DeNA(★0対2☆)阪神 =クライマックスシリーズ1回戦(2022.10.08)・横浜スタジアム=
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阪神
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DeNA
0000000000600
勝利投手:青柳 晃洋(1勝0敗0S)
(セーブ:湯浅 京己(0勝0敗1S))
敗戦投手:今永 昇太(0勝1敗0S)
  DAZN
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◆阪神がファイナルステージ進出に王手をかけた。阪神は両軍無得点で迎えた5回表、近本の適時打で2点を先制する。投げては、先発・青柳が6回無失点の好投。その後は小刻みな継投でリードを守り抜いた。敗れたDeNAは、打線が中盤以降の好機を生かせなかった。

◆阪神を今季限りで引退した糸井嘉男氏(41)が、サンテレビ「熱血! タイガース党」に生出演した。今後を聞かれると「自分探し」とニヤリ。「球団さんから、まだくわしい話はないんですけど」と今後も何らかの形で球団に残ることを示唆した。育ってほしい後輩として佐藤輝の名前を挙げ「(近大の)後輩ですし、左打者ですし、サイズも似てますし。もっと練習しないと。1年間フルで持つような。夏場疲れてくるなというのはあると思うんで」と、今以上の練習量を求めた。2位DeNAとのCSファーストステージ第1戦については「大山選手の一発が出そう。全力で応援したいですね」と期待を込めて予想した。

◆阪神は8日から始まるDeNAとのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(横浜)へ向け、決戦前日の7日に甲子園で最後の全体練習を実施した。阪神のCS進出は2位だった21年に続いて2年連続10度目。これまでのCSはいずれもファーストSからで、14年と19年の2度ファイナルSに進んだ。14年はファイナルSで1位巨人に4連勝し、CS突破。日本シリーズでは、パ1位のソフトバンクに初戦を取ったが、2戦目から4連敗で日本一はならなかった。セ・リーグのCSで3位球団のファイナルS進出は過去8度。中止の20年を挟んで16年から5年連続で3位球団が勝ち上がっている。阪神では3位で挑んだCSファーストSは07、15、19年の3度あるが、直近の19年はDeNAを2勝1敗で破りファイナルSに進んでいる。阪神はレギュラーシーズンで68勝71敗4分けで借金3。借金を抱えてプレーオフ、CSに進出したのは8チーム目。阪神では15年に70勝71敗2分けの借金1で進んで以来、2度目。公式戦5割未満でCSに進出したチームのうち、ファーストSを突破したのは4度。いずれもファイナルSで敗れており、日本シリーズに出場したチームは過去にない。プレーオフ、CSのファーストSで初戦に勝った31チームのうち26チームがファーストSを突破。初戦を取れば突破確率は84%。初戦の戦いがファイナルS進出の鍵を握る。

◆「2022JERAクライマックスシリーズ セ」が今日8日から開幕する。本拠地でのファーストステージ阪神戦に臨むDeNAの先陣を切るのは、今永昇太投手(29)。今季チームトップタイの11勝(4敗)を挙げ、防御率2・26と抜群の安定感を誇る左腕が、9月25日ヤクルト戦(神宮)での村上との真っ向勝負の裏側、そしてCSへの「真っすぐ」な思いを語った。【取材・構成=久保賢吾】意識の変化が、今季の「進化」の土台となっている。その象徴的なマウンドが、9月25日ヤクルト戦だった。サヨナラ負けを喫し、目の前での胴上げを許したが、今永は「逆転の発想」から7回を無失点に抑え、56号がかかっていた村上も、真っ向勝負で3打数無安打2三振に封じた。今永 僕の中では、村上選手の56号とヤクルトの優勝がセットだなと思っていたので、逆の思考で、村上選手に56号を打たれなければ優勝は遠のくんじゃないかなと。自分の気を楽にする思考ではあるんですけど、まず56号を打たせないことを考えて、逃げずにしっかり勝負しにいきました。1回2死一塁の第1打席はカウント1-2から、外角高め152キロの速球で空振り三振。3回2死二塁では、変化球で追い込んでからの高め真っすぐで一ゴロ。6回2死走者なしの第3打席は、カウント2-2から152キロの直球で空を切らせた。いずれも勝負球はストレートだった。今永 村上選手はもちろん真っすぐも強いんですけど、変化球を打つのが得意な選手。今の僕の変化球と真っすぐではどっちが勝負にはいいのかなっていうのを考えて、真っすぐを選択しました。マウンド上で自身を追い込みすぎる姿はない。相手を冷静に分析し、打者との対戦、その1球1球だけに集中する。だから、今季の今永は、息詰まる投げ合いでも周囲には楽しんでいるようにさえ映る。今永 フォームがどうとか、ボールがいってないからどうとかっていう考えは一切なくて、対自分ではなく、対相手になっているから、そういう(楽しむ)感情が生まれたのかもしれないです。意識の変化が集中力を研ぎ澄ませ、結果につながる好循環。6月7日の日本ハム戦ではノーヒットノーランを達成し、後半戦は8月に5戦5勝をマークするなど7勝1敗、防御率1・54と無双だった。今永 (9月25日の)ヤクルト戦もそうでしたけど、試合に入りこんで、試合に没頭していると、いい意味でいろんなことを忘れられる。そういう精神状態に持っていけば、おのずとパフォーマンスは上がるということに気付きました。CSでは通算6試合に登板(3先発)し、0勝1敗、防御率6・19。CSを「特別な試合」と位置付けていた昨年までなら重圧を感じるかもしれないが、今は、そんな意識は全くない。今永 前までは「CSは完璧な投球をしないといけない」って思ってたんですけど、そうじゃないなと。意味づけって言葉を結構使わせてもらうんですけど、自分がどんなマインドで投げていても、周りの人が勝手に(その登板に)意味づけをしてくれる。だから、自分がチームを背負って投げるとか思う必要はないのかなと。例えば、ペナントレースの10試合目とCSで、何かすることが変わるのかと言われたら、何も変わらない。点を取られてもいいし、ベストピッチングをする必要はないって考えだして、それが後半戦のいい投球につながったので、CSもそれでいいんじゃないかと思います。ただ勝つためだけに投げる。阪神とのファーストステージから、再スタートする日本一への道。初戦を任される左腕が、その「真価」を証明する。○...この日の今永は、キャッチボールやランニングで軽めの調整を行った。シーズン終盤は中5日が続いたが、8日阪神戦は中6日で迎える。「リカバリーもしっかりできて、いい食事と睡眠を心掛けたので、コンディションはものすごくいい」と万全だ。夏には17連勝を記録した本拠地開催。「見えない力がこれほどあるんだと選手全員、気付かされたと思う。明日も自分の力以上のものを出せると思うので、感謝の気持ちを伝えながら、感動してもらえるような投球をしたい」と意気込んだ。

◆阪神青柳晃洋投手(28)がDeNAとのCSファーストステージ初陣の先発マウンドを託された。前日会見で矢野監督が「青柳でいきます」と宣言。甲子園の室内練習場で決戦に備えた右腕は「シーズンとやることは変わらない。"3連戦で勝ち越すだけ"というイメージ。自分のできることをしっかりこなすだけ」と引き締めた。同学年のエース対決となった。相手先発の今永とは今季3度投げ合い、青柳は1勝を挙げたが、結果的にチームは2敗を喫した。難攻不落の左腕との対戦に「いいピッチャーに対して勝てたらいいと思うので、今永に投げ負けないように」と闘志を燃やした。8日の初戦は才木を「オープナー」、青柳を「第2先発」として起用するプランもあったが、指揮官は「面白いな、ということも考えにはあったけど、普通に考えたら青柳。任せるのにふさわしいピッチャー。思い切り躍動して、向かっていく投球をしてくれると思う。僕自身も青柳を信じてます」と話した。敵地だが、青柳にとっては地元の凱旋(がいせん)登板だ。「知り合いも多く来てくれる。横浜で投げるのは全然嫌いじゃないので。地元で楽しめたらいいなと思います」。最多勝、最高勝率、最優秀防御率の「投手3冠」を手にしたセ界最強右腕が、横浜の地で仁王立ちする。【古財稜明】CSファーストステージの主なルール シーズン2位と3位が3試合制で対戦し、勝利数の多い球団がファイナルステージに進出。引き分けを除いた勝利数が同じ場合は2位球団が勝者となる。昨季はコロナ禍で行わなかった延長戦を実施(12回まで)。12回終了後、同点なら引き分け。12回表終了時や12回裏の攻撃中に後攻のステージ勝ち上がりが確定した場合、その時点で終了する。

◆矢野虎最後のドラマが幕を開ける。今季限りで退任する阪神矢野燿大監督(53)が決戦の地・横浜スタジアムで決意を語った。「(自身が監督)最後やと言って臨んでるシーズンで、選手たちが最後に粘って勝ち取ってくれたクライマックス。俺としては特別な気持ちというのはある。勝つというのはもちろん、積極的にとか、そういうことができればという思いは強い」。まさに矢野タイガースの集大成。明日なき戦いの始まりだ。一戦必勝となる短期決戦のイメージは描いている。指揮官は「うちとしては接戦に持っていきながら、どう勝ちきるかっていうような継投になると思うんで。普段と違う継投になるかもしれない」と想定。DeNA初戦はエース青柳に先発を託すが、ブルペンには藤浪、西純をスタンバイさせる。前日会見では1番中野をキーマンに挙げた。「うちは足を使えるチーム」と、積極的なタクトでDeNA今永を攻略する。ユニホームを脱ぐそのときは確実に近づいている。ナインは「矢野監督と少しでも長く」と口々に話す。指揮官はその話題に少し表情を緩めた。「この時間をみんなが作ってくれたんで、それこそ、俺は楽しみたいなと思ってる。それが日本シリーズまで続くと信じて。本当にいいチームなんで俺も長くやりたい」。07年に導入されたCSだが、3位からのCS突破は、10年ロッテと17年DeNAに限られる。さあ、感動のフィナーレへ。球団初のミラクル進撃がハマスタから始める。【桝井聡】

◆阪神湯浅京己投手がCSでも"アツアツ"投球を宣言した。「8回の男」として最優秀中継ぎ賞のタイトルを手にした右腕は、4年目で初の短期決戦へ向け「緊張感もありますけど、やっぱり楽しみの方が大きいです」と目を輝かせ「本当に負けられない。どんな展開、どんな場所でも、変わらず"アツアツ"なピッチングができればと思います」と自身の名前(京己=あつき)をもじったお決まりのセリフで決意を語った。今季はチームトップの59試合に登板し、28試合連続無失点で締めくくった。CSまで中5日間の調整期間があったが「気持ち的にも体的にも1回リセットして、もう1回気持ちを入れ直して調整しました」。DeNA戦に向けて「一発のある打線で、足の速い選手もいっぱいいる。何を警戒するというより、いろんなことを自分の中で想定して、しっかり準備だけはしておきたい」と引き締めた。

