阪神(☆13対0★)巨人 =リーグ戦14回戦(2022.07.13)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:西 勇輝(6勝6敗0S)
敗戦投手:メルセデス(5勝3敗0S)
  DAZN
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◆阪神は初回、近本の適時打などで幸先良く3点を先制する。続く2回裏にマルテの適時打などで3点を加えると、その後も攻撃の手を緩めず終わってみれば19安打で13得点を挙げた。投げては、先発・西勇が8回4安打無失点の快投で今季6勝目。敗れた巨人は、投手陣が崩壊した。

◆両チームのスタメンが発表され、この日1軍復帰した阪神ジェフリー・マルテ内野手が、「5番一塁」で即スタメン出場する。右足のコンディション不良で離脱していた助っ人は、前日12日のウエスタン・リーグ広島戦(由宇)で2本塁打を含む4安打の大暴れ。5月25日楽天戦以来、49日ぶりの1軍戦で、勢いそのまま快音を響かせられるか。チームはこの日、大山悠輔内野手(27)が特例2022の対象選手として出場選手登録を抹消された。その大山が務めていた「5番一塁」での起用。主軸の穴を埋める活躍に期待がかかる。

◆阪神-巨人14回戦のファーストピッチセレモニーに、ABC(朝日放送)テレビの高校野球ショートドラマ「ふたりの背番号4」の主人公・川瀬遥香役を務める女優池田朱那(いけだ・あかな)(20)が登場した。野球のプレー経験がある池田は、制服を身にまとい、緊張の面持ちでマウンドへ。ワインドアップから内角高めへノーバウンドピッチングを披露したが、ストライクが入らず、納得のいかない表情をみせた。池田は「悔しい気持ちしか(ない)」と苦笑い。「マウンドで足が震えちゃって。でもたくさんの観客の方も拍手で温かく迎えてくださって、本当に幸せでした」と笑顔で振り返った。実話を基に製作されたドラマは、第104回全国高校野球選手権大会の中継が行われる8月6日から11日間に渡って、試合と試合の間に放送される予定。池田は「今回ドラマがコロナ禍で甲子園できなくなってしまった子たちの年代をモデルとしてやっていて、野球がやれる、甲子園を目指すことができるということが本当に幸せなことなんだなと私自身も感じました。野球ができる1日1日を大切にしながら最後まで楽しんでほしいなと思います」と話した。

◆「ウル虎の夏2022」のイベントの一環でお笑い芸人のおいでやす小田(43)が試合前にグラウンドに登場し、代名詞の「大声ツッコミ」で甲子園を盛り上げた。グラウンドに姿を現すと、「お願いしまーす! おりゃーーーーーーー!」と絶叫。「大声で盛り上げるのが使命」とスタメン選手呼び出しでも「センター、チカモトコウジぃぃぃいいい」など全力だった。取材に応じたおいでやす小田は「ペース配分もわからないんで、最初から飛ばしすぎて、西投手の時ヤバかったですよね。絞り出しましたけども」と苦笑い。甲子園の雰囲気には「めっちゃ気持ちよかったです!」と興奮気味で、「スタジオとか小さい劇場とかで、でっかい声を出すと目の前のお客さんが耳ふさいだりすることがあって、どっちかというと普段、抑え気味なんで、全開封できた。明日以降のどが不安ですけど、マックス出したの久しぶりちゃうかな」と笑わせた。京都出身で小さい頃から阪神ファン。「おやじが大ファンで、子供の頃、野球見るならずっと阪神。時代は掛布、バース、岡田。大相撲と阪神の野球中継はずっと流れてた」と回想。「後半戦ね、関本さんも言ってましたけど、十何ゲーム先を見たらペース崩すというか、自分らの野球も崩れる。まず1桁とか7ゲーム差とか、徐々に詰めていったらヤクルトのペースも崩れると。なるほどやなと思って。先を見過ぎないというか、今日勝つことの繰り返しかなと」と野球のことになると真面目トークに切り替わった。「今日は(先発が)西さんなんで、今シーズン初巨人戦で、昨シーズン相性も良かったんで、期待したいなと思います」と最後は笑いなしで真剣にエールを送った。

◆巨人のマット・シューメーカー投手(35)が、14日の阪神戦(甲子園)で先発する。最近3試合は中5日の間隔で登板。6月25日ヤクルト戦に勝利後は連敗中で、特に7日同戦(東京ドーム)は2回1/3で7安打5失点と、来日最短KOを喫していた。14日は中6日での登板となる。3試合ぶりの勝利へ「長いイニングを投げて、チームの勝利につながるピッチングができるように精いっぱい頑張ります」と意気込んだ。

◆帰ってきた助っ人が、いきなり大暴れだ。右足コンディション不良で2軍調整していた阪神ジェフリー・マルテ内野手(31)が、1軍復帰即スタメン出場で2打席連続タイムリー。13点大勝の起爆剤となった。1点を先制後の1回1死一、三塁。巨人メルセデスの5球目スライダーをとらえ、一、二塁間を破った。「とにかくランナーをかえすことだけを考えていたよ。久しぶりの合流になったけど、チームの力になることができてよかったね」とマルテは喜んだ。2回にも2番手戸根から左前適時打を放ち、自ら快気祝いだ。今季18試合でわずか3打点だったが、復帰初戦でいきなり2打点を挙げた。5月26日に登録を抹消されてから約1カ月半。2軍で調整し、12日の2軍戦では2本塁打を含む4安打と調子を上げて1軍に帰ってきた。ただ、不安も露呈した。3回の守備で八百板の一塁線の打球を捕球できず復帰後初失策を記録。4回の3打席目に遊ゴロに倒れた際は、一塁まで全力疾走できず、直後に北條と交代した。矢野監督は「打つだけじゃないのでね、野球は。しっかり守ることも必要だし、最低限走るってことも出来ないと試合の中で使うってことは出来ないかなという判断の中で代えました」と説明した。この日、マルテと入れ替わりに、主砲大山が新型コロナの濃厚接触者となり、登録を抹消された。大山の定位置だった「5番一塁」に入ったマルテも、期待通りの働きでカバー。課題はあるが、まずは上々の再スタートとなった。

◆阪神がともに今季最多19安打13得点で圧勝。1回に近本の適時打など5安打を集めて3点先行し、2回はマルテの2打席連続となる適時打などで3得点した。西勇は8回無失点で6勝目。メルセデスが崩れた巨人は4失策と乱れ、零敗。

