オリックス(☆5対0★)ソフトバンク =クライマックスシリーズ1回戦(2022.10.12)・京セラドーム大阪=
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ソフトバンク
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ORIX
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勝利投手:山本 由伸(1勝0敗0S)
敗戦投手:石川 柊太(0勝1敗0S)

本塁打
【オリックス】吉田 正尚(1号・7回裏ソロ)

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◆オリックスがファイナルステージ初戦を制した。オリックスは4回裏、杉本が押し出し四球を選び、1点を先制する。続く5回には杉本の適時打などで3点を挙げ、リードを広げた。投げては、先発・山本が8回無失点の快投。敗れたソフトバンクは先発・石川が試合をつくれず、打線も精彩を欠いた。

◆12日に開幕するソフトバンクとのCSファイナルステージ(京セラドーム大阪)に先発予定のオリックス山本由伸投手(24)が、必勝宣言だ。初戦を任されたエースは「絶対に勝ちたい」とキッパリ。ソフトバンクはポストシーズン18連勝中、4番の柳田悠岐外野手(34)はレギュラーシーズンから4戦連発中だが、NPB初の2年連続「投手4冠男」が、鷹の勢いを止めて日本一へ突き進む。

◆ソフトバンクが自滅で3点を失った。0-0の4回。先発の石川柊太投手(30)は2四球1安打で1死満塁のピンチを作ると、7番杉本にフルカウントから押し出し四球。思わぬ形で先制を許した。さらに5回だ。2死満塁で2番手大関が5番頓宮、6番西野に連続押し出し四球を献上。大関は6球連続でストライクが入らず、制球に苦しんだ。オリックスは適時打を打たずして3得点。さらに3番手泉が7番杉本に右前打を浴び、5回までで0-4となった。相手先発は難攻不落のエース、山本由伸投手。4点のビハインドが重くのしかかった。

◆パ・リーグCSファイナルステージ第1戦、パ王者のオリックスとCSファーストシリーズを突破した2位のソフトバンクが対戦。先発はオリックスが山本由伸、ソフトバンクは石川柊太。オリックスのエース山本が8回5安打無失点の好投で、ソフトバンクのポストシーズン連勝記録を18で止めた。球数116球で無四球。10三振を奪う快投で、チームを勢いに乗せた。

◆オリックスのエース山本由伸投手(24)が8回5安打無失点の好投で、ソフトバンクのポストシーズン連勝記録を18で止めた。球数116球で無四球。10三振を奪う快投で、チームを勢いに乗せた。これでリーグ王者のオリックスは「1アドバンテージ1ヨシノブ」で2つの星を取り、4つの星が必要となるCSファイナルを好発進した。大逆転連覇から10日後。エースは黙々と決戦のマウンドへ気持ちを向けた。「とにかく集中して頑張りたいという気持ちです。(連覇したが)みんな切り替えている。ワイワイした雰囲気は全くない。集中している空気感です」その言葉通り、ナインは躍動。今季レギュラーシーズンで15勝10敗と勝ち越したソフトバンクを初戦から圧倒した。登板前、エースは必勝宣言していた。「初戦を取ると、かなりリードになると思う。絶対に勝ちたい」。悲願連覇は、最終決戦の「10・2」で成就した。目指すは日本一の頂き-。さらなる高みへ、一歩ずつ地面をかみしめる。【真柴健】ヤクルトとオリックスが勝ち、アドバンテージの1勝を含め2勝。日本シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSで2勝0敗は過去26度あり、25度が進出。突破率は96%と断然有利だ。連敗スタートから突破したのは17年DeNA(対広島)だけ。○...先発出場した杉本が2安打で完全復活を告げた。ともに右方向におっつけた技あり打。4回には先制の押し出し四球も選び、5回の2本目は適時打。今季は不調に加え、夏場にコロナ感染と下半身故障が重なり終盤戦を欠場。最終戦で代打で復帰していた。「由伸が頑張っていたのでなんとか追加点を取るつもりでした。由伸、すごい頼もしかったです」。昨季本塁打王が、日本一への最後のピースになる。○...先制点を含む押し出し四球を3度もらう、めずらしい攻撃になった。序盤は重い展開だったが4回に1死満塁から杉本が見極め、5回は2死満塁から頓宮、西野が連続でボールを選んだ。中嶋監督は試合前に、自軍投手陣に対して「無駄な四球」を厳禁としていた。自滅を誘っての快勝に中嶋監督は「どんな形であれ先制して、それをしっかり守り抜くのは勝つ条件」とうなずいた。

