阪神(☆8対0★)広島 =リーグ戦21回戦(2022.09.01)・阪神甲子園球場=
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広島
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阪神
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勝利投手:才木 浩人(4勝1敗0S)
敗戦投手:野村 祐輔(2勝3敗0S)

本塁打
【阪神】近本 光司(2号・5回裏ソロ)

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◆阪神が降雨コールド勝ち。阪神は3回裏、大山の適時打で先制に成功する。3-0となって迎えた6回には、佐藤輝の走者一掃となる適時三塁打などで一挙5点を挙げ、リードを広げた。投げては、先発・才木が6回3安打無失点の好投で今季4勝目。敗れた広島は、攻守に精彩を欠いた。

◆今季の阪神才木浩人投手(23)はここまで30回を投げて防御率1・80。イニング別で見ると、6回以降の防御率が9・00に対して1~5回は0・36。序盤の投球が安定しており、失点はソロ本塁打と失策による2点だけ。

◆阪神園芸のスピーディーなグラウンド整備で、予定時刻に試合開始した。午後2時前には雨も降ったが、同4時ごろには晴れ間も見えていた。以下は主な経緯。午後1時 内野には防水シートが敷かれている。午後2時 阪神野手が室内練習場で練習開始。投手は甲子園外野芝生でアップ。午後4時 予定通り開門。午後4時40分 阪神園芸の職員が内野グラウンドを覆っていた防水シートを外す作業を始める。約10人で行い、20分程度で撤収完了。午後5時8分 マウンド付近を入念に整備。内野の整備も開始。午後5時30分 両軍選手が外野芝生でアップ開始。午後5時32分 スタメンがアナウンスされる。午後5時38分 ライン引きを開始。午後5時45分 ライン引き完了。各塁のベースも設置される。午後5時49分 球団チア「タイガースガールズ」が外野ファウルゾーンでパフォーマンス。午後5時55分 メンバー表交換。午後6時1分 予定通りプレーボール。前日8月31日の試合後から雨天を想定してシートを敷いた「神予測」がスケジュール通りの試合開始につながった。

◆阪神大山悠輔内野手(27)が3回に先制打を放ち、8試合連続安打と好調ぶりを証明した。2死一、二塁で広島野村から左前適時打を放ち、これで3試合連続打点。「打ったのはカーブ。才木が頑張って投げてくれていたので、どんな形でも先制点を取りたいという気持ちでした。浮いてきた甘い変化球にうまく反応することができたと思います」と先発才木への思いを強調した。新型コロナ感染で離脱がありながら、8月は打率3割4分と好成績。9月初戦でもいきなり快音を響かせた。

◆阪神近本光司外野手(27)が、今季2号ソロを含む4安打と大暴れだ。初回に中前打、3回に左前打を決め、迎えた1点リードの5回1死の第3打席。広島野村の141キロを引っ張り、鋭いライナーで右翼席へ放り込んだ。甲子園の大型ビジョンには打球速度166キロ、打球角度22度、飛距離119メートルと表示された。2ボールからの強振に「打者有利のカウントだったので狙い球を絞って、しっかり強いスイングをすることを心がけました。頑張って投げている才木を援護することができてよかったです」とうなずいた。7月8日のヤクルト戦以来、約2カ月ぶりの本塁打で、今季13度目の猛打賞も決めた。8月に新型コロナ感染で離脱後、初アーチだ。勢いは止まらない。リードを4点に広げた6回1死一、二塁。島内の速球に詰まりながらも、飛球は三塁坂倉の頭を越えポトリと落ちた。遊撃内野安打で、今季初の1試合4安打を決めた。今季136安打は、この時点でヤクルト村上に並びリーグトップ。打率も3割に乗せた。2年連続最多安打へ向け、猛スパートに入った。

◆阪神佐藤輝明内野手(23)がダメ押しの走者一掃の適時三塁打でとどめを刺した。4点リードの6回1死満塁から広島島内の低め149キロを強振。「抜けてくれてよかった」と、打球は猛スピードで一塁線を突き抜け、快足を飛ばして悠々と三塁へ。リーグ2位となる7本目の三塁打を記録した直後に雨により試合が40分中断。試合が再開し、大山の適時打で8点目の本塁を踏んだ。ルーキーイヤーの昨季は25打数無安打と苦しんだ9月だったが初日で"鬼門"を突破した。今季満塁時の打率は試合前まで1割6分7厘と苦手としていた中で、チャンスをものにした。「打点を挙げるチャンスですし、頑張ります」。守備では2回先頭の坂倉の右中間への打球に体勢を崩しながらスライディングキャッチをみせ、「才木が頑張ってくれてましたし、そんなに強い打球じゃなかったので」とサラリ。攻守で同学年の才木をもり立てた。

◆阪神は長期ロード明けの広島3連戦で同一カード3連勝を飾り、4位巨人とのゲーム差を4に広げた。先発の才木浩人投手(23)が6回を自己最多タイの9奪三振3安打無失点で"プロ初完投初完封"を飾り、自身2連勝で今季4勝目(1敗)。5位広島とのゲーム差も4・5とした。打線は3回裏2死一、二塁、5番大山悠輔内野手(27)の左前適時打で先制。5回裏には3番近本光司外野手(27)の右越え2号ソロ、6番メル・ロハス・ジュニア外野手(32)の左中間適時二塁打で突き放した。3点リードの6回裏には広島守備陣の2者連続失策で4点目。さらに1死満塁で4番佐藤輝明内野手(23)が一塁線を抜き、走者一掃の3点三塁打を決めた。この打席の直後、降雨でグラウンドコンディションが悪化したため、試合は40分間中断。試合開始直後の1死三塁に大山が初球を中前適時打としたが、その直後に再び雨脚が強まり、試合は再度中断。そのまま降雨コールドゲームが成立した。これで阪神は4年連続の甲子園勝ち越しが確定。8月11日以来、21日ぶりの勝率5割復帰となった。

◆6回、佐藤輝明内野手(23)が3点三塁打を決めた直後、降雨でグラウンドコンディションが悪化したため、試合は40分間中断。試合開始直後の1死三塁に大山が初球を中前適時打としたが、その直後に再び雨脚が強まり、試合は再度中断。そのまま降雨コールドゲームが成立した。これで阪神は4年連続の甲子園勝ち越しが確定。8月11日以来、21日ぶりの勝率5割復帰となった。阪神は長期ロード明けの広島3連戦で同一カード3連勝を飾り、4位巨人とのゲーム差を4に広げた。先発の才木浩人投手(23)が6回を自己最多タイの9奪三振で3安打無失点と好投し、自身2連勝で今季4勝目(1敗)。5位広島とのゲーム差も4・5とした。

