ソフトバンク(☆5対3★)西武 =クライマックスシリーズ1回戦(2022.10.08)・福岡PayPayドーム=
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西武
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ソフトバンク
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勝利投手:千賀 滉大(1勝0敗0S)
(セーブ:モイネロ(0勝0敗1S))
敗戦投手:髙橋 光成(0勝1敗0S)

本塁打
【西武】森 友哉(1号・6回表ソロ)
【ソフトバンク】柳田 悠岐(1号・3回裏3ラン)

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◆ソフトバンクがファーストステージ初戦を制した。ソフトバンクは3回裏、三森の適時打と柳田の3ランで4点を先制する。その後1点差とされて迎えた6回には、周東の適時打で貴重な追加点を挙げた。投げては、先発・千賀が8回3失点の力投。敗れた西武は、先発・高橋光成が試合をつくれなかった。

◆ソフトバンクの主将柳田悠岐外野手(33)が、チームを19年以来の下克上日本一へ導く。7日はペイペイドームでフリー打撃や守備練習を行い、8日からのCSファーストS西武戦への準備を終えた。9月30日の楽天戦で痛めていた首については「ぼちぼちです。まあ、プレーできるので大丈夫です」と明るい表情で話した。2日の今季最終戦で、優勝を逃した。最後まで激闘が続いたこともあり「まだ疲れています」と苦笑いしながら「気持ちはもう、最近までやっていたので、スムーズには入れそうです」と、引きずることなく気持ちを切り替えている。柳田は18年のCSでMVPを獲得し、リーグ2位からの日本一に貢献している。ポストシーズンの心構えとしては「そんなに変わらないですね。いつもと変わらないです」と平常心で臨むことが好プレーにつながっている。「2位なので、まずホームでできる。それはいいんじゃないですか」と、本拠地からスタートできることも前向きにとらえた。初戦の相手先発はエース高橋。「集中してやるのが一番大事。いい投手なので、チャンスは少ないと思うんですけど、数少ないチャンスボールをとらえられるように集中して打席に立ちたい」と気合を入れた。【山本大地】

◆スマホを断った西武のエース、高橋光成投手(25)が3位からの下克上へ、流れを作る。8日のソフトバンクとの第1戦に先発。舞台のペイペイドームで最終調整し「CSで投げるのは初めて。緊張というよりは楽しみ。負けられない戦いで、自分がどれだけできるのか。すごい楽しみ」と心待ちにした。2カ月前だった。「いじっている時間が多いかな」。誰に言われたわけでもなく、私生活には欠かせないはずのスマートフォンを手放した。1つの覚悟の形だった。「グーグルもできない」。SNSもチェックできなければ、動画なども簡単に見られない。マップも使えないから「行きたい場所にたどり着かない」こともある。ネットに流れるニュースからも遮断された。たしかに不便かもしれない。ただ「(成績が)よくなった原因かな」と心から言える。「時間の使い方はがらっと変わった。家族と話す時間が増えたり、犬と過ごす時間が増えたり、本を読んだり、有意義に時間を使えるようになった」。リーグ2位の12勝のうち、8月16日以降に6つの白星を重ねた。ソフトバンクはポストシーズンで16連勝中で、投げ合うのは千賀。倒すのは容易ではないが、エースの真価を示す。【上田悠太】

◆福岡出身で、東京パラリンピックの車いすバドミントン金メダリスト・梶原大暉(20)が始球式を行った。力強いノーバウンド投球を披露し「(自分の)試合とは比べものにならないくらい緊張しました。野球少年だったので、こういう夢の舞台で機会をいただけてうれしいです」と感慨深そうに振り返った。梶原は小学生の時から野球をプレーしていたが、中学2年の時に交通事故に遭い、右太もも下を切断していた。

◆ソフトバンク柳田悠岐外野手(33)が"3試合連発"の3ランを放った。1-0の3回2死二、三塁で高橋のスライダーを右中間ホームランテラスに運んだ。柳田は1日の西武戦、シーズン最終戦だった同2日のロッテ戦でも本塁打を放っている。クライマックスシリーズ初戦でも勢いは止まらず、豪快なアーチを放った。18年のCSではMVPを獲得し、リーグ2位からの日本一に貢献している。大舞台に強い主砲が、序盤の大量リードを呼び込んだ。

◆西武高橋光成投手が、打球直撃のアクシデントに見舞われた。2点を追う5回、2番牧原大の打球が高橋の左太もも内側を直撃し、投手強襲安打になった。ベンチから豊田投手コーチが飛び出し状態を確認。練習投球もしないで再開し、事なきを得た。試合は3回にソフトバンク三森に先制適時打を許すと、柳田に3ランを浴びた。5回に、相手守備陣のミスもあり、2点返した。

◆西武森友哉捕手(27)が1点差に迫る追撃のソロを放った。2-4と2点を追う6回2死。初球だった。ソフトバンク千賀の低め137キロフォークを狙い打ち。真芯で捉え、右翼席の中段に飛ばした。右翼手柳田はほぼ動かない完璧な当たりだった。「(高橋)光成も頑張って投げていますし、何とか援護できればと思って打席に入りました。打った瞬間に、スタンドに行くな、と思いました。自分の納得のいくスイングができました」と話した。

