ヤクルト(☆1対0★)DeNA =リーグ戦24回戦(2022.09.25)・明治神宮野球場=
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DeNA
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ヤクルト
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勝利投手:マクガフ(2勝2敗37S)
敗戦投手:エスコバー(4勝2敗2S)
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◆ヤクルトが劇的なサヨナラ勝利で、2年連続のリーグ優勝を飾った。ヤクルトは0-0で迎えた9回裏、1死二塁から丸山和が適時打を放ち、試合を決めた。投げては、先発・小川が6回無失点の好投。その後は石山、清水、マクガフとつなぎ、完封リレーを展開した。敗れたDeNAは、3番手・エスコバーが踏ん張れなかった。

◆DeNA今永昇太投手(29)が、25日のヤクルト戦に先発し、ヤクルトの胴上げを阻止する。敗れれば優勝が決まる一戦だが、自らの投球に集中することをカギに挙げた。「マウンドに上がる前から大事な試合と思ってしまうと、それを背負いすぎてしまうので、マウンドに上がる前も投げている時も試合に没頭していきたいと思います」今季は、左前腕の肉離れで出遅れながら、19試合に先発し、10勝4敗、防御率2・50と安定。8月には5戦5勝、防御率1・25で月間MVPを受賞した。ヤクルト戦は今季、3試合に登板し、2勝0敗、防御率3・05。「村上選手を中心とした攻撃をさせないことが大切だと思います」と警戒を強めた。昨季は、10月26日のヤクルト戦(横浜)に先発し、3回5失点でKOされ、ヤクルトの優勝が決まっただけに、リベンジをかけたマウンドとなる。「どんな形でも、最後にチームが勝利を収められるように、攻撃に流れを渡せる投球をしていきたいです」と力を込めた。

◆DeNAが、ヤクルト戦の試合前に2位以上が確定した。3位巨人がデーゲームで中日に敗れたため。DeNAは23日のヤクルト戦(神宮)に勝利し、三浦監督政権下で初となるクライマックスシリーズ進出を決定。さらに2位以上を確定させ、胴上げ阻止がかかる25日のヤクルト戦に臨む。【写真たっぷり詳細ライブ】村上宗隆、王貞治超え56号&ヤクルトV2なるか M2ヤクルト-2位DeNA

◆日本選手最多タイのシーズン55本塁打を放っているヤクルト村上宗隆内野手(22)は、第1打席で空振り三振に倒れた。DeNAの左腕、今永に対して初球から強振した。1球目、152キロ。2球目、150キロといずれも高めの直球を空振り。外角低めに外れたカットボールを見送った後、1ボール2ストライクから外角高め152キロに三振した。

◆日本選手最多タイのシーズン55本塁打を放っているヤクルト村上宗隆内野手(22)の第2打席は一ゴロだった。互いに無得点の3回、2死から3番山田がこの日チーム初安打となる二塁打でチャンスメーク。村上は外角への変化球を2球連続で見逃して2ストライクとし、1ボール後、4球目の高め直球を捉えた。DeNAソトのダイビングキャッチに阻まれ、先制機をものにできなかった。初回の第1打席は空振り三振だった。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)の第3打席は空振り三振だった。6回2死走者なし。2ボールから外角低めへのカットボールを2球連続でスイングし、空振り、ファウルでカウント2-2。5球目の152キロの直球にバットが空を切った。DeNA今永と対決はここまで空振り三振、一ゴロ、空振り三振の3打数無安打となっている。

◆リーグ連覇を飾ったヤクルトにあって、担当記者のイチオシが、「チームスワローズ」のアットホームな雰囲気に大きく貢献する塩見泰隆外野手(29)だ。リードオフマンとして打線をけん引する一方、ムードメーカーとして空気を和ませ、お立ち台では「名言」も。選手として、盛り上げ役として、チームに欠かせない存在だという。シーズンを通じて村上の貢献度は傑出しているが、「前半戦のMVP」級の活躍を見せたのが塩見だ。5月27日楽天戦では3打席連続本塁打をマーク。打率3割1分4厘、12本塁打。当時リーグトップの22盗塁の好成績で、ファン投票で球宴初出場も果たした。特に印象深いのが7月2日DeNA戦(神宮)のヒーローインタビュー。プロ初のサヨナラ打を放ち、チームに2リーグ制後では史上最速となる優勝マジック53が点灯した。お立ち台で発した「本当に家族のようなチーム。毎日毎日、クラブハウスに来るのが楽しみで...」は、今季のチームを象徴する名言だと感じた。普段の取材でも、飾らない言葉での素直な対応が印象に残る。担当する以前は感覚でプレーしているイメージもあったが、実際はスコアをつけて動画をチェックし、川端や嶋ら先輩の助言にきっちり耳を傾ける。たまに珍発言はあるが、ビッグマウスはたたかないと心に決めているらしい。節目の全体ミーティングでは、訓示を終えた高津監督から「締めのひと言」をむちゃぶりされるのが恒例だ。交流戦明けの初戦の6月17日広島戦の前には、指揮官がナインを鼓舞した直後に「今日から後半戦が始まるということで、全員気合入れて今日の勝ちに集中して頑張りましょう。そしてムーさん(中村)。僕はバースデーアーチ(6月12日ソフトバンク戦で)打ちましたんで。ムーさんも必ず打てると信じてます。はい、みんなで頑張っていきましょう! ゥエーイ!!」と気勢を上げ、場を和ませた。中村に誕生日弾こそ出なかったが、チームはカード3連勝を飾った。7月にコロナに感染し、8月は調子を落としたが、9月に入って復調。同9日広島戦で3安打を放ち、久々に本拠お立ち台へ。「9月9日ということで。僕の背番号は9番で、僕の日だと思っていた。"持っている"選手だったらサイクル(安打)出来たと思うんですけど。村上じゃなくて僕だったので、出来なかったです」と笑いを誘った。残り試合も、ポストシーズンも、飾らぬ言動とスピード感あふれるプレーでファンを沸かせ、チームをもり立ててくれるだろう。【ヤクルト担当=鈴木正章】塩見泰隆(しおみ・やすたか)1993年(平5)6月12日生まれ、神奈川県出身。武相-帝京大からJX-ENEOSを経て、17年ドラフト4位でヤクルト入団。昨季は9月18日巨人戦でサイクル安打を達成するなど、打率2割7分8厘で初めて規定打席に到達(13位)。初のベストナインを受賞した。今年5月27日楽天戦では3打席連続本塁打。179センチ、76キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸4500万円。

◆ヤクルトがサヨナラ劇で、2年連続9度目のセ・リーグ優勝を飾った。連覇は野村克也監督時代の92、93年以来2度目。5月12日に首位に立ち、7月2日には2リーグ制後の最速でマジックを点灯させた。そして今季137試合目のこの日、本拠地では7年ぶりの優勝を決めた。3安打無得点に封じられた打線が9回、DeNAの3番手エスコバーをとらえた。先頭のホセ・オスナ内野手(29)が遊撃への内野安打で出塁。代走には、前日負傷交代した塩見泰隆外野手(29)が送られた。中村悠平捕手(32)が1球で送りバントを決めると、途中出場のドラフト2位ルーキー丸山和郁外野手(23)が左中間を破るサヨナラ二塁打。二塁から塩見が歓喜の生還を果たした。首脳陣と選手もグラウンドに流れ込み、ナインの手で高津臣吾監督(53)が胴上げされた。終わってみれば圧倒的な強さでセ界を制したヤクルトだったが、道のりは平たんではなかった。開幕直前に正捕手の中村が故障。先発の軸として期待された奥川も初登板の3月29日巨人戦で緊急降板して長期離脱し、5番サンタナも4月6日に負傷。主力を序盤で欠く想定外はあったが、高津監督は、選手に無理をさせない「高津流マネジメント」を継続した。5月初旬に中村が復帰して投打がかみ合うと、4年ぶりの交流戦優勝を完全制覇で飾った。敵地での場内インタビューで「リリーフみんながMVPだと思っています」と中継ぎ陣を称賛した。7月2日にマジック53が点灯。そのまま突っ走るかと思われたチームは、コロナ禍に見舞われた。高津監督ら首脳陣、山田、青木、中村ら主力が続々と感染する非常事態。同29日はマジックが消滅。一時は2位DeNAに4ゲーム差まで迫られたが、8月26日からの直接対決3連戦で3連勝。再び首位を不動のものとした。連覇を飾ったチームの中心に座るのが、令和初の3冠王を狙う不動の4番、村上宗隆内野手(22)だ。この日は4打数無安打、9試合連続ノーアーチと封じられたが、貢献度は文句なしのMVP級。日本新記録となる5打席連続本塁打や、ここまで日本選手最多となるシーズン55本塁打を放つなど、記録と記憶に残るアーチをハイペースで量産した。今季の欠場は、倦怠(けんたい)感を訴え特例2022の対象で登録抹消となった8月6日巨人戦のみ。多くのコロナ感染者が出た窮地では「こういう時だからこそより一層、一致団結してやることで力は大きくなるし強くなる。その中心に僕がいることは本当に自覚していますし、何とかチームを勝たせられるように引っ張っていけたら」と強い覚悟でチームを支えてきた。細心の選手管理と言葉の力で2年連続のリーグ優勝に導いた名将と、勝負強い打撃で何度も勝利を呼び込んだ「村神様」。ヤクルトに黄金時代が到来した。○...野手最年長40歳の青木が、精神的支柱となった。王手に合わせてこの日、1軍合流。7回の2死一、二塁の場面で代打で出場すると、四球を選んで満塁機を演出した。コロナ禍で6連敗を喫した8月11日広島戦後に、山田らとともに選手を集めてミーティングを開催。「曇り空の上は、いつも晴れ。とにかく信じてやっていこう」などと語り、気持ちを落ち着かせた。立て直してのリーグ連覇に笑顔だった。○...守護神マクガフが優勝を呼び込んだ。0-0の9回に登板すると、宮崎、ソト、嶺井を打ち取り3者凡退。その裏、サヨナラで勝利投手となった。キャンプ前にコロナ感染はあったが、シーズン中は離脱もなく安定した投球を披露。37セーブ、防御率2・09の好成績で守護神の役割を果たし、「チームの勝利に直結するので、ゲームをちゃんと締めることが一番大事」と自身の言葉を体現した。○...田口が歓喜に沸く本拠地をさらに盛り上げた。優勝セレモニーが一段落すると、ひとりマウンド付近に立って両手を広げ、スタンドに拍手を要求。最高潮になったところで、ひと呼吸置いて「パン、パパパン!」と手拍子を合わせた。普段は勝利時にブルペン付近で行っている恒例のパフォーマンス。ムードメーカーとしても貴重な戦力は「優勝が決まるに当たってぎりぎりの戦いをやってきた。全員でカバーし合うということが意識づいた」と胸を張った。○...高卒3年目の長岡が大ブレークを果たした。開幕から遊撃の定位置を勝ち取ると、コロナ感染で離脱はあったが、ここまで131試合に先発出場し打率2割4分4厘、8本塁打、47打点。主に8番で存在感を示し、同2年目の内山壮、同4年目の浜田らとともに「ヤングスワローズ」として連覇に貢献した。○...高卒2年目捕手の内山壮は、飛躍のシーズンとなった。春季キャンプから1軍に抜てきされ、初の開幕1軍入り。正捕手中村の故障もあり、33試合にスタメンマスクをかぶった。主に42歳石川との22歳差バッテリーを組んだ。5月24日日本ハム戦でプロ初本塁打を放つなど打撃でも成長。「まだまだもっとチームに貢献したいなって思いの方がある」とさらなる進化を誓った。○...正捕手の中村が攻守に自力を発揮し、連覇に貢献した。同学年の先発小川を強気なリードでけん引し、9回無死一塁では、きっちり犠打を決めて丸山和のサヨナラ二塁打をお膳立てした。「優勝した次の年が大事」と意識したシーズンの最終盤で、きっちり仕事を果たした。▽ヤクルト石川 新しい選手が出てきて、僕自身も刺激になりましたし、チームとして底上げもできたと思う。大黒柱はムーチョ(中村)。開幕から1カ月は出られなかったですけど、(内山)壮真だったり若い選手がカバーできたので、チームとして強くなったなと思います。▽ヤクルト根岸孝成オーナー ディフェンディングチャンピオンとしてプレッシャーがかかる中で、高津監督をはじめ、コーチ、選手、フロントの皆さんが一丸となり、チームスローガンである「熱燕」を体現した優勝であると思います。引き続きCSを勝ち抜き、躍動する野球で球団史上初となる日本シリーズ連覇を果たしてくれることと確信しています。▽ヤクルト衣笠球団社長兼オーナー代行 連覇には計り知れない難しさがあったと思いますが、高津監督の下、ベテラン、中堅、若手がチーム一丸となって躍動し、まさにチームスローガン「熱燕」を実現してくれました。▽成田ヤクルト本社社長 高津監督をはじめ、コーチ、選手、フロントそして全国のスワローズファンの皆さまがひとつとなり「チームスワローズ」として情熱をもって戦った結果だと思います。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)の第4打席は左飛だった。8回2死走者なし、投手は2番手のDeNA伊勢。1ボール1ストライクからの3球目、外角低めの直球を強く打ち上げたが、打球は佐野のグラブに収まった。

