。劣勢が続いた日本シリーズで、中嶋監督の決断力は鈍らなかった。1点リードの5回1死三塁。指揮官はベンチを出た。先発山岡を70球で代え、コールされたのは今季途中に支配下選手登録された宇田川。背番号96を、マウンドに送り込んだ。外野フライすら許されない状況だったが、右腕は「何も考えてなかったです!」と集中力を高めていた。2番山崎に対して得意のフォークを多投。最後は142キロフォークで空振り三振を奪った。2死から山田を迎え、真っすぐでカウントを追い込むと、最後はフォークで見逃し三振に。力強く拳を握り絶叫した。心は熱く、頭は冷静だった。宇田川は逆境に強い。「意外とピンチの場面はゾーンに入れるんです。ランナーがいる方が『逆に大丈夫』という時がある。そういうときはだいたい抑えれる」。今季19試合で防御率0・81の成績に胸を張る。中嶋監督は「あそこは三振を取れるピッチャーでと思って、宇田川に決めた」と舞台裏を明かした。宇田川は6回のマウンドにも上がり、自己最速を更新する159キロを計測。結果こそは四球だったが、先頭の村上に6球全球ストレート勝負。令和の3冠王を相手にも、力で押し込んだ。20年10月26日、仙台大から育成ドラフト3位で指名された。育成なら入団拒否の姿勢を全球団に伝えており、困惑の指名だった。あれから2年、日本シリーズで勝利投手になるまでに成長した。山崎颯も2イニングを無安打無失点。炎の連続「回またぎ」の後は、ワゲスパックが9回を締めて「USJリレー」が完成。指揮官は「かなりしんどかったです...。だいぶしびれました」と苦笑いを浮かべながらも、自慢の救援陣を誇りに思った。これで1勝2敗1分け。27日に勝てば、タイに戻せる。強力救援陣がチームに粘りを生む。お立ち台で宇田川は「明日も全力で投げます!応援よろしくお願いします!」と日本シリーズ初白星を締めくくった。【真柴健】○...先発山岡の粘投がチーム初勝利につながった。毎回走者を出しながら、4回1/3を5安打無失点。初回2死二、三塁はオスナを遊ゴロ、3回2死一、二塁は村上を空振り三振に仕留めた。5回1死三塁を残して降板したが、宇田川の救援に救われた。「あまり操れていないボールも多かったんですが、バックの守備に助けてもらいながら何とかゼロで抑えられたところはよかった」。昨年の第5戦の勝利投手は、今年も辛抱して流れをつくった。○...ワゲスパックが、シリーズ4試合目で初めて9回に起用された。1点リードの最終回に登板し、先頭の丸山和に左翼線二塁打を打たれたが、サンタナ、代打の宮本を連続空振り三振。2死二塁でヤクルトは第2戦の9回に同点3ランを放った内山壮を代打で起用も、155キロ速球で捕邪飛に抑えた。シーズン5セーブの助っ人右腕が、しっかり守護神の役割を果たした。

◆ヤクルトは打線が5安打のみの9残塁で、オリックスに完封負けした。今シリーズ初黒星を喫した。試合後の高津臣吾監督(53)の会見は次の通り。-先発の石川投手(5回2安打1失点)は、らしくない四球もあったそうね。5四死球。何かなあ。ちょっと怖がっている部分と、丁寧に行く部分と紙一重だと思うんですけども。ストライク、ボールが、はっきりした部分はあったと思いますね。-ピンチはあったがしのいだ粘りはありましたけどね。こちらもチャンスがないわけではないので、どこかで1点取れてたらな、1本出てればなと思いますね。-登板間隔が空いた影響はそれはちょっと何とも言えないですね。-打線はチャンスはあったがそうですねえ。12タコかな? 得点圏で。まあ、ヒット1本、打たなきゃいけなかったですね。どっかで。どこかで1本というのは。難しいんでしょうけど、どこかで打たなきゃいけなかったですね。四球も絡めながらランナー出たりとか、いろいろあったんですけど。最後の1本は、すごく難しいでしょうけど、どっかで1本、欲しかったですね。-青木選手が安打いい働きでした。-スタメンに起用した今日のベストはこれだと思って起用したんですけどね。みんな。-山岡投手は交流戦でも苦手にしていたがいいピッチャーなんで、なかなか打てないですよ。-シリーズ初黒星。明日につながるものはいやあ、今日はちょっと反省するところ、たくさんありますね。反省と勉強しなきゃいけないですね。野球の勉強です。ちょっと、もうちょっと、勉強しないといけないですね。-監督にとっても反省が多かった多いですね。ちょっと今日は反省だらけだと思いますね。

◆オリックスは今シリーズ初勝利で1勝2敗1分けとした。お立ち台には先制の決勝打の杉本裕太郎外野手(31)と勝利投手の宇田川優希投手(23)、宇田川の後を受けて2回無失点の山崎颯一郎投手(24)が喜びの声をファンに届けた。杉本は3回の先制打を振り返って、「このシリーズずっとやられてたので、何とかやり返したいという気持ちで打席に入りました」。打席での狙いを問われると、「それはちょっと、日本シリーズ終わるまで秘密にしておきます」と話し、スタンドの笑いを誘った。宇田川は1回2/3を4奪三振無失点で勝利投手に。5回1死三塁の場面でマウンドに上がった時は、「何も考えてないです」と回答。球場は再び笑いが起こった。勝利投手となって「うれしいです!」と声を張り上げた。山崎颯は7回から3番手で登板し、山田、村上、オスナのクリーンアップを抑えるなど、2回を完全投球。「宇田川が良い投球をしたので、自分も負けない投球をしようと思って上がりました。変化球は全然あかんかった。真っすぐは力いっぱいなげようと思っていきました」と話した。左飛に抑えた村上との対決は「変化球とか結構見切られてたので、真っすぐしかないと思って投げました」と振り返った。

◆オリックス佐野皓大外野手が「1番中堅」で日本シリーズに初先発した。初回に石川の初球を捉えて左翼線を破る二塁打。シリーズ初安打に「思い切りの良さで勢いづけられたらと思っていた。緊張したけどもうやるしかないと思った」と積極的な打撃だった。フル出場して3打数1安打、1犠打。初勝利に貢献し「いい形でやれた」とかみしめた。

