広島(3対3)阪神 =リーグ戦11回戦(2022.06.23)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
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阪神
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広島
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勝利投手:-
敗戦投手:-

本塁打
【広島】堂林 翔太(4号・7回裏ソロ)

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◆広島は2-2で迎えた7回裏、代打・堂林がソロを放ち、勝ち越しに成功する。対する阪神は、そのまま迎えた9回に2死二塁から近本の適時打が飛び出し、土壇場で試合を振り出しに戻した。その後は両軍の救援陣が得点を許さず、4時間52分の熱戦は規定により引き分けに終わった。

◆広島ドリュー・アンダーソン投手(28)はここまで2勝2敗、防御率5・17。敵地で0勝2敗、防御率16・20も、本拠地マツダスタジアムでは2勝0敗、防御率2・19。対照的な成績を残すが、今日の本拠地試合の結果は?

◆阪神岩崎優投手(31)が23日、1軍に再登録された。この日の広島戦の試合前練習からチームに合流していた。代わって小野寺暖外野手(24)が出場選手登録を抹消された。岩崎は今季ここまで24試合に登板し13セーブで、13日に疲労を考慮してフレッシュのため出場選手登録を抹消されていた。再登録は23日から可能で、最短での復帰となった。チームは前日22日、代役守護神のアルカンタラが延長10回に坂倉に同点ソロ、11回に宇草にサヨナラソロを浴びていた。試合後に矢野監督は「上げる」と岩崎の1軍復帰を明言していた。また、この日先発するアーロン・ウィルカーソン投手(33)も出場選手登録された。

◆今季広島戦10戦勝ちなしの阪神は、アーロン・ウィルカーソン投手(33)が中13日で先発する。直近2試合で6回2/3を投げ10失点と苦しむが、リフレッシュ期間を経て好投なるか。自身初対戦となる広島を相手に5勝目を目指す。通算100本塁打に王手をかけている大山悠輔内野手(27)は「5番一塁」で先発。前日は4打数無安打だったが、6月10本塁打と好調。節目の1発で勝利に貢献できるか。広島は18日に支配下登録を勝ち取った高卒3年目の持丸泰輝捕手(20)が、「8番捕手」でプロ初スタメン。上本崇司内野手(31)が今季初の1番で起用された。

◆阪神近本光司外野手(27)が、自己最長をさらに更新する20試合連続安打を放った。初回無死二、三塁、広島アンダーソンから先制の中前適時打を決めた。阪神で連続試合安打「20」以上は2リーグ制後、9人11度目となった。球団記録は11年マートンの30試合。プロ野球記録は79年高橋慶彦(広島)の33試合。近本は球団を通じ「内野が前に来ていたので、強い打球を打つことを心掛けました。2戦とも先制点を取られていたので、今日は先に点を取ることができてよかったです」とコメントした。

◆阪神近本光司外野手(27)が、土壇場で試合を振り出しに戻した。1点ビハインドの9回2死二塁、広島栗林のフォークを捉え、しぶとく一、二塁間を破った。同点適時打で今季8度目の猛打賞。広島の守護神を打ち破り、二塁ベース上では冷静に何度もうなずいた。初回には中前打で、自己最長をさらに更新する20試合連続安打。5回には右前打を放ち、打率を3割に乗せていた。続く4番佐藤輝が死球。2死一、二塁となり5番大山が右翼最深部へ特大飛球を放つも、これを広島中村健が背走しながらスーパーキャッチ。試合は3-3の同点で2試合連続の延長戦に突入した。

◆阪神がまさかの形で延長10回裏のピンチを脱した。10回裏2死一塁。前夜にサヨナラ被弾している6番手アルカンタラが、3番菊池涼に左翼線への長打を浴びた。左翼島田が中継に入った遊撃中野へ返球。中野は捕手坂本へ転送し、タイミングはどうか-、となった瞬間だった。三本間で一塁から一気に生還を狙った中村奨が転倒。すぐさま起き上がり本塁を狙ったが、タッチアウトでサヨナラとはならなかった。阪神は前日22日、延長戦で2本の本塁打を食らい、サヨナラ負けを喫していた。

◆セ・リーグ3位の広島が4位の阪神と対戦する。予告先発は広島がアンダーソン、阪神はウィルカーソン。

◆阪神湯浅京己投手(22)が、単独トップキープの19ホールドをマークした。3-3同点の9回に登板。先頭小園を内角高め直球で二飛に料理。続く中村健と堂林を直球で押し込み、連続三振に斬った。「同点に追いついた後だったので、自分も0点で抑えて、チームにいい流れを持ってきたいと思ってマウンドに上がりました。結果的に3人で抑えることができてよかったです」リリーフ陣は中盤以降、懸命にバトンをつないだ。ウィルカーソンが5回に追いつかれ、6回から2番手で浜地が登板。1死からマクブルーム、坂倉に連打を浴びたが、小園を内角直球で三邪飛、中村健を外角低めのスライダーで空振り三振に仕留めた。ただ、3番手岩貞は誤算だった。先頭の代打堂林に高めのスライダーを左中間スタンドに運ばれ、1点の勝ち越しを許した。後続を断ったものの、大きな1点を失った。広島戦未勝利の悪夢がよぎる中、8回はケラーが快投で流れを引き寄せた。先頭菊池涼を外角高め151キロ直球で空振り三振。マクブルームは直球で見逃し三振に退け、最後は坂倉を高めの直球で空振り三振。3者連続三振で、9回土壇場での近本の同点劇を呼び込んだ。助っ人右腕は「3人で抑えることができてよかったし、チームの同点につながるような投球ができてうれしいよ」と喜んだ。9回の湯浅の後は、前日22日にサヨナラ弾を含む2被弾を喫したアルカンタラが登板。10回2死から代打松山に四球を許した。ここで菊池涼に左翼線への長打を浴び、サヨナラ負けかと思われたが、一塁走者の代走中村奨が三塁を回ったところでまさかの転倒。ホームタッチアウトで窮地を脱した。11回は7番手の渡辺が0で抑えるなど、投手陣が意地を見せた。【古財稜明】

