ヤクルト(☆6対3★)阪神 =クライマックスシリーズ3回戦(2022.10.14)・明治神宮野球場=
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阪神
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ヤクルト
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勝利投手:田口 麗斗(1勝0敗0S)
(セーブ:マクガフ(0勝0敗2S))
敗戦投手:青柳 晃洋(0勝1敗0S)
  DAZN
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◆ヤクルトが3連勝で日本シリーズ進出を決めた。ヤクルトは3点ビハインドで迎えた7回裏、相手の失策に乗じて5点を挙げ、試合をひっくり返す。続く8回には、2死二塁から山田が適時二塁打を放ち、リードを広げた。敗れた阪神は7回に守備のミスが重なり、痛い逆転負けを喫した。

◆阪神伊藤将司投手(26)が、青柳への活躍に期待した。ヤクルトに2連敗(アドバンテージを含めて0勝3敗)と後がない状況で、虎の大黒柱が先発。15日の第4戦に先発予定の伊藤将は「ヤギさんが勝ってバトンもらったら、自分も次の人に渡せるように準備するだけだと思う。今日のヤギさんに期待します」とエールを送っていた。伊藤将の今季レギュラーシーズンのヤクルト戦成績は計3試合で1勝1敗。その1勝は完投勝利で挙げている。青柳の勝利を信じて、背番号27がスタンバイする。

◆負ければ敗退が決まる阪神が打線を入れ替えた。前日はベンチスタートだった北條史也内野手(28)が2番、佐藤輝明内野手(23)が6番、陽川尚将内野手(31)が7番に入った。シーズン終盤からスタメン起用が続いていた原口文仁内野手(30)はベンチスタートとなった。先発は青柳晃洋投手(28)。ロングリリーフ要員の西純矢投手(21)がベンチから外れ、この日出場選手登録された桐敷拓馬投手(23)がブルペン待機する。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)の第1打席は、三邪飛に終わった。0-0の1回2死一塁。阪神の先発青柳に対し、カウント1-1からの3球目、低め131キロシンカーに反応したが、打球は高々と上がり、ファウルグラウンドで三塁手佐藤輝のグラブに収まった。村上は前日12日に自身CS初本塁打となる逆転2ランを放っている。

◆阪神佐藤輝明内野手(23)が、犠打を試みるも失敗に終わった。12日の第1戦以来2試合ぶりの先発復帰となる「6番三塁」で出場。両軍無得点の2回に連続四球による無死一、二塁のチャンスで回ってきた打席で、送りバントのサインが送られた。1球目は外角のボール球を見送り。2球目を三塁線に転がしたが、捕球した投手高橋が三塁へ送球して封殺となった。佐藤輝はプロ入り後でまだ犠打を記録していなかった。続く陽川は空振り三振に倒れ、2死から梅野は四球を選んで満塁としたが、青柳が空振り三振に倒れ、絶好のチャンスを生かせず無得点に終わった。

◆阪神陽川尚将内野手(31)が、先制犠飛を放った。「7番左翼」で出場。4回に先頭大山が四球で出塁、マルテが右翼線付近にポトリと落ちる右前安打で無死一、三塁とした。佐藤輝は三邪飛に倒れたが、続く陽川がヤクルト高橋の直球をセンター後方まではじき飛ばす中犠飛を打ち上げ、三塁走者の大山が生還した。「いい流れでつくったチャンスでしたし、自分としても前の打席でやられていたので、なんとかという気持ちでした。『犠牲フライでもいい』と打席の中で割り切れたことが、いい結果に繋がりました」今季レギュラーシーズンで左投手相手に、打率3割5分7厘をマークした陽川が、CSファイナルシリーズで初のスタメン起用にバットで応えた。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)の第2打席は、遊飛だった。0-1の4回無死一塁、阪神青柳晃洋投手に対し、カウント0-2からの3球目、真ん中高め直球をスイングしたが、打球は高々と舞い上がり、遊撃中野のグラブに収まった。村上は前日12日に自身CS初本塁打となる逆転2ランを放ったが、この日の第1打席は、真ん中低めシンカーを打ち上げての三邪飛だった。

◆CS第3戦のこの日も、新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、神宮には「声出し禁止」のアナウンスが流れた。阪神1点リードの5回の攻撃。2死二、三塁から大山悠輔内野手(27)が2点適時打で追加点を挙げた直後だ。阪神ファンで埋め尽くされた左翼スタンドが大盛り上がりの中、すかさず「声を出しての応援は禁止です」とアナウンスが響き、ビジョンにも注意喚起を促す表示がされた。DeNAとのCSファーストステージ、前日までのファイナルステージでも同様のアナウンスがされていた。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)が、第3打席で右前にクリーンヒットを放った。3点を追う6回2死走者なし。阪神青柳に対しカウント1-1からの3球目をきっちり捉え、右前に運んだ。村上は前日13日に自身CS初本塁打となる逆転2ランを放ったが、この日の第1打席は、真ん中低めシンカーに三邪飛。第2打席では真ん中高め直球で遊飛に終わっていた。

◆阪神大山悠輔内野手(27)が、貴重な追加点となる2点適時打を放った。1点リードの5回、先頭の青柳が左翼線への二塁打を放ち出塁。続く中野がバントを試みたが、捕球した投手高橋が三塁へ送球してタッチアウト。続く北條が左翼線への二塁打で再びチャンスをつくり、2死二、三塁から大山がヤクルト高橋のカーブを捉え、中前にはじき返した。「追加点が欲しい試合展開でしたし、どんな形でもいいのでランナーを返したいという思いで、必死に食らいつきました。抜けてくれてよかったです」大山はCSファイナルステージ3試合連続ヒットで、打率は驚異の6割2分5厘をマーク。日本シリーズ進出へ崖っぷちの阪神の4番が、バットでチームをもり立てた。

◆阪神青柳晃洋投手(28)が6回2/3を3安打4失点(自責0)で降板した。8日にCSファーストステージのDeNA戦で先発。6回4安打無失点、85球を好投を見せた後、中5日の投球だった。初回、2回は得点圏に走者を進めず、無失点。3回2死から塩見が左右間二塁打を放ち、ピンチを招いたが、山崎を空振り三振。4回、5回は先頭打者を四球で出塁を許すも、二塁を踏ませない投球だった。だが、7回に予想外の展開が起きた。四死球が絡み、2死満塁のピンチを招く。続く山崎の一ゴロの打球を一塁手・マルテが二塁へ悪送球。痛恨の2点を献上し、青柳も天を仰いだ。2番手浜地も満塁のピンチを招き、迎えた村上の打席で浜地の悪送球で3点を献上し、2失策、1安打で逆転を許す波乱の展開となった。チームはヤクルトに対し、2連敗(アドバンテージを含めて0勝3敗)と1試合も負けられない崖っぷち。今季最多勝、最高勝率、最優秀防御率と「投手3冠」に輝いた虎の大黒柱にとって、苦いマウンドになった。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)のヘッドスライディングが逆転を呼んだ。3点を追う7回、敵失で2点を返し、なお2死満塁で村上に回ってきた。阪神浜地にカウント2-2と追い込まれてからの6球目、ぼてぼての投ゴロを打たされた。村上は一塁へ全力で走り、最後は頭から滑り込んだ。浜地はグラブトス。ところが、ボールは一塁マルテの頭上高く行ってしまい、ファウルゾーンを転々。その間に走者が一掃した。村上は内野安打で、打点は1だった。一塁ベース上の村上は、思わぬ展開となった"珍打"に満面の笑み。ユニホームは、胸のあたりがアンツーカーの土で汚れていた。

◆阪神が守備の乱れで終戦した。3点リードの7回に2失策と4四死球で一気に5点を奪われ逆転された。3位からの下克上を狙ったが、3連敗で1勝もできず1位ヤクルトにスイープされた。今季限りで退任する矢野燿大監督(53)の最後の試合となった。打線は4回に陽川尚将内野手(31)が中犠飛で1点先制。さらに5回には大山悠輔内野手(27)の中前2点適時打で追加点を奪い、エース青柳晃洋投手(28)が6回まで3安打無失点と好投した。だが、悪夢の7回となった。青柳が3四死球で2死満塁とピンチをつくり、山崎には一塁へゴロを打たせたが、ジェフリー・マルテ一塁手(31)が二塁へ悪送球(記録は野選と失策)で2点をかえされた。代わった2番手浜地真澄投手(24)が3番宮本丈内野手(27)に四球を与え再び2死満塁。4番村上宗隆内野手(22)をボテボテの一塁線へのゴロに打ち取ったが、グラブトスが大きくそれて悪送球となり、3人の走者が生還し逆転された(記録は投安と投失)。今季レギュラーシーズン86失策で5年連続12球団ワーストとなった課題の守備に最後まで泣かされた。