◆巨人クリストファー・クリソストモ・メルセデス投手(28)が、1回1/3を7安打6失点(自責3)と打ち込まれ、巨人加入後最短でKOされた。1回から阪神打線に捕まった。1死二塁から近本に先制適時打を浴びると、佐藤輝に内野安打でつながれ、マルテに右前へ適時打を打たれた。1死一、三塁から糸原の併殺崩れの間に3点目を献上し、いきなり5安打3失点を許した。2回も相手打線を抑えられない。1死から中野に中越え二塁打を打たれると、島田の右前打、二盗で二、三塁。近本を打ち取った当たりも、前進守備の一塁手中田がゴロを捕球できず、適時失策。メルセデスと中田はともにベンチに下がり、戸根が2番手として「6番投手」、増田陸が「9番一塁」となった。来日6年目で自己最短KOとなったメルセデスは「先発としてゲームが作れず、早くマウンド降りてしまい申し訳ないです」と反省した。

◆阪神中野拓夢内野手(26)が2年連続100安打を達成した。「1番遊撃」で先発。1回は先頭で左前打を放ち、この回一挙3得点の先制劇をお膳立て。2回は1死から中越え二塁打で好機をつくり、再び1イニング3得点を呼び込んだ。さらに6点リードの3回2死二塁では左前適時打。3回で早くもチーム10安打目となる猛打賞を記録し、大台に届かせた。阪神選手のルーキーイヤーから2年連続100安打達成は20年近本以来、7人目となった。

◆阪神が今季最多19安打で13得点を奪い、「大山ショック」を吹き飛ばした。大勝で2位巨人に2・5ゲーム差まで迫った。この日、大山悠輔内野手(27)が近親者の新型コロナウイルス陽性判定で濃厚接触者となり、特例2022の対象選手として出場選手登録を抹消された。チームトップの19本塁打、63打点を記録している主砲が離脱したショックを、チーム一丸となって乗り切った。まずは1回1死二塁、3番近本光司投手(27)の中前適時打で先制した。近本は続く4番佐藤輝明内野手(23)の三塁内野安打で一塁から三塁に好走塁を決め、さらに好機を拡大した。1死一、三塁からは5番ジェフリー・マルテ内野手(31)の右前適時打で2点目。さらに併殺崩れの間に3点目をもぎ取り、試合の主導権を握った。打線は2回も3安打2盗塁に適時失策も絡んで3得点を奪った。右足コンディション不良で2軍調整を続けていたマルテはこの日、出場選手登録をされたばかり。49日ぶりの1軍復帰戦では、2回2死三塁でも2打席連続タイムリーとなる左前適時打を決めた。6点リードの3回2死二塁では1番中野拓夢内野手(26)が左前適時打を運び、早くもチーム10安打目となる猛打賞を記録。中野はこの一打で球団7人目となる「ルーキーイヤーから2年連続100安打」を達成した。6回には自身プロ2度目の1試合4安打となる右中間三塁打を放ち、暴投の間に8点目のホームを踏んだ。9点リードの8回には途中出場の植田海内野手(26)が今季初安打を適時打で決めて10点目。さらに7番山本泰寛内野手(28)のこの日4安打目となる中前適時打で11点目。8番坂本誠志郎捕手(28)にも左越え2点二塁打が飛び出し、先発野手全員安打を達成した。先発した西勇輝投手(31)は大量援護にも恵まれ、今季初の巨人戦マウンドで8回4安打無失点。自身2連勝となる6勝目(6敗)を手にした。

◆阪神が今季最多19安打で13得点を奪い大勝した。4安打でサイクル安打まであと本塁打のみのところまで迫った中野拓夢内野手(26)、先制適時打を含む3安打の近本光司外野手(27)、8回無失点で今季6勝目を挙げた西勇輝投手(31)がヒーローに選ばれた。お立ち台での3人の主な一問一答は以下の通り。-6勝目。ナイスピッチング西勇「序盤からたくさん点取ってもらって、いい試合ができました」-普段から長いイニングを投げたいと西勇「1イニング1イニングと思いながら投げていますし、来週の試合があると言われましたんで、次の試合に自分のピッチングできるようにやっていきたい」(中野に替わり)-お立ち台での気持ち中野「決定的なヒットを打ったとは思ってないですけど、選んでいただけたのでとてもうれしい気持ちです」-サイクル安打まで本塁打のみだった中野「5打席目はあまり意識してなかったんですけど、6打席目にホームランを打とうかなという意識はあったんですけど、打てなくてすいませんでした!」-いつか甲子園でホームランを打ちたいと言っていた中野「次回はサイクルヒットではなくホームランを見せられるように頑張ります!」(近本に替わり)-先制点を演出近本「打席入る前に、北條から、「今日は1打席目からやぞ」と言われて。結果的に打ててよかったです」-球団タイの30試合連続安打がストップしたが、そこからも活躍。状態は近本「状態ですか? 自分の状態ですか?(笑い) 状態はあまり良くないと思っています(笑い)」-夏場に向けて上がってくる近本「1日1本打てたらいいかなと思っています。頑張ります」-ウル虎の夏のユニホームで一体感も近本「今日もたくさんの人に来てもらって、すごい一体感。このユニホームで1週間頑張ります!」

◆巨人が「伝統の一戦」で今季ワーストの13点差での大敗を喫し、一夜にして貯金0に戻った。投手陣は今季ワーストタイの被安打19を浴び、守りでも4失策。打っては4安打無得点で、今季7度目の完封負けとなった。先発のメルセデスが粘りきれなかった。1回に5安打3失点を献上すると、2回にも中田の失策などがからんで3失点。1回1/3を7安打6失点(自責3)で来日6年目にして自己最短でKO。打順の兼ね合いもあり、中田とともにベンチへ退き、「先発としてゲームが作れず、早くマウンド降りてしまい申し訳ないです」と反省した。2番手戸根は3回2/3を1失点と粘ったが、3番手高木、4番手赤星もそれぞれ1失点。鍬原も2/3回を4失点と荒れ、6番手の今村も含め、9連戦の2戦目でリリーフ5投手を費やした。守備面でも、安定感を欠いた。負傷離脱中の坂本に代わって遊撃手として先発した2年目の中山が7回2死一、三塁でゴロをファンブルし、送球もそれるダブルエラー。途中出場のウォーカーも9回2死二塁でファウルフライを落球した。2回の中田の適時失策も含めて4失策。5月3日広島戦(マツダスタジアム)以来の1試合4失策で、西武を抜き、リーグワーストの57失策となった。打線は阪神西勇の前に沈黙。8回4安打無失点に抑えられると、9回はケラーに封じられ、今季7度目の完封負けを喫した。

◆【巨人】悪いところが全部出た完敗 原辰徳監督「こういうゲーム展開になったのには原因はある」巨人は悪いところが全部出た完敗だった。投手陣は阪神打線に今季ワーストタイの19安打を許し、13失点。守備は4失策と乱れ、ランエンドヒットなど足も絡めた攻撃で圧倒された。打線は岡本和が13打席連続無安打、7月は打率1割7分1厘と沈黙。4安打で今季7度目の無得点負けを喫した。勝率は一夜で5割に。原監督は「こういうゲーム展開になったのには原因はあるというところ」と語った。

