ロッテ(☆5対3★)ソフトバンク =リーグ戦25回戦(2022.10.02)・ZOZOマリンスタジアム=
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ソフトバンク
1001000103812
ロッテ
00000320X5811
勝利投手:岩下 大輝(1勝0敗0S)
(セーブ:オスナ(4勝1敗10S))
敗戦投手:泉 圭輔(0勝2敗0S)

本塁打
【ソフトバンク】三森 大貴(9号・1回表ソロ),柳田 悠岐(24号・4回表ソロ)
【ロッテ】山口 航輝(16号・6回裏3ラン)

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◆ロッテは2点ビハインドで迎えた6回裏、山口の3ランで逆転する。続く7回には、中村奨と安田の連続適時二塁打で2点を奪い、リードを広げた。投げては、2番手・岩下が今季初勝利。敗れたソフトバンクは痛い逆転負けを喫し、2年ぶりのリーグ優勝とはならなかった。

◆イケメン右腕に命運が託された。ソフトバンク板東湧梧投手(26)が、今季最終戦に先発する。試合前はランニング、キャッチボールなどで入念に調整した。勝利か引き分けで2年ぶりのリーグ優勝が決まる大一番。プロ4年目の若鷹が勝敗のカギを握っている。6月中旬から本格的に先発転向した。今春の宮崎キャンプ前に新型コロナ陽性となったが、回復して藤本監督と対面した時に「先発やりたいだろ?」と単刀直入に聞かれた。板東は「やりたいです」と即答した。結果的に先発ローテーションの枠もあって、中継ぎから始まったシーズンだが「元々は先発がしたいと思っていたので即答しました」。助っ人レイの不振や、武田の負傷離脱で巡ってきたチャンスだ。前回登板の9月24日ロッテ戦(ペイペイドーム)ではプロ初完封を飾った。主砲柳田や中村晃からは「男前投法」と認定された。対ロッテ戦は、中継ぎ登板も合わせて通算15試合、1勝1敗、23回2/3を投げて自責点4の防御率1・53。好データがそろう。泣いても笑っても残り1試合となった。ワインドアップから若干体をひねるトルネード右腕が鷹の運命を決める。

◆優勝マジック「1」のソフトバンク藤本博史監督(58)は、自力でのリーグ制覇を誓った。143試合目。負けても2位オリックスが引き分けか敗れれば優勝が決まる。試合前に取材に応じ「143試合目でこういう試合ができる喜びを感じてくれたらいい。プレッシャーを感じる必要はない。オリックスは勝っても、ウチが勝ったらいい。何回も言っている通り、勝って優勝できるのはウチだけ」と意気込んだ。前日1日の西武戦では、延長11回の末にサヨナラ負け。松本、藤井、モイネロら勝ちパターン投手の3連投は勝利に結びつかなかったが「全員でいきます。4連投もアリです」と総力戦で挑む覚悟だ。山川にサヨナラ2ランを打たれた藤井は、試合後の宿舎で藤本監督の部屋に訪れたという。「明日(2日)投げさせてください」と直訴してきたことを明かし、「気持ちがでている。その気持ちがすごくうれしかった。あれは打った山川君を褒めるべき。藤井で打たれたらしょうがない」と、切り替えを強調した。西武戦後は藤井と海野のバッテリーは涙を流していた。そこで指揮官は最高のシナリオを描く。「一番いいのは点を取って、9回に藤井-海野のバッテリーでいかせたら最高かなと思います。できるだけ早い回に5、6点取って、9回に2人のバッテリーで締めくくれたらいい」と勝利だけを考えていた。

◆ロッテの本拠地ZOZOマリンに他球場の実況音声が流れるハプニングがあった。3回1死、ロッテの攻撃は9番松川。カウント2-1からの4球目をファウルにしたところで、場内に「4回表、バファローズ、先頭が出ます」と音声が響き、ざわめきが起きた。宮城・仙台の楽天生命パークでは楽天-オリックスが試合中。4回表は逆転Vを狙うオリックスの攻撃で、無死から1番福田が安打を放っていた。ソフトバンクとオリックスの勝敗次第で、どちらがリーグ優勝するかが決まる。「10・2」大一番ならでは(?)のハプニングだった。

