ヤクルト(☆5対3★)オリックス =日本シリーズ1回戦(2022.10.22)・明治神宮野球場=
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ORIX
02000001031020
ヤクルト
20110001X51003
勝利投手:小川 泰弘(1勝0敗0S)
(セーブ:マクガフ(0勝0敗1S))
敗戦投手:山本 由伸(0勝1敗0S)

本塁打
【ヤクルト】塩見 泰隆(1号・3回裏ソロ),オスナ(1号・4回裏ソロ),村上 宗隆(1号・8回裏ソロ)

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◆ヤクルトが日本シリーズ初戦を制した。ヤクルトは初回、オスナが適時二塁打を放ち、2点を先制する。直後に同点とされるも、3回裏に塩見のソロが飛び出し、再びリードを奪った。敗れたオリックスは先発・山本が振るわず、打線も10安打で3得点とつながりを欠いた。

◆試合前、ヤクルト投手陣は神宮外苑で調整した。23日の第2戦は、サイスニード投手(30)の先発が予想される。キャッチボールなどを行った後、30メートル、20メートルと短めの距離を走り、翌日の登板に備えていた。第1戦は、午後6時半開始。両チームの予告先発は、ヤクルト小川泰弘投手(32)、オリックス山本由伸投手(24)。

◆両軍の先発メンバーが発表された。先発投手はヤクルト小川、オリックス山本のエース右腕。オリックスは高卒2年目の来田涼斗外野手(20)がベンチ入りした。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)の第1打席はストレートの四球だった。1回2死二塁、オリックス先発のエース山本由伸との対決。初球154キロ内角直球がわずかにボールとなると、2球目、3球目の変化球もボール。4球目の低め149キロフォークも外れ、四球となった。

◆オリックス先発の山本由伸投手(24)が先制点を奪われた。1回2死一、二塁から5番オスナの打球が三塁線を襲った。一瞬、三塁塁審がファウルのジェスチャーを出しかけたが、フェア判定となり走者2人の生還を許した。オリックスの中嶋聡監督(53)がベンチから飛び出すも、塁審の前の打球だったためリクエスト対象外。判定通りで試合は再開した。リクエスト制度 監督がリプレー検証を審判に要求できる制度で、18年から実施。1試合で2度要求でき、結果判定が覆れば権利は減らない。判定通りなら権利は1度ずつ減る。延長戦では新たに1度権利を行使できる。リクエストができないプレーは(1)投球判定(2)ハーフスイング(3)自打球(4)打撃妨害(5)走塁妨害(6)守備妨害(7)インフィールドフライ(8)審判員(塁審)より前方の打球(9)ボークの9種類で、審判員の判断に基づく判定は対象外。

◆オリックスが2点ビハインドを追いついた。初回に山本由伸投手(24)が2点を失ったが、直後の2回に反撃。1死満塁から紅林弘太郎内野手(20)が右前に適時打を放ち、1点差に詰め寄る。紅林は日本シリーズ初打点。「打ったのは真っすぐ。何とか早い段階で追いついていきたいと思っていたし、チャンスの場面でまずは1本出てくれてよかったです」とコメント。一塁上でガッツポーズを作り、笑みが弾けた。2死満塁となった後、1番福田周平外野手(30)が四球を選び、押し出しで同点に追いついた。昨年の日本シリーズも6戦中5戦が1点差ゲーム。今年もすぐに取り返して接戦に持ち込んだ。

◆ヤクルトのホセ・オスナ内野手(29)が、初回に先制の2点適時二塁打を放った。1回2死二塁から4番村上が四球で歩いて一、二塁。オリックス山本が投じた3球目のカーブを引っ張った打球は、三塁ベース付近で跳ねて左翼ファウルゾーンへ転がった。二走塩見と一走村上が生還。オスナはオリックス吉田正の悪送球の間に一気に三塁へ到達した。「山本投手は球界を代表する投手なので、なかなかチャンスが少ないが、初回から先制できてよかったです」とコメントした。"村神様"の後ろを打つオスナは、阪神とのCSファイナルステージでも第1戦で初回に先制3ラン、第2戦で5回に中押し2ランを放ってMVPに輝いている。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)の第2打席は、一ゴロに終わった。塩見のソロで3-2と1点を勝ち越した3回2死。オリックス山本に対し、1ボールからの2球目、内角低め155キロ直球に詰まり、一塁ゴロとなった。1回2死二塁の第1打席では、ストレートの四球を選んでチャンスを拡大。次打者オスナの先制2点適時打へつながった。

◆難敵・オリックス山本由伸攻略のカギを握ったのは、やはりこの男だった。ヤクルトの1番打者、塩見泰隆外野手(29)だ。まずは初回。山本の初球155キロ直球を左前に運んだ。持ち前の積極性を発揮した。さらに二盗も決め、この回の2点先制につなげた。同点に追い付かれた後の3回、再び先頭で回ってくると、カウント1-2から153キロを左中間スタンドへ放り込んだ。「追い込まれていましたが、力負けしないようにしっかりと強いスイングを心掛けました。勝ち越すことができて良かったです」と胸を張った。両チーム通じてシリーズ第1号本塁打で、貴重な勝ち越し点を挙げた。有言実行のスイングだった。短期決戦で意識することを問われ、こう答えていた。「本当に入りだと思う。シーズンと違って長い期間かけてやるものじゃないので、1打席1打席が本当に大事になってくる。初球だったり、1打席目、1つ目のフライを捕るだとか、そういう『1』というところが大事になってくると思うので、入りを本当に集中してやっていくのが大事だと思います」。言葉どおり、シリーズ第1戦の第1打席の第1球、甘めに来た球を見逃さなかった。思ったことを口に出すのがスタイルだ。CS前「今年こそ、MVP、取りたいですね。取りましょう」と宣言した。昨季のCSではMVP級の活躍をしながら、奥川に譲っていたからだ。すぐに「うそです。うそです」と笑って否定したが、1番打者としてMVPを取る活躍をすることがチームの勝利につながると分かっている。結果、今年のCSもMVPは2本塁打のオスナに譲ったが、自身も打率2割7分3厘で、3四球1盗塁と貢献。日本シリーズでも、変わらず打線を引っ張る。【古川真弥】

◆うつむきながらマウンドを降りた。オリックスのエース山本由伸投手(24)が、5回途中64球で緊急降板。トレーナーとともに三塁側ベンチに引き揚げると、中嶋監督が投手交代を告げた。神宮に暗雲が垂れこめた。球団発表は「左脇腹をつったような感覚を訴えたため、大事を取っての途中交代」。それでも試合途中にベンチに戻り、ナインを鼓舞する姿が見られた。神宮では初先発。4年前の18年に1度リリーフで立ったことがあるだけで、慣れないマウンドが気になった。初回にオスナに三塁線ギリギリを抜かれる適時打を打たれ、いきなり2失点。味方打線に同点に追い付いてもらっても調子は上がらない。3回には塩見にポストシーズン初被弾となる左翼への勝ち越しソロを浴び、4回にはオスナにも左翼スタンドに放り込まれた。今季初の1試合2被弾...。NPB史上初の2年連続「投手4冠」を獲得した圧倒的な投球は見せられなかった。制球、球威、キレ味。あらゆるボールを精密に操り、打者を翻弄(ほんろう)してきた。ヤクルト打線について「12球団の中でもトップレベルだと思う」と語ってきたが、この日は自身との闘いでもあった。左手のグラブが、いつもの位置になかった。思わしくなかった患部の状態をかばう投球フォームになり、強いボールを繰り出すことができなかった。ベンチに戻り、戦況を見守る山本には笑顔も見られた。まだシリーズは始まったばかり。回復さえすれば、リベンジのチャンスはある。今は無事を祈るしかない。【真柴健】

◆日本シリーズが22日に開幕し、ツイッター上でも複数がトレンド入りを果たしている。「ファール」や「山本由伸」など1回のプレーに関するものもあった。オリックス先発山本由伸投手(24)が1回2死一、二塁からオスナを迎えた場面。打球は三塁線を襲った。一瞬、三塁塁審がファウルのジェスチャーを出しかけたが、フェア判定となり走者2人の生還を許した。審判員の目の前の打球はリクエスト対象外のため、判定通りでフェアとなり、ヤクルトが2点を先制した。「これはフェア?ファール?」といった投稿や、「微妙」とフェアかファウルか判断が難しいという内容の投稿が多く書き込まれている。

