オリックス(★2対3☆)阪神 =交流戦2回戦(2022.06.11)・京セラドーム大阪=
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阪神
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ORIX
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勝利投手:岩貞 祐太(1勝0敗0S)
(セーブ:岩崎 優(1勝2敗13S))
敗戦投手:本田 仁海(1勝2敗1S)
  DAZN
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DAZN

◆阪神は0-2で迎えた8回表、佐藤輝の適時三塁打などで2点を奪い、試合を振り出しに戻す。そのまま迎えた延長11回には、1死一塁から盗塁に相手失策が絡んで1点を挙げ、勝ち越しに成功した。投げては、6番手・岩貞が今季初勝利。敗れたオリックスは、守備の乱れが失点につながり、痛い敗戦を喫した。

◆阪神大山悠輔内野手(27)は交流戦でここまで19打点。交流戦が18試合制となった15年以降、1シーズンの交流戦最多打点は17年柳田(ソフトバンク)19年中村(西武)の23打点。大山は残り2試合でどこまで迫れるか。

◆阪神が由伸撃ちで連勝を目指す。オリックス先発山本由伸投手(23)に対し、スタメンに左打者を7人並べた。19歳の高寺望夢内野手が8番二塁でプロ3度目のスタメン出場。交流戦7本塁打、19打点でキングを独走し、球団初の交流戦MVPを狙える位置にいる大山悠輔内野手(27)は、前日と変わらず5番一塁に入った。阪神先発は伊藤将司投手(26)。前回6月5日の日本ハム戦(甲子園)に続き自身連勝を目指す。

◆阪神佐藤輝明内野手(23)の打席でハプニングがあった。4回先頭の第2打席。1ストライクからオリックス先発山本由伸投手(23)の内角146キロカットボールを打ち返すと、どん詰まりの二ゴロとなった。この時、バットが真っ二つに折れ、その先端側が一塁側スタンドへ。兵庫県から来た37歳男性の左脇腹を直撃した。男性は大事には至らなかった模様で、「うわ! と思った。避けようと思っても避け切れなかった。病院には行かないですけど、かなり痛い。刺さらなくてよかった。バットください」と話していた。山本と佐藤輝の名勝負の「副産物」は係員によって回収された。

◆阪神2番手の加治屋蓮投手(30)が、2/3回を投げ、17試合連続無失点でバトンをつないだ。6回1死で登板し、2死から伏見を右前打で出したが、野口を空振り三振でこの回を締めた。「(伊藤)将司が粘り強く投げてくれていたので、なんとか0点に抑えて、チームに流れをもっていきたいと思っていました。0点に抑えることができてよかったです」。防御率0・61と抜群の数字を誇っている。

◆阪神伊藤将司投手(26)が、6回途中2失点(自責1)と粘投した。今季初の中5日での先発。勝ち負けはつかなかったが、先発としてゲームメーク。左腕は「何とか最少失点でリリーフ陣にバトンを渡したかったが、粘り切れずに2点目を与えてしまったことが悔しい」と反省しつつ、「変化球をうまく使いながら、リズムよく丁寧に投げることができた点については良かった」と収穫も口にした。不運な立ち上がりとなった。初回、先頭福田の左翼への飛球にダッシュで前進してきた島田が落球し、走者は二塁へ。1死三塁から中川圭に中前適時打を許し、あっさり先制点を奪われた。5回は1死三塁から宗に右前への適時打で2点目を失った。6回先頭のT-岡田を空振り三振に斬ったところで降板した。前日10日には、今オフに合同自主トレを行ったオリックス能見と再会し、あいさつを交わした。フォークや真っすぐの大切さなどを伝授され、「能見さんの前で投げられるので、しっかりその成果を出せるように投げていきたい」と話していた。快投とはいかなかったものの、成長した姿を示した。敗戦ムードが漂っていた中、2点を追う8回に佐藤輝が適時三塁打を放ち、さらに捕逸の間に同点の本塁を踏んだ。同期入団の主砲が黒星を消し去ってくれ、ベンチでは何度もハグをして感謝した。次戦こそゼロ封の快投で、チームを勝利に導いてみせる。【古財稜明】

◆阪神アルカンタラ投手(29)は7試合連続で無失点とした。同点に追い付いた直後の8回に登板。先頭杉本に左前打を打たれたが、T-岡田を空振り三振、安達を変化球で二ゴロ併殺。19試合ぶりの回またぎで、9回は先頭の伏見を二ゴロに片付け、2死二塁を残して岩貞に代わった。「リリーフもみんなが良い仕事をしてゲームを作ってきた状況だったし、自分も0で次にバトンを渡したいという一心だったよ」と胸をなで下ろした。

◆阪神梅野隆太郎捕手(30)が執念のダイビングキャッチでピンチの芽をつんだ。2-2の延長10回。無死一塁から中川圭が送りバントを試みようと一塁ベンチ方向へ打ち上げた飛球に反応。ボール目がけて飛び込むとミットを伸ばしてもぎ取った。右脇腹の筋挫傷から復帰した7日に「早い段階で戻れたことにトレーナーさん、2軍監督、コーチがサポートしてくれた」と語っており、元気いっぱいのプレーで貢献した。

◆オリックス山本由伸投手(23)が8回112球7安打2失点と熱投も、今季7勝目は持ち越しとなった。阪神打線を相手に7回までスコアボードに0を並べ「立ち上がりから徐々に感覚も良くなっていきましたし、全体的には悪くはなかったと思います」と振り返ったが、悲劇は8回に訪れた。8回2死から3番近本に遊撃内野安打で出塁を許すと、同学年の佐藤輝を打席に迎えた。「すごくバッティングが良いので対戦は楽しみです。(阪神戦は)関西の野球ファンがたくさん見てくれると思うので、しっかり投げたいですね」とエースが話していた通り、京セラドーム大阪は熱気に包まれた。関西ダービー注目の対決は、6球目スライダーを右前に運ばれた。これを右翼の佐野皓がはじき、適時三塁打に。その瞬間、山本の今季初完封が消えた。悪夢は続いた。5番大山の打席でフォークを投じるも、捕手伏見が後逸して同点に追いつかれ、今季7勝目は目前でスルリ。チームは延長11回に力尽き、4連敗を喫した。8回で降板した山本は「粘り切れず、同点に追いつかれてしまって悔しいです」と、無念の言葉を残すしかなかった。【真柴健】

