阪神(☆6対5★)中日 =リーグ戦11回戦(2022.06.26)・阪神甲子園球場=
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中日
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阪神
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勝利投手:渡邉 雄大(3勝1敗0S)
敗戦投手:福 敬登(0勝2敗0S)
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◆阪神がサヨナラ勝利。阪神は2点ビハインドの8回裏、中野の2点適時打で試合を振り出しに戻す。そのまま迎えた延長11回には、2死二三塁の好機から熊谷が適時打を放ち、試合を決めた。投げては、8番手・渡邉が今季3勝目。敗れた中日は、先発・柳が7回3失点と試合をつくるも、痛い敗戦を喫した。

◆中日木下拓哉捕手(30)がベンチメンバーから外れた。この日は木下に代わって、出場選手登録された石橋が「8番捕手」でスタメン出場。木下はベンチを外れただけで、出場登録抹消措置を取られていないだけに、新型コロナウイルス感染などではなく、肉体、体調面の不良からのベンチ外とみられる。木下は投手陣をリードする正捕手だけでなく、267、3本塁打、22打点と打線でも存在感を発揮してきた。主砲ビシエドが左肩痛で離脱中。長期化すれば借金10の最下位にあえぐチームにとっては痛い戦列離脱になる。

◆阪神西純矢投手(20)が5回持たず、4回1/3を9安打4失点で降板した。3回までは無失点だったが、3-0の4回1死二塁から4連打を浴びて同点とされた。さらに、5回1死から大島に左翼線二塁打、岡林に四球、溝脇は二塁糸原の失策で出塁、満塁の走者を残して交代を告げられた。「初回から野手の皆さんに点を取ってもらったにもかかわらず、リードを守り切ることができず、申し訳ないです。イニングの先頭打者を簡単に出さないように工夫しながら投げましたが、少し慎重になりすぎてしまいました」右腕は前回19日DeNA戦(甲子園)も3回1/3を4安打3失点で降板し、2試合連続で責任投球回をクリアできなかった。リリーフした加治屋もA・マルティネスに犠飛を打たれて4点目を失い、勝ち越しを許した。

◆「カップルYouTuber」として人気の「なこなこカップル」の2人がファーストピッチセレモニーに登場した。なごみ(22)が大きく振りかぶって投球し、左打席のこーくん(24)がスイングした。ともに兵庫県出身で阪神ファン。始球式が決まってから猛特訓する様子もYouTubeで公開していた。関学大の先輩の近本を応援しているというなごみは「昔から家族一丸で応援していたので、夢みたいでずっと緊張していました。グラウンドに出た記憶がなくて。緊張しすぎて。練習の時は全然投げられなかったんですが、今日が一番できたかもしれないです」と興奮さめやらぬ様子。ファンクラブにも入り、甲子園に何度も来たことがあるこーくんは「練習の成果が出たと思います。グラウンドに立つことができて、夢みたいでした。今年は大山選手がすごい活躍していて、今日もホームラン打ってほしいです」と期待した。

◆阪神がサヨナラで3連勝を飾った。同一カード3連勝は今季4度目。借金を4に減らし、開幕直後をのぞいて最少タイとした。途中出場の熊谷敬宥内野手(26)がヒーローになった。同点の延長11回。2死二、三塁で右中間を深々と破り、4時間16分の熱戦に終止符を打った。熊谷は16打席ぶりのヒットだった。終盤の粘りが中日を上回った。9回のピンチをしのぐと、延長10回の守りでは2死一、二塁からの右前打に、途中から右翼に回っていた佐藤輝明内野手(23)が本塁にノーバウンド返球して勝ち越しを防いだ。延長に持ち込んだのは中野拓夢内野手(25)の一打だった。2点を追う8回。2死二、三塁からバットを折られながら三遊間を抜き、5-5とした。序盤は完全な阪神ペース。初回、中日柳裕也投手(28)に対して先頭から3連打。3番近本光司外野手(27)が左中間二塁打で1点先制すると、続くチャンスで大山悠輔内野手(27)が2点右前打を放った。幸先よくスタートしたが、先発の西純矢投手(20)が踏ん張れなかった。4回に5安打を集中され3-3と追いつかれた。5回1死満塁のピンチを招いたところで降板。加治屋蓮投手(30)が一時勝ち越し犠飛を許していた。▽この日の中日戦は年に2試合開催される女性向けイベント「TORAO DAY」として開催された。ファーストピッチセレモニーには人気カップルYouTuberの「なこなこカップル」の2人が登場。関学大先輩の近本を応援しているなごみは「昔から家族一丸で応援していたので、夢みたいでずっと緊張していました」と笑顔だった。入場者にはギンガムチェックのユニホームをプレゼント。サヨナラ勝ち後は、この日限定で意匠変更された球場外周の熊谷のポスター前で記念撮影する女性ファンが多く出るなど、にわかに"聖地"と化していた。

◆阪神がサヨナラで3連勝を飾った。途中出場の熊谷敬宥内野手(26)が同点の延長11回2死一、三塁で右中間を破り、4時間16分の熱戦に終止符を打った。プロ初のサヨナラ打で甲子園初のお立ち台。同じ仙台市ゆかりのお笑いコンビ、サンドウィッチマンのネタ「ちょっと何言っているか分からない」をお立ち台で言いたいと入団時から宣言しているが、千載一遇のチャンスで言い出せなかった。今月11日の敵地京セラドームでのヒーローインタビューでは「今日は無理です」とギャグを回避。伊達みきおがすぐにブログで催促していた。-今の気持ちは「サイコーで~す」-打った感触は「何打ったか覚えていないくらい興奮していたので本当打ててよかったですし、無我夢中でいきました」-延長11回、非常に緊迫する場面。どんな気持ちで「前の打席、簡単にフライを上げて終わってしまったので、チャンスだったし何とか返そうとだけ思ってい。打ててよかったです」-ちなみにプロでのサヨナラ打は「初めてです!」-大きな声援「ホームでヒーローになるのも初めて。歓声がすごくてうれしく思っています」-いつもは守備や走塁で貢献。今日はバットで「たぶん、ここにいる人たち、まさか僕が打つとは思っていなかったと思う。いい意味で期待を裏切ったかなと思います」-3連勝「ファンの皆さんの声援のおかげだと思います。最後まであきらめなかったというのが伝わった試合でした」◆熊谷のサヨナラ打 プロ初のサヨナラ安打を放った熊谷は、仙台育英時代に甲子園球場でサヨナラ打を打っている。3年夏の13年8月10日、1回戦の浦和学院戦で9回2死一塁から左越え二塁打。11-10で勝った。この試合は1番遊撃で5打数4安打3打点。ちなみに仙台育英2番手で勝利投手の馬場皐輔は、同じ17年ドラフトで指名され阪神でも同僚になった。