◆ソフトバンク柳田悠岐外野手(33)が2戦連発の24号ソロを放った。1-0の4回先頭で、小島のカットボールを左翼ホームランテラス席に運んだ。前日1日の西武戦に続く豪快なアーチ。優勝へのマジックナンバー「1」という大一番で、貴重な追加点を呼んだ。もはや誰にも止められない。9月30日の楽天戦では4回の守備中に外野フェンスで後頭部を強打。そのままベンチに退いた。藤本監督も「だいぶ痛いと思う」と心配そうな表情を浮かべていたが、首に湿布のようなものを貼りながら強行出場している。そんな手負いの状態で2夜連続の逆方向弾を放った。「追い込まれてしまいましたが、食らいついて打つことができました。とにかく追加点となる1本となって良かったです」。主砲の一打で、このまま優勝をつかみ取る。

◆ロッテ松川虎生捕手(18)がプロ1年目を1軍で完走した。この日の最終戦もマスクをかぶり、76試合に出場した。昨秋ドラフト1位で市和歌山から入団し、石垣島春季キャンプから1軍で猛アピール。3月25日の楽天戦(楽天生命パーク)では高卒新人としてはNPB史上3人目となる開幕スタメンマスクの座を手にした。4月10日のオリックス戦(ZOZOマリン)では佐々木朗とのバッテリーで完全試合を達成し、さらに脚光を浴びた。その後は途中交代も増えたものの、2軍戦には調整で1試合に出場したのみ。9月以降は勝ち試合でも9イニングを任されることが増え、1度も出場選手登録を抹消されることがなく、シーズンを終えた。開幕1軍登録された高卒新人がシーズン1度も抹消されずに完走したのは、89年谷繁元信(大洋)以来33年ぶりとなる快挙だった。打撃面では満塁機での適時打が目立ったものの、打率は1割7分3厘に終わった。高校通算で43本塁打を放っているが、記念すべきプロ初本塁打は来季以降に持ち越しとなった。

◆ソフトバンクが目の前に見えていたリーグ制覇を逃した。優勝マジック「1」で迎えたロッテ戦に敗れ、2位だったオリックスが楽天に勝利した。最終成績が76勝65敗2分と両球団が勝率で並んだが、直接対決で勝ち越しているオリックスが2連覇を決めた。藤本監督 もう誰がどうこうじゃない。最後まで元気だったし、最後まであきらめなかった。まだCSがあるので、CSに向けてみんなで頑張ります1回先頭の三森が先頭打者本塁打。開始直後に球場が一気に沸いた。1-0の4回先頭では、主砲柳田が左翼に2戦連発の24号ソロ。1発攻勢で主導権を握ったが、盤石だったリリーフ陣が逆転を許した。20時06分。ソフトバンクとオリックスの立ち位置が逆転した。2-0の6回1死一、二塁で2番手泉が山口に逆転3ランを献上。その時点でオリックスは楽天にリードしていた。ソフトバンクは7回にも2点を失い、窮地に立たされた。最後は21時26分。9回2死走者なしで三森が中飛に倒れ、2年ぶりのリーグ優勝が途絶えた。やはり天王山での3連敗が痛かった。9月17日~19日に2位オリックスとの直接対決で3タテを食らった。優勝マジック「9」は3試合で1つも減らせず。オリックスとのゲーム差も「0」に縮まった。3試合のうち1試合でも勝っていれば、マジックは2つも減らせていた。特に19日は、1点リードで9回2死までこぎつけたが、守護神モイネロが吉田正に同点打を献上。そのままサヨナラ負けした。昨季のパ王者に勢いを与えてしまった。今季のターニングポイントとも言える3日間だった。この日はパ・リーグの全日程が終了する「リーグ最終日」。リーグ最終日に優勝決定は82年セ・リーグの中日以来で、パ・リーグでは63年西鉄以来、59年ぶり。過去5度は、すべて前日首位のチームがそのまま優勝していたが、ソフトバンクは涙をのんだ。一方のオリックスは、史上初のリーグ最終日に逆転優勝。鷹は歴史的なV逸で22年シーズンを終えた。ソフトバンクがシーズン最終戦でオリックスに逆転Vを許した。オリックスとはともに76勝65敗2分けで勝率5割3分9厘で同率フィニッシュ。規定により直接対決で勝ち越しているオリックスが上位となり、ソフトバンクは優勝を逃した。1、2位がゲーム差なしで並ぶことはあったが、同率で並ぶプロ野球史上初めてのケースとなった。オリックスとソフトバンクが76勝65敗2分け、勝率5割3分9厘の同率でシーズンを終了。パ・リーグの順位は勝率で決まり、勝率が同じ場合は(1)当該球団間の対戦勝率(2)リーグ内対戦成績の勝率(3)前年順位の順で決定。オリックスはソフトバンク戦に15勝10敗と勝ち越しているため、オリックスが優勝となった。CSが始まる前は優勝決定法が異なり、同率で1位に2球団が並んだ場合は優勝決定戦(3試合)を行うことになっていた。ただし、2球団が同率1位で終了したことは過去になく、今年のオリックスとソフトバンクが初めて。CS以前ならば両チームで優勝決定戦だったが、「ルール」でオリックスの優勝が決まった。なお、1リーグ時代の36年秋は勝ち点で優勝を決め、勝ち点で並んだ巨人とタイガースが優勝決定戦を行って巨人が優勝した。