◆ヤクルトのホセ・オスナ内野手(29)が日本シリーズ1号ソロを放った。1点リードで迎えた4回先頭。オリックス山本の高めへの初球145キロを捉えて、左中間へ運んだ。「打ったのはカットボールです。甘く入ってくる球をコンパクトに打つことを意識して打席に入りました。完璧に打つことができました」と胸を張った。オスナは初回にも2点を先取する二塁打を放っており、これで3打点目。MVPに輝いたCSファイナルステージに続いて流れを引き寄せた。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)の第3打席は、右飛だった。2点リードの6回1死走者なし。オリックス3番手本田に対し、フルカウントからの6球目、内角136キロスライダーを捉えた打球が高々と右翼へ上がった。大飛球に燕党から歓声が上がったが打球は失速し、右翼杉本のグラブに収まった。1回2死二塁の第1打席では、オリックス先発のエース山本に対し、ストレートの四球を選んでチャンスを拡大。次打者オスナの先制2点適時打へつなげた。塩見のソロで1点を勝ち越した3回2死の第2打席は同じく山本に対し、1ボールからの2球目、内角低め155キロ直球に詰まり、一塁ゴロだった。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)が、今季の日本シリーズ1号本塁打を放った。8回、オリックス5番手平野からの1発。昨年の日本シリーズでは2本塁打を放っており、これで日本シリーズでは通算3本塁打目だ。レギュラーシーズンでは、歴代2位、日本選手最多となる56本塁打で3冠王に輝いた。CSファイナルステージで放った1本と合わせ、ポストシーズンも加えた本塁打は「58本」となった。これは、85年バース(阪神)01年ローズ(近鉄)02年カブレラ(西武)を抜く歴代単独2位となる。1位は13年に公式戦で60本のバレンティン(ヤクルト)だ。

◆昨年日本一のヤクルトが、先勝した。序盤はチーム全体で「ヨシノブ攻略」に成功。同点の3回には塩見が勝ち越しの1号ソロを放った。4回にはオスナも1号ソロで続いた。1点差に迫られた8回1死から「村神様」村上がフルカウントからオリックス平野佳の136キロのフォークをとらえ、右翼席に運んだ。貴重な1発で2点差として、逃げ切った。オリックスは絶対的エースの山本が4失点。痛い星を落とした。

◆オリックス中嶋聡監督(53)が、勝利へ執念の采配を見せた。2点ビハインドの7回に、勝利の方程式の一角の阿部翔太(29)を4番手で投入した。阿部は2死から連打で一、三塁のピンチを迎えたが、3番山田を空振り三振に仕留めて切り抜けた。緊張の日本シリーズ初登板だったが、無失点で終えて指揮官の期待に応えた。

◆96年以来26年ぶりの日本一を目指すオリックスは、日本シリーズ初戦を落とした。オリックス先発の山本由伸投手(24)が初回に2点を先制される。ただ、2回に紅林弘太郎内野手(20)の日本シリーズ初打点となる右前適時打で1点差に詰め寄る。さらに、2死満塁から1番福田周平外野手(30)の押し出し四球で同点に追いついた。だが、山本が3回には塩見に、4回にはオスナにソロ本塁打を許す。5回途中には左脇腹をつったような感覚を訴えたため4失点で降板。2番手以降は粘りの投球で接戦にもちこんだ。打線は8回に2死二塁からT-岡田外野手(34)が中前にポトリと落とす適時打を放って1点差に。しかし8回裏に平野佳寿投手(38)が村上宗隆内野手(22)にソロ本塁打を浴び、9回は無得点に抑えられた。昨年は今年と同じヤクルト相手に2勝4敗と日本一をつかめなかった。リベンジを期す対戦は黒星発進となった。

◆ヤクルト小川泰弘投手(32)が5回6安打2失点で、自身3戦目の登板で日本シリーズ初勝利を挙げた。高津監督の「全力を尽くす」という訓示を聞き「持っているものを全て出そう」とマウンドへ上がった。だが、2点リードの2回、3連打に押し出し四球で一時同点。「慎重に入ったこともあったんですが、初戦で意識付けしたかった。もう少しストライク先攻ができれば違った。何とか試合をつくることができてホッとしました」と3回以降は踏ん張り、安堵(あんど)の表情だった。

◆昨年日本一のヤクルトが、先勝した。1点差に迫られた8回1死から、「村神様」村上宗隆内野手(22)がフルカウントからオリックス平野佳の136キロのフォークをとらえ、右翼席に運んだ。貴重な1発で2点差として、逃げ切った。序盤はチーム全体で「ヨシノブ攻略」に成功した。同点の3回には塩見泰隆外野手(29)が勝ち越しの1号ソロを放った。4回にはホセ・オスナ内野手(29)も1号ソロで続いた。パ・リーグ投手4冠のオリックス山本由伸投手(24)が1試合2被弾したのは今季初。ポストシーズン被弾も自身初となった。流れを引き寄せたのはCSファイナルステージのMVP男、オスナだった。まずは1回2死一、二塁でカーブを三塁線へ引っ張る2点二塁打。「山本投手は球界を代表する投手なので、なかなかチャンスが少ないが、初回から先制できてよかった」と初回からゲームを動かした。2回、先発の小川泰弘投手(32)が押し出しなどで2失点し、同点に追い付かれた。チームを救ったのが塩見の1発。3回先頭で左中間へ決勝アーチをかけ「追い込まれていましたが、力負けしないようにしっかりと強いスイングを心掛けました」と笑顔を見せた。4回先頭ではオスナも左中間席へ運んだ。「甘く入ってくる球をコンパクトに打つことを意識して打席に入りました。完璧に打つことができました」と話した。オリックス山本は左脇腹をつったような感覚を訴えて、5回途中4失点で緊急降板。セ・リーグ打撃3冠の村上は山本との対戦は1打数無安打だったが、初回に四球で出塁して2点目のホームを踏んだ。2年連続の日本一へ、好スタートを切った。

◆オリックス山本由伸投手(24)がポストシーズン通算5試合目で初黒星(2勝1敗)。ポストシーズンで初めて本塁打を許し、1試合2失点以上も初めてとなった。山本の1試合被本塁打2本は公式戦を通じて4度目の自己最多タイ。これまでは18年8月9日西武戦(山川、中村)、19年6月18日巨人戦(丸、岡本)、20年8月11日ソフトバンク戦(中村晃、柳田)で記録している。

◆オリックス紅林弘太郎内野手(20)が、今年も"シリーズ男"になる。2点を先制された直後の2回。1死満塁のチャンスで、打席が回る。カウント1-1から、ヤクルト小川のストレートに食らいついた。しぶとく右前へ運ぶタイムリー。1点差に詰め寄り、その後一時同点に追いついた。紅林は、昨年の同シリーズで22打数7安打の打率3割1分8厘と"シリーズ男"ぶりを発揮したが、打点はなく、これが日本シリーズ初打点となった。「なんとか早い段階で追いついていきたいと思っていましたし、チャンスの場面でまずは1本出てくれてよかったです」と話した。今季の紅林は130試合出場で打率2割2分4厘、6本塁打32打点。10代で10発を放った昨季のような存在感を示せなかった。ソフトバンクとのCSファイナルステージでも4試合で2安打と不発だったが、この日は4回にもセンターへはじき返し、昨年と同様、日本シリーズ初戦はマルチ安打の好スタートだ。失点にはつながらなかったが、6回に悪送球でピンチを広げてしまったミスは反省材料。8回の好機に凡退したことも、黒星発進ももちろん悔しい。20歳の若武者は、日本一を決める大舞台で、もっともっと暴れ回る。【高垣誠】

◆オリックスが絶対的エース山本由伸投手(24)で痛い星を落とした。山本は初回にいきなり2失点。打線が直後2回に紅林弘太郎内野手(20)の右前打と押し出し四球で追いついたが、右腕は踏ん張れない。3回、4回とソロ弾を浴びて再び先行された。5回途中で左脇腹がつったような症状を訴えて緊急降板した。第6戦の先発が有力視されていただけに、状態が心配される。打線は8回、代打のT-岡田外野手(34)の中前打で1点差に詰め寄ったが、その裏、5番手平野佳寿投手(38)が村上宗隆内野手(22)に手痛いソロを浴びた。9回に2人の走者を出して食い下がったが、得点できなかった。山本は史上初の2年連続投手4冠。シーズン終盤から圧倒的な成績を残し続けており、CSファイナルの初戦でもソフトバンクを8回無失点に抑えていた。短期決戦で1勝が計算できるオリックス最大の強みだった。

◆初戦の試合後、23日の第2戦の先発投手が発表された。オリックスは山崎福也投手(30)が先発する。今季5勝8敗の山崎福は9月20日に投げて以来、登板がない。CSファイナルでも出番がなく、1カ月以上空いての大舞台となった。「中嶋監督に感謝です。日本シリーズの舞台で投げられるので、しっかり楽しみながら投げたい。いつもより楽しみの方が大きい。今年の交流戦では打撃があった方がリズムがよかった気がします」。オリックスは今シリーズが19年6月以来の神宮。不慣れな選手が多い中、明大時代に何度も登板経験のある左腕が抜てきされた。またDH制がないため、打力にも期待がかかる。日大三3年春に甲子園最多記録に並ぶ1大会13安打を放った打力にも定評がある。