◆中日が阪神3連戦に全敗し、5連敗となった。先発柳裕也投手(28)は初回に3失点した後は得点を許さず、7回3失点で降板。打線は4回にA・マルティネスからの4連打で同点に追いつき、5回に勝ち越し。5-3の8回から「必勝パターン」の継投に入ったが、ロドリゲスが中野に2死二、三塁から左前に2点適時打を運ばれた。延長11回2死一、三塁で6番手山本が熊谷にサヨナラ打を浴び力尽きた。同点の延長10回2死一、二塁では石橋の右前打で二走石岡を本塁に突入させるも、佐藤輝の好返球に憤死した。立浪監督は「球がそれればと。なかなかヒットが続かないので。あれはベンチからもヒットだったら全部行けと(指示した)」と説明。連敗ストップへの強行策も勝利の女神に見放された。中日は借金も「11」。屋外球場では、5月12日ヤクルト戦(神宮)から、マツダスタジアム、ZOZOマリンスタジアムを挟んで10連敗。指揮官は「勝ちパターンまでひっくり返されると痛い。勝てていないときは、そういうことも起きる」と、寂しげに肩を落とした。

◆中日は継投失敗で敵地3タテを食らい、5連敗となった。打線が4回に3点差を追い付き、5回に勝ち越し。7回3失点と粘った先発柳裕也投手(28)の後を受け「必勝パターン」で逃げ切るはずが、8回にジャリエル・ロドリゲス投手(25)が2点差を追い付かれ、延長11回に6番手山本拓実投手(22)がサヨナラ打を浴びた。立浪和義監督(52)は「勝ちパターンまでひっくり返されると痛い。勝てていないときは、そういうことも起きる」と肩を落とした。屋外球場の連敗は10に伸びた。試合後の立浪監督の一問一答は以下の通り。-ロドリゲス、山本ともにあと1人で痛打された「そうですね。久しぶりに追い越したが、勝ちパターンでいって、最後やられる分はしょうがない。いいところもあったし、ミスもあった。反省して振り返ってやるしかない」-木下がベンチを外れた「ちょっと腰痛があった。何日か試合に出られない。(東北2連戦は)行かない予定。バンテリンドーム(阪神戦)から出られるように。(この日は)球場に来て治療はして(名古屋に)戻った」-スタメン起用の石橋は「これからの選手ですし、ミスはあると思う。また乗り越えないと。ああいうところ(延長11回1死一塁)で三振ゲッツーのチャンス(つぶした)。いい球かどうかは分からないが、課題としてやっていくしかない」-守護神R・マルティネスは出さなかった「延長12回まで考えたときに、阪神の場合は後攻めだから先に使う。ウチもそうですが、12回まで置いておかないといけないので」-柳が初回打たれ、2回以降持ち直した「横から見ているのでコースは分からないが、立ち上がりは阪神の勢いでポンポンと連打された。途中からはカーブとか緩急をうまく使い出したかな」-清水は9回を3人で抑えた「上位打線だからロドリゲスよりも先にとも考えたが、打順によって7、8回を変えてられない。今日はあえて清水に行かせた」-石岡が3試合とも存在感を見せた「長打という意味ではそう期待はできないが、守備も含めて非常にいい働きはしてくれている」-延長11回は石岡から安打がつながったが、二塁から本塁憤死した「球がそれればと。なかなかヒットはそんなに続かないので。あれはベンチからもヒットだったら全部行けと」-28日からの東北遠征での入れ替えは「鵜飼を下で1回ゲームに出させる。代打で使う選手でもないですし、ちょっとここまでやってきて、本人も悩んでいる部分もある。試合に出て、よくなったら、もちろん上げる」-粘ったが負けた「勝ちパターンまでひっくり返されると痛い。これは試合ではこういうこともある。なかなか勝てていないときはそういうことも起きる。先頭打者のラッキーなヒットも、ウチにもあったが、そういうことが負けているときは重なる」

◆阪神がサヨナラで3連勝を飾った。途中出場の熊谷敬宥(たかひろ)内野手(26)が同点の延長11回2死二、三塁で右中間を破り、4時間16分の熱戦に終止符を打った。矢野燿大監督(53)の一問一答は以下の通り。-今の心境は「脇役になっている敬宥が決めてくれるっていうのは、誰が決めてくれてもうれしいんですけど、まあでもああいう、必死にやっている選手が打ってくれるのはうれしいですね」-大山との勝負を避けられて熊谷「当然そうしてくると思っていました。でも初球から振っていっていたので、気持ちの部分では、すごく前を向いたスイングをしていた。何とかしてくれっていう全員の思いを形で表してくれて、本当にうれしい」-投手陣がつなぎ、佐藤輝のバックホームなど守りでも勝った試合だった「普段から、全員野球っていうのは大事な部分。本当に全員でつないで勝てたっていうのはチームのムードとしても盛り上がっていきますし。こういう試合というのが僕たちの野球。こういう試合をしてくれた選手たちに感謝しています」-この勝利の意味「また(来週)金、土、日に中日と戦いますし、広島と苦しい試合の後(2敗1分け)で3連勝でいけたというのは火曜日からにもつながる。全員が何らかの形で絡んでいるという勝ち方は、チーム全体が乗っていける。引き分けと勝ちでは全然違う」-満員のお客さんが笑顔「今年になってからこうやって満員の中でやれるというのはプロとして励みになります。今日はTORACO DAYで一番顔のいい敬宥が決めてくれて、ファンのみなさんも喜んでくれると思います」-追いついた場面もつないだ結果「もちろん拓夢(中野)のヒットも大きい。向こうも勝ちパターンでいい投手を出してきたところ。2点差で、そう簡単じゃなかったけど何とかしてくれた。今日は投手が粘ってくれたし、テル(佐藤輝)のいいバックホームもあった」-延長戦が多い中で「延長で負けちゃうとどうしてもね。投手を使って負けると疲れもたまりやすくなる。勝つことが疲れを吹き飛ばしてくれる」-中野は失敗を恐れずにプレーしている「昨年からずっとね。あいつは挑戦する野球をやってくれている。選手の可能性を伸ばす意味では、超積極的という言葉の方が選手もいける。それを後押ししていくのが俺らの仕事」-主力もどっしりとし、控え選手も活躍「目に見えない部分の、ベンチでの声かけや声出しとかもね。だから、普段打席に入ってない人が打席に入るとベンチでみんな応援するし。スタメンで出ているやつを、控えがすごく応援しているし、そういうところでつながりというものは出てくる。そういう野球をやってくれている」

