阪神(★2対6☆)巨人 =リーグ戦10回戦(2022.05.20)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:平内 龍太(3勝0敗0S)
敗戦投手:アルカンタラ(1勝1敗0S)

本塁打
【阪神】大山 悠輔(7号・9回裏2ラン)

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◆巨人が5時間を超える熱戦を制した。巨人は2-2で迎えた延長12回表、立岡と代打・中田の連続適時打などで4点を挙げて、勝ち越しに成功した。投げては、6番手・平内が今季3勝目。敗れた阪神は、9回に大山の2ランで試合を振り出しに戻すも、12回に救援陣が力尽きた。

◆巨人戸郷翔征投手(22)が先発する20日阪神戦で"5月男"ぶりを見せつける。ここまで5月は通算6戦5勝で負けなし。今季も4日広島戦から2連勝中と好相性を誇る。リーグ単独トップの6勝目に向け「チームの流れがいいので僕もその流れに乗っていけるように、長いイニングを投げて勝てるように頑張ります」と力を込めた。

◆"隠れ防御率1位"の阪神青柳晃洋投手(28)が、中5日で20日の巨人戦(甲子園)に先発する。規定投球回に未到達ながら、防御率は1・09と安定感抜群。前回14日DeNA戦で6回2失点で4勝目を挙げた際に一時1位に浮上し、「また消えてしまう数字なので、もっと長いイニングを投げて、しっかりずっと規定に乗れるように頑張りたい」と話していた。巨人戦の次は中6日で27日のロッテ戦(ZOZOマリン)に先発する見込み。佐々木朗との対決を前に、G倒で弾みをつけたい。

◆「大阪タイガース」が、62年ぶりの「巨人戦勝利」を目指す。阪神は今回の伝統の一戦で、1936年(昭11)の球団発足時から一時期を除いて60年まで名乗っていた「大阪タイガース」の復刻ユニホームを着用。「OSAKA」のロゴを胸に交流戦前最後の3連戦に臨む。◆巨人戦勝利 このチーム名で勝てば、60年9月22日(後楽園)以来62年ぶりになる。その試合は小山正明が1-0で完封勝利。甲子園に限ると同年8月24日以来。このときも小山が完投し、並木輝男の本塁打などで5-1と快勝した。今季4月1~3日の東京ドームでも「大阪タイガース」で臨んだが、3連敗した。◆初の巨人戦はルーズベルト勝利 大阪タイガースと巨人の記念すべき第1戦は、36年7月15日。名古屋市の八事山本球場で行われ、8-7で勝利した。野球で最も面白いとされる、ルーズベルトゲーム。永遠のライバル関係を暗示する船出となった。なお、8-7で巨人に勝ったのは、ほかに10年5月2日の1度だけ。◆初の甲子園はノーノー敗戦 聖地に初めて宿敵を迎えた通算第2戦は、36年9月25日。沢村栄治に、プロ野球初のノーヒットノーランを喫した。松木謙治郎や景浦将ら強打者が、名投手に凡打の山を築いた。第1戦に続き、歴史的な名勝負が展開された。

◆阪神佐藤輝明内野手(23)は青柳が先発した試合でよく打つ。青柳が白星を挙げた4月15日、同29日に本塁打、5月14日には猛打賞を記録するなど、計5試合で20打数8安打、2本塁打、6打点で打率4割。今日も青柳を援護できるか。

◆【注目ポイント】阪神は18、19日のヤクルト戦で2試合連続、投手の西純とガンケルが8番、9番に捕手の坂本が入った。阪神の投手が8番に入るのは、07年5月5日広島戦のボーグルソン以来で、同年は4月14~16日にも8番投手があった。だが、その4試合とも9番は中堅の赤松で、どの球団も投手を8番に入れる場合の9番は、1番へのつなぎを意識して足の速い巧打者タイプを入れるケースが多い。DH制のある交流戦を除き、近年の球界全体を見ても、セ・リーグの捕手が9番でスタメン出場するのは極めて珍しい。阪神では藤本定義監督時代の1964年(昭39)7月5日の大洋戦(ダブルヘッダー第2試合)で、山本哲也が入った例があるが、58年も前のことだ。その試合の8番投手は村山実だった。8番投手よりも、9番捕手の方がレアケース。阪神は20日の巨人戦も8番投手、9番捕手を継続する?

◆阪神が3戦連続で「8番投手」を選択した。今季打率0割6分7厘の青柳晃洋投手(28)を8番に置き、「伝統の一戦」に臨む。18日ヤクルト戦で球団15年ぶりとなる「8番投手」をチョイスし、西純矢投手(20)がプロ初アーチとなる左越え2ランを記録。前日19日の同戦もジョー・ガンケル投手(30)が左前打を放っている。井上一樹ヘッドコーチ(50)は試合前、「流れ的にも悪くないなということで、ちょっと試していきます。8番で代打を送るか、9番で代打を送るか。その1つがあるからこそ決断をしやすいという意味合いもある。交流戦まであと3つしかないけど、8番(投手)で巨人戦3つは行きたい」と説明。「大阪タイガース」の復刻ユニホームを身にまとう巨人3連戦は「8番投手」を続ける。19日ヤクルト戦は早くも今季11度目の完封負け。今季初のチーム1試合3失策と精彩を欠いた。甲子園に戻って仕切り直しの一戦、野手陣の反発力に期待がかかる。

◆阪神は86年前の「大阪タイガース」復刻ユニホームを着用して試合に臨んだ。巨人との共同プロジェクト「伝統の一戦~THE CLASSIC SERIES」で両チームが1リーグ初年度の1936年(昭11)当時の復刻ユニホームを着用。阪神はグレーのユニホームで胸には、「OSAKA」の5文字が記され、巨人も同時期の白いユニホームを着用した。今季2度目の試みで、前回4月1日からの3連戦(東京ドーム)では、阪神が巨人に3タテを食らった。

◆阪神の「8番投手」が3戦連続安打を決めた。3回1死、今季打率0割6分7厘の青柳晃洋投手(28)が巨人戸郷の146キロ直球をとらえ、左前に運んだ。18日ヤクルト戦では球団15年ぶりの「8番投手」で先発した西純矢投手(20)がプロ初アーチ。前日19日の同戦はジョー・ガンケル投手(30)が左前打を放っている。

◆阪神青柳晃洋投手(28)はツキにも見放され、6回2失点で今季5勝目を逃した。「8番投手」としては3回1死、巨人戸郷の146キロ直球をとらえて左前打。投げても序盤から丁寧に試合をつくったが、両チーム無得点で迎えた6回に苦しんだ。先頭の1番丸が放った一塁線への強烈ゴロが一塁ベースに当たり、大きく跳ねて右翼線二塁打に。2番ウォーカーは詰まらせながら遊撃内野安打。1死二、三塁から4番岡本和に先制の左前2点打を献上した。6番中島に1打席で13球粘られた場面もあり、6回で118球を要して8奪三振7安打無四球で2失点。規定投球回に到達し、防御率1・33で再びリーグトップに躍り出たが、2点ビハインドの6回裏に代打を送られた。

