ヤクルト(3対3)オリックス =日本シリーズ2回戦(2022.10.23)・明治神宮野球場=
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ORIX
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ヤクルト
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勝利投手:-
敗戦投手:-

本塁打
【ヤクルト】内山 壮真(1号・9回裏3ラン)

  DAZN
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◆オリックスは3回表、山崎福の適時打などで2点を先制すると、5回には杉本の適時打でリードを広げる。一方のヤクルトは3点ビハインドで迎えた9回、内山壮の3ランが飛び出し、土壇場で同点とした。その後試合は延長戦に突入するも、両軍の救援陣が踏ん張り、5時間を超える熱戦は規定により引き分けに終わった。

◆両軍の先発メンバーが発表された。先発投手はヤクルトがサイスニード、オリックスは山崎福。初戦に競り勝ったヤクルトは連勝を狙う。黒星発進のオリックスは打線を組み替え、1番に福田ではなく安達了一内野手(34)、6番にT-岡田外野手(34)を入れた。

◆日本シリーズ2連覇へ、ヤクルトが劣勢の展開から延長12回引き分けに持ち込んだ。3点を追う9回裏、日本シリーズ初打席の内山壮真捕手(20)が起死回生の同点3ランをたたき込んだ。第3戦は25日、オリックス本拠地の京セラドームで行われる。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)の第1打席は二ゴロだった。1回2死一塁、オリックス山崎福の初球、内角高め140キロ直球をスイング。一、二塁間を抜けそうな打球は、オリックス安達の好守に阻まれ、二塁ゴロとなった。村上は前日22日の第1戦では、1点リードの8回先頭、オリックス平野佳から右中間へ今シリーズ1号となるソロ本塁打を放ち、勝利に大きく貢献した。

◆オリックスのアピールプレーは実らなかった。2回先頭のオスナに出塁を許し、続く中村の打球を右翼手杉本裕太郎外野手(31)が下がりながらフェンスに激突。好捕したが、一塁走者のオスナがタッチアップ。ボールは内野に返球されたが二塁進塁を許した。このプレーに対してオリックスは一塁にボールを転送。オスナの離塁が早かったとアピールするも、判定は覆らず。1死二塁で試合は再開した。その後、先発の山崎福也投手(30)が無失点に抑えてピンチを切り抜けた。

◆モデルで女優の中条あやみ(25)が、始球式を行った。緑色のグラブにロングパンツ姿で投球。笑顔で投じたボールは、ワンバウンドで捕手のミットに収まった。「今回、SMBC日本シリーズ2022の始球式の舞台に立てて、とても光栄に思います。緊張しましたが、大勢の観客の皆さんの前で投げられ、貴重な体験をさせていただきました。SMBC日本シリーズの熱戦、私も応援します!」とコメントした。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)が、第2打席で右前打を放った。2点を追う3回2死一塁、オリックス山崎福の2球目、内角142キロ直球を捉え、一、二塁間を破る右前打。2死一、三塁とチャンスを拡大した。続くオスナが右飛に倒れ得点に結びつかなかったが、つなぎの意識でチャンスメークした。1回2死一塁の第1打席は二ゴロ。一、二塁間を抜けそうな打球がオリックス安達の好守に阻まれていた。村上は前日22日の第1戦では、1点リードの8回先頭、オリックス平野佳から右中間へ今シリーズ1号となるソロ本塁打を放ち、勝利に大きく貢献した。

◆22日の第1戦(神宮)で、左脇腹がつったような感覚を訴えて5回途中で緊急降板したオリックス山本由伸投手(24)は、この日ノースローで調整した。チームの試合前練習に参加。練習開始前には高山投手コーチと座って話し込む姿が見られた。今後は、患部の状態を確認しながら、先発が予想される第6戦に向けて、準備を進めていく。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)の第3打席は、見逃し三振だった。3点を追う6回先頭、オリックス山崎颯に対しカウント2-2からの5球目、外角低め154キロ直球を見送ったが、ストライクがコールされた。。1回2死一塁の第1打席は二ゴロ。2点を追う3回2死一塁の第2打席では、オリックス山崎福から一、二塁間を破る右前打。2死一、三塁とチャンスを拡大した。続くオスナが右飛に倒れ得点に結びつかなかったが、つなぎの意識でチャンスメークした。村上は前日22日の第1戦では、1点リードの8回先頭、オリックス平野佳から右中間へ今シリーズ1号となるソロ本塁打を放ち、勝利に大きく貢献した。

◆ヤクルト・サイスニード投手が、投手に適時打を許す痛恨の先制点を献上した。互いに無得点の3回だった。先頭のオリックス紅林を二塁打で出し、二ゴロを挟んで1死三塁。日大三、明大時代は好打者としてならした山崎福に、初球の外角低めへの変化球を拾われた。打球は一、二塁間を抜けてオリックスに先制点「1」が刻まれた。ここで終わらず、この安打から3連打。1死一、二塁から宗の右前打をサンタナがファンブルする間に、2点目を失った。「立ち上がりはスムーズに入ることができたが、3回の先頭打者に長打を許してしまった。最少失点でという気持ちだったが粘り切れず、チームに勢いをつけることができなかった」と反省。4回6安打2失点で代打を送られた。待望の日本シリーズ初登板だった。来日1年目の昨季は、下半身のコンディション不良と家庭の事情でシリーズ前に帰国。今季はチームトップタイの9勝を挙げ、CSファイナルステージの第2戦でも勝利投手になった。「アメリカで投げていた時と同じ緊張感とか、熱がスタンドにある感じの舞台で投げられてすごく楽しかった」とポストシーズンの緊張感を楽しんだ。再びの好投を期待されたが、ビハインドでマウンドを降りた。【鎌田良美】

◆第1戦で黒星を喫したのオリックスは、山崎福也投手(30)の適時打で先手を取った。3回1死三塁から先発投手の山崎福が打席へ。ヤクルト先発サイスニードの初球を引っ張ると、打球は前進守備の一、二塁間を破った。三塁走者が生還し、自らのバットで援護点をたたき出し、「何とか抜けてくれてよかったですし、先制のタイムリーになってくれてよかったです! この後のピッチングもしっかりと頑張ります!」とコメント。一塁上では大きく右手を突き出した。山崎福は投手ながら打撃センスも光る。今季は投手ながら6月3日広島戦(マツダスタジアム)で代打出場。通算でも17打数4安打で打率は2割3分5厘とバットでも存在感がある。山崎福の適時打の後、1死一、二塁から宗佑磨内野手(26)が右前打。右翼手のサンタナが打球をファンブルしている間に二塁走者の山崎福が2点目のホームを踏んだ。投げても4回まで無失点と、チームを引っ張っている。山崎福也(やまさき・さちや)1992年(平4)9月9日生まれ、埼玉県出身。日大三3年春の甲子園で準優勝。当時放った13安打は95年室岡尚人(観音寺中央)10年我如古盛次(興南)とともに今でも大会最多記録。明大ではリーグ通算20勝。14年ドラフト1位でオリックス入団。通算28勝(40敗)。公式戦の打撃は通算17打数4安打、打率2割3分5厘。父晃弘さんは元巨人、日本ハムで捕手、一塁手。188センチ、95キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸5000万円。

◆ヤクルト内山壮真捕手(20)が、シリーズ初打席初本塁打となる代打同点3ランを放った。3点を追う9回無死一、二塁、オリックス阿部から左翼席へ起死回生の同点弾。高卒2年目捕手が、土壇場で大仕事をやってのけた。殊勲の内山壮は「打ったのはストレートです。自分の仕事は山田さんと村上さんに良い形でつなぐことだったので、簡単に追い込まれてしまいましたが、食らいついて打ちました。良い角度であがってくれました」と振り返った。

◆オリックスの最速160キロ右腕山崎颯一郎投手が2回無失点で好救援した。山崎福との「山崎リレー」でヤクルト打線をゼロに抑えた。山崎福の後を受けて2番手としてマウンドに上がった。先頭の塩見に四球を許すが山崎を二ゴロ、3番山田を遊ゴロ併殺に仕留めた。2イニング目の6回は3冠王村上との対決。初球から直球でストライクを奪うと、カウント2-2から外角への154キロストレートで見逃し三振に抑えた。サンタナからも空振り三振を奪うなど、2回1安打2奪三振無失点で3番手宇田川につないだ。今年はシーズン途中から救援に配置転換。日本代表にも選出されるなど、持ち場を変えても実力を発揮。日本シリーズに向けては「みんなに見てもらえる舞台。できる限りの力を出し切りたい。いつ言われてもいいように、気合入れてます!」と話しており、きっちり役割を果たした。