◆苦節5年目、阪神熊谷敬宥(たかひろ)内野手(26)がプロ初のサヨナラ打で3連勝に導いた。5-5同点の延長11回2死二、三塁。右中間を破るタイムリーで4時間16分の熱戦に終止符を打った。プロ13本目のヒットが劇的安打。チーム屈指のイケメンは初めて立った甲子園のお立ち台で爆笑トークを展開し、満員札止めの聖地を盛り上げた。ライナーが右中間を深々と抜けていく。熊谷は無我夢中で仲間の手荒い祝福に身を任せた。「最高です! 何を打ったか覚えていないくらい、興奮していました。ここにいる人たち、まさか僕が打つとは思っていなかったと思う。いい意味で期待を裏切ったかなと思います」。チーム屈指の人気者が自虐的に話すと、笑いと歓声が湧き上がった。夢に見た甲子園のお立ち台。「360度阪神ファン。初めてなので新鮮でした」ととびきりの笑顔だ。脇役でチームを支える5年目の苦労人が、主役になった。8回に代走で出場し、三塁守備へ。そして同点の延長11回2死二、三塁。6番手山本の150キロ真っすぐをとらえた打球が右中間を破り、4時間16分の熱戦に終止符を打った。それまで15打席無安打。「打席に立つ数は少ないけど、その中でアピールしないとレギュラーにたどり着けない。本当に今日の1本はよかった」。プロ13本目のHランプに自身も酔いしれた。内野は全ポジション、外野も守れる俊足。もちろん途中出場は難しい。「慣れないです。自分にカツを入れながらやっている」。展開を見ながら緊張感を高め、代走、代打、守備固めと全てを想定し、出番をイメージしていく。11日オリックス戦では同点の11回に代走出場。二盗が相手の送球ミスを誘う間に快足を飛ばし、一気に決勝のホームを奪う"神走塁"も魅せた。出場時間は短くても、試合前は最も活動量が多い選手として知られる。ノックはノーエラー、走塁練習では必ずMAXのスピードを出して手を抜かない。もちろん、控えに甘んじるつもりもない。昨オフ、同じ右の内野手の広島菊池涼に初めて弟子入りして自主トレ。打ち方から、捕球の形までそっくりになるほど必死に、技術を盗んだ。日々の地道な積み重ねを、野球の神様も見ていたのだろう。矢野監督は野球への姿勢、貢献度を高く評価する。「脇役になっているタカヒロが最後決めてくれて。誰が決めてもうれしいけど、でも、ああいう必死にやっている選手が打ってくれるのはうれしい」っと背番号4をがっちりハグした。伏兵の活躍で3連勝。最高のムードでDeNA、中日とのビジター6連戦に出発する。【柏原誠】

◆阪神がサヨナラで3連勝を飾った。途中出場の熊谷敬宥(たかひろ)内野手(26)が同点の延長11回2死二、三塁で右中間を破り、4時間16分の熱戦に終止符を打った。○...救援陣が0のバトンをつないでサヨナラへの流れを作った。5回に加治屋が勝ち越しを許したが、6回は岩貞がピシャリ。「リリーフ陣の投球で流れを持ってくるんだという気持ちでマウンドに上がりました。自分の役割を果たすことができた」。7回を浜地が抑えると、8回はケラーが3人斬り。「楽しみながら投げることができたよ。チームに良い流れを持ってくることができたんじゃないかな」。岩崎、湯浅とつないで11回は渡辺が0封。「しっかり自分の球を投げることができました。サヨナラ勝利につながる投球ができてよかった」。早くも移籍3勝目をゲットした。○...24日にプロ初勝利を挙げたばかりの湯浅は冷や汗をかいた。同点の延長10回に7番手で登板。簡単に2死を取ってから、3連打を浴びた。佐藤輝の好返球でことなきを得た。リーグトップの節目の20ホールドに到達。「テルさんの守備にも助けられながら、なんとか0点でよかった。数字は気にしていませんが任された場面で役割を果たしてきた積み重ねの結果です」と息をついた。▽阪神西純(先発も4回1/3、4失点で2試合続けて5回持たず)「リードを守り切ることができずに降板となってしまい、チームに申し訳ない。少し慎重になりすぎてしまいました」

◆阪神がサヨナラで3連勝を飾った。途中出場の熊谷敬宥内野手(26)が同点の延長11回2死一、三塁で右中間を破り、4時間16分の熱戦に終止符を打った。阪神の劇的サヨナラ勝ちに、佐藤輝明内野手(23)のレーザービームも欠かせなかった。5-5同点の延長10回2死一、二塁。石橋の右前安打で勝ち越し点を奪われたかに思われた。だが、ワンバウンドでつかむと、捕手梅野のミットを目がけて、低く強いノーバウンド送球。二塁走者石岡が頭からホームに突っ込んだが、楽々アウトのタイミングで刺した。鬼肩発動の超スーパープレーに甲子園は大歓声。本塁後方でバックアップしていた湯浅も、ホッとした表情でグラブをバンバンたたいて喜んだ。勝ち越し点を与えていれば敗色ムードの大ピンチ。矢野監督も「輝のいいバックホームもあったし。本当に全員が何かしら絡んでいる」とたたえた。4番三塁で出場したこの日は9回から右翼に回っており、今季2つ目の外野補殺がここ一番で出た。終盤に右翼へ戻ることが多いが、1試合で2つのポジションを器用に守るだけでなく、昨季リーグ3位タイの7補殺を記録した強肩も、相手の得点を阻止する大きな武器だ。打ってはスタメン野手の中でただひとり、6打数無安打に終わった。3回、7回には中堅に大飛球を飛ばしたが、フェンス手前で失速。交流戦最後の12日オリックス戦(京セラドーム大阪)以来、9試合本塁打が出ていない。本拠地甲子園では、4月15日巨人戦の4号2ラン以来、昨季に並ぶ最長タイの27試合、116打席ノーアーチが続いている。1日も早い甲子園弾を見たいが、鬼肩で防いだ"打点1"も佐藤輝ならではの魅力だ。28日からは今季打率5割、3本塁打、4打点と打ちまくる横浜スタジアムでDeNAとの3連戦。好相性の敵地で、そろそろ強烈なアーチが飛び出すか。【石橋隆雄】