◆満員の神宮の夜空を切り裂いた。2-2の3回先頭、ヤクルト塩見泰隆外野手(29)はオリックス山本にカウント1-2と追い込まれたが「力負けしないように。強いスイングを」と自分に言い聞かせた。4球目。甘く来た153キロを逃さない。心掛け通りパワフルに振り抜き、バックスクリーン左横へ勝ち越しソロを放り込んだ。山本がポストシーズンで本塁打を打たれるのは初めてだった。心掛けを守ったのは、初回先頭からだった。山本の初球155キロを左前へ。CS前、短期決戦で意識することとして、こう話していた。「本当に入りだと思う。シーズンと違って長い期間かけてやるものじゃないので、1打席1打席が大事になる。初球、1打席目、1つ目のフライを捕るだとか、そういう『1』が大事になってくる」。言葉どおり、シリーズ第1戦、第1打席、第1球、甘い球を見逃さなかった。二盗も決め、先制ホームを踏んだ。大事な初戦でリードオフマンが躍動した。狙うはシリーズMVPか。昨年のポストシーズンの"リベンジ"をしたい。CSファイナルステージで打率4割、4打点。MVPに選ばれる気満々だったが、第1戦で完封勝利の奥川が選ばれた。アナウンスの瞬間、グラウンドで並んでいた塩見は思いっきりずっこけた。チームメートたちは大笑いで盛り上がった。そして、迎えた今季CSファイナルステージ。「今年こそ、MVP、取りたいですね。取りましょう」と宣言した。すぐに「ウソです。ウソです」と笑って否定したが、その気がなかったはずがない。打率2割7分3厘、3四球1盗塁と奮闘したが、結果は...2本塁打のオスナがMVPに選ばれた。ならば日本シリーズこそ、MVPを。7回には二塁打も放った。2年分の思いを込めて、戦っていく。【古川真弥】

◆ヤクルト山田哲人内野手が4打席4三振。日本シリーズで1試合4三振は、18年第3戦の丸(広島)以来7人目の最多タイ。ヤクルトでは92年第3戦ハウエルに次いで30年ぶり2人目。山田は4三振すべて空振り三振。1試合で4打席連続の空振り三振は、04年第6戦細川(西武)以来2人目。

◆「村神様弾」で先勝ヤ!! 「SMBC日本シリーズ2022」が開幕し、史上最年少3冠王のヤクルト村上宗隆内野手(22)が、1点リードの8回先頭、オリックス平野佳から右翼席にシリーズ1号ソロをたたき込んだ。相手エースでパ・リーグ投手4冠の山本との「ほこ×たて対決」は1打数無安打1四球だったが、第4打席で勝負強さを発揮。球団初の2年連続日本一へ、チームも主砲もこれ以上ない好発進を決めた。困ったときの「村神様」ヤ!! 1点差に追い上げられた8回先頭。オリックス平野に対しフルカウントからの7球目、外角低め136キロフォークを捉えた村上の打球が、燕党の声援にも乗って右中間席に弾んだ。打った瞬間、本塁打を確信。バットをポーンと放り投げ、悠然とダイヤモンドを周回。ナインとハイタッチを交わすと「1点返されたあとだったので、すぐに取り返したかった。追加点を取ることができて良かったです」と喜んだ。日本選手最多のシーズン56本塁打を放ち、史上最年少で3冠王に輝いたスラッガーと、2年連続でパ・リーグ「投手4冠」を獲得した本格右腕。究極の「ほこたて対決」で開幕した熱戦に自ら終止符を打った。シーズン同様に終盤で勝負強さを発揮。今季は第4打席で106打数35安打の打率3割3分。ヒット35本のうち、実に14本が本塁打だった。最高峰の戦いでも不変だった。山本に対しては第1打席でストレートの四球を選んでチャンスを拡大。次打者オスナの先制2点適時二塁打につなげていた。開幕前から「見ての通り、誰もが認める日本のエースだと思います。日本シリーズという最高の舞台で戦えることがすごく光栄です」と意識していた。昨年の日本シリーズでは7打数1安打4三振。過去の交流戦を合わせても通算9打数1安打の打率1割1分1厘、5三振、0本塁打と数字は良くない。だが「それは関係ない。本当に打ちたいと思ってるので」とデータは意識せずに対決に臨んだ。高津監督が「(走者を)かえすことはもちろん、つなぐこと、出塁すること、すべてにおいて得点に絡むことを非常に期待しています」と望んだ通り、きっちり得点に絡み、勝利に貢献した。「フォア・ザ・チーム」を第一に掲げる主砲。自身の1発はもちろん、チームの勝利が何よりの喜びとなった。【鈴木正章】村上が今シリーズ1号。昨年は<1>、<5>戦で本塁打を打っており、2年以上続けてシリーズ<1>戦で本塁打は57、58年豊田(西鉄)68、69年長嶋(巨人)76、77年王(巨人)90~92年デストラーデ(西武)10、11年和田(中日)に次いで6人目になる。その年の公式戦3冠王が本塁打は65年野村(南海)73年王(巨人)85年バース(阪神)に次いで4人目。いきなり<1>戦で本塁打したのは85年バースに次いで2人目だ。これで今季の村上は公式戦56本、CS1本、シリーズ1本の通算58本。ポストシーズンを含むシーズン58本は85年バースらの57本を抜き、公式戦で60本の13年バレンティン(ヤクルト)に次いで2位となった。昨年と同じカードとなったシリーズ<1>戦はヤクルトが5-3で勝利。昨年は1点差5試合、2点差1試合で、昨年から2点差以内の接戦が続いている。ヤクルトの<1>戦勝利は92、93、95、97、01年に次いで6度目。過去72度のシリーズで先勝チーム(△○を含む)は45度優勝し、V確率は63%。ヤクルトは<1>戦に勝利した過去5度のうち92年を除いた4度が日本一になっており、プロ野球史上初となる「最下位から2年連続日本一」へ向けて好発進した。▽ヤクルト高津監督(試合前に選手たちに) ここまで来たら、一番てっぺんに登ろうと話をしました。(山本攻略は)塩見のホームラン、オスナのホームラン、長打がよく効いたゲームだったと思います。○...救援陣が昨年の日本シリーズ初戦の悪夢を振り切った。エース小川が5回で降板すると、6回を木沢、7回を田口が無失点。清水が8回に1点を失ったが、9回はマクガフがピンチを背負いながら踏ん張った。昨年の第1戦ではマクガフが3失点でサヨナラ負けを喫したが、今年は勝利をもたらした。

◆昨年日本一のヤクルトが先勝し、シリーズ連覇へ好スタートを切った。高津臣吾監督(53)の場内インタビューは次の通り。-初戦突破ありがとうございます。-試合前選手たちにどんな言葉をかけたここまでこれたのはみんなが頑張ったおかげだと。ここまで来たら、一番てっぺんの山の高いところにみんなで登ろうじゃないかと。-オリックス山本から初回に2点塩見が初球から思い切ったスイングで出塁してくれて、ムネ(村上)の四球と、オスナが三塁線をやぶってくれたんですけども、そのツーベースと、塩見のホームラン、オスナのホームランという、長打がよく効いたゲームだったと思います。-先発小川少し制球乱れる時もありましたけど、あそこまでよく粘って2失点で乗り越えたんじゃないかなと思います。-最後は主砲村上に1発(見ていたのが)横からなんで何とも言えないですけども、そんなに簡単なボールじゃなかったと思います。2点差に広げたのは非常に大きい1発だったと思います。-第2戦へ意気込み初戦を取れていいスタートが切れたんですけども、また1戦1戦、勝つために全力を尽くすと。また明日、球場に足を運んでください。また勝てるゲームをやっていきたいと思います。

◆オリックス中嶋聡監督(53)は5回途中に緊急降板したエース山本由伸(24)の状態について「異常があったのですから、それ以上、詳しいことを言う必要あります? 僕も分かりません」と多くは語らなかった。エースが4回までに4失点しながら、救援陣が踏ん張り、打線も最後まで食い下がったが、追いつくことはできなかった。「ああだこうだ言っても仕方ない。引きずっても仕方ない。シーズン中にもあった最後の決めのところ。そこを何とか頑張っていかないといけないし、それを反省して明日に切り替えて。それしかないです」と語った。

◆ヤクルト小川泰弘投手(32)が5回6安打2失点で白星を手にした。日本シリーズ3度目の登板で、自身初勝利。試合後は笑顔よりも「何とか試合をつくることができてホッとしました」と安堵(あんど)の表情が先に出た。初回は3者凡退に抑えたが、2点先制をもらった直後の2回、先頭の吉田正に四球を与えた。1死から直球ばかり単打3連打を浴び、1失点。さらに2死から押し出しの四球で同点を許した。だが、3回以降は0を重ねた。5回には再び2死満塁を招いたが、踏ん張った。「(2回は)慎重に入ったこともあったんですが、初戦で意識付けしたかった。もう少しストライク先行ができれば違った。(5回は)粘りしかなかったですし、最後は気持ちで。それだけです」と率直に振り返った。練習前、高津監督が「全力を尽くす」と訓示。それを聞いたエースは「持っているもの全てを出そう」という思いで臨んだ。「苦しいところもあったんですけど、最後、出し尽くせたかなと思います」と指揮官の思いにも応えた。高津監督は「正直、あまり状態は良くなかったです。ストライク、ボールがはっきりしていた。ただ、ランナーを出して、次のバッターをどう抑えるか。よく粘れたのかなと。昨日、勝ち投手になって欲しいと言いましたけど、実際になったので、ナイスピッチングだったと言いたいですね」とねぎらった。結果が全てでもある短期決戦。小川は結果で示した。

◆ヤクルト高津臣吾監督(53)が初めて神宮で日本シリーズのタクトを振った。昨年は時期が遅れて東京ドーム開催だった。練習前には、右翼付近に選手を集めて青空ミーティング。「ここまでこれたのはみんなが頑張ったおかげ。ここまで来たら一番てっぺんの、山の高いところにみんなで登ろうじゃないか」と声掛けもした。全6試合が2点差以内だった昨季に続き、この日も2点差逃げ切りで接戦を制した。しびれる展開を堪能したファンへ「また明日、球場に足を運んでください。また勝てるゲームをやっていきたいと思います」と、さらなる熱戦を約束した。