◆阪神矢野燿大監督(53)が、虎の若き右腕を絶賛した。先発の才木浩人投手(23)が6回を自己最多タイの9奪三振3安打無失点。試合は激しい雨で6回途中、降雨コールドゲーム。才木が"プロ初完投初完封"を飾った。矢野監督の一問一答は以下の通り(テレビインタビュー)-雨の中の激闘、先発の才木は6回無失点「いやもう、申し分なくね、本当にいつものいいストレートと、きょうはフォークもすごくよかったのでね、三振も取れましたし。本当に間隔を空けての中でね、毎回いい投球をしてくれています」-打線は6回途中まで13安打で8得点「まあ欲を言えばね、もうちょっと前半ね、点を取っていい流れでというところが欲しかったと思いますけど。中盤以降ね、いい形で、チカ(近本)も久しぶりにホームランが出ましたし、打線もね、つながったというところがあったので。よかったかなと思います」-今日も大山のバットで先制、そして追加点「そうですね、打点もね、どんどん増えていますし。もちろんテル(佐藤輝)にも打ってもらいたいですけど、今、悠輔が引っ張って行ってくれているんでね。そういうところでは悠輔の前にね、しっかりためていきたいなと思います」-その佐藤輝にも打点3がついた。「まあ、内容的には、もっともっと良くなってほしいな、というのももちろんあるんですけど、まあでも1本でバッターは変わるところもあるんで、そういうところでは1本出て良かったなと思います」-雨にほんろうされながら4位広島に同一カード3連勝「今年はずっとね、広島にやられて悔しい思いをしてきたんでね、この終盤で3つ勝てたのっていうのは本当に大きいですし、明日からジャイアンツを迎えるんでね、そういうところでも投手陣も万全の状態でいけると思うんでね、本当にいい(形で)3つ勝てたなと思います」-巨人戦に向けても大きな3連勝「点も取れたっていうのも、もちろん雨もあったけど、中継ぎのピッチャーもね、温存出来たようなところまで才木が持って行ってくれたので。そういうところではいい形で、最高の状態で巨人戦にいけるので、中身的にも大きいかなと思います」

◆阪神は長期ロード明けの広島3連戦で同一カード3連勝を飾り、4位巨人とのゲーム差を4に広げた。先発の才木浩人投手(23)が6回を自己最多タイの9奪三振、3安打無失点で"プロ初完投初完封"を飾り、自身2連勝で今季4勝目(1敗)。5位広島とのゲーム差も4・5とした。近本光司外野手(27)は5回の2号ソロを含む今季初の4安打の固め打ちで、大きく勝利に貢献した。近本と才木のヒーローインタビューは以下の通り。【近本】-4安打で勝利に貢献「才木が投げているので、何とか勝つために、結果的に勝てたのでよかったです」-3打席目の1発の狙いは「2本打っていたので、いったろかなと思いました」-右翼スタンドへ。感触は「打球があんまり上がらなかったので、『あ~フェンスかな~』とは思っていたんですけど、今日は風がいつもと違う風だったので、『頼む入ってくれ』という気持ちで走ってました」-甲子園では今季初の1発に「いつ振りかは忘れましたけど、走りながらちょっと周り見て、『(本塁へ)帰ってきた~』というか、いい追加点になったなというのは感じましたね」-第4打席は三塁の頭上を越えて内野安打に「雨が結構降っていたので、みんなしんどいなと思いながら打席に入ってましたけど、ラッキーという感じですね」-勝率5割復帰。9月いいスタートを切った「僕の中で9月はすごい大事にしているので、いいスタートを切れて、1カ月最後までしっかりやっていきたいと思います」-センターから才木のピッチングをどうみていたか「いいボールを投げていましたし、真っすぐがよかったので、低めの変化球も結構振ってくれていたので、そういうところが才木の良さでもあるので、すごくいいピッチングだったかなと思います」【才木】-今季4勝目「勝ててるというのはすごくいいことかなと思いますし、今日なんかはちょっとバタついた回もありましたけど、先制点も取ってくれましたし、近本さんが追加点を取ってくれたので、すごく楽に投げることができました」-初回から3回まで得点圏に走者を背負ったがすべて三振に抑えた「その辺はやっぱり梅野さんがうまくリードしてくれましたし、その前にもテル(佐藤輝)とか、中野さんとかのファインプレーもあって、助けられたので、ピンチでもここは何とかゼロで切ろうという気持ちで投げて、結果三振だったので、すごくよかったかなと思います」-自己最多タイの9Kについては「三振を取れているということは、空振りも取れているし、ストライクゾーンでしっかり勝負できているということだと思うので、そこはすごく、自分はどちらかというと三振を取るタイプのピッチャーだと思っているので、しっかり三振を取れているのはすごくいいことだなと思いますね」-記録上は6回コールドでの完封勝利に。プロ初完封がこのような形になったが「自分的には完封という記録がついたのはいいことだと思いますし、ゼロでしっかり投げられているので、まあいいことかなと思うんですけど、次に完封取る時はしっかり9回投げきって、ゼロで終われるように、しっかり自分の実力とかも含めて投げて行けたらと思います」-手術から復帰して、進化を感じている部分は「ここ最近の試合というか、ケガ明けの試合で荒れた試合がないというのは、自分の中ではすごくいいことかなと思いますし、こうやって試合をしっかりつくってこれているというところは自分の中でも自信にしていいかなと思います」-最後にファンへ向けて「ここからしっかり勝って、自分が投げる試合ももちろんそうですけど、近本さんがしっかり打って活躍してくれると思うので、みなさん期待して見といてください」【近本】「今日球場にかけつけてくださったファンのみなさん、雨の中、応援ありがとうございます。残り1カ月選手たちみんな必死でなんとか勝って、最後までしっかり諦めずに頑張っていきますので、最後まで応援よろしくお願いいたします」