◆レギュラーシーズン2位のソフトバンクが同3位の西武に先勝。リーグ覇者のオリックスが待つファイナルステージ進出へ王手をかけた。さらにソフトバンクは19年のCSファーストステージ第2戦、楽天戦からポストシーズン17連勝となった。1-0の3回、主砲の柳田悠岐外野手(33)が3ランアーチをかっ飛ばした。レギュラーシーズンを含めると"3試合連発"。ペイペイドームは大歓声に包まれ「芯でとらえて、角度がついてホームランとなってくれました」と手応え十分だった。先発の千賀滉大投手(29)も5回1死まで無安打投球。8回3失点と踏ん張った。投打の主役が躍動し、大事な初戦を白星で飾った。先に2勝したチームが、ファイナルステージへと駒を進める。

◆西武が崖っぷちに立たされた。3年ぶりのCSは3位からの下克上を目指し、高橋光成投手が先発した。序盤2回まで無安打投球だったが、3回につかまった。ソフトバンク三森に先制適時打を許し、柳田には3ランを浴びた。打線は5回に愛斗の犠飛などで2点を返し、6回には森が右翼越えソロ本塁打。一時は1点差まで詰め寄った。しかし、直後に1点を奪われ、逃げ切られた。9日の第2戦で負ければ敗退が決まる。辻発彦監督は「向こうも必死、こっちも必死にやって。勝てなかったのは非常に残念ではありますが。短期決戦でミスが出ると負けちゃう」。第2戦は今井達也投手に先発登板を託す。「負けたら終わり。チームを勝たせてもらいたい。そういうピッチングしてもらいたい。楽しみではあります。前回の今井のピッチング。ベンチは非常に明るくやってますよ」と気負いはなく、普段通りのスタイルを貫く。プロ野球12球団 戦力外 退団 移籍 引退選手など/一覧

◆ソフトバンクは柳田悠岐外野手(33)の3ランなどで先勝。ファーストS突破へ王手をかけた。藤本博史監督(58)の、試合後の一問一答は以下の通り。-3回にいい形で先制藤本監督「打つ方のキーマンは柳田と言ってたので、あそこでしっかり3ランを打ってくれたのが大きかったですね」-不調だった周東が2安打藤本監督「シーズン終盤ちょっと調子を落としていた。5日間の練習でしっかりライナーを打つ意識してやった結果が出た。良かったと思います」-千賀が力投藤本監督「守備の方で足は引っ張られましたけど、しっかり要所要所を締めてくれたと思います」-ポストシーズン初采配だった藤本監督「試合前から全員で行こうということはあったんですけどね。千賀の球の力もまだ落ちていなかった。甲斐とも話して、8回まで行こうと決めていました」-柳田はシーズン終盤から活躍が続く藤本監督「レギュラーシーズン最後の2つから続けて、3試合連発ですか。いいところでしっかり打ってくれてるので。特にね、先取点取るということをまず目標にしているので。周東のダメ押しのタイムリーも大きかったし、三森は先取点ですからね。いいところでヒットが出たかなというところですね」-相手の走塁ミスもあった藤本監督「いろいろプレッシャーがある中で、こっちもミスが出ているし。どっちのチームもそういうプレッシャーがあるのかなと思いますね」-チームの雰囲気は藤本監督「変わりなく、ベンチもすごく声が出ているし、特に控えの若い選手が1回から9回まですごく声を出してくれてたと思います」-千賀の替え時は迷わず藤本監督「第2ステージに行った場合は中5日でいくと思いますからね。そういう意味では100球でやめたいところだったんですけど、まず今日勝たないといけないところだったんでね。千賀と話したらいかせてくださいと言うことで」-山川は最初の2打席で抑えた藤本監督「山川には攻めてね、それこそ四球OKという形で。なかなか難しいんですよね。何点差とか、先頭打者とかあるからですね。そういうところは難しいですよね。歩かせるわけにいかないし。そういうときは攻めてくれということですよね。そこで打たれたらしょうがない」-8回のピンチでは申告敬遠藤本監督「次の打者を考えたら、山川の1発の方が可能性は高いんじゃないかと。山川対千賀、栗山対千賀というところですね。栗山にも打たれてますけど、大きいのは山川に比べたらね。山川の1発だけは避けようということでやりました」-8回の守備の後、甲斐と話していた藤本監督「一、三塁の場面でね、千賀が打者に集中したというところなんですけど、足を大きく上げて、ランナー山川というところでね。やっぱり同点のランナーになるから。そこは打者に専念するんだけど、大きく振りかぶっていったら、間を抜けたら同点になる。それをもう1回話ししましょうということで。甲斐には、千賀に言うといてくれと。ああいう野球はないよ、ということですね。昔、外国人が0点で抑えたらええんやろという、ファルケンボーグとかそういうことがあったけど、最終的には直されたからね。千賀は日本でやっているわけやから。打者を100%抑える気持ちがあってもね。一塁の山川は同点のランナーなんだから。万が一、抜けたら同点になってしまう。そこだけは注意しよう。抜けても三塁で止められるようなね。だからあの、大きく振りかぶるのはないよということですね。でもよく投げてくれましたよ」-突破へ王手藤本監督「とりあえず、明日も全員で頑張りましょう」

◆レギュラーシーズン2位のソフトバンクが同3位の西武に先勝。リーグ覇者のオリックスが待つファイナルステージ進出へ王手をかけた。さらにソフトバンクは19年のCSファーストステージ第2戦、楽天戦からポストシーズン17連勝となった。