◆ヤクルトのホセ・オスナ内野手(29)がCSファイナルステージに続いて流れを引き寄せた。難敵オリックス山本を初回から攻略した。2死一、二塁で3球目のカーブを引っ張ると、打球は三塁ベース付近で跳ねて左翼ファウルゾーンに転がった。「山本投手は日本一の投手。チャンスが少ないので、初回から先制できてよかったです」。二走塩見と一走村上が、一気に生還した。鮮やかな1発も健在だ。1点リードで迎えた4回先頭では、初球の高め145キロを捉えて左中間へ。塩見に続くアーチで差を広げた。打った瞬間の確信弾で「カットボールだと思うんですけど、甘く入ってきた球にしっかり自分のスイングができた」と胸を張った。オスナは阪神とのCSファイナルステージでも、第1戦で初回に先制3ラン、第2戦で5回に中押し2ランを放ってMVPに輝いている。「ここ数カ月、自分の状態がいいと自覚している。とにかく甘い球を待って、狙いを絞って、そこまで追い掛けない意識でやっています」。舞台を日本シリーズに移しても3安打3打点と発奮。ツバメ打線は4番"村神様"だけじゃない。5番に絶好調のオスナが控えている。【鎌田良美】

◆ダイヤモンドを回りながら、ヤクルト塩見泰隆外野手(29)は内心にんまりしていた。「もう、ほぼほぼ僕がヒーローだな」。2-2の3回先頭、オリックス山本からバックスクリーン左横へ決勝ソロを放った。カウント1-2と追い込まれていたが「力負けしないように」という心掛け通り、パワフルなスイングだった。両チーム通じてシリーズ1号は、山本にとってポストシーズン初被弾。やはり、リードオフマンが難敵攻略のカギだった。心掛けを守ったのは初回先頭からだ。初球155キロを左前へ運び、二盗も決め、先制ホームを踏んだ。CS前、短期決戦の心掛けを「本当に入りだと思う。シーズンと違って長い期間じゃないので、1打席1打席が大事になる。初球、1打席目、1つ目のフライを捕る。そういう『1』が大事になってくる」と話した。言葉どおり、シリーズ第1戦、第1打席、第1球の甘い球を見逃さなかった。パの4冠投手を、どう崩すか。高津監督は「仕掛けていかないと。簡単に四球を出すピッチャーでもない。積極性だけは失わず、打ちやすい球を打つ」とシンプルに説いた。だから、塩見の第1打席を「チームが勢いをもらった」とたたえた。決勝ソロはもちろん価値があるが、チーム最初の一振りが、山本の5回途中降板につながった。オスナに続き、お立ち台に上がった塩見は「明日はオスナより、もっと輝いて、僕が確実に1位になれるように頑張っていきます」と宣言した。昨年のCSファイナルステージでは打率4割、4打点ながら、MVPは奥川だった。選ばれる気満々だった塩見は、アナウンスの瞬間、グラウンドで大きくずっこけ、チームメートたちも大笑い。今年のCSのMVPはオスナだった。日本シリーズこそ。2年分の思いも込めて、あと3勝し、1位(MVP)になる。【古川真弥】塩見とフェラーリ(跳ね馬)のポーズ 昨季から得点時にハイタッチの代わりに行っているもので、両拳を掲げ、立ち上がる馬のようなポーズをする。シーズン序盤に塩見が始めて浸透。首脳陣も含め全員でやるのがお決まりだ。塩見は「僕はフェラーリだと思っているんですけど(川端)慎吾さんはナポレオンだと。馬ポーズでもありますし...」と話しており、名称は未確定だ。また本拠地神宮での第1打席時の登場曲は「関東G1ファンファーレ」を使用し、スタンドもノリノリになる。

◆「村神様弾」で先勝ヤ!! 「SMBC日本シリーズ2022」が開幕し、史上最年少3冠王のヤクルト村上宗隆内野手(22)が、1点リードの8回先頭、オリックス平野佳から右翼席にシリーズ1号ソロをたたき込んだ。相手エースでパ・リーグ投手4冠の山本との「ほこ×たて対決」は1打数無安打1四球だったが、第4打席で勝負強さを発揮。球団初の2年連続日本一へ、チームも主砲もこれ以上ない好発進を決めた。第4打席の「村神様」ヤ!! 1点差に追い上げられた8回先頭。第4打席の登場曲、あいみょんの「愛を知るまでは」が響く中、村上がゆったりと左打席に立った。オリックス平野佳に対しフルカウントからの7球目、外角低め136キロフォークを捉えた打球は、燕党の声援にも乗って右中間へ。打った瞬間に本塁打を確信。バットをポーンと放り投げ、ベンチを指さして悠然とダイヤモンドを周回すると「1点返されたあとだったので、すぐに取り返したかった。追加点を取ることができて良かったです」と喜んだ。シーズン同様に終盤で勝負強さを発揮した。今季は第4打席で106打数35安打の打率3割3分、14本塁打。ヒットの40%が本塁打という脅威の本塁打率を誇る。3日のシーズン最終戦で放った日本選手最多となる56号も神宮での第4打席。最高峰の戦いでも記憶に残るアーチをかけた。高津監督も「そんなに簡単なボールじゃなかったと思います。2点差に広げたのは、非常に大きい1発だった」と評価した。史上最年少で3冠王に輝いたスラッガーと、2年連続でパ・リーグ「投手4冠」を獲得した本格右腕。究極の「ほこたて対決」で開幕した熱戦だった。オリックス山本に対しては第1打席でストレートの四球を選んでチャンスを拡大。次打者オスナの先制2点適時二塁打につなげた。久々に神宮のマウンドに臨む相手エースに無言のプレッシャーをかけ、微妙に制球を乱した。開幕前から「見ての通り、誰もが認める日本のエースだと思います。日本シリーズという最高の舞台で戦えることがすごく光栄です」と意識。昨年の日本シリーズでは7打数1安打4三振。過去の交流戦を合わせても通算9打数1安打の打率1割1分1厘、5三振、0本塁打と数字は良くない。だが「それは関係ない。本当に打ちたいと思ってるので」とデータは意識せずに対決に臨んだ。接戦をものにしてホームで先勝。「フォア・ザ・チーム」を第一に掲げる主砲にとって、自身の1発はもちろん、白星が何よりの喜びとなった。【鈴木正章】村上が今シリーズ1号。昨年は<1>、<5>戦で本塁打を打っており、2年以上続けてシリーズ<1>戦で本塁打は57、58年豊田(西鉄)68、69年長嶋(巨人)76、77年王(巨人)90~92年デストラーデ(西武)10、11年和田(中日)に次いで6人目になる。その年の公式戦3冠王が本塁打は65年野村(南海)73年王(巨人)85年バース(阪神)に次いで4人目。いきなり<1>戦で本塁打したのは85年バースに次いで2人目だ。これで今季の村上は公式戦56本、CS1本、シリーズ1本の通算58本。ポストシーズンを含むシーズン58本は85年バースらの57本を抜き、公式戦で60本の13年バレンティン(ヤクルト)に次いで2位となった。

◆記者生活30年超の高原寿夫・編集委員が、日本シリーズに鋭く迫ります。10月22日はイチローの誕生日だった。73年生まれなので49歳。49歳か。あのイチローが。なんだか不思議な感じもする。そのイチローを擁したオリックス・ブルーウェーブが巨人を倒して日本一に輝いたのが96年。イチローはシリーズ中に23歳になっている。だから同年19日に行われた第1戦の延長10回、決勝弾を放ったときは22歳だった。それを思えばヤクルト村上宗隆が22歳で3冠王に輝き、24歳のオリックス山本由伸が2年連続で「投手4冠」を獲得し、日本一の投手に成長している現状もあり得るのかな、という気はしてくる。そんな2人が所属するチーム同士の日本一決定戦。面白くないはずがない。そんな思いで見ていたが、山本にまさかのアクシデントが発生した。今季2本塁打された試合はないという投手が4回までに2被弾。そして降板となった。「左脇腹がつったような感じ」。広報はそう発表したようだ。山本は昨年の日本シリーズ、同じヤクルトとの決戦で第1戦、6戦と2試合に先発したがいずれも勝ち星がない。今年は敗戦投手になった。対照的だったのは村上だ。1点差に迫られた8回。逆転を狙うオリックス指揮官・中嶋聡が投入した平野佳寿から放った豪快なシリーズ1号。これはとてつもなく大きかった。そして26年前、96年のシリーズである。延長10回に巨人の左腕・河野博文から東京ドーム右中間に決勝ソロを放ったイチローが「いいところで打てますね?」と聞かれたとき、こんな話をして笑ったものだ。「ボクの知らない誰かがそういう才能を与えてくれているんでしょうね。でも、もう、そんなには続きませんよ」主役になるべき選手、そう期待される選手が本当に主役になる。それにはイチローが言うように実力だけでなく何か見えないものの力が必要なのか。「運」と言ってしまえばそれまでだが、もっと大きな流れというか、そんなものかもしれない。もちろん若者には未来がある。普通に考えて山本に大きな問題がなく、シリーズが6戦目までいけば、再び2人が脚光を浴びる対戦になるはずだ。2年連続の顔合わせは期待通りの熱戦。1戦目を落としたオリックスだが、まだこれから。プロ野球で今、唯一の真剣勝負。野球ファンを熱くさせてほしい。(敬称略)

