ヤクルト(★1対2☆)阪神 =リーグ戦24回戦(2022.09.28)・明治神宮野球場=
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阪神
1000000102711
ヤクルト
0000010001400
勝利投手:ケラー(3勝2敗3S)
(セーブ:岩崎 優(1勝6敗28S))
敗戦投手:清水 昇(5勝4敗0S)

本塁打
【阪神】中野 拓夢(6号・1回表ソロ)

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◆阪神は初回、中野の先頭打者本塁打で先制に成功する。その後同点とされるも、8回表には2死二塁から原口の適時打が飛び出し、再びリードを奪った。投げては、先発・伊藤将が6回途中1失点。3番手・ケラーが今季3勝目を挙げた。敗れたヤクルトは、4番手・清水が誤算だった。

◆阪神中野拓夢内野手(26)が、2試合連続の先頭打者アーチを放った。プロ初先発のヤクルト市川を相手に、カウント1-2からの4球目、低めのカーブを振り抜き、打球は右翼スタンドに吸い込まれた。試合開始1分での先制パンチだ。「いい勝ち方ができた次の日でしたし、昨日と同じく試合の入りでチームに勢いを付けるような仕事がしたいと思っていました。しっかり振り抜くことができましたし、先頭打者でホームランという形で先制することができて良かったです」球団での2試合連続先頭打者弾は、04年の今岡以来18年ぶり。中野はルーキーイヤーの昨季は1本塁打だったが、今季は6本目。2試合連続本塁打はプロ初となった。

◆日本選手歴代最多タイのシーズン55本塁打を放っているヤクルト村上宗隆内野手(22)の、第1打席は左飛だった。相手先発は阪神伊藤将。2回先頭で迎えた第1打席、2ボール1ストライクからの4球目、117キロの外角カーブを打ち上げた。13日巨人戦(神宮)の9回に55号3ランを打ったのを最後に、これで45打席連続のノーアーチ。あと1打席で、本塁打なしの今季自身最長ブランクに並ぶ。

◆阪神高寺望夢内野手(19)が、プロ初盗塁をマークした。「7番二塁」で出場。1点リードの4回無死一塁から、三ゴロの併殺崩れの間に出塁。続く梅野の打席のフルカウントからの8球目、50メートル6秒0の快足を飛ばして二塁へスライディング。タイミングは微妙だったが、遊撃長岡がボールを捕球できず、セーフとなった。初企図で待望の初盗塁だ。2回1死からの第1打席では、プロ2安打目となる右越えの二塁打を記録。シーズン最終盤で、若手のホープが存在感を示した。

◆日本選手歴代最多タイのシーズン55本塁打を放っているヤクルト村上宗隆内野手(22)は、第2打席で空振り三振に倒れた。1点を追う4回2死一塁。カウント1-1から外角低めへの直球を見逃し。3球で追い込まれると、4球目、高めの145キロ直球を強振した。これで46打席連続で本塁打なしとなり、今季の4月6日中日戦から17日DeNA戦時に並んで自身最長ブランクとなった。

◆阪神の次期監督に内定している岡田彰布氏(64)が28日、ヤクルト24回戦(神宮)でABCラジオの解説を務めた。球場入りの際は、報道陣の問いかけに「今、俺から言えることは何もない」と話した。この状況を実況の福井治人アナウンサーが「マスコミが多くて緊張感がありました」と話すと「フフフ」と笑った。2年目の佐藤輝については「1年目の後半がものすごく悪かった。(1年目より)三振も減って打率も高いが、このぐらいの数字じゃ物足りない」と指摘し、もっとできる選手だと期待した。今季優勝を逃した阪神については「選手とかを見ると悪くない。総合力でしょう。何かが足りない。それで(ヤクルトと)勝ち星が10個ぐらい違う」と地力はあると話した。

◆阪神の次期監督に内定している岡田彰布氏(64)が28日、ヤクルト24回戦(神宮)でABCラジオの解説を務めた。今季不振だったジェフリー・マルテ内野手(31)やメル・ロハス・ジュニア外野手(32)ら助っ人外国人について「1年の中で大事な、この試合に外国人がスタメンにいない」と、寂しそうに話した。昨季22本塁打を放ったマルテは度重なる右足の故障で今季はこの試合前まで32試合でわずか1本塁打。「打ったのは昨年だけでしょう。ケガが多いと計算できない。1年間通じてできないと」と厳しかった。ここ数年、投手も含め7人、8人と多くの助っ人外国人がいるが「多すぎますよね。入れれば入れるほど日本人のポジションがなくなるんでね」と、持論を展開した。近年は30本、40本と打つ外国人選手が少ない中、「外国人は打点でしょう。何番を打たせるかにもよるが、相手に怖さを与える存在でないと」と、勝負強さが最優先と話した。

◆日本選手歴代最多タイのシーズン55本塁打を放っているヤクルト村上宗隆内野手(22)の、第3打席は申告敬遠だった。1点かえして同点に追いついた6回、2死二塁で打席に立った。一塁が空いていたため敬遠が申告され、村上は一塁へ。56号を期待している観衆からはどよめきが起こった。47打席連続の本塁打なしは今季自己最長。

◆阪神原口文仁内野手(30)が、値千金の勝ち越しタイムリーを放った。「5番一塁」で出場。1-1同点の8回2死二塁。フルカウントからの8球目、ヤクルト清水のカーブを引っ張った。打球は三遊間を破って左前へ。二塁走者の島田が生還し、貴重な1点をたたき出した。「先頭の(糸原)健斗が粘っていい出塁をしてくれて、近本も(犠打で)送って。いい打線の流れだったので、そこで1本、集中して打ててよかったです」これで5試合連続安打となり、3試合連続打点をマーク。9月は37打数15安打、打率4割5厘の8打点。逆転クライマックスシリーズ進出へ、終盤戦で持ち前の勝負強さを発揮している。

◆クライマックスシリーズ進出を目指す阪神がヤクルトとの競り合いを制し、単独3位に浮上した。同点の8回2死二塁。5番の原口文仁内野手(30)が勝ち越しの左前適時打を放った。終盤、盤石の継投で逃げ切った。試合前の時点で勝敗引き分けが同数の3位タイで並んでいた巨人から頭ひとつ抜け出した格好だ。5位広島が29、30日に●●、●△、△△のいずれかになり、4位巨人が10月1日に●の場合、最短で10月1日に3位確定で、クライマックスシリーズ進出が決まる。