◆ソフトバンクのポストシーズン連勝は「18」で止まった。オリックスに完封負け。山本由伸投手(24)の前に8回5安打無失点と歯が立たなかった。0-1の5回に1死二、三塁の好機をつくったが、8番柳町、9番甲斐が連続三振。レギュラーシーズンから数えて4戦連発中だった頼みの主砲、柳田も4打数無安打と沈黙した。投手陣は3つの押し出し四球を与えるなど自滅。0-4の7回には、5番手甲斐野が吉田正にダメ押しソロを浴びて万事休した。これでアドバンテージを含めて0勝2敗。2位からの日本シリーズ進出を目指すソフトバンクだが、苦しい状況になった。ソフトバンクは5回に大関が頓宮、西野と連続で押し出し四球。プレーオフ、CSで2者連続の押し出しは10年ファイナルS<6>戦杉内(ソフトバンク)14年1S<1>戦大谷(日本ハム)18年1S<1>戦ミランダ(ソフトバンク)に次いで4人目。4回には石川も1度記録。チームで1試合に3度の押し出しは、日本シリーズも含めたポストシーズン(PS)で初めてだった。石川はCS初黒星を喫し、初登板からの連勝が4でストップ。日本シリーズでも4勝0敗で、PSの連勝も8で止まった。

◆ソフトバンク打線は山本にきりきり舞いさせられた。4安打で完封された9月17日以来の対決で、8回5安打無失点と好投され、10三振と歯が立たず。0-1の5回は1死二、三塁の好機をつくったが、8番柳町と9番甲斐が連続三振に倒れた。藤本監督は「相手もエースだから、なかなか。山本君がよかった」と脱帽。4戦連発中だった頼みの主砲柳田も4打数無安打と沈黙した。

◆ソフトバンク投手陣が3つの押し出しを含む8四球を与えて「自滅」した。打線も無得点と完敗。19年からのポストシーズン連勝記録も18でストップ。藤本博史監督(58)の、試合後の一問一答は以下の通り。-5回、8回に2度の得点圏をつくった藤本監督「相手もエースやからね。なかなかね。でもなんとか点を取りたかったけどね。山本くんも良かったね」-柳田は内角攻めされた藤本監督「そうなんですよ。あれをね、吉田正にしなくちゃいけないんですよ。うちがそこをできてないというところですからね。やっぱり山本はそういうコントロールがあって。うちの投手が吉田正に対して、そういう気持ちで行けるかどうかというところですね」-攻める気持ちが必要藤本監督「攻める形というか、こちらは吉田正を申告敬遠して、満塁策を取ったんだけど裏目に出たよね。それはこっちの作戦ミスやし。次回があっても吉田とはあそこで絶対勝負しないと思うし。そこで打たれたらこっちの責任やけど、押し出しというのはもったいないよね」-先制点も押し出しだった藤本監督「難しいよね。満塁で、こっちも申告敬遠して。投手も1点もやれないというね。相手が山本やから、1点の大きさというのが分かっているから、余計に慎重になってストライク入らないと思うけど。そこはね、開き直って思い切って、自分を信じて投げてくれたら良かったんですけどね。石川も初回から飛ばしてくれていたしね。いきなりああいうボール、ボールになって、ストライク入らなくなったところがもったいなかったね」-山本はさすがの投球藤本監督「もう、相手はエースですから。エースだからって点を取れなかったら勝てないわけですからね。まあ、こちらも(5回1死二、三塁で)柳町にスクイズ出すか、1点を取りにいくかということも考えましたけど。右投手で、三塁走者がデスパイネでスクイズというのも難しい。いい投手はスタートが早かったらうまく外せるからね。スクイズのチャンスがあったとは思うんやけどね。これから思い切ってスクイズ出すことも必要かなと思います」-仕切り直し藤本監督「まだ2敗しかしてない。4勝すればいいんでしょ。明日から切り替えて頑張ります」プロ野球12球団 戦力外 退団 移籍 引退選手など/一覧

◆締めは主砲の一撃だった。オリックス吉田正尚外野手(29)が7回、右翼越えにソロを打ち込んだ。5点差に広げるアーチで、初戦勝利を決定づけた。膝元に鋭く食い込む甲斐野のスライダー。見逃せばボールどころか脚に当たりかねない球を、両足で踏ん張りながら思い切りすくい上げた。「うまくボールの下にバットが入ってくれた。ぎりぎりでしたけど、なんとかスタンドまで届いてくれてよかった」と、技ありの一打に満面の笑みを浮かべた。プロ入り後初のポストシーズン進出だった昨年は計9試合で本塁打がなかった。9月に7本塁打の猛打でレギュラーシーズンを終えた4番打者は、CSファイナルにも勢いを持ち込んだ。4回にも先制点につながる中前打を放っていた。今季の出塁率はリーグダントツ4割4分7厘。4割台は12球団でヤクルト村上と2人だけ。4番に座る吉田正の「出塁」を前提として日替わり打線の並びが決まっていく。4回、5回は背番号7がしっかり得点に絡んだ。「1点でも多く、なんとか投手陣を助けて、楽にゲームを運べるように野手陣は頑張っています」。たぐいまれな打撃技術が生み出すものは本塁打だけではない。オリックスの強みを示した。【柏原誠】

