中日(☆1対0★)阪神 =リーグ戦6回戦(2022.05.06)・バンテリンドーム=
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阪神
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中日
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勝利投手:大野 雄大(2勝3敗0S)
敗戦投手:青柳 晃洋(3勝1敗0S)
  DAZN
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DAZN

◆中日が劇的なサヨナラ勝利。中日は両軍無得点で迎えた延長10回裏、1死満塁から石川昂が適時打を放ち、試合を決めた。投げては、先発・大野雄が10回1安打無失点の快投。今季初の完封で今季2勝目を挙げた。敗れた阪神は、先発・青柳が9回まで無失点に抑えるも、打線が沈黙した。

◆阪神青柳晃洋投手(28)が無傷の4連勝を目指し、6日の中日戦(バンテリンドーム)に先発する。前回4月29日の巨人戦は129球を投げ抜き、自身初の2戦連続完投。「結構投げたのでしんどかった部分はありますけど、全然もう、ばっちりです」。1週間の調整で疲労を取った。「勝つために最後まで投げるのであれば投げたい」。今季初の中日戦でも完を視野に入れる。

◆阪神青柳晃洋(28)、中日大野雄大(33)の両エースが今季初めて投げ合う。過去の先発対決は9度あり、両チームの対戦成績は4勝4敗1分けの五分だ。2人の対戦成績は青柳が4勝4敗で防御率3・46、大野雄は3勝2敗ながら、完封勝利が2度あり防御率0・89。今季の阪神では、佐藤輝明内野手(23)が大野雄から4月12日に本塁打を見舞っている。青柳が登板した今季3試合で佐藤輝は、12打数4安打3割3分3厘、2本塁打と好調。今回も難敵を打ち、エースを援護したい。

◆阪神青柳晃洋投手(28)は4月22日ヤクルト戦が完封、同29日巨人戦が完投勝利。20年に大野雄(中日)が5試合連続完投勝利しているが、阪神で3試合以上続けて完投勝利すれば03年6~7月井川(4試合)以来となる。

◆中日大野雄大投手(33)が9回表終了まで1人の走者も出さず完全試合を継続している。最速147キロの直球、ツーシーム、スライダーなどの変化悠が冴え渡って、阪神打線を抑え込んでいるが、打線の援護がなく試合は9回裏に突入。9回裏に中日が得点を挙げればセ・リーグでは94年5月18日の広島戦で達成した槙原寛己(巨人)以来の快挙となる。大野雄は19年9月14日の阪神戦(ナゴヤドーム)でノーヒットノーランを達成していて、同じ相手に自身2度目の大記録達成にもなる。

◆中日大野雄大投手(33)が阪神打線を9回完全投球。しかし、味方打線も阪神青柳から得点できず、0-0のまま延長戦に突入した。先発投手が9回完全に抑えながら延長戦に入るのは、05年8月27日西武-楽天戦の西口(西武)以来。西口は延長10回に先頭打者の沖原に右安打を打たれ、完全試合達成とはならなかった。

◆中日大野雄大投手(33)が阪神打線を9回完全投球。しかし、味方打線も阪神青柳から得点できず、0-0のまま延長戦に突入した。大野雄は10回2死から阪神佐藤輝に中越えの二塁打を許し、記録はストップした。先発投手が9回完全に抑えながら延長戦に入るのは、05年8月27日西武-楽天戦の西口(西武)以来。西口は延長10回に先頭打者の沖原に右安打を打たれ、完全試合達成とはならなかった。▽西武西口2軍監督(完全投球をしていた中日大野雄が10回に安打を打たれたことについて)「僕と一緒ですね。自分の時も0対0で延長に突入しましたが、記録よりも点を与えないことに集中していました。とにかく勝ちたかったので、10回表に1本打たれた後の方がさらにギアが入った、と記憶しています。大野投手も同じ気持ちだったんじゃないですかね」

◆意地と意地、魂のぶつかり合いだ。阪神青柳晃洋投手(28)が9回裏2死、阪神27人目の打者として打席に入ると、一塁側の中日ファンから大歓声が起こった。中日先発の大野雄が、それまで打者26人をパーフェクトに抑えており、阪神は代打を送るかと思われていた。結果は一、二塁間への二ゴロ。バンテリンドームは再び拍手に包まれた。"布石"があった。8回表2死三塁。阪神ベンチは8番石川昂を申告敬遠し、9番大野雄との勝負を選んでいた。結果は中飛。それでも、投手対投手の、意地のぶつかり合いに、球場のボルテージもマックスまで高まっていた。青柳の続投も当然の内容だった。"完全投球"を継続する大野雄に対し、引けを取らない堂々の投球。2回2死で木下に初安打を浴びた後、8回先頭で高橋周に左前打を浴びるまで打者16人連続凡退に仕留めた。青柳は8回2死一、三塁のピンチを切り抜け、打席に立った直後の9回裏もゼロに抑え、試合は延長戦へ突入した。

◆中日大野雄大投手(33)が阪神打線を9回完全投球。しかし、味方打線も阪神青柳から得点できず、0-0のまま延長戦に突入した。大野雄は10回2死から阪神佐藤輝に中越えの二塁打を許し、記録はストップした。先発投手が9回完全に抑えながら延長戦に入るのは、05年8月27日西武-楽天戦の西口(西武)以来。西口は延長10回に先頭打者の沖原に右安打を打たれ、完全試合達成とはならなかった。試合は延長10回裏、1死満塁から石川昂が中前にサヨナラ打を放ち、1安打力投のエースに白星をプレゼントした。▽西武西口2軍監督(完全投球をしていた中日大野雄が10回に安打を打たれたことについて)「僕と一緒ですね。自分の時も0対0で延長に突入しましたが、記録よりも点を与えないことに集中していました。とにかく勝ちたかったので、10回表に1本打たれた後の方がさらにギアが入った、と記憶しています。大野投手も同じ気持ちだったんじゃないですかね」