◆初めてのCS登板で、西武高橋光成投手が踏ん張りきれなかった。2回まで無安打投球も、3回に柳田に3ランを浴びるなど、その回だけで4失点。味方打線が1点差に詰め寄った直後の6回は2四死球でピンチを広げ、適時打を打たれた。第1戦の先発に指名され「特にいつもと違った緊張感のようなものはありませんでした」と臨んだが、6回6安打5失点。千賀との投げ合いで、明暗がクッキリと分かれる結果となった。

◆ソフトバンク千賀滉大投手(29)がエースの役目を果たした。西武とのファーストS第1戦で、8回3失点の熱投。3試合制の超短期決戦で、大きな白星をもたらした。「とにかく自分のやるべきことは、試合で勝つことなので。とにかくチームが勝てばいいというところに今日は重きを置いていたので、かなって良かったと思います」とクールに喜んだ。一段とギアを入れたのは、2点リードしていた8回のマウンドだ。2死三塁から山川を申告敬遠で歩かせて一、三塁。ここで5回に二塁打を打たれていた栗山を打席に迎えた。千賀と甲斐のバッテリーが1球1球、時間をかけながら投げる。栗山もファウルで粘る。手に汗握る勝負はフルカウントからの8球目で決着。フォークでこの日11個目となる空振り三振を奪い、千賀はポン、ポン、ポンと力強くグラブをたたいて気合を吐き出した。7回までに味方失策もあり3失点。球数は95球だった。首脳陣は8回からの継投も考えた。だが千賀自身が続投を希望。ベンチもエースの思いに応え、8回のマウンドに送り出していた。それだけに千賀は「ぼくが行くことに対して、ベンチとみんなは『0』で帰るという思いだった。『0』で帰ることができて良かった」とうなずいた。8回でもこの日最速タイの159キロを出し気合十分だった。 ファイナルSまで進めば中5日での登板が想定される。「あと1個勝って、みんなは次のステージに進んでくれると思う」と、仲間たちにバトンを託した。【山本大地】千賀が8回を投げ11奪三振。CSで千賀の2桁奪三振は16年1S<1>戦の12個、19年ファイナルS<3>戦の10個に次いで3度目。プレーオフ、CSで通算3度は松坂(西武)ダルビッシュ(日本ハム)則本(楽天)の2度を抜く最多記録。ソフトバンクが<1>戦に勝利。プレーオフ、CSは19年1S<2>戦から9連勝、日本シリーズを含むポストシーズンは同じく19年1S<2>戦から17連勝と、ソフトバンク自身が持つ連勝記録を伸ばした。一方、敗れた西武は18年ファイナルS<3>戦からCSで8連敗。プレーオフ、CSでは77~81年ロッテ、15~20年ロッテの7連敗を抜くワースト記録となった。

◆主砲の1発で、ソフトバンクがCSファイナルステージ進出へ王手をかけた。1点を先制した直後の3回に、柳田悠岐外野手(33)が右中間に中押しの3ランをたたき込んだ。9日が34歳の誕生日。自ら前祝いのアーチを描き、西武に競り勝った。ポストシーズンでは通算10本塁打目で、柳田が1発を放てば10連勝。チームはポストシーズンの連勝記録を17とし、このまま一気に突っ走る。下克上日本一へ、第1歩を踏み出した。勝利を手繰り寄せたのは、主砲柳田の一振りだった。1点を先制し、なお2死二、三塁の3回。カウント0-2と追い込まれてからの西武高橋の内角膝元へのスライダーをすくい上げた。右中間ホームランテラス席への3ラン。「芯付近に当たってくれましたし、角度がついた。なんとか行ってくれと思っていました」。リードを4点に広げ、完全に主導権を握った。レギュラーシーズンは2試合連発で締めた。そして、最終戦から中5日を空けての"3戦連発"。9日は34歳の誕生日で、自ら前祝いのアーチを描き「変わらず、いい1年にしたいですね」とご機嫌だった。9月30日楽天戦の守備で痛めた首は、いまだ万全ではない。打線の中軸を担い、精神的な負担も大きいが、満身創痍(そうい)で戦うキャプテンは「3打点なので。しっかり仕事はできたかな」。分厚い胸板を張り、弱音を吐くことは一切ない。柳田がポストシーズン(PS)で本塁打を放った10試合は負けなし。まさに「不敗神話」で、チームも19年のCSファーストS第2戦(楽天戦)からPS17連勝とした。短期決戦で無類の強さを誇るが、就任1年目の藤本監督にとっては、CS初勝利。「打つ方のキーマンは柳田と言っていたので、あそこでしっかり3ランを打ってくれたのが大きかったですね」と、BIGFACEを縦に振った。リーグ王者オリックスが待ち受けるファイナルS進出に王手をかけた。シーズンでは、史上初めて首位と同率でのV逸を経験。最終戦で優勝を持って行かれたオリックスへのリベンジの思いは強い。柳田は18年のCSでMVPを獲得するなど、リーグ2位からの日本一も知っている。「やれることを、必死にやるだけです」。言葉はシンプルだが、語気は強い。鷹のキャプテンは頼もしい。【只松憲】○...周東が打線の火付け役になった。3回1死で、右翼線へチーム初安打となる二塁打。三森の適時打で先制のホームを踏んだ。6回にはダメ押しの右前適時打を放ち「とにかく自分を信じて打席に入りました。しっかりと自分のスイングで捉えることができました」。シーズン最後の3戦で無安打と不調気味だったが、練習期間でしっかり修正した。○...リードオフマン三森のバットが先制点をたたき出した。3回1死一、二塁。高橋の直球を左中間にはじき返す先制適時二塁打を放った。「とにかく積極的にスイングを仕掛けることだけを考えました。いいタイミングでいいスイングができたと思います」。1安打に終わったものの、先行逃げ切りの流れを呼び込む一打に笑顔だった。○...モイネロがポストシーズン初セーブを挙げた。2点リードの9回に登板。2死から連打で得点圏に走者を背負ったが、最後は代打オグレディを空振り三振に斬った。「チームが勝つことができて良かったです。まだ試合はあるので頑張ります」。昨年までは主にセットアッパー。今季は守護神として、チームを頂点に導く。○...東浜でファイナルS進出を決める。9日の西武戦に先発。今季は5月11日にノーヒットノーランを浴びせるなど7戦3勝で、対戦防御率も2・20とお得意さま。「7試合もしていれば相手打者は軌道とかも頭に入っていると思う。それを生かす投球ができたら。相手どうのこうのより、どっしりと構えて自分の投球をするだけ」と意気込んだ。