◆阪神アーロン・ウィルカーソン投手(33)が5回に追いつかれ、5勝目とはならなかった。中13日で登板。4回まで0点で抑えたが、2点リードの5回2死二、三塁で広島上本に左中間越え三塁打を許し、5回5安打2失点で降板した。「早いカウントからゴロを打たせる投球ができたと思うよ。ただ、点を取られた場面は、ボールが甘くなってしまっていた。次回はしっかり粘れるように、また調整していきたいね」と次回登板で勝利を狙う。

◆阪神が1点を追う9回2死二塁から同点に追いつき、開幕からの広島戦10連敗をなんとか阻止した。ただ、引き分けで5位に転落し、4位DeNAに0・5ゲーム差、3位広島に2・5ゲーム差。首位ヤクルトとのゲーム差は15に開き、プロ野球史における最大差逆転Vの14・5ゲーム差を超えた。今季の広島戦は11戦9敗2分けとなった。幸先よく先制した。1回表は1失策1安打1暴投で無死二、三塁とすると、3番近本光司外野手(27)の中前適時打で先制。さらに無死一、三塁から暴投で2点目をもらった。ただ、その後は5回1死満塁から5番大山悠輔内野手(27)、6番糸原健斗内野手(29)が凡退するなど、好機を生かせなかった。同点とされた直後の6回2死二塁で代打梅野隆太郎捕手(31)が二塁内野安打を放ったが、二塁走者の糸井嘉男外野手(40)が三塁オーバーランでタッチアウト。7回2死一、二塁でも5番大山が凡退した。先発のアーロン・ウィルカーソン投手(33)は2点リードの5回2死二、三塁、1番上本に左中間2点三塁打を献上。5回2失点で降板した。救援陣は同点の7回裏、3番手の岩貞祐太投手(30)が代打堂林に一時は勝ち越し弾となる左中間ソロを浴びた。それでも1点を追う9回2死二塁、3番近本が守護神栗林から起死回生の右前同点打を放ち、土壇場でゲームを振り出しに戻した。なおも9回2死一、二塁では5番大山の右翼への大飛球を中村健にスーパーキャッチされるも、なんとか延長戦に持ち込んだ。10回裏にはラウル・アルカンタラ投手(29)が2死一塁から2番菊池涼に左翼線二塁打を浴びたが、一塁走者の中村奨が三本間で転倒してタッチアウトに。一方で打線は11回、12回ともに1死二塁の好機を生かせず。延長12回裏、この日1軍復帰した守護神岩崎優投手(31)が2死満塁のピンチを防ぎ、なんとか引き分けで試合を終えた。

◆阪神は9回2死二塁から試合を振り出しに戻し、開幕からの広島戦10連敗をなんとか阻止した。最後は12回裏2死満塁で守護神岩崎が耐え、引き分けに持ち込んだ。ただ、チームは5位に転落。首位ヤクルトとのゲーム差は15に開き、プロ野球の最大差逆転Vとなる14・5ゲーム差を超えた。試合後の矢野燿大監督(53)の一問一答は以下の通り。-9回は近本が同点打。土壇場でよく粘った矢野監督 「うん。追いついてね。2アウトまでいったけど、追いついたというのは、相手の栗林もいいクローザーなので、そういうところでは良かった部分かな。でも、その前に点が取れていない。(先発)アンダーソンのところで点が取れていないというのが、どうしても響いてしまうので。もちろんみんな取りにいこうと思っているし、気持ちはあると思うんだけど、ああいうところでしっかり取っていきたい」-岩崎が12回に久々の登板矢野監督 「まあ、いきなり難しいポジションだけど、0に抑えたところに意味があるんじゃないかなと思っています」-前日サヨナラ被弾のアルカンタラは10回タイトな場面で抑えた矢野監督 「まあ、それはね。ホームでアウトの場面(2死一塁から二塁打で一塁走者が本塁タッチアウト)だし、抑えたという形というのはどうかと思うけど」-また明日から甲子園矢野監督 「負けて帰るのと引き分けでは全然違う。そういうところでは引き分けがあって良かったなと思えるような、明日からの試合にしていかないとダメだと思う。試合自体は悪い試合をやってるわけじゃないと思う。そういうところでは自分たちの野球をまた明日からやれるような引き分けにしていきたいなと思います」