◆セ・リーグ優勝を果たしたヤクルトが、クライマックスシリーズ進出を狙う3位阪神と対戦。阪神は中野の2夜連続となる先頭打者本塁打で先制。6回に追いつかれるも、8回に原口が値千金の勝ち越し打を放つ。そのまま阪神が逃げ切り、CS進出へ望みをつないだ。

◆日本選手歴代最多タイのシーズン55本塁打を放っているヤクルト村上宗隆内野手(22)は、3打数無安打だった。9回1死走者なしで迎えた第4打席は、2ストライクから阪神岩崎の外角低めへスライダーにバットが出た。空振り三振に倒れると、天を仰いだ。13日巨人戦(神宮)の9回に55号3ランを放ってから、これで11試合、48打席にわたって本塁打なし。試合数、打席数ともに今季最長のブランクになった。首位打者争いは、中日大島も3打数無安打だったため、村上が依然1厘差でリードしている。

◆阪神原口文仁内野手(30)が勝ち越し打を放ち、勝利に大きく貢献した。1-1で迎えた8回2死二塁。フルカウントから清水のカーブを捉え、左前に運び勝ち越しに成功した。チームは試合前まで巨人と同率3位だったが、この試合で単独3位とし、逆転CSへ前進した。ヒーローとなった原口の一問一答は以下の通り-今の気持ち「チーム一丸で束になって絶対勝つと言う気持ちで挑んでいる。勝利につながることができたよかった」-打席に入った時の気持ち「(伊東)将司が本当に頑張ってくれたので、早い回になんとかしたい気持ちでした。少ないチャンスで集中して打席に立ちました」-打った瞬間の気持ち「打った瞬間は内野の間に飛んだので島田頑張れと思っていました」-スタメンで活躍する原動力「本当に目の前の試合に勝ちたいという思いだけです」-ファンに一言「勝ってファンの皆さんに喜んでもらうことが一番うれしいです。残り1試合ですけど、チーム一丸で全力で目の前の試合に勝ちたいと思います。応援よろしくお願いします!」

◆今季10勝目を目指す阪神伊藤将司投手(26)の快投が報われなかった。1点リードの6回2死三塁で奥村を完全に詰まらせた投前のゴロに仕留めた。だが、打球は完全に止まり、自ら一塁に投げたが悪送球になった。適時内野安打で同点に追いつかれ、なおも二塁に走者を置いた。村上を申告敬遠したところで、矢野監督は非情の交代。「今日は試合を作ることはできたけど粘りたかった」。2番手の浜地が後続を断ったが、伊藤将は、新人だった昨季から2年連続2桁勝利達成が厳しい情勢になった。立ち上がりから全開だった。1回2死。山田を内角147キロ速球で空振り三振に仕留めた。この日は球威も制球も抜群だ。チェンジアップなど緩急もつけて王者ヤクルト打線を寄せつけない。日本選手最多タイのシーズン55本塁打を放っている村上にも堂々と立ち向かった。2回はカーブで左飛に封じ、4回は高め145キロ速球で空振り三振を奪った。気迫の投球を見せたが、白星に届かず。「来年2桁勝てるようにつなげていきたい。規定(投球回数)も来年こそ乗せられるように頑張っていきたい」と振り返った。

◆阪神は3連勝で単独3位に浮上した。今季限りで退任する矢野燿大監督(53)の一問一答は以下の通り。-原口には頭が下がるもうすごいもんね。ほんとにすごい。集中力はもちろんだけど、あれだけ守ってるときもベンチ帰ってからもずっとね。何かしら力になろうとしてるので。さらに打席に入れば集中力高く、ああいうふうなこともやってくれるんじゃないかと思わせてくれる選手なんで。しぶといバッティング。最高でした。-中野が流れを作ったそやね。先制でね。もちろん、もう1本ファインプレーされたけど、アレが抜けてたら、もっとこう、こっちのペースでいけたけど。でも、昨日に引き続いて先頭打者ホームランというのはよしっていう感じを作ってくれたと思います。-伊藤将は序盤、調子がよかった。2桁もかかっていたがスパッと交代そりゃそうでしょ。(伊藤)将司の10勝はオレも気にしているし。でも一番はチームの勝ちが最優先するところなので。それは仕方がないっていうか。それはオレの立場で将司の10勝も考えているけど、それを優先させる場面ではないので。あとは浜地でっていう。-前回の登板を踏まえると良かったまあね。打線が点を取れればもっと楽に投げられたかどうかは分からんけど、いけたと思う。もちろん、2桁かかっていたし、チームが勝ってっていうプレッシャーもあったと思うし。その中でよく投げた。逆に2桁勝てなかった悔しさというのは将司の成長につながっていければと思う。-接戦の中でのリリーフの安定感も大きい。いやー、みんなねえ、ケラーもねぇ、湯浅もスグル(岩崎)もホンマよく投げてくれて、スグルなんてね、最後もあの展開で中心でね、塩見も入ってっていうところでは相当なプレッシャーがあるところで、スグルに任せるしかないっていうところでね、素晴らしい投球をしてくれたんで。ホントにみんなでつないで、抑えてくれました。-レギュラーシーズン最後の神宮だったが、またここに戻ってくる。もちろんもちろん、そんなんねぇ、みんなオレに対していろいろメッセージ書いてくれたボードやタオルや名前も、やっぱりいつもより多くたくさん上げてくれてる、コールもしてもらって。でもこれで終わりと思ってないし、今日は今日でシーズンの中でね、ありがとうございましたっていう思いで、オレも頭下げさせてもらった。もちろんそれで終わるつもりはないんで、帰ってくればいいだけのことなんで、もう1個取るしかない。-先に試合がある中での2勝まあねえ、もうどっちが有利とか、どっちが不利とか、こんなとこではないかもしれないけど、やっぱりいつも以上にプレッシャーかかった中でこうやってヤクルトが優勝決まった後とはいえね、選手がこうやってやってくれたっていうのはまあまあ、俺の勝手な思いやけど、やっぱりこういうところの粘りとか成長とかチームの雰囲気とか俺の中ではそういう成長を感じるようなところなんで、もう1個でね、もちろん相手があることなんで、アレやけど、勝つしかないんで。

