ヤクルト(☆7対6★)広島 =リーグ戦22回戦(2022.09.09)・明治神宮野球場=
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広島
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ヤクルト
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勝利投手:久保 拓眞(1勝0敗0S)
(セーブ:マクガフ(1勝2敗35S))
敗戦投手:大瀬良 大地(8勝8敗0S)

本塁打
【ヤクルト】村上 宗隆(53号・2回裏ソロ),塩見 泰隆(14号・5回裏2ラン),長岡 秀樹(8号・6回裏2ラン)

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◆ヤクルトが接戦を制した。ヤクルトは2-4で迎えた5回裏、塩見の2ランで同点とする。続く6回には長岡の2ランと塩見の適時二塁打で3点を挙げ、勝ち越しに成功した。投げては、2番手・久保がプロ初勝利。敗れた広島は、先発・大瀬良が試合をつくれなかった。

◆広島秋山翔吾外野手(34)がベンチ入りメンバーからも外れ、首位ヤクルトとの2連戦初戦を欠場することになった。普段、ビジターでの試合前練習では真っ先にグラウンドへ出てストレッチを行うが、午後3時30分の全体練習開始になっても姿を見せなかった。結局最後まで姿を見せることなく、試合前練習は終了。直後に発表されたベンチ入りメンバーからも外れた。前日8日の中日戦(バンテリンドーム)では「3番中堅」でフル出場していた。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)が2試合ぶりの53号ソロを放ち、シーズン52号本塁打の63年野村克也(南海)と85年落合博満(ロッテ)を抜いた。2回無死、広島大瀬良からセンターバックスクリーンへ運んだ。村上は球団を通じて「打ったのはスライダーです。なんとか先に点を取ってチームに勢いをつけたかった。先制点につながる打撃ができてよかったです」とコメント。これで64年王貞治(巨人)がマークした日本選手最多の55本塁打に、あと2本と迫った。試合前には8月26日DeNA戦(横浜)で史上最年少での達成となった通算150本塁打の表彰も行われた。もちろんシーズン53本塁打も「村神様」が史上最年少だ。ヤクルト村上が53号。シーズン53本塁打以上は、13年バレンティン(ヤクルト=60本)以来、プロ野球6人目。日本選手では63年野村(南海)85年落合(ロッテ)の各52本を抜き、64年王(巨人=55本)以来58年ぶり2人目となった。チーム124試合目での53号は、バレンティンの120試合目に次ぐ2番目のスピード。

◆元バレーボール日本代表の狩野舞子さん(34)が始球式を務めた。背番号1に「KANO」と記されたレプリカユニホームで登場。セットポジションから投じた球は、やや高めにいったが、ノーバウンドで見事、捕手のミットに収まった。「めちゃくちゃ緊張しました。でも、ひとまずノーバンでいって良かったと思います。去年(の2軍戦での始球式ではノーバウンドにならなかった)悔しさがずっとあったんですけど。去年は力んでバウンドしたので、力を抜いて投げようと思って投げたんですけど、あと2、3球、投げたら、もうちょっと速い球が投げられたと思います。ここまでたくさんの人の前で何かをするとは。バレーだと3分の1ぐらいなので。でも、外のグラウンドで開放感があって、緊張したけど楽しかったです」と笑顔で振り返った。狩野さんは7月末に、宮本慎也氏(51=日刊スポーツ評論家)の公式YouTubeチャンネル「解体慎書」に出演。「狩野舞子 始球式への道」と題し、キャッチボールから同氏の指導を受け、1軍戦の始球式で球速95キロを出すことを目標に掲げた。昨年のヤクルトの2軍戦でも始球式を務め、その時は89キロを出していた。注目のこの日の球速だったが、場内に表示はされなかった。「宮本さんに『マウンドから投げるとき、どうしても下に行きがちだから、キャッチャーが高めに捕るぐらいの高い球でいいよ』と言っていただいて。そこだけはできたかな。60点ぐらいですかね。緊張でフォームがコンパクトになってしまった。この体を生かしたかったけど、緊張すると体が動かないんだなと思いました」と、スポーツ選手らしく自己分析もしていた。