◆オリックスがラオウこと杉本裕太郎外野手(31)の執念の一打で追加点を挙げた。2点リードの5回2死一、三塁。ヤクルト2番手大西の外角低めのスライダーに食らいついた。三塁前へのボテボテのゴロ。三塁手の村上がダッシュしてキャッチ。しかし、全力疾走で一塁へ向かうラオウは速かった。村上は一塁送球を諦め、オリックスに3点目が入った。杉本は「(山崎)福也が頑張ってくれていたので、どんな形でも追加点になってくれてよかったです」と笑顔で振り返った。この打席、直前で4番吉田正が申告敬遠されていた。3回にも2死二、三塁から青学大の後輩でもある4番が敬遠され、満塁で三ゴロに倒れていた。杉本は、屈辱に苦笑いしつつ打席に向かった。2度も同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかなかった。ヤクルトには村上、オリックスには吉田正と、球界を代表するスラッガーがいる。当然、勝負を避けられるケースも多く、後を打つ打者の出来が勝負のポイントにもなる。ヤクルトは5番オスナが初戦で3安打3打点と活躍。杉本は9回の好機に三振するなど4打数無安打と明暗が分かれた。中嶋監督からオリックスの5番を任された以上、結果を出すしかない。執念の内野安打が、ラオウ復調のきっかけになるかもしれない。

◆オリックス先発の山崎福也投手(30)は4回無失点。打撃では先制打と、投打でチームを引っ張った。日本シリーズの大舞台で、爽やかに決めた。打撃に定評のある山崎福が、両軍無得点で迎えた3回1死三塁のチャンスで打席へ。初球のチェンジアップを振り抜くと、打球は右前へ。先制の一打となり、右拳をグッと掲げた。日大三3年時のセンバツで、甲子園記録に並ぶ1大会13安打を放った山崎福は「なんとか(一、二塁間を)抜けてくれてよかったですし、先制のタイムリーになってくれてよかったです!」打撃用手袋は宮城に借り、エルボーガードとレガーズは14年ドラフト同期入団の先輩、小田から拝借した。しかし、打撃センスはホンモノ。神宮のオリックス党は拍手と驚きで沸き上がった。本職のマウンドでも責任を果たした。オリックスが3年4カ月ぶりに試合をする神宮球場だが、山崎福は東京6大学時代にリーグ戦だけで61試合に登板している。傾斜が緩く、違和感を覚える投手が多い独特のマウンド。「大学の時は気づかなかったけど、打席が高く見えて変わった感じがします」。パ・リーグの投手が苦慮する中で、難なく対応できる貴重な投手で、2戦目の先発マウンドに抜てきされる根拠があった。先制適時打は、投球にも好影響があった。今季の交流戦は東京ドーム、横浜スタジアムとセ・リーグ主催でともに7回1失点で白星。安打も放った。打って、走って投げるリズムが合っている。「交流戦でポンポンと勝てた、打撃があった方がよかった」。自信を持って大舞台に臨んでいた。この日は4回68球無失点でお役御免。「大事なゲームでしたが、いつもと同じようにゲームに入っていけた。要所をしっかりと抑えることができましたし、自分らしいリズムで投げられました」。打って、投げて-。かつて躍動した神宮で、再び光輝いた。【真柴健】

◆日本シリーズ2連覇へ、ヤクルトが劣勢の展開から延長12回引き分けに持ち込んだ。3点を追う9回裏、日本シリーズ初打席の内山壮真捕手(20)が起死回生の同点3ランをたたき込んだ。無死一、二塁、2ボール2ストライクから高めに入ったオリックス阿部の141キロの直球を左翼席に運んだ。「自分の仕事は山田さんと村上さんに良いカタチでつなぐことだったので、簡単に追い込まれてしまいましたが、くらいついて打ちました。良い角度であがってくれました」土壇場で追い付き、延長戦に突入。勝てなかったが、貴重な引き分けをつかんだ。序盤は劣勢だった。先発のサイスニード投手(30)が3回1死三塁からオリックス先発の山崎福に先制適時打を許すなど、4回6安打2失点で降板。昨年のシリーズはコンディション不良や家庭の事情で帰国していたため、待望の日本シリーズ初登板だった。「最少失点でという気持ちだったが、粘り切れずチームに勢いをつけることができなかった」と反省。中継ぎ陣は6回以降、石山、今野、マクガフ、清水、田口、木沢と無失点でつなぎ、12回まで追加点を許さなかった。打線は小刻みに継投したオリックス投手陣を打ち崩せず、8回までは無得点だったが、終盤に粘りを見せた。前夜1号ソロをマークした4番村上宗隆内野手(22)に2試合連続の1発は出なかったものの、伏兵内山壮に「村神様」もびっくりの本塁打が飛び出した。1勝1分けで、25日の第3戦からは、舞台を京セラドーム大阪に移して3試合が行われる。日本シリーズの引き分けは、2018年の第1戦で広島とソフトバンクが12回まで戦い、2-2で引き分けて以来4年ぶり。日本シリーズは、第7戦まではレギュラーシーズン同様、延長12回まで。第8戦以降は延長回の制限はない。○...第1戦で決勝弾を放った塩見泰隆外野手は、この日もリードオフマンとして機能した。3回の第2打席以降は2安打2四球で4打席連続出塁。四球を選んだ9回に内山壮の同点3ランで生還した。「昨日のホームランは出来過ぎだった。打った次の日はちょっと気持ちが緩みがち。コンパクトに打席に入るのを心掛けたい」と話し、派手さはなくとも着実に貢献。延長10回2死一、三塁で凡退した際は悔しそうな表情を浮かべた。

◆オリックスは引き分けて、1敗1分けで本拠地・京セラドーム大阪に戻ることになった。先発の山崎福也投手(30)は投打に躍動した。毎回走者を出しながらも得点は与えず。要所を締める投球で4回を4安打5奪三振で無失点に抑えた。バットでも3回1死三塁から前進守備の一、二塁間を破った。先制の適時打で自らを援護。一塁上では大きくガッツポーズで喜びを表現した。さらに、走者として2点目のホームも踏んだ。5回にも杉本裕太郎外野手(31)の適時内野安打でリードを3点に広げた。だが、終盤に悪夢が待っていた。9回、5番手の阿部翔太投手(29)が先頭の宮本に二塁打、1番塩見に四球で無死一、二塁とピンチを招いた。続く代打の内山に痛恨の同点3ランを浴びて振り出しに戻った。延長に入った10回以降は投手陣が踏ん張って引き分けに持ち込んだ。

◆日本シリーズ2連覇へ、ヤクルトが劣勢の展開から延長12回引き分けに持ち込んだ。第2戦はヤクルト23人、オリックス21人の合計44人が出場し、そのうち投手は8人ずつの合計16人が登板。両軍合計44人出場は10年第6戦(延長15回)の中日22人-ロッテ22人、18年第1戦(延長12回)の広島21人-ソフトバンク23人に並ぶ最多人数。両軍合計16投手の登板は、前記18年第1戦の広島8人-ソフトバンク7人の15投手を抜くシリーズ新記録。

◆5時間3分の激闘の末に引き分けたオリックスの中嶋聡監督(53)は「囲み(取材)のことも忘れていたよ」と苦笑い。手に汗握る大熱戦を物語っていた。3-0の9回に3ランで追いつかれるショッキングな展開だった。「勝ちきりたかった」と問われると「うん、まあ、これがシリーズなんですかね」と1勝の難しさを口にした。先発に送り出した山崎福也投手(30)が粘りながら4回無失点と役目を果たした。打撃にも定評があり、3回には期待通りに先制の右前打を放った。「一生懸命、いろいろと全開でいったと思うし、よく投げたと思う。(打撃への期待は)打席に立ったことない選手ばかりなんで。その中では期待してますよ。野手より期待しているわけじゃないですよ。よく投げて打ったと思います」と投打の活躍をねぎらった。中盤までに3点を奪ったが、その後は12回まで得点できなかった。「向こうの投手もいいですし、打ち崩すのは難しい。その中でどうやって1点取るかが課題にはなってくる」と口元を引き締めた。自慢のブルペン陣がピンチに次ぐピンチをしのいで8回まで無失点でつないだ。しかし9回に阿部翔太投手(29)が同点3ランを浴びた。シーズン中に許した本塁打は1本だけ。44試合で防御率0.61の安定感で、シーズン終盤は調子の上がらない平野佳寿投手(38)の代役抑えというポジションを任せてきた。「打たれましたが、打たれたことより、次またやり返すことを期待します。切り替えですね。そこだけが大事。このままでは終われないと思うし」と、今後の期待を口にした。1敗1分けで最初の神宮2連戦を終了。24日の移動日をはさんで25日からは京セラドーム大阪で戦う。指揮官は「はい、もう1回やっていきます」と、張りのある声で答えた。