◆ヤクルトが3連勝で、CSファイナルステージを突破した。2年連続日本シリーズ出場は、野村克也監督が率いた92、93年以来、29年ぶりとなった。逆転を呼び込んだのは、主砲の気迫だった。阪神青柳の前に、6回まで0行進。3点を追う7回、敵失で2点を返し、なお2死満塁で村上宗隆内野手(22)に打席が回ってきた。だが、浜地にカウント2-2と追い込まれ、6球目の当たりは投前へのボテボテの当たり。村上は懸命に一塁へ滑り込んだ。捕球した浜地はグラブトス。ところが、ボールは一塁マルテの頭上高く浮き、ファウルゾーンを転々。その間に走者一掃、3点が入った。記録は内野安打で、打点1。塁上の村上は思わぬ展開に満面の笑みを浮かべた。ユニホームには、アンツーカーの土がべっとり。何としてもセーフになるという気持ちの表れだった。前日の第2戦で、CS初アーチとなる逆転2ランを放った。雨の中での試合。最後まで残ってくれたファンに、お立ち台で「雨で寒い中、最後まで応援ありがとうございました! 明日も勝ってみんなで日本シリーズ行きましょう!」と声を張り上げた。本塁打ではなくても、この日の内野安打も同じぐらい価値があった。ヤクルトが2年連続9度目の日本シリーズ出場を決めた。ファイナルSから出場のヤクルトは、昨年の巨人戦が□○○△、今年の阪神戦が□○○○。プレーオフ、CSで2年続けて無敗でシリーズに出場は、79年阪急戦に○○○、80年ロッテ戦に○○○の近鉄以来2度目で、セ・リーグでは初めてだ。7回に5点を挙げて逆転したが、この回の安打数は村上の内野安打の1本だけ。プレーオフ、CSでは80年<3>戦近鉄が7回に3安打で5点、04年1S<1>戦西武が7回に3安打で6点、07年1S<2>戦中日が1回に3安打で5点、19年ファイナルS<3>戦阪神が5回に3安打で5点を記録しているが、1イニングに1安打で5点以上は初めてだった。

◆阪神が14日のCSファイナルステージ第3戦のヤクルト戦に敗れ、今季の終戦が決まった。退任する矢野燿大監督(53)が率いた4年間を振り返る。19年(1年目) 矢野新監督を迎え、投手陣が奮闘した。FA移籍の西勇が10勝、前年1勝の青柳が9勝と成長を遂げた。ジョンソン、藤川、ドリスが盤石の救援陣を形成。攻撃陣では新人近本が36盗塁でタイトルを取り、セ新人最多159安打を放った。シーズン最後に6連勝を飾り、広島を追い抜いて3位に食い込んだ。CSは巨人とのファイナルSで敗退。20年(2年目) 3月末に藤浪らの新型コロナウイルス感染が発覚するなど、激震が走った。3カ月遅れの6月19日に巨人戦で開幕も、カード3連敗スタート。4番に定着の大山がリーグ2位の28本塁打と気を吐いた。ソフトバンクから加わったスアレスが最多セーブ、近本盗塁王。優勝の巨人から7.5差ながら、2位を確保した。CSは開催なし。21年(3年目) まれに見る新人の当たり年となった。佐藤輝が24本塁打、中野が30盗塁で盗塁王、伊藤将が10勝で3人そろってセ・リーグ特別表彰を受けた。チームは球宴を首位で折り返したが、息切れし2位で終了。優勝したヤクルトの73勝を上回る77勝を挙げながら、勝率で下回るという悔しいシーズンとなった。CSは巨人とのファーストSで敗退。22年(4年目) キャンプイン前日に矢野監督が今季限りで退任すると宣言した、異例のシーズンとなった。セ・リーグ最長タイの開幕、9連敗という最悪のスタート。そこから盛り返し、7月24日には5割に到達。一時は貯金3を数えた。終盤は広島、巨人との争いを制し、3位浮上。矢野監督は在任中の4年連続でチームをCSに導いた。▽矢野阪神アラカルト(19~22年)4年連続Aクラス 就任した19年から3位、2位、2位、3位と、全年度でAクラスを確保。年間通して指揮を執った阪神の新人監督年から4年連続は、2リーグ分立後初の快挙だ。ドラフト戦略 18年1位の近本は、外れ外れ指名ながら不動の中堅手に成長。また19年1位の西純も今季ローテ入りし5勝。20年1位の佐藤輝は新人年から2年連続20本塁打をクリア。同年3位の伊藤将は左のエースに成長した。同年5位の中野も遊撃の定位置を確保と、チームの柱を育てた。移籍選手 オリックスからFAで獲得した西勇は4年で36勝と本領を発揮した。ソフトバンク自由契約のスアレスは20、21年最多セーブと活躍を見せた。投打で明暗 チーム防御率は19年からセ・リーグ1、2、2、1位。一方の打率は4、5、4、5位で、投高打低が定着してしまった。盗塁はセ最多を快走 19年100、20年80、21年114、22年110盗塁はすべてセ1位(20年のみ巨人とタイ)。19、20、22年近本、21年中野と阪神勢がタイトルも独占した。失策 4年連続でセ最悪だった(19年102、20年85、21年86、22年86)。個人の失策数では、大山が19年20、中野が21年17、22年18と、3シーズンでセ最多を輩出してしまった。

◆阪神カイル・ケラー投手(29)がヤクルト山田哲人内野手(30)に痛恨の一打を食らった。2点ビハインドの8回2死二塁からマウンドへ。打席には代打に山田が送られた。そしてカウント2-1から直球を強振され、前進守備の中堅近本の頭を越える適時中越え二塁打でダメ押し点を許した。チームは序盤に3点をリード。しかし、7回に一気に5点を奪われ、勢いにのまれた。

◆ヤクルトが3連勝で、CSファイナルステージを突破した。2年連続日本シリーズ出場は、野村克也監督が率いた92、93年以来、29年ぶりとなった。

◆ヤクルトが2年連続9度目の日本シリーズ出場を決めた。ファイナルSから出場のヤクルトは、昨年の巨人戦が□○○△、今年の阪神戦が□○○○。プレーオフ、CSで2年続けて無敗でシリーズに出場は、79年阪急戦に○○○、80年ロッテ戦に○○○の近鉄以来2度目で、セ・リーグでは初めてだ。7回に5点を挙げて逆転したが、この回の安打数は村上の内野安打の1本だけ。プレーオフ、CSでは80年<3>戦近鉄が7回に3安打で5点、04年1S<1>戦西武が7回に3安打で6点、07年1S<2>戦中日が1回に3安打で5点、19年ファイナルS<3>戦阪神が5回に3安打で5点を記録しているが、1イニングに1安打で5点以上は初めてだった。

◆ヤクルト・ホセ・オスナ内野手が「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」の最優秀選手賞に輝いた。第1戦では初回に先制3ランを放ち、第2戦では4回に中押しの2ラン。シリーズ3試合で打率2割5分、2本塁打、5打点をマーク。「村神様」の後ろを打つ5番としてチームを支えた助っ人は「とてもいい気持ちです。とにかく毎日チームの勝利に貢献したいとプレーしている。MVPにつながったのはとてもうれしいです」と喜んだ。

◆阪神近本光司外野手(27)が、矢野監督とのラストゲームを終え涙した。試合後の整列時にも涙がこぼれていたが、報道陣から「矢野監督への思い」を問われると、感情があふれ出た。「出てる選手が打たないから負けるので。僕らが悪いので...そう思ってたんですけど...」そこまで言うと涙で言葉が詰まった。「でも、やっぱり最後、終わってから「矢野! 矢野!」っていう(コールを聞いて)、やっぱり見に来てくれる人がいるだけで、その人に対して、ファンの人に対して僕らはプレーするだけなので...」そう振り絞り、タオルで静かに顔をぬぐった。この日は5回1死二、三塁でヤクルト高橋に空振り三振に仕留められた。18年に矢野監督が就任した直後のドラフト1位。「最初の監督だったんで、ほんとにね、ドラフトの時からお世話になってたんで」。取材の終わりには「勝ちたいです」と来季へ思いをぶつけるように語気を強め、帰りのバスへと乗り込んだ。

