中日(★2対5☆)阪神 =リーグ戦13回戦(2022.07.02)・バンテリンドーム=
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阪神
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中日
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勝利投手:伊藤 将司(5勝2敗0S)
(セーブ:岩崎 優(1勝3敗15S))
敗戦投手:松葉 貴大(3勝3敗0S)
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◆阪神は3回表、島田と大山の適時打で一挙4点を先制する。2点差となって迎えた8回には、山本のスクイズで貴重な追加点を挙げた。投げては、先発・伊藤将が7回2失点の好投で今季5勝目。敗れた中日は、打線が相手を上回る9安打を放つも、つながりを欠いた。

◆今季の阪神伊藤将司投手(26)は敵地で勝てない。甲子園球場では4勝0敗、防御率1・10に対し、敵地はマツダスタジアム、ZOZOマリン、京セラドームで登板し0勝2敗、防御率4・58。今日は白星を挙げられるか。

◆両チームのスタメンが発表された。4連敗中の阪神は、1日に一時同点となる適時打を放った糸原健斗内野手(29)がスタメンから外れた。6番二塁に山本泰寛内野手(28)、7番三塁に北條史也内野手(27)と右打者を据え、中日先発左腕の松葉貴大投手(31)を迎え撃つ。阪神先発は伊藤将司投手(26)。自身3連勝中で、とりわけ直近2試合は17イニングを投げ1失点と安定感が光る。前回6月25日の中日戦も8回無失点と好投しており、2週連続で中日から勝利なるか。

◆阪神才木浩人投手(23)が19年5月12日の中日戦以来、1147日ぶりの1軍マウンドに臨む。3日の中日戦で先発予定の右腕は、この日の練習後に取材に応じ、「今はめちゃくちゃ楽しみが勝っています。思い切って楽しんで、腕を振っていく姿を1軍のマウンドでいろんな人に見てもらえるとうれしい」と力を込めた。20年11月に右肘の内側側副靱帯(じんたい)再建術(トミー・ジョン手術)を受け、21年から育成契約を結んだ。リハビリを積み重ね、今年5月初旬に支配下選手に復帰。前日には矢野監督から「一番に感謝して、思い切って投げればいい」と声を掛けられていた。1軍での勝利は19年5月1日広島戦が最後。バンテリンドームでの登板は18年9月28日の中日戦までさかのぼる。同年5月20日の中日戦でプロ初先発した時の舞台もバンテリンドーム(当時の名称はナゴヤドーム)で、松坂と投げ合った。「その時はけっこう、スコパチ打たれましたけど、今回はしっかり抑えたい」と快投を誓った。

◆西武、巨人、オリックスなどで活躍した清原和博氏(54)が、始球式に登場した。背番号「2022」の中日のユニホームを着て登場した清原氏はマウンドを踏まず、マウンド前の人工芝から59キロのショートバウンドの投球を披露。「(プロ野球の)グラウンドには一生立てないと思っていた。夢の中で歩いているようだった。グラウンドを踏めて感動した。どんな苦しいことがあっても今日のことは忘れない」と、登板後に振り返った。PL学園の2学年後輩の立浪和義監督(52)から、投球したボールに直筆サインをもらい、「父は阪神ファンだし、(阪神戦での始球式ボールを)届けたい」と喜んでいた。清原氏は立浪監督の計らいで今春の沖縄キャンプを訪問。石川昂や鵜飼に打撃指導も行った。後輩指揮官への恩義もあり、今季は中日の本拠地開幕試合などを観戦し、テレビ、ラジオ解説なども4試合行ってきた。

◆4連敗中の阪神が、大山悠輔内野手(27)の3点適時三塁打で主導権をがっちり握った。2番島田の適時打で先制し、なおも2死満塁。左腕松葉の初球127キロを中堅へはじき返し、これをセンター大島が捕球できずボールは転々とした。その間に3人の走者が一気に生還。大山は三塁に到達し、走者一掃の一打となった。大山は6月21日広島戦(マツダスタジアム)で本塁打を放ち、通算100号に王手をかけてから9試合足踏みが続いている。安打自体も11打席ぶり。この一打で息を吹き返したいところだ。

◆阪神近本光司外野手(27)が、28試合連続安打を達成した。01年桧山進次郎(阪神)、88年バナザード(南海)に並びプロ野球歴代9位。球団では歴代2位タイに浮上した。2番島田の適時打で1点を先制した直後の3回2死一塁、左腕松葉の139キロを左前にはじき返し、Hランプをともした。一塁ベース上でクールに右手を上げポーズを決めると、筒井一塁コーチから肩をたたかれ笑顔になった。連続試合安打のプロ野球記録は79年高橋慶彦(広島)の33で、あと「5」。左打者最長は15年秋山翔吾(西武)の31試合で、あと「3」。いよいよカウントダウンに入ってきた。6月は無安打の試合が1度もなくフィニッシュ。月間37安打は自己記録まであと「1」に肉薄していた。7月に入っても勢いが止まる気配はなく打ち続けている。記録はどこまで続くのか。11年マートンの30試合連続安打の球団記録にはあと「2」に迫った。3日の中日戦でも継続させれば、5日からは「記録更新ウイーク」がやって来る。

◆阪神打線が、前日にチャンスで無得点に抑えられた中日根尾昂投手(22)から、しぶとく1点をもぎ取った。2点差に詰め寄られた直後の8回。前日に1点ビハインドの5回2死一、二塁で根尾と対戦し、三ゴロに仕留められていた近本光司外野手(27)が右前打で出塁。その後、1死一、三塁とすると、6番山本泰寛内野手(28)がスクイズを成功させ、終盤に貴重な1点を追加した。阪神はこれで根尾と3度目の対戦。6月25日の初対戦時には、小幡竜平内野手(21)がタイムリーを放ち、1点を挙げている。