◆巨人戸郷翔征投手(21)が、8回4安打無失点の好投も報われなかった。ハーラー単独トップの6勝目の権利を得るも、3番手デラロサが9回2死一塁、2ストライクから同点2ランを浴びた。1回、2回と走者を出すも、球威のある直球で押し、2イニング連続で併殺打に打ち取った。以降も最速151キロの直球で押し、散発4安打に封じた。8回には先頭糸井から2者連続四球で無死一、二塁。犠打で1死二、三塁と同点のピンチを招くも、長坂を空振り三振、近本を中飛で切り抜けた。116球の粘投で9回をリリーフ陣に託すも、今村が2死から佐藤輝に左前打を浴び、3番手デラロサにスイッチ。しかし、デラロサが2死一塁から大山に同点2ランを浴び、戸郷の6勝目はお預けとなった。

◆阪神大山悠輔内野手(27)が、起死回生の同点アーチを放った。2点ビハインドの9回裏2死一塁。直前に今村に代わりマウンドに上がった巨人デラロサから、7号同点2ランを左翼席へお見舞いした。9回2アウト、2ストライクと、まさに土壇場で試合を振り出しに戻した。大山は球団広報を通じ「打ったのはスライダー。投手陣が粘ってつないでくれていたので、何としても打ちたいと思っていました。甘く入ってきたボールを一発で仕留めることができて良かったです。まだ同点なので、しっかり切り替えて、この試合を勝ち切れるように頑張ります」とコメントした。2試合ぶりのアーチは値千金の1発。甲子園には地鳴りのような大歓声が響き続けた。

◆阪神は「大阪タイガース」時代のユニホームをまとって巨人戦に臨んだが、延長12回の激闘の末、悔しい敗戦を喫した。借金は14。前回の巨人戦は敵地で3連勝したが、今季の対戦成績は5勝5敗になった。最高のムードだった。0-2で迎えた9回。簡単に2死を取られ、昨季を早くも上回る12度目の0封負けが目前に迫った。ここで、佐藤輝明内野手(23)がしぶとく左前打で出塁。続く大山悠輔内野手(27)は2球で追い込まれた。3球目、巨人デラロサが外角を狙ったスライダーがど真ん中に入ってきた。大山は失投を逃さず、完璧にとらえて左翼席に放り込む2ラン。土俵際で打線が意地を見せた。それでも勝ち切れないのが今年の阪神だ。延長12回、マウンドにはラウル・アルカンタラ投手(29)。先頭の打球を遊撃の中野拓夢内野手(25)が失策。死球と安打で無死満塁とされると立岡宗一郎外野手(30)に右前打を打たれ、致命的な勝ち越しを許した。中田翔内野手(33)にも2点打を浴びた。ベンチ入り全9投手をつぎ込む総力戦は実らなかった。もともとは負け展開だった。頼みのエース青柳晃洋投手(28)は6回2失点と粘った。8奪三振は今季自己最多。再び規定投球回に乗り、防御率はリーグトップの1・33。だが、打線が巨人戸郷翔征投手(22)に苦しめられた。1回、2回と併殺打でチャンス拡大できなかった。7回も落ちる変化球で併殺を食らった。相手の注文通りに打たされた。青柳の力投に応えられず重いムードが続いたが、大山の一打で振り払った。サヨナラ勝ちへのシナリオはでき上がっていただけに、悔しい結末となった。巨人との共同プロジェクトで両軍が1リーグ初年度の復刻ユニホームを着用した。阪神は胸に「OSAKA」と書かれた大阪タイガース時代のグレーのデザイン。今季2度目の試みだが、4月1日からのカードでは3連敗。これで今季は4戦全敗となった。首位ヤクルトも敗れたため、最短の自力V消滅は1日延びて22日になった。?▼阪神の今季自力優勝の可能性は、最短で22日に消滅する。21日から、ヤクルト○○なら阪神●△または●●、ヤクルト○△または△△の場合は阪神●●。なお阪神は、初めてセ・リーグ単独最下位として交流戦に臨むことが決まっている。

◆湿りがちだった主砲のバットが久々に快音を鳴らした。両チーム無得点で迎えた6回。巨人の4番、岡本和真内野手が投手戦の緊迫を打ち破る。丸、ウォーカーの連打と吉川の犠打により1死二、三塁という好機で打席に立つ。5回までチームが3安打に抑えられていた阪神のエース青柳に、前打席まで2三振を喫していた。カウント1-1。2球連続で来た内角低めの143キロツーシームを見逃さなかった。左前へ先制の2点適時打。甲子園の巨人ベンチが沸いた。12日DeNA戦の第2打席で12号ソロを放って以来、実に29打席ぶりの打点。「バントなどでみんながつないでくれたチャンスだったので、何とかランナーをかえしたかった。戸郷も頑張っていたのでとにかく打てて良かった」。岡本和に少し笑顔が戻った。3、4月で本塁打10本、25打点を挙げていたバットが5月に入り、試合前時点で本塁打2本、4打点と調子を落としていた。35打点でトップを走るヤクルト村上との打点王レースも巻き返しに行く。【三須一紀】

◆巨人が延長12回、12球団で今季最長となる5時間3分の死闘を制し、2週間ぶりに首位に返り咲いた。原辰徳監督は「野球というスポーツ、スポーツはみんなそうかもしれませんけれども難しいですね。でも、最後まで集中力を切らず、やり抜いてくれたというところにね。軍配が上がったかなというところですね」と評した。先発戸郷が8回無失点と好投するも、9回2死一塁、2ストライクから3番手デラロサが大山に同点2ランを浴びた。同点のまま進んだ延長12回だった。先頭の中山が敵失で出塁すると、代打岸田が死球を受ける。丸が右前打でつなぎ、阪神アルカンタラから無死満塁のチャンスを作った。打席には9回の守備から途中出場した立岡。追い込まれてから内角154キロ直球を右前にはじき返した。勝ち越し点を絞りだした。右拳を上げてガッツポーズで喜びを爆発させた。続く吉川の場面で、阪神がサイドスロー左腕の渡辺雄に代えると代打中田が打席へ。前進守備の二遊間を抜く2点適時打でさらに突き放した。無死一、二塁から主砲岡本和も左前打で続き、4連打。ワイルドピッチで1点を重ね、4点のリードを得た。最後は7番手戸田が3者凡退で締め、ベンチ入り26人中、22人を使った総力戦を制し、阪神戦で4試合ぶりの勝利をつかんだ。▽巨人立岡(延長12回無死満塁、右前へ決勝適時打)「なんとか前に飛ばそうと。それだけでした。(坂本)勇人さんが抜けて非常に苦しいですけど、戻ってくるまで、みんなで頑張っていきたいと思います」▽巨人中田(1点を勝ち越した直後の延長12回無死満塁、中前へ2点適時打)「ランナーをかえせて良かったです。しっかりと準備して打席に入れたと思いますし、それがいい結果につながったと思います」