◆ヤクルト塩見泰隆外野手(29)が2年連続2度目のサイクル安打へ王手をかけた。「1番中堅」でスタメン出場。1回は中前打、5回は同点14号2ラン、6回は中堅へ適時二塁打。あとは三塁打を放てば、21年9月18日巨人戦(東京ドーム)以来のサイクル安打達成となる。今季は両リーグでサイクル安打達成者はおらず、達成すれば昨季の自身以来、史上77度目の記録となる。5回の同点弾については「打ったのはスライダーです。早いイニングで追いつくことが出来て良かったです。勝てるように頑張れます」とコメントした。

◆ヤクルト長岡秀樹内野手(20)が6回2死一塁で、値千金の勝ち越し8号2ランを放った。カウント1-2と追い込まれながら、広島大瀬良の138キロの直球系をはじき返し、弾丸ライナーで右翼席に突き刺した。「後ろにつなぐ意識で打席に入りました。最高の結果になってくれて良かったです」と、笑顔を見せた。

◆ヤクルト山田哲人内野手(30)が7回に二盗を決めて今季10盗塁とし、33盗塁を記録した19年以来3年ぶり、自身7度目となる2桁盗塁に到達した。通算でも190盗塁となった。7回先頭で四球を選んで出塁し、続く村上の初球でスタートを切って盗塁を成功させた。

◆途中出場のヤクルト山崎晃大朗外野手(29)がビッグプレーでチームを救った。1点リードの8回1死無走者の場面。広島坂倉が左翼フェンス直撃の安打を放って二塁を狙った。7回から左翼守備に就いていた山崎は、クッションボールを捕球後に二塁へワンバウンドで的確なストライク返球で坂倉をアウトにした。マウンド上の田口も二塁を指さして絶叫。好守に神宮が沸いた。

◆首位ヤクルトが乱打戦を制したが、2位DeNAも勝利したため優勝マジックの再々点灯はお預けとなった。打線に火を付けたのは「村神様」だった。2回に村上が広島大瀬良からバックスクリーンへ53号ソロを放って先制。その後は逆転を許したが、3点を追う4回にオスナの適時二塁打で1点をかえし、5回には塩見の14号2ランで同点。6回には長岡の8号2ランと塩見の適時二塁打で3点を勝ち越した。7回に2点をかえされて1点差に迫られたが、最後は守護神のマクガフが締めた。これでヤクルトは貯金を「22」とした。

◆広島が首位ヤクルトに逆転負けを喫し、V逸の危機に立たされた。10日同戦もヤクルトに敗れると、今季優勝の可能性が消滅する。■大瀬良が3年ぶり3被弾など7失点先発の大瀬良大地投手(31)は球威こそあったが、1発に苦しんだ。0-0の2回には、先頭村上宗隆内野手(22)に先制の53号ソロを浴びた。逆転し4-2となった5回には1死一塁から塩見泰隆外野手(29)に左中間へ同点2ランを許した。4-4の6回2死一塁では長岡秀樹内野手(20)に勝ち越し2ランを放たれた。この回さらに1失点し、6回途中7失点で降板。7失点は今季ワーストタイで1試合3被弾は19年9月16日ヤクルト戦(マツダスタジアム)以来3年ぶりの屈辱となった。■10日にも4年ぶりVの可能性消滅最大3点のリードを守れず、今季31度目の逆転負け。10日の同戦にも敗れると4年ぶり優勝の可能性が消滅する。

◆ヤクルト塩見泰隆外野手(29)が"塩見の日"に2年連続2度目のサイクル安打へ王手をかけたが、快挙達成を逃した。「1番中堅」でスタメン出場。1回は中前打、5回は同点14号2ラン、6回は中堅へ適時二塁打。あとは三塁打を放てば、21年9月18日巨人戦(東京ドーム)以来のサイクル安打達成だったが、8回は三ゴロに倒れた。今季は両リーグでサイクル安打達成者はおらず、達成していれば、昨季の自身以来史上77度目の記録となっていた。それでも3安打3打点でチームの勝利に貢献し、試合後はヒーローインタビューに登場。「今日は9月9日ということで、僕の背番号は9番で、僕の日だと思っていたので、本当は"持っている"選手だったら今日はサイクル(安打)できたと思うんですけど、えー村上じゃなくて僕だったので、できなかったです」と、冗談交じりに振り返って場内を沸かせていた。

◆ヤクルト長岡秀樹内野手(20)がお立ち台で先輩たちに"お願い"した。6回に決勝8号2ランを放って1軍では最年少野手が勝利の立役者となった。

◆広島が首位ヤクルトに逆転負けを喫し、V逸の危機に立たされた。10日同戦もヤクルトに敗れると、今季優勝の可能性が消滅する。佐々岡真司監督(55)は「1戦1戦勝つと、そういう気持ちでやるしかない」と必死に前を向いた。また継投に関して「私がミスをした」と反省を口にした場面もあった。

