阪神(2対2)巨人 =リーグ戦22回戦(2022.09.02)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:-
敗戦投手:-
  DAZN
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◆阪神は0-0で迎えた8回裏、近本の適時三塁打などで2点を奪い、先制に成功する。対する巨人は、続く9回に代打・中島の適時打などで2点を挙げ、土壇場で試合を振り出しに戻した。その後は両軍の投手陣が得点を与えず、4時間を超える熱戦は規定により引き分けに終わった。

◆2日阪神戦に先発する巨人戸郷翔征投手が、防御率0・00の「聖地」でハーラートップに並ぶ12勝目と連敗ストップを決める。今季は甲子園で2戦1勝1完封、17回無失点と好相性を誇る。チームは3連敗後に引き分けと4戦未勝利。3位争いを占う重要な伝統の一戦の初戦を任され「甲子園球場は好きです。チームに勢いがつくような魂のこもったピッチングができるように頑張ります」と意気込んだ。2戦目以降はメルセデス、赤星と続く見込み。桑田投手チーフコーチは「残り試合全部重要。みんなで全員野球で戦っていくしかないですよね」と語った。

◆今季の巨人打線は阪神西勇輝と2試合対戦して59打数7安打、打率1割1分9厘でまだ無得点。特に、右打者は23打数1安打、打率4分3厘に抑えられ、右打者で安打を打ったのが岸田しかいない。

◆3連勝中の阪神先発は2年ぶり8度目の2桁10勝目を狙う西勇輝投手(31)。巨人戦は今季2戦2勝。1完封を含む17イニング連続無失点中で、まだ1点も許していない。西勇は「(連続無失点は)関係ない。チームで勝っていく。とにかく勝ち切る」とチームを4連勝に導くために全力で腕を振る。巨人先発の戸郷翔征投手(22)とは今季4度目の対戦。ここまで1勝1敗だが、防御率0.72と抑え込まれている。4番佐藤輝明内野手(23)は3試合とも安打を放ち9打数3安打、打率3割3分3厘と打っている。

◆巨人丸佳浩外野手(33)が、プロ15年目で通算300二塁打を達成した。「3番中堅」でスタメン出場。1回2死、カウント3-1から、阪神西勇の137キロのチェンジアップを中堅左にはじき返した。その後2死一、二塁となったが、先制点にはつながらなかった。

◆阪神先発・西勇輝投手(31)は7回を104球、6安打無失点と好投したが、味方の援護がなく2年ぶり8度目の2桁10勝目はお預けとなった。7回裏の打順で代打梅野が告げられ降板となった。本塁を幅広く使う西勇らしい投球だった。4回は2死走者なしから3連打で満塁のピンチも大城をチェンジアップで遊ゴロに仕留めた。この日の7イニングを含め今季巨人戦は24イニング連続無失点中と1点も許していない。

◆引き分けか負けでクライマックスシリーズ(CS)の自力進出が消滅する試合で、巨人が土壇場に執念を見せ、3試合連続の延長戦に持ち込んだ。■9回に集中打8回裏に2失点して敗戦ムードが漂い始めた9回、阪神3番手ケラーから先頭の中田翔内野手が左前打で出塁。続く岡本和真内野手も三塁強襲の内野安打で一、三塁。若林晃弘内野手の中犠飛で1点返し、大城卓三捕手が三ゴロに倒れた。■「なんとしても打ちたいという気持ちでいった」あと1死で試合終了という場面で、代打として中島宏之内野手が登場。「いい場面だったので、なんとしても打ちたいという気持ちでいきました」と、2死一、二塁で初球を強振し、三遊間を破る同点適時打を左前へ。起死回生の同点打を振り返った。なお2死一、二塁で勝ち越しの絶好機だったが、1番坂本勇人内野手は中飛に倒れた。■3試合連続の延長戦へ9回には2番手で平内龍太投手が登板。3者凡退で無失点に抑えた。2ー2のまま、巨人は3試合連続で延長戦に突入した。

◆巨人が3試合連続の延長戦に持ち込む粘りを見せたが引き分けに終わり、クライマックスシリーズ(CS)の自力進出が消滅した。■戸郷が粘投を見せるも報われず先発の戸郷翔征投手が7回まで無失点と我慢の投球を続けたが、8回に先頭中野に左前打を浴び、犠打後に近本に右翼越えの先制適時三塁打。1死三塁から、佐藤輝の三ゴロ間に2点目を失った。■9回に執念の猛攻9回、阪神3番手ケラーから先頭の中田翔内野手が左前打で出塁。続く岡本和真内野手も三塁強襲の内野安打で一、三塁。若林晃弘内野手の中犠飛で1点返し、大城卓三捕手が三ゴロ。あと1死で試合終了という場面で、代打で登場した中島宏之内野手が「いい場面だったので、なんとしても打ちたいという気持ちでいきました」と、2死一、二塁で初球を強振し、左前に同点適時打を決めた。■3試合連続延長戦。勝ち越し点は奪えず延長10回、11回と得点圏に走者を進めたが、あと1本が出なかった。残り20試合にして、巨人の自力CS進出が消滅した。○...戸郷が意地と粘りの投球を見せた。両チーム無得点の8回1死二塁、近本の適時三塁打で甲子園では今季25イニング目で初失点を喫し、佐藤輝の内野ゴロ間にもう1失点。8回127球2失点で降板し、ハーラートップに並ぶ12勝目はならなかった。「最後粘りきれなかったのは悔しいです。次はチームに勝ちをつけられる投球ができるように頑張ります」と話した。通算300二塁打=丸(巨人) 2日の阪神22回戦(甲子園)の1回、西勇から左中間へ二塁打を放って達成。プロ野球75人目。初二塁打は広島時代の11年4月21日の横浜3回戦(横浜)で清水から。▽巨人メルセデス(中16日で3日阪神戦に先発)「2軍で取り組んで来たことをしっかり出して、今年一番の投球ができるよう気持ちを込めて臨みます。そしてチームが勝てるようにベストを尽くします」