◆広島は阪神に3連敗を喫した。借金が今季最大「9」となり、5位に転落した。佐々岡真司監督(55)は「1つずつ毎日、1戦1戦やるだけ」と前を向いた。佐々岡監督の一問一答は以下の通り。-才木を打てなかった佐々岡監督 「そうですね。真っすぐに力もあって落ち球の変化球。策はしっかり頭の中にみんな入ってるんでしょうけど、なかなか結果を見ればできなかった。三振。結果をみればそうでしょう」-打線を組み替えた佐々岡監督 「ライアン(マクブルーム)がちょっと調子を落としているんで替えました。機能できなかったですけど」-野村は粘りを見せた佐々岡監督 「うーん。良いように言えば粘り。五回まで100球投げるようではなかなか。そこまでしか投げられない、というのはどうなのか。粘りという言い方が良いのかどうか、なかなか難しい」-6回から菊池涼を交代佐々岡監督 「コロナ明けなんでそこは無理できない。なかなかコンディションというのもコロナというのはそう簡単なものではない。大事を取って」-明日は大瀬良が先発佐々岡監督 「チーム状況もこういう状況なんで、大瀬良も僕と話をして、しっかりファームで投げて状態良いということで、明日に合わさせて投げさせます」-大事な3連戦で3連敗し、自力CSが消滅佐々岡監督 「1つずつ毎日、1戦1戦やるだけです」

◆瞬時に祈った。「頼む、入ってくれ!」。阪神近本光司外野手(27)に、ファンの歓喜がスタンドインを知らせた。「打球が上がらなかったので、『あ~、フェンスかな~』と思っていたんですけど、風がいつもと違う風だったので」。1点リードの5回1死。右翼スタンドにライナーで2号ソロを決めた。左翼から右翼方向に吹いた風のアシストも受け、貴重な追加点をたたき出した。7月8日のヤクルト戦以来、約2カ月ぶりのアーチは昨年10月19日以来、317日ぶりの甲子園弾。「走りながら周りを見て、(本塁へ)『帰ってきた~』というか、いい追加点になったというのは感じましたね」。余韻に浸った直後、ベンチ前ではぬいぐるみ風の虎メダルを授与された。2ボールからの一撃。野村の141キロを逃さなかった。ファーストストライクを確実に仕留める男が意識していることは、極めてシンプルだ。「1試合で4打席あったら、4球で終わってもいいと思っているので。場面によっては考えるけど、来た球を打つ。それだけです」。3番でも、1番でも変わらない。究極の好球必打の思考が、バットマンの根底にある。初回の中前打で勢いをつけた。3回の左前打、6回の遊撃内野安打は、好機を広げるつなぎの一打に。今季13度目の猛打賞どころか、昨年4月18日以来の4安打で3割に乗せた。8月は新型コロナ感染で11試合の離脱がありながら、ヤクルト村上に追いつき、136安打でリーグトップタイだ。2年連続最多安打へ向けスパートかと思いきや、「諦めているところもあるので、個人の成績では...」。チームへの思いが心を突き動かす。「モチベーション...、あ~でも、『なんとか』っていう気持ちですね。なんとかヒット打つ、なんとか投げさせる、なんとか勝ちをつけさせる...。そういったところが自分の中ではモチベーションになっている」3番が大暴れし3連勝。残り19試合、近本がなんとかしてくれる。【中野椋】▽阪神矢野監督(近本の本塁打について)「前半もね、もうちょっと点欲しいなというところで取れなかったので。チカのホームランと、1点で終わらずに(ロハス)ジュニアも、もう1点取れたので。相手に与えるダメージというか、そういうのがある、流れを作ったチカのホームランだったかなと思います」阪神は9月初戦を白星で飾った。矢野監督が指揮を執る19年から、9月以降の試合では67勝47敗11分けで勝率5割8分8厘の好成績だ。このうち甲子園に限ると、42勝23敗3分けで勝率6割4分6厘。今季残り全19試合中13試合を甲子園で行う阪神にとって、心強いデータだ。今季の同一カード3連戦3連勝は、8月19~21日巨人戦以来7度目。広島戦では、20年9月11~13日以来2年ぶり。○...ロハスが2試合連続打点となる適時二塁打で存在感を示した。2点リードの5回、2死一塁から野村の外角低め139キロを芯で捉え、左中間へはじき返した。球団広報を通じ「まだ点差は2点だったので、『念のため』もう1点取っておきたいという思いだったよ」と、最近覚えた日本語の「念のため」を使ってコメント。8月に3割2分8厘、4本塁打、13打点を記録した助っ人が、9月も大暴れの予感だ。

◆6回裏降雨コールドゲームで、自力CSが消滅した。広島が、阪神21回戦(甲子園)で3連敗を喫した。先発野村が5回3失点。降雨の中の6回は、守備の乱れもあり、中継ぎ陣が5点を失った。2試合連続1点差負けから、この日は投打ともに完敗。3位阪神とのゲーム差は4・5に広がり、自力でのCS進出の可能性がなくなった。広島ファンの涙雨のような大きな雨粒が、試合の幕を引いた。0-3の6回。広島は守備の乱れから1点を失うと、1死満塁から2番手島内が佐藤輝に三塁打を浴びた。この回から降り出した雨が強くなり、40分の中断。再開しても阪神の勢いを止められない。代わった塹江が大山に適時打を浴びて、0-8。逆転のわずかな可能性も、直後の大雨によってなくなった。1・5ゲーム差で乗り込んだ甲子園で、3位阪神に3連敗を喫した。ゲーム差は4・5に広がり、自力CS進出の可能性がなくなった。佐々岡監督は試合後「1つずつ、毎日ね。1戦1戦やるだけです」と言葉を絞り出した。3位阪神との3連戦こそ一戦必勝が求められただけに、あまりにも痛い3連敗となった。先発野村は、5回まで毎回走者を背負った。2回1死二、三塁は無失点で切り抜けるも、3回は2死一、二塁から大山に左前適時打で先制点を献上。5回は1死から近本に右翼席へソロを浴びると、2死一塁からロハスに左中間を破られた。佐々岡監督は「粘りという言い方がいいのかどうか、なかなか難しい」と、5回3失点の投球内容に首をひねった。前半戦を勝率5割で折り返すも、後半戦は29試合で10勝19敗と大きく負け越している。先発陣に離脱と不振が目立ち、踏ん張れない。先発が6回以上投げた試合は、勝利数を下回る9試合しかない。主力の離脱で巡ってきた登板機会で若手がアピールできず、この日はチーム最年長投手も踏ん張れなかった。CS争いから脱落しないためにも、先発陣の再整備は急務だ。2日DeNA戦は大瀬良が中20日で先発する。再び自力でのCS進出を可能にはできる。シーズンは残り20試合を切った。一戦必勝が求められる最終盤こそ、佐々岡広島の集大成を示さなければならない。【前原淳】○...発熱から先発復帰した秋山が、3打席目に安打を放った。「3番中堅」で8月21日以来のスタメン。6回に先頭で才木から中前打を放った。前日は代打で途中出場したが、3打席凡退。「うずうずしていたし、外れてしまったのが申し訳ないなという気持ちもあった。(実戦に)慣らしていくとかは必要ない。結果が出るか出ないか。順位がかかっている」。ラストスパートに闘志を燃やす。○...打線が阪神先発才木に散発3安打に抑えられ、無得点に終わった。マクブルームをデビュー戦以来の6番に起用。西川を今季4試合目となる4番に置いたが、実らず。朝山打撃コーチは「今日は振れている人を前の方に置いた。フォークがみんな真っすぐに見える感じで三振が増えた。フォークボールの見極めができなかった」。今季初対戦の才木に6回で9三振を奪われるなど、攻めあぐねた。