◆オリックスが4投手の継投でヤクルトを6安打無得点に封じ、今シリーズ4試合目で初勝利をつかんだ。中嶋聡監督(53)は、投手を含めた堅守を勝因に挙げた。先発の山岡は毎回走者を出しながら、5回1死まで粘投。「本当に苦しいんですよね。1つも勝ってない中でああいう、ランナー(を背負って)ね。チームも塁には出ているんだけど、点が入らないという。それでもよく投げてくれたと思います」。4イニングで得点圏に進まれても踏ん張り、ねぎらった。5回1死三塁で、その山岡から宇田川へ交代。「三振を取れるピッチャーを」という期待に応えて、宇田川は山崎、山田を連続三振に抑えた。最後は今シリーズで初めてワゲスパックに9回を任せて、1点差で逃げ切った。4試合目でようやくつかんだ勝利に「苦しかったか?」と問われ、指揮官は「そうですね。昨日の展開でね、ホームランがずっと出てますのでね、向こうに。でも本当に今日はバッテリーがよく頑張ったと思いますし、守備で勝ったのかなと思いますね」と振り返った。27日の第5戦に向けて「本拠地で、最後の試合になるので、いい試合を見せたいですし、勝ってタイにしたいですね」と締めくくった。

◆オリックスが今シリーズ初勝利。1点差をものにして、1勝2敗1分けとした。 投手陣がヤクルト打線を抑えた。先発の山岡泰輔投手(27)は毎回走者を許しながら、2併殺を奪うなど要所を締めた。5回途中で降板し、2番手宇田川優希投手(23)がマウンドへ。5回1死三塁から連続三振。6回も1死一、三塁とピンチを招くが、0で切り抜けた。タフネスぶりを発揮するオリックス宇田川の原点は、小学生時代にあった。埼玉・越谷市立宮本小学校の「壁」と向き合う日々だった。「放課後1人で壁当てをして、真っすぐのスピードだったり、変化球の曲がりを極めるのが好きでした」土日は少年野球チームでプレーしていたため、自主練習は平日の夕方になる。「1度、家に荷物を置きに帰って、自転車でもう1回学校に。校庭の壁で、最後のチャイムが鳴るまで永遠と投げてました」。黙々と投げる1球に教師も見とれて、止められたことがない。今でも思い出す。「ゲームしよう!って友だちに誘われても、なかなか興味が湧かなくて。軟式球を全力で投げている時間が楽しかった」。20年育成ドラフト3位。「大卒2年目の今年、ダメだったら、この世界にもういられないと思ってました」。努力でつかんだ背番号96。大舞台で投げられる今、幸せで仕方がない。【オリックス担当=真柴健】

◆オリックスが執念の継投で反撃の1勝を挙げた。「SMBC日本シリーズ2022」の第4戦(京セラドーム大阪)。1点リードの5回1死三塁で、宇田川優希投手(23)が救援登板し、2者連続三振でピンチを脱した。6回も抑えると、3番手山崎颯一郎投手(24)も2回無安打無失点の力投。最後はジェイコブ・ワゲスパック投手(28)が締めた。炎の「USJ継投」で逃げ切り、1勝2敗1分け。26年ぶり5度目の日本一へ、第5戦でタイに持ち込む。タクトは鈍らなかった。劣勢が続いた日本シリーズでも中嶋監督の決断力はさえた。1点リードの5回1死三塁。指揮官はベンチを出た。先発山岡を70球で代え、今季途中に支配下選手登録された宇田川をコール。"秘密兵器"の剛球右腕をマウンドに送り込んだ。「あそこは三振の取れる投手を。その選択肢しかなかった。(宇田川投入は)ずっと考えてました」外野フライすら許されない状況。指揮官が期待を寄せる剛腕は「早くから行くかもしれない。心の準備はできていた」とひるまなかった。集中を高め、フルスロットルで腕を振った。「何も考えてなかったです!」。心は熱く、頭は冷静に。宇田川は逆境に強い。「ピンチの場面は意外とゾーンに入れる。ランナーがいる方が『逆に大丈夫』という時がある」。2番山崎に得意のフォークを多投。最後は142キロフォークで空振り三振を奪った。2死から山田を迎え、真っすぐでカウントを追い込むと、フォークで見逃し三振に。力強く拳を握り絶叫した。「内心、焦りもあった。1-0だったのと、まだ日本シリーズ1勝もできてなかったので」闘志をむき出しに、イニングをまたいだ。6回先頭で「対戦を楽しみにしていた」と村上を迎える。1点差で、全球直球勝負-。結果は四球だったが、後続を仕留めた。1回2/3で4奪三振無失点。日本シリーズ初白星ゲットとともに自己最速を更新する159キロを計測。あの日の決断は間違っていなかった。20年10月26日、仙台大から育成ドラフト3位で指名された。育成なら入団拒否の姿勢を全球団に伝えており、困惑の指名。「迷いましたけど、悔いはないです」。剛腕は夢をかなえた。山崎颯も2イニングを無安打無失点。「宇田川が良い投球をしたので、自分も負けないように」と同学年の絆でバトンをつないだ。炎の連続「回またぎ」の後は、ワゲスパックが9回を締めて「USJリレー」が完成。指揮官は「かなりしんどかったです...」と苦笑いを浮かべながらも「期待してます。頼りにしている」と自慢の救援陣を誇りに思った。強力救援陣が強打のヤクルトを止めた。これで1勝2敗1分け。27日に勝てば、タイに戻せる。オリックスが息を吹き返した。【真柴健】

◆オリックス初勝利の原動力は言うまでもなくブルペン陣の働きだ。3安打1得点での勝利。出る投手が、みな力のある投球をするのは見ていて楽しい。本塁打が期待できず、得点力が不足しがちなチームでやはり投手力は逆襲へのカギだ。同時にうなる要素もある。いわゆる"生え抜き"のオンパレードなのだ。先発の山岡泰輔は16年のドラフト1位。3番手・山崎颯一郎も同年の「ドラ6」だ。2番手で光った宇田川優希は20年の育成ドラフト3位。それがここまで投げているのだから立派なものだ。イチロー、田口壮の存在を中心に日本一に輝いた96年のオリックス・ブルーウェーブは移籍組も多かった。同年10月24日、グリーンスタジアム神戸(当時)での第5戦で巨人を下し、日本一を決めた9回表。守備陣は外野を除けば全員、移籍組だった。古い記録で名前と元の所属球団を書けばこんな感じになる。投手・鈴木平(ヤクルト)捕手・高田誠(巨人)一塁・四條稔(巨人)二塁・大島公一(近鉄)三塁・馬場敏史(ダイエー)遊撃・勝呂寿統(巨人)95年まで近鉄に所属し、トレード移籍してきた1年目に活躍、日本シリーズでも光った大島は当時こんな話をしている。「近鉄ではチャンスになればなるほど制約が増えた。オリックスでは逆。チャンスのときほど自由にやらせてくれた。やりやすかったし、自分に責任ができた」。これも当時の指揮官・仰木彬の「マジック」だった。放任主義で自覚をもたらす。言ってしまえば簡単なことだが、そのスタイルを目指し、うまくいかないケースは少なくない。その意味で現在のオリックスも独特だろう。阪急・オリックスを振り出しに西武、横浜(当時)、日本ハム、さらにメジャー留学という中嶋聡の経験が生きているのかもしれない。選手にやる気を持たせるスタイルで結果を出しているようにも見える。もちろんFA選手を獲得できない、いいトレードが組めないなどの要素も背景にはあるようだ。それでも生え抜き選手を中心にチームを結成し、勝てれば理想に近い形だろう。かつては「ビッグボーイズ打線」などと外国人の移籍組による主軸を組んだチームとは違う姿がここにある。26年ぶりの日本一へ。まず次の1勝が重要だ。(敬称略)