◆大山抹消ショックを振り払った! 阪神が今季最多の19安打&13得点で13日の巨人戦(甲子園)に圧勝した。4安打固め打ちの中野拓夢内野手(26)は今季の安打を101本とした。新人年から2年連続の100安打到達は球団7人目の快挙。また監督推薦での球宴選出と合わせ、Wの喜びとなった。この日の試合前には大山悠輔内野手(27)が新型コロナウイルス陽性判定を受けた近親者の濃厚接触者となり登録抹消。中心打者の穴を全員で埋め、2位巨人に再び2・5ゲーム差に迫った。360度、ファンの思いは同じだった。「ホームランホームラン中野-」。思わず声に出してしまう。サイクル安打に王手をかけた8回2死一、二塁。中野が左腕今村の内角高めボール球を豪快に空振りすると、甲子園のボルテージはまた上がる。二ゴロに倒れても、大きな拍手が響いた。「6打席目に『ホームランを打とうかな』という意識はあったんですけど、打てなくてすいませんでした!」。お立ち台では3万9124人のファンに向け、ペコリと頭を下げた。「ファンの皆さんも盛り上がってくれていたので、何とか狙ってはいたんですけど...。そこは今後のためにとっておいたということで、お願いします」初回に左前打で出塁し、先制のホームイン。2回に中二塁打、3回に左前打で早々に今季10度目の猛打賞を決めた。6回には右三塁打でサイクル安打にリーチ。「ウル虎の夏」にふさわしい猛打を演出し、球団史上7人目の新人から2年連続100安打に到達した。6月下旬から1番に定着。「いつか打ってみたい」と抱いていた思いを2年目で実現させている。「目の前で近本さんを見ていたので積極的にいって、追い込まれても簡単に三振しない。それが1番打者にとって大事」。かつて語った理想に近づく日々。セ最多安打を走る近本には4安打差で追走。誰の目にも堂々の切り込み隊長だ。この日、大山が特例2022の対象選手として出場選手登録を抹消された。主軸の離脱のショックを振り払う今季最多19安打13得点。矢野監督も「いつどう(感染者が)出てもおかしくない。全員でやるしかない。そういう意味では全員でできた」とうなずいた。「何とかカバーしようと。自分が初回に塁に出ればいい勢いになると思っていたので、チームに勢いを持ってくることができたのはよかった」。背番号51も力強く続く。監督推薦で2年連続の球宴出場が決まっても「去年はヒットも打てていないので、何とかヒットを打つことを優先に」と控えめ。ウルトラヒーローはどこまでも謙虚だった。【中野椋】○...4番佐藤輝は渋く序盤猛攻に貢献した。1点先制直後の1回1死一塁。詰まったゴロがシフトの逆を突き、三塁内野安打で一、三塁に好機を拡大して、この回3得点の先制劇をつないだ。4点リードの2回1死二、三塁では2ボール2ストライクから右犠飛を運び「食らいつきました。最低限の仕事ができた」。疲労を考慮され、7回表の守備からベンチに退いた。○...山本は古巣巨人を相手に自身初の1試合4安打を決めた。3回は先頭で右前打を放ち、7点目のホームイン。8回には中前適時打も放った。「いつも通りしっかり狙い球を絞っていきました。4安打は初めて。自信にもなります」。巨人戦では4月30日に1028日ぶりアーチを運ぶなど活躍が続く。「たまたまです。ただ、もちろん気持ちはいつも一緒なんですけど、打ったらうれしい。また成長した姿を見せられて良かったです」と喜んだ。○...糸原はプロ6年目で初の一塁守備を経験した。「6番三塁」で先発。1回に投ゴロ併殺崩れの間に3点目をもぎ取ると、7回は左翼線二塁打、8回は右前打をしぶとく運んで2得点した。8回表からはプロ617試合目で初の一塁守備に就き、送球を無難に捕球。矢野監督は「これからのことを考えたら、いきなりやるよりもやっておいた方がいいのかなと思って」と一塁起用を説明した。○...助っ人ケラーが圧巻の3者連続三振だ。大量リードの9回に登板。先頭中島をこの日最速の157キロで空振り三振に仕留めると、続く松原も直球で空振り三振。最後も岸田から直球で空振り三振を奪った。これで9試合連続無失点。奪三振率17.25とKマークを量産している。矢野監督も「だいぶいいボールを投げられるような状態になってきたと思います」と右腕の力投をたたえた。▽阪神植田(8回に今季初安打&初適時打)「(直前二塁打の)近本さんがよく走ってくれたおかげでチャンスで回ってきた打席。絶対にランナーをかえしたいと思っていました。タイムリーになって、めちゃくちゃうれしいです」阪神の13得点、19安打はいずれも今季最多。13得点以上は21年4月24日DeNA戦13点以来で、19安打以上は18年9月16日DeNA戦以来。巨人戦の13得点以上は、19年5月15日13点以来。巨人戦の19安打以上は、07年8月8日の22安打以来。阪神が13点以上を挙げて完封勝利を飾ったのは、14年4月2日中日戦の15-0以来8年ぶり8度目。巨人戦では、82年4月29日の13-0以来、40年ぶり2度目。この試合では先発の山本和が完投。佐野、真弓、アレン、北村、掛布、そして山本和と6本塁打で巨人を粉砕した。阪神が巨人戦に2試合連続で先発野手が全員安打したのは、06年8月27日、9月5日以来、16年ぶり。8月27日は野手のみで、シーツと矢野が2安打を放つなど10安打。9月5日は鳥谷が3安打、浜中と矢野が各2安打と活躍。投手の福原も含めて13安打だった。