◆阪神がついに開幕からの最下位を脱出した! 「日本生命セ・パ交流戦」のオリックス戦。佐藤輝明内野手(23)が0-2の8回にエース山本に適時三塁打を見舞った。4試合、19打席ぶりの安打に続き、捕逸の間に同点のホーム。延長11回は先頭で左前打を放ち、後を託した代走・熊谷敬宥内野手(26)の神走塁で勝ち越しと、全3得点に絡んだ。試合前にヤクルトの交流戦優勝が決定。ただ、リーグ戦は中日と入れ替わり、5位に浮上した。真っ白なホームベースしか見えていなかった。懸命に走った。腕を振った。8回に1点差とし、なお2死三塁。三塁走者の佐藤輝は捕逸で同点のホームを陥れた。伏見から送球を受け取った山本がジャンプする、その下をくぐる激走で生還。ベンチでは同期入団の先発伊藤将とハグを繰り返した。一振りで空気を変えた。直前の8回2死一塁。真ん中低めスライダーを引っ張った。山本から右翼への適時三塁打。4打席目で飛び出した初安打で1点差に迫った。過去2度のオープン戦では通算5打数1安打、2三振と山本優勢だったが、最後に意地を見せた。「もうとにかく、何がなんでも食らいついてやろうという気持ちでした」。自身19打席ぶりのHランプは、5月29日ロッテ戦(ZOZOマリン)の12号ソロ以来、46打席ぶりの長打でもあった。目覚めの一打から、それまで無得点で眠っていた虎に2点をもたらせた。「ヨシノブっすかね。やっぱりホームラン打ちたいっすね」開幕前から「対戦したい投手」には山本を挙げていた。心待ちにしていたからこそ力も入った。4回は内角146キロカットボールに詰まり二ゴロ。バットが真っ二つに折れ、先端側が一塁スタンドまで飛んだ。高さ5メートル程度の防球ネットを越え、推定40メートル地点まで到達した"飛距離"にどよめきは止まらない。山本の高速変化球と佐藤輝のパワーがぶつかったから生まれたハプニングだった。同学年右腕との対戦で覚醒し、延長11回先頭では左前打で出塁。代走で一塁走者に入った熊谷が二盗すると、捕手からの送球がヘルメットに直撃しボールは中堅方向へ転々とした。その間に一気に本塁生還。3得点に絡んだ4番は、ベンチで仲間と喜んだ。試合前にヤクルトの交流戦優勝が決まり、阪神は2位が確定。京セラドーム大阪の3万3323人のファンを打って走って魅了した。延長戦までもつれ込んだ「関西ダービー」第2ラウンドの主役は、背番号8だった。そしてついに最下位を抜け出した。【中野椋】

◆阪神がついに開幕からの最下位を脱出した! 「日本生命セ・パ交流戦」のオリックス戦。佐藤輝明内野手(23)が0-2の8回にエース山本に適時三塁打を見舞った。4試合、19打席ぶりの安打に続き、捕逸の間に同点のホーム。延長11回は先頭で左前打を放ち、後を託した代走・熊谷敬宥内野手(26)の神走塁で勝ち越しと、全3得点に絡んだ。試合前にヤクルトの交流戦優勝が決定。ただ、リーグ戦は中日と入れ替わり、5位に浮上した。▼阪神は開幕64試合目にして、セ・リーグ最下位を脱出した。中日を抜いて5位に浮上。開幕9連敗をはじめ低迷が続いていたが、6月に入って8勝2敗と好調を維持。同月に3勝7敗という中日の不調にも助けられた。▼阪神は交流戦の2位を決めた。05年の交流戦導入後チーム最高成績タイで、08年、21年に次いで3度目。▼阪神は今季の延長戦7試合目にして初勝利。延長イニングでは、4月6日DeNA戦10回から連続13イニング無得点が続いていたが、ようやくストップした。▼阪神がオリックスとの関西ダービーに勝ち越したのは、17年の○●○以来4年ぶり。同一年に連勝したのは、12年5月23日(京セラドーム大阪)6月8日(甲子園)以来、10年ぶり。2日連続勝利となると、09年6月5、6日(甲子園)以来、13年ぶりだ。京セラドーム大阪での2日連続勝利は、交流戦初年度の05年6月8、9日以来、17年ぶり。当時の球場名は大阪ドームだった。

◆阪神が今季7度目の延長戦で初めて勝利した。同点の11回表、左前打で出塁した佐藤輝の代走で熊谷敬宥内野手が出場すると、打者ロハスの打席で盗塁を仕掛けた。二塁への送球がそれ、滑り込んだ熊谷のヘルメットに当たって、センター方向へ大きくはねた。熊谷はすぐに立ち上がり、三塁も回って思い切りよくホームへ突入。頭から滑り込んでホームイン。大喜びのベンチに迎えられ、満面の笑みを見せた。直後の11回裏、長打が出れば逆転サヨナラ負けの可能性もあった2死一、三塁では宗のボテボテの三ゴロを猛ダッシュでさばき、最後のアウトを取った。足と守備で勝利に貢献。プロ5年目で初めてのヒーローインタビューでは率直な言葉を並べた。熊谷のお立ち台での一問一答は以下の通り。-代走で出場した時の心境「心臓バクバクしてました。けど、テルが必死に出てくれたのでなんとか仕事しようとだけ考えていたので、走れてよかったと思います」-大事なランナー。盗塁のサインが出た時は「走るしかないと思っていたので何も考えず、次の塁だけを狙って盗塁しました」-送球がヘルメットに当たり転々と。三塁を回った時は「頭に当たったんでボールがどこにいったのか分からなかったんですけど、三塁コーチャーの藤本コーチが腕を回していたんで、ホームに突っ込むだけだなと思いながら走りました」-足でもぎ取った決勝点。ベンチでは手洗い祝福「全く覚えてないです。誰に何を言われたかも覚えてないくらい興奮していた。ほんとに1点入ってよかったと思います」-最後のアウト2つも取った。特に最後の三ゴロは内野安打もよぎる「僕が出たらやることをやるだけなので緊張はしてましたけど、意外と冷静でした」-ヒーローインタビューの経験は「ないんで、何をしゃべっていいか分からないです」-この拍手、お立ち台の景色は「これだけのお客さんが入っているので、僕もすごい興奮していますし、ファンのみなさんのおかげで盗塁することもできたし、守備も守ることができたので、ほんとにありがたく思っています」-サンドウィッチマンと同じ仙台出身。仮契約の時にお立ち台でやってみたいと言っていたことを覚えているか「はい。今日は無理っす(笑い)」-明日への意気込み「交流戦最終戦なので、ファンのみなさんと一緒に、そして僕らも最後まで諦めずに戦うので応援よろしくお願いします」