◆阪神は延長12回の死闘の末、悔しい敗戦を喫した。9回2死から大山悠輔内野手(27)の2ランで劇的に追いついたが、ベンチ入り全投手をつぎ込む総力戦で踏ん張れなかった。5時間を超える今季最長の激戦を落とした矢野燿大監督(53)の一問一答は以下の通り。-大山が土壇場で打っただけに何とか勝ちたかった矢野監督 「うん、もちろん」-(12回の)アルカンタラはアンラッキーな安打もエラーもあった矢野監督 「責めることはもちろんないよ。全部、一生懸命いってるんだから」-先発の青柳は2点取られたあとも気持ちを感じた矢野監督 「そうやね。最後も、球数が増えて苦しいところやけど、何が何でも最少失点というか、食い止めてやるという気持ちもしっかり出て、結果もそれに伴うような投球だった。あの後もベンチでずっと声を出していたし、そういう姿勢は、ヤギのすごいところやなと思っている」-中継ぎ陣も踏ん張っていた矢野監督 「そうやね。やっぱりミスが点になって、決めるところで点が取れないっていう。流れ的には変わっていない。まずは今出ているメンバーの状態が上がってくることが必要。あとからいった選手も、自分たちの仕事をしてくれた。(高山)俊もヒットを打ったり、バントも簡単じゃないけどみんな決めたり。そういうことはできている。スタメンのメンバーが頑張ってもらわないと」-長坂はよく守った矢野監督 「もちろん盗塁を刺したのもそうやし、落ち着いてやっていた。でもその中で勉強というか、ワンバウンドも止めてやらないとダメだし。経験の中でいろいろ、いい面もよくない面も出てくる。そこから学ぶべきじゃないかなと思います」-大山は状態が上がってきているか矢野監督 「まあバッティング練習とかはいい感じになってきているから、上がってきていると思います」

◆虎党がつかの間の夢を見た。阪神大山悠輔内野手(27)が9回裏に一時同点となる7号2ランを放った。2点ビハインドの9回裏2死一塁。カウント0-2から巨人デラロサの変化球を左翼席へ運んだ。敗戦まであと1球から粘りを見せ、2戦連続完封負けを阻止。チームは敗れたが、悩める男の1発が明日への希望だ。無表情のまま終われるはずがなかった。大山はダイヤモンドを回り終えると、途端に「鉄仮面」を外した。矢野監督から虎メダルをかけられ破顔。「ヨッシャー!」と連呼しながら、仲間とハイタッチを繰り返した。2点を追う9回裏2死一塁、2ストライク。目の前に2試合連続、早くも今季12度目となる完封負けが迫っていた。デラロサの3球目。外角要求が真ん中に入ったスライダーに、集中力を研ぎ澄ませた。「投手陣が粘ってつないでくれていた。なんとしても打ちたいと思っていました」寸分狂わぬフルスイング。飛距離128メートルの特大7号だ。起死回生の2ランが左翼席に消えた後の数分間、甲子園からどよめきが収まることはなかった。勝てばヒーロー。負ければ戦犯。人気球団で主力を務める厳しさは人一倍知っている。「キャンプで早出特守をする時にしても、自分の中でテーマを掲げて練習していたとしても、ちょっとでもポロッとすれば『何をやっているんや』となる。難しい部分はありますよ」苦笑いで本音をこぼしたこともある。「でも去年、良いことも悪いことも経験した。まだ5年ですけど、プロで5年間やった経験はあるので」背中の痛みやスランプに悩まされた昨季の経験が、背番号3の心をたくましくしている。今季は開幕直後の大不振が響き、いまだ最下位に低迷。自身も打率2割台前半と苦しんでいる。4月下旬に左足を負傷。痛みもまだ残っている。それでも前向きな姿勢を懸命に貫く。5時間3分の激闘。延長12回を戦った末、敗れた。とはいえ、下を向いている暇はない。シーズンはまだ98試合も残っている。矢野監督は試合後、大山の状態を「上がってきている」と表現した。主砲の復調気配は、今後に向けた希望の光でもある。チームのV字回復に大山のバットが欠かせないのは、誰の目にも明らか。ブレることなく、全力で虎の浮沈を背負い抜く。【佐井陽介】

◆巨人が深夜の激闘を制して奪首した。延長12回までもつれ込んだ阪神との伝統の一戦を制した。序盤から緊迫した投手戦を展開。2点リードで勝利を目前にした9回2死にデラロサが痛恨の同点2ランを浴びるも、勝ち越し点は許さなかった。今季12球団最長の5時間3分。午後11時4分に決着をつけ、ヤクルトに1ゲーム差をつけて14日ぶりの首位に返り咲いた。バックスクリーン最上部の時計の針は、午後11時に差し掛かろうとしていた。原監督が最終回のマウンドに上げる投手戸田を球審に告げた。12回の攻撃で4点を勝ち越し、約4万人で埋まっていた敵地のスタンドは、内外野ともに空席が目立った。同6時1分のプレーボールから5時間3分。延長12回2死、阪神熊谷を空振り三振に片付け、三塁側ベンチ前からマウンドへのハイタッチの列をつくった。引き分けで終われば取りこぼしの感が否めない一戦だった。8回無失点で好投した先発戸郷から9回は今村に継投。2死一塁、打者大山のところでデラロサをシフトした。カウント0-2と追い込んだ3球目、甘く入ったスライダーを左翼席に同点2ラン。土壇場で痛すぎる1発だった。延長に入っても歯がゆい場面が続いた。10回1死満塁の絶好機は3番吉川、4番岡本和が凡退。重い空気がたちこめた。原監督が常々口にする精神の威力を発揮する。「毒を盛られても栄養にするぐらいじゃなきゃ、この世界は勝ち抜けない」。畠、高梨、平内、最後を締めた戸田が勝機までしのぎきった。最終回は相手の失策と死球から4連打、打者10人でたたみかけて勝負を決めた。本拠地から移動してのナイトゲーム。4連勝で阪神戦の連敗も3で止めた。原監督は「野球というスポーツ、スポーツはみんなそうかもしれませんけれども難しいですね。でも、最後まで集中力を切らず、やり抜いてくれたというところにね。軍配が上がったかなというところですね」と評した。長い、長い、1日を勝ちきり、首位に返り咲いた。【為田聡史】