◆阪神の佐藤輝明内野手(23)が完全試合を阻止した! 中日大野雄大投手(33)が9回まで1人の走者も出さない完全投球。0-0で入った延長10回2死、30人目の打者の佐藤輝が115球を捉え、右中間を割る二塁打を放った。阪神も青柳晃洋投手(28)が9回まで1安打無失点と好投を続け、10回のマウンドに上がった。

◆阪神は超ハイレベルな投手戦に敗れた。青柳晃洋投手(28)が9回まで2安打無失点と好投したが、0-0の延長10回、1死満塁から石川にサヨナラ打を浴び、力尽きた。延長10回2死。それまで完全投球をされていた大野雄から、30人目の打者佐藤輝明内野手(23)が右中間に二塁打を放ち、初めて出塁した。大野雄の115球目。左腕の夢を打ち砕く一振りだった。ただ、この唯一のチャンスでも4番大山悠輔内野手(27)が倒れ、得点はできなかった。青柳は大野雄にも1歩も譲らなかった。2回2死から木下に右前打を許し、初めて走者を背負ったが、その後は8回先頭の高橋周平内野手(28)に左前打を打たれるまで16人連続で打ち取る快投を演じた。7回終了まで約1時間30分のハイテンポな投手戦。イニングが深まるごとにバンテリンドームは異様な緊張感に包まれた。2人の投げ合いのまま延長戦に入った。10回2死から大野雄の快挙が途切れたが、両チームのファンから大きな拍手が送られた。今季のプロ野球ではロッテ佐々木朗希投手(20)が4月10日のオリックス戦でプロ野球28年ぶり、史上16人目の完全試合を達成した。続く同17日の日本ハム戦で8回パーフェクトに抑えながら味方も点を取れず、0-0のまま8回で降板していた。

◆西武の西口文也2軍監督(49)が、阪神戦の10回に安打を許し、完全試合を逃した中日大野雄について、球団を通じてコメントした。「僕と一緒ですね。自分の時も0対0で延長に突入しましたが、記録よりも点を与えないことに集中していました。とにかく勝ちたかったので、10回表に1本打たれた後の方がさらにギアが入った、と記憶しています。大野投手も同じ気持ちだったんじゃないですかね」。中日大野雄は阪神打線を9回完全投球。しかし、味方打線も阪神青柳から得点できず、0-0のまま延長戦に突入した。大野雄は10回2死から阪神佐藤輝に中越えの二塁打を許し、記録はストップした。先発投手が9回完全に抑えながら延長戦に入るのは、05年8月27日西武-楽天戦の西口以来。西口も延長10回に先頭打者の沖原に右安打を打たれ、完全試合達成とはならなかった。大野雄と西口2軍監督は同じ9月26日生まれ(大野雄は1988年生まれの33歳、西口2軍監督は1972年生まれの49歳)という偶然の一致? も重なり、SNS上では「同じ星の下ってあるんだね」「奇妙な縁だね」などコメントが寄せられた。ちなみに、この日の巨人戦でプロ初本塁打を放ったヤクルト長岡秀樹内野手(20)も、2人と同じ9月26日生まれ(2001年)だった。

◆中日石川昂弥内野手(20)がプロ3年目で初のサヨナラ打を放った。投手戦となった一戦で延長10回裏1死満塁の場面で、阪神先発青柳から中前適時打をマークした。自軍では先発した大野雄大投手(33)が10回2死までパーフェクト投球を演じていた。力投したエース左腕に白星をつける一打となった。お立ち台には10回1安打完封した大野雄と、殊勲の一打を放った石川昂の2人が上がった。大野雄が「僕は10回で降板すると決まっていたので、あとはチームがなんとか勝ってくれたらいいなと思いながらベンチにいたのですが、昂弥に満塁で回ってきて、絶対打ってくれると思っていました」と話すと、石川昂は「大野さんがすごく頑張っていたので、自分がなんとか決めようと思って打席に立ちました。(サヨナラ打は)気持ちよかったです」と喜びを語った。

◆阪神が今季4度目のサヨナラ負けを喫した。中日先発の大野雄大投手(33)に10回1安打無得点に抑え込まれ、1歩も引かず投げ合ってきた青柳晃洋投手(28)が10回に力尽きた。試合後の矢野燿大監督(53)の一問一答は以下の通り。-青柳は素晴らしい投球だった矢野監督 「いや、もうね、負けさせたベンチ、打線の責任やと思っています」-青柳のよかった点は矢野監督 「いやまあ、打球を上げさせないという、低めの高さもいいし、変化の強さもあるし。その中で緩いボールもうまく間に使えていたんで」-相手先発の大野雄大はどう見た矢野監督 「うーん、コースは、特に左(打者)の外はいい球、いいコースに来ているのかなというのは横から見ていても思っていたけど。もちろん、その中で右打者に対しても高さを、追い込んだらしっかり投げるというのはしっかりできていたし。もちろん、甘い球もあったけど、それを打ち損じているのものあるんだけど。左の外はすごくコントロールがよかったかなとは思ったけど」-直球、変化球を問わず矢野監督 「いや、アウトコースはまっすぐじゃない。変化球は低めにコントロールできる投手のなので。コースと言うよりは高さ」-延長10回に佐藤輝が一矢報いた矢野監督 「うーん。悠輔(大山)が、ずっと(安打が)出ていないので、なかなか点が入らないということになってしまっているので。まあまあ、きょうはもちろん打線全体として課題というか。青柳が最後打たれた後、すませんとベンチに帰ってきたけど。すみませんと謝ることは何もないし。逆にその気持ち、バッター陣がどれだけくんでやっていけるかというところもあると思うので」-切り替えて矢野監督 「明日、明後日どう勝つかというのを考えてやっていきます」