◆「2022JERAクライマックスシリーズ セ」が今日8日から開幕する。阪神大山悠輔内野手(27)が7日、背番号3の進化を追う日刊スポーツ独自企画「比べるのは昨日の自分」で、セ・リーグ3位からの下克上を狙う戦いに向け、決意を激白した。ファーストステージ開幕DeNA戦(横浜スタジアム)は「4番右翼」で先発する見込み。再び頂点を目指す道のり、合言葉は「束になって」だ。【取材・構成=佐井陽介】下克上を懸けた戦いがいよいよ幕を開ける。矢野阪神4年間の集大成にも注目が集まる決戦開幕の前日、4番はもう腹をくくり終えていた。心は熱く頭は冷静に、指揮官の教えを120%出し切るつもりでいる。大山 まずは試合に勝つこと。その中で4年間教わってきたことを体現する姿を見せられればと思っています。矢野さんが就任1年目だった19年のシーズン開幕前、部屋に呼んでもらって「4番で行くぞ」と声をかけてもらいました。その時、「たとえ凡打になったとしても堂々としていよう」という話をしてもらったことを今もよく覚えています。打って堂々とするのは簡単だけど、打てなかった時はなかなか難しい。それでも堂々と次に向かう姿を見せていこう、と。特にCSは短期決戦で失敗を引きずっている暇がない。もちろん全打席打てるに越したことはないけど、たとえ凡退してもすぐに切り替えることをより意識していきたい。ファーストステージの舞台は横浜スタジアム。チームが今季2勝11敗と苦しみ、自身も34打数3安打、0本塁打と沈黙した球場でもある。ややもすれば負のデータにのみ込まれそうなものだが、全く意に介さない姿勢からチャレンジャーの覚悟が見え隠れする。大山 確かに横浜スタジアムでの成績は良くなかったですけど、シーズンとCSは別物。もうレギュラーシーズンが終わって一区切りはついている。相手バッテリーの攻め方にしても、3連戦の中で戦うシーズンと比べればまた違ってくると思うので。自分自身、シーズン終盤はあまり状態が良くなかったかもしれませんけど、それもCSではあまり関係ないと思っています。自分たちは3位に入ってチャンスをもらえた立場。失うものは何もないけど、良い意味で(冷静と思い切りと)半分半分というイメージですかね。日本一はまだ先の話。当たり前ですけど、ファーストステージを勝たないとファイナルステージにも進めない。まずは目の前の1試合。勝てば次の試合。それだけを考えて戦っていきたい。レギュラーシーズンは王者ヤクルトに12ゲーム差をつけられ、借金3。それでも最終盤の粘り腰で3位に滑り込み、再び日本一への挑戦権をもぎ取った。一戦必勝を地で行く必要がある超短期決戦。合言葉は「束になって」だと言う。大山 レギュラーシーズンの終盤、ベンチの中で「束になって戦おう」という言葉が飛び交っていました。原口さんだったり糸原さんだったり、選手同士で「束に!」「束に!」と声を掛け合っていたんです。1人でも違う方向を向いてしまったら、チームは束にはなれない。でも、みんなが束になる気持ちで同じ方向を向いて戦えば、タイガースはもっともっと強くなれるはず。CSでは今まで以上にチーム全体がより1つになって、1試合1試合を勝ち上がっていきたいと思っています。

◆DeNAが、阪神青柳対策でスタメンに左打者を6人並べた。楽天時代の13年に日本一を達成した藤田一也内野手(40)を「6番三塁」で起用。短期決戦に向けた勝負手を打った。

◆両チームのスタメンが発表された。阪神は1番中野拓夢内野手(26)から6番佐藤輝明内野手(23)まではシーズン終盤と同様の並び。4番の大山悠輔内野手(27)が右翼に入り、「7番左翼」には左腕今永対策として陽川尚将内野手(31)が抜てきされた。野手では高寺望夢内野手(19)、メル・ロハス・ジュニア外野手(32)がベンチ外。投手では西純矢(21)がベンチ入りし、ブルペン待機する模様だ。先発は青柳晃洋投手(28)。リーグ最多13勝右腕で必勝を期す。

◆DeNA牧秀悟内野手(24)が、CS初打席で遊撃への内野安打をマークした。0-0の2回無死、フルカウントから阪神青柳の144キロをはじき返し、Hランプを点灯させた。青柳対策で左打者をスタメンに6人並べる中、不動の「4番二塁」でスタメン出場。2球で追い込まれながら、結果を残した。後続の楠本、藤田、森が3者連続で中飛に凡退し、無得点に終わった。

◆DeNA藤田一也内野手(40)が、ファインプレーで沸かせた。0-0の4回1死、阪神佐藤輝の三遊間へのゴロに飛びつき、素早く立ち上がって、一塁に送球した。スタンドからは大きな拍手が起こって、ベンチでは宮崎、大田らも声を張り上げ、好守をたたえた。この日は、変則右腕の青柳対策として、「6番三塁」で4月16日のヤクルト戦以来、スタメンに名を連ねた。

◆頼れる男が勝負の一戦で大当たりだ。阪神近本光司外野手(27)が先制打で試合を動かした。両軍無得点の5回1死満塁、DeNA今永から2点適時打となる中前への安打を放った。「打ったのはストレート。青柳さんがいい投球を続けてくれていたので、何としても先制点をという気持ちで打ちました。まだまだ援護できるように頑張ります」とコメントした。レギュラーシーズンでは12打数1安打と苦しめられてきた左腕から、5回までで早々に猛打賞を決めた。先勝すればファーストステージ突破の可能性がグッと高まる初戦。3番が大きな仕事を果たした。

◆阪神青柳晃洋投手(28)が、6回4安打無失点と好投し、マウンドを降りた。シーズン同様に左打者6人を並べてきたDeNA打線を相手に、両サイド低めを丁寧に突く投球で、4回まで二塁を踏ませなかった。6回は1死からこの試合初めて四球を出したが、3番佐野の内角を攻めて一邪飛。4番牧には左翼フェンス際まで運ばれるも、飛球に抑えて安堵(あんど)の表情を浮かべた。試合中に「このCSではどんな形でも0点に抑えるということが大事だったので、しっかりその結果を出すことが出来て良かったです」とコメントした。青柳は「9番打者」としても突破口を切り開いた。両軍無得点の5回、1死から左翼線へのヒットで出塁。その後1死満塁から近本が中前への2点適時打を放ち、先制の本塁を踏んだ。今季DeNA戦は登板した全6試合で失点していたが、シャットアウト。最多勝、最高勝率、最優秀防御率の「投手3冠」を手にした虎のエースが、短期決戦初戦で大役を果たした。

◆DeNAは8日、阪神とのCSファーストステージ初戦で、横浜スタジアム史上最多動員の3万3033人を記録したことを発表した。これまでの最多動員は、10月1日の巨人戦の3万2819人だった。

◆阪神がCS仕様の"必勝継投"に打って出た。2点リードの8回に、守護神の岩崎優投手(31)を起用した。先頭の大和は内角直球で遊飛。桑原は投ゴロに仕留めたが、一塁へフワッと投げたボールが上にそれるまさかの悪送球で出塁を許した。続く代打オースティンには四球を許し、1死一、二塁。ピンチで佐野を一邪飛に抑え、4番牧を迎えたところで、今季最優秀中継ぎ賞を獲得した本来の「8回の男」湯浅京己投手(23)を投入。カウント2-2からの5球目、外角フォークで空振り三振に仕留め、窮地を脱した。湯浅は右拳でガッツポーズを決めてベンチへダッシュで帰り、ナインにたたえられた。レギュラーシーズン3位の阪神が2位DeNAに対して初戦を取った。プレーオフ、CSのファーストSで初戦に勝った31チームのうち26チームがファーストSを突破。初戦を取れば突破確率は84%と数字上は有利な状況だ。

◆阪神が5回に積極采配で2点を奪い快勝。CSファーストステージ突破に王手をかけた。

◆阪神が5回に積極采配で2点を奪い快勝。CSファーストステージ突破に王手をかけた。0-0の5回、1死から9番青柳晃洋投手(28)が右翼線への安打で出塁。1番中野拓夢内野手(26)も中前安打で続き、1死一、二塁のチャンスをつくった。矢野燿大監督(53)は2番糸原健斗内野手(29)に代えて、早々と代打の切り札ジェフリー・マルテ内野手(31)を送った。マルテは四球を選び満塁に。続く3番近本光司外野手(27)が中前に2点先制適時打を放った。「(先発の)青柳さんがいい投球を続けてくれていたので、何としても先制点をという気持ちで打ちました」と欲しかった援護点をようやく奪った。先発青柳は6回を85球で4安打無失点と好投。7回からは継投策で逃げ切った。シーズンでは今季2勝11敗、8連敗で終えた苦手な敵地横浜で嫌な流れを振り払う大きな1勝となった。プレーオフ、CSのファーストステージで初戦に勝った31チームのうち26チームがファーストステージを突破。初戦を取った場合の突破確率は84%。今季限りでの退任を発表している矢野監督のラストシーズンは、まだ終わらない。<1>戦は阪神とソフトバンクが勝利。過去にプレーオフ、CSの1S<1>戦に勝って王手をかけた31チームのうち26チームがファイナルSに進出しており、突破確率は84%。1Sで先勝は阪神が14、17、19年、ソフトバンクは12、16、18年に次いで今回が4度目。ソフトバンクは過去3度すべて突破したが、阪神はDeNAと対戦した17年(○→●●)に進出を逃している。