◆オリックスが大逆転で、95~96年以来のリーグ連覇を飾った。ソフトバンクが優勝マジック「1」で迎えたロッテ戦に敗れ、2位オリックスが楽天に勝利した。最終成績が76勝64敗2分と両球団が勝率で並んだが、直接対決で勝ち越しているオリックスが2連覇を決めた。

◆ロッテ高部瑛斗外野手(24)がシーズン44盗塁で、自身初の盗塁王を獲得した。昨季まで4盗塁だったものの、プロ3年目の今季は荻野貴司外野手(36)の出遅れもあり、開幕からレギュラーに定着。2位以下に大差をつけての初タイトルになった。「思い切って挑戦する気持ちとか、1つ1つのプレーを大事にしてきた結果だと思います」と胸を張った。主に1番打者、2番打者を任され、得点力不足に悩むチームを引っ張った。盗塁以外でもリーグ3位の608打席に立ち、それぞれ同2位の148安打に66得点。飛躍の1年になった。「後がない気持ちで、本当に今年ダメだったら終わりなんじゃないかなという気持ちでキャンプをスタートして。逆境じゃないですけど、そういう気持ちがこのシーズンにつながったのかなと思います」と振り返った。昨年は24盗塁の荻野、和田康士朗外野手(23)が西武源田、日本ハム西川(現楽天)と並んで盗塁王に。ロッテからは2年連続での盗塁王となった。

◆ロッテのロベルト・オスナ投手(27)が9回表、万雷の手拍子に送られ、今季ラスト登板に向かった。いつものように右翼ポール際のブルペン出入り口から姿を見せると、リリーフカーに乗らず、登場曲「Toco Toco To」に乗ってマウンドへ走って向かい、しっかりと今季10セーブ目を挙げた。元メジャーのセーブ王は今季途中にロッテに加入。後半戦は安定感抜群のクローザーとしてセーブを重ねた。150キロ台中盤の直球とカットボールなどを軸とし、27歳で働き盛りの右腕。今オフは日米争奪戦になる可能性があり、ロッテファンも"残留へ"の思いを熱い手拍子に乗せた。

◆ロッテ井口資仁監督(47)が2日、全日程を終了し、今季限りの退任を発表した。ソフトバンク戦に勝利後、セレモニー内で突如、7秒間沈黙した。顔を少しゆがめ、言った。「残念ではありますが、ここをもってシーズンを終了してしまったこと、3年ぶりにBクラスになってしまったこと、これは本当に私の責任だと思っています。2025マリーンズプロジェクトに向けて、突き進んで参りましたが、道半ばではありますが、私は今シーズンで退任させていただき、次の指揮官にバトンを移していきたいと思います」2年連続2位からの、就任5年目での5位。チーム打率2割3分1厘は、球団史上ワーストだった。「結果が出なかったことというのは本当に申し訳ない気持ちでいますし、ファンの人も歯がゆい気持ちではいたと思います」。あいさつの冒頭、右翼席の一部からブーイングもあった。退任発表後、ごく一部から拍手も起きた。退任が決まったのは、この日の試合前。「今日決まったことだったんでね、なかなか選手にも伝えられなくて、ああいう場でしかなかったですけど」。同じように退任を表明した、河合克美代表取締役社長兼オーナー代行(70)らとの話し合いで決まったばかりだったという。その言葉の真実を証明するかのように、井口監督の後ろに並んでいた選手たちも動揺を隠せなかった。左端にいた佐々木朗は、監督が退任を発表した瞬間、ぴくっと体を動かし、隣の選手のほうを見るほどだった。「育成」と「勝利」の両輪でチーム作りを進めてきた。ただ就任時、オーナーからは「来年優勝しなくてもいい、5年後には優勝してくれ」と託されたという。その中で「頂点を、つかむ。」とスローガンに掲げての5位低迷。河合オーナー代行は「優勝ということに対する思いと、それができなかったことへの責任を重く捉えている、というのが今日の先ほどの監督の言葉であると思います」と説明した。球団は「井口監督より辞任の申し出があり、受理しました」と広報発表している。井口監督は「道半ばではありますが、私は今シーズンで退任させていただき、次の指揮官にバトンを移していきたいと思います」とファンに話し、その後の報道対応では「ここまで本当に若い選手をしっかり育てながらやってきたのでね、彼らがもうひと花ふた花咲かせられるように」と期待を託した。監督も、現場の経営トップも、後任未定。優勝をめぐってわきにわいた、2022年のパ・リーグ最後の日。ロッテに衝撃が走った。【金子真仁】井口資仁(いぐち・ただひと)1974年(昭49)12月4日、東京都生まれ。国学院久我山-青学大を経て96年ドラフト1位でダイエー入団。01、03年盗塁王。ベストナイン、ゴールデングラブ賞各3度。04年オフにダイエーを退団し、ホワイトソックス入団。加入1年目に88年ぶり世界一に貢献。フィリーズ、パドレスを経て09年ロッテ移籍。13年に日米通算2000安打。17年現役引退し、翌年からロッテ監督。178センチ、91キロ。右投げ右打ち。