◆中日大野雄大投手(33)が10回2死まで完全投球を続けた。阪神佐藤輝に中越えの二塁打を許し、記録はストップ。それでも10回1安打無失点に抑え、サヨナラ勝ちにつなげた。▼大野雄が9回を完全に抑えながら0-0で延長に突入し、10回2死から佐藤輝に初安打を許した。延長戦に入ってノーヒットノーランを逃したのは14年5月31日金子(オリックス)以来12人目で、完全試合を逃したのは05年8月27日西口(西武)に次いで2人目。西口と大野雄はチームが延長10回にサヨナラ勝ちし、2人とも完全試合を逃して「延長10回1安打完封勝ち」となった。過去に延長戦でノーヒットノーランは73年8月30日江夏(阪神=延長11回)しかおらず、延長戦で完全試合を達成していればプロ野球史上初めてだった。また、大野雄は19年9月14日阪神戦でノーヒットノーランを達成。ノーヒットノーランを複数回記録したのは3度の沢村(巨人)外木場(広島)を含め過去9人いるが、延長戦で自身2度目のノーヒットノーランを逃したのは初めて。▼この試合は9回終了時に中日2安打、阪神0安打。9回終了時点で両軍合計2安打は、73年6月16日日拓2本-近鉄0本、82年6月18日大洋1本-ヤクルト1本に並び3度目の最少タイ記録。

◆一矢報いたけど...。阪神佐藤輝明内野手(23)が、完全試合を阻止する二塁打を放った。中日大野雄から9回まで1人の走者も出せず延長10回に突入。2死からチーム30人目の打者として打席に立ち、115球目を右中間にはじき返した。「真っすぐがよかったので速い球に合わせていきました」。狙い通り、捉えたのは145キロ。中日ファンのため息と阪神ファンのメガホン音が入り交じる中、二塁ベース上で手をたたく。どんな局面でも1人で状況を打破できる、佐藤輝の個の力が際立った。大野雄との相性は悪くない。プロ1年目の昨季は5打数2安打、打率4割、1本塁打。今季は初対戦の4月12日にアーチを放つなど、今試合も含め11打数4安打、打率3割6分4厘と打っている。だからこそ「正直、打ちミスで悔しい」と内野ゴロ3つに倒れた第3打席までが心に残る。「コンパクトにっていうのはコーチから言われてました。コントロールが良かった」。最後まで精度が落ちなかった相手左腕に脱帽した。佐藤輝が作った唯一のチャンスを生かせず無得点。青柳の好投に応えられなかった。矢野監督は「(青柳の気持ちを)バッター陣がどれだけくんでやっていけるかというところもある」と打線に奮起を求めるしかなかった。チームは直近4試合で3得点で、うち2点が押し出し四球。「明日はしっかり打ちます」。佐藤輝はチームの思いを代弁するように言葉を残し、帰りのバスに乗り込んだ。【中野椋】

◆阪神青柳晃洋投手(28)が日本トップクラスの投手戦を演じた。中日大野雄が完全投球を続ける中、自身も9回まで無失点。打線の反発を粘り強く待ち、最後は0-0の延長10回1死満塁でサヨナラ打を許した。それでも初の3試合連続完投。規定投球回数に達し、防御率0.76でいきなりリーグ1位に躍り出た。エースの実力を示した初黒星。試合後は「すみません」と頭を下げたというが、胸を張ってくれ!青柳は敗戦のベンチに戻ると「すみません」と矢野監督に謝った。大野雄が9回まで完全投球を続け、こちらも無失点。1歩も引かなかったが、延長10回に石川昂にサヨナラ打を浴びて力尽きた。目いっぱい差し出したグラブが打球に届かず中前へ抜けると、がっくり肩を落とした。「謝ることはなにもない。負けさせたベンチ、打線の責任」。矢野監督は見殺しにした申し訳なさであふれていた。9回までに1点でも失っていれば球団62年ぶりの完全試合を食らっていた。互いに打線の援護がない投手戦。ひりつくような緊張感の中、青柳はそれを力にした。「大野さんが素晴らしい投球をしていたので、乗せられた。絶対負けないように。1点も取られなければ負けはない」。ゼロ行進で大野雄に応戦した。阪神27人目の打者は青柳だった。代打は出ない。エースとエースの投げ合いは続行だ。9回2死。竜党の大歓声の中、二ゴロに倒れた。その裏、サヨナラを許せば快挙を許すプレッシャーの中、1番からを3者凡退。延長戦へ持ち込んだ。10回に佐藤輝の「阻止二塁打」を呼び込んだのは、間違いなくこの右腕だった。最多勝、最高勝率に輝いた昨季から変わらない安定感。得意のツーシーム、スライダーを低めに集め、シンカーや高め直球で緩急と高低も使い、的を絞らせなかった。3戦連続完投が状態の良さをうかがわせる。ただ、エースらしく今季初黒星を認め、受け止めた。「大野さんに投げ勝つのが今日の目標。結果負けたので何とも言えないですね。また0点に抑えるように頑張るしかない」。このままで終われない。胸の底でリベンジの炎をともした。負けて強さを示したのが防御率で、今季初めて規定投球回数に届いてリーグトップの0.76とした。開幕直前の新型コロナ感染で出遅れたが、投げるたびに存在感を高める。チームは今季9度目の零敗で、再び借金12。青柳の魂の109球をこの先、ムダにしてはいけない。【石橋隆雄】

◆阪神青柳晃洋投手(28)が日本トップクラスの投手戦を演じた。中日大野雄が完全投球を続ける中、自身も9回まで無失点。打線の反発を粘り強く待ち、最後は0-0の延長10回1死満塁でサヨナラ打を許した。それでも初の3試合連続完投。規定投球回数に達し、防御率0・76でいきなりリーグ1位に躍り出た。青柳の一問一答は以下の通り。-悔しい結果「大野さんがすばらしい投球をしてたので、それに乗せられてじゃないですけど、僕もいい投球ができたというのはあった。最後10回も任せてもらえたのに、簡単にサヨナラを食らったので、そこだけは、ちょっと情けないというのがありますね」-緊張感はあったか「回を増すことによって、今日の大野さんを見てたら、1点が負けにつながるゲームだと思っていた。7、8、9回と1点取られたらおしまい、サヨナラだというイメージで投げてたんで、そういう緊張感はあった。大野さんが走者を出してる、出してないは特に(関係)なかった」-3試合連続の完投。今後も長いイニングを「ずっと、こういうすばらしい投球を続けられるように、任されたイニングは0で勝てるように頑張ります」

