広島(★2対3☆)阪神 =リーグ戦16回戦(2022.08.05)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
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阪神
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広島
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勝利投手:西 勇輝(8勝6敗0S)
(セーブ:岩崎 優(1勝3敗25S))
敗戦投手:大瀬良 大地(7勝7敗0S)

本塁打
【阪神】ロハス・ジュニア(5号・4回表2ラン)

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◆阪神が接戦を制した。阪神は初回、佐藤輝の犠飛で1点を先制する。そのまま迎えた4回表には、ロハス・ジュニアの2ランが飛び出し、リードを広げた。投げては、先発・西勇が6回途中2失点で今季8勝目。敗れた広島は、打線が相手を上回る7安打を放つも、つながりを欠いた。

◆阪神木浪聖也内野手(28)が、約4カ月ぶりに1軍に昇格した。マツダスタジアムで行われる広島戦の試合前練習に姿を現した。今季ウエスタン・リーグでは内野の全ポジションをこなすなど33試合に出場し、打率2割7分4厘、0本塁打、11打点の成績を残していた。また、6日広島戦に先発予定の藤浪晋太郎投手(28)も1軍本体に合流した。代わって、前日4日巨人戦(東京ドーム)で先発し、1回0/3を投げ5失点と炎上したアーロン・ウィルカーソン投手(33)と、板山祐太郎外野手(28)が、出場選手登録を抹消された。

◆阪神は5番を務めていた大山悠輔内野手(27)が、新型コロナウイルス陽性となり特例2022で出場選手登録を抹消された。代替選手として登録したメル・ロハス・ジュニア外野手(32)を7番左翼でスタメン起用した。今季スタメンは23試合目で、7月17日の中日戦以来。ロハスは外国人枠の関係で前日4日に出場選手登録を抹消されたばかりだった。5番には糸原健斗内野手(29)が7月17日の中日戦以来入った。

◆阪神佐藤輝明内野手(23)が先制犠飛を放った。初回、1死から島田が左前打で出塁し、近本も右前打で続いた一、三塁。フルカウントから大瀬良の134キロのフォークを左翼まで飛ばし、三走の島田が生還した。「追い込まれていたので、なんとか食らいついて外野まで運びたいという気持ちでした。そこまで飛距離が出なかったですが、島田さんがよく走ってくれたと思います。ありがとうなぎ」この日は5番を務めていた大山悠輔内野手(27)が、新型コロナウイルス陽性判定を受け、特例2022で出場選手登録を抹消。今季広島から2勝と苦戦している相手とのカードで大きな戦力を欠いたが、幸先良くスタートした。

◆急きょ再昇格した阪神メル・ロハス・ジュニア外野手(31)が5号2ランを放ち、スタメン起用に応えた。1点リードの4回2死一塁。カウント2-1から変化球を右翼席へ豪快に放り込んだ。「とにかく、ここにいられないチームメートの穴を埋めたいと必死だったし、自分自身にもチャンスだと言い聞かせながら打席に立ったよ。良い打席にできてうれしいね。次も打てるように頑張るよ」と試合中にコメントした。チームはこの日大山悠輔内野手(27)、北條史也内野手(28)が新型コロナウイルス陽性判定を受けたと発表。2人とも特例2022で出場選手登録を抹消され、4日に2軍落ちしていたロハスは代替選手として坂本とともにこの日出場選手登録された。

◆阪神が広島に競り勝って貯金3とした。初回に佐藤輝明内野手(23)の左犠飛で先制すると、4回には7番左翼でスタメン出場したメル・ロハス・ジュニア外野手(31)が左翼席へ5号2ランを放ちリードを広げた。チームはこの日大山悠輔内野手(27)、北條史也内野手(28)が新型コロナウイルス陽性判定を受けたと発表。2人とも特例2022で出場選手登録を抹消され、前日4日に2軍落ちしていたロハスは代替選手として坂本とともに出場選手登録されていた。先発の阪神西勇輝投手(31)は5回1/3 6安打2失点の粘投で今季8勝目。3点リードの4回には坂倉、小園に適時打を浴びて2点を失ったが、リードした状況でバトンをつないだ。強力ブルペン陣も1点のリードを守り切った。

◆広島が今季ワーストを更新する7連敗を喫し、今季初の5位に落ちた。後半戦は6戦6敗。10年以来12年ぶりに後半戦初戦から6連敗となった。エースでも止められなかった。先発マウンドには大瀬良大地投手(31)。初回1死一、三塁で佐藤輝明内野手(23)に犠飛を放たれ、先制を許した。4回2死一塁ではメル・ロハス・ジュニア外野手(31)に2ランを浴び、点差が3点に広がった。大瀬良は5回3失点で降板。7月1日巨人(マツダスタジアム)で7勝目を挙げたのを最後に5戦、1カ月間白星から遠ざかっている。打線は3点を追う4回に坂倉将吾捕手(24)、小園海斗内野手(22)の適時打でそれぞれ1点ずつを返し、1点差に迫った。2-3の8回には無死一、二塁の絶好機をつくったが、3番秋山翔吾外野手(34)、4番ライアン・マクブルーム内野手(30)、5番坂倉のクリーンアップ3人がそろって倒れた。2位、勝率5割で始まった後半戦。連敗であっという間に借金は今季最大6に膨れ、順位も5位まで落ちた。遠い1勝。暗いトンネルから抜けられない。