◆2位DeNAが、3位阪神とのCSファーストステージ初戦に0封負けを喫し、CSファイナルステージ進出に向け、崖っぷちに立たされた。変則右腕の青柳対策として、右打者の宮崎、ソトをスタメンから外し、「青柳キラー」で左打者の神里、ベテランの藤田を「6番三塁」で4月16日のヤクルト戦以来、スタメンに起用した。先手必勝に向け、三浦監督は勝負手を打ったが、青柳の前に6回無得点と沈黙し、7回以降は阪神の強力投手陣の小刻みな継投に抑え込まれた。3回を除き、8イニングで走者を出しながら、好機であと1本が出ず。5回2死二塁では代打戸柱が一ゴロ、7回2死二塁では嶺井が二ゴロ、8回2死一、二塁では牧が空振り三振に倒れた。三浦大輔監督(48)は「接戦になるのは頭に入ってましたけど、点を取らせてもらえなかったですね。明日、切り替えられるように。そこだけです。何としても切り替えてやります」と前を向いた。この日は、横浜スタジアム史上最多動員の3万3033人を記録したが、敗戦の瞬間、スタンドからはため息が漏れた。過去14度のセ・リーグのCSファーストステージでは初戦に勝利したチームが12度、CSファイナルステージに進出。データ上でも、瀬戸際に立たされた。▽DeNA入江(CS初登板で2回を無失点の好リリーフ)「少しフォームのばらつきがありましたが、嶺井さんのアドバイスで修正することができました」▽DeNA藤田(4月16日のヤクルト戦以来のスタメンで1安打&好守)「『やってやるぞ』という気持ちでした。短期決戦は勝たないと意味がないので、本当に勝ちたかったです」

◆阪神湯浅京己投手(23)が、"守護神"として見事な火消しで勝利に大きく貢献した。2点リードの8回に、守護神の岩崎優投手(31)を起用。1死から桑原は投ゴロに仕留めたが、一塁へフワッと投げたボールが上にそれるまさかの悪送球で出塁を許した。続く代打オースティンには四球を許し、1死一、二塁。ピンチで佐野を一邪飛に抑え、4番牧を迎えたところで、今季最優秀中継ぎ賞を獲得した本来の「8回の男」湯浅を投入した。カウント2-2からの5球目、外角フォークで空振り三振に仕留め、窮地を脱した。湯浅は右拳でガッツポーズを決めてベンチへダッシュで帰り、ナインにたたえられた。シーズン中は2度しか経験のなかった回またぎで、9回のマウンドへ。先頭楠本を内角直球で一飛に仕留め、宮崎は遊ゴロに。ソトには中前打を許したが、代打大田を三ゴロに封じて"プロ初セーブ"をゲット。大事なチームに大きな勝利をもたらした。湯浅のヒーローインタビューは以下の通り。-8回2死一、二塁の場面でマウンドへ。出番を告げられた時の心境は「自分の中では準備できていたので、バッターに向かっていくだけでした」-直球で押して、最後は変化球で空振り三振「本当にヒットも打たれたくないと思ってマウンドに上がりましたし、絶対に気持ちでも負けないと思って上がりましたけど、フォークは最終的に浮いちゃいましたけど、結果的に三振でよかったなと思ってます」-三振でガッツポーズが出ていた「とりあえず、ホッとしました」-今季はタイトルも手にしたが、セーブ機会への回またぎは初めて「特に変な抵抗感はないというか、自分の中では全然いけると思って準備してましたし、しっかりゼロで抑えて勝とうと思ってました」-自身初のCSの登板「いつも通りマウンドに上がれましたし、緊張もありましたけど、楽しめたんじゃないかなと思います」-ファンに向けて熱い決意をお願いします「明日しっかり勝って、みんなで力を合わせて絶対勝つので、明日も"アツアツ"な応援よろしくお願いします!」湯浅が8回2死から9回まで投げて初セーブ。プレーオフ、CSでイニングをまたいでセーブを挙げたのは、19年ファイナルS<2>戦森(ソフトバンク)以来で、阪神では14年ファイナルS<3>戦呉昇桓、19年1S<3>戦藤川に次いで3人目。また、湯浅は公式戦で1度もセーブなし。通算0セーブの投手がCSでセーブを挙げたのは、16年ファイナルS<5>戦の大谷(日本ハム)以来4人目。レギュラーシーズン3位の阪神が2位DeNAに対して初戦を取った。プレーオフ、CSのファーストSで初戦に勝った31チームのうち26チームがファーストSを突破。初戦を取れば突破確率は84%と数字上は有利な状況だ。

◆2位DeNAが、3位阪神とのCSファーストステージ初戦に0封負けを喫し、CSファイナルステージ進出に向け、崖っぷちに立たされた。3回を除き、8イニングで走者を出しながら、好機であと1本が出ず。5回2死二塁では代打戸柱が一ゴロ、7回2死二塁では嶺井が二ゴロ、8回2死一、二塁では牧が空振り三振に倒れた。先発今永が5回2失点の粘りの投球だったが、近本の適時打で許した2点が重くのしかかった。この日は、投手陣が中野に4安打、近本に3安打を浴び、第2戦に不安を残した。三浦大輔監督(48)の試合後の主な一問一答は以下の通り。-大事な第1戦を落としたが、今の気持ちは三浦監督 はい、もう、明日に切り替えてます。-今日の試合のポイントはどのあたりか三浦監督 接戦になるのは頭に入ってましたけど、そうですね、点を取らせてもらえなかったですね。-阪神青柳対策はどうだったか三浦監督 いろいろ、やりましたけど、結果につながらなかったですね。-先発の今永には、もう少し粘ってほしかったか三浦監督 あそこは2点取られましたけど、よく粘ったと思います。-5回など、早めの仕掛けで代打策に入ったが三浦監督 もちろん、短期決戦ですし、いろいろやりましたけどね。(点が)取れなかったです。-明日(9日)の先発は大貫。明日の一戦に向け三浦監督 ここできっぱり切れて、明日切り替えられるように。そこだけです。何としても切り替えてやります。▽DeNA大貫(9日の阪神戦に先発予定)「チームが勝てれば何でもいいと思うので、最初からしっかりと自分の球が投げられる準備はできていますし、とにかく勝ちにこだわってやっていきたいと思います」

◆阪神がDeNAに完封勝ちし、CSファーストステージ突破に王手をかけた。5回1死から9番青柳晃洋投手(28)、1番中野拓夢内野手(26)の連打などで満塁のチャンスをつくり、3番近本光司外野手(27)が中前に決勝打となる2点先制適時打を放った。先発青柳は6回無失点。7回からは小刻みな継投で1発出れば逆転の8回2死一、二塁で湯浅京己投手(23)を投入。牧を空振り三振に仕留めた。湯浅は9回も回またぎで投げきった。矢野燿大監督(53)の試合後の一問一答は以下の通り。-先発の青柳がしっかりゲームをつくった「ほんと、ほんと。集中してあそこまで行ってくれたんで。間違いなく1番はヤギやろね」-5回の青柳の安打も大きかった「もちろんね、アイツはなんでも、みんなも一生懸命やけど、その一生懸命のレベルが高い選手なんで。そういうところの必死さというのがあそこにもつながったのかなと思います」-キーマンと監督が言っていた中野、近本が躍動「そうやね、やっぱりあそこらへんが出て、チカがかえすっていうかね。つながれば、もっとよかったんだけど、形としてはすごくいい形やったし。もう1点ね、打線の方は取れるところがあったんで、もちろん取りたかったっていうのはあるけど。いい攻撃もしてくれたと思います」-代打マルテの四球も鍵に「もちろん、大事なキーでしょ」-8回2死から湯浅がイニングまたぎ「スグル(岩崎)がちょっと投手ゴロを嫌なセーフにしちゃったところもあったけど、そういうところもね。どっちも準備というかね、選手もあるよという準備はしてくれていたと思うんで。全員でつないで勝てた。打線もマルテの四球とか江越の盗塁とか全員で、俺がいつも言う俺たちの野球をやってくれたかなと思います」-初戦勝利は大きい「そらそうでしょう。どっちも勝ちたいゲームでね。向こうのホーム球場で、展開的には苦しかったけどね、うちとしては、もちろん反省すべきところもあるけど、犠打失敗もあったし。でも、勝ち切れたというところは自信にして。明日で決めるというね、ところでいけたらなと思います」

◆出るかナカジマジック-。オリックスの20年ドラフト1位、山下舜平大(しゅんぺいた)投手(20)が8日、京セラドーム大阪での1軍紅白戦に先発し、2回無失点に抑えた。CSファイナルを4日後に控えたサプライズ招集。入団から2センチ近く伸びたという190センチ超の長身から、最速154キロの快速球をグイグイ投げ込んだ。西野、T-岡田、小田から空振り三振を奪うなど2回で1安打、2四球、3三振。ド迫力の投球に「どれだけ通用するのか確認しながら投げました。ファウルも取れたし、カーブも振ってくれた。もし使われるなら、チームの勝ちだけを意識したい」と自信を深めた。プロ2年間で1軍登板がないどころか、今年は腰痛で2軍戦も8登板だけ。9月下旬に復帰したばかりだった。もしもポストシーズンで「1軍」デビューとなれば投手では史上初だ。球筋を見るため球審を務めた水本ヘッドコーチは「いいものを見せてくれた。まだ何も決まっていないけど、あの監督だからね」とニヤリ。今季は、7月に支配下選手になった宇田川を勝ちパターンに入れたり、阿部を抑えに起用したりと中嶋監督の抜てきはことごとく当たった。相手にとっては不気味な存在がまた1人浮上した。【柏原誠】山下舜平大(やました・しゅんぺいた)2002年(平14)7月16日生まれ、福岡県出身。福岡大大濠から20年ドラフト1位でオリックス入団。1軍での登板経験はなく、今季はウエスタン・リーグで8試合に登板。2勝2敗、35回1/3を投げて42奪三振、防御率3・31。名前の由来は20世紀前半の経済学者ヨーゼフ・シュンぺーターから。189センチ、95キロ。右投げ右打ち。○...杉本が紅白戦で2安打と状態の良さをアピールした。比嘉から右前打、阿部からは2点左前打。コロナ感染や故障で2軍調整が続いていた大砲は「振りすぎないことをテーマにやっていて、結果ヒットになっているのでいいと思う。シーズンの最後の方に離脱してしまって貢献できていない。活躍できるように頑張ります」と好感触を口にした。

◆DeNA今永昇太投手(29)が、5回2失点で自身のCS初勝利を逃した。阪神青柳との同学年対決は序盤から緊迫した投げ合いとなったが、5回1死満塁で近本に先制の2点適時打。その裏、2死二塁の好機で代打を送られた。失点した場面に「今までファウルやフライになっていたボールをコンパクトにはじき返された」とコメント。三浦監督は「悪くなかったが、2点リードされていたので」と説明した。

