DeNA(☆1対0★)阪神 =クライマックスシリーズ2回戦(2022.10.09)・横浜スタジアム=
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阪神
0000000000200
DeNA
00001000X1500
勝利投手:大貫 晋一(1勝0敗0S)
(セーブ:山﨑 康晃(0勝0敗1S))
敗戦投手:伊藤 将司(0勝1敗0S)
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◆DeNAがファーストステージ突破に逆王手をかけた。DeNAは両軍無得点で迎えた5回裏、無死二三塁の好機で大和が適時打を放ち、1点を先制する。投げては、先発・大貫が7回途中無失点の好投。その後は伊勢、山崎とつないで逃げ切った。敗れた阪神は、2安打無得点と打線が沈黙した。

◆DeNA三浦大輔監督(48)が、試合前取材に応じ、第2戦にかける思いを語った。8日の第1戦は、阪神の強力投手陣の前に0封負け。CSファイナルステージ進出に向け、崖っぷちの第2戦に「負けられないですからね。後がない状況ってしびれますけど、そういう試合ができるってことをね、しかもホームでできるって喜びを感じて、全員で勝ちにいきます」と力を込めた。

◆DeNA三浦大輔監督(48)が9日、試合前取材に応じ、リードオフマンの桑原将志外野手(29)の奮起に期待した。8日の第1戦は、4打数無安打と凡退。9日に先発予定の伊藤将とは今季14打数1安打だが、満塁本塁打を放った。三浦大輔監督(48)は「桑が元気なところを見せてくれないと打線も活気づかないですしね。ちょっと空回りしているところがありますけど、打てない分、守りでもチームを引っ張ってくれていますし、きっかけをつかめるように。シーズン中ほど、悠長なことは言ってられないですけれど、やるしかないですから」と期待を込めた。

◆スタメンが発表された。勝てばステージ突破の阪神の上位打線は不動。初戦で4安打の中野拓夢内野手(26)が1番、決勝打を含む3安打の近本光司外野手(27)が3番。7番に2年目の高寺望夢内野手(19)を抜てきした。あとがないDeNAは阪神の左腕、伊藤将司(26)に合わせて右打者を並べた。レギュラーシーズンではほとんどなかった1番に大田泰示外野手(33)を入れた。初戦で先発を外れた宮崎敏郎内野手(33)とネフタリ・ソト外野手(33)も名を連ねた。

◆予告先発が発表され、阪神才木浩人投手(23)が10日の最終戦で先発を務める。下克上からの日本一を目指すチームに取って、絶対に落とせない一戦で右腕が託された。「すごく大事な試合になると思う。しっかり良い流れを先発でもっていけるようにしっかりピッチングできたらいいかなと思います」と気を引き締めた。ポイントには立ち上がりの投球を挙げ「初回が大事になると思う。そこをしっかり抑えて0で帰ることを一番に考えて、いけるところまで0で抑えられるようにできたらいいと思います」と意気込んだ。前回登板の2日ヤクルト戦(甲子園)では、延長10回から登板し、3回4安打無失点と粘投。今季、右肘のトミー・ジョン手術から復帰し、9試合で4勝1敗の成績を残し復活を遂げていた。DeNAは浜口遥大投手(27)が先発する。

◆DeNAネフタリ・ソト内野手(33)が、チーム初安打となる遊撃への内野安打をマークした。0-0の2回2死、フルカウントからの6球目を三遊間にはじき返し、一塁に全力疾走した。8日の第1戦では「青柳対策」で左打者を6人並べるオーダーを組み、ベンチスタート。2点ビハインドの7回2死から代打で出場し、二塁打を放ち、9回にも中前打を放った。今CSでは、3打席連続安打をマークし、シーズン終盤からの好調をキープする。

◆DeNA森敬斗内野手(20)が、丸刈りでグラウンドに現れた。経緯などの詳細は不明だが、阪神戦の試合前練習の円陣で明らかになって、報道陣を驚かせた。森は、8日の第1戦に「7番遊撃」でスタメン出場。2打数無安打で途中交代した。

◆DeNA大和内野手(34)が勝負強さを発揮し、先制の適時打をマークした。0-0の5回無死二、三塁、フルカウントから阪神伊藤将司の内角直球を中前にはじき返した。三塁勝者の宮崎に続き、二塁走者のソトも三塁を回ったが、本塁タッチアウト。2点目は逃したが、欲しかった先取点を奪った。

◆DeNA三浦大輔監督(48)が、コリジョンルール適用を訴えリクエストしたが、認められなかった。0-0の5回無死二、三塁から大和が中前打を放ち、三塁走者の宮崎が生還して先制。さらに二塁からソトも本塁を狙ったが、中堅近本の好返球でタッチアウトになった。この際、捕手梅野が走者の走路をふさいでブロックしたのではないかと三浦監督がリクエストを要求した。小林審判は「リプレー検証の結果、コリジョンルールを適用せず、判定通り、アウトと致します」と説明した。

◆阪神伊藤将司投手(26)が5回4安打1失点でマウンドを降りた。初回は3者凡退と好スタートを切り、4回まで二塁を踏ませない安定した投球を続けた。だが、0-0の5回に試合が動いた。先頭の宮崎が左前打で出塁。続くソトに右越え二塁打を打たれ、無死二、三塁とピンチを招く。そして、大和に直球を中前にはじき返されて1点を献上。送球の間にソトも三塁を回ったが、本塁でタッチアウトとなった。三浦監督がコリジョンルールによるリクエストを要求したが、判定は覆らなかった。その後は追加点は与えず、6回で打順が回ってきたところで代打北條が送られた。今季はDeNA戦に5試合登板し、防御率は1・58と好相性だった伊藤将。この日も最少失点にとどめ、リリーフ陣へバトンを渡した。

◆「伊勢大明神」が、チームを救った。DeNA伊勢大夢投手(24)が、1死三塁の大ピンチを脱した。1点リードの7回1死三塁から登板。3番近本を150キロの速球で三邪飛、4番大山を149キロの速球で中飛にねじ伏せた。9月22日の巨人戦では、3点リードの8回無死満塁で4番中田、5番岡本和、代打中島を抑え込んだが、この日もピンチで存在感を示した。

◆初戦を取った阪神はDeNAに完封負けを喫し、1勝1敗のタイに。ファイナルステージ進出へDeNAに逆王手をかけられた。第1戦に続き、ロースコアの展開。先発の伊藤将司投手(26)は5回無死二、三塁から先制を許した。ただ、近本光司外野手(27)の好返球もあり最少失点で切り抜け、5回4安打3奪三振1失点でマウンドを降りた。反撃に出たい打線だったが、今季球団ワーストの26度の完封負けを食らった打線が沈黙。DeNA先発大貫に6回まで初回の近本の中前打のみと抑え込まれた。7回に先頭の中野拓夢内野手(26)が内野安打と盗塁、そして2番糸原健斗内野手(29)が犠打を決めて1死三塁に。ここで大貫から2番手伊勢に代わったが、3番近本、4番大山悠輔内野手(27)が凡退して好機を生かせなかった。その後もDeNA投手陣から得点を奪えず、決着は第3戦へと持ち越された。阪神はファイナルステージ進出へ、第3戦では勝利が必須条件。初戦に勝てば突破確率は84%。中止の20年を挟んで16年から5年連続で3位球団が勝ち上がっているなど、阪神に有利なデータが並ぶのは変わらない。ただ、敗れるか、引き分けなら今季限りでの退任を発表している矢野燿大監督(53)のラストゲームとなる。