◆阪神が1点差を守り抜き、勝利した。1点リードの4回2死一塁の場面でメル・ロハス・ジュニア外野手(31)が広島大瀬良から5号2ランを放ち、貴重な追加点を挙げた。4回に広島に2点を奪われ、1点差に迫られたが継投でしのいだ。ヒーローになったロハスの一問一答は以下の通り。-第2打席の狙い「いい打席を送りたいと思っていましたし、ストライクゾーンを待っていました。少なくともツーベースは打ちたいと思っていたので良いホームランが打てた。ロドリゲス選手が足が遅いのでホームランで良かったなと思います」-手応え「良い打席になったと思います。大瀬良選手がミスをしないすごくいい投手なので、失投を待って。その失投をしっかりと仕留めることができてよかった」-緊急昇格を告げられたタイミング「昨日残念ながら抹消されて、残念だったんですけど、こうやって昇格させていただいたので、なんとか自分のものにしようと思いました。大山選手が抜けた穴をなんとか埋めようと必死でした」-大仕事をしましたね!「すごくいい試合になりましたし、こうやって監督に自分を出してもらったことにすごく感謝していたので良い準備ができました」-明日以降の意気込み「いつも応援ありがとうございます。これからもしっかりと勝ち続けていきたいと思います。シーズンの始めはなかなか勝つことができなったので、難しかったですけど、こうやってみんなで勝ち続けていきたい。抹消されたときもファンの方からメッセージをいただいて。パワーにできて活躍できてよかったです。ありがとうございました」

◆広島が今季ワーストを更新する7連敗を喫し、今季初の5位に落ちた。後半戦は6戦6敗。10年以来12年ぶりに後半戦初戦から6連敗となった。佐々岡真司監督(54)は、直近5試合で白星がない先発大瀬良大地投手(31)に「やってもらわないといけない選手」とハッパをかけた。またこの試合は新型コロナウイルスに感染し、離脱していたライアン・マクブルーム内野手(30)の復帰戦でもあった。復帰即4番に入った主砲に関して「4番としてすごく期待をしている。4番にマクブルーム、5番にサク(坂倉)と厚みは増すと思う」と今後に向けて前を向いた。佐々岡監督の一問一答は以下の通り。-先発の大瀬良は本調子ではない投球が続いているまあそうですね。きょうはちょっと内容的に良くないと思って5回で代えました。-今後も必要な戦力。経験から立ち直ってほしい当然エースとして。床田がああいう状況(右足関節骨折で離脱)になりましたのでやってもらわないといけない選手。-6回から継投。勝ちパターンも含めて投入当然。まあね。このチーム状況なので1点もやれないという継投をしました。-新型コロナウイルスに感染し、離脱したマクブルームが復帰。打線の幅が広がった。当然4番が帰ってくればね。まだ1試合目だけど4番としてすごく期待をしている。4番にマクブルーム、5番にサク(坂倉)と厚みは増すと思う。

◆広島は1点ビハインドで勝ちパターンを投入する執念采配も実らず、10年以来12年ぶりとなる後半戦初戦から6連敗を喫した。本調子ではない先発大瀬良を5回3失点で見切り、早めの継投。中継ぎ陣は無失点リレーを見せたが、あと1点届かなかった。佐々岡監督は「このチーム状況なので、1点もやれないという継投をしました」と厳しい表情。前半戦最終戦から今季ワースト7連敗で、借金も最多の6にふくらんだ。○...新型コロナウイルス感染から1軍復帰したマクブルームは、即4番起用に安打で応えた。2打席凡退で迎えた6回1死で西勇にバットを折られながら左前打。「チームが負けて感情としてはうれしくないが、体調は良い感じで臨めた。自分が帰ってまた好転していけばいい」。チーム最多87試合で4番に入る主砲が定位置に戻った。○...先発大瀬良は5回3失点で7敗目(7勝)となった。1回は1死一、三塁で佐藤輝に先制犠飛を許し、4回2死一塁ではロハスに「失投だったが逃してくれなかった」と2ランを浴びた。後半戦の初戦も敗戦投手になっており「僕がつくった連敗。なんとかしたかったが申し訳ない」と謝罪した。自身は3連敗。7月1日巨人戦で7勝目を挙げたのを最後に5試合、1カ月間白星から遠ざかっている。○...アンダーソンが先発する6日阪神戦での連敗ストップを誓った。チームは今季ワースト7連敗中とあって「米国でもこういった連敗の経験はある。できることは自分たちの野球を信じてそれを続けていくこと。それを継続すれば勝利につながる」と力強い。今季阪神戦は3戦で1勝0敗。好相性右腕がチームに7月23日以来14日ぶりの勝利を運ぶ。