◆ヤクルト久保拓真投手(26)が4年目でプロ初勝利を挙げた。4-4の同点だった6回に2番手で登板。先頭打者に安打を許して1死一、三塁のピンチを背負ったが、広島小園の二ゴロを山田が併殺打とする好プレーで助けられて無失点。その裏にチームが勝ち越して通算47試合目の登板で、白星が舞い込んだ。

◆広島大瀬良大地投手(31)が、6回途中7失点で8敗目を喫した。2回は村上に先制ソロを浴び、5回は塩見に同点2ラン。さらに6回は長岡に右翼席へ勝ち越し2ランを浴び、3年ぶりの1試合3被弾となった。チームは森下、大瀬良の2本柱で連敗。10日に敗れれば、4年連続のV逸が決まる。首位球団は失投を見逃してはくれない。同点の6回2死一塁。大瀬良が長岡に投じたカットボールは捕手会沢がミットを構えた外角ではなく、中に入った。カウント1-2と追い込んでからの投げミスが試合を決めた。「もっと厳しくいけたらよかったと思いますけど、結果が全て」勝負どころで精度を欠いた。2回は警戒していた村上に内角を狙ったスライダーが中に入った。今季、村上に初めて浴びた安打が、バックスクリーンへの弾丸ライナーでの先制弾となった。2点リードの5回は1死一塁から塩見に2ストライクと追い込みながら、外角要求のスライダーが肩口から曲がる絶好球に。左中間席への2ランで、最大3点あったリードを吐き出した。1軍復帰後も、らしくない登板が続く。2日DeNA戦は中盤以降は球速140キロ台前半にとどまる中、気迫と投球術で無失点にしのいだ。だが、この日は狭い神宮球場で燕打線をかわし切れなかった。3年ぶりとなる1試合3被弾で、今季ワーストタイの7失点を喫した。「僕が引っ張っていかないといけない立場なんですが、迷惑を掛けてしまっている。またいい調整をして、チームが勝つように。それだけを考えてしっかり調整したい」。チームを勝利に導くことができず、肩を落とした。森下、大瀬良での連敗はあまりにも痛い。10日も敗れれば4年連続のV逸が決まる。阪神が敗れたことでCS圏内の3位とのゲーム差は1・5のまま。逆転CSのためには勝っていくしかない。この日は秋山が発熱とコンディション不良でベンチ外。同じくコンディション不良の菊池涼とマクブルームも先発から外れた。最後の力を振り絞り、総力戦が求められる。残り12試合も、追う立場にある広島にとっては明日なき戦いとなる。【前原淳】▽広島佐々岡監督(6回途中7失点の先発大瀬良に)「打たれた球は投げミスだと思うし、真ん中に入って打たれてる。結果を見ると早めに代えなければいけなかった。私がミスをした」○...「8番二塁」で8戦ぶりスタメンの上本は攻守で存在感を見せた。4回2死一、二塁では左前に6月28日以来の適時打を放った。守備では4回無死一塁で一塁側フェンス際の飛球をジャンプで好捕。4回1死二塁でも二遊間のライナーに飛びつき、好プレー。「以前甲子園で(失策を)やっちゃってる。必死さを出して絶対捕ろうと思って」。32歳の中堅はプレーで気迫を示した。○...8月30日阪神戦以来の4番に入った松山は一時勝ち越しとなる犠飛と中前打で仕事は果たした。同点の4回無死一、三塁で左犠飛。4-4の6回先頭では中前打を放った。「こうやってチャンスもらって、どの打順でも出られるだけうれしい。(秋山と菊池涼が欠場だが)みんなでカバーしようとやっていた。みんな気持ちも出ていた」。今季37歳のベテランは貪欲に出場機会を欲している。