◆中日根尾昂投手(22)がプロ入り初連投した。1日の阪神戦で1点リードの5回2死一、二塁で近本を3球で三ゴロに打ち取り、初ホールドを挙げたばかり。一夜明けのこの日は2点ビハインドの8回から先発松葉に代わって登板した。先頭近本には初球133キロスライダーを捉えられて右前打。4番佐藤輝を迎えると、プロ入り初けん制球を披露した。佐藤輝への初球は146キロ直球で空振りを奪ったが、2球目直球を外すと近本に二盗を許した。カウント3-2から135キロのスライダーで佐藤輝を空振り三振に打ち取ったが、初暴投で近本が三進。大山に四球を与え1死一、三塁から山本にスクイズを許し1点を失った。北條にフルカウントまで粘られたが、145キロ直球で右飛。初連投の疲れなのか、この日の最速は149キロ止まりで、ベンチへ戻った。▽中日立浪監督(根尾の連投に)「今いるメンバーでは十分戦力なので、どんどん使っていきたい。いろいろピンチや経験をして、大きくなってもらいたい」◆練習参加 中日ダヤン・ビシエド内野手(33)が阪神13回戦(バンテリンドーム)試合前練習に参加。左肩痛で出場登録抹消中だが、立浪監督は「痛みはもうない。来週から上げる可能性はある」と話した。

◆阪神が連敗を4でストップした。3回に島田海吏外野手(26)の右前適時打で先制すると、さらに2死満塁から大山悠輔内野手(27)が中堅へ3点適時三塁打を放ち、一挙4点を奪った。前日1日まで4試合で15打数1安打、0打点と急降下していたが、試合を決める1打を放った。2点差に迫られた8回には1死一、三塁から山本泰寛内野手(28)が一塁前にセーフティースクイズを決め貴重な5点目となった。投げては先発の伊藤将司投手(26)が7回109球で8安打を浴びながらも2失点に抑え5勝目を挙げた。8回には前日1日にA・マルティネスに決勝2ランを浴びた湯浅京己投手(22)が登板。先頭で再び対決し、152キロ直球で空振り三振を奪い、やり返した。敗れれば最下位中日にゲーム差なしに肉薄されるところだっただけに、大きな1勝となった。

◆阪神の守護神岩崎優投手(31)が信頼回復の15セーブ目をマークした。2日前の6月30日DeNA戦(横浜)では1点リードの9回に登板し2点を失いサヨナラ負け。今季3敗目で、セーブ機会では2度目の失敗をしていた。この日は3点リードで9回に登板。先頭の8番三ツ俣を143キロ直球で空振り三振、続く伊藤は力のない右飛球。大島には左安を許したが、岡林を空振り三振に仕留めゲームセット。クールにマウンド上でナインとグータッチで勝利の喜びを分かち合った。

◆竜キラーが本領発揮だ。阪神伊藤将司投手(26)が7回2失点の力投で5勝目を挙げた。序盤から0を並べると3回に味方が4点を援護。6回まで無失点で粘り、7回に2点を失ったが先発の役割を十分に果たした。ヒーローインタビューでは「(チームの)連敗が続いていたので、何とか止めたいという気持ちが強かった」と笑顔になった。序盤のピンチも粘った。0-0の2回。先頭阿部に二塁打を浴び、その後1死二塁から大山の失策で1死一、三塁。ただ、そこから京田をチェンジアップで投ゴロ、続く松葉から見逃し三振に仕留めてベンチに帰還。「ランナーを出しても点につなげさせないように踏ん張ることができました」。直後に野手の大量4得点の援護が生まれた。これで中日戦は通算5試合に登板して4勝負けなし。防御率は1・25と相性がいい。左腕は「今いいだけ」と照れ笑いしたが、中日キラーぶりは頼もしい限りだ。一方で今季は甲子園での5戦4勝0敗、防御率1・10に対し、ビジターで3戦0勝2敗、防御率4・58だった。敵地初白星で"内弁慶"ともおさらばだ。この日は7回に23イニングぶりの失点を喫したが、防御率は2・19までアップ。矢野監督も「安定感はヤギ(青柳)と同じようにあると思う」と信頼を寄せる。ここに来て西純、ガンケル、ウィルカーソンが立て続けに出場選手登録を抹消された。チームの強みである先発に疲れが見え始めているだけに、熱投を続ける背番号27の存在は大きい。【桝井聡】▼伊藤将の中日戦通算勝利数がDeNA戦と並び最多の4勝目となった。DeNA戦は8試合で4勝(1敗)に対して、中日戦は5試合で4勝0敗、勝率10割をキープ。防御率も対戦別で最少の1・25と好相性だ。▼伊藤将は今季敵地で4試合目にして初勝利を挙げた。マツダスタジアム、ZOZOマリン、京セラドーム大阪での過去3戦は0勝2敗で防御率4・58だったが、この日はバンテリンドームで7回2失点と好投。甲子園では4勝0敗、防御率1・10と対照的な成績だったが、苦手な敵地での今季初白星だった。