◆阪神の22年シーズンが終わった。先発したエース青柳晃洋投手(28)が6回まで無失点と力投。しかし3点リードの7回2死満塁から一ゴロを捕球したマルテが二塁へ悪送球し、1点差に迫られたところで青柳は降板。2番手浜地が宮本に四球を与え、満塁の場面で村上にゴロを打たせるも、一塁線に転がる打球を捕球した浜地のグラブトスが悪送球に。ボールは一塁手マルテのはるか上空を通過し、走者一掃。エースの力投報われず、2つの適時失策で逆転を許し、力尽きた。勝利のムードから一転、今季レギュラーシーズン86失策で5年連続12球団ワーストとなった課題の守備に最後まで泣かされ、まさかの形で3連敗(アドバンテージ1勝を含めて0勝4敗)を喫し終戦。今季限りで退任を表明していた矢野燿大監督(53)のラストゲームとなった。指揮官の一問一答は以下の通り。矢野監督まとめ-選手は一生懸命、最後までプレーした矢野監督 「もちろん、勝てるチャンスがあっただけに悔しい。野球の難しさとね、いろんなことは、この1試合だけでも経験させてもらえたかなと思うけど」-青柳は好投して、4番の大山も打った矢野監督 「ヤギは本当に丁寧にいきながら気持ちも前に出していくような投球を出してくれた。ヤギの責任っていうのは十二分に果たしてくれたしね。シーズンの中でもタイトルを取ることもそうやし、この1試合にかけるものもそうやし、素晴らしい投球をしてくれました」-7回はエラーが出た矢野監督 「ぎりぎりのプレーやったと思うからね。あれをアウトにするチームになっていかないとダメだし、あれでいいとは思えないんで、みんながしっかり受け止めながら、1人1人成長していくしかないと思います」-ファーストステージで苦しんでた大山が4番の働きをした矢野監督 「また明日かどこかでしゃべるところもあるだろうし、あんまり今日しゃべってもあれやろうし。よくやってくれたと思う」-今終わった率直な気持ちは矢野監督 「いや、もう感謝しかないよね。俺が退任することはもちろんファンの人もキャンプの時に伝えてるからもちろん知ってるわけで、それでも、最後ああやって声援してもらえた。この選手たちとやれたこともそうやし、感謝しかないね」

◆ヤクルト高津臣吾監督(53)がメリハリを利かせたタクトで、29年ぶりの歴史を刻んだ。勝つか引き分けでCSファイナルステージ突破が決まる一戦で、キャプテンで右打ちの山田哲人内野手(30)を外し、3番二塁に左打ちの宮本丈内野手(27)を起用。その宮本が1安打2四球で、7回の逆転へとつながった。さらに直後の8回には清水昇投手(25)をつぎ込んだ。シーズン中は1度もなかった3連投を解除。盤石の継投で逃げ切り、92、93年以来の2年連続日本シリーズ出場をつかんだ。9回2死走者なし。最後の1人となっても、高津監督はベンチで腕を組み、じっと戦況を見守り続けた。マクガフが阪神原口を空振り三振。その瞬間、緊張をほどき、コーチたちとハイタッチで喜んだ。「毎回、高くなっていく。外国人選手が中心となって高く上げてくれるので、怖いですね。でも、すごくうれしいです」今年2度目の胴上げは5回。雨上がりの神宮の夜空へ、笑みがはじけた。「セ・リーグのチャンピオンとなって、ここで負けるわけにはいかない」と臨んだCSファイナルステージは、負けなし3連勝で突破した。「選手の頑張りが全て」とたたえたが、この日はメリハリを目いっぱい利かせたタクトで白星をたぐり寄せた。3番二塁に連ねた名前は「宮本」。大事な1戦でもキャプテン山田に代えた。難敵・青柳攻略へ、9月の2試合で打った手だった。対戦成績で6打数2安打1本塁打の宮本を村上の前に据えた。打線は6回まで0に封じられたが、宮本自身は1安打1四球。さらに、1点差に追い上げた7回2死一、二塁では、2番手浜地からも四球を選び、村上による逆転につなげた。シーズン中には打たなかった手もあった。逆転直後の8回、マウンドに送ったのは清水。今季初の3連投は、CS開幕前「シーズン中は気を使いながら登板させてきた。(ポストシーズンは最長で)13試合。全力で、食い気味でいってもらいたい」と言った通りのリミッター解除だった。清水は0で9回につないだ。「毎日準備して、緊張して、すごく難しいポジション。やり続けたリリーフピッチャーには本当に感謝します」と頭を下げた。野村克也監督に並ぶ2年連続日本シリーズ出場。その恩師もなし得なかった目標がある。「初の連続日本一を目指して頑張りたいと思います!」。新たな歴史をつくる権利を得た。【古川真弥】

◆「村神様」激走でCS突破ヤ!! ヤクルトが2年連続の日本シリーズ進出を決めた。「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」のファイナルステージ第3戦で阪神に逆転勝利。リーグ優勝のアドバンテージ1勝を含む4勝0敗で、昨年に続く不敗突破を果たした。1点を追う7回2死満塁で、村上宗隆内野手(22)の投手内野安打が阪神浜地の悪送球を誘い、走者一掃で3点を奪い逆転した。球団史上初となる2年連続の日本一を目指し、22日開幕の日本シリーズに臨む。9回を守護神マクガフが締めてシリーズ突破。村上がマウンド付近にゆっくり歩み寄り、笑顔でナインとハイタッチを交わした。今季最大にして最後となる、連続日本一という大目標への挑戦権を手にした。全力疾走が勝利を呼び込んだ。0-3で迎えた7回、2点を返してなお2死満塁。阪神浜地に対しカウント2-2からの6球目、外角直球を捉えた打球はボテボテのゴロとなった。それでも必死に一塁へ疾走し、最後はヘッドスライディング。この気迫に押されたか、浜地の一塁へのグラブトスが悪送球となり、一挙3点を奪い逆転に成功した。状況を確認すると一塁上で笑顔を見せた。高津監督も場内インタビューで「ムネ(村上)が素晴らしい当たりを最後打ってくれた。持っている男ですね。ナイスバッティングだったと思います」と、らしくない"決勝打"に賛辞を贈った。レギュラーシーズン最終戦の3日DeNA戦で日本選手最多のシーズン56本塁打を放ち、史上最年少の3冠王が確定した直後から「日本一連覇に挑戦できるのは僕たちしかいませんし。日本一になるという目標をしっかり持って、そこだけはブレずに頑張りたい」と意識してきた。「フォア・ザ・チーム」を第一に掲げる村上にとって「チームスワローズ」の日本一は、個人成績以上に重要視する大目標に違いない。13日の第2戦で自身CS初となる本塁打を放ち、逆転勝利に導いたが「そんなに絶好調という感じではないです」と冷静に自己分析する。2試合で申告敬遠を含む4つの四球を選び、チャンスメーク。5番オスナや8番長岡が好調で打線がつながり「とにかく短期決戦は勝てればいい。状態がいい人も悪い人も勝ちに向かって頑張っている」と納得の表情を浮かべていた。この日も豪快な1発こそ出なかったか、2安打1打点できっちり勝利に貢献した。野村監督が率いた90年代の「黄金時代」でも達成できなかった日本シリーズ連覇へ-。村神様が導いていく。【鈴木正章】