◆巨人戸郷翔征投手が8回無失点、116球の快投も報われなかった。最速151キロの直球で押し、散発4安打。8回は1死二、三塁のピンチを招くも、無失点で切り抜けガッツポーズを見せた。2点のリードで9回をリリーフ陣に託すもデラロサが同点2ランを浴び、リーグ単独トップの6勝目はお預け。「しっかり抑えられましたし、自分がやるべきことは出来たと思います。次に向けてしっかり調整していきます」と前を向いた。

◆阪神は「大阪タイガース」時代のユニホームをまとって巨人戦に臨んだが、延長12回の激闘の末、悔しい敗戦を喫した。▼阪神の連続試合3失点以下が21でストップした。4月22日ヤクルト戦から継続していたが、6点を奪われて途絶えた。それでも、球団では56年の16試合連続を更新して新記録となっていた。球界では42年南海(現ソフトバンク)の31試合連続が最長。▼20日の阪神-巨人戦の試合時間5時間3分は、12球団最長。阪神の試合で5時間以上は、18年8月4日に京セラドーム大阪でのヤクルト戦で5時間11分を戦い、10-9で勝って以来。甲子園では、16年5月20日広島戦で5時間5分を戦い、1-4で敗れて以来。なお巨人戦では、甲子園で09年7月10日に5時間9分で5-7と敗れて以来、13年ぶりとなった。

◆ああ、大阪タイガース4連敗-。阪神は今季最長となる5時間3分の激闘の末に敗れ、借金14となった。延長12回に中野拓夢内野手(25)の失策から、ラウル・アルカンタラ投手(29)が踏ん張れずに4失点。3失点以下は21試合連続で止まった。この日は大阪タイガースの復刻ユニホームで伝統の一戦を迎えたが、今季着用した試合は4連敗となった。大阪タイガースのユニホームを着たナインに徒労感がにじんだ。今季最長5時間3分のロングゲーム。延長12回。最終打者の熊谷が空振り三振に倒れると、午後11時を過ぎてもスタンドに残った観客からはため息が漏れた。土壇場の9回2死から大山の2ランで息を吹き返したが、最後は投手陣が崩れて敗戦。延長戦は今季6度目だが、これで0勝5敗1分け。是が非でも勝ちたかった...。そう問われた矢野監督は「うん、もちろん」と、力なくうなずいた。鉄壁を誇っていた投手陣にほころびが出た。2-2で迎えた延長12回。7番手アルカンタラが誤算だった。遊撃中野の悪送球で先頭中山の出塁を許すと、死球、右前打で無死満塁。立岡に致命的な勝ち越し右前打を許した。抜群の安定感を誇っていた右腕が13試合ぶりの失点。代わった左腕渡辺も、代打中田に中前へ2点適時打を浴びた。21試合連続で3失点以内と奮闘してきた投手陣が、踏ん張りきれず。ベンチ入り9投手をつぎ込む総力戦も実らなかった。歴史を紡いできた先人たちにも申し訳が立たない。巨人との共同プロジェクトで両軍が1リーグ初年度の復刻ユニホームを着用した。阪神は胸に「OSAKA」と書かれた大阪タイガース時代のグレーのデザイン。今季2度目の試みだが、4月1日からのカードでは3連敗。これで今季は4戦全敗となった。首位ヤクルトも敗れたため、最短の自力V消滅は1日伸びて22日になった。矢野監督は今シーズン何度も口にしていた言葉を繰り返した。「決めるところで点が取れない。流れ的には変わっていない。今出ているメンバーがやっぱり、まず状態がみんな上がってくるっていうことが必要なことかなと思う」。終わってみれば大山の2ランによる2得点のみ。チャンスはあった。だからこそ悔しさが残る。【桝井聡】

◆阪神湯浅が1回3人斬りの好投で、11試合連続無失点とした。同点の延長11回に登板。増田大、北村を連続三振に封じ、最後は大城をこの日最速の152キロ直球で一ゴロに仕留めた。これでリーグ2位タイの11ホールド。「攻撃に流れを持ってくることができるような攻めの投球をしようと心がけました。しっかりと自分のボールを投げ切ることができたと思います」と振り返った。

◆7回表の守備から途中出場した阪神長坂が、2度の好機で凡退した。2点ビハインドの8回1死二、三塁、同点の延長10回1死二塁でともに空振り三振。試合が動く重要な局面も代打を送れず。ベンチには今季から捕手登録を外れた原口しか捕手経験のある選手が残っていなかった。守備では中継ぎ8投手を懸命にリードしたが、延長12回表に4点を献上した。

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】阪神対巨人、伝統の一戦は試合時間が今季12球団最長の5時間3分の熱戦。両チームが甲子園で熱戦を繰り広げた。

◆虎党がつかの間の夢を見た。阪神大山悠輔内野手(27)が9回裏に一時同点となる7号2ランを放った。2点ビハインドの9回裏2死一塁。カウント0-2から巨人デラロサの変化球を左翼席へ運んだ。敗戦まであと1球から粘りを見せ、2戦連続完封負けを阻止。チームは敗れたが、悩める男の1発が明日への希望だ。勝てばヒーロー。負ければ戦犯。12球団随一の注目度を誇る人気球団で主力を張る厳しさを、大山は人一倍知っている。「キャンプで早出特守をする時にしても、自分の中でテーマを掲げて練習していたとしても、ちょっとでもポロッとすれば『何をやっているんや』となる。やっぱり難しい部分はありますけどね」苦笑いで本音をこぼしたこともある。「でも去年、良いことも悪いことも経験した。まだ5年ですけど、プロで5年間やった経験はあるので」背中の痛みやスランプに悩まされた昨季の経験が、背番号3の心をたくましくしている。チームは開幕直後の大不振が響き、いまだ最下位に低迷。自身も打率2割台前半と苦しんでいる。各方面からの厳しい声は当然、耳に入っていることだろう。それでも前向きな姿勢を貫く姿勢にブレはない。「下を向いても仕方がないので」5時間3分に及んだ延長12回の激闘に敗れた夜。何度となく聞いている主砲の言葉が身に染みた。【遊軍=佐井陽介】

◆阪神は今季最長となる5時間3分の激闘の末に敗れ、借金14となった。▼20日の阪神-巨人戦の試合時間5時間3分は、12球団最長。阪神の試合で5時間以上は、18年8月4日に京セラドーム大阪でのヤクルト戦で5時間11分を戦い、10-9で勝って以来。甲子園では、16年5月20日広島戦で5時間5分を戦い、1-4で敗れて以来。なお巨人戦では、甲子園で09年7月10日に5時間9分で5-7と敗れて以来、13年ぶりとなった。