◆ヤクルトのドミンゴ・サンタナ外野手(30)が途中交代した。8回の右翼守備で、1死二塁からDeNA佐野が放った飛球をキャッチ。三塁へ送球した後、トレーナーを呼んでベンチへ引きあげた。痛みがあるのか、歩きながら右股関節付近を押さえ、そのまま交代となった。

◆ヤクルト村上宗隆がチームを連覇へ導いた。今季は肩書付きの殊勲安打が32本、殊勲本塁打が25本あり、勝利打点は球団タイの19度。この3部門ともリーグトップで、「3冠王」に加え「殊勲3冠」の獲得も狙う。勝利打点は19度のうち本塁打で16度記録。勝利打点付きのVアーチが16本は66年王(巨人)に並び2リーグ制後最多と、白星に直結した1発が多かった。殊勲3冠は18年柳田(ソフトバンク)以来になるが、この3部門すべて村上以上の数字を記録したのは2リーグ制後に63年野村(南海=安49・本28・点28)70年王(安37・本27・点20)05年松中(ソフトバンク=安44・本27・点23)しかいない。村上は昨年の112打点から132打点へ増えたが、ヤクルトの得点は昨年の625点から596点へ減っている。今季の村上はチーム全得点の22.1%を1人でたたき出した。「個人打点÷チーム得点」を計算し、チーム得点に対する占有率を調べると、70年大杉(東映)の24.8%が最高で、22%以上は過去5人、6度あるが、その打者のチーム順位はすべて3位以下。得点の多い優勝チームでは06年ウッズ(中日)の21.5%を上回り、村上がトップだ。殊勲打も多い村上は、歴代優勝チームの中で最も優勝に貢献した打者と呼べるかもしれない。村上は自身がホームを踏むケースも多く、今季はリーグ最多の110得点をマーク。こちらの占有率は18.5%。打点の占有率が22%以上で得点の占有率も18%以上は、プロ野球で59年桑田(大洋)と村上だけだ。村上が打点を挙げた試合は41勝16敗1分けで、得点した試合は48勝21敗3分け。今季のヤクルトは敵地で強かったが、これもビジターで打率3割7分、33本塁打、81打点を記録した村上のおかげだった。

◆DeNAが、ヤクルトにサヨナラ負けを喫し、2年連続で目前で胴上げされる屈辱を味わった。0-0で迎えた9回1死二塁、3番手のエスコバーが、ヤクルトのルーキー丸山和にサヨナラ適時二塁打を浴びた。昨季も10月26日のヤクルト戦(横浜)に敗れ、目の前でヤクルトの胴上げを見せつけられ、「横浜反撃」を掲げたシーズンだったが、2位に決まった。2年連続での屈辱に、三浦大輔監督(48)は「悔しいです」と唇をかんだ。巨人が敗れ、3年ぶりの2位が確定したが、指揮官は「ちょっと今は考えられないです。今は悔しくて、しょうがないです」と悔しさをにじませた。

◆プロ野球の斉藤惇コミッショナーが25日、セ・リーグ2連覇を達成したヤクルトを祝福し、コメントを発表した。以下はコメント全文。「昨シーズン、パ・リーグ覇者オリックスとの激闘を制し9年ぶりにセ・リーグに日本一をもたらした経験を自信に変え、セ・リーグ連覇を勝ち取った見事な戦いぶりに、心から賛辞を贈ります。高津臣吾監督のチーム掌握術や采配にはますます磨きがかかり、日本生命セ・パ交流戦ではパ・リーグ全球団に勝ち越して完全優勝を果たし、2年連続のセ・リーグ勝ち越しに大きく貢献されました。5月24日に首位に立つと、一度もその座を明け渡すことなく、7月2日にはNPB史上最速でマジックナンバー「53」が点灯するという他を圧倒した勢いには目を見張るものがありました。チーム一丸となり全員野球でつかんだ連覇であったと思いますが、若き主砲・村上宗隆選手が放つ本塁打がチームに勢いを与えたことは言うまでもありません。22歳にして誰もが認めるNPBを代表する4番打者に成長されました。クライマックスシリーズ突破という次のハードルは控えていますが、日本一連覇にも大いに期待したいと思います」

◆優勝マジック2のヤクルトが、2位DeNAを劇的なサヨナラで破り、2年連続9度目のリーグ優勝を本拠地神宮で決めた。▽DeNA三浦監督 (ヤクルトの強さは)全てじゃないですか。攻撃も守りもスキがなかった。今日のゲームに象徴されるような形だと思います。▽巨人原監督 非常に投打のバランスが良かったということと、投手陣がストライクをどんどんとってくることを恐れないという点では、非常に攻撃的なチームだったなという風に思います。▽阪神矢野監督 村上という中心選手がいて、外国人が脇を固め、最後の長岡まで要所要所で良い働きをされた。もちろん村上が一番中心だけど、どの選手も中心になれるような層の厚さを感じる。投手陣もそろっているし、すべてにおいてバランスの取れたチームでした。▽広島佐々岡監督 最初なかなか勝てなくて、対戦成績をみれば(苦戦した)。村上だけでなく、村上を中心とした打撃陣、前後を打つ打者が(良かった)。村上をマークして(走者を)ためれば、5番の外国人や、その前の山田、そういうところも(苦しんだ)。▽中日立浪監督 一番に村上選手が脅威だった。1番から気の抜けない打線で、点が取れ、先制する試合も多かったが、(ヤクルトとは)相性も今年に限ってはあった。優勝チームにこの成績が残せた(14勝10敗1分け)。来年は苦手のチームを作らないように、やる方が大事。

◆新サヨナラ男襲名ヤ! ヤクルト丸山和郁外野手(23)が、9回二塁のチャンスで左中間を割るサヨナラ適時打を放った。今季ドラフト2位で入団し、4番村上と同じ99年度生まれの「村上世代」。新人の優勝を決めるサヨナラ打は史上初めて。8回のイニング途中に守備についた途中出場から、大仕事をやってのけた。試合を決める一打が、優勝を決める一打となった。丸山和は9回1死二塁。サヨナラの好機でDeNAエスコバーの初球を見送った。158キロの剛速球がワンバウンド。2球目、低めの直球を中堅左へ運んだ。新人が優勝を決めるサヨナラ打は史上初。「どこに打球が飛んでいったか分からなかったので、打った感触だけで『ヨッシャー』といってました」。二遊間でヘルメットを空高く投げ飛ばし感情を爆発。ベンチから飛び出した仲間によって、歓喜の輪が出来上がった。サヨナラの打席が、丸山和にとって第1打席だった。8回2死、牧の打席途中で右翼サンタナが痛みを訴えて交代した。直前の右飛を捕球し、二塁タッチアップを阻止するため、三塁送球した際に痛めた模様。突如、舞い込んだ出場のチャンスに「真っすぐ1本にしぼった」と腹をくくった。村上世代の1人として、明大を経てドラフト2位で入団した。1月の自主トレ中は、室内練習場で偶然会った村上とグータッチであいさつ。開幕1軍こそ勝ち取ったが、4月から2軍暮らしが続いた。ファームでは内川、坂口らベテランの好打者らに弟子入り。1軍に昇格すると、6月30日広島戦では、村上の「ヘッドをかえさないで、引っかけないで打てば大丈夫」という助言を生かし、延長12回に決勝打を放った。「守備と足」を期待される一方で、打撃でも開眼するため年代を問わず吸収した。座右の銘は「凡事徹底」。甲子園にも出場した前橋育英時代から胸に刻んでいる。「当たり前のことをしっかりやると、今でもちゃんとやるようにしている」。その心が呼び込んだ、サヨナラ打だった。【栗田成芳】サヨナラ勝ちで優勝決定 ヤクルトがルーキー丸山和のサヨナラ打で優勝。サヨナラ勝ちでリーグ優勝を決めたのは、15年ヤクルト(雄平のサヨナラ打)以来7年ぶり10度目。新人のサヨナラ打で優勝が決まったのは今回が初めて。丸山和郁(まるやま・かずや)1999年(平11)7月18日生まれ、群馬県出身。前橋育英時代は外野手兼投手で甲子園でも登板。3年夏は甲子園で大会タイの8盗塁。明大では4年春秋にベストナイン。174センチ、80キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸1200万円。○...今年から選手会長を務めるエース小川が連覇を喜んだ。ここまでチームではただ1人、シーズン規定投球回に到達するなど8勝を挙げて大きく貢献。この日も6回無失点で、DeNA今永と締まった投手戦を繰り広げた。「2015年の時も6回無失点だと思うんですけど、最後雄平さんが決めて、それにちょっと丸山がかぶった。打ってくれたらうれしいなと思って、現実になってうれしかったです」とサヨナラ打に15年の優勝を重ねた。○...主将2年目の山田が連覇を支えた。7月に新型コロナに感染し、8月には成績を落としたが、ここまで村上に次ぐチーム2位の23本塁打を放つなど要所で勝負強さを発揮。優勝が決まると、涙をこらえきれずに号泣。村上の胸に顔をうずめて感情をあらわにした。「ほっとしました。(ハグで)余計、涙出てきましたね。キャプテンとして結果を出してみんなを引っ張っていくのが目標だったんですけど、成績もよくなかったですし。たくさんカバーしてもらって、みんなに感謝したい」と話した。○...塩見が歓喜のホームを踏んだ。9回、内野安打で出塁した先頭オスナの代走で出場。中村の犠打で二塁へ進むと、丸山和のサヨナラ二塁打で快足を飛ばした。前夜、1回裏の走塁で体勢を崩して2回の守備から途中交代。高津監督は試合後、「(雨で)グラウンドの状況もあまりよくない中でプレーを続けないといけなかったんで、代えました」と話し、この日はベンチスタートだった。最後に出てきて最高の仕事をした塩見は、「2番目においしいところ、いただきました! 1番はルーキーの丸山くんで~す!」と笑顔を見せた。