◆広島が勝機を手繰り寄せながら、白星は手中にできなかった。3-2の9回、プロ初の3連投となった栗林が2死二塁から近本に右前打を打たれて同点に。延長10回は2死一塁から菊池涼の左翼線を破る当たりで代走中村奨が三塁を蹴ったところで足がもつれて本塁手前で転倒。サヨナラのチャンスを逃した。延長12回2死満塁から、菊池涼が打ち上げた左翼後方への飛球も、背走した島田のグラブに収まった。2戦連続延長戦は、今季3度目の引き分けで痛み分けに終わった。守護神が失点したものの、佐々岡監督はバトンをつないだ7投手をたたえた。「引き分けに持ち込めたのは、中継ぎが頑張ってくれたから。中継ぎがしっかりと試合を締めたというのは、いい引き分けと捉えたい」。開幕戦から阪神戦負けなしは継続。88年以来34年ぶりとなる阪神戦開幕10連勝は、持ち越しとなった。○...今季初めて1番に起用された上本が同点適時三塁打を放った。2点を追う5回2死二、三塁。左中間への適時三塁打で走者2人をかえし、同点とした。「アンディー(アンダーソン)が粘って投げていたし、(中村)健人と羽月がつないでチャンスをつくってくれた。なんとかランナーをかえせて、良かった」。前日右太ももに死球を受け、ベンチスタートだった野間に代わっての1番。代役として役目を果たした。○...プロ初の3連投となった栗林は1回1失点でセーブ機会を失敗した。1点リードの9回に登板。先頭の梅野を内野安打で出塁させた。犠打で得点圏に走者が進塁。三振で2死としたが、2死二塁カウント2-2から近本に右前適時打を放たれ、追いつかれた。2年目にして初めて3連投を解禁。勝利まであと1球も、失敗に終わった。○...堂林が代打4号ソロを放った。2-2の7回。先頭持丸の代打として出場し、阪神岩貞の浮いたスライダーをバットに乗せた。角度よく上がった打球は左中間席に吸い込まれる勝ち越し弾となった。「イニング先頭の代打だったので、何とか塁に出ようと必死にいきました。最高の結果になりました」。9回に同点に追いつかれ決勝弾とはならなかったが、今季代打成功率3割3分3厘と勝負強さが光る。

◆阪神リリーフ陣が懸命にバトンをつなぎ、接戦の末に引き分けに持ち込んだ。3-3の同点で迎えた延長12回は、リフレッシュ調整から帰還した守護神岩崎優投手(31)が登板。2死満塁の大ピンチを招いたが、最後は菊池涼を直球で押し込んだ。左翼フェンス手前まで運ばれるも、島田が捕球し試合終了。2試合連続のサヨナラ負けを阻止した。13日の出場選手登録抹消から最短で1軍に戻り、最後を締めた岩崎について矢野監督は「まあ、いきなりポジション的にも難しいところだけど、0に抑えたところに意味があるんじゃないかな」とたたえた。7回には一瞬悪夢もよぎった。ウィルカーソンが5回に追いつかれ、6回から2番手で浜地が登板。ピンチを背負いながら無失点で切り抜けたが、3番手岩貞が誤算だった。7回先頭の代打堂林に高めのスライダーを左中間席に運ばれ、1点の勝ち越しを許した。劣勢の中で、8回のケラーが快投で流れを引き寄せた。中軸を3者連続三振と圧倒し、9回土壇場での近本の同点劇を呼び込んだ。追いついた直後の9回裏はセットアッパー湯浅が登場。注文通りの3人斬りで、単独トップキープの19ホールドをマークした。「チームにいい流れを持ってきたいと思ってマウンドに上がりました。結果的に3人で抑えることができてよかった」と振り返った。延長10回は前日サヨナラ弾を含む2発を食らったアルカンタラが登板。2死一塁から菊池涼に左翼線への長打を浴びるたが、一塁走者の代走中村奨が三塁を回ったところでまさかの転倒。ホームタッチアウトでからくも窮地を脱した。11回は7番手の渡辺が1回をピシャリ。8人継投の総力戦で意地を見せた。【古財稜明】

◆負けなかったけど...。阪神が広島と引き分け、5位に後退した。6月好調の近本光司外野手(27)が2-3の9回2死から同点適時打。2戦連続の猛打賞で延長に持ち込んだが、11回の勝ち越し機では三振した。チームは12回の好機も生かせず、広島に開幕から9敗2分け。開幕から同一カード11戦未勝利は球団ワーストで、首位ヤクルトと15ゲーム差となり逆転への「危険水域」を超えた。何度もうなずいた。土壇場での同点劇。二塁ベース上で近本は両手を上げ一瞬、白い歯を見せた。試合は続いている-。そう言わんばかりに、すぐさま表情を戻した。「どうやったら打てるかしかイメージしてなかった」。集中力を研ぎ澄ませた9回2死二塁。1点を追い、マウンドには栗林。カウント2-2から低めフォークに食らいつき一、二塁間を破った。「なんとしても1本出さなきゃいけない場面。抜けろと思って走っていましたし、(植田)海がよくホームまで帰ってきてくれた」前夜はサヨナラ負け。「負けることなく終われたんで良かったなと思います」。当然満足はしなかったが、ホッとしたのも事実だ。初回は中前へ先制適時打。自己最長をさらに更新する20試合連続安打は、球団では2リーグ制後9人目(11度目)の記録だ。5回の右前打でシーズン打率を3割に乗せた。全試合で3番に入る6月は月間打率4割5厘。「打率は変動するもんなんで意識しない」。目の前の試合を戦うだけだ。2試合連続の延長戦。11回2死二塁ではターリーに見逃し三振に仕留められた。「4本目」は出ず、チームは開幕から広島に11戦勝ちなしとなった。同一カードで開幕から11戦未勝利は球団初の屈辱だ。なんとか引き分けに持ち込んだが5位に転落。首位ヤクルトとのゲーム差は15に開き、プロ野球史における最大差逆転Vの14・5ゲーム差を超えた。「負けて帰るのと引き分けでは全然違うんで、引き分けがあって良かったって思えるような、明日からの試合にしていかないとダメだと思う」。矢野監督は必死に前を向いた。4時間52分を無駄にはしない。甲子園に帰って出直しを図る。【中野椋】▽ケラー(8回に登板し、広島中軸を3三振)「1点ビハインドの場面での登板だったけど、3人で抑えることができてよかった。チームの同点につながるような投球ができてうれしいよ。今日のような投球を続けられるように、しっかり準備していきたいね」