◆巨人が3試合連続の延長戦に持ち込む粘りを見せたが引き分けに終わり、クライマックスシリーズ(CS)の自力進出が消滅した。

◆4連勝を狙った阪神は引き分け、8月10日以来23日ぶりの貯金1を逃した。これで今季巨人戦は14勝7敗1分け。18年ぶり5度目の巨人戦年間15勝以上もお預けとなった。2位DeNAとのゲーム差は4.5に縮めた。先発の西勇輝投手(31)は要所で粘った。1回2死一、二塁、4回2死満塁のピンチで無失点。5回は2死一塁から3番丸に中前打を許すも、中堅手の近本光司外野手(27)が一塁走者坂本を間一髪で三塁封殺して、難を逃れた。オリックス時代を含めて自身8度目の2ケタ勝利到達はお預けとなったが、7回6安打1四球無失点。CS進出へ大事な一戦で、ナインをもり立てた。一方、打線は序盤から戸郷を打ちあぐねた。1回は1死一、三塁で4番佐藤輝明内野手(23)が空振り三振、2死二、三塁では5番大山悠輔内野手(27)が見逃し三振に倒れた。4回2死一、二塁、5回2死二塁のチャンスでも得点を奪えなかった。それでも両チーム無得点で迎えた8回1死二塁、3番近本の右越え適時三塁打で先制。さらに1死三塁で4番佐藤輝の三ゴロの間に2点目を奪った。だが、救援陣に誤算が生じた。2点リードの9回表、守護神カイル・ケラー投手(29)が自身18試合ぶりとなる失点。6番若林に中犠飛、代打中島に左前適時打を浴びて2失点し、土壇場で試合を振り出しに戻された。打線は同点の延長12回裏に無死一塁としたが、犠打失敗と盗塁失敗で好機を広げられず、勝ちきれなかった。

◆勝てなかった。それでもクライマックスシリーズ進出に半歩前進した。阪神が2日の巨人戦(甲子園)で逃げ切りに失敗。2点リードで9回を迎えたが、新守護神カイル・ケラー投手(29)がまさかの2失点で追いつかれた。開幕直後に連続してリリーフ失敗。その後、調子を上げてポジションをつかんだ助っ人だったが、悪夢を再現してしまった。それでもチームは必死の継投で引き分け、2位DeNAとの差を4・5ゲームに詰めた。いよいよ勝負の秋だ。引きずるわけにはいかない。満員の甲子園の「あとひとり!」コールが、一瞬で悲鳴に変わった。新守護神ケラーが9回2死一、二塁から先発戸郷の代打中島に初球を左前へはじき返された。同点...。17試合連続無失点中だったケラーが2点のリードを守れなかった。矢野監督は「あそこまでいったんで、勝ちたかったし、悔しい」と4連勝目前だっただけに唇をかんだ。8回に近本の適時三塁打などでようやく2点を奪い、あとは9回をケラーが締めるだけだった。先頭中田に左安を許すと続く岡本和の強烈な三塁へのゴロを、この回から守備固めに入った山本がはじき(記録は三塁強襲安打)一、三塁に。若林の中犠で1点差とされた。中島に同点打を浴び、続く坂本は何とか中飛で抑えたが、4安打を集中された。矢野監督は「打者がそういう対応(攻略)をしているということは、今日の角度とか質っていうのは、よくなかったのかなと受け止めている」と振り返った。この日も最速156キロは出ていたが、本来の投球ではないと分析した。ケラーのセーブ失敗は7点差を逆転された悪夢の開幕戦、3月25日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)、3月29日広島戦(マツダスタジアム)でそれぞれ9回に1点リードを守れず逆転されて負け投手になって以来3度目。ただ、来日が遅れ突貫工事で調整した当時とは違う。前カードの広島戦では2試合連続でセーブを挙げ、矢野監督も「今のところ一番うしろはケラーでいこうと」と、岩崎とのダブルストッパーではなく単独守護神として明言。残り18試合も頼りにする大事な戦力には変わりない。広島に3連勝し、借金0で4位巨人を甲子園に迎えての3連戦。クライマックスシリーズ(CS)進出のためにも負けられない宿敵との初戦。今季8敗している苦手の延長戦に突入も、10回から岩崎、浜地、岩貞と無失点リレーで3度目の引き分けに持ち込んだ。「もちろん(負けなかったことは)あるんだけど。何も後ろを向くことはない引き分けだと思うし、前を向いて、また自分たちの野球を。今日も姿勢的にはいい、積極性のあるプレーも出ていた」と、ナインの粘りを評価し、前を見据えた。【石橋隆雄】○...浜地が粘りの投球を見せた。同点の延長11回に登板。先頭若林に右前打を許したが、吉川を外角150キロで空振り三振。2死二塁では、小林を左飛に抑え、ピンチを脱した。「1点もやれない場面だった。まずは0点で抑えられてよかった。次回の登板は内容もよくできるように頑張ります」。7月22日DeNA戦から15試合連続無失点。防御率を0・90まで下げ、安定感は抜群だ。▽阪神矢野監督(西勇について)「丁寧に投げてくれた。初回から飛ばしていくように見えたし、もちろんまだ行かしてあげたかったんだけど。ユウキに勝ちをつけたいっていうところで勝負にいったんだけどね」▽阪神岩貞(延長12回に2奪三振など3者凡退)「ゼロで抑えることを心掛けました。ケラーが取られても僕らブルペン陣で、また流れを持ってくる意識で投げている」セ・リーグCS争い 首位を独走するヤクルト、現在2位につけ3位阪神に4・5ゲーム差のDeNAが有力。現在阪神は4位広島と4差。仮に阪神が残り18試合を9勝9敗の五分でも、セ・リーグ順位決定の規定により4位広島が阪神を上回るには13勝5敗、5位巨人は15勝5敗が必要。阪神は有利な立場を保っている。