◆ヤクルトが、2年連続9度目のセ・リーグ優勝を飾った。連覇は野村克也監督時代の92、93年以来2度目。5月12日に首位に立ち、7月2日には2リーグ制後の最速でマジックを点灯させた。そしてこの日、本拠地では7年ぶりの優勝を決めた。 0-0で迎えた9回、1死二塁から丸山和が左中間へサヨナラ打を放った。

◆DeNAが、「魔の日曜日」に2年連続でヤクルトに目前で胴上げされた。今季、日曜日は開幕カード3戦目の広島戦から9連敗。6月19日の阪神戦で連敗を止めたが、通算5勝18敗と苦しんだ。週末に厳しい戦いを強いられ、土曜日も8勝16敗。土曜日だった4月16日のヤクルト戦に勝利した後、6月4日の楽天戦で勝利するまで土、日に12連敗を喫した。クライマックスシリーズのファーストステージは、10月8日の土曜日が初戦で、「魔の週末」を払拭(ふっしょく)することが、突破のカギになりそうだ。【写真たっぷりライブ詳細】丸山和郁のサヨナラ打でヤクルト2連覇達成! M2ヤクルト-2位DeNA

◆連覇支えた「村神様」ヤ!! 優勝マジック2のヤクルトが、2位DeNAを劇的なサヨナラで破り、2年連続9度目のリーグ優勝を本拠地神宮で決めた。ここまで日本選手最多の55本塁打を放っている村上宗隆内野手(22)が、不動の4番として圧倒的な打力に加え、強い責任感で名実ともにチームの中心として存在感を発揮。野村監督時代の92、93年以来となるリーグ連覇に大きく貢献した。自らの本塁打に表情をほとんど崩さない村上も、優勝の瞬間だけは格別だった。二塁後方の歓喜の輪に笑顔で飛び込むと、サヨナラ打の丸山和と抱き合い、涙する山田と熱い抱擁を交わして雄たけびを上げた。胴上げでは「天まで飛ばしてやろうと思っていきました」と、高津監督を神宮の夜空へ高く押し上げた。記録的ペースでアーチを量産。ファンやメディアから「村神様」と称され、個人記録ばかり注目されたが「フォア・ザ・チーム」の精神と、強い責任感が根底にある。7月。高津監督をはじめ、山田、青木ら多数のコロナ感染者が出る窮地では「こういう時だからこそ、より一層、団結してやることで力は大きくなる。その中心に僕がいることは本当に自覚しています」と覚悟を示した。それでも苦戦が続き「僕は打てなくてもいい、チームが勝てないのがしんどい」と指揮官に漏らしたこともあったとが、「泣き言を言うんじゃない。そんな姿を見せるな」と激励され奮起。主力不在の中でチームを支えた。今季の欠場は1試合だけ。9月2日中日戦で50号本塁打に到達した際は高津監督も「あの場面(1死一、三塁)で外野フライで1点取ったとしても彼は喜んだと思います。それくらい『フォア・ザ・チーム』で考えている男」と記録以上に戦う姿勢を評価。同12日DeNA戦では死球を受けて途中交代。それでも翌13日巨人戦は「(痛みは)多少はありますけど全然動ける範囲なので」と出場し、55号本塁打を放ってみせた。強いリーダーシップと仲間思いは中学時代に原点がある。熊本東シニアでは捕手で主将。ノックから「元気出して! もっと前に!」と大きな声を出し、試合では仲間に守備位置を指示。四球や失策で走者が出れば、タイムをとり投手に声をかけた。当時の吉本幸夫監督(66)は「私が指示しなくてもね。ああいう選手はなかなかいなかったです」。当時も今も、味方の好プレーを自分のこと以上に喜ぶ姿に「全然変わってないね。中学の時のまま大きくなって」と笑う。この日は4打数無安打。55号を放って以来、9試合40打席ノーアーチは続くが、最大の目標だった優勝達成の前には取るに足りないことだ。「打てる日があれば打てない日があり、すごく難しい。こうして最後、優勝してみんなで喜びを分かち合って。この瞬間があるから苦しい時も耐えられます」。打席での勝負強さに、精神的たくましさえを備えた22歳。神宮の夜空の下に、最高の笑顔が輝いた。【鈴木正章】○...山崎晃大朗外野手が塩見に代わって1番に入った。シーズン中は主に2番として起用。365打席、85安打、36打点、10盗塁と、いずれもプロ7年目でキャリアハイをマークした。山崎は「(4番)村上にどういうシチュエーションでつないでいくか、そういうことばかり考えていた。村上が離脱しないでくれたのはチームとして大きかった」と、つなぎ役をまっとうした。

◆「高津流マネジメント」&「人心掌握術」!! ヤクルト高津臣吾監督(53)が、細心の選手管理と言葉の力で「チームスワローズ」をまとめ、恩師の野村克也元監督以来となる29年ぶりのリーグ連覇を達成した。投打ともに柔軟性のある起用と、適度な休養で故障を未然に防ぎ、選手のパフォーマンスを維持。節目のミーティングでは、昨年同様に心に響く言葉と話術でチームを鼓舞した。本拠地神宮のファンの前で7回、宙に舞った。高津監督は、場内インタビューで「みなさんと一緒くらいうれしいです。ちょっと気持ちの整理がついてないですけど...。チームみんなを信頼してやってきた。ファンのみなさんと一緒にチームスワローズとしてあげた大きな1勝なんじゃないかと思ってます」と、満員のファンに感謝した。独特なゲキから連覇への幕が上がった。3月25日、開幕戦直前の全体ミーティングで「僕は自信がありません。でも、君らがやる自信は持っている。君らは絶対、出来ると思う。君らはやる男。できる集団だと思っている」と宣言。選手の自信を後押しした。開幕直前に正捕手中村が故障。先発の軸として期待した奥川も3月29日巨人戦で緊急降板し離脱。5番サンタナも4月6日中日戦で負傷。主力を序盤で欠く想定外はあったが、選手に無理をさせない「高津流マネジメント」を継続。交流戦では4年ぶりの優勝を完全制覇で飾り、場内インタビューで「リリーフみんながMVPだと思っています」と中継ぎ陣を称賛。リーグ戦再開の6月17日広島戦前は「覚悟を持ってグラウンドに立ってください。体の大きい人、小さい人いるけど、プレーだけは小さくならないように」と奮起を求めた。7月にはコロナに感染。「しんどかった」日々の中でも「せっかく離れてスワローズの野球が見られることを、プラスに変えていかなきゃ」と前を向いた。後半戦開幕の7月29日には「疲れたときは遠慮しないで言ってください。配慮が出来る範囲でやっていきたい。心と体を充実させて気分よくグラウンドに立てるように」。疲労に極力配慮する方針は変わらなかった。神宮での優勝。監督就任1年目の20年のキャンプ中に亡くなった恩師の野村さんには「今年も元気に頑張りました。勝ちましたと伝えたいですね」と言う。選手だった当時から約30年。立場を変えての頂点に「受け継いできたのは、のびのびプレーすること、勉強すること。アップデートしていくことは、一歩先を行くこと。今の野球より、もう一歩先を考えながら進んでいくこと」とうなずいた。「野村イズム」を継続し、ブラッシュアップし続けてつかんだ頂点に「気分もいいですし。今日はゆっくり寝られそうです」と笑顔。「高津流」が王道となった。【鈴木正章】○...高津監督が昨季発した「絶対大丈夫」は特に注目されたが、今季も耳に残るフレーズが多数あった。5月4日阪神戦では白星を挙げた42歳石川と19歳内山壮のバッテリーを「親子キャッチボール」と表現。同21日DeNA戦では34歳川端を6番で2年ぶりに先発起用。7番内山壮、8番の20歳長岡と合わせ「川端から6、7、8と『ヤングスワローズ』」と笑った。試合後の取材は常に冷静沈着だが、8月2日に村上が5打席連続本塁打を放った際は「俺ね、対戦したいと思ったもん」と元守護神の血が騒いだ様子。予想結果を問うと「セカンドゴロだよ。ツーバウンドで」と自信満々に返答し笑いを誘った。○...田口麗斗投手が歓喜に沸く本拠地を盛り上げた。優勝セレモニーが一段落すると、ひとりマウンド付近に立って両手を広げ、スタンドに拍手を要求。最高潮になったところで、ひと呼吸置いて「パン、パパパン!」と手拍子を合わせた。普段は勝利時にブルペン付近で行っている恒例のパフォーマンス。ムードメーカーとしては「優勝を目指してぎりぎりの戦いをやってきた」と胸を張った。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)が優勝インタビューで喜びを語った。「最高です。いい巡り合わせで2位のチームとマジック2で戦うことができて、負ければ苦しい戦いになると思っていたが、みんな集中していたし、絶対に決めるぞという思いでやってきた。優勝できて良かった」。高津監督を7度、力強く胴上げしたことついては、「天まで飛ばしてやろうかなと思って胴上げした」と笑顔で振り返った。今季を振り返って「シーズン143試合、いろんなことがあり、打てる日も打てない日もある。その日、その日で感情が出てしまうので難しいけど、最後にみんなと喜びを分かち合えた。これがあるから苦しい時も耐えられる」とかみしめた。シーズンは残り6試合。不動の4番には王貞治氏超えの56本塁打や3冠王への期待がかかる。「まだ終わってないんで。もっとプレッシャーかけてほしい」と頼もしく話した。CSへ向け「みなさんの期待に応えられるように頑張りたい。大きな目標として日本一があるのでそこに向けて頑張りたい」と話した。

◆ヤクルトがサヨナラ劇で、2年連続9度目のセ・リーグ優勝を飾った。連覇は野村克也監督時代の92、93年以来2度目。5月12日に首位に立ち、7月2日には2リーグ制後の最速でマジックを点灯させた。そして今季137試合目のこの日、本拠地では7年ぶりの優勝を決めた。○...午後11時25分、神宮の中堅付近でビールかけが始まった。村上、山田、青木らはおでこに大きなゴーグルを付けてスタンバイ。選手会長小川泰弘の「ファンの皆さん、サランヘヨ!かんぱ~い!!」の合図で一斉にしぶきが上がった。殊勲打の丸山和は「サヨナラ漢(おとこ)です」、「ほめたたえよ」と書かれたたすきをかけて参加。インタビューカメラの前に立った村上は「村上で~す!気持ちいい~!最高です!言うことないです!」と大興奮だ。昨年は新型コロナにより自粛して行われなかったが、今年はファンの前で大盛り上がりを見せた。青木は「日本シリーズ勝って、もう1回やるよ~!」と絶叫した。