◆これぞ4番だ。阪神佐藤輝明内野手(23)が先制決勝の犠飛でチームの窮地を救った。大山悠輔内野手(27)と北條史也内野手(28)が5日に新型コロナの陽性判定を受けて離脱。戦力ダウンの一大事に陥ったが、初回の大瀬良撃ちでチームに勇気を与えた。苦手広島に競り勝ち、貯金は再び最多タイの3。大山らの復帰まで苦しい戦いが続きそうだが、主砲が猛打で首位ヤクルト猛追を引っ張る。佐藤輝は外角低めのフォークを、バットを投げ出すようにすくい上げた。初回1死一、三塁。大瀬良をとらえ、左翼に先制犠飛を運んだ。「追い込まれていたので、何とか食らいついて、外野まで運びたかった。そこまで飛距離が出た打球ではなかったけど、島田さんがよく走ってくれた。ありがとうなぎ」。ほぼ定位置への飛球だったが、快足を飛ばして生還した三塁走者島田の愛称「うなぎ」をもじって感謝。これが決勝点となった。この日、大山と北條が新型コロナの陽性判定を受けて戦線離脱した。中でも、チーム最多の22本塁打&71打点を稼ぐ5番大山を欠くことは大きな痛手で、チームは窮地に陥った。しかも前日4日の巨人戦は今季18度目の完封負け。だが、4番が意地を見せた初回の3戦ぶり57打点目が全ての重いムードを切り裂き、勝利への流れを引き寄せた。盟友の不在は、自分がカバーする。大山について「野球に対する姿勢、簡単にマネできることじゃない。見習っていきたい」と話し、いつもお手本にしてきた。「後ろにいい打者がいたら、僕とストライクゾーンで勝負してくれる。それは大きい」。自身の打撃に大山の支えがあると感謝。背番号3が不在となった今、その無念も感じてのアットバットだったに違いない。矢野監督は「輝にやってもらわなあかんけど、だからどうってことはない」と、この日のように4番の仕事をまっとうすることを期待した。負ければ今季の負け越しが決まった苦手広島に勝利し、貯金は再び今季最多タイの3。首位ヤクルトが敗れ、9・5ゲーム差に一歩前進した。残り42試合で奇跡の大逆転Vを狙うが、コロナ第7波が阪神にも襲いかかってきた。8月は毎週6連戦の過密日程で、この先も厳しい戦いが予想される。「オレらはいるメンバーでどれだけ粘れるか。何が起こるか分からない。チームで力を合わせるしかない」。首位ヤクルト猛追へ、佐藤輝への期待はますます高まる。いきなり試練が訪れた長期ロード。4番の猛打に乞うご期待だ。【石橋隆雄】○...木浪が4月13日の中日戦(バンテリンドーム)以来、約4カ月ぶりに代打で途中出場した。7回2死から岩貞の代打で出場。広島松本に6球目のフォークで二ゴロに仕留められた。試合前に「ここまで来たので、あとは自分の持っている力を出せるように準備してやりたい」と話していた通り、少ないチャンスでアピールを続ける。○...7月中旬に新型コロナに感染した坂本が、1軍に復帰した。7月29日の2軍広島戦で実戦復帰し、4試合に出場して合流。球団を通じ「自分がいない間でも、みんなで結束して戦ってきた結果が今のチーム状況なので、少しでもそこの足しになれるよう、どんな形でもチームに貢献していければと思います」と引き締めた。この日の出番はなかった。○...島田が初回に先制のホームを踏んだ。1死から左前安打。続く近本の右安で三塁に進み、佐藤輝の左翼への犠飛で生還した。「自分の役割は果たすことができた。1番が塁に出なかったら自分が1番打者だと思っている」と話した。7月は月間打率1割台と苦しんだが8月は4試合で打率3割5分3厘(17打数6安打)と当たりが戻ってきている。○...西勇が西勇は5回1/3を6安打2失点で8勝目を挙げた。3回まで二塁を踏ませず、失点は4回のみと接戦で粘った。6回1死でマクブルームに左前打を許したところで降板し、「緊迫した試合の中で、走者を残してマウンドを降りる形になってしまったので、踏ん張ってくれた(岩貞)サダに感謝です」と振り返った。今季の阪神新型コロナウイルス感染者 初の開幕投手に決まっていた青柳は3月17日に陽性判定を受け、大役を断念した。シーズン初登板は4月15日にずれ込んだ。代わりに開幕投手を務めた藤浪も、4月13日に陽性判定を受けて戦列を離れた。2軍では同月29日に復帰後初登板。6日の広島戦で先発復帰する。2軍でも平田2軍監督が7月29日に感染するなど、陽性者が相次いだ。1軍は7月26日の山本、今月3日の渡辺に続き、大山、北條と離脱者が再び出始めた。

◆阪神近本光司外野手(27)が、8月初ヒットとなる16打席ぶり安打で勝利に貢献した。初回1死一塁。大瀬良の2球目フォークを右前へ。1死一、三塁とチャンスを拡大し、続く4番佐藤輝の先制決勝の犠牲フライを呼び込んだ。ヒットはこの1本だったが、また1つ球団史に名前を残した。5回の3打席目で早くも今季の規定打席に到達。長い虎の歴史でも、新人からの4年連続は1950年(昭25)の2リーグ分立後、吉田義男(13年連続)、藤井栄治(8年連続)、久慈照嘉(6年連続)に次ぎ4人目。ルーキー時代から欠かせない中心選手としてとなり、チームを引っ張っている証しだ。虎が誇るヒットマンが苦しんでいた。7月31日ヤクルト戦(甲子園)の2打席目の中前打以降、快音がストップ。前カードの敵地巨人3連戦は12打席ノーヒットと、沈黙を続けていた。昨季は8月に月間打率4割3厘、3本塁打と打ちまくった。118安打は同僚中野に2差をつけてトップを走る。矢野監督は「もうちょっと(点を)取りたい」と大山不在打線の奮起を願った。夏男近本が本来の力を発揮すれば、おのずと得点は生まれる。【桝井聡】

◆阪神が広島に競り勝った。7番メル・ロハス・ジュニア外野手(31)が4回に放った左翼席へ5号2ランが決勝アーチになった。大山、北條が新型コロナウイルス陽性の判定を受けて抹消。前日4日に抹消されたロハスが代替選手として登録された。矢野燿大監督(53)はチームの窮地を全員でカバーすると力強く語った。--8回湯浅は仲間のミスもカバーした上で、クリーンアップも抑えた。「ミスっていうかね、アイツしかあのフィールディングで投げるやつおらんと思うけど、拓夢(中野)がちょっと早く"投げない"と思っちゃったってのもあると思う。しっかり踏ん張ってくれたっていうのは、自信にはなると思うし、今日の勝ちにつながったと思うし。素晴らしかったです」--中継ぎ陣がリードを守り切った「もう頭が下がるというかね。うちの特徴というか、勝ちパターンやけど、もうちょっと点がどっかでとりたいっていうかね。理想的には取りたいなってのももちろんある。でも、こういう苦しいところで登板していくっていうのが続いてくると、どんな場面いっても、大丈夫っていう自信や成長にはなると思う。優(岩崎)はね、もちろんそういう経験を積んでいるけど。浜地と湯浅っていうのは、実質、今年からなんでね。その僅差でどうしのぐかっていうのが、2人の成長にはつながっているのかなと思う」--先発西勇は粘り強く「調子がいいっていうふうには見えなかったけど。いつも通り、丁寧に投げてくれたから、あっこまで行けたと思う。まあ、あの後のサダ(岩貞)もよく止めてくれた。ピッチャーがよく頑張ってくれたね」--野間との接触が交代の理由か「いやいや、関係ない」--ロハスがチャンスをものにした「こういう悠輔(大山)とかジョー(北條)がいなくなった状況の中で。(2軍に)落ちて、気持ちも落ちたと思うけど、またすぐ戻ってすぐ打ってくれたというのは助かった。本人も自分のためにも、チームのためにも価値ある1発だったんで。今後もランナーを置いての打点とか長打っていうのはジュニアの魅力だと思うから。そういうところを期待します」--大山、北條が抜けてみんなでカバー「本人たちが早く帰ってくる努力をしてくれながら、オレらはいるメンバーでどれだけ粘れるかというところになると思う。まあまあずっとコロナで3年くらいやってるけど、何が起こるか分からないんで。チームで力合わすしかない」