◆阪神矢野燿大監督(53)の「矢野コール」の大合唱が神宮に響き渡った。8回の原口文仁内野手(30)の勝ち越し打でチームは勝利。神宮最後の試合を勝利で飾った試合後、レフトスタンドにまで駆け寄り一礼。ファンは「矢野! 矢野!」と矢野コールの大合唱で応えた。矢野監督がグラウンドから去っても鳴りやまず、指揮官は再び姿を現して声援に応えファンも歓喜した。Twitterでは「矢野コール」がトレンド入り。「矢野コール泣いた」、「CS絶対頼む」などの声があがった。

◆2年目のヤクルト赤羽由紘内野手(22)がプロ初安打を放った。1番中堅で先発出場。先頭で迎えた4回の第2打席、フルカウントから、阪神伊藤将の内角低めへの変化球を右前に運んだ。赤羽は「2年間でしたが、本当に内川さんにお世話になったので、少しでもいいところを見せたかった! 1本打ててよかったです」と、この日引退会見を開いたベテランへの感謝を込めた。21年育成ドラフト2位で入団し、今年7月のフレッシュオールスターでサヨナラ本塁打を放った。高津監督は「育成からチャンスをつかんで、フレッシュオールスターでチャンスをつかんで、こうして1軍の舞台でヒットを打ったわけですから。そのチャンスを、どんどん生かしてほしいなあと思います。まだスタートラインに立ったばかりですけど。今後また楽しみだと思ってます」とコメント。赤羽はこの日、2回の中堅守備でも左中間に抜けそうな当たりをダイビングキャッチする好プレーを見せた。

◆ヤクルトは投打がかみ合わなかった。プロ初先発の市川は5回4安打1失点と踏ん張ったが、打線が4安打1点のみで競り負けた。これで25日の優勝後は阪神に2連敗。前日も1点のみだった。高津監督は「(市川は)悪くはなかった。もう少し配球やコツを覚えたら、もっと抑える引き出しは増える。(打線は)もうちょっと打たないと。全然、点が取れないね」と冷静に振り返った。○...日本選手最多シーズン56号本塁打に王手をかけているヤクルト村上は、3打数無安打に終わった。6回には自身が持つ球団記録を更新するシーズン25個目の敬遠で、場内にブーイングが起きた。これで今季ワーストとなる11試合本塁打なし。リーグトップの打率は2厘落ち3割1分8厘に。ただ、リーグ2位の中日大島も3打数無安打で、1厘差は変わらず。打点と合わせた打撃3冠は維持した。▽ヤクルト赤羽(4回に阪神伊藤将からプロ初安打の右前打)「2年間でしたが本当に内川さんにお世話になったので、少しでもいいところを見せたかった」▽ヤクルト市川(プロ初先発で5回4安打1失点、勝ち負けつかず)「そこまで緊張せず落ち着いてマウンドに上がれました。球数は多くかかってしまいましたが、2軍でやってきたことは出せたかなと思います」

◆阪神が首位ヤクルトを連倒して11日ぶりに単独3位に浮上し、クライマックスシリーズ(CS)進出に大きく前進した。タイトル譲らん!阪神湯浅京己(23)が貫禄の1回3人斬りで、42ホールド目を手にした。1点リードの8回に登板。先頭の代打川端を直球で三ゴロに打ち取ると、赤羽は高め直球で右飛。最後は山崎を外角フォークで遊ゴロに仕留め、岩崎に0のバトンをつないだ。圧巻の27試合連続無失点で、ホールドポイントは中日ロドリゲスに並ぶリーグトップの44個。残りは中日の方が2試合多いが「タイトルよりもチームの勝利の方が優先だと思っているので、任せられた場所でしっかり自分のやるべきことをやるだけだなと思っています」と冷静にコメント。「CS行くつもりでずっとやってますし、残り1試合どうなるか分からないけど、全員で力合わせて勝ちにいきたいと思います」。有終のホールド締めを目指す。○...ケラーが1回無安打無失点で封じ、3勝目を挙げた。1-1の7回に登板。ギブレハンと長岡を空振り三振とし、最後は古賀を右飛で3者凡退。直後の攻撃でチームが勝ち越したため、3勝目を手にした。「みんないい投球でつないでくれたので、勢いそのままで投げることができました。自分が投げたあとに得点が生まれることは最高ですね」と会心の表情だった。○...伊藤将の2年連続2桁勝利は絶望となった。5回まで球威も制球も光り無失点。6回2死三塁も、奥村を投前に詰まらせたが一塁に悪送球し、同点にされた。続く村上を申告敬遠したところで降板。「来年2桁勝てるようにつなげていきたい」とくちびるをかんだ。矢野監督は「将司の10勝は俺も気にしている。でも一番は、チームの勝ちが最優先するところ」と鬼采配に理解を求めた。▽阪神岩崎(1点リードの9回に登板し、3人斬りで28セーブ)「よかったです。あと一つ頑張ります」

◆阪神中野拓夢内野手(26)が2試合連続の6号先頭打者弾でチームを勢いづけた。初回、プロ初先発のヤクルト市川の4球目。低めの114キロカーブを完璧に捉えた。「いつもはホームランが出た後、なかなか良くなかった。考え方をシンプルにして、来た球を打つぐらいの感覚がいい反応につながった」と会心だ。打った球種も飛ばした右翼席も同じ。まるでリプレー映像を見ているような弾道でプロ初、人生初の2試合連発を決めた。「しっかり振り抜くことができましたし、先頭打者でホームランという形で先制することができて良かったです」。2試合連続先頭打者弾は04年今岡誠以来、球団18年ぶり。中野は小さい頃、今岡のユニホームを持っていたという。テレビで見ていた憧れの選手と記録で並び「正直、記録より自分自身が一番驚いてます」と目を輝かせた。神宮では今季、球場別最多の3発目。6試合連続安打とし、155安打で中日岡林に並びトップに躍り出た。「自分の仕事は塁に出ていい形で後ろにつなぐこと。最後の残り1試合もその気持ちを忘れずにいきたい」。1発長打も魅力の1番が、最終戦も快音を奏でる。【三宅ひとみ】中野が2試合連続で初回先頭打者本塁打。12球団では荻野貴司(ロッテ)が21年10月6日西武戦、7日楽天戦で記録して以来。セ・リーグでは桑原将志(DeNA)が21年9月19、20日のいずれも中日戦で記録。阪神では今岡誠が04年4月13、14日にともに広島戦で放って以来6人目、9度目。真弓明信は球団最多の3度達成。なお93年には松永浩美が、プロ野球最長の3試合連続を記録している。