◆オリックス山本由伸投手(24)がいきなりアクシデントに見舞われた。日本シリーズ第1戦に先発。しかし序盤からヤクルト打線につかまり、5回先頭の代打キブレハンに3球目を投じた直後「左脇腹がつったような感覚」を訴えて緊急降板した。5回途中4失点で、3試合目のシリーズ先発も初白星はつかめなかった。2年連続で勝利数、防御率、勝率、奪三振のパ・リーグ投手4冠に輝いた絶対的エースにとって、ほろ苦いシリーズ開幕となった。難攻不落のエースに、アクシデントが発生した。5回先頭のキブレハンへの3球目を投げ終えると、山本が三塁側ベンチに「サイン」を送った。トレーナーが駆け付け、うつむきながら、マウンドを降りた。そのまま中嶋監督が投手交代を告げる。5回途中64球で緊急降板。敵地神宮に暗雲が垂れこめた。球団発表は「左脇腹をつったような感覚を訴えたため、大事を取っての途中交代」。試合途中にベンチに戻り、ナインを鼓舞する姿が見られた。「こういった大事な試合でこんなことになってしまうのは最悪だなと思います。(違和感に)ちょっと早めに気づけたのだけ良かった」幸いにも重傷には至ってないようで「大丈夫です。様子を見ながら相談しながら」と次戦を見据えた。神宮では初先発。4年前の18年に1度リリーフで立ったことがあるだけで、慣れないマウンドが気になった。初回にオスナに三塁線ギリギリを抜かれる適時打を打たれ、いきなり2失点。「思ったところに、投げられなかった。反省はすごく多いです」、3回には塩見にポストシーズン初被弾となる勝ち越しソロを浴び、4回にはオスナにも左翼席に放り込まれた。今季初の1試合2被弾...。NPB史上初の2年連続「投手4冠」を獲得した圧倒的な投球は見せられなかった。ヤクルト打線について「12球団の中でもトップレベル」と語ってきたが、この日は自身との闘いでもあった。左手グラブが、いつもの位置になかった。思わしくなかった患部の状態をかばう投球フォームになり、強いボールを繰り出すことができなかった。中嶋監督は「異常があったのですから、それ以上、詳しいことを言う必要あります? 僕も分かりません」と多くは語らなかった。まだシリーズは始まったばかり。回復さえすれば、リベンジのチャンスはある。シーズンで大奮闘してきたエースの復調を、祈るしかない。【真柴健】オリックス山本がポストシーズン通算5試合目で初黒星(2勝1敗)。ポストシーズンで初めて本塁打を許し、1試合2失点以上も初めてとなった。山本の1試合被本塁打2本は公式戦を通じて4度目の自己最多タイ。これまでは18年8月9日西武戦(山川、中村)、19年6月18日巨人戦(丸、岡本)、20年8月11日ソフトバンク戦(中村晃、柳田)で記録している。中嶋監督が勝利へ執念の采配を見せた。2点ビハインドの7回に、勝利の方程式の一角の阿部を4番手で投入した。阿部は2死から連打で一、三塁のピンチを迎えたが、山田を空振り三振に仕留めて切り抜けた。緊張の日本シリーズ初登板だったが、無失点で終えて指揮官の期待に応えた。第2戦は"二刀流"の山崎福が先発する。9月20日以来の登板。明大で神宮経験豊富な左腕は「日本シリーズで投げられるので楽しみながら投げたい。今年の交流戦では打撃があった方がリズムがよかった気がします」。交流戦は東京ドームと横浜スタジアムで連勝。安打もマークした。日大三3年春には甲子園最多記録に並ぶ1大会13安打を放った打力にも期待がかかる。

◆オリックス・山本由伸投手(24)が先発する。今季は15勝、防御率1・68、勝率・750、205奪三振で史上初の2年連続4冠を達成。ヤクルトと激突した昨年の日本シリーズでは2試合に先発して勝敗はつかなかったが、第1戦で6回5安打1失点、第6戦で9回を6安打1失点とゲームメークした。神宮のマウンドではプロ入り後初先発。日本一を逃した1年前の雪辱を誓う戦いの先陣を切る。

◆ヤクルトが日本シリーズ初戦のスタメンを発表した。前日21日に「やってやるぞという気持ち。チャレンジャーとして戦っていければ」と意気込みを語っていた村上宗隆内野手(22)は「4番・三塁」で出場。

◆日本選手最多の56本塁打を放ち、史上最年少で三冠王(打率・318、134打点)を達成したヤクルト・村上宗隆内野手(22)と15勝、防御率1・68、勝率・750、205奪三振で史上初の2年連続4冠を達成したオリックス・山本由伸投手(24)が対戦。一回の第1打席は2死二塁の場面で村上がストレートの四球を選んだ。<村上VS山本の第1打席全球ハイライト>■1球目 154キロ、ストレート、1-0■2球目 129キロ、カーブ、2-0■3球目 130キロ、カーブ、3-0■4球目 149キロ、フォーク、四球

◆オリックス・山本由伸投手(24)が第1戦に先発。一回に〝不運な形〟で、先取点を奪われた。2死一、二塁のピンチで迎えたオスナに投じた3球目だった。124キロのカーブを引っ張った打球は三塁線へ。土山三塁塁審は一瞬、両手を上げてファウルのジャッジを下したかと思われたが、直後にフェアの判定。一気に2者が生還した。中嶋監督が土山三塁塁審のもとへ確認に向かったが、塁審より前方の打球はリクエスト制度適用の対象外。オリックスとしては悔しい形で先取点を奪われてしまった。

◆ヤクルトのホセ・オスナ内野手(29)が「5番・一塁」で出場し、先制の2点二塁打を放った。一回2死二塁から村上が四球を選んで好機が拡大。〝令和初の三冠王〟の後ろを打つオスナがカウント1-1から相手先発・山本の甘く入った124キロのカーブをたたいた。打球は三塁線を破り二走・塩見に続き、一走・村上も生還した。2年連続投手4冠(今季15勝、防御率1・68、勝率・750、205奪三振)に輝いた相手エースから幸先良く2点を奪った。

◆ソプラノ歌手の田中彩子(38)が日本シリーズ第1戦前、君が代を独唱した。スワローズカラーを意識した緑のドレスで登場。「このようなたくさんの人がいて、日本シリーズ開幕という素晴らしい場で歌わせていただいて、大変光栄です。皆様が素晴らしい最高のプレーになるような良い試合になればと思って歌いました」と思いを込めた。始球式は、年末に行われる「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2022」に向けて結成された東京ヤクルトスワローズジュニアの片岡義人くんが務め、見事ノーバン投球を披露した。

◆ヤクルト先発の小川泰弘投手(32)は2-0の二回、3連打を浴びるなど2失点。試合を振り出しに戻された。一回に先制点を含む2点の援護をもらった直後の二回。1死一塁から西野に右前打、若月に左前打でつながれ、満塁で8番・紅林には適時打を浴びた。カウント1-1から外角145キロの直球を右前へはじき返され、2-1。続く山本からは空振り三振を奪ったが、1番・福田には押し出し四球を与え、同点に追いつかれた。

◆日本選手最多の56本塁打を放ち、史上最年少で三冠王(打率・318、134打点)を達成したヤクルト・村上宗隆内野手(22)と15勝、防御率1・68、勝率・750、205奪三振で史上初の2年連続4冠を達成したオリックス・山本由伸投手(24)が対戦。一回の第1打席は2死二塁の場面で村上がストレートの四球を選び、2死走者なしで迎えた第2打席は山本が155キロの直球で詰まらせ一ゴロに打ち取った。<村上VS山本の第2打席全球ハイライト>■1球目 150キロ、カットボール、1-0■2球目 155キロ、ストレート、一ゴロ

◆ヤクルトのホセ・オスナ内野手(29)が一回2死一、二塁でオリックス・山本から先制の2点二塁打を放った。「山本投手は球界を代表する投手なので、なかなかチャンスが少ないが、初回から先制できてよかったです」。2年連続投手4冠(今季15勝、防御率1・68、勝率・750、205奪三振)に輝いた相手エースから幸先良く2点を奪った。

◆「1番・中堅」で出場のヤクルト・塩見泰隆外野手(29)が2-2の三回、勝ち越しのソロを放った。「追い込まれていましたが力負けしないようにしっかりと強いスイングを心掛けました」先頭打者で迎えた第2打席、カウント1―2から相手先発・山本の153㌔を一閃。真ん中に甘く入った直球を逃さず、左中間席へ運び「勝ち越すことができてよかったです」と振り返った。第1打席でも山本の初球155キロの直球を捉え、強烈な打球の左前打をマーク。燕のリードオフマンが2打席連続で快音を響かせ、打線を牽引(けんいん)した。