◆阪神が連敗を4でストップした。3回に島田海吏外野手(26)の右前適時打で先制すると、さらに2死満塁から大山悠輔内野手(27)が中堅へ3点適時三塁打を放ち、一挙4点を奪った。前日1日まで4試合で15打数1安打、0打点と急降下していたが、試合の主導権を握る貴重な1打を放った。2点差に迫られた8回には1死一、三塁から山本泰寛内野手(28)が一塁前にセーフティースクイズを決め貴重な5点目となった。先発の伊藤将司投手(26)が5勝目。湯浅京己投手(22)、岩崎優投手(31)が無失点で試合を締めた。試合後の矢野燿大監督の一問一答は以下の通り。-伊藤将は立ち上がり粘った矢野監督 そうやね。前半、締まりのない守備が出て嫌なムードやったけど、そういうところで粘ってくれたし。序盤は将司が流れをつくってくれた-7回までいってくれたことも大きい矢野監督 まあ、そうやね-先発陣が疲れも見える中で青柳と2人で支えている矢野監督 安定感はヤギと同じようにあると思うし。たらればを言っちゃうとどこまでも欲が出ちゃうけど、1点でいければより最高やったと思う。満足せずに、まだやれたこともあると思うから。そういうところもありつつ、しっかりした将司のやることをやってくれているなというのはもちろんあるけどね-湯浅、岩崎も0に抑えた矢野監督 まあ...昨日も言うたけど、今、湯浅に大事なのはやられた経験をプラスに変えていくっていうこと。やっぱり昨日打たれたバッターがいきなり来るわけだから。"くそっー"と思いながら向かっていけているんでね。昨日だって別に逃げたわけじゃないんやから。勝負での結果はそれは出るから。それを受け止めて、もちろん俺も若いピッチャーを使う以上は納得してるし。今日、逆にそういう気持ちを持って三振で打ち取れたっていうのは、またアイツがいいピッチャーになっていくのにつながると思うんで良かったよ。スグル(岩崎)も最後1本ヒット打たれちゃったけど、うん、いいボールが行っていたし-3回は梅野の勇気ある三盗から得点に矢野監督 まあ勇気というか、ウチにとっては当たり前のことやし。でも当たり前のことをスッとできるっていうのは、リュウ(梅野)のキャッチャーっていうポジションでありながら、ああいうことができるっていうのはリュウのセールスポイントというか長所だと思うから。あれである意味ちょっと流れが変わったり、動いたりチカ(近本)の盗塁もそうやけど。うちはそういうところで流れ変えていく野球はしてるんで。勇気はいるけど、ある意味当たり前のことをしっかりやってくれたかな-その後、島田、大山がタイムリー矢野監督 そうやね。悠輔もね、めちゃくちゃ打ってくれていたけど、ここ最近はね、出てなかったんで。あそこで3点というのは大きかったし。島田もね、左ピッチャーでも何とかしていくというところを見せてくれれば。あとの打席がもうちょっとねちっこくいってくれたらね、いいなというのはもちろんあるけど。まあ、まあ島田に関してももちろん発展途上だから-3回終了時に監督が円陣で話をした矢野監督 いやちょっと守備に締まりがなかったから。オレらはよく言うけどかっこいい野球じゃねえだろって。もっと締まったかっこいい野球しようぜって。悠輔もあれは捕れるやろうし、拓夢だってあれは捕って当たり前だろうし。誰も気を抜いたとかそんな風ではないんだけど。結果から振り返っちゃうとやっぱり締まりがないとかそういう野球が前半あったので。そういうところでは、そういう野球じゃないだろと。かっこいい野球しようぜと-連敗が止まって明日は先発才木矢野監督 うんうん、才木は別にね。自分のことで精いっぱいだし。手術で投げられなかった気持ちとか、携わってくれた多くの人がいるんで。思い切って腕振ることが明日の才木のやることだし。それだけまずやって。結果はもちろんいい方がいいけど、そういう思いをぶつけてくれたら、そういうのが野手に伝わると思う。そういうピッチングをしてくれたらと思います

◆中日松葉貴大投手(31)が今季最長7回を投げたが、5安打4失点で3敗目を喫した。3回に先頭梅野に四球を与え、1死二塁から三盗を許し、島田に先制適時打。満塁にピンチを広げた後、大山に走者一掃の三塁打を打たれた。「前回同様にビッグイニングを作ってしまった。自分の持ち味の投球ができなかった。次回は最少失点で帰れるようにがんばります」と唇をかんだ。

◆阪神近本光司外野手(27)が連続試合安打を「28」に伸ばし、01年に桧山進次郎(現日刊スポーツ評論家)がマークした球団日本人最長記録に並んだ。3回に左前打で好機を広げて一挙4得点を演出。8回には前日斬られた中日根尾相手にリベンジの右前打を決め、5点目のホームも踏んだ。チームの連敗を4で止める活躍で11年マートンの球団記録まで「2」、1979年(昭54)に高橋慶彦(広島)の日本記録まではあと「5」。いよいよカウントダウンに入ってきた。三遊間の真ん中に近本のライナーが飛んだ。三塁高橋周は1歩も動かない。遊撃京田は数歩追いかけ、すぐに諦めた。その瞬間、バンテリンドームの虎ファンが掲げたのは、「28試合連続安打」の手作りボード。拍手が起こる中、フウッと息を吐く。直後、筒井一塁コーチから肩をたたかれ、チラッと白い歯を見せた。「あれね、何だったっけな。(二塁へ)いいスタート切ってたって話をしていたかな、(一塁走者の)島田が」1点を先制した3回、なお1死一塁の場面。のちに「神様」とも称された桧山氏の持つ、球団日本人最長記録の28試合連続安打に並んだ。それでも、後輩の盗塁を"邪魔"してしまったことで苦笑い。記録より、チームの勝利を求める男らしい気遣いがあった。そのHランプが大山の3点三塁打を呼び込み、この回一挙4得点。連敗ストップの機運が一気に高まった。2点差に迫られた8回には右前打。前日、1点ビハインドの5回2死一、二塁で三ゴロに仕留められていた根尾から打った。「自分のバッティングができたから、それでいい。投手がどうこうっていう問題じゃない」。借りを返してもなお、冷静に言った。山本のスクイズで再び突き放す5点目を呼んだ。2安打ともホームに生還し「得点につながったことがよかったです」と笑顔を見せた。試合前には中日大島と話し込んだ。同じ左投げ左打ちの中堅手。「共通点は少ない」というが「学べることはたくさんある。いい話ができたかなと思います」。通算1819安打を誇る竜のヒットマンから、進化へのヒントを得たようだ。暑さが一層厳しくなる7月。エネルギー源は「あんこ」と即答した。2年前から、ペースト状に加工されたあんこを試合前やゲーム中に愛飲しているという。チームきっての甘党にとって、連続安打継続に欠かせないアイテムになっている。連敗を4で止める大活躍でチームは土曜日8連勝。近本自身は球団最長のマートンの30試合連続安打にあと2、日本記録の高橋慶彦の33試合連続安打にあと5に迫った。3日の中日戦で桧山氏を超えると、5日からの広島、ヤクルト6連戦で「記録更新ウイーク」がやって来る。【中野椋】○...山本が貴重な追加点をたたき出した。2点差に迫られた直後の8回1死一、三塁。中日根尾の初球でスクイズに成功。きっちりと一塁前に転がし、三塁走者近本を生還させた。前日はチームが救援した根尾に好機を摘み取られただけに、会心のリベンジになった。直近4試合でスタメン出場し14打数5安打、1本塁打、2打点。1発と小技で存在感を高めている。○...矢野監督が4回の攻撃前に円陣でゲキを飛ばした。初回の守備では1死一塁から遊撃中野が山下の打球をファンブル。2回にも1死二塁から高橋周の打球を一塁大山が後逸した。指揮官は「オレらはよく言うけど、かっこいい野球じゃねえだろって。もっと締まったかっこいい野球しようぜって」とナインに熱く語りかけた。その後はノーエラーで白星をゲットした○...1番中野は今季9度目の猛打賞だ。初回に松葉から中前に運ぶと5回は右前、9回は森から中前に運んだ。「初回にしても自分が出るかどうかでチームの雰囲気も違うし、チームにもたらす勢いも違うと思う。初回の1打席目の意識を強く持ちながらやっている結果が、その後の打席にも良い形でつながっているのかなと思います」。打率を2割8分まで上げた。。▼阪神は土曜日の連勝が8に伸びた。5月7日中日戦(バンテリンドーム)に敗れたのが最後で、同14日DeNA戦(横浜)から連勝を継続中だ。土曜日は今季曜日別最多の貯金5。貯金があるのは土曜日のほか、金曜日が3、日曜日が貯金2。週末のカードはすべて白星が先行している。▼近本が連続試合安打を28に伸ばし、球団左打者最長の01年桧山進次郎に並んだ。球団記録は11年マートンの30試合で、あと2に迫った。NPB全体では、左打者最長の15年秋山翔吾(西武)の31試合まであと3。プロ野球記録の79年高橋慶彦(広島)の33試合まで、あと5に迫った。