◆広島代走中村奨成捕手がサヨナラ勝利のホームの数メートル手前で転倒し、勝機を逃した。延長10回、一塁走者の代走で出場。菊池涼の左翼線二塁打で本塁をめざしたが、三塁を蹴ったところでバランスをくずし、三本間で転倒した。「しっかり走れなかった。(本塁に)かえっていたらサヨナラだったので...」。タイミングはきわどかったがクロスプレーにはなっていたシーンにうつむいた。

◆阪神が広島と引き分け、5位に後退した。6月好調の近本光司外野手(27)が2-3の9回2死から同点適時打。2戦連続の猛打賞で延長に持ち込んだ。20試合連続安打で打率も3割に乗った。チームは広島に開幕から9敗2分け。開幕から同一カード11戦未勝利は球団ワーストで、首位ヤクルトと15ゲーム差となり逆転への「危険水域」を超えた。2年連続最多安打へひた走る選手会長を中心に、甲子園に帰って逆襲を期す。コツン、コツン...。5月下旬ごろから、近本はあるルーティンを行っている。甲子園での試合前練習では一塁側ベンチ前のマシンに向き合い、バントする。3番に座る今、やはり犠打も意識しているのか-。そう問われ、やんわり否定したことがある。「う~ん、打つ時のツイストの刺激入れるためにやっているんです。バント練習用のあのマシンが、ボールが強いから」目的は、バント練習ではなく打撃のため。バントのインパクトの瞬間、胸郭下部を捕手方向にわずかにひねる動作をひたすら繰り返している。明らかに、バントのためではないバント練習と分かる。転がしたボールの行方もほとんど気にしていない様子だ。「ボールを受けて刺激をバチっと入れて、バ~ンと体が開いていっちゃうのを行動制限するんです」関学大時代から取り組む「胸郭ツイスト」と呼ぶトレーニングには、体の開きを抑える意図があるという。思えば9回の同点打も、栗林のフォークを極限まで引きつけ、体が開くことなく、しぶとく右前に運んでいた。6月は全17試合で3番に座り、打率4割5厘。原点回帰で得た感覚は、簡単に崩れるとは思えない。【阪神担当=中野椋】

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】広島カープ、延長10回に菊池涼介の二塁打が飛び出すも、一塁走者の中村奨成が本塁手前でまさかの転倒、サヨナラは幻となりました。

◆広島の堂林翔太内野手(30)が代打で会心の4号ソロを放った。2-2で迎えた7回先頭。岩貞の変化球を左中間席まで運ぶ一時勝ち越し弾だ。12日の西武戦を最後にスタメンから遠ざかるが、代打成功率は3割3分3厘の勝負強さが光る。延長12回の大激闘の末に引き分けたマツダスタジアムナイトを盛り上げた。新代打の神だ。同点の7回。先頭持丸の代打で出場した堂林が、阪神岩貞の浮いたスライダーをうまくバットに乗せた。角度良く上がった打球は放物線を描いて、左中間席へ吸い込まれた。今季代打成功率は3割3分3厘。阪神との激闘の中で、勝負強さが光った。「イニングの先頭の代打だったので何とか塁に出ようと必死にいきました。最高の結果になりました」12日西武戦を最後に先発出場から遠ざかる。多少の浮き沈みがある中で、安定した成績を残しても出場機会は限られる。それでも勝負強さが光る。今季勝利打点はすでに5度記録しており、この日の1発は幻に終わったものの、これまで今季3本塁打はいずれも決勝弾となっている。連勝中ながらまだ借金を3個抱えていた広島は、支配下選手登録されたばかりの持丸を先発捕手に大胆起用した。だがプレーボール直後の1回。2捕逸を記録するなど、味方の守備のミスもカバーできず2点を先制された。それでも7回まで先発アンダーソンと2番手森とバッテリーを組み、2失点にまとめた。支配下登録されたばかりの持丸や新人中村健ら、若手が多くスタメンに名を連ねたこの日の打線で中堅が存在感を示した。2点を追う5回は2死二、三塁から上本が阪神ウィルカーソンのチェンジアップを捉えて左中間を破る同点三塁打とした。2-2の7回は途中出場の堂林だった。3-2の9回はプロ初の3連投の栗林が追いつかれ、サヨナラのチャンスだった10回は代走中村奨が本塁目前で足がもつれて転倒。勝ち切れない中でも、激闘で深めた自信もある。総力戦で勝ち越した阪神3連戦を力に変えたい。