◆40分間に渡った降雨中断の直後、強い雨がヘルメットをたたいていた。すでにリードは7点。それでも阪神大山悠輔内野手(27)は集中力を切らさなかった。「投手が代わることも考えて。中断の時から準備していました。1球で仕留められて良かったです」6回裏1死三塁。試合再開時から登板した塹江の初球145キロ直球を振り抜き、ライナーで左中間芝生に水しぶきをあげさせた。0-0の3回2死一、二塁では三遊間を破り、先制点をたたき出していた。1ボール1ストライクから野村の93キロスローカーブを我慢しての強振。そして、降雨コールド勝利の直前にはダメ押しの快音だ。これで自身2年ぶり2度目の80打点、4年連続100安打に到達。新型コロナウイルス感染から復帰後、12試合で打率4割1分9厘と好調をキープしている。「打席に入る時に迷ってしまったら意味がない。しっかり決めて入るようにしています」広島3連戦の初戦は8回に決勝アーチ。2戦目は同点打を2本。3戦目は先制&決勝打を含む適時打2本。8戦連続安打、3戦連続打点と勢いが止まらない。気がつけば、昨季2割5厘に終わった得点圏打率は今季3割1分2厘。「もっと上を目指さないと」と満足しないが、昨季からの進化は誰の目にも明らかだ。プロ6年目、9月の通算24本塁打、78打点は月別で断トツ。矢野監督は「多分、キャンプが始まる頃の目標でも100ぐらいをあげている。そこまでいける打者だと思う」と期待する。今年も「秋の大山」の季節が訪れる。【佐井陽介】大山が3回に先制打、6回にはダメ押しの適時打で計2打点。大山が打点を挙げればチームは、8月2日巨人戦から7連勝。また、9月通算の24本塁打、78打点は月別トップと9月に強い。18年9月16日DeNA戦では6打数6安打、3本塁打、7打点もマークしている。

◆阪神才木浩人投手(23)が"プロ初完封"で4勝目を飾った。1日広島戦(甲子園)で先発し、自己最多タイの9三振を奪って6回無失点。代打を送られた6回裏に雨が強まって、コールドゲームで完封勝ちをものにした。阪神は苦手広島戦に3連勝し、勝率5割に復帰。4位巨人とのゲーム差を4に広げ、2日から甲子園で迎え撃つ。午後9時6分に試合は再開された。しかし、そのわずか1分後。甲子園を白く包む大雨で、試合はコールドに。神様から才木への贈り物か。6回3安打無失点での今季4勝目に「プロ初完投初完封」のうれしいおまけがついた。お立ち台の背番号35は幸運に笑みをこぼしながらも、頼もしく先を見据えた。「完封という記録がついて、いいことかなと思うんですけど、次に完封を取る時はしっかり9回投げきって、ゼロで終われるように。しっかり投げていけたらと思います」。初回から三振を量産した。先頭の野間を直球で押し込み、最後はフォークで空振り三振と好スタートを切った。2回は2死二塁のピンチを背負ったが、会沢を空振り三振。その後も危なげない投球を続け、6回を自己最多タイの9奪三振でスコアボードに「0」を並べた。「ストライクゾーンでしっかり勝負できているということだと思う。三振を取るタイプだと思っているので、しっかり三振を取れるのはすごくいいこと」と自信を深めた。20年に右肘のトミージョン手術を行い、リハビリの日々が続いた時。新たに足のトレーニングの効果を感じ取った。今までは漠然と足全体を鍛えていたが、足の裏、足首など細部にまでこだわって体の連動性の大切さを学んだ。「人間は地面に着いているのが足だけじゃないですか? 野球も地面から力をもらって、足から腕につなげて投げる。足のバランスを崩したら、上にうまく力が伝わらないので、結局肘に負担がかかって良いボールも投げられない。足の指や足首を、どう動かせば力が伝わるか、ちゃんと仕組みを理解しようとしました」。この日も甲子園の土を力強く踏み込む投球で相手を翻弄(ほんろう)した。矢野監督も「申し分なく、直球フォークもすごくよかった。間隔を空けての中で毎回いい投球をしてくれています」とねぎらった。チームはこれで今季の甲子園勝ち越しが決定し、借金を完済。2日からは引き続き本拠地で4位巨人との伝統の一戦が控える。指揮官は「中継ぎも温存できるようなところまで、才木が持っていってくれた。いい形で、最高の状態で巨人戦にいける」と宿敵との対戦をにらんだ。【三宅ひとみ】