◆ノムさん超えの1発で打線に火を付けた。ヤクルト村上宗隆内野手(22)が2回先頭で先制の53号ソロを放った。63年野村(南海)、85年落合(ロッテ)の52本を上回り、歴代単独6位となった。この1本が打線に火を付け、計11安打7得点で広島に打ち勝った。2位DeNAも勝ったため、優勝マジック再々点灯は最短10日に持ち越されたが、村神様のバットに乗って5連戦の頭を取った。まさに一振りだった。2回先頭、村上はカウント1-1から広島大瀬良のスライダーを捉えた。バックスクリーンへ放り込む53号先制ソロ。「なんとか先に点を取ってチームに勢いをつけたかった。先制点につながる打撃ができてよかったです」。ダイヤモンドを1周すると、サンタナとお決まりのロータッチ。つば九郎ともカメラに納まり、ニッコリ笑った。相手バッテリーの苦心を簡単に打ち砕いた。初球、内角ギリギリの141キロカットボールを悠然と見送り。2球目、114キロカーブはワンバウンド。そして、3球目。捕手の会沢は内側に構えたが、外寄りに入った打ちごろの126キロスライダーを見逃すはずもない。カット、カーブ、スライダーと球速帯の異なる3球種の曲がり球で攻められても、村神様に制球ミスは命取りだ。チームに勢いを-。願ったとおりの1発で7得点の先鞭(せんべん)をつけた。が、その打球を正面から見届けられた人はいない。無人のバックスクリーンに飛び込んだから。いったい、どれほどの勢いで飛んでくるのか...。近くお披露目となりそうだ。この日の試合前練習中、神宮の外野スタンドでグラブを構え、通路を右へ、左へ、走る人物がいた。球団の三輪正義広報(38)だ。ちゃんと逆方向の左翼側で待ち受け、バックスクリーン左横への当たりを見事にダイレクトキャッチ。「捕れて良かったです。村上が一番、喜んでくれていたので」。打席の村上も手を振って喜んだ。同広報が現役時、内外野をこなした守備力を発揮。頭にはカメラを付けていた。トライアル初日に成功。映像は、球団公式YouTubeチャンネルにアップされるという。果たして、どんな映像が見られるか。優勝マジック再々点灯はおあずけとなったが、王らに並ぶ55号、バレンティンの60号、さらにその上へ。見る者の楽しみは尽きない。もちろん、2連覇の瞬間も。ワクワクが止まらない。【古川真弥】▽ヤクルト高津監督(村上の本塁打に)「甘い球だったんでしょうけど、それをホームランにできるのが今のムネだと思う。それをヒットにするのではなく、ああやって一振りで1点とれるのは心強いですね」○...4年目の久保がプロ初勝利を挙げた。同点の6回に登板。1死一、三塁のピンチを背負ったが、広島小園の二ゴロを山田が併殺打とする好プレーで助けられて無失点。その裏にチームが勝ち越し、通算47試合目の登板で白星が舞い込んだ。「素直にうれしい」と笑顔。お立ち台では両親へ向けて「やっと初勝利をつかみました。これからもよろしくお願いします」とメッセージを送った。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)が2回、先制の53号ソロを放った。広島大瀬良のスライダーをバックスクリーンへ放り込んだ。63年野村(南海)、85年落合(ロッテ)の52本を上回り、歴代単独6位となった。53号のホームランボールはバックスクリーンから回収され、村上に返ってきた。村上は「野村克也さんに差し上げたいと思います」と話した。入団1年目、18年の春季キャンプで元監督の同氏と初めて会った。「少しの時間でしたがお話をさせていただく機会がありました。『とりあえず俺の記録を破れ』とおっしゃっていただきました。その時は、こんな日が来るとは思っていませんでした」。天国の偉大な先人へ、記念球を持って報告する。

◆首位ヤクルトが乱打戦を制した。2回に村上が広島大瀬良からバックスクリーンへ53号ソロを放って先制。その後は一時逆転を許したが、3点を追う4回にオスナの適時二塁打で1点をかえし、5回には塩見の14号2ランで同点。6回には長岡の8号2ランと塩見の適時二塁打で3点を勝ち越し、4年目の久保がプロ初勝利を挙げた。2位DeNAも勝利したため優勝マジックの再々点灯は10日以降にお預け。

◆ヤクルト村上宗隆内野手(22)が2試合ぶりの53号ソロを放ち、シーズン52号本塁打の63年野村克也(南海)と85年落合博満(ロッテ)を抜いた。ヤクルト村上が53号。シーズン53本塁打以上は13年バレンティン(ヤクルト=60本)以来、プロ野球6人目。日本選手では63年野村(南海)85年落合(ロッテ)の各52本を抜き、64年王(巨人=55本)以来58年ぶり2人目となった。チーム124試合目での53号は、バレンティンの120試合目に次ぐ2番目の速さ。三塁手の53本塁打は85年落合の52本を抜く史上最多。先発4番打者で53本は02年カブレラ(西武)55本、13年バレンティン58本(他に5番で2本)に次ぎ、日本人の4番では85年落合の52本を抜く最多。村上は8月11日広島戦で40号を打った後、3試合連続本塁打なしのケースが1度もない。シーズンペースは61本に上がった。