◆両軍のスターティングメンバーが発表。阪神はアーロン・ウィルカーソン投手(33)が先発する。前回登板の9日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)では四回途中を3失点、前々回の3日の日本ハム戦(甲子園)では3回7失点と2試合連続で精彩を欠いている助っ人右腕。久々の登板となるが「調整としてもいい期間にできた」と休養はバッチリ。初対戦の鯉打線を抑え、連敗を止める。

◆阪神が幸先よく先制した。3番・近本光司外野手(27)が自己最長をさらに更新する20試合連続安打を放った。一回先頭の中野が一失で出塁すると、島田が足を生かした遊撃内野安打で無死一、二塁。近本の初球で相手バッテリーのミス(捕逸)もあり、二、三塁とすると、アンダーソンの152㌔直球を中前にはじき返した。阪神はなおも無死一、三塁で4番・佐藤輝が打席へ。2球目に再び捕逸で2点目をもぎ取った。

◆阪神の先発、アーロン・ウィルカーソン投手(33)が四回の第2打席で右前打を放ち、来日初安打をマークした。2死から打席に向かうと、広島・アンダーソンの144㌔の速球にバットを合わせた。フラフラっと舞い上がった打球は二塁手・菊池涼の頭上を越すポテンヒット。今季14打席目で初めて「H」ランプをともした。投げては三回2死一、三塁のピンチで、22日にサヨナラ本塁打を放っている宇草を二ゴロ。粘り強い投球でゼロを並べている。

◆阪神の先発、アーロン・ウィルカーソン投手(33)は5回5安打2失点だった。一回を11球で三者凡退に抑えた右腕は、三回2死一、三塁のピンチで22日にサヨナラ本塁打を放った宇草を一ゴロに仕留めて無失点で切り抜ける。その後も粘りの投球を続けていたが、2点リードの五回2死二、三塁から上本に中越えの2点三塁打を浴びた。2点のリードを守り切れなかったウィルカーソンは六回の攻撃で代打を送られ、降板となった。

◆阪神が5位に転落した。延長十二回引き分けで、広島戦の今季初勝利は7月5日からの甲子園3連戦まで持ち越しとなった。1点を追う九回2死二塁から近本光司外野手(27)の右前打で追いつき、十一回の1死二塁、最終回の2死三塁の好機は逃し、その裏の2死満塁の窮地を岩崎優投手(31)がしのいでドローとなった。首位ヤクルトとは15差。過去、最大の逆転優勝は1963年の西鉄の14・5差(相手は南海)で、〝デッドライン〟を越えてしまった。矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り(チーム成績31勝38敗2分、観衆2万4194人)。ーー九回は近本が打って、土壇場でよく粘った「うん。追いついてね。2アウトまでいったけど、追いついたというのは相手の栗林もいいクローザーなので、そういうところではよかった部分かな。でもその前に点が取れていないというのが、アンダーソンのところで点が取れていないというのが、どうしても響いてしまうので。もちろんみんな取りに行こうと思っているし、気持ちはあると思うんだけど、ああいうところで、しっかり取っていきたい」ーー岩崎が久々の登板「まあ、いきなり、ポジション的にも難しいポジションだけど、ゼロに抑えたところに意味があるんじゃないかなと思っています」) ーーアルカンタラはタイトな場面で抑えた「まあ、それはね、ホームでアウトの場面(延長十回2死一塁で菊地涼に左翼線を破られたが、一走の中村奨が三本間で転倒し、憤死)だし、それは抑えたっていう形っていうのはどうかと思うけど」ーー24日から甲子園に戻って「まあね、負けて帰るのと引き分けでは全然違うんで、そういうところでは引き分けがあって良かったなって思えるような、明日からの試合にしていかないとダメだと思うし、試合自体は悪い試合をやってるわけじゃないと思うんで、そういうところでは何て言うのかな、自分たちの野球をまたね、明日からやれるような引き分けにしていきたいなと思います」

◆阪神が土壇場で追いついた。2-3で迎えた九回2死二塁の好機。3番・近本光司外野手(27)が広島の守護神、栗林の138㌔フォークを振り切った。打球は一、二塁間を抜ける同点の右前打。自己最長の20試合連続安打&2試合連続の3安打猛打賞と絶好調の選手会長が試合を振り出しに戻した。試合は延長戦に突入した。