◆阪神が苦手広島にカード3連勝し、8月11日以来の勝率5割復帰した。3番近本光司外野手(27)が打線をけん引。5回の2号ソロなど4安打の固め打ちを見せ、安打数でセ・リーグトップのヤクルト村上に並んだ。投げては、先発才木浩人投手(23)が6回で自己最多タイの9三振を奪って無失点。6回降雨コールドで完封勝ちをものにした。4位巨人とのゲーム差を4に拡大。2日から甲子園で宿敵を迎え撃つ。近本は瞬時に祈った。「頼む、入ってくれ!」。ファンの歓喜がスタンドインを知らせた。「打球が上がらなかったので、『あ~、フェンスかな~』と思っていたんですけど、風がいつもと違う風だったので」。1点リードの5回1死。右翼スタンドにライナーで2号ソロを決めた。通常の浜風とは逆となる、左翼から右翼方向に吹いた風のアシストも受け、追加点をたたき出した。7月8日のヤクルト戦以来、約2カ月ぶりのアーチは昨年10月19日以来、317日ぶりの甲子園弾。2ボールからの一撃。野村の141キロを逃さなかった。ファーストストライクを確実に仕留める男が意識していることは、極めてシンプルだ。「1試合で4打席あったら、4球で終わってもいいと思っているので。場面によっては考えるけど、来た球を打つ。それだけです」。3番でも、1番でも変わらない。究極の好球必打の思考が、根底にある。初回に中前打、3回は左前打、6回の遊撃内野安打は、好機を広げるつなぎの一打になった。今季13度目の猛打賞どころか、昨年4月18日以来の4安打。8月は新型コロナ感染で11試合の離脱がありながら、安打数で「3冠王」のヤクルト村上に追いつき、136安打はリーグトップタイとなった。2年連続最多安打へ向けスパートかと思いきや、「諦めているところもあるので、個人の成績では...」。チームへの思いが心を突き動かす。「『なんとか』っていう気持ちですね。なんとかヒット打つ、なんとか投げさせる、なんとか勝ちをつけさせる...。自分の中ではモチベーションになっている」3番が大暴れし3連勝。残り19試合、近本がなんとかしてくれる。【中野椋】

◆両軍のスターティングメンバーが発表。阪神は今季ここまで3勝(1敗)の才木浩人投手(23)が中10日で先発する。前回登板の8月21日の巨人戦(東京ドーム)では、七回途中を4安打1失点に抑える好投で2勝目をマークした。広島とは今季初対戦。2019年5月1日(甲子園)以来、3年ぶり。鯉打線を抑え、同一カード3連勝に導く。

◆阪神が二回の先制機を生かせなかった。1死からロハスが相手失策で出塁すると、木浪が右翼線へ二塁打を放ち、好機拡大。1死二、三塁とした。しかし、続く梅野が痛恨の捕邪飛に倒れると、9番の才木は空振り三振に終わった。先発の才木は一回、二回ともに得点圏に走者を進められるも、決定打を与えず無得点。先発右腕への援護点とはならなかった。

◆阪神・大山悠輔内野手(27)が先制の左前適時打を放った。三回、1死から糸原が左前打を放つと、近本がラッキーなポテンヒットでつなぎ1死一、二塁。佐藤輝が左飛に倒れ2死となったが頼れる5番が決めた。カウント1-1から野村の93㌔カーブをとらえると、打球は三遊間を抜ける。二走・糸原が先制のホームを踏んだ。大山は8月30日の同戦で決勝の先制ソロ、さらに同31日は2本の同点打を放っていた。広島3連戦で、3夜連続となる殊勲の一打。この一本で得点圏打率は・306となり、勝負強さが光っている。

◆阪神・近本光司外野手(27)が2号ソロを放った。1-0で迎えた五回1死。野村の141キロの速球を一閃した。打球は弾丸ライナーで右翼席へ。7月8日のヤクルト戦(神宮)以来の一発で貴重な追加点をもたらした。近本は一回に中前打、三回は左前打と得意の固め打ちで、早くも今季13度目の猛打賞を決めた。打線はさらに2死一塁の場面でロハスが左中間を突き破る適時二塁打を放って追加点。3-0とした。

◆先発した阪神・才木浩人投手(23)は6回3安打無失点と好投。広島打線に決定打を許さなかった。一回から三回までいずれも得点圏に走者を背負った。それでも得点は許さず、三回2死一、二塁のピンチは西川を134㌔フォークで空振り三振に切った。先制点をもらった四回からは安定感が増す。六回は先頭・秋山に中前打を浴びるも、西川を一ゴロ併殺でスコアボードにゼロを並べた。才木は六回の打席で代打を送られてお役御免。92球の力投で、今季4勝目の権利を手にした。

◆阪神・佐藤輝明内野手(23)が走者一掃の3点三塁打を放った。大粒の雨が降り出した六回。相手の失策が重なり4-0とリードを広げ、なおも1死満塁の好機で佐藤輝が打席に向かった。フルカウントから7球目、島内の149㌔直球を振り切ると、地を這うような打球が右翼線へ。走者一掃の一打に、快足を飛ばして三塁に到達した。佐藤輝は8月21日の巨人戦(東京ドーム)以来、9試合ぶりの打点をマーク。6試合連続安打とした。

◆降雨のため午後8時26分に一時中断となった。阪神攻撃の六回1死で代打・陽川が打席に入ったところで、雨脚が一気に強まった。その後も試合は続行したが、雨は弱まることなく、佐藤輝が走者一掃の3点三塁打を放った後、審判団が内野中央に集まり、協議。直後に球場に試合の一時中断を告げるアナウンスが流れた。

◆試合途中から雨脚が強まり、2度の中断を経て六回途中で雨天コールド。阪神が同一カード3連勝を飾った。打線は二回に大山の中前適時打で先制すると、五回は近本に2号ソロが飛び出し追撃。試合中断直前の六回1死満塁では佐藤輝が9試合ぶりの打点となる、3点三塁打を放ちとどめを刺した。試合は雨脚が強まり、午後8時26分に中断。40分後の、午後9時6分に再開されたが、すぐに雨脚が強まり、再び中断。午後9時10分にコールドゲームが宣告された。先発の才木は序盤に再三のピンチを招きながらも、6回3安打無失点で今季4勝目。雨天コールドとはいえ、プロ初の〝完封〟勝利を飾った。阪神は苦戦していた広島相手に今季初の同一カード3連勝で勝率5割復帰。勝負の9月は白星スタートとなった。