◆阪神の劇的なサヨナラ勝ちに、中野拓夢内野手(25)の起死回生の同点打は欠かせなかった。2点を追う8回2死二、三塁。ロドリゲスの156キロの直球にバットを折られたが、ボテボテの打球が三遊間を破る執念の一打で試合を振り出しに戻した。「思ったよりボールが見えていなかったので、詰まってもいいや! ぐらいの気持ちで何とか。その結果がいいところに飛んでよかったなと思います」。初回の3点以降得点できず、漂っていた嫌なムードを一振りで一掃。再び流れを阪神にもってきた。「TORACO DAY」で多くの女性ファンが足を運ぶ中、今季初めて甲子園で猛打賞。「TORACO DAYでたくさんの方が見に来ていただいた中、いいタイムリーを打つことができた。たくさんの方に喜んでくれたんじゃないかなと思います」。猛打賞7回はヤクルト塩見、近本の8回に次ぐリーグ3位タイ。1番に座って5試合連続安打と、上昇中の打線をけん引している。28日が26歳の誕生日。「終わりよければすべてよしじゃないけど、25歳をいい形で終われた」。絶好調のリードオフマンが上位浮上を引っ張る。【三宅ひとみ】

◆阪神熊谷敬宥内野手(26)のプロ初のサヨナラ安打は、仙台育英で同学年だった親友、ソフトバンク上林にも届いた。「甲子園のお立ち台に立っていましたね。うれしいですね」と、その姿を映像で見て声を弾ませた。阪神馬場と3人で甲子園を湧かせた間柄。高校時代は熊谷がよく打撃のアドバイスを求めてきた。「右と左で違うから右のいい打者をマネしたらいい」と助言すると、熊谷は当時巨人の長野の打ち方を参考にしていた。「大学(立大)に入ってからは、右打ちする姿も増えてきたと思います」。この日のサヨナラ打のように逆方向へ食らいつく打球で、大学、プロとレベルが上がる中で生き残ってきた。「もっと振る力がつけば」と、打撃面での成長を期待する。上林は5月中旬に右アキレス腱(けん)を断裂。福岡・筑後市のファーム施設でリハビリ生活を送る。「励みになりますよ。ルックスはあるんで、もっと野球で活躍して人気選手になってほしい」。イケメンスター化を楽しみにしていた。【阪神担当=石橋隆雄】

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】26日の阪神対中日戦は延長戦。熊谷敬宥がサヨナラ打で本拠地初のお立ち台に。13年8月、仙台育英時代のサヨナラ打の歓喜も合わせてどうぞ。

◆阪神甲子園球場は、26日の対中日戦(甲子園)のチケットが全席完売になったと発表した。当日券の販売は窓口を含め行われない。試合開始は午後2時。阪神は西純、中日は柳の予告先発で行われる。

◆阪神・西純矢投手(20)が「9番」で先発する。6月1日の西武戦(甲子園)を最後に、ここ2試合は白星から遠ざかっている。今回は今カードで、24日の第1戦の八回に決勝2点打を放ち、25日の第2戦も2安打とバットで勝利に貢献して2試合連続のヒーローとなった梅野隆太郎捕手(31)がスタメンマスク。5月8日の中日戦(バンテリンD)以来、今季3度目となる先発バッテリーを組み、今季4勝目とカード3連勝を狙う。またメル・ロハス・ジュニア外野手(32)が「7番・左翼」に入った。

◆阪神が3連打で先制。近本光司外野手(27)が左中間を破る適時二塁打を放った。一回先頭の中野が左前打を放つと、今季15個目の盗塁を決め、無死二塁。島田が右前打を放ち、一、三塁の好機を作った。打席には絶好調の3番・近本。カウント2-0から柳が投じた3球目だった。142㌔を完璧に捉えると、打球は左中間を破る適時二塁打。球団では1968年の藤井栄治と並ぶ歴代6位の23試合連続安打とした。「打ったのはストレート。初回から打線が繋がっていい流れでしたし、(西)純矢が楽に投げられるように、どんな形でも先制点を取りたいと思っていました。いい形で打つことができたと思います」とコメント。先制した打線はなおも1死二、三塁で大山が2点右前打を放って追加点。序盤からリードを奪った。

◆阪神・西純矢投手(20)が先発したが、五回途中9安打4失点(自責3)で降板した。一回に3点の援護をもらい、三回までは走者を出しながらもゼロを並べた。しかし、四回は先頭の岡林に中前打を許し、1死後にA・マルティネスに左前打を浴びて1点を返されると、この安打から高橋周の同点となる左前2点打まで4連打と打ち込まれた。二回から3イニング連続で併殺を取るなど粘りは発揮していたが、五回は1死から三塁線を破る二塁打と四球、さらに二塁・糸原の失策で満塁とされたところでベンチは決断。72球を投げたところで降板となった。代わった加治屋はA・マルティネスに中犠飛を打たれ、中日にこの試合で初めてリードを許した。西純は6月1日の西武戦(甲子園)を最後に白星から遠ざかっており、今回も4勝目はならなかった。