◆阪神大山悠輔内野手(27)が走者一掃の3点適時三塁打で連敗ストップに大きく貢献した。3回に島田の適時打で先制し、なおも2死満塁の場面。中日先発の左腕松葉の初球低めチェンジアップをすくいあげた。打球はチャージしてきた中堅手大島のグラブをすり抜け外野を転々。3人の走者をすべてかえし、悠々スタンディングトリプルを決めた。両手をパチンとたたき、笑顔で湧き上がる三塁側ベンチに目をやった。「本当に勝ってよかった」と、試合後は連敗脱出を何よりも喜んだ。11打席ぶりの安打で打点を挙げるのも5試合ぶり。4連敗中は15打数1安打と、6月下旬までの絶好調はどこへいったのかと思うほど、急降下していた。矢野監督も「悠輔(大山)もね、めちゃくちゃ打ってくれていたけど、ここ最近は、出ていなかったんで。あそこで3点というのは大きかった」と一安心。9回にもしっかり四球を見極めるなど、背番号3の復調は明るい光だ。直前の守りでのミスをすぐに取り返した。2回1死二塁で高橋周の一塁へのゴロをバウンドが合わず後逸。ピンチを一、三塁に広げてしまった。伊藤将が後続を打ち取り無失点で切り抜けたが、借りを返すべく気合十分の打席だった。「エラーしてチームに迷惑をかけたし、(伊藤)将司にも苦しい投球をさせてしまった。そういう意味では、取り返すというか、あの1本は大きかった」。自身もチームも救う一撃でリードを4点に広げ、終始試合を優位に進めることができた。18本塁打、59打点はチーム2冠。だが、6月21日広島戦で18号2ランを放ち、通算100号に王手をかけながらも10戦ノーアーチが続く。相手のマークも厳しくなっている。絶好調時も「油断せず」「もっとできる」と自分に厳しく言い続けてきた。この日も「しっかり反省して、また明日頑張りたい」と引き締めた。慢心なく、再び上昇気流に乗る。【石橋隆雄】○...梅野が鮮やかな三盗を決め、島田の先制適時打に結びつけた。四球出塁後、伊藤将の犠打で二塁に進んだ3回1死の場面。中野に左腕松葉が2球目を投じる前に会心のスタートを切り、楽々セーフになった。「何とか勇気を持ってトライした結果、相手も動揺というか、流れもつかめたのかなと」。2死後に島田の右前適時打で先制のホームイン。果敢な今季初盗塁が0-0の均衡破りに一役買った。○...島田が今季2度目のV打点を挙げた。0-0の3回2死三塁で左腕松葉のカットボールを右前に先制タイムリー。「今日は野手で投手を楽にさせてあげようという風に話していたので、それがいい結果になってよかった」。6月3日の日本ハム戦(甲子園)で押し出し四球を選んで以来の勝利打点に会心の笑顔。矢野監督は「左ピッチャーでも何とかしていくというところを見せてくれれば」とさらなる成長を期待した。

◆中日根尾昂投手がプロ入り初連投も勝利は呼べなかった。2点ビハインドの8回に先発松葉からバトンを受け登板。初ホールドを挙げた1日の阪神戦で打ち取った近本に右前打を許すと、初けん制球の後に二盗を許した。佐藤輝は空振り三振に打ち取ったが、初の暴投で三進。山本には初のスクイズも許し、1回1安打1失点で降板した。最速は149キロ止まり。「初連投ですが、変わったことはありません。いつでもいく準備はしています」と前を向いた。

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレーバック】2日、中日戦に登板した阪神湯浅京己。前日の悔しい思いをA・マルティネスにぶつけて三振を奪取。これからも気迫の投球を見せてもらいましょう。

◆阪神・近本光司外野手(27)の勢いが止まらない。1日の中日戦(バンテリンD)でもヒットを記録し、連続試合安打を「27」に更新して阪神では歴代単独3位に浮上した。球団で歴代2位の桧山(2001年)の「28」に並べるのか、虎のヒットメーカーの活躍に期待が高まる。先発の伊藤将司投手(26)は自身4連勝となる今季5勝目をつかみ、疲労のみえる先発陣を救いたい。

◆西武、巨人、オリックスでプレーした元プロ野球内野手の清原和博氏(54)が始球式に登場した。「まさかこんな日が来るとは夢にも思っていなかった。グラウンドに降りることなんか一生ないと思っていた。あれだけ何千試合と僕も出てきましたけど、ふわふわした気持ちだった。周りの選手を見たら本当に感動しました」「AKRACINGデー」として行われ、「AKRACING 2022」の中日ユニホームで登板。先発投手への配慮から、マウンドよりもホームベース寄りの位置に立って右腕を振り、ボールはショートバウンドで捕手のミットに収まった。2016年に覚せい剤取締法違反で有罪判決を受けた過去もあり、再びプロ野球のグラウンドに立つことができたことに対し、周囲への感謝の思いも口にした。PL学園高の2学年後輩である立浪和義監督(52)が率いる中日は現在、セ・リーグ最下位。清原氏は春季キャンプを訪問し、開幕後も解説などでバンテリンドームを訪れて戦いに視線を送っており「野球選手のなかではオールスターが前半の区切りと考えますので、それから後半戦に入っていくわけですけど、(勝率)5割を目指していけば(いい)。若い選手の集まりのなので、どうしても次の日に引きずりがちなんですけど、そのあたりは監督が若い選手に声をかけていますし、選手たちがそれに甘えることなく思い切ってプレーしてほしいなと思います」とエールを送った。