◆ソフトバンクが目の前に見えていたリーグ制覇を逃した。優勝マジック「1」で迎えたロッテ戦に敗れ、2位だったオリックスが楽天に勝利した。最終成績が76勝64敗2分と両球団が勝率で並んだが、直接対決で勝ち越しているオリックスが2連覇を決めた。試合後の藤本博史監督(58)の一問一答は以下の通り。-今の気持ちは「悔しいけどね、選手はよく頑張った。これが結果です」-あと1勝だった「プレッシャーもある中で、誰も力を抜いてない。一生懸命やってくれた結果」-泉は「ずっとジョーカー的な存在で抑えていてくれていた。今日は(先発の)板東は5回までと決めていた。勝っていたら、7、8、9回は(勝ちパターン投手の)4連投で行く予定だったけど、6回は泉と嘉弥真でいくと決めていた。今まで抑えてくれているので、これは昨日と一緒で、よく頑張ってくれましたよ」-甲斐野も四球から失点「1年間の中で、四球という課題ができた。まだまだ若い選手ばかりなので修正できる。課題はあるけど、よくここまで1年間ね。143試合目で勝てば優勝というところまできてね。負けましたけど、逆に言ったら来年頑張れるんじゃないかなと思います」-やはりオリックスが立ちはだかった「こっちが有利だったんだけどね。勝てばっていうところまできてたけど、プレッシャーあったのかな。でも今日の試合でも柳田はよく引っ張ってくれたし、もう誰がどうこうじゃない。最後まで元気だったし、最後まであきらめなかった。まだCSがあるので、CSに向けてみんなで頑張ります」

◆主将は"死ぬ気"で放物線を描いた。ソフトバンク柳田悠岐外野手(33)は、1-0の4回先頭で2戦連発となる24号ソロを放った。小島のカットボールを左翼ホームランテラス席へ。前日1日の西武戦に続く豪快な逆方向弾だったが、優勝には導けなかった。試合後は「1歩足りないというところ。力(の差)かなと受け止めています」と、淡々と話した。試合前の円陣では「ここまできたらやるしかない。3時間死ぬ気でやろう。だめやったら、全部俺のせい」。優勝できなかったら左胸のCマークを「破り捨ててやる」と大声で誓いを立てた。「俺のせいにしろ!死ぬ気いくぞ!」。8回には2点差に迫る左中間適時二塁打。主力としての自覚は誰よりも強かった。9月30日の楽天戦では4回の守備中に外野フェンスで後頭部を強打。そのままベンチに退いたが、首に湿布のようなものを貼りながら強行出場した。そんな手負いの状態で2戦連発。今季は打率2割7分5厘、24本塁打、79打点でレギュラーシーズンを終えた。「僕がもっと打っておけば優勝してたかなと思います」。2位でも人生初というキャプテンの重責を全うした。今後はクライマックスシリーズで勝ち上がれば、日本一の可能性は残されている。「まだチャンスはある。それに向かって全力で頑張りたいです」。力強く語り、帰路についた。【只松憲】