◆ヤクルト・長岡秀樹内野手(20)が4―4の六回に右翼席へ勝ち越しとなる8号2ランを放った。「後ろにつなぐ意識で打席に入りました。最高の結果になってくれてよかったです」。カウント1―2から広島先発・大瀬良の内角127キロのカットボールをうまくさばいた。低い弾道でスタンドに吸い込まれ、7月24日の広島戦(神宮)以来33試合ぶりの本塁打にベンチに帰ってくると、村上から笑顔で頭をたたかれるなど手荒い祝福を受けた。

◆ヤクルト・村上宗隆内野手(22)が二回先頭で大瀬良大地投手(31)から53号本塁打を放った。1963年の野村克也(南海=現ソフトバンク)と85年の落合博満(ロッテ)がマークした52本を上回り、64年に王貞治(巨人)が記録した日本選手最多のシーズン55号にあと2本とした。歴代最多は2013年のウラディミール・バレンティン(ヤクルト)の60本。新記録達成に期待が集まる。午後6時のプレーボールには日が暮れた神宮。うだるような暑さは過ぎ、涼しい秋風が?をなでた。季節の移り変わりを感じさせても、村上の旬はまだまだ続く。二回、弾丸ライナーがバックスクリーンに突き刺さった。日本選手では歴代2位となる53号本塁打がついに出た。「何とか先に点を取ってチームに勢いをつけたかった。先制点につながる打撃ができてよかったです」広島先発の大瀬良が投じた真ん中付近のスライダーを逃さなかった。2試合ぶりの一発で、1963年の野村克也、85年の落合博満が記録した52本を上回った。64年に王貞治(巨人)が記録した日本選手最多のシーズン55号にあと2本。7日の阪神戦(甲子園)では30試合連続で続いていた出塁が途切れたが、8日の休養日を挟んだこの日、スランプとは無縁であることを改めて証明した。2019年5月29日。4番打者として初めて本塁打を放ったのも同じ神宮で大瀬良からだった。刻一刻と新たな歴史の1ページに迫っている。本塁打数は、シーズン換算で61本ペースとさらに加速した。13年に元チームメートのバレンティンが放ったプロ野球記録の60号も現実的な数字となってきた。9月9日は五節句の一つ「重陽(ちょうよう)の節句」。端午の節句(5月5日)、七夕の節句(7月7日)と並んで縁起が良いとされる一日だ。村上が過ごす歴史的シーズンの最終盤へ、幸運の1日からラストスパートをかける。

◆ヤクルトは2―4の五回に塩見の2ランで追い付き、六回に長岡の2ランと塩見の適時二塁打で3点を勝ち越した。2番手の久保がプロ初勝利、マクガフが35セーブ目。広島は大瀬良が六回途中7失点と崩れ、追い上げも及ばなかった。

◆ヤクルトは4-4で迎えた六回、長岡秀樹内野手(20)が勝ち越しの8号2ランを放ちチームを勝利に導いた。以下、長岡のヒーローインタビュー。--5連戦初戦、試合前はどんな話を「5連戦の頭をしっかり取って勢いをつけようと」--4-4で同点の場面で打席が回り「前打者のミンゴ(サンタナ)がゲッツー崩れで、全力疾走してくれたので、僕も後ろにつなぐ意識だけで打席に入りました」--バッティングを振り返って「入ってくれてよかったです」--チームの雰囲気は「一番年下ですけど、すごく、やりやすい環境です。もう少し、(先輩に)優しくしてもらいます」--最後にファンに向けて「今年も残り19試合。チーム一丸となって優勝に向かって頑張ります」

◆ヤクルトは打線は活発で11安打7得点。二回に村上宗隆内野手(22)が53号ソロを放つと、五回には塩見泰隆外野手(29)が14号2ラン。六回には長岡秀樹内野手(20)が勝ち越しの8号2ランを放った。4年目の久保拓真投手(26)が六回に登板し、1回2安打無失点でプロ初勝利をマークした。