◆打ち上がる花火の音がむなしく響いた。西武が大事な第1戦を落とし崖っぷちに立たされた。2点を追う9回2死一、二塁。1発逆転のチャンスを作ったが、最後は代打オグレディが空振り三振。3位からの下克上には、もう1敗も1分けもできない状況となった。辻監督は先発ローテの変更や奇策を好まず、シーズン同様の「普段通り」を貫いた。第1戦高橋、第2戦今井の両先発は、1週間前に公言。初戦はシーズンを支えたエース右腕を立て、ソフトバンクに真っ向から立ち向かった。2番源田、3番森、4番山川の打順の並びも不動。ただ、高橋は6回5失点、打線も6安打3得点で跳ね返せなかった。辻監督は、これでCS8連敗。17年の監督就任以降の通算成績は2勝11敗となった。それでも試合後の指揮官は、扉の裏に隠れてみせるなど、努めて明るく振る舞った。勝負の第2戦に向け「もちろん気負わない。ベンチは明るくやっている。結果は結果。終わったところで勝つか負けるか」と強調。悲壮感を出すことも、無理に選手を鼓舞することもしなかった。「普段通り」の姿だった。これまでの打ち勝つスタイルから、今季は投手力で接戦をものにするチームに。リーグ連覇した18、19年とも状況は違う。CSでもシーズンの戦い方を貫く。それは変えずに巻き返す。【上田悠太】

◆主砲の1発で、ソフトバンクがCSファイナルステージ進出へ王手をかけた。1点を先制した直後の3回に、柳田悠岐外野手(33)が右中間に中押しの3ランをたたき込んだ。9日が34歳の誕生日。自ら前祝いのアーチを描き、西武に競り勝った。CSでは通算10本塁打目で、柳田が1発を放てば10連勝。チームはポストシーズンの連勝記録を17とし、このまま一気に突っ走る。柳田がポストシーズン(PS)通算10本目の本塁打(CS7本、日本シリーズ3本)。本塁打を打った試合はすべて勝っている。PSでの本塁打10連勝は、61~70年王貞治(巨人)の15連勝(すべて日本シリーズ)に次ぎ史上2人目。2位で並んでいた86~92年秋山幸二(西武)の9連勝を抜いた。プレーオフ、CSの通算7本塁打以上は内川聖一の10本を筆頭に12人目だが、12人のうち全勝は柳田だけ。

◆ソフトバンクにとっては大きな大きな白星だったに違いない。CSファーストステージの初戦を取ったことはもちろんだが、この1勝は暗く沈んだシーズンV逸の屈辱を晴らす勝利になったことだろう。エース千賀が8回112球の粘投。主砲柳田も序盤に3ランを放って突き放した。「なかなかすんなり勝てないねえ」。最終回までハラハラドキドキの展開。試合後、ナインを激励し、そう言ってベンチ裏から出てきた王球団会長だったが「でも、やっぱり先手を取るのは大きいからね」と安堵(あんど)の表情だった。心機一転とは言ってもやはり勝負事。勝てなければ、しこりは残る。圧倒的な完勝もいいが、緊迫戦を制したのだから自信回復はさらに大きいのではないだろうか。シーズン残り2試合で西武、ロッテに敗戦。V王手からまさかの結果にチームは泣き崩れた。この白星でナインに本当の笑顔が戻った瞬間でもあった。CSファーストステージ突破へ「マジック1」とした。画竜点睛を欠いたシーズン残り2試合の緊張感を味わいながら、一気のファイナル進出を決めたいものだ。この日のゲームは序盤、中盤、終盤と大きく3つの流れがあった。3回表の西武は先頭の四球を8番愛斗が送りバント失敗(結果は空振り三振)。1死一塁から左飛に一塁走者が戻りきれず3人で攻撃は終わった。直後にホークスは1死一、二塁から1番三森の左中間二塁打で先制し、柳田の3ランで計4得点。1点差に詰められた6回裏には先頭柳田の四球をきっかけに周東の適時打で2点差とした。8、9回は得点圏に走者を出したが、千賀、モイネロがともにピンチを空振り三振で切り、力でねじ伏せた。「短期決戦」は1つのミスが命取りになる。勝因や敗因を1点に絞りきることはできないが、西武に「流れ」を渡さなかったことは確か。必勝の覚悟は相手より先にスキを出さないことだろう。これでホークスはポストシーズン17連勝。圧倒的な「強さ」を自信に一気に駆け抜けてもらいたい。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