◆ロッテ山口航輝外野手(22)がひと振りでパ・リーグの筋書きを変えた。2点を追う6回1死一、二塁。ソフトバンク泉から右翼席へ16号逆転3ラン。満員のZOZOマリンは、誰もがその意味を知る。白い右翼席は瞬時にして興奮に満ち、ソフトバンクの優勝を見届けに来た左翼席や三塁側は、静まりかえった。「前の打席でチャンスで打てなかったので、この打席もまたチャンスで回してもらったので、何とかしたい気持ちだけでした」ベンチへ戻り、息を整えながら振り返った。これを待っていた。期待の高卒4年目スラッガー。9月22日のオリックス戦では1試合で3発8打点の驚異的な打棒を見せた。右への長打が売りだが、井口監督は「今年はライトに飛んでないですからね、大きいのは」と指摘していた。最後の最後で、理想の一打を放ってみせた。▽ロッテ高部(44盗塁で盗塁王獲得)「今年ダメだったら終わりなんじゃないかという気持ちでスタートして、逆境じゃないですけど、そういう気持ちがこのシーズンにつながったのかなと思います」

◆つかみかけていた優勝に、ほんのわずか、手が届かなかった。三森の初回先頭打者本塁打、4回には柳田の2試合連続弾が出て2点を先行したが、6回に登板した2番手の泉が乱調。ロッテ山口に逆転の右越え3ランを浴びた。7回にも甲斐野が2点を奪われた。終盤の反撃も届かず、力尽きた。藤本監督は「悔しいけどね、選手は1年間よく頑張ったので。これが結果ですね。プレッシャーもある中で、誰も力抜いてないし、一生懸命やってくれた結果」と穏やかに話した。苦しい戦いだった。11連戦まっただ中の9月15日にマジック11が点灯。9まで減らした後、敵地の京セラドーム大阪でオリックスに3連敗し、ゲーム差なしに迫られた。昨季のパ王者に勢いを与えてしまった。今季のターニングポイントとも言える3日間だった。マジック1で迎え、引き分け以上なら優勝の前日1日西武戦では、セットアッパーの藤井が延長11回にサヨナラ被弾して敗戦。あとアウト4つのところで、優勝がスルリと逃げた。一夜明けても、悪い流れを断ち切ることはできなかった。新人監督としては新記録となった開幕8連勝の貯金がありながら、主力の故障や新型コロナ陽性による大量離脱が相次ぎ、他チームを突き放すことができなかった。この日でパ・リーグの全日程が終了した。「リーグ最終日」の優勝決定は82年セ・リーグの中日以来で、パ・リーグでは63年西鉄以来、59年ぶり。過去5度は、すべて前日首位のチームがそのまま優勝していたが、逆転優勝を許した史上初のケースになった。指揮官は「最後まで今日も元気があったし、最後まであきらめなかったし。CSがまだあるんでね、そこに向けてみんなで頑張ります」と、下克上日本一に照準を切り替えた。【山本大地】

◆ソフトバンク選手会長の今宮健太内野手(31)はV逸に悔しさをにじませた。「悔しいです」と言葉を絞り出した。Vマジック1となって連敗。「勝てば優勝だったが勝てなかった。個人的にもチームにしても何か足りなかったのかもしれない」。試合後は目に涙を浮かべ応援席にあいさつした。打率3割も達成できなかった。優勝は逃したものの日本一への望みはある。「今日の悔しさはCSに向けてチーム一丸となって日本一を目指したい」と気持ちを切り替えた。

◆ロッテ井口資仁監督(47)が2日、今季限りで退任することを電撃発表した。ソフトバンク戦の後、3万人近いファンの前で、涙をこらえながらマイクで発表した。「最終的には自分自身というか、球団といろいろ話し合いながら、今日試合前に直前に決まったという感じでした」と振り返り「なかなか選手にも伝えられなくて、ああいう場でしかなかったですけど」とわびた。後ろに並ぶ選手たちも動揺したのか、言葉を交わし合う場面もあった。17年オフに現役引退し、今年で就任5年目を迎えていた。球団は2025年に常勝軍団になることを掲げ、佐々木朗ら若手育成と勝利を両輪に、プロジェクトを進めていた。続投は既定路線と思われていたが、就任時に経営陣から託された「5年後に優勝を」を達成できず責任を問われる形になった。最後は胴上げされたが「そこを道半ばで外れてしまうというのは選手たちにも本当に申し訳ない」と話した。自身の今後は「何もないです。未定です」と話すしかなかった。その後、経営責任をとる形で河合克美社長兼オーナー代行(70)も退任を表明した。監督も経営の現場トップも後任は白紙。ロッテに衝撃が走った。井口資仁(いぐち・ただひと)1974年(昭49)12月4日、東京都生まれ。国学院久我山-青学大を経て96年ドラフト1位でダイエー入団。01、03年盗塁王。ベストナイン、ゴールデングラブ賞各3度。04年オフにダイエーを退団し、ホワイトソックス入団。加入1年目に88年ぶり世界一に貢献。フィリーズ、パドレスを経て09年ロッテ移籍。13年に日米通算2000安打。17年現役引退し、翌年からロッテ監督。178センチ、91キロ。右投げ右打ち。