◆今季限りでの引退を表明したヤクルト内川聖一内野手(40)、嶋基宏捕手兼コーチ補佐(37)を、高津臣吾監督(53)がねぎらった。神宮での阪神戦後「キャリアの中でのスワローズの期間は、そんなに長いわけではないですが、野球界での影響を考えたら、すごく大きなものを残した2人だと思う。いろんなことを経験したベテランって大事だと、あらためて感じています。すごくチームの力になってくれた」と感謝を込めて話した。内川については「イメージとしては左バッター。あんだけうまく打って、右バッターで、あれだけ高打率を残すバッターって、なかなかイメージが湧かない。それを右打者としてやってきた。すごいバッターだなと思ってます。ヒットゾーンが広くて、バットコントロールがうまくて、ホームランも打てて、すごく抑えるのが難しいバッター」と最大級にたたえた。嶋については「ゲームに出る機会は、あまり多くなかったですけど、非常に大きな存在です。これは今もそうです。ベンチでの動きであったり、選手への指導というか、アドバイスであったり。すごくいいアドバイスを与えてくれます。今シーズン、彼が点を取ったり、抑えたりしたわけではないですけど、大きな戦力でしたね」と存在を高く評価した。

◆阪神の次期監督に内定している岡田彰布氏(64)が28日、神宮球場を訪れ、ヤクルト戦でABCラジオの解説を務めた。主砲の佐藤輝明内野手(23)に「これくらいの数字じゃ物足りない」と辛口で期待を込めるなど、来季への課題も指摘しながら岡田節全開でズバズバ解説。チームはヤクルトを連倒して3連勝。試合のなかった巨人を抜いて11日ぶりに単独3位に浮上し、クライマックスシリーズ(CS)進出に大きく前進した。時の人となった岡田氏は球場入りの際、報道陣の問いかけに「今、俺から言えることは何もない」と話した。だが、ラジオ中継が始まると、解説者としてズバズバと今季の阪神について切り込んでいった。佐藤輝はもっと打てる試合を通して一番長く語ったのは佐藤輝についてだった。2回、第1打席に立つと「1年目の後半がものすごく悪かったでしょう。(今季は)三振の数も減っているし、打率も高い。でも、求めるものが高いんで、このくらいの数字では物足りない」と、バッサリ。6回の第3打席では中前に安打を放ったが「タイミングを取るのが、全然遅い。2年前から言っている話ですけどね。投手が足上げても動かない」と話した。「飛距離はある。こんなに遠くに飛ばせるんだという。それが今は全然球が飛ばない。だから、(打つ)ポイントが悪い。差し込まれて。あの(高い)グリップの位置じゃ絶対に打てない。本塁打20本で終わる打者じゃない。どう考えてももっと打てるでしょ」と、改良すれば打てると話す。大山はスランプを短く4番大山は3回に左翼ポール際へ大ファウルを放ったが「外角のスライダーを、あのフアウルにするのは、よっぽどバットが遠回りしていると思う。状態はよくない」と話した。「悪くなってから修正ではなく、悪くなる前に自分で気付かないと」と、自身の現役時の話を交えスランプが長引かないようにと話した。助っ人は打点優先マルテが右足の故障、ロハス、ロドリゲスは不振と悩まされてきた助っ人については「外国人は打点でしょう。何番を打たせるかにもよるが、相手に怖さを与える存在でないと」と、勝負強さが最優先と話した。また7人、8人と抱えるのは「多過ぎ」と持論を展開した。今季優勝を逃したチームには「選手とかを見ると悪くない。総合力でしょう。何かが足りない。それで(ヤクルトと)勝ち星が10個ぐらい違う」と地力はあると話した。来季への思いは次々と飛び出したが、「来季とかよりも、まず(10月)2日勝つこと」と、一OBとしてCS進出を願った。【石橋隆雄】〇...岡田氏は強力な投手陣を高く評価した。飛躍した8回の男、湯浅は「直球とフォークだけだけど、直球で空振りが取れる。空振りを取れる球が多い」と絶賛し、同じく今季台頭した浜地にも「すごい飛躍」とたたえた。先発伊藤将には「今日は3点あったら勝てる。それぐらいいい投球。10勝目を取らせるためにも、3点をやらないと」と、打線が早い回に援護できなかった点を指摘した。〇...原口が決勝適時打を放った8回の攻撃も岡田氏は「流れが悪い」と話した。先頭の2番糸原が四球で出塁。代走に島田を起用し、続く3番近本は2球続けてバントの構えでボールを選ぶと3球目はヒットエンドランでファウル。4球目で捕手前へ犠打を決めたが「流れが悪い。初球からバントして(1死)二塁の方が流れがいい」と、結果だけでなく攻撃のリズム、流れをつくるべきと指摘した。