◆阪神近本光司外野手(27)は最多安打争いで単独トップに躍り出た。2号ソロを含む4打数4安打と大暴れした前夜の勢いそのままに、巨人3連戦の初戦も3戦連続マルチ安打を記録。今季安打数を138に伸ばし、ヤクルト村上の137をわずかにかわした。風穴をあけたのは0-0の8回裏だった。先頭の1番中野が左前打、2番糸原は犠打で1死二塁。得点への流れが出来上がると、巨人戸郷の初球に照準を定めた。137キロフォークが甘く入る。逃すことなく、コンパクトでありながら力強く振り抜いた。「1、2番が良い形でチャンスを作ってくれた。もう自分は思い切っていくだけでした。浮いてきたボールをしっかり振り抜くことができました」大飛球は右翼後方へ。前進守備を敷いていた松原がフェンス際で後方にスライディングしたが、グラブはわずかに届かなかった。先制の適時三塁打。悠々と三塁ベースに到達すると、笑顔で左手を一塁ベンチへ向けた。さらに「近本劇場」には続きがあった。なおも1死三塁。4番佐藤輝が詰まったゴロを三塁正面に転がすと、迷うことなくスタート。三塁岡本和が本塁送球すら諦めた好走塁で、難なく2点目をもぎ取った。矢野監督は延長12回引き分けに終わった直後、「あの2点はチカのタイムリーと足で取った点だと思う」と選手会長をねぎらうことも忘れなかった。勝負の秋。リーダーの上昇気流が頼もしい。【佐井陽介】○...中野が今季13度目の猛打賞と気を吐いた。初回先頭で右前打、3回は1死から左前打を放ち、5試合ぶりの複数安打を記録。8回先頭では左前打を放ち、近本の適時三塁打で先制の本塁を踏んだ。この日の早出打撃で「少し右側に壁をつくって体を止めて、ヘッドを走らす意識」で練習したといい、「しっかり修正できた結果が3本のヒットになったのかな」と手応え。安打数は136で、近本、ヤクルト村上に次ぐリーグ3位につけている。○...島田の気合は土壇場で空回りした。同点の延長12回無死一塁で打席へ。だが犠打を決められず、走者で一塁に残った。その初球に二盗を敢行。ヘッドスライディングで成功に映ったが、勢いあまって手が離塁。あえなくタッチアウトされ、今季18盗塁の足を生かせなかった。矢野監督は「バントをしっかり決めなあかんね。盗塁に関しては精いっぱいいったなかのプレーやし、責めるつもりはまったくない。バントを決められる選手になっていかないと」と苦言を呈した。

◆巨人は負けなかった。だが、クライマックスシリーズ(CS)への自力進出は消滅した。制球にやや苦しみながらも先発戸郷が8回2失点。2点を追う9回に猛攻を仕掛けて同点。3試合連続の延長戦に持ち込んだが、勝ち越せずに引き分けた。原監督は「(戸郷は)ナイスピッチングですよ。あわよくば打線がね、もう少し彼を援護できたらなというところはありますね」と振り返った。執念は見せた。戸郷が2点を先制された直後の9回、先頭中田と岡本和が連打。若林の中犠飛で1点を返し、吉川の中前打と大城三ゴロ後の2死一、二塁。代打中島が「いい場面だったので、なんとしても打ちたいという気持ちでいきました」と初球を仕留め、左前に同点適時打を決めた。敗戦ムードが漂う中、土壇場でつながった。ここ3試合、計13時間12分を戦い抜いた。3連敗後、2戦連続で引き分け。CSの自力進出も消えたが、原監督は「そういうことはよくあることでね。我々は最後の最後まで、粘り強く戦うということですよ。1戦1戦。それ以外ありませんね」と次戦を見た。残り20試合。3位阪神とは4ゲーム差の5位。正念場は続く。【浜本卓也】