◆阪神の先発青柳が6回2失点の力投で規定投球回に乗り、防御率1・33で再びセ・リーグ1位に浮上した。中5日で迎えた巨人戦。無四球で、今季最多8三振を奪うなど試合をつくった。しかし、援護に恵まれず5勝目はお預けとなった。両軍無得点の6回1死二、三塁から岡本和に左前への2点適時打を浴び、先制点を献上。「粘ることができずに悔しい」と話したが、矢野監督は「(6回は)何が何でも最少失点で食い止めてやるというような気持ちもしっかり出て、結果もそれに伴うような投球だった」とたたえた。「8番打者」としては、3回1死から今季2安打目となる左前打を記録。18日ヤクルト戦でプロ1号を放った西純、19日の同戦で左前打を放ったガンケルに続き、「8番投手」が3戦連続安打を決めた。次戦は中6日で27日ロッテ戦(ZOZOマリン)に先発する見込み。「完全試合男」佐々木朗との投げ合いが、いよいよ実現する。

◆今季5勝を挙げている巨人・戸郷が、20日の阪神戦(甲子園)に先発する。前週から同一カード3連戦の初戦となる金曜日の登板を託されており、今回の相手先発はエースの青柳。19日、ダッシュなどで調整した右腕は「チームの流れが良いので、僕も流れに乗っていけるように。長いイニングを投げて勝てるように頑張る」と力を込めた。(東京ドーム)

◆阪神・青柳晃洋投手(28)が「8番・投手」で先発登板する。今季は5試合に先発して4勝1敗、防御率1・09と安定感抜群。対巨人も2戦2勝1完投と好相性を誇っており、好投に期待がかかる。

◆巨人戦のスタメンが発表され、阪神の先発・青柳晃洋投手(28)が「8番」に入り、9番は坂本誠志郎捕手(28)となった。井上一樹ヘッドコーチ(50)は試合前に、3試合連続となった「8番・投手」について言及し、交流戦までは、この形で進めることを明らかにした。ーー改めて投手の8番について「キッカケは、西純矢が初めて(18日のヤクルト戦=神宮)だったんだけど、流れ的には全然悪くないねという...。純矢は気分を変える意味でも、アイツのバットを期待する意味でも8番に置いたんだけど。昨日(19日)がガンケルがきて、今日の青柳も...。流れ的にも悪くないなということで、ちょっと試していきます」ーー投手8番のメリットは「8番で代打を送るか、9番で代打を送るか。もちろん、ひとつしか変わらないじゃないかと見るか...、そのひとつがあるからこそ決断をしやすいというか、そういった意味合いもあるのかな。あと交流戦まで3つしかないけど、8番で、巨人戦3つは(投手で)いきたいとは思う」ーー投手8番の意味を「仮に坂本がもっと例えば6番、7番でも打ちますよというぐらいに来ているんだったら...あれだけど。まあ策を練る、バントで送るのか、どうするのか、を考えて、今の状態を考えた時に、今のタイガースなら8番投手がいいのかなと」ーー先発投手を早く代える決断をしやすいということも「早く代える可能性もあれば、ピッチャーを9番にしといた方がよかったというのもあるかもしれないので。それは一概にはいえないが、8番ということで、ピッチャーを代える、と早めに決断をしなければいけない時もあるし。(交代を)しなくていい時なのか、というところもでてくるし」ーー阪神はリリーフ陣がいいから決断すれば、先発を早めに代えられることもあるのでは「そこはね、継投というのは非常に難しいところだけど。打順との兼ね合いもあるし、捕手は長坂を入れて2枚なので。そこで代打でパッと代えるのは現状的には(難しい)。3枚いるんだったら、考えなくていいけど。逆にキャッチャー(9番)は代えづらいのかなというところで」

◆甲子園がどよめいた。巨人のアダム・ウォーカー外野手(30)がバントの構えをする場面があった。阪神・青柳と戸郷による息詰まる投手戦。0―0の六回、巨人は先頭の丸が右翼線二塁打で出塁。数少ないチャンスで、巨人ベンチは8本塁打をマークしている2番・ウォーカーに送りバントのサインを出した。身長196センチの助っ人が右打席でバットを傾けると、敵地の観衆もどよめいた。ややぎこちない様子で2度、ファウルに。ここでサインは変更され、ウォーカーはたたきつけて三遊間に打球を転がし、内野安打でつないだ。その後、吉川が犠打で送って二、三塁となり、4番・岡本和が先制の2点左前打を放った。原監督は13日の中日戦(東京ドーム)で、強打者の中田にも送りバントのサインを出し、15年目の大砲は通算6245打席目での初犠打をマーク。勝利に徹する原野球の戦い方が、この日の伝統の一戦でも表れた。

◆阪神・青柳晃洋投手(28)が先発し、6回7安打2失点で降板した。「前回の登板(14日のDeNA戦、横浜)であまり感覚が良くないまま降板していたので、初回から慎重に入ろうと思ってマウンドに上がりました」。セ・リーグトップタイの5勝を挙げている戸郷との投げ合いでは序盤から緩急を駆使し、ボールも内外角に制球してリズムよく投げ込んだ。三回は2死から丸に左翼線に落ちる二塁打を打たれて初めて得点圏に走者を背負ったが、続くウォーカーはバットをへし折って二ゴロに抑え、ピンチを脱出。四回も吉川、岡本和から連続で空振り三振を奪うなど、安定感のある投球を披露した。相手にとって1番から始まる好打順だったスコアレスの六回は丸、ウォーカーに連打を浴び、犠打で走者を進められて1死二、三塁。ここで岡本和に左前に運ばれ、2点の先制を許した。「ていねいに投げようとしすぎたことで球数が多くなってしまい、結果としてリズムを作ることができませんでした。何とか先制点を取られないように、と思っていましたが、粘ることができずに悔しいです」と降板後は反省したが、先制打を浴びたあとの1死一、二塁は中島と大城から連続三振を奪い、追加点は許さず。気迫のこもった投球を見せた。

◆阪神・大山悠輔内野手(27)が「5番・左翼」で出場。2点を追う九回2死一塁で、左翼へ起死回生の7号同点2ランを放った。「打ったのはスライダー。投手陣が粘ってつないでくれていたので、何としても打ちたいと思っていました。甘く入ってきたボールを一発で仕留めることができて良かったです」打線が巨人先発・戸郷に八回まで無得点に封じ込められ、青柳を援護できずにいた。九回は左腕・今村を送り出され、中野とマルテがともに遊ゴロに打ち取られた。ただ、佐藤輝が左前に落として出塁し、大山が打席へ。巨人ベンチはデラロサにスイッチしたが、2ストライクからやや高めに浮いてきた134㌔のスライダーを一閃。完璧にとらえた打球がそのまま左翼席に吸い込まれ、土壇場で試合を振り出しに戻した。二回に中前打を放っていたが、七回1死一塁の第3打席では三ゴロ併殺で好機を広げられずにいた。2試合連続で今季12度目となる零封負け寸前だったチームを値千金の一発で救い、試合は延長戦に突入。「まだ同点なので、しっかり切り替えて、この試合を勝ち切れるように頑張ります」とコメントを残してグラウンドに向かい、大きな拍手を浴びた。