◆マツダスタジアムのカープファンは一人の若鯉に熱視線を注いだ。勝てば広島では1988年以来の阪神戦開幕10連勝がかかる大事な一戦。コイの育成の星、持丸泰輝(20)が「8番・捕手」でスタメンデビューを飾った。「守備で出たら打撃は二の次。守備にしっかりと専念して集中してやっていきたい。ピッチャーが良いピッチングができるように自分が引き出してあげたい」2020年に育成ドラフト1位で入団し、3年目の今季は1軍の春季キャンプに参加した。ウエスタン・リーグ36試合に出場し打率・220、2本塁打、9打点。6月18日に支配下契約となり、22日の阪神戦(マツダ)で代打として1軍デビュー。そしてこの日はスタメンマスクのチャンスが巡ってきた。先発のアンダーソンとは2軍でバッテリーを組んでいたが、1軍では勝手が違う。一回無死一、二塁で近本への1球目を捕逸して二、三塁とピンチを広げ、中前適時打を浴び先制点を献上。なお一、三塁で今度は佐藤輝への2球目を後ろに逸らして、三走の生還を許した。だが、二回以降は落ち着きを取り戻し、元気いっぱいにリードした。持丸は2―2の七回、代打・堂林を送られてお役御免。何とか2失点で抑え、打撃は2打数ノーヒットだった。その堂林が左越えに勝ち越しソロを放った。しかし、九回に同点に追いつかれ、試合は3―3で延長戦に突入した。(柏村翔)

◆阪神は延長戦の末、今季2度目の引き分けに終わった。これで広島に対しては開幕から11戦勝利なしとなった。2―3の九回に好調の近本が意地を見せた。相手の失策と犠打などで2死二塁とし、守護神・栗林のフォークを捉えて右前へ。二走が生還し、起死回生の同点打とした。直後の4番・佐藤輝は死球でなおも一、二塁。しかし、大山が右飛に倒れて勝ち越しはならなかった。延長戦に突入した十一回は1死二塁の勝ち越しのチャンスを作ったが、島田、近本が連続で見逃し三振に倒れて無得点。さらに十二回には1死から大山が左翼線二塁打でチャンスメークするも、糸原は二ゴロ、代打・高山は空振り三振に倒れて、勝利がなくなった。その裏にリフレッシュ抹消を終えてこの日、1軍登録されたばかりの岩崎が11日のオリックス戦(京セラ)以来のマウンドへ。安打と四死球などで2死満塁のサヨナラのピンチを招いたが、菊池涼を左飛に打ち取り、4時間52分でゲームセットとなった。

◆広島は2試合連続の延長戦で、引き分けた。1988年以来の阪神戦の開幕10連勝は持ち越し。試合後の佐々岡真司監督(54)の一問一答は次の通り。──3─2の九回に栗林が3日連続の3連投を解禁。森浦は休養「2人のどっちかね、展開によってどっちかをと思っていた。(七回に代打・堂林の4号ソロで)まあ、勝ち越したのでね」──栗林に疲労の影響は「そうは感じなかったですけどね。今日まではなんとか頑張ってもらおうと思っていた」──栗林は失点したがD2位・森、矢崎、ケムナ、ターリー、藤井の中継ぎ陣は踏ん張った「そうですね。中継ぎがしっかり頑張ってくれた。最後は(藤井)黎來が初めて(延長十二回の1死走者なし)ああいう場面で投げた。(?回を1安打無失点で)次につながるいいピッチングをした」──延長十回2死二塁では菊池涼が左翼線二塁打。代走・中村奨が本塁を狙ったが三本間で足が絡みアウトに。タイミング的に惜しい「そうですよね。生還ができたかもわからないですけどね。足がもつれたんだろうけど、なんとも言えないが、しっかり準備をしてくれていたと思う」──打線は10安打を放ち3得点。幾度となく得点圏に走者を進めた「しっかり形というか、つないで、つないではできた。しっかりピッチャーがね、中継ぎが締めたのでいい引き分けととらえたい。昨日、今日と大変な試合で明日は移動ゲーム。大変でしょうけど、もう一踏ん張りしたい」

◆また勝てず...。阪神は広島と3―3で引き分け、DeNAに交わされて5位に転落した。これで開幕からの広島戦は0勝9敗2分け。11戦勝ちなしは10連敗した1988年を上回る屈辱となった。首位ヤクルトとのゲーム差も「15」に拡大し、プロ野球での最大差逆転優勝の〝デッドライン〟も超えた。きょう24日からは甲子園に戻って中日戦。ズルズル行くのだけは勘弁して!ものすごいラッキーが転がり込んできたのに、勝ちきれなかった。延長十回、菊池涼のヒットで2試合連続サヨナラ負けかと思われたが、代走・中村奨が転倒して悪夢は回避。とはいえ広島戦は開幕から11戦勝ちなし。矢野監督は冷静に執念ドローを振り返った。「負けて帰るのと引き分けでは全然違う。引き分けがあってよかったなって思えるような、明日からの試合にしていかないとダメだと思う」一回、広島のバッテリーミスにつけ込んで2点を先制。カープ相手に先制するのは、3月31日以来8試合ぶりのことだった。幸先よく滑り出したが、追加点が奪えない。一時勝ち越され、九回に近本の同点打で土壇場で追い付いた。そして迎えた延長十回2死一塁、菊池涼がアルカンタラの153キロを捉え、左翼線へ。代走・中村奨が三塁を蹴る。万事休す-。誰もが息をのんだ瞬間、中村奨は足をもつれさせ、転倒した。タイミング的にサヨナラのホームを踏んでいた可能性は高かったが、タッチアウト。めったに見ないラッキーだった。 ところが、これを生かせない。十一回1死二塁も、十二回1死二塁もモノにできない。この日復帰したばかりの岩崎ら救援陣7人をつぎ込み、北條以外の野手を送り込んでも勝てなかった。これで広島戦は開幕から0勝9敗2分け。1988年に並ぶ開幕10連敗こそ回避したが、ものは言いようで「11戦勝ちなし」は88年を上回る屈辱だ。今季はリーグワーストの開幕9連敗を喫し、開幕54試合目で球団では21世紀最速となる自力優勝の可能性が消滅と〝黒歴史〟を並べてきた。6月に入ってやっと泥沼から抜け出した感があっただけに、ここで逆戻りするわけにはいかない。「悪い試合をやっているわけじゃないと思う。自分たちの野球をまた明日からやれるような引き分けにしていきたい」チームは5位に転落し、首位ヤクルトと15ゲーム差に拡大。過去、最大差での逆転優勝は63年に西鉄が南海を追い越した14・5差で、その〝デッドライン〟も超えた。24日からはホームで最下位中日を迎え撃つ。ズルズルいくわけには、いかない。(新里公章)

