中日(☆4対1★)阪神 =リーグ戦23回戦(2022.08.28)・バンテリンドーム=
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阪神
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中日
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勝利投手:柳 裕也(8勝9敗0S)
(セーブ:R.マルティネス(3勝3敗30S))
敗戦投手:森木 大智(0勝1敗0S)
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◆中日は0-0で迎えた6回裏、岡林と阿部の適時打で3点を挙げ、先制に成功する。続く7回には、2死二塁の好機から土田が適時打を放ち、リードを広げた。投げては、先発・柳が6回無失点7奪三振の好投で今季8勝目。敗れた阪神は先発・森木が試合をつくるも、打線が好機を生かしきれなかった。

◆阪神はプロ初登板の高卒ルーキー森木大智投手(19)が先発。2リーグ制後、高卒新人の初登板初勝利は19年吉田輝(日本ハム)まで32人。現12球団で阪神だけが2リーグ制後に初登板初勝利の高卒新人がいないが、森木は?

◆先発する阪神ドラフト1位の森木大智投手(19)が出場選手登録された。森木に代わり、アデルリン・ロドリゲス内野手(30)が抹消。新助っ人は8月7日の広島戦(マツダスタジアム)の中越え本塁打以来、30打席連続無安打で8月の打率は0割8分3厘と打撃不振が続いていた。

◆阪神梅野隆太郎捕手(31)が特例2022で出場選手登録を抹消された。球団によると、鼻づまりの症状があるという。前日27日の中日戦(バンテリンドーム)では藤浪とバッテリーを組み、好リードでチームの勝利に貢献していた。ここまで83試合に出場し、打率2割2分6厘、3本塁打、17打点だった。代替指名選手として、前日27日のファーム交流戦の巨人戦(新潟・三条パール金属)に出場していた栄枝裕貴捕手(24)が登録された。

◆阪神はドラフト1位森木大智投手(19)がプロ初登板初先発する。前日27日には「初登板なので、ゾーン内で真っすぐで押していけるように」と話していた。コンビを組むのは坂本誠志郎捕手(28)。中日先発の柳裕也投手(28)と阪神は今季6度目の対戦。対阪神1勝2敗、防御率2・68で、ここ2試合連続で黒星をつけている。柳に対して4番佐藤輝明内野手(23)は打率3割1分3厘(16打数5安打)、2打点。5番大山悠輔内野手(27)は打率3割8厘(13打数4安打)、2本塁打、7打点と打っている。早めに森木を援護できるか。

◆落語家の立川志らくが始球式を行った。熱烈なドラゴンズファンで知られる志らくさんは、「06」の背番号をつけたユニホーム姿で登場。64キロのストレートをノーバウンドで投げ込むと、場内のファンの盛大な拍手の中、土下座で感謝の思いを表した。「夢心地みたいでした。子供のころ以来味わったことのない高揚感があった。ノーバンで届くとは思わなかった。投げさせてもらってありがとう、と野球の神様への感謝の意味で頭を下げました」とコメントした。

◆阪神ドラフト1位の森木大智投手(19)が上々の立ち上がりを披露し、SNSでトレンド入りした。初回、中日先頭の岡林には152キロの直球で押し込む強気の投球で二ゴロに仕留めた。大島には中前打を許したが、続く阿部の中飛で進塁を試みた二走・大島が走塁死。ダブルプレーとし、打者3人で初回を終えた。2回、3回も3者凡退と完璧な立ち上がりに駆けつけたファンも拍手を送った。Twitterでは、「森木くん」がトレンド入り。「森木くん落ちついている」、「森木くんすごい」、「めちゃめちゃいいな」など多くの声が上がっている。

◆中日柳裕也投手(28)が4回、右膝付近に痛烈な打球を受けたが、治療を終えるとマウンドに戻り、3連続三振でピンチを脱した。無死一塁で大山の強烈な投手ライナーが直撃。三本間に大きく跳ね返った打球を1度は追いかけようと試みたが、すぐに立ち止まり、顔をしかめる。記録は内野安打となり、無死一、二塁のピンチを残してベンチに下がった。5分ほどの治療を終えると再びマウンドへ。ここからロハス・ジュニア、木浪、坂本と3者連続三振を奪い、先制点を与えなかった。柳は16日の広島戦で6回5失点。18日に出場選手登録が抹消され、調整に時間をかけての復帰マウンドで最初のピンチを切り抜けた。

◆阪神ドラフト1位の森木大智投手(19)が、デビュー戦で5回1安打無失点、4奪三振と好投を披露した。最速は154キロをマーク。打たれた安打は、初回の大島の中前打のみだ。打撃でも豪快なフルスイングを見せ、第1打席は空振り三振、第2打席は中飛で球場を沸かせた。

◆阪神ドラフト1位の森木大智投手(19)が、6回4安打3失点、4奪三振でデビュー戦を終えた。最速は154キロをマーク。前半打たれた安打は、初回の大島の中前打のみだ。しかし6回につかまった。中日先頭のレビーラに左前打で出塁を許した。土田には犠打、代打滝野を一ゴロに仕留め2死三塁で岡林に152キロの直球を捉えられ、1点を失った。続く大島は申告敬遠で塁を埋め2死一、二塁としたが、阿部に141キロの変化球を打たれ、右越え適時二塁打で3点目を失った。「(1軍)初登板でしたが、思い切って自分のボールを投げ切ることはできました。ただ、6回に捕まってしまったのは反省点ですし、今後の課題としてこの経験を次に生かすように頑張っていきたいです。ここからチームが逆転勝利してくれることを信じてしっかり応援します」5回まで持ち味を存分に披露したが、球団初の高卒新人プロ初登板初勝利はなくなった。右腕がベンチに戻ると球場に駆けつけたファンはあたたかい拍手を送った。