◆あつきがアツアツ投球だ! 阪神セットアッパーの湯浅京己投手(23)が、無死一、二塁のピンチを断つ圧巻ピッチで勝利を呼び寄せた。1点リードの8回に登板し、先頭野間に右前打された。続く菊池涼の投前バントで二塁送球したが、中野の足がベースに届かず判定はセーフ(記録は中野の失策)。矢野監督もリクエストを要求したが、判定は覆らず、中軸を迎える大ピンチを背負った。だが、本領発揮はここからだ。まずは3番秋山を152キロの速球で左飛に料理。4番マクブルームには、カウント2-2から梅野のサインに何度も首を振った。「絶対、誰の頭の中にもなかった『スライダーでいこう』と決めて」。その狙い通り、大きく逃げる128キロのスライダーで空振り三振。最後は5番坂倉を153キロの直球で連続の空振り三振に斬り、ガッツポーズでほえた。湯浅 (ピンチで)しっかり切り替えて投げたことが、抑えられた一番の要因だと思います。アツアツな投球ができたと思います。名前の「あつき」になぞらえ、おちゃめに笑った。11試合連続無失点でリーグトップの32ホールドポイント。チームは苦手だった1点差試合で5連勝、8月以降は8勝3敗の好成績だ。湯浅の貢献度は、相当高い。【三宅ひとみ】▽阪神浜地(1イニング無安打無失点で14ホールド目)「自分の中では反省点もありましたが、それも踏まえてまた次の登板も0点に抑えられるように頑張ります」

◆執念采配実らず。広島が阪神16回戦(マツダスタジアム)に競り負け、10年以来12年ぶりとなる後半戦初戦から6連敗を喫した。1点ビハインドの6回以降、佐々岡真司監督(54)は勝ちパターンを投入したが、勝利にはつながらなかった。前半戦の最終戦から今季ワースト7連敗。借金も一気に同ワースト6に膨らんだ。チームの窮地に、離脱中の西川龍馬外野手(27)の前倒し1軍合流が決まった。最後まで勝利を信じ、席を立つマツダスタジアムのファンは少なかった。広島佐々岡監督が、勝利への執念を示すタクトを振った。本調子でない先発大瀬良を5回で見切り、6回にはターリーを投入。ビハインドの中盤に、チーム2位の9ホールドの助っ人左腕起用は、これまでにない勝負手だ。1点を追う終盤は7回の松本を挟み、8回から矢崎、森浦と勝ちパターンの投手も惜しみなくつぎ込んだ。6回から8回まで1人の走者も出さず、9回は森浦が1死満塁を招くも、併殺で切り抜けた。佐々岡監督 このチーム状況なので、1点もやれないという継投をしました。中盤から徐々に流れを引き寄せたようにみえたが、追いつくこともできなかった。連敗ストッパーを期待した大瀬良が1回に先制点を献上。直後の1回無死一塁から2番菊池涼の初球に一塁走者野間にスタートを切らせるなど、劣勢の展開を打破しようと動いた。3点ビハインドから打線が1点差に迫ると、6回からは強気な継投策。後半戦初星は手にできなかったものの、打つべき手は打った。阪神に競り負けて、10年以来12年ぶりとなる後半戦初戦からの6連敗を喫した。前半戦最終戦からの7連敗は今季ワースト。さらに借金6も今季ワーストとなった。この日見せた執念を明日につなげたい。新型コロナウイルス陽性からマクブルームが復帰。3打席目に復帰初安打を記録した。助っ人不在時、4番で打率2割5分だった坂倉は5番で7試合ぶりとなる後半戦初適時打と、助っ人復帰効果は少なくない。さらに週明け合流予定だった西川を前倒しして6日阪神戦から合流させることも明らかとなった。床田離脱も、帰ってくる選手もいる。このままズルズルと終わるわけにはいかない。【前原淳】○...広島坂倉が5番に戻り、適時打を放った。チームのコロナ禍で7月20日から9試合で4番を務めたが、この間は打率2割5分と低迷。マクブルームの4番復帰に伴い、従来の打順に戻った。4回1死三塁で7戦ぶり適時打を中前に運び「みんながつないでくれて、良いところで回ってきた。まず1点返せて良かった」。再浮上へクリーンアップのはたらきは欠かせない。○...広島小園が6試合連続安打をマークした。4回に1点を返しなお2死一塁で左中間へ適時三塁打。1点差に追い上げる一打に「後ろにつなぐ気持ちでいきました。何とか流れを変えたかった」とコメント。4月に不調で打率は一時1割5分台、リーグ最下位も味わったが、2割6分2厘まで上昇した。