◆阪神西勇輝投手(31)が、8回4安打無失点の快投で6勝目をもぎ取った。今季初対戦の巨人を相手に、今季最多124球の熱投。打線の大量援護にも背中を押され、チームの今季11度目のゼロ封勝利に大きく貢献した。「序盤からたくさん点を取ってもらって、何とか最少失点でと思いながらマウンドに上がってました。たくさん点が入ったので、気の緩みがないように引き締めていきました」今季初のカード2戦目の登板。最後まで集中力を保った。6点リードの3回。2死一塁から味方守備のエラーで一、三塁のピンチを招くも、3番丸を二ゴロに封じ無失点。4回以降は岡本和、ポランコの中軸にカーブを有効に使って寄せ付けなかった。8回で降板したため惜しくも完封を逃した。「9回行きたかったんですけど、(首脳陣から)来週の試合もあると言われたので、我慢して」と本音をこぼしつつ「次の機会に自分のピッチングができるように頑張りたい」と"完封リベンジ"を誓った。次々と得点が入る展開でも、攻撃中の「にやけ顔」を自ら封印した。「絶対笑わないように。笑ってしまったら点を取られてしまうということが自分の中ではある」とあえて平静を装った。攻撃中は表情を緩めず、守備では時折笑顔をみせながら、最後まで集中力を切らさなかった。新たな手応えもつかんだ。「これだけ点が入ったら、好きなことができるかなと思う」。4回先頭の岡本和には3球連続カーブを投じ、「なかなかないし、なかなかできない配球が、点差が生まれることによって、余裕ができて、自分の投球じゃないことができると感じた。改めて再確認できた」とうなずいた。これで阪神移籍後、巨人戦で7勝4敗とキラーぶりを発揮。夏場の9連戦の序盤で、先発としての役割を全うした。【古財稜明】▽阪神矢野監督(西勇について)「この点差でしっかりいくっていうことも簡単なことじゃないんで。エラー、長打で一気に流れが(変わって)、向こうもイケイケになるんで。丁寧に行きながら攻めるっていうことも出来た、勇輝らしさっていうのは出た投球だった」

◆巨人桑田真澄投手チーフコーチが、メルセデスのリベンジに期待した。本来のキレと制球は鳴りをひそめ、自己最短の1回1/3を6失点(自責3)でKO。「早くマウンド降りてしまい申し訳ないです」と反省した左腕に、「先発としたら、屈辱的な試合でしたよね。悔しさを次の試合でぶつけてくれると思いますので、そこに期待したい」と中6日で先発が予定される20日ヤクルト戦(神宮)での逆襲を求めた。

◆両軍のスターティングメンバーが発表。阪神はジェフリー・マルテ内野手(31)が「5番・一塁」で昇格即スタメンを果たした。マルテは5月25日の楽天戦(甲子園)で右足を痛め、翌26日に出場選手登録を抹消。再発防止のため2軍でじっくりと再調整してきた。7月12日のウエスタン・広島戦(由宇)では5打数4安打、2打点、2本塁打と活躍。この日、大山悠輔内野手(27)が「特例2022」で登録を抹消されており、助っ人のバットが勝敗の鍵を握る。

◆阪神が電光石火の攻撃で3点を先取した。一回1死二塁で近本光司外野手(27)が中前へ先制の適時打。4番・佐藤輝も三塁内野安打で一、三塁と好機を広げると、この日1軍に昇格したジェフリー・マルテ内野手(31)が一、二塁間を抜ける右前適時打を放った。その後も糸原の投ゴロの間にさらに1点を奪って3点リードとした。マルテは5月21日の巨人戦(甲子園)以来、2カ月の打点をマーク。帰ってきたM砲がいきなり仕事をした。

◆猛虎打線の勢いが止まらない。阪神は二回に4番・佐藤輝明内野手(23)の犠飛やジェフリー・マルテ内野手(31)の2打席連続の適時打などで3得点。序盤で6点のリードを奪った。二回1死から中野と島田の1、2番コンビが連打と盗塁などで二、三塁とチャンスメーク。近本のゴロは、捕球しようとした一塁手・中田の失策となり、三走が生還。直後に近本も二盗を決めて二、三塁とし、佐藤輝の右犠飛で得点を挙げた。マルテも2番手・戸根の初球の直球を左前へはじき返してこの日2打点目を記録した。二回終了時点ですでに8安打6得点と打線が爆発。先発の西勇に大量の援護点をプレゼントした。

◆女優の池田朱那(あかな、20)が試合前のファーストピッチセレモニーに登場。小学1年から中学1年まで野球をしていたという池田はワインドアップからノーバウンド投球を披露した。高めのボール球に「悔しい」と振り返りながらも「甲子園球場はずっと行きたくて、こうやってお仕事で来させていただいて、誰も立てる訳じゃないグラウンドに立てて本当に光栄で、うれしかったです」と興奮気味に語った。憧れの甲子園のマウンドには「(緊張で)マウンドで足が震えちゃった」と苦笑いした。池田はABCテレビで8月6日からスタートする第104回全国高校野球選手権大会の中継にあわせたショートドラマ『ふたりの背番号4』で主演を務める。夏の甲子園を連日中継する同局が試合のインターバルに球児をめぐる青春ストーリーを描いたショートドラマを放送。コロナ禍で夏の高校野球が中止となった2020年に、栃木県立鹿沼高で県下唯一の女子選手としてプレーした木村百伽(ももか)の実話をもとにしたオリジナルストーリーとなっている。高校球児に向け「(コロナ禍の高校野球を舞台にした作品で演じるにあたって)今野球がやれる、甲子園を目指すことができるということが、本当に幸せなことなんだなと私自身も感じたので、野球ができる一日一日を大切にしながら、最後まで楽しんでほしい」とエールを送った。

◆阪神・ジェフリー・マルテ内野手(31)が五回の守備で途中交代した。右足のコンディション不良で5月26日に登録抹消され、この日1軍に復帰。「5番・一塁」で先発出場し、いきなり2打席連続タイムリーと活躍した。ところが、四回2死で迎えた第3打席では遊ゴロに倒れ、一塁までゆっくりと走塁。あまりにもゆっくりとした走りにスタンドからざわめきの声も上がった。プレー中にどこかを痛めた素振りは見られなかった。直後の五回の守備の前にそのままベンチへと下がり、北條が一塁の守備に就いた。

◆阪神・中野拓夢内野手(26)が六回に三塁打を放ち、この日4安打とした。一回に左前打、二回に中越えの二塁打、三回に左前へ適時打を放っており、サイクル安打達成まで残すは本塁打となった。六回1死で3番手・高木の直球に反応し、右中間へ。快足を飛ばして三塁を陥れると、直後の島田の打席で高木が暴投し、その間に三走の中野が8点目のホームを踏んだ。この後の打席で本塁打が出れば、球団では2019年の梅野以来のサイクル安打達成となる。三回の第3打席で放った左前打が今季100安打目とし、ルーキーイヤーの昨年に続き2年連続で100安打に到達した。

◆立ち上がりから猛虎打線に飲み込まれた。巨人・メルセデスが二回途中7安打6失点でKO。「先発としてゲームがつくれず、早くマウンド降りてしまい申し訳ない」と肩を落とした。一回先頭の中野に左前打を許し、島田を二ゴロで1死二塁。近本、佐藤輝、マルテに3連打を浴びて2失点。続く糸原の投ゴロの間にさらに1点を追加され、3点を献上した。傾いた流れを食い止めることはできなかった。二回は1死から中野、島田に連打を許し、近本の一ゴロを中田が適時失策。追加点を奪われたところで降板した。12日には「どんな状況でもポジティブに、自分の攻めの投球ができるように集中して臨みたい」と意気込んでいた左腕。今季初対戦となった阪神打線から、6月4日のロッテ戦以来となる白星を挙げることができなかった。反撃に出たい打線だったが、西勇の前に沈黙。先発のメルセデスが崩れ、試合を優位に進められなかった。(樋口航)