◆阪神は打線が1点しか奪えず、初登板初先発のドラフト1位森木大智投手(19)を援護することができなかった。5回まで1安打無失点と好投も6回につかまり3失点で負け投手に。それでも、矢野燿大監督(53)は内容を評価。1度出場選手登録は抹消するものの、今季中に再び1軍でチャンスを与える考えを明かした。試合後の一問一答は以下の通り。-先発の森木は立ち上がりから堂々としていた。「いやぁ、大したもんだよね。オレもいろんなルーキー受けてきたけど、ストライク入らん投手もたくさん受けてきたし、初登板で自分の投球するってムチャムチャ難しいと思うから。そういうところでも落ち着いてね、途中まで無四球で行ってたし、投げっぷりも抑え方も落ち着きながら。まあまあ、でも打者に向かっていくっていうのはね、本当に素晴らしいものを見せてもらったなと思います」-監督から見て、森木のいいところとこれから勉強してほしいことは。「いやいや、まあまあ、それはもう、うん、まあ。テクニックは、もちろん必要やけど。今の、あまり、うーん、まあまあ、まだ1回では、1回ではもちろん出るけど、ここで言えるようなことではないというか、うん。まあ、本人が感じてどうかっていうのが一番大事だと思うんで。まあ、まずはそんな感じかな」-森木の次回は「いったん、抹消するよ。うん」-今年中に次の機会は「もちろん、あの投球なら、まだ見たいし。ね。タイガースファンの人も見たいと思うし、オレ自身も、まだ森木を見たいと思うので。まあ、そういうところでは、いったん抹消するけど、ローテーションのどこかでね、また、チャンスは十分にあると思うので。それを楽しみにしています」-登板後に声をかけたりなどは「いいや、まだ。今からしゃべるだけよ」-森木が頑張っただけに打線が「そこはね。残念というか、なんかね、森木に引っ張られているようじゃ、やっぱりさみしいよね。やっぱり『お、森木が投げてんのか』っていうところをみんなで、気持ちはもちろんあると思うんだけどね。俺らもやっぱ行動と結果で示すっていうのがプロとしてあるところやし。『森木が投げてるんやったら』っていうような。そういうのが出せなかったんで。そこは逆に森木に引っ張られて残念だったなと俺は思っているんだけど」

◆中日柳裕也投手(28)が、気迫と粘りで8勝目をつかみ取った。4回、大山の痛烈なライナーを右膝上部に受けた。無死一、二塁とピンチを背負うも、治療を経て志願の続投。気迫の3者連続三振で脱出し、6回を4安打無失点で投げ終えた。102球を駆使する粘投で、勝利を呼び込んだ。「不甲斐ないピッチングが続いて抹消になったので、今日にかける思いは強かった。(打球直撃の際も)マウンドを降りる選択肢は僕にはなかった。見ての通り、足に当たった後の方が調子はよかったです」。お立ち台に向かう際、少し右足をひきずりながら歩き、ファンをドキドキさせたヒーローは「痛いふりです」と言いながら、勝利の味をかみしめた。16日の広島戦で6回5失点。3本塁打を浴び、9敗目を喫した。18日に出場選手登録を抹消され、再調整に時間を費やした。強い思いを胸に臨んだ12日ぶりの登板を、白星で飾った。「(捕手の大野)奨太さんに引っ張ってもらって抑えることができたと思います」と、今季初めてバッテリーを組んだ先輩への感謝も忘れなかった。【安藤宏樹】○...岡林が、虎のルーキーから値千金の先制打を放った。5回まで阪神森木に1安打に抑え込まれていたが、0-0の6回2死三塁で152キロ速球を右前に運んだ。「(3ボール1ストライクと)有利なバッティングカウントだったので思いっきりいきました」。直後に二盗を決め、阿部の2点適時二塁打にもつなげた。先発の柳にも白星を贈り、売り出し中の1番打者は会心の笑顔を見せた。▽中日立浪監督(阪神森木について)「完全に力負けしていた。思っていた以上にいいピッチャーだなと。何よりストライク先行できる。これから変化球の精度が上がっていくと、やっかいなピッチャーになる。真っすぐが速いのも最大の武器。手ごわい投手が出てきたと思います」

◆阪神ドラフト1位森木大智投手(19)が、プロ初登板初先発で大器の片りんを見せつけた。6回4安打、4奪三振、3失点。5回までは1安打投球で中日打線を圧倒した。6回に3点を失い、2リーグ制後球団初となる高卒新人初登板初勝利とはならなかったが、大きな可能性を示した。森木と高知中・高で6年間バッテリーを組み、現在、近大硬式野球部1年の吉岡七斗捕手(19)が秘話を明かした。吉岡の予感は的中してしまった。「6回、先頭が出て"いつもの失点パターン"と思ったんですよね...」。森木は疲れが出ると右肘が下がり、球の質が下がる。カウントも悪くなり痛打される。元相棒は、どこか懐かしそうに言った。「高校の時と一緒ですね...(苦笑い)。でも、5回まではベストピッチだったと思います」。テレビ画面の向こうで躍動する右腕にねぎらいの言葉を送った。野球ができない相棒の分まで-。森木はそんな思いも背負っていたのかもしれない。高知中・高で森木と6年間バッテリーを組んだ吉岡は今、懸命に復活の道を歩んでいる。昨年11月、右肘のトミー・ジョン手術を受けた。中学時代から不安を抱えていた右肘は、高校野球を終えた時には、とっくに限界を超えていた。「森木の良さを引き出せるのは僕しかいないと思ってやってきましたから」自分の代わりはいないと思っていたから、休めなかった。痛みを我慢し、試合に出場し続けた代償だった。昨秋、大阪・高槻市内の病院で手術が必要だと告げられた。森木は付き添い、隣の部屋にいた。「マジか...」。絶句した後、静かに決断を待ってくれた。プロに入ってからは、同じトミー・ジョン手術を受けたことがある阪神の先輩に、リハビリのアドバイスも聞いてくれた。思えば、いつでも前向きな男だ。高校2年の秋、四国大会1回戦で高松商に敗戦。センバツの夢が絶望的となった次の日、部室ではち合わせた。無言で自転車に乗り、グラウンドへ向かっていると、爆速で追いかけてきた。「いつまで暗い顔しちゅうがな!」「なに下向いちゅうがな!」吉岡いわく「怒っていた」。自らもショックだったはずだ。それでも、自分にも言い聞かせるように、仲間を叱咤(しった)。その心の強さが、どれほどありがたかった。今は身に染みる。「あいつの活躍を見て、電話とかで話もしていたら、『俺は今けがしてるし...』なんて、後ろめたい気持ちすら、しょうもなくなるんです。だから、当然のようにリハビリを頑張って、戻るんだっていう感覚でいなければいけないんです」6年間、その剛球で何度ミットを破壊されたことか。鋭い変化をするスプリットに、指を突いた過去は数え切れない。サインミスで体に速球が直撃し、生命の危機すら感じたこともある。全身にあざを作りながら支えてくれた吉岡がいなければ、プロの世界に進めていなかったのかもしれない。そして、そのプロの舞台で躍動する姿に、吉岡もエネルギーをもらう。「もう1度捕手として勝負できるように。大智と、もう1度一緒にできるように。そう強く思っています」再会する時は、グラウンドで-。森木もそう願っているはずだ。【阪神担当 中野椋】吉岡七斗(よしおか・ななと)2003年(平15)6月1日生まれ、高知県高岡郡出身。加茂小1年時に「加茂スポーツ少年団」で野球を始める。高知中に進学後、森木とバッテリーを組み軟式野球部で全国制覇。高知高では1年夏からベンチ入り。3年夏は主将で県準優勝。近大に進学し、現在は右肘トミー・ジョン手術のリハビリに励む。遠投は100メートル、50メートル走は6秒0。178センチ、85キロ。右投げ左打ち。