◆阪神・近本光司外野手(27)が偉大な記録に並んだ。0-0の三回、2死三塁から島田が中日先発・松葉の低め変化球を捉え、右前適時打で先制。直後に背番号5も左前打で続いた。このヒットで連続試合安打を「28」に更新し、球団で歴代2位の桧山(2001年)に並んだ。虎のヒットメーカーが打線を勢いづけ、その後、2死満塁では大山の3点打も飛び出し、この回一挙4得点で突き放した。

◆阪神は0-0の三回2死三塁から島田が中日先発・松葉の低め変化球を捉え、右前適時打で先制に成功した。「昨日、一昨日とチャンスの場面で打てていなかったですし、きょうは野手で投手を楽にさせてあげようという風に話していたので、それがいい結果となってよかった」と声を弾ませた。さらにその後、2死満塁では大山に走者一掃のの三塁打も飛び出し、「将司(伊藤将)を援護することができてよかった」と胸を張った。この回一挙4得点で突き放した。

◆阪神・山本泰寛内野手(28)が4-2の八回1死一、三塁で、中日2番手・根尾の初球147キロにスクイズを決め、三走・近本が生還した。先発・伊藤将が七回に2失点して詰め寄られていただけに、貴重な追加点となった。背番号27は7回8安打2失点、109球の粘投で降板。前日1日の同戦で、痛恨の勝ち越し2ランを浴びた湯浅に後を託した。

◆阪神が三回に一挙4得点をあげて主導権を握り、そのまま逃げ切りに成功した。連敗を「4」で止め、近本光司外野手(27)は連続試合安打を「28」に伸ばし、球団で歴代2位の桧山(2001年)に並んだ。0-0の三回2死三塁から島田の右前適時打で先制すると、直後に背番号5が左前打で続き、連続試合安打の記録を更新。その後、2死満塁で大山の走者一掃の三塁打で突き放した。4-2の八回に山本がスクイズを決めた追加点も効果的だった。先発の伊藤将は七回に2失点したものの、7回8安打2失点、無四球と粘投し、5勝目を手にした。2番手の湯浅も前日1日の同戦で勝ち越し2ランを浴びたA・マルティネスから152キロ直球で空振り三振を奪ってリベンジを果たし、1回無失点で勝利に貢献した。

◆阪神が連敗を「4」で止めた。三回に先制し、さらに2死満塁で大山悠輔内野手(27)の11打席ぶり安打が3点三塁打となり、一気に4点。2点差に迫られた八回に根尾昂投手(22)を攻め、1死一、三塁から山本泰寛内野手(28)のスクイズで加点した。近本光司外野手(27)は三回の左前打で連続試合安打を球団歴代2位に並ぶ「28」とした。八回は湯浅京己投手(22)、九回は岩崎優投手(31)が締めた。7回2失点の伊藤将司投手(26)は5勝目(2敗)。四回の攻撃前に円陣を組んだ矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り(チーム成績35勝42敗2分、観衆2万9451人)。ーー伊藤将は立ち上がりから粘った「そうやね。前半、締まりのない守備が出て嫌なムードやったけど、そういうところで粘ってくれた。序盤は将司が流れを作ってくれた」) ーー七回まで行ったことも大きい「まあ、そうやね」ーー先発陣が疲れも見える中で青柳と2人で支えている「安定感はヤギと同じようにあると思う。タラレバを言っちゃうと、どこまでも欲が出ちゃうけど、1点で行ければより最高やったと思う。満足せずに、まだやれたこともあると思うから。そういうところもありつつ、やることをやってくれているなというのは、もちろんあるけどね」ーー湯浅、岩崎もゼロ抑えた「まあ...昨日(1日)も言うたけど今、特に湯浅に大事なのはやられた経験をプラスに変えていくこと。やっぱり昨日打たれたバッターがいきなり来るわけだから。〝くそっー〟と思いながら向かっていけているんでね。昨日だって別に逃げたわけじゃないんやから。勝負での結果はそれは出るから。それを受け止めて、俺も若いピッチャーを使う以上は納得してる。今日逆にそういう気持ちを持って三振で打ち取れたっていうのは、またアイツがいいピッチャーになっていくのにつながると思うんで良かったよ。スグルも最後1本ヒット打たれたけど、うん、いいボールが行っていたし」 ーー梅野の勇気ある三盗から得点に(三回の攻撃)「まあ勇気というか、ウチにとっては当たり前のこと。でも当たり前のことをできるのは、キャッチャーっていうポジションでありながら、ああいうことができるのはリュウのセールスポイントというか長所だと思うから。あれである意味、ちょっと流れが変わったり、動いたり。チカの盗塁もそうやけど。うちはそういうところで流れ変えていく野球はしてるんで。勇気はいるけど、ある意味当たり前のことをしっかりやってくれたかな」ーーその後、島田(先制打)、大山がタイムリー「そうやね。悠輔もね、めちゃくちゃ打ってくれていたけど、ここ最近はね、出てなかったんで。あそこで3点は大きかった。島田もね、左ピッチャーでも何とかして行くところを見せてくれれば。あとの打席がもうちょと、ねちっこく行ってくれたらね、いいなというのはもちろんあるけど。島田に関しても、もちろん発展途上だから」ーー三回終了時に監督が円陣で話をした「いやちょっと守備に締まりがなかったから。俺らはよく言うけど、かっこいい野球じゃねえだろって。もっと締まったカッコいい野球しようぜって。(三回失策の)悠輔もあれは捕れるやろうし、(一回の)拓夢だってあれは捕って当たり前だろうし。誰も気を抜いたとか、そんな風ではないんだけど。結果から振り返っちゃうと、やっぱり締まりがないとか、そういう野球が前半あったので。そういうところでは、そういう野球じゃないだろと。カッコいい野球しようぜと」ーー連敗が止まって3日は先発才木「うんうん、才木は別にね。自分のことで精いっぱいだし。手術で投げられなかった気持ちとか、携わってくれた多くの人がいるんで。思い切って腕振ることが明日の才木のやること。それだけまずやって。結果はいい方がいいけど、そういう思いをぶつけてくれたら野手に伝わると思う。そういうピッチングをしてくれたらと思います」