◆ヤクルト・塩見泰隆外野手(29)は一回、中前打、2点を追う五回は同点の14号2ラン、2点を勝ち越した六回には適時二塁打を放ち、2年連続2度目のサイクル安打へ王手をかけたが、八回は三ゴロに倒れた。以下、塩見のヒーローインタビュー。ーー五回、2点を追う打席「今日は打つんだって気持ちを強くもって、打席に入りました」ーー打った感触は「ちょっとつまったんですけど、風に乗っていい感じに伸びてくれて本当によかったです」ーー六回にダメ押しの一打「前回同様、打つんだって気持ちで打席に入りました」ーー三塁打でサイクルヒットだったが「9月9日は背番号9の僕の日だと思っていた。持っている選手だったらサイクルできたと思うんですけど、村上じゃなくて僕だったので、できなかったです」

◆広島の大瀬良は5回?で3本塁打を浴び、ともに今季自己ワーストに並ぶ9安打7失点で8敗目を喫した。二回に村上に中越えへソロを浴びて先行され、4―2の五回に塩見に2ラン、六回は長岡に2ランを許してリードを守れず「ここぞのところで甘い球を打たれた」とうなだれた。クライマックスシリーズ(CS)進出に向けて負けられない試合が続く。「後ろを向いている暇はない。次に向けてみんなで頑張りたい」と言葉を絞り出した。(神宮)

◆ヤクルトは4-4で迎えた六回、長岡秀樹内野手(20)が8号2ランを放ち勝ち越しに成功。2番手の久保拓眞投手(26)が1回無失点でプロ初勝利を挙げた。以下、久保のヒーローインタビュー。--プロ初勝利「素直に嬉しいです」--いつもどんな気持ちでマウンドへ「僕がやることはしっかり抑えることだけなので、ひとりひとり全力で投げています」--六回、4-4の同点の場面での登板「1点もあげないという気持ちで投げました」--1死一、三塁から二塁併殺「アウトになってくれと思っていました」--ウイニングボールを手にして「両親に見せたいです。やっと初勝利を掴みました」

◆広島の秋山と菊池涼が欠場した。秋山はコンディション不良と発熱のためで、球団によると新型コロナウイルス感染を調べる抗原検査では陰性だった。菊池涼もコンディション不良だった。

◆ヤクルトは二回に村上宗隆内野手(22)が53号ソロを放つなど11安打7得点。4年目の久保拓真投手(26)が六回に登板し、1回2安打無失点でプロ初勝利をマークした。【データBOX】?ヤクルト・村上は二回の53号ソロで1打点を加え今季128打点。球団(前身を含む)では2001年のペタジーニを超え、2013、18年にバレンティンがマークしたシーズン最多の131打点にあと3と迫った。?首位・ヤクルトと自力優勝の可能性を残す2位・DeNAがともに勝ち、ヤクルトの優勝へのマジックナンバー再々点灯は10日以降に持ち越された。10日にヤクルトが勝った場合はDeNAが引き分けもしくは負け、ヤクルトが引き分けてもDeNAが敗れると「12」が出る。

◆ヤクルト・山田哲人内野手(30)が七回に四球で出塁し、次打者・村上の初球に二盗を成功させた。3年ぶりとなる2桁、10盗塁とし通算200盗塁まで残り「10」とした。三回には先頭で左前打を放ち、13試合連続出塁をマーク。今季は好不調の波が大きく3番以外の打順にも座ったが、シーズン最終盤となり本来の姿が戻りつつある。

◆ヤクルト・山崎晃大朗外野手(29)が守備のビッグプレーでチームを救った。七回に左翼の守備から途中出場すると、1点リードの八回1死で坂倉が放った左翼線のクッションボールを素早く処理し、二塁で刺した。高津監督は「あのワンプレーは大きい。そこは忘れてはいけない大きなプレーだった」とたたえた。

◆ヤクルト・塩見泰隆外野手(29)が2―4の五回に左中間席へ14号2ラン。ベンチに戻るとナインと一緒に恒例の両手首を曲げる「フェラーリポーズ」をみせて喜んだ。「早いイニングで追いつくことができてよかった」。一振りで試合を振り出しに戻した。カウント0―2から広島先発・大瀬良の127キロのスライダーをフルスイング。完璧に捉え、8月14日のDeNA戦(神宮)以来、20試合ぶりにアーチをかけた。7月に新型コロナウイルス感染をした影響もあり、8月は打率・183(93打数17安打)と苦しんだ。ここへきてようやく燕の韋駄天が復調の気配。2ランを含む3安打3打点の活躍に「9月9日は背番号9の僕の日だと思っていた」とご満悦だった。