◆阪神青柳晃洋投手(28)がDeNA今永とのエース対決で6回無失点と好投し、チームをファーストステージ突破王手へ導いた。「球場の雰囲気が全然シーズンと違っていた。緊張したけれど自分の投球ができた」と、シーズン投手3冠のエースは超満員の敵地にものみ込まれなかった。「どんな形でも0で抑えることが大事」と初回から全力で飛ばした。3回以外は毎回走者を出しながらも「誠志郎(坂本)がしっかり工夫してくれた。ストライクを取る制球はあったので」と点は許さなかった。一発出れば同点の6回2死一塁では牧に左翼フェンスギリギリまで飛ばされヒヤリとしたが、力で押し込み左飛に。今季対戦防御率3・18、登板6試合すべてで失点していた苦手な相手に「0」を6個並べた。「(疲労度はシーズンと)全然違いますね」と笑うエースは、自らのバットで試合を動かした。5回1死、今永の直球を右翼線へはじき返す安打で打線に火を付け、近本の2点適時打で先制のホームを踏んだ。「ずっと打ちたいなと思っていた。2分の1(でヤマを張ったの)が当たった」と直球を狙い打った。矢野監督も「間違いなく一番はヤギやろね」と勝因に挙げ「アイツはなんでも一生懸命のレベルが高い選手なんで」と、打撃でも常に全力な姿勢が安打を生んだとほめた。CSは通算4度目の先発で初勝利。矢野監督が就任4年間で一番成長したと認める右腕が、エース対決の大事な初戦で最高の結果を出した。【石橋隆雄】

◆オーバーアクションが思いの強さを物語っていた。阪神近本光司外野手(27)が5回、天敵DeNA今永から先制打を決めた。直後、一塁ベース付近で大きく手をたたく。誰の目にも、いつもより激しい感情表現だった。「CS仕様です」とニヤリ。短期決戦独特の雰囲気、負けられない戦いで湧き出るアドレナリンがそうさせた。1死満塁の第3打席だった。150キロを完璧に捉え、中前2点打で両軍無得点の均衡を破った。「非常にでかいですね。もう勝つだけ。勝てたらいい。そのことだけっすね」。これが決勝点となり先勝。何度も繰り返した「勝つ」の言葉が、思いの強さの証拠だ。今永にはレギュラーシーズンで12打数1安打と抑え込まれていた。相性の悪さがうそのような3安打だ。「どう転ぶかは分からないし、それが野球だと思うので、面白いなと思いますね」。面白く変えられるのも打ってこそ。前日の会見で「下克上」と宣言した選手会長がチャレンジャー精神を体現した。「僕らよりも向こうの方が多分、嫌だと思っている」。ファイナルステージ進出の可能性もグッと高まった。矢野監督就任直後の18年ドラフト1位。グラウンドで2人で話し出せばラリーは止まらない。2月の春季キャンプではTシャツに「矢野さん 監督やめるってよ」と書き込む禁断の大イジりをしたこともある。厚い信頼関係がある指揮官は「チカがかえすっていうすごくいい形。いい攻撃をしてくれた」とうなずいた。背番号5は「僕らの野球、矢野野球をしっかりできたら勝てると思う。もっと積極的にもっと楽しくやっていけたら」ときっぱり。「矢野野球」の申し子が生んだ勢いは、簡単に止まりそうにはない。【中野椋】近本と中野がそろって複数安打。レギュラーシーズン中に2人がともに2安打以上打った試合は通算で18勝7敗1分け。勝率は7割2分と好成績だ。今季は7月2日中日戦から4連勝(1分けはさむ)でリーグ戦を終えており、CSでも連勝を継続させた。

◆虎のキーマンが大暴れだ。阪神の1番中野拓夢内野手(26)がセ・リーグのCSでは最多に並ぶ4安打の固め打ちでチームを乗せた。3回に俊足を生かした遊撃への内野安打をマークすると、中前打、右前打、右前打と打ち出の小づち状態。DeNA今永から放った5回の2安打目は1死一塁から好機を広げる中前打で、3番近本の2点適時打でホームイン。試合後は「結果的にヒットが出たのはホッとした」と笑顔になった。矢野監督がCS開幕を前に中野をキーマンに指名した。「自分が(塁に)出る、出ないでクリーンアップに回ってきたときの相手のプレッシャーは違う」と意識していた。巨人に2連敗した昨季のCSファーストステージでも打率3割7分5厘の成績を残した。期待のCS男は「チームもいい雰囲気で行けると思う。勢いに乗りながら、さらに自分がチームにいい勢いを与えられるように、明日の1打席目も狙っていきたい」と目を輝かせた。近本と中野がそろって複数安打。レギュラーシーズン中に2人がともに2安打以上打った試合は通算で18勝7敗1分け。勝率は7割2分と好成績だ。今季は7月2日中日戦から4連勝(1分けはさむ)でリーグ戦を終えており、CSでも連勝を継続させた。

◆代打出場の阪神ジェフリー・マルテ内野手(31)が貴重な四球をもぎ取った。5回1死一、二塁から糸原に代わって打席に立つと、2ストライクから4球ボールを見極めて出塁。直後に近本の2点適時打が生まれた。矢野監督は「大事な(試合の)キーでしょ」と絶賛。マルテは「状態はすごく良かったので、ボールもよく見えていた。自分の四球が得点に結びついたところと、なおかつ勝てたのはうれしい」と喜んだ。

◆阪神は伊藤将司投手(26)でCSファーストステージ突破を決める。9日の第2戦を託された左腕は「短期決戦なので、1人1人に投げていけたらいいなと思います」と気合。今季DeNA戦は5試合に先発し、2勝2敗、防御率1・58。警戒する打者に佐野、牧を挙げ「本当に調子がいいと思うので、その前にランナーをためずに投げられたらいいなと思います」と引き締めた。

◆阪神湯浅京己投手(23)が、"守護神"として見事な火消しで勝利に大きく貢献した。心の準備は約4カ月前からできている。6月上旬。湯浅は16試合連続無失点と好調を保ったまま"積極的休養"の意味合いで出場選手登録を抹消された。同月17日、岩崎と入れ替わる形で1軍復帰。この時、人知れず覚悟を決めていた。「優さんの代わりに僕の名前が挙がるのは分かっています。一番後ろをやる、その準備を2週間でしてきましたから」実際に「守護神湯浅」のプランも浮上していた。ただ、最優秀中継ぎのタイトルを-、という首脳陣の親心もあり変わらず「8回の男」としての起用が継続。その後の活躍は言うまでもない。タイトルを獲得し「ホールドポイント」を考慮する必要がなくなった今、リミッターは外れた。京己(あつき)の名には「己の都を築ける男になってほしい」という両親の願いが込められている。虎の9回に湯浅の都を築いてみせる。【阪神担当 中野椋】

◆「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」ファーストステージ第1戦のDeNA戦(横浜)で、阪神矢野燿大監督(53)が勝負手を打った。2点リードの8回にレギュラーシーズンの守護神・岩崎優投手(31)をマウンドへ。2死一、二塁のピンチが残ると「8回の男」だった湯浅京己投手(23)を投入。湯浅は度胸満点の回またぎ火消しを果たし、逃げ切った。CSファーストSで初戦を取れば突破率は84%。息詰まる投手戦を制し、ファイナルステージ進出へ王手をかけた。絶体絶命のピンチでも、湯浅は落ち着き払っていた。2点リードの8回に本来守護神の岩崎が登板したが自らの失策もあり2死一、二塁のピンチを招いた。4番牧を迎えたところで矢野監督がさらに動く。指名したのは背番号65だった。「いつも通り、自分のやることをやるだけ」。物おじすることなく腕を振り下ろすスタイルは大一番でも変わらない。カウント2-2から最後は外角フォークで空振り三振斬り。右拳でガッツポーズを繰り出してベンチへ駆けた。傾きかけた流れをグイッと引き戻した。「ヒットも打たれたくない、絶対に気持ちでも負けないと思ってマウンドに上がりました。(牧への)フォークは最終的に浮いちゃいましたけど、結果的に三振でよかったです」そのまま、今季2度しか経験のない回またぎで、「CS仕様」として予定されていたという「守護神湯浅」として9回へ。2死からソトに中前打を許すも、代打大田を三ゴロに打ち取った。CS初登板で"プロ初セーブ"をゲットし「素直にうれしい」と笑った。負ければ土俵際に追い込まれる一戦。シーズンでは見なかった「スペシャル継投」が結果的にハマり、大事な第1戦の勝利につなげた。勝負手に出た矢野監督は「準備はしてくれていたと思う。全員でつないで勝てた。『俺たちの野球』をやってくれたかなと思います」とねぎらった。ハマスタは今季2勝11敗、8連敗でシーズンを終えていた。指揮官は「向こうのホーム球場で、展開的には苦しかったけどね。犠打失敗もあったし、もちろん反省すべきところもあるけど。でも、勝ち切れたというところは自信にして。明日で決めるというところでいけたらなと思います」と気を引き締めた。湯浅はお立ち台の最後で、「みんなで力を合わせて絶対勝つので、明日も"アツアツ"な応援よろしくお願いします!」と声を張り上げた。虎のリリーフエースが大仕事をやってのけた。【古財稜明】○...岩貞は渾身(こんしん)の1人斬りだ。2点リードの7回、2番手で登板。5番楠本を遊飛に仕留め、完封リレーのバトンをつないだ。「ヤギがエースらしく流れを作ってくれたおかげ」と笑顔。「無責任かもしれないですけど、仮に僕が(走者を)出しても、後ろはいい投手が多いので、みんなで残りのアウトを取っていくという意識だった。みんなで気持ちもプレッシャーも分散しながらできている」とブルペンの団結力も強調した。○...3番手浜地がDeNAの代打攻勢に耐えてゼロのバトンをつないだ。2点リードの7回1死走者なしの場面で登板。代打宮崎を遊ゴロに仕留めると、代打ソトの二塁打で2死二塁。続く嶺井の打球は浜地の足をはじき転がったが、二塁手小幡が素早く処理して二ゴロになった。「勝っている場面でしたし、何とか先頭を切りたいと思っていきました。(打球が当たった箇所は)大丈夫です」と振り返った。阪神はレギュラーシーズンで68勝71敗4分けの借金3でCSに出場。借金を抱えてプレーオフ、CSに進出したのは昨年巨人以来、8チーム目。公式戦5割未満で挑んだチームのうち、ファーストSを突破したのは4度。いずれもファイナルSで敗れており、日本シリーズに出場したチームは過去にない。阪神はデータを覆すことができるか。湯浅京己(ゆあさ・あつき)1999年(平11)7月17日、三重県生まれ。福島・聖光学院2年冬に内野手から投手転向。3年夏の県大会はベンチ入りも、甲子園ではメンバーを外れた。17年にBCリーグのドラフトで1位指名され富山入団。18年ドラフト6位で阪神入団。3年目の昨季、1軍デビューし、今季は59試合2勝3敗、43ホールド、防御率1・09で最優秀中継ぎ投手。独立リーグ出身の投手では史上初のタイトル獲得となった。183センチ、81キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸500万円。