◆あぁ、悔しすぎる終戦...。矢野タイガースが終盤に守備のミス連発で逆転負けを喫した。劇的な勝利でCSファーストを勝ち上がったが、神宮に乗り込んだファイナルで3連敗。最後は守乱が負けに直結した。阪神矢野燿大監督(53)は「もちろん、勝てるチャンスがあっただけに悔しいし、野球の難しさと、いろんなことをこの1試合だけでも経験させてもらえたかな」と、穏やかな口調で振り返った。目を疑うようなシーンが立て続けに起こったのは3点リードで迎えた7回だ。2死満塁から山崎の力ないゴロを一塁手のマルテが二塁へ悪送球。一気に2人が生還して1点差に迫られた。ここからマウンドに上がった2番手浜地が宮本に四球を与えて再び満塁。続く村上の投前ゴロを必死に捕球したが、一塁へのグラブトスが大きくそれて走者3人の生還を許した。まさかの1イニング1安打5失点という落とし穴。今季レギュラーシーズン86失策で5年連続12球団ワーストとなった課題の守備が、ポストシーズンの重要な局面で出てしまった。今季限りで退任する指揮官もこれには「ぎりぎりのプレーやったと思う。あれをアウトにするチームになっていかないとダメだし、あれでいいとは思えない」と渋い表情。今後の成長を願うしかなかった。矢野監督は試合終了後、ヤクルト高津監督のもとに歩み寄り、ガッチリと握手を交わした。スタンドから聞こえる矢野コールには何度も手を振って応えた。「もう感謝しかないよね。最後ああやって声援してもらえるのは。この選手たちとやれたこともそう。感謝しかない」。繰り返した感謝の2文字。去りゆく将に涙はなかった。【桝井聡】○...大山悠輔内野手が4番の意地を見せつけた。1点リードの5回、2死二、三塁。ヤクルト高橋のカーブをとらえ、中前に2点適時打を放った。青柳を援護し、チームに勢いをもたらす貴重な追加点となったが、勝利にはつながらなかった。それでも大山のCSファイナルステージの打率は3試合で打率5割5分6厘。自分の役割を果たした。○...佐藤輝明内野手が"プロ初犠打"に失敗した。2戦ぶりのスタメン復帰。0-0の2回無死一、二塁で犠打を指令されたが、三塁線へのゴロを高橋に素早く処理され、三塁封殺された。「作戦なんで決めたかったです。(ヤクルトは)打撃も守備も投手もいいし、本当に完敗。来年は僕たちが(日本シリーズに)行けるように頑張ります」。6回には遊撃内野安打でファイナルステージ初安打を記録したが、悔しい22年最終戦となった。○...エース青柳晃洋投手にとって、悔しさの残るラスト登板となった。6回まで無失点。7回は2死満塁を招き、山崎を内野ゴロに打ち取ったが、一塁手マルテの適時失策で2点を失ったところで降板。2番手浜地の失策で逆転を許し、青柳は7回途中4失点(自責0)で敗戦投手となった。「純粋に悔しいです」。退任する矢野監督については「自分は矢野監督に見いだしてもらった選手。我慢して使ってもらって、僕自身成長できた。矢野野球には感謝しかないですね」と話した。

◆負けなし3連勝で2年連続日本シリーズ出場を決めたヤクルト高津臣吾監督(53)は、胴上げで5度、宙に舞った。リーグ優勝時より2回少ない回数だが、その時よりも高く上がった。セレモニー終了後の会見で、隣に座るオスナを見ながら言った。「思った以上に高くて。この人が『一番高く上げよう』と言っていて、『やめてくれ』と言ったんですけど。気持ち良かったです」。オスナは「普段、行えない行事なので、盛大に喜びたい思いでした」とニッコリ。監督と選手たちの絆が感じられる瞬間だった。

◆負けなし3連勝で2年連続日本シリーズ出場を決めたヤクルト高津臣吾監督(53)は、お立ち台で日本シリーズへの決意を語った。------皆さんの応援がありまして、なんとか、日本シリーズの挑戦権、日本一になる挑戦権を得ました。本当にありがとうございます。--今季2度目の胴上げは5回だったはは。毎回、高くなっていくので、外国人選手が中心となって、すごく高く上げてくれるので、怖いですね。でも、すごくうれしいです。--青柳投手を攻めあぐねたが、7回の攻撃はなかなかチャンスもなく、連打もなく、四球で出ることも難しく、あのイニングまでいったんですけど、四死球を絡めて、ムネが素晴らしい当たりを最後、打ってくれたんで。持ってる男ですね。ナイスバッティングだったと思います。--村上選手はヘッドスライディングしたムネだけじゃなく、ベンチ一丸、チーム一丸となって、お客さんの後押しもあって、あのイニング、得点することができたと思います。ムネの素晴らしいヘッドスライディング。何度もムネの話をしてしまいますけど、全力でやっている姿そのものだと思います。--昨日、サイスニード投手が中継ぎ陣をたたえた。今季のリリーフの頑張りについてリリーフ投手なので、毎日準備して、毎日仕事があって、毎日緊張して、すごく難しいポジションだと思ってます。僕も、もちろん、経験があるんですけど、それを1年間、耐え抜き、やり続けたリリーフピッチャーには本当に感謝します。--2年連続日本一への決意をセ・リーグのチャンピオンとなって、ここで負けるわけにはいかないと、必ず日本シリーズに出たいと思ってました。選手の頑張りが全てですけど、選手に、日本シリーズに連れて行ってもらうと同時に、また素晴らしい、緊張した、緊迫した、はらはらどきどきした日本シリーズを経験させてあげられるのは、すごくうれしく思います。92、93年以来の連覇して、初の連続日本一を目指して頑張りたいと思います。--日本一へ残り4勝。ファンへまだちょっと終わったばかりで何とも言えないですけど、せっかくつかんだチャンスなんで、絶対つかみとりたいと思います。ファンの皆さんと一緒につかみたいと思います。みんなでつかみに行きましょう。

◆ヤクルト高津臣吾監督(53)がメリハリを利かせたタクトで、29年ぶりの歴史を刻んだ。勝つか引き分けでCSファイナルステージ突破が決まる一戦で、キャプテンで右打ちの山田哲人内野手(30)を外し、3番二塁に左打ちの宮本丈内野手(27)を起用。その宮本が1安打2四球で、7回の逆転へとつながった。さらに直後の8回には清水昇投手(26)をつぎ込んだ。シーズン中は1度もなかった3連投を解除。盤石の継投で逃げ切り、92、93年以来の2年連続日本シリーズ出場をつかんだ。最後の1人となっても、高津監督はベンチで腕を組み表情を崩さなかった。9回2死。マクガフが阪神原口を空振り三振。その瞬間、緊張をほどき、コーチたちとハイタッチで喜んだ。「毎回、高くなっていく。外国人選手が中心となって高く上げてくれるので、怖いですね。でも、すごくうれしいです」今年2度目の胴上げ。リーグ優勝時より2回少ない5回だったが、雨上がりの神宮の夜空に舞うと、心からの笑みがはじけた。「セ・リーグのチャンピオンとなって、ここで負けるわけにはいかない」。王者しか持てない重圧に負けず、初戦からの3連勝でCSを突破した。「選手の頑張りが全て」とたたえたが、この日はメリハリを目いっぱい利かせたタクトで白星をたぐり寄せた。3番二塁に「宮本」。大事な一戦でもキャプテン山田に代えた。難敵・青柳攻略へ、9月の2試合でも打った手。今季対青柳6打数2安打1本塁打の打者を村上の前に据えた。打線は6回まで0行進も、宮本自身は青柳から1安打1四球。さらに1点差に追い上げた7回2死一、二塁でも2番手浜地から四球を選び、村上による逆転につなげた。一方で、シーズン中は封印した手も打った。逆転直後の8回、マウンドに清水を送る。今季初の3連投。CS開幕前、リリーフ陣に「全力で、食い気味で」と求めた通り、ここぞでリミッターを解除した。思いに応え、清水は0で9回につないだ。高津監督は「毎日準備して、毎日緊張して、すごく難しいポジション。やり続けたリリーフピッチャーには本当に感謝します」と頭を下げた。7回の逆転劇に「みんなのつないでいく気持ちがつながった」と目を細めたが、引き出したのは「受け身にならない。前々という気持ち」の采配だ。野村克也監督に並ぶ2年連続日本シリーズ出場。その恩師もなし得なかった目標がある。「初の連続日本一を目指して頑張りたいと思います!」。新たな歴史をつくる権利を得た。【古川真弥】

