阪神(★0対4☆)DeNA =リーグ戦20回戦(2022.08.23)・京セラドーム大阪=
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DeNA
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阪神
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勝利投手:今永 昇太(8勝3敗0S)
敗戦投手:青柳 晃洋(12勝3敗0S)

本塁打
【DeNA】佐野 恵太(17号・9回表ソロ)

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◆DeNAが破竹の7連勝。DeNAは初回、佐野の併殺打の間に1点を先制する。続く2回表には今永の適時打、3回には戸柱の適時打が飛び出し、リードを広げた。投げては、先発・今永が6回無失点8奪三振の好投で今季8勝目。敗れた阪神は、打線がつながりを欠いた。

◆阪神佐藤輝明内野手(23)は今季、DeNA戦でカード別最多の6本塁打。打率もセ・リーグ相手では最も良い3割をマーク。現在5試合連続打点中と当たっているが、得意のカードで今日も打つか。

◆3位阪神が、前回同一カード3連敗を喫した2位DeNAとの3連戦に臨む。新型コロナ感染から復活し、この日から1軍昇格した近本光司外野手(27)が「3番中堅」で実戦復帰。不動の3番打者が戻り、4連勝中のチームをさらに加速させられるか。5番大山悠輔内野手(27)は、今月4日巨人戦以来の左翼で先発。「6番一塁」には原口文仁内野手(30)が起用された。近本不在時には3番も務め、8月は打率3割5分7厘、4本塁打と絶好調だったメル・ロハス・ジュニア外野手(32)はベンチスタートとなった。先発は青柳晃洋投手(28)。DeNAとの前回対戦は9日で、6回2失点でチームは敗れた。前回のリベンジを果たし、自己最多タイ13勝目を目指す。

◆女性ファン向けイベント「TORACOデー」の一環で、ファーストピッチセレモニーにタレントの川口葵(23)、高梨優佳(21)が登場した。2人同時に投球を行い、いずれもボールはバウンドし捕手のもとに届いた。その後は、場内でインタビューを受け、高梨は「出来栄えは65点。でも頑張りました!」。兵庫県出身の川口は「地元関西で貴重な経験になりました。ありがとうございます」と振り返った。さらに、TORACOバージョンの六甲おろしが場内に流され、音楽に合わせ、かわいらしいダンスも披露した。出番を終えると川口は「実際、(マウンドに)立つところまで走っていった記憶はあるんですけど、投げた記憶があんまりない」と緊張で頭が真っ白になった様子。高梨はダンスについて「すごいかわいい振り付けだったので楽しく踊れました」と笑顔を見せた。川口は20年6月に日本テレビ系「幸せ!ボンビーガール」に出演した際、"かわいすぎる""番組史上最大級の美女"などとSNSなどで話題に。その後、番組の反響を受けて所属事務所が決定し、ABEMAの「恋とオオカミには騙されない」といった人気番組にも出演。タレント、インフルエンサー、モデルとして数多くのメディアで活躍中だ。高梨はSNSの発信、ファッションセンスが「Z世代」の女性を中心から支持を集める福岡県出身の21歳。SNSの総フォロワー数は150万人超を誇り、愛らしいルックスとギャップのある美ボディも関心が高く、グラビアなども話題になっている。この日は女性ファン向けイベント「TORACOスペシャルデー」として開催。入場券を所持している女性全員に、ギンガムチェックがかわいい「TORACOランチトート」がプレゼントされるほか、マスコット写真撮影会、グラウンドウオーク、選手フォトパネルブースなど、オリジナルなイベントが行われる。

◆阪神に訪れたビッグチャンスの場面で、まさかの"珍事"が起きた。3点を追う4回満塁、8番坂本の場面で、ネクストバッターズサークルにはロハスがスタンバイ。矢野監督が主審に「代打ロハス」と申告したとみられたが、場内では「坂本に代わりまして、バッター、ロドリゲス」とアナウンスされた。一瞬場内はザワついたが、すかさず矢野監督が主審に訂正を要求。すぐに場内アナウンス係から「失礼いたしました。坂本に代わりまして、バッター、ロハス・ジュニア」とコールされ、場内がドッと沸いた。その後、ロハスは三ゴロに倒れ、球場はため息に包まれた。

◆阪神先発の青柳晃洋投手(28)が5回7安打3失点で降板し、3試合連続で白星から遠ざかった。初回、先頭の桑原にストレートの四球を出すなど、制球に苦しみ1回から3回まで毎回1点ずつを失い、安打は5回まで毎回許した。球数も105球と費やした。5回の打順で代打山本を告げられ交代となった。DeNA戦は今季3連勝のあと、前回9日(横浜)では6回5安打2失点で勝てなかった。この日も7人の左打者を並べられ、2回には2死三塁から8番森を3ボール0ストライクから申告敬遠。9番の投手今永と勝負を選択したが左翼前適時打を許した。今季通算防御率は1・70だが、DeNAには3・10と対戦相手でワーストと苦手にしている。昨季に並ぶ13勝目はお預けとなった。

◆阪神島田海吏外野手(26)に、ヒヤリとするシーンがあった。3点ビハインドの8回先頭、左腕エスコバーの153キロが右肘の肘当て付近に直撃する死球を受けた。一瞬うずくまり、首脳陣らも心配そうにベンチを飛び出した。1度ベンチに下がり、治療を受けてからプレー続行。直後、一塁走者として近本の投ゴロで二塁フォースアウトとなったが、問題なくプレーした。右翼の守備にもそのまま就いた。中野が新型コロナ感染で離脱した際には1番も務め、この日は2番でスタメン。8月は打率3割4分6厘、27安打と好調なだけに、ヒヤリとするシーンだった。

◆阪神の連勝が4で止まった。2位DeNAとの差は6ゲームに広がり、借金は2となった。頼みのエース青柳晃洋投手(28)が1~3回まで1失点ずつして展開を苦しくした。右腕はDeNA戦に今季4試合で3勝無敗だったが四球も絡んでの3失点。招いたピンチでも踏ん張れなかった。5回3失点で3敗目(12勝)。打線には新型コロナウイルス感染で離脱していた近本光司外野手(27)が戻った。今月4日以来、16試合ぶりに近本、佐藤輝、大山のクリーンアップトリオが復活。だが、DeNA今永に手を焼いた。5回2死満塁のチャンスでは代打メル・ロハス・ジュニア外野手(32)が三ゴロに倒れた。7回、8回と先頭が出塁したがともに併殺で得点機を作れなかった。阪神の0封負けは今季22試合目。63年の球団ワースト24試合を上回るペースだ。