◆中日大野雄大投手(33)が大記録達成を逃した。阪神戦(バンテリンドーム)の延長10回2死までひとりの走者も許さない完全投球を続けたが、この日115球目を佐藤輝に中越えへ運ばれ、二塁打を許した。ロッテ佐々木朗に続く今季2人目の完全試合は逃したが、チームはサヨナラ勝ち。大野雄は10回1安打完封で今季2勝目を手にした。?10回2死二塁。直前で佐藤輝にこの日初安打を浴び大記録を逃した大野雄は、渾身(こんしん)の直球で阪神大山を二飛に打ち取り、左腕でガッツポーズを繰り出した。ベンチへ戻る途中。一塁線を越えると、目尻にしわを寄せ、悔しげな表情も見せた。「ほんまに勝ちたかった」。その裏、石川昂のサヨナラ打が飛び出すと、アイシングをしたままヒーローを出迎えた。ゲーム開始から無双だった。最速147キロのストレートに、ツーシーム、スライダー、フォークの変化球がさえ渡った。相手の先発青柳も2安打無失点と好投。援護がないまま、9回までひとりの走者も許さず27個のアウトを積み重ねた。「行かせて下さい」。9回終了後に、立浪監督に直訴した。首脳陣は10回から守護神R・マルティネスをスタンバイ。指揮官からも直接、降板を伝えられた。1度は受け入れたが「柳の顔が浮かんで、アイツなら絶対いくっていうやろな」。完全試合のためではなく、チームの勝利のために、10回のマウンドに向かった。「ずっと無安打には気づいていた。(意識したのは)上位3人を抑えた7回ですかね」。約1カ月前の4月10日にロッテ佐々木朗が28年ぶりの完全試合を達成したばかり。19年のノーヒットノーランに続く、自身2度目の快挙となる大記録を目前で逃しても、笑った。「(完全試合で)延長10回をいける投手もなかなかいない。自負して自分をほめてあげたい」。05年西武西口(現2軍監督)以来、史上2人目となる、延長10回"完全逃し"の完封勝利に胸を張った。自宅の記念品を飾る棚には、短冊が1枚掲げられている。昨年11月に生まれた長男の誕生祝いを立浪監督から受け取った。そこにサプライズがあった。自宅に戻ると祝儀袋の短冊が2枚仕込まれていた。1枚には「誕生祝い」。その下のもう1枚には「開幕を任せた」。自身4度目の開幕投手を、粋な計らいで伝えてくれた立浪監督の直筆メッセージが「うれしかった」。それが、引き受けた投手キャプテンの背中を押し続ける。「僕の記録なんてどうでもいい」。チームの連敗は止まり、貯金「1」に戻った。サヨナラ劇を引き寄せた「C」マークを胸につけるエースが、竜を上昇気流に乗せるのはこれからだ。【伊東大介】?大野雄は、19年オフに国内FA権を封印して3年契約9億円(金額は推定)で中日に残留した。左腕の恒例行事は高校時代から続ける正月に行う故郷、京都・大文字山での登山自主トレ。記者はここ3年立ち会うが、毎年のように驚かされる。頂上に上がるとカメラマンらの要望は、京都市街をバックにしたジャンプ。20年の正月は大文字山に引っかけ大の字でジャンプ。今年は、立浪監督から要請された投手キャプテン就任に合わせ、「C」の字を体で作って、飛び上がって見せた。負けても試合後には必ずと言っていいほど取材対応に率先して応じる。19年のノーヒットノーラン以来となる大記録こそ逃したが、竜のエースは、チームだけでなく、ファン、マスコミ、球界をけん引する存在になっている。【中日担当=伊東大介】?中日大塚投手コーチ(大野雄について)「今日はボールに力があったしコントロールも良かった。今日の投球は先発陣だけでなく、若手選手にもとても刺激になり、投手陣みんなへ強く良い影響を与えてくれる投球になると思うし、チーム全体にも波及すると思う。本当にナイスピッチングだった」?中日木下(大野雄を好リード)「前回やられてしまったので、場面によっては時間をかけてでも大事にいこうと話し合っていた。ランナーが出なかったので、その場面はなかったですが...(笑い)。ずっと緊張して守りました。大野投手は今日、コントロールがとにかく良かった」

◆中日大野雄大投手(33)が大記録を逃した。阪神戦(バンテリンドーム)の延長10回2死までひとりの走者も許さない完全投球を続けたが、この日115球目を佐藤輝に中越えへ運ばれ、二塁打を許した。ロッテ佐々木朗に続く今季2人目の完全試合は逃したが、チームはサヨナラ勝ち。19年のノーヒットノーランに続く快挙はならなかったが、10回1安打完封で今季2勝目を手にした。10回2死二塁。直前に佐藤輝に二塁打を浴び、大記録を逃しても、大野雄は渾身(こんしん)の直球を投げ込んだ。この日31人目の大山を二飛に打ち取り、左腕でガッツポーズ。その裏、サヨナラ打を放った石川昂を、アイシングをしたまま出迎えた。ゲーム開始から無双だった。最速147キロの直球に、変化球がさえた。1人の走者も許さず9回終了。一方で相手の青柳も好投。8回2死一、三塁の好機には、大野雄自らが中飛に倒れ、投手戦が続いていた。「行かせてください」。9回を終え、ベンチで立浪監督に訴えた。首脳陣は10回から守護神R・マルティネスをスタンバイ。指揮官も直接、降板を伝えた。1度は受け入れたが、考えを変えた。「柳の顔が浮かんで、アイツなら絶対行くっていうやろな」。完全試合のためではなく、チームの勝利のため、延長10回のマウンドに上がった。「ずっと無安打には気づいていた。(意識したのは)8回ですかね」。4月10日にロッテ佐々木朗が完全試合を達成したばかり。大記録が幻になっても「(完全試合で)延長10回をいける投手もなかなかいない。自分をほめてあげたい」。05年の西武西口(現2軍監督)以来、史上2人目の延長10回"完全逃し"の完封勝利に胸を張った。自宅の記念品を飾る棚には短冊が1枚掲げられている。昨年11月に生まれた長男の誕生祝いを立浪監督から受け取った。自宅に戻って祝儀袋の短冊を見ると、2枚仕込まれていた。1枚目には「誕生祝い」。その下には「開幕を任せた」とあった。4度目の開幕投手を粋な計らいで伝えてくれた指揮官の直筆メッセージ。「うれしかった」と振り返る。チームの連敗は止まり、貯金「1」に戻った。エースが、竜を上昇気流に乗せるのはこれからだ。【伊東大介】