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】元近鉄戦士のラルフ・ブライアント氏が京セラドーム大阪で日本シリーズを観戦。オリックスにエールを送りました。また試合前には日刊スポーツ大阪本社にも訪れてくれました。

◆今季限りでチームを去ることになった上岡千夜子さん(68)と藤田義隆通訳(65)に「ありがとうございました オリックス選手会一同」と書かれたユニホームがプレゼントされた。センターに大きな輪ができ、その後に記念撮影。長年、オリックスを支えてきた2人に心からの感謝を表現した。藤田通訳は1983年に当時近鉄に通訳として採用された。近鉄がオリックスと球団合併をしてからは、オリックスの通訳として活躍。何百人もの外国人選手と心を交わして、一番隣で支えてきた。藤田通訳といえば昨年のロッテとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第2戦(京セラ)。0-0の六回2死一塁で東妻が投球練習中、次打者の杉本に歩み寄り「クイックが速いから気を付けろよ」と助言した。杉本の次打者だったラベロだったため、中嶋監督がラベロを含め杉本にも助言を伝えるために藤田通訳を伝達役に選んだのだが、それだけ選手からも首脳陣からも信頼が厚い裏方さんだった。上岡さんは1992年にオリックス主催試合時のビジター側のアルバイトを始め、現在はチームの運営グループに所属。99年ごろからオリックス側を担当するようになり、選手から〝お母ちゃん〟と呼ばれる存在だ。「お茶出しとかコーヒーとか、ペーパータオルの補充とか」と表に出る職種ではなくとも、ナインが勝って喜ぶ姿も、負けて悔しがる姿もずっと見てきた。ヤクルトとの日本シリーズは2敗1分けの劣勢。2人を勝って送り出したい。日本一の裏方さんにしたい。

◆「SMBC日本シリーズ2022」は25日、京セラドーム大阪で第3戦が行われ、球団初の2年連続日本一を狙うヤクルト(セ・リーグ優勝)が、オリックス(パ・リーグ優勝)に7―1で快勝した。ここまで2試合無安打と沈黙していた山田哲人内野手(30)は三回の第2打席で全力疾走して二塁内野安打。シリーズ12打席目で初安打をマークすると、五回に先制&決勝の3ランを放った。元巨人監督の堀内恒夫氏(74)は26日、自身のブログで「3回の打席 セカンドへの内野安打になったけれど あれは申し訳ないけど守備のミスと言った方がいい」と指摘。「でも、山田くんにとってはようやく出た1本。気分良くなったと思うよ。早速、次の打席では3ランホームラン打つんだから。まぁ、結果出すのが早いこと」と驚いていた。

◆近鉄で3度本塁打王に輝き、今季発足した独立リーグ、北海道フロンティアリーグで士別の監督を務めているラルフ・ブライアントさんが観戦に訪れた。近鉄時代、1989年の巨人との日本シリーズでは3連勝後に4連敗を喫し「何とも言えない感覚だった」と振り返る。劣勢のオリックスには「まだまだチャンスはある」とエールを送った。今季、自身の記録を更新する5打席連続本塁打を放ったヤクルトの村上については「自分も4打数連続で打ったが、5打席連続はとんでもなく素晴らしい。とてもパワフルな選手で注目している」と話した。

◆中日、近鉄のOBで通算259本塁打、3度の本塁打王に輝いたラルフ・ブライアント氏(61)が3年ぶりに京セラを訪問。日本シリーズを観戦した。「バファローズのファンですので。(27日の)帰国の前にぜひ、バファローズの試合を見たいということで、寄せていただきました。今のプレーヤーのことはよくわからないんですけど、きょうチェックさせていただいて。バファローズが勝つところが見たいです」ブライアント氏は1988年に中日に入団。同年6月に金銭トレードで近鉄に移籍した。89年は49本塁打でMVPに輝き、リーグ優勝に貢献。93年のシーズン204三振は今でも1位の記録だ。3度の本塁打王の一方で、5度のリーグ最多三振を記録。まさに「ホームランか三振か」という豪快なスタイルは、何度もドラマをつくってファンを喜ばせてきた。ブライアント氏は89年に4打数連続本塁打を達成。この記録は今年、ヤクルト・村上宗隆の5打席連続本塁打によって破られた。シーズンで三冠王にも輝いた若きスラッガーに「ものすごくスペシャルなこと。自分も(4打数連続で)打ちましたけど、5打席なんてとてつもなく素晴らしいこと。難しいことだと思います」とうなるしかなかった。本塁打だけを打ち続けるという偉業。当時の感覚も「もちろん覚えています。忘れられないです」と振り返った。1989年、近鉄は巨人との日本シリーズで3連勝の後、4連敗を喫した。今年の日本シリーズも3戦目まではテレビで観戦。オリックスも2敗1分けと劣勢ではあるが、ブライアント氏は「まだまだチャンスはあると思います」と背中をたたいた。

◆オリックスは一回、二回とチャンスをつくったが先制とはならなかった。一回、1番に入った佐野皓が三塁線を破る二塁打。無死二塁としたが、宗が空振り三振。その後も2四球で満塁にまでしたが、最後は杉本が空振り三振に終わった。二回も1死から若月、太田が連続四球。下位打線から上位にチャンスで回したが、佐野皓が中飛、宗は鋭い当たりだったが二ゴロに倒れた。2回で5残塁と、主導権を握れなかった。42歳9カ月という日本シリーズ最年長勝利を狙う石川の熟練の投球に、ホームを踏ませてもらえなかった。