◆DeNAが天敵の阪神青柳に勝利し、19年7月以来の7連勝を達成した。左打者7人をスタメンに並べた打線は、1回から3イニング連続で1点を奪って、5回3失点で攻略。先発今永は6回4安打無失点で今季8勝目を挙げ、バットでも適時打を放った。貯金を15年5月27日以来の2ケタに乗せ、首位ヤクルトとの4差をキープした。試合後、三浦監督が発した言葉が全てだった。今季4戦3敗、通算でも4勝14敗と苦戦する天敵の阪神青柳に勝利。「誰がって言うよりも、チームが勝ったというのが一番大きいと思います。立ち上がりからみんなが食らいついて、食らいついて、コツコツ積み上げた得点ですし、全員で積み上げた勝利だと思います」と充実感を漂わせた。難攻不落の青柳対策として、9日の対戦に続き、先発投手の今永を含む左打者7人をスタメンに並べた。三浦監督自ら「今日はそういう形でスタートする」と宮崎、ソトと会話し、ベンチスタートを決定。不動のクリーンアップを変更し、3番佐野、4番牧の後の5番には今季青柳から本塁打を放った楠本を起用し、三塁には柴田を入れた。指揮官の思い切った決断に、選手が応えた。1回、「青柳キラー」で昇格即スタメン起用の神里が左前打でチャンスメーク。佐野の二ゴロ併殺の間に先制し、2回には今永が適時打、3回には戸柱の適時打で追加点を挙げた。7安打中、6安打を左打者がマーク。三浦監督は「どうですかね」とけむに巻いたが、全てが中堅から逆方向への一打で、攻略への明確なビジョンも見えた。チームは、19年7月以来の7連勝を達成。貯金を15年5月27日以来の2ケタに乗せ、シーズン後半戦開幕前の全体ミーティングで掲げた「貯金10以上」にわずか17試合で達した。三浦監督は「今日のように1個ずつ積み上げていくしかないです。10以上なので。10の次は、11を目指して頑張ります」とさらなる上を見据えた。【久保賢吾】○...佐野が、マルチ安打で打率を3割2分6厘に上げ、打率トップのヤクルト村上に1厘差に迫った。2打数無安打で迎えた7回に左前打、3点リードの9回にはダメ押しの17号ソロを放った。「追い込まれていましたが、何とか食らいついていきました。最高の結果となり、良かったデスターシャ!」とコメントした。▽DeNA戸柱(3回に阪神青柳から適時打&好リード)「みんなが作ってくれたチャンスだったので、その流れに乗って勢いのままいくことができました」

◆DeNAが天敵の阪神青柳を攻略し、19年7月以来の7連勝を達成した。貯金は15年5月27日以来の2ケタに乗せた。阪神は連勝が4で止まり、2位DeNAとの差は6ゲーム、借金は2となった。

◆打線が今季22度目の完封負けを喫した試合で、虎の4番が意地を見せた。佐藤輝明内野手(23)が、今季28度目のマルチ安打だ。4回1死、先発今永から右前にクリーンヒット。3点ビハインドの8回2死では、左腕エスコバーの134キロを左前にはじき返した。自己最長を更新していた連続試合打点は「5」でストップしたが、7戦連続安打をマーク。その7試合は28打数10安打、打率3割5分7厘で依然、好調キープだ。連続試合安打が始まった16日ヤクルト戦(神宮)から「感覚は良くなっていると思います」と語ってきた。8月は2度の15打席連続無安打を味わったが、今はもう別人。この日は全体練習前に早出特打を行うなど、打ち込みができるホームのアドンバンテージも追い風になっている。頼りになる先輩たちも戻ってきた。新型コロナで離脱していた近本が3番で復帰。近本、5番大山と並ぶ「ドラ1クリーンアップトリオ」は今月4日巨人戦以来、19日ぶりの再結成となった。「束になっていいところで打てば勝てると思う」。21日巨人戦後には、あらためて打線のつながりの重要性についても話していた。前後を固める好打者とともに、次こそDeNAの勢いを止めたいところだ。この日は女性ファン向けイベント「TORACOデー」として開催。勝利は届けられなかったが、キラキラ輝く背番号8の姿が、ファンの視線をくぎ付けにした。【中野椋】

◆阪神が今季22度目の完封負けで連勝は4でストップした。先発青柳晃洋投手(28)は5回で105球を費やし7安打3失点で3敗目。3戦連続で勝ち星から遠ざかる。新型コロナウイルス陽性で離脱していた近本光司外野手(27)が1軍復帰即3番・中堅でスタメン出場したが、打線はつながらなかった。借金は2。試合後の矢野燿大監督(53)の一問一答は以下の通り。-先発の青柳はリズムに乗れないまま、嫌な点の取られ方をした「うん、まあ、ちょっとコントロールがね。球の走りは良かったと思うけど、コントロールが定まってなかったんで、リズムをつくるっていうところができなかったね」-先週(16日ヤクルト戦、4回4失点で降板)も試合後に監督は青柳の疲れと相手の攻略とが、と言う話をしていた。そこを何とか。「もちろん、もちろん。がんばってもらわなあかんね」-彼の存在なくして-というくらいの投手「いや、もちろん、もちろん。うん」-打線は近本が戻って来て、チャンスもつくったと思うが。「まあ、チカ(近本)だけで点を取れるわけじゃないんで。そういうところではチカをもちろん含めて誰かがね、もう1本、つなげたり、点を取れれば、もっと変わった流れができたかなって思うけどね。そこができなかったっていうのが、ゼロになったなっていう、なってしまったなっていうところです」-先発が左投手で、特に相手が前回もやられた今永というところで打線を組み替えた。「組み替えたというか、どうやったら一番攻略できるのかなっていうところで、はい、いきました」-2軍ではコロナ明けの選手が実戦に出始めている。「すぐ上げられるような状態、こっちの兼ね合いを含めてね、今すぐ上げるっていう感じではないです」