◆中日大野雄大投手(33)が10回2死まで完全投球を続けた。阪神佐藤輝に中越えの二塁打を許し、記録はストップ。それでも10回1安打無失点に抑え、サヨナラ勝ちにつなげた。▼大野雄が9回を完全に抑えながら0-0で延長に突入し、10回2死から佐藤輝に初安打を許した。延長戦に入ってノーヒットノーランを逃したのは14年5月31日金子(オリックス)以来12人目で、完全試合を逃したのは05年8月27日西口(西武)に次いで2人目。西口と大野雄はチームが延長10回にサヨナラ勝ちし、2人とも完全試合を逃して「延長10回1安打完封勝ち」となった。過去に延長戦でノーヒットノーランは73年8月30日江夏(阪神=延長11回)しかおらず、延長戦で完全試合を達成していればプロ野球史上初めてだった。また、大野雄は19年9月14日阪神戦でノーヒットノーランを達成。ノーヒットノーランを複数回記録したのは3度の沢村(巨人)外木場(広島)を含め過去9人いるが、延長戦で自身2度目のノーヒットノーランを逃したのは初めて。▼この試合は9回終了時に中日2安打、阪神0安打。9回終了時点で両軍合計2安打は、73年6月16日日拓2本-近鉄0本、82年6月18日大洋1本-ヤクルト1本に並び3度目の最少タイ記録。

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】中日大野雄大が阪神戦に先発、完全試合ペースも終盤は意外な展開が待っていた。

◆阪神井上ヘッドコーチも青柳にざんげした。力投した右腕に「うちのエース。パーフェクトをやられているという中で、やっぱりさすが。意地を見た」と褒めたたえた。ただ、中日大野雄の前に沈黙を続けた打線には心配顔。「あれだけのピッチングをしている青柳に申し訳ないなという気持ち。明日からも試合は続く。そこの奮起を期待するしかない」と続けた。7試合連続で4番に座る大山は、4試合、19打席連続でノーヒットと精彩を欠いたまま。延長10回に佐藤輝が二塁打を放った直後、唯一だったチャンスで二飛に倒れ、4打数無安打だった。井上ヘッドは「打順も踏まえて、ちょっとこう...味付けしなきゃいけないかなとは思いますね」と説明。クリーンアップを含めた打順改造も含めて打開策を練る。

◆中日の木下が4試合連続安打をマークした。0―0の二回2死で、2ボール2ストライクから青柳の速球を右前に打ち返した。1試合で先発を外れたものの、開幕から全31試合に出場する正捕手。八回無死一塁では一塁線に絶妙な犠打を決め、この試合で両チーム初の好機を演出した。

◆大野雄大投手(33)が先発し、延長十回に完全試合達成を逃した。九回まで阪神に一人も走者の出塁を許さず、完ぺきに抑えた。しかし、九回を終わって味方の援護がなく、両軍無得点のまま延長戦へ突入。十回2死で佐藤輝に中堅右を襲う二塁打を許した。延長戦に突入して完全試合を達成した場合は、史上初の快挙だった。

◆偉業を止めたのはやはりこの男だった。阪神・佐藤輝明内野手(23)が十回の第4打席に、この日のチーム初安打となる二塁打を放った。チームは大野雄の前に九回まで一人の走者も出すことができず。十回も近本、中野が倒れ、二死から佐藤輝が打席に向かった。カウント1-0から2球目、145㌔直球をはじき返すと打球は右中間を破る二塁打。打者30人目でついにHランプをともした。得点につなげたい打線だったが、4番・大山が二飛に倒れ無得点となった。

◆中日・大野雄大投手(33)が延長十回2死まで一人の走者も許さない完全投球を見せた。十回2死、佐藤輝に右中間二塁打を許し、快挙はならなかったが、後続を抑えた。その裏、1死満塁から石川昂が中前へサヨナラ打を放ち、1安打完封で今季2勝目(3敗)を手にした。エース対決で負けるわけにはいかない。虎打線相手にテンポよく腕を振る大野雄が凡打の山を築き、試合を支配した。今季の被打率は右打者の・169に対し、左は・359(試合前時点)。それでも一回は近本から見逃し三振を奪うと中野、佐藤輝もゴロに仕留め、〝難所〟を断って滑り出した。その後もツーシームや鋭く落ちるフォークを駆使し、圧倒。Hランプを灯させない投球を続けた。前回登板の4月28日(甲子園)は8回3失点完投負け。2点リードの四回に中野、佐藤輝、糸井の左打者たちに連打できっかけを作られ、この回に喫した3点で試合をひっくり返された。「連打されたところで、どこかで切らなきゃいけませんでした」。自らに白星がつかなくても、登板した試合が勝つことにこだわる左腕。相手エース・青柳との投手戦のなかでも攻め抜いた。阪神は2019年9月14日(当時ナゴヤドーム)ではノーヒットノーランをお見舞いした相手。快挙こそならなかったものの、再演を期待する竜党の拍手も力に変え、エースたる姿を堂々と示した。(須藤佳裕)

◆阪神は無念のサヨナラ負け。先発した青柳晃洋投手(28)の好投もむなしく、打線が沈黙した。4月を3戦3勝、2完投とチームを救ってきた青柳はこの日も貫禄の投球をみせる。九回まで2安打無失点。スコアボードにゼロを並べた。しかし、打線が援護できない。大野雄に対して九回まで一人の走者を出すこともできず完璧におさえられる。十回2死から佐藤輝が二塁打を放ったが、4番・大山が二飛に倒れ、得点できなかった。青柳は自己最長の十回のマウンドへ。しかし、1死満塁とされると、最後は石川昂に中前打を浴びた。阪神は今季4度目のサヨナラ負けとなった。