◆ヤクルト先発の石川雅規投手(42)は三回に先制点を献上した。2死からオリックス6番の杉本裕太郎外野手(31)に左前適時打を浴びた。先頭の3番・中川圭に死球を与え、4番・吉田正の二ゴロの間に1死二塁。5番・頓宮は三ゴロに仕留め、2死までこぎつけたが、続く杉本に1ボールから110キロのチェンジアップを左前へ運ばれた。

◆オリックスが三回に先制した。一回に安打と2四球で2死満塁としたが、最後は杉本が空振り三振に終わった。二回も1死から若月、太田が連続四球。下位打線から上位にチャンスで回したが、佐野皓が中飛、宗は鋭い当たりだったが二ゴロに倒れた。2回で5残塁と、悪いリズムが目立ち始めたところだった。三回、先頭の中川圭が死球で出塁。吉田正の二ゴロで1死二塁。5番の頓宮は三ゴロで、杉本を迎えた。左腕・石川の110キロのカーブにぐっとこらえると、左前に運んだ。チームとしても3イニング連続の得点圏。まさに〝三度目の正直〟で、ようやくホームを踏んだ。杉本も一塁上で拳を握っていた。杉本は「打ったのはチェンジアップです。何とか先制の一本になってくれてよかったです」と振り返った。

◆ヤクルトの青木が「6番・左翼」で今シリーズ初先発し、初安打をマークした。二回に先頭打者で山岡と対戦すると、2ストライクからチェンジアップに食らいついて右前に運んだ。40歳で今季を迎えたが、巧みなバットさばきは健在だ。若手への協力も惜しまない。20歳の内山壮が、第2戦の九回に代打で同点3ランを放った時に使ったバットは、青木が譲り渡したものだった。昨年はプロ18年目で初の日本一をレギュラーとしてつかみ、石川らとともにグラウンド上で涙を流した。今季は控えに回ることが増えたが「日本シリーズに2年連続で出られるなんてなかなかない。何とかもう一つ乗り越えたい」と意気込んでいる。

◆オリックス・山岡泰輔投手(27)は4回1/3を投げ無失点で降板した。「先のことは考えずに、とにかくバッター1人1人と勝負していくことを考えてマウンドに上がっていました。あまり操れていないボールも多かったんですが、バックの守備に助けてもらいながら、何とか0で抑えられたところはよかったと思います」一回、先頭の塩見に中前打。続く山崎の犠打をファンブル。自身のエラーで無死一、二塁とされた。山田は三邪飛でしのぐと、村上は115キロのカーブで二ゴロ。最後はオスナを遊ゴロに仕留めた。二回も無失点。三回は2死から2四球で一、二塁とされ村上だ。追い込んで、ラストボールは自身の代名詞でもある縦スライダー。空振り三振でピンチを脱した。五回1死、塩見にフェンス直撃の三塁打を浴びたところでベンチが動いた。2番手にシーズンで防御率0・81だった宇田川を送り込んだ。2番の山崎に変化球で追い込んで、フルカウント。最後は142キロフォークで空振り三振に斬った。続いて山田哲人。156キロ、155キロの直球で追い込むと、145キロフォークで見逃し三振。2021年育成3位から今季ブレークした剛腕がゼロでバトンをつないだ。

◆ヤクルトのホセ・オスナ内野手(29)が日本シリーズ初戦から4試合連続安打をマークした。四回、先頭で相手先発・山岡の初球147キロの直球を強振。三遊間を鋭く破り、左前へ運んだ。高津監督も「広角に打つようになったよね」と絶好調の打撃を称賛。この一打で今シリーズは15打数9安打となり打率・600となった。

◆東京パラリンピックの陸上男子400メートルと1500メートル(車いすT52)でともに銅メダルを獲得した上与那原寛和(SMBC日興証券)が始球式を行った。マウンドの手前で、車いすから投げた球はワンバウンドで捕手に届いた。大勢の観客からの拍手に笑顔で応え「日本シリーズという大きな舞台を経験できたことは自分の宝物になる。緊張したが、楽しませていただいた」とコメントした。

◆オリックス・宇田川優希投手(23)が1回2/3を投げて4三振を奪う好リリーフを見せた。1-0の五回1死三塁、2番手としてマウンドへ。まずは2番の山崎と相対した。変化球で追い込んでフルカウント。最後は142キロのフォークで空振り三振に斬った。続いて山田哲人。156キロ、155キロで追い込むと、145キロフォークで見逃し三振。先発・山岡が残したピンチだったが、ゼロを並べてみせた。六回無死、打席には村上だ。オール直球で勝負したが結果は四球。その後1死三塁で青木には159キロを計測した。青木には四球を与えたがサンタナ、中村と連続三振に斬りバトンをつないだ。宇田川は2021年育成3位で仙台大から入団した右腕。今季19試合登板で防御率0・81とブレークした。日本シリーズでも剛腕ぶりを見せつけた。

◆ラオウの執念だ。三回2死二塁。石川のチェンジアップを左翼線へ運んだ。先制タイムリー。杉本裕太郎外野手(31)は2戦目に1打点あるが、ボテボテの安打。ようやく飛び出したクリーンヒットだ。「なんとか先制の一本になってくれて良かったです!」もう負けるわけにはいかないオリックス。崖っぷちが好きだと言ったらウソになる。でも、その戦いには慣れている。思い出せばいい。1つ負ければV逸の危機をしのぎ、相手が1つ勝ったらジ・エンドという瀬戸際をくぐり抜けてきた、あのシーズン終盤を。ベンチを思いを背負って、厳しいマウンドを託されたのは山岡泰輔投手(27)だ。日本シリーズ進出を決めた15日のソフトバンクとのクライマックシリーズファイナルステージ第4戦。あの日も先発だった。快調な立ち上がり。ところが、四回に打球を左足に受ける。直後に連打を浴びて大ピンチ。痛みをこらえて後続を断った。そして降板。4回無失点の投球が、バトンを受けた救援陣の踏ん張りにつながり、最後は中川のサヨナラ打で、頂上決戦の舞台への切符を手にした。前日25日には「大丈夫です」と患部に問題がないことを強調。警戒する打者には、「村上はもちろんですが、塩見をマークしたい。村上の前に走者を置かないこと」とヤクルト封じのイメージを膨らませての先発だ。一回にはマークしていた塩見に先頭打者安打を浴び、自らのバント処理ミスで無死一、二塁。一気に流れを失いかねない場面だった後続3人を抑えた。三回には2死から連続四球で村上を迎える究極の崖っぷち。だが、ここも村上を自慢の縦スラで空振り三振に斬った。だが、五回1死から塩見に三塁打を許したところで降板。バトンを受けた宇田川が山崎、山田を連続三振でピンチをしのいだ。(上田雅昭)