◆頼みのエースがまさかのブレーキ...。先発した阪神青柳晃洋投手(28)が5回7安打3失点で3敗目を喫した。今季ワーストタイの3四球を与えるなど、制球面で精彩を欠いた。球団を通じて「チームに迷惑をかけてしまい、申し訳ないです」と悔やんだ。ホームで勝敗関係なく行われる試合後の整列では、ファンに向かって誰よりも深く頭を下げ、下唇をかみしめならベンチへと下がっていった。出だしからつまずいた。初回、1番桑原から神里にかけて6球連続ボールからスタート。一塁手原口から声をかけられた直後の7球目でようやくストライクが入った。だが左前打を浴びて無死一、三塁とされると、佐野の二塁への併殺打の間にあっさり先制点を献上。2回は2死一、三塁から投手の今永に左前へのタイムリーを許した。3回にも1点を失い、4回以降は何とか立て直したが、5回までで球数は100球を超え、5回の打席で代打が送られた。昨年と同様、夏場以降の失速が気がかりだ。昨季は10勝を挙げて以降、8月末から9月にかけて約1カ月間勝ち星から遠ざかった。今季も前半戦15試合で11勝1敗、防御率1・37でチームを引っ張ったが、後半戦は4試合で1勝2敗、防御率3・43と苦戦している。防御率を2点以上、上げてしまい、無双投球を続けた安定感にはほど遠い。12勝、防御率1・70、勝率8割は依然トップの3冠だが、3試合連続勝ちに見放されている。矢野監督は「球の走りは良かったと思うけど、コントロールが定まってなかったんで、リズムをつくるっていうところができなかったね」と指摘しながら、「頑張ってもらわなあかんね」と奮起を促した。昨季から続いていたDeNA戦の連勝も「7」で止まった。背番号50の復活なしに、チームの浮上はない。【古財稜明】青柳が今季3敗目。前半戦は15試合に登板し、11勝1敗、防御率1・37でクオリティースタート(QS=6回以上、自責3以下)は14度。QS率は93・3%と抜群の安定感を誇った。だが後半戦は登板4試合で1勝2敗、防御率3・43。2試合連続でQS失敗と成績を落としている。今季青柳の8月は月別の成績で最悪の防御率3・43。また、今季対戦カード別でもDeNA戦は最悪の防御率3・10。「8月×DeNA」は相性の悪い組み合わせだ。青柳のDeNA戦連勝は7でストップした。20年9月23日(甲子園)以来の黒星。昨年は5戦4勝、今年は4戦3勝だった。阪神は今季京セラドーム大阪で7敗目。97年の開場(当時は大阪ドーム)以降、08、09年と並び同球場での年間ワーストの敗戦数。阪神は今季22度目の完封負け。球団ワーストは63年24度で、残り2度で並ぶ。年間では27個ペースで上回る可能性もある。今季は相手先発が左腕の場合、21勝27敗と負けが上回っている。先発左腕に対しては8連敗中だ。DeNA今永に今季2敗目。阪神に対して今季先発で2勝以上を挙げている投手9人のうち6人が左腕。広島床田には3勝を献上。ヤクルト石川には2試合で防御率0・00と抑え込まれている。○...島本が6回に2番手で登板し、左打者3人を3者凡退に仕留めた。20年11月のトミー・ジョン手術を経て1軍昇格後、5試合連続無失点だ。先頭の柴田は中前に抜けそうな当たりも遊撃手中野がダイビングキャッチ。その後はテンポよくアウトを重ねた。「ビハインドの展開だったので、なんとか流れを持ってきたいと思って、マウンドに上がった。今日のような投球を続けていけるように、またしっかり準備したい」。登板ごとに信頼を重ねている。」○...小林が今季4戦目で初めて回をまたぎ2イニング投げた。4番手で登板した8回は2死一、三塁のピンチで代打ソトをフォークから空振り三振を奪いガッツポーズ。9回は2死から佐野に17号ソロを許し初失点。複数イニングはシーズン途中にオリックスから移籍し初登板した20年9月16日巨人戦以来。試合前に加治屋が新型コロナ陽性で離脱。今季初登板だった12日の中日戦で「任されたところを全力で」と話していた右腕がカバーする。○...原口が今季4度目のスタメン起用にマルチ安打で応えた。「6番一塁」で出場。4回2死一塁で今永から右前打、9回先頭では山崎から左前打を決めた。出場した直近4試合は10打数5安打、打率5割と絶好調。「勝ちにつながる1本を打ちたいと思って打席に立っていますし、結果的に結びつけることはできませんでしたが、また明日、チームが勝てるように頑張ります」と前を向いた。

◆京セラの怪なのか。阪神は近本光司外野手(27)がコロナ陽性判定から復帰し、19日ぶりにベストオーダーを組んだが、今永らを打てず今季22度目の完封負け。2位DeNAに6差、首位ヤクルトに10差に広げられる痛恨の黒星で連勝が4で止まった。今季の京セラドーム大阪は、開幕ヤクルト戦の7点差逆転負けの悪夢に始まり、対セ・リーグに7戦全敗。ホームで有利なはずの球場が鬼門と化してはミラクルも望めない。虎のビッグチャンスで"珍事"が起きた。3点ビハインドの4回2死満塁、8番坂本の場面だ。次打者席でロハスがブンブンと素振り。矢野監督が主審に「代打ロハス」と申告した。ところが、だ。アナウンスされたのは「坂本に代わりましてバッター、ロドリゲス」。スタンドはザワついたが、矢野監督が苦笑いで主審に間違いを指摘。アナウンス係が「失礼いたしました」と訂正した。一瞬心を乱されたのか、ロハスは力ない三ゴロに倒れ、球場は大きなため息。なんともズッコケなアナウンスから、最大の反撃機がしぼんだ。矢野監督も顔をしかめた。「まあ、チカ(近本)だけで点を取れるわけじゃないんで。そういうところではチカをもちろん含めて誰かがね、もう1本、つなげたり、点を取れれば、もっと変わった流れができたかなって思う。そこができなかったっていうのが、ゼロになってしまったなっていうところ」今月10日に新型コロナの陽性判定を受けていた近本が1軍復帰し、即3番中堅で出場。4日の巨人戦以来、19日ぶりにベストオーダーが組め、4連勝中のチームがさらに波に乗るはずだった。だが、その近本は4打数無安打。8回には無死一塁からエスコバーの外角球を引っかけて投ゴロと、らしくない場面もあった。ぶっつけ本番では実戦勘も万全ではないかもしれない。虎を代表するヒットマンの復帰戦が、今季22度目の完封負けでは悲しすぎる。深刻なのは一向に改善することがない「左腕アレルギー」だ。DeNA今永に6回4安打無得点。9回2失点と完投された前回8月9日に続き、2戦連続白星を献上した。これで左腕が先発すると8試合連続で黒星。矢野監督が「どうやったら一番攻略できるのかなっていうところで」と、6番に据えた原口が2安打したが9残塁の拙攻。打線が思うようにつながらない。今季の京セラドーム大阪もセ・リーグは7戦全敗となった。うち完封負けは5回。開幕戦ヤクルト戦で7点差を逆転されたショックを引きずっているかのような敗戦が続く。24日DeNA先発も浜口とまた左腕だ。残り27試合。負の連鎖を断ち切らなければ、寂しいシーズンになる。【桝井聡】阪神は今季京セラドーム大阪で7敗目。97年の開場(当時は大阪ドーム)以降、08、09年と並び同球場での年間ワーストの敗戦数。阪神は今季22度目の完封負け。球団ワーストは63年24度で、残り2度で並ぶ。年間では27個ペースで上回る可能性もある。今季は相手先発が左腕の場合、21勝27敗と負けが上回っている。先発左腕に対しては8連敗中だ。DeNA今永に今季2敗目。阪神に対して今季先発で2勝以上を挙げている投手9人のうち6人が左腕。広島床田には3勝を献上。ヤクルト石川には2試合で防御率0・00と抑え込まれている。