◆阪神ドラフト1位森木大智投手(19)が、プロ初登板初先発で大器の片りんを見せつけた。6回4安打、4奪三振、3失点。2リーグ制後球団初となる高卒新人初登板初勝利とはならなかったが、大きな可能性を示した。高知高の恩師、浜口佳久監督(47)が教え子にメッセージを送った。浜口監督は森木の投球をテレビ画面越しに見つめていた。この日、秋季大会のシードを決める高知県大会新人戦で優勝を決め、中継にも間に合った。開口一番、「いいピッチングじゃないですか」とねぎらい、プロで成長した姿に目を細めた。「楽しそうに投げるのが何よりの大智の持ち味。でも、今日はそこだけじゃなくて、落ち着きもあったよね。ああ、成長したなって」6回の3失点は「先発投手として粘りも必要だよね。中日の柳投手の投球も目の前で見ただろうし、学んだこともあるんじゃないかな」と今後の糧とすることを願った。

◆そりゃないよ...。阪神打線が奮闘するルーキー森木大智を見殺しにした。チーム7安打も得点はわずか1点。9回、原口の中犠飛で球団ワーストに並ぶ24度目のゼロ封負けは免れたが、19歳右腕が登板した6イニングは1点も援護することができなかった。矢野監督も「残念というか、なんかね。森木に引っ張られているようじゃ、やっぱりさみしいよね」とガックリ。悔しくてたまらない。先制機が3者連続Kで消し飛んだ。2回の満塁も得点につながらず迎えた4回だ。先頭佐藤輝が中前打で出塁すると、続く大山の強烈な打球が中日柳の右膝付近を直撃してコロコロ。無死一、二塁の好機をつくり、さあ、いくぞ。治療を終えてマウンドに戻ってきた右腕をたたみかけるはずだった。ところが、ロハス、木浪、坂本が三振、三振、三振...。まるで金縛りのようにゼロが並んだ。「やっぱり『お、森木が投げてんのか』っていうところ。気持ちはもちろんあると思うんだけど、やっぱり行動と結果で示すっていうのがプロ」と指揮官は渋い表情。19歳がすがすがしい投球を披露しただけにもどかしさが募る。これで最下位中日には2カード連続負け越し。後方から巨人、広島、中日が迫る。夏の長期ロードは10勝14敗で3年連続の負け越し。30日からは甲子園に戻るが、気を抜けばBクラスに転落してしまう。【桝井聡】阪神でドラフト入団した高卒新人では、13年藤浪晋太郎以来の初登板初先発。プロ初登板が先発だったのは4人いたが、中日戦での初登板初先発は初めて。今季の高卒新人投手では1軍デビュー一番乗り。野手ではロッテ松川が開幕スタメンでデビューしている。阪神は今季の長期ロードを10勝14敗の借金4で終えた。長期ロードは3年連続の負け越しで、矢野政権になった19年以降は1度も勝ち越しなし。○...佐藤輝が得意の右腕からマルチ安打を放ち、キラーぶりを発揮した。中日の先発柳から、4回先頭で3試合連続ヒットとなる中前打を放つと、6回先頭でも右前打をマークし、5試合ぶりに複数安打を記録した。これで今季柳との対戦は19打数7安打、打率3割6分8厘となった。○...原口が意地の犠飛を放ち、ゼロ封負けを阻止した。4点を追う9回。ロハス、木浪の連打と糸原の死球で無死満塁の絶好のチャンスに代打で登場。左翼ポール左へ切れる特大ファウルを放った直後の5球目、R・マルティネスの153キロ直球をセンター後方まで運び、チーム唯一の得点をもたらした。○...馬場がピンチを切り抜け、1回を無失点に抑えた。4点ビハインドの8回に3番手で登板。岡林、大島を打ち取り2死としたが、阿部に右中間への二塁打を許し、ビシエドを申告敬遠、溝脇には四球を許し、満塁のピンチを招いた。しかし大野奨を外角低めのカットボールで二飛に仕留め、難を逃れた。○...ロドリゲスが初めて2軍に降格した。7月に来日し、同22日DeNA戦では代打で適時二塁打を放ち、鮮烈な虎デビューを果たした。しかし8月7日の広島戦で2号2ランを記録した後は、30打席連続無安打と不振に陥った。16日ヤクルト戦を最後に先発出場はなく、この日、出場選手登録を抹消された。○...新潟医療福祉大出身の桐敷が、大学時代を過ごした地で凱旋(がいせん)星を挙げた。巨人とのファーム交流戦(三条パール金属)に先発。初回に味方守備のミスもあり2点を失ったものの、2回以降は巨人打線を寄せ付けず、6回5安打2失点(自責0)でファーム4勝目を手にした。7月末に新型コロナに感染し、8月21日の2軍中日戦で実戦復帰した。1軍再昇格へアピールを続ける。