◆「青柳対策」も実らず、2位DeNAが、3位阪神に0封負けを喫した。右打者の宮崎、ソトをベンチスタート。スタメンには左打者を6人並べ「青柳キラー」の神里に加え、藤田をスタメンで起用したが打ち崩せなかった。三浦監督は「いろいろしましたけど、点を取らせてもらえなかった」と悔しさをにじませた。今季1勝3敗、通算5勝14敗の難敵攻略に向けた秘策"藤田抜てき"は、グラウンドで決断した。三浦監督は「最終決断は今日グラウンドに来てから。今まで(青柳相手には)柴田に三塁を守らせてましたけど、(対戦成績は)そんなに良くなかったし、藤田は守備も状態も良さそうだと」と説明。ベテランは、4月16日ヤクルト戦以来のスタメンに攻守で存在感を発揮したが、勝利には結び付かなかった。3回以外は走者を出し、好機は作りながらも1本が出ず。8回1死一、二塁では佐野、牧が凡退した。ハマスタ史上最多の3万3033人を記録したが、ファイナルステージ進出に向け、崖っぷちに立たされた。三浦監督は「たくさんのファンが駆けつけてくれたのに申し訳なかったです。1敗したことは変えられないし、また明日」と切り替えを強調した。【久保賢吾】

◆DeNAが、今季苦手とするデーゲームで行われた阪神とのCSファーストステージ初戦に敗れた。ナイターでは、62勝41敗2分けと貯金を21も稼ぎながら、デーゲームでは11勝27敗で借金が16。横浜スタジアムで阪神に喫した2敗(11勝)も5月14、15日のデーゲームだった。今季は週末に厳しい戦いを強いられた。特に「魔の日曜日」と称された日曜日は開幕カード3戦目の広島戦から9連敗。6月19日の阪神戦で連敗を止めたが、通算5勝19敗だった。土曜日も通算9勝16敗で土曜日だった4月16日のヤクルト戦に勝利した後、6月4日の楽天戦で勝利するまで土、日に12連敗を喫した。その一方で、今季は横浜スタジアムでは吉兆なデータが並ぶ。6月28日の阪神戦から、8月21日の広島戦まで球団新のハマスタ17連勝を達成。約2カ月、本拠地では負けなしだった。対阪神戦でも、横浜スタジアム8連勝でシーズンを終了。第1戦ではハマスタ史上最多動員の3万3033人を記録。第2戦も超満員が予想され、ファンから後押しを受けることになりそうだ。

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】プロ野球クライマックスシリーズ開幕、阪神は湯浅京己(ゆあさ・あつき)が活躍、名前通りアツアツな投球を見せました!

◆「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」ファーストステージ第1戦のDeNA戦(横浜)で、阪神矢野燿大監督(53)が勝負手を打った。2点リードの8回にレギュラーシーズンの守護神・岩崎優投手(31)をマウンドへ。2死一、二塁のピンチが残ると「8回の男」だった湯浅京己投手(23)を投入。湯浅は度胸満点の回またぎ火消しを果たし、逃げ切った。CSファーストSで初戦を取れば突破率は84%。息詰まる投手戦を制し、ファイナルステージ進出へ王手をかけた。レギュラーシーズン3位の阪神が2位DeNAに対して初戦を取った。プレーオフ、CSのファーストSで初戦に勝った31チームのうち26チームがファーストSを突破。初戦を取れば突破確率は84%と数字上は有利な状況だ。湯浅が8回2死から9回まで投げて初セーブ。プレーオフ、CSでイニングをまたいでセーブを挙げたのは、19年ファイナルS第2戦森(ソフトバンク)以来で、阪神では14年ファイナルS第3戦呉昇桓、19年1S第3戦藤川に次いで3人目。また、湯浅は公式戦で1度もセーブなし。通算0セーブの投手がCSでセーブを挙げたのは、16年ファイナルS第5戦の大谷(日本ハム)以来4人目。

◆8日に横浜スタジアムで始まる「2022 JERA クライマックスシリーズ(CS) セ」に出場するセ・リーグ3チームの監督、選手が7日、試合会場で記者会見に臨んだ。2位・DeNAの三浦大輔監督(48)は、同3位・阪神との第1戦の先発に今永昇太投手(29)を指名。球団3年ぶり2度目の本拠地CSで、今季チームトップタイの11勝を挙げたエースが先陣を切る。就任2年目で初めて短期決戦、CSで指揮を執る三浦監督は「先制点がポイントになる。そこを意識しながら戦っていきたい」とし、キーマンにはリードオフマンの桑原を指名した。今季は2年連続でヤクルトに目の前でリーグ優勝を決められ、2位に終わった。ファーストステージ第1戦に先発する今永には「リーグ優勝を目の前で見たときの先発。リベンジをするためにも第1戦を託しました」と、起用意図を説明し期待した。(横浜)

◆8日に横浜スタジアムで始まる「2022 JERA クライマックスシリーズ(CS) セ」に出場するセ・リーグ3チームの監督、選手が7日、試合会場で記者会見に臨んだ。2位・DeNAの三浦大輔監督(48)は、同3位・阪神との第1戦の先発に今永昇太投手(29)を指名。球団3年ぶり2度目の本拠地CSで、今季チームトップタイの11勝を挙げたエースが先陣を切る。結果が全ての短期決戦。ただチームの勝利だけを求めて、今永が大事な初戦のマウンドに上がる。「どんなことがあっても、最後に勝利を収めていれば、正直内容はさほど気にしていない。勝つための投球、チームに流れを持ってこられるような投球をしたい」絶対に負けられない同学年の阪神・青柳とのエース対決。〝投げる哲学者〟と称される左腕は、ロースコアの投手戦を想定し「球数をたくさん使うだろうし、嫌な雰囲気を感じた打者には、自分の実力とてんびんに掛けて勝負を避けなければいけない。いかに冷静に、自分の力を最大限に発揮できるか」と独自の投球プランで必勝を期す。2020年に左肩のクリーニング手術を受け、今季は左前腕の炎症で出遅れたが、6月の日本ハム戦(札幌ドーム)でノーヒットノーランを達成するなど、3年ぶりに規定投球回に到達。大貫と並ぶチームトップの11勝を挙げ、エース復活を印象付けた。3年前のCSでは登板機会を増やすため、ラミレス前監督の奇策で中継ぎに回ったが、阪神に1勝2敗でファーストステージ敗退。「今回はまた立場も違いますし、今の僕と前の僕では違うので」と巡ってきた再戦の舞台に闘志を燃やした。三浦監督に託された第1戦の特別なマウンド。本拠地で雨の中を走るなど最終調整した今永は、気負うことなく「心は緊張していますけど、体は全くしていない。自分の中ではすごくいい状態」と言い切った。今季の対阪神で11勝2敗、8連勝中と好相性のハマスタで、虎を迎え撃つ。(浜浦日向)

◆今季限りで現役を引退した阪神・糸井嘉男外野手(41)が7日、サンテレビ「熱血! タイガース党」に生出演した。6日に球団のアドバイザーに就任する方向で最終調整していることが判明。今後について問われると「球団さんにちょっと...。今日ちょっと(メディアで)出ていましたけど。詳しいまだアレはないんですけど」と話すにとどめたが、否定しなかった。また、福本豊氏から「アドバイザー、いいね。佐藤輝を教えられるやん。教育できるやん」と近大の後輩とのタッグについて問われると「はい」と返事した。首位打者、盗塁王、最高出塁率のタイトルを獲得し、近い将来は指導者としても期待されるが「今は全然、見当もつかないですね」と胸中を明かしていた。

◆最後まで楽しむ! 「2022 JERA クライマックスシリーズ(CS) セ」(8日開幕、横浜)の前日会見が7日、オンラインで行われ、3位の阪神・矢野燿大監督(53)が横浜スタジアムから参加。2位・DeNAとのファーストステージを前にテーマに「楽しむ」を掲げた。1軍を4シーズン率い、集大成として臨む短期決戦。理想と夢を説き続け、成長をとげたナインとともに、俺たちの野球を楽しみ、貫く。1軍を率いた4年間で作り上げた〝俺たちの野球〟を貫き、第一関門を突破する。矢野監督はCSファーストステージの前日会見で、集大成となる短期決戦のテーマに「楽しむ」を掲げた。「苦しい試合になると思いますけど、そのなかでどれだけ楽しめるか。そういうところは僕たちのポイント、また、僕たちのやってきた野球になると思うので、そういう野球をしていきます」終始、穏やかな表情だった。ナインと濃密な時間を過ごし、誰よりも背中を押してきた自負がある。「相手に勝たないとダメなんですけど、自分たちがどういう戦いをするかの方が大事。自分たちの長所、どういう野球をするか。そこは選手はすごく理解してくれている」。矢野野球の浸透度に、自信をのぞかせた。2018年オフ、矢野阪神が誕生した。「僕は理想と夢を語り、この4年、やってきました」。失敗を恐れずに挑戦すること、決して諦めないこと、自ら考えること―。そうすることで野球選手として、人間として成長していく。育成と勝利の両立を掲げ、若い選手たちに何度も語りかけてきた。1年目の19年は最終盤で6連勝してCSに進出。20年は2位。21年は優勝争いし、ゲーム差なしの2位。22年も最終盤のしのぎ合いから抜け出して3位だった。苦しい場面で踏ん張ってきたのは、矢野イズムが浸透してきた証しだ。その中でも失わなかったのが〝楽しむ〟というエッセンス。選手とともに喜ぶ矢野ガッツに始まり、ホームランメダル、マルテのラパンパラなど野球を楽しむ姿勢を強く打ち出した。ファンを巻き込み、ファンの熱狂がまた選手を成長させる。信じる好循環を、自ら先頭に立って作った。2位DeNAには今季9勝16敗と9年ぶりに負け越した。さらに敵地・横浜スタジアムでは8連敗を含む2勝11敗だ。そんな負のデータが並ぶからこそ〝俺たちの野球〟を貫く。キーマンを問われると「横にいるので近本って言いたいんですけど」と笑いながら「中野も大事かなと思っています。やはりウチは足を使えるチームだと思っていますので」と語った。チーム盗塁数110はセ・リーグ1位。今季30盗塁でタイトルを獲得した選手会長とともに、リードオフマンが出塁して引っかき回せば、勝機は大きくふくらむ。DeNAの打線に火がつく前に、4年間で磨き上げた足攻で次々に得点し、プレッシャーをかける。「今シーズン、甲子園に12球団で一番多く、タイガースファンに来ていたいた。ビジターでも日本一多く来てもらっているのはタイガースかなと思っています。その気持ちに応えるようなクライマックス(シリーズ)にしていきますので、最後まで一緒に戦ってください。お願いします」選手と、ファンと歩んだ4年間。最後まで楽しんで、やり通して、栄光をつかむ。★高津監督ともう一度 矢野監督はファイナルステージで待つ王者・ヤクルトへのリベンジも心待ちにした。「連覇したというのはチーム全体として素晴らしいと思っています。同じ監督の立場として『高津監督、すごいな』と思っております」とまずは脱帽。だが、もちろん胸の内では闘志が燃えさかっており「でもね、すごいなと思っていてもダメ。高津監督ともう一回やれるように戦っていきたい。それを励みに、僕も頑張っていきたい」と下克上を誓った。

