◆楽天は先制を許した直後の4回表、マルモレホスの2ランが飛び出し、逆転に成功する。そのまま迎えた9回には、マルモレホスの犠飛で貴重な追加点を挙げた。投げては、先発・則本が7回1失点の力投で今季2勝目。敗れた西武は、打線が再三の好機を生かしきれなかった。

◆西武の先発、ディートリック・エンス投手が素手キャッチでヒヤリとさせた。初回2死一塁で、楽天島内のゴロの打球に利き手の左手を伸ばした。後方に転がった打球を拾い上げ、一塁送球もセーフ。慌ててベンチから豊田清投手コーチが飛び出した。ブルペンでは十亀剣投手が投球練習を開始した。投球練習では顔をしかめるも、続投して次打者マルモレホスを3球連続直球で空振り三振。ピンチを脱した。

◆育成出身で球界最小兵の西武滝沢夏央内野手（18）が、3試合連続「2番遊撃」でスタメン出場した。身長164センチにして、デビューから2試合続けてお立ち台に上がった"ラッキーボーイ"に、立て続けにチャンスで打席が回ってきた。1点を追う5回2死一、二塁、楽天則本に2球で追い込まれると、決め球のフォークを空振り三振。さらに7回、再び2死満塁の絶好機、則本に全球フォークで勝負を仕掛けられ空振り三振に打ち取られた。試合は惜敗を喫し、3連勝を逃した。試合後、辻発彦監督は「そりゃそうだよ、高校出たばっかりのやつが、あの一流ピッチャーのフォークなんか見たことないやろ」と全力でフォロー。「でもフォークってカウント的に有利じゃないときも簡単に放ってこられるっていう、勉強だからね」とさらなる成長を期待した。

◆エースが止めた！　楽天則本昂大投手（31）が、チームの連敗を4で止めた。7回5安打1失点（自責0）で今季2勝目。開幕投手を任されたエースが悪い流れを断ち切り、「そんなに気負うことなく今日はいけたかなと思います。光とうまく相手の打ち気をそらしながら投げることができたかなと思う。なんとか抑えて帰ってこられたのはすごく良かった」とうなずいた。最後のヤマ場を乗り切った。1点リードの7回、2死満塁のピンチを招いた。2日連続でお立ち台に上がっていた滝沢が打席に入った。「何回も同じバッターにはチームとしてダメかなというのがあるので、全力で抑えにいきました」。チームの悔しさを全部背負って、カウント1－2から低めの136キロフォークで空振り三振。初球から4球すべてを落とし、マウンド上でほえた。チームが苦しい中での力投で、2位ソフトバンクとの差は4に。流れをガラッと変える、エースの仕事を見せつけた。今季最多の123球。開幕直後に新型コロナで離脱し、復帰3戦目。「今日の終盤はフォームのバランスがすごく良かった。いい感覚をつかめたかなというのはあるので、これをもっと再現性高く、初回から出せるようにしていきたい」と新たな収穫もあった。不安はもうない。投球を磨き、さらなる高みを見据える。【湯本勝大】▽楽天石井GM兼監督（則本の好投に）「精度の高いボールを投げてくれていた。彼の役割というのはチームを勝たせること。しっかり結果というところを出してくれたので、良かったかなと思います」○...マルモレホスが1本塁打3打点と奮起した。1点を追う4回無死一塁、カウント1－2からエンスの真ん中に入った119キロカーブを右翼席へ運ぶ4号2ランを放った。9回1死一、三塁では左犠飛。この日チームの全得点をたたき出した。「どのような時もチームに貢献することはうれしいし、なおかつそれがチームの勝利につながることはこれ以上ない喜びとうれしさ」と満足していた。

◆西武はチャンスであと1本が出ず、惜敗した。1点を追う8回無死二、三塁の好機。二走山川に代走山野辺を送り、逆転の勝負に出た。しかし中村、栗山が連続空振り三振。最後は柘植が中飛に打ち取られた。この試合、得点圏では10打席無安打。3連勝を逃した辻監督は「点取れれば一番いいけど。勝負仕掛けてその結果だからしょうがない」と割り切った。