◆オリックス中嶋監督が、8回2死一塁からの佐野皓大外野手の右翼守備に苦言を呈した。阪神佐藤輝の打球をはじいて適時三塁打に。「ミスが全て点に絡んだ。あそこで後ろにやるというのも、ダメでしょう」と厳しかった。直後に捕逸で同点とされ「ワンヒットで止めてるべき。そういうのが重なったら点になる。それが野球だと思う」と腕を組んだ。4連敗で借金3。交流戦の勝ち越しはなくなった。

◆阪神岩貞祐太投手(30)が9年連続となる勝利を挙げた。2-2の9回2死二塁から登板。サヨナラのピンチでオリックス福田を中飛に仕留めると、続投した10回、2死一、三塁も安達を直球で遊ゴロに仕留めて仕事を果たした。「(伊藤)将司から投手陣全員で、27個のアウトを取って、延長に入ってからもみんなでつないだもの。勝ちきって本当にうれしいです。喜びたいです」とほっとした表情だった。

◆阪神がついに開幕からの最下位を脱出した! 「日本生命セ・パ交流戦」のオリックス戦。佐藤輝明内野手(23)が0-2の8回にエース山本に適時三塁打を見舞った。4試合、19打席ぶりの安打に続き、捕逸の間に同点のホームイン。延長11回は先頭で左前打を放ち、後を託した代走・熊谷敬宥内野手(26)の神走塁で勝ち越しと、全3得点に絡んだ。試合前にヤクルトの交流戦優勝が決定。ただ、リーグ戦は中日と入れ替わり、5位に浮上した。決勝のホームを踏んだ熊谷は、試合後の囲み取材で「あんまり僕が目立つようなことがないと思うんですけど...」と率直な思いを口にした。言葉通り、阪神では主に代走、守備固めで「日陰」に隠れがち。ただ、立大時代は主将で全国制覇に導いた男だ。グラウンドではそのキャプテンシーが顔を出す瞬間がたびたびある。2月の沖縄・宜野座キャンプでのこと。ムードメーカーの北條が2軍スタート、糸原も新型コロナウイルス陽性判定を受けて自主隔離中だったため、盛り上げ役がいなかった。そこで、一番"目立っていた"のが熊谷だった。「2人がいないから元気がないと思われたくない。若い僕らが、声出していかないといけないでしょ」キャンプ初日には矢野監督からチーム全体に「元気がない」と指摘されていただけに、思うところがあったのだろう。「さあいこう!」「もういっちょ!」。誰よりも通る声がグラウンドに響いていたことをよく覚えている。シーズン中、試合前練習で誰よりも忙しく動いているのも熊谷だ。本職の二塁、そこから三塁、遊撃でノックを受けたかと思えば右翼、左翼へいつのまにか移動し、フリー打撃の打球を捕球している。そんな光景は決してレアじゃない。そこから打撃練習、走塁練習。声をからし、試合前に目まぐるしく準備する日々が、ここぞの活躍につながっている。【阪神担当=中野椋】

◆オリックス選手会長の吉田正尚外野手が11回1死から代打で出場し、執念の左安打を放った。延長での起用に中嶋監督は「こっちは(代打で)出したくてしょうがなかった。その展開にしたいんですけど、なかなか計算通りにいかなかった」と悔やんだ。この日は吉田正の後援会メンバーがバス2台で京セラドーム大阪へ。左太もも裏痛の影響で全力疾走は控えているが、ファンに元気な姿を披露した。

◆阪神が「日本生命セ・パ交流戦」でオリックスに逆転勝ちし、ついに開幕から続いた最下位を脱出した! 2-2の延長11回に代走の熊谷敬宥内野手(26)が二盗で捕手の悪送球を誘い、「ヘディング」で得点機を生んでそのまま一気に生還した。伏兵の神走塁で、関西ダービーに連勝した。ヤクルトに交流戦優勝を決められたが、リーグ戦は中日と入れ替わり、5位に浮上した。サッカー界のレジェンド、C・ロナウドばりの"ヘディング"だった。同点の延長11回、熊谷は左前打で出た佐藤輝の代走で出場。1死からロハスの打席、2ボールから3球目だ。二盗を試みた。捕手伏見の送球はやや右側にそれ、スライディングした熊谷が頭で"合わせた"。ボールが外野に転がる間に、快足を飛ばしヘッドスライディングでホームイン。虎の"ファンタジスタ"が「足と頭」でみせた。「ボールが頭に当たってどこにいったのか分からなかったんですけど、三塁コーチャーの藤本コーチが腕を回していたんで、ホームに突っ込むだけだなと思いながら走りました」ベンチでは勝利へと導いた「頭」をナインからたたかれる手荒い祝福を受けた。ヒーローインタビューを受けるのはプロ5年目で初めて。「心臓バクバクしてました。テル(佐藤輝)が必死に出てくれたので、なんとか仕事しようと。何も考えず、次の塁だけを狙って盗塁しました」。今季延長戦は7戦目にして初勝利。セ・リーグ初の開幕9連敗で始まった最下位を64試合目で脱出。伏兵が演出した。熊谷は無類のサッカー好きだ。虎風荘入寮時にはポルトガル代表で、当時レアル・マドリードに所属していたC・ロナウドのユニホームを持ち込み、部屋に飾ったほど。「今でも好きです。あのレベルまでいってもストイックというか、地道に努力を重ねている。スポーツ選手として尊敬できる。外見もそうですけど、サッカーに向き合う姿勢というか、それは参考にできるし、お手本になる。それが好きな理由です」。興奮冷めやらぬ中、「クリロナ愛」を熱く語った。18年のW杯開催前には優勝国を「フランス」といい、予言を的中させたこともあった、矢野監督は熊谷の神走塁を絶賛した。「年間の中で何回も起こり得るプレーじゃないけど、ああいう選手がヒーローになって勝ってくれるのはチームとしてはすごく大事な部分でもある」。熊谷はそのまま11回から三塁の守備に就き、2死一、三塁の大ピンチで宗のボテボテのゴロを華麗に捕り、一塁へのランニングスローで試合を締めた。背番号4が攻守で技を光らせ、絶体絶命の窮地を救った。【古財稜明】○...島田が守備のミスを猛省した。初回に先頭福田の左翼への飛球を落とし、二塁まで進め、1死三塁から適時打で先制された。「将司に本当に申し訳ないことをしてしまった。本当にもう途中までのあの流れというのは、僕が作ってしまった流れだと思う」。取り返そうという思いでチーム唯一の猛打賞で踏ん張った。