◆うれしいプロ初勝利が舞い込んだ。ヤクルト・久保拓真投手(26)が4―4の六回に2番手で登板し、1回を8球で2安打無失点。直後にチームが勝ち越し、初めてのお立ち台では満面の笑みを浮かべた。「僕自身がやることは抑えることだけ。1点もあげないという気持ちで投げていました」2019年に九州共立大からドラフト7位で入団。昨季までは「結果を出さないと」と焦り四球で自滅することもあったが、もうそんな姿はない。1死一、三塁のピンチも強気の攻めで昨季習得したシュートを内角に投げ込み、小園を二ゴロ併殺に打ち取った。ウイニングボールは両親に渡す。お立ち台では「やっと初勝利をつかみました。これからもよろしくお願いします」と報告。人生で忘れられない一日となった。

◆燕ナイン全員がベンチで立ち上がった。ヤクルト・長岡秀樹内野手(20)が4―4の六回に決勝の8号2ラン。ダイヤモンドを一周すると村上から手荒い祝福を受けた。「後ろにつなぐ意識で打席に入りました。入るとは思わなかった。最高の結果になってくれて良かったです」広島先発、大瀬良が投じた内角カットボールを低い弾道で右翼スタンドに運んだ。7月24日の広島戦以来33試合ぶりの一発となった。〝不敗神話〟が続いている。今季8本塁打が出た8試合は全てチームが勝利。意外性の男がチームを勢いづけている。しぶとい安打や堅実な守備が光っているが、目標は長打も打てる遊撃手だ。「長打がある打者っていやだなと思う。強く振って大きな当たりを増やしていくのが理想」。そのための準備に余念はない。試合前は毎日、早出練習で打撃用マシンに向かってバットを振り込む。打席に入る前は大松打撃コーチから相手投手の細かいデータを聞き、頭にたたき込んでいる。高津監督は「一番頑張っているんじゃないかな。音を上げないで、毎日スタメンで最後まで出場する。体力があるなと思っていつも見ている」と20歳の奮闘ぶりに目を細めた。(森祥太郎)

◆ヤクルト・村上宗隆内野手(22)が9日、広島22回戦(神宮)の二回先頭で53号本塁打を放った。1963年の野村克也(南海=現ソフトバンク)と85年の落合博満(ロッテ)がマークした52本を上回り、64年に王貞治(巨人)が記録した日本選手最多のシーズン55号にあと2本。2013年のウラディミール・バレンティン(ヤクルト)が記録した歴代最多の60本超えに期待が集まる。チームは7-6で逆転勝ち。最短で10日に優勝マジック「12」が再点灯する。午後6時のプレーボールには日が暮れた神宮。うだるような暑さは過ぎ、涼しい秋風が?をなでた。季節の移り変わりを感じさせても、村上の〝旬〟はまだまだ続く。二回、弾丸ライナーがバックスクリーンに突き刺さった。「俺の記録を破れ」と言った故・野村克也さんへ、約束を果たす一発となった。「53号のボールは野村克也さんに差し上げたい。こんな日が来るとは思っていませんでしたが、いつの日かご報告に伺いたいと思います」広島先発の大瀬良が投じた真ん中付近のスライダーを逃さなかった。1963年の野村克也、85年の落合博満が記録した52本を超えた。本塁打数はシーズン換算でついに61本ペースだ。残り19試合で8本。13年にバレンティンがマークした60本塁打のプロ野球記録更新へ、カウントダウンが始まった。2018年2月13日、入団1年目の宮崎・西都キャンプで野村さんと初対面した。「王の記録なんか破っちゃえ。とりあえず俺の記録を破れ」と言葉をかけられたが、18歳の村上には現実味がなく、苦笑いを浮かべるしかなかった。だが、キャリアを積んでいく上で、その瞬間がかけがえのない時間だと実感するようになった。20年2月11日に大先輩は死去。「野村監督に会えたということが自分にとってとても大きなこと。話をさせてもらったことが勉強になりましたし、すごく貴重な経験だった」と〝最後のまな弟子〟は申し分のない成長曲線をたどってきた。64年に王貞治(巨人)が記録した日本選手最多のシーズン55号にはあと2本。もう一つの約束も手が届くところにきた。19年5月29日。4番打者として初めて本塁打を放ったのも同じ神宮で大瀬良からだった。12連敗中とチームが苦境に立たされていた。一回に2点を先制されたが、その裏に逆転の3ラン。当時19歳。10代が先発4番で本塁打を放ったのは球団初だったが、チームは敗れ、13連敗を喫した。村上の神髄はアーチを量産するだけに限らない。「勝つことだけしか考えていない。今はとにかく、連敗を止めることだけを考えています」と記念の一発も心から喜べなかった。この日の一発は先制ソロとなったが、試合は序盤。ベンチに戻るまで、表情を緩めなかった。9月9日は五節句の一つ「重陽(ちょうよう)の節句」。端午の節句(5月5日)、七夕の節句(7月7日)と並んで縁起が良いとされる一日だった。中秋の名月となる10日にも優勝マジック「12」が再点灯する。歴史的なシーズンは、幸運の日からラストスパートをかける。(横山尚杜)★2013年バレンティンVTR 8月に月間18本を記録するなど驚異的なペースで本塁打を量産。チーム120試合目の9月8日の中日戦(当時ナゴヤドーム)で山井から53号。同11日の広島戦(神宮)は3戦連発となる55号を大竹から放ち、プロ野球記録に並んだ。新記録樹立はチーム126試合目、同15日の阪神戦(同)。榎田に1試合2発を浴びせ57号まで伸ばした。本拠地最終戦となるチーム142試合目の10月4日の阪神戦(同)は、メッセンジャーからプロ野球史上初となる60号をマークした。■データBOX?ヤクルト・村上は二回の53号ソロで1打点を加え今季128打点。球団(前身を含む)では2001年のペタジーニを超え、2013、18年にバレンティンがマークしたシーズン最多の131打点にあと3と迫った。?首位・ヤクルトと自力優勝の可能性を残す2位・DeNAがともに勝ち、ヤクルトの優勝へのマジックナンバー再々点灯は10日以降に持ち越された。10日にヤクルトが勝った場合はDeNAが引き分けもしくは負け、ヤクルトが引き分けてもDeNAが敗れると「12」が出る。