◆また見たい! シビれる19歳の力投だった。阪神ドラフト1位の森木大智投手(19)が堂々の1軍デビューを飾った。中日戦(バンテリンドーム)でプロ初登板初先発し、5回まで1安打無失点に抑えた。6回につかまり3失点で、球団初の高卒新人プロ初登板初勝利はかなわなかったが、大器の片りんを示した。今後は2軍で再調整する予定だが、矢野燿大監督(53)は今季中に再び先発で起用することを示唆した。6回を投げきった森木がベンチに戻る。その時、敵地ながら、称賛の拍手が沸き起こった。「歓声もすごかったですし、これがプロ野球だなと思いました。自分の中では楽しかったです」。6回3失点で、球団初の高卒新人プロ初登板初勝利は逃した。それでも、また1軍で見たい。そう思わせる91球。19歳の力投だった。初回から落ち着き払い、プロ初登板には見えない投球だった。2番大島に初安打を許したが、動じない。「ある程度は想定していた。その中でゼロに抑えることだけ考えて投げ込みました」。この日は最速154キロを計測。119キロのカーブで緩急をつけ、申告敬遠をのぞけば、無四球と抜群の制球力だった。初回の阿部から5回の大野奨の空振り三振まで13人連続アウトで封じた。6回に力尽き、打者7人の攻撃で3点を失った。「詰めの甘さというか、勝負球が甘く入った」と唇をかんだが、「5回までは褒めていいかな」と胸を張った。8月の1軍デビューは、「未来予想図」で描いていた。森木は気づいたことがあれば、ノートに書いて頭の中を整理。そこには1年の計画を月単位で練っている。「8月、9月には1軍に昇格して投げる」と力強く書いていた。「自分でも的中していて、ビックリしています。思ったより、想像以上に成長している。ファームで練習したものがいい方向にいっていると思う」。中学時代から体の仕組みを考え、投球フォームにもこだわってきた。右肘手術明けの才木が登板間隔を空けるために巡ってきたチャンス。日々の努力が力投を生んだ。矢野監督は「大したもんだよね。初登板で自分の投球で打者に向かっていく本当に素晴らしいものを見せてもらった」とたたえた。29日にも出場選手登録を抹消する予定。今後は2軍で再調整となるが、指揮官は今季中に再び先発することを示唆した。「あの投球なら、ファンの人も俺も森木を見たい。ローテーションのどこかでチャンスは十分にある。それを楽しみにしています」。森木も次回登板までのレベルアップを誓った。「毎登板進化していけるように、今はしっかりやっていきたいなと思います。次は勝ちを取れるようにやっていきたい」。入団会見で目標に掲げた「世界一の投手」。その夢に向かって、力強く第1歩を踏み締めた。【三宅ひとみ】阪神でドラフト入団した高卒新人では、13年藤浪晋太郎以来の初登板初先発。プロ初登板が先発だったのは4人いたが、中日戦での初登板初先発は初めて。今季の高卒新人投手では1軍デビュー一番乗り。野手ではロッテ松川が開幕スタメンでデビューしている。▽阪神福原投手コーチ(森木について)「めちゃめちゃよかったと思う。6回に点は取られましたけど、本当にすごいピッチングをしてくれた。マウンドでもすごく落ち着いていた。想像以上の僕もビックリするようなピッチングでした」阪神は今季の長期ロードを10勝14敗の借金4で終えた。長期ロードは3年連続の負け越しで、矢野政権になった19年以降は1度も勝ち越しなし。

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】今週のマンデードアラは...阪神3連戦ダイジェスト。みそかつ矢場とんのアイツ、パペットドアラ、ヒーロー柳いじり...夏休み最後の本拠地を盛り上げるドアラさんでした。

◆両軍のスターティングメンバーが発表。阪神はドラフト1位の森木大智投手(19)=高知高=がプロ初先発する。今季はウエスタン・リーグで11試合に登板し、4勝2敗、防御率3・28。球団の高卒新人の1軍先発登板は、2013年の藤浪晋太郎以来で、初登板初勝利となれば2リーグ分立後で初の快挙となる。順調にステップを踏んできた高知の怪物が、ついに1軍の舞台でベールを脱ぐ。

◆プロ初先発の阪神のドラフト1位・森木大智投手(19)=高知高=はバックの好守に助けられ、一回をゼロで抑えた。先頭の岡林を二ゴロで抑えたが、大島に中前打と盗塁を許し1死二塁となった。続く阿部の中飛に対し、二走・大島がタッチアップを試みた。中堅・近本の三塁送球は微妙なタイミングだったが、判定はセーフ。矢野監督のリクエストで判定が覆り、アウトとなって、ゼロ発進となった。また二回2死満塁の初打席では空振り三振に倒れた。

◆落語家の立川志らく(59)が始球式を務めた。「夢心地みたいでした。子供のころ以来に味わったことのない高揚感があった。ノーバンで届くとは思わなかった」熱烈な中日ファンとして知られ、登場にはスタンドからも拍手が起こった。マウンドに上がるとダイナミックなフォームから右腕を振り、ボールはノーバウンドで捕手のミットに収まった。投球後はホーム方向に向かって「『投げさせてもらってありがとう』と野球の神様への感謝の意味で頭を下げました」。グラウンドに両膝をついて礼をした。

◆阪神が二回、四回の先制機をいかせなかった。二回は2死満塁の好機を作るも、先発の森木が空振り三振に倒れた。四回は先頭の佐藤輝、大山の連打で無死一、二塁と再び好機を作ったが、そこからロハス、木浪、坂本が三者連続三振に倒れて、プロ初先発の森木を援護できなかった。