◆阪神原口文仁内野手(30)が今季4度目のスタメン起用にマルチ安打で応えた。「6番一塁」で出場。4回2死一塁で今永から右前打、9回先頭では山崎から左前打を決めた。出場した直近4試合は10打数5安打、打率5割と絶好調。「勝ちにつながる1本を打ちたいと思って打席に立っていますし、結果的に結びつけることはできませんでしたが、また明日、チームが勝てるように頑張ります」と前を向いた。

◆京セラの怪なのか。阪神は近本光司外野手(27)がコロナ陽性判定から復帰し、19日ぶりにベストオーダーを組んだが、今永らを打てず今季22度目の完封負け。2位DeNAに6差、首位ヤクルトに10差に広げられる痛恨の黒星で連勝が4で止まった。今季の京セラドーム大阪は、開幕ヤクルト戦の7点差逆転負けの悪夢に始まり、対セ・リーグに7戦全敗。ホームで有利なはずの球場が鬼門と化してはミラクルも望めない。虎のビッグチャンスで"珍事"が起きた。3点ビハインドの4回2死満塁、8番坂本の場面だった。次打者席でロハスがブンブンと素振り。矢野監督が球審に「代打ロハス」を告げた。ところが、だ。アナウンスされたのは「坂本に代わりましてバッター、ロドリゲス」。スタンドはザワつき、矢野監督が苦笑いで主審に間違いを指摘。場内アナウンス係が「失礼いたしました」と訂正した。そんなハプニングに一瞬、心を乱されたのか、ロハスは力ない三ゴロに倒れ、球場は大きなため息。なんともズッコケなアナウンスから、最大の反撃機がしぼんだ。矢野監督も顔をしかめた。「まあ、チカ(近本)だけで点を取れるわけじゃないんで。そういうところではチカをもちろん含めて誰かがね。もう1本つなげたり、点を取れれば、もっと変わった流れができたかなって。そこができなかったったのが、ゼロになってしまったなっていうところ」今月10日に新型コロナの陽性判定を受けた近本が1軍復帰し、即3番中堅で出場。4日の巨人戦以来、19日ぶりにベストオーダーが組め、4連勝中のチームがさらに波に乗るはずだった。だが、その近本は4打数無安打。8回無死一塁はエスコバーの外角球を引っかけて投ゴロと、らしくない場面も目立った。2軍戦に出ない2週間ぶりのぶっつけ本番で、実戦勘も鈍っていたのか。ヒットマンの沈黙が大きく響き、今季22度目の完封負けに終わった。改善しない「左腕アレルギー」も深刻だ。今永に6回4安打無得点。9回2失点と完投された前回8月9日に続き、2戦連続白星を献上した。これで相手左腕の先発試合は21勝27敗で8戦連続で黒星。矢野監督が「どうやったら一番攻略できるのかなっていうところで」と、6番に据えた原口が2安打したが9残塁。最後までつながらなかった。今季の京セラドーム大阪は対セ・リーグ7戦全敗となった。うち0敗は5回。開幕ヤクルト戦で7点差を逆転されたショックを引きずっているかのような敗戦が続く。24日DeNA先発も浜口とまた左腕だ。首位ヤクルトと10差で2位でDeNAとは6差に広がった。残り27試合。負の連鎖を断ち切らなければ、ズルズル後退する。【桝井聡】

◆DeNAが天敵の阪神青柳に勝利し、19年7月以来の7連勝を達成した。左打者7人をスタメンに並べた打線は、1回から3イニング連続で1点を奪って、5回3失点で攻略。先発今永は6回4安打無失点で今季8勝目を挙げ、バットでも適時打を放った。貯金を15年5月27日以来の2ケタに乗せ、首位ヤクルトとの4差をキープした。試合後、三浦監督が発した言葉が全てだった。今季4戦3敗、通算でも4勝14敗と苦戦する天敵の阪神青柳に勝利。「誰がって言うよりも、チームが勝ったというのが一番大きいと思います。立ち上がりからみんなが食らいついて、食らいついて、コツコツ積み上げた得点ですし、全員で積み上げた勝利だと思います」と充実感を漂わせた。難攻不落の青柳対策として、9日の対戦に続き、先発投手の今永を含む左打者7人をスタメンに並べた。三浦監督自ら「今日はそういう形でスタートする」と宮崎、ソトに伝え、ベンチスタートを決定。不動のクリーンアップを変更し、3番佐野、4番牧の後の5番には今季青柳から本塁打を放った楠本を起用し、三塁には柴田を入れた。指揮官の思い切った決断に選手が応えた。1回無死一塁、「青柳キラー」で昇格即スタメンの神里が左前打でチャンス拡大。佐野の併殺打の間に先制し、2回は今永が適時打、3回にも戸柱の適時打で追加点を挙げた。7安打中、6安打が左打者。三浦監督は「どうですかね」とけむに巻いたが、全てが中堅から逆方向への一打で、攻略への明確なビジョンも見えた。チームは19年7月以来の7連勝を達成。貯金を15年5月27日以来の2ケタに乗せ、シーズン後半戦開幕前の全体ミーティングで掲げた「貯金10以上」にわずか17試合で達した。三浦監督は「今日のように1個ずつ積み上げていくしかないです。10以上なので。10の次は11を目指して頑張ります」と最大17・5差からの大逆転優勝に向け、次の目標を見据えた。【久保賢吾】○...今永が投打で活躍し、阪神青柳に今季初勝利した。今季3度目の投げ合いで6回無失点と好投し、8勝目をマーク。バットでは2回に適時打を放った。首位ヤクルトに4差に接近する中、喜びとともに重圧もかかる。「寝付けなかったりする時もあるんですけど、こういう経験ができてることが幸せなんだと。そう思える時が必ず来ると思うので、逃げずに頑張ったと思えるシーズンにしたいです」と力を込めた。

◆「TORACO DAY」として行われ、タレントの川口葵(23)、高梨優佳(21)がファーストピッチセレモニーに登場した。ともにボールはバウンドして、捕手のミットに収まった。川口は「練習はしたんですけど、フォーム自体教えてもらったりするのが初めてで。練習したんですけど緊張しすぎて全然できなかったです」と苦笑い。兵庫県出身で、阪神戦の野球中継はテレビを通して見ていたこともあり、「巨人に勝った勢いのまま、横浜にも勝ってほしいです」とエールを送った。高梨も「人生で一番緊張したぐらい、緊張しました。貴重な経験をさせていただいてうれしい」。投球後は「TORACOダンス」も披露し、「可愛いダンスを踊りながらファンとして応援しているので、頑張ってください」と話した。

◆阪神先発の青柳晃洋投手(28)が序盤から失点を重ねた。一回は先頭・桑原にストレートの四球を与え、続く神里の左前打で一、三塁。佐野の二ゴロ併殺の間に先制点を奪われた。さらに二回は2死三塁で3ボールから森を申告敬遠で歩かせて今永との勝負を迎えたが、三遊間を破られて失点した。青柳は9日(横浜)でも今永と投げ合っており、この試合は6回5安打2失点(自責1)で勝ち負けつかず。今永は4安打2失点で完投勝利を挙げた。