◆延長12回に球場が騒然とするシーンがあった。2死二塁で、ヤクルト木沢の打者紅林への5球目はホーム手前で大きくバウンドし、捕手中村も捕球できずバックネット方向へ転々。その間に二塁走者の佐野皓が三塁を回り、さらにホームを陥れた。大喜びのオリックスベンチ。だが、ボールがヤクルトベンチに飛び込んだため、その時点でボールデッドと判定され走者は三塁に戻された。オリックス中嶋監督が審判に説明を求めたものの、走者三塁で再開。結局無得点に終わった。投手の投球がベンチに入った場合 公認野球規則5・06(b)にあり、打者に対する投手の投球がスタンドまたはベンチに入った場合は、ボールデッドになり、1個の塁が与えられる。その際の進塁は、投球当時の走者の位置が基準となる。今回は佐野皓が二塁から一気にホームインしたが、進塁は1個しか与えられないため、三塁に戻されることになった。

◆シリーズ史上9度目の引き分けとなった第2戦は、延長12回で5時間3分。日本シリーズでの最長時間試合は10年中日-ロッテ第6戦の5時間43分で、5時間3分はそれに次ぐシリーズ2位の長時間ゲーム。

◆12回のヤクルト木沢の暴投で二塁走者のオリックス佐野皓は、三塁までしか進むことができなかった。公認野球規則5・06では、「1個の塁が与えられる場合」として「打者に対する投手の投球が、スタンドまたはベンチに入った場合」としている。

◆オリックスが総力リレーでドローに持ち込んだ。「SMBC日本シリーズ2022」第2戦は先発の山崎福也投手(30)が先制打&4回無失点と投打に躍動。勝利目前だった3点リードの9回に5番手・阿部翔太投手(29)が同点3ランを浴びるまさかの展開になったが、延長12回までリリーフ陣が無失点で粘り抜いた。これで対戦戦績は1敗1分け。本拠地・京セラドーム大阪に移る25日の第3戦から巻き返しを期す。まさかの飛球が神宮の夜空に上がった。3点リードの9回無死一、二塁。左翼席への着弾を見届けると、マウンド上の阿部は両膝に手をついてうなだれた。今季44試合に登板して防御率0・61。守護神の平野佳に代わり、最終回を任されるまで成長を遂げた。ペナントレースでの自責点は3点のみだった阿部が、一気に3点を奪われて同点に追いつかれた。中嶋監督は「これがシリーズなんでね...」と言葉を絞り出した。ガッツあふれる2年目右腕には「うん。打たれましたけど、打たれたよりも、次またやり返すことを期待する。切り替えですね。そこだけが大事になる。このままでは終われないと思う」と背中を押した。勝ち越しのチャンスは最後まであった。延長12回2死から代打頓宮が左安打で出塁すると、代走の佐野皓がヘッドスライディングで二盗に成功。続く打者紅林の際に、相手のバッテリーミスで、佐野皓は一気に本塁へ。勝ち越しか...と思われたがボールが一塁側ベンチに入ってボールデッド。佐野皓は瞬時に三塁に戻された。紅林が四球を選んでチャンスは続いたが、伏見はバットを折られて三直に倒れた。運にも見放され勝てなかったが、総力リレーで連敗も阻止した。先発山崎福が4回無失点でバトンを託すと、山崎颯、宇田川、ワゲスパック、阿部、本田、比嘉、近藤と計8投手をつぎ込んだ。ブルペンに残ったのは黒木と小木田のみ。必死の継投でドローに持ち込んだ。神宮では1敗1分け。第3戦は25日に京セラドーム大阪に舞台を移す。指揮官は「もう1回やっていきます」と力を込める。本拠地のファンとともに、巻き返しに出る。【真柴健】○...紅林弘太郎内野手が"イチロー超え"を果たした。3回先頭打者で右翼への二塁打を放ち、その後先制のホームを踏んだ。4回にも右翼へ二塁打を放ち、初戦に続いてマルチ安打。これで、昨年と合わせて日本シリーズ通算11安打。球団名がオリックスとなった89年以降では、イチロー、田口、小川の10安打を上回り、単独最多となった。中嶋監督は「うん、そう(いい働き)ですね」と評価した。

◆勝ち越された!? ヤクルトファンの悲鳴が神宮に響いた。延長12回2死二塁。オリックス紅林に対し、カウント2-2から木沢が投じたスプリットはワンバウンドでそれた。二走の佐野皓が三塁を蹴り、一気に本塁へかえってきた。だが、直後に球審が三塁へ戻るよう指示。木沢は紅林には四球も、続く伏見を三直。負けがなくなった。時計の針は午後11時を回った。5時間3分の末に引き分けた。高津監督は、9回の内山壮の同点3ランをたたえつつ「リリーフみんなの頑張りがあってのこと。全員よく粘って踏ん張った」とねぎらった。先発サイスニードが4回2失点で降板後、大西が2回1失点。7回から12回までは、石山、今野、マクガフ、清水、田口、木沢と0でつないだ。ブルペンに残ったのは久保のみ。今季8投手をつぎ込んだのは、レギュラーシーズンで1度あっただけだ。「全員」でつかんだ引き分けだった。日米通算313セーブの高津監督は身をもってリリーフ稼業の苦労を知る。だからこそ、日本シリーズ出場を決めた直後も「毎日準備して、毎日仕事があって、毎日緊張して、すごく難しいポジション。1年間、耐え抜き、やり続けたリリーフピッチャーには本当に感謝します」と満員のファンの前で思いを伝えた。日本シリーズに入っても、信頼は変わらない。「打者の特徴を勉強して、上がってくれている。本当、踏ん張った」と、ねぎらいが止まらなかった。【古川真弥】投手の投球がベンチに入った場合 公認野球規則5・06(b)にあり、打者に対する投手の投球がスタンドまたはベンチに入った場合は、ボールデッドになり、1個の塁が与えられる。その際の進塁は、投球当時の走者の位置が基準となる。今回は佐野皓が二塁から一気にホームインしたが、進塁は1個しか与えられないため、三塁に戻されることになった。

◆日本シリーズの大舞台で、爽やかに決めた。打撃に定評のあるオリックス山崎福也投手(30)が、0-0の3回1死三塁のチャンスで打席へ。初球のチェンジアップを振り抜くと、打球は右前へ。先制の一打に右拳をグッと掲げた。日大三3年時のセンバツで、甲子園記録に並ぶ1大会13安打を放った山崎福は「なんとか(一、二塁間を)抜けてくれてよかったです!」と喜んだ。打撃用手袋は宮城に借り、エルボーガードとレガーズは14年ドラフト同期入団の先輩、小田から拝借した。それでも、打撃センスはホンモノ。神宮のオリックス党は拍手と驚きで沸き上がった。本職のマウンドでも責任を果たした。オリックスが3年4カ月ぶりに試合をする神宮球場だが、山崎福は東京6大学時代にリーグ戦だけで61試合に登板している。傾斜が緩く、違和感を覚える投手が多い独特のマウンド。「大学の時は気づかなかったけど、打席が高く見えて変わった感じがします」。パ・リーグの投手が苦慮する中で、難なく対応できる貴重な投手で、2戦目の先発マウンドに抜てきされる根拠があった。先制適時打は、投球にも好影響があった。今季の交流戦は東京ドーム、横浜スタジアムとセ・リーグ主催でともに7回1失点で白星。「交流戦でポンポンと勝てた。打撃があった方がよかった」。自信を持って大舞台に臨んでいた。この日は4回68球無失点。「大事なゲームも、いつもと同じようにゲームに入っていけた。自分らしいリズムで投げられました」。打って、投げて-。かつて躍動した神宮で、再び輝いた。【真柴健】