◆ソフトバンクが投手陣の「自滅」で、オリックスとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦を落とした。ポストシーズン史上初となる3つの押し出し四球。計8与四球と荒れて、レギュラーシーズン12球団最多の四球数だった制球難があらわになった。19年からのポストシーズン連勝記録は18でストップ。リーグ優勝した相手に1勝のアドバンテージがあるため、これで0勝2敗。ここから仕切り直して、巻き返す。PS史上初の3押し出し四球で、ファーストSを突破してきた勢いを手放した。短期決戦での連勝もついに18で止まった。藤本監督は「相手が山本やから、1点の大きさというのが分かっているから、余計に慎重になってストライク入らないと思うけど...。開き直って思い切って、自分を信じて投げてくれたら良かったんですけどね」。相手エースの好投が重圧となったのか、投手陣が計8与四球と荒れた。3回まで好投を続けていた先発石川は4回に2四球などで1死満塁のピンチを招き、7番の杉本にもフルカウントから四球を与え、押し出しで先制点を献上した。石川は、PS18試合目の登板で初黒星。「初回から中継ぎのつもりで、1人ずつ打ち取っていくという気持ちで、全力で投げました。チームが勝つ投球がしたかった」と唇をかんだ。さらに5回1死二塁から2番手で登板した大関は、吉田正に申告敬遠で満塁策を取った後に、まさかの2者連続押し出し四球。藤本監督は「裏目に出たよね。それはこっちの作戦ミス。打たれたらこっちの責任やけど、押し出しというのはもったいないよね」と、歯がゆそうだった。ソフトバンクは今季、レギュラーシーズンでは12球団ワーストの474四球を与えていた。藤本監督は「無駄な四球を減らさないといけない」と何度も、口酸っぱく繰り返してきた。シーズンを通しての課題が、重要な戦いで露呈してしまった。アドバンテージを含め、これで0勝2敗。指揮官は「まだ2敗しかしてない。4勝すればいいんでしょ。明日から切り替えて頑張ります」と歯切れよく、宣言した。【山本大地】○...中村晃は敗戦の中、マルチ安打と気を吐いた。2回はカウント2-2から山本のフォークを中前に運び、5回は153キロ直球を右前に弾ませた。「とにかく打席では集中して自分のスイングをすることを考えました」。チャンスメークも得点に結びつかず、「明日はチームの勝ちにつながる1本を打てるように頑張っていきたい」と切り替えた。

◆オリックスが先勝し、アドバンテージを含む2勝とした。エース山本由伸(24)が8回無失点の好投。攻撃では3個の押し出し四球で先行し、吉田正尚外野手(29)のソロ弾でダメ押し。快勝でソフトバンクのポストシーズン連勝記録を18で止めた。中嶋聡監督(53)の一問一答は以下の通り。-山本がエースの投球「いつもよりフォークの落ちがよくなかったかなと思ったけど、まっすぐの質、強さが非常にあった」-左打者の内角を突いた「シュート回転する球もあって、何球かは納得できる球じゃないかもしれないけど、要所でしっかり放れたのが勝因だと思う」-完封させることも考えたか「何かあるの? 完封したら。何かもらえるの?」-杉本が活躍「だいぶ調子が上がってきていると思う」-積極的に先の塁を狙った「ほとんどアウトだと思った(笑い)。いい姿勢です」-流れが出た試合「流れを渡すわけにいかないし、どんな形であれ先制して、それを守り抜くのは勝つ条件だと思うので。それを今日はやれました」-監督の気持ちはいつも通りだった「そうですね。短期決戦は短期決戦だけど、だからって特別なことをやって空回りするなら普段通りの方がいい。そりゃあ早めの継投とかいろいろ考えてはいるけど。1年間戦ってきて最後のところなんで、そこで無理させるのもどうかとも思うし。させるところはさせますけど」-吉田正が本塁打「調子はずっといいのでね。あとはその前後の打者がどうやっていくかだと思う。歩かされることもあるし」