◆先発した阪神西勇輝投手(31)が7回6安打無失点と好投。しかし、2年ぶりの2桁勝利はお預けとなった。巨人戦は今季3戦目で、全24イニング無失点。キラーぶりを遺憾なく発揮したが、打線の援護に恵まれなかった。球団を通じ「初回から最後まで(坂本)誠志郎のリードを信じて投げ切ることができました。バックの守備にも助けられテンポ良く投げることができました」とコメントを残した。序盤のピンチを乗り越え、勢いに乗った。初回、2死から丸に左中間への二塁打を浴び、いきなり得点圏に走者を背負ったが、2死一、二塁から岡本和をスライダーで空振り三振に斬った。2、3回は連続の3者凡退に片付け、まずまずの立ち上がりをみせた。小雨が降り出した4回に、最大のピンチを迎えた。両チーム0行進が続く中、2死から岡本和、若林、吉川に3連打を許し、満塁で打席には大城。徹底して内角と低めを突き、フルカウントからの7球目だ。外角へ逃げていくボールでゴロを打たせ、二遊間の打球を遊撃中野が華麗に処理。アウトを見届けた西勇は右拳で渾身(こんしん)のガッツポーズを決め、激しくグラブをたたいて喜んだ。5回は1死から坂本に右前打を許し、2死一塁から丸に中前打を浴びた。三塁進塁を狙った坂本を中堅近本がワンバウンドの好返球で刺し、窮地を脱した。6、7回は難なく3人で料理。味方打線の援護を待ったが、7回裏の攻撃で代打を送られ、交代となった。前回8月26日の中日戦(バンテリンドーム)では右中指の爪を負傷して3回で降板したが、患部は問題ない模様。防御率は2.09まで下げ、依然として青柳に次ぐリーグ2位。自身初の1点台も視界に捉えている。今度こそ、三度目の正直で10勝目を奪ってみせる。【古財稜明】○...湯浅が節目の50試合登板で完全救援だ。両軍無得点の8回に登板。先頭坂本をフォークで三ゴロに仕留め、ポランコも打ち気をそらし、一ゴロに抑えた。丸にも速球を見せず、フォークで右飛。「上位打線でしたが、チームにいい流れを持ってこようという気持ちでマウンドに上がった。しっかり3人でイニングを終えられてよかった」。3者凡退の直後、2点先制した。7月2日中日戦から19回連続無失点。2カ月、点を取られていない。▽阪神浜地(11回に登板し2死二塁のピンチをつくるも無失点)「1点もやれない場面だったので、まずは0点で抑えることができてよかった」西勇が今季巨人戦3試合に登板し、24イニング無失点。阪神の投手がこのカードで年間20イニング以上を投げ失点ゼロは、平成以降(89年以降)では初となった。

◆4連勝を狙った阪神は延長12回で今季3度目の引き分けとなった。両軍無得点の8回に近本光司外野手(27)の適時三塁打などで2点を奪ったが、17試合連続無失点中だった新守護神カイル・ケラー投手(29)が4安打2失点で同点に追いつかれた。延長12回の攻撃では無死一塁としたが、島田海吏外野手(26)が犠打失敗、盗塁失敗で好機を作れず、勝ちきれなかった。試合後の矢野燿大監督(53)の一問一答は以下の通り。-延長12回、島田はバント失敗の後の初球に盗塁を仕掛け、何とかしようという姿勢が出た矢野監督 「うん、まあ、バントをしっかり決めなあかんね。盗塁に関しては、精いっぱいいった中のプレーやし、責めるつもりはまったくない。バントを決められる選手になっていかないと」-勝ちきりたかった試合だが、延長戦は投手は粘った矢野監督 「まあ、もちろんね、あっこまでいったんで勝ちたかったし、悔しいけど。まあ、あの流れから同点で止まって、そのあとの投手が粘ってくれたっていうところは、チームとしてやれたところであったかな」-9回のケラーは球に力があるように見えた矢野監督 「みんなが球に力があるってスピードガンだと思うけど、打者がそういう対応をしているっていうことは、きょうの角度や質はちょっと良くなかったのかなって受け止めているけど」-今季は苦戦している巨人先発の戸郷から終盤に得点矢野監督 「いやいや、崩したわけではないんでね。まあまあ早い回にチャンスがあったので、そこで点を取らないとズルズルいっちゃうっていうところは反省かな」-2点目、近本の三塁からの生還も貴重矢野監督 「あれは近本であれば、普通に帰ってこれるし、あの2点はチカが取った、チカのタイムリーと足で取った点だと思うんで。ある意味走塁はチカにとっては普通かなと。バッティングの方はあそこでよく打ってくれたと思う」-先発の西勇は爪がはがれかける前回アクシデントもあったが、きょうの投球は矢野監督 「そうやね初回から飛ばしていくようなふうに見えたし、もちろんまだ行かしてあげたかったんだけど。ユウキ(西勇)に勝ちをつけたいっていうところで勝負にいったんだけどね。投球的にはまだ行けたかなっていう。丁寧に投げてくれたと思います」-負けなかったのは大きい矢野監督 「もちろん、もちろん、それはあるんだけど。後ろを向くことのない引き分けだと思うし、前を向いてまた自分たちの野球を。まあ、きょうも姿勢的にはいい積極的なプレーが出ていたんで。あとは勝負どころのね、作戦も決めてもらわないと、こっちの流れにならないので。そこは反省点かなと思います」

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】2日の阪神対巨人戦のファーストピッチセレモニーに登板した女優の福原遥。次期朝ドラのヒロインですが、大観衆の前で終始笑顔で務めました。

◆巨人は3試合連続の延長戦で2戦連続で引き分けた。2点を追う9回に猛攻を仕掛けて同点に追いつくも、クライマックスシリーズ(CS)への自力進出の可能性が消滅した。勝ち頭の先発戸郷翔征投手(22)は8回9安打8奪三振の2失点と好投。以下、桑田真澄投手チーフコーチ(54)の試合後の一問一答。-戸郷は粘った彼は2桁勝ったという自信から、先発としての力配分ができるようになってきた。初回は球が走らなくても6、7回とギアを上げられるようになってきた。頼もしい。8回は近本くんに打たれたけれど、あそこはもうしょうがないなと。失投を逃さなかった近本くんを褒めたい。-勝ちをつけたい投球だったそうですね。今年11勝しているけど8回、9回を投げて勝てないという試合も何試合かある。本当に申し訳ないと思う。でもこれはエースになる宿命というか、こういうのを乗り越えてエースになる。また今日の投球も勝敗はつかなかったが、これを糧にエースに成長していってもらいたい。-救援陣は延長続きの中で踏ん張ったリリーフ陣も平内と大勢と若いけど、ここに来てすごく成長が見える、高梨はベテランの域に達していますんでね。最後はデラロサも何とか抑えてくれた。非常に粘り強く投げてくれた。-戸郷の来週の登板は中6日で行かせたいと思っている。全て明日の試合後に決めます。