◆新サヨナラ漢(おとこ)襲名ヤ! ヤクルト丸山和郁外野手(23)が、9回1死二塁で左中間を破るサヨナラ適時打を放った。今季ドラフト2位で入団し、4番村上宗隆内野手(22)と同じ99年度生まれの「村上世代」。新人の優勝を決めるサヨナラ打は史上初めて。8回のイニング途中に守備についた途中出場から、大仕事をやってのけた。以下、ビールかけ後の一問一答。-サヨナラ打丸山和 本当になんていうんだろ、感触は良かったけど、打球がどこに飛んだか分からなかったけど、見たら外野の間を抜けてくれたので。-どういう意識丸山和 振り負けないように、前で打つことだけを意識して打席立ちました。-打席前に誰かから声を掛けられたか丸山和 大松コーチから「腹くくってしっかり漢(おとこ)になってこい」といっていただいて、それで腹くくって打席に入ることできました。-守備を評価されてチャンスを得た丸山和 使っていただいているのでなんとかチームに貢献したいので、こういう形で貢献できて良かったです。-新人のサヨナラ打で優勝が決まるのは史上初丸山和 誰も打たないと思っていたと思うんですけど、自分ですら打たないと思っていたので。でもそうやって記録にも残ってくれたし、こうやってチーム優勝できて良かったです。-入団会見で優勝に貢献したいと言っていた丸山和 最後の最後でこうやって優勝に貢献できたのは、心の底からうれしく思います。-サヨナラ打を確信した瞬間は丸山和 ベース回った後っす。(打球)見てないっす。ベース回ったら、追い掛けていたんで、抜けてくれて良かったです。-好投手エスコバーから丸山和 原因は特にないと思いますけど、運が良かったのかなと。-ビールかけ楽しかった丸山和 楽しかったです。目痛いっす。-タスキに「サヨナラ漢です」と書いたのは丸山和 奥村さんです。

◆DeNA今永昇太投手(29)が7回3安打無失点の熱投も実らず、サヨナラ負けで2年連続でヤクルトに目の前で胴上げされた。最速153キロの速球を軸に、両コーナー、高低を丁寧に攻め、6回まで三塁さえ踏ませず。7回に2死満塁のピンチを背負ったが、山崎を一ゴロに抑えた。村上に対しても、大胆かつ繊細に攻め、3打数無安打。1回1死一塁では、152キロの速球で空振り三振、6回2死ではこの日最速タイの153キロの速球で空を切らせた。昨季は、10月26日のヤクルト戦(横浜)に先発し、3回5失点でKOされ、ヤクルトの優勝が決定。リベンジをかけたマウンドで123球の快投だった。三浦大輔監督(48)は「1球1球魂を込めて、よく投げてくれたと思います」と評価したが、試合後はチームの敗戦に悔しさをにじませた。

◆DeNAはヤクルトにサヨナラ負けを喫し、2年連続で目前で胴上げを許した。0-0の9回1死二塁、3番手のエスコバーが丸山和にサヨナラ適時二塁打を浴びた。2年連続の屈辱に、三浦監督は「悔しいです」と肩を落とした。巨人が敗れ、3年ぶりの2位が確定。CSファーストステージを突破すれば、ヤクルトへの挑戦権を得られるが、指揮官は「今は悔しくてしょうがないです」と悔しさをにじませた。

◆ヤクルトの"育成力"が、セ・リーグ連覇を下支えした。高卒3年目の長岡秀樹内野手(20)らヤングスワローズが光った。何かが起きるんじゃないか、そんなワクワク感を抱かせてくれる。コーチや2軍監督、1軍監督を長年務めた小川淳司GM(65)は「使い続けた高津監督をはじめコーチ陣とそれに応えた選手がかみ合った結果」と言う。長岡は八千代松陰(千葉)からドラフト5位指名。甲子園出場経験はなく、ドラフト候補にリストアップしていない球団もあった。プロ入り後、育成プランに沿って練習する中で「体力強化」が最大の課題だった。練習量が一気に増えるプロの世界。練習と実戦をこなす中で、体力をつけることが求められた。昨年、育成部門が新設された。長年、1軍や2軍で内野守備走塁コーチを務めた土橋勝征氏(53)がチーフコーチに就任。居残りでの守備練習など、徹底的に向き合った。小川GMは「土橋コーチのしつこい練習を頑張り抜いた。それに耐えられる丈夫さもあった」。昨年途中、2軍から長岡の守備力を高く評価する声が上がった。今春1軍キャンプに追加招集されたのも、高評価があったからこそ。2軍で培った体力で、22年シーズンを駆け抜けた。今では、すぐにマウンドへ駆けつけるたくましい姿に、小川GMは目を細める。監督時代の19年。プロ2年目の村上を根気強く使い続けた。「監督としてプレーが楽しみな選手はそんなに多くない。それが村上であり、高橋(奎二)だった」。36本塁打を記録した一方で184三振。周囲から「ファームで調整させた方がいいのでは」と意見もあった。しかし、チーム再建という監督の思いに応えた村上が今では中心だ。リーグ連覇から2年連続の日本一、そして黄金期へ。「育成が成功している、とはまだ言い切れない。他のポジションの戦力が足りないし、さらに次に進まないといけない」。球団の挑戦は続いていく。【保坂恭子】

◆連覇支えた「村神様」ヤ!! 優勝マジック2のヤクルトが、2位DeNAを劇的なサヨナラで破り、2年連続9度目のリーグ優勝を本拠地神宮で決めた。ここまで日本選手最多の55本塁打を放っている村上宗隆内野手(22)が、不動の4番として圧倒的な打力に加え、強い責任感で名実ともにチームの中心として存在感を発揮。野村監督時代の92、93年以来となるリーグ連覇に大きく貢献した。

◆新サヨナラ男襲名ヤ! ヤクルト丸山和郁外野手(23)が、9回1死二塁のチャンスで左中間を割るサヨナラ適時打を放った。今季ドラフト2位で入団し、4番村上と同じ99年度生まれの「村上世代」。新人の優勝を決めるサヨナラ打は史上初めて。8回のイニング途中に守備についた途中出場から、大仕事をやってのけた。サヨナラ勝ちで優勝決定 ヤクルトがルーキー丸山和のサヨナラ打で優勝。サヨナラ勝ちでリーグ優勝を決めたのは、15年ヤクルト(雄平のサヨナラ打)以来7年ぶり10度目。新人のサヨナラ打で優勝が決まったのは今回が初めて。

◆ヤクルトが2年連続9度目のリーグ優勝を決めた。ヤクルトの連覇は野村監督時代の92、93年以来2度目となり、19年からの順位が6位→6位→優勝→優勝。最下位から優勝は昨年のヤクルトとオリックスまで9度あるが、最下位から2年連続Vは長嶋監督が指揮した76、77年巨人以来2度目。この時の巨人は74年2位→75年6位→76年優勝→77年優勝で、2年連続最下位から2年連続優勝は初めてだ。高津監督は就任3年目。監督1年目から3シーズンで2度以上Vは19年辻監督(西武)以来14人目。投手出身監督の連覇は89、90年藤田監督(巨人)97、98年東尾監督(西武)に次いで3人目となった。昨年は113試合目の9月22日に初めて首位に立ったが、今季は43試合目の5月21日から首位を守り続けた。2リーグ制後のマジック点灯日としては最速の7月2日にM53を点灯させ、この時点のヤクルトは51勝24敗1分け、勝率6割8分。ただし、同3日以降は26勝33敗2分けの勝率4割4分1厘。M点灯後はリーグ6位も、それまでの貯金を生かしてゴールした。

◆連覇支えた「村神様」ヤ!! 優勝マジック2のヤクルトが、2位DeNAを劇的なサヨナラで破り、2年連続9度目のリーグ優勝を本拠地神宮で決めた。ここまで日本選手最多の55本塁打を放っている村上宗隆内野手(22)が、不動の4番として圧倒的な打力に加え、強い責任感で名実ともにチームの中心として存在感を発揮。野村監督時代の92、93年以来となるリーグ連覇に大きく貢献した。

◆試合前に巨人が敗れたことで今季の2位以上が確定したDeNAは、マジック「2」の首位・ヤクルトと直接対決。敗れれば2年連続で目の前での胴上げを許す背水の陣を前に、三浦大輔監督(48)は「確かに向こうは王手がかかっていますけど、うちは負けられない、勝つしかないので、もうそれだけです」と語気を強めた。敵地での一戦は、優勝を期待する多くのスワローズファンが詰めかける〝完全アウェー状態〟が想定されるが「完全じゃないですよ。DeNAファンも来てくれますからね。特別なことはしなくていい。持っているものを全て出す。そのことに集中してくれればいい」と語った。

◆優勝マジックを「2」にしているヤクルトは小川が先発し、6回2安打無失点と好投し、白熱した投手戦を演じた。勝てば優勝が決まる大一番。エース対エース。小川は、DeNA先発・今永との投げ合いに力が入った。五回1死まで無安打投球。立ち上がりから両コースに制球力よく投げ込んだ。ソトの左中間越え二塁打で初安打を浴びたが、嶺井の二ゴロの間に三塁でアウトに。森に中前打されて2死一、二塁となったが、今永を一ゴロ。DeNAに得点を許さず、七回は2番手・石山にマウンドを譲った。

◆ヤクルトの山田が3試合連続安打を放った。両チーム無安打で迎えた三回2死の第2打席。2ボール1ストライクから来た今永のチェンジアップを左中間に運んだ。一回はフルカウントから高めの速球を見極めて四球で出塁した。守備では、0―0の五回1死二塁で緩い打球に猛然と突っ込み、素早い送球で三塁を狙った二塁走者のソトを刺した。シーズン前から「ゴールデングラブ賞を取りたい」と公言し、精力的に練習に励んだ成果を発揮。高津監督も「守備は抜群。範囲も広いし、何とかしてやろうという気持ちが表れている」と絶賛するほどで、得意の打撃以外でもチームを引っ張っている。

◆DeNAの今永がエースの意地を示した。7回を3安打無失点に封じ、小川との投手戦で一歩も譲らなかった。二回までに3四球と立ち上がりは制球が乱れたが要所を締め、尻上がりに調子を上げた。毎回の11三振を奪い、役割を果たした。「村上選手を中心とした攻撃をさせないことが大切」とマークした相手の主砲を封じ込んだ。一回は外角速球で空振り三振。三回は2死二塁のピンチで対戦し、真っ向勝負で一ゴロに。六回も153キロで空振り三振を奪った。ヤクルト戦は今季4試合に投げて負けなし。クライマックスシリーズ(CS)で顔を合わせる可能性がある相手に嫌なイメージを植え付けた。

◆着実にその芽は開きつつある。DeNA・森敬斗内野手(20)が「8番・遊撃」で2試合ぶりのスタメン出場。五回の第2打席で中前打を放ち、出場6試合連続安打をマークした。2020年に神奈川・桐蔭学園高からドラフト1位で入団し3年目の今季。遊撃のレギュラー獲得を目指し、春季キャンプから連日猛アピールした。沖縄での実戦全7試合に出場して6試合で安打を放ったが、2月27日の巨人とのオープン戦(那覇)の走塁で転倒。右太もも裏(ハムストリング)の肉離れと、左足首捻挫でチームを離れ、5月まで実戦に復帰できなかった。6月に待望の1軍合流を果たしたが、7月には新型コロナウイルスに感染。開幕前に思い描いていたようなシーズンを過ごすことはできなかったが、9月に入りようやく状態が上向いてきた。今月23日のヤクルト戦(神宮)では3カ月ぶりの一発となるプロ2号をマーク。三浦監督も「ちょっとずつ良くなってきた。本人の努力だと思います。毎日コーチと練習に取り組んで、その成果が出ている」と目を細めた。シーズン最終盤の首位ヤクルトとの大一番にもスタメン起用され、攻守で堂々としたプレーを披露した。まだまだ発展途上。期待の20歳がハマの未来を明るく照らす。