◆ロッテ小島和哉投手(26)が2年連続で規定投球回をクリアした。規定まで残り4回2/3の状態で、シーズン最終戦となったこの日の先発マウンドへ。5回を投げて達成し、チーム投手陣唯一の到達者となった。昨季にプロ初の10勝を挙げ、プロ4年目の今季は新たな背番号14で臨んだ。しかし開幕から好投を続けるものの打線の援護がなく、白星に恵まれない状態に。シーズン初勝利は10試合目の登板となった6月10日のDeNA戦(ZOZOマリン)だった。この日は5回2失点で、防御率は3・14に。年間成績は3勝11敗と大きく負け越したが、個人防御率ではリーグ6位に入った。

◆ソフトバンク・藤本博史監督(58)が試合前に代表取材に応じた。藤井皓哉投手(26)の〝男気〟を明かした。「本人が、きょういかせてくださいって、いきなり部屋にきたからね。きのう、終わってから。その気持ちがうれしかった」1日の西武戦(ベルーナドーム)は、引き分けでも優勝という中で延長十一回2死一塁で山川にサヨナラ2ランを浴びた。大車輪で支えてきた藤井が今季初黒星。バッテリーを組んでいた海野とともに涙を流した。藤本監督も「藤井で打たれたら仕方ないと判断しているから」を右腕をかばった。「本当に一番いいのは、点を取って九回に藤井と海野のバッテリーでいけたら」。藤井はこの日、登板があれば4連投となる。引き分け以上、もしくはオリックスが引き分け以下で優勝が決まる。

◆ソフトバンクの公式ツイッターが試合前の声出しの様子をアップした。柳田悠岐外野手(33)が声出しを務めた。マジック1で迎えたシーズン最終戦。引き分け以上で優勝が決まる中、キャプテンとしてナインを鼓舞した。まず「ラスト1試合。マジックも1。よくこんなしんどい試合ばかりでマジックを消さずに、ここまでこられたと思います。本当、素晴らしいですみなさん!」とここまでの戦いを労った。そして「ここまできたら、やるしかない。3時間、死ぬ気でやろう!」と力強く続けた。ここからが、柳田らしさが詰まっていた。オリックスが勝ち、ホークスが負ければ逆転Vを許してしまう中で「ダメやったら、全部俺のせい! 俺が責任取って...」とキャプテンをあらわす胸のCマークを握ると「こんなん、破り捨てる!」と言い切った。「全部俺のせいにしろ! 死ぬ気でいくぞ!」と締めると、ナインの気持ちは最高潮にまで高まった。柳田は一回1死の守備でも藤原の強烈な打球をジャンピングキャッチ。プレーでも気持ちでも引っ張った。

◆ロッテ・山口航輝外野手(22)が「6番・右翼」で先発出場し、右翼ホームランラグーン席に逆転の16号3ランを放った。0―2の六回1死一、二塁。2番手・泉の外角高めに浮いた3球目をたたいた。9月28日の日本ハム戦(札幌ドーム)以来の一発。優勝マジック「1」としているソフトバンクファンから悲鳴が上がった。目の前での胴上げを阻止しようとする意地を見せた。球団広報を通じて「打ったのはストレートです。チャンスで回ってきた前の打席で打てなかった。この打席もまたチャンスで回してもらったので、何とかしたい気持ちだけでした」とコメントした。

◆ロッテが逆転勝ち。0―2の六回に山口が逆転の16号3ランを放ち、七回には中村奨と安田の適時二塁打で2点を加えた。2番手の岩下が今季初勝利。九回はオスナが締めた。ソフトバンクは2番手の泉が打たれ、リーグ優勝を逃した。