◆どん底から天国だ。阪神メル・ロハス・ジュニア外野手(32)が、千載一遇のチャンスをモノにした。1点リードの4回2死一塁。大瀬良のカットボールを一閃(いっせん)した。打った瞬間スタンドインを確信。ゆっくり一塁へ歩き出した。右中間席へ約3週間ぶりの5号2ランで3点差に広げ、勝利を引き寄せた。ロハス 大山選手が抜けた穴を何とか埋めようと必死でした。自分自身にもチャンスだと言い聞かせながら打席に立ちました。(一塁走者の)ロドリゲス選手が足が遅いので、本塁打でよかったです(笑い)。思いがけない形でチャンスが巡ってきた。不調で前日4日に出場選手登録を抹消された。だがこの日、大山、北條が新型コロナの陽性判定を受けたことで、特例2022の代替選手として"中1日"で異例の再昇格。いきなりの「7番左翼」起用に最高の結果で応えた。1点差まで迫られただけに大きな1発になった。ロハス 昨日抹消されて残念だったけど、昇格させていただいたので、何とか自分のものにしようと。監督に出してもらったことにすごく感謝して、良い準備ができました。若き主砲からメンタル面でヒントを得た。4番に座る佐藤輝の前向きな姿勢に感銘を受けたという。ロハス 彼は試合結果が悪くても『今日は今日。明日は良くなる』と。良いメンタリティーを持っている。僕は『あぁー、今日の試合で...昨日の試合で...』と落ち込んでしまう。彼のパワーはみんな知ってるけど、メンタリティーが良い特徴。彼は私のスターだ。心の切り替え方を学んで実践し、結果につなげた。矢野監督も絶賛した。「(2軍に)落ちて、気持ちも落ちたと思うけど、またすぐ戻ってすぐ打ってくれて助かった。本人も自分のためにも、チームのためにも価値ある1発だった」。 今季は2年契約の最終年。4日の降格時は打率1割台に低迷し、このまま2軍なら...と思わせた。それが一夜でシンデレラボーイに大変身の逆転人生。「必死のパッチ」でチームを救い、自身も救い、残留を猛アピールした。【古財稜明】

◆阪神は今季2勝11敗2分と大きく負け越している広島との3連戦初戦の勝利を狙う。先発の西勇輝投手(31)は今季マツダで3試合登板し、0勝1敗、防御率3・57とまだ勝てていない。敵地での初勝利を目指す。また、この日、主力の大山悠輔内野手(27)と北條史也内野手(28)が新型コロナウイルス陽性判定を受け抹消。代替選手として昇格したメル・ロハス・ジュニア外野手(32)が「7番・左翼」でスタメン出場する。穴を埋める活躍に期待がかかる。

◆阪神が佐藤輝明内野手(23)の左犠飛で先制した。「追い込まれていたので、なんとか食らいついて、外野まで運びたいという気持ちでした。そこまで飛距離が出た打球ではなかったですが、島田さんがよく走ってくれたと思います。ありがとうなぎ。」一回、1死から島田が左前打、近本が16打席ぶりとなる右前打で一、三塁の好機を作った。ここで佐藤輝が打席へ。5球目のフォークを高く左翼に打ち上げて犠飛を放った。

◆阪神はメル・ロハス・ジュニア外野手(32)が7月14日の巨人戦(甲子園)以来となる5号2ランで広島を突き放した。「とにかく、ここにいられないチームメイトの穴を埋めたいと必死だったし、自分自身にもチャンスだと言い聞かせながら打席に立ったよ。良い打席にできて嬉しいね。次も打てるように頑張るよ。」1-0の四回、2死一塁で打席に入ると、4球目のカットボールを一閃。会心のあたりは左中間スタンドに吸い込まれた。この日、大山と北條が新型コロナウイルス陽性判定を受け抹消され、その代替選手として昇格。即「7番・左翼」スタメン出場していた。その期待にバットでこたえた。

◆阪神先発の西勇輝投手(31)は六回途中2失点で降板。68球と球数は少なかったが早めの継投となった。序盤から丁寧にコーナーを突く投球をみせた。3-0の四回は、1死二塁から坂倉に右前打を打たれ失点すると、2死一塁から小園に左中間を破る三塁打を放たれ1点差に迫られたが、続く会沢を遊ゴロに仕留め踏ん張った。3-2の六回は先頭の秋山を左飛に抑えたが、続くマクブルームに左前打を許したところでマウンドを降りた。バトンを受けた岩貞が後続の坂倉、長野をしっかり抑えた。西勇は8勝目の権利を持って戦況をみつめる。

◆阪神は広島から逃げ切り勝ち。先発の西勇は5回?を2失点で試合を作り、今季8勝目を手にした。後を受けた中継ぎ陣も奮起。七回からは、浜地ー湯浅ー岩崎の勝利の方程式がしっかり抑え、1点差を守り切った。打っては、一回1死一、三塁から、佐藤輝が左犠飛を放ち幸先よく先制すると、この日、昇格して即「7番・左翼」でスタメン出場したロハスが、四回2死一塁から7月14日の巨人戦(甲子園)以来の今季5号2ランを放ち、これが決勝点となった。

◆阪神は1点リードの八回、湯浅京己投手(23)が中野拓夢内野手(26)の失策などで招いた無死一、二塁のピンチで後続を断ち、九回は岩崎優投手(31)が締めて、逃げ切った。一回に佐藤輝明内野手(23)の犠飛で先制し、抹消から一夜明けて「特例2022」の代替選手として登録されたメル・ロハス・ジュニア外野手(32)が四回に5号2ランを放った。5回?を投げて2失点の西勇輝投手(31)は自身4連勝で8勝目(6敗)を挙げた。大山悠輔内野手(27)と北條史也内野手(28)は陽性判定を受けて抹消となった。貯金「3」は今季最多タイ。首位ヤクルトと9・5差となった矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り(チーム成績51勝48敗2分、3万396人)。ーー湯浅は仲間のミスもカバーした上で、クリーンアップも抑えた(八回無死一塁で菊池涼のバントを処理して二塁に送球したが、中野がベースを踏まずに捕球。中野に失策がついた)「ミスっていうかね、アイツしかあのフィールディングで投げるヤツおらんと思うけど、拓夢がちょっと早く〝投げない〟と思っちゃったってのもあると思うけど。しっかり踏ん張ってくれのは自信にはなるし、今日の勝ちにつながったと思うし。素晴らしかったです」ーー中継ぎ陣がリードを守り切った「頭が下がるというかね。ウチの特徴というか、勝ちパターンやけど、理想的には点を取りたいなってのも、もちろんある。でも、こういう苦しいところで登板が続いてくると、どんな場面行っても、大丈夫っていう自信や成長にはなると思うんで。スグルは経験を積んでいるけど。浜地と湯浅は実質、今年から。僅差でどうしのぐかが、2人の成長にはつながっているのかなと思う。まあまあ、点ほしいね」ーー西勇は粘り強く「調子がいい風には見えなかったけど。いつも通り、丁寧に投げてくれたから、あっこまで行けたと思うんで。あの後のサダもよく止めてくれた。ピッチャーがよく頑張ってくれたね」ーー野間との接触が交代の理由か(五回に一塁ベースカバーに入った際に、打者走者の野間と接触)「いやいや、関係ない」ーーロハスがチャンスをモノにした「悠輔とかジョーがいなくなった状況の中で。(2軍に)落ちて、気持ちも落ちたと思うけど、またすぐ戻ってすぐ打ってくれたのは助かった。本人も自分のためにも、チームのためにも価値ある一発。今後もランナーを置いての打点とか長打はジュニアの魅力だと思うから。そういうところを期待します」ーー佐藤輝が先制犠飛。大山不在で今後への期待「そこは別に。ないけど。ないけどっていうか別に、輝にやってもらわなアカンけど、だからどうってことはないでしょ」ーー大山、北條が抜けてみんなでカバー「今の状況じゃ、どうなるかわからないところで、出てほしくはなかったけど、残念やし。一番ホームラン打ってるバッターやし、代打も含めてベンチにいてくれるといつも助かるジョーがいないのは、チームとしては痛い。でもこれは本人たちが早く帰ってくる努力をしてくれながら、俺らはいるメンバーで、どれだけ粘れるかになると思う。ずっとコロナで3年くらいやってるけど、何が起こるか分からないんで。チームで力合わすしかない」