◆「6番・三塁」で先発出場した阪神・糸原健斗内野手(29)がプロ初のファーストの守備に就いた。八回、シートの変更がアナウンスされると、五回から途中出場していた北條と入れ替わる形で糸原が一塁の守備に就いた。プロ通算617試合目で初のファースト守備。二塁、遊撃、三塁はすでに守備経験があるため、これで捕手以外の内野のポジションは公式戦ですべて守ったことになる。バットでは七回1死で左翼線二塁打を放ってチャンスメーク。その後、走者として相手の失策の間に9点目のホームインをした。

◆阪神は打線が爆発し、今季最多の13得点で巨人に圧勝した。序盤から得点が止まらなかった。一回に近本と1軍復帰したばかりのマルテのタイムリーなどで3点を先取。二回にも佐藤輝の犠飛などで得点を重ね、試合後半になっても勢いはとどまることなく、リードを広げ続けた。この日、監督選抜メンバーとして2年連続で球宴出場が決まった中野は4安打1打点と大活躍。三回の第3打席で放った左前適時打で今季100安打目となり、2年連続で100安打を達成した。六回終了時点でサイクル安打にもリーチをかけていたが、七回はニゴロ、八回もニゴロに倒れて達成できなかった。守っては先発の西勇が8回4安打無失点と好投し、6勝目(5敗)。昨季7試合で3勝1敗と好相性だった巨人を相手に、この日もきっちりと抑えた。2桁得点は6月25日の中日戦(甲子園)以来、今季4度目。前夜完封負けを喫した悔しさを晴らした。ウル虎の夏のユニホームをまとった戦士たちが宿敵を圧倒した。

◆またしても危機が襲う。阪神・大山の離脱-。それでも、同学年の選手会長、そして帰ってきた助っ人が不穏なムードを吹き飛ばした。電光石火の先制劇に、近本はベンチに向かって小さく左手を掲げた。「前の島田がしっかりランナーを進めてくれましたし、少ない球数で作ったチャンスで良い流れだったので、積極的に打ちにいきました。先制点が取れてよかった」一回先頭の中野が左前打を放つと、島田がしぶとく二ゴロを放って1死二塁の好機を作った。近本が集中力を高めて打席へ。カウント1-0から2球目、メルセデスの141キロスライダーをとらえた。先制の中前適時打。試合開始からわずか7球で主導権を握った。試合前、衝撃が走った。チームトップの19本塁打、63打点をマークしている大山が、新型コロナウイルスの濃厚接触者となったことで出場選手登録を抹消。主軸を欠いた打線に暗雲が立ち込める。しかし、そんな不安を、近本がすぐさま一蹴した。主軸の穴を埋めようと、燃えていた男はもう一人。くしくも入れ替わる形で1軍に昇格したマルテだ。大山に代わって「5番・一塁」で即スタメン出場。先制し、なおも一回1死一、三塁の好機で追撃の右前適時打を放った。「とにかくランナーをかえすことだけを考えていたよ。久しぶりの合流になったけど、チームの力になることができてよかったね」5月25日の楽天戦(甲子園)以来の1軍復帰となった助っ人から笑みがこぼれた。完全に勢いづいた猛虎打線は止まらない。3-0で迎えた二回1死二、三塁では近本の打球が相手失策を誘って追加点(打点はなし)。巨人先発・メルセデスをノックアウトすると、2番手・戸根に対してなおも1死二、三塁から4番・佐藤輝が右犠飛、マルテがこの日2本目のタイムリーを放ち、6-0と大きくリードを広げた。序盤から新クリーンアップがそろって打点をマーク。三回には中野にもタイムリーが飛び出し、早くも2桁安打を浴びせた。八回に4点を追加するなど、終盤になっても手を緩めず、19安打13得点の大勝。無念の離脱となった大山に、心配するな、とナイン全員で快音を響かせた。(原田遼太郎)

◆現役時代は南海、阪神で活躍し、引退後は阪神で投手コーチやフロントでも尽力したサンケイスポーツ専属評論家の上田二朗氏(74)は一回に先制打を放った後の近本光司外野手(27)の好走塁について言及した。中野、島田、近本の〝三本の矢〟が持ち味を発揮した。4番・佐藤輝まで左打者が4人並ぶが、左腕相手でも苦にせず、むしろ、メルセデスの方が投げにくそうだった。外国人投手にとって、足でかき回されたり、バントで揺さぶられるのは一番つらい。特に暑い夏場はボディブローのように効いてくる。一回、佐藤輝の三塁内野安打で一走・近本がノンストップで三塁を陥れたのはさすが。もともと力勝負をしたいタイプのメルセデスは、ただ投げているだけのような状態になり、球の切れもなかった。復帰したマルテもすぐに結果を出し、大山の不在を感じさせない攻撃をしていた。三回、八百板の一塁線に飛んだ当たりは捕ってほしい打球だったが、バットでは貢献した。欲を言えば佐藤輝の状態を上げることか。タイミングが合わず、迷いがある。ヘッドの出が遅く、差し込まれている。二回の右犠飛もスタンドインさせたかったはずだ。七回、左飛に倒れた後、ベンチに下がったことを思えば、夏場で疲れが出ているのかもしれない。体重が減っているのであればとにかく肉を食べることだ。夏バテ防止の基本は食事。改めて見直してほしい。4番の不調を上位打線がカバーできているのが、今のチーム状態の良さを感じさせる。西勇はこれまで打線の援護がない試合が多かっただけに案外、投げにくかったのではないか。その中で8回零封。9連戦の2戦目でブルペン陣をほぼ休ませることができた。これは大きい。今後の戦い方に余裕が生まれることは間違いない。