◆ブルペン待機していた阪神西純矢投手(21)が2番手で登板し、2回1安打無失点の好リリーフを見せた。1点ビハインドの6回にマウンドへ。6回は3者凡退。7回はDeNA先頭の牧に右翼フェンス直撃打で出塁を許し、犠打で1死二塁とされた。しかしソトを申告敬遠で一、二塁と塁を埋めた後、大和を三併殺打に仕留めて得点を許さなかった。西純のポストシーズンでの登板はこれが初めて。しびれる展開で自分の役割を果たした。

◆初戦を取った阪神はDeNAに完封負けを喫し、1勝1敗のタイに。ファイナルステージ進出へDeNAに逆王手をかけられた。

◆DeNAが、CSファーストステージ第2戦で阪神に雪辱し、1勝1敗のタイに持ち込んだ。0-0の5回無死二、三塁から大和が先制の中前適時打。難敵の阪神伊藤将から、3連打で1点をもぎ取った。守っては、先発の大貫が7回途中無失点の好投。7回1死三塁では2番手伊勢がピンチを脱し、回またぎで8回も無失点、9回は山崎が締めた。大貫が10奪三振、2番手の伊勢が3奪三振、山崎が1奪三振で阪神打線から計14奪三振をマークした。

◆阪神がDeNA投手陣にわずか2安打に抑え込まれ完封負けし、1勝1敗のタイに持ち込まれた。先発の伊藤将司投手(26)が5回に1点を奪われたが、6回からは第2先発の西純矢投手(21)が2イニング、8回はカイル・ケラー投手(29)が無失点に抑えた。だが、打線が14三振を喫するなどつながらなかった。矢野燿大監督(53)は、大事な第3戦の先発を「前向きなヤツなんで」と、今季右肘手術から復帰し4勝を挙げた才木浩人投手(23)に託す。試合後の一問一答は以下の通り。-先発の伊藤将は、彼らしい投球をしていた。「こういう展開やしね、丁寧に丁寧に投げているのはよく分かったし。近本のあのバックホームで1点でおさまったんで、流れを変えられるかなっていう感じはあったし。将司はしっかり投げてくれたと思います」-対するDeNA先発の大貫は気迫の投球をしていた。「立ち上がりは、そんなにいいかなっていう感じはなかった。ちょっと乗せてしまったかなっていう感じはあったけど、回を追うごとに制球も良くなったっていう感じもあったので」-打線は14三振。「三振もアウトも一緒やろ」-7回は数少ないチャンス。「向こうも勝負にいって、こっちも勝負にいっているところなんやから、それは打てることもあれば、今日みたいに打てないこともあるので、その分、明日打ってくれると思うので」-明日は才木が大事な第3戦の先発マウンドに上がる。「前向きなヤツなんで。どんな状況でも、何というかポジティブに捉えられるマインドっていうかそういうものを持ってるんで。ある意味、意気に感じて投げられるタイプなんで。そういう気持ちで投げてくれたらいいと思います」-監督としては明日大事な試合になると思う「いやいや、ずっと試合なんで。別に明日も今日も変わらないんで。明日も全員の野球をするだけなんで。別に何も変わらない」-明日勝てばファイナルステージへとつながり、負ければ終わり「いや、だからオレはもう退任するって発表してから毎日毎日、今日っていうのは返ってこないから。それが明日ね、つなげられるのかつなげられないのかはあるけど。毎日辞めると言ってから今日の日は返ってこないと思ってやってるんで、別にそれは変わらない」

◆DeNAが、CSファーストステージ第2戦で阪神に雪辱し、1勝1敗のタイに持ち込んだ。大和の適時打で奪った1点を先発大貫、2番手の伊勢、3番手の山崎が無失点リレーで抑えた。試合後の三浦監督のグラウンドでのインタビューの一問一答は以下の通り。-両先発の投げ合いはどうだったか三浦監督 本当に大貫が、丁寧に丁寧に投げてくれたと思います。-7回1死三塁で伊勢投入の決断は三浦監督 あの回から伊勢は準備してもらってましたし、もう1点もやれないところで伊勢に託しました。見事に期待に応えてくれました。-伊勢のイニングまたぎも念頭にあったのか三浦監督 はい、球数も少なかったですし、もちろん、連投になってましたけど、もう1イニング、伊勢に任せました。-3投手で計14三振を奪った三浦監督 3投手とも、素晴らしいピッチングをしてくれましたし、キャッチャーの伊藤光が本当に素晴らしいリードをしてくれました。-5回の攻撃、大和の先制打は三浦監督 少ないチャンスだと思ってましたけど、そこで連打で最後、大和が勝負強いバッティングを見せてくれました。-昨日は0-2、今日は1-0で僅差のゲームが続くが、明日に向けて三浦監督 今日もたくさんのDeNAファンの方々に球場に駆けつけていただき、選手たちに力を与えてくれました。明日もよろしくお願いします。

◆DeNA宮崎敏郎内野手(33)が、プロ初の犠打を決めた。1点リードの7回無死一塁。2ボールから阪神西純の146キロの直球を一塁線に転がした。「バントも頭に入っていたので、準備はできていました。しっかり決められて良かった」とコメント。CS前の練習中に犠打の可能性があることを伝えた三浦監督は「うまかったですね。ナイスバントです。ベンチもグッと気持ちが1つになった」とたたえた。

◆DeNAがプレーオフ、CS史上9度目となる1-0勝利で、1勝1敗に追いついた。3試合制のプレーオフ、CSで1勝1敗は過去18度あり、逆王手をかけたチームが<3>戦も勝ったのは5度で、突破確率は28%。DeNAと阪神が1Sで対戦するのは17、19年に次いで3度目だが、17年はDeNAが●○○、19年は阪神が○●○で突破。3度目の今回はどちらが勝ち上がるか。

◆「得点圏の鬼」と称される大和内野手(34)が、持ち前の勝負強さを発揮した。0-0の5回無死二、三塁、フルカウントから阪神伊藤将の内角直球を中前にはじき返した。試合前に田代巡回打撃コーチから「今日は頼むぞ」と声を掛けられ「プレッシャーをかけられたので、何とか打ってやろうと思った」と闘志を燃やし、結果で応えた。三浦監督は「勝負強い打撃をしてくれた」と評価した。▽DeNA山崎(9回に登板し1奪三振の無失点でセーブ)「CSということもあり、非常に力の入る場面でした。きっちり3人で締めることができてよかったです」プロ野球12球団 戦力外 退団 移籍 引退選手など/一覧

◆阪神がDeNA投手陣にわずか2安打に抑え込まれ完封負けし、1勝1敗のタイに持ち込まれた。5回に1点を失ったものの、コリジョンルールぎりぎりのプレーで2点目を防いだ。無死二、三塁から大和に先制の中前打を浴びたが中堅近本の好返球で2人目は刺した。タイミングも余裕があったが、捕手梅野の捕球位置が走路上だったことから、DeNA三浦監督がリクエスト。リプレー検証でも判定は覆らなかった。矢野監督は「あのバックホームで1点で収まったので、流れを変えられるかなという感じはあった」と振り返った。プロ野球12球団 戦力外 退団 移籍 引退選手など/一覧