◆ヤクルト先発の石川雅規投手(42)は5回2安打1失点。1点リードを許し、降板した。三回2死二塁。石川は杉本に1ボールから110キロのチェンジアップを左前へ運ばれ、先制点を奪われた。それでも失点は1点のみ。序盤の一-三回は全ての回で走者を背負う内容だったが要所を締め、最少失点で切り抜けた。88球を投げ2番手・木沢にバトンタッチ。リードを許した状態での降板となったが、5回を1失点にまとめ、先発投手の役割を全うした。

◆ヤクルト・木沢尚文投手(24)が六回、2番手でマウンドに上がり、オリックス・頓宮、杉本、紅林の3人をいずれも内野ゴロに打ち取った。イニングをまたいだ七回も続投し、太田に中前打を許したものの無失点で切り抜けた。慶大からドラフト1位で入団し、ルーキーイヤーの昨季は1軍登板なし。シュートを武器にレギュラーシーズン55試合に登板し、チームトップタイの9勝を挙げた今季はシリーズ3登板で無失点投球を続け、燕救援陣を支えている。

◆オリックス・山崎颯一郎投手(24)が七回、八回と無失点でバトンをつないだ。1-0の七回から3番手でマウンドへ。長岡を左飛、塩見を二ゴロ、山崎を中飛に斬った。そのまま八回も続投。まずは3番の山田哲人だ。変化球を中心にフルカウント。最後は153キロの直球で中飛に仕留めた。続いて、4番の村上。1球目の153キロはボールとなったが155キロ、159キロと2つの空振りで追い込む。1球目から5球連続直球と、球場も緊迫した雰囲気に飲み込まれていった。6球目の変化球が外れ、7球目の159キロで左飛。オリックスの若き右腕に軍配があがった。最後はオスナを右飛。無失点で九回につないだ。

◆ヤクルトが、オリックス投手陣を打ち崩せず、今シリーズ初黒星を喫した。持ち前の勝負強さを見せた。シリーズ初先発したヤクルト・青木が二回先頭で右前打を放った。「相手は同じで絶対負けたくないという気持ちで来るはず。今年は今年。日本一になれるように集中していきたい」球団初の2年連続日本一へ、そう意気込んでいた40歳の最年長野手。敵地での試合に「6番・左翼」で出場するとオリックス先発・山岡の内角120キロのチェンジアップを巧みにはじき返し、今シリーズ初安打をマークした。昨季は第2戦の八回に宮城から決勝の中前適時打を放ち、シリーズ初勝利に貢献。日本一決定後には号泣し、ナインと何度も抱き合った。「やり残したことがある」と2018年に米大リーグから日本球界に復帰し、自身初めての頂点にうれしさがこみ上げた。青木の存在はプレーだけでない。常にベンチでは声を張り上げてナインを鼓舞。村上や山崎ら主力選手にも打撃の助言を送ることもある。チームが勝つためなら何でもこなす。その姿勢は村上らにも受け継がれている。石川の粘投に奮起したい打線だったがつながらず。今季は京セラドームでは7勝1敗で唯一負けたのが、6月7日の山岡が先発した試合。同じ相手にリベンジを果たす舞台だったが、五回途中で降板した右腕を打ち崩すことができず、今シリーズ初黒星を喫した。

◆SMBC日本シリーズ2022は26日、京セラドーム大阪で第4戦が行われ、阪急時代を含めて26年ぶり5度目の頂点を目指すオリックス(パ・リーグ優勝)が球団初の2年連続となる7度目の日本一を狙うヤクルト(セ・リーグ優勝)に1―0で初勝利し、対戦成績を1勝2敗1分けとした。オリックスは三回に杉本の適時打で挙げた1点を、五回途中まで投げた山岡ら4投手の無失点リレーで守り切った。ヤクルトは石川が5回1失点と力投したが、3番の山田、4番の村上が無安打に終わるなど好機であと一本が出なかった。全試合がナイターで行われ、どちらかが4勝した時点で終了する。第6、7戦は神宮球場に再び舞台を移し、優勝が決定しない場合には第7戦の翌日に神宮球場で第8戦が行われる。オリックス・中嶋監督 「かなりしんどかった。(杉本の適時打は)先制点が欲しい中でしっかり打ってくれた。(無失点リレーに)ヤクルトはすごい打者が多いが、何とかゼロでかえってきてくれてありがたかった」ヤクルト・高津監督 「四球も絡めながら走者を出したが、最後の一本が出なかった。それが難しいことだとは思うが、どこかで一本打たせないといけなかった。(自らも含め)反省点がたくさんある。もっと野球を勉強しないといけない」

◆ヤクルトが、オリックス投手陣を打ち崩せず、今シリーズ初黒星を喫した。オリックスの3安打に対し、6安打で上回ったが、好機であと一本が出なかった。対戦成績はヤクルトの2勝1敗1分けとなり、シリーズの決着は29日の第6戦(神宮)以降になることが確定した。今季の日本シリーズは、第7戦までは延長十二回で打ち切り。第8戦以降は延長回の制限なし。引き分けがあり、第7戦で優勝が決定しない場合は、翌日に第7戦を行った球場(神宮)で第8戦を行う。さらに第9戦が必要な場合は、1日移動日を設け、もう一方のチームの球場(京セラ)で行う。第8戦が行われたのは西武と広島が戦った1986年の1例のみ。

◆過去72度の日本シリーズで2連敗(引き分けを含む)から初勝利を挙げたケースは18度あり、そのうち3分の1に当たる6度で巻き返して日本一になっている。直近では2016年に大谷(現エンゼルス)を擁する日本ハムが広島に2連敗からの4連勝で日本一に輝いた。巨人・長嶋監督とダイエー(現ソフトバンク)王監督の「ON対決」で注目を集めた00年は2連敗スタートの巨人が第3戦から一気に4連勝して頂点に立った。