◆燕党は早くも塩見のずっこけを期待!? ヤクルト・塩見泰隆外野手(29)が同点の三回、左中間へ勝ち越しソロを放った。「打ったのはストレートです。追い込まれていましたが力負けしないようにしっかりと強いスイングを心掛けました。勝ち越すことができて良かったです」と左前打を放った第1打席に続いて、球界最高右腕の山本から2安打。四回にはクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでMVPを獲得したホセ・オスナ内野手(29)が左中間に日本シリーズ1号ソロ。「甘く入ってくる球をコンパクトに打つことを意識して打席に入りました。完璧に打つことができました」とカットボールをとらえた。オスナは一回には先制の2点二塁打を放っており、この日3打点目。塩見は昨年のCSファイナルステージでは、打率4割と活躍しながらもMVPを獲得できずに、表彰式でのずっこけ芸が話題となっていたこともあり、燕党はSNSで「オスナが塩見のMVP止めに来てる」「オスナの塩見MVP拒否打法」と熾烈なMVP争いに期待を寄せている。

◆再びこの舞台に帰ってきた。日本球界の頂点を争う決戦。2年連続で激突したヤクルトに昨年の雪辱を果たす。オリックスナインは強い気持ちを持って、神宮球場のグラウンドへ。20歳の紅林が反撃の一打を放った。「なんとか早い段階で追い付いていきたいと思っていましたし、チャンスの場面でまずは一本出てくれてよかったです!」2点を先制された直後の二回。1死一塁から西野、若月の連打で満塁。絶好のチャンスで打席が回ってくると、相手先発・小川が投じた145キロ直球を右前へ弾き返した。1点を返し、その後、2死満塁から福田が押し出しの四球。野手陣が奮起し、すぐさま同点とした。紅林は高卒2年目で出場した昨年の日本シリーズでも打率・318と躍動。「去年はノッていました。ノリノリでした」と振り返り、自身の役割を「つないで上位に回すのが僕の仕事なんで」と分析。その言葉通り、適時打で上位打線につないでみせた。昨年のヤクルトとの頂上決戦では2勝4敗。あと少しのところで、日本一を逃した。今年も同じヤクルトが相手。だが、中嶋監督は「リベンジという言葉ではまったくない」と力を込め、「チェレンジするしかない。やり返したい気持ちももちろんあるんですけど、みんなが元気に本当に楽しくぶつかっていってくれたら、いい結果になるんじゃないかと思いますし。非常に期待しています」と続けた。この日の試合前の円陣で指揮官は「さあ、来たで。やり返すときが。今年は1番になるど。楽しくな。突っ込んでいけよ!! さあ、いこう!!」と鼓舞。ナインを信頼して送り出した。

◆ヤクルトのホセ・オスナ内野手(29)は「5番・一塁」で出場。3-2の四回、リードを2点に広げる1号ソロを放った。「甘く入ってくる球をコンパクトに打つことを意識して打席に入りました」。先頭打者で迎えた第2打席。初球145キロのカットボールを左中間席へ運び「完璧に打つことができました」と胸を張った。第1打席では先制の2点二塁打をマーク。村上の後ろを打つ助っ人が存在感を示した。

◆オリックス・山本由伸投手(24)が4回0/3を投げて4安打4失点。五回途中で緊急降板した。一回にオスナに三塁線を破られて先制の2点を献上。直後の二回に同点に追いついてもらったが、三回は塩見にバックスクリーン左への勝ち越しソロを許し、続く四回にもオスナに左中間ソロを浴びた。山本の1試合2被弾は2020年8月11日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)以来2年ぶりだった。アクシデントが起こったのは五回だ。先頭の代打・キブレハンへの3球目、この日の64球目を投じたところで足を気にするような仕草をみせ、ベンチにハンドサイン。高山投手コーチがマウンドに駆けつけて治療のためにベンチへ戻ったが、中嶋監督は投手交代を告げた。

◆節目の日に日本シリーズ開幕を迎えた。10月22日は、明治神宮外苑ならびに神宮球場の創建記念日。1926年の竣工から96年がたち、神宮では数々のドラマが生まれてきた。スワローズ(当時は国鉄)は64年から本拠地として使用しており、高津監督にとっては現役時代に最も輝いてきた場所。21日には「10月終わりの神宮球場の雰囲気には思い出がある。少し肌寒さも感じながら野球をできる幸せ、久しぶりの神宮での日本シリーズというのは僕個人としても楽しみたい」と感慨に浸っていた。神宮球場の公式ツイッターは「今後も皆さまにとって足を運びたくなる球場であり続けられるよう努めて参ります」(原文ママ)とツイート。これからも東京の中心で、歴史的な名勝負の誕生を見守る。(裕)

◆オリックス・山本由伸投手(24)が先発し、五回途中に緊急降板。球団は左脇腹をつったような感覚を訴えたため、大事をとって途中交代したことを発表した。山本は四回までに2被弾を含めて4安打4失点。五回もマウンドに上がったが、先頭の代打・キブレハンへの3球目、この日の64球目を投じたところでベンチに合図を送り、治療のためにベンチに戻ったのち、交代を告げられていた。

◆先発したヤクルト・小川泰弘投手(32)は5回6安打2失点。自身3度目となる日本シリーズでの登板で力投した。「野手が援護してくれてなんとか粘って投げることができました」2-0の二回、8番・紅林に右前適時打を浴び、2-1。「少し慎重になり過ぎて球数が多くなってしまった」と1番・福田には押し出し四球を与え、一度は追いつかれたが、以降は要所を締めた。前日21日に「自分の力を本当に出し切ってチームの勝利に貢献したい」と意気込んで迎えた初戦。五回は2死満塁とされたが最後は6番・西野を直球で遊飛に打ち取り、ピンチを脱出した。逆転を許すことなく98球で2番手・木沢にバトンタッチ。勝利投手の権利を持ち、マウンドを降りた。

◆ヤクルト・村上宗隆内野手(22)が八回、右中間スタンドに日本シリーズ1号ソロを放った。オリックス・5番手の平野佳がフルカウントから投じたフォークを振りぬき、「1点返されたあとだったのですぐに取り返したかった。追加点を取ることができて良かったです」と貫禄の確信歩きを披露した。レギュラーシーズンで日本選手最多の56本塁打を放ち、史上最年少で三冠王(打率・318、134打点)を達成した〝村神様〟の待望の一発にSNSでは「絶妙なタイミングで一発打つよな」「村神の一撃は単なる1点ではない」「さすが三冠王」といった賛辞が並んだ。

◆オリックスは投打がかみ合わず、初戦を落とした。先発・山本は一回にオスナの三塁線を破る2点二塁打で先制を献上。二回にすぐさま追いついてもらったが、三回に塩見、四回にオスナにソロ本塁打を浴び、五回には投球中に左脇腹をつったような感覚を訴え、緊急降板した。4回0/3を投げて4安打4失点だった。2点を追う五回に2死満塁のチャンスを作るも、西野が遊飛に倒れて無得点に終わり、六、七回も走者を出しながら得点できず。八回2死二塁で代打のT―岡田が「とにかく何とかしたいと。その気持ちだけで打ちました」と中前適時打を放って1点差としたが、直後に5番手・平野佳が村上に右中間ソロを浴び、再び2点差。九回は1死から安打と四球で一、二塁とし、一発出れば逆転のチャンスを作ったが、杉本は空振り三振、代打・頓宮も見逃し三振に倒れ、及ばなかった。エース・山本が先発した初戦だただけに、痛い黒星となった。

◆主砲が一発で勝利を引き寄せた。「4番・一塁」で出場のヤクルト・村上宗隆内野手(22)が4-3の八回、シリーズ1号ソロを放った。「1点返されたあとだったのですぐに取り返したかった」フルカウントから相手守護神・平野の136キロのフォークを完璧に捉え、右中間席へ運んだ。四球、一ゴロ、右飛と無安打で迎えた第4打席。前日21日に「やってやるぞという気持ち」と言葉に力を込めていた背番号55は、有言実行の一打を放ち「追加点を取ることができてよかった」と声を弾ませた。

◆過去72度の日本シリーズでは、先勝したチームが約63%にあたる45度日本一に輝いている。ヤクルトが先勝したのは6度目で、過去5度のうち4度日本一となっている。オリックスが第1戦を落としたのは阪急時代も含め7度目で、過去6度はいずれも日本一を逃している。

◆SMBC日本シリーズ2022は22日、神宮球場で第1戦が行われ、球団初の2年連続となる7度目の日本一を狙うヤクルト(セ・リーグ優勝)が阪急時代を含めて26年ぶり5度目の頂点を目指すオリックス(パ・リーグ優勝)に5―3で競り勝って先勝した。ヤクルトは2―2の三回に塩見のソロで勝ち越し、四回にオスナのソロで1点を加えた。1点差に迫られた八回には村上のソロで突き放した。先発したヤクルトの小川は5回2失点で日本シリーズ初勝利。オリックスの山本は五回途中4失点で左脇腹を痛めて降板した。第2戦の先発はサイスニード(ヤクルト)と山崎福(オリックス)と発表された。全試合がナイターで行われ、どちらかが4勝した時点で終了する。第3戦から京セラドーム大阪に舞台を移し、第6、7戦は神宮球場に戻る。