◆阪神高卒2年目19歳の高寺望夢内野手が7番二塁で、球団の10代野手では初となるCS出場を果たした。大貫の前に2打席三振に倒れ、8回の打席は代打ロハスが送られた。CS前に「緊張すると思うけど、思い切ってやりたい」と意気込んでいた通り、ゴロを3個さばくなど安定感ある守備を披露。攻守両面で貴重な経験を積んだ。球団の10代投手では、13年に19歳の藤浪が広島戦で先発登板した例がある。プロ野球12球団 戦力外 退団 移籍 引退選手など/一覧

◆DeNA-阪神のクライマックスシリーズ第3戦は、読売テレビ(大阪市)がマルチ編成のサブチャンネルで放送する。同局が9日、発表した。10日午後1時55分から午後5時53分の予定で、関西ローカルで生放送する。野球中継を試合開始からマルチ編成するのは、同局では初の試み。レギュラー番組、野球中継を両立させる。解説には阪神OBの赤星憲広氏、スペシャルゲストに今季限りで現役を引退した福留孝介氏を迎える。

◆DeNAが誇る"伊勢大明神"が、チームの窮地を救った。負ければ、敗退が決まる「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」ファーストステージ第2戦。1点リードの7回1死三塁から登板した伊勢大夢投手(24)が大ピンチを脱し、イニングまたぎの8回は3者連続三振に抑えた。先発大貫、3番手山崎の3投手で14奪三振をマークし、セ・リーグのプレーオフ、CS最多を更新。逆王手をかけ、第3戦に勝つか引き分けでファイナルステージ進出が決まる。1点リードの7回1死三塁、ハマスタでは今季42回目のあのメロディーが「伊勢大明神」の登場の合図だった。伊勢は「ボールは絶対に強く、強く投げないと後悔する」と闘志むき出しで直球勝負。近本を初球の高め150キロで三邪飛、大山を1ストライクから149キロで中飛にねじ伏せ、珍しくガッツポーズした。伊勢 自信を持ってる真っすぐで絶対打ち取ってやるという気持ちで投げた。(ガッツポーズは)どうにか盛り上げて、まだまだいくぞという思いで。大ピンチ脱出の後には、奪三振ショーを演じた。続投した8回は「正直、ちょっとびびっているところはあったんですけど、攻撃の時間に気持ちを入れて」と原口、佐藤輝、代打のロハスを3者連続三振。"伊勢の18球"で流れを断ち、崖っぷちの第2戦で"反撃"の1勝をたぐり寄せた。3投手のリレーで新たな歴史も刻んだ。大貫がプロ入り初の10奪三振。伊勢が3奪三振、9回を締めた山崎が1奪三振と重ね、セ・リーグのプレーオフ、CS最多の14奪三振を記録した。三浦監督は「3投手とも素晴らしいピッチングをしてくれたし、伊藤光が本当に素晴らしいリードをしてくれた」と称賛した。雪辱を誓ったこの日は森が丸刈りで登場。チーム一丸で守り勝ち、ファイナルステージ進出へ逆王手をかけた。この日は第1戦をさらに更新するハマスタ史上最多動員の3万3037人を記録。三浦監督は「今日もたくさんのDeNAファンの方々に駆けつけていただき、選手たちに力を与えてくれた。明日も全員で戦います」と"横浜一心"を誓った。【久保賢吾】▽DeNA大貫(CS初先発で6回1/3を2安打無失点10奪三振と好投)「いろんな人にたくさんプレッシャーをかけられていたので、ある意味、開き直って投げられた」CS初登板の大貫が10三振を奪って勝利投手。プレーオフ、CSで2桁奪三振は12人、17度目となり、初登板では21年ファイナルS<1>戦山本(オリックス)以来8人目。公式戦の大貫は9奪三振が最多で、公式戦で2桁奪三振を記録したことがない投手がプレーオフ、CSで10三振を奪ったのは初めてだ。DeNAは伊勢、山崎と合わせて14奪三振。プレーオフ、CSのチーム1試合最多奪三振記録は08年2S<4>戦西武の15個(延長では14年ファイナルS<5>戦日本ハムの18個)だが、セ・リーグでは過去2度あった13個を抜いて最多となった。▽DeNA浜口(先発予定の第3戦に向け)「相手どうこうより、自分のボールでしっかりと勝負できるかどうか。意識するところはもちろんありますが、いかにいつも通り戦えるかというところが大事になる」

◆勝つしかない! 矢野タイガースが一転、窮地に追い込まれた。先勝して臨んだ「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」ファーストステージ第2戦。"今季9度目"の0-1負けで、突破への逆王手をかけられた。10日の第3戦で引き分け以下なら、その時点で矢野燿大監督(53)が率いた4年間が幕を閉じる。指揮官は運命の一戦の先発を6年目右腕の才木浩人投手(23)に託し、必勝を期した。雨が降りしきるハマスタでDeNAに逆王手をかけられた。スコアボードに刻まれた9個の0。快勝で初戦をもぎ取り、勢いに乗って臨んだ第2戦のはずが、レギュラーシーズンから"今季9度目"の0-1完封負け。一気の押し出しでファーストステージ突破を目指したが、逆に土俵際まで追い込まれた。第3戦に引き分け以下ならその瞬間、4シーズンに及んだ矢野阪神が終わりを迎える。先発の大貫に7回途中まで2安打。佐藤輝、原口が2三振し、7回の1死三塁の同点機では期待の近本と大山が凡退した。計14三振はポストシーズンでセ界ワーストだ。矢野監督も悔しさを隠せなかった。「(大貫は)ちょっと乗せてしまったかなっていう感じはあったけど、回を追うごとにコントロールも良くなった。三振? 三振もアウトも一緒やろ」と唇をかんだ。今日10日の第3戦、勝つしか下克上日本一への道は開けない。指揮官が命運を託したのは、6年目右腕の才木だ。右肘のトミー・ジョン手術を経て7月の中日戦で3年ぶりに1軍登板し、涙の復活を遂げるなど4勝をマーク。2軍監督時代も含め、はい上がってきた姿を間近で見てきただけに迷いはなかった。「前向きなヤツなんで、どんな状況でもポジティブに捉えられるマインドを持ってる。ある意味、意気に感じて投げられるタイプ。そういう気持ちで投げてくれたら」。 才木も気合十分だ。「すごく大事な試合。しっかり良い流れを先発でもっていけるようにしっかりピッチングできたら」と引き締めた。スタンドが真っ青に染まる敵地横浜でも動じない。「クライマックスこその雰囲気もあると思う。楽しみたい。初回が大事になるので、0点で帰ることを一番に、いけるところまでしっかり投げられたら」。矢野監督は才木への援護を求めた。「明日打ってくれると思う」。10・10がラストゲームとなってしまうのか。運命の一戦を前に「ずっと大事な試合なんで。別に明日も今日も変わらない。明日も全員の野球をするだけ」といつもの言葉を繰り返した。矢野タイガースのドラマには、続きがあると信じたい。【桝井聡】○...井上ヘッドコーチが第3戦DeNA先発の浜口攻略へ策を練る。今季は4試合対戦して2勝2敗。防御率1.82。だが「もともとはそんなに不得手な投手じゃない」と話すように、昨年は1勝3敗、防御率5.49と打ち込んだ。「早いうちに1打席目、2打席目に悠輔(大山)に1本出てくれたら流れもくる。今季打率3割3分3厘(6打数2安打)、1本塁打、3打点と好相性の4番に期待した。