◆「村神様」激走でCS突破ヤ!! ヤクルトが2年連続の日本シリーズ進出を決めた。「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」のファイナルステージ第3戦で阪神に逆転勝利。リーグ優勝のアドバンテージ1勝を含む4勝0敗で、昨年に続く不敗突破を果たした。1点を追う7回2死満塁で、村上宗隆内野手(22)の投手内野安打が阪神浜地の悪送球を誘い、走者一掃で3点を奪い逆転した。球団史上初となる2年連続の日本一を目指し、22日開幕の日本シリーズに臨む。「村神様」の全力疾走に野球の神様もほほ笑んだ。0-3で迎えた7回、2点を返しなお2死満塁。阪神浜地の6球目、外角直球を捉えた村上の打球はボテボテのゴロだった。それでも必死の形相で一塁へ激走し、最後は頭から一塁へ飛び込んだ。この気迫に押されたか、浜地の一塁へのグラブトスが悪送球となり、ファウルグラウンドを転がった。記録は投前への同点打だが、適時失策で2人の勝ち越しの走者もかえった。村上は立ち上がって状況を確認すると、一塁上で笑った。「前の打者が必死に粘って、なんとかつなぐんだという姿勢を間近で見てました。いいヒットじゃなかったけど、それも野球なんで。僕の中では満足しています」と喜んだ。今季56本もの豪快なアーチをかけてきた主砲の珍しい"逆転打"。リードを守り切ってシリーズ突破を決めた高津監督も、場内インタビューで「ムネ(村上)が素晴らしい当たりを最後打ってくれた。持っている男ですね。ナイスバッティングだったと思います」と笑顔で賛辞を贈った。13日の第2戦で自身CS初の本塁打を放ち、逆転勝利に導いたが「そんなに絶好調という感じではない」と冷静に自己分析する。シリーズ3試合で本塁打は1本にとどまったが、打率3割3分3厘、申告敬遠を含む4つの四球を選び、無傷突破に貢献した。今季最大にして最後となる大目標への挑戦権を手にした。レギュラーシーズン最終戦の3日DeNA戦で56号本塁打を放ち、史上最年少の3冠王が確定した直後から「日本一連覇に挑戦できるのは僕たちしかいませんし。日本一になるという目標をしっかり持って、ブレずに頑張りたい」と意識してきたゴールだ。野村監督が率いた90年代の「黄金時代」でも達成できなかった2年連続の日本一へ挑む。「どれだけコンディションを、体と心を合わせるかが大事。まずは勝ちに向かって、必死に野球を楽しみながら勝てるように頑張りたい」。村神様が力強く、「チームスワローズ」を笑顔のゴールテープへと導いていく。【鈴木正章】ヤクルトが2年連続9度目の日本シリーズ出場を決めた。ファイナルSから出場のヤクルトは、昨年の巨人戦が□○○△、今年の阪神戦が□○○○。プレーオフ、CSで2年続けて無敗でシリーズに出場は、79年阪急戦に○○○、80年ロッテ戦に○○○の近鉄以来2度目で、セ・リーグでは初めてだ。7回に5点を挙げて逆転したが、この回の安打数は村上の内野安打の1本だけ。プレーオフ、CSでは80年<3>戦近鉄が7回に3安打で5点、04年1S<1>戦西武が7回に3安打で6点、07年1S<2>戦中日が1回に3安打で5点、19年ファイナルS<3>戦阪神が5回に3安打で5点を記録しているが、1イニングに1安打で5点以上は初めてだった。

◆阪神の次期監督に就任する岡田彰布氏(64)が2年契約を結ぶことが14日、分かった。4年間続いた矢野燿大監督(53)率いる矢野阪神は「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」ファイナルステージで3連敗し、アドバンテージを含む4敗となり終戦した。岡田氏は「勝てる監督」として来季15年ぶりに現場復帰。近日中に正式発表される。ネット裏から愛情を持って長年チームを見続けてきた岡田氏が、来季の優勝だけでなく常勝タイガースを作り上げる。まさかのスイープでCSファイナルで敗退が決まった。悔しさいっぱいの矢野チルドレンを岡田氏が常勝軍団に育て上げる。前回リーグ優勝の05年は就任2年目だった。7回から絶対的な勝ちパターンのJFK(ウィリアムス、藤川、久保田)を整備し、今岡を5番・三塁で再生し147打点で打点王を獲得させた。4番金本は絶対に外さず本塁打40本でMVP。2年目の鳥谷は不動の遊撃手に固定した。岡田氏はこれまでも解説で佐藤輝や大山について自らの考えを語ってきた。9月28日のヤクルト戦でラジオ解説した際には「本塁打20本で終わる打者じゃない。どう考えても、もっと打てるでしょ」と期待の大きさを話してきた。経験豊富な自身の打撃理論を伝えることで、球界を代表するスラッガーにする。主力の守備位置の固定やリーグ1位の防御率2・67を誇る強力投手陣のさらなる整備、若手の抜てきなども、単年より2年なら、より腰を据えて行うことができる。20日に開催されるドラフト会議が本格始動となる。すでに巨人が1位を公表している右の強打者高松商・浅野翔吾外野手(3年)、や、野球センスを高く評価する大阪桐蔭の松尾汐恩(しおん)捕手(3年)ら将来性の高い高卒野手をドラフト1位候補にリストアップ。ここに即戦力投手など、岡田氏の考える補強ポイントも踏まえ、直前会議を経て最終決定していくことになる。チームの基盤を固め、常勝軍団として次世代の若手監督へのバトンタッチも第2次岡田政権の大きな役割だ。中心選手として85年の日本一に貢献。三塁コーチとして03年星野阪神で優勝、自身が指揮官となって制した05年と勝ちを知る「岡田野球」をじっくりと植え付ける。

◆今季限りで退任する阪神矢野燿大監督(53)が、CSファイナルステージ敗退から一夜明けた15日、大阪市内の阪神電鉄本社で藤原崇起オーナー(70)にシーズン終了報告を行い、会見に臨んだ。会見は約42分間。涙する場面もあった。会見の冒頭、「シーズン終わってから寝れる時はありましたけど、昨日はさすがにあまり寝れずでしたけど、気持ち的にはすっきりしています」と話し始めた。現在の心境について「ずっと言ってきましたけど、夢と理想を語りながらやってくる野球は貫けたっていう思いは持っています。強いチームは作れませんでしたけど、全員でいいチームは作れたかなと思っています」と語った。こらえきれなくなったのは中盤。今後、野球とどうかかわっていくかを問われると、涙が流れた。「僕の夢はまだ続くので。子どもたちを笑顔にしていくっていうのも僕の大きな夢ですし...」そこまで言うと、約11秒の沈黙。声を詰まらせながら「しばらくはゆっくりしますけど、また挑戦していきたいなと思っています」と続けた。さらにファンへの思いを語り始めると、また涙があふれ出た。「ほんとに勝つ喜び、優勝の喜びはみなさんに届けられなかったですけど、タイガースの選手たちの魅力っていうのは伝わったところがあったのかなと思っています。コロナ禍という難しい時期でしたのでファンのみなさんもすごく難しかったと思いますし、その中でも日本一の応援をしていただけたっていうのは、ほんとにありがたかったです」と感謝。「僕も来年からタイガースファンとして、タイガースが良くなるようなというか、僕に何ができるか分かりませんけど、応援はしっかりしていきながら、自分もまた挑戦していくような人生を歩んでいきたいなと思っています。ほんとに4年間ありがとうございました」と締めた。チームは前夜、ヤクルトに3連敗を喫し日本シリーズ進出の夢が絶たれた。矢野監督の後任には05年リーグ優勝を飾った岡田彰布氏(64)が内定している。

◆両軍のスターティングメンバーが発表された。引き分けでもファイナル敗退が決定する阪神はエース・青柳晃洋投手(28)が先発する。今季ヤクルト戦には5試合で先発し、3勝1敗、防御率2・38。3勝はいずれも神宮でマークと得意の敵地で強力打線をねじ伏せる。また、佐藤輝明内野手(23)が「6番・三塁」でスタメン復帰した。

◆日本シリーズ進出に王手をかけるヤクルトがスタメンを発表。阪神先発の変則右腕・青柳対策で通算成績が41打数5安打(今季4打数無安打)の山田哲人内野手(30)を外し、宮本丈内野手(27)が「3番・二塁」で起用された。13日にCS初本塁打となる逆転2ランを放った村上宗隆内野手(22)は「4番・三塁」で出場する。

◆阪神が二回の先制機を逃した。相手先発・高橋に対して一回は三者凡退に抑えられたが、二回は大山、マルテが連続四球で出塁してチャンス到来。ここでベンチは2試合ぶりにスタメン起用し、プロ入りから2年間で犠打を記録していない佐藤輝にバントを命じた。しかし、ゴロを捕球した高橋が三塁に送球して封殺され、1死。続く陽川は空振り三振に倒れ、梅野が四球で歩いて塁を埋めたが、青柳が空振り三振に倒れて無得点に終わった。

◆神宮球場に〝幸運のグルメ〟がある。右翼スタンド下コンコースの売店「ルウ・ジャパン」で、ヤクルト・元山飛優(ひゆう)内野手(23)の「飛油淋鶏丼」(税込み900円)が販売されている。今季最終戦(対DeNA)となった3日に村上が日本選手最多の56号を放った際、記念球をキャッチした桜井蒼大さん(14)が買いに求めていたグルメ。食事を購入するために内野席から移動して村上の打席でスタンドに上がったところ、ホームランボールが転がり込んできた。この話題が報じられたことで、燕党は「もしかしたら記念球が取れるかも?」と飛油淋鶏丼を買い求め、CS期間中は一日にシーズン中の2倍となる約60杯が売れた。元山は「みやざきフェニックス・リーグ」に出場中だが、店長は「目に見えて買いに求めるお客さんは増えました。幸運のグルメになってほしい」と願った。(祥)