◆阪神が首位ヤクルトを連倒して11日ぶりに単独3位に浮上し、クライマックスシリーズ(CS)進出に大きく前進した。新監督に内定した岡田彰布氏(64)がABCラジオの解説を務めた一戦で、同点の8回に原口文仁内野手(30)が勝ち越し適時打。試合のなかった4位巨人に0.5差、5位広島に1差をつけた。泣いても笑ってもあと1試合。矢野阪神の最終戦となる10月2日のヤクルト戦(甲子園)にすべてをかける。打球が三遊間を抜ける。原口は心の中でゲキを飛ばしながら走った。「島田、頑張れ!」-。8回2死二塁、二塁走者の後輩が懸命のランで生還してくれた。不屈の30歳が必死のV打だ。「チーム一丸で束になって絶対勝つという気持ちで挑んでいる」。ベンチでは仲間が、スタンドのファンが沸きに沸いた。3打席凡退で迎えた4打席目。清水にストレート2球で追い込まれてから。「できる準備と集中力、それをしっかり保ちながら」。フルカウントから2球ファウルで粘る。8球目、外角低めカーブに食らいつく。矢野監督も「もうすごいもんね。ほんとにすごい。しぶといバッティング。最高でした」と最敬礼だ。9月は打率4割5厘。バットでけん引する一方、グラウンドでベンチで、誰よりも声を出す。「守ってる時もベンチでも何かしら力になろうとしてる。打席に入れば『やってくれるんじゃないか』と思わせてくれる」。指揮官の信頼も絶大。諦めない虎の象徴として最前線に背番号94がいる。CSを争う巨人、広島が試合のない2日間で連勝。巨人に0.5ゲーム差をつけ単独3位に立った。レギュラーシーズンラストとなる神宮での試合後、スタンドへ頭を下げた矢野監督は「ボードやタオルも、いつもより多くたくさん上げてくれてる。コールもしてもらって」。感謝を込めた後、さらに語気を強めた。「これで終わりと思ってない。今日はありがとうございましたっていう思いで頭下げさせてもらった。もちろんそれで終わるつもりはない。帰ってくればいいだけのことなんで、もう1個取るしかない」原口も「もうひとつ勝てば先の戦いに進めると思う。なんとか先にいけるように頑張りたい」ときっぱり。開幕9連敗で始まったシーズン。CS進出、さらにその先へ。まずは10月2日、甲子園で再びツバメを倒す。【中野椋】セ・リーグ順位決定法 (1)勝率(2)勝利数(3)当該球団間の対戦成績の順で決める。勝率と勝利数が2球団で並んだ場合は直接対決で勝ち越した球団、3球団以上で並んだ場合は当該球団間の対戦成績を合算して勝率の高い球団が上位となる。阪神、巨人、広島が並べば3球団間の対戦成績合算で広島が3位となる。セ・リーグCS争い ヤクルトに連勝して単独3位に浮上した阪神が優位に立った。阪神が今季最終戦の2日ヤクルト戦○なら、その時点で巨人の結果と無関係に巨人の上位となることが決定。広島が阪神を追い抜くには、○○○しかない。阪神が2日に△でも、巨人は阪神を上回るには1、2日に○○のみ。広島も○○○または○○△が必要。仮に阪神が2日●なら、ライバル2球団に逆転の可能性が広がる。まずは2日の勝利に全力を注ぎたい。阪神のCS進出は最短で10月1日。条件は広島が29、30日に●●、●△、△△のいずれかで、巨人が1日に●の場合。阪神のCS消滅は最短で2日に延びた。2日は3位を争う阪神、巨人、広島の3チームがそろって最終戦。○...佐藤輝が自己最長を更新する11試合連続安打をマークした。「6番右翼」で出場。4回先頭でヤクルト市川のカーブをたたいて中前へ。6回にも2番手大西から中前打を放ち、9試合ぶりのマルチ安打で打率を2割6分6厘に上げた。「ホームラン打ってナンボなんで」と話す大砲が、10月2日の今季ラストゲームはド派手な1発で締めくくるか。▽阪神高寺(4回にプロ初盗塁に成功)「盗塁は特にファームでも練習してきたので、ひとつ決めることができてよかったです。昨季はスタートを切る勇気もなかったので、そこは少し成長できたのかなと思います」

◆阪神の次期監督に内定している岡田彰布氏(64)は強力な投手陣を高く評価した。飛躍した8回の男、湯浅は「直球とフォークだけだけど、直球で空振りが取れる。空振りを取れる球が多い」と絶賛し、同じく今季台頭した浜地にも「すごい飛躍」とたたえた。先発伊藤将には「今日は3点あったら勝てる。それぐらいいい投球。10勝目を取らせるためにも、3点をやらないと」と、打線が早い回に援護できなかった点を指摘した。

◆両軍のスターティングメンバーが発表された。阪神の先発は伊藤将司投手(26)。今季9勝を挙げている左腕だが、前回登板だった21日の広島戦(甲子園)ではプロ入り後最短の1回1/3を4失点で降板した。新人から2年連続の2桁勝利を挙げれば、球団では藤浪以来。左腕に限ると、江夏豊氏以来となる。

◆阪神・中野拓夢内野手(26)が2試合連続の先頭打者ホームランを放った。カウント1-2から4球目、プロ初先発したヤクルト・市川の114㌔のカーブをとらえた。打球は右翼席に弾む先制の6号ソロ。27日の同戦でも一回に先頭打者本塁打を放っており、これで2試合連続の〝先制パンチ〟となった。2試合連続先頭打者ホームランは球団では2004年4月13日、14日の広島戦(甲子園)でマークした今岡誠以来。打点を挙げれば、今季負けなしの16連勝と不敗神話を持つリードオフマンがチームを勢いづけた。

◆阪神の来季監督に就任する見通しとなっている岡田彰布氏が28日、ヤクルト―阪神の解説のために神宮球場を訪れ、報道陣の問いかけに「今、俺から言えることは何もない」と話した。

◆阪神・佐藤輝明内野手(23)が四回先頭の第2打席で中前打を放った。カウント1-2から4球目、市川の変化球に食らいつくと、白球は中前で弾んだ。佐藤輝はこれで9月11日の中日戦(甲子園)から11試合連続安打。今年5月27日のロッテ戦(ZOZOマリン)から6月7日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)でマークした自己最長の10試合連続安打を更新した。

◆阪神・高寺望夢内野手(19)がプロ初盗塁をマークした。四回無死一塁の第2打席だった。三ゴロも一走・佐藤輝と入れ替わる形で出塁。続く梅野が空振り三振に倒れる間に二盗に成功した。第1打席は右越えの二塁打。25日の全体練習では「ヒットだけじゃなくて、走れれば1番いいと思います」と誓っていた若虎が足でも魅せた。