◆村神様もビックリ弾でヤクルトが追いつき、試合時間5時間3分の執念ドローにした。「SMBC日本シリーズ2022」第2戦は、ヤクルト内山壮真捕手(20)が9回、シリーズ初打席初本塁打となる代打同点3ラン。3点を追う無死一、二塁で、オリックス阿部から左翼席へ起死回生の同点弾を運んだ。高卒2年目捕手が、土壇場で大仕事。延長12回を戦って引き分け、対戦成績は1勝1分け。試合時間はシリーズ史上2番目の長さだった。土壇場から一振りで流れを引き戻した。0-3の9回無死一、二塁。内山壮はオリックス阿部に対し2球で2ストライクと追い込まれるが、慌てない。3球目のカットボールをファウルとすると、4球目、5球目のスプリットをきっちり見極めた。カウント2-2。6球目の真ん中高め141キロ直球をフルスイングした打球は、燕党の歓声に乗り、左翼席に弾んだ。さっそうとダイヤモンドを周回し、ベンチのナインとハイタッチ。「腹をくくっていくしかないと思ってました。1年間、1軍で試合に出させていただいて、その経験が今日の1打席に詰まっていたと思います」と納得の表情を見せた。171センチ、71キロと体は小さいがパンチ力が持ち味。今季初めて開幕1軍入りを果たし、高卒3年目の長岡らとともに「ヤングスワローズ」として奮闘した。今季74試合に出場し、打率2割3分2厘、4本塁打、19打点。貴重な1軍戦力となった。「たくさん経験できているので、すごくいい1年になっている」と振り返るが、CSファイナルステージでは1試合、代走のみ出場で打席も守備機会もなし。迎えた日本シリーズの大舞台で最高の結果をもたらし「すごくうれしいですし、自分にとってもすごく財産になるんじゃないかなと思います」と素直に喜んだ。星稜(石川)では2年時から4番に座り、1学年上の奥川とともに夏の甲子園準優勝。2年夏は遊撃手だったが、同秋から捕手に復帰。プロの世界では、春季キャンプでも指導を受けた元監督の古田敦也氏のような「打てる捕手」を目標に掲げる。右と左、体格の違いはあるが、3学年上の主砲村上からも助言を受ける。「スイングの軌道であったり、どういう打ち方をしてるのかを聞いてます」。5月24日日本ハム戦(神宮)のプロ1号も、8回2死からの代打弾だった。「高津監督から『小さくならず思い切ってプレーしなさい』と常日頃、言われてるので伸び伸びプレーしていきたい」と肝に銘じている。1勝1分けで勝負の舞台は移るが「しっかり自分の仕事をできればなと思います」。小さな体で大きな結果を残していく決意だ。【鈴木正章】

◆ヤクルト・ホセ・オスナ内野手が"シリーズ男"襲名だ。2回先頭でオリックス山崎福から左前打。1ストライクからのカーブを引っ張った。前日の第1戦でも、初回に山本のカーブを引っ張り、先制の2点適時二塁打。緩急にも下半身が崩れない。状態の良さがうかがえた。6回、8回にも安打を重ね、2試合連続3安打。打率は両チームトップの6割6分7厘だ。高津監督は「広角に打つようになったよね。追い込まれたらコンパクトに、方向を決めて打ったりもする」と目を細めた。5番が絶好調だから、4番村上も簡単に勝負を避けられなくなる。オスナは足でもアピールした。2回の左前打の後、続く中村の右飛で二塁へタッチアップを決めた。右翼杉本が捕球した勢いでフェンスにぶつかったのを見逃さなかった。前日のお立ち台で、ファンに「一緒に戦いましょう」と呼び掛けた。この勢いで、連覇まで突っ走る。オスナが2試合続けて3安打。シリーズで2試合連続猛打賞は20年<1>、<2>戦栗原(ソフトバンク)以来で、ヤクルトでは97年<2>、<3>戦稲葉に次ぎ2人目。<1>戦から連続は、前記栗原以来7人目で球団初。外国人選手としても初めてとなった。オスナは昨年の最終戦だった<6>戦でも3安打。3試合連続猛打賞は02年<1>~<3>戦の二岡(巨人)がいるが、シーズンをまたいだ3試合連続は初のケースだ。

◆ヤクルトの背番号33。それは、とても重みのある番号だ。20年11月12日、石川県金沢市内のホテル。前年にドラフト1位で入団した奥川と同じ金びょうぶがセッティングされた。その前で「33」の数字がデザインされたタオルを持ったのが学ラン姿のドラフト3位、星稜・内山壮真だった。33番は長年にわたって打線をけん引し、15年に打点王を獲得した畠山和洋2軍打撃コーチ(40)が19年まで着けていた。通算128本塁打をマークし、まさに"主砲"のイメージが定着した番号。それを171センチの高卒新人が受け継いだ。球団は、高校通算34本塁打のパワーに"打てる捕手"として期待。当時、橿渕スカウトグループデスクは「以前は畠山が付けていて、彼も右の強打者。そういうイメージを照らし合わせた部分もある。33番を彼のイメージにしてもらいたい」と話していた。「畠山さんに負けないくらいの活躍をしたい」とくったくのない笑顔で話していた18歳の球児は、2年間で強くなった。「UCHIYAMA 33」。それはもう、たくましい背中だ。【保坂恭子】

◆記者生活30年超の高原寿夫編集委員が、日本シリーズに鋭く迫ります。勝てなかったが負けなかった。このドローがどう影響するかは今後の展開次第。適当だが事実だろう。9回に登板したプロ2年目・阿部翔太は誤算となったが随所に「ナカジマジック」を見た第2戦と思う。ナカジマジック。オリックス指揮官・中嶋聡の繰り出す選手起用、采配はそう呼ばれている。この日のスタメンは第1戦と変化した。クリーンアップは同じだったが1番を福田周平に代えて安達了一を起用するなど選手の顔ぶれ、打順を入れ替えてきた。オリックス担当記者・真柴健に言わせれば「シーズン通りですね」。オリックスは今季143試合で141通りのスタメンを組んだ。これで思い出すのはやはりマジシャン仰木彬である。90年代半ば、オリックス黄金期を作り上げた名将も同様だった。当時は「猫の目打線」と呼んだ。そして96年、巨人との日本シリーズ直前。仰木はその手法について話している。「仰木マジック」。我々もよく使った言葉だが仰木自身がそれについて話すことはほとんどなかった。だが89年に近鉄監督として戦い、3連勝4連敗と屈した巨人との再戦に仰木をして気持ちが高ぶっていたのか。口を開いた。「ウチは『無手勝流』やな。(作戦の)意図はもちろんあるが丸出しにはできんわ。幸いにしてこっちの(優勝決定)が巨人より早かったからな。巨人の戦いもみているし。選手を整理しているところだ」だが決戦ではその無手勝流は飛び出さなかった。「おっ」と思わせたのは4戦目にプロ2年目のサブマリン豊田次郎を先発させたぐらいか。当時は予告先発はなく巨人側は長谷川滋利の予想だったという。この4戦目が4勝1敗で終えたシリーズ唯一の敗戦だ。その96年、日本一メンバーだった中嶋も動く指揮官だ。先発・山崎福也を4回68球で降板させるとブルペン陣を次々に投入。山崎福はシーズン中から球数が増えると打ち込まれる傾向だ。そこに加え、24日は移動日だ。中継ぎを惜しみなくつぎ込む作戦でワゲスパックまでは成功した。延長10回に見せた1死一、二塁で一走・西野真弘が捕手のけん制を誘って二走・小田裕也が三盗を決めた場面にはしびれた。新人王候補でもある阿部の抑え起用だけが誤算となったが、それも勝負。まだ1敗だ。熱戦は京セラドーム大阪に場所を移す。(敬称略)

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】日本シリーズ第2戦の始球式に中条あやみが登場。キュートな笑顔と長~い手足で神宮球場を盛り上げました。

◆第1戦で決勝弾を放ったヤクルト塩見は、この日もリードオフマンとして機能した。3回の第2打席以降は2安打2四球で4打席連続出塁。四球を選んだ9回に内山壮の同点3ランで生還した。「昨日のホームランは出来過ぎだった。打った次の日はちょっと気持ちが緩みがち。コンパクトに打席に入るのを心掛けたい」と話し、派手さはなくとも着実に貢献。延長10回2死一、三塁で凡退した際は悔しそうな表情を浮かべた。

◆オリックス紅林が"イチロー超え"を果たした。3回先頭打者で右翼への二塁打を放ち、その後先制のホームを踏んだ。4回にも右翼へ二塁打を放ち、初戦に続いてマルチ安打。これで、昨年と合わせて日本シリーズ通算11安打。球団名がオリックスとなった89年以降では、イチロー、田口、小川の10安打を上回り、単独最多となった。中嶋監督は「うん、そう(いい働き)ですね」と評価した。

◆22日と23日に行われた日本シリーズの視聴率が24日、ビデオリサーチの調べで分かった。22日は第1戦がフジテレビ系列で午後6時半から生中継され、世帯平均視聴率が10・3%、個人平均視聴率が6・2%。試合はヤクルトがオリックスに5-3で先勝した。23日は第2戦がテレビ朝日系列で午後6時から生中継され、世帯平均視聴率が9・1%、個人平均視聴率が5・4%。試合は延長12回を戦って3-3で引き分けだった。