◆阪神佐藤輝明内野手(23)は、決勝のホームを踏んだ先輩の頭をポンとたたいた。延長11回、先頭で本田から左前打を放ち出塁。「食らいついて1本出たので良かった」。代走熊谷を送られベンチで待っていた男の顔も晴れやかになった。同学年のオリックス山本が火をつけてくれた。2点ビハインドの8回2死一塁。スライダーを引っ張り右翼への適時三塁打とした。「とにかく、何がなんでも食らいついてやろうという気持ちでした」。自身19打席ぶりのHランプは、5月29日ロッテ戦(ZOZOマリン)の12号2ラン以来、46打席ぶりの長打でもあった。直後、三塁まで進むと捕逸の間にホームイン。激走で同点に追いついた。「絶対に追いつきたかった。集中して走塁できました」とうなずいた。「ヨシノブっすかね。やっぱりホームラン打ちたいっすね」開幕前から「対戦したい投手」に山本を挙げていた。心待ちにしていたからこそ力も入った。4回は内角146キロカットボールに詰まり二ゴロ。バットが真っ二つに折れ、先端側が一塁スタンドまで飛んだ。高さ5メートル程度の防球ネットを越え、推定40メートルの"飛距離"に客席はどよめいた。「カットで、いい球でしたね」。山本の高速変化球と佐藤輝のパワーがぶつかって生まれたハプニングだった。試合前には、1月に自主トレをともにした吉田正と打撃談議。「ここのところ打てていないのでアドバイスというか、バッティングの話もしました」。内容は「秘密」としたが、リスペクトする先輩の言葉がプラスにならないわけがない。 矢野監督も「最後も1本あったし、ノッていってくれたら」と期待を込めた。反撃適時打、同点ホームイン、勝ち越しを演出するマルチ安打。全3得点に絡んだ背番号8が、劇勝には欠かせなかった。【中野椋】

◆阪神が今季7度目の延長戦で初めて勝利した。 同点の11回表、左前打で出塁した佐藤輝の代走で熊谷敬宥内野手が出場すると、打者ロハスの打席で盗塁を仕掛けた。二塁への送球がそれ、滑り込んだ熊谷のヘルメットに当たって、センター方向へ大きくはねた。熊谷はすぐに立ち上がり、三塁も回って思い切りよくホームへ突入。頭から滑り込んでホームイン。大喜びのベンチに迎えられ、満面の笑みを見せた。 直後の11回裏、長打が出れば逆転サヨナラ負けの可能性もあった2死一、三塁では宗のボテボテの三ゴロを猛ダッシュでさばき、最後のアウトを取った。 足と守備で勝利に貢献。出番は緊迫した試合終盤の代走が多い。なぜあれほど重圧がかかる場面でスタートを切れるのか。素朴な疑問をぶつけた時、熊谷は「いやいや、震えてますよ、足。今も全然震えています」と照れ笑いした。生き残りためには勇気を振り絞るしかない、ということだ。ナイターゲーム当日は午前10時にナイン一番乗りで甲子園へ。相手バッテリーの映像研究など一瞬にかける準備に余念がない。「自分はポジションが確約されているわけではない。気取っていられる立場ではないので」。クールな外見に似合わず、根は熱い。実は自称「騒がしい」前のめり系。伝説のパンクロックバンド「THE BLUE HEARTS」を好んで聴くタイプだ。新型コロナ感染が拡大する前は車で突然熱唱して、後輩の小幡を何度もあぜんとさせている。「本当はグラウンドでも、もっとガッツポーズをしたい。アウトを取った時も、盗塁を決めた時も、ヒットの時も。でも、なんせ試合に慣れていないので、どうしても照れてしまって...」。そう悩みを吐露していた背番号4。走って守って準備が実った夜、久々に感情をむき出しにできた。【遊軍=佐井陽介】

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】11日のオリックス対阪神は延長となる熱戦。11回、阪神熊谷敬宥が見せた。神走塁で阪神が勝利し最下位を脱出!チームに笑顔が溢れました。

◆阪神・伊藤将司投手(26)が先発を務める。球界のエース、オリックス・山本との投げ合いを制して、今季3勝目を目指す。今季はここまで5試合に登板し、2勝2敗、防御率2・97。ヤクルトが交流戦Vを決めたが、勝てばセ・リーグ最下位脱出となる大事な一戦だ。

◆阪神・伊藤将司投手(26)が先発し、六回途中6安打2失点(自責1)だった。一回は先頭の福田が放った左翼への飛球を、島田が落球する不運なスタート(記録は左翼の失策)。宗の一ゴロで三塁に進まれると、3番・中川圭の中前打であっさりと先制点を奪われた。序盤から直球、変化球ともに高めに浮くなど制球面で苦しみ、二、三回も続けて走者を得点圏に背負った。それでもここは無失点で切り抜け、四回には初めて三者凡退で乗り切った。ここから勢いに乗りたいところ。しかし、五回は先頭・佐野皓に、バットを折りながら左翼線ギリギリに落とされる、再び不運な形の二塁打で出塁され、投前バントで1死三塁。ここで宗に右前適時打を打たれ、2点目を許した。六回は左打者のT―岡田を抑え、安達、伏見と右打者が続く場面で交代。オリックス・山本との好投手対決では勝ち投手の権利こそ手に入らなかったが、粘りの投球でゲームメークした。

◆阪神が八回に2点差を追いついた。オリックスの先発は難攻不落の好投手・山本。三回から3イニング連続で得点圏に走者を進めるなどチャンスを演出しながら得点には至らず、七回までゼロ行進だった。0―2の八回も島田&中野の1、2番コンビがたった3球で凡退して2死。零封負けの雰囲気も漂ったが、ここで3番・近本が俊足を生かして遊撃内野安打で出塁。すると続く佐藤輝はカウント2―2の6球目に真ん中低めへきたスライダーを振り抜き、右前へはじき返した。この打球を相手右翼手がワンバウンドで取り損ねて、白球は外野を転々。近本は一気に本塁へ生還し、佐藤輝も一気に三塁へ進んだ(記録は三塁打)。待ちに待った佐藤輝の安打は7日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)以来、19打席ぶり。さらに、長打は5月29日のロッテ戦(ゾゾマリン)で本塁打を放って以来、11試合ぶりで、同学年の山本から残した価値ある快音だった。さらに、続く大山の打席では、オリックスの捕手・伏見がフォークを取り損ね、佐藤輝が三塁から一気にホームへ生還(記録は捕逸)。ついに同点に追いついた。