◆阪神の先発・伊藤将司投手(26)が痛恨の失点。無念の降板となった。1-0で迎えた六回。先頭の代打・松本友に左前打を浴びると、赤羽の犠打、山崎の二ゴロで2死三塁とピンチを背負った。打席には途中出場の奥村。フルカウントから6球目だった。ボテボテの打球は投前に転がる。素早く処理に走った伊藤将だが、一塁へ痛恨の悪送球(記録は内野安打と失策)。同点の走者がホームへと生還した。なおも2死二塁としたところで、阪神ベンチは4番・村上に対して申告敬遠を選択。2死一、二塁とし、投手交代が告げられた。伊藤将は5回?を投げ4安打1失点。新人年から2年連続の2桁勝利とはならなかった。

◆阪神の中野が2試合連続となる初回先頭打者本塁打を放った。1ボール2ストライクと追い込まれてからの4球目、内角低めのカーブを捉え、右翼席へ放り込む6号ソロ。「チームに勢いを付けるような仕事がしたいと思っていた。しっかり振り抜くことができた」と振り返った。ルーキーイヤーの昨季に遊撃のレギュラーに定着し、今季は最多安打争いに加わるなど飛躍。昨季1本にとどまった本塁打数も増やし、成長の跡を見せている。今季限りで退任する矢野監督は、東北福祉大の先輩に当たる。クライマックスシリーズ(CS)進出へ正念場を迎える中で「一試合でも長く一緒にやりたい」との思いで奮闘している。

◆ヤクルトの市川が4年目でプロ初先発を果たし、5回を4安打1失点だった。「初めてでも落ち着いてマウンドに上がれた。球数は多くかかってしまったが、2軍でやってきたことは出せた」と息をついた。高知・明徳義塾高の先輩、古賀とのバッテリーだった。中野に初回先頭打者本塁打を浴びて出はなをくじかれたが、二~四回は得点圏に走者を背負っても踏ん張った。五回は上位打線を三者凡退とし、先発としてまずまずの結果を残した。

◆阪神・原口文仁内野手(30)が値千金の勝ち越し打を放った。1-1の八回。ヤクルトの4番手・清水に対し、先頭の糸原が四球。島田が代走で送られた。近本は犠打で1死二塁。大山は中飛に倒れ、2死二塁で原口に打席が巡ってきた。フルカウントから8球目、清水のカーブをとらえると、打球は三遊間を抜け、左翼外野芝生を転々。二走・島田が勝ち越しのホームを踏んだ。原口はこれで5試合連続安打&3試合連続打点。抜群の勝負強さが際立っている。

◆阪神が接戦を制し、3連勝を飾った。打線は一回先頭の中野が球団では2004年の今岡誠以来となる2試合連続の先頭打者ホームランで先制する。同点に追いつかれたが八回に原口がしぶとく左前適時打を放って勝ち越した。先発の伊藤将は2年連続の2桁勝利とはならなかったものの、六回途中を1失点で試合を作った。2番手以降は浜地、ケラー、湯浅、岩崎と盤石の中継ぎ陣がゼロを並べた。阪神は3連勝で並んでいた巨人を抜いて、単独3位に浮上。クライマックスシリーズ進出を大きく近づけた。

◆セ・リーグ優勝を決めているヤクルトは競り負けた。4番・村上宗隆内野手(22)は3打数無安打2三振1四球。55本塁打で王貞治(巨人)の日本選手シーズン最多記録に並んでから11試合連続で本塁打なしに終わり、記録更新はお預けとなった。打率は・318。プロ初先発となった市川は5回1失点で試合を作った。可能性を感じさせる投球だった。高知・明徳義塾高出身の4年目右腕・市川が阪神戦でプロ初先発。プロ初勝利はお預けとなったが、5回98球を投げ4安打1失点と好投した。1軍昇格後は、そう意気込んでいた。昨季までは1軍登板がなく、今年7月1日のDeNA戦(神宮)でプロ初登板。以降は全て救援での登板で、試合前の時点で5試合で防御率11・57と納得いく数字は残せていなかった。ただシーズン最終盤、先発陣が不足したこともあり機会が回ってきた。 一回、先頭・中野に右越えへのソロを被弾。いきなり先制を許したが、粘って試合をつくった。184センチ、75キロと細身だが、横手投げから切れのある球で阪神打線を翻弄。クライマックスシリーズ、日本シリーズへ。先発でもリリーフでもマウンドに上がる準備を整える。

◆ヤクルトの赤羽がプロ2年目で初先発し初安打をマークした。四回にフルカウントで伊藤将の内角への変化球をしぶとく右前へ落とし「2年間お世話になった内川さんに少しでもいいところを見せたかった。打てて良かった」と試合前に現役引退を発表した先輩に感謝した。日本ウェルネス長野高からBCリーグ信濃を経て2021年に育成ドラフト2位で入団。今年7月のフレッシュオールスターゲームでサヨナラ本塁打を放って最優秀選手に選ばれ、7月末に支配下契約を勝ち取った。普段は内野手だが中堅手で起用され、0―1の二回2死二、三塁では中野の左中間深くへの当たりを飛び込んで好捕した。

◆現役時代は南海、西武に所属し、引退後は西武、ダイエー、阪神の3球団でヘッドコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家・黒田正宏氏(74)は九回を三者凡退に抑えて、28セーブ目を挙げた岩崎優投手(31)の復活を明言。クライマックスシリーズ(CS)に向け、死角が消滅したと断言した。阪神にとって大きな1勝だったが、CSで勝てる条件が整った試合でもあった。九回を3人で締めた岩崎は完全復活と言っていいだろう。岩崎の復調により、勝ちパターンの投手リレーが固まった。岩崎の状態を見極めるバロメーターは外角低めへの制球。疲れで失点していた時期は、高めに浮いてしまうケースが増えていたが塩見(見逃し三振)、村上(空振り三振)、オスナ(遊ゴロ)というレギュラー打者に対して、低めへ投げられていた。原点への投球が出来れば、そうは打たれない。同時に梅野があえて高めへの真っすぐを要求したことも復調の証拠だ。投手の状態が一番分かる捕手が、高めへ投げさせるというのはキレが戻っている証拠。安心して九回を任せられる岩崎になっているとみていい。「九回岩崎」への不安がなくなれば浜地、ケラー、湯浅を出し惜しみすることなくつぎ込む継投ができる。さらに岩貞もいれば、長いイニング用にベンチ待機の可能性もある藤浪、西純もいる。救援陣の層は分厚い。伊藤将を思い切って早めのスイッチしたように、CSへ進出すれば、矢野監督が得意な継投が実現できる。シーズンの最後の最後に楽しみな投手陣になった。何が何でもCS進出を勝ち取ってもらいたい。