◆三回までに7点を挙げた阪神が今季チーム最多の19安打&13得点で快勝した。右足のコンディション不良から昇格したジェフリー・マルテ内野手(31)が「5番・一塁」で出場し、2本の適時打を放ち、五回の守備から退いた。西勇輝投手(31)は8回無失点で6勝目(6敗)。4安打の中野拓夢内野手(26)は三回の左前適時打で、入団から2年連続で年間100安打に到達した。また大山悠輔内野手(27)は新型コロナウイルス陽性者との濃厚接触があったため、「感染拡大防止特例」の対象選手として出場選手登録を抹消された。矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り(チーム成績39勝44敗2分、観衆3万9124人)。(テレビインタビュー)ーー今シーズン最多の19安打、13得点「そうですね。立ち上がりでね、まず、いい形で点取れてリズムも作れましたし、ちょっと前半、守備は足引っ張りましたけども、勇輝も踏ん張ってくれたんで。三回までですかね。いい流れを好守で作ってくれたかなと思います」ーー西勇の投球は「この展開で、気持ちのなかでは最後までというのもあったと思いますけど、この点差で、しっかり行くことも簡単なことじゃないんで。丁寧に行きながら、攻めるところは攻める素晴らしいピッチングでした」ーー九回にケラーも力強い球を投げていた「元々、コロナの関係で来るのが遅くなって、春先はちょっと苦労しましたけど、これぐらいの力は持っているピッチャーだっていう評価でね、獲ったんで。いいボールを投げられる状態になってきたと思います」ーー9連戦でケラーは違った役割も「まあそうですね。湯浅、岩崎というところは決まっていますけど、その前の浜地、アルカンタラ、そこにケラーというのも十分入ってきますし。他の投手も状態もいいんでね。投手はいい形で行けるかなと思います」ーー1番中野が4安打。打線の状態はどう見ている「拓夢の内容も良かったですし、最後、みなさんもサイクル安打、ホームランを期待してくれたと思いますけど。そういうところまで来たのは素晴らしかったですし、中身もしっかりしたヒットだったんで、明日以降にもつながるかなと思います」ーーマルテが復帰戦で適時打「そうですね。マルテが帰ってくるとチームのムードも変わりますし、マルテ自身もいいところでタイムリーが出たんで。いいスタートが切れたかなと思います」ーー明日以降は「打線も最後に誠志郎が打って全員打ったんですかね。そういうところでは1本出ましたし、植田海も途中から出てヒットも出たんでね、全員が絡むゲームだったと思いますし、波に乗って行きたいと思います」(囲み取材)ーー大山の離脱を全員でカバーした「そうやね、今の世の中の状況を見てたら、いつ出てもおかしくない状況。出てほしくはないし、出ると大変なことになるけど、そこは全員でやるしかない。そういう意味では全員で出来たかなと思います」ーー5番のマルテは連続適時打も全力疾走ができず「う~ん、よお分からん俺も。本人の状態なのか」ーーあの交代は点差も「やっぱり打つだけじゃないのでね。野球は。しっかり守ることも必要だし、最低限走ることも出来ないと試合の中で使うことは出来ないかなという判断の中で代えました」ーー西勇はさすがの集中力「うん。さっき言ったように序盤点差があるなかで投げるって簡単なことじゃないし、エラーだったりっていう中で長打出たりすると一気に流れが、向こうもイケイケになるんで。嫌なところを踏ん張ってくれたのが八回までだったと思うし、丁寧に行きながら攻めることも出来た。勇輝らしさは出た投球だったと思います」ーー中野が大暴れ。球宴出場も決まったが「リーグの成績見ても、拓夢は選ばれてもおかしくないよね。ずっと出ているし、小さい体だけどこれだけできるっていう。ある意味、輝みたいな遠くに飛ばすとかホームランを打つのは魅力だと思うけど、みんながそういう能力を持った選手ばかりじゃないんでね。そういうところではまあ、拓夢みたいなものが、子どもたちの夢や憧れになるところもあると思う。もちろんオールスターでも活躍して欲しいし、選ばれてもいいんじゃないかなと俺も思っていたので」ーー糸原が八回から一塁手「これからのことを考えたら、いきなりやるよりも、やっといた方がいいのかなと思ってやりました」

◆巨人のクリストファー・メルセデス投手(28)が来日6年目で自己最短となる二回途中7安打6失点でKO。2番手以降の投手陣が踏ん張りきれず、19安打13失点で大敗を喫した。試合をつくれなかった左腕について、桑田真澄投手チーフコーチは「全体的に球も走らず、変化球も切れず、コントロールも狙ったところにいかずということで投手としては3重苦で苦しい立ち上がりだった。そんな中、記録にならないエラーも全部重なって、4重苦、5重苦でゲームを壊してしまった」と冷静に振り返った。ここまでメルセデスは13試合で7度クオリティースタート(6回以上、自責点3以下)を達成。抜群の安定感を見せていた左腕を来週も登板させる予定。同コーチは「今日の悔しさを次の試合でぶつけてくれると思いますので、そこに期待したい」と奮起を促した。

◆途中出場の阪神・植田が数少ないチャンスで結果を残した。八回1死二塁で打席に立つと、鍬原の内角直球を左前にポテンと落とし、適時打とした。出場28試合&2打席目で今季初安打。さらに打点を記録するは2020年8月6日の巨人戦(甲子園)以来、2年ぶりで「チャンスで回ってきた打席だったので、絶対にランナーをかえしたいと思っていた。タイムリーになってめちゃくちゃうれしい」と声を弾ませた。

◆G打線の前に西勇が仁王立ちした。熟練の投球術で8個のゼロを並べ、今季6勝目をつかんだ。「点を取ってくれたし、(投球の)強弱がつけられたのはよかった。打たせていくことができたのがよかった」三者凡退は四、六回の2イニングのみ。安打や四球でランナーを背負っても粘った。6―0の三回には味方の失策も絡んで2死一、三塁とされたが、3番の丸をチェンジアップで二ゴロに料理してピンチを脱した。「本当は完封を狙っていたけど、また次の機会に」。八回を投げ終えて124球だったこともあり、ケラーにバトンタッチ。矢野監督は「エラーだったり、長打が出たりすると一気に向こうもイケイケになるんで。そういう嫌なところを踏ん張ってくれたというのが8回までだったと思うし、丁寧に行きながら攻めることもできた」と称賛した。防御率はリーグ2位をキープする2・23。自身は2連勝と波に乗るが、白星がつくのも野手が援護してくれるからこそ。西勇は「これだけ点を取ってくれたので、野手のおかげです」と感謝した。これからもチームのために腕を振り、やる気と元気と勇気を燃料にして打者を抑えていく。(織原祥平)