◆阪神が四回に先制した。先頭の大山がフルカウントから四球を選んで出塁。マルテは高めの変化球に詰まらされながらも右前に落とし、この間に大山は一気に三塁へと進んだ。佐藤輝は三邪飛に倒れたが、陽川が直球をとらえて中犠飛を放ち、1点を先制した。阪神はファイナルステージの第1、2戦で連敗し、アドバンテージの1勝を持つヤクルトに日本シリーズ進出に王手をかけられた。土俵際に立たされる中で先発・青柳も三回まで無失点と粘りの投球を披露している。

◆阪神・大山悠輔内野手(27)が「4番・右翼」で出場。1-0の五回に中押しとなる中前2点打を放った。2死二、三塁で迎えた第3打席で、カウント2―2から投じられた低めのスライダーに食らいついた。鋭い打球で二遊間を破り、走者2人が生還。リードを3点に広げた。この回は先頭の青柳が左翼への二塁打で出塁するも、1番・中野がバントに失敗。無死二塁の好機が1死一塁となったが、2番・北條が左翼への二塁打を放って相手に傾きかけた流れを引き戻し、大山の一打につなげた。大山はファーストステージでは11打数無安打だったが、ファイナルステージでは第1戦で待望の安打が飛び出し、第2戦も敗戦の中で3安打と奮闘。この第3戦も2打席目まで連続で四球を選んで出塁していた。

◆「4番・三塁」で先発したヤクルト・村上宗隆内野手(22)は、2打席凡退後の0―3の六回、2死から強烈な右前打を放った。阪神先発・青柳のカットボールを振り抜きつないだが、5番・オスナが二飛に倒れて無得点に終わった。。今季は18年ぶり史上8人目の三冠王に輝いた村上。前日13日の第2戦では、CS初本塁打を放ち「とにかくこの短期決戦は勝てればいい。勝ちに向かってチーム一丸頑張ります」と意気込んでいた。若き主砲が好調を維持している。

◆阪神が3点リードの七回に5失点し、逆転を許した。先発・青柳は五回までに3点の援護をもらい、ゼロを並べ続けていたが、七回に落とし穴が待っていた。3四死球で初めて三塁に走者を置くこととなった2死満塁で、山崎と対戦し、低めの変化球で一、二塁間へのゴロを打たせたが、難しい体勢で捕球した一塁・マルテが二塁へ悪送球。ボールが左翼へと転がる間に走者2人が生還し、ここで交代を告げられた。さらに、バトンを受けた浜地は宮本に四球を与えて2死満塁とされ、打席には村上。ここも一塁線へのボテボテのゴロに打ち取ったが、当たりの弱い打球を処理した浜地のグラブトスは大きく逸れ、一塁ファウルゾーンを転々とする間に3人の走者がすべてホームを駆け抜けた。阪神は連敗とアドバンテージの1勝でヤクルトに日本シリーズ進出に王手をかけられており、崖っぷち。この大事な場面で守備のミスが重なり、1安打で5点を失った。

◆「おりゃー」。澄み切った夜空の神宮球場に、ヤクルト・高橋奎二投手(25)の気迫のこもった声が鳴り響いた。「阪神は足を絡めてくる打線でもありますし、長打を打てる。思い切って一人一人立ち向かっていきたい」。強気の攻めを誓って挑んだ決戦のマウンド。最速153キロの直球と110キロ台の大きく曲がるスライダーを投げ分けて三回まで無安打投球で、完璧な立ち上がりをみせた。しかし、四回は先頭の大山に四球を与えると、マルテに初安打を浴びて一、三塁のピンチ。1死後に陽川に犠飛を浴びて先制点を献上した。打線の援護がない中、五回にも大山に2点打を浴びて2失点。5回4安打3失点でマウンドを降りた。今季レギュラーシーズンは17試合に登板し、8勝2敗、防御率2・63。高卒7年目で初めて開幕からローテーションを担い、好成績を残した。だが、9月中旬に新型コロナウイルス陽性判定。無症状だったが離脱を余儀なくされ、1軍での公式戦は8月25日の広島戦(神宮)以来となった。「思ったように体が動かなかったですし、体力がちょっと落ちている部分はあった」。復帰後は2軍でダッシュや強度の高い練習をこなして再度体を作り直し。6日の社会人・東芝との練習試合で1軍復帰すると、5回無失点と好投した。昨季は巨人とのCSファイナルステージ2戦目に登板し、6回2安打無失点でCS初登板勝利。オリックスとの日本シリーズでは133球の熱投で自身初完封を成し遂げた。シーズンは4勝だった左腕が、大きく進化を遂げた瞬間でもあった。「今年はまた相手も違いますし、研究もしてくる。また変わった自分を見せていきたい」。1年の期間を経て再び上がったポストシーズンのマウンド。5回3失点だったが、球団初の2年連続日本一に向けて必死さは伝わってきた。

◆ヤクルト・村上宗隆内野手(22)が必死のヘッドスライディングで執念をみせた。七回に0―3から1点差に追い上げたあとの2死満塁で、投前へのボテボテのゴロに一塁へヘッドスライディング。これが内野安打となり、投手・浜地のグラブトスの悪送球も重なり、走者一掃(打点は1)となって逆転した。村上は笑いを堪え切れず、一塁ベース上で白い歯を見せた。13日の第2戦では阪神・藤浪から0-1の三回2死一塁に左越えの逆転2ラン。CS初本塁打でチームを勝利に導いていた。「とにかく短期決戦は勝てればいい。状態がいい人も悪い人も勝ちに向かって頑張っているので、チーム一丸頑張ります」と意気込んでいた。主砲がチームのために全力プレーをみせた。

◆セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)・ファイナルステージ第3戦が14日、神宮球場で行われ、ヤクルトが6―3で阪神を下し、4勝(アドバンテージ1勝含む)0敗で日本シリーズ進出を決めた。第2戦に勝ち王手をかけていたヤクルトは、先発の高橋が5回3失点で中盤まで劣勢だった。しかし七回、2死満塁から一ゴロ悪送球で2点。さらに満塁とし、村上のボテボテの投手前のゴロが内野安打となり、さらに悪送球も重なり3点を加えた。一挙5点を挙げ逆転した。ヤクルトの日本シリーズ進出は日本一になった昨年に続いて2年連続。昨年は2連勝(ほかにアドバンテージ1勝)のあと引き分けで決まった。3連勝(同)でのセ・CSファイナルステージ突破は2018年の広島以来。球団初の「2年連続日本一」を目指す日本シリーズは、パ・リーグのCSファイナルステージ突破チーム(オリックス―ソフトバンク)を相手に、22日にヤクルトの本拠地・神宮球場で開幕する。

◆阪神は守備のミスが重なり逆転負けを喫し、クライマックスシリーズファイナルステージでの敗退が決まった。四回に陽川の中犠飛で先制すると、五回は大山が中前2点打を放ち、中盤までは3点をリードして試合を優位に進めた。しかし、暗転したのは七回だった。走者を出しながら粘っていた先発・青柳が3四死球で招いた2死満塁で、山崎に一、二塁間へのゴロを打たせるも、一塁・マルテが二塁へ悪送球し、走者2人が生還して1点差。ここで浜地にスイッチするも、2死満塁で対戦した村上の打球も一塁線へのボテボテの当たりとなり、急いで打球を処理した浜地のグラブトスも大きく逸れ、ボールが一塁ファウルゾーンを転々とする間に走者3人がホームを駆け抜けた。阪神は第1、2戦での連敗とアドバンテージの1勝でヤクルトに日本シリーズ進出に王手をかけられていたなか、八、九回にも反撃できず敗戦。クライマックスシリーズ敗退が決まり、今季限りで退任することを表明している矢野燿大監督(53)にとって最後の指揮となった。