◆ま、負けなかった...。阪神は広島に3―3で引き分け、開幕からの同一カード10連敗を阻止。近本光司外野手(27)が九回2死二塁で値千金の同点打を放った。一回にも先制打を放ち、連続試合安打は自己最長を更新する「20」に。この日も負けて広島戦10連敗となっていれば1988年に並ぶ球団ワーストタイだっただけに、なんとか歴史的屈辱を回避した。絶体絶命の状況だからこそ、近本は楽しんでいた。快音を残し、白球は一、二塁間を抜ける。冷静沈着な選手会長がほえた。起死回生の一打にベンチに向かって両手を掲げ、喜びを爆発させた。「イメージはしていたので、フォークだったらあそこ、ストレートならあそこと。結果的にいい形でヒットになった」2-3の九回。守護神・栗林から2死二塁の好機を作った。とはいえ、あと1死で試合終了。極限の状況で打席に向かった。カウント2-2から5球目、決め球の138キロフォークに食らいついた。二走・植田が快足を飛ばしてホームへ。沸き返るナインに殊勲打を放った男も笑顔が弾けた。一回は先制の中前打で自己最長を更新する20試合連続安打。五回にも右前打を放ち、2試合連続の猛打賞と得意の固め打ち。4月8日以来となる打率3割を超え、試合前の・297から・302まで上昇したが「打率は変動するもの。気にしていない」と淡々だ。「責任のある、チームの勝敗に関わる3番にいるのは『野球してるなぁ』って。1番だったら野球をしていないとかじゃないけど、勝敗を握っているのは楽しい」重責を担う3番をやりがいに感じる心意気は、〝野球を楽しむ〟本来の意味を理解しているからこそ。矢野監督も常々口にするこの言葉。決して和気あいあいと野球をするということではない。近本のパーソナルトレーナーを務める植松弘樹さん(27)と関学大時代から語り合っていたのは「胃がキリキリする、胃液が逆流してくるような状況も楽しめるような準備と練習をするからこそ、勝負事を楽しむことができる」ということ。打てばヒーロー、負ければ戦犯。そんな極限の状況こそ〝野球を楽しむ〟の神髄。それを理解して受け入れているいるから、起死回生の一打を放つことができた。「負けることなく終えられたので、よかったと思います」延長戦では決着がつかず、今季の広島戦初勝利は次戦以降に持ち越し。チームは5位に転落し、首位ヤクルトとは15ゲーム差に開いた。苦しい戦いは続く。それでも、近本が崖っぷちの状況から、何度でもチームを救ってみせる。(原田遼太郎)

◆ハ~ァ...。広島と11度戦っていまだ勝ち星なしだから、文句言いたいことが山ほどあるわー!!再々のチャンスに勝つための(打つためじゃなくて)最善の球を打者は待ったのか?ベンチはその時、徹底した指示を出したのか?それが全く感じられない延長十二回、3-3のなが~い引き分けは、見ている虎党に疲れしか残さない後味の悪い試合だったのだ!!てか、広島戦だけ矢野監督じゃなくても良くね~!! もはやプロ野球界は、この先どーなるのか予測不能の変化をし始めていると思うし~。よっしゃあ、広島戦だけ監督はカープキラーのサダ坊(元巨人・定岡正二は、なぜかスライダーを武器に広島に強かった!!)でどーや!! 矢野監督がどーのこーのじゃなくて、わが阪神がカード別監督を世界で初めて、やったれー!!ここが踏んばりどころ。借金7で次はエース・青柳とノーヒッターの中日・大野雄の対決ですかあ...。猛虎打線は、例えば全員ライン一杯に立ち、外の球を逆方向へ...とか奇策でもやらんと、何も生まれんでェ!!