◆関西ダービー第2ラウンドは、オリックスのエース、山本が先発のマウンドに上がった。公式戦では初先発となる阪神戦。盛り上がりを見せる虎との一戦に、気合十分で立ち向かった。「関西の野球ファンがたくさん見てくれると思うので、しっかり投げたい」今季は試合前まで10試合に登板し、6勝3敗、防御率1・79。交流戦では2試合で1勝1敗、防御率1・80と安定した投球を続けている。17日からはリーグ戦が再開(西武戦、ベルーナ)。交流戦ラスト登板を白星で飾るべく、「とにかく一試合一試合全力でやっているので、いい結果で終われるようにしたい」と好投を誓い、阪神打線と対峙した。一回、先頭の島田、中野を連続三振。続く近本には死球で出塁を許すが、4番の佐藤輝を三ゴロに仕留め、二回も三者凡退と上々の立ち上がりを見せた、三回には2死から島田、中野に連打を浴びるが、近本は投ゴロと要所を締めた。援護したい打線は一回に1死三塁から中川圭が中前へ先制打。「なんとか後ろにつないでいくことだけを考えて打席に入っていたので、先制のタイムリーになってくれてよかったです!」と振り返る一打でチームに3試合ぶりとなる先取点をもたらした。援護点をもらった右腕は、再三得点圏に走者を背負いながらも粘りの投球。四回2死二塁では糸井を空振り三振。五回にも2死一、二塁のピンチで近本を二ゴロに仕留め、得点は与えなかった。ところが2-0の八回に〝落とし穴〟が待っていた。簡単に2死を奪ってから近本に遊撃内野安打を許すと、佐藤輝の右翼への鋭いライナーを佐野皓が捕球できず、適時三塁打に。さらに大山の打席で捕逸があり、まさかの形で追いつかれた。結局、8回112球、7安打8奪三振2失点(自責1)で降板となった。

◆阪神は延長十一回に及ぶ激戦を制し、関西ダービーに勝ち越し。今季初めて最下位を脱出した。先発・伊藤将が六回途中2失点(自責1)と粘投。相手先発・山本相手に苦しんだ打線は八回に2死から近本の遊撃内野安打、佐藤輝の右翼への三塁打で1点を返し、さらに相手の捕逸で佐藤輝が三塁から生還し、追いついた。互いに九、十回と走者を出しながら得点できなかったなか、阪神は十一回に先頭・佐藤輝が左前打で出塁し、熊谷を代走で起用。その熊谷が1死後の代打・ロハスの打席で二盗を試みると、捕手・伏見の送球は熊谷のヘルメットに直撃して大きく跳ね、中堅へ。送球がそれたのを見て再スタートを切った熊谷はそのまま一気に三塁もけり、ホームに頭から飛び込んで決勝の生還を果たした(記録は盗塁と伏見の失策)。チームは開幕から9連敗と苦しむなどして最下位に居続けてきたが、この日のデーゲームで、1ゲーム差の4位だった中日が日本ハムに敗れていた(中日とゲーム差なしの5位だったDeNAはロッテに勝利)。勝率の差ながら阪神は5位となり、開幕から64試合目でついに最下位を脱出した。

◆阪神は激戦を制し、今季初めて最下位を脱出。延長十一回、代走の熊谷敬宥内野手(26)が二盗し、捕手の送球がヘルメットに直撃して跳ねる間に、一気に決勝の生還を果たした。以下、熊谷のヒーローインタビュー。【写真】延長十一回、二盗から一気に生還する熊谷 ――ナイスランニングでした!「ありがとうございます!」――佐藤輝の代走で登場。ベンチから一塁にいく時の気持ちは「心臓バクバクしていました。けど(佐藤)輝が必死で出てくれたので、なんとか仕事しようということだけを考えていたので走れてよかったかなと思います」――盗塁のサインが出たときの気持ちは「走るしかないと思ったので、何も考えずに次の塁だけを狙って盗塁しました」――送球が頭に当たってから三塁を回った時は「一瞬頭に当たったので、ボールがどこにいったか分からなかったですけど、三塁コーチャーの藤本コーチが腕を回していたので、もうホームに突っ込むだけだなと思いながら走っていました」――ホームインの後は誰にどんな言葉を「まったく覚えていないです。誰に何をされたかも覚えていないくらい僕も興奮していたので、本当に1点が入ってよかったかなと思っています」――最後はサードゴロを捕った。守備と足で見せる試合だった「僕が出たらやることをやるだけと思っているので。なんか緊張していましたけど、意外と冷静でした」――ヒーローインタビューは初めてか「ないので、何しゃべっていいか分からないです」――大きな拍手。お立ち台の景色は「これだけのお客さんが入っているので、僕もすごい興奮していますし、ファンのみなさんのおかげで盗塁することもできたし、守備も守ることができたので、本当にありがたく思っています」――入団前の仮契約で、お立ち台でやってみたいことを話していたが「きょうは無理っす。何も考えていないので」――明日(12日)に向けて「交流戦最終戦なので、ファンの皆さんと一緒に、そして僕らもあきらめずに最後まで戦うのでまた明日も応援よろしくお願いします!」

◆阪神が接戦を制して、最下位から脱出した。延長十一回1死一塁で二盗を敢行した代走・熊谷敬宥内野手(26)が伏見寅威捕手(32)の悪送球で一気に生還し、勝ち越した。八回に佐藤輝明内野手(23)の適時打と伏見の捕逸で同点に追いついたチームは今季7度目の延長戦で初めて白星を飾った(1勝5敗1分)。デーゲームで敗れた中日を勝率で上回り、5位に浮上した矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り(チーム成績28勝35敗1分、観衆3万3323人)。【写真】延長十一回、一気に生還する阪神・熊谷 ) ーー熊谷の好走塁「年間で何回も起こり得るプレーじゃないけど、ああいう選手がああいう挑戦して、打ってとかそういうことじゃない中で目立ってヒーローになって勝ってくれるのはチームとしてはすごく大事な部分でもある。今まで俺も走ることとか挑戦することとか、ずっと2軍の時から一緒にやっているメンバーなので。その勇気がああいう形になったと思います」ーー守備でも最後に素晴らしいプレー(延長十一回2死一、三塁で三ゴロを処理)「最後もなかなかね、(送球で)コントロールよくというのは、向こうもね、足の速い選手やし、簡単なプレーじゃないけど。素晴らしいプレーをしてくれた」) ーー佐藤輝はいいところで安打が出た「そうやね、やっぱりいいピッチャーで、そんな簡単に打てない中でね、ツーアウトからチカのラッキーなヒットからね。もう1点も点を取った感じじゃないけど、でも2アウトからテルが行ったっていうのはある。そんなにガンガン、ヒットヒットで点を取れるピッチャーではないんで。勝ちにつなげてくれたのは大きい。テルもいい一本を打てたんで。最後も一本あったし(延長十一回、先頭で左前打)、乗って行ってくれたらなと思います」ーーリリーフ陣も奮投「ピッチャーはずっと頑張ってくれているしね。まあ最初の1点も島田が捕ったらなアカン(一回、左飛を落球)。出るピッチャー、みんな粘ってくれた。厳しい場面も攻めて行ってくれている。それが一番勝因というか、大きいところやけど」ーー順位が1つ上がった「目の前の試合をね、もちろん、ある部分では先のことを考えているし。俺らが出来る事って一個一個しか今できるアレないんで。あまり先を計算する立場じゃない。でもその結果がそういうふうにつながっていくのはまた、よし行くぞ!っていうムードとか、モチベーションになるんで。いいモノはそうやって、して行ければいいかなと思っています」ーー交流戦も最終戦「本当にピッチャーが頑張ってくれているのと、あとやっぱり悠輔がいいところで打ってくれている印象があるけど。最後またいいピッチャー(宮城)が来るので。やっぱり勝って締めたいし、後半に続けるためにね。明日また今日みたいに全員で取っていきたいと思います」