◆阪神が19度目の完封勝利で8月11日以来、勝率を5割に戻した。三回に大山悠輔内野手(27)の3試合連続打点となる適時打で先制し、五回には近本光司外野手(27)が7月8日のヤクルト戦(神宮)以来、129打席ぶりの2号ソロとメル・ロハス・ジュニア外野手(32)の二塁打で2点を追加した。六回の佐藤輝明内野手(23)の一塁線を破る3点三塁打がダメ押しとなった。大山は80打点に到達。才木浩人投手(23)は6回3安打9奪三振で4勝目(1敗)。試合は降雨中断から再開後、1球で中断を経てコールドゲームとなった。今季7度目の同一カード3連勝の矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り(チーム成績61勝61敗2分=残り試合19、観衆3万147人)。(テレビインタビュー)ーー雨中の激闘で才木は6回無失点「申し分なくね、本当にいつものいいストレートとフォークもすごくよかった。三振も取れましたし。間隔をあけての中で毎回いい投球をしてくれています」ーー打線は六回途中まで13安打で8得点「欲を言えば、もうちょっと前半、点を取っていい流れがほしかったと思います。中盤以降、いい形で、チカも久しぶりにホームランが出ましたし、打線もつながったので、良かったかなと思います」ーー大山のバットで先制と追加点「そうですね、打点も増えていますし、輝にも打ってもらいたいですけど今、悠輔が引っ張ってくれているんでね。悠輔の前に、しっかりためていきたいなと思います」ーー佐藤輝にも打点3がついた「内容的には、もっと良くなってほしいな、というのもあるんですけど、一本でバッターは変わるところもあるんで、出て良かったなと思います」ーー雨に翻弄されながら広島に同一カード3連勝「今年はずっと広島にやられて悔しい思いをしてきたんでね、この終盤で3つ勝てたのは本当に大きいですし、明日(2日)からジャイアンツを迎えるんでね、投手陣も万全の状態でいけると思うんでね、本当にいい(形で)3つ勝てたなと思います」(囲み取材)ーー才木は走者を背負ってから三振で終わる回が多かった「三振は前に飛ばせないわけだから、それ以上はないアウトだと思う。そういうピッチャーになりたいと思ってると思う。狙って三振を取るピッチャーになっていってもらえるような素材。そういう投球がしっかりできたかなと思います」ーー追加点が欲しいところで近本の一発「前半も点ほしいなというところで取れなかったので。チカのホームランと、ジュニアももう1点取れたので」ーー中軸で点が取れたことは今後にプラス「中軸というか、輝が状態を上げていってもらわないと。悠輔がいい状態で、チカも前であれくらい出ると、いい攻撃が出来る。あとは拓夢が、上がってくれば申し分ないかなと思います」ーー巨人戦に向けても大きな3連勝「そやね。点も取れたのも雨もあったけど、中継ぎのピッチャーも温存出来たところまで才木が持って行ってくれた。いい形で、最高の状態で巨人戦に行けるので、中身的にも大きいかなと思います」ーー大山の80打点は「あの打順を打って、悠輔が(普通に)打っていけば、それくらいはいくだろうし。80でいいとは思っていないと思う。キャンプが始まる頃、100くらいの目標を挙げていると思うので、そこまでいけるバッター。1打点ずつ積み重ねていってくれたらなと思います」ーー夏場のロハスの働きは「出塁も四球であったり、出てくれたりしている。ラッキーボーイという存在でいてくれているので。さっきも言ったように、近本の後のあの1点はこっちは勢いが出たと思うので。いい働きをしてくれたと思います」

◆中日、阪神、西武で通算1560安打を放ち、初代の楽天監督を務めたサンケイスポーツ専属評論家の田尾安志氏(68)はAクラスを賭けた戦いで4位広島に3連勝したことを高く評価。DeNAの9月の過酷な日程を考えれば、2位も十分に狙えると語った。Aクラスを確保したい阪神の9月の戦いは、いかにライバルに競り勝つかがカギとなる。この3連勝で広島を蹴落とせたのではないか。得点の仕方が良くなってきている。三回は抜群の勝負強さを誇っている大山の適時打。五回の近本の一発も大きいが、その後2死から大山の四球、ロハスの適時二塁打が効果的。つながりのある攻撃は、阪神打線の好調さを物語る。大山が絶好調な分、佐藤輝が気になるが、「低めなら打てる」と見ていた六回1死満塁から走者一掃の三塁打。結果的にこの後にコールドになったが、もし九回まで続行していたとしても、勝ちパターンの投手を休ませることができる一打は貴重だった。才木の安定も目を見張る。高めに浮く球が時々見られるが、それでも四球をあまり与えないところが魅力。真っすぐと、同じ腕の振り&球筋から鋭く落ちるフォークに、広島の打者は全く対応できていなかった。すべて空振りの9三振が、いかに攻略が難しいかを証明している。最終的に点差は開いたが五回までは1-0の投手戦。本来なら苦しいはずだが、平然と投げ続けるハートも褒めたい。2日からの巨人戦に向けて、投手陣が余力を持って臨めるのは大きい。先発陣が安定した今の戦い方を続けて、当面の敵を順番に蹴落としていけば、順位は自然に上がっていく。さらにDeNAの9月の日程は、過酷で阪神は2位を十分に狙えると見ている。

◆ロハスが五回2死一塁で、左中間を真っ二つに破る適時二塁打。大きな3点目をたたき出した。「まだ点差は2点だったので、『念のため』、もう1点取っておきたいという思いだったよ」。勤勉な助っ人は、最近覚えた日本語だという「念のため」を用いて喜びを表現。一戦一戦が大一番の9月は、〝念のため〟の一打で、勝利をグッと手繰り寄せていく。

◆グラウンドには水が、塁上には走者がたまっていき、あとは佐藤輝がすべてはじき飛ばすだけだった。一塁線を突き破り猛然と走って、鯉にトドメを刺す3点三塁打だ。今季何度も苦しんできた満塁機を〝完全克服〟した4番に、祝福の大雨が降り注いだ。「抜けてくれたので、よかったです」4-0の六回1死満塁で打席へ向かった。雨脚はもう十分に強かったが、「満塁の佐藤輝」の結末を見ずに帰れる虎党などいるはずがなかった。フルカウントから島内が投じた7球目、低めのボールを強烈に引っ張って、一気に7-0とした。甲子園が揺れ、雨脚も一層強まって、審判団はゲームを一旦中断させなくてはならなかった。満塁に強い佐藤輝が、ここで帰ってきた意味は大きい。新人だった昨季は、満塁も打率・400(15打数6安打)、1本塁打、11打点と苦にしなかった。だが、今季は開幕から7打席連続無安打(内野ゴロによる打点1のみ)と沈黙した。7月17日の中日戦(甲子園)でようやく柳から逆転の2点右前打を放って〝今季初満塁打〟をマークしたが、ここまで満塁時の成績は打率・167(12打数2安打)、0本塁打、5打点だった。満塁で打席に立つことの重みは、佐藤輝自身も「打点を挙げるチャンスですし、頑張ります」と受け止めている。これから先も必ず満塁機はある。そこで4番らしく打つことが、9月はさらに求められる。雨による中断時には、ベンチから顔をのぞかせてスタンドへ何度も手を振った。視線の先にいたのは家族だった。「喜んでくれていると思います。来るとは聞いていたので。いいところは見せたいなと。でも、それはどの試合もです」。好青年らしい一面ものぞかせるが、ここから先の虎はこの23歳のバットにかかっている。「中軸がしっかり打てば打線も活発になるかなと。いい状態だと思います」好調の5番・大山との並びも強力になってきた。頼もしさを増し、上昇カーブを描きながら、佐藤輝が2年目の最終盤に挑む。(長友孝輔)