◆両軍のスターティングメンバーが発表。阪神は西勇輝投手(31)が先発する。今季巨人戦には2試合に登板し、2勝0敗、相手打線に対し、17イニング無失点で防御率0・00と抜群の相性。前回登板した8月26日の中日戦(バンテリンドーム)は右手中指の爪を痛めて3回で降板。ただ、「全員で勝ち取りにいきたい」と全力で腕を振る。「2番・三塁」に糸原健斗内野手(29)が入り、二塁には「7番」で木浪聖也内野手(28)。捕手は坂本誠志郎捕手(28)。

◆巨人・丸佳浩外野手(33)がNPB史上75人目となる通算300二塁打を達成した。「3番・中堅」で先発し、一回2死での第1打席で、カウント3―1から西勇のチェンジアップを左中間へ運ぶ二塁打。今季26本目の二塁打で節目に到達した。

◆阪神・近本光司外野手(27)が守備で魅せた。0-0で迎えた五回2死一塁。3番・丸の打球は中前へ。一走・坂本が二塁を蹴ると、すかさず三塁へレーザービーム! ワンバウンドで三塁手・糸原のグラブにおさまるストライク送球で、坂本をアウトに仕留めた。巨人がリクエストを要求も判定は変わらず。強肩で甲子園をわかせた。巨人先発・戸郷の前に、無得点が続く野手陣だが、三回は右翼手・佐藤輝が、先頭・戸郷の打球をダイビングキャッチ。先発の西勇を守備でもり立て、右腕は五回まで無失点。巨人戦、今季22イニング無失点とした。

◆ライナー性の打球が、遊撃手・中野の頭上を越えると、迷うことなく二塁を陥れた。巨人・丸佳浩外野手(33)が一回2死から左中間への二塁打をマークし、通算300二塁打を達成した。カウント3-1から西勇のチェンジアップをはじき返した。今季26本目となる二塁打で、プロ野球史上75人目となる大台に到達。後続が倒れ、先制点にこそ結びつかなかったが、一回から好機を演出した。頼りになる同級生と切磋琢磨(せっさたくま)する。7月から3番打者に定着している左打者は、8月11日の中日戦から4番に座る中田と上位打線を形成する。「(中田は)1点欲しい時にしっかり取ってくれる。そういう選手がどんどん生きるように、僕は僕で持ち味を出して行けたらと思っている」。自身が出塁して、勝負強い中田につなぐ。打線の軸としてどっしり構える1989年生まれコンビで打線を引っ張る。今季は不動の4番としてチームを支えてきた岡本和が打撃不振に陥り、3年ぶりに4番を外れた。普段から仲のいい7個下の主砲の姿に「誰でも苦しい時はシーズン中にくる。今まで和真に引っ張ってきてもらっていた部分はたくさんあるので、今度は僕たちがカバーしていきたい」と思いやった。新たな勲章を手にした背番号8。〝弟分〟の岡本和が完全復活するまでバットでチームを鼓舞する。

◆阪神・西勇輝投手(31)は7回6安打無失点と力投したが、打線の援護に報われず、10勝目とはならなかった。序盤からピンチの連続だった。2死から丸の二塁打と四球で一、二塁とされたが、岡本和を空振り三振に仕留めた。四回にも2死から3連打で満塁とされるも大城を遊ゴロに打ち取って危機を脱した。七回までスコアボードに0を刻んだが、打線は巨人先発・戸郷の前に七回まで無得点に抑えられ、勝利投手の権利を得ることはできなかった。右腕はこれで今季、巨人戦3試合2勝。さらに24イニング連続無失点と〝Gキラー〟ぶりを発揮している。

◆阪神がついに試合の均衡を破った。近本光司外野手(27)が先制の適時三塁打を放った。0-0で迎えた八回。先頭の中野が左前打を放つと、糸原が犠打で1死二塁の好機。戸郷が投じた初球だった。137㌔フォークを振り抜くと、打球は前進守備の右翼手・松原の頭上を越えて、外野芝生を転々。快足を飛ばして一気に三塁へと到達した近本は一塁ベンチに向かって大きく左手を突き上げた。阪神はさらに佐藤輝の三ゴロの間に近本が生還し2-0とリードを広げた。

◆阪神は九回に同点に追いつかれ、延長戦に突入した。0―0の八回に打線が奮起し、1死二塁で近本が右越えの適時三塁打で先制。直後の佐藤輝の三ゴロで三走・近本が生還し、2点目のホームを踏んだ。しかし、九回に悪夢が待っていた。守護神のケラーが連打で無死一、三塁とされ、若林の犠飛で1点を返される。その後、2死一、二塁までこぎつけたが、代打・中島に同点打を食らい、試合は振り出しに戻った。チームは今季延長戦で2勝8敗2分。

◆巨人・戸郷翔征投手(22)が8回9安打2失点と力投した。七回まで西勇と手に汗握る投手戦を繰り広げていたが、0-0の八回1死二塁から近本に右越え適時三塁打、続く佐藤輝の三ゴロの間にも生還を許し、2点を奪われた。打線は、その裏の九回に無死一、三塁と好機をつくると、若林の中犠飛で1点。さらに2死一、二塁で代打・中島の左前適時打で同点に追いた。値千金の一打にベテランの中島は「いい場面だったので、何としても打ちたいという気持ちでいった」と振り返った。127球の熱投を見せた戸郷の負けをチーム一丸で消した。