◆オリックス、阪神で176勝を挙げ、引退後も両チームでコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家の星野伸之氏(56)は阪神の逆転勝ちの立役者に5回?を投げて2失点(自責1)の伊藤将司投手(26)と八回に適時打を放った佐藤輝明内野手(23)の名前を挙げた。野球は1つ1つのプレーで大きく展開が変わってしまう。そんな面白さを十分過ぎるほど感じた試合だった。阪神が勝利を手にしたヒーローは何人もいたが、その1人は先発・伊藤将。球界を代表する山本と見事に投げ合った。山本が相手だから最少失点に抑えなければいけないプレッシャーの中、球数が増えてでも、慎重に丁寧に投げ続けた。中5日の疲労度も考えて、五回で交代かと思ったら、六回の1人目まで投げた。この先を考えても、自信にしていい好投だろう。山本対佐藤輝の対決も見応えがあった。3打席目まで完ぺきに封じられて迎えた八回2死一塁。ここで、山本がこの試合初めて投じたスライダーを佐藤輝が右方向へ快打した。オリックスバッテリーからすれば、1試合をトータルで考えて、最後の最後に温存した球種で仕留めにいったと想像する。が、低めの変化球が得意な佐藤輝にとって数少ない「対応できる球種」になってしまった。とはいえ結果論。個々の勝負を含めて、延長戦の長さを忘れさせる好勝負が随所に見られた試合だった。

◆オリックスはミスが失点に直結した。2―0の八回2死一塁で佐藤輝の右翼への打球に佐野皓が突っ込んで後逸。適時三塁打にしてしまったプレーに中嶋監督は「状況を整理していたら、ワンヒットで止めておくべき」と淡々とした口調で指摘した。さらに大山の打席で伏見の捕逸があり、一気に追い付かれた。延長十一回は二盗阻止を狙った伏見の送球が走者の頭に当たって外野へ転々。この間に一気に本塁へ突入された。監督は「カバリングの遅さとか、まだまだできていない部分がある」とため息をついた。

◆あこがれのクリロナも、あんな〝神ヘッド〟でゴールネットは揺らせないはずだ。阪神・熊谷が二塁へスライディングすると、捕手・伏見の矢のような送球は一直線に虎の韋駄天のヘルメットにカーンッ! とクリティカルヒットし、中堅付近を白球が転々とする間に一気に勝ち越しのホームへ飛び込んだ。自慢の快足で、虎を勝利に導いた。「心臓バクバクしていました。けど(佐藤)輝が必死で出てくれたので、仕事しようということだけ考えていた。一瞬(送球が)頭に当たったので、ボールがどこにいったか分からなかったですけど、三塁コーチャーの藤本コーチが腕を回していた。もうホームに突っ込むだけと思いながら走っていました」初めてのヒーローインタビューを受けた若虎は心地よさそうに汗をぬぐった。2-2の十一回。先頭で安打を放った佐藤輝の代走で起用され、1死後にロハスの打席、3球目でスタートを切ると今季6盗塁目をマーク。さらに捕手の悪送球というラッキーも重なり一躍ヒーローに。ベンチ前では幸運?のヘルメットをバシバシ叩かれ、「まったく覚えていない。誰に何をされたかも覚えていないくらい僕も興奮していた。本当に1点が入ってよかった」と笑った。指揮官も「打ってとかじゃない中で目立ってヒーローになって勝ってくれるのはチームとしてはすごく大事な部分」とうなずき、「今までね、俺も走ること、挑戦することを2軍のときから一緒にやっているメンバーなので。その勇気がああいう形になった」と声を弾ませた。2018年1月。新人時代の熊谷は入寮時にサッカー界屈指のストライカーであるクリスティアーノ・ロナウド(37)のユニホームを持ち込んだ。「今も好きです。あそこまでいっててもストイック。地道に努力を重ねてああなっているので、スポーツ選手として尊敬できる。サッカーに向き合う姿勢は参考にできるし、お手本になる。それが好きな理由」と背番号4。どんな状況でもベストを尽くす。スタメンから途中出場まで幅広くこなすプロフェッショナルな姿勢が、この日の活躍に直結した。「勝ちたいという気持ちは強かったですし、それがその気持ちが盗塁にもつながった。僕が与えられた役割を明日以降も果たしていければ」熊谷が足でもぎとった勝利が矢野阪神をさらに勢いづける。交流戦を白星で締め、一気に駆け上がる。(新里公章)

◆守備の乱れが敗戦につながり、オリックスは今季3度目の4連敗を喫した。先発した山本は2─0の八回に暗転した。右翼手・佐野皓の後逸(記録は三塁打)や伏見の捕逸で追いつかれた。山本は「八回のところで粘り切れず、同点に追いつかれてしまって悔しいです」と唇をかんだ。中嶋監督は「ミスがすべて点に絡んだ。いろんな状況を頭で整理していたら、(佐野皓が)あそこ(佐藤輝の打球)を後ろにそらすのはダメでしょうし、ワンヒットで止めるべき」と指摘した。延長十一回の1死一塁では熊谷の二盗を阻止しようとした伏見の送球がヘルメットにあたり、本塁生還を許した。指揮官は「これから検証しますけど、いろんなミスが出る」と修正を求めた。(西垣戸理大)