◆中日・大野雄大投手(33)が延長十回2死まで一人の走者も許さない好投。十回2死、佐藤輝に右中間二塁打を許し、快挙はならなかったが、後続を抑えた。その裏、1死満塁から石川昂が中前へサヨナラ打を放ち、大野雄は1安打完封で今季2勝目(3敗)を手にした。大野雄と石川のヒーローインタビューは下記の通り。--歓喜の輪に加わった瞬間はどんな気持ちだった大野「僕は十回で降板すると決まってたので、あとはチームがなんとか勝ってくれたらいいなと思いながらベンチにいたんですけど(石川)昂弥に満塁で回ってきて。前の打席は申告敬遠で歩かされて僕だった。満塁になったので勝負するしかなかったので絶対打ってくれると思ってました」--その言葉を聞いて石川「今日大野さんからユンケルもらったんで打てました」--大野さんもあげたんですね大野「実は前回の甲子園のときもあげて2ランホームラン打ってくれて。なので箱ごと買います、これから笑」--29人連続アウト大野「(阪神の)青柳投手がすごい投球してたので1点勝負のゲームだなと思いながら投げていた。もちろん走者を出していないことも気づいてましたし、とりあえず先頭を切って頑張っていこうという気持ちで投げてました」--味方の守備のプレーに拍手を送るシーンもあった大野「ホンマにみんなよく守ってくれてたと思いますし、ありがたかったですね」--今週は(前のカードの)横浜スタジアムで投手陣は総力戦だった大野「9回投げ終わったときに監督にも『代わるか?』って言われたんですけど、悩んだんですけど、柳だったら絶対『投げる』って言うやろなって思ったんで僕も『投げます』って言いました」--八回は申告敬遠。最後はどんな気持ちで打席に立った石川「大野さんが頑張っていたので、自分がなんとか決めようと打席に立ちました」--こんなしびれる試合でのサヨナラタイムリー石川「とても気持ち良かったです」--最後に一言大野「今日は1つ勝てたんですけど、僕自身まだ2勝3敗なので。これからどんどん勝って勝ち星伸ばしていって、チームをどんどん上位に上げて行けるようにこれからも腕振って最後まで投げ切れる試合を1つでも増やせるようにやっていきます、応援よろしくお願いします」

◆阪神は青柳晃洋投手(28)が延長十回1死満塁から、石川昂弥内野手(20)に中前打を浴びて、サヨナラ負けを喫した。打線は大野雄大投手(33)の前に十回2死から放った佐藤輝明内野手(23)の二塁打のみ。1960年8月11日の大洋(現DeNA)戦(川崎)で島田源太郎に喫した完全試合を阻止したものの、今季4度目のサヨナラ負けを喫し、延長戦は5戦4敗1分。9度目の完封負けを食らった矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り(チーム成績11勝23敗1分、観衆2万5397人)。ーー青柳は素晴らしい投球「いやもうね、負けさせたベンチ、打線の責任やと思っています」ーー青柳の良かった点は「いやまあ、打球を上げさせないという、低めの高さもいいし、変化の強さもあるし。その中で緩いボールもうまく間に使えていたんで」ーー大野雄大はどう見た「うーん、コースは、特に左の外はいい球、いいコースに来ているのかなというのは横から見ていても思っていたけど。もちろん、その中で右打者に対しても高さを、追い込んだらしっかり投げるというのはしっかりできていた。もちろん、甘い球もあったけど、それを打ち損じているのものあるんだけど。左の外はすごくコントロールがよかったかなとは思ったけど」ーー直球、変化球を問わず「いや、アウトコースは真っすぐじゃない。変化球は低めにコントロールできる投手のなので。コースと言うよりは高さ」ーー佐藤輝が安打「うーん。悠輔がずっと(安打が)出ていない(19打席連続無安打)ので、なかなか点が入らないということになってしまっているので。まあまあ、今日はもちろん打線全体として課題というか。青柳が最後打たれた後、すみませんとベンチに帰ってきたけど。すみませんと謝ることは何もないし。逆にその気持ち、バッター陣がどれだけくんでやっていけるかというところもあると思うので」ーー切り替えて「明日、明後日どう勝つかというのを考えてやっていきます」

◆阪神・大山悠輔内野手(27)が延長十回2死二塁で二飛に倒れるなど、4打席を加え、1日の巨人戦(東京ドーム)の4打席目から、19打席連続無安打となった。試合後の井上一樹ヘッドコーチ(50)の一問一答は以下の通り。ーー打者全員が悔しさを持っていると思うが「もちろんそうでしょうけどね。1人もランナーを出せない状況の中で、まあ言えることはやっぱり、あれだけのピッチングをしている青柳に申し訳ないなという気持ちを。うちのエースだから、アイツも意地があるだろうし。パーフェクトをやられているという中で、やっぱりさすがやなというようなものを、もちろん大野の快投もそうだけども、青柳がそれに『いやいやウチも点をやりませんよ』っていうところに意地を見たっていう。ディフェンスで言えばね。青柳のことを、本当に申し訳ないっていうような気持ちを、明日からも試合は続くわけで。そこの奮起を期待するしかない」(続けて自ら)「大野がじゃあ何が一番よかったんだっていう時に、それはやっぱり試合をやっている人間にしか分からないんだけども。そこで何かこうリズムに乗せてしまったというところが。昨日サヨナラ勝ちでいい形で、名古屋に乗り込んできたんだけど、逆にまたサヨナラでやられたっていうところでね。でもある意味、意気消沈することなく、明日から切り替えが大事かなとは思います」ーー大山はどう見ているか「まあそうだね、ちょっと...うーん、まあその打順も踏まえて、ちょっと、ちょっとこう...味付けしなきゃいけないかなとは思いますね」ーー佐藤輝の二塁打から一気に行きたかった「もちろんそうでしょう。ベースを踏むことができなかったんだから。一塁ベースさえ踏んでいないワケだから。あそこでやっぱり行きたいなというところで、なかなかね、1本もヒットが出ていないところで、悠輔にちょうど回ってくる、っていうね。チームの4番に回ってくるっていうところでの期待というのはもちろんあったと思う。そういった場面は、これからも出てくるだろうし。でもそれをまあ悠輔が、そういったところで回ってくるからこその4番、そしてそれをどう感じたかというようなものは、僕らがこういろんなことを四の五の言うたところで、悠輔がどういうふうに肌で感じたかというところに逆に期待したいと思います」