◆先発した中日・柳裕也投手(28)がアクシデントに見舞われながら、気迫の投球でピンチを脱出した。序盤三回を無失点に抑えて迎えた四回無死一塁で、大山の痛烈ライナーが右膝付近に直撃(記録は投手強襲の内野安打)。マウンドに落合ヘッド兼投手コーチとトレーナーが駆け寄ったのちにベンチへ戻った。しかし、数分間の治療を経てマウンドに戻ると、痛みを感じさせない投球を披露。無死一、二塁からロハス、木浪を連続で空振り三振に斬ると、明大の先輩・坂本は141キロを外角低めに投げ込んで見逃し三振。見事な3者連続奪三振で切り抜け、右腕はグラブをたたきながら雄たけびを上げた。今季の柳は7勝9敗、防御率3・65。18日に1軍登録を抹消され、短期の調整期間を経てこの日に再昇格した。

◆プロ初登板で先発した阪神のドラフト1位・森木大智投手(19)=高知高=は6回3失点でマウンドを降りた。序盤から力のある真っすぐを中心に投げこみ、五回まで1安打で13人連続アウトを奪うなど好投を見せた。しかし六回に先頭のレビーラに中前打を許すと、2死三塁から岡林に右前打を放たれ先制点を献上。続く大島は申告敬遠し、阿部には右越えの2点二塁打を許して、次の攻撃で代打を送られた。2013年の藤浪晋太郎以来の球団高卒新人の1軍先発登板で、球団初の初登板勝利はならなかった。

◆プロ初登板で先発した阪神のドラフト1位・森木大智投手(19)=高知高=は6回3失点でマウンドを降りた。序盤から力のある真っすぐを中心に投げこみ、五回まで1安打で13人連続アウトを奪うなど好投を見せた。しかし六回に先頭のレビーラに中前打を許すと、2死三塁から岡林に右前打を放たれ先制点を献上。続く大島は申告敬遠し、阿部には右越えの2点二塁打を許して、次の攻撃で代打を送られた。2013年の藤浪晋太郎以来の球団高卒新人の1軍先発登板で、球団初の初登板勝利はならなかった。「初登板でしたが、思い切って自分のボールを投げ切ることはできました。ただ、6回につかまってしまったのは反省点ですし、今後の課題として、この経験を次に活かせるように頑張っていきたいです。ここからチームが逆転勝利してくれることを信じてしっかり応援します」と広報を通じてコメントした。

◆阪神は1-4で敗れ、2カード連続の負け越しとなった。プロ初登板先発のドラフト1位・森木大智投手(19)=高知高=は6回3失点で初黒星となった。五回まで1安打しか許さない圧巻の投球をみせたが、六回に捕まって3点を失い、この回で降板した。2リーグ分立後では初の快挙となる、球団高卒新人の初登板勝利とはならなかったが、次につながる力投を見せた。一方打線は再三の好機をいかせなかった。四回には佐藤輝、大山の連打で無死一、二塁の好機を作るも、続くロハス、木浪、坂本が三者連続空振り三振に倒れた。九回は無死満塁で代打・原口が中犠飛で1点を返すも、反撃はここまでとなった。これで借金は「3」となった。

◆中日は六回に岡林の適時打、阿部の2点二塁打で均衡を破った。七回は土田の適時打で加点。柳は6回を無失点で8勝目を挙げた。阪神は九回に1点を奪うのがやっと。プロ初登板で6回3失点と力投した新人森木を援護できなかった。

◆オリックス、阪神で176勝を挙げ、引退後も両チームでコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家の星野伸之氏(56)はプロ初登板で先発した阪神のドラフト1位右腕、森木大智投手(19)=高知高=のピッチングを「バランスがいい」と高く評価。「次回、いつ投げるのか楽しみ。期待しかない」と絶賛した。森木には何の問題もない。投げている時のバランスがいい。体の軸がしっかりしている。投げた後、体が倒れたり、流れたりしない。投げ終えた姿勢から、3歩半で投球プレートに戻っていた。多くの若い投手は、なかなかこれができない。体が一塁側に倒れたり、バランスが崩れて前に出ていってしまうため、捕手に背中を向けたり、投げた後にマウンドの周りをうろうろする。森木にはそれがない。150キロ以上の球速がずっと続けて出ているのに、投球フォームには力んだ感じもなかった。しっかりと指にかかったボールを投げていた。先発ピッチャーらしい動きと投げ方ができるピッチャーだ。コントロールもいい。カーブでもスライダーでもストライクが取れる。惜しまれるのは援護がなかったこと。六回の3失点はリズムが変わってしまったことが理由のひとつだろう。五回が終わると、グラウンド整備が入ったりして、仕切り直しとなり、投手もひと息ついてしまう。森木も五回までは、ほとんどなかった引っかかるような球筋が見られた。走者が出たあと、ボールが先行するようになってしまった。0-0のまま試合が進むと、いいピッチングをしている方にプレッシャーがかかる。五回までは森木が柳を圧倒していた。柳は『新人に負けていられない』という気持ちで投げていたはず。走者を背負っても要所を締められたのは、森木が好投していたからと言っても過言ではない。球数は柳の方がはるかに多かったが、精神的には楽だった。先に1点か2点取れていたら森木は六回も、楽に投げられていた。五回までと同じピッチングを続けられたと思う。登板間隔をあけて起用していくのだろうが、将来はローテーションに入って、先発の軸になっていける投手だ。次回登板が楽しみで期待しかない。