◆現役時代は南海、西武に所属し、引退後は西武、ダイエー、阪神の3球団でヘッドコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家・黒田正宏氏(74)は浜地真澄投手(24)、湯浅京己投手(23)の中継ぎ陣を絶賛すると同時に、梅野隆太郎捕手(31)の存在が大きいと評価した。六回1死一塁で先発・西勇から岩貞にスイッチした矢野監督の決断が、勝因と言ってもいいだろう。西勇の球数はまだ69球で、スタミナ的には続投でも不思議ではなかった。しかし次打者・坂倉を含めて、左打者がタイミングが合っていたことが、早めの継投に踏み切った理由だ。とはいえ、この決断は、そう簡単にはできない。固定観念にとらわれない采配だ。常識的には、西勇のようなエース級には少しでも長いイニングを投げてもらいたいと思うもの。リリーフ陣も毎試合、出番があれば疲労も蓄積するから休ませたいと思うもの。だが矢野監督はあえて早めの継投、勝ちパターンの救援陣の投入を繰り返している。ヤクルトとの差はまだ大きく、とにかく勝てる試合は何が何でもモノにする必要がある。そのための〝総動員〟作戦だ。「奇跡のドラマ」を実現するためにはどうすればいいか。残り試合は、この戦い方で行く! 矢野監督が辿り着いた結論かもしれない。もちろん、この采配ができるのも、救援陣のハイレベルでの充実があるからこそ。意気に感じたメンバーが素晴らしい投球を繰り返している。特に浜地、湯浅の2人の成長は目を見張る。2人に共通しているのは、決め球のフォークが素晴らしいこと。そしてフォークを投じた時の腕の振りが素晴らしいこと。これは捕手・梅野の存在が大きい。少々のワンバウンドなら絶対に止めてもらえる安心感があるのだ。2人の急成長の裏に梅野ありだ。梅野が育てた勝利の方程式と言ってもいいだろう。もう1つのポイントも挙げておきたい。八回1死一、二塁からマクブルームを迎えたシーン。カウント2-2からカーブで空振り三振を奪った。フォークを何球も見せて、最後にカーブの選択。少しでも甘ければ、一番長打を浴びやすい球種をあの場面で要求した梅野、投げ切った湯浅。どちらも褒めたい。腹をくくった監督、充実の救援陣、信頼感あふれる捕手。阪神の強さを感じた試合だった。

◆連敗が7に伸びた広島は八回の逸機が悔やまれた。2―3のこの回無死一、二塁と湯浅を攻めて中軸に回ったが、3番秋山は左飛。新型コロナウイルス陽性からの復帰を先発で果たしたマクブルームは空振り三振で、四回に適時打の坂倉も空振り三振に倒れた。連敗脱出を目指して先発したエース大瀬良は3点先行を許し、五回限りで降板とチームを救えなかった。5位に後退した佐々岡監督は「マクブルームは復帰してまだ1試合目。打線の厚みは増していく」と切り替えを強調した。

◆広島は惜敗で今季ワーストを更新する7連敗となった。巨人が勝ったため5位に転落。試合後の佐々岡真司監督(54)の一問一答は次の通り。──先発の大瀬良は5回4安打3失点で7敗目(7勝)。5試合連続勝ちなしと不調「そうですね。きょうはちょっと内容的によくないと思って5回で代えました」──調子が悪いと判断した「うーん。(調子を)見ながらにはなりましたけどね」──エースとして必要な戦力。経験から立ち直ってほしい「当然、エースとしてまあね。(今季8勝を挙げている)床田が(右足関節骨折して)ああいう状況(長期離脱)になりましたので、やってもらわないといけない選手」──六回からはターリー、松本、矢崎、森浦の継投。勝ちパターンも含めて投入した「当然。このチーム状況(連敗中)なので1点もやれないという継投をしました」──マクブルームが新型コロナウイルス陽性判定から実戦復帰し、4打数1安打。打線の幅が広がった「当然4番が帰ってくればね。まだ1試合目だけど4番としてすごく期待をしている。4番にマクブルーム、5番にサク(坂倉)と厚みは増すと思う」──下半身のコンディション不良が癒えて2軍で実戦調整を進めている西川の1軍復帰は来週には「まあ、どうでしょうね」