◆ポストシーズン初登板の阪神西純矢投手(21)が、2番手で2回を無失点に抑えた。シーズンでは1度だけだった救援登板。1点ビハインドの6回は3者凡退、7回は1死一、二塁を三ゴロ併殺でしのいだ。初戦からブルペン待機していた右腕は「自分の役割は果たせたかなと思います。先発と中継ぎであまり変わらず、目の前の打者を抑えることだけに集中しました」とキリリ。9月のリリーフ経験が生きたとも明かした。○...ポストシーズン初先発の伊藤将は、5回4安打1失点と踏ん張ったが敗戦投手になった。「一発勝負なので、シーズンと違った緊張感があった。長いイニングを投げるつもりもなかったので」。初戦の青柳と同様、初回から飛ばした。5回には先頭の宮崎から3連打で1点を失ったが、大崩れせず5回を投げ切った。「負けてしまったけど、自分の投球はよかったんじゃないかなと思う」。昨年のCSは救援登板。今回得た収穫は大きかった。○...ケラーがCS初登板で1回をぴしゃりと抑えた。1点ビハインドの8回先頭の伊藤光は中飛に斬り、代打関根は3球で空振り三振。最後は大田を155キロの直球で空振り三振と危なげなかった。「大事なゲームで投げられるのは光栄なこと。多少の緊張感はありましたけど緊張しすぎず、ほどよい緊張感で投げることができました」と納得顔だった。

◆DeNAが、本拠地横浜スタジアムでの日曜日のデーゲームで今季初勝利を挙げ、1勝1敗のタイに持ち込み、CSファイナルステージ進出に向け、逆王手をかけた。0-0の5回無死二、三塁から大和が先制の中前適時打。この1点を大貫、伊勢、山崎の無失点リレーで守り切った。大貫が10奪三振、伊勢が3奪三振、山崎が1奪三振と3投手で14奪三振をマークし、セ・リーグのプレーオフ、CS最多記録を更新した。今季は、日曜日のハマスタでのデーゲーム初戦だった開幕カードの広島戦の3戦目に敗れ、同条件では8戦8敗とシーズンでは全敗だったが、負ければCS敗退の崖っぷちの一戦で負の連鎖を止めた。今季、苦しめられた「魔の日曜日」を突破。10日の第3戦でファイナルステージ進出を目指す。

◆先勝した阪神が逆王手をかけられた。過去の3試合制のプレーオフ、CSで1勝1敗に追いつかれた延べ18チームのうち、<3>戦で勝ったのは過去13度。突破する確率は72%。数字上はまだ阪神が有利だが...。レギュラーシーズン勝率5割未満でCSに出場した過去7球団のうち、ファーストステージを突破したのは4チーム。このうち13年広島、18年巨人、21年巨人は○○でファイナルステージ出場。○●○での突破は16年DeNAだけだ。阪神が14三振。プレーオフ、CSでは、08年第2ステージ<4>戦で日本ハムが西武戦で記録した15三振が最多。セ・リーグでは07年第2ステージ<3>戦巨人、09年第2ステージ<2>戦中日の13三振を超え、最多を更新した。阪神のCSでの0-1敗戦は史上初。日本シリーズでは、14年ソフトバンク戦第5戦の1度。阪神のポストシーズン試合での2安打は、球団最少タイ。CSでは19年ファイナルステージ巨人戦第4戦以来。日本シリーズでは64年南海戦6回戦で、スタンカに完封を許して以来。

◆DeNA・森敬斗内野手(20)が、試合前の練習に高校時代を思い起こさせるような「丸刈り頭」で姿を見せた。前日8日の0―2で敗れた第1戦では「7番・遊撃」でスタメン起用されたが、守備では三回に中野の遊ゴロを握り損ねるミス(記録は内野安打)、打撃では五回無死一塁の第2打席に送りバントを試みるもファウル、見逃しで追い込まれ、最後は3球三振に倒れるなど、ほろ苦いCSデビューとなっていた。

◆両軍のスターティングメンバーが発表された。阪神は伊藤将司投手(26)が先発する。今季、DeNA戦は2勝2敗、防御率1・58の好成績。安定感抜群の左腕がファイナル進出へ導く。打線は矢野監督からキーマンに挙げられ、第1戦で4安打をマークした中野が「1番・遊撃」。19歳の高寺が「7番・二塁」で先発出場となった。

◆第1戦に敗れ、後がないDeNAがCSファーストステージ第2戦のスタメンを発表。1番に大田を起用。宮崎とソトがスタメン入りし、阪神先発の伊藤将に対し、佐野を除く右打者8人が並んだ。大貫と伊藤光のバッテリーで臨む。

◆阪神が先制点を許した。先発・伊藤将司投手(26)が五回につかまった。四回までDeNA打線をわずか1安打に抑えていた伊藤将だったが、五回先頭の宮崎に左前打を許した。続くソトに初球141㌔をとらえられ、右翼線へ二塁打。無死二、三塁のピンチで7番・大和を迎えた。フルカウントから6球目、143㌔をとらえられ、中前打。先制点を奪われた。ただ、二走・ソトは、中堅手・近本からの好返球でタッチアウト。DeNAがコリジョンルールの適用を訴え、リクエストを要求も、リプレー検証の結果、判定通りアウトとなった。打線は五回までDeNAの先発・大貫の前に近本が放った1安打のみと抑えられている。

◆DeNA・大和内野手(34)が先制打を放った。阪神・伊藤将の前に四回まで1安打に抑えられていたが、五回に先頭の宮崎が左前打で出塁。続くソトが右翼線二塁打を放ち無死二、三塁とすると、ベテランの大和がカウント3-2から中前適時打を放った。二走のソトは本塁突入を試みたが、タッチアウト。DeNA・三浦監督はコリジョンルールの適用を求めてリプレー検証をリクエストしたが、判定は覆らなかった。大和は2017年オフにフリーエージェントとなり、阪神からDeNAに移籍した。

◆阪神の先発・伊藤将司投手(26)は5回4安打1失点で降板した。一回は大田、桑原、佐野を三者凡退に料理。二回2死からソトに遊撃内野安打を許したが、大和を三ゴロに仕留めた。三回、四回はいずれも危なげなく三者凡退。大貫と白熱の投手戦を繰り広げた。しかし、五回先頭の宮崎に左前打を許すと、続くソトに初球141㌔をとらえられ、右翼線へ二塁打。無死二、三塁のピンチ。大和に中前打を浴び、先制点を奪われた。伊藤将は六回の攻撃で代打を送られ降板。2番手には西純が上がった。

◆DeNA・大貫晋一投手(28)が六回まで今季最多の10奪三振の力投を披露している。一回に第1戦で4安打の中野から空振り三振を奪い、二回以降も毎回奪三振。五回に大和の先制打で1点の援護をもらうと、六回は7番・高寺、8番・梅野、9番の代打・北條をいずれも三振に。五回2死からの佐藤輝から4者連続三振となった。大貫は今季レギュラーシーズンの1試合最多は8奪三振。この日、CSの大舞台で今季自己最多をマークする快投を披露している。

◆DeNA・大和内野手(34)が0-0の五回に均衡を破る先制打を放った。「チャンスだったので、何とかランナーをかえすことだけを考えて打席に入りました。良い結果となり良かったです」阪神・伊藤将の前に四回まで1安打に抑えられていたが、五回に先頭の宮崎が左前打で出塁。続くソトが右翼線へ二塁打を放ち、無死二、三塁となったところで、大和はカウント3-2から中前適時打を放った。