◆関西球団の意地をぶつけ合う死闘で、リリーフ陣も一致団結。岩貞は、仲間が、そして自分が招いたサヨナラの大ピンチで粘り切った。「(先発の伊藤)将司から投手陣全員で、本当に27個のアウトを取って、延長戦に入ってからもみんなでつないだものだと思うので、勝ち切って本当にうれしいです」同点劇を起こした八回の守りをしのいだアルカンタラが、回またぎで九回も続投。しかし、内野安打と犠打で2死二塁を招き、ここで左腕にバトンは託された。対するは巧打者・福田。2球で追い込みながら粘り合いに。しかし「いいボールから選択して投げるしかない」と8球に及ぶ攻防のすえ、インハイに直球を投げ込み、中飛に打ち取った。岩貞は十回へ、今季初の回またぎ。2安打を許して再びサヨナラ機を作られたが、開き直って安達の内角へ150キロを投げ込み、遊ゴロでしのいだ。気持ちのこもった投球で野手陣の背中を押せば、十一回に取った1点をクローザー・岩崎も粘って守り抜き、今季初白星は自らに届いた。この1勝が、1年目の2014年から9年連続となる白星。かつての先発から中継ぎへ持ち場が変わったが、今季も21試合登板と与えられたポジションで奮投を続けており、また一つうれしい1勝となった。「1個でも、勝てたことがうれしいので喜びたいです」昇格した4月上旬から勝ちに飢える姿勢を示してきた。ついに5位浮上。反攻の6月もフル回転する。(須藤佳裕)

◆阪神は11回に及ぶ接戦の末、オリックスを3ー2で下して延長戦今季初勝利を挙げて今季初の最下位脱出を果たした。難敵・山本攻略の風穴を開けたのは、阪神・佐藤輝のバットだった。0ー2の八回2死一塁から右前に適時三塁打。19打席ぶりの安打がチームの逆転&今季初の延長戦勝利を呼び込み、虎党が待ちに待った最下位脱出だ。「食らいついただけですね。なんとか出塁したいというのはあったので。(右前に)落ちてくれて良かった」八回2死。近本が遊撃内野安打で出塁した。カウント2ー2からファウルで粘って6球目。真ん中のスライダーを振りぬくと、地を這うようなライナーで右前へ。右翼手・佐野皓が後逸し、一走・近本が生還して1点差に。佐藤輝は巨体を揺らして三塁まで激走した。 その直後だ。山本が大山に投じた低めのボールを伏見が後逸(記録は捕逸)。佐藤輝は同点のホームを踏んだ。「絶対に追いつきたかったので、集中して走塁できました」さらに2ー2で迎えた延長十一回の先頭での打席。フルカウントから本田の155㌔の直球を強振せずに左前へ。5月20日の巨人戦(甲子園)以来19試合ぶりとなる複数安打となった。ここで佐藤輝に代わって代走で出場した熊谷が二盗を試み、伏見の送球が自身のヘルメットに当たるラッキーボーイに。決勝のホームを踏んだ。同級生に3打席目まで翻弄された。一回2死一塁ではフォークを三ゴロ。四回の打席では二ゴロ。へし折られたバットが一塁側の観客席に飛び込む。「カットでいい球でしたね」。六回先頭の打席でも左飛に倒れ、連続無安打は18打席まで伸びた。最近は大山にヒーローの座を奪われていた。完封負けを阻止する山本撃ちで、存在感をアピールした。矢野監督は「いい投手は簡単に打てないという中でね。2アウトからテル(佐藤輝)がああやっていって、勝ちにつなげてくれたのは大きい。テルは、最後(十一回)も1本あったし、ノッて行ってくれたらなと思います」。チームの最下位脱出を導く一打を放った4番の復調を願った。佐藤輝は、試合前練習で藤井康1、2軍巡回打撃コーチからスイングチェックを受けていた。そこに今オフ、糸井を介して合同自主トレを行った吉田正も加わった。「ここのところ打てていないので、アドバイスというか、バッティングの話もしました」。効果てきめんだった。交流戦Vはなくなったが、1ゲーム差だった4位中日が敗れ、勝率の差で5位に浮上。もちろん、目標は最下位からの奇跡だ。佐藤輝は「調子がいい時に塁に出たいというのはある。ここんとこ(出塁が)できていなかったので、これから塁に出られるように」と決意を新たにした。交流戦もきょうがラスト。あとは5月29日以来の一発を放って、リーグ戦に弾みをつける。(三木建次)

◆「いいぞ、野村!!」「さすが熱男や!!」オリックス-阪神の1試合だけがナイターで行われた11日。昼過ぎの編集局内で、デーゲームのソフトバンク-ヤクルトをテレビ観戦しながら、私も当番デスクの上阪正人も、紙面総括の整理部長矢田雅邦もみんな〝即席〟のホークス応援団になっていました。一回に野村が先制2ラン。四回に松田が2点二塁打。その時点で、ソフトバンクが4-1とリードしたからです。「このまま4-1で試合が終わったら、ヤクルトのTQBは...」上阪が、交流戦で勝率が並んだときの順位決定方法①勝利数、②直接対決の成績-に続く3番目の取り決め「TQB」(Total Quality Balance)の計算を始めました。TQBは、1イニング平均得点(得点÷攻撃イニング)から1イニング平均失点(失点÷守備イニング)を引いた数値。得失点の差を「率」で示す指標です。野球の場合、ホームで勝つと攻撃は八回で終わり。ビジターで負けると守備が八回で終わります。同点になると延長十二回まで攻撃したり守ったりするケースもあるので、イニング数で割った上で、得点率と失点率を差し引きする優劣の決め方です。ヤクルトが1-4のまま負けていたら、10日終了時で0・159だったTQBは0・128に下がっていました。そうなっていれば、阪神にもチャンスがあったんです。9日時点で0・084だったTQBを、阪神は10日の6-1勝利で0・114に上げていました。同じような勝ち方を続けたら-と、みんな期待して見守っていたのです。しかし、ヤクルトは五回に村上の2ランで1点差に追い上げ、六回には、また村上が逆転満塁本塁打を放って...。一人で〝6ラン〟も稼ぐ選手が、逆転Vの期待とTQBの数値をまとめて吹き飛ばしてしまいました。「しょうがないわ。ヤクルトの連敗待ちで、こっちは連勝、それも大勝ちしないといかん状況やったからな」「〝他力〟頼みでしたからね」京セラドームのビヤ樽編集委員三木建次とトラ番サブキャップ新里公章は、冷静にヤクルトの交流戦優勝を受け止めていました。「でも、村上もすごいけど、今は大山もすごいで」ビヤ樽によると、大山の打撃練習は普段から見応えがあるらしい。「流し打ちと〝マン振り〟するときを決めて打っている。飛距離が半端じゃない。とくに今はすごい。佐藤輝より飛ぶ。ファンも早めに球場に来て見てほしい。ほれぼれするよ、今の大山は」ちなみに、12日は午後2時開始のデーゲームで開門は正午の予定。ビジターの阪神の打撃練習、ほぼ全員見られますよ。難敵・山本を相手に試合も粘りました。0-2を追いついて、延長十一回に勝ち越して、最後は1死一、三塁のピンチをしのいで5位浮上です。「これはデカイでしょう。最下位と5位、全然違います。ここから1つずつ上がってほしい」交流戦のV逸には淡々としていたサブキャップ新里も興奮した口調でした。日曜日も続けたかったTQBの計算は不要の物となってしまいましたが、今の阪神の野球は面白い。4位のDeNAにも1ゲーム差です。