◆ソフトバンク・藤本博史監督(58)が試合前に代表取材に応じた。野手のオーダーは、監督の中ではすぐに決まりましたか? と問われて、左翼についてだけ思いを明かした。「今の柳町とグラシアルのところやね。どっちを使おうかなというところ」柳町は今季107試合に出場して打率・277、89安打を記録した。グラシアルは99試合に出場して打率・271、7本塁打。「今の状態も、どっちも一緒なんですよね」。ヒットマンの柳町と、長打が期待できるグラシアル。2人の状態を比較しながら、心境を明かした。「柳町は前半すごく引っ張ってくれたけど、後半は柳町というのが見えないというか。全部が全部、引っ張りにいって。打球的には左中間が多い打者。僕も2軍(監督時代)一緒にやっていたけど、それが最近見えない。当然、1年間やっている中で攻められ方も変わっているので。柳町も壁に当たっている状態ですけどね」当然、短期決戦にまできたら、状態の良しあしを言っている場合でもない。「試合は始まるんだから。まずは頭(1戦目)を取ること」と闘志を燃やした。

◆ソフトバンク・藤本博史監督(58)が試合前に代表取材に応じた。継投のシミュレーションについて言及した。「泉にしても森にしても大関にしても、悪いと思ったらすぐに代えます。代えたからといって成功するわけじゃないけど。それは短期決戦ですから。何とか点を取られない形でいきたいです」ファーストステージは引き分ける可能性もあるものの、最大で3試合。2勝したチームがオリックスが待つファイナルステージに駒を進められる。相手の流れを断ち切るためにも、投手をつぎ込むことを惜しまないと強調した。2日のロッテ戦(ZOZOマリン)で逆転3ランを浴びた泉にも「大丈夫ですよ。きのうもブルペンでいい球を投げていた。きょうもそういう場面でいくかもわからない」と続けた。松本、藤井、モイネロが必勝パターンである3人だ。「松本だけね、3連投になったら球速がガクンと落ちるから。松本だけは気を使わないと。藤井とモイネロはある程度、3連投しても下がらないとわかっているので」と続けて明かした。総力戦で1つずつ白星を拾っていく。

◆西武・松井稼頭央ヘッドコーチ(46)は試合前「今日からのクライマックスシリーズ(CS)、本当に楽しみですね。今日ここでプレーできるということは、日本一のチャンスがまだあるということですから。チャレンジャーとして、思い切ってプレーしてほしいです」と話した。現役最終年となった2018年のソフトバンクとのCSファイナルステージでは出場機会がなかった同コーチ。「当然、短期決戦ですから、公式戦とは戦い方は変わってきます。そんな中でも、投手、野手とも全員が持てる力を出し惜しみすることなく、とにかく思い切って。それに尽きます」と力を込めた。

◆ソフトバンク・柳田悠岐外野手(33)が「3番・右翼」で先発。三回2死二、三塁からシリーズ1号3ランを放った。「打ったのはスライダーです。追い込まれてしまったので、とにかくバットに当てることだけを考えました。結果的に、芯で捉えて角度がついてホームランとなってくれました。大きい追加点を取ることができてよかったです」三回1死一、二塁から三森が左中間に適時二塁打を放ち先制。2死二、三塁となり柳田だ。2ストライクと追い込まれたが、最後は133キロの変化球を右中間テラスにまで持っていった。柳田はレギュラーシーズンの1日、西武戦(ベルーナ)で23号、2日のロッテ戦(ZOZOマリン)で24号を放ち2試合連発でシーズンを終えていた。終戦から6日がたった短期決戦でも集中力は健在。貴重な追加点でチームを勢いづかせた。

◆西武の三回の攻撃で珍プレーが飛び出した。1死一塁で鈴木の左中間への打球を柳町が好捕。すでに二塁ベースを大きく回っていた一走・呉念庭が慌てて帰塁する途中にカットマンの今宮の一塁送球が背中を直撃したが、そのまま跳ねてノーバウンドで一塁手・中村晃のミットの収まった。一塁塁審の判定は「セーフ」だったが、ソフトバンク・藤本監督がリクエスト。リプレー検証の結果、「アウト」に覆った。打球が当たった瞬間に帰塁する呉念庭のスピードもやや緩み、〝背中トス〟する形で7-6-3の併殺が完成した。

◆ソフトバンク・柳田悠岐外野手(33)が「3番・右翼」で先発。1―0の三回2死二、三塁からシリーズ1号3ランを放った。4―0と大きくリードを奪った。サンスポのカメラマンが撮影した写真。ヘルメットの裏側には、大人気漫画「ONE PIECE」の登場人物である「シャンクス」のシールが貼られているのをとらえていた。これをツイッター(@sanspo_hawks)でアップすると、ファンからも「まじでシャンクスおる」「確信歩きかっけーーー!」「覇王色の覇気を発揮しちゃったかもね」とコメントが寄せられていた。

◆西武・愛斗外野手(25)が敵失で1点を返した直後の五回1死一、三塁で中犠飛を放った。「打ったのはフォークです。前の打席で送りバントを失敗してしまい、その直後の回にチームが失点するという形になってしまいました。その流れの中でも先輩たちが作ってくれたチャンスの場面でしたから、もう何としても、絶対に1点を取るんだという強い気持ちでいました。何とかランナーを返すことはできました」「8番・右翼」で先発出場した愛斗は三回無死一塁で送りバントを2球続けてファウルした後に空振り三振を喫していた。