◆クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでMVPを獲得したヤクルトのホセ・オスナ内野手(29)が、日本シリーズでも絶好調だ。22日の第1戦では一回に先制の2点二塁打を放つと、3―2の四回先頭で左中間へ本塁打。日本球界最強右腕のオリックス・山本から3打点を挙げた。ポストシーズン(PS)での好調を支えているのが、シーズン途中から取り入れたヨガだ。オスナが通う東京・渋谷区のスタジオのインストラクター、まゆこさんは23日、SNSで「CSでMVPに輝いた後、日本シリーズ前も朝8時台から通ってくださるオスナ選手! 彼から人生の在り方を沢山学ばせていただいています」とつづり、スペイン語で「昨夜はおめでとうございました」と助っ人にエールを送った。

◆ヤクルトが日本シリーズ第2戦のスタメンを発表した。投手以外は前夜と変わらず。シリーズ初戦の4-3の八回に勝利を決定付ける1号ソロを放った村上宗隆内野手(22)は「4番・三塁」で出場。

◆オリックスのT―岡田外野手(34)が「6番・一塁」で今シリーズ初スタメン出場する。第1戦は敗戦を喫したが、背番号「55」は2点を追う八回2死二塁で、代打で出場。初球のフォークを振り抜いて中前に運び、一時1点差に迫るなど意地を示した。まずは敵地で星を戻すために、勢いに乗るベテランの頼もしいバットに期待がかかる。

◆ヤクルトのホセ・オスナ内野手(29)が二回、左翼へ安打を放ち、第1戦から4打数連続安打。打率10割をキープした。クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでMVPを獲得した助っ人は、続く中村の右飛をオリックス・杉本が慣れない神宮のフェンスに激突しながら捕球したタイミングを見てタッチアップで二進する好走塁も披露した。

◆オリックスの先発・山崎福也投手(30)が、先制の右前適時打を放った。「なんとか抜けてくれてよかったですし、先制のタイムリーになってくれてよかったです! この後のピッチングもしっかりと頑張ります!」。0─0の三回1死三塁。ヤクルト先発・サイスニードが投じた初球の変化球にバットを出した。打球は前進守備の一、二塁間を抜け、右前へ。貴重な先取点を奪い、一塁ベース上で右手を突き上げた。山崎福は日大三高時代の2010年春にエース兼5番打者として、選抜最多タイ記録となる1大会13安打をマーク。その打撃は衰えておらず、交流戦期間中のセ・リーグ主催の試合では、代打要員としてベンチ入りすることもあった。

◆先勝したヤクルトはサイスニード(30)、オリックスは山崎福也(30)の両投手が先発した。先制はオリックス。三回1死三塁で、打撃に定評がある山崎福が前進守備の一、二塁間を破り、三走の紅林弘太郎内野手(20)を招き入れた。さらに1死一、二塁から宗佑磨内野手(26)の右前打を、右翼のドミンゴ・サンタナ外野手(30)がファンブルする間に、二走山崎福が生還し(記録はサンタナの失策)、この回、2点を挙げた。ヤクルトはその裏、先頭の塩見泰隆外野手(29)が中前打。2死一塁から第1打席は二ゴロに倒れた村上宗隆内野手(22)が右前打を放ち、一、三塁としたが、すでに4安打を記録しているホセ・オスナ内野手(29)は右飛に終わった。

◆三井住友カードのイメージキャラクターを務める女優の中条あやみ(25)が始球式に登場。緑を基調としたSMBCのユニホームで、野球ファンから大きな拍手で送り出されてマウンドに立った。球場全体におじぎをしてから投球。ゆったりと間をおいて投じた一球はワンバウンドして捕手のミットに収まった。投げ終えると笑顔をみせて、選手やファンからは温かい拍手に包まれた。大役を務めて「今回、SMBC日本シリーズ2022の始球式の舞台に立てて、とても光栄に思います。緊張しましたが、大勢の観客の皆さんの前で投げられ、貴重な体験をさせていただきました。SMBC日本シリーズの熱戦、私も応援します!」とコメントした。

◆ヤクルト先発のサイスニード投手(30)は0-0の三回に2失点。相手先発・山崎福に先制の右前適時打を浴びた。三回、先頭の7番・紅林に右翼線二塁打を許し、続く伏見のニゴロで1死三塁のピンチ。打撃を得意としている9番・山崎福に初球132キロのチェンジアップをたたかれ、前進守備の一、二塁間を破られた。なおも1番・安達の右前打で1死一、二塁。2番・宗にも右前へはじき返され、右翼手・サンタナが捕球にもたつく間に二走・山崎福に2点目のホームを踏まれた。

◆先勝したヤクルトはサイスニード(30)、オリックスは山崎福也(30)の両投手が先発した。先制はオリックス。三回、山崎福の右前適時打とさらに1死一、二塁から宗佑磨内野手(26)の右前打を、右翼のドミンゴ・サンタナ外野手(30)がファンブルする間に、二走山崎福が生還し(記録はサンタナの失策)、この回、2点を挙げた。4回2失点で降板したサイスニードの後を受けて、五回に登板した2番手の大西広樹投手(24)を攻め、2死一、三塁から杉本裕太郎外野手(31)の三塁内野安打で3点目を追加した。ヤクルトは二回無死一塁、三回には2死一、三塁の好機を作ったが、山崎福の前に凡退。第1戦で4打数4三振の山田哲人内野手(30)は一回に四球を選んだものの、三回は空振り三振。五回1死一塁では遊ゴロ併殺に倒れた。村上宗隆内野手(22)は三回の右前打で2打数1安打。オリックスは4回4安打無失点の山崎福に代わり、五回から山﨑颯一郎投手(24)がマウンドにあがった。

◆ヤクルト先発のサイスニード投手(30)は4回6安打2失点。2点リードを許したまま降板となった。一-二回は三者凡退と上々の滑り出しを見せたが三回に3連打を浴び、2失点。1死三塁、相手先発の9番・山崎福に初球132キロのチェンジアップをたたかれ、先制の右前適時打を許した。1死一、二塁からは2番・宗にも右前へ適時打を運ばれた。前日22日に「対策を練って全力で抑えたい」と意気込みを語っていたチームの勝ち頭。立ち上がりがよかっただけに三回は悔やまれるイニングとなった。サイスニードの談話 「今日は立ち上がりはスムーズに入ることができたが、3回の先頭打者に長打を許してしまい最少失点でという気持ちだったが粘り切れずチームに勢いをつけることができなかった」

◆先勝したヤクルトはサイスニード(30)、オリックスは山崎福也(30)の両投手が先発した。「神宮で結構、投げてきたというのと打撃じゃないですかね。そこで(中嶋)監督が選んでくれたのでありがたい」。山崎福の言葉通り、三回1死一、三塁で前進守備の一、二塁間を破る自らの右前打で先制。プロ入り前の明大時代から何度も踏んできただけに、マウンドへの順応にも不安なし。さらに日大三高時代に出場した第82回選抜大会では大会タイ記録の通算13安打をマーク。敵地での試合はDH制が適用されないだけに、第2戦で起用された意味も理解しており、言葉通りの快打だった。さらに1死一、二塁から宗佑磨内野手(26)の右前打を、右翼のドミンゴ・サンタナ外野手(30)がファンブルする間に、二走山崎福が生還し(記録はサンタナの失策)、この回、2点を挙げた。4回2失点で降板したサイスニードの後を受けて、五回に登板した2番手の大西広樹投手(24)を攻め、2死一、三塁から杉本裕太郎外野手(31)の三塁内野安打で3点目を追加し、試合を優位に運んだ。4回4安打無失点で降板した山崎福は「なんとか抜けてくれてよかったですし、先制のタイムリーになってくれてよかったです!」とコメント。五回から山﨑颯一郎投手(24)に託した。

◆オリックス・山崎福也投手(30)が先発し、4回4安打無失点で降板した。一回は2死一塁で、前夜に一発を放った三冠王・村上との最初の対決を迎えたが、140㌔直球で二ゴロに抑えて無失点発進。二回2死一、二塁のピンチはサイスニードを見逃し三振に抑えて脱出すると、三回は2死一、三塁で、今シリーズ4打数4安打1本塁打と絶好調のオスナと対したが、142㌔直球を外角低めに投げ抜いて右飛に仕留め、ガッツポーズ。切れのある直球と低めに決めきるチェンジアップの緩急を軸にし、ヤクルト打線を苦しめた。輝きを放ったのはマウンドだけではない。日大三高時代に出場した第82回選抜では、いまだに大会タイ記録となっている通算13安打をマークした打撃センスの持ち主で、二回1死三塁での最初の打席で、前進守備シフトを敷かれるなかで初球のチェンジアップにタイミングを合わせてしぶとく一、二塁間を突破。自らも助ける先制点をたたき出し、今度は右拳を突き上げた。左腕は五回の攻撃中もベンチ前でキャッチボールをしていたが、この回に杉本の三塁への適時内野安打で3―0となり、その裏からベンチは継投策に入った。