◆ロッテはソフトバンクとのレギュラーシーズン最終戦に勝ち、69勝73敗1分けの5位で全日程を終えた。試合後の本拠地最終戦のセレモニーで井口資仁監督(47)はAクラス入りを逃した責任を取り、今季限りで辞任することを表明した。「ファンのみなさま、今シーズン熱い声援ありがとうございました。昨年、一昨年と2位。今年こそ頂点をつかむということでキャンプインしてシーズンをスタートしました。残念ではありますが、ここをもってシーズンを終了してしまったこと、3年ぶりにBクラスになってしまったこと。これは私の責任だと思っています。『2025マリーンズプロジェクト』に向けて突き進んできましたが、道半ばではありますが、私は今シーズンで退任させていただき、次の指揮官にバトンを移していきたいと思います。私事ですが、マリーンズで現役9年、監督で5年、計14年。本当にファンの皆様と一緒に戦い、応援していただき本当にありがとうございました。ここにいる若い選手たち、一日一日、一歩一歩成長しています。長い目で見守っていただき、来年、再来年、そしてその先と飛躍することを期待しましょう。1年間ありがとうございました」

◆ソフトバンクが逆転負けを喫し、V逸した。オリックスが楽天戦(楽天生命)で5-2で勝利したため、オリックスとは勝率で並んだが対戦成績(10勝15敗)でオリックスがリーグ優勝となった。試合後、柳田悠岐外野手(33)が取材に応じた。ーー結果をどう受け止めている「一歩足りないというところが力かなと受け止めております」ーー1日の西武戦(ベルーナドーム)、この日の2試合連発も含め、キャプテンに就任するなどいろんなものを背負ったシーズンだった「僕がもっと打っておけば優勝していたと思います」ーー短期決戦に向けて「ちょっと空くので、コンディションをよくして準備したいと思います」ーーこの悔しさをつなげることが大事「まだチャンスはあるので。それに向かって全力で頑張りたいです」

◆ソフトバンクが逆転負けを喫し、V逸した。オリックスが楽天戦(楽天生命)で5-2で勝利したため、勝率で並んだが、対戦成績(15勝10敗)でオリックスが上位となった。試合後、藤本博史監督(58)が取材に応じた。ーー今の気持ち「悔しいけど、選手は1年間よく頑張ったので。これが結果ですね」ーーあと1勝だった「重圧がある中で、誰も力を抜いていないし。一生懸命にやってくれた結果がこういうこと」ーー六回に泉が逆転3ランを被弾「ずっとジョーカー的な存在でいいところで抑えてくれていたので。きょうは板東は五回までと決めていたので。勝っていたら七、八、九は(松本、藤井、モイネロが)4連投するつもりだったけど。六回は泉と嘉弥真でいくと決めていたので。今まで抑えてくれているので。きのうと一緒で。よく頑張ってくれました」ーー七回は甲斐野も四球から2失点「課題はね、この1年間でしっかり課題はできたので。若い選手ばかりなので、修正できると思うので。でも課題はあるけど、1年間よく、143試合目、勝てば優勝というところまで、結局負けたけど。来年に向けても逆に頑張れると思います」ーーオリックスが逆転優勝「こっちが有利だったんですけどね。勝てばというところまできていた。重圧があったのかな。でもきょうの試合でもよく柳田が引っ張っていたし誰がどうのじゃない」ーーシーズン序盤からの成長「最後まで元気もあったし、最後もあきらめなかった。CSがまだあるので、CSに向けて頑張ります」ーー今からミーティング「はい。(王)会長やみんなも待っているので」

◆ソフトバンクが逆転負けで優勝を逃した。楽天戦(楽天生命)に勝利したオリックスと勝率で並んだが、対戦成績(10勝15敗)で及ばなかった。試合後、今宮健太内野手(31)が取材に応じた。――今の心境「素直に悔しいですね」――あと一歩だった「マジックと試合数がほぼ同じというところからきて、そしてきょう勝てば優勝だったところで勝てなかった。まだまだ個人もそうだし、チームとしても何か足りなかった。悔しいですね」――すぐCSがある「きょうの悔しさは、あと何時間かしか、ね。あしたになったら、もうCSに向けてのゲームが始まっていく。そこに向かってまたチーム一丸となって、CS突破からの日本一の可能性があるので。そこだけを考えてやっていきたいです」