◆オリックスが投手戦を制して今シリーズ初勝利を挙げた。三回2死二塁で杉本裕太郎外野手(31)が先制の左前適時打。先発の山岡泰輔投手(27)は4回?を投げて無失点で4人のリレーでヤクルト打線を封じた。試合後、中嶋聡監督(53)がグラウンドでマイクを握って、勝利監督インタビューを受けた。一問一答は以下の通り。--1勝目を挙げた今の気持ち「かなりしんどかったです」--しびれる投手戦「だいぶ、しびれました。はい」--三回に杉本が先制打「本当に先制点が欲しい中でしっかり打ってくれた。チャンスはあったんですけど、なかなか点にできなくて苦しい展開だったんですけど。まずは1点取って。非常にうれしかったです」--五回1死三塁、先発・山岡から2番手・宇田川にすぐに代えた。決断というのは「山岡は本当に頑張ってくれていた。ちょっと70球、80球あたりでバテるというか、ちょっと浮きますので。三振が取れる投手と思って、宇田川でいきました」--その後も山崎颯とワゲスパックとリリーフが抑えてくれた「ヤクルト打線は本当にすごい打者が多いので。四球1つが命取りになると思いましたけど。何とかゼロで帰ってきてくれたのが、ありがたかったです」--あす以降の戦いに向けて「はい。しびれるゲームですけど、何とかあしたは点を取って、楽に見ましょう!」

◆オリックスが投手戦を制して、今シリーズ初勝利を挙げた。三回2死二塁に杉本裕太郎外野手(31)が左前適時打を放ち、これが決勝点。1回?を無失点に抑えた2番手・宇田川優希投手(23)と、2回無失点だった3番手・山崎颯一郎投手(24)の3人がヒーローインタビューに選ばれた。一問一答は以下の通り。【以下、杉本】――三回2死二塁のチャンスだった「今シリーズはずっとやられていたので。何とかやり返したいという思いで打席に立ちました」――打ったのは変化球だったが、狙いは「それは日本シリーズが終わるまで秘密にしておきます」――今シリーズ2打点目。自身の役割とは「なかなか点を取れなくて苦しい状況が多いですけど。きょうも2回くらいチャンスをつぶしているので。あしたまた打てるように頑張ります」――隣の2人を含めたリリーフ陣の投球は、どう見ていた「やばい球を投げているので。2人とも回またぎしたんですけど。あしたも投げてもらおうと思います」【以下、宇田川】――五回1死三塁の登板だった。どんな思いでマウンドへ「何も考えていないです」――2者連続三振と素晴らしい投球だった「ありがとうございます」――中嶋監督は三振を取れる投手だと。三振は狙っていたのか「ありました!」――勝利投手になった気分は「うれしいです!」――声援は後押しになりましたか「なりました!」【以下、山崎颯】――七回からマウンドへ「隣の宇田川がいい投球をしたので。自分も負けない投球をしようと思って上がりました」――良かったところは「変化球が全然あかんかったんですけど。真っすぐは力いっぱい投げようと思って、いきました」――八回はクリーンアップ。村上には5球連続直球など、しびれる投球だった「けっこう見切られる部分があったので、変化球は。真っすぐしかないと思って投げました」――あす以降に向けて、3人に一言ずついただきます。まずは山崎颯投手から「あしたも勝つんで、応援よろしくお願いします!」――宇田川投手、お願いします「あしたも全力で投げます! 応援よろしくお願いします」――最後に杉本選手、お願いします「あしたも頑張ります! お願いします!」

◆オリックスの山崎颯が1―0の七回に3番手で登板し、2回を完璧に抑えた。同学年の宇田川とともにお立ち台に上がり「宇田川に負けない投球をしようと思っていた」と笑顔を見せた。八回は相手が3番からの好打順でも動じなかった。山田は変化球でカウントを整え、最後は直球を投げ込んで中飛。一転して村上とは直球勝負に出て、フルカウントからの7球目、159キロの剛速球で左飛と力勝負を制した。好調オスナは右飛に打ち取り「力いっぱい投げられた」と誇った。

◆「SMBC日本シリーズ2022」は京セラドーム大阪で第4戦が行われ、パ・リーグ2連覇のオリックスがセ・リーグを2年連続で制したヤクルトに1―0で競り勝って初勝利を挙げ、対戦成績を1勝2敗1分けとした。五回1死三塁で救援した2番手の宇田川優希投手(23)が連続三振を奪うなど、1回2/3を無失点。杉本裕太郎外野手(31)が三回に決勝打を放った。1-0の五回1死三塁。犠飛や内野ゴロも許されない。三振だけが求められる場面で、大卒2年目の宇田川が存在感を見せた。今季7月下旬に支配下登録された右腕が、首脳陣の期待に応える。剛速球とフォークで2者連続三振に仕留めて今シリーズでチーム初の勝利投手に輝いた。「走者が出てから(肩を)作り始めてすぐだったので、考える間もなくマウンドに上がった。本当に自分の投球だけでした。そこで焦らず投げられたのがよかった」粘りの投球でゼロを並べていた先発の山岡が五回1死で塩見に中堅フェンス直撃の三塁打を浴びると、中嶋監督がスイッチを決断。「三振取れる投手ということで、宇田川でいきました」と送り出されると、山崎を空振り三振、山田はフォークで見逃し三振に斬った。六回も続投し、青木の打席で自己最速を更新する159キロをマークするなどして無失点。3番手の山崎颯も発奮し、2回ゼロ封とつないだ。九回のワゲスパックも相手打線に得点を与えず、4投手による完封リレーでチームは待望の1勝を挙げた。日本シリーズでの無失点勝利は26年ぶり。1-0での勝利は、阪急時代も含めて球団初の快挙となった。育成出身の宇田川は昨季はウエスタン1試合のみの登板だったが、今年に入り制球面や球威が向上して急成長。支配下登録後のシーズン後半から強力リリーフ陣に定着した。レギュラーシーズンでは19試合で2勝1敗3ホールド、防御率0・81とリーグ連覇に貢献した。奪三振率12・90はチームトップ。三振が奪える投手として、この日も持ち味を発揮した。ようやく1勝をつかんだ将は「(ファンに)いい試合を見せたいし、勝って(2勝2敗1分けの)タイにしたい」と気合を入れた。悲願の日本一へ、望みはつないだ。この希望の光を絶対に消させはしない。(西垣戸理大)