◆初の連投マウンドとなった中日の根尾は1回を1失点だった。2点差に迫った直後の八回に2番手で登板し、スクイズで失点。「連投は変わったことはない。いつでも行く準備はしている」と事もなげに言った。先頭の近本にスライダーを右前に運ばれ、さらに足で揺さぶられた。盗塁と暴投などで傷口を広げて1死一、三塁。山本にスクイズを決められた。反撃ムードに水を差す結果となったが、立浪監督は「いろいろ経験して大きくなっていってもらいたい」と成長を期待した。

◆オリックス、阪神で176勝を挙げ、引退後も両チームでコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家の星野伸之氏(56)は7回2失点で5勝目(2敗)を挙げた伊藤将司投手(26)の冷静な打球処理について言及した。二回1死一、三塁で、京田を投ゴロに打ち取った伊藤将が三塁を守る北條に送球して三塁走者を挟殺にいったのには驚いた。あの場面、普通は二塁に投げて1-6-3の併殺を狙う。私でもそうする。三走を挟殺にいくのは、ゴロがボテボテの当たりの時だけだ。京田が左打者で併殺崩れ(で1点を先制されること)を嫌がったのかもしれない。次打者が投手(松葉)だから、2死にすれば無失点で切り抜けられると考えていたのかもしれない。いずれにしても、あのあと松葉を見逃し三振に斬って踏ん張ったのは大きい。一回も二回も、味方のエラーがからんでピンチが広がっていた。そこを無失点でしのいだ伊藤将の粘投が、三回表の4得点につながったと感じた。伊藤将は七回に2点を失ったが、無死二塁から代打、代打で仕掛けられて神経を使う中、1死から伊藤康を狙い通りにゴロに打ち取っている。転がったコース(三塁線突破)が良くて二塁打になってしまっただけ。内外角を丁寧に攻めて、持ち味を発揮した。全体的に安定した投球だった。八回を抑えた湯浅も、九回を締めた岩崎も、いいボールが来ていた。とくに湯浅は1日に決勝2ランを浴びたA・マルティネスから始まる中、1球目、ボールになるフォークで入ったあと、ストレートを5球続けて空振り三振。「絶対に真っすぐで三振を奪ってやる」という気持ちが伝わってきた。岩崎も彼らしい伸びのあるボールだった。戦列復帰後、厳しい状況の登板が続いていた。6月30日のDeNA戦(横浜)は1点リードを守れずに逆転サヨナラ負けを喫した。6月23日の広島戦(マツダ)は延長十二回に登板している。ホームゲームと違い、ビジターでは、いつ投げるか判断が難しく、ブルペンで投げては休み、また肩を作っての繰り返しで〝準備による疲労〟がたまることがある。DeNA戦での失敗はそういう状態も影響したのではないか。この日のようにある程度点差があれば、そういう状況を防げる。「1点もやらない」と挟殺プレーにいった二回の伊藤将のような苦しい守備も必要ではなくなる。3日は若い才木が先発する。来週も、ガンケルやウィルカーソンに代わって桐敷や藤浪が先発すると聞いている。常に僅差で試合が進んでしまうと、1日の湯浅や、6月30日の岩崎のような投球になる。そうさせないためにも、打線の奮起が必要だ。この日の三回の攻撃のように、2死になっても流れを止めず、なんとか1点。1点で終わらずさらにもう1点、と粘りのある攻撃で、投手陣を援護していってほしい。

◆阪神・梅野の果敢な今季初盗塁が、試合を動かした。三回、四球で出塁して伊藤将の犠打で二塁に進むと、中野の打席で三盗に成功。島田の適時打で先制のホームを踏んで「勇気を持ってトライした結果、相手も動揺というか、流れもちょっとつかめたのかな」とうなずいた。14盗塁した19年も4度、20年にも1度決めた三盗が、ここぞで出た。矢野監督も「ああいうことができるのはリュウのセールスポイントというか長所」とたたえた。

◆虎の勢いを加速させるライナーを左翼へと運び、偉業への階段をまた一つ上った。近本が積み重ねた連続試合安打は球団2位タイの「28」。連日のマルチ安打を決め、連敗ストップの力となった。「2本が(出た)っていうよりは、得点につながったことがよかったですね」1点を先制した直後、三回2死一塁で高めに浮いてきた松葉の139キロを振り抜き、逆方向へと打ち返した。バットは打ち出の小づち状態。連続安打は2001年の桧山に並ぶ球団の日本選手最長となり、球界でも歴代9位タイに到達した。流れを呼び込む一打は大山の走者一掃の三塁打につながり、鮮やかな4点先制劇にしっかりと加わった。だが、鬼門バンテリンドームは簡単に勝たせてくれない。七回に2点を返され、竜党の押せ押せムードを登場するだけで膨らませる男が、八回のマウンドに立った。根尾だ。前夜、近本は1点を追う五回2死一、二塁の反撃機で初対戦するも三ゴロに封じられていた。ここがヒットマンの見せどころ。初球のスライダーを右方向に打ち返し、きっちりとお返しした。根尾の出ばなをくじくと、さらに攻め、続く佐藤輝への2球目で果敢にスタート。全く同じ八回先頭で出塁した前夜はオーバーランでタッチアウトとなる悔しいプレーがあったが、今度は「ちゃんと止まることを意識して...っていうか普通にやっていただけ」と軌道修正して二盗に成功。暴投で三塁へ進み、山本のスクイズで5点目の生還を果たし、根尾をかき乱した。「自分のバッティングができたから、それでいいと思って。投手がどうこうっていう問題じゃない」根尾へのリベンジに前夜の対戦が生かされたかを問われても、自身の形に目を向けた。納得のスイングを描く。そうすれば、チームを勝利に導き、自らを高みに導く快音は鳴り止まない。(須藤佳裕)