◆楽天が接戦を制して連敗を４で止めた。０―１の四回にマルモレホスの４号２ランで逆転し、九回にマルモレホスの犠飛で加点した。則本が７回５安打１失点で２勝目を挙げ、松井裕が１１セーブ目。西武は好機を生かし切れなかった。

◆西武は再三の好機を作りながらも、あと一本が出ず連勝は２で止まった。以下、試合後の西武・辻発彦監督（６３）の主な一問一答。――相手を追い詰めながらもあと一本が出ず「お互いさまだね。うちもピッチャーが踏ん張ってね、どうにか試合をつくってくれた。まあたらればだからね、こういうもんだよ」――（七回に）育成Ｄ２位・滝沢（関根学園高）の打席で好機が回ってきたが空振り三振。楽天・則本のあのフォークは打てない「そりゃそうだよ。高校出たばっかりのやつが、一流のピッチャーのフォークなんかそんな見たこともないやろ」――八回も無死二、三塁で得点できず「あそこでみんな簡単に点が取れるだろうって思うけど、向こうだっていい球を投げて、そういう駆け引きの中だからね。勝負をかけたから、まあ点を取れれば一番よかった」

◆エースの〝復肩〟だ。楽天・則本昂大投手（３１）が新型コロナウイルス感染から復帰３戦目で今季最多の１２３球を投げ、７回１失点（自責点０）で２勝目。チームの連敗を４で止めた。「チームとして何回も同じバッターにやられるわけにはいかない。全力で抑えにいった」強い口調で振り返ったのは１３、１４日と２日連続でお立ち台に上がった西武・滝沢との対戦。五回２死一、二塁、七回２死満塁のピンチで迎え、フォークボールを連投。１球たりともバットにかすらせず、２打席連続の空振り三振に仕留めた。プロ１０年目、年俸３億円の右腕が、年俸４５０万円の１８歳ルーキーにフォークの落差で〝格差〟を見せつけた。） その決め球も巧みに使い分けた。１－２の六回１死。キング独走中の山川に対し、「点差的にも一発狙ってくる場面なので、（浅いカウントで）タイミングずらして」と、１ボールから〝打たせるフォーク〟で引っ掛けさせて三ゴロ。石井監督も「彼の役割はチームを勝たせること」と目を細めた。（東山貴実）◆四回の４号２ランを含むチーム全３得点をたたき出した楽天・マルモレホス　「仙台の自宅から球場（楽天生命パーク）まで何度も何度もタクシー代を払うのも何だから、最近、自転車を買ったんだ。後ろに娘を乗せるシートも付けたよ」

◆西武のエンスは４回?を投げ４四球を与えて５安打２失点で２敗目を喫した。痛かったのは１点の援護をもらった直後の四回に浴びた一発。先頭打者の島内を四球で出し、続くマルモレホスに真ん中に入ったカーブを右翼席へ運ばれ逆転された。２勝目を挙げた前回８日の日本ハム戦を除く５試合で３四球以上を与えている。「ファウルで粘られてしまい簡単にアウトを取らせてくれない部分もあった。映像で何が駄目だったのか見直して修正していきたい」と反省した。

◆西武は再三の好機にあと一本が出ず、連勝は２で止まった。連日活躍していた滝沢（新潟・関根学園高）は七回２死満塁で空振り三振。八回にも無死二、三塁と攻めたが、中村と栗山が連続三振を喫するなど無得点に終わった。この回、二塁走者の山川に代走を送った辻監督は「勝負をかけたから、点を取れればよかったけどね」と悔しそうに振り返った。◆五回途中２失点で２敗目を喫した西武・エンス　「いい面も悪い面も出た試合だった」

◆楽天のマルモレホスがチームの全３得点を生み、連敗を４で止める立役者となった。０―１の四回はカーブを捉えて逆転の４号２ラン。４月２７日以来の一発を「いい感触だった」と喜んだ。２―１の九回１死一、三塁では初球を左翼に打ち上げ犠飛をマークした。米大リーグで通算７６試合に出場して１０本塁打をマークし、今季加入した左打者。首位のチームに欠かせない５番打者となり「チーム一丸となってがむしゃらに戦っていきたい」と意気盛んに話した。