◆阪神・近本光司外野手(27)が7日、「2022 JERA クライマックスシリーズ(CS)・セ」の前日会見にオンラインで出席した。「何とか2勝を」と突破を誓うファーストステージ(8日開幕、横浜)に向け、今季に最多安打のタイトルを獲得したDeNA・佐野恵太外野手(27)への強い意識を明かし、対抗心を激突の力に変える。CSファーストステージ開幕を控え、臨んだ前日会見。「意識する選手は?」と問われた近本は意外? な名前を挙げた。自身が野手なので今永ら投手を指名するかと思いきや、同じ会見場にいたハマの主砲・佐野の名前を口にした。「今年もよく打たれて出塁率、打率ともに高くて。佐野は同級生なので、去年も今年も切磋琢磨しながら、意識してプレーしていました」佐野は今季、阪神戦で打率・289、4本塁打、10打点。出塁率・354だった。他のチームと比べて抜きんでた数字というわけではないが、ここぞの場面で快音を響かせたことは、強く印象に残った。昨年は自身が178安打で最多安打。今季は佐野が161安打でタイトルを獲得した。ともに1994年生まれの〝同級生〟。前後には牧や宮崎というこれまた好打者がいるだけに「すごく考えさせられる、警戒しないといけない打者。守っているこっちも疲れてくる選手」。中堅から自慢の俊足で駆け巡り、好守で阻止するのはもちろん、チーム一丸となって、勢いづけさせない。チームは今季9勝16敗と、10勝14敗だった2013年以来9年ぶりにDeNAに負け越した。「横浜スタジアムで本当によく打たれたな、よく抑えられたなというのはあった。何とか2勝、チーム全体で勝っていきたい。3位からの下克上ですが、日本一を目指して頑張っていきます」まずは8連敗を含めて2勝11敗と苦しんだ横浜で、借りを返す。佐野へのライバル心も、力に変える。

◆読者の方々が考えるクライマックスシリーズ(CS)の鍵を握る男は誰でしょうか? 「虎ソナ」は「テルテル坊主」です。CS開幕前日の共同記者会見が開かれ、矢野監督がキーマンに「中野と近本」を挙げました。編集局の面々が考えるキーマンは? きのうの当番デスク野下俊晴に尋ねると「やっぱり先発投手ですね。まずは、あしたの青柳です」と即答しました。「阪神は打つときは打つけど、打てないときは本当に打てない。DeNAやヤクルトは調子が良かろうが悪かろうが、誰かが打って点を取る試合をしてきました。阪神は守って競り勝つパターンです。6回3失点とか言っていたら、やられます。リリーフはいいですから。とにかくそこまで、先発投手が最低6回を最少失点で抑えていってほしいです」紙面総括の文化報道部長大澤謙一郎は、打つ方に期待していました。「CSを取材したことが1回しかないんですよ。2007年のシーズン終盤にトラ番キャップになって岡田監督にあいさつにいきました。そのあとすぐCSだったんですが、打てずにあっさり負けてしまったんです」07年の阪神は今回と同じ3位でのCS進出で、相手は2位の落合中日。第1戦は0-7。第2戦は一回に5点取られて3-5。2試合で終わってしまいました。「14年のCS(2位阪神-3位広島)は、息子をつれて観戦にいって、第1戦をスタンドから見ました。福留のホームランで勝った試合です」メッセンジャー-呉昇桓の継投で零封し、福留が六回に前田健太から放った一発が決勝ソロになった試合です。第2戦は0-0。能見が8回を零封。呉昇桓が3イニングまたぎで延長十一回まで投げ、十二回表を福原が抑えた瞬間に、その裏の阪神の攻撃を待たずにコールドゲーム。ファーストステージ勝ち上がりが決まった年です。「DeNAも阪神も投手がいいですからね。点がなかなか入らない。だからこそ、あのときの福留みたいにやっぱりホームランですよ。キーマンは佐藤輝です。横浜スタジアムではよく打つし、期待しています」CSファーストステージは基本「3試合2勝先取制」ですが、どちらかが2勝するまで試合を続けるわけではありません。1勝1敗1分けでも、3引き分けでも、シーズン成績上位の2位球団が勝ち上がります。大澤が振り返った14年のように、3位球団が1敗したあと次の試合で勝利の可能性がなくなった瞬間にコールドゲームとなることも起きるのです。その意味で「虎ソナ」は、数日前から天気予報ばかり気にしていました。横浜市の天気予報が微妙なんです。8日は「曇り時々晴れ」降水確率20%9日は「曇りのち雨」降水確率80%10日は「曇り一時雨」降水確率80%予備日の11日は「晴れ時々曇り」。12日からヤクルトとのCSファイナルステージ(神宮)が始まるので、予備日はこの一日しかありません。もしも9日、10日が雨で流れたら...。先手必勝!! 先に勝っていないと苦しい展開になります。ただ、それ以上に、いい試合が見たい。阪神の試合をできるだけ数多く見たい。降ったとしても、試合ができるくらいの雨で済みますように。キーマンたちも、そして「テルテル坊主」も頑張れ!!

◆セ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージが8日に開幕する。セ・リーグ2位のDeNAは、横浜スタジアムで同3位の阪神と激突。3年ぶりの舞台を前に〝CS直前企画〟の最終回として、佐野恵太外野手(27)が本紙に独占手記を寄せた。主将に抜擢(ばってき)されてから2年間Bクラスに沈み味わった苦悩、躍進した今季に抱いた充実感-。主力として初めて迎えるCSへ、決意をつづった。主将になって、初めて進むことができたCS。今は、まだ優勝を逃し、昨年に続いて目の前で胴上げされた悔しさが大きいです。ヤクルトとの力の差は、本当にみんなが感じたと思います。ただ、今季はやり返せるチャンスが残っている。だからこそ、しっかりファーストステージを勝ち上がって、やり返したい。振り返るとこれまでの2年間、悔しい思いしかしていません。特に、昨年の最下位は一番苦しかった。2020年1月、5年間主将を務め米国に渡った筒香さん(現ブルージェイズ傘下)に代わり、主将に指名されました。試合に主力として出ていない、何の実績もないところでの就任に、いろいろと厳しい言葉も聞こえていました。でも、そうした声もはね返せるように、「せっかくもらったチャンス。ものにしてやろう」という思いだけで、ここまでやってきました。主将を務めた3年間で、今年は一番いい戦いができています。ズルズルと大型連敗をすることなく、連勝もできている。それが1、2年前とは違うところ。勢いがつけば、すごく勢いに乗るチームだということは戦いながら分かっていたので、勢いをつけることを意識してやりました。といっても、僕から何かをしなくても、みんなが高いモチベーションで一年間戦うことができていたように思います。思えば、6月28日からの阪神3連戦(横浜)で3連勝できたことがターニングポイントでした。初めてサッカー横浜Mとのコラボユニホームを着た試合です。そこからプロ野球3球団目の本拠地17連勝。一気にチームの勢いが加速しました。勝ったらベンチ裏でみんなで喜びを分かち合って、良い雰囲気で次の日を迎えられる。日本ハムから新加入の大田泰示さんが、出ているときも、出ていないときも、周りに声を掛けて、ずっとチームに元気を与えてくれて、主将として本当に助けられました。泰示さんのおかげで良い雰囲気で戦えている。とても大きな存在です。昨年は野球をしていて楽しくないと思うこともあったけれど、今はすごく楽しい。思い悩んで、一人で海の方に車を走らせることもありましたが、今年はそれもありません。ずっとワクワクしながら野球に取り組むことができています。自分の成績もそうですが、優勝争いをできたり、Aクラスに入れたり、そんな中で活躍するのが、やっぱりプロ野球選手としての喜びなんだなって感じました。日本シリーズに出た17年、前回CSに進出した19年、まだ僕はほとんど試合に出ていなかった。大事な短期決戦をレギュラーとして、そして主将として迎えるのは初めての経験です。良い緊張を感じながら、それを含めて全てを楽しめるように。今年のCSではチームに勢いをつけられるような打撃を、プレーをします。(横浜DeNAベイスターズ外野手)★この日の佐野 全体練習に参加し、本拠地・横浜スタジアムで最終調整した。雨天のため室内で打撃メニューをこなし、グラウンドではファーストミットをつけてノックを受けた。練習後には主将としてCSの共同記者会見に出席。「まだまだ『横浜反撃』のチャンス。ファーストステージは横浜スタジアム開催ということで、ファンの皆さまの応援を力にして、明日(8日)から戦っていきたい」と決意を示した。■佐野 恵太(さの・けいた) 1994(平成6)年11月28日生まれ、27歳。岡山県出身。広島・広陵高、明大を経て、2017年ドラフト9位、全体で87人中84番目の指名でDeNAに入団。1年目から開幕1軍入りを果たした。20年1月に筒香(現ブルージェイズ傘下)に代わって主将に就任。同年に首位打者、ベストナインを獲得し、今季は最多安打のタイトルに輝いた。178センチ88キロ。右投げ左打ち。既婚。背番号7