◆阪神は延長十二回におよぶ激闘も、決勝点が奪えずドローに終わった。先発の西勇はピンチを招きながらも粘りの投球で7回無失点で降板。八回に近本の右越えの適時三塁打などで2点を先取したが、九回の守護神のケラーが背信投球となった。連打で無死一、三塁とされ、若林の犠飛で1点を返される。その後、2死一、二塁までこぎつけたが、代打・中島の同点打で試合は振り出しに戻った。延長戦に突入するも両者譲らず、十二回へ。6番手・岩貞が無失点に抑えてその裏の攻撃に臨みをつなぐと、先頭の代打・原口が左前打で出塁。島田は犠打を試みるも、二塁憤死で走者を進められず(結果は捕ゴロ)。一走として残り、梅野の打席で二盗を敢行したが、ヘッドスライディングでオーバーランし、アウトに。梅野も投ゴロに倒れ、ドローに終わった。

◆巨人・小林誠司捕手(33)が延長十二回に好守でチームを救った。2-2で突入した延長十二回の守備。5番手のデラロサが先頭、代打の原口に左前打で出塁を許し、サヨナラの走者を一塁に置いたが、続く島田のバントをすばやく処理し、二塁へ矢のような送球で進塁を防いだ。さらに続く梅野の打席で島田が二盗を試みたが、再び自慢の強肩でさした。九回に代走で途中出場。延長十一回の勝ち越しの好機では凡退こそしたが、最終回の守備で貢献し、2試合連続の引き分けに持ち込んだ。

◆阪神が逃げ切りに失敗し、延長十二回ドロー。八回に近本光司外野手(27)の適時三塁打と佐藤輝明内野手(23)の内野ゴロで2点を先取。しかし九回に登板したカイル・ケラー投手(29)が4安打を浴びて追いつかれた。十二回は無死一塁で島田海吏外野手(26)が犠打を失敗し、さらに二盗を試みた際にオーバーランで憤死するなど好機を生かせなかった。今季の延長戦は2勝8敗3分。ケラーの失点は6月10日のオリックス戦(京セラ)以来、登板18試合ぶり。2年ぶり2桁勝利は逃したが西勇輝投手(31)は7回無失点で巨人戦24回連続ゼロ封。8月10日以来の貯金を逃した矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り(チーム成績61勝61敗3分、観衆3万9566人)。ーー島田はバント失敗後の初球に姿勢が出た「うん、まあ、バントをしっかり決めなアカンね。盗塁に関しては、精いっぱい行った中のプレーやし、責めるつもりは全くない。バントを決められる選手になっていかないと」ーー勝ち切りたかった試合だが、延長戦で投手は粘った「まあ、もちろんね、あっこまで行ったんで勝ちたかったし、悔しいけど。まあ、あの流れから同点で止まって、そのあとのピッチャーが粘ってくれたところは、チームとして、やれたところであったかな」ーーケラーは球に力があるように見えた「みんなが球に力があるってスピードガンだと(のことを言っている)と思うけど、バッターが対応をしているということは、角度や質はちょっと良くなかったのかなと受け止めているけど」ーー今季は苦戦している戸郷から終盤に得点「いやいや、崩したわけではないんでね。早い回にチャンスがあったので、点を取らないとズルズルいっちゃうところは反省かな」ーー2点目。近本の三塁からの生還も貴重(八回1死三塁から佐藤輝の三ゴロで生還)「近本であれば、普通に帰ってこれるし、あの2点はチカが取った。チカのタイムリーと足で取った点。ある意味走塁はチカにとっては普通かなと。バッティングの方はあそこでよく打ってくれたと思う」ーー西勇は爪がはがれかける前回アクシデントもあったが「初回から飛ばしていくように見えたし、まだ行かしてあげたかったんだけど。勇輝に勝ちをつけたいところで勝負に行ったんだけどね。ピッチング的にはまだ行けたかな。丁寧に投げてくれたと思います」ーー負けなかったのは大きい「もちろん、もちろん、それはあるんだけど。後ろを向くことのない引き分けだと思うし、前を向いてまた自分たちの野球を。今日も姿勢的にはいい積極的なプレーが出ていたんで。あとは勝負所の作戦も決めてもらわないと、こっちの流れにならないので。そこは反省点かなと思います」

◆巨人は2試合連続で引き分け、自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が消滅した。原辰徳監督(64)は「そういうことはよくあることでね。やっぱり、われわれは最後の最後まで粘り強く戦うということですよ。一戦、一戦。それ以外ありませんね」と前を向いた。九回2死から代打の中島宏之内野手(40)の左前適時打で同点に追いつく粘りを見せ、8月30、31日のヤクルト戦(京セラ)に続いて3戦連続の延長戦に突入したが、同26日の広島戦(マツダ)以来の白星は挙げられなかった。先発の戸郷は8回2失点。指揮官は「ナイスピッチングですよ。あわよくば打線が彼を援護できたらなというところはありますね」と肩を落とした。

◆巨人・戸郷翔征投手(22)が8回9安打2失点と力投した。七回まで西勇と手に汗握る投手戦を繰り広げていたが、0-0の八回1死二塁から近本に右越え適時三塁打、続く佐藤輝の三ゴロの間にも生還を許し、2点を奪われた。それでも九回に打線が土壇場で追いつき、戸郷は12勝目はならずも黒星はつかなかった。桑田投手チーフコーチは「彼は2桁勝ったという自信が、先発としての力配分ができるようになってきた。八回は近本君に打たれたけれど、あそこはしようがないなと。失投を逃さなかった近本君を褒めたい」と責めなかった。さらに、八回まで打線の援護がない中で粘りの投球を見せたこと評価した上で「これはエースになる宿命。こういうのを乗り越えてエースになるわけですから。これを糧にエースに成長していってもらいたい」と期待した。