◆阪神の四回の攻撃で場内アナウンスが間違われるシーンがあった。阪神は0―3の四回に2安打と四球で満塁のチャンスを作った。ここで8番・坂本に打順が巡ったところで、場内には「坂本に代わりまして、ロドリゲス」とコールされた。しかし、ネクストバッターズサークルにはロハスの姿が...。ベンチから矢野監督が出て嶋田球審に確認したのち、「代打・ロハス」と訂正された。なお、ロハスは三ゴロに倒れ、阪神はこの回も無得点に終わった。

◆阪神・青柳晃洋投手(28)が先発し、5回7安打3失点で降板した。序盤から制球に苦しむシーンが目立った。一回は先頭・桑原へのストレートの四球をきっかけに一、三塁とされ、佐野の二ゴロ併殺の間に先制点を献上。二回は2死三塁で3ボールから森を申告敬遠で歩かせて今永との勝負を迎えたが、左前打で2点目を決められ、三回も戸柱の左前打でさらに失点した。青柳は前回登板した16日のヤクルト戦(神宮)が今季最短の4回4安打4失点(自責3)で、連勝も「9」ストップ。7月15日の中日戦(甲子園)から6試合連続で6回以内降板と、先発として悔しい投球が続いている。

◆猛反撃を見せるDeNAは球場を替えてもその勢いが衰えない。先発の今永昇太投手(28)が会心の立ち上がりを見せると、打線も阪神・青柳を攻略し、開始早々に投打がかみ合った。「勝ちパターンも投げさせないような展開にしないといけない。過密日程も考えればヤスさん(山崎)も登板数が増えている。心の中ではヤスさんも投げさせないような展開で勝ちたい。そういう気持ちをもっていないと駄目だと思う」と完投を前提とした頼もしい心持ちでマウンドに上がった左腕。21日の広島戦(横浜)で山崎が通算199セーブをマーク。節目の数字に迫っているが、先発には先発の意地もある。守護神に敬意を表しつつ、9月の過密日程を考慮し長いイニングの消化を自身に課している。1点を先制した一回は中野、島田を連続三振。二回には佐藤輝、大山から連続三振、三回にも青柳から見逃し三振を奪うなど打者1巡で5奪三振と飛ばした。打線は一回に無死一、三塁から佐野の二ゴロ併殺打の間に三走が生還。二回は2死一、三塁から今永が左前適時打、三回は2死一、二塁から戸柱が左前適時打を放つなど、3イニング連続得点。青柳に球数を投げさせ、今永とは対照的な立ち上がりに攻め立てた。今永は6回無失点、8奪三振で8勝目(3敗)。チームは7連勝で貯金が今季初の2ケタ「10」に乗った。横浜スタジアムで17連勝中のDeNA。26日からはそのヤクルトを本拠地で迎え撃つ。首位奪還ウイークとするべく、大阪の地にも「横浜反撃」の勢いを知らしめる。

◆阪神は今季22度目の零封負けを喫し、連勝は「4」でストップした。制球に苦しんだ先発・青柳は三回まで、毎回1点ずつ失点。5回で105球を要し、7安打3失点で降板した。反撃を試みた打線も、低めをていねいに突くDeNA・今永に六回まで無得点に抑えられ、リリーフ陣にもチャンスの芽を摘み取られた。伊勢と対した七回は代打・糸原、エスコバー相手の八回は近本が、ともに無死一塁で内野ゴロ併殺。佐野の17号ソロで4点差とされて突入した九回も山崎に対して走者は出したが、得点には至らなかった。また、新型コロナウイルスの陽性判定を受け、この日に「3番・中堅」で復帰した近本は4打数無安打だった。

◆阪神が22度目の完封負けで連勝は「4」で止まった。一回に先頭打者への四球から併殺の間に先制を許した青柳晃洋投手(28)が二回にDeNA・今永昇太投手(28)に適時打を浴びるなど、3イニング連続失点で、自身の連勝が「9」で止まった16日のヤクルト戦(神宮)から2連敗を喫した。6試合連続して6回以内降板で3試合連続白星から遠ざかった。コロナ陽性から復帰した近本光司外野手(27)は「3番・中堅」で4打数無安打1併殺。球団の年間最多完封負けは1963年の24回。また京セラでの主催試合は7戦全敗となった。7連勝の2位DeNAに6差となった矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り(チーム成績56勝58敗2分、観衆2万9105人)。ーー青柳はリズムに乗れないまま、イヤな点の取られ方をした「うん、まあ、ちょっとコントロールがね。球の走りは良かったと思うけど、コントロールが定まってなかったんで、リズムを作るところができなかったね」ーー先週も青柳の疲れと相手の攻略とが...と話していた。そこを何とか「もちろん、もちろん。頑張ってもらわなあアカン」ーー青柳の存在なくして、というくらいの投手「いや、もちろん、もちろん。うん」ーー打線は近本が戻って来て、チャンスも作った「まあ、チカだけで点を取れるわけじゃないんで。そういうところではチカも含めて誰かがね、もう一本、つなげたり、点を取れれば、もっと変わった流れができたかなって思うけどね。そこができなかったのが、ゼロになってしまったなっていうところです」ーー左投手で、特に相手が前回もやられた今永というところで打線を組み替えた部分も「組み替えたというか、どうやったら一番攻略できるのかなっていうところで、はい、いきました」ーー糸井ら2軍でコロナ明けの選手が実戦に出始めているが「すぐ上げられるような状態...こっちの兼ね合いを含めてね、今すぐ上げる感じではないです」

◆DeNA・今永昇太投手(28)が先発し、114球で6回4安打無失点、8奪三振と力投した。二回には自ら適時打も放ち8勝目を挙げた。以下、今永のヒーローインタビュー。――8勝目「とにかくチームが勝てたことが良かった。少しホッとしています」――投球を振り返り「ビジターの阪神タイガース打線ということを考えれば、3点差を感じない雰囲気だった。七、八回を投げ切りたかったが、慎重になり過ぎて球数が多くなりました」――四回2死満塁で代打・ロハスを迎えた場面(結果は三ゴロ)「名前がコールされるだけで球場も沸く。飲まれそうになったけど、冷静に変化球を選択できてよかったかなと」――自ら適時打も(二回2死一、三塁から左前打)「やはり1点差か2点差で全然違うので、大きな1点にはなったが、その次の打席でバント失敗(四回無死一塁でスリーバント失敗、三振)してしまった。そういうところをしっかりしないと。楽な試合はないので、そのあたりを気をつけたい」――7連勝で首位ヤクルトを猛追「誰かのミスを誰かがカバーするのが、このチームのいいところ。きょうはみんなに救ってもらった。必ず苦しいときがくる。そのときに僕がみんなのミスをカバーできるようにしたいです」