◆タイトル渡さん!! 阪神は広島に8-0、六回裏1死降雨コールドで勝利し、3連勝で勝率5割復帰を果たした。近本光司外野手(27)が五回に2号ソロを放つなど、今季初の4安打と大暴れ。今季の安打数を「136」に伸ばし、リーグトップのヤクルト・村上に並んだ。2年連続の最多安打は譲らない。白球は弾丸ライナーで雨粒を切り裂いた。そのまま右翼スタンドに着弾。ぬれた虎党の顔が一気に晴れやかとなった。最後まで試合が見られなくても大満足だ。猛虎打線爆発の中心で近本が快音の嵐を巻き起こし、〝神様〟と肩を並べた。「(ヒットを)2本打っているんで、『いったろうかなー』と思いました。きょうは風がいつもと違う風だったんで、『頼む、入ってくれ』っていう気持ちで走っていました」1-0で迎えた五回1死の第3打席。野村の141キロを振り抜いた。7月8日のヤクルト戦(神宮)以来、54日ぶりの一発は、貴重な追加点をもたらす2号ソロ。昨年10月19日のヤクルト戦以来となる今季本拠地初アーチを「いつぶりかは忘れたけど、走りながら周りを見て、帰ってきたな」と噛み締めた。止まらないヒットメーカーは一回に中前打、三回はポトリと落とす左前打、さらに六回にはラッキーな遊撃内野安打を放ち、今季初の1試合4安打をマーク。再び打率3割に乗せた近本に引っ張られた猛虎打線は13安打8得点の猛攻で、すでにカード負け越しが決まっている苦手・広島から今季初の3連戦3連勝だ。8月11日以来の勝率5割復帰。雨にさらされながら、2度の中断をじっと耐え、懸命に声援をくれた3万147人の観衆を〝スッキリ〟させた選手会長の働きに、矢野監督も「中盤以降ね、いい形で、チカ(近本)も久しぶりにホームランが出たし、打線もつながったというところがあったので。よかった」とたたえた。「なんとかヒット打つ、なんとか投げさせる、なんとか勝ちをつけさせる。自分の中で最近、〝なんとかしよう〟というのが多い。そういったところがモチベーションになっている」チームのために、〝なんとかしよう〟と奏でた4度の快音だった。これで、安打数はセ・リーグ首位の136安打。リーグ主要打撃部門のトップを総なめし、野球ファンから〝村神様〟と畏れ、あがめられるヤクルト・村上に並んだ。昨季最多安打の近本は8月にコロナ感染で11試合離脱していたこともあり、「諦めているところもあるので、自分の個人の成績では」と謙遜したが、黙って譲るつもりはない。村上とはルーキーイヤーの2019年に新人王を争い、冠を渡した。再び、〝神様〟の前に立ちはだかる。そして、今度は勝って、〝安打王〟のタイトルを死守してみせる。「僕の中で9月はすごい大事にしている。いいスタートを切れて、1カ月最後までしっかりやっていきたいと思います」運命の9月を白星発進。2日からは宿敵・巨人を甲子園で迎え撃つ。2022年シーズンも最終盤。ゴールに向かって鋭さを増すスイングで、近本はヒットを量産していく。(原田遼太郎)

◆降雨中断は大山のためにあった? 集中力を研ぎ澄まし、試合再開を待った虎党の大歓声を巻き起こした。40分の中断明け即、初球打ちの適時打。〝チャンスの鬼〟が雨の甲子園に現れた。「中断のときから準備していましたし、時間があいたけど、しっかり整理できて入れた。一球で仕留められたことがよかった」7-0の六回1死三塁、島内から代わったばかりの塹江の初球145キロを中前へ弾き返し、8得点目につなげた。その後、一塁ベース上で土砂降りの〝ウオーターシャワー〟を浴び、さらに3分の中断後に虎の勝利が決定した。最初の中断前には佐藤輝が適時三塁打。そのまま試合が終わるかと思われたが、大山に〝締め〟が回ってきた。三回には先制打を放ち、この日で得点圏打率は・312にアップ。後半戦(球宴後)に限れば、同・600と驚異的だ。六回の一打で4年連続100安打。2年ぶり2度目の80打点にも到達し、矢野監督は「キャンプが始まる頃の目標でも100(打点)くらいを挙げていると思う。そこまでいけるバッター」と期待を込めた。(新里公章)

◆才木の力投に、天も味方した。降板直後に強く降り始めた雨が勝利を決定づけ、ベンチの右腕も笑みを浮かべた。甲子園の雨は完封勝利を祝福する、歓喜のウオーターシャワーに変わった。「フォークで空振りを取れていたし、カウント(を取りたい場面)でフォークを投げても振ってきてくれていたので、自分のピッチングスタイル的にはすごく楽に投げられた」三回は2死から味方の失策と四球で一、二塁のピンチを招いたが、4番・西川をワンバウンドのフォークで空振り三振。1―0の六回無死一塁では坂倉を初球のフォークで引っ掛けさせて一ゴロ併殺に料理し、6回3安打無失点でマウンドを降りた。代打が送られた六回の攻撃途中に中断し、そのまま降雨コールドに。雨のアシストもあって今季4勝目をつかみ、プロ初完封が転がり込んだ。規定投球回は未到達ながら防御率は1・50となり、リーグトップの青柳の1・61をもしのぐ安定感だ。自己最多タイとなる9三振もマークした23歳に矢野監督は「いつものいいストレートと、きょうはフォークもすごくよかったので三振も取れた。間隔を空けた中で毎回いい投球をしてくれている」とたたえた。この日、成し遂げたプロ初完封は才木にとって始まりに過ぎない。息の長い投手になることを最終目標とし「(歴代)最年長というか、できるだけプロの世界で長くやっていきたい」と将来像を思い描く。右肘痛で悩んでいた2020年。高知・安芸での春季キャンプでかけられた一言が今も忘れられない。当時、阪神で臨時コーチを務めた山本昌氏がそっと歩み寄ってくれた。「一歩後退しても、焦らずやれば大丈夫」歴代最年長50歳まで現役を続けた通算219勝のレジェンド左腕の言葉をお守り代わりにすることで、右肘手術もリハビリも乗り越えることができた。一歩後退したとしても常に前向きでいることができた。「近本さんには『記録は完封やからええやん』って言われたんですけど。しっかり9イニング投げて0に抑えれるように。今後そういうピッチングができるようになっていければいいかな」投げるなら1球でも多く、1イニングでも長く-。そして1年でも長くプロ野球選手でいるため、才木は挑戦し続ける。(織原祥平)