◆先勝したヤクルトはサイスニード(30)、オリックスは山崎福也(30)の両投手が先発した。三回に山崎福の先制適時打と敵失で2点を挙げたオリックスは五回にも杉本裕太郎外野手(31)の三塁内野安打で3点目を追加した。四回4安打無失点の山崎福の後を継いで登板した山﨑颯一郎投手(24)は2回1安打2三振に抑え、七回から宇田川優希投手(23)がマウンドにあがった。ヤクルトは二回無死一塁、三回には2死一、三塁の好機を作ったが、山崎福の前に凡退。第1戦で4打数4三振の山田哲人内野手(30)は一回に四球を選んだものの、三回は空振り三振。五回1死一塁では遊ゴロ併殺に倒れた。三回に右前打を右前打を放った村上宗隆内野手(22)は3打数1安打1三振。

◆ヤクルト・山田哲人内野手(30)が日本シリーズに入って2戦連続安打なしと調子が上がらない。22日の第1戦は4打席連続三振。第2戦は一回の第1打席で四球を選んだものの、三回は空振り三振。五回は1死一塁の場面で痛恨の遊撃併殺打に倒れた。八回には初球を打つも、三邪飛に終わった。

◆ヤクルトのホセ・オスナ内野手(29)が2戦連続猛打賞。MVPを獲得したクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージから好調をキープしている。二回の第1打席で左翼へ安打を放ち、六回には外角の球を右前にはじき返した。八回の第4打席では4番手のワゲスパックの152キロの直球を中前に運んだ。

◆0-3の九回に代打で登場したヤクルト・内山壮真捕手(20)が起死回生の同点3ラン。ひと振りで試合を振り出しに戻した。ヤクルトは3点ビハインドの九回。先頭の宮本の二塁打と続く塩見が四球を選び無死一、二塁で投手の今野に代わって打席に立った。カウント2-2から6球目の141キロの速球を一閃。オリックス5番手・阿部の直球に振り負けることなく左翼席へアーチを描いた。自身の日本シリーズ初打席で値千金の一発。20歳3カ月での同シリーズでの本塁打は、球団では昨季に村上がマークした21歳9カ月を抜き、最年少記録となった。

◆0-3の九回に代打で登場したヤクルト・内山壮真捕手(20)が値千金の同点3ラン。ひと振りで試合を振り出しに戻した。3点ビハインドの九回。先頭の宮本の二塁打と続く塩見が四球を選び無死一、二塁で投手の今野に代わって打席に立った。カウント2-2から6球目の141キロを一閃。オリックス5番手・阿部の直球に振り負けることなく左翼席へアーチを描いた。自身の日本シリーズ初打席で値千金の一発。20歳3カ月での同シリーズでの本塁打は球団では昨季に村上がマークした21歳9カ月を抜き、最年少記録となった。「打ったのはストレートです。自分の仕事は山田さんと村上さんに良いカタチで繋ぐことだったので簡単に追い込まれてしまいましたが喰らいついて打ちました。良い角度であがってくれました」とコメントした。

◆第1戦に続いてマウンドに上がったオリックスの阿部が、痛恨の3点本塁打を浴びた。3―0の九回から登板。先頭の宮本に二塁打され、塩見に四球を与えて無死一、二塁。代打内山壮に対し、高めに浮いた速球を左翼席に豪快に運ばれた。レギュラーシーズンの最終戦でセーブをマーク。クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでは勝利投手になった。「僕たちがゼロでつなげられれば、勝ちにつながる」と意気込んでいたが、悔しい結果になった。

◆オリックスは三回1死三塁から山崎福の右前適時打で先制。さらに一、二塁から宗の右前打に失策も絡んで2-0とした。五回は杉本の適時内野安打で3-0とした。山崎福は4回4安打無失点と好投した。ヤクルトは九回無死一、二塁で代打・内山壮が同点3ランを放った。試合は3-3で今シリーズ初の延長戦へと突入した。延長十二回を終えても両軍譲らず、引き分けで終わった。日本シリーズの引き分けは2018年の第1戦(広島2-2ソフトバンク、マツダ)以来、9度目。今季の日本シリーズは、第7戦までは延長十二回で打ち切り。第8戦以降は延長回の制限なし。引き分けがあり、第7戦で優勝が決定しない場合は、翌日に第7戦を行った球場で第8戦を行う。さらに第9戦が必要な場合は、1日移動日を設け、もう一方のチームの球場で行う。第8戦が行われたのは西武と広島が戦った1986年の1例のみ。両チームは24日の移動日を経て、25日からオリックスの本拠地・京セラで3試合を行う。

◆2年連続の頂点を狙うヤクルトがオリックスと引き分けた。3点ビハインドの九回無死一、二塁で代打・内山壮真捕手(20)が起死回生の3ランを放ち、試合を振り出しに戻した。20歳3カ月での本塁打は昨季に村上宗隆内野手(22)がマークした日本シリーズの球団最年少記録を更新する一発となった。先発のサイスニードは4回6安打2失点。その後は大西、石山、今野、マクガフ、清水、田口、木沢とつないだ。

◆ヤクルトはリリーフ陣が必死にバトンをつないだ。五回から2番手・大西が登板し、木沢まで7人の救援投手が1失点で継投。日米通算313セーブを誇る高津監督は日本シリーズ開幕前に「短期決戦では輪をかけた難しさになる。もう一息で今シーズンも終わるので頑張ってもらいたい」と期待していたが、2試合で12回2失点と見事に応えている。

◆ヤクルトの村上は6打数1安打で、勝負どころでは快音が響かなかった。0―3で迎えた九回には代打内山壮の3ランで追い付き、サヨナラ勝ちへ球場のムードが高まる中、1死で一ゴロに倒れた。第1戦では八回にソロを放って勝利を呼び込んだが、第2戦ではオリックスの救援陣に苦しめられた。六回は山崎颯に見逃し三振に、八回はワゲスパックに遊飛に、ともに150キロを超える速球で抑え込まれた。

◆試合時間は5時間3分で、シリーズ史上2番目の長時間となった。5時間を超えたのは3度目で、史上最長は中日とロッテが延長十五回で引き分けた2010年第6戦の5時間43分。