◆阪神・中野拓夢内野手(25)が八回に値千金の同点打を放った。3-5で迎えた八回2死二、三塁。中日の2番手・ロドリゲスの156㌔直球に食らいついた。詰まりながらも最後の一押しを込めた打球は、三遊間を抜ける。三走・熊谷、そして二走・小幡もヘッドスライディングで生還し、試合を一気に振り出しに戻した。中野は一回に左前打、四回には右翼線へ二塁打を放っており、これで今季7度目の猛打賞。2つの盗塁もマークし、グラウンドで躍動した。

◆阪神が今季2度目のサヨナラ勝利。代走から途中出場の熊谷敬宥内野手(26)が延長十一回にサヨナラヒットを放って試合を決めた。打線は一回、近本の適時二塁打と大山の2点右前打で3点を先行した。しかし、先発の西純が四回につかまる。1死一塁から4連打を浴びて同点。守備のミスもあり五回1死満塁としたところで降板すると、2番手・加治屋が中犠飛を許し、逆転された。それでも、3-5の八回2死二、三塁で、中野がロドリゲスの156㌔に食らいつき、起死回生の2点左前打。試合を振り出しに戻すと、延長十一回、2死二、三塁から熊谷が山本の150㌔を中前にはじき返した。阪神は5月5日のヤクルト戦(甲子園)以来のサヨナラ勝ちで中日に同一カード3連勝を決めた。

◆阪神が延長十一回2死二、三塁から熊谷敬宥内野手(26)の右中間への安打で、今季2度目のサヨナラ勝ちを決めた。八回の中野拓夢内野手(25)の同点打で延長戦に突入し、激戦を制して、同一カード3連勝を飾った。近本光司外野手(27)は球団歴代6位に並ぶ23試合連続安打。矢野耀大監督(53)のテレビインタビューは以下の通り(チーム成績34勝38敗2分、観衆4万2085人)。ーーすごい試合になりました「いや、まあ最後ね。現状、脇役になっている敬宥が決めてくれるという...。まあ、誰が決めてくれても嬉しいんですが、ああいう、必死にやってるヤツが打ってくれるのはすごく嬉しいです」ーーあの場面はどういう思いで。大山申告敬遠で熊谷勝負「当然、逆の立場でもそうしてると思うんで、敬宥も振っていたんで、気持ちの部分では前に向いたスイングをしていたんでね。何とかしてくれという全員の思いを敬宥が形で表してくれて本当に嬉しいです」ーー佐藤輝がバックホームで刺すなど、守りで勝った(延長十回2死一、二塁からの右前打で本塁で刺す)「普段から、いつも俺たちの野球と言っていて、その中でも全員野球は大事な部分でもあるし、全員でつないで勝てたのは、チームのムードとして盛り上がっていきますし、こういう試合が僕たちの野球なんで改めて、選手に感謝しています」ーー勝ち切った意義は「折り返しで、また、(7月1日からの)金、土、日と(バンテリンドームで)中日と戦いますし、うちが広島と苦しい試合の中で引き分けで、3連勝できたのは、火曜日(28日からのDeNA3連戦)にもつながるし、全て大きい。全員が何らかの形でからんでいる勝ち方でチーム全体が乗っていける。引き分けと勝ちでは全然違いますし、みんなよくやってくれました」ーー満員の観衆「コロナ禍で、最近は入って頂きますし、満員の中でやれるのは励みになる。〝TORACOデー〟なんで、一番顔のいい敬宥が決めてくれたのは、ファンの皆さんも喜んでくれると思いますし、いいヒーローインタビューしてもらいたいと思います」ーー今後の戦いに向けて「あきらめない。超積極的。全員一丸。ピンチがチャンス。本当にあきらめない野球が今日につながったと思いますし、それが僕たちの野球なんで、火曜日からもしっかりやっていきたい」