◆アツアツの右腕がほえた! 阪神は大山悠輔(27)、北條史也(28)の両内野手が新型コロナウイルスの陽性判定を受け、出場選手登録を抹消された中、広島に3-2で競り勝った。八回を任された湯浅京己投手(23)が無死一、二塁の大ピンチを無失点でしのぐ魂の投球。今季最多タイの貯金3。奇跡の逆転優勝へ、どんな壁も乗り越える!絶体絶命のピンチだった。3-2の八回、無死一、二塁を無失点で切り抜けた瞬間、ガッツポーズとともに三塁ベンチへ小走りで駆けていった。湯浅が〝アツアツ投球〟で、大山が不在のチームを勝利へと導いた。「ランナーを背負ってしまいましたが、一つずつアウトを取っていこうと、しっかり切り替えて投げられたことが、抑えられた一番の要因かなと。アツアツな投球ができたと思います」名前の「京己(あつき)」にひっかけて喜びを表現した。1点リードの八回だ。先頭の野間に右前打を許し、続く菊池涼の送りバントを湯浅は素早く処理して二塁へ送球したが...。中野がベースを踏むことができず(記録は中野の失策)、無死一、二塁に。ここから湯浅がギアを一段と上げた。メジャー帰りの秋山を152キロ直球で左飛に。続くマクブルームに2-2からの6球目。梅野のサインに首を振った。大方の予想は直球かフォークか。「投げる前に『スライダーで行こう』と決めていた」。意表を突くドロンとした変化球で空振り三振に仕留めると、続く坂倉を153キロ直球で空を切らせ、ゼロを刻んだ。東京から移動日なしで広島に移動したナインに衝撃が走った。5番を務める大山やムードメーカーの北條が新型コロナウイルスの陽性判定を受けて離脱。打線は大瀬良を完全には攻略できず、五回から八回まではわずか1安打と苦戦していた。そんなときこそ、リーグトップのチーム防御率2・54を誇る虎投の出番。岩貞が六回途中から西勇からバトンを受け、浜地、湯浅、岩崎で1点リードを守り切った。湯浅は「結果的に抑えられてよかった」と胸をなで下ろした。今季の新人王候補は7月2日の中日戦(バンテリンドーム)から11試合連続無失点でリーグトップの31ホールド。入団4年目。昨年まではけがに悩まされてきた右腕が、セットアッパーでフル回転している。「遠征中、治療器具やマイマットレスや枕も持参しています。次の日に疲れを残さないように、しっかりリカバリーできるように工夫しながら」。遠征時、スーツケースの中は入りきらないほどの〝健康グッズ〟であふれ、球団関係者も驚くほど。これも自己管理のたまものだ。矢野監督は「もう頭が下がるというかね。浜地と湯浅っていうのは、実質、今年からなんでね。その僅差でどうしのぐかっていうのが、2人の成長にはつながっている」とさらに期待を寄せた。首位ヤクルトは敗れてゲーム差は再び1桁台の「9・5」。23歳の右腕は「本当に、みんな大逆転(優勝)を目指して毎日、やっていますし、現実的に無理ではないと思う」。最後はアツアツトークで締めくくった。大山不在で勝利-。その輪の中心にいたのは湯浅だ。(三木建次)■データBOX?...阪神の貯金3は今季最多タイ?...阪神が一回に得点を挙げたのは7月29日のヤクルト戦(甲子園)以来6試合ぶり?...阪神は今季、広島に3勝11敗2分け。あと1敗でもすれば2018年(10勝15敗)以来のカード負け越し。昨季は12勝12敗1分けだった

◆なんとか食らいつきバットに当てた。佐藤輝の打球は高く左翼に舞い上がると、犠飛には十分。幸先のいい先制点を虎の主砲がもたらした。「追い込まれていたので、なんとか食らいついて、外野まで運びたいという気持ちでした」最低限でも仕事を果たした。一回、1死から島田が左前打で出塁すると、続く近本が16打席ぶりとなる右前打で一、三塁を作った。ここで佐藤輝が打席へ。カウント2-2から外角フォークにやや泳がされた。並みの打者であれば遊飛だったかもしれない。持ち前のスイングスピードで左翼まで運び、三走・島田がタッチアップ。快足を飛ばして先制のホームを踏んだ。この島田の走りに「そこまで飛距離が出た打球ではなかったですが、島田さんがよく走ってくれたと思う。ありがとうなぎ」と感謝した。だが、次打席からもHランプは灯せず...。4日の巨人戦(東京ドーム)に続き2試合連続無安打。チームとしての得点は、この犠飛を除けばロハスの一発のみだった。強力な中継ぎ陣が抑えて、逃げ切るのが虎の勝ちパターンだが、矢野監督も「もうちょっと点がどこかで取りたい。点ほしいね」と野手陣の奮起に期待した。大山を新型コロナ感染で欠くことはチームにとっては痛手。打線を支え続けてきた先輩の分まで、ボクが引っ張る。誰よりも打球を飛ばす佐藤輝がここに残っている。(平野佑治)

◆執念と仲間への思いを込めたスイングで白球を右中間へ打ち上げた瞬間、確信歩きで放物線を見送った。抹消から〝中0日〟で1軍昇格となったロハスの中押し2ラン。アクシデントに見舞われた虎を救う、まさに助っ人の働きだった。「大瀬良選手はミスをしない、すごくいい投手。しっかりと失投だけを待って、その失投をしっかりと仕留めることができてよかった」1点リードの四回2死一塁で左打席に立つと、相手エースが武器とする内角へのカットボールを一閃した。完璧な弾道は7月14日の巨人戦(甲子園)以来となる5号2ラン。1点差ゲームにおいて効果抜群の一発となり「(一走の)ロドリゲス選手の足が遅いので、ホームランになってよかった」と、トークも〝舌好調〟だった。「とにかく、ここにいられないチームメートの穴を埋めたいと必死だったし、自分自身にもチャンスだと言い聞かせながら打席に立ったよ」この日、大山と北條が新型コロナの陽性判定を受け、離脱。ロハスは今季2度目の2軍降格となった4日に休みをもらってメンタル面を調整していたが、主砲を欠く状況下で代替選手として白羽の矢を立てられ、広島へやってきた。ロドリゲスの加入に伴って一塁を守ってきた大山が左翼へ。自身の居場所も限られてきたが「何回も上(1軍)に行ったり下(2軍)に行ったり、申し訳ない」と寄り添った言葉をかけてくれる矢野監督らへのリスペクトは絶やさない。整えてスッキリした心には、仲間の無念や感謝の思いを注ぎ込み、与えられた出番で結果につなげた。「シーズンの初めは、なかなか勝つことができなかったので難しかったが、こうやってみんなで乗り切ってこられているので、これから頑張りたい」自分に、チームにのしかかる厳しい状況を打開するために、バットを手に打席へ向かう。大きく開いた穴を埋めるロハスの大暴れは、大逆転Vにもつながる。(須藤佳裕)