◆西武・森友哉捕手(27)が1号ソロを放った。2-4の六回2死。ソフトバンク・千賀の初球のフォークを完璧に捉えた打球は、右中間スタンドに飛び込む文句なしの一発となり、「(高橋)光成も頑張って投げていますし、何とか援護できればと思って打席に入った。打った瞬間にスタンドに行くなと思った。自分の納得のいくスイングができた」とコメントした。

◆ソフトバンクの先発・千賀滉大投手(29)が好フィールディングを見せた。4-2の六回無死、打席には1番の金子。バットの先に当たった打球がぼてぼてと三塁線を転がると、千賀が猛ダッシュ。ジャンピングスローで一塁に送球し、アウト。俊足の金子の出塁を許さなかった。サンスポ鷹番のツイッター(@sanspo_hawks)に写真をアップすると、ファンからも「全力の『F』」「芸術点高い」「美術館にこういうのありそう」「これはナイスプレーだった」と喜びの声が相次いだ。試合は七回を終えて5-3。千賀は10奪三振などの力投を見せ、チームはリードしている。

◆8年目の今季に自己最多の12勝を挙げた西武・高橋光成投手(25)が6回6安打5失点で無念の降板。「ポストシーズンだからといって、特にいつもと違った緊張感のようなものはありませんでした。今日はそれ以上は何もありません。とにかくこのあとチームが逆転して勝てるよう、精いっぱい応援します」とコメントした。

◆ソフトバンクがポストシーズン17連勝を記録し、大事な初戦に勝利。投打の主軸がそれぞれ貢献した。三回に三森の左中間を破る適時二塁打で先制すると、主砲・柳田の右翼へ1号3ランでこの回、一挙4得点を奪った。1点差に詰め寄られた六回には周東の右前への適時打で点差を広げた。先発のエース・千賀は重圧がかかるマウンドだったが、8回3失点。11個の三振を奪う力投でチームに勢いをもたらし、最後は守護神・モイネロが得点圏に走者を許すも、試合を締めた。ソフトバンクはこれで2019年に2位で出場したクライマックスシリーズ・ファーストステージ第2戦(対楽天)から、ポストシーズン17連勝。優勝したオリックスが待つファイナルステージへ王手をかけた。

◆ソフトバンクの第2戦は東浜巨投手(32)が先発マウンドに上がる。優勝を逃した悔しさを胸に留め、静かに闘志を燃やした。「シーズンと違うものは感じます。また別ものと思うが、これといってやることは変わらない。立ち上がりから、全力で行けるようにしたい」シーズンの最終登板となった9月26日、ロッテ戦(ペイペイD)ではチームは勝利。そこからマジックを1まで減らすも、優勝を逃した。帯同しながら仲間の姿を目にし、「余計に悔しかった。あの中にいることができなかったことは悔しく思いますし、もどかしさを感じた。それでも終わったこと。目の前の試合に集中にするだけと思いますし、前を向いて全力でプレーするだけです」今季、西武戦は7試合に登板。5月11日には西武戦(ペイペイD)ではノーヒットノーランを記録するなど、3勝1敗と相性はいい。「相手どうこうよりも、どっしりと構えて、冷静に熱く投球できれば」と力を込めた。

◆ソフトバンクが先勝した。三回に1点を先制すると、なお2死二、三塁から柳田悠岐外野手(33)が1号3ラン。先発の千賀滉大投手(29)は8回3失点でまとめた。試合後、藤本博史監督(58)が代表取材に応じた。主な一問一答は以下の通り。――三回には柳田の3ラン含む4点を奪った「打つ方のキーマンは柳田といっていたので。柳田がしっかりとあそこで打ってくれたのが大きかったですね」――柳田はシーズン終盤から頼もしい活躍「レギュラーシーズンの最後の2試合から3試合連発ですか。いいところでしっかりと打ってくれているので。特に先取点を取るというのを目標にしているので。まずは千賀が点をやらないということを意識して投げてくれといっていたので。その通りになりましたね。周東のダメ押しもすごく大きな1点だった」――六回2死満塁では周東が5点目の適時打「レギュラーシーズンの終盤でちょっと調子を落としていたので。練習の中でライナーを打とうと意識した。よかったと思います」――千賀の内容「守備の方で足は引っ張られましたけど、要所を締めてくれたと思います」――八回は迷いなく送り出した「第2ステージにいったら中5日でいくと思いますから。そういう意味では100球でやめたかったんですけど、まずはきょうの試合に勝たないといけない。七回に終わったところで95球。あと一回、千賀と話したらいかせてくださいということで」――5-3の八回2死三塁で山川を申告敬遠。同点の走者となったが、それでも歩かせた「山川対千賀、栗山対千賀というところ。栗山にも打たれていますけど、大きいのはないだろうと。山川の一発で負けている試合がレギュラーシーズンは多かったので。山川の一発だけは避けようと」――栗山を空振り三振に斬り、ベンチでは甲斐と会話を「一、三塁の場面で千賀が打者に集中して足を大きくあげていた。一塁走者が山川でね。これは同点の走者だから。専念するけど、野手の間を抜けたら同点になってしまうから。そのために(中村晃を)一塁にもつけていたからね」(続けて)「甲斐には、千賀にいうといてくれと。ああいう野球はないよということですよね。打者を100%抑えるという気持ちがあってもね、山川は同点の走者なんだから。万が一、間を抜けたら同点になる。そこだけは注意しようと。そういう守備位置を取っているわけだから」――ポストシーズンで初采配だった「試合前から全員でいこうと話していた。千賀の球の強さが落ちていなかったし、甲斐もまだ球は強いですということで」――緊張感ある試合だが、ベンチの雰囲気は「変わりなく、ベンチはすごく声は出ているし。控えの選手、若い選手が一回から九回まですごく声を出してくれています」