◆阪神が同点の絶好機を逃した。0-1で迎えた七回。先頭の中野が遊撃内野安打を放つと、続く糸原の初球で二盗に成功。矢野監督からキーマンにあげられた男が自慢の足で魅せると、糸原がしっかりと犠打を決め、1死三塁の好機を作った。DeNAはここで先発の大貫から伊勢にスイッチ。打席には第1戦で決勝打を放った近本が向かった。しかし、初球150㌔直球に痛恨の三邪飛。続く大山も中飛に倒れ、同点に追いつくことができなかった。

◆DeNA・三浦大輔監督(48)が勝利へ執念の采配をみせた。1-0で迎えた七回に牧が右翼フェンス直撃の安打で出塁し、無死1塁。続く宮崎は1ボールとなったところでバントの構えをみせた。2017年に首位打者を獲得し、同年からの6シーズンで5度の打率3割超をマークした好打者だけに、DeNAファンからどよめきの声があがった。打席の宮崎は2球目を見送り2ボールとしたあと、3球目をしっかりと投前に転がし犠打を成功させた。宮崎の犠打は10年目で初。1死二塁となり、続くソトは申告経験で一、二塁となったが、続く大和が三ゴロ併殺に倒れて無得点に終わった。

◆3年ぶり2度目のCS開催となったハマスタ。第2戦の来場者数が「3万3037人」と発表され、前日8日の同戦(3万3033人)を4人上回り、ハマスタ史上最多動員数を更新した。2020年の横浜スタジアム増築・改修工事完了後、今季は初めて入場制限なしで試合を開催。9月まで販売していなかった立ち見席の販売も、CSではさらに範囲を拡大して行い、第1、2戦ともにチケットは完売。最大収容の3万4046人に迫る動員を記録した。

◆DeNAの2番手・伊勢大夢投手(24)が好救援を見せた。1点リードの七回1死三塁でマウンドに上がると、3番・近本を初球の高め直球で三邪飛。続く大山にも高めの直球で差し込み中飛としてピンチを切り抜けた。回またぎとなった八回は先頭の原口をフォークボールで空振り三振、佐藤を151キロ直球で空振り三振、代打・ロハスを内角直球で見逃し三振と3者連続三振とした。今季71試合に登板し、球団記録となる39ホールドを挙げた鉄腕。ピンチを脱し、拳を強く握った伊勢が雨空の横浜スタジアムに映えた。

◆阪神が零封負けを喫した。打線はDeNA先発・大貫、中継ぎ陣を攻略できず、わずか2安打。七回に1死三塁の好機を作ったが、2番手・伊勢の前に近本が三邪飛、大山が中飛に倒れるなど、14三振を喫した阪神先発・伊藤将は5回4安打1失点。五回無死二、三塁で大和に決勝の中前打を許した。六回からは西純がマウンドに上がり2回無失点。八回はケラーが三者凡退に抑え、投手陣は最少失点で切り抜けたが、打線の援護に恵まれなかった。これでファーストステージは1勝1敗で第3戦は引き分けでも敗退決定。ファイナル進出をかけ、10日にDeNAとファーストステージ最終戦に臨む。

◆DeNAが1点のリードを守り、対戦成績を1勝1敗とした。DeNAは大和が0-0の五回に均衡を破る中前適時打を放ち、1点を先制。先発の大貫が6回1/3を投げ10三振を奪うなど2安打無失点と好投し、その後は伊勢、山崎とつなぎ阪神打線を封じた。日曜のハマスタ。第2戦の来場者数は「3万3037人」と発表され、前日8日の同戦(3万3033人)を4人上回り、ハマスタ史上最多動員数を更新した。先発の大貫は10三振を奪うなど力投したが、三浦監督は2番手・伊勢を1点リードの七回1死三塁のピンチで投入、伊勢は3番・近本を初球の高め直球で三邪飛。続く大山にも高めの直球で差し込み中飛としてピンチを切り抜けた。回またぎとなった八回は先頭の原口をフォークボールで空振り三振、佐藤を151キロ直球で空振り三振、代打・ロハスを内角直球で見逃し三振と3者連続三振とした。九回は守護神・山崎が無失点で締めた。

◆DeNAが阪神を下し、1勝1敗のタイに戻した。DeNA・大貫、阪神・伊藤将の投げ合いで始まった一戦は五回に宮崎、ソトの連続安打で無死二、三塁となったところで、大和が中前適時打を放った。大貫は七回に1死二塁としたところで、交代を告げられたが、2番手の伊勢が近本を三邪飛、大山を中飛に仕留めた。伊勢は回をまたいで八回も続投すると原口、佐藤輝、代打・ロハスを3者連続三振の圧巻投球。九回は守護神の山崎が三者凡退に切り抜けた。第1戦に敗れ、この日、負ければ終戦だったDeNAは星を五分に戻し、10日の第3戦は阪神に勝つか引き分けでファーストステージ突破となる。

◆DeNA・大貫晋一と伊勢大夢がヒーローインタビューでの掛け合いでファンを笑わせた。六回まで10奪三振と圧巻投球を披露していた先発の大貫は七回1死二塁とされたところで2番手・伊勢への交代を告げられた。「いや、もう、いつもお世話になっているので、きょうも、申し訳ないんですけど、マウンドを託す形になって。でも信じているので『頼むぞ』という気持ちで見ていました」と心境を明かした。マウンドを引き継いだ伊勢は後続を断ち切り、ピンチをしのぐと見守っていた大貫もベンチから飛び出して出迎えた。頼れる中継ぎエースは「いつもお世話している大貫さんのために、どうにかしようと思ってマウンドに上がりました」と振り返り、笑わせた。

◆DeNA・大和内野手が0-0の五回無死二、三塁から中前適時打を放ち、投手陣が継投でこの1点を守り切った。レギュラーシーズンでの得点圏打率・290(69打数20安打)、昨季も同・359など、ここ数年は常に3割前後の得点圏打率を残しており、ヒーローインタビューで勝負強さの秘訣(ひけつ)を問われると「規則正しい生活です」と回答。さらに「早寝早起きが一番です」と続け、大きな拍手を浴びた。

◆DeNA・三浦大輔監督(48)が、突然、丸刈り頭で登場した森敬斗内野手(20)について「髪形でしょ。(変えた)髪形の一種です。嶺井もそうです。嶺井も刈り上げてきました。丸刈りだけが特別というわけではない」と受け流した。森は前日8日の0―2で敗れた第1戦に「7番・遊撃」でスタメン起用されたが、守備では三回に中野の遊ゴロを握り損ねるミス(記録は内野安打)、打撃では五回無死一塁の第2打席に送りバントを試みるもファウル、見逃しで追い込まれ、最後は3球三振に倒れるなど、ほろ苦いCSデビューとなっていた。第2戦の練習前、三浦監督が森と話し込む場面も見られたが、指揮官は「ちょっと、話はしました。内容は言わないです」と言及は避けた。