◆ヤクルトはオリックスより多い6安打を放ったが無得点。球団初の2年連続日本一へ王手をかける次の1勝へ、高津臣吾監督(53)は厳しい表情で「あと一本」を求めた。「フォアボールも絡めながらランナーが出たり、いろいろあった。最後の一本はすごく難しいでしょうけど、どこかで一本ほしかった」何度も相手を追い詰めながら本塁が遠かった。オリックスの先発は、京セラドームで今季唯一の黒星を喫した6月7日の交流戦で7回1失点と好投を許した山岡。雪辱を期す一戦で一回に塩見の中前打、山崎の投犠打と敵失でいきなり無死一、二塁の好機をつくったが、この日3番に戻った山田が三邪飛、村上が二ゴロ、オスナが遊ゴロと主軸が倒れ、嫌なムードが漂った。5イニングで先頭打者を出し、得点圏に走者を進めたが9残塁。山岡を五回途中で降板させたが流れに乗れず、指揮官は「反省するところがたくさんある。反省と勉強をしなきゃいけない」と唇をかんだ。ただ、2勝1敗1分けと優位は変わりない。投手陣が粘りを見せ、1失点で防いだことにも価値がある。これで第6戦までもつれ、本拠地に帰ることが決定した。多くの燕党の前で、背番号22が神宮の夜空に舞う。今度こそ王手をかけ、〝その日〟をたぐり寄せる。(赤尾裕希)

◆オリックスの選手が26日の試合前、今季限りでチームを去る藤田義隆通訳(65)、運営グループの上岡千夜子さん(68)に「ありがとうございました オリックス選手会一同」とプリントされたユニホームをプレゼントし、感謝の思いを伝えた。藤田通訳は近鉄時代の1983年に採用され、何百人もの外国人選手をサポート。上岡さんは1992年にアルバイトとして〝入団〟。選手からは「お母ちゃん」と親しまれ「お茶出しとかコーヒーとか、ペーパータオルの補充とか」と裏方として支えてきた。オリックスの選手は日本一に輝いて2人の功労者を笑顔で送り出す。(岳)

◆抜けた-。左翼席の燕党は歓喜に備えて両手を挙げた。六回1死三塁のカウント3―1からの5球目、青木宣親外野手(40)が左翼線へ強烈な打球を放ったが、惜しくもファウルに。その後、四球を選んだが後続が倒れ、〝幻の適時打〟となった。野手最年長の40歳は、「6番・左翼」で今シリーズ初のスタメン出場。抜けていれば同点に追いつき、さらに好機を迎えていただけに惜しいファウルとなった。それでも、二回に右前打を放つなど2歳上で投手最年長の先発・石川をもり立てた。高津監督は打線について「今日のベストはこれだと思って起用した」と説明し、青木を「いい働きでした」と評価した。新人・丸山和や21歳の長岡、高卒2年目の内山壮ら若手が躍動しているが、ベテランの働きも必要不可欠。次こそ勝利に導く一打を放つ。

◆誰よりも熱く、腕を振った。ヤクルト・石川雅規投手(42)が5回2安打1失点の力投。昨年白星を挙げた大舞台で役割を果たしたが、打線の援護がなく「先制点を取られたのが全てです」と責任を背負った。序盤から攻めの投球を貫いた。通算183勝をマークする熟練の投球術で厳しいコースを狙って投げ込んだが、5四死球を与えて試合のリズムを作ることができず。三回先頭の中川圭に死球を与えると、2死二塁から青学大の後輩、杉本に左前適時打を浴びた。身長167センチの小さな大エースが示した魂の88球。42歳9カ月で日本シリーズ勝利なら、1950年の若林(毎日)の42歳8カ月を上回り史上最年長だったが、打線が沈黙し、試合終了後は悔しさをにじませた。今季のポストシーズン初黒星となった高津監督は「ちょっと怖がっている部分と、丁寧にいっている部分と紙一重。ストライク、ボールがはっきりした部分もあった」と指摘しながらも「粘りはあった。どこかで1点を取れていたら」と悔やんだ。(森祥太郎)

◆プロの助言はすごい。編集局長・生頼秀基がそれを実感しました。男子ゴルフの「サンケイスポーツ近畿オープンゴルフ選手権」が開幕。生頼は25日、生まれて初めてプロアマ戦に出場しています。「すごい緊張感でした。1番ホールでいきなり、10の大叩きです」そのまま2番、3番、4番ホールを迎えたとき同組で回っていた徳永圭太プロから「むちゃくちゃ右を向いてますよ」と指摘され、スタンスを修正。すると、普段「108くらい」の〝煩悩〟ゴルファーがバーディーもひとつ取って105でまとめられたそうです。「徳永プロのおかげで持ち直した。うまくなれる気がする」一夜明けて生頼はニコニコ。徳永プロには迷惑をかけただろうなと心配しましたが、初日のスコアは2アンダー、70で6位タイ。煩悩がうつってなくて何よりです。27日も頑張ってください。日本シリーズ3試合を終えた時点で2敗1分けのオリックスにも、頼もしい〝アドバイザー〟がやってきました。「3連敗のあとに4連勝することもある。まだまだチャンスはある」エールを送ったのは近鉄時代のバファローズで活躍し、現在は独立リーグ、北海道フロンティアリーグの士別で監督を務めるラルフ・ブライアント氏(61)です。26日は、第4戦の試合前に、今季限りで退団する運営グループ職員、上岡千夜子さん(68)と藤田義隆通訳(65)の送別会がグラウンドで開催されました。『ありがとうございました オリックス選手会一同』と書かれたユニホームをプレゼントし、記念撮影してチームを永年支えてきた2人にナインが感謝を伝えています。藤田通訳は1983年に近鉄に通訳として採用され、2004年オフに近鉄とオリックスが合併してからはオリックスで通訳として活躍。近鉄時代に世話になったブライアント氏も送別会に顔を出して再会を果たし、チームにもエールを送ったのです。上岡さんは、チームのお世話係を永年務め、選手から「お母ちゃん」と呼ばれる存在。オリックス担当の西垣戸理大が、昨年の25年ぶりの優勝の際に裏方さんの企画で取り上げさせていただいたこともあります。「あなたの(記事の)おかげで火がついちゃって、あのあといろんなマスコミから取材されました。娘からも『芸能人みたいね』って冷やかされましたよ」この日は、西垣戸にわざわざそんなお話までしていただきました。いえいえ、こちらこそお世話になりました。お疲れ様でした。その2人をさらにいい形で送り出すためにも、逆襲が期待される中でのブライアント氏の助言でしたが...。はて? 近鉄って、日本シリーズで3連敗4連勝がありましたっけ?あ~、あった。ありました。1989年の近鉄-巨人。近鉄が4-3、6-3、3-0で3連勝したあと、某投手が言ったとされる「巨人はロッテより弱い」発言から、怒った巨人が4連勝...。って、された方やんか!!とはいえ、実際にそういうケースが、他にも、58年の西鉄-巨人での西鉄と、86年の西武-広島での西武の2例あります。頑張っていきましょう。オリックスナインも。そして、新体制になってこれまでとは違うアドバイスをもらい始めている阪神ナインも。