◆セ・パの関西2球団が、CSファイナルステージ初戦で明暗を分けた。オリックスはソフトバンク戦に快勝。先発山本由伸投手(24)が8回を5安打10奪三振、無失点の快投で、ポストシーズン18連勝中だった鷹打線を圧倒した。日本シリーズ出場をかけたプレーオフとCSで、2勝0敗チームの突破率は96%を誇り、最高のスタートだ。一方、阪神はリーグ王者ヤクルトに完敗し、黒星発進となった。一瞬、息を止めた。静寂の中で起こる拍手に、山本は大きくうなずいた。「ほんとに1個ずつ。自分の中で切り替えて良い球を投げられました」5回2死二、三塁。甲斐をカウント1-2に追い込むと、エースはマウンドを外した。スタジアムは温かい手拍子で背中を押す。時を止めた直後の71球目。149キロフォークで空振り三振を奪い、大きくほえた。最大のヤマ場だった。先頭から連打を浴び、無死一、二塁から今宮のバントを珍しくお手玉。「サード(封殺)行けると思っていた。ちょっとダメでしたね...」。瞬時の反省で切り替えた。柳町、甲斐を連続三振に仕留め、勝機をグッとたぐり寄せた。8回無失点の好投で、ソフトバンクのポストシーズン連勝記録を18で止めた。球数116球で無四球。10三振を奪う快投で「1アドバンテージ1ヨシノブ」に成功。あと2勝で日本シリーズへの道が開かれる。大舞台を心から楽しむ。野球人という職業と真摯(しんし)に向き合い「イライラする意味がわからない。(練習を)やってない自分が悪い」とストイックな一面を見せる。そんな24歳には、唯一の悩みがある。「眠りが浅くて...。改善しないと」。深い睡眠が取れず、夢にうなされる。温厚で無邪気な笑みを浮かべるエースは「夢の中で怒っていることが多々あります。すごくスッキリして起きる。悪夢は良い夢って言いません? 夢占いに書いてました」とほおを緩める。中嶋監督は山本の好投に「いつも通り」と絶大なる信頼を置く。8回での降板は「完封したら、何かもらえるの? 短期決戦だからって特別なことをやって空回りするなら普段通りの方がいい」との姿勢。初戦を白星で飾ったが「アドバンテージのことは考えていない。その試合をしっかり取りにいきたい」と指揮官は先勝にも慢心はない。エースはお立ち台で宣言する。「あとは、もう...。思い切って2勝をつかみたいと思います!」。13日に勝てば2年連続日本シリーズ進出に王手。昨季同様、一気に決める。【真柴健】○...先制点を含む押し出し四球を3度もらう、めずらしい攻撃になった。序盤は重い展開だったが4回に1死満塁から杉本が見極め、5回は2死満塁から頓宮、西野が連続でボールを選んだ。中嶋監督は試合前に、自軍投手陣に対して「無駄な四球」を厳禁としていた。自滅を誘っての快勝に中嶋監督は「どんな形であれ先制して、それをしっかり守り抜くのは勝つ条件」とうなずいた。○...先発出場した杉本が2安打で完全復活を告げた。ともに右方向におっつけた技あり打。4回には先制の押し出し四球も選び、5回の2本目は適時打。今季は不調に加え、夏場にコロナ感染と下半身故障が重なり終盤戦を欠場。最終戦で代打で復帰していた。「由伸が頑張っていたのでなんとか追加点を取るつもりでした。由伸、すごい頼もしかったです」。昨季本塁打王が、日本一への最後のピースになる。

◆オリックス山本由伸投手が8回無失点。CSでは昨年のロッテ戦完封に次ぎ、通算17回無失点となった。プレーオフ、CSで初登板からの連続イニング無失点では、13~16年マシソン(巨人)の15回2/3を上回る最長。山本は昨年CSのロッテ戦(10個)、日本シリーズのヤクルト戦(11個)に次いでポストシーズン(PS)3度目の2桁奪三振。PSで通算3度以上の2桁奪三振はダルビッシュ有(4度)、石井一久、則本昂大、千賀滉大(各3度)に次ぎ5人目。PSデビュー4試合で3度マークしたのは山本が初めて。

◆エースの堂々たる立ち居振る舞いが、スタジアムの興奮を呼び起こす。オリックス山本由伸投手(24)は、自身の登場曲であるVINAIの「Frontier」が流れると、マウンドに歩を進める。同時に、球場のボルテージは最高潮を迎える。手拍子のタイミングが合わなくなるぐらい、熱狂を呼ぶ。「最初は何もなかったですよね? どんどん手拍子の音も大きくなって、今では一緒に手をたたいて応援してくれる。すごく好き」24歳右腕は一体感を好む。球場スタッフは「本人からもファンが一緒に楽しめるような演出が良いと。試合が始まるゾクゾク感がたまらないですよね」と証言。喜ぶ顔のため、エースは裏方さんにも頼み込む。白熱する短期決戦には「すごく盛り上がるイベント。その舞台で野球ができる。プレーする幸せを感じます」。声出し応援が制限されるコロナ禍に、新たな楽しみ方を教えてくれる。【オリックス担当=真柴健】