◆DeNAは接戦をものにし、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ進出へ逆王手をかけた。先発した大貫晋一投手(27)が七回2安打無失点、10奪三振の快投を見せると、七回1死三塁で救援した伊勢大夢投手(24)が八回まで5者連続で打ち取り1回?を無失点。五回に大和内野手(34)が中前適時打で上げた1点を守り抜いた。三浦大輔監督(48)の主な一問一答は以下の通り。――大貫、伊勢、山崎がしのいだ「その通りです。投手全員がそうですし、守備もしっかり守った。九回の宮崎(の守備)も先頭打者でしたから、すごく大きなプレー(三塁線深くの三ゴロ)でしたし、守り切ったなと思います」――大貫が七回途中無失点「良かったですね。気持ちも入ってましたけど、入り過ぎず適度な気持ちで集中できていた。マウンドでも自然と声が出てましたから。本当に気持ちの乗ったいい球だった」――七回1死三塁で伊勢を送った「あそこは準備させてました。あそこは伊勢しかないと思いましたし、期待通りの投球をしてくれました。(捕手の伊藤)光も初球でああいう配球をしたというのも非常に良かったですし、あの1球で流れをつかんだのかなと思います(近本を三邪飛)。シーズン中から登板ずっとしんどいところで黙々と投げてくれていますし、連投になりましたけど、本人は全然、毎試合いくつもりで準備してくれてます。次のイニングも投げてくれますからね、本当に頼りになります」――宮崎がプロ入り初となる犠打を成功「うまかったですね。ナイスバントです。CS入る前からどの場面でも(犠打の可能性がある)というところは話もしていますし、ベンチもグッと気持ちが一つになりました」――ソトが2試合連続の長打で好調「ソトは苦しいときもありましたけれども、しっかりと状態を上げてCSに入ってきてくれています。しっかりとボールを見れるようになってきたかなと思います」――ワンチャンスしかなかったが、モノにした「本当にそうですね。それもきっちりと。宮崎が先頭で出て、ソトがつないで大和が勝負強い打撃をしてくれました。終わってみればあの1点だけでしたけれども、貴重な1点を3人で取ってくれたなと思います」――明日も負けられない「連日、たくさんのDeNAファンが駆けつけてくれて、球場の雰囲気をつくってくれている。その勢いに乗って、応援の期待に応えられるようにスタンドと一緒になって戦います」

◆阪神の伊藤将はCS初先発で5回1失点と踏ん張ったが、勝利を呼べず「負けている展開でマウンドを降りてしまい悔しい」と唇をかんだ。「一発勝負なので、シーズンと違う緊張感があった」という中、四回までは内野安打1本に抑える堂々の投球。五回は宮崎、ソトの連打で招いた無死二、三塁から大和に先制打を浴びたが、追加点は許さなかった。矢野監督は「しっかり投げてくれた。こういう展開だし、丁寧に丁寧に投げているのはよく分かった」とねぎらった。

◆DeNA・宮崎が七回無死一塁で、投前へプロ10年目で初めて犠打を成功させた。2017年に首位打者に輝いた好打者は五回に先制点につながる左前打を放っており、スタンドからはどよめきの声が上がった。それでも「バントも頭に入っていたので、準備はできていました。しっかり決められて良かったです」とさらり。得点に結びつかなかったが、指示した三浦監督は「ベンチもグッと気持ちが一つになりました」とたたえた。

◆神宮決戦へ、あと1勝!! レギュラーシーズン2位のDeNAは9日、同3位・阪神との「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」ファーストステージに1-0で勝ち、1勝1敗とした。初戦に敗れて後がない状況で、CS初登板の先発・大貫晋一投手(28)が七回途中まで2安打無失点。プロ初の2桁三振を奪う快投で勝利に導いた。10日の第3戦に勝つか引き分ければ、12日からのファイナルステージ(対ヤクルト、神宮)進出が決まる。初舞台で大仕事をやってのけた。ハマスタ史上最多を更新する3万3037人の大観衆に後押しされ、大貫が圧巻の奪三振ショー。ハマっ子右腕は、幼少期から通った本拠地が一番青く染まった景色を、お立ち台の特等席から眺め、充実感を漂わせた。「満員のスタジアムで、最初はもちろん緊張したけど、投げていくうちに楽しくなった。いいマウンドだったなって思います」負ければ終わりの一戦。「すれ違う人全員にプレッシャーをかけられた」と苦笑いするが、全てを力に変えた。一回2死から中前打を許したものの、二塁を狙った走者がアウトに。そこから二―六回は完全投球を見せ、打者18人で18のアウトを重ねた。七回1死三塁とされたところで降板。バトンを託した伊勢が無失点で切り抜けると、勢い良くベンチを飛び出して満面の笑みでねぎらった。六回まで毎回の10奪三振。プロ4年間で一度もなかった2桁奪三振を大一番でマークした。静岡・桐陽高、日体大を経て新日鉄住金鹿島(現日本製鉄鹿島)から2019年にドラフト3位で入団。プロ入り当初の信条は「打たせて取る」だったが、よりリスクの低い投球を目指し、今季は奪三振増を目標に掲げた。スプリットは握りを深く、スライダーは回転数や軸を計測器ラプソードで測って巨人・菅野の数値に近づけるよう試行錯誤した。今季の奪三振率(9イニングでの平均奪三振数)7・77は、130投球回以上の投手でリーグ4位の数字だ。150キロ超の剛速球を連発する派手なタイプではない。しかし、両サイドに決める直球と、低めへの変化球を武器に、涼しい顔で相手をなぎ倒す。地道な努力が、セ・リーグのCS記録まで1に迫る10奪三振、セ3人目のCSでの2桁奪三振につながった。前日の第1戦は、同じくチームトップの11勝を挙げた同学年の今永が先発し、敗れた。大貫は「どっちの状況でも重圧のかかるマウンドと自覚していたので、昨日は感情を入れすぎないように」と十分に睡眠を取ることに専心。「頼むぞ」と声を掛けてくれた盟友のかたきを討った。新人だった3年前のCSではベンチにすら入れなかった。細身の体から「豆苗」の愛称で呼ばれた右腕は、今やチームの「柱」。三浦監督は「間違いなく去年より成長している。両サイドに投げ分け、落とすところで高さも間違えない。自然と声も出て、本当に気持ちの乗ったいいボールだった」と目を細めた。強力打線が注目されがちなDeNAだが、先発の好投と早めの継投は今季のチームを象徴する勝ち方だ。これで勝敗は五分。全てが決まる第3戦へ、三浦監督は「全員で戦っていく」と魂を込めた。(浜浦日向)★斎藤コーチに感謝 今季のチームでただ一人、先発ローテーションを守り抜いた大貫。背景には、今季就任した斎藤隆チーフ投手コーチの存在があった。横浜市出身の右腕にとって、ベイスターズの主戦投手だった斎藤コーチは小さい頃からの憧れ。着任後から教えを請い、トレーニング一つにも「どういう意識でやっているかを考えてやりなさい」と助言を受けた。球団の右腕では三浦監督以来となる複数回の2桁勝利を達成するなど飛躍を遂げた大貫は「トレーニングの質も上がって、けがなく過ごせた」と感謝した。■データBOX?DeNA・大貫が10奪三振。プレーオフ、CSでの1試合2桁奪三振は今季ファーストステージ(S)第1戦のソフトバンク・千賀滉大(11)に続いて12人目(17度目)。セでは2007年第2S第3戦の中日・中田賢一、13年ファイナルS第2戦の巨人・菅野智之(ともに11)に次いで9年ぶり3人目。?五回2死から4者連続奪三振。4者連続はセでは最多タイで、昨季ファイナルS第1戦のヤクルト・奥川恭伸に次いで4人目。パの最多は13年ファーストS第3戦の西武・ウィリアムスの5者連続。?チーム1試合14奪三振はセでは09年第2S第3戦の巨人などの13を上回る最多。パの最多(9回試合)は08年第2S第4戦の西武の15。