◆西武は高橋光成投手(25)が6回5失点と先発の役目を果たせず、初戦を落とした。辻発彦監督(63)は就任以来、CSでは2勝11敗(アドバンテージでの1勝を除く)。試合後の一問一答は以下の通り。--高橋が三回に4失点「うーん、うまく打たれたと思うよ。(三森は)あれはちょっと失投かな。あそこをつながれたのがやっぱり...。柳田の(3ラン)に関しては、もう一つワンバンになるぐらいの球だったら良かったかもしれない。あれはうまく打たれたね。普通に引っ張りにいったら、ファウルかそんな(本塁打)にならないと思うけど。うまく拾われた」--打線は千賀に対して粘った「こんなもんでしょ。向こうもウチも必死にやって、両投手からなかなか点が取れない中で、ミスが出ると点を取られるし。勝てなかったことが非常に残念だった」--三回無死一塁の先制機で愛斗が送りバント失敗「短期決戦でミスが出たりすると負けちゃう。愛斗はバントはうまい選手。(でも)難しいのよ。そんな簡単に言わないで、バントを。千賀くらいの球を投げていると、真っすぐはある、フォークもある、それをいいバントしないといけないっていうプレッシャーもあるだろうし」--八回2死一、三塁で山川が二盗を試みた「もちろん、走らせた。あんだけ足を上げてくれるなら。山川でもセーフになるでしょう」--初戦を落として、後がなくなった「そうだね、(明日)負けたら終わりだもんね。(第2戦先発の)今井にチームを勝たせてもらいたいです」--明日も普段通り?「もちろん、気負わない。ベンチは非常に明るくやっていますよ。負けても最後盛り上がっているし。結果は結果。終わったところで、勝つか負けるか」

◆ソフトバンクのエース・千賀滉大投手(29)が重圧のかかる初戦を8回3失点。毎回の11奪三振を奪う力投で、チームに勢いをもたらした。「とにかく自分の役割をやるだけだと思っていました。試合に入りすぎた分、点が入ってからぐだった部分もあったが、チームが勝てばいいという所に重きを置いていたので、かなってよかった」一回から160キロに迫る直球で西武打線と真っ向勝負。三回には、「最高でした」と主砲・柳田の3ランなど4点の援護をもらい、四回まで完全投球。しかし、五、六回には、それぞれ失点し、5-3の八回。2死一、三塁で栗山との勝負どころを迎えた。何度もプレートを外し、時間をかけて、カウント2-2からの投じた112球目、代名詞のフォークで空振り三振に仕留めた。「ベンチの思いとみんなと思いは0で帰ることと思ったので時間をかけてでも0で帰ろうと思いました」と胸を張った。「気持ちはいつでも入っているので、しっかり準備できていたのかなと。2つ勝てば次のステージに進めるので、みなさんと一緒に応援します」と後はチームメートに託した。

◆ソフトバンクの周東が効果的な2安打で勝利に貢献した。0―0の三回は1死走者なしから、右翼線へチーム初安打となる二塁打を放ち、一挙4得点を呼び込む。1点差に追い上げられた六回は2死満塁から「自分を信じて打席に入った」と、初球を捉えて貴重な追加点を挙げた。2019、20年は若手としてポストシーズンに挑んだが、26歳となって1軍にも23歳の三森ら年下の選手が増えた。「僕もそろそろ、どっしりとしていかないといけない」と、主力の一人としての責任感を大事な初戦で体現した。

◆ソフトバンクが先勝した。三回に1点を先制すると、なお2死二、三塁から柳田悠岐外野手(33)が1号3ラン。先発の千賀滉大投手(29)は8回3失点でまとめた。ヒーローインタビューの問答は以下の通り。【以下、柳田】--三回2死二、三塁で3ラン。どんな気持ちで打席へ「チャンスだったので。何とかしたいと、打席に入りました」--高い打球だったが、手応えは「必死に当てにいったので。芯付近に当たってくれましたし、角度がついたので、なんとかいってくれと思っていました」--先発・千賀が8回3失点。エースの投球をどう見ていた「4点で十分かなと思いました、はい」--2位で終わった悔しさもあったのでは「終わったことなので。また、きょうも終わったことなので。あしたまた頑張ります」--ファンにメッセージを「きょうは本当にたくさんのお客さんにきていただいて、ありがとうございます。みなさんの声援のおかげで勝つことができました。これからも戦いは続きますので、応援よろしくお願いします!」【以下、千賀】--どんな気持ちでマウンドへ「とにかく先制点を与えないように、チームが点を取るまでは何とかゼロでと思ってマウンドにいきました」--柳田の3ランをどう見ていた「最高でした」--八回2死一、三塁では栗山との対戦。かなり時間をかけていた「八回もマウンドにあがりましたし、とにかく僕がいくというところに対して、ベンチの思いと、みんなの思いはゼロで帰るということだと思ったので。とにかく時間をかけてでもゼロで帰ろうと思っていたので、できてよかったです」--大事な1戦目を勝利した「2つ勝てば次のステージに進めるので。あしたも勝って、終わってほしいです」--次の登板はファイナルステージであることを信じたいです。ファンの方々にメッセージを「ひとまずあした、あさってで勝って。次のステージにみんなが進んでくれると思うので。僕もみなさんと応援します。ありがとうございました!」