◆ソフトバンクが公式ツイッターで、試合前の声出しのようすをアップした。声出しを務めたのは海野隆司捕手(25)。独自のメモを用意して、ナインの爆笑をかっさらった。周囲から「やる気が違う!」と言われていただけに、本人が声出しを志願したようだった。この日の相手先発は山本由伸。「嫌なイメージはあると思います」と始めると「だがしかし、いいイメージを植え付けるために持ってきました」と、自ら用意した紙を取り出した。「三森、対オリックス戦3割越え!(・328) 怖いでしょ~! 佑京(周東)さん、CSファーストステージ、打率・571。絶好調~! マキさん(牧原大)、ファーストステージ打率・429。絶好調~!」先発した野手9人の、ポジティブな数字を次々と打ち明けていった。4番の柳田には「ギータさん、対オリックス戦3割超え(・315)。からの4試合連続ホームラン中。規格外~!」とナインは爆笑だ。その後も9番の甲斐まで〝海ちゃんメモ〟は続いた。海野はシーズンで47試合に出場した3年目捕手。グラウンドに立つ選手だけじゃなく、こんなところからもチームに貢献しようとする若鷹がいる。

◆日本シリーズ進出を目指すオリックスが、貴重な先取点を奪った。0─0の四回。先頭の中川圭が粘って四球を選び、続く吉田正の中前打で無死一、三塁。頓宮は遊飛に倒れたが、西野が四球で満塁とした。絶好機で打席が回ってきた杉本は押し出し四球を選び、右手でガッツポーズ。四回まで無失点と好投するエースの山本に援護点をもたらした。

◆日本シリーズ進出を目指すオリックスが、追加点を奪った。1─0の五回に2死満塁と好機を作り、頓宮が押し出し四球。1点を加え、なおも満塁で続く西野も押し出し四球を選んだ。四回の先取点に続き、押し出し四球で3点差とすると、杉本が右前へ適時打。この試合初の適時打が飛び出し、「追い込まれていましたし、なんとかバットに当てて事を起こそうと思っていたので、いい所に打球が飛んでくれてよかったです!」とコメントを寄せた。

◆パ・リーグ王者のオリックスが先勝。優勝したアドバンテージの1勝に加え、2勝とし、日本シリーズ進出へ一歩前進した。四回に1死満塁から杉本の押し出し四球で先制すると、1-0の五回には2死満塁から頓宮、西野の2者連続での押し出し四球と杉本の右前適時打で一挙3点を挙げ、リードを広げた。4-0の七回には、主砲・吉田正が右翼スタンドへのソロを放ちダメを押した。2年連続投手4冠に輝いた先発の山本は圧巻の投球。五回に1死二、三塁のピンチで、後続を連続三振、5-0の八回には、2死二、三塁でも周東を三振に抑えるなど、8回を5安打無失点、10奪三振と流れを引き寄せた。昨年のCS・ファイナルステージでは、初戦にエース・山本が1-0での完封勝利で勢いに乗り、3試合で日本シリーズに進出した。今季、76勝65敗2分と同率となり優勝を争った両者。まずはオリックスが最終決戦で先手を奪った。

◆ソフトバンクは1戦目を落とし、黒星発進。アドバンテージの1勝を含め、対戦成績を0勝2敗とされた。一回は3者凡退。二回無死、シーズン最後の2試合と西武とのCSファーストステージで2発を放ち〝4試合連発中〟の柳田だ。2度のファウルで追い込まれると、最後は153キロで空振り三振に倒れた。最大のチャンスは0-1の五回だった。無死からデスパイネと中村晃が連打。今宮の犠打で1死二、三塁としたが柳町と甲斐が連続三振。山本も雄叫びをあげながら投球する緊迫の場面だったが、山本の気迫が勝った。八回2死二、三塁でも周東が空振り三振に終わった。山本は8回無失点だった。投手陣は先発の石川が四回1死満塁で杉本に押し出し四球。2番手の大関も五回2死満塁から頓宮、西野に連続で押し出し四球を与えるなど制球面で痛恨の失点が続いた。七回1死には甲斐野が吉田正に右翼席にソロアーチを許した。ソフトバンクはシーズン中、山本由伸と5度対戦して防御率1・93。3勝を献上したが、2度の黒星をつけさせた。藤本監督も「山本君はいい投手。だからといって、構えることもない」と闘志を強調していたが、球界が誇るエースはこの日も手強かった。2019年の楽天とのファーストステージ第2戦から続いていたポストシーズンの連勝は「18」で止まった。