◆両軍のスターティングメンバーが発表された。阪神は青柳晃洋投手(28)が先発する。レギュラーシーズンでは13勝(4敗)、勝率・765、防御率2・05で最多勝、最高勝率、最優秀防御率の3冠を達成。対DeNA戦は対戦防御率3・18と苦しんだが、虎のエースが強力打線をねじ伏せる。佐藤輝明内野手(23)は「6番・三塁」で出場。今季、横浜では打率・311、4本塁打と最も相性のよかった球場で快音を響かせる。

◆DeNAがCSファーストステージ第1戦のスタメンを発表。4番には牧、6番・三塁には藤田が抜てきされた。阪神先発の青柳に対し、先発の今永を含む6人の左打者が並び、宮崎、ソトはベンチスタートとなった。

◆DeNA・大貫晋一投手(28)が9日のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦に先発する。今季11勝を挙げている右腕は「シーズン中通りのことをやって調整してきた。最初からしっかりと自分の球が投げられる準備はできていますし、とにかく勝ちにこだわってやっていきたい」と落ち着いた表情だった。今季の対阪神戦は横浜スタジアムでの対戦が1度だけ。7回4安打2失点(自責1)で勝利投手となっている。「機動力もそうですし、1、2番が出て中軸が走者をかえすというのができるチーム」と阪神打線の印象を語り「試合が始まれば、緊張したり、テンションが上がってしまうと思う。試合が始まるまでは、いつも通りの自分のスタイルを崩さないようにしたい」と平常心を強調した。

◆阪神が先制機を逃した。0-0の三回。1死から中野が快足を生かして遊撃内野安打で出塁。2死から近本が今永の150㌔直球をはじき返し、一、三塁の好機を作った。打席には4番・大山。カウント3-0と打者有利だった4球目、131㌔チェンジアップに中途半端なスイング。ボテボテの三ゴロとなり、先制することができなかった。

◆「6番・三塁」で、4月16日のヤクルト戦以来のスタメン起用となった藤田一也内野手(40)がハッスルプレーで盛り上げた。0-0の四回1死、佐藤輝の三遊間へのゴロを横っ飛びでキャッチすると、すばやく一塁へ送球し、三ゴロとした。先発の今永もグラブをたたいて喜び、ベンチにいる仲間も全員が手をあげて好プレーをたたえた。中継の解説を務めていた広島の新監督に就任する新井貴浩氏(45)も「40歳の動きじゃないですね...」と驚いていた。

◆阪神・近本光司外野手(27)が試合の均衡を破る先制打を放った。五回1死から青柳が右前打を放つと、中野が中前打、代打・マルテが四球で満塁の好機を作った。ここで3番・近本が打席へ。カウント2-1から4球目だった。今永の150㌔直球をとらえると、打球は中前に弾む先制打。走者2人が生還した。大盛り上がりの阪神ベンチに近本は塁上で笑顔。一回は左前打、三回は中前打と、この日、早くも3安打と選手会長が打線を牽引した。

◆DeNA・今永昇太投手(29)が5回7安打2失点で降板した。0-0で迎えた五回1死から投手の青柳に右前打を許し、中野に中前打で一、二塁。ここで代打・マルテに対し、2ストライクと追い込んでから四球を与えて満塁とされると、近本にこの日3本目となる安打を中前へ運ばれ2点を先制された。直後の攻撃で、自身の打席で代打を送られて降板となった。今永はここまでクライマックスシリーズ(CS)では通算6試合に登板し1敗2ホールド。〝7度目の正直〟となるCS初勝利はならなかった。

◆阪神の先発・青柳晃洋投手(28)は6回4安打無失点と役目を果たした。一回1死から神里に右前打を浴びるも、佐野を注文通りの一ゴロ併殺で上々の立ち上がり。二回は先頭の牧に遊撃内野安打も、楠本、藤田、森を連続で中飛に仕留めた。先制点をもらった直後の五回は2死二塁と初めて得点圏に走者を背負う。それでも、代打・戸柱を一ゴロで無失点。6回を85球、4安打無失点でまとめた。

◆3年ぶり2度目のCS開催となったハマスタ。第1戦の来場者数が「3万3033人」と発表され、1日の巨人戦(3万2819人)を上回り、ハマスタ史上最多動員数を更新した。2020年の横浜スタジアム増築・改修工事完了後、今季は初めて入場制限なしで試合を開催。9月まで販売していなかった立ち見席の販売も、CSではさらに範囲を拡大して行い、第1戦のチケットは完売。最大収容の3万4046人に迫る動員を記録した。

◆DeNA・今永昇太投手(29)が5回7安打2失点で降板した。「プレーボールから自分のストレートを投げられたと思います」と150キロ超の力のある直球で相手打者のバットを押し返していたが、0-0の五回に1死から2者連続単打と四球で満塁のピンチを招き、近本に中前への2点打を許した。「今までファウルやフライになっていたボールをコンパクトに弾き返されてしまいました」と振り返った。適時打後も申告敬遠などで再び1死満塁とされたが、「何としても次の1点を与えないよう強い気持ちを持って投げました」と後続は断った。今永はCS通算7度目の登板となったが、いまだに白星を挙げていない。

◆阪神・湯浅京己投手(23)がピンチを抑えた。2-0の八回。阪神は4番手で岩崎をマウンドへ。1死から桑原の投ゴロを悪送球、代打・オースティンに四球で一、二塁のピンチを背負った。岩崎は佐野を一邪飛に仕留め、2死としたところで降板。球場には湯浅がコールされた。対するはDeNAの4番・牧。オール直球でカウント2-2とすると、5球目に140㌔フォークを投じて空振り三振。ピンチを切り抜け吼えると、跳ねるようにベンチへと戻った。

◆阪神が大事な第1戦を制した。五回1死満塁の好機で、近本が2点中前打。選手会長の一打で先制点をもぎ取った。近本は先制打を含む3安打と躍動。矢野監督からキーマンにあげられた1番・中野は4安打を放った。近本、中野に加えて、代走・江越、途中出場の島田も盗塁をマークするなど、1試合でチーム4盗塁と機動力を駆使した矢野野球が光った。先発の青柳は6回4安打無失点と好投。七回は先頭の楠本を2番手・岩貞が遊飛に仕留めると、続く代打・宮崎に対して、すかさず浜地にスイッチ。八回は岩崎が2死一、二塁とピンチを背負うと、4番・牧に湯浅を送り、その湯浅が牧を空振り三振に仕留めた。湯浅は回をまたいで、九回のマウンドへ。無失点に抑え、〝完封リレー〟を完結させた。セ・リーグのクライマックスシリーズ・ファーストステージでは過去14回の内、第1戦に勝利したチームが12回、ファイナルステージへ進出している。命運を占う大事な第1戦を阪神が制した。

◆広島の新監督に就任する新井貴浩氏(45)がBS-TBSで中継の解説を務めた。阪神が2点リードを守り切った展開に「タイガースの形で戦えた。ヒリヒリする展開でしたね」。2点を奪った五回の攻撃で、1死一、二塁から糸原の代打・マルテが四球で出塁し、満塁と好機を広げて次打者、近本の2点打が出た場面について「五回にマルテにいってからの四球。そこからの得点。先に早めに仕掛けた矢野監督の采配が点を取らせた」と語った。また1番打者の中野が4安打、3番・近本が3安打を放ったことについて「きょう(の試合に)勝ったことも大きいけど、明日の試合に向けてそこ(両選手の好調)も大きいですね」と、9日の第2戦へ向けて好材料とした。DeNAに対しては「短期決戦ですから、いかに明日へ気持ちを切り替えられるか」とポイントを語った。

◆DeNAは打線が沈黙し、初戦を落とした。阪神先発の青柳に対し、執拗(しつよう)にバントの構えを見せ揺さぶったが、散発4安打で攻略できず。0―2の八回は1死一、二塁の好機だったが佐野恵太外野手(27)が一飛、牧秀悟内野手(24)が空振り三振に倒れた。先発した今永昇太投手(29)は五回に1死満塁から近本に中前への2点打で先制を許し、5回2失点で降板した。三浦大輔監督(48)の主な一問一答は以下の通り。――打線が沈黙「結果ゼロですから、点がとれなかったです。いろいろしましたけど、結果、得点には結びつかなかったということです」――藤田を「6番・三塁」で抜擢(ばってき)「最終決断はきょうグラウンド来てからです。昨日の夜からいろいろ考えましたけど、今まで柴田を三塁で守らせてましたけど、数字的にはそんなによくなかった。対戦成績も、藤田の守備も状態もよさそうだった。本当によく守ってくれてヒットも1本打ってくれた。――後がなくなった「もう1敗したことは変えられない。まだ1試合できるわけですし、明日どうやって切り替えて、選手たちもやりかえそうという気持ちになるか。ベンチ裏も明日という気持ちになっている」――今永は5回2失点「早め早めできょうはね。今永も悪くなかった。でもあそこで2点リードされていたので、得点しないといけないのであそこで交代した」――ハマスタ史上最多観衆だった「本当に球場全体がほとんどDeNAファン。駆けつけていただいたのに結果に結び付けられず申し訳なかったと思います」――中野、近本に計7安打「結果としては2人に7安打ですか。1日しかないですけど、しっかり対策を立てて臨みたいと思います」

◆初戦を落とし、後がないDeNAの第2戦先発は大貫。「最初から自分の球が投げられる準備はできている。勝ちにこだわってやっていきたい」と落ち着いた表情を見せた。今季唯一登板した阪神戦は7回4安打2失点(自責1)で勝利投手となっている。チームトップの11勝をマークした右腕は「試合が始まるまではいつも通りの自分のスタイルを崩さないようにしたい」と平常心を強調した。