◆阪神球団初の高卒新人初登板勝利を目指したD1位・森木大智投手(19)=高知=が6回3失点で降板し、偉業を逃した。13人連続アウトで迎えた六回、岡林勇希外野手(20)、阿部寿樹内野手(32)に適時打を浴びた。投球内容は打者22人に91球を投げ、4安打4三振、四球は1だった。打線は再三の得点機を逃し、九回無死満塁から代打原口文仁内野手(30)の犠飛による1点のみ。鼻づまりの症状で「特例2022」で抹消された梅野隆太郎捕手(31)は検査で「陰性」と判定された。30打席連続無安打のアデルリン・ロドリゲス内野手(30)は2軍調整となった。今季のバンテリンドームの成績は4勝8敗。夏の長期ロードは10勝14敗で終了。5月以来の月間負け越しが決まった矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り(チーム成績58勝61敗2分、観衆3万4964人)。ーー森木は立ち上がりから堂々としていた「いやぁ、大したもんだよね。俺もいろんなルーキー受けてきたけど、ストライク入らんピッチャーもたくさん受けてきたし、初登板で自分の投球するってムチャムチャ難しいと思う。落ち着いて、途中まで無四球で行ってたし、投げっぷりも抑え方も落ち着きながら、でもバッターに向かっていくのはホントに素晴らしいものを見せてもらったなと思います。ーーいい部分と勉強してほしいことは「いやいや、まあまあ、それはもう、うん、まあ。テクニックはね、もちろん必要やけど、今の、あまり、うーん、まあまあ、まだ一回では、一回ではもちろん出るけど、ここで言えるようなことではないというか、うん。まあ、本人が感じてどうかが一番大事だと思うんで。まあ、まずはそんな感じかな。言えることはあまりないから」ーー次回は「いったん、抹消するよ。うん」ーー才木を挟んで、今年中に次の機会は「もちろん、あの投球なら、まだ見たい。タイガースファンの人も見たいと思うし、俺自身も、見たいと思う。そういうところでは、いったん抹消するけど、ローテーションのどこかで、チャンスは十分にあると思う。それを楽しみにしています」ーー登板後に声をかけたりなどは「いいや、まだ。今からしゃべるだけよ」ーー森木が頑張っただけに打線が「そこはね。残念というか、何かね、森木に引っ張られているようじゃ、やっぱり寂しいよね。やっぱり『お、森木が投げてんのか』っていうところをみんなで、気持ちはもちろんあると思うんだけどね。俺らもやっぱ行動と結果で示すのがプロとしてあるところ。『森木が投げてるのなら』っていうような。そういうのが出せなかった。そこは逆に森木に引っ張られて残念だったなと俺は思っているんだけど」

◆阪神球団初の高卒新人初登板勝利を目指したD1位・森木大智投手(19)=高知=が6回3失点で降板し、偉業を逃した。投球内容は打者22人に91球、4安打4三振で四球は1。MAXは154キロだった。試合後、矢野耀大監督(53)は一旦抹消することを明言した。森木の主な一問一答は以下の通り。ーー初マウンド緊張は「程よい緊感というか、いいイメージを持ちながら、いけました」ーー初回ヒット打たれて落ち着こうとした「ある程度は想定していたので、ゼロで抑えることだけ考えて投げ込みました」ーー首を振って真っすぐもあった「冷静にいけましたし、真っすぐで押せたところもありましたし、変化球でタイミングをずらすこともできた。それはよかった点」ーー六回、岡林に対しては直球の球速が上がったように思ったが「先頭を出したのは痛かったんですけど、それでも切り替えて、気持ち的にも切り替えて。でも詰めの甘さというか、コースの勝負球が甘く入った。そこは課題になりますし、修正していきたい」ーー13人連続無安打は自信になる「そうですね。初登板にしては結構行けたと思うので。長いイニング続けられるかどうかが、先発投手の仕事だと思うので。そこはもっとやっていけるように頑張ります」ーー自己採点「65点くらいですかね。できたこともあれば、できなかったこともありましたし。初登板でこれだけできたというのは、自分の中で五回までは褒めて良いかなと思います」ーー監督から声をかけられたりは「序盤の方は(監督から)『楽しいか?』みたいには言われて、自分の中では楽しかったので『楽しいです』と言って、『楽しめよ』と言われました」ーー次回気を付けたい部分「通用したところは通用したので。相手は中日さんで、次のゲームはまだ分からないですけど、やってきたことを信じてゾーンで真っすぐで押していって、その中で打者の反応をみながら。あとはフィニッシュボールをもうちょっと厳しくいけたらと思います」ーー打撃面ではフルスイングもあったが(二回2死満塁で空振り三振)「初打席は、スライダーが消えちゃったんですけど。次の打席は楽しめたかなと思います」ーー初勝利と初安打はお預け「次にチャンスがあるかまだ分からないですけど、自分にできることはやったので、次を信じてしっかり準備していきたいなと思います」ーー27日の夜は眠れたか「普通に寝れました」ーー試合中に佐藤輝や中野に話しかけられていた「試合中は結構コミュニケーションを取りながらケアをしているんですけど、それ以外は打席に立つ前に『いけよ』とか『カチ込んでこい』とか結構言ってくれて気楽にできました」

◆中日は初登板先発した阪神の森木に苦戦しながらも六回に集中打で3点を奪った。2死三塁で152キロ速球を右前にはじき返す先制打を放った岡林は「うれしい。バッティングカウントだったので思い切りいった」と喜んだ。阿部は右越えに2点二塁打を放った。五回までは1安打だけで、立浪監督は「〝プロの洗礼〟を浴びせられるところだった」と冗談めかす。ドラフト1位右腕に意地を示し「少ないチャンスをものにできた」と打線をたたえた。(バンテリンドーム)

◆次こそ、プロ初勝利を! 阪神・森木大智投手(19)が28日の中日戦(バンテリンドーム)でプロ初先発。6回3失点で負け投手となったが、右腕を中高6年間指導した高知高・浜口佳久監督(47)は力投をたたえた。1年目の目標に掲げた1勝へ。恩師がエールを送った。堂々と自慢の直球を投げ込む教え子の姿が誇らしかった。高知市内の自宅でテレビ観戦した浜口監督は、森木の1軍初登板をほめたたえた。「テレビでずっと(投球を)見ていました。勝てなくて残念ですが、気持ちも入っていてすごくいいボールがいっていたと思います。持ち味はしっかりと出してくれた」浜口監督が森木の投球を初めて見たのは、右腕が小学5年生のとき。そこから監督と選手として、高知中、高知高と、6年間、ともに白球を追いかけた。中学3年時には、軟式で150キロを計測。「森木大智」は一気に、全国区の投手となる。周りからは、早熟という言葉も飛び交った。それでも、浜口監督は「早熟という言葉は、あの子の場合はないですよね。確かに、体は出来上がっていたかもしれないですけど、その分、筋力アップや技術を磨く、スキルの部分を極めていくことができた」と強調する。この子はプロに行く選手になる-。誰よりも森木のポテンシャルを認めていた。「今回の投球で反省点もあると思う。いいことも悪いこともしっかりと理解できる選手なので。次は勝って、本人が掲げる『今年1勝』という目標を達成してほしい」まだまだ、伸びしろしかない19歳。また一つ、成長して1軍のマウンドに帰ってくる。そして、今度こそ、故郷で見守る恩師に勝ち星を届ける。