◆阪神が盤石の継投で3連勝を飾った。先発の伊藤将が六回に1―1に追い付かれると継投へ。浜地が六回2死一、二塁のピンチをしのぎ、七回からはケラー、湯浅、岩崎が一人の走者も許さなかった。矢野監督は「みんな本当によく投げてくれた」と目を細めた。湯浅は打線が勝ち越した八回を3人で片付け、27試合連続無失点。残り1試合へ「任せられた場所でしっかり自分のやるべきことをやるだけ。全員で力を合わせて勝ちにいきたい」と闘志を燃やした。

◆必ず打ってくれる。信じて待つしかない。ヤクルト・村上宗隆内野手(22)は3打数無安打で3戦連続安打なし。今季最長となる11戦連続で本塁打がなく、試合も1―2で惜敗した。2打席凡退で回ってきた、六回2死二塁。同点に追いついた直後で燕党のボルテージは上がったが、敬遠が申告されて場内にはため息が漏れた。打線も阪神先発の伊藤将の前に4安打1得点。高津監督は「もう少し打たないといけない。全然点が取れない。難しい投手であることは間違いないですね」と唇をかんだ。13日の巨人戦(神宮)で1964年の王貞治(巨人)に並ぶ日本選手最多の55号を放ってから次の一本が遠い。29日からは、今季ビジターで最多の8本塁打を放っているマツダスタジアムでの広島2連戦。「挑戦できることに幸せを感じながら、自分ならできると信じて頑張りたい」と決意を示している主砲が、球史を塗り替える。(赤尾裕希)■データBOX?ヤクルト・村上が今季25度目の故意四球で出塁し球団記録を更新。故意四球が採用された1955年以降、シーズン25度以上記録したのは、2002年の西武・カブレラ(29)以来20年ぶり。日本選手では85年のロッテ・落合博満(26)以来37年ぶり。歴代1位は74年の巨人・王貞治の45で、村上は75年の阪神・田淵幸一と並ぶ歴代16位。?ヤクルトでシーズン117四球は01年のペタジーニの120に次ぐ、歴代単独2位。99年のペタジーニの116を抜いた。?16日の中日戦の第1打席からの48打席連続本塁打なしは今季自己最長。これまでは4月6日の中日戦-同17日のDeNA戦での46打席だった。

◆リードオフマンが2試合連続の〝先制パンチ〟だ。阪神・中野が一回、市川の114キロカーブをとらえて先制の6号ソロを放った。「チームに勢いをつけるような仕事がしたいと思っていた。しっかり振り抜くことができた」。球団では2004年4月13、14日の今岡誠以来となる2試合連続の先頭打者ホームラン。最終戦でプロ野球記録の松永浩美(1993年8月20-22日、当時阪神)の3試合連続に挑む。

◆セットアッパーの阪神・湯浅は八回を危なげなく零封し、27試合連続無失点。同日に救援勝利した中日・ロドリゲスと並ぶリーグトップの44ホールドポイントを記録した。「任せられた場所でしっかり自分のやるべきことをやるだけ。全員で力を合わせて勝ちにいきたい」。ラスト1試合もピシャリと抑え、タイトル獲得とチームの勝利を目指す。

◆抑えの阪神・岩崎はクリーンアップを三者凡退に斬って試合を締めた。先頭の塩見を見逃し三振、4番・村上は外角低めのスライダーで空振り三振。オスナは遊ゴロに打ち取って今季28セーブ目を挙げた。2試合連続でセーブを記録するのは、8月2、3日の巨人戦(東京ドーム)以来。矢野監督は救援陣全体に「みんな本当によく投げてくれた」と目を細めた。

◆阪神は2-1でヤクルトに競り勝って単独3位となり、1試合を残してクライマックスシリーズ(CS)進出に望みをつないだ。中野拓夢内野手(26)が2試合連続の初回先頭打者本塁打で勢いをつけ、八回に原口文仁内野手(30)が決勝打を放った。10月2日の今季最終戦、ヤクルト戦(甲子園)が大一番となる。バットを見つめ、フーッと息を吐く。この勝負をモノにすると腹を決めたら、構えた途端に体中から覇気がみなぎる。原口なくして、この9月はなかった。矢野虎をCSへと押し上げる、左前V打だ。「本当にチーム一丸で束になって絶対に勝つという気持ちで挑んでいたので、勝利に結びついて本当によかったです」値千金の一打で、凛々しい表情でヒーローインタビューに立った。1-1の八回2死二塁。短く握ったバットを、さらに短く握り、粘って粘って清水の8球目を捉えた。三遊間突破の勝ち越し打。この1点を湯浅-岩崎で守って、虎は絶対に勝ちたかった2試合を勝ち切った。11試合連続スタメンで5試合連続安打、3試合連続打点。9月は打率・405(37打数15安打)で、9月に限った得点圏打率は・545(11打数6安打)と驚異の数字。チームの苦境に、見事に「ミスター・セプテンバー」になってみせた。振り返れば、8月18日のヤクルト戦(神宮)でヒーローとなったところから、2軍で長くもがいてきた原口の今季の流れは変わった。埼玉・寄居町から招いていた母・まち子さんや親戚らに、今季1号を見せることができた試合でもあった。帰路に就く家族に「みんなのおかげで打てたよ」と電話をかけた。愛する家族や仲間のため、ファンのために打つ凄まじい集中力に、ここへ来て一層磨きがかかってきた。単独3位に再浮上し、5位広島が29日からのヤクルト2連戦(マツダ)で1敗でもすれば、自力でのCS進出の可能性が虎に転がり込む。原口の魂に導かれ、虎は143試合目となる10月2日のヤクルト戦(甲子園)に必勝を期すだけだ。「ファンの皆さんに喜んでもらうことが僕たちは一番うれしいので、残り1試合ですけど、チーム一丸、全力で目の前の1試合、勝ちたいと思います」満員の神宮の半分を黄色く染めた虎党に、アツく誓った。原口のバットが、矢野虎の希望を力強くつないだ。■データBOX?...阪神はCS進出に望みをつないだ。10月2日の最終戦ヤクルト戦に勝つと69勝71敗3分け(勝率・492)。広島がこれを上回るには残り3試合を全勝するしかなく、巨人は残り2試合を全勝しても規定により上回れない。?...最終戦に引き分けると68勝71敗4分け(勝率・489)で、広島が上回るには○○○か○○△が必要。巨人は○○のみ。?...最終戦に負けると69勝72敗3分け(勝率・4857)。広島は○○○と○○△に加え○○●でも上回る。巨人は○○か○△が必要。