◆阪神での現役時代、〝代打の神様〟として、虎党から絶大な支持を得たサンケイスポーツ専属評論家・八木裕氏(57)は阪神・矢野耀大監督(53)の6回ゼロ封の青柳晃洋投手(28)からの継投策を高く評価。特にイニングまたぎの湯浅京己投手(23)を「ホメ言葉しか浮かばない」と絶賛した。超短期決戦に対する矢野監督の腹の据わり方、勝利に対する執念を感じさせられた試合だった。状況を見極めての選手起用は見事というほかない。見ている側すべてにとってサプライズだったのは湯浅、岩崎の順番を入れ替えての登板。左打者が並ぶ八回に、元々八回が仕事場だった岩崎をもっていったことは理解できる。ただし、この大一番で、シーズンと違う戦い方はそう簡単にできるものではない。失敗した時のリスクが大きいからだ。相当な覚悟が必要だったはず。もちろん選手が結果を出してこその采配なので、八回途中から九回まで投げ切った湯浅にはホメ言葉しか浮かばない。実質、初めてと言っていいクローザーをCSでやり遂げたのだから。そこまでゼロに抑え続けた投手陣もさすがだ。先発・青柳はピンチを招きながらも粘り強い投球で相手に点を与えなかたし、左打者が並ぶ七回頭からの岩貞投入も大正解。苦しいシーズンを支えた阪神の投手陣の素晴らしさを改めて感じた試合だ。攻撃面でも五回1死一、二塁で糸原に代えてマルテを代打に送った采配も冴えわたっていた。シーズン中なら、勝負強い糸原に対し五回で代打は考えにくい。でも糸原の前の打席の内容の悪さもあっただろう。そして、何よりも「近本の前にチャンスを広げたい」という思いからの早めの決断だ。ズバリ的中した。シーズン終了から期間があき、特に野手の実戦勘を心配していたが中野、近本がうまく調整できていたのだろう。それぞれ4安打、3安打した上に、2人とも盗塁も決めた。得点するために一番大事な選手たちが絶好調で突入できたことは好材料。何より難攻不落と思われたエース今永を攻略しての先勝は2戦目以降につながる。投手陣が踏ん張り、チャンスメークする野手が活躍した。後は、ここ一番でかえす打者たちが、外野フライとを打つなどの本来の仕事ができれば、視界はもっと明るくなる。

◆阪神の中野がセ・リーグのCSでは最多に並ぶ4安打を放った。「自分が(塁に)出るか出ないかで相手にかかるプレッシャーも違う」と頼もしく話した。三回は快足を飛ばして内野安打をもぎ取り、五回は中前にはじき返した。七、九回には引っ張って右前に運んだ。一回は遊ゴロに倒れたとあって「1打席目で塁に出たかった」と反省も忘れなかった。

◆阪神が大事な第1戦を制した。五回1死満塁の好機で、近本が2点中前打。先発の青柳は6回4安打無失点と好投。その後、4人の継投で無失点に抑え、〝完封リレー〟を完結させた。?レギュラーシーズン3位の阪神が先勝。プレーオフ、CSファーストステージ(S)で第1戦に勝利した球団はセ・パ合わせて過去31度。そのうち26度がファイナルスSに進出、突破率は83・9%。セでは14度中12度で進出、突破率は85・7%。?プレーオフ、CSファーストSで3位球団が第1戦に勝利したのは昨年の巨人に続き通算17度目。過去16度のうち、ファイナルSに進出したのは14度。突破率は87・5%(セでは8度中7度、突破率87・5%)。逃したのは09年のヤクルトと19年の楽天だけ。?阪神のプレーオフ、CSでの無失点勝利は17年ファーストS第1戦(○2-0DeNA、メッセンジャー-マテオ-桑原-ドリスの継投)以来5年ぶり3度目。

◆セ・リーグ2位のDeNAは8日、「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」のファーストステージで同3位・阪神と戦い、0-2で敗れた。CSで初めて指揮を執った三浦大輔監督(48)は、エース・今永昇太投手(29)を先発に立てたが惜敗。打線も相手先発・青柳晃洋投手(28)を攻略できず、5年ぶりのファイナルステージ進出へ後がなくなった。先手を奪われ、早くも崖っぷちに立たされた。史上最多を更新する3万3033人の観衆が集まった3年ぶりの舞台。6安打零封負けを喫し、CS初采配となった三浦監督は「たくさんのファンが駆けつけてくれて心強かったですが、結果に結び付けられず申し訳なかった」と唇をかんだ。レギュラーシーズンに効果を発揮した〝青柳対策〟をCSでも採用。相性の悪い宮崎、ソトを外し、スタメンに左打者6人を並べた。代わって先発した神里、藤田はともに1安打を放ったが、この日はチームとして粘れず1四球のみ。6回85球で無失点と好投された。逆にエース・今永は序盤から粘られて5回87球、7安打2失点。CS通算7試合で勝利なしとなった。五回に集中打を浴び、三浦監督がポイントに挙げていた先制点を相手に許し「今までファウルやフライになっていた球をコンパクトに弾き返された」と肩を落とした。今季は11勝2敗、8連勝中だった本拠地での阪神戦にあえなく敗れた。警戒していた中野に4安打、近本に3安打され、指揮官は「1日しかないが、またしっかり対策を立てて臨みたい」と改善を求めた。ヤクルトが待つファイナルステージ進出へ、もう負けは許されない。三浦監督は「1敗したことは変えられないですから。選手たちも、やり返そうという気持ちになっている」と〝反撃〟へ、切り替えを強調した。(浜浦日向)

◆3年ぶりのCS開催となった横浜スタジアムには前日7日から白、青、水色のボードを封入する作業で大忙しのスタッフの姿があった。翌8日、3万超の座席一つずつにそのボードが置かれ、四回終了時にスタンドのファンが一斉にそれを掲げると、スタンドに『I☆(ラブ)YOKOHAMA』の文字が浮かび上がった。関係者は「来場者全員で勝利へ後押ししてほしい」と企画の意図を説明。ハマスタでの人文字は2017年以来だという。3位からCSを勝ち上がり、日本シリーズに進んだ同年も、ファーストステージ初戦で阪神に0-2で敗れ、そこから巻き返した。あの年の〝再現〟へ、球団スタッフも熱い思いを抱く。(浜)

◆矢野監督! しびれる選手起用、しびれる勝利、ありがとうございました。心からお礼を言いたくなった。見ている側の予想をいい意味で裏切り、先手先手で勝負手を放ち、ビックリ仰天の配置転換もあり。ワクワク、ドキドキ。こんな野球、もっと早く見せてほしかったなぁと思ってしまう、CS先勝だった。感謝! 感謝!そういえば、試合開始早々、放送席で「ありがとうございました」と言っているテレビ解説者がいた。来季、カープの指揮官就任が決まった新井貴浩氏。「祝! 監督就任」を実況アナから振られると「4年間、ありがとうございました」と視聴者にお礼を言っていたのだ。相変わらず、律義というか、丁寧というか、低姿勢というか。わがタイガースにも在籍していた新井さん。タテジマでの雄姿は脳裏に刻まれている。敵将になっても、虎党は「阪神の新監督」の次に、新井さんを応援することでしょう。新井さんの「4年間」の言葉に、ある光景が蘇ってきた。ちょうど3年前のCS第1戦。場所はこの日と同じ横浜スタジアム。対戦チームもこの日と同じベイスターズvsタイガース。3位でCSに滑り込んだのは、就任1年目の矢野監督だった。阪神が6点差をひっくり返した、歴史的大逆転の試合だ。思い出したのは、5打点挙げたあの日のヒーロー北條でもなければ、3安打を放った近本でもない。ましてや、矢野監督でもない。あの日、スーツ姿でハマスタに来ていた新井さんだ。ピカピカの解説者1年生だった〝いい人〟はテレビ中継のために球場入り。私とバッタリ出くわすと、立ち止まって、丁寧にお辞儀をして、私の手を両手で握って「ご無沙汰です」。会うたびに、このルーティンを繰り返していたのだが、またまた...。こちらが気恥ずかしくなる丁重さだった。あれから3年。初々しい解説者が、4年間のネット裏生活を終えて、成長して虎の前に立ちはだかるんだろうなぁ。3年あれば、人間は急成長する。たとえば、昨日の当番デスク・阿部祐亮。3年前のCS初戦の日も当番デスクだった。あの日、阿部は阪神の勝利を祈る気持ちがあふれすぎて、何とタイガースのレプリカユニホームに袖を通して仕事をした。その様子が「虎のソナタ」にもしっかり書かれている。「自分でも恥ずかしいです。今はそんなことは考えもしません」成長したデスク阿部は、普通の服装で、普通に仕事をこなしていた。奇をてらうようなことはしない。阿部も成長している。だから、新井さんはもっともっと成長しているだろう。「虎ソナ」も虎党同様に、タテジマ指揮官の次に、新井さんの味方をしたいと思う。さあ、ファイナルステージに王手! みなさん、データを頭に詰め込み過ぎで、阪神が不利だと思っていませんか?でもね、2016年以降の第1ステージはすべて3位チームが勝ち上がっていますからね。ことしはハマスタで2勝11敗。でもね、よく調べてください。デーゲームは阪神が2勝1敗で勝ち越してますから。そう、きょうもデーゲームですよ! 日本一の準備でも始めますか。

◆重苦しい試合だった。2位と3位。上にはヤクルトがいるわけで、どちらも駄目で元々。もっと思い切ってやったらどうかな。特にDeNAはカタかった。みな、俺が俺が...の気持ちが強く、腕が縮こまっていた。佐野は六、八回のチャンスで、いずれも内角球に詰まらされて内野フライ。牧もキャッチャーミットにボールが収まってから振ったようなシーンがあった。全体的に、振りすぎのリキみすぎ。力が入るから、バットの出が悪くなる。捉えたつもりが、芯を外れる。強力打線といっても、それは火がついたときの話。点火するまでが問題なんだ。青柳には序盤、バランスを崩すところが見受けられ、攻略できる余地はあっただけに余計、打撃面、作戦面と、もったいなかったね。もっとも、さすがはエースの投げ合いだ。青柳と今永が荒れる展開を許さなかった。先発が踏ん張れば、こういう試合になるということよ。その上でもう一度、言おう。DeNAは昨季最下位から、阪神は今季開幕直後の泥沼から巻き返した。伸び伸びとプレーしなさい。(本紙専属評論家)

◆ガハハハハ...猛虎の『1973年 南海ノムさん作戦』がDeNAに見事に的中したのだ!!今季の対戦成績はDeNAの16勝9敗、さらに8、9月、わが阪神は1勝のみ(8敗)。実は、終盤のこの一方的な黒星こそ73年に当時2シーズン制だったパ・リーグで前期優勝した野村南海が年間王者になるために、後期優勝の阪急にわざと全敗し、油断させてプレーオフで勝者となったあの作戦の焼き直しに違いないのだ!!この死んだふり作戦は先発の青柳も行っていたのだ!! 立ち上がりから投球がブレたり、ひっかかったり、安定しなかったが、あれこそ青柳-坂本バッテリーの入念に仕組んだワナだったのだ。12勝目を挙げてから7試合勝てなかった、あの不調を演じてDeNA打線に心の隙をつくらせたのだ。よっしゃ、このCS。DeNAも、ヤクルトも、死んだふりしてんの?くらいに打線を沈黙させてくれー!!

DAZN