◆駒の動かし方が、今シリーズのキーポイント。ヤクルトは第3戦で、不振の山田を3番から1番に配転し、決勝3ランという極上の結果を呼び込んだ。選手起用は大成功...となった矢先になぜ、すぐ3番に戻すかね。フライ2つに三振1つ(四球1)。リキんで、また打てなくなるのも無理はないよ。作戦面でも、一発攻勢で勝ってきた余韻に浸っているのかな。1点を争う展開にしては、誰かがパカンと打つのを待つだけに映って、もどかしかったね。オスナやサンタナといえども、後半の勝負どころでは、送りバントなどの選択肢があっていい。他の選手にも、セーフティーバントで揺さぶるとか、工夫がほしい。投手陣は連日、踏ん張っている。先発・石川は5回1失点。大したものだ。同時に、オリックス打線が爆発的に打つことはない...ということも、よく分かった。それならば余計、ヤクルトには1点にこだわる攻撃が必要になる。軌道修正に入ったらどうか。1-0というスコアは、オリックスにとって最高の勝ち方。流れが変わるかもしれないからね。(本紙専属評論家)

◆攻略とまではいかなかったが、オリックス打線が昨年のシリーズを教訓に、ヤクルト・石川から〝虎の子の1点〟をもぎ取った。昨年の日本シリーズ第4戦(東京ドーム)。石川に6回3安打1失点の好投を許した。当時のスコアブックを開いてみると、石川は打者のべ21人に対して14人から見逃しでファーストストライクを奪っている。与四球もわずか1個。今シリーズのオリックス打線の傾向にも見受けられることだが、見極めようという意識が強すぎて手が出ない。結果、カウントを悪くして最後は当てにいくような中途半端なスイングが目立った。あれから1年...。チームとして〝決め事〟をして臨んだのであろう。一つは好球必打。1番・佐野晧が一回に初球を左翼線に運んだのが象徴するように、この日は打者のべ22人でファーストストライクを見逃したのは10人。昨年との違いは明らかだった。その中で、石川をさらに疑心暗鬼にさせたのは右打者がインサイドのボールに全く反応せず、平然と見送り続けたこと。外からの「目付け」が徹底されていたのだろう。従来、石川は右打者に対しては内角の直球、カットボールを見せ球にして、外に抜けてくるシュートやシンカー系の球で引っ掛けさせるのが基本スタイル。その意味で内角球は生命線ともいえるが、オリックスの右打者は内角を完全に捨てて、外寄りの球だけを打ちにいった。三回の杉本のタイムリーも初球の内角直球を見送った後に、真ん中やや外寄りのチェンジアップを叩いた。 内角球に手を出してもらえなかったことで、石川は三回までに5四死球とペースを乱した。それにしても...。第2戦の九回のヤクルト・内山壮の代打同点3ランの印象があまりにも強烈でヤクルトのワンサイドのシリーズと錯覚しがちだが、引き分けが上位チームに優位に働くクライマックスシリーズ(CS)と違い、一方のチームが先に4勝した時点で終了する日本シリーズの引き分けは全くのノーカウント。極論すれば〝練習試合〟をしたようなものだ。第4戦でオリックスが初勝利を挙げたことで対戦成績はわずか1差。戦いの舞台は再び神宮に戻ることとなり、まだまだもつれそうな予感が漂う。(編集委員・東山貴実)

◆今季限りで現役を引退したヤクルトの坂口智隆氏(38)が、日本シリーズ全試合で特別観戦記「ぐっちSTYLE」を本紙に寄稿。近鉄で2年、オリックスで11年、ヤクルトで7年間プレーした外野手は石川雅規投手(42)と青木宣親外野手(40)のベテランがもたらすチームへの好影響と、次々と若手が台頭するチームの土壌について語った。第4戦はヤクルトのベテラン選手の活躍が印象的でした。先発した石川投手、今シリーズ初めてスタメン出場となった青木選手は選手の指針となってくれる偉大な2人です。チームの中心はセンターラインを守る山田選手、中村選手。そして若手ながら実力で引っ張る村上選手。しかし、それだけでは長いレギュラーシーズンで安定した戦いを生むことは難しい。時にはベテランの安心感や若手の勢いが停滞したチームに好循環を生みます。石川さんの人間性には現役時代に何度も助けられました。故障して2軍で過ごしているときには「また1軍に戻ろうぜ」。沈んだ気持ちを奮い立たせてくれ、これ以上ないありがたい言葉でした。全ての選手に声をかけている姿を見ますし、お手本という言葉がぴったり似合う選手です。投球は技巧派と言われますが、自分は「本格派」だと思っています。第4戦の投球も右打者の内角を厳しく攻めていました。四死球が増えても向かっていく姿勢は野手を含めチーム全体に勇気を与える。石川さんの後ろを守ると強く感じました。青木さんはこれほど頼りになるチームメートはいません。自分も青木さんの経験や技術の多くを勉強させていただきました。どの選手の話にも耳を傾けてくれて野球談議に付き合ってくれる。経験豊富でさまざまな引き出しを開けて、助けとなってくれます。一方で、若手も確実に成長しています。今年は3年目の長岡選手が遊撃のポジションを勝ち取り、2年目の内山壮選手も1軍に定着。新人の丸山和選手も代走、守備固めとして申し分ない働きを見せていますし、来季以降は打撃にも期待が持てそう。第5戦の先発には同じく新人の山下投手が先発する。若手選手が活躍する土壌があるのには理由があります。高津監督が若手選手にさりげなく声をかけている姿をよく見ました。1軍経験が少ない選手にとって、救われることもあると思います。ベテラン、中堅にも話しかけやすい環境がありますし、自分も聞かれたことはどんなことでも教え、伝えてきました。プロ野球は実力社会ですが、その中で個々が成長しやすい環境があるのがヤクルトを強くしている要因だと思います。この日のオリックスは投手陣が素晴らしい投球でした。若月捕手が何度もワンバウンドの変化球を止めている姿が印象的で、投手陣が信頼感を持って腕を振っているから生まれた無失点リレーでした。(坂口智隆)

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