◆阪神が延長十一回2死二、三塁から熊谷敬宥内野手(26)の右中間への安打で、今季2度目のサヨナラ勝ちを決めた。八回の中野拓夢内野手(25)の同点打で延長戦に突入し、激戦を制して、同一カード3連勝を飾った。近本光司外野手(27)は球団歴代6位に並ぶ23試合連続安打。矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り(チーム成績34勝38敗2分、観衆4万2085人)。(テレビインタビュー)ーーすごい試合になりました「いや、まあ最後ね。現状、脇役になっている敬宥が決めてくれるという...。まあ、誰が決めてくれても嬉しいんですが、ああいう、必死にやってるヤツが打ってくれるのはすごく嬉しいです」) ーーあの場面はどういう思い。大山申告敬遠で熊谷勝負「当然、逆の立場でもそうしてると思うんで、敬宥も振っていたんで、気持ちの部分では前に向いたスイングをしていたんでね。何とかしてくれという全員の思いを敬宥が形で表してくれて本当に嬉しいです」ーー佐藤輝がバックホームで刺すなど、守りで勝った(延長十回2死一、二塁からの右前打に対し、ストライク返球で二走を本塁で刺す)「普段から、いつも俺たちの野球と言っていて、その中でも全員野球は大事な部分でもあるし、全員でつないで勝てたのは、チームのムードとして盛り上がっていきますし、こういう試合が僕たちの野球なんで改めて、選手に感謝しています」ーー勝ち切った意義は「折り返しで、また、(7月1日からの)金、土、日と(バンテリンドームで)中日と戦いますし、うちが広島と苦しい試合の中で引き分けで、3連勝できたのは、火曜日(28日からのDeNA3連戦)にもつながるし、全て大きい。全員が何らかの形でからんでいる勝ち方でチーム全体が乗っていける。引き分けと勝ちでは全然違いますし、みんなよくやってくれました」ーー満員の観衆「コロナ禍で、最近は入って頂きますし、満員の中でやれるのは励みになる。〝TORACOデー〟なんで、一番顔のいい敬宥が決めてくれたのは、ファンの皆さんも喜んでくれると思いますし、いいヒーローインタビューしてもらいたいと思います」ーー今後の戦いに向けて「あきらめない。超積極的。全員一丸。ピンチがチャンス。本当にあきらめない野球が今日につながったと思いますし、それが僕たちの野球なんで、火曜日からもしっかりやっていきたい」 (囲み)ーー追いついた場面もつないだ結果「拓夢のヒットも大きいし、向こうも勝ちパターンで、いいピッチャー出してきてるところ。2点差で簡単なところじゃなかったけど。全員でつないで拓夢が何とかしてくれた。今日はいろんなところがあるよね。ピッチャーが粘ってくれたし、輝のバックホームもあったし。全員が何かしら絡んでるので。誰がどうっていうのは、ちょっと難しいぐらい」ーー延長戦が多かったなかで勝ちきった「延長で負けちゃうとどうしてもね。ピッチャーとかも使った中で延長で負けてしまうとやっぱり、もったいないというか、多少疲れも溜まりやすくなる。勝つのが俺らの疲れを吹き飛ばしてくれることでもある。そういうところでは広島の延長で、ある意味負けなかったっていうか。こうやって、勝ちが続いていっているんでね。そして、今日は勝ち切れたのは、大きい試合にしてくれた」ーー中野は失敗を恐れずにプレー「昨年からずっとね、背中を押しているし、アイツも、そういう野球は俺たちの野球なんだと理解してくれて、挑戦してくれる野球をやってくれている。そういうものが、結果も俺はいい方向に行くと思うし、選手自体の可能性を伸ばす意味では、超積極的という言葉の方が選手も行けるし、それを後押ししていくのが俺らの仕事。そういうことも理解して挑戦してくれていると思います」 ーー主力もどっしりとし、控え選手も活躍してすごくいい循環「だから、何かしらみんな絡んでくる。目に見えない部分のベンチでの声かけや声出しとかね。そういうものを含めてね、全員で野球をやってくれている。普段打席に入ってないヤツが打席に入るとベンチでみんな応援する。いつもスタメンで出ているヤツを、控えのヤツは、すごく応援している。そういうのも含めて、そういうところでつながりというものは出てくると、そういう野球をやってくれているんで」ーー打線の反発力が上がってきたのも、ムードに影響しているか「どっちもあると思う。打てるようになったのもあるし、調子が良くなくても、前を向いてやろうという努力はしてるけど、結果がついてきたからこそ、それができることはある。みんな苦しい時でも何とか前を向いてやろうとか、楽しむとか。挑戦してることは簡単なことじゃないけど、やってくれてる。次の日にすぐ結果が出ることはないけど、それをやって、やって、やって、やって行った中の、その先に結果が待っていると思う。そういう野球をやろうとしてくれているのが今日に出た。つながったのはあるかもしれない」ーー近本、大山の適時打が出た初回の攻撃は見事「悠輔のタイムリーも大きかったし。いい形、いい場面で打点も増えてきてる。打率もホームランも上げて欲しいけど、打点を挙げるのはチームの大きな力になる。相手にとっても嫌な打者になってきている感じは、そういう所にも表れてきてるかな」ーー西純は不運な打球も「不運なのかなあ。俺にはあまり分からないけど。若いピッチャーなんでね。経験を積みながら成長していかなきゃいけない。対戦していけば相手も研究してくるし、疲れも出てくる中で、どうパフォーマンスを出していくかが純矢自身も分かっていると思う。経験しなければ分からないところに純矢もきていると思う。不運というよりは俺は実力かなと思う」ーー次戦は「まあちょっと考える。まだ分からん」

◆阪神での現役時代、〝代打の神様〟として、虎党から絶大な支持を得たサンケイスポーツ専属評論家・八木裕氏(56)は同点打の中野拓夢内野手(25)のフォームを見ると、1998年、横浜(現DeNA)の日本一に貢献したロバート・ローズを思い出すと語った。八回に中日・ロドリゲスが極端に一塁走者を気にして自分のリズムを崩さなければ、阪神は同点にするのは難しかった。それぐらい、打者に対してはすごい球を投げていた。さらに、もう1つの失敗は阪神打線の中で今、最も真っすぐに強い中野に真っすぐ勝負したこと。これが中日が勝ち試合を落としてしまった要因であり、つまりは阪神が逆転勝ちに結びつけた一番のポイントだろう。現状の中野はヒットゾーンに打球が飛ぶスイングになっている。あれだけインサイドから上手くバットが出ると、しっかり捉えれば、ほぼヒットだし、詰まってもポテンヒットになったり、野手の間に飛んだりするもの。理想的な形で打ったから、あの劇的な同点打になった。 元横浜・ローズ 古い話だが横浜が98年に優勝した頃の最強助っ人、ロバート・ローズを思い出した。ローズには、どこへ投げても打たれた印象が強い。詰まって、アッチ向いてホイ! みたいな形になってもスタンドインされた記憶がある。今の中野は、あの強打者に近い。中野から始まる打線は6番・糸原まで、ほぼ全員が好調。唯一気になるのが4番・佐藤輝だ。時々ヒットが出ているので大袈裟に心配する必要はないのだが、練習の中で、試合の中で、工夫していってほしい。というのも他の打者も必ず下降線に向かう。絶好調の大山ですらホームランは少し遠ざかっている。どちらかといえば下降線になりつつある。チーム全員が不調という状況を防ぐことが、上位進出へのカギ。佐藤輝には、その役割を担ってもらいたいのだ。4番打者の大変さは理解するが「次は俺が引っ張っていく」という気概で、調子を上げてもらいたい。投手陣では西純が気になる。そろそろ先発ローテーションを考え直す時期に来ているのではないか。好調だった時期と比較すると、真っすぐの威力が落ちている。原因が疲れなのかどうかは分からないが。登板間隔をあけるのか、先発を1回飛ばすのか、それともリフレッシュの意味で外すのか。実質1年目の投手だから、流れを変えてあげることも必要だ。