◆オリックスのエース、山本由伸投手(24)が8回116球を投げ、5安打、10奪三振、無失点と圧巻の投球を披露した。打線は3つの押し出し四球のほか、五回に杉本の適時打、七回に4番の吉田正がポストシーズン初本塁打を放ち5得点を挙げた。以下、オリックス・山本のヒーローインタビュー。--初戦でチームを勝利に導いた「ありがとうございます。ほっとした気持ちとうれしい気持ちです」--どんな気持ちでマウンドに「1イニングずつしっかり抑えることを意識して、リードをもらっていたので、点差を守ることを考えて投げました」--五回のピンチは連続三振で切り抜けた「バント処理もアウトにできるのをミスしたのもあったので、気を引き締めて投げました」--好調の柳田の内角を攻めた「一発でチームが勢いに乗る試合が続いていたので、意識して厳しく投げました」--完封した昨年に引き続き初戦で好投「初戦をすごく大事に思っているので、取れて本当に良かったです」--この後の戦いに向け「アドバンテージときょうの1勝でかなりリードできたと思う。また応援よろしくお願いします」

◆オリックスのエース、山本由伸投手(24)が8回116球を投げ、5安打、10奪三振、無失点と圧巻の投球を披露した。打線は3つの押し出し四球のほか、五回に杉本の適時打、七回に4番の吉田正がポストシーズン初本塁打を放ち5得点を挙げた。以下、杉本のヒーローインタビュー。--四回、先制の押し出し四球「ちょっと押し出しでガッツポーズしちゃってダサかったけど、先制につながって良かったです」--五回に適時打「由伸が頑張っていたので、なんとか追加点を取るというつもりで打席に入りました」--山本の投球をどんな気持ちでみていたか「由伸、すごく頼もしかったです」--あす以降に向けて「きょうの1勝はすごく大きいと思うので、油断せずに頑張ります」

◆ソフトバンクは投打がかみ合わず敗戦。オリックスのアドバンテージ1勝を含め、対戦成績は0勝2敗となった。先発の石川柊太投手(30)は4回?を投げて2失点。相手先発の山本由伸投手(24)は8回無失点の好投を許した。試合後、藤本博史監督(58)が代表取材に応じた。主な一問一答は以下の通り。--五回と八回に2死二、三塁としたが無得点「相手もエースだから。何とか点を取りたかったけどね。山本君もよかったね」--柳田も徹底的に内角を攻められた「そうなんですよ。あれを吉田(正)にしないといけない。うちもね。うちができていないというところ。山本はコントロールがあって、うちの投手が吉田に対して当ててもいいくらいの気持ちでいけるかですね。当てちゃいけないけどね」--攻める気持ち「こちらはもう(五回2死二、三塁で)吉田を申告敬遠して、満塁策を取ったけど裏目に出たよね。それはこっちの作戦ミスだと思うし。でも次回も、あそこで吉田と勝負しないと思うし。そこで打たれたらこっちの責任だから。押し出しの四球2つはもったいないよね」--四回1死満塁でも、石川が先制の押し出し四球を与えた「2点が押し出しだから。そこはもうちょっと。難しいよね。満塁でね。こっちは投手が1点もやれないよね。相手も山本やから1点の大きさもわかっていて、余計に慎重になってストライク入らないと思うけど。開き直って、自分を信じて投げてくれたらよかったんですけどね。石川も飛ばしてくれたけど。いきなりボール、ボールと入らなくなったところがもったいなかったね」--山本の内容もよかった「エースですから。でもエースだからといって点を取らないと勝てないから。(五回1死二、三塁で)こちらも柳町にスクイズをいくか、1点を取りに行くかとは当然、考えていますけど。なかなかね、山本のね。右投手で、三走がデスパイネというのもなかなか難しいし。いい投手は、三走のスタートが早かったらうまく外せるからね。何回もやられているし。スクイズのチャンスもあったと思いますけど。これから思い切って(スクイズを)出すことも必要かなと思います」--切り替えるしかない「まだ2敗ですから。4勝すればいい。あしたから切り替えて頑張ります」

◆「10・2」の奇跡のリーグ2連覇から10日。今度は日本一に向け、オリックスが短期決戦に挑んだ。パの王者として臨む大事な初戦。大黒柱の山本由伸投手(24)がファンの声援を受け、先陣を切った。「(1勝の)アドバンテージもあるし、初戦を取るとかなりリードになる。絶対に勝ちたい」今季は主要投手タイトルを総なめの2年連続での4冠。6月18日の西武戦(ベルーナ)ではノーヒットノーランを記録するなど、オリックスにとどまらずもはや球界を代表するエースとなった。昨年、届かなった日本一へ「とにかく全力で投げたい」と悲願に向けて誓っていた。一回から160キロに迫る直球を軸に圧倒。4試合連発中の相手の主砲・柳田を、二回の第1打席に153キロで空振り三振、四回は二直、七回は一ゴロに打ち取った。エースが作った流れに打線も乗った。四回に1死満塁と好機を作り、今季不振にあえいだ杉本が押し出し四球を選び、先制点をもぎ取った。五回には杉本の右前適時打などで3点を追加した。山本は1-0の五回に1死二、三塁のピンチを迎えたが、柳町、甲斐を連続三振。重圧がかかるマウンドでゼロを重ねて、8回無失点とタカ打線を封じ、先勝に貢献した。「ありがとうございます。ほっとした気持ちとうれしい気持ちです」昨年はロッテとのファイナルステージ初戦で完封勝利を挙げたエース。勢いに乗ったチームは3連勝でCSを突破した。昨年果たせなかった日本一へ、完全無欠のエースが導く。(北池良輔)