◆魔球タイムリーだ! 阪神は敵地バンテリンドームで中日に5-2で勝利し、連敗を4で止めた。三回、大山悠輔内野手(27)が放った中前への打球は不規則な変化をして名手・大島も捕球できず、満塁の走者を一掃する適時三塁打となった。満塁にめっぽう強い虎の大砲が、暑い夏をさらに熱くする。白球を覆う空気の層が摩訶(まか)不思議な回転を与えていく。来そうで来ない。前後左右の判断も、ギリギリまで決めきれない。大山が外野に飛ばした打球は、かつてサッカー日本代表の本田圭佑がフリーキックで見せた〝ブレ球〟のように、揺れて、落ちて...塁にたまった走者を全てかえす〝魔球〟になった。「本当に勝ってよかったですし、その前にエラーしてチームに迷惑かけましたし、将司(伊藤)にも苦しい投球させてしまった。取り返すというか、あの一本は大きかった。踏ん張って耐えてくれた将司のためにも点数を取れたのはよかった」二回に打球を後逸したミスを取り返し、チームを鼓舞する一打に胸を張った。三回、1点を先制して、なお2死満塁。中日先発・松葉の127キロのチェンジアップを打ち上げ、打球は外野手部門でゴールデングラブ賞9度受賞の大島の守備範囲へ。万事休す-。虎党の誰もが次の回へ意識を向けかけたとき、目測のつけにくい〝魔球〟はグラブの脇をすり抜けると、誰もいない外野を転がっていった。「(島田)海吏が2アウトからいい形で先制してくれた。みんなが良い流れで回してくれたので、とにかくかえすだけという気持ち」走者一掃の3点三塁打で中日を突き放し、三塁ベース上で両手をパァーン! とたたいて喜びを爆発させた。得点圏打率は・277ながら、満塁では打率・556(9打数5安打)、13打点と勝負強さを発揮。6月26日の中日戦(甲子園)以来5試合ぶりの打点で勝利に貢献した。 6月は月間打率・318、10本塁打、29打点と好調だったが、22日の広島戦(マツダ)から10試合連続ノーアーチ。「好不調の波が激しいのが僕の課題というのは自分でも分かっている」と話してきたとおり、新井打撃コーチとの打撃練習を重ね、バットも変えた。あらゆる努力をここぞの場面での仕事につなげた。大山のバットが連敗を「4」で止め、矢野監督は「悠輔もね、めちゃくちゃ打ってくれていたけど、ここ最近は(安打が)出ていなかったんで。あそこで3点というのは大きかった」とたたえた。バンテリンドームでは5月8日以来となる白星もつかんだ。〝鬼門〟を打破するためにも、ここから背番号3が打って、打って、打ちまくるしかない。「きょうはしっかり反省して、またあした頑張りたい」大山は次戦へ鋭い視線を向けた。首位ヤクルトに優勝へのマジックナンバー「53」が点灯した中、真夏の大逆襲の主役になる。(新里公章)■データBOX?...阪神は連敗を4で止め、中日との今季対戦成績を7勝6敗と1つ勝ち越した。?...敵地バンテリンドームでは5月8日(○4-3)以来の白星で今季2勝6敗。2018年から4年連続で負け越しており、今季も残り4試合なので敵地での勝ち越しの可能性はない。

◆2日続けて敗戦投手になっていた岩崎と湯浅は、3点リードの八、九回をきっちり締めて出直した。3連投の湯浅は八回先頭で前日決勝ソロを浴びたA・マルティネスと対戦。空振り三振に斬り「やられた分はやり返すって気持ちではありました」と、リーグトップのホールド数を「22」に伸ばした。岩崎も15セーブ目を挙げ、矢野監督も「1本ヒットは打たれたけど、いいボールがいっていた」とうなずいた。

◆3日の中日戦に先発する阪神・才木は、キャッチボールなどで調整。3年ぶりの1軍マウンドへ胸を高鳴らせた。「リハビリの期間が長かったので、思い切って腕を振っていく姿を1軍のマウンドでいろんな人に見てもらえたらうれしい」。2018年に6勝(10敗)を挙げ、翌19年にも2勝(1敗)したが、20年11月に右肘のトミー・ジョン手術。今年5月6日に支配下に再登録された。いよいよ戦いの舞台へ戻る。

◆見過ごすわけにはいかなかった。試合中の円陣で、しかも苦しい展開ではなく4点リードの局面で、矢野監督が異例の〝カツ〟を入れた。ゆるみ、スキだらけだった野手陣を引き締めた。「ちょっと守備に締まりがなかったから。俺らはよく言うけど『かっこいい野球じゃねえだろ』って。『もっと締まったカッコいい野球しようぜ』って」4-0で四回の攻撃に入る直前。普段なら北川打撃コーチらが中心に立つ円陣に、アツくナインへ語りかける背番号「88」の姿があった。口にしたのは「狙い球を絞っていけ」や「追加点を取るぞ」などではなく、昨季から何度も語ってきた、子供たちが目指したいと思ってくれるような「カッコいい野球」についてだった。それほどまでに、プレーボール早々ゆるんでいた。一回1死一塁からは遊撃の中野が、山下のゴロをはじいて失策。二回1死二塁でも、高橋が放った一、二塁間へのゴロが、一塁の大山のミットの下を通過。カバーした山本の一塁送球も大きくそれた(記録は大山の失策)。三回に4点先制したが、その裏にはゴロを捕球した山本が一塁へグラブトスで送球して内野安打にするプレーも。いずれも失点には至らなかったが、指揮官としてはそのままゲームを進めるわけにはいかなかった。「悠輔(大山)もあれは捕れるやろうし、拓夢(中野)だってあれは捕って当たり前だろうし。気を抜いたとかではないんだけど、結果から振り返っちゃうと、締まりがないとか、そういう野球が前半にあったので」ただでさえ、直前10試合で10失策し、その間3勝6敗1分けと苦しんできた。ここで引き締めて連敗を止めるんだという将の強い意思表示が、野手陣にも届いた。(長友孝輔)