◆中日の木下が腰痛で欠場した。立浪監督は「何日か試合に出られない」と説明。出場選手登録からは外さず、7月1日からの阪神戦での復帰を目指す。

◆執念のひと振りはグシャリとの〝快音〟を残し、しぶとく三遊間を破った。中野が2点ビハインドの八回に同点の2点打。サヨナラ劇につなげる活躍で、「TORACO DAY」を彩った。「自分の役割は後ろの打者につなぐことだと思っていたので、強い気持ちで打席に入った結果が、いいところに飛んだかな、と思います」中日のセットアッパー・ロドリゲスに対し、糸原&ロハスの連打、梅野の投前犠打で完成したチャンス。直前の代打・糸井は空振り三振に倒れたが、10球に及ぶ粘り合いを控えながら目に焼き付けていた。自身の打席でとらえたのはカウント1―1からの3球目。内角の156㌔を振り抜き、詰まらされてバットを折られながらも逆方向に運んだ。三走・熊谷に続き、二走・小幡は頭から飛び込んで同点の生還。試合を振り出しに戻し、一塁上ではお立ち台でチーム内での流行だと明かした、手首を左右に振る「うなぎポーズ」をベンチに向け、喜びを表現した。一回は3点の先制劇の起点となる左前打、四回も右翼への二塁打を放った。3安打以上は今季6度目だが、甲子園では今季初。加えて2度の二盗成功で、リーグトップのヤクルト・塩見に1差と迫る?盗塁とし、TORACOも大喜びだ。28日に誕生日を控える男にとっては、この一戦が25歳最後のゲーム。3タテ竜退治にしっかりと加わり「『終わりよければすべてよし』じゃないが、25歳をいい形で終われた。火曜日から26歳が始まるが、しっかりといいスタートを切れるようにやっていきたい」と新たな1週間、新たな一年の始まりに前向きな気持ちで向かうことができる活躍に、胸を張った。「まだ1番バッターにはなりきれていないので、ファンのみなさんに認めてもらえるような1番バッターになりたいと思います」リードオフマンを任されるようになった22日の広島戦(マツダ)以降、5試合で打率・385(26打数10安打)と絶好調だが、理想はまだまだ上にある。打って走って守って、〝虎のうなぎ上り〟をけん引していく。(須藤佳裕)

◆島田が激痛に耐えて、歓喜のホームを踏んだ。5ー5の延長十一回先頭で福の137キロツーシームが左手首付近に直撃する死球で出塁。表情をゆがませ、矢野監督らも駆け寄ったが、一度ベンチに下がってから一走に戻ると、1死後に佐藤輝が空振り三振する間に二盗に成功し、捕手の悪送球で三塁へ。その後2死二、三塁から同期入団の熊谷の一打で生還し、「うれしかったですし、めちゃくちゃ(死球が)痛かったので、かえしてくれという思いでした」と声を弾ませた。

◆延長十回、右翼・佐藤輝からの返球はまっすぐに、寸分の狂いもなく捕手・梅野のミットに収まった。二塁から突入してきた走者の石岡をアウトに仕留めて、勝ち越し点を防いだ。グラブをポンと叩いて喜びを表現した佐藤輝に、虎党が大きな拍手を送った。矢野監督も「テル(佐藤輝)のいいバックホームもあった」と絶賛したビッグプレーでチームを救った。5-5の延長戦に突入した十回、2死一、二塁のピンチを迎えた場面だった。この回から登板した湯浅が石橋にカウント2-2から152キロの直球を捉えられると、打球は右前で弾んだ。スタンドからはためいきも漏れ、ファンの誰もが中日に勝ち越し点を与えるのを覚悟した。だが、佐藤輝が素早く打球を処理すると、周囲も驚くレーザービームを発動。佐藤輝の好プレーで最大のピンチを乗り切り、湯浅も「(佐藤)テルさんの守備にも助けられながら、なんとか0点に抑えることができた」と感謝した。それでも、バットではチームの勝利に貢献できなかった。一回、近本が先制打を放った直後の無死二、三塁で回ってきたチャンスでは空振り三振に。快音は響かず、1試合ではプロ初の6打数無安打となった。24日の中日戦(甲子園)では3安打猛打賞。前日の四回には左中間を破る適時二塁打を放つなど、打撃の状態は決して悪くはない。ここから勝負の夏がやってくる。虎の怪物が、次は自慢のパワーでチームを勝利へと導く。(平野佑治)

◆大勢詰めかけた女性ファンの前でイケメン男が打って勝った!! 阪神は延長十一回、熊谷敬宥内野手(26)が自身初のサヨナラ打を放って、今季4度目の同一カード3連勝を果たした。若虎がカッコよく試合を決め、チームはさらに上昇ムードだ!!黄色い大歓声が甲子園を包み込む。ナインから浴びせられたウオーターシャワーの祝福にさわやかな笑顔が弾けた。水も滴る〝虎のイケメン〟が、劇的勝利の立役者。入場券完売、4万2085人の観衆が見守るなか、甲子園初のお立ち台に立った熊谷が叫んだ。「最高でーす! 多分ここにいる人たちはまさか僕が打つとは思っていなかったと思うので、いい意味で期待を裏切ったかな、と思います」4時間16分の激闘を締めくくった。5-5で迎えた延長十一回2死二、三塁。山本の150キロ直球をとらえると、白球は右中間を突き破る。八回に代走で途中出場した伏兵が放ったプロ初のサヨナラ打。「無我夢中で行ったんで、何が起こったか覚えてない」。待っていたのは最高の瞬間、そして最高の景色だった。この日は阪神タイガースを応援する女の子たちのお祭りとして開催された「TORACO DAY」。スタンドをギンガムチェックの特別ユニホームを着た女性ファンが埋めつくした。熊谷を「ジャニーズ」と呼ぶこともある矢野監督は「トラコデーで、一番顔のいいタカヒロ(熊谷)が決めてくれたというのは、みなさんも喜んでくれる」と笑った。TORACOの視線を独占したチーム屈指の〝二枚目〟。注目ポイントは顔だけにとどまらない。毎年、父の日と母の日には両親へプレゼント。今年も父・英男さん(54)と母・徳美さん(55)に、かばんを送って感謝の気持ちを伝えた。心の中は細やかな気遣いであふれている。心もイケメンだ。そして、甘いマスクからは想像がつかないほど、強い気持ちを持ち合わせている。プロ野球の世界に入ってから、両親の前で弱音を吐いたことは一度もない。いまは、主に代走や守備固めでの起用。たゆまぬ努力と不屈の精神で自らの生きる場所をつかみ取った男は、2月の沖縄・宜野座1軍キャンプで正二塁手の糸原に宣戦布告。次はレギュラー奪取を目指して、己を磨いている。熊谷の一打でチームは今季2度目のサヨナラ勝利。6月10-12日のオリックス戦(京セラ)以来、今季4度目の同一カード3連勝を決めた。首位ヤクルトとは14ゲーム差。厳しい状況に変わりないが、奇跡の逆転優勝へ勢いをもたらすラッキーボーイが出てきたことは心強い。「360度、どこを見ても阪神ファンですごいな、と。初めてなので新鮮だな、と思いました。最高の気分です」この手応えを、お立ち台から見た景色を忘れることはない。TORACOをメロメロにした虎のイケメンは、必ずまた、この舞台に帰ってくる。(原田遼太郎)