◆阪神での現役時代、〝代打の神様〟として、虎党から絶大な支持を得たサンケイスポーツ専属評論家・八木裕氏(57)は九回2失点のカイル・ケラー投手(29)に言及。守護神に「配球」と「勉強」を求めた。八回に均衡を破って2点を勝ち越した。1点だけなら「まだ分からない。大丈夫かな?」と思って見ていたが、2点目を近本の好走塁で手にした。つまり、絶対に有利になったわけで、勝たなければいけない試合だった。負けなかったとはいえ、勝てる試合を引き分けに。痛恨だ。ドローになった原因もはっきりしている。ケラーの抑え失敗だ。絶好調時に比べると、明らかに調子は落ちていたし、疲れも感じた。正式に守護神になってまだ3試合目。慣れない働き場所で、疲れで出ても不思議ではない。痛かったのは、いきなりストレートを続けてヒットされたことだ。ケラーの場合、ストレート以外にパワーカーブとフォークがあるのだが、パワーカーブは打者にとってそれほど「嫌な球」とは言い難い。フォークに至っては、最近習得したばかり。つまり、走者を背負ってセットポジションになった時に、2つの変化球は投げにくい球種になっている。さらに言えばケラーのストレートは、絶対的守護神が投げるような「圧倒的な」ストレートでもない。この先、必要なのは配球だろう。バッテリーでどういう攻め方をすれば、現在の持ち球で打者を抑えていけるかを、考えていくことが大事。ケラー自身も勉強が必要。もちろん、疲れを取って球威を取り戻すことが一番大事だ。一度失敗したからと言って、慌てて配置転換する必要はない。岩崎を戻さなくてもいいし、湯浅を抜てきする必要もないと思う。阪神ベンチはケラーを復調させて、残り試合を乗り切るしかない。

◆3戦連続の延長戦となった巨人は2試合続けて引き分け、5位に後退。20試合を残して自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性が消滅した。原辰徳監督(64)は取材の冒頭で「疲れたよ」とこぼしつつ、気合を入れ直した。「われわれは最後の最後まで粘り強く戦う。一戦、一戦。それ以外ありませんね」西勇相手の連続無得点が24イニングに伸び、8回2失点と好投した戸郷に12勝目を付けられず。指揮官は「ナイスピッチング。あわよくば打線がもう少し援護できたら」と悔やんだ。2点を追う九回に粘りを見せ、2死から代打・中島の適時打で同点に。だが、主力が退いた延長は1安打のみ。8月26日の広島戦(マツダ)以来5試合ぶりの白星は遠かった。(谷川直之)

◆延長十二回、たどり着いても戦える用意はあったが...。先頭で代打・原口が左前打を放ち、代走・植田。送り出した男たちの躍動でサヨナラ勝ちに迫ったものの、島田が犠打失敗。矢野監督も痛恨ドローのポイントに挙げざるを得なかった。「バントをしっかり決めなあかんね。(直後に失敗した)盗塁にかんしては精いっぱい行った中のプレーやし、責めるつもりはまったくない。バントを決められる選手になっていかないと」九回に4安打を浴びて同点とされたケラーの背信投球は痛すぎた。それでもリリーフ陣が希望をつないだ。あとは作戦だけだった。十二回無死一塁で打席に入ったのは、七回に坂本の代打で途中出場していた島田。今季、著しい成長を見せ「うなぎ」の愛称でチームに欠かせない存在となったが、前日まで18打席連続無安打。3試合連続でスタメンを外れ、この日は昼間にウエスタン・広島戦(鳴尾浜)に出場していた。午前10時から気温32度の炎天下で汗を流すと、2軍では「2番・中堅」で3安打と躍動。そして午後10時すぎ、1軍で大仕事が巡ってきた。なんとしても犠打で植田を得点圏に送りたい場面だったが、打球は捕手の目の前にはずみ、二塁封殺。ならばと自身が二盗を試みたが、オーバーランしてタッチアウト-。こんな懸命な男を、誰も責めはしない。それでも結果的に、長い一日の終わりに、島田は勝ち切れない虎の象徴のようにされてしまった。延長戦はこれで2勝8敗3分け。首位ヤクルトとは11・5ゲーム差になった。指揮官は「後ろを向くことのない引き分け」と力を込めたが、最後に「姿勢的には積極的なプレーが出ていたんで。あとは勝負どころのね、作戦も決めてもらわないと、こっちの流れにならないので。そこは反省点」と繰り返した。悔しい、もったいないドローだった。(長友孝輔)