◆一球に泣き、一球に笑う。結果が全ての短期決戦で、ソフトバンクが先勝だ。柳田が1号3ランを放ち、鷹を勝たせた。「千賀がしっかり投げてくれて、投手陣が素晴らしかったと思います」三回に1点を先制して、なお2死二、三塁。レギュラーシーズンでは6打数1安打だった高橋との対戦だ。133キロのスライダーを振り抜くと、打球は右中間テラスに着弾。「何とかミートと思っていました」と無我夢中の一撃だ。1日の西武戦(ベルーナ)で23号、2日のロッテ戦(ZOZOマリン)で24号を放ち、これでレギュラーシーズンから〝3試合連発〟。チームは2019年の楽天とのファーストステージ第2戦からポストシーズン17連勝だ。柳田はプレーオフ、CSで通算7発目。藤本監督は「打つ方のキーマンは柳田なので」と深くうなずいた。名実ともに、チームリーダーを託された。今季限りで39歳のベテラン、松田が退団。今月5日、柳田はスーツ姿でペイペイドームを訪れた松田と顔を合わせた。「(会話は)『長い間、ありがとう』と。いい思いをさせてもらってありがとうございますと、そういう感じです」熱男と呼ばれ、元気と明るさで仲間を引っ張った男がホークスを去る。松田が9月8日に登録抹消されて以降、柳田の姿勢について藤本監督は「マッチ(松田)がいなくなってからすごく声を出すようになったんですよね。キャプテンとして何とか引っ張ろうとしてくれている」と信頼を寄せた。オリックスが待つ大阪行きに王手。気持ちも結果も大事な短期決戦だからこそ、中心に立つのはキャプテンだ。「変わらず、いい一年にしたいですね」9日は34歳の誕生日。チームとファンが喜んでくれるなら、何度でも祝砲を打ち上げたい。(竹村岳)

◆家族が気持ちを切り替えさせてくれた。三回に3ランを放ったソフトバンク・柳田悠岐外野手(33)はリーグ最終戦で優勝を逃した2日のロッテ戦(ZOZOマリン)での敗戦後、野手陣は2日間の休日。「子供と遊んでいました。おもしろいですよ」とリフレッシュした。家に帰れば3児の父親。「風船とかボールとか。いろんな遊びをしています。子供も(気持ちが)コロコロ変わるので、やりたいことをやっています」と笑顔で明かした。

◆ソフトバンクが先勝した。三回に1点を先制すると、なお2死二、三塁から柳田悠岐外野手(33)が1号3ラン。先発の千賀滉大投手(29)は8回3失点でまとめた。?パ・リーグでプレーオフ、CSファーストステージ(S)第1戦に勝った球団がファイナルSに進出したのは過去17度のうち14度で、突破率は82・4%。?ソフトバンクは2019年ファーストS第2戦から9連勝。自らの持つプレーオフ、CS最多連勝記録を更新。日本シリーズを含めたポストシーズンでは17連勝中。?柳田が3ラン本塁打。プレーオフ、CSでの本塁打は20年第1戦以来2年ぶり通算7本目。この日3打点を挙げてプレーオフ、CS通算23打点。プレーオフ、CSで通算23打点は内川聖一(ソフトバンク)の31、和田一浩(西武、中日)の24に次ぐ歴代3位。中村剛也(西武)の22を抜いた。

◆西武は、あとがなくなった。辻発彦監督(63)は「結果は結果。いいゲームだったが勝てなかったことが非常に残念だった」と気持ちを切り替えた。先発・高橋が誤算だった。三回に1点を先制された直後の2死二、三塁から、柳田に右中間のホームランテラスに飛び込む3ランを浴び、がっくりと膝に手をついた。CS初登板は6回5失点。「緊張感のようなものはなかった。それ以上は何もありません」と言葉少なだった。チームは2018年からCSで8連敗。1977-81年と2015-20年のロッテが喫した7連敗を上回り、ワースト記録となった。ファーストステージを突破するには、2連勝するしかない。指揮官は第2戦に先発する今井に「チームを勝たせてもらいたい」と期待を込めた。(石井孝尚)

◆ソフトバンク・千賀のドラフト同期生も大喜びだ。CS突破を祈念してペイペイドームでは先着5000人に即席麺販売業の「マルタイ」(福岡市)が限定製造した「一発祈願! ホームラン。棒ール(ポール)ラーメン しっかりしょうり味」が配布された。実はマルタイは今季から両翼のファウルポールにネーミングライツを取得。ポールへの命名権は球界史上初で、「マルタイ棒ラーメンポール」と名付けられた。棒ラーメンのパッケージとポールが似ているとの話を聞いて、仕掛けたのが2011年育成ドラフト3位で愛知・誉高から投手としてソフトバンクに入団した伊藤大智郎氏(現球団職員)。同年の育成4位が千賀、6位が甲斐だった。右肘の故障もあって育成選手のまま17年を最後に現役を引退した同氏が同期とともにCSで〝大仕事〟をした。(東山貴実)

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