◆途中いろいろありましたが、終わり良ければすべて良しじゃないけれど、とりあえずは良し。阪神がサヨナラ勝ちで3連勝です。サヨナラのヒーロー、熊谷たちの原稿はトラ番に任せて、ここでは一回の鮮やかな先制攻撃を振り返ります。近本が、あっさりと〝天才〟の記録に到達しました。中野、島田が連続安打した無死一、三塁から左中間を破る二塁打。23試合連続安打とし、1994年のオリックス時代のイチローに並んでいます。「ずっと打撃好調です。すごいですよね。でも、記録を調べていて思ったんですが、イチローさん、意外に連続では打っていないんですね。日本記録が高橋慶彦さん(当時広島)の33試合で、阪神のトップがマートンの30試合。イチローさんなら、そのあたりには名前があるんじゃないかと思っていました」トラ番原田遼太郎が、イチローの「23試合」に首をひねっています。「イチローの23試合は実はね...」と説明しようとしたら、ビヤ樽編集委員三木建次が「それは俺が当事者やから、俺が説明するわ」と鳴尾浜での2軍戦取材から戻ってきて割り込んで来ました。当事者? そうです。ビヤ樽は、イチローが23試合連続安打を記録した1994年に夕刊フジでオリックスを担当。イチローが210安打を放ってブレークした年に密着取材しているのです。 「あのシーズン、イチローは23試合連続安打を2回やっている。5月21日のダイエー戦から6月21日のロッテ戦までが1度目。2度目は7月13日(ダイエー戦)から8月14日(近鉄戦)まで。しかもその間の14試合も、ノーヒットだった試合が両端の2試合あるけど、2試合とも四球を選んで出塁した」つまり、23+1四球出塁の1試合+12試合連続安打+1四球出塁試合+23で60試合連続出塁。「そして...」とビヤ樽の説明は続きました。「8月16日(ロッテ戦)で2度目が止まったけど、その試合も四球を2つ選んでいる。そのあとさらに8試合連続安打して、連続出塁の方は69試合まで伸ばしたんや」まあよく覚えていることと感心したら、「鈴木からイチローになった年で一気にブレークして、イチローの原稿ばかり書いていた」。毎日書いているうちに〝暗記〟してしまったらしい。そのイチローのすごさと比べたら-というわけですが、ただ近本の記録はまだ継続中。あと7試合でマートンに並び、あと10試合で日本記録に並びます。「近本選手は、連続試合安打のことはまったく意識していないです。何度か質問しているんですが、『その話はいいじゃん』といつもかわされます。目標にしているのは200安打です。これはシーズン前からずっと『狙っていきたい』と言っています」原田の話を聞いて、一回の先制二塁打のあと塁上でニコリともしていなかった理由が分かりました。近本は「23試合連続」を喜ぶよりも、2打席目以降打てなかったことを悔しがっていることでしょう。それがまた、結果として、連続試合安打の記録更新につながっていけばいい。中野も大山も好調です。ノーヒットだった佐藤輝も延長十回に勝ち越しを阻止するレーザービームで魅せてくれました。近本の記録も、阪神の楽しみも、まだまだ続きます。

◆最後の打席まで打率.125の小さな男が、どでかい仕事をやってくれたー!! 熊谷敬宥。延長十一回に日本中の虎党を感動させるサヨナラ打、アリガトウ!!いや、あの場面、俺は熊谷のサヨナラ打を予測していたのだ。その理由は25日に群馬・伊勢崎市で6月史上最高の40.2度を観測したでしょう。でも、猛暑で有名なのは熊谷じゃないですか! 「最高に熱いのはやっぱり熊谷や!!」と雪辱を果たすから見とけー! と一緒に観戦している者に豪語していたのだ!! ちなみにサヨナラ打の後も俺の予測は全く無視されていました...。グスン...(涙)。最後は熊谷が決めたけど、本日は虎ナインみんなで勝ち取った美しい勝利だったのだ!!一回に近本の先制タイムリー、大山の2点打、八回に中日の剛腕、ロドリゲスからチャンスを作る安打の糸原にロハス。そして執念の同点打を放った中野。十回は佐藤輝のライトからのストライク返球で二走をホームで刺したビックプレーも大拍手!! リリーフ陣も必死に耐えた!! 猛虎のビューティフルサンデー感謝!!

◆阪神・湯浅は十回を任され、1回無失点。2死から連打で一、二塁を招き、石橋にも右前打を浴びたが、ここは右翼・佐藤輝が本塁へのダイレクト送球で本塁突入した二走を刺して、3死として切り抜けた。これでセ最速の20ホールドに到達し「任された場面で役割を果たしてこられた積み重ねの結果として、うれしく思います」と喜んだ。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
47231 0.671
(↑0.004)
-
(-)
72319
(+11)
246
(+10)
84
(+2)
48
(-)
0.255
(↑0.002)
3.040
(↓0.08)
2
(-)
巨人
39370 0.513
(↓0.007)
11
(↓1)
67304
(+10)
327
(+11)
84
(+2)
37
(-)
0.248
(↑0.001)
3.870
(↓0.08)
3
(-)
広島
35353 0.500
(↑0.007)
12
(-)
70275
(+4)
269
(+3)
35
(-)
13
(-)
0.255
(-)
3.410
(↑0.02)
4
(-)
阪神
34382 0.472
(↑0.007)
14
(-)
69253
(+6)
220
(+5)
49
(-)
56
(+3)
0.238
(↑0.001
2.750
(↓0.01)
5
(-)
DeNA
29380 0.433
(↓0.006)
16.5
(↓1)
76232
(+3)
285
(+4)
51
(-)
25
(+1)
0.250
(-)
3.860
(↑0.01)
6
(-)
中日
30410 0.423
(↓0.006)
17.5
(↓1)
72211
(+5)
284
(+6)
37
(-)
23
(-)
0.246
(↑0.002
3.830
(↓0.01)