◆あと一歩だった。10月2日、143試合目。全てをかけて、敗れた。マジック「1」としてから2連敗し、ソフトバンクが2年連続V逸。藤本監督は就任1年目を2位で終えた。「悔しいけど、選手は1年間よく頑張ったので。これが結果ですね」一回に三森が9号先頭打者弾。四回無死でも柳田が24号ソロを放ち追加点を挙げた。暗転したのは六回。2番手・泉が安打と四球で1死一、二塁とされると山口に逆転3ランを被弾。七回にも2点を追加され、力尽きた。2点を追う九回2死の攻撃中にオリックスが楽天に勝利。最後の打者、三森が中飛に終わり、V逸した。76勝65敗2分け。勝率・539でオリックスと並んだが、直接対決は10勝15敗。9月15日の楽天戦(楽天生命)で勝ってマジック11を点灯させたが、17日からのオリックス戦(京セラ)で同一カード3連敗。4位だった2021年から2位に順位を上げたが、今宮は「何かが足りなかった」と語った。9月28日に松田が退団すると発表された。9日に柳田は34歳になる。時代も時間も待ってはくれない。8日から本拠地でクライマックスシリーズ(CS)・ファーストステージ。西武と戦う。「最後まで元気もあったし、最後もあきらめなかった。CSがまだあるので、CSに向けて頑張ります」スタンドへの最後のあいさつを終えてベンチに戻るとき、涙していたナインの先頭を歩いていたのは柳田だった。確かに言える。ホークスの全員が、優勝だけを目指して全力で戦った。(竹村岳)

◆先発の板東は5回無失点で仕事を果たした。二回1死二、三塁では池田を投ゴロ。三走・井上はスタートを切っていなかったが、二走・山口は三塁手前まできており、ダブルプレーとなってピンチを脱した。「先発として最低限の仕事はできたのかなと思います」。今季4年目の26歳。3勝にとどまったものの、飛躍のきっかけとなる投球だった。

◆満身創痍の柳田は、淡々とV逸を振り返った。「僕がもっと打っておけば、優勝してたかなと思います」。四回には2試合連続の24号ソロ、八回には反撃の適時二塁打も放った。2日前に後頭部を強打し、痛みが残る中で4番の仕事は全うした。試合前には「負けたら全部、俺のせい」とゲキを飛ばして主将の役目も果たした。それでも届かなかった優勝。悔しさは日本一で晴らすしかない。

◆ロッテ・井口資仁監督(47)が2日、ソフトバンクとの今季最終戦(ZOZOマリン)後のセレモニーで辞任を電撃的に表明した。「3年ぶりにBクラスになり、私の責任だと思っています。私は今シーズンで退任させていただき、次の指揮官にバトンを移したいと思います」言葉を詰まらせ、ファンの前で言い切った。スタンドは騒然、コーチ陣、選手らも唖然とするばかり。益田らが近寄って胴上げを促すと指揮官は断り続けたが、最終的にホーム付近で6度、宙に舞った。スタンドにねぎらいの言葉は響き、涙を流すファンもいた。球団は、来季も続投を要請する方針を固めていた。しかし、この日の試合前に話し合いを持ち、辞任の申し入れを受け入れた。さらに、河合克美オーナー代行兼球団社長(70)も責任を負う形で辞任を発表した。主将の中村奨は、指揮官の突然の辞意表明に「本当にセレモニーまで知らなくて、びっくりしている。現役の時からお世話になっていた。井口監督になってレギュラーにしてもらった。本当に感謝しかない」と頭を下げた。井口監督は「今日決まったこと。なかなか選手にも伝えられなくて、ああいう場でしかいえなかった」と説明した。球団側は後任について白紙を強調したが、2019年限りで現役を引退し、現在は1軍打撃コーチを務める生え抜きの福浦和也氏(46)らを候補に、早急に選任する。

DAZN

<パ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(1↑)
ORIX
76652 0.539
(↑0.003)
優勝
(↓1)
0490
(+5)
458
(+2)
89
(-)
62
(-)
0.246
(-)
2.840
(-)
2
(1↓)
ソフトバンク
76652 0.539
(↓0.004)
0
(-)
0555
(+3)
471
(+5)
108
(+2)
86
(+2)
0.255
(-)
3.070
(↓0.02)
3
(-)
西武
72683 0.514
(↓0.004)
3.5
(-)
0464
(+2)
448
(+4)
118
(+1)
60
(+1)
0.229
(↓0.001)
2.750
(↓0.01)
4
(-)
楽天
69713 0.493
(↓0.003)
6.5
(-)
0533
(+2)
522
(+5)
101
(-)
97
(-)
0.243
(-)
3.470
(↓0.01)
5
(-)
ロッテ
69731 0.486
(↑0.004)
7.5
(↑1)
0501
(+5)
536
(+3)
97
(+1)
132
(-)
0.231
(-)
3.390
(↑0.01)
6
(-)
日本ハム
59813 0.421
(↑0.004)
16.5
(↑1)
0463
(+4)
534
(+2)
100
(-)
95
(+2)
0.234
(-)
3.460
(↑0.01)