◆雨粒が落ち始めた横浜スタジアムに「伊勢大明神」が降臨した。DeNA・伊勢大夢投手(24)は、1―0の七回1死三塁から登板。3球全て直球を続けて近本を三邪飛、大山を中飛に仕留めると、あえて感情あらわに拳を力強く握った。「あそこでクールに帰っても...。盛り上げて、まだまだいくぞという思いで(拳を握った)。強く投げないと後悔する。それだけを思って気持ちで投げました」七回、この日初めて走者を三塁に進められ、三浦監督は「伊勢しかいない」と無失点投球を続ける先発・大貫からスイッチする勝負手を打った。球団記録の39ホールドをマークした鉄腕の投入で、リードを死守した。伊勢は八回のマウンドにも上がり、原口をフォークボールで、佐藤輝を151キロの直球で空振り、代打・ロハスを内角直球で見逃しの3者連続三振に仕留め、5者連続斬りの〝神救援〟。流れを渡さなかった。勝ちパターンだけではない。同点、僅差と〝全パターン〟を託され、今季リーグトップの71試合に登板した右腕は「朝起きたらめちゃくちゃきつい」という。「でもマウンドに上がれば、アドレナリンが出る」。揺るぎない信頼に、ここでも応えた。3日のヤクルト戦では熊本・九州学院高の後輩、村上が日本選手最多の56号を放った。打たれたのは明大の後輩、入江だった。「やっぱり持っているモノが違う。入江も持っている男。持っている後輩は違うな」。不敵な笑みを浮かべ〝反撃〟の機会をうかがう。首位・ヤクルトが待つ神宮へ「今日と一緒で負けたら終わりだけど、自分たちはこれを経験して、相手は経験していない」と腹をくくった。3連投も辞さず、大明神が虎の前に仁王立ちする。(横山尚杜)

◆クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(3試合制)は9日、セ、パ両リーグともに第2戦が行われ、「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」でレギュラーシーズン3位の阪神は横浜スタジアムで2位DeNAに0-1で敗れ、対戦成績は1勝1敗となった。10日の第3戦に勝てばヤクルトとのファイナルステージ(12日開幕、神宮)に進出。引き分けるか負けると敗退が決まり、矢野燿大監督(53)は退任となる。データBOXは以下の通り。?...阪神は第2戦に敗れ、対戦成績は1勝1敗となった。プレーオフ、CSのファーストステージ(S)で1勝1敗となったケースは、2019年のセ・パ以来3年ぶり19度目。過去18度のうち、追いつかれたチームがファイナルSに進出したのは13度で、突破率は72・2%?...阪神は矢野監督就任初年度の2019年も3位でCSに進出し、ファーストSでDeNAと対戦。今回と同様に第1戦勝利→第2戦敗戦で迎えた第3戦を勝利してファイナルSへ駒を進めた?...阪神はレギュラーシーズン68勝71敗4分け(勝率・489)の借金3でCSに出場。勝率5割未満でCSに進出したのは昨年の巨人以来8チーム目。過去7例のうち、ファーストSを突破したのは2013年広島、16年DeNA、18年巨人、21年巨人の4度で、いずれもファイナルSで敗退した

◆敵地の照明が一瞬にして消える。薄暗いスタンドを埋め尽くしたベイスターズファンから、どよめきが。さらには「待ってました!」の声が。外野スタンド後方で炎がいくつも噴きあがる。そして「ヤ・ス・ア・キ!」のコールに乗ってリリーフカーで登場したのはハマの守護神・山崎康晃-。最近、ハマスタに行っていなかったので、いつから、こんなド派手な登場演出をしていたのか、恥ずかしながら知らなかった。カッコいい。カッコ良すぎる。ただし、これで失敗したら、カッコ悪すぎる。小心者の私なら「恥ずかしいから、やめてくれ」と言う。でも、こういう演出がバッチリ決まるのが、スーパースターなんだろうなぁ。なんで抑えられた相手の選手を称賛しているんだ! と叱られそうだが、良いものは良い。さっそく、取り入れましょう、甲子園も。来シーズン、湯浅京己が新守護神になって、このぐらい衝撃的な登場パフォーマンスがあって...。と、いろいろ想像を巡らせて現実を忘れてしまいたいぐらいの「点差以上の完敗」だった。三振を14個もして、ヒットわずか2本では、勝てるはずもない。「監督が一番ヒマになるのは、どんなときか知ってるか?」本紙専属評論家として2面で鋭い指摘をしている田尾安志氏に以前、クイズを出されたことがある。分かるはずがないので、すぐ答えを聞いた。田尾氏が楽天監督時代の2005年8月27日。楽天打線は西武・西口文也に九回まで1人の走者も出せなかった。西武に1点でも入っていれば完全試合。ただ、西武も得点できなかった。延長に突入。十回表、先頭の沖原佳典が右前打を放った-。ただ、試合は楽天のサヨナラ負け。「走者が出なければ、やることが全くないことが、あのとき、初めて分かった。ヒマという表現はよくないけれど、何もやることがないのは、寂しかったなぁ」準備は大変、練習も気を張りっぱなし。本当なら試合中は一番気が抜けないのだが、走者が出ないと一気にヒマ。そういうものらしい。ということなら、矢野監督もことし、同じ思いをしたはずだ。5月6日のバンテリンドーム。大野雄大に九回までパーフェクト。延長十回2死からサトテルが二塁打を放って屈辱を免れた、あの試合だ。このCS第2戦はそれに近い〝手持ち無沙汰〟だったかもしれない。ふと、ペイペイドームの結果が目に入った。柳田が満塁アーチを放って、ソフトバンクがファーストステージ勝ち抜けを決めていた。パ・リーグV逸が決まった今月2日。ZOZOマリンでの試合前、「負けたら全部、俺のせい」とナインにゲキを飛ばしたのが柳田。これって、監督のせりふでは? 一選手がこれを言うのは勇気がいる。でも、柳田はそういうせりふを発しても不思議ではない選手なのだ。取材していたソフトバンク担当も、誰も疑問にすら思わない。そして、始まったポストシーズンは、初戦に先制3ラン、2戦目に先制の満塁弾。有言実行、恐るべし。「負けたら俺のせい」と叫んで打ちまくるタテジマ戦士の登場を期待して、運命の3戦目を見守りましょうか。どうか、矢野監督が大忙しになりますように。

◆なんとかならんか? 阪神ファンでなくても、ボヤきたくなったはず。一回から九回まで、みな普通に打って、普通に凡退するばかり。出塁できず、チャンスもつくれないようでは、ご自慢の機動力も生かしきれない。なんと今季〝27度目〟の完封負けときた。球団ワーストを更新したわびしい記録を、シーズンの集大成となるプレーオフでも繰り返すとはね。零封負け癖を来季、新たな首脳陣がどう払拭するか。大きなテーマとして、がぜんクローズアップされる。まあ、まだ終わったわけではないので、とりあえず第3戦でその道筋を探らないと。シーズンと同じ攻撃をしていたら、大きなチャンスを逃すことになるよ。逆にDeNAは、シーズンと同じパターンでタイに戻した。先発陣が試合をつくって、リリーフ陣が締める。強力打線に目が行きがちだけど、実は投手力のチームなんだ。個人成績が良くても、勝利に結びつかなかったチームカラーから、着実に脱している。旧態依然としていたら、光は見えてこない。その好例だ。さらにセのCS2試合を通じて言えるのは、現在の「投高打低」という傾向が、そのまま出ていること。両軍の打線は奮起できるかな。(本紙専属評論家)