◆ソフトバンクの石川は五回途中2失点で降板し、ポストシーズン18試合目の登板で初黒星を喫した。4四球を与え、レギュラーシーズンでも崩れる要因となった制球難に苦しんだ。球界屈指の好投手山本との投げ合いで、この2失点が重くのしかかり「チームが勝つ投球がしたかった」と唇をかんだ。「初回から全力で投げた」と、一回に152キロを計測し球威は十分。持ち味のテンポの良い投球で好発進したかに見えた。だが0―0の四回、2四球に安打で1死満塁のピンチを招く。ここで杉本にフルカウントから武器のカーブが大きく外れ、押し出し四球で失点。五回は1死二塁として降板。この回一挙3失点のきっかけをつくってしまった。

◆オリックスのエース、山本由伸投手(24)が8回116球を投げ、5安打、10奪三振、無失点と圧巻の投球を披露した。打線は3つの押し出し四球のほか、五回に杉本の適時打、七回に4番の吉田正がポストシーズン初本塁打を放ち5得点を挙げた。以下、吉田正のヒーローインタビュー。--七回、駄目押しのソロアーチ「ギリギリでしたけど、入ってうれしかったです」--ファイナル初戦で本塁打が出たことについて「あしたからもいいところでまた打てるように、継続したいと思います」--打線としてもいい形で得点を重ねた「1点でも多く投手陣を助けて楽にゲームを運べるようにと野手陣で言っています」--あす以降に向けて「まだ先があります、しびれる展開が増えると思いますので、応援よろしくお願いします」

◆1点が重くなることはわかっていたが、こらえきれなかった。オリックス・エース山本との投げ合いとなったソフトバンク先発・石川柊太投手(30)は、四回に痛恨の3四球などで先制点を献上した。「挑戦者のつもりで。(相手は)素晴らしい投手で、リーグ優勝したチームなので。山本君も素晴らしい投球をしてくると思うので、食らいついていけるように」一回2死、中川圭に左翼線に安打を許す。二塁を狙った中川圭だが、左翼・柳町の好返球でアウトとした。二回無死では吉田正との対戦。142キロで左飛に打ち取った。三回2死一、三塁では紅林を空振り三振と、何とかゼロを並べていった。こらえきれなかったのは四回だ。先頭の中川圭に四球を与えると、吉田正に中前打で無死一、三塁。その後も四球を与えるなど1死満塁とされると、最後は杉本に押し出し四球を与えた。紅林を投ゴロ併殺で最少失点で切り抜けたが、山本が相手だけに先制点の献上だけは避けたかった。石川の与四球「57」はリーグワースト。課題の制球力が、この日も失点につながった。ソフトバンクはシーズン中、山本と5度対戦して防御率1・93。3勝を献上したが、2度の黒星をつけさせた。難敵であることは間違いないが、ここまでくれば勝つしかない。藤本監督も「山本君はいい投手。だからといって、構えることもない」と闘志を強調していた。打線は五回、2安打と犠打で1死二、三塁の絶好機を作った。しかし柳町、甲斐と連続三振。石川は五回途中で降板すると、2番手の大関が2者連続押し出し四球を与えるなど、さらに失点。オリックスの前に1点も奪えず、大事な初戦を落とし、ポストシーズンの連勝は「18」で止まった。(竹村岳)

◆ソフトバンクは山本から好機をつくりながら、攻略できずに無得点に終わり、重要な第1戦を落とした。0―1の五回には無死から連打と犠打で1死二、三塁。しかし、柳町と甲斐はフォークボールを空振りして連続三振に倒れる。直後に3失点して試合の大勢が決まった。藤本監督は「スクイズも考えたが...」と悔やんだ。レギュラーシーズンから4試合連続本塁打と好調だった柳田も、徹底した内角攻めにあって沈黙。九回は一転、2番手平野佳の外角速球に手が出ず、見逃し三振に倒れて顔をしかめた。ソフトバンク・藤本監督「何とか点を取りたかったが、山本も良かった。(五回は)吉田正を申告敬遠したのが裏目に出た。こちらの作戦ミス。開き直って投げてくれれば良かったが」