◆セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)・ファイナルステージ第3戦が14日、神宮球場で行われ、ヤクルトが6―3で阪神を下し、4勝(アドバンテージ1勝含む)0敗で日本シリーズ進出を決めた。以下、高津臣吾監督(53)の勝利監督インタビュー。--ファンに日本シリーズ出場決定の報告「皆さんの応援がありまして、なんとか日本一になる挑戦権を獲得しました」--今シーズン2回目の胴上げ「毎回、高くなっていくので...。外国人選手が中心となってすごく高く上げてくれるので怖いですね。でもすごく嬉しいです」--5点を奪った七回の攻撃「チャンスも連打もなく、フォワボールで出ることも難しくてあのイニングまでいったんですけど、四死球を絡めて(村上)ムネが素晴らしい当たりを最後ね、打ってくれたので持っている男ですね。ナイスバッティングだったと思います」--村上の気迫は伝わった「ムネだけじゃくて、チーム一丸となってお客さんの後押しもあってあのイニング、得点できたと思います。ムネの素晴らしいヘッドスライディングでね。何度も宗の話をしてしまうけれど、全力でやっている姿そのものだと思います」--今シーズンの中継ぎ投手の評価「リリーフ投手なので毎日準備して、毎日緊張してすごく難しいポジションだと思っています。僕も経験があるんですけど、1年間耐え抜いたリリーフピッチャーには感謝しています」--2年連続日本一に挑む「セ・リーグのチャンピオンとなって、ここで負けるわけにはいかないと。必ず日本シリーズに出たいと思っていました。選手の頑張りが全てですけど、選手に日本シリーズに連れて行ってもらうのと同時に、素晴らしい緊張したハラハラドキドキの日本シリーズを経験させてあげられることは、僕自身もすごく嬉しく思います。92年、93年以来の連覇で、初の連続日本一を目指して頑張りたい」--ファンへメッセージ「終わったばっかりで何とも言えないですけどせっかくつかんだチャンスなので絶対つかみとりたいと思います。われわれはもちろんですけども全国で応援してくれている東京ヤクルトスワローズのファンの皆さんと一緒にそれをつかみにいきたいと思います。みんなで一緒につかみにいきましょう」

◆ヤクルトのオスナがMVPに選ばれた。この日は4打数無安打に終わったが、第1戦の一回の先制3ランで流れを呼び込み、第2戦も2試合連発の2ラン。「とてもいい気分。初戦にいい試合ができた」と誇らしげだった。村上の後を打つ5番が好調で、無傷で日本シリーズ進出を決めた。「日本シリーズも全力で行く」と意気込み、高津監督は「頼もしい。今、いいつながりになっている」と信頼を寄せた。

◆?ヤクルトが昨季に続く通算9度目の日本シリーズ出場を決めた。日本シリーズに2年連続で出場するのは、野村克也監督時代の1992、93年以来29年ぶり2度目。セの出場回数で9度は巨人の36度、中日の10度に次ぐ3番目で、広島の8度を抜いた。?日本シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSを無敗で勝ち上がったのは、昨季のヤクルト、オリックス(ともに最終戦引き分けで突破)に続いて14度目。引き分けなしの無敗で突破したのは、2020年のソフトバンク以来2年ぶり12度目。2年続けて無敗で日本シリーズに勝ち上がったのは、1979、80年の近鉄以来42年ぶり2球団目で、04年以降のプレーオフ、CSでは初めて。

◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(78)は2失策1安打で5点を奪われた七回の守備を振り返りながら、来季に向けて、ポジションの固定を提案した。3-0にリードを広げたあと阪神は六回裏から左翼・陽川に代えて島田を起用し、右翼に入れた。誰もが納得する守備固めだ。阪神の強みはリーグ屈指の投手力。そのまま阪神の強みを生かして抑えていかなければならない。私は右翼を守っていた大山は一塁に回ると思っていた。しかし左翼へ動き、一塁はマルテのままだった。マルテが七回に手痛いエラーをしたから言うわけではない。結果論ではない。エースの青柳が抑えていた。1-0を3-0にした。六回裏に外野の両翼を動かすのであれば、そのまま守備固めに入るべきだ。マルテにもう1打席回るから-よりも、チームの一番の強みである投手力を生かして守り勝つ野球のシフトにしていくべきだった。今年もエラーが多かった。ポジションの動かしすぎも原因だ。大山は三塁から一塁、そして左翼や右翼と守ってきた。佐藤輝も外野と三塁。マルテもCSでは三塁も守った。守備位置が固定されないからエラーもより増える。一方的な試合運びで勝っていておかしくなかったゲームを、そのまま勝てない。リーグで一番ピッチャーがいいのに勝てなかった理由もそこにある。主力選手は守備位置を固定して、そのポジションで鍛えていってほしい。そうしないと、守りのミスを減らすのは難しい。

◆阪神の近本は終戦に涙を流した。「出ている選手が打てないから負けた。僕らが悪い」。入団1年目から矢野監督の下でプレーし、球界を代表するヒットメーカーに成長した。「本当にお世話になった」としみじみと語った。佐藤輝は0―0の二回無死一、二塁でバントを失敗。持ち前の豪打もなく「悔しい。完敗」と不完全燃焼の幕切れに顔をしかめた。矢野監督にはスケールの大きさを期待され、不振でも辛抱して使ってもらった。「メンタルを教えてもらった」と感謝した。

◆「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」のMVPにヤクルトのホセ・オスナ内野手(29)が選ばれ、株式会社JERAの佐野敏弘代表取締役会長から賞金100万円が贈られた。「とにかく甘い球を待って強く振ろうと。いいスイングをできて、それをスタンドに運べたことはうれしいよ」この日は4打数無安打に終わったが、第1戦の一回の先制3ランで流れを呼び込み、第2戦も2試合連発の2ラン。「とてもいい気分。初戦にいい試合ができた」と誇らしげだった。昨年のCSファイナルステージでは、塩見がMVPに選出されずにずっこけたが、今年はオスナが賞金パネルを塩見へ渡す粋な演出をした。村上の後を打つ5番が好調で、無傷で日本シリーズ進出を決めた。「日本シリーズも全力で行く」と意気込み、高津監督は「頼もしい。今、いいつながりになっている」と信頼を寄せた。

◆プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(6試合制)は14日、セ、パ両リーグともに第3戦が行われた。「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」はヤクルトが阪神を6―3で下し、リーグ優勝によるアドバンテージを加えて4勝0敗とし、2年連続で日本シリーズ進出を決めた。2年連続の無敗突破はCS初。3点を追う七回、村上宗隆内野手(22)の投前への適時打などで一挙5得点して逆転した。日本シリーズは22日に神宮で開幕する。無我夢中で走った。執念で一塁へヘッドスライディングした。1点差に詰め寄った七回2死満塁。日本選手最多の56本塁打を放ち、令和初の三冠王に輝いた〝村神様〟が一塁線へ、推定飛距離2メートルのゴロ。投手・浜地のグラブトスしたボールがファウルゾーンを転々とする間に一塁走者も生還した。「何とかあそこで打って決めたいという思いだった。前の各打者が必死に必死に粘って、何とかつなぐんだという姿勢を間近で見ていたので、その気持ちを背負って打席に立った」仲間の思いを背負い、神懸かった逆転劇を呼び込んだ。ヘルメットを取って逆転を確認すると、一塁ベース上で屈託のない笑みを浮かべた。高津監督は場内のインタビューで「素晴らしい当たり、素晴らしいヘッドスライディング。持っている男」と評した。試合後の共同会見で「ムネの〝スクイズ〟」と表現すると、若き主砲は「あれ、わざとです」と笑いを誘った。「何とも言えない気持ちでした」と振り返ったが「いい(当たりの)安打ではなかったが、それも野球。僕の中では満足」と勝利の喜びに浸った。セ・リーグ王者として堂々の突破だ。アドバンテージの1勝を含む4勝0敗とし、2年連続の日本シリーズ進出が決定。2年連続の無敗突破はCS初だ。22日から本拠地・神宮球場で頂点を懸けた戦いが幕を開ける。仲間と高めあった日々が原点だ。村上が「一番リスペクトしています」と敬意を表すのが、2018年の同期入団で5歳上の宮本。2軍生活が続いたプロ1年目は2人で自主練習に励み、日が暮れてもスイングを続ける姿に衝撃を受けた。「とにかく野球に取り組む姿勢や、どん欲さがすごい。常にストイックですし、刺激を受けています。丈さんがいるから、もっとやらないといけないと思える」日本シリーズ進出を決めた執念の一打をお膳立てしたのも宮本だ。この日は阪神・青柳対策として山田に代わって「3番・二塁」で先発出場。七回2死一、二塁で四球を選んでガッツポーズし、打席を回してくれた。形なんか関係ない。仲間のため、勝利を呼び込むのが求める4番の姿だ。目指すは球団初の2年連続日本一。「勝ちに向かって野球を楽しみながら勝てるように」と村上。胸元についた土が何よりの勲章。最高の仲間と最高の栄冠をつかむ。(赤尾裕希)