◆1点が宇宙のかなたにあるくらい遠~い、虎の敗戦だったのだ(涙)完敗です!! 某大臣じゃないからグジグジ言わず、本日はDeNAの勝利への執念を認め、たたえるのだ!!負ければ「THE END」のマウンドで先発して、6回1/3を2安打無四球。甘い球がほとんどない投球を演じた大貫の度胸! 1点リードの七回1死三塁で大貫をズバッと代えた三浦監督の『番長采配』。そして、わずか3球でピンチを断った伊勢!! まさか失点を許したらベンチ裏で番長にカツ上げ(※小遣いを巻き上げられる。昔、学生時代はよくあったんです)されるから踏んばったとかじゃないよね?(笑)唯一、阪神に得点の機会があったとしたら七回1死三塁で、近本の場面で同点を狙うスクイズ...。う~ん? 第1戦で虎の全2得点をたたき出した打者だし...。近本がヒットで同点とすれば瞬足も生かせて一気に逆転もあったわけだし...。いや、今日は相手が全て上だったと諦めるべし!! 天下分け目の第3戦。投手を助ける猛虎打線、爆発しとけー!!

◆ついにセ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージは10日、最終戦を迎える。阪神にとって、引き分けでも敗退決定。その瞬間、矢野監督の指揮官人生が終わる。まさに運命の一戦。ここまで来たら、ファイナルステージに進出してほしいと思う。第1戦から積極采配あり、翌日は拙攻だった。少なくとも、この2年間を凝縮する内容は単純に面白かった。そういう意味では最後まで矢野耀大だった。最後だからこそ、と言い換えてもいい。7日に行われたCS開幕前のオンライン記者会見。特に昨季から目立つようになった〝矢野節〟が全開だった。「僕は理想と夢を語り、この4年、やってきました。その戦いを、このクライマックスでも引き続き、選手たちが見せてくれると思いますし、僕も熱い思いを持って、クライマックスで、また挑戦できることをうれしく思っています」「その戦いがプロ野球ファン、タイガースファン、そして、野球をやる子どもたちに、僕たちの戦いから、かっこいいなとか、憧れられるような、そういうものが伝わると信じて、あしたから、3位からですけど挑戦していきたいなと思っています」「相手に勝たないとダメなんですけど、自分たちが、どういう戦いをするかの方が大事だと思っていますし、自分たちの長所、また、どういう野球をするか、そういうところはチーム全体、選手はすごく理解してくれていますので、苦しい試合になると思いますけど、その中でどれだけ楽しめるか。そういうところは僕たちのポイント、また、僕たちのやってきた野球になると思うので、そういう野球をしていきます」コロナ禍の中、12球団が143試合を消化できたことについて、周囲の関係者やスポンサーへの感謝の言葉を冒頭で述べたのも矢野監督らしい。誠実さや常識があふれた後で、一気呵成に話し始めた。この熱さを好むファンは当然いると思う。それは否定しない。しかし、言葉で表現できない〝上滑り感〟を個人的にはいつも持つ。最大借金「16」から貯金「3」まで盛り返して、最後は借金「3」ながら、何とかCS進出権を獲得した。青柳をエースに導き、湯浅、浜地に道しるべを与え、西純にもメドが立った。何より選手起用以外は全くブレなかった。残した数々の財産も矢野監督の手腕なら、これだけの戦力を擁しながら、開幕9連敗を喫するなど、スタートダッシュに失敗したのも、これまた〝手腕〟。よく頑張ったと素直には言えない自分がいる。日本語って、難しいと思う。「楽しむ」ってどういう意味なのか。未だにわからない。文字が目に入り、耳にするだけでは判断できない。あるラグビー選手の話。海外に修業に出かけた。体の大きさ、パワーにスキル...。どれも足りない。そこから自分で課題を決めて、個人トレーニングに励んだ。努力する姿を見たチームメートが「エンジョイしているね」と声をかけた。その選手は初めて「楽しむ」という意味がわかったという。だから矢野監督の「楽しむ」もヤノ流の意味がある。しかし人間が古いのか。私の胸にはさほど響かない。お前はいつも揚げ足を取ると言われるだろうが、「僕は理想と夢を語り、この4年、やってきました」と言われた後なら、なおさらだ。新監督への就任が内定している岡田彰布氏なら、こうはいかない。多分、同じような席で「楽しむ」なんて言わない。想像できない。理論に裏付けされた采配があり、理由がある。一塁・糸原? 冗談じゃない。二塁・佐藤輝も、右翼・大山も然り。ケラーから始まったストッパー変遷。これほど守護神がコロコロと代わったチームは珍しい。特に今年は打順も守備位置も選手起用も落ち着きがなかった。基本線を固めることなく、何でもアリの野球を見せ続けられると、どれが奇策なのか、わからなくなってしまう。2023年、阪神から、そのような悪循環がなくなる。縺れた糸をほぐすだけで、スッキリする。矢野監督にとって、4年間の集大成となるDeNAとのCSファーストS第1戦は近本の2点打で先制。その後は犠打が併殺となるなど、チグハグな攻撃だったものの、6回ゼロ封の青柳から岩貞、浜地とつないで、八回にまさかの岩崎。窮地を招くと、湯浅のイニングまたぎで先勝した。ヤノ野球の神髄を見せつけてレギュラーシーズンからの横浜スタジアムでの連敗を「8」で止めた。9日の第2戦はレギュラーシーズンを含めて27度目の完封負け。2安打14三振を食らって、数少ない好機で凡退。何度も見られた光景で、いよいよ10日の最終戦に挑むことになった。勝率5割以下のCS進出は阪神が8例目で日本シリーズに駒を進めたのはゼロ。奇跡を心待ちにしながらも新体制での秋季練習が楽しみで仕方がない。YouTubeに出演すると阪神の現状を「歯がゆい」と言い続けて来ただけに、天職を前に腕をまくる岡田氏の姿が目に浮かぶ。矢野監督が4年間、理想と夢を語り続け、ナインに「楽しむ」ことを求めたのなら、プレッシャーに苦しむ選手の姿を見てみたい。犠打を失敗しようものならベンチに戻れない雰囲気。それは「暗い」とは違うと個人的には思っている。今の状況なら、正常な形に戻すだけで、〝改革〟になる。「俺たち」ではなく、「俺の野球」。また「俺たち」よりも「相手」を封じる野球。「楽しむ」から遠く離れた対照的な位置から指揮を執り、野球道のど真ん中を歩む。王道を突き進む岡田阪神の一端に早く触れてみたい。■稲見 誠(いなみ まこと) 1963年、大阪・東大阪市生まれ。89年に大阪サンスポに入社。大相撲などアマチュアスポーツを担当し、2001年から阪神キャップ。03年、18年ぶりのリーグ優勝を経験した。現在は大阪サンケイスポーツ企画委員。

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