◆パ・リーグ王者のオリックスが先勝。優勝したアドバンテージの1勝に加え、2勝とし、日本シリーズ進出へ一歩前進した。データBOXは以下の通り。?オリックスはアドバンテージの1勝を含めて対戦成績を2勝0敗とした。日本シリーズ出場を懸けたパのプレーオフ、CSで2勝0敗となったケースは過去17度あり、全て日本シリーズに進出。突破率は100%。?山本が10奪三振。CSでの2桁奪三振は昨季のファイナルステージ第1戦(10個)に次いで2度目。通算2度以上記録したのはソフトバンク・千賀滉大(3度)、西武・松坂大輔、日本ハム・ダルビッシュ有、楽天・則本昂大(各2度)に次いで5人目。

◆球界が誇るオリックスの絶対的エースが、ポストシーズン18連勝中の強敵をねじ伏せた。先発した山本が8回を無失点。無四球と抜群の制球力を見せつけ、チームを日本シリーズ進出へ一歩前進させた。「しっかりストライクゾーンに強いボールを投げられたので、それがすごくいい結果になりました」立ち上がりから圧巻の投球だった。最速156キロの真っすぐに切れ味のある変化球を織り交ぜ、10奪三振。さらに力のある剛速球で柳田や中村晃、牧原大ら左打者の内角をズバズバと突いた。針に糸を通すようなコントロールで強力打線を封じ「いつもは抜けたり、調子が悪いときはシュートして真ん中に入ったりするんですけど、きょうは初回からインコースに決まっていたので、そこもよかったポイント」と納得の表情。中嶋監督も「シュート回転する球もあって、本人としては何球かは納得のするボールじゃないかもしれないけど、要所でしっかり投げられたのが勝因だと思う」と、バッテリーの内角攻めを勝利のポイントに挙げた。チームは1勝のアドバンテージを含めて2勝とし、目標に掲げる日本一への挑戦権にグッと近づいた。ただ、指揮官は「アドバンテージのことは一つも考えていない。あしたの試合をしっかり取りにいきたい」と気を引き締め、エースは「もう2勝。つかみたいと思います」と力を込めた。CSファイナルステージはあくまでも通過点。ここを突破しなければ、ヤクルトに敗れた昨年の日本シリーズのリベンジは果たせない。まずは初戦白星。エース右腕が道を切り開いた。(西垣戸理大)

◆シーズンで出た課題は、そう簡単に改善されるはずもなかった。ポストシーズンの連勝は18でストップ。ソフトバンクは四球連発で失点を重ね、藤本監督の表情も曇っていた。「押し出しだから。そこはもうちょっと。難しいよね」四回1死満塁で先発・石川が杉本に押し出し四球。大きすぎる先制点を献上すると、五回2死満塁でも大関が2者連続の押し出し四球を与えた。石川のシーズン57与四球はリーグワースト。チームとしても474与四球はリーグワーストと、悪い部分がはっきりと出てしまった。指揮官も「開き直って、自分を信じてくれたらよかったんですけど」と肩を落とした。打線は山本の前に沈黙した。0-1の五回1死二、三塁で打席には柳町。藤本監督は「当然、スクイズも考えたけど。三走がデスパイネでは難しい」と強行して柳町と甲斐が連続三振。動こうにも動かせてもらえず、最後までホームベースは踏めなかった。「まだ2敗ですから。あしたから頑張ります」指揮官は必死に前を向いた。課題を受け入れた上で、この瞬間を全力で戦うしかない。(竹村岳)

◆オリックス・山本は、初戦のプレッシャーの中でも自分の投球がしっかりとできる。今のプロ野球で、ベンチやファンの期待に応えることができる投手の筆頭だろう。力のある真っすぐと切れのあるフォークボールに加え、特に良かったのはカーブ。ファーストステージで西武の投手陣を打ち崩してきたソフトバンク打線に、つけ入る隙を与えなかった。ソフトバンクの投手陣には1点もやれないという気負いがあったかもしれないが、相手が山本でなくても、こういう試合にプレッシャーはつきもの。押し出し四球で3失点は論外だ。直接対決ではなかったものの、2日のレギュラーシーズン最終戦で逆転勝ちで優勝したオリックスと、逆転負けで優勝を逃したソフトバンクの差がそのまま出たように思う。完敗は惜敗よりも気持ちを切り替えやすいものだが、それは長丁場のレギュラーシーズンの話。試合内容に関係なく、短期決戦での1敗は重い。オリックスに大きく傾いている流れを引き戻すのは、かなり苦労する。ソフトバンクは先発が踏ん張っている間に先制し、主導権を握ることだ。(本紙専属評論家)

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