◆『大山の大山による大山のための阪神園芸』やー!! えっ、意味が分からない? 言っちゃなんだけど、スマン、俺も分かりまへ~ん!!とにかく、何が言いたいかっちゅ~と! 本日のヒーローは2号アーチの近本でもなければ、六回走者一掃のスリーベースを放った佐藤輝でもなく、三回に先制タイムリー、そして40分の中断の後、日本一の阪神園芸さんにプロの整備をしていただき、再開直後の初球をタイムリー、その途端の豪雨で試合終了の大山さまでーす!! 大山のためのぜいたくな40分...、いいんです!! この3連戦は決勝アーチにダブル同点打、そして本日の先制打に締めのタイムリーと、大山の3連勝といっても言い過ぎでないのだ!!おっと忘れちゃいけない。6回を3安打で完封した才木投手も、右腕にメスを入れたとは思えない完璧なマウンドを演じてくれたのだ!! 雨降って地固まる。残り試合は少ないけど、最後の劇的虎ドラマの始まりじゃないのか?

◆やるんかい? やめるんかい? 審判も、新聞記者もドタバタしたが、お天気には勝てない。まあ、阪神には〝悪くない〟コールド勝ちだ。甲子園は朝から雨模様。試合前練習も、場所は室内練習場になった。果たして、試合は行われるのか? 中止になったら紙面を埋めるのは大変だ。トラ番記者が最もヤキモキしながら過ごす一日になった。「この雲の動きを見ると、午後5時くらいには中止ですね」サブキャップ・新里公章が、「いつから気象予報士になったんや」と聞きたくなる自信満々口調で予想していた。目の前のパソコン画面にはインターネットの天気予報が。雲の動きを示す動画とにらめっこだ。「雲が北寄りに動き始めました。プレーボールは掛かりそうです」わずか数分で正反対のことを言い出した。勘違いなさらぬように。新里がいい加減なわけではなく、それだけ天気ってのは刻々と変わり、現代のネット情報はそれを的確に伝えてくれる。だから、にわか気象予報士はアナタの隣に出没する。やがて、「開門は午後4時です」の場内アナウンス。新里がこちらに向かってニンマリ。言ったとおりでしょ、とドヤ顔をしていた。こういう天候の日の名物となった阪神園芸の神整備。ファンがフェンスにかぶりつきになって撮影している。神整備の激写というわけか。本当の神整備は、シートを外す作業ではなく、はるか前段階の、時間を掛けた細心の準備にあるんだよ、と教えてあげたくなるが、まあ、今や「天下の阪神園芸」の一挙手一投足はすべて、ニュースだ。「そういえば、電車の車内広告に、『あめつちのうた』が第1回ひょうご本大賞に輝いたって紹介してましたよ」トラ番・原田遼太郎が教えてくれた。「あめつち-」は阪神園芸の活躍を題材にした小説。サンスポでもトラ番キャップ・長友孝輔が真っ先に紹介記事を書いた。試合中、甲子園の左翼席のかなたでは稲光が何度も、という怪しい天候で試合は進んでいった。本紙専属評論家・田尾安志氏は、昨夜は甲子園のニッポン放送ブースにいた。ただし、中継のメインはハマスタのDeNA-中日戦。甲子園は、最近では珍しい「予備」。横浜が雨天中止になったら甲子園の試合がオンエア。つまり、ハマスタで試合が続いている状況では、田尾さんはノンビリ(失礼!)。ドーム球場が増えたおかげで、令和の時代は激減した「中継予備」。昔は第1予備から第5予備まで存在した時代があったそうだ。そういえば遠い昔、放送席の田尾さんに呼ばれたことがある。「きょうは第3予備。絶対に出番は回ってこないから、ここで一緒に見よう」なんと放送席で阪神戦を、実況アナを交えて、ず~っと雑談しながら見た記憶が。のどかな時代だったなあ...と和んでいたその時! またも!「ヤバいです。8時に雨が降り出します」新里の仕事は記者なのか、気象予報士なのか。しかも予報的中!「止んでも、すぐに降り出しますよ」審判も、阪神園芸も振り回された天気を、最後まで当て続けた新里。記者より気象予報士になったほうが良かった?

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
69472 0.595
(-)
-
(-)
25526
(-)
457
(-)
149
(-)
62
(-)
0.254
(-)
3.490
(-)
2
(-)
DeNA
61512 0.545
(↑0.004)
6
(↑0.5)
29411
(+7)
425
(-)
96
(+1)
40
(-)
0.254
(↑0.001)
3.400
(↑0.03)
3
(-)
阪神
61612 0.500
(↑0.004)
11
(↑0.5)
19423
(+8)
352
(-)
75
(+1)
94
(-)
0.244
(↑0.002
2.540
(↑0.01)
4
(-)
巨人
56642 0.467
(-)
15
(-)
21463
(-)
530
(-)
134
(-)
53
(-)
0.242
(-)
3.910
(-)
5
(1↓)
広島
56653 0.463
(↓0.004)
15.5
(↓0.5)
19464
(-)
474
(+8)
78
(-)
24
(-)
0.253
(↓0.001)
3.540
(↓0.01)
6
(-)
中日
52651 0.444
(↓0.004)
17.5
(↓0.5)
25338
(-)
424
(+7)
56
(-)
48
(-)
0.246
(-)
3.410
(↓0.03)