◆DeNAは先発のエース、今永昇太投手(28)から零封リレー。打線も阪神・青柳を序盤で攻略し、3年ぶりの7連勝を飾った。貯金「10」は2015年以来7年ぶり、シーズン106試合目以降の2桁貯金は、優勝した1998年(79勝56敗1分けの貯金23で終了)以来24年ぶりとなった。三浦大輔監督(48)の主な一問一答は以下の通り。ーー打線が青柳をじわりじわりと攻めた「誰がっていうよりも、チームが最後勝ったというのが1番大きい。立ち上がりから全員で食らいついて、食らいついて、コツコツ積み上げた得点を守り切った。全員でね積み上げた勝利だと思います」ーー中堅から逆方向を意識したのか「どうですかね。でも誰が決めるというより、全員が粘り強く打席で粘って、追い込まれても何とかバットに当てれば、ことを起こせばというところで集中しながら食らいつけたのが大きかった。たとえ打てなくても、次の打者がカバーしたり、本当細かいこと。よく積み上げた得点だと思います」ーー宮崎、ソトを先発から外したのは青柳対策「そこはそうですね。そういう形でスタートするというのは、ソトも宮崎も話をしてますし」ーー先発の今永は「ずっと週頭にいってもらってますけど、接戦になるのを本人も分かっている中で、立ち上がりからボールに力もキレもあった。戸柱も両サイド、緩急、全てを使って丁寧に抑えた。四回にちょっと球数も増えましたけど、1球で流れが変わるところをしっかりと我慢して、もう一本出させなかったのは、やっぱりよく考えながら攻めていたなと思います」ーー貯金10は7年ぶり「まだ。そればかりは積み上げていくだけ。負ければ減るし、シーズンは終わっていない。きょうの試合のように、1個ずつ積み上げていくしかない」

◆阪神の青柳は申告敬遠を含む3四球と制球に苦しみ、今季自身初の連敗で3敗目。5回3失点で「チームに迷惑をかけてしまい、申し訳ない」と悔しさを募らせた。毎回の計7安打を喫し、リズムが悪かった。一回は先頭の桑原に四球、神里には安打でつながれて一、三塁となり、佐野の二ゴロ併殺打の間に1点を与えた。二回は2死三塁から森を申告敬遠した後に、投手の今永に痛恨の適時打を浴びた。この日を含めた直近6試合は投球回数6回以下での降板が続いている。矢野監督は「頑張ってもらわないと」と、ここまで12勝を挙げてきたエースの復調を願った。(京セラ)

◆本拠地17連勝を飾った勢いそのままに、DeNAは3年ぶりの7連勝で、7年ぶりの貯金「10」とした。阪神先発の青柳に対して、前回対戦に続き左打者を並べ、この日は桑原、牧以外スタメン9人中7人が左打者。序盤で球数を投げさせ、終盤の勝負どころで宮崎、ソトの強力代打陣を送り込む〝青柳攻略作戦〟を再び仕掛けた。一回、青柳と好相性で昇格即2番スタメン起用の神里の安打でチャンスを広げ、佐野の内野ゴロで1点を先取すると、二回は今永が自らを援護する左前適時打。三回は女房役の戸柱が左前適時打と、いずれも左打者が逆(左)方向へとしぶとく運び、狙い通り青柳に5回で105球を投げさせ降板に追い込み、黒星をつけた。三浦監督は「誰が、というより全員が打席で粘って、立ち上がりからみんなが食らいついて、コツコツ積み上げた得点。全員で積み上げた勝利」とナインをたたえた。

◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(78)はDeNAに苦戦続きの理由は、今季から古巣に復帰した石井琢朗野手総合コーチ(51)だと指摘。クライマックスシリーズに向けて、投手全体で〝準備〟に入れ!とゲキを飛ばした。昨年まで相性の良かったDeNAに対して今季は非常に苦戦している。阪神打線が左腕に苦労しているなど、様々な要素が考えられるが、私が一番の要因として指摘したいのが、今年就任した石井琢朗野手総合コーチの存在だ。彼の指導方針はセンター返し。粘り強く、センターから逆方向を徹底させる。センター返しを意識させると、バットはインサイドアウトに出る。結果、バットのしなりが打球に伝わり、打球を捉える確率も高まり、空振りも少なくなるのだ。逆にアウトサイドインのスイングは引っ掛ける打球が増え、当然のように凡打が多くなる。石井コーチが現役時代の1998年、マシンガン打線の1番打者として日本一に輝いた頃も、センター返しのお手本のような打撃でチームを引っ張っていた。広島の打撃コーチ時代にはこの指導が浸透して、3連覇の原動力になったのは間違いない。その方針が今のDeNAの打者たちにもマッチしたのだろう。中軸の3番・佐野からも、4番・牧からも、センター返しの意図が昨年までと比べようがないぐらいに伝わってくる。この打線は手ごわい。阪神の投手陣がDeNA打線に攻略されるケースが急増していることからも、石井コーチ効果は絶大なのが分かる。ただ封じる方法も、ある程度はっきりしている。投手はもっと内角を攻めないとダメ。センター返ししようとしている打者は内側を攻められるのが一番嫌なのだから。青柳に、のけぞらせるような球は見られなかった。これでは相手は自由に自分の打撃ができてしまう。この先、両チームがどんな順位でシーズンを終えるのか、まだまだ見通せないが、CSで相まみえる可能性は非常に高いと思っている。来るべき決戦に備えて、今日の試合から内角攻めで相手を狂わせ、〝準備〟に入る必要があるだろう。