◆オリックスはヤクルトと同じ10安打を放ちながら、12残塁の拙攻で大事な初戦を落とした。中嶋監督は「ああだこうだ言ってもしょうがない。切り替えることしかできない」と自らに言い聞かせるように話した。再三の好機であと一本が出なかった。八回に代打T―岡田の適時打で1点を返したが、畳みかけられなかった。九回は抑えのマクガフを攻めて1死一、二塁。ここでも杉本、代打頓宮が連続三振となった。監督は「最後の決めるところができなかった」と渋い表情だった。

◆ヤクルトのホセ・オスナ内野手(29)は山本から3打点を挙げ、白星発進に貢献した。一回に先制の2点二塁打を放つと、3―2の四回先頭で左中間へ本塁打。初球の浮いたカットボールを捉え「甘い球をコンパクトに打つことを意識していた。完璧」と胸を張った。一回は塩見の左前打、村上の四球で2死一、二塁と好機をつくり、打席に入った。カーブを左翼線に持っていき「球界を代表する投手でなかなか好機は少ないが、一回から得点できて良かった」。主導権を握る一打に、声を弾ませた。米大リーグ、パイレーツから加入して2年目。不振だった今季序盤には杉村打撃コーチに弟子入りし、青木らに積極的に助言を求めた。研究熱心な姿勢が実って復調し、本塁打は昨季の13本から20本に増やした。阪神とのCSファイナルステージでは2本塁打をマークしてMVPを獲得。勝負を避けられることの多い主砲・村上の直後で、存在感を示した。

◆〝シリーズ男〟になる! ヤクルト・塩見泰隆外野手(29)が、2―2の三回に左中間に日本シリーズ1号となる勝ち越し弾を放った。試合前の声出しをクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージから4試合連続で務めるなどチームを盛り上げる元気印。3安打猛打賞でリードオフマンとしての仕事を見事に完遂し、今季のパ・リーグで先発投手のタイトルを独占する4冠に輝いたオリックス・山本由伸投手(24)を打ち破った。秋が深まり肌寒さに包まれた神宮球場を、その一振りで熱くした。塩見が2―2の三回、先頭打者で勝ち越しの日本シリーズ初本塁打をマーク。両手首を馬の首のように曲げる恒例の〝フェラーリポーズ〟を披露し、ベンチを盛り上げた。「追い込まれていましたが、力負けしないようにしっかりと強いスイングを心掛けたら、ホームランになってしまった」相手は日本球界を代表する好投手、山本。カウント1―2から153キロの内角直球を完璧に捉え、冗談交じりに会心の一撃を振り返った。一回には1番打者として初球をたたいて左前に運び、盗塁を決めた。オスナの二塁打で先制のホームも踏み、「初球や1打席目。『1』というところがすごく大事」と短期決戦の重要性を説いていた通りの活躍でチームを勢いづけた。昨季から「1番」に定着。初出場した昨季の日本シリーズでは6試合で打率・250(24打数6安打)、1打点と満足できる成績を残せなかった。今季は初戦から存在感を発揮。七回には二塁打を放ち、3安打で勝利への道筋をつくった。欠かせないムードメーカーだ。CSに続き試合前の声出しを担当。初戦の緊張感を和らげようと「試合というのは試し合い。今までやってきたことを試す場だから、緊張することはない。駄目ならまた練習すればいい」とナインを鼓舞した。元気印は言葉とプレーでチームを引っ張る。塩見はチームを「家族のような存在」と表現する。〝一家の大黒柱〟高津監督には無安打に終わった翌日に「今日は打てるよ」などと言葉を掛けてもらっており「気遣って和らげてくれている」と感謝しきり。〝孝行息子〟に指揮官は「初球から思い切り良く仕掛けてくれた。チームに勢い、元気を与える1スイングだった」と目を細めた。燕の1番打者は昨季、CSで打率・400と好成績を残しながらMVPを奥川にさらわれ、グラウンド上で思わずズッコケた。「明日もチーム一丸で頑張って、確実に(個人でも)1位になります」。球団初の2年連続日本一へ、ニヤリと笑った。(森祥太郎)

◆プロ野球の日本一を決める「SMBC日本シリーズ2022」は22日、神宮球場で開幕し、2年連続7度目の日本一を狙うヤクルトが、26年ぶり5度目の頂点を目指すオリックスに5―3で先勝した。令和初の三冠王、村上宗隆内野手(22)が1点差に迫られた八回に2年連続シリーズ開幕弾となる1号ソロを放った。打線は投手4冠のオリックス・山本由伸投手(24)を攻略し、球団初となる2年連続日本一に向けて好発進した。神宮が沸いた。2万9402人の観衆が総立ちになった。1点差に迫られた八回先頭。舞い上がった白球は満員の右翼席に飛び込む。村上は両手に残る感触を確かめながら、自信に満ちた表情でバットを投げて〝確信歩き〟を見せた。「1点返された後だったので、すぐに取り返したかった」勝利をたぐり寄せるトドメの一発だ。マウンドには今季48試合に登板し、日米通算221セーブの平野佳。2球で簡単に追い込まれたが、フルカウントからの7球目、低めのフォークボールを完璧にすくい上げた。2年連続の日本シリーズ開幕弾。2年連続で4番が第1戦に本塁打するのは巨人・長嶋茂雄、同・王貞治に次いで3人目の快挙。昨年は2本塁打した試合はいずれも敗戦したが今年は勝利につながり、高津監督は「そんなに簡単なボールじゃなかったと思う。一振りでまた2点差に広げたわけですから、非常に大きかった」と目を細めた。シリーズ史上初となった「三冠王」と「投手4冠」の対決では走塁で魅せた。オリックス先発は、村上自身が「誰もが認める日本のエース」と評した山本。第1打席は一回2死二塁。球場全体が固唾をのんで見守る中、四球を選んで好機を広げ、オスナの三塁線を破る2点打に一塁から激走して生還した。三回2死の第2打席は内角の直球に一ゴロに倒れ、1打数無安打。それでも、最高峰の舞台で最高の勝負を見せ、試合終盤に貴重な一発を放ち、ファンを魅了した。特別な場所で、特別な日に勝利した。2015年以来7年ぶりの神宮での日本シリーズ。昨年は東京五輪の影響でシリーズが11月にずれ込み、東京ドームをホームとして戦った。10月22日は1926年に竣工(しゅんこう)された同球場の創建記念日。シーズン終盤には「神宮で優勝したい」と漏らしたほど思い入れがある。プロ1号も、プロ野球新記録の5打席連発も、日本選手最多となるシーズン56号も全て神宮で打ってきた村上が本拠地でシリーズの〝快幕〟を告げた。試合前、高津監督は恒例の青空ミーティングでナインに「ここまで来ることができたのはみんなが頑張ったおかげ。ここまで来たら一番てっぺん、山の高いところに登ろうじゃないか」と伝えた。昨年は全6戦が2点差以内で、球史に残る名勝負と呼ばれた対決は再び2点差。球団初の2年連続日本一へ「初戦が取れていいスタートが切れたが、また一戦一戦勝つために全力を尽くす」と指揮官。頂点への一歩目を踏み出した。(赤尾裕希)■データBOX?ヤクルト・村上の日本シリーズでの本塁打は昨年第1、5戦(いずれも先発4番)に次いで通算3本目。同一球団の先発4番打者が2年連続でシリーズ第1戦に本塁打を放ったのは、1968、69年の巨人・長嶋茂雄(33歳8カ月)、76、77年の巨人・王貞治(37歳5カ月)に次いで45年ぶり3人目。村上の22歳8カ月での達成は最年少記録。4番以外で2年以続けて放ったのは、57、58年の西鉄・豊田泰光(2番)、90-92年の西武・デストラーデ(5番)、10、11年の中日・和田一浩(4番→5番)の3人。?ヤクルトがシリーズ第1戦に勝利。第1戦に勝利したチームは過去69度(引き分けの3度を除く)のうち、日本一が44度で優勝確率は63・8%。?本拠地で白星発進したチームは過去38度のうち、日本一が21度で優勝確率は55・3%。?ヤクルトが第1戦に勝利したのは92、93、95、97、2001年に次いで21年ぶり6度目。過去5度のうち、日本一が4度で敗退したのは92年だけ。

◆ヤクルト・小川泰弘投手(32)が5回6安打2失点と力投し、日本シリーズ通算3度目の登板で初勝利。「何とか試合をつくることができてホッとしている。とにかく勝つことができて良かったです」と喜びをかみしめた。流れを渡さなかった。2点を先行した直後の二回。1死満塁から紅林の右前適時打、2死後に福田への押し出し四球で追い付かれた。しかし、ここからシリーズ開幕投手の大役を任された意地を見せた。宗を遊飛に仕留め、逆転は許さなかった。攻めの姿勢を貫いた。98球中半分以上が直球。五回2死満塁のピンチでも渾身(こんしん)のストレートで西野を遊飛に打ち取った。エースの仕事を全うし「粘りしかなかったですし、最後は気持ちで押した。勝てばいいと思っていたので、(救援陣に)つなげて良かった」と息をついた。2015、21年と勝利に恵まれなかったが〝三度目の正直〟でつかんだ初白星。2年連続日本一へ、大きな弾みをつける1勝だ。(赤尾裕希)