◆ヤクルトが、サヨナラでマジック対象球団の2位・DeNAに勝ち、2年連続9度目のリーグ制覇を果たした。九回1死二塁から丸山和がサヨナラ打を放った。小川が6回2安打無失点と好投。石山、清水、マクガフの継投で相手打線を封じた。高津臣吾監督(53)は、恩師である野村克也元監督が指揮を執った1992、93年以来となる連覇を決め、ナインの手で7度宙に舞った。ボルテージは最高潮に高まっていた。25日のDeNA戦のチケットは全てが試合5日前の20日に完売。正午から球場にはファンが早くも集まり始め、選手が球場入りするたびに大きな拍手が起こった。ナインも鼓舞されるように試合前の声出しでは円陣を組んで気合を入れた。ヤクルトは連覇を目指す今季、3月25日の阪神との開幕戦で7点差逆転勝利を決め、好スタートを切ったが、連覇までの道のりは決して平坦(へいたん)ではなかった。3月29日にエース候補の奥川が今季初登板で上半身のコンディション不良により交代し長期離脱。4月7日にはサンタナが出場選手登録抹消。その後、左膝の半月板を手術を行った。チームを引っ張ってきたのは22歳の若き主砲、村上宗隆だった。5月24日、日本ハムとの交流戦開幕戦でサヨナラ2ラン、6月11日のソフトバンク戦で逆転満塁本塁打を放ち、パ・リーグの全球団に勝ち越して交流戦優勝に導くなど前半戦から大活躍を演じた。チームは7月2日、DeNAにサヨナラ勝ちし、セ、パ両リーグ史上最速で優勝へのマジックナンバー「53」が点灯したが、新型コロナウイルス禍に見舞われ、同9日に高津監督、山田、青木らが新型コロナウイルス陽性となって離脱すた。後半戦開始の7月29日には、阪神に完敗してマジックが消滅した。コロナ禍で指揮官や主力メンバーの多くが離脱したときもチームを引っ張ったのは村上だった。8月2日の中日戦でプロ野球新記録の5打席連続本塁打を達成した。同12日に3年ぶりの7連敗を喫するなどして4ゲーム差で迎えた同26日の2位DeNA戦では村上が通算150号先制3ランを放って勝利。9月2日には史上最年少の50号本塁打を達成した。9月11日、DeNAに1―0で勝ってマジックが「11」で再点灯。13日には村上が日本選手最多に並ぶ55号本塁打を放った。生みの苦しみを経て、この日、ヤクルトは連覇を達成。黄金時代の到来を告げた。

◆途中出場の新人が決めた。ヤクルトは0-0の九回1死二塁からD2位・丸山和(明大)がエスコバーの直球を捉え、左中間にサヨナラ二塁打を放った。サヨナラ勝ちでリーグ優勝を決めるのは2015年のヤクルト(雄平)以来。値千金の一打を放った俊足巧打の外野手はナインと歓喜の輪をつくり、笑顔を浮かべた。

◆ヤクルトが九回サヨナラでマジック対象球団の2位・DeNAに勝ち、2年連続9度目のリーグ制覇を果たした。九回1死二塁から丸山和が左中間にサヨナラ二塁打を放った。高津臣吾監督(53)は恩師である野村克也元監督が指揮を執った1992、93年以来となる連覇を決め、ナインの手で9度宙に舞った。22年の戦いを写真で振り返る。

◆DeNAはサヨナラ負けで、12球団最長を更新する24年連続のV逸。2年連続で目の前でヤクルトに胴上げを許す屈辱に、三浦大輔監督(48)は悔しさをあらわにした。一問一答は以下の通り。ーーサヨナラ負け「本当にみんなね、よく食らいついていったと思います」ーー今永が7回無失点の力投「一球一球、魂込めてよく投げてくれたと思います」ーー打線もチャンスをつくったが「打つ方も、みんな食らいついて行っていたんですけど、そう簡単にホームは踏めなかったですね」ーー2年連続、目の前で胴上げを許す結果に「悔しいです」ーー今季のヤクルトの強さ「全てじゃないですか。攻撃も守りも隙がなかったというか、何とかその隙を突いて、というところの...投打ともにですね。きょうのゲームに象徴されるような形だと思います」ーー2位確定「ちょっと今はそれは考えられない。今は負けた悔しさ、今年の悔しさ、というところです」ーーCSでヤクルトと再戦のチャンスも「今はちょっと、明日また考えますけど、今は悔しくてしょうがないですね」

◆DeNAの先発、今永昇太投手(29)は7回3安打無失点、11奪三振。今季最多タイの123球の熱投を見せた。4番・村上を3打席無安打、2奪三振に仕留めた。「たくさん球数を使ってしまいましたが、バックの方々に守っていただいたおかげで、試合を作ることができた」村上に対し一回の第1打席は152キロの直球で空振り三振。三回の第2打席も直球で詰まらせ一ゴロに仕留め、六回の第3打席も再び152キロ直球で空振り三振に斬って取った。昨季もヤクルトの優勝がかかった10月26日(横浜)に先発したが、3回5失点でノックアウトされた。再び巡ってきたマウンドで、チームスローガン〝横浜反撃〟を体現する圧巻の投球を見せた。

◆ヤクルトが、サヨナラでマジック対象球団の2位・DeNAに勝ち、2年連続9度目のリーグ制覇を果たした。以下、高津臣吾監督(53)のセ・リーグ優勝インタビュー。――本拠地神宮球場で優勝を決めた「皆さんと一緒ぐらいうれしいです。おそらく皆さんも喜んでいただいてると思います」――丸山が試合を決めた「気持ちの整理がついてないです。丸山だけじゃなく、選手、コーチ、スタッフのみんなを信頼してここまでやってきました。ファンの皆さんも一緒にチームスワローズとして、今日の1勝はチームスワローズであげた大きな1勝なんじゃないかと思っています」――試合前に選手にはどんな言葉を「特に言葉はかけていません。いつもどおりの挨拶と形でゲームに入っていきました。平常心で戦うのは難しかったと思いますけど、こういう終わり方をしてみんなホッとして気分もいいですし、今日はゆっくり寝れそうです」――今シーズンは前半戦、交流戦で快進撃があり、その後は試練もあった「開幕の大逆転からスタートして、交流戦の優勝であったり、7月に入ってチームとしてはコロナが蔓延してしまったのはすごく残念だった。そこから大変な時期が始まったんですけど、和が崩れない素晴らしいチームで一丸となって戦えた結果が今日9月25日を迎えられたんだと思います」――昨年日本一になっても泣かなかった監督が泣いた「いや、泣いてないです。涙はまだ流してないです」――93年以来の29年ぶりのリーグ連覇「優勝することがすごく難しいです。連覇はもっと難しいです。難しいことをやった選手たちにもう一度大きな拍手をしてあげてください」――チームを引っ張った4番バッターにはどんな評価を「最近は後ろ姿が小さくなってますけど、7月の大変な時も孤軍奮闘でよく頑張ってくれた。バット1本でチームを引っ張ってくれた。ムネ(村上宗隆)、よく頑張ったよ。おめでとう」――ポストシーズンに向けて「今年2月1日のキャンプスタートする時にキャプテン山田(哲人)が『今年は高い山があります。それを乗り越えていきましょう』と言いました。まだまだ高い壁が待っていますが、クライマックスをしっかり戦い、その先の本当に大きな山の頂点に立ちたいと思っています。これからも頑張ります」――全国のファンに向けて「全国のヤクルトスワローズのファンの皆さん、セ・リーグ優勝、おめでとうございます。皆さんも優勝の立役者です。スワローズの一員として頑張ってくださりありがとうございました」

◆プロ野球セ・リーグで25日、ヤクルトが2連覇を達成した。東京都新宿区の神宮球場で行われた2位DeNAとの直接対決で劇的なサヨナラ勝ちを収めた。優勝を決めた瞬間、主砲の村上宗隆内野手らナインがグラウンドに飛び出し、殊勲打を放った丸山和郁外野手に水をかけて歓喜の輪をつくった。昨年の優勝は敵地で勝った後、2位チームの敗戦を待って決まった。今年は本拠地で栄冠をつかむ瞬間を一目見ようと、試合前から球場周辺はユニホーム姿やグッズを手にしたファンで大混雑。新型コロナウイルスの感染拡大による入場制限もなく、満員の2万9714人が見届けた。主将としてチームを支えた山田哲人内野手の大ファンという東京都目黒区在住の会社員、新杉亜希奈さん(27)は「去年は優勝の瞬間を生で見られなかったけど、今年はみんなで喜び合えるのでうれしい」と笑顔。神奈川県大和市から応援に駆けつけたという自営業の岩田洋さん(55)は「このまま日本一まで突っ走ってほしい」と力を込めた。

◆ヤクルトが、サヨナラでマジック対象球団の2位DeNAに勝ち、2年連続9度目のリーグ制覇を果たした。以下、優勝記者会見でのヤクルト・村上宗隆内野手(22)の一問一答。ーー率直に今の気持ちは「いや、もう、最高です」ーー2位DeNAとの3連戦で、神宮で優勝を決めた「いいめぐり合わせで、今日こうして2位のチームとマジック2で戦うことができて。それも、負ければすごく苦しい戦いになると思っていましたけど、本当に選手みんな、僕たちみんな集中していましたし、今日絶対に決めるぞという気持ちでやっていたので、今日(優勝を)決められてすごく嬉しいです」ーー高津監督からは「かなり力強い胴上げ」という評価が「天まで飛ばしてやろうかなと(笑)。はい、思っていきました」ーー長いシーズンを振り返って、今日の一日というものは「シーズン143試合、すごくいろいろなことがあり、勝つ日もあれば負ける日もあり、打てる日もあれば打てない日もありという、すごく難しいというか。その日その日で。その1打席1打席で。感情というものが出てしまうので、すごく難しいところがあるんですけど。こうして最後、優勝して、みんなで喜びを分かち合って。この瞬間があるから本当に、苦しいときも耐えられますし。本当に今日この瞬間が...はい、素晴らしいです」ーーシーズン中はさまざまな記録との戦い。さまざまな方からの期待、プレッシャーもあったと思う。今シーズンの成績については「まだ終わっていないので。もっともっとプレッシャーをかけて。押しつぶすくらいのプレッシャーをかけてもらいたいなと思います」ーー残りレギュラーシーズン6試合とポストシーズンに向けて意気込みを「とにかく、皆さんの期待に応えられるように頑張りたいと思いますし。大きな目標としてはやっぱり日本一というのもあるので、そこに向けて頑張ります」