◆プロ野球の日本一を決める「SMBC日本シリーズ2022」は23日、神宮球場で第2戦が行われ、2年連続の頂点を狙うヤクルトが、オリックスと3-3で引き分け、1勝1分けとした。3点を追う九回に代打・内山壮真捕手(20)が起死回生の同点3ランを放った。昨季に村上宗隆内野手(22)がマークした日本シリーズの球団最年少記録を更新する20歳3カ月での一発で、敗色濃厚だったチームを救った。第3戦は25日に京セラドームで行われる。どよめきが収まらない。ベンチから身を乗り出すナインを横目に、内山壮は満面の笑みを浮かべて走り出し、右拳を突き上げた。「感触もすごく良かったので『スタンドまで届いてくれ!』と思っていた。1年間1軍で出させてもらって、その経験が今日の一打席に詰まっていた」0―3の九回無死一、二塁。代打で左中間席に起死回生の同点弾をたたき込んだ場面を興奮気味に振り返った。宮本が二塁打を放ち、塩見が四球を選んで回ってきた出番。相手守護神、阿部に2球で追い込まれながら決め球の落ちる球を見極め、カウント2―2から浮いた141キロの直球を完璧に仕留めた。零封負け寸前から引き分けに持ち込み、土壇場でチームを救った。〝村神様〟を超えた。20歳3カ月。日本シリーズでの本塁打としては昨季21歳9カ月でマークした村上を抜く球団最年少記録となった。代打では史上最年少。阪神とのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでは代走のみの出場で、代打での日本シリーズ初打席本塁打は史上5人目の快挙だ。石川・星稜高から入団2年目。今季は正捕手・中村に次ぐ74試合に出場し、打率・232、4本塁打。代打では打率・296(27打数8安打)を記録した。42歳の石川とバッテリーを組んで経験を積み、ベンチではコーチ補佐の嶋に配球の意図や打者の入り方を学んだ。嶋から教わった代打の心構えは「腹をくくって打つしかない」。高津監督は「すごい。捕手らしく配球を読んで駆け引きができる打者」と絶賛した。大舞台で力を発揮できる精神力。それは滝行で身につけた。父・彰博さんが師範を務める空手道場は毎年、元旦に出身地の富山・中新川郡上市町のお寺にある滝に入って1年をスタートさせる。冷たく激しく流れ落ちる滝に打たれることで自分自身と向き合い、幼少期から困難に負けない精神力を磨いてきた。今年は年末年始に帰省した際、4年ぶりに参加。滝に入るのは控えたが、父や稽古に打ち込む後輩の姿に「めちゃくちゃ気合が入った」という。その場で「自分はプロの世界で絶対に活躍する」と宣言。最高の場面で有言実行を果たした。同カードだった昨季の日本シリーズは全て2点差以内で、今季も接戦が続く。劇的な試合の主役を演じた内山壮は「大事な場面で任されたときにチームのために貢献できるように。しっかりと自分の仕事を果たしていきたい」とキッパリ。球団初の2年連続日本一へ、新しい力がチームを力強く前進させる。(森祥太郎)■データBOX?ヤクルト・内山壮がシリーズ初打席で代打同点本塁打。20歳3カ月でのシリーズ代打本塁打は1957年第5戦の巨人・十時啓視の21歳6カ月を抜く最年少弾。九回の代打同点弾は1996年第1戦の巨人・大森剛(スコア1-3から2ラン)以来26年ぶり4人目で、3ランで同点は初めて。?シリーズ初打席本塁打は昨年第1戦のオリックス・モヤ(代打)以来16人目。2005年第1戦のロッテ・今江敏晃の22歳1カ月を抜く初打席弾も最年少記録。初打席代打弾は70年第2戦のロッテ・井石礼司、81年第1戦の巨人・松原誠、95年第1戦の大野雄次、昨年のモヤに次いで5人目。?20歳3カ月以下での本塁打は08年第7戦の巨人・坂本勇人(19歳10カ月)以来14年ぶり5人目(6度目)。最年少弾は52年第6戦の南海・森下正夫の19歳1カ月で、内山壮は87年第2戦の西武・清原和博の20歳2カ月に次ぐ年少6番目。ヤクルトでは昨年第1、5戦の村上宗隆の21歳9カ月を抜く最年少記録。

◆積極采配で執念のドロー。ヤクルト・高津臣吾監督(53)は代打攻勢と救援陣の継投でベンチ入り26人中23人を使う総力戦の末、引き分けに持ち込んだ。九回は途中出場の宮本丈内野手(27)が右中間二塁打で反撃の口火を切るなど、選手が指揮官の起用に応えた。5時間3分はシリーズ史上2番目の長時間試合。25日の第3戦からは京セラドーム大阪に乗り込み、球団初の2年連続日本一への歩みを進める。先を見すぎて、手をこまねくことはしない。短期決戦は前のめりに手を打つ。高津監督が積極采配で執念の引き分けに持ち込んだ。「レギュラーシーズンとは少し違うなと思いながら指揮を執っていた。先を見ないでと言ったら大げさだけど、目の前で何が一番いいのかを常に考えて起用していた」勝負の流れを読み、最善の手を選択した。先発は今季チームトップタイの9勝を挙げたサイスニードに託したが、3連打と失策で先制され、4回2失点で交代。五回から継投策に入った。現役時代に日米通算313セーブを誇り、日本シリーズでは11試合で2勝0敗8セーブ、防御率0・00の成績で4度の日本一に貢献。短期決戦で勝つための〝妙〟を知る指揮官だからこそ積極的に動いた。2番手の大西は第2戦であること、打順が回ってこないことを考えれば、3イニング目を任せてもよかったが、五回に1点失い、六回も一、二塁とされたことを踏まえ、七回から石山に託した。延長十二回にも田口が圧倒的な投球で2死を奪ったが、オリックスが右打者の頓宮を代打に送ると、木沢に交代。一、二塁とされたが、最後は伏見を三直に抑えた。期待に応えた7人の救援投手を「本当によく踏ん張った」とたたえた。攻撃でもタクトを振り続けた。九回は、代打で七回に途中出場していた宮本が先頭で右中間二塁打を放ち、代打・内山壮の同点弾を呼んだ。さらに延長十一回の先頭にはシーズン打率・146の奥村を代打で送り、見事に中前打。すかさず代走で起用した並木が二盗を決めるなど、勝ち越しはならなかったが、〝高津チルドレン〟の若手選手が期待に応えた。劣勢の中、攻め続けた結果が執念のドロー。5時間3分はシリーズ史上2番目の長さだった。昨年の日本シリーズは「史上最高」との呼び声が高かったが今年も激闘は続き、昨年から全8試合が2点差以内と名勝負が続く。移動日を挟み、25日からは京セラドーム大阪での3連戦。「攻める野球を引き続きやっていきたい」と高津監督。球団初の2年連続日本一へ、一切引かない。(赤尾裕希)

◆「SMBC日本シリーズ2022」は23日、神宮球場で第2戦が行われ、パ・リーグを2年連続で制したオリックスがセ・リーグ2連覇のヤクルトと対戦し、延長十二回の末、3-3で引き分けた。対戦成績はヤクルトの1勝1分け。オリックスは3点リードの九回無死一、二塁で阿部翔太投手(29)が代打・内山壮真捕手(20)に同点弾を献上。24日は移動日で、25日に京セラドームで第3戦が行われる。勝利まで、あと1イニングだった。中嶋監督の想定が覆った。3点リードの九回に阿部が同点3ランを被弾。マウンド上で呆然とした右腕のように、チームにとっても痛恨のドローとなった。「(なんとか引き分けに持ち込んだが、と問われ)まあ、そうですかね。う~ん、まあ、これがシリーズなのかね」試合後、指揮官は渋い表情を浮かべた。投打での活躍を期待し、第2戦の先発に抜擢した山崎福が4回を無失点と好投し、打っては先制打。打線は五回までに3点を奪い、山崎颯、宇田川、ワゲスパックの剛腕リリーフ陣も無失点で九回までつないだ。ここまでは指揮官の計算通り。だが、5番手の阿部が九回の先頭で宮本に右中間二塁打を浴び、続く塩見には四球。一発だけは避けなければならない場面で、代打・内山壮に左翼席へ同点3ランを浴びてしまった。プロ2年目の右腕は今季、レギュラーシーズンでは44試合に登板し、1勝0敗22ホールド、防御率0・61。シーズン終盤には状態の上がらない平野佳に代わって九回を任されるケースもあり、3セーブをマークした。リーグ連覇の原動力にもなった存在なだけに、指揮官も「あれは打たれましたけど、打たれたよりも次やり返すことを期待しますし、そこの切り替えだけは大事にやってくれたらいい。このままでは終われないと思う」と責めることはなかった。ただ、第2戦を終えてチームは1敗1分けと苦しい状況。前夜の初戦はエースの山本が左脇腹の違和感で緊急降板するなど不穏な幕開けとなり、この日もリードした展開を勝ち切れず、延長十二回までもつれ込んだ5時間3分の激闘も、手痛い引き分けに終わった。いまは「もう一回、やっていきます」と前を向いた将の言葉を信じ、チーム全員でこの劣勢を跳ね返していくしかない。(西垣戸理大)

◆最後の瞬間が近づいてきた。ヤクルトの公式ダンスチーム「Passion」のリーダー、JURAは開幕前に今季限りでの卒業を発表。歴代一番人気との呼び声高く、日本シリーズが公式戦では最後のパフォーマンスで「正直実感は沸いていません。7年間はあっという間。たまたま私が卒業する年にスワローズが日本シリーズを戦ってくれて、うれしいです」と感慨深げに語った。シーズンを通して試合前の円陣がメンバー間のルーティン。普段は指名された一人が意気込みを口にするが、クライマックスシリーズからはJURAの提案で全員が一人ずつ思いを言葉にするように変更した。「自分の卒業よりもスワローズの日本一が一番の目標。寂しいという思いよりも日本一に向けて最後まで〝応燕〟していきたいです」。最高のパフォーマンスで有終の美を飾る。(裕)

◆内山壮の同点3ランには正直、驚いた。代打の駒はまだ残っているのか? メンバー表とにらめっこしていた矢先。これがヤクルトの強さ。同時に短期決戦の怖さだと、改めて実感したよ。オリックスは先発左腕の山崎福を4回無失点で代えた。ヤクルトの攻撃が1番・塩見から始まるところで、万全を期して継投に入り、最後は阿部。その青写真が、一撃で吹き飛んだ。いくらリリーフ陣が強力だといっても、不調の投手が1人いるだけで、結果は天国から地獄へ。それが短期決戦なんだ。したがってヤクルトも、第3戦から手を打つ必要がある。シリーズ9打数ノーヒット(1四球)の3番・山田だ。タイミングが合わず、また、何とかしようという意識が空回りしている。楽に打てる打順に下げるとか、考えた方がいい。えてして不調の選手は、復調する前にシリーズが終わるからだ。オリックスは2戦目にして早くもスタメンをいじり、1番と6番を代えた。その1番・安達が2安打1四球。ひとのふり見て、なんとやら。短期決戦では、選手起用の決断も行方を左右する。そして、少しの緩みで流れを手放してしまう。肝に銘じるべし。(本紙専属評論家)