◆中日は大野雄が10回1安打完封し、十回に石川昂が中前サヨナラ打を放って勝利した。試合後の立浪和義監督(52)の主な一問一答は以下の通り。(TVインタビュー)――熱戦を振り返って「結果的にサヨナラで勝ちましたから非常にうれしいですし、大野雄が九回完全というところで、本当はあそこで勝ちがつけばよかったんですけど、ただ十回へは自分で『もう一回、行かせてくれ』と。(相手の)打順的にも上位からでしたから、ピンチの場面でよく踏ん張ってくれて、結果、勝ちがついたことが何よりもよかったです」――大野雄の投球はベンチからどう見ていた?「球も走っていましたし、ツーシームも非常によかったですし。(阪神・青柳と)両投手ですよね。本当に投手戦という、まさに。そういう両投手がいい投球をしていましたから、どっちが勝ってもおかしくなかったんですけども、最後、ああいう形で勝てたことが一つ、チームの力になっていけばいいなと思いますね」――石川昂が試合を決めた「あのケース(1死満塁)は外野フライでもいいわけですし、内角のツーシームがくるというところで。初球はファウルになったんですけど、よかったなと。打ちに行った結果、少し甘くなった結果がいい方向に飛んだのかなと思います」(囲み取材)――大野雄は八回も打席に立った「いろんな作戦を考えたんですけど、初球のファウルを見て、もしかしたらと、なんとなしに(思った)。実際にいい当たりを打ちましたし、がむしゃらな。あのまま勝ちがつかないと申し訳なかったですけど、結果、勝ちがついたので良かったです」――連敗ストップ「横浜で2つ嫌な負け方をしましたし、こことビジターではガラッと野球が変わってしまうんですけど。きょうはきょうで良かったですけど、ビジターでも強くなれるように、チームも力をつけていかないといけないと思っています」

◆一度限りのチャンスで打席が巡ったのは、やはり大山だった。過程はどうあれ、一本を出しておけば「4番の仕事」で勝っていた。むなしくも19打席連続無安打となって、井上ヘッドは4番をはく奪する可能性を示した。「ちょっと...うーん、打順も踏まえて〝味付け〟しなきゃいけないかなとは思います」1日の巨人戦(東京ドーム)で投手内野安打を放ってから、この日の八回の打席で左飛に倒れるまで、5試合にまたがり18打席連続で快音がなかった。そして、延長十回2死二塁。打てば苦悩もすべてが吹き飛び、打たなければ苦悩がより深まる勝負の分かれ目で、大山は敗れた。カウント1-2から大野雄の120球目を仕留めにいき、どん詰まりの二飛。虎のたった一度の好機はあっという間に去り、苦悩まみれの4番によって、エース青柳には負けがついた。1、2打席目はともにフルカウントからの空振り三振と、食らいつきはした。試合前練習中には打撃ケージ近くで話し込んだ矢野監督も「(大山)悠輔がずっと(安打が)出ていないので、なかなか点が入らないということになってしまっている」と頭を悩ませる。井上ヘッドは「そういったところで回ってくるからこその4番。それをどう感じたかは、僕らが四の五の言ったところで(仕方がない)。悠輔がどう肌で感じたかというところに、逆に期待したい」とも語った。得点圏では8打席連続無安打で、バンテリンドームの巨大ビジョンに表示される得点圏打率も・200(30打数6安打)まで下降した。このままでは大山とともにチームもさらに深くまで沈む。(長友孝輔)

◆0―0の延長十回1死満塁。勝利を決める打球が中前に抜けると、アイシングをしていた中日・大野雄は両手にペットボトルを持ってベンチを飛び出し、殊勲の石川昂に水をかけた。もう少しで球団初の完全試合という、見事すぎる10回1安打完封劇だった。「10回を投げて、最後に(石川)昂弥が決めてくれて、全てが報われたというか。記録なんてどうでもいいので、勝ってよかったです」一回に近本から見逃し三振を奪い、ショーが幕を開けた。直球に鋭いフォークとキレ味十分のツーシームを織り交ぜ、虎打線を圧倒。2019年9月14日の阪神戦(ナゴヤドーム)で成し遂げたノーヒットノーランを超える完全試合の偉業へ、ついに一人の走者も出さずに27人を封じた。投げ合う青柳も竜打線を散発2安打に封じ、援護のないまま延長戦に突入。十回2死でついに佐藤輝に中堅右を破られ(記録は二塁打)、場内は悲鳴に包まれた。それでも左腕は「ホームランじゃなくてよかった」と冷静だった。一塁が空いている状況で4番・大山と勝負し、直球で二飛に料理して役目を全う。熱投に打線が応え、歓喜の瞬間は訪れた。 指揮官から「(十回も)投げるか?」と問われたときには右のエース・柳の顔を脳内に浮かべ「あいつなら絶対に『投げます』と言うと思った」と続投を志願。今季すでに2完投とフル回転する後輩を意識するのも、立浪政権で任命された投手キャプテンとしての責任感の表れだ。「僕自身まだマイナス1つ、2勝3敗なので、これからどんどん勝ち星を伸ばしていって、チームをどんどん上位にあげていけるように、これからも腕を振って最後まで投げ切れる試合を一つでも増やせるように、やっていきます」完全試合を〝超えた〟投球よりも、チームの勝利がうれしい。野球人としてパーフェクトな姿を示し続け、竜を上へと昇らせる。(須藤佳裕)◆大野雄について中日・大塚投手コーチ 「今日の投球は先発陣だけでなく、若手選手にも刺激になる。投手陣みんなへ強くいい影響を与えてくれる投球になると思う」◆大野雄とバッテリーを組んだ中日・木下 「前回(4月28日、甲子園)やられてしまったので、場面によっては時間をかけてでも大事にいこうと話し合っていた。きょうはコントロールがとにかく良かった」