◆史上最大のG倒!! 阪神は巨人に13-0で大勝した。巨人戦13得点での零封勝ちは1982年以来40年ぶり2度目で最多タイ。大山悠輔内野手(27)が新型コロナの濃厚接触者で抹消となる緊急事態のなか、大山とともにオールスターに監督選抜で選出された中野拓夢内野手(26)が4安打1打点の活躍で勝利に貢献した。虎を襲った危機をナイン一丸となってはね返した。打って、打って、打ちまくり、甲子園を熱気に包んだ伝統の一戦で歴史に残る大勝劇。リードオフマンとして、中野がまさしく先頭に立って猛虎打線を牽引(けんいん)した。「きのう(12日)、完封で負けて少し嫌な流れでもあったんですけど、自分が初回に塁に出ればいい勢いになると思っていた。何とかチームにいい勢いを持ってくることができたのはよかった」一回先頭、メルセデスの出ばなをくじいた。119キロカーブをとらえて左前へ。12日は戸郷の前に先発野手全員安打を放ちながらも完封負け。嫌な流れを、ひと振りで断ち切ると、ここから息もつかせぬ快音祭りが始まった。今季最多19安打&13得点の猛攻で宿敵に完勝。巨人戦での13得点零封勝ちは最多タイで40年ぶり2度目だ。まさに、史上最大のG倒。主軸離脱の不安を吹き飛ばすには、十分すぎる勝ち方だった。試合前、虎は大きな危機に直面していた。チームトップの19本塁打、63打点をマークしている大山が、新型コロナウイルスの濃厚接触者となったことで出場選手登録を抹消。ぽっかり空いた打線の穴は一人では埋めることができないほど、大きな痛手だった。中野は「チームとしては非常に痛いけど、そこを何とかカバーしよう、と。ミーティングで(井上)ヘッドコーチからそういう言葉があった」と明かした。檄に応え、チーム全員が大山の穴を埋めようと活躍した。矢野監督も「全員が絡むようなゲームだった。波に乗っていきたいと思います」とたたえた。主軸離脱の危機だからこそ、チーム一丸となってつかんだ勝利に意味がある。そして、1番打者として最も重要と話す1打席目にヒットを放ち、ナインの背中を押した中野は止まらない。監督選抜で2年連続2度目の球宴出場(詳細5面)を決めたこの日。そのお礼とばかりに二回は二塁打。三回も左前適時打で2年連続のシーズン100安打を達成すると、六回の第4打席は快足を飛ばして中越えの三塁打。と、なれば残るはアレだけだ。「5打席目に球場の雰囲気でホームランというコールを、自分に似合わないコールももらいましたし、最後、何とかもう一打席、打てるチャンスが回ってきたので、狙ってはいたんですけど...」第5打席、そして八回の第6打席はいずれも二ゴロに倒れ、サイクル安打の偉業はならず。「打てなくてすみませんでした!」。4安打の活躍でお立ち台に上がったヒーローは叫んだ。そして、次の夢を語った。「今後のためにとっておいた、ということでお願いします」大山離脱のショックを振り払った虎ナイン。一丸となって戦う猛虎打線の先頭には、夢を〝切り拓く〟中野がいる。(原田遼太郎)

◆九回に登板した阪神・ケラーは圧巻の3者連続三振で試合を締めた。代打・中島を来日最速となる157キロで空を切らせると、松原、岸田も150キロ超の直球で仕留めた。9試合連続無失点と安定した内容を見せる右腕に矢野監督も「春先はちょっと苦労したけど、これぐらいの力は持っているピッチャーだという評価でこっちも獲っていたんで。だいぶいいボールを投げられるような状態になってきた」とうなずいた。

◆2位の巨人は大敗。原辰徳監督(63)は「スターティングオーダーは昨日と変わってないけど、1人だけ変わっていたというところでね。こういうゲーム展開になったのには原因はある」と苦言を呈した。名前こそ挙げなかったものの、戸郷が完封勝利を挙げた前日から〝変わった〟スタメンは先発投手のメルセデスだ。左腕は甘いボールを次々と打ち返され、来日最短の1回?を7安打6失点でKO。指揮官は先発投手が試合を作る役割を「そこは重要なところ」と語気を強めた。八回にも鍬原が4失点し、今季チームワーストタイの19被安打で13失点。中田、中山の適時失策、途中出場のウォーカーは左翼ファウルゾーンへの飛球をグラブからこぼすなど、4失策も今季ワーストタイだった。打線は西勇に手玉に取られ、今季7度目の零封負け。阪神相手に零封負けした試合で13失点したのは最多タイで40年ぶりだ。残酷なまでのコントラストがついた一戦で2日ぶりに貯金が消え、3位・広島とのゲーム差は1・5に縮まった。(谷川直之)■データBOX 巨人がスコア0-13で敗北。巨人が13失点以上して無得点に終わったのは、2001年5月1日の中日戦(●0-17、東京ドーム、工藤-木村-平松-野村の継投)以来21年ぶり。阪神相手に零封負けした試合で13失点したのは最多タイで、1982年4月29日(●0-13、甲子園、新浦-鹿取-香坂の継投)以来40年ぶり2度目。

◆尻に火がついたマルテが、緊急事態のチームを救った。同じ一塁手の新助っ人、ロドリゲスに負けるつもりも、ない。1軍復帰即タイムリーで甲子園をわかせた。「とにかくランナーをかえすことだけを考えていたよ。久しぶりの合流になったけど、チームの力になることができてよかったね」1-0の一回1死一、三塁でメルセデスのスライダーをしぶとく右前へ弾き返し、追加点。5月25日の楽天戦(甲子園)以来、49日ぶりの1軍で期待に応えると、5-0の二回2死三塁では戸根の直球を左前へ運び、2打点目。新型コロナの濃厚接触者で抹消された大山の「5番・一塁」を埋める活躍をみせ「追加点が取れてチームも良い雰囲気だったし、うまく流れに乗って打つことができた」とうなずいた。甲子園の巨人戦での13得点は2003年7月12日の14得点以来。星野阪神が優勝を成し遂げた年以来というのも、何かの吉兆か。矢野監督も「(マルテが)帰ってくるとチームのムードも変わりますし、マルテ自身もいいところでタイムリーが出た。いいスタートが切れた」と話したが...。四回の第3打席。遊ゴロで一塁までのスピードを緩めると、五回の守備からベンチに下がった。この日は3打席とも全力疾走はできず。指揮官は「う~ん、よう分からん俺も。本人の状態なのか」と話すと「やっぱり打つだけじゃないのでね。しっかり守ること(三回に失策)も必要だし、最低限走るってこともできないと試合の中で使うってことはできないかなという判断で代えました」と交代理由を明かした。4月3日に右足のコンディション不良で抹消されたM砲は、5月10日に昇格も、同26日に再び右足を痛め2度目の抹消。同じ失敗はできないと慎重に2軍で調整してきたはずだが、まだ状態は万全ではない模様だ。八回からは糸原が初の一塁守備へ。大山がしばらく試合に出られないことに加え、マルテの足の不安を考えれば、首脳陣は緊急時のオプションを用意する必要がある。「状態もすごくいい。この状態を続けながらチームに貢献するだけ」と試合前に力を込めていたマルテ。体のことは本人しかわからない。ただ、チームの勝利に貢献することで、自身の存在価値を示すしかない。(新里公章)