◆佐藤輝は5試合ぶりの2安打と気を吐いた。四回はカットボールを中前へはじき返し、六回はチェンジアップを鋭いライナーで右前に運んだ。ともに回の先頭として入った打席で残した快音だったが、演出した好機は柳からの得点につながらず。それでも3試合連続安打と状態を上向かせ、1カ月ぶりの甲子園へと戻る。

◆0-4の九回、無死満塁で代打で登場した原口は特大の中犠飛を放ち、一矢報いた。18日のヤクルト戦(神宮)以来の今季2打点目。今季、チームはここまで23度の零封負けを喫しており、球団ワーストの24度に王手がかかっていたが、なんとか阻止した。

◆かろうじて零封負けは回避したものの、矢野虎が夏の長期ロード最終戦に敗れ、最下位・中日とのゲーム差は「3・5」に縮まった。上だけをみて突き抜けたかったのに、じわりじわりと奈落が迫る。矢野監督もプロ初先発の19歳を援護できない打線に苦言を呈した。「残念というか、なんかね、森木に引っ張られているようじゃ、やっぱりさみしいよね。〝お、森木が投げてんのか〟っていうところをみんなで、気持ちはもちろんあると思うんだけどね。俺らもやっぱ行動と結果で示すっていうのがプロとしてあるところやし」0-4の九回無死満塁で代打・原口の中犠飛で一矢報いたが、もっと早く打ってくれよと虎党は歯ぎしりしていたかも...。四回は先頭の佐藤輝が中前打。続く大山は中日先発・柳を強襲する内野安打を放ち、連打で無死一、二塁を作りながら、ロハス、木浪が空振り三振に倒れ、坂本は外角低めの直球にバットが出ず、3者連続三振に終わった。中日と同じ7安打を放ち、何度も得点圏に走者を進めた。それでも、最後まで森木の力投に野手陣が報いることはできなかった。7月の最終カードだったヤクルト戦(甲子園)を勝ち越して、7月31日時点で貯金1。高校球児に甲子園を明け渡している間に、貯金をがっぽり増やしてホームに帰還するはずだったが、夏の長期ロードは10勝14敗と勢いに乗れず、58勝61敗2分けの借金3に後退してしまった。「〝森木が投げているんやったら〟っていうような。そういうのが出せなかった。そこは逆に森木に引っ張られて残念だったなと俺は思っている」27日の中日戦(バンテリンドーム)に勝ち切って相手先発が左投手での連敗を「10」で止めたが、勢いは再びしぼんだ。クライマックス・シリーズ(CS)進出圏内の3位をキープしているが、このままでは最下位転落の危機がひたひたと迫ってくる。(新里公章)

◆中野は五回に盗塁王のタイトルを獲得したルーキーイヤーに続いて2年連続となる20盗塁を達成した。1死から四球を選び出塁すると、続く島田の打席の4球目でスタートを切り成功させた。阪神選手の2年連続20盗塁は2019、20年の近本以来で、その近本は7月29日のヤクルト戦(甲子園)で4年連続20盗塁を達成している。

◆虎のエースの片りん見せた!! ドラフト1位ルーキーの阪神・森木大智投手(19)が中日戦に先発し、1軍初登板を果たした。6回3失点で黒星を喫し、球団初の高卒新人初登板初勝利はならなかったが、オリックスと阪神で176勝を挙げ、引退後も両チームでコーチを務めた星野伸之氏(56)=本紙専属評論家=は森木のピッチングを「バランスがいい」と高評価。今後に向けて「期待しかない」と絶賛した。これぞドラ1ルーキー!! 凛とした顔つきの19歳が鮮烈すぎるデビューを飾った。森木が新人離れした堂々の投げっぷりでファンを魅了。虎の未来を担うエースの片りんを見せた。「ある程度、冷静にいけた。真っすぐで押せたところもあったし、変化球でタイミングをずらすこともできた。五回までは褒めて良いかな」球団高卒新人の1軍先発は2013年の藤浪晋太郎以来9年ぶり。今年の12球団の高卒新人投手では一番乗りで1軍のマウンドに立った。一回1死で迎えた大島への2球目にこの日最速となる154キロをマーク。直後に真っすぐを中前にはじき返されたが、そこから13者連続アウトを記録した。竜の右のエース柳を相手に一歩も引かない。五回まで互角の投げ合いを演じた。六回2死三塁で岡林に152キロをとらえられ、先制点を献上。「ゾーン投げて勝負していくにはコースの勝負球が甘く入った」。その後、阿部にも2点二塁打を食らい、悔しそうに唇をかんだ。打線の援護がなく、6回4安打3失点で黒星。球団初の高卒新人初登板初勝利はならなかったが、今後に期待を抱かせるには十分の内容だった。「投げているときのバランスがいい。体の軸がしっかりしている。150キロ以上の球速がずっと続けて出ているのに、投球フォームには力んだ感じもなかった。しっかりと指にかかったボールを投げていた」通算176勝の星野伸之氏も森木を高評価。特に強調したのが、バランスの良さだ。「投げたあと、体が倒れたりに流れたりしない。投げ終えた体勢から、捕手の方を向いたまま、ポンポンポンと3歩半で投球プレートに戻れていた。多くの若い投手は、なかなかこれができない。体が一塁側に倒れたり、バランスが崩れて前に出ていってしまうため、捕手に背中を向け、後ろ向きに歩いて戻ったり、投げたあとにマウンドの周りをうろうろする。森木にはそれがない」与えた四球は、六回の大島への申告敬遠での一個のみ。星野氏は「バランスが良く、体勢が崩れないから、コントロールもいい。カーブでもスライダーでも、変化球でもストライクが取れる」と制球力にも目を細めた。「登板間隔を空けて起用していくのだろうが、将来はローテーションに入って、先発の軸になっていける投手だ。次回登板が楽しみ。期待しかない」星野氏から太鼓判を押された森木は初の1軍マウンドを「65点」と自己採点し、「この舞台で活躍するためにやってきたので、次は勝ちを取れるようにやっていきたい」とリベンジを誓った。プロ野球人生はまだスタートしたばかり。虎の将来のエース候補が、名古屋で力強い第一歩を踏み出した。(織原祥平)