◆集中力を研ぎ澄まし、一振りで仕留めた。0-0で迎えた六回1死二、三塁で巨人・岡本和真内野手(25)が先制の左前2点打。「(打点を挙げることは)僕が与えられた役割だと思うので、それをしっかりチームのためにやっていきたい」と話してきた主砲が目覚めた。阪神の変則右腕、青柳から2打席連続三振を喫して迎えた第3打席。カウント1-0から内角に食い込んでくるツーシームを捉えた。12日のDeNA戦(横浜)以来の打点。塁上では笑顔で、ベンチに向かって右手を突き上げた。1936年の復刻ユニホームを両軍が着用する「伝統の一戦 ~THE CLASSIC SERIES~」の敵地での初戦は、五回まで両者一歩も譲らぬ緊迫した投手戦。2年連続で本塁打、打点の2冠王に輝いた4番が試合の均衡を破った。伝統ある巨人の「第89代4番打者」に定着してから今季で5年目。3、4月は28試合に出場し、打率・264、10本塁打、25打点を記録し、3、4月の大樹生命月間MVP賞に輝いた。プロ8年目での初受賞に「(同賞に)縁がないと思っていた。一番、僕が打てない3、4月に取れるとは思っていなかった」と実感を込めた。例年にないスタートダッシュを決めた。だが、5月に入ってからは試合前までの15試合で打率・184。豪快な打撃は影を潜めていた主砲だったが、試合の流れを大きく左右する場面で勝負強さを発揮した。試合は2―0の九回に動く。マウンドに上がった今村が2死無走者から佐藤輝に左前打。代わったデラロサが大山に左翼へまさかの同点2ランを浴びた。この2本はいずれもカウント0ー2と追い込んでからのものだった。試合は延長戦に突入した。

◆巨人が5時間を超える死闘を制し、5月6日以来の首位に浮上した。2―2で迎えた延長十二回、中山の遊ゴロ失、代打・岸田の死球、丸の右前打で無死満塁。ここで立岡が勝ち越しの右前打を放った。さらに代打・中田の2点中前打、暴投で計4点を奪った。この試合は前半まで戸郷、青柳による息詰まる投手戦だった。均衡を破ったのは巨人。六回、岡本和の2点適時打で先制した。このまま逃げ切るかと思われたが、2―0の九回、阪神の驚異の粘りにあう。戸郷からマウンドを受けた今村が2死無走者から、カウント0―2のあと粘られて佐藤輝に左前打。代わったデラロサはカウント0―2から大山に左翼へ同点2ランを浴びた。どちらも、巨人ファンの「あと1球」コールが響く中でのものだった。この時点で流れは阪神に傾いたかに見えたが...。1936年の復刻ユニホームを両軍が着用する「伝統の一戦 ~THE CLASSIC SERIES~」の初戦。軍配は巨人に上がった。

◆阪神は大山が九回に同点2ランを放って同点に追いついたが、延長十二回に4点を失って敗れ、3失点以下の連続試合は「21」で止まった。八回まで巨人先発・戸郷相手に得点できなかった打線だが、九回2死で佐藤輝が今村から左前打を放ち、続く大山はスイッチしたデラロサから左翼へ起死回生の7号同点2ラン。土壇場で試合を振り出しに戻した。先発・青柳が6回7安打2失点と粘投し、七回からは救援陣を投入。岩貞、加治屋、斎藤とつなぎ、延長戦も十回以降を岩崎、湯浅とリレーした。しかし、無失点で切り抜ければ負けのなくなる十二回に登板した、12試合連続無失点中の7番手・アルカンタラが崩れた。味方の失策をきっかけに死球と安打で満塁とされ、立岡にはバットを折りながら右前に運ばれて勝ち越され、降板。代わった渡辺も代打・中田に中前2点打を浴び、試合を決められた。劇的な形で九回に追いついた打線だったが、十回1死二塁のサヨナラ機を作りながら長坂、近本が連続三振に倒れるなどあと一本が出ず。巨人との共同プロジェクト「伝統の一戦~THE CLASSIC SERIES~」において1936年の復刻ユニホームを着用して戦った試合は4月1―3日(東京D)から4連敗となった。

◆阪神での現役時代、〝代打の神様〟として、虎党から絶大な支持を得たサンケイスポーツ専属評論家・八木裕氏(56)は八回1死二、三塁で、途中出場の長坂拳弥捕手(28)をそのまま打たせた場面について言及。正捕手不在で捕手2人制というチーム編成について疑問を呈した。投高打低のプロ野球界、そして阪神...。阪神の「打低」が特にクローズアップされた試合のような気がする。大山の起死回生の同点弾は見事だったが、巨人バッテリーのミスであり、失投。あの一発がなければ、九回で終わっていた試合だ。最も指摘したいのは八回の攻撃。2四球で無死一、二塁。ここで阪神ベンチは熊谷に送りバントを命じた。二、三塁で1打席も経験のない長坂で勝負したのだが、打てというのが酷。本来なら長坂には代打であり、場合によっては熊谷にも代打があっても良かった場面だ。絶対的な正捕手が不在なのに捕手2人制を敷いているから、代打を送れなかったのだ。結果的に原口が〝3人目の捕手〟扱いで、最後まで出場させることができなかった。捕手3人制なら原口のカードを切ることもできた。曖昧なメンバー構成により、得点機を失った。点が取れていない原因の1つだ。さらに巨人の打者からはチャンスで何をすべきか、どの球を待つか、どの方向へ打つか、絶対に振り回さない、などが明確に見える。阪神の選手は、それを見て、何かを感じてもらいたい。

◆阪神・ラウル・アルカンタラ投手(29)が延長十二回、中野拓夢内野手(25)の失策、死球、右前打で無死満塁の窮地を招き、立岡宗一郎外野手(32)に右前打を浴びて、勝ち越しを許した。その後もリードを広げられ、3失点以下の連続試合は「21」で止まった。今季の延長戦成績は6戦5敗1分。5時間3分の戦いを終えた矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り(チーム成績15勝29敗1分、観衆3万9180人)。ーー大山が土壇場で打っただけに何とか勝ちたかった(九回2死一塁で同点7号2ラン)「うん、もちろん」ーーアルカンタラはアンラッキーな安打もエラーもあっただけに責められない) 「責めることは、もちろん、ないよ。そんなん、全部一生懸命いってるんだから」ーー青柳は2点取られた後も気持ちを感じた(6回2失点)「そうやね、最後もね、球数増えて苦しいところやけど、何が何でも最少失点というか、あそこで食い止めてやるっていう気持ちもしっかり出て、結果もそれに伴うような投球だったんで。あの後もね、ベンチでずっと声を出してやっているし、いつもそういう姿勢は、ヤギのすごいところやなと思ってるけど」ーー中継ぎ陣も踏ん張っていた「うん、まあまあそうやね、ずっとね、やっぱりミスが点になって、決めるところで点が取れないっていうね、流れ的には変わっていないんで。今出ているメンバーがやっぱり、まずはこう、状態がみんな上がってくるっていうことがね、必要なことかなと思うけど。後から行ったヤツもね、自分たちの仕事をしてくれたり。(高山)俊もヒットを打ったり、バントもね、簡単じゃないけどみんな決めたりとか、そういうことはできているんで。スタメンのメンバーが頑張ってもらわないと」ーー長坂は守りではよく守った「まあまあ、もちろんね、いいところはもちろん盗塁刺したのもそうやし、落ち着いてやっていたし。まあでも、その中で勉強というかね、ワンバンも、もちろんあれも止めてやらないとダメだろうし(延長一二回の暴投)。それは経験の中で、いろいろ、いい面もよくない面も出てくるので。そこから学ぶべきじゃないかなと思います」ーー大山は状態は徐々に上がってきているか「まあバッティング練習とかはいい感じになってきているから、上がってきていると思います」