◆阪神・佐藤輝が二回1死一、三塁の第2打席で右犠飛を放った。「追い込まれていたので、なんとかという思いで食らいつきました。最低限の仕事ができたと思います」。これで新人から2年連続の50打点を達成。球団では、1949年の別当薫、81年の岡田彰布以来3人目で、左打者では初の快挙となった。

◆近本が一回1死二塁から先制の中前適時打を放つなど3安打。打率・302で再び3割に乗せた。「(先制点は)大きかったですね。点に絡むことができてよかった」。先制打の直後、走塁でも魅せた。佐藤輝の三塁間の打球で、岡本和が一塁に送球した瞬間、快足を飛ばして三塁へ。マルテの右前打で生還した。この日、同学年の大山が抹消されたが「(大山)悠輔に助けられて、ここまで来ているので。僕が頑張らないといけないなと思って(いる)」と力を込めた。

◆「7番・二塁」で先発出場した山本がプロ7年目で初の1試合4安打を記録した。「初めてのことなので、自信にもなりますし、振り返れば良かったなと」。一回、三回はともに右前へ。七回は内野安打。八回は中前適時打と、すべて単打だった。古巣・巨人の選手とも挨拶を交わし、「僕が頑張っていると『頑張れる』という言葉をかけてもらった。また、成長した姿をみせられてよかった」と話した。

◆プレーボールから打ちまくって、巨人を相手にワンサイドゲーム。月に住むウサギさんの餅つきも、ペッタンペッタンとさぞかし、軽快なリズムを踏んでいたでしょう。朝、テレビで気象予報士さんが「今晩から14日の明け方にかけて、今年で最も地球から近い満月、スーパームーンです!」とコーフン気味に伝えていた。最近、イヤなニュースばかりを目にするだけに、たまには自然と向きあうのもいいだろう。ゲリラ雷雨ありの不順な天気が続くけど、読者の皆さまは猛虎祭りとともに最高の満月をごらんになったでしょうか。スーパームーンがまだ顔を出していない午後2時半頃、月ではなく、太陽に向かって打つ男が、ついにベールを脱いだ。新外国人のロドリゲス。マイナー通算215本塁打の長距離砲がタテジマに袖を通してから初めて屋外でフリー打撃を行い、快音を連発した(記事2面)。「ゴメスみたいや!」ビヤ樽編集委員、三木建次が記者席で大騒ぎしていた。2020年、オリックスに在籍したときは59試合で打率・218、6本塁打、25打点。そりゃ、コチラとしても盛り上げたいところだけど「史上最強の-」という看板を引っ提げて来日したダメ助っ人たちの歴史を見せつけられた身からすれば、眉唾が過ぎていると思わないでもない。虎番の打者担当、原田遼太郎よ、ホンマはどうなん?「それがですね、パワーがすごいんですよ。ヘルメットをかぶっていなかったので、まだ〝肩慣らし〟の状態だとは思いますが、それでも左翼席の中段まで飛ばしましたからね。何より、打球が上がるのがいいと思います」あくまでも練習の一環として考える選手からすれば迷惑?かもしれないが、新戦力の柵越えを数えるのは実に楽しい。ポール際に打球がいくと、各社の記者が身を乗り出して、ホームランかどうかを確認し、まるで塁審のように手を回したり...。そして必ずといっていいほど、過去の虎助っ人と比較するのである。「特に阪神のような人気球団の場合はどうしても初打ちが注目される。柵越えしないよりは絶対にした方が、首脳陣へのアピールになるんや」ビヤ樽の頭の中はロドリゲス=ゴメスでいっぱい。練習を終えた井上ヘッドコーチのところに飛んでいった。「ゴメスみたい? ゴメスという感じじゃないよね」井上ヘッドは即答だった。玉砕されても頼もしいのがビヤ樽のいいところ。矢継ぎ早に「ウッズ?」「ブランコ?」と最近の外国人を並べ、中日で活躍した「ブランコ」という名を引き出した。1886年のこの日、「本初子午線経度計算方及標準時ノ件」という勅令が出され、兵庫・明石市を通る東経135度の子午線が日本の標準時と定められた。監督選抜で球宴初出場が決まった大山のコロナ禍は心配だけど、右足コンディション不良から復帰したマルテがいきなり結果を出したり、時計のようにきっちりと物事が進まないのもスポーツの魅力です。ビヤ樽の予言通りロドリゲスがゴメスやブランコみたいに活躍し、マルテも完全復活して佐藤輝も本塁打を量産すれば7、8月はスーパームーンになるかも? ええ夜でした。思いきり、上を向いて歩きましょうか!

◆ピンポ~ン、ピンポーン! 矢野さん、原さんからお中元でーす!!「おっ、原さん前日に零封負けのお中元を贈ったら、早速お中元返ししてきよった~」「監督、さすが球界の盟主巨人軍だけありますね。見てください、この豪華な詰め合わせを!」「おお! これは見事や!! なになに...。『19安打13得点』に『先発野手全員安打』、『中野4安打、本塁打が出ればサイクルヒット』と『近本3安打で打率3割到達』。それから『マルテお帰り2安打2打点』と『山本プロ初4安打』。まだまだあるでェ。『西勇8回0封6勝目』。伝統の巨人軍だけあって心遣いが細か~い!!」「完璧なお中元ですね!!」「いや、ホームランが入っておらんやんけー!!」どこまでも、欲深な矢野さんだったので、原さ~ん、第3戦はお中元の追加で3アーチくらいお願いしま~す!! しかし、野球とは摩訶(まか)不思議なり!? 前日は先発野手全員安打で零封負けしたのに、本日は13得点のウル虎の夏勝ち!! 阪神というチームは分から~ん!?

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
53281 0.654
(↓0.009)
M48
(↑1)
61373
(+3)
289
(+6)
97
(+1)
54
(-)
0.257
(↓0.001)
3.090
(↓0.04)
2
(-)
巨人
44441 0.500
(↓0.006)
12.5
(-)
54344
(-)
385
(+13)
101
(-)
40
(-)
0.246
(↓0.001)
3.840
(↓0.07)
3
(1↑)
広島
40433 0.482
(↑0.006)
14
(↑1)
57317
(+4)
320
(+1)
43
(-)
16
(+1)
0.252
(↓0.001)
3.390
(↑0.03)
4
(1↓)
DeNA
37412 0.474
(↓0.007)
14.5
(-)
63283
(+1)
327
(+4)
59
(+1)
29
(-)
0.251
(-)
3.650
(↑0.02)
5
(-)
阪神
39442 0.470
(↑0.007)
15
(↑1)
58295
(+13)
250
(-)
54
(-)
65
(+2)
0.240
(↑0.003
2.750
(↑0.03)
6
(-)
中日
35461 0.432
(↑0.007)
18
(↑1)
61239
(+6)
317
(+3)
41
(+1)
25
(-)
0.247
(-)
3.680
(↑0.01)