◆セ・リーグ2位のDeNAは23日、阪神20回戦(京セラ)に4―0で勝って今季初の7連勝。貯金を球団7年ぶりの2桁となる「10」に伸ばした。先発した今永昇太投手(28)が、6回4安打無失点、8奪三振の快投で8勝目。実直に野球を追究する姿から「投げる哲学者」と称される左腕が、新たな境地を見せ、阪神打線を押し込んだ。チームは首位・ヤクルトとの4ゲーム差をキープ。本拠地17連勝中の勢いは、敵地でも止まらない。敏感に分水嶺(ぶんすいれい=勝負の分かれ目)を感じ取った。3―0の四回2死満塁。今永は、代打・ロハスをカーブで三ゴロに仕留め、ピンチを脱した。だが、自身のかすかな〝異変〟を見逃さなかった。「四回に満塁を打ち取った投球メカニズム(動作)でフォームを崩してしまった。左脚が(外側に)開いた感じがあったので、探りながら少しインステップにしたら、いい角度が出ました」四回を終えて82球。五回は140キロ台前半の球が多く球威も落ちたが、六回先頭の佐藤輝は148キロの直球でファウルを稼ぎ、スライダーで空振り三振に斬った。6回零封。「三振を8つも取れる調子じゃなかった」とし中盤に崩れかけたものの、冷静な対応力で試合中に復調を遂げた。野球を実直に追究する姿、独特の表現力から「投げる哲学者」と称される今永。プロ7年目を迎えた今年1月の自主トレーニング期間中に、ある境地に達した。「言語化というのが少し分かってきた。試合中も、こういうときはここをこう使えば、いい直球が蘇ってくる、と。それを人に説明できるようになってきた」この日の試合後も「ちょっとだけですけど」と切り出し、報道陣の前で左脚を数センチ内側にステップするしぐさを披露。「インステップ」を分かりやすく解説した。学生時代やルーキーイヤーは「そこまで考えて野球をやっていなかった」ため、好不調の幅が大きかった。原因を究明し、3年前から自身の体の使い方、動かし方に着目すると「体をコントロールするということが少しだけですけど、できるようになってきた」という。この日も「修正ポイントを導き出して、それを実践できた」とうなずいた。自身4連勝。横浜スタジアムで17連勝して乗り込んだ敵地で、チームは7連勝を飾り、貯金を7年ぶりの2桁となる「10」に伸ばした。26日からは4ゲーム差で追う首位・ヤクルトとの3連戦が控える。〝首位奪還ウイーク〟とするべく、大阪のファンにも、その勢いを知らしめた。(横山尚杜)★狙い通りに左前適時打 今永の研ぎ澄まされた感覚は、打席でも発揮された。二回2死一、三塁、阪神・青柳が投じた初球のシンカーを見逃し「思った以上に動いていた。大きな変化をしているときにスイングしないといけないと思ったので、変化する前に打ちたい」と2球目から投手側に寄って立った。狙い通り3球目のツーシームを捉えて、左前へ適時打を運び「食らい付くつもりだった。間を抜けてくれて良かった」と会心の笑みを浮かべた。

◆割れんばかりの拍手と、大きな期待を背負って近本がグラウンドに帰ってきた。しかし、無情にも快音が響くことなく試合終了。整列するナインの先頭で、選手会長は悔しさをにじませた。「自分がやるだけなので、自分がやれることをやるだけです」こう語って、強い覚悟で臨んだ復帰戦だった。一回2死の第1打席は今永の初球、147キロ直球をファウル。最後は左飛に倒れたが、鋭いスイングに期待は膨らんだ。しかし、第2打席は空振り三振、五回2死二塁では遊飛。八回無死一塁ではエスコバーの153キロに痛恨の投ゴロ併殺...。4タコに天を仰いだ。新型コロナウイルスの感染疑いで10日に出場選手登録を抹消された。自主隔離が終わったのは20日。22日に鳴尾浜の全体練習でシート打撃などを行い、実戦感覚を養ったが、十分な調整期間があったとはいえない。実戦出場は9日のDeNA戦(横浜)以来14日ぶり。「3番・中堅」で昇格即スタメン起用した矢野監督の期待に応えたかったが、満足に動けなかった10日間のブランクが重くのしかかった。打線は散発6安打でリーグワースト、今季22度目の零封負け。9日のDeNA戦(横浜)で今永相手に黒星を喫してから、これで相手の先発が左腕だった試合は8連敗だ。今季、先発左腕には21勝28敗と、勝負の終盤戦に再び〝左嫌い〟が顔をのぞかせている。ただ、中野、大山の復活に続き近本が帰ってきたことは何よりのプラス材料。4日の巨人戦(東京ドーム)以来16試合ぶりにベストメンバーがそろったと言ってもいい。矢野監督は「チカ(近本)だけで点を取れるわけじゃない。チカをもちろん含めて誰かがもう1本つなげたり、点を取れれば、もっと変わった流れができたかな」と敗戦を振り返った。2位DeNAとは6ゲーム差に拡大。そのさらに4ゲーム差にいるヤクルトを追い掛けるため、下を向いている暇はない。残り27試合。再び一丸となって戦っていく。(原田遼太郎)

◆どないしたんや! 3位阪神は2位DeNAに0―4で敗れ、ゲーム差は「6」に拡大した。先発した青柳晃洋投手(28)は制球に苦しみ、5回で105球を要して3失点降板。前回16日のヤクルト戦(神宮)は4回4失点で降板しており、エースの勢いに陰りが...。まだVも諦めていないし、クライマックスシリーズ(CS)もある。青柳、今こそ奮起のときだ!!その右腕一本で、苦境にあえぐ虎を引っ張り上げてきたのに。あんなにも自信に満ち、打者を手玉に取ってきたのに―。何度も顔をしかめ、ズルズルと失点を重ねた青柳が、今季自身初の連敗。降板後に残したのは、ひと言だけだった。「チームに迷惑をかけてしまい、申し訳ないです」普段なら前向きな反省や課題を率直に口にする男が、ざんげすることしかできない。もう一度上を目指そうと一丸となるはずの一戦で、頼みのエースが、自ら主導権を手放すような投球を繰り広げてしまった。一回先頭から6球連続ボール。一塁・原口が歩みよって尻をたたくと、やっとストライクを通したが、神里に左前打でつながれて無死一、三塁。続く佐野の二ゴロ併殺の間にあっさり先制点を献上した。回を追うごとに良くなることもなかった。二回には戸柱の二塁打などで2死二塁となると、8番・森にも制球が定まらず3ボールとしたところで矢野監督がたまらず申告敬遠。続く投手の今永に痛恨の左前適時打を浴びた。三回も戸柱に左前適時打を浴びて、さらに失点を重ねた。スイスイと勝ちを積み上げてきた頼もしい姿はなく、大粒の汗と制球難にまみれた。矢野監督も「球の走りは良かったと思うけど、コントロールが定まってなかったんで、リズムをつくるというところができなかったね」と評さざるを得なかった。5回7安打3失点という内容は、青柳に求められているものであるはずがない。これで3試合連続勝ちがなく、今季自身初の連敗で3敗目(12勝)。6試合連続で六回以内で降板し、今季2度目の2試合連続3失点以上だ。疲労も蓄積し、相手チームの研究も進む中、結果だけでは「夏バテ」と言われてしまう投球が続く。だが、ここを乗り越えてくれなくては矢野虎は、奇跡も希望も見えない真っ暗闇に落ちてしまう。7連勝した2位DeNAには6ゲーム差を付けられ、対戦成績も8勝12敗とされた。きょうにもシーズン負け越しが決まってしまう。同一シーズンに3度も同戦で4連敗するのは球団初だ。首位ヤクルトとは10ゲーム差。それでも逆転優勝の可能性も消えていなければ、クライマックスシリーズ(CS)進出だってかかっている。CSで、青柳とDeNA打線、青柳と今永の対戦が繰り返されることも十分に予想される。大黒柱が頼もしさを失ったままでは、戦っていけない。連勝は「4」で止まったが、高めてきた心技体すべてを、しんどいこの状況でも、もう一度奮い立たせてほしい。指揮官も「頑張ってもらわなアカン」と願うしかない。矢野虎の挑戦が続いていくかは、青柳にかかっている。(長友孝輔)