◆漆黒の夜空に向かって、佐藤輝の飛球が高々と舞い上がった。2点を追う九回2死走者なしで今村に2球で追い込まれたが、ファウルで粘って7球目を遊撃後方へ執念のポテンヒット。一塁上で声を張り上げ、大山の2ランにつなげた。悔しい思いをして、甲子園に帰ってきた。19日のヤクルト戦(神宮)では三塁を守って2つの失策を犯し、0-3の敗戦につなげた。この日の試合前、藤本内野守備走塁コーチの指導を受けながらスローイングの特訓をした。「ずっと上体で投げちゃうから、とにかく足を使って、ステップも。下半身との連動が全然なかったから。デリケートやから送球っていうのは」と藤本コーチ。佐藤輝は下半身をしっかりと使って投げるという基本中の基本を頭にたたき込まれ、試合に臨んだ。七回にも安打を放ち2試合ぶりのマルチ安打。同点の延長十一回1死一塁ではライナー性の当たりが左飛となり天を仰いだが、引っ張っていくのはこの男しかいない。大山が左膝を痛めていることもあり、三塁と右翼での併用は続く。藤本コーチは「自分の一つのプレーで点が入ったり、試合が決まっちゃうとかさ、そういう怖さをどんどん分かってくる。誰もが経験する話。その壁をやっぱり越えていかないと」と期待する。まだプロ2年目。苦い経験を血肉に変えるだけ。少なくとも佐藤輝の一打がなければ熱闘もなかった。

◆試合終了の瞬間、甲子園の時計は午後11時を回っていた。巨人は延長十二回、立岡宗一郎外野手(32)が決勝の右前適時打を放ち、今季最長5時間3分の死闘を制した。途中出場のヒーローは笑顔を浮かべた。) 「みんなでつないで、しのいできた試合だったので、何とか前に飛ばそうと。それだけでした。しびれました」2-0の九回2死一塁。勝利まで〝あと1球〟でデラロサが大山にまさかの同点弾を浴びた。7投手の継投、小林と岡田以外の野手を使い切る総力戦は、試合前まで打率・129の男が決めた。延長十回にも安打を放ち、サヨナラ弾を放った4月9日のヤクルト戦(東京ドーム)と合わせ、今季の延長戦は3打数3安打。今季40試合出場で先発はわずか1度の〝スーパーサブ〟が大仕事を果たした。) 「野球というスポーツは非常に難しい。予想もしないようなことが起きうる。最後まで集中を切らさずやり抜いてくれたところに軍配が上がったかな」。原監督も大きく息をついた。1936年の復刻ユニホームを両軍が着用する「伝統の一戦 ~THE CLASSIC SERIES~」の敵地初戦を制し、チームは5月6日以来の首位に返り咲いた。(谷川直之)

◆打たれはしたが、負けなかった。中5日で登板した青柳は2点のリードを許したまま降板。九回、大山の同点2ランに救われ、自身の黒星が消えたが、エースとして許せなかった。「丁寧に投げようとしすぎたことで球数が多くなってしまい、結果としてリズムを作ることができなかった」六回につかまった。連打と犠打で1死二、三塁とされ、4番・岡本和に左前にはじき返されて2点を献上。ポランコにも右前打を許したが、後続を連続三振に仕留めて最少失点で切り抜けた。「なんとか先制点を取られないようにと思っていましたが、粘ることができずに悔しい」6回7安打2失点。これで規定投球回(47回?)に再び到達し、防御率1・33でセ・リーグトップに立った。さらに負けが消えたことで昨年10月12日(東京ドーム)から自身の巨人戦4連勝は継続となったが、チームは結果的に敗戦。次こそ無失点投球で流れを作り、チームを勝たせる。(織原祥平)

◆これでも勝てんのか! 阪神は巨人に延長十二回の末、2-6で敗れた。九回2死から佐藤輝が左前打で出塁。続く大山悠輔内野手(27)が同点2ランを放ったが、力尽きた。連続試合3失点以内も「21」でストップ。自力優勝の可能性の消滅は最短22日に延びたが、疲労感あふれる5時間3分の今季最長試合。もう勘弁して~!天国から地獄を味わった。2点を追う九回2死一塁。大山の打球は夜空に弧を描き、左翼席に吸い込まれた。値千金の7号同点弾。2試合連続&今季12度目の零封負け寸前の状況から虎を助け出したが...。「何としても打ちたいと思っていた」この日の観衆は3万9180人。帰路についていた虎党も多かっただろう。大山は大きな拍手を受けながらダイヤモンドを一周。矢野監督から「虎メダル」をかけられた。左膝を痛め、思うようなプレーができず、左翼での起用が続く。背番号3は悲壮な思いだったことを明かした。 それから1時間後の延長十二回、悲劇が待っていた。先頭打者の何でもないゴロを遊撃を守る中野が失策。アルカンタラは次打者に死球と乱れ、1死もとれず、4失点(自責3)でKOされた。リリーフ陣も踏ん張り、3失点以下の試合が続いていたが、それも「21」でストップ。攻撃面では十回に四球と犠打で1死二塁のサヨナラ機を作ったが、途中出場の長坂、近本が連続三振とチグハグさが目立った。またしても「大阪タイガース」で勝てなかった。「伝統の一戦 ~THE CLASSIC SERIES~」と銘打って、両軍が復刻版ユニホームを着用。先の東京ドームでは同一カード3連敗を食らって巻き返したいところだったが、これで4戦全敗。先輩たちを泣かせてばかりだ。矢野監督は「(アルカンタラを)責めることはもちろんないよ、全部、一生懸命、投げている。やっぱりミスが点になって、決めるところで点が取れないっていうね、流れ的には変わっていないんで」と話した。24日の楽天戦(甲子園)から始まる交流戦前最後のカード。まさかの連敗で借金は14に逆戻りした。自力優勝の可能性が消滅する日は1日延びて22日となったが、投打の歯車が狂ってばかりだ。今季最長の5時間3分。疲労感ばかりが残った。(三木建次)