◆「SMBC日本シリーズ2022」は22日、神宮球場で開幕し、セ・リーグ2連覇のヤクルトが5―3でパ・リーグを2年連続で制したオリックスに先勝した。オリックス・山本由伸投手(24)は左脇腹をつって4回0/3を4安打4失点で降板。阪急時代を含めて26年ぶり5度目の日本一を目指す中、いきなり暗雲が垂れ込めた。64球を投じた後だった。山本は右手を挙げ、捕手の若月を呼んだ。三塁ベンチから高山投手コーチ、トレーナーも駆けつける。そのままマウンドを後にすると、球場全体がざわめいた。絶対的エースがまさかの負傷降板。ヤクルトに昨年の雪辱を果たすと強い決意を胸に頂上決戦に臨んだチームだが、手痛い敗北からの船出となった。「(状態は)分からないですけど、めっちゃあれ(重症)ではない。多少、(左脇腹に)違和感があったので。ちょっと早めに気づけたことだけ、よかったかなと思いますけど、こういった大事な一試合でこんなことになってしまうのは、最悪だな、と思います」試合後、山本は自身の状態を明かした。2─4の五回だった。先頭、代打・キブレハンに対し3球目を投じたところで、左脇腹をつったような症状を訴え、途中降板。 「(四回に)オスナにも本塁打を打たれて、そこでちょっと気づいた部分があっていい方向に修正できていたんですけど、そこから(左脇腹の)違和感があったりして」とコンディションを取り戻しつつある矢先のアクシデントを悔やんだ。山本にとって左脇腹は2018年や19年にも痛めている箇所なだけに軽視はできない。「あすの様子を見てからか」と問われた中嶋監督は「異常があったんですから。それ以外は詳しいこという必要あります?」と多くは語らなかったが、エースにもしものことがあれば、チームにとっては大打撃。2年連続で最優秀防御率など4冠に輝いたエースは役割を果たすことができなかった右腕は「ちょっとまだ時間がたっていないので分からないですけど(今後は)様子見ながら、相談しながらになると思います」と慎重に話した。試合前の円陣では指揮官が「さあ、来たで。やり返すときが。今年は一番になるど。楽しくな。突っ込んでいけよ!! さあ、いこう!!」と鼓舞して送り出したナインは必死に戦ったが、好機であと一本が出ず。ヤクルトと同じ10安打を放ちながら、12残塁の拙攻で大事な初戦を落とした。それでも中嶋監督は「ああだこうだ言っても仕方ない。切り替えるしかない。最後の決めのところをなんとか頑張っていかないといけない」と奮起を求めた。打線の爆発、そして、エースの無事をいまは祈るしかない。(西垣戸理大)

◆ヤクルトのパワー勝ち。戦前の展望で、ヤクルト打線vs山本、『打』のヤクルトvs『投』のオリックスと、わかりやすい図式を提示した。その通りの結果だね。山本の攻略成功は、シーズン中のヤクルトの特長がそのまま表れていた。塩見がいきなり安打を放ち、村上の前に走者を出す。村上が警戒されて歩かされると、オスナが2点二塁打。4番に気を取らせておいて、前後の打者が効果的な働きをする。その後も塩見とオスナに一発が出て、山本をKO。鮮やかだ。オリックスは山本が先に失点した時点でもう、劣勢。ショックがありありと見て取れたからね。その上、八回に村上に一発を許し、ますます深いダメージを負った。フルカウントから真ん中に抜けた平野佳のフォークボール。村上はシーズン終盤から、速球に振り遅れ気味で、タイミングが合わず苦労していた。そこへ最も打ち頃となる甘いフォーク。眠ったままでいてほしかった主砲を、起こしてしまうとはね。これでヤクルトは、不安材料もなくなり、なおさら勢いづく。絶対的優位に立ったよ。(本紙専属評論家)

◆2年連続となるヤクルト-オリックスの顔合わせとなった日本シリーズは、投手4冠のオリックス・山本由伸投手(24)が五回途中(2発を含む4失点)で緊急降板する波乱の幕開けとなった。連載「シリーズ分水嶺」では、プロ野球最高峰の戦いで勝敗を分けたワンプレーや舞台裏に迫る。ドラフト会議から2日後。2年連続で日本シリーズ開幕戦のマウンドに上がったオリックス・山本は6年前の秋、ドラフト4位指名だった。2016年のドラフトを振り返ってみると、1位指名で創価大・田中正義(現ソフトバンク)に5球団が競合。高校生投手ではヤクルトが履正社・寺島成輝、日本ハムが広島新庄・堀瑞樹、西武が作新学院・今井達也、楽天が横浜・藤平尚真を1位指名した。宮崎・都城の山本が指名されたのは、高校生投手としては9番目の指名だった。在京球団のある九州地区スカウト担当は「節穴と言われれば反論はできないが、当時の山本は右肘や左脇腹を痛めていて、視察に行っても登板回避が多く、伸びしろを確かめられなかった。3年夏の宮崎大会も3回戦止まりだったしね。何より本人が社会人チームに進むつもりで、プロ志望届を出したのも締め切り寸前だった」と当時を振り返る。ドラフト4位から日本ナンバーワン投手となった山本。しかし、この日は明らかに本来の姿ではなかった。下半身の体重移動がスムーズにいかず、上半身に頼る投げ方。その上半身の力みでリリースの際に腕が体から離れる。結果として抜け球が多くなり、フォークボールはシュート回転、カーブは従来の落差がなかった。球団は降板理由について「左脇腹をつったような感覚を訴えたため」と発表した。要因の一つとして推測されるのが、2018年に中継ぎで1イニングを投げて以来、先発としては初めてとなる神宮のマウンド。苦手とする投手は多い。今季限りでの現役引退を表明しているオリックス・能見篤史投手兼任コーチも阪神時代の実体験から「今は少し改良されたが、他球場に比べると傾斜が緩め。マウンドとバッターボックスが同じぐらいの高さに見えて、感覚的に投げ下ろすことができなかった」と指摘。また、ブルペンの方が傾斜が高いため、今シリーズ前にも「ブルペンとマウンドは全くの別物」と投手陣に助言を送っていた。昨年は学生野球の明治神宮大会と日程が重なったことで、ヤクルトのホームゲームは東京ドームを使用していた。ただ、オリックス・中嶋聡監督も用意周到。第2戦先発は神宮での登板経験がない宮城ではなく、明大出身で神宮に慣れ親しんだ山崎福也を送り込む。(編集委員・東山貴実)

◆今季限りで現役を引退したヤクルトの坂口智隆氏(38)が、日本シリーズ全試合で特別観戦記「ぐっちSTYLE」をサンケイスポーツに寄稿する。近鉄で2年、オリックスで11年、ヤクルトで7年間プレーした外野手は、ヤクルト・塩見泰隆外野手(29)の1打席目をポイントに挙げた。塩見選手のファーストスイングがヤクルトを優位に立たせました。三回に放った勝ち越し本塁打や、その後の右翼線二塁打にも大きな影響を与えたように思います。自分は現役時代に1番打者として先発することが最も多かったこともあり、1打席目の1球目に注目していました。チームの代表として、相手先発と対峙するので、その姿勢と内容を意識していました。まずはスイングをして攻撃的な姿を見せる。アウトになったとしてもボール球を見極め、甘い球を強打できれば、後ろの打者に心理面でいい影響を与えることができます。チームの士気を考えると一塁まで全力疾走で駆け抜けることも絶対に譲れない姿勢でした。それを踏まえた上で1番打者として理想の第1打席は初球を結果球にすること。タイミングが合わずに見逃し、仕留めきれずにファウル、空振り...。思った通りにいくことは少ないですが、塩見選手は山本投手が投じた155キロの直球を左前打としました。準備、経験、メンタル、技術、全てが詰まったスイングでした。塩見選手の活躍は日本シリーズ全体で両軍に影響を及ぼしそうです。チームとしても1番打者が出塁すれば自然といい流れになります。逆にオリックスはいかに塩見選手を抑えるか。足が速いので四球も与えたくない打者。ゾーン内の勝負が強いられ、塩見選手にとって有利な打席が続くはずです。その駆け引きは2戦目以降も続いていくでしょう。外野手として泣きどころのプレーがありました。五回に右翼手のサンタナがライナー性の打球を捕球しようとすると照明が視界に入り、後逸して三塁打となりました。近年は、どの球場もLED照明となり、一度照明と打球がかぶると捕球はほぼ無理です。事前にコーチと相談し、右中間、左中間の打球を捨てライン寄りを守るなど守備位置の工夫などが必要で、意外と知られていない、外野手にとっては難しいプレーの1つです。第2戦はオリックス先発の山崎福也投手の打撃に注目です。自分がオリックスに在籍していたときから彼の打撃は目を見張るものがありました。DH制のない神宮で先発することで、投球だけでなく、打撃も見逃せないポイントとなります。(坂口智隆)★第6戦で地上波初解説 フジテレビは第3、5、6、7戦を午後6時半から試合終了まで完全生中継。坂口氏は第6戦でゲスト解説を務める。第3戦は中日を引退した福留孝介氏(45)、第5戦は阪神を引退した糸井嘉男氏(41)、第7戦は海外フリーエージェント(FA)権行使を明言しているソフトバンク・千賀がゲスト解説を務める予定。

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