◆阪神先発の青柳は、12球団でハーラートップの12勝を挙げているとは思えない姿だった。序盤でコツコツと得点を積み重ねられ、ここまでの疲れがピークにきているのが誰の目にもあきらかだったのだ...。これは後出しジャンケンの結果論と言われるのを覚悟で述べるけど...。本日、近本が復帰して大山、中野、近本による猛虎打線「三本の矢」がついに戻ったんだから、それ以外のメンバーも虎の本来の顔で臨んでほしかった。糸原のスタメン、そして青柳のときには大概マスクを被っていた梅野で挑んでほしかったのだ!!(7月8日のヤクルト戦で青柳の完封をリードをしたのが坂本なのは知っていますけど...)上位のヤクルト、DeNAと比べれば阪神は残り試合数が少ないのだ!! となったら、この投手なら、このスタメンなどと悠長なデータ野球やっている場合じゃねーんだよ!! 木浪や原口が悪いとは言わないが、ここまで戦ってきたメンバーにキッチリとかたをつけさせたろーやないか!!

◆DeNAは勢いで連勝しているのではなく、チームとして力をつけた。青柳から放った7安打は全て、中堅から逆方向へのもの。チームとして徹底されている。この日2安打の戸柱をはじめ、嶺井、伊藤の捕手陣の打撃が好調なのも大きい。強いチームは捕手がよく打つ。昨季のヤクルト・中村、古くは巨人・阿部、ヤクルト・古田らがいた。その捕手陣がリードする投手陣は先発が安定し、中継ぎも3連投、4連投することなく回せている。これらは首脳陣の役割分担がはっきりしているから、可能になる。攻撃は青山ヘッドと石井野手総合コーチ。野球をよく知っている青山ヘッドが作戦を考え、練習方法のバリエーションが豊富な石井コーチは、とにかく練習させる。三浦監督は斎藤投手コーチとともに投手起用に専念できる。オールスター前まではちぐはぐだったが、ようやく成果が出てきたのではないだろうか。ただ、首位ヤクルトに追いつけるかとなると、4ゲーム差は大きい。週末の直接対決3連戦にしても、ヤクルトは1勝すればいい状況。DeNAはリードした試合を確実に勝ち、プレッシャーをかけ続けておもしろくしてほしい。(本紙専属評論家)

◆あれっ、代走を出さないのかなぁ?悪い予感がしたのは、九回裏、原口が左前打で出塁したシーンだった。ここは足のある選手の方が...と思って、トラ番キャップ・長友孝輔に尋ねたら「ビッグイニングを想定したのか、その先の攻撃も考えていたのかも...」と采配批判は避けていた。でも...。案の定、木浪の二ゴロで二封されたプレーは、俊足ランナーなら微妙なタイミングになったのでは、と思えた。「マイナス思考の猛虎会」が存在したら、会長に立候補してもいいと思っている。いつも不安だらけで阪神戦を見ているし、楽観したことがない。悪いことばかり考えてしまう。無責任に「3連勝や!」なんて言えない。無理に楽観的になって原稿を書き進めると、ほぼ間違いなく逆転される(ことしの開幕戦がそうだった)。そんなヤツにこのコーナーを書かせてもいいのか、という声は、右から左に聞き流したい。マイナス思考だが、「プラスになればいいのにな」と願う気持ちは誰にも負けていないと思うから。そういうタイプは、二回2死三塁から、8番打者を申告敬遠した瞬間に「投手に打たれたらショック、デカイやろ!」と心の中でつぶやく。そして、結果を見せられて、ほら、やっぱり! と涙する。ホッとしたり、クスっと笑いながら、野球を見たいと思い続けてウン十年。願いがかなったことはほとんどない。その点、高校野球はいいなと思う。昼間にラジオを聴いていたら、クスっと笑うニュースを報じていた。「先ほど、深紅の大優勝旗が白河の関を越えたようです」104回目の夏に、東北勢初の優勝を果たした仙台育英高ナインを乗せた新幹線が〝白河の関の最寄り駅〟新白河を通過したんだろう。東北の悲願をかなえたおかげで「旗」の現在地までニュースになる。ハッピーエンド、めでたし、めでたしだ。1年前は高校野球担当としてフル稼働していた須藤佳裕は京セラドームで、悪戦苦闘だった日々を思い出していた。「ことしは、コロナにより辞退するチームが出ることなく、雨による順延もなく、順調に日程消化ができて、ホント、良かったなぁと思っています」103回大会はコロナにより大会途中で甲子園を去った高校があり、天候不順で順延、また順延。決勝戦はなんと月末8月29日にずれ込んだ。高校野球の順延が相次ぐと、阪神にも影響が。須藤が、1年前に高野連から報道陣への連絡メールを見せてくれた。「もし、8月31日以降にまで伸びた場合は、昼間に高校野球を行い、ナイターで阪神タイガースの試合を開催します。高校野球はすべて甲子園で開催します」という趣旨の中身。プロアマのダブルヘッダーを検討する状況に追い込まれていたことを示す内容。ギリギリまで追い詰められていたことが、よく伝わってくる。そんな日程の心配を一切しなくていい、ことしの阪神は幸せ。逆にこの日の相手・DeNAも首位を走るヤクルトも、9月は異常に過酷な日程が待っている。〝追い風〟を生かすためにも、今こそ白星を重ねたいところだったのに。悪い予感はよく当たる。どうしたらいいんだろう。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
64461 0.582
(↑0.004)
-
(-)
32479
(+5)
431
(+4)
133
(+1)
60
(-)
0.251
(↑0.001)
3.490
(-)
2
(-)
DeNA
57472 0.548
(↑0.004)
4
(-)
37380
(+4)
391
(-)
86
(+1)
35
(-)
0.253
(↑0.001
3.350
(↑0.04)
3
(-)
阪神
56582 0.491
(↓0.005)
10
(↓1)
27395
(-)
333
(+4)
73
(-)
88
(-)
0.241
(-)
2.540
(↓0.02)
4
(1↑)
巨人
54601 0.474
(↑0.005)
12
(-)
28438
(+6)
498
(-)
131
(+1)
50
(-)
0.243
(-)
3.940
(↑0.03)
5
(1↓)
広島
53603 0.469
(↓0.004)
12.5
(↓1)
27439
(+4)
439
(+5)
70
(+1)
23
(+1)
0.255
(-)
3.510
(↓0.02)
6
(-)
中日
49601 0.450
(↓0.004)
14.5
(↓1)
33321
(-)
397
(+6)
55
(-)
40
(-)
0.246
(↓0.002)
3.410
(↓0.02)