◆全国ウン千万の阪神ファンが、ラジオに聞き耳を立てた夜だった。次期監督に内定している岡田彰布氏が、神宮球場の放送ブースに参上!バックネット裏1階スタンドの一番上。結構、高い場所にある。マスコミ関係者でも初めての人は、なかなかたどり着けない、複雑なコースをめぐり、意外な扉の向こう側が放送席。そして、他球場とはちょっと違う、油断のならないスペースだ。なぜなら、フジテレビ、ニッポン放送、NHK...各局の放送ブースの並びに、なぜかビジター球団首脳陣が陣取る観戦ルームがある。球団社長、本部長、広報部長らがグラウンドに熱視線を送る場所だ。昔、昔。毎日放送の解説者だった中村勝広さんが阪神の次期監督として大騒ぎされていた。その最中にラジオ解説者として神宮に登場。中継前に実はこっそり、タイガースの球団ブースを訪ねていた、な~んて裏話を、中村監督本人から後に聞かされた。「もちろん、込み入った話なんてしていないけれどな。お前たちが気付かない場所なんて、いくらでもある」と高笑いされたもの。つまり、神宮の放送席は、いつ、なんどき、極秘会談が開かれても全く不思議ではない〝奥座敷〟なのだ。まあ、今は些細(ささい)な情報まで拡散する時代。そんな〝こそこそ〟は絶対にあり得ないだろうけれど。時の人の解説を、大阪・難波の編集局でも、運動部長・堀啓介、当番デスク・牧慈らがボリュームアップで聞いていた。何を言うのか? ビックリ発言は飛び出さないか? 岡田さんだから、ついつい期待してしまう。今はCS放送も含めて12球団の6試合がすべてテレビで生中継している時代になったが、昔は阪神戦ですら全試合テレビ中継があるわけではなかったから、当番デスクがラジオを抱えて仕事をする、なんて風景も日常だった。パソコンでラジオを聞きながら作業する牧デスクを見て、すごく懐かしく感じた。そんな「来年に向けた監督・岡田さんの話」を現実に引き戻したのが、中野の先頭打者ホームラン。テレビ観戦していた虎党の中には「昨夜のリプレー映像?」と勘違いされた方も多かったのでは。仰天2試合連続の先頭打者アーチだ。「僕は今岡さんの2試合連続初球先頭打者アーチを見てますよ。2003年(7月6、8日)だったなぁ。その日にマジックが点灯したんです」19年前の夏の日の記憶が鮮明なのは部長・堀。当時は駆け出しのトラ番記者として闘将・星野仙一率いるタイガースを追い続けていた。迎えた7月8日。今岡の衝撃アーチなどで点灯したマジックは「49」。ことし、ヤクルトが7月2日に点灯して、03年阪神のセ・リーグの最速記録を更新してしまった。でも、ヤクルトは点灯後に消滅し、再点灯に苦労して。改めて、勝ち続けた「あの年のタイガース」の強さに思いをはせた。堀部長の自慢話は、いつも景気が良くて、うらやましい思いをする。ちなみに、連続試合先頭打者アーチの日本記録は「3試合」。阪神時代の松永浩美が、神宮で記録している。私は目撃者だ!そんなつまらない自慢話より、今の阪神だ。来年、中野が重要な試合で2試合連続先頭弾を打ってくれたりして。いや、来年の1番は近本か。岡田さん、教えて!

◆残った! 残った! 残った~? わが阪神、CS進出に向けて、同点の八回土俵ぎわで原口関がうっちゃった~?正にベテランの味? 本日は特別中の特別で高校野球の夏の予選みたいな戦いをしなければいけなかったとはいえ、好投の伊藤将を6回途中、10勝がかかっているのに交代させ、同点の8回には最多安打争いをしている近本に送りバントを決めさせる。こーいうひたすら勝利のための采配を、後半戦突入からもう少し早くやってほしかったのだ?さあ、ラスト143試合目はCSがどーのこーのはいいから、勝つことだけを目標にラスト矢野ガッツ見せてーや?

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
77593 0.566
(↓0.004)
優勝
(-)
4598
(+1)
556
(+2)
167
(-)
69
(-)
0.250
(-)
3.560
(↑0.01)
2
(-)
DeNA
71652 0.522
(↓0.004)
6
(-)
5485
(-)
516
(+1)
114
(-)
49
(-)
0.251
(↓0.001)
3.480
(↑0.01)
3
(-)
阪神
68713 0.489
(↑0.003)
10.5
(↑1)
1486
(+2)
425
(+1)
84
(+1)
108
(+1)
0.244
(-)
2.670
(↑0.02)
4
(1↓)
巨人
67713 0.486
(-)
11
(↑0.5)
2545
(-)
586
(-)
163
(-)
64
(-)
0.244
(-)
3.720
(-)
5
(-)
広島
66713 0.482
(-)
11.5
(↑0.5)
3547
(-)
531
(-)
89
(-)
26
(-)
0.258
(-)
3.530
(-)
6
(-)
中日
64742 0.464
(↑0.004)
14
(↑1)
3404
(+1)
488
(-)
62
(-)
63
(+1)
0.246
(↓0.001)
3.310
(↑0.02)