◆村上の本塁打は、簡単に打ったように映るものばかり。53号は、外角のボールゾーンからストライクゾーンへ入れる、右投手のスライダー。相手は裏をかいたつもりでも瞬時に反応し、力むこともない。とにかく打ち損じが少ない。毎日、バットを相当、振っているはずだ。1度、テレビのモニター画面で見た。村上がベンチに帰って手袋を外すと、両手にすごいまめができていた。練習では、素手でスイングを繰り返しているのだろう。インパクトの感触を大事にして、自分のものにする。そういえば王貞治さん(巨人)は試合でも素手で打っていたなあ...と、ふと思い出した。これでシーズン61発ペースに乗ったという。大記録への課題を挙げるとしたら-。打撃面では四回(二邪飛)と五回(右飛)。いずれも内角ぎりぎりのカットボール。バットが下から出た。あの球は打つのをやめるか、バットをインサイドから出してファウルにするか。どちらかが理想だ。最大のポイントは相手か。CS進出をにらむチームは、勝負を避けてくると予想される。したがってこれまで以上に、打ち損じをしないことが重要になる。(本紙専属評論家)

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<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
72502 0.590
(↑0.003)
-
(-)
19551
(+7)
489
(+6)
155
(+3)
65
(+1)
0.254
(↑0.001
3.550
(↓0.02)
2
(-)
DeNA
63562 0.529
(↑0.004)
7.5
(-)
22430
(+9)
465
(+2)
99
(+1)
45
(+2)
0.252
(-)
3.530
(↑0.01)
3
(-)
阪神
62653 0.488
(↓0.004)
12.5
(↓1)
13443
(+2)
381
(+9)
76
(-)
101
(-)
0.244
(-)
2.640
(↓0.06)
4
(-)
広島
61673 0.477
(↓0.003)
14
(↓1)
12490
(+6)
486
(+7)
80
(-)
25
(-)
0.254
(↑0.001
3.450
(↓0.03)
5
(-)
巨人
60663 0.476
(↓0.004)
14
(↓1)
14500
(+1)
546
(+3)
144
(+1)
58
(+2)
0.243
(↓0.001)
3.790
(↑0.02)
6
(-)
中日
56681 0.452
(↑0.005)
17
(-)
18357
(+3)
441
(+1)
58
(-)
52
(+1)
0.246
(-)
3.350
(↑0.02)