◆ウガォ~! 2022年8月28日。猛虎村に元気な虎の子が産まれたのだ。「おお! 何ということじゃ。この子は生まれながらにして、鋭い虎の爪と牙を備えておるぞ! この子は必ずやこの先、猛虎村を救う猛虎になるであろう。村の衆、この子をわれわれに多くの恵みを与える『森』とそれをつくっている『木』より『森木』と名付けようではないか!」モリキ? たくましくていい名じゃ。おーい! 産まれた虎の子はモリキじゃ!「モリキ!」「モリキ!」「モリキ!」そして、モリキはその後、すくすくと成長して猛虎村を日本一の村にするのであった...。と、いうぐらいに先発でプロ初登板のD1位・森木大智の投球は村人(全国の虎党)をうならせたのだ!! 六回にプロの洗礼を浴びる3点を許したとはいえ、5回まで無四球でわずか1安打の投球に虎党を代表して心の白星を贈るのだ!!ドドーン、ガタガタ...。「どうした?」大変です。そのモリキを援護できなかった〝ダメ虎打線〟に山の神の怒りが...。当たり前じゃ、噴火する石に当たりたくなかったら、バットにボール当てろってんじゃ!!

◆新人の森木は期待を上回るピッチングでした。「5回投げてくれればと思っています。あした(29日)は試合がないのでリリーフも早めに起用できますから」トラ番サブキャップ新里公章は試合前、そう話していました。試合をつくってくれればそれで十分。あとは救援陣を総動員して...と考えていたのですが、5回まではわずか1安打。文句なしの投球です。プロ野球サブデスク席にいた阿部祐亮は、4年前の秋を思い出していました。阿部がトラ番キャップからデスクになった2018年、高知・安芸での秋季キャンプに出張し、スタンドでのんびりしていたとき、地元の年配の男性に話しかけられたそうです。「おい、あんたトラ番か? 高知中学校にな、すごい中学生がおるんや。軟式野球で150キロ投げる。絶対にあの子は藤川球児みたいになるぞ。一回、取材したって」阿部はそのとき、球団関係者を取材する時間が迫っていて、その男性の話は「はい。チャンスがあったら」と〝スルー〟してしまったらしい。「たしか、『森木』という名前も出してはったんですよ。森木は19年の1月、まだ高知中3年のときに高知高の紅白戦に登板しています。あのおっちゃんが言うてたのは、この森木のことか? と思いました。名前と連絡先を聞いとくべきやったと後悔しています。面白い話が聞けたかもしれないのに」バンテリンドームで1年前の夏を思い出していたのは、昨年高校野球担当だった須藤佳裕です。高知高でプロ注目の存在になっていた森木を、昨夏の高知大会で3試合取材しています。「自分をしっかりと持っている子です。ある試合で、三塁側のスタンドから写真を撮りながら取材していたとき、相手ベンチ(つまり須藤がカメラを構えていたすぐ下)から『151キロしか出てないぞ?』とヤジられたんです。最速154キロと報じられていたときですから、ゆさぶりをかけようとしたんだと思います」どんな表情で聞いているんだろうと気になってファインダーをのぞくと、マウンド上の森木は笑っていたといいます。「試合が終わってから質問したら、もちろんヤジが聞こえていました。それでも『勝手に言ってください。僕のメンタルをゆさぶりたいんでしょう。どうぞ好きにヤジってくださいよと思っていました』と話して、また笑ったんです」投げるボールだけでなく、ハートもタフな選手です、と須藤は強調しました。印象に残った言葉があると言います。それは、偶然ですが今季の阪神のキャッチフレーズをほうふつとさせるものでした。「1球目、一回、先頭打者。すべての〝ファースト〟を大事にしています、と。イチを大事にしていますと話していました。中学で150キロ投げて早熟と評価されたりしていますが、自分は球速も能力もまだまだ上げていけると自信をのぞかせていました。きょう勝ってスタートしても、負けのスタートになっても、きっと成功に結び付けていける子だと思います」森木の〝1回目〟は負けスタートになりました。けれど、これを糧にしてくれる選手です。次回は打線が援護して勝ちをつけてあげましょう。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
68471 0.591
(↑0.003)
-
(-)
27514
(+5)
447
(+4)
145
(+2)
62
(-)
0.255
(↑0.001)
3.480
(↓0.01)
2
(-)
DeNA
58512 0.532
(↓0.005)
7
(↓1)
32395
(+4)
423
(+5)
91
(-)
39
(+1)
0.251
(-)
3.480
(↓0.01)
3
(-)
阪神
58612 0.487
(↓0.005)
12
(↓1)
22408
(+1)
347
(+4)
73
(-)
91
(+1)
0.241
(↓0.001)
2.550
(↓0.01)
4
(1↑)
広島
56623 0.475
(↑0.005)
13.5
(-)
22459
(+6)
459
(+4)
77
(+1)
24
(-)
0.255
(-)
3.530
(↓0.01)
5
(1↓)
巨人
56631 0.471
(↓0.004)
14
(↓1)
23453
(+4)
518
(+6)
133
(+1)
51
(-)
0.242
(-)
3.890
(↓0.01)
6
(-)
中日
52621 0.456
(↑0.005)
15.5
(-)
28336
(+4)
408
(+1)
55
(-)
47
(+2)
0.247
(-)
3.360
(↑0.02)