◆阪神先発の伊藤将は7回を投げて8安打されながらも2失点に抑えて5勝目(2敗)を挙げた。「野手の方が早めに点をとってくれて、しっかり守り抜けるようにと思って投げた」。これで中日に今季2勝。ルーキーだった昨季から5戦4勝負けなしだ。「相性がいいんだと思う。中日の方も(自分の)対策をやると思うので、自分もしっかりと研究しながらやっていけたら」と引き締めた。

◆阪神・中野は清原和博氏と始球式で〝対決〟した直後の一回先頭で中前打を放った。五回は右前打、九回は中前打の固め打ちで、2試合ぶり今季9度目の猛打賞をマーク。ただ、一回の守備では正面の打球をファンブル(記録は失策)し、四回攻撃前の円陣で矢野監督にナインとともに活を入れられた。次こそは攻守で勝利に貢献する。

◆阪神でナックルボールの使い手と言えば?最近のファンであれば、2006年の入団時にナックル習得を目指していた中継ぎ右腕の渡辺亮(現スカウト)。古い方は、1987年に法大からドラフト1位で入団し、93年に11勝を挙げた左腕・猪俣隆の名前を挙げられると思います。私はバースです。ピッチャーじゃない!! と言われそうですが〝賛同者〟もいます。元監督の岡田彰布氏です。数年前、まだコロナ禍ではなく、試合前に甲子園球場のプレスルームでたまたま「ナックルボールと言えば」の話になったとき、私が「バースがすごいナックルを投げとった」とつぶやくと、近くにいた岡田さんが「そうそう、アイツのナックルは怖かったな」と雑談に加わってきたのです。もちろん、バースは投手ではありません。私が目撃したのはキャッチボールです。ヤクルト戦前の練習が神宮球場の室内練習場で行われたとき、練習場横のグラウンドでキャッチボール相手を驚かせるために、バースがよくナックルを投げていたのを見ていました。岡田さんはその「怖さ」を肌で知っていたのです。「無回転で、右に左にクニャ~と揺れ動いた。大げさじゃなく怖くて捕れんかった。アイツ、試合中のボール回しでも投げてきよるんや。『やめ!!』言うたら、『ヒャッヒャッ』笑うて面白がって余計に投げてきた」どうしてこんな昔話を思い出したのか。三回に1点を先制し、近本の28試合連続安打(左前打)などでなおも続いた2死満塁からの大山の中前三塁打が理由です。大島が俊足を飛ばし、左中間寄りの低いライナーに追いつきかけましたが、無回転で揺れながら伸びていった打球は、大島の前で右方向へクニャ~!! あの打球がバースの〝いたずらキャッチボール〟を思い出させたのです。ちょうどそのときでした。デスクとトラ番間でやり取りをしている業務連絡用のチャットに変な文章が飛び込んできました。『近本&大山 万歳!!』何これ? 甲子園球場の記者席にいたビヤ樽編集委員三木建次からのメールでした。なぜ、そんなところにいる? 「俺はきょう、甲子園で2軍のオリックス戦を取材する。今は、その2軍の練習を見ながらバンテリンドームの1軍の中日戦の取材をリモートで手伝ってるんや。2軍はドラフト1位の森木が投げる。1軍が負けたら、こっちの方が大きくなる可能性があるんや」昼は1軍のデーゲーム取材を手伝い、夜は2軍のナイター取材という変則ダブルヘッダー。長い記者生活でも初めてのことにテンパッていたビヤ樽ですが、1軍が勝利を収めそうな展開となり、バンテリンドームのトラ番キャップ長友孝輔から「このまま勝てば、三木さんに長い原稿はいかないと思います」と連絡がきて安心し、あの変なメールになったらしい。「森木はいい球を投げる。6回を2安打無失点や。しかも1本は内野安打や。9奪三振や。六回でも150キロが出た」興奮状態です。試合前は「2軍で防御率5点台やからな。どうなるかな」と話していたビヤ樽が、バースのナックルに驚いた私や岡田さんと同じくらいに、森木のストレートに驚いています。この調子が続けば、シーズン終盤には1軍昇格もあるかもしれない。楽しみです。

◆君は大山悠輔のフォークをみたか!?まさか、中日の根尾が今季途中に野手から投手に転向して、この名古屋でもマウンドに登場したのに刺激された訳じゃないだろうけど、島田のタイムリーで1点を先制して、なお満塁のチャンスで打席に入った虎の主砲が、中日・松葉の初球をと捉えた打球はセンターの大島にキャッチされるか!? と思った瞬間、打球がストーンと落ちて走者一掃の三塁打。交流戦の大当たりが止まりかけていたと思ったら、この『フォークボール打法』の秘密特訓をしていたとは...。大山さん、恐れ入りましたァ!!先発の伊藤将も持ち味の粘投で5勝目アリガトウ!! 特に三回までは味方がゲッツーの打球をエラーしたり、9アウトでいいところを13アウトも取っていたのだ!! ホントにお疲れさまでした!!さあ、第3戦は育成から支配下選手に復帰して3年ぶりにマウンドに立つ才木浩人を絶対に勝たせてやろうぜ!! そして俺に『サイキのサイキ(才木の再起)の日』と思い切り笑顔でオヤジギャグを叫ばせてくれー!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
51241 0.680
(↑0.004)
M53
(-)
67344
(+2)
260
(+1)
91
(-)
52
(-)
0.256
(-)
3.000
(↑0.03)
2
(-)
巨人
40400 0.500
(↓0.006)
13.5
(↓1)
63315
(-)
339
(+2)
85
(-)
37
(-)
0.247
(↓0.001)
3.830
(↑0.02)
3
(-)
広島
37383 0.493
(↑0.007)
14
(-)
65289
(+2)
291
(-)
39
(+1)
14
(-)
0.256
(-)
3.420
(↑0.04)
4
(-)
DeNA
33390 0.458
(↓0.007)
16.5
(↓1)
71255
(+1)
300
(+2)
56
(+1)
25
(-)
0.250
(↓0.001)
3.740
(↑0.03)
5
(-)
阪神
35422 0.455
(↑0.008)
17
(-)
64268
(+5)
241
(+2)
51
(-)
63
(+2)
0.238
(↓0.001)
2.860
(↑0.01)
6
(-)
中日
32430 0.427
(↓0.005)
19
(↓1)
68221
(+2)
298
(+5)
40
(-)
24
(-)
0.248
(-)
3.810
(↓0.01)