◆ヤクルトが、サヨナラでマジック対象球団の2位DeNAに勝ち、2年連続9度目のリーグ制覇を果たした。以下、優勝記者会見でのヤクルト・山田哲人内野手(30)の一問一答。――キャプテンとして、今日のリーグ優勝。どんな日になった「めちゃくちゃうれしいです。はい」――リーグ連覇を決めたときには、涙...光るものがあった。どんな気持ちが「一番はホッとしたというか...。すごい苦しかったんですけど、なんとか目標を達成することができたので、本当に良かったなと思っています」――村上選手を含めて、さまざまな方からキツめのハグを受けていた「余計に涙が出てきましたね、なんか。はい(笑)」――キャプテンとしてチームを引っ張る立場。今年のヤクルトの強みはどこに「やっぱり助け合いというか。僕自身もキャプテンとしてしっかり結果を出してみんなを引っ張っていくというのが目標だったんですけど、見ての通り成績も良くなかったですし。逆にみんなの足を引っ張っているとういか、そういう試合も多かったので。そこをムネ(村上宗隆)にはすごく助けてもらいましたし。ムネだけじゃなくてほかの選手にもたくさんカバーしてもらいましたし。本当に勝てたこと、優勝できたことをみんなに感謝したいと思っています」――神宮で(優勝を)決めた。ファンの声援、気持ちは届いていた「はい。声も出せない状況ですけど、たくさん拍手を送っていただいて。本当にそれが力になっています」――残りレギュラーシーズン6試合、ポストシーズンに向けての意気込みを「目指すのはまた日本一だと思いますけど、目の前の一戦を。一戦一戦、戦うだけだと思いますので、先を見ずに目の前の相手を倒したいと思っています」

◆ヤクルトが、サヨナラでマジック対象球団の2位DeNAに勝ち、2年連続9度目のリーグ制覇を果たした。以下、優勝記者会見でのヤクルト・小川泰弘投手(32)の一問一答。ーーまずは、リーグ優勝おめでとうございます「ありがとうございます」ーー選手会長として、このリーグ優勝はどんな気持ちか「2年連続で高津監督を胴上げすることができてとても嬉しいですし、キャンプから2連覇を目指しているという話でスタートしましたので。難しいとはわかっていましたけど、チーム全員で団結して、つらいときも進んでこれたので。そういう、つらい日々を乗り越えてみんなでこれて良かったと思っています」ーー勝てば優勝が決まるという重要な試合の先発マウンド。どういった気持ちで立った「もちろん緊張感はいつもより少し強かったんですけど。そのなかでも自分の力を発揮することがいちばんだと思いましたし、自分を信じて、仲間を信じて。1球1球、強気で攻めるということを意識して投げました」ーー今日のピッチングを振り返って「そうですね...。DeNA打線もすごく集中していて打ち取るのは難しかったんですけど。テツだったり、ムネが声をかけてくれて、なんとか力を出せたと思います」ーー九回裏の丸山選手のサヨナラタイムリー。どういった気持ちだった「2015年も6回を投げて無失点だと思うんですけど、最後に雄平さんが決めて、それにちょっと丸山がかぶっているなと思って。打ってくれたら嬉しいなと思っていて。それが現実になって、とても嬉しかったです」ーーチームの中心、柱として引っ張ってきた。今シーズンのご自身を振り返ってどうか「シーズン全体で見ると、ふがいない部分ももちろんありましたし。そのなかでも、高津監督の下で成長できている部分を自分で感じていますし。そういうところに喜びを感じているところで。まだまだ伸びると思って挑戦していきたいと思います」ーーこの後のポストシーズンに向けて意気込みを「まだ厳しい戦いが残っているので、まずは今日はしっかり喜んで。また切り替えをうまくやって、頑張っていきたいと思います」

◆ヤクルトの塩見が代走で出場し、連覇を決めるサヨナラのホームを踏んだ。24日の試合で走塁中にぬかるんだ土に足を取られて途中交代。この日は先発を外れたが、九回に内野安打のオスナに代わってグラウンドへ。中村の犠打で二塁へ進み、丸山和の二塁打で右手を上げながら大喜びで生還した。昨季からレギュラーに定着し、今季は16本塁打、24盗塁と長打力と走力を兼ね備えたリードオフマンとしてチームを勢いづけてきた。「この2年間は合格点かなという貢献はできた」と自信を深めた様子だった。

◆ヤクルト・山田は歓喜の輪の中で涙を流した。「一番はほっとしたというか、すごい苦しかったけど何とか目標を達成できて良かった」と主将の務めを果たして安堵した。中軸を組んだ村上と目が合うとさらに涙があふれ、大きな胸に飛び込んだ。三回2死で今永から左中間へチーム初安打となる二塁打を放ち、二塁の守備でも五回1死二塁で打球を処理して三塁へ送球し、二塁走者をアウトにする好プレーを見せた。「他の選手にもカバーしてもらって勝てた。みんなに感謝したい」と最後は満面の笑みを見せた。(神宮)

◆ヤクルトの清水がピンチをしのいでサヨナラ勝ちに貢献した。0―0の八回に登板し、1死から代打オースティンに二塁打を許したが、佐野を右飛に、牧を低めの変化球で空振り三振と中軸を抑え、マクガフにバトンをつないだ。昨季は72試合に登板し2年連続で最優秀中継ぎ投手に輝いた。今季は新型コロナウイルス感染やけがもあり46試合の登板にとどまっているが、離脱も「自分を見つめ直す時間になった」と前向きに捉えた。セットアッパーとして今季わずか5失点と安定した投球を続け、リーグ連覇をもたらした。

◆ヤクルトは神宮球場のグラウンドの中堅付近にシートを敷き、ファンの前で祝勝会を行った。選手会長の小川の「皆さんの愛に見守られながら高く飛び続けます」という声を合図に、昨年の日本一達成時以来のビールかけがスタート。村上は「気持ちいい」と絶叫し、用意された瓶ビール3000本が次々と泡と消えた。

◆ヤクルトが、サヨナラでマジック対象球団の2位DeNAに勝ち、2年連続9度目のリーグ制覇を果たした。ヤクルトは2015年以来となる公開祝勝会をグラウンド上で実施。白の優勝記念Tシャツを着用し、選手会長の小川泰弘投手(32)の音頭でスタートした。村上宗隆内野手(22)はインタビューに答え、「最高です!言うことないです!」と大興奮。さらに「記録がかかっているので頑張ります」とコメントした。村上は現在55本塁打で、プロ野球記録(60本)の更新や、史上最年少となる三冠王獲得に期待がかかる。スタンドには多くのファンが残り、ビールかけを見守った。昨年にセ・リーグを制覇した際は新型コロナウイルスの影響でビールかけは行わなかった。また、日本一達成時は感染対策として人数をしぼったうえでビールかけを行っていた。

◆セ・リーグは25日、優勝へのマジックナンバーを「2」としていた首位ヤクルトが2位DeNAに1―0でサヨナラ勝ちし、2年連続9度目の優勝が決まった。高津臣吾監督は就任3年目で2度目のリーグ制覇。ヤクルトの連覇は野村克也監督時代の1992、93年以来2度目で、サヨナラ勝ちでのリーグ優勝決定は2015年以来となった。2年連続最下位からのリーグ2連覇はプロ野球史上初。最下位から2連覇した例は76、77年に長嶋茂雄監督が率いた巨人の例がある。5月21日に首位に立つとその座を譲らず、137試合目で栄冠を手にした。ヤクルト・高津監督「チームスワローズで挙げた大きな大きな1勝。皆さんと一緒でうれしい。ほっとして気分もいい。輪が崩れない素晴らしいチーム。みんなの力。ヤクルトファンの皆さん、セ・リーグ優勝おめでとうございます」ヤクルト・根岸孝成オーナー「引き続きクライマックスシリーズを勝ち抜き、躍動する野球で球団史上初となる日本シリーズ連覇を果たしてくれることと確信している」ヤクルト・衣笠剛球団社長「連覇には計り知れない難しさがあったと思うが、チーム一丸となって躍動し、スローガン『熱燕』を実現してくれた。2年連続日本一を目指して戦っていく」

◆セ・リーグは25日、優勝へのマジックナンバーを「2」としていた首位ヤクルトが2位DeNAに1―0でサヨナラ勝ちし、2年連続9度目の優勝が決まった。高津臣吾監督は就任3年目で2度目のリーグ制覇。ヤクルトの連覇は野村克也監督時代の1992、93年以来2度目で、サヨナラ勝ちでのリーグ優勝決定は2015年以来となった。2年連続最下位からのリーグ2連覇はプロ野球史上初。最下位から2連覇した例は76、77年に長嶋茂雄監督が率いた巨人の例がある。5月21日に首位に立つとその座を譲らず、137試合目で栄冠を手にした。大きく飛躍した4番打者の村上宗隆内野手を中心にした強力打線で勢いをつけた。5~6月の「セ・パ交流戦」を4年ぶりに制し、7月2日にはセ、パ両リーグ史上最速で優勝へのマジックナンバー「53」が点灯。一時は2位に13・5ゲーム差をつけた。8月にDeNAに4ゲーム差まで追い上げられたが、26日からの敵地での3連戦で3連勝して突き放した。斉藤惇コミッショナー「高津監督のチーム掌握術や采配に磨きがかかり、他を圧倒した勢いは目を見張るものがあった。若き主砲・村上選手が放つ本塁打がチームに勢いを与えたことは言うまでもない」DeNA・三浦監督「自分たちが目指していたところを相手にやられた。自分たちはまだ力を付けている最中。日々取り組んでやっているし、これからもやっていく」巨人・原監督「非常に投打のバランスが良かった。投手陣がストライクをどんどん取ることを恐れないという点では非常に攻撃的なチームだったと思う」広島・佐々岡監督「投打のバランスが良かった。打線の中心の村上をマークしながら前後を打つ山田、外国人選手にもやられた。シーズンの最初はなかなか勝てなかった」中日・立浪監督「村上選手が脅威だった。1番打者からずっと気の抜けない打線で、何点(リードが)あっても勝った気がしない」

◆ヤクルトが、サヨナラでマジック対象球団の2位DeNAに勝ち、2年連続9度目のリーグ制覇を果たした。青木宣親外野手(40)は7年ぶりに神宮球場で行われた公開ビールかけでインタビューに答え、「みんなー!おめでとう!遅くまでありがとう」とスタンドで見守るファンへ熱いメッセージ。そして「まだこの次もあるから。まだビールかけするから!(日本シリーズの後?)そういうことですよ。日本シリーズ勝ってもう一回やるよ!」と誓った。さらに、村上宗隆内野手(22)が青木へビールをかけながら乱入。「青木さんのおかげでここまでやれました!青木さん、ありがとう!」とマイクに向かって絶叫すると、ファンから大きな拍手が沸き起こった。

◆持っている全ての力をバットに込めた。0-0の九回1死二塁。途中から右翼に入ったヤクルトのドラフト2位・丸山和郁外野手(23)=明大=が、左中間を破る適時二塁打で勝負を決め、満面に笑みを広げた。「自分でも、打つとは思っていなかった。記録にも、チームの優勝にも貢献できたので本当に良かった」劇的な幕切れを、自身初のサヨナラ安打で導いた。サヨナラ打で優勝を決めたのは2015年のヤクルト・雄平以来7年ぶり。新人選手のサヨナラ打による優勝決定は史上初だ。サンタナが八回の守備で負傷し、巡ってきた出番だった。迎えた九回の打席。エスコバーの外角直球に合わせ、前進守備の外野陣の間を真っ二つに割ると、ベンチを飛び出してきたチームメートから歓喜のウオーターシャワーを浴びた。人口5000人に満たない群馬・倉渕村(現高崎市)生まれ。3人兄弟の末っ子で、兄2人とかけっこや鬼ごっこをして身体能力を培った。同学年の村上に負けじと、50メートル5秒8の俊足と広い守備範囲が持ち味の新人外野手が、リーグ連覇への扉をこじ開けた。(森祥太郎)