◆さすが朝ドラヒロインだ。最近の始球式では屈指の盛り上がりだった。ファーストピッチセレモニー。サウスポーでさっそうと登場したのは次のNHK朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」のヒロイン福原遥。あの「まいんちゃん」だ。「雪のような肌で、ウサギさんのような顔の小ささ。かわいくて、かわいすぎて、僕が〝舞い上がって〟しまい、ボイスレコーダーの操作を誤ってしまいました」取材したのはトラ番・織原祥平。原田遼太郎との〝争奪戦〟に勝って、取材する権利を得たらしい。ただ、かわいらしさ以上に織原が驚いたのは、取材に集結した各社の顔ぶれだった。普段の始球式は、若手記者の役目だが、昨夜はなぜか、ベテランがズラリ。おっさんたちも、福原遥に会いたかったのか。まあ、世の中に朝ドラ大好きなおっさんは意外に多い。ちなみに、わが社のキャップ長友孝輔まで、こっそりのぞきに行っていた事実も記しておく。もし、川栄李奈が来てくれたら、虎ソナ筆者も先頭を切って取材に行っただろうなぁ。朝ドラの影響力はやっぱりすごい。ホノボノしたムードで始まった伝統のTG決戦だったが、延長十二回、4時間4分の死闘になるとは、誰も夢にも思わなかったのでは。そして、試合終盤にはめったに見ることができない攻撃の応酬になった。まずは阪神。ラジオの解説をしていた本紙専属評論家・八木裕氏が叫んでいた。「すばらしい。日本中の野球をする少年たちがお手本にしてほしい走塁ですねぇ」八回裏。1点を先制して、阪神ファンは90%勝利を確信した直後。佐藤輝の三ゴロで、ギャンブルスタートを切っていた近本がホームへ滑り込んでいた。三塁手が捕球した瞬間に「ホームはもう間に合わない」と諦めて一塁送球。近本が披露した走塁は、プロをもうならせる、めったに見ることができない芸術的本塁突入だった。そして阪神ファンは勝利確率を99%にはね上げた瞬間でもあった。トラ番たちもそう。ヒーローたちの取材のために、記者席を離れて球場1階の取材場所へ。ところが九回表。状況は暗転する。今度は巨人だ。まあ、ケラーが〝やらかした〟わけだが、その攻撃は、代走に次ぐ代走。世にも珍しい代走攻勢で、スコアボードには「走」がつけられた選手が4人。総動員ムード漂う巨人の必死さ。甲子園のファンは真夏の夜の蒸し暑さを忘れて、グラウンドでの攻防に魅せられた。一方、1階に降りていたトラ番たちは、ゾロゾロと記者席に戻ってきた。記者の右往左往は、そのまま息詰まる攻防を意味する。キャップ長友も、こういう展開には慣れっこだが、まさか、八回裏に2点先制のこの試合で、エレベーター昇降を繰り返すとは...。「最初の打ち合わせでは、負けたら阪神の1面はない雰囲気だったんです。それが、阪神が勝ちそうになって、すぐに負けるかという空気になって、そしてドローになって。久々にドタバタを味わせてもらいました」苦笑いの長友。佐藤輝や大山の打球が一度でいいからスタンドまで〝舞い上がって〟くれていたら。まあ、こういう日もあると諦めよう。

◆勝ちナシは価値ナシ。残念。くれぐれも残念。巨人に終戦の日が来た。阪神先発・西勇のコントロールがあれだけ良ければ、今の巨人打線ではそうそう打てるものでもない。九回にケラーから2点を取って同点にしたのがせめてもの...というより、最後の意地だったかな。何しろ、引き分けでは駄目なんだ。3位・阪神との最後の3連戦。エモトはこう計算していた。ゲーム差は4。CS進出へ望みをつなげるには3連勝して、1ゲーム差まで追い込むことが絶対条件。それほど、切羽詰まった状況だった。巨人が今後、大暴れする気配はない。阪神は投手陣が安定しているから、大崩れしそうもない。残り20試合で4ゲーム差のままでは、とても追いつけないよ。伝統の一戦も今季はあと3試合。見るのにはツラいものもあるけど、来季への思いも交えながらら、チェックさせてもらおうか。(本紙専属評論家)

◆八回終わって2-0とわが阪神が9分9厘、勝利を手中に収めていた試合...。しかし、開幕戦で大失態の炎上を演じたケラーが最近のストッパー追試で合格寸前までいっていたのに、またも九回に同点を許した...。正直悔しい~!! でも、それを超えて最近不安な投球をみせていた岩崎が十回を「最後締めるのはオレやろー!!」と無失点のマウンドをみせてくれたのには、胸をジ~ンと熱くしたのだ。失敗はするもの!! その時どれだけ前を向けるか。岩崎だけでなく、最近明らかに疲れにより打撃不振だった島田にも光が見えたのだ!!途中出場でヒットは打てない。さらに延長十二回に送りバントはミスをする...。そんな最悪な気持ちの中、迷うことなく果敢に二盗を狙う(セーフなのに勢い余ってオーバーランでアウト)。あの気持ちの切り替えと思い切りの良さ!! あれこそが倒れても常に牙をむき、立ち向かっていく猛虎魂である!! と俺は思う。よって、ロハスの復調より島田の前向きな失敗を選んでくれー!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
70472 0.598
(↑0.003)
-
(-)
24531
(+5)
457
(-)
150
(+1)
63
(+1)
0.253
(↓0.001)
3.460
(↑0.03)
2
(-)
DeNA
61522 0.540
(↓0.005)
7
(↓1)
28411
(-)
427
(+2)
96
(-)
40
(-)
0.254
(-)
3.390
(↑0.01)
3
(-)
阪神
61613 0.500
(-)
11.5
(↓0.5)
18425
(+2)
354
(+2)
75
(-)
96
(+2)
0.244
(-)
2.530
(↑0.01)
4
(1↑)
広島
57653 0.467
(↑0.004)
15.5
(-)
18466
(+2)
474
(-)
78
(-)
24
(-)
0.253
(-)
3.510
(↑0.03)
5
(1↓)
巨人
56643 0.467
(-)
15.5
(↓0.5)
20465
(+2)
532
(+2)
134
(-)
53
(-)
0.242
(-)
3.880
(↑0.03)
6
(-)
中日
52661 0.441
(↓0.003)
18.5
(↓1)
24338
(-)
429
(+5)
56
(-)
48
(-)
0.245
(↓0.001)
3.420
(↓0.01)