◆オリックス、阪神で176勝を挙げ、引退後も両チームでコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家の星野伸之氏(56)は延長十二回に窮地を招いた岩崎優投手(31)の心中について言及。最も過酷な登板だったと解説した。ベンチの構想が大きく崩れた岩崎の復帰登板になったのではないか。本当はセーブがつく状況で投げさせたかったはずだが、まさかの延長十二回ドロー。この間、岩崎はブルペンで九回に備え、十一回に備え、十二回に備え、という具合に何度も、肩をつくることになったはず。元気な時でも難しい登板になる。経験豊富な投手だから、球数を抑えながら、考えながら準備したとは思うが、登録抹消、その後2軍戦の登板もなく、いきなり1軍戦に投げる環境では、最も過酷な状況での十二回の登板になったのではないか。球自体は問題なかったと思うし、走者を出しながら、最終的にゼロで抑えたのはさすが。ただ、いきなり難しい登板となり、24日は移動日なしで甲子園での試合となる。今後の巻き返しのキーマンになるだけに、どんな状態で次戦以降のマウンドに上がるか。ちょっと気になる復活戦だった。この試合のポイントは一回に2点を先取して以降、追加点を奪えなかった打線。特にチャンスでことごとく不発に終わった大山が痛かった。気になったのは高めのボール球に手を出していたこと。相手先発アンダーソンが異常なまでにチェンジアップを多投していたので、攻撃側は低めを捨て、目付を高くしたのは当然。でも、ボール球を振っては相手を助けるだけだった。いくら大山でも全試合、打てるわけではないが、大山が打たないと阪神が苦しいのも事実。いい形を早く取り戻してもらいたい。

◆これは悪夢か。負けはしなかったが、「次、負ければ10連敗」という状況は変わらないまま。プロ野球で、あってはいけないことだと思う。特に伝統球団・タイガース史に、そんな汚点は存在しない...と思っていたら、最近の新聞報道でご存じかもしれないが、1988年に、ことしと同じ、カープに10連敗していた。指揮官は、あの熱血・村山実-。時、まさに暗黒時代の入り口だったことは、後に判明する。栄光の85年日本一からわずか3年後。この後、激しく負け続ける時代がズ~ッと繰り返されるとは、誰も夢にも思っていなかった。歴史の中に埋もれていた忌まわしき10連敗が、令和の矢野阪神によって再びスポットライトを浴びてしまう悲劇。こういう場合、すごく弱~い時代のトラ番記者経験者は疑問がドンドン沸いてくる。いったい誰が、どうやって止めたのか。何となく、ワクワク、ドキドキするのは〝職業病〟?あのシーズン、広島戦初勝利は、なんと、なんと、驚くなかれ、7月5日。そこまで勝てなかったのか...。勝利投手は「嶋尾康史」。懐かしい名前を発見した。ユニホームを脱ぎ、今は俳優として活躍。マルチな才能を発揮している嶋尾氏が〝あの時〟の連敗ストッパーだった。懐かしくなって、電話してみた。「えっ、あの白星が、カープの連敗を止めた試合だったんですか? それは知らなかったです。ただ、勝ったことは覚えてますよ」鮮明だった。なぜなら、この勝利が嶋尾氏のうれしいうれしい「プロ初先発初勝利」だったのだ。東洋大姫路高から入団して2年目、まだ20歳になったばかりだった。忘れられない理由は他にもあった。「実はあの日、先発は大エースの助っ人・キーオだったんです。ところが、練習中に急にどこか痛いと言いだして、突然の先発回避。投手コーチに呼ばれて『きょう先発や! 頼む!』と言われたんですよ」超ドタバタで巡ってきたプロ初先発。だからなのか、投球内容は、あまり覚えていないという。岡田彰布、真弓明信ら主軸が本塁打を放ち、五回で降板後は、中西清起ら救援陣が総動員で、嶋尾投手に初勝利をもたらしてくれた。その記憶ははっきりと残っていた。 必死で向かっていくこと10度、全く勝てなかったカープに、試合当日に先発投手を変更せざるを得なくなって、しかも高卒2年目を初先発させ、結果、連敗ストップ。勝つときは、そんなものかもしれない。嶋尾氏は矢野監督と同学年の53歳。「連敗なんて気にする必要はないですよ。ヤクルトだって急失速するかもわからないし。諦めたらダメ。コロナ禍で球場へ行っても矢野監督に会えないので行ってませんが、OBとしてずっと応援しています」いろんな人が、いろんな場所で、阪神に声援を送り続けている。ただ、この連敗トンネル脱出はまたも持ち越し。次の広島戦は? 7月5日の甲子園か。アレッ? 7月5日といえば、34年前の連敗脱出日と一緒じゃないか。歴史は繰り返す? どうせなら、その日は先発投手も急きょ、変更したりして...。何でもいい。勝ってほしい。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
45221 0.672
(↑0.005)
-
(-)
75287
(+10)
211
(-)
75
(+2)
48
(-)
0.249
(↑0.002)
2.710
(↑0.04)
2
(-)
巨人
38350 0.521
(↓0.007)
10
(↓1)
70269
(+5)
295
(+7)
75
(+1)
35
(-)
0.243
(↑0.002)
3.610
(↓0.05)
3
(-)
広島
32353 0.478
(-)
13
(↓0.5)
73259
(+3)
262
(+3)
32
(+1)
13
(+1)
0.253
(-)
3.470
(↑0.05)
4
(2↑)
DeNA
29350 0.453
(↑0.009)
14.5
(-)
79225
(+7)
269
(+5)
51
(+2)
24
(+1)
0.250
(↑0.003)
3.810
(↓0.02)
5
(1↓)
阪神
31382 0.449
(-)
15
(↓0.5)
72231
(+3)
211
(+3)
49
(-)
51
(+3)
0.233
(-)
2.760
(↑0.01)
6
(1↓)
中日
30380 0.441
(↓0.007)
15.5
(↓1)
75202
(-)
262
(+10)
37
(-)
23
(-)
0.242
(↓0.001)
3.730
(↓0.09)