◆シビれる試合だった。クライマックスは八回。ミスが絡んでの無死一、二塁の大ピンチ。1点差だ。何とな~く頭をよぎったのは、球史に残るドラマ「江夏の21球」だった。1979年の日本シリーズ第7戦。1点リードの広島は九回裏無死満塁の大ピンチを迎える。マウンドには伝説のサウスポー江夏豊-。ただ、みんな忘れがちなのだが、このドラマは無死満塁の大ピンチに江夏が出ていって抑えたわけではなく、無死満塁のピンチを招いたのは江夏自身だったのだ。味方のミスも絡んで。まあ、失礼な言い方をすれば〝自作自演〟。とはいえ、しのぎ切るところが素晴らしい。昨夜の湯浅も、あの江夏のように、ミスもあっての無死一、二塁。手に汗握りながら見ていた。そこから、後続を断った。江夏と同じように。ハイライトの1球が変化球ってところも、伝説の試合と一緒だ。江夏の21球では、1死満塁から、スクイズを試みた打者に対して、江夏はカーブの握りでウエストして、空を切らせる。常識では考えられない技術だと、当時は言われた。湯浅もカーブのように大きく曲がるスライダーだった。4番マクブルームに低めのフォークを見極められた。さあ、何を投げる? 自慢の真っすぐか? 伝家の宝刀フォークか? だが、選んだのはまさかのスライダー。空を切らせた。このイニング、湯浅が投じたのは、江夏より2球多い「23球」。この圧巻の〝自作自演〟により、阪神は広島の熱い夜、大きく白星に近づいた。シーズンが終わったときに「そういえば、湯浅の23球があったよな」と振り返れるような展開が、この先に待っていることを、心から願いたくなる試合だった。本拠地・甲子園を高校野球に明け渡して、ビジター球場を転々とする虎の夏。「死のロード」と呼ばれた昔は、とにかく負けまくって、悲しき逸話が山ほど生まれたが、ことしは「奇跡のドラマ」に向かって驀進(ばくしん)する夏であってほしい。「全く疲れていません。巨人戦はお休みだったので、休養十分で大阪から広島入りです」「オフの過ごし方? どこにも行っていません。大阪の自室で過ごしておりました」泰然自若のサブキャップ新里公章が陣頭指揮するわがサンスポの広島での取材部隊。「広島市内の宿舎も、満杯になるのは分かっていましたから、事前に予約していましたからね」そうなのだ。原爆が投下された街・広島は、毎年8月6日に平和祈念式典が行われる。全国から参列者が集まるため、前夜の5日は〝一年で一番ホテルの空き室がない日〟でもあるのだ。察知していた新里は用意周到なサブキャップへと成長しているようだ。実は、きょう8月6日は、2011年に53年ぶりに試合が開催されるまで、広島では〝静かな夜〟が続いていた。ことしも「ピースナイター2022」として球音が響く。プロ野球の開催は、平和の象徴だ。そして今、東北地方や北陸地方が豪雨による甚大な被害を受けている。被災された方を、少しでも励ますことができれば...。今こそ見せましょう、野球の力を。

◆ふ~っ、今季、大の苦手としているカープ戦を逃げ切った!! 1点リードの八回無死一、二塁。脂汗タラタラの場面で若虎の必殺仕事人、湯浅が3番・秋山を左飛、4番・マクブルームと5番・坂倉を連続三振にバッサリ!!5回?を2失点で先発の役目を果たした西勇をはじめ、その後を無失点で抑えた岩貞、浜地、湯浅、岩崎。う~ん、やっぱり、わが阪神の最大の武器は『投手力』と改めて痛感した。さらには、打率2割の助っ人ロハスの〝サマージャンボ宝くじ2ラン〟が〝決勝点〟となり、『打撃は水もの』と確信させられた白星だったのだ!!ヤクルトも負けたし、さあ、苦手な広島を倒した勢いで一気に走ったれー!! だけど第2戦は、野球の世界ではまず耳にしない『投球は水もの』の、投げてみないと誰もが分からない眠れる虎のエース、藤浪晋太郎が先発なのだ!!才能は10年に1人の投手だけど、現実は厳し!! 虎投は先発もリリーフも完璧に近し!! 藤浪よ、そのマウンドに残りたいなら、引退をかけるつもりで立ち向かわんと終わるでェ!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
59371 0.615
(↓0.006)
-
(-)
46434
(+5)
374
(+9)
120
(+2)
56
(-)
0.256
(-)
3.440
(↓0.05)
2
(-)
阪神
51482 0.515
(↑0.005)
9.5
(↑1)
42346
(+3)
284
(+2)
65
(+1)
76
(+1)
0.238
(-)
2.540
(↑0.01)
3
(-)
DeNA
45452 0.500
(↑0.006)
11
(↑1)
51329
(+4)
361
(+2)
69
(-)
33
(+1)
0.252
(-)
3.540
(↑0.02)
4
(1↑)
巨人
47521 0.475
(↑0.006)
13.5
(↑1)
43391
(+9)
449
(+5)
117
(+4)
45
(-)
0.246
(↑0.002)
4.040
(↓0.01)
5
(1↓)
広島
46523 0.469
(↓0.005)
14
(-)
42388
(+2)
383
(+3)
59
(-)
19
(-)
0.254
(↓0.001)
3.480
(-)
6
(-)
中日
41531 0.436
(↓0.005)
17
(-)
48283
(+2)
357
(+4)
51
(-)
33
(-)
0.249
(↓0.001)
3.590
(↓0.01)