◆投げては4回を零封し、打っては三回に先制打。オリックスの先発・山崎福が、投打で試合の流れをつくりました。2戦目は今季11勝を挙げている宮城だろうと勝手に思っていた「虎ソナ」には奇策にも映る起用でしたが、オリックス担当の西垣戸理大は冷静に受け止めていました。「宮城と山崎福と、どっちかなあくらいに思っていました。まったく意外ではないです」なぜ? そう聞くと、立て板に水の答えが返ってきました。「バッティングがいいですからね。それに、オリックスの投手は神宮のマウンドに慣れていませんが、山崎福は明大時代に投げていますから」日大三高時代の山崎福は通算20本塁打。3年春(2010年)の選抜大会では投打で活躍し、準優勝。決勝を含む5試合に先発登板し、5番打者としても1大会最多安打タイ記録の13安打を放っています。明大に進んでからも、通算20勝を挙げるとともに2年春は一塁手でも出場。投手で61試合、一塁手で5試合に出場し、通算打率・264(1本塁打、12打点)の打撃記録を残している〝二刀流〟でした。プロ通算打率も・235。今季の交流戦では、代打でも起用されています。「むしろ、なんで(山崎福が先発)? と聞かれることが意外なくらいですよ」という西垣戸によると、中嶋監督自身も先日、采配が〝ナカジマジック〟と表現されることに、こう反論していたそうです。「別に不思議なことをしているわけじゃない。セオリーと違うことをするとそう言われるのかもしれない。でも、このカウントならこうする、このカウントだったらこれはしない、でやっていたら、一つのことしかできない。変わったことをしているつもりはない」似たセリフを、約30年前に聞きました。森祇晶監督率いる西武と、野村克也監督率いるヤクルトが2年連続で対決した1993年の日本シリーズ。第7戦で、ヤクルトの1点リード(3-2)で迎えた八回1死三塁の場面でした。三塁走者は古田で、打者は4番・広沢。西武の内野手は当然、前進守備。広沢は遊ゴロに倒れますが、古田が当時はまだその言葉がなかった「ギャンブルスタート」で本塁に突入。4点目がヤクルトに入った試合後、森監督はこう言ったのです。「あの場面で、あのゴロで普通は本塁突入はない。だけど、野球は、セオリーの外側にもセオリーがある。その、外側のセオリーにまで頭が回っていなかった」広沢が倒れても5番・パウエル、6番・池山につながっていく打順で、前進守備を敷いていれば正面の内野ゴロでの本塁突入はないだろうと思った自分たちの負け-と振り返ったのです。山崎福の起用も、森祇晶流に言えば「セオリーの外側のセオリー」。中嶋監督に言わせれば「マジックではない」のでしょう。3-0の九回にヤクルト・内山壮の代打同点3ランが飛び出し、オリックスにとっては痛恨のドローとなってしまいましたが、見応えのある選手起用、せめぎ合いが続いています。森西武vs野村ヤクルトの2年連続の対決は、92年が西武の4勝3敗。93年がヤクルトの4勝3敗でした。今回の対決も、面白くなりそうです。

◆九回に守護神・阿部が同点3ランを許し、オリックスにとっては痛い引き分けに終わった第2戦。1980年代後半から90年代前半にかけて言われたのが「日本シリーズは第2戦が大事」。当時の西武・森祇晶監督の〝格言〟だった。理由は幾つかある。レギュラーシーズンが終了して鈍った実戦勘を第1戦で取り戻す。体慣らし、目慣らしの意味合いだ。過去には90年に巨人が2位広島に22ゲーム差をつけて9月8日に独走Vを決めたが、日本シリーズ開幕まで42日も待たされたことがあった。結果は西武に4連敗。また、2戦目以降を見据えてバッテリーに相手打者のデータを取らせる、いわゆる〝餌〟をまくために第1戦を使うという考えもあった。ただ、近年はクライマックスシリーズ(CS)が導入されたことで極端に試合間隔が空くこともなく、情報手段の発達でデータも事前に豊富に集まる。森祇晶監督の下でプレーした工藤公康ソフトバンク前監督も「短期決戦はやはり先手必勝。だから第1戦が重要」と、昔とは位置付けが変わったことを隠さなかった。実際、過去72度のシリーズで日本一になったチームの回戦別の勝敗をみても、第1戦は44勝25敗3分け(勝率・637)、第2戦は46勝26敗(勝率・638)と確率的にもほぼ差がない。そんな中での今シリーズ第2戦。先発投手以外は第1戦と全く同じスタメン、ブルペン陣で臨んだヤクルト・高津監督に対し、動いたのはオリックス・中嶋監督だった。第1戦で4打数無安打だった福田に代えて安達、西野に代えて代打で適時打を放ったT-岡田の両ベテランをスタメン起用。さらに村上に被弾した平野佳をベンチ入りメンバーから外し、近藤を入れた。無失点投球を続けていた先発・山﨑福を4回68球で降板させたのも、第1戦に左脇腹の違和感を訴えて緊急降板した山本の今後が不透明な中、中5日で第6戦の先発も見据えてのことだろう。かつて森祇晶監督はこうも語っていた。「1勝1敗なら2戦目を勝った方が心理的に楽。敗戦を引きずって(第3戦の球場に)移動するか、勝って気分良く移動するか。第3戦からホームならなおさらだ」--。勝ち切れなかったオリックスだが、負けなかったことも事実。25日からは戦いの舞台を京セラドーム大阪に移す。失望は隠せなくとも、絶望に打ちひしがれての〝帰郷〟とまではならなかった。(編集委員・東山貴実)

◆今季限りで現役を引退したヤクルトの坂口智隆氏(38)が、日本シリーズ全試合で特別観戦記を寄稿。第2戦のポイントにオリックス・山崎福也投手(29)の打撃技術と、内山壮真捕手(20)ら控え選手を含めたヤクルトの成熟度を挙げた。ヤクルトは、チームとしての成熟度が上がっている。それを実感した第2戦でした。昨季途中からスタメンがほぼ固定され、同じ打順、同じ布陣で臨むことでチームは成熟する。今季ベンチにいても、それを肌で感じていました。スタメンが固定されると前後の打者を理解し、試合中の類似したシチュエーションを何度も経験できることで、選手は打席での役割に集中できます。そうなると控え選手の役割も固定される。青木選手は要所での代打、川端と宮本の両選手は投手への代打、3選手の次は内山壮選手の出番。九回に代打で放った同点3ランは心身の入念な準備があればこそ。低めのボールの見逃し方に打席内での落ち着き、非凡な才能が表れていました。終盤に外野を守る丸山和、並木両選手を含めて、途中出場する選手の質が上がり、戦術理解が洗練されている。なおかつ年齢層が低く伸びしろもある。終盤に守備重視の布陣となっても複数の得点パターンを維持できている点は、昨年を上回っています。一方で、序盤を制したのはオリックスの山崎福投手と伏見捕手のバッテリーでした。山崎投手が新人だった2015年。チームメートとして練習で野手顔負けの打撃センスに目を奪われました。今まで見た投手の中ではトップクラスです。タイミングの取り方や〝当て勘〟は「打撃のいい投手」ではなく「野手」。三回1死三塁で初球のチェンジアップが落ち切らなかったところを確実に捉え、右前に運んだ先制打を見ても技術の高さが伺えます。ヤクルト打線は山崎投手を打ちあぐねました。映像で感じるより直球が速く、変化球が遅く感じる投手。多くの選手が打席でイメージとのギャップに戸惑ったのではないでしょうか。4回68球で降板したのは前夜、山本投手が負傷登板したこともあり、今シリーズで2度目の登板を視野に入れたものと思われます。神宮球場に戻る第6、7戦までもつれれば、その存在が鍵になるかもしれません。この日は追い付かれたオリックスですが、山崎颯、宇田川両投手と救援陣にパワー型がそろっており、第3戦以降も投手起用はこのパターンが理想形。逆に、ヤクルトは試合中盤以降に得点する難しさを感じていたはず。序盤の得点機を確実にものにし、リードを許して中盤を迎えたくないところです。(坂口智隆)

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