◆「2022 JERA クライマックスシリーズ(CS) セ」は14日、ファイナルステージ第3戦が行われ、阪神は3-6で敗れ、ヤクルトのアドバンテージを加えて対戦成績0勝4敗で敗退した。矢野虎は最終戦も守乱で逆転負け。課題克服へ、内野守備走塁コーチにオリックスや西武などでコーチを歴任した馬場敏史氏(57)の招へいに動いていることが分かった。V奪回へ、次期監督に内定している岡田彰布氏(64)のもとで鍛え直す。信じられないことばかりのシーズンが、矢野虎の4年間が、目を覆いたくなるような戦いで幕を下ろした。最後まで守乱がつきまとい、3-0の七回に2失策と4四死球が絡み、わずか1安打で5失点し逆転負けだ。どんなときも選手の背中を押し、成長を促してきた矢野監督だったが、勝ち切れない、守れないという大きな課題を残してチームを去る。「しっかり受け止めて、一人一人が成長していくしかない」2021年はヤクルトにゲーム差なしの2位に終わった。22年を迎えると、キャンプイン前日の1月31日に今季限りでの退任を表明。異例の形で突入した3月25日の開幕戦(京セラ)でヤクルトに7点リードから大逆転負けして、そのまま開幕9連敗と歴史的低迷を招いた。なんとか最終盤に3位に滑り込み挑んだCSだったが、0勝3敗からの反撃の1勝が見えてきたと思ったところで、またしても目を疑うような惨状を再現した。矢野監督の下でエースに成長した青柳が、快投から一転、七回に3四死球で2死満塁のピンチを招くと、一ゴロを処理したマルテが二塁へ悪送球し、2失点で1点差に迫られた。2番手の浜地が宮本への四球で傷口を広げると、満塁から村上が放ったボテボテの当たりが投前内野安打に。浜地がグラブトスした白球は、一塁手マルテのはるか頭上を越え、走者一掃となって逆転を許した。わずか1安打で5失点。矢野政権下では4年連続リーグワーストの失策数に苦しんできたチームの弱みが、せきを切ったようにあふれ出て、はね返す力はもうなかった。決着後、矢野監督はすがすがしい表情でヤクルトの高津監督に歩み寄って語り合うと、肩をたたいて同学年の将をたたえた。球場を引き揚げる際は「矢野コール」を受けて虎党に別れを告げた。就任1年目のドラフト1位で秘蔵っ子だった近本は涙を流していた。何が残ったのか。勝ち切れる虎になっていけるのか。チームは近く、正式に岡田彰布氏の監督就任を発表し、生まれ変わる-。今岡真訪、水口栄二両氏が打撃コーチとして入閣する方向となっており、得点力不足の解消に乗り出すことになりそうだ。平田勝男2軍監督は1軍ヘッドコーチへ、嶋田宗彦スコアラーは1軍バッテリーコーチへ配置転換される見込みで、現チームをよく知る存在として次期監督を支える。そして、最大の課題に立ち向かうことになる守備走塁コーチには、昨季まで西武で作戦兼守備走塁コーチを務めた馬場敏史氏を有力候補としていることも新たに分かった。4年連続でAクラスに入り、最終年もCSファイナルステージまで勝ち進みはした。だが、4年間で積み重なった、攻守の課題があぶり出されたポストシーズンだった。区切りのときが訪れ、虎は18年ぶりの優勝を目指し、急ピッチでチームの空気を変えていく。

◆「炎のファイター」が流れていた。アントニオ猪木さんの告別式。そして出棺。日本中が手を合わせたことだろう。猪木さんとのお別れの日に、阪神もシーズンを終えてしまうとは...。しかも、ひどい終戦だ。これが「俺たちの野球」だったのか。猪木さん、あまり関係ないけど、怒ってないかなぁ。格闘技取材には全く縁のない記者生活だったが、一度だけ猪木さんを取材したことがある。芸能担当だった1987年。大女優で夫人の倍賞美津子さんとの離婚騒動の真っただ中。取材に出向き、遠くから写真を撮っていたら、私を発見した猪木さんは、なぜか手招き。逃げようとしたら若手レスラーにつかまり、猪木さんの前へ連れていかれた。「俺は逃げ隠れするのは嫌いだ。何もしゃべらないけれど、写真ぐらい撮らせてやる」そう言って、なぜか、ロダンの「考える人」のポーズを取った。当然、翌日のサンスポは写真デカデカ、見出しは「猪木、離婚を考える人!」だった。言葉を発さなくてもヒーローはヒーローだった。スーパースターの対応に心底感謝した。後日談もある。数日後のプロレス雑誌に、猪木さんのそばで写真を撮る私の姿が掲載されていた。見出しは「猪木に群がるおじゃま虫」。でも、その猪木さんとの〝ツーショット(?!)〟は私の家宝となった。取材する者をワクワクさせてくれるホンモノのスターに出会えたらいいな、と思い続けてこの仕事を続けてきた気がする。誇りある〝おじゃま虫魂〟も持ち続けてきたつもりだ。サンスポのゲストとして甲子園の阪神戦にも来てくれた猪木さんは、いきなり指揮官の「辞める」で始まったことしのタイガースをどう見ていたのだろうか?あの衝撃発言から始まった、前代未聞のシーズンもクライマックスだ。昨夜の紙面総括は運動部長・堀啓介、当番デスク・牧慈。あの1月31日と同じコンビだった。あの日、イマイチ体調が優れなかったデスク牧。当時はオミクロン株が猛威を振るっていた時期だ。会社から「体調に異変があれば、在宅勤務すること」の通達が。部長も容認した。「正直言って、キャンプイン前日の1月31日は1年間でも屈指の〝分かりやすい日〟。12球団の監督やスター選手が、キャンプ地で報道陣の前に出てきて、リップサービスしてくれる。どう書くかだけですから」その時点で堀部長も、牧デスクも、まさか阪神の監督が「今シーズン限りで辞める」なんて言い出すとは夢にも思っていない。「本当は僕が陣頭指揮しなければいけないのに、家にいたんで...」牧にとっては今でも信じられない、そして申し訳なさにさいなまれる〝あの日〟だ。部長・堀も壮絶な日になった。「紙面総括と運動部長とデスクを兼任して、原稿もいっぱい書きました」入社間もないピヨピヨ時代に虎番となり、キャップまで勤め上げた男にとっても、こんな不可思議なシーズンは初めてだった。そんなドタバタの末に、結末も信じられない失策の連続...。忘れましょう。さあ、2023年の岡田阪神がスタートします。

◆こんな展開は予測できなかった。敵失2つに4四死球、1安打で5得点。七回の逆転劇はレギュラーシーズンでもめったに見られないものだ。もっとも、そこに至るまでに、ヤクルトの強さが如実に表れていた。3点ビハインドの六回、七回を、木沢と田口が無失点に抑え、追い上げる余地をキープ。試合を壊さないブルペン陣が、数々の逆転劇を演出してきたことは間違いない。木沢のシーズン9勝がそれを物語っている。攻撃でも、とにかく村上に回そうとの意思統一が、打線全体から見て取れる。相手からすると、村上と山田をマークするだけでは事足りない。その警戒心と圧迫感が四死球を招き、さらにいえばタイムリーエラーにつながったのかもしれない。結論としてヤクルトは、投打の力をいかんなく発揮した。今年の日本シリーズも期待したい。最後にひとつ。投手出身の私としては、青柳の交代シーンが切なかった。失策で2点を失ったとはいえ、打たれたわけではないし、孤軍奮闘できるだけの投手でもある。私がコーチだとしたら「踏ん張ってこい」と背中を押して、せめて同点までは投げさせる。(本紙専属評論家)

◆バンザーイ! やったネ! めでたいねー!! オイオイ、阪神がヤクルトに1勝もできずに散ったから、どーにかなっちまったのかって?いや!! めでたいんです! 現在公開中の映画『千夜、一夜』(久保田直監督)が韓国・釜山国際映画祭で22年ぶりの快挙となる国際映画批評家連盟賞を見事、受賞いたしました~!! パチ、パチ、パチ~!!この映画では、30年前に姿を消した夫を待ち続ける主演の田中裕子さんをひたすら思い続ける漁師の役をオレが演じているのです。皆さん、ぜひ映画館に足を運んでくださ~い! じゃあ今日はこのへんで...。えっ、このへんでじゃなく阪神に触れろ? いや~、矢野阪神、4年間の幕切れが七回のマルテのエラーからって...。結局、課題のザル守備は何も変わらなかったのかと思うと...。てか、3点リードで守備に不安のあるマルテを交代させていなかった? 結局、矢野ガッツは握った拳の間から〝詰め〟が漏れていたんです...。それでも開幕9連敗、最大借金16から虎党を興奮させてくれた矢野監督、お疲れさまでした!!

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