◆秋の訪れを心地よく感じながら、懸命に腕を振った。ヤクルト・小川泰弘投手(32)が6回を2安打無失点に抑え、勝利への架け橋をつないだ。「大事な試合に先発させていただいて、試合はつくれた。とにかく攻めていきました」エース対エース。DeNA・今永との投げ合いに力が入った。立ち上がりから両コースに制球よく投げ込み、五回1死まで無安打投球。ソトの左中間二塁打で初安打を許したが、嶺井の二ゴロで進塁を狙った走者をアウトに。森に中前打されて2死一、二塁とピンチは続いたものの、今永を一ゴロに打ち取った。バトンを渡された救援陣は石山が17球、清水が16球、マクガフが11球で無失点リレー。燕が誇る鉄壁の投手陣が打線に流れをもたらし、劇的な幕切れにつなげた。

◆ヤクルトは25日、DeNA24回戦(神宮)の九回にドラフト2位・丸山和郁外野手(23)=明大=が決勝打を放ち、1-0でサヨナラ勝ち。2年連続9度目のリーグ優勝を果たした。2年連続でセ・リーグ最優秀選手賞(MVP)の受賞が決定的な村上宗隆内野手(22)は、涙を流した主将の山田哲人内野手(30)と熱い抱擁。チームは10月12日に始まるクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージから出場し、球団史上初の2年連続日本一を目指す。勝った。連覇だ!! 最高の喜びを表現するように、村上は満面の笑みでグラウンドに駆け出した。何よりも勝利を、頂を目指してきた主砲があふれる思いをはき出した。「最高です。この瞬間があるからこそ苦しい時も耐えられる。今日の瞬間が素晴らしいです」劇的なサヨナラ勝利で歓喜の輪ができた。村上の目に飛び込んできたのは涙を流し、震える山田の姿。太い腕で、先輩を抱きしめた。山田が「余計、涙が出てきましたね」と振り返った熱い抱擁。主軸として一緒に戦ってきたからこそ、つらい思いも理解していた。この日の自身は4打数無安打。結果が出なくても、主将とともにつかんだ優勝がうれしかった。入団5年目で最高のシーズンとなった。プロ野球新記録の5打席連続本塁打に、史上最年少の通算150本塁打、1964年に王貞治(巨人)が打ち立てた日本選手最多に並ぶシーズン55本塁打。そして、92、93年以来のリーグ連覇を達成。高津監督を力いっぱいに胴上げし「天まで飛ばしてやろうかなと思ってやりました」と豪快に笑った。苦しかったときに救ってくれたのが山田だった。7月2日に史上最速で優勝マジック「53」が点灯してから苦難が続いた。新型コロナウイルスの影響で主力が続々と離脱し、同8-18日に6連敗。村上は孤軍奮闘していたが、チーム状態は悪化した。そんなときに、スマートフォンが鳴った。「気負いすぎるなよ」自らもコロナ陽性で離脱していた山田からの言葉で再び前を向いた。遠征時などはともに移動することも多い8歳上の先輩は、22歳の若き主砲にとって特別な存在だ。グラウンドに立ち続ける―。そう誓った日があった。8月6日。倦怠(けんたい)感を覚えて、出場選手登録を抹消された。4番での連続出場は360試合でストップ。チームにもファンにも衝撃が走った。「チームを離れたくなかったけど、何かあったらもっと迷惑をかけてしまう。思い切って休んだ」。自宅ではテレビ越しに映る仲間を見て「勝ってくれ」と願った。翌7日にPCR検査で陰性が出て復帰。本調子ではなかったが、主砲として弱音は吐いていられなかった。ユニホームを脱ぎ、テレビ観戦した〝空白の一日〟。「こうやって1軍の試合を見ることは、もうしたくない」と誓い、頂へ向けて再び歩み出した。全力で駆け抜けたレギュラーシーズンは残り6試合。日本選手最多のシーズン56号、令和初で最年少の三冠王など、大きな夢は広がる。そして、球団初の2年連続日本一達成へ。「もっともっとプレッシャーをかけてもらいたい。自分ならできると信じて頑張りたい」。大切な仲間たちと手を取り、新たな時代をつくる。(赤尾裕希)★山田主将号泣 主将が泣いた。山田は選手たちと次々抱き合い「一番はほっとしたというか、すごく苦しかったけど何とか目標を達成できて良かった」と安堵。中軸を組んだ村上と目が合うとさらに涙があふれ、胸に飛び込んだ。7月には新型コロナウイルスに感染し離脱。復帰後は不振に陥り打率・244、23本塁打、65打点にとどまる。「キャプテンとして、しっかり結果を出して引っ張っていくのが目標だったけど、足を引っ張っている試合が多かった。ムネ(村上)には、すごく助けてもらった。みんなに感謝したい」と頭を下げた。

◆最後まで追い続けた希望の光は、神宮球場の左中間へ抜けた打球とともに消えた。昨季に続いて目の前でヤクルトに胴上げを許し、DeNA・三浦大輔監督(48)は「本当に、みんなよく食らいついたと思う。今は悔しくてしようがない」と言葉を絞り出した。意地は見せた。昨季もヤクルトの優勝が懸かった10月26日(横浜)の試合に先発し、3回5失点でノックアウトされたエース・今永が7回3安打無失点。4番・村上を3打席無安打、2三振に封じ込める今季最多タイ、123球の熱投に、指揮官は「一球一球、魂を込めてよく投げてくれた」と賛辞を贈った。12球団最長を更新する24年連続のV逸となったが、今季は最大17・5ゲーム差から驚異の追い上げを見せた。この日、巨人が敗れてセ・リーグ2位が確定。3年ぶりに進出するクライマックスシリーズ(CS)の本拠地・横浜スタジアム開幕が決まった。ファーストステージを勝ち抜けば、再び神宮球場でヤクルトとの対戦が待っている。目の前で優勝を決められた屈辱から、今季のチームスローガン「横浜反撃」は生まれた。しかし、最下位に終わった昨季とは違う。「反撃」を掲げる戦いは、まだ終わらない。(浜浦日向)

◆ヤクルト・高津臣吾監督(53)は25日、2年連続9度目のリーグ制覇を果たし、ナインの手で7度宙に舞った。恩師、野村克也元監督(享年84)が指揮を執った1992、93年以来となる連覇を達成。7月には新型コロナウイルスに感染して離脱するなど苦悩と、改めて野球をできる幸せを噛みしめたシーズンで頂点に立ち、本拠地・神宮球場で万雷の拍手を浴びた。万感の思いで眼前の絶景を見つめた。高津監督が選手たちと抱き合った。2年連続9度目のリーグ制覇を達成。満員の神宮で7度宙に舞った。「みんなをここまで信用して、信頼してやってきました。ファンの皆さんも一緒にチームスワローズであげた1勝が、大きな大きな1勝だと思っています」新年。家族と故郷・広島市内の神社に初詣に訪れた。1968年生まれで今年は厄年のため「八方塞がり」の厄除けも済ませ、頂への一歩目を踏み出した。始まりは順調だった。3月25日の阪神戦(京セラ)でセの開幕戦史上最大となる7点差を逆転して勝利。昨季固まった結束力は強まり、自信は力に変わった。6月は交流戦でセ・リーグ初の全6球団に勝ち越しての完全優勝を達成し、球団最多タイの月間19勝。7月2日には史上最速で優勝へのマジックナンバー「53」が点灯し、プロ野球タイ記録の14カード連続勝ち越しも記録した。だが、そこからの道が険しかった。7月上旬。多数の主力が新型コロナウイルスに感染し、自身も陽性判定を受けた。自宅で一日中野球のことを考え、オンラインで毎日、コーチミーティングに参加した。グラウンドから離れた10日間。何よりもユニホームを着られないことがつらかった。「勝って喜び、負けて悔しがる。それはすごく幸せなんだなと改めて感じた。ユニホームを着ていることが当たり前と思っちゃいかん」苦難の日々が脳裏を駆け巡った。2005年8月1日。米大リーグ、ホワイトソックスから戦力外通告を受けた。翌朝、人気のないクラブハウスで荷物をまとめて帰宅。夜、テレビ画面に映る元同僚たちのユニホーム姿がまぶしく見えた。「あのつらさには勝てない。あの日々を思い出したよ」。毎日通訳と2人で公園でキャッチボールをしながらオファーを待った。「野球人が野球を取り上げられることほど不幸なことはない」。勝負の世界に身を置く喜びを再認識した。今季も言葉の力を信じて、託した。勝利から遠ざかり、重圧に苦しむ村上には電話をかけた。「大変だろうけど、チームを引っ張れ。それがお前の仕事の一部だ」。指揮官の言葉が、孤独だった主砲を奮い立たせた。連覇に必要不可欠だった〝新鮮力〟を支えたのも、指揮官の言葉だった。開幕から正遊撃手として起用した高卒3年目の長岡には常に「体大丈夫か?」と気遣った。若い芽を育てながら勝つ。常勝軍団となるためには、新しい力が必要だった。監督就任3年目。「常に心配だし、不安だった」。熟睡できる日などない。体重は現役時代から10キロ減った。日曜日に勝つのが何よりの喜びだった。「次の日は何もない。『全然寝られないな』と思いながらベッドに入るのがすごく幸せなんだよ」。頂点に立ち「ゆっくり寝られそうです」と笑った。球団では1992、93年以来のリーグ連覇。恩師の野村克也監督に並んだ。現役時代に〝ノムラの教え〟をメモしたノートは今季、一度も見返さなかった。「見ようかなと思ったことは何回もある」というが、踏みとどまった。「野村ID野球」に「高津流」を加え、昇華させることが新たな黄金期を築くスワローズウェイ。苦難を乗り越え、歴史を刻んだ。(赤尾裕希)■データBOX ヤクルト・高津監督は就任3年目で連覇を達成した。監督就任1年目から3シーズンで2度以上優勝に導いたのは、17-19年の西武・辻発彦(18、19年に優勝)以来3年ぶり14人目。1年目に最下位で2年目からリーグ連覇に導いたのは、1975-77年の巨人・長嶋茂雄以来45年ぶり2人目。投手出身監督の連覇は89、90年の巨人・藤田元司(4年目から)、97、98年の西武・東尾修(3年目から)に次いで24年ぶり3人目で、就任2年目からの連覇は最速。■高津 臣吾(たかつ・しんご) 1968(昭和43)年11月25日生まれ、53歳。広島県出身。広島工高、亜大を経て91年ドラフト3位でヤクルト入団。最優秀救援投手に4度輝くなど抑えとして活躍した。2003年オフにFAでホワイトソックス移籍。メッツを経て06年にヤクルト復帰。08年から韓国、台湾などでプレーし、12年にBCL新潟で現役引退。日米通算697試合で44勝52敗313S、防御率3・22。20年からヤクルト監督を務め、昨季は球団20年ぶりの日本一。180センチ、75キロ。右投げ右打ち。背番号22。