◆もう完封は嫌や! 九回2死まで完封やないか! アカン、あと1球で完封されてしまう!悲痛な叫びをあげていたら、一瞬で同点。点が入るときは、なんとも簡単なもんだ。そして、まさかの延長十二回-。ユニホームの文字が「Tigers」でも、「HANSHIN」でも、なかなか〝完封病〟を克服できなかった最近のタテジマ軍団。復刻ユニホーム「OSAKA」で流れは変わらないものか。ワラにもすがる思いでいたのは試合前のこと。どこからか〝得点の神様〟が来てくれないかなと願ったりもした。そこに現れたのは...。サンケイスポーツ大阪本社で一番エライ男・代表補佐兼編集局長の畑恵一郎が突如、甲子園球場に登場。トラ番キャップ・長友孝輔が敬意を表して、立ち上がってあいさつしている。やがて、記者席にドッカと座り、「巨人の打撃練習を見るのも久しぶりやなぁ」と妙な感傷にふけっているではないか。何事だろうか。キャップ長友に確認すると-。「サンスポの激励シリーズの表彰式です」その後、グラウンド上に〝移動〟した局長・畑が、若きセットアッパー湯浅にプレゼンターとしてトロフィーを手渡していた(記事は2面)。スポーツ新聞が〝持ち回り〟で表彰する「激励シリーズ」。わがサンスポが受け持った激励期間は開幕からの約1カ月のホームゲーム。今、振り返っても、実に苦しい時期だった。 そんな中、リリーフの成功を重ねて、着実に成長し、今や「背番号65」のレプリカユニホームを着たちびっ子ファンが急増中のニューヒーロー。延長十一回の快投も見事だった。この先、スター街道を歩めば、いろんな表彰を受けるだろうけれど、最初はサンスポだったことを覚えておいてほしいなぁ。明るい未来と、身勝手な願望を交錯させながら、ゼロ行進が続いていた試合中、ふと隣を見たら、キャップ長友がパソコン画面を眺めて、相変わらずの難しい顔だ。「とにかく完封負けが多すぎですよね。交流戦前の最後のカードとなる巨人戦は、いっぱい得点して、嫌なイメージを払拭して、パ・リーグとの戦いに向かっていってほしかったんですが」ちょうど、一回からゼロが並び、空気は最悪だった時間帯だった。以前にもこのコーナーで紹介したが、順調にいけば、1週間後の27日は、ZOZOマリンで完全試合男・佐々木朗希が待ち構える。「待ってろ、ロウキ!」と書きたいところだが、得点力不足のタイガースが、点を取れるんだろうか? ヒット1本、打てるんだろうか?ロッテ戦の前に当たる楽天は、初戦があの田中マー君が先発濃厚。3戦目は岸か。ともに4勝をマークして好調をキープしている両右腕。今からネームバリューで圧倒されそう?現状のローテーションが維持されれば、ソフトバンク戦ではノーヒットノーラン達成の東浜と当たってしまうし、オリックス戦は球界ナンバーワンの剛腕・山本との対戦が避けられない情勢。あかん。先のことは考えないようにしよう。この試合だって、予想もしない展開になってしまったのだから。

◆好采配が台無しになった。九回2死後に投入したデラロサが同点2ランを被弾。あれほど不安定な投手をあとワンアウトで起用するかね。そこまでは原監督に、野球の機微を見せてもらった。0-0の六回、ウォーカーに命じた送りバントだ。恐らく、確実に決めるとは思っていない。実際、1球目にファウル。3球目もファウル。追い込まれてから、遊撃内野安打。これが2点の呼び水になった。結果論ではない。この日の投手戦なら、1点勝負は必至。その1点を、何が何でも取りにいく。結果ではなくプロセス。原監督の強烈な「意図」を感じたね。だからこそ、阪神の守備陣にもプレッシャーを与えたわけだ。記録こそ安打ながら、遊撃・中野のファンブルを呼んだのは、その圧力と無縁ではない。さらに青柳も過分な神経を使ったはず。打線だけでなく、相手の監督と勝負しなくてはいけない。エモトの経験上、これはキツい。結局、試合は延長十二回に4点を奪った巨人の勝ち。原監督の意図が、選手にも、さらにコーチにも、通じていなかったのかな? 評論家泣かせの試合だったよ。(本紙専属評論家)

◆ア、アホかー? 2点リードされての九回2死。カウント0-2、あと1球で2試合連続の零封負け寸前から大山のミラクル同点2ランが飛び出したら、絶対に勝つやろー!!なのに...。延長十二回、最後の最後に中野のまたもやのイージーエラーから始まって死球を与え、そして、決勝打を許す自滅ショーでジ・エンド...。なんちゅう勝負弱さなんやー!!ちゅーか、この試合前まで4勝1敗、防御率1・09のエース・青柳がほうるんだから、2点取ったらまず勝ちの試合なのに、一回無死一塁で中野、三回1死で坂本にバントのサインを出さず、打たせて凡打...。さらにバントの話をすれば、同点の十一回無死一塁で、マルテだろうがバントをさせろよー!!原巨人は13日に中田翔にプロ初のバントをさせたし、この日は外国人選手のウォーカーにもさせたやろー!! 阪神の勝負に対する甘さを象徴するような、締まりのない赤っ恥負けが悲しい~!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(1↑)
巨人
28190 0.596
(↑0.009)
-
(-)
96188
(+6)
188
(+2)
50
(-)
17
(-)
0.247
(↑0.001
3.420
(↑0.05)
2
(1↓)
ヤクルト
24171 0.585
(↓0.015)
1
(↓1)
101152
(+1)
139
(+3)
37
(-)
25
(-)
0.230
(-)
2.850
(↓0.01)
3
(-)
広島
23192 0.548
(↑0.011)
2.5
(-)
99191
(+11)
143
(+5)
21
(+2)
8
(-)
0.260
(↑0.002)
3.040
(↓0.05)
4
(-)
中日
20220 0.476
(↓0.012)
5.5
(↓1)
101142
(+5)
156
(+11)
28
(+2)
15
(+1)
0.248
(↓0.001)
3.600
(↓0.19)
5
(-)
DeNA
17210 0.447
(↑0.015)
6.5
(-)
105134
(+3)
173
(+1)
28
(-)
14
(-)
0.246
(↑0.001)
4.110
(↑0.09)
6
(-)
阪神
15291 0.341
(↓0.008)
11.5
(↓1)
98138
(+2)
146
(+6)
35
(+1)
26
(+1)
0.223
(↓0.002)
3.030
(↓0.03)