◆阪神を愛してやまない俺だけど、本日の勝利は信じられへ~ん!!申し訳ないけど、オリックスのエース山本の豪速球とえげつないフォークボールを貧打の阪神打線がどないして打てっちゅーねん? イジメやろー!! 社会問題やー!! 試合が始まったら五回まで8三振。赤子の手をひねるようにやられっぱなし...。ところが、野球は筋書きのないドラマとなったのだ。八回にオリックス守備陣の隙から追い付くと、延長十一回、代走の熊谷が盗塁から相手の送球ミスを誘って一気にホームイン!! 虎を勝利に導いたのだ!!そのとき、既に山本がマウンドにいなかったとはいえ、名前は熊(谷)だけど、ネズミのように小さな選手が〝大きな山〟を動かしたと思うと、野球って超おもしれー!!なにはともあれ、最強投手の山本が投げても勝利したのだから、第3戦に登板する宮城には申し訳ないけど、交流戦の最後を2桁得点で締めさせてもらいまっせー!!

DAZN

<交流戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
1340 0.765
(↑0.015)
-
(-)
175
(+7)
51
(+4)
23
(+2)
13
(+1)
0.270
(↑0.006)
2.630
(↓0.09)
2
(-)
阪神
1160 0.647
(↑0.022)
2
(-)
153
(+3)
37
(+2)
9
(-)
19
(+1)
0.250
(-)
2.010
(↑0.1)
3
(2↑)
DeNA
980 0.529
(↑0.029)
4
(-)
155
(+2)
51
(+1)
14
(+1)
7
(+1)
0.255
(↓0.008)
2.440
(↑0.2)
3
(-)
ロッテ
980 0.529
(↓0.034)
4
(↓1)
161
(+1)
55
(+2)
16
(-)
14
(+3)
0.227
(↓0.003)
2.940
(↑0.1)
3
(-)
ソフトバンク
980 0.529
(↓0.034)
4
(↓1)
168
(+4)
42
(+7)
11
(+1)
13
(-)
0.270
(↓0.002)
2.490
(↓0.29)
6
(1↓)
ORIX
890 0.471
(↓0.029)
5
(↓1)
152
(+2)
48
(+3)
6
(-)
6
(+1)
0.269
(↑0.006
2.430
(↑0.12)
6
(2↑)
楽天
890 0.471
(↑0.033)
5
(-)
141
(+8)
54
(+1)
7
(+1)
9
(+1)
0.224
(↑0.008)
3.200
(↑0.14)
6
(2↑)
西武
890 0.471
(↑0.033)
5
(-)
158
(+2)
55
(+1)
16
(+1)
12
(+4)
0.229
(↑0.007)
2.760
(↑0.11)
6
(1↓)
巨人
890 0.471
(↓0.029)
5
(↓1)
159
(+1)
69
(+8)
17
(-)
16
(-)
0.229
(-)
3.770
(↓0.3)
10
(2↓)
中日
7100 0.412
(↓0.026)
6
(↓1)
145
(-)
67
(+10)
7
(-)
5
(-)
0.229
(↓0.004)
3.730
(↓0.43)
10
(1↑)
日本ハム
7100 0.412
(↑0.037)
6
(-)
167
(+10)
66
(-)
11
(-)
10
(-)
0.255
(↑0.008)
3.680
(↑0.23)
12
(-)
広島
5120 0.294
(↓0.019)
8
(↓1)
133
(+1)
72
(+2)
2
(-)
2
(-)
0.224
(↑0.001)
3.940
(↑0.1)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ヤクルト
39211 0.650
(↑0.006)
-
(-)
82241
(+7)
195
(+4)
63
(+2)
39
(+1)
0.242
(↑0.002)
2.780
(↓0.02)
2
(-)
巨人
36300 0.545
(↓0.009)
6
(↓1)
77248
(+1)
263
(+8)
67
(-)
33
(-)
0.242
(-)
3.490
(↓0.08)
3
(-)
広島
30312 0.492
(↓0.008)
9.5
(↓1)
80235
(+1)
216
(+2)
26
(-)
10
(-)
0.251
(↓0.001)
3.190
(↑0.02)
4
(1↑)
DeNA
26310 0.456
(↑0.01)
11.5
(-)
86194
(+2)
238
(+1)
42
(+1)
21
(+1)
0.250
(↓0.002)
3.720
(↑0.08)
5
(1↑)
阪神
28351 0.444
(↑0.009)
12.5
(-)
79197
(+3)
184
(+2)
44
(-)
48
(+1)
0.231
(↑0.001
2.670
(↑0.04)
6
(2↓)
中日
27340 0.443
(↓0.007)
12.5
(↓1)
82188
(-)
234
(+10)
35
(-)
20
(-)
0.241
(↓0.002)
3.700
(↓0.11)

<パ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(1↑)
楽天
34241 0.586
(↑0.007)
-
(↓0.5)
84199
(+8)
172
(+1)
35
(+1)
46
(+1)
0.235
(↑0.002)
2.810
(↑0.03)
2
(1↓)
ソフトバンク
34251 0.576
(↓0.01)
0.5
(↑0.5)
83240
(+4)
184
(+7)
35
(+1)
35
(-)
0.266
(-)
2.770
(↓0.07)
3
(-)
ORIX
30330 0.476
(↓0.008)
6.5
(↓0.5)
80173
(+2)
198
(+3)
23
(-)
33
(+1)
0.231
(↑0.002
2.800
(↑0.04)
4
(-)
西武
29321 0.475
(↑0.008)
6.5
(↑0.5)
81192
(+2)
189
(+1)
44
(+1)
29
(+4)
0.225
(↑0.002)
2.550
(↑0.03)
5
(1↓)
ロッテ
28331 0.459
(↓0.008)
7.5
(↓0.5)
81197
(+1)
211
(+2)
37
(-)
60
(+3)
0.218
(↓0.001)
2.820
(↑0.03)
6
(-)
日本ハム
25370 0.403
(↑0.01)
11
(↑0.5)
81215
(+10)
235
(-)
49
(-)
44
(-)
0.239
(↑0.002)
3.620
(↑0.06)