◆連覇達成を支えたのは投手陣の踏ん張り。特に救援陣の奮闘が光った。2年連続最下位に沈んだ際には「投手陣の整備が課題」と言われたが、今や頼もしさを感じる。34歳の石山、32歳の守護神・マクガフがいるが、田口や今野、木沢ら20代がほとんど。昨季まで2年連続で最優秀中継ぎのタイトルを獲得した清水はこう証言する。「若返りがすごい。誰にでもチャンスがある雰囲気がありますし、みんなギラギラしてやっている感じがします」7月上旬に主力が新型コロナウイルス感染で離脱したが、そのチャンスをものにしたのは4年目左腕・久保だ。7月12日に昇格すると勝ちゲームも任されるように。「何とか爪痕を残したいという一心だった」と久保。「競争心」が勝利に導くピースを生んだ。高津監督は「今後のスワローズのことを考えても、新しい人がどんどん出てくるようなチームになっていかないといけない」と〝新鮮力〟の台頭を望んでいた。和気あいあいとしながらも、競争がある。目に見えぬギラギラ感がV2を支えた。(ヤクルト担当キャップ・赤尾裕希)

◆目頭が熱くなった。5月8日の巨人戦(東京ドーム)。入団2年目の木沢がプロ初勝利を挙げた。担当1年目の記者は慶応高、慶大の同級生。取材で目があった瞬間に「やったよ!」とグータッチを交わしてくれた。昨季は1軍で登板機会なし。春季キャンプで伊藤コーチと二人三脚で制球力向上に励む姿を見ていただけに、自分のことのようにうれしかった。木沢だけではない。若手にとって最高の環境が強さを加速させた。石川・星稜高から入団2年目の内山壮は、42歳の石川と22歳離れた「親子バッテリー」を組んだ。試合中のベンチでは配球や狙いを話し合い、熟練の投球術を習った。ベンチスタートのときは必ず嶋兼任コーチの隣に座り、成長の糧にした。前向きなプレーには称賛を送り、後ろ向きなプレーには反省を促す。ベンチには若手が失敗を恐れずに挑戦できる雰囲気があった。「リーダーに石川、副リーダーに青木のヤングスワローズ」と話すこともあった高津監督。若手の急成長の裏には首脳陣やベテランの献身があった。(ヤクルト担当・森祥太郎)

◆素直に、たたえたい。エモトは1月、サンケイスポーツの『日本一早い順位予想』でヤクルトを1位に推した。理由は「2年連続最下位だったから、連覇が至上命題」。まさか、この予想に発奮したわけでもないだろうけど、厳しい注文に一発回答。実力による正真正銘の優勝だよ。チーム防御率は、巨人とそれほど変わらない。阪神には大きく引き離されている。それではなぜ、大差がついたのか。やはり、高津監督だ。シーズンを通した起用法、その日の出来不出来の見極めなど、ぴたりとハマった。天国の野村克也さんに報告しようか。よく「投手出身は監督に向いていない」と口にしていた。「捕手と内野手出身が適している」というのが持論。どうですか? 投手出身の高津監督が、ヤクルトではノムさん以来の連覇を果たしましたで。(本紙専属評論家)

◆2022年は村上のシーズンだった。圧倒的な成績に加えて、要所での勝負強さも光った。昨季までとの変化に打席の中での思考法が挙げられる。昨季は好機に必ずと言っていいほど力みが見られた。今季はそれが見受けられなかった。いつも通りに打てば本塁打になる、芯に当てれば長打になる、今季はそうした〝いつも通り〟のマインドで打席に入っていた。シーズン中盤以降、勝負を避けられる場面が増えた。相手は内角、変化球、ボール球中心などさまざまな手段で形を崩そうとしたが、動じていなかった。周囲の騒がしさも増して集中力を維持しにくかったのは想像に難くない。精神力も大したものだ。チャンスだから、結果がほしいから、そんな〝邪念〟も振り払った村上が、チームを優勝に導いた。(本紙専属評論家)

◆決して楽なシーズンではなかったが、総合力で勝ち取った連覇といえるだろう。優勝するために、選手は多かれ少なかれ無理をしている。次の年はその影響が出るし、他の5球団は当然のことながら、ヤクルトを意識してたたきにくる。だから連覇は難しい。私が指揮を執った2015年も、前年最下位からの優勝だった。川端が首位打者、山田が本塁打王と盗塁王、畠山が打点王。投手陣は石川と小川が2桁勝利を挙げ、バーネットは最多セーブと、選手が頑張ってくれた。だが、翌16年は畠山が故障がちで45試合の出場にとどまり、バーネットはメジャーへ移籍。なかなか穴が埋まらず、5位に終わった。今のチームはとにかく投打のバランスが良い。急に戦力が落ちることはないだろうから、来季以降も期待できる。(本紙専属評論家)

◆ヤクルトは25日、DeNA24回戦(神宮)の九回にドラフト2位・丸山和郁外野手(23)=明大=が決勝打を放ち、1-0でサヨナラ勝ち。2年連続9度目のリーグ優勝を果たした。2年連続でセ・リーグ最優秀選手賞(MVP)の受賞が決定的な村上宗隆内野手(22)は、涙を流した主将の山田哲人内野手(30)と熱い抱擁。サンケイスポーツに手記を寄せた。チームは10月12日に始まるクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージから出場し、球団史上初の2年連続日本一を目指す。本当にうれしい。連覇は簡単ではなかったけれど、今年は苦しんだ分、最高にうれしいシーズンになりました。個人成績では5打席連続本塁打、通算150本塁打、シーズン55本塁打を記録することができました。ただ、この感情は優勝できたからこそ生まれるものだと思います。いくら本塁打を打っても、勝てなければ意味がない。勝つこと、優勝すること。これが一番。頂点に立つことができなければ、満足いくシーズンだったと胸を張って言えませんでした。僕は子供の頃からずっと負けず嫌い。何事にも負けたくないし、とにかく勝ちたい。ずっと勝ち続けたいから、テレビゲームや携帯ゲームもほとんどしません。だから(7勝13敗と低迷した)7月は本当に苦しかった。悔しかった。ノリさん(青木)、ムーさん(中村)、哲さん(山田)、塩見さん...。新型コロナウイルスの影響で主力選手が次々と離脱しました。「一致団結してやることで力は大きくなり、強くなる。その『中心』に僕がいることは自覚している」。いつも先輩方に守られてきましたが、自分に言い聞かせるためにも『中心』という言葉を使いました。でも、正直しんどかった。何より勝てないことがつらかった。気負い過ぎていた部分があったのかもしれません。『中心』を意識したことで勝敗がより重くなりました。負けが重なるほど責任を感じ、初めて『孤独』を感じていました。苦しい日々の中、改めて感じたのは仲間の大切さでした。自分の本塁打で勝つことがあります。勝利に導くのが4番の仕事。でも、決して一人の力だけでは勝てない。それが、野球。監督やコーチ、スタメンの9人、ベンチで声を出す人、ここぞの場面で試合に出ていく人、支えてくれる裏方さん。みんながいて初めて勝てる。勝利は仲間と一緒につかむものだと気づかされました。だから、哲さんの涙は絶対に忘れません。6連敗となった8月11日の広島戦後、選手だけでマツダスタジアムのブルペンに集まりました。選手の輪の前で哲さんが目に涙をためて「助けてください」と頭を下げました。あんな表情で、あんなことを言う姿は初めて見ました。当時の哲さんはたしかに調子が良くなかった。でも、全員の前で頭を下げるのは簡単なことではありません。いろんな感情が巡りました。僕だって打てない時がある。どんな時も主将としてチームの中心で責任を背負う哲さんの存在は本当に偉大です。僕だって助けてほしいときがある。「哲さん、助けてよ」。心から叫びたいときが絶対に来る。だから「哲さん、そのときは頼みますよ」と心の中でつぶやきました。口にはしません。言わずとも気持ちは伝わっているはずだから。助けたいし、助けてほしい。心からそう思いあえるこのチームで絶対に優勝したい。哲さんの涙で「チームスワローズ」が一致団結したと思います。野球を始めた頃から、プロ野球選手になることを疑わずに突っ走ってきました。夢に見た舞台に立ち、今度は夢を与える立場。でも、ここまで来るには必ず誰かが手を差し伸べてくれました。自分一人では今年の成績も、連覇達成もなかった。人との出会いをどう生かすかは自分次第。今まで僕を支えてくれた人には感謝しかありません。だから、最後はこの言葉を伝えたいと思います。みんな、ありがとう―。(東京ヤクルトスワローズ内野手)

◆ヤクルトのチーム打撃成績をみると、他球団を圧倒する数字が並んでいるわけではない。山田、サンタナらは昨季より成績を落としたものの、チーム得点はリーグ1位。盗塁、犠打などの小技を含め、打線として機能したことの証しだ。今季はどの球団も、ベテラン勢が思うような成績を残せなかった。ヤクルトにしても、青木、川端らは不本意なシーズンだっただろう。ベテランを若手がうまくカバーした。打率は決して高くなくても、みんな勝負強い印象がある。他球団と比べて、その一本が勝負どころで多く出ていた。捕手は中村が離脱したときに、高卒2年目の内山壮の勝負強さが目立った。さらに7年目の山崎、新人の丸山和ら、近い将来にレギュラーを取りそうな名前が次々と出てくる。選手層の厚さをみせつけたシーズンだった。(本紙専属評論家)

◆1994年にデビューした球団マスコット、つば九郎にとっても初の連覇。8月5日の巨人戦(神宮)で前人未到ならぬ前〝鳥〟未到の主催2000試合出場を達成したレジェンドは「だいすきななかまたち おめでとうございます(ありがとうございます)」と直筆のメッセージを寄せた。チームの苦境に村上以外にも長岡、内山壮、木沢ら「わかいしゅう」が活躍したことを挙げ、「はるのきゃんぷからまいにち、はやで、いのこりれんしゅうでどろんこでした。かんとく、こーち、うらかたさんとみんなでばっくあっぷし、せいちょうをかんじていますよね。まだ、いんたびゅーにはなれてませんが、ぐらうんどではごうかいなぷれー、こんごがたのもしいです」と絶賛した。昨年は高津監督の粋な計らいで日本シリーズ第6戦(ほっと神戸)に急きょ駆け付け、20年ぶりの日本一に立ち会った。「まだまだたたかいはつづきます。CSとっぱしてにほんしりーずへ。あのすばらしいこうけいをまたみせてください!!」と期待した。

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
77573 0.575
(↑0.004)
優勝
(-)
6596
(+1)
550
(-)
166
(-)
69
(+1)
0.251
(-)
3.560
(↑0.03)
2
(-)
DeNA
70642 0.522
(↓0.004)
7
(↓1)
7477
(-)
512
(+1)
112
(-)
49
(-)
0.251
(↓0.001)
3.500
(↑0.01)
3
(-)
巨人
67713 0.486
(↓0.003)
12
(↓1)
2545
(+1)
586
(+7)
163
(-)
64
(-)
0.244
(-)
3.720
(↓0.02)
4
(-)
阪神
66713 0.482
(-)
12.5
(↓0.5)
3480
(-)
423
(-)
82
(-)
106
(-)
0.244
(-)
2.700
(-)
4
(-)
広島
66713 0.482
(-)
12.5
(↓0.5)
3547
(-)
531
(-)
89
(-)
26
(-)
0.258
(-)
3.530
(-)
6
(-)
中日
63732 0.463
(↑0.004)
15
(-)
5400
(+7)
480
(+1)
61
(-)
62
(+3)
0.246
(↑0.001)
3.300
(↑0.01)