◆青柳から学べ! 阪神は中日・大野雄に延長十回2死まで完全投球を許し、今季4度目のサヨナラ負け。青柳晃洋投手(28)は3試合連続完投も報われなかった。矢野燿大監督(53)は「打線の責任」とし、零封負けは早くも今季9度目。魂の投げ合いを野手陣はどう感じたか。エースの闘争心に奮い立て!梅野から肩を抱かれても、視線を変えなかった。グラブを右手に持ち替え、肩を怒らせ、ベンチに戻ると、すぐにロッカールームへと消えた。こんな表情の青柳は初めてだった。意地と意地のぶつかり合いに敗れた。それが、すべてだった。「簡単にサヨナラ(打)を食らったんで、そこだけはちょっと情けない。絶対に負けないように、1点も取られなければ負けはないと思っていた」延長十回、1死から三ツ俣に二塁打を許し、申告敬遠、右前打で満塁のピンチ。石川昂にサヨナラ打を許し、今季4度目の登板で初めて土がついた。「すみません」ベンチに戻って、矢野監督らに謝った。大野雄から味方がヒット1本放つのも困難だと判断すればゼロにこだわった。先にマウンドから降りることだけはしたくなかった。タテジマを支えるエースとしての矜持だった。立ち上がりから制球力も抜群だった。5回でわずか49球。大野雄よりも明らかに省エネだった。七回までに背負った走者は二回に右前打を許した木下のみ。八回は1死二塁のピンチを招いても後続を断った。page: 2もし青柳が1点でも取られていたら、完全試合を達成されていた。2019年9月14日に無安打無得点をナゴヤドームで許したときと同じような展開。2度目の屈辱寸前だった矢野監督は「(青柳が)謝ることは何もない。負けさせたベンチ、打線の責任やと思っています」と矛先を自分に向けた。打線は延長十回2死で佐藤輝が右中間二塁打を放って一矢は報いたが、今季4度目のサヨナラ負けで零封負けは9度目。シーズン143試合で換算すれば36度ペースで日本記録の31度を更新するハイペースだ。最近4試合での平均得点は0・75(うち3試合は零封負け)と明かな得点力不足。大山は19打席連続無安打と光が見えず4番から降格が濃厚となった。指揮官は「その(青柳の)気持ちをバッター陣がどれだけくんでやっていけるかというところもある」と続けた。相手の状態がよければ打てるまでとことん食らいつく。投手であれば野手の援護があるまで抑え続ける。投打の歯車がかみ合ってこそ勝てる。それを青柳は体現した。先に屈してしまった自分がふがいなかったのだろう。それは借金12と低迷するチームに対してのメッセージでもあった。「1点が負けにつながるゲームになると思っていた。七、八、九(回)と1点取られたらおしまい、サヨナラだというイメージで投げた。任されたイニングはゼロで勝てるように頑張ります」109球を投げた青柳は悲壮な決意だった。この悔しさを原動力にする。青柳も虎も-。今季はバンテリンドームで4戦全敗。簡単にギブアップしてはいけない。エースが教えてくれた。(織原祥平)◆阪神・井上ヘッドコーチ 「(青柳の)意地を見た。(打線は)あれだけの投球をしている青柳に本当に申し訳ないという気持ちを(持つこと)。そこの奮起に期待するしかない」■完全試合 投手が相手チームの打者を塁に出すことなく勝利することで、安打はもちろん、四死球や失策なども許されない。パーフェクトゲームとも呼ばれる。コールドゲームによる勝利や、引き分けた場合は参考記録として扱われる。失策や四死球などで走者を出した場合は無安打無得点試合(ノーヒットノーラン)となる。

◆完全試合を阻止した。大野雄からただ一人、Hランプを灯したのは佐藤輝だった。「真っすぐがよかったので速い球に合わせていきました」延長十回2死で迎えた第4打席。カウント1-0から高めの145キロ直球をとらえた。鋭い打球は右中間を破り、二塁打。打者30人目で放った待望のチーム初安打に、バンテリンドームの虎党から歓声があがった。延長戦に入って完全試合を許せば球団史上初の屈辱。不名誉な記録をストップさせた男は塁上で両手をパンッとたたいた。その前の3打席は完敗だった。いずれも内野ゴロに抑えられ、「正直打ちミスで悔しいなと。でもそれがいい投手なので。(大野雄は)コントロールがよかった」と唇をかんだ。このままやられっぱなしで甲子園に帰るわけにはいかない。「明日はしっかり打って、打ちます」と逆襲を誓った。(原田遼太郎)

◆「やばいですよ」隣の席に座っているトラ番キャップ長友孝輔が、阪神の攻撃が終わるたびに声をかけてきた。そんなこと、言われなくても分かっている。記者席にいる人間が、どうにかできるはずもない。誰か、代打に送っても、この日の大野雄大は、とても打てそうにないし...。ふと、追い詰められたムード満点の阪神ベンチがテレビ画面に映った。一人のコーチの顔を発見した。「そうや! 代打・久慈や! 久慈しかないぞ、このピンチは」長友は呆気に取られていた。弱い、とてつもなく弱い阪神を担当しながら、なぜか、あの暗黒時代の80年代後半から90年代にかけて、阪神は完全試合どころか、ノーヒットノーランを一度も食らっていない。なぜか? 久慈選手がいたから。これ、ホントの話。郭源治(中日)にノーヒットに抑えられながら、九回1死からヒットを放ったのが久慈だった。チェコ(広島)から九回2死で起死回生の二塁打を放ったのも久慈だった。早いイニングの久慈の安打だけで負けた試合、久慈の2安打だけで負けた試合もあった。 こんな打者を米球界では「ノーヒットスポイラー」(無安打を台無しにした選手)という。どうや、これが久慈伝説や!完全にあきれた顔をされた。久慈内野守備コーチが打席に立てるわけもないし、立っても打てるわけがない。過去にすがっても何も生まれない。「絶対、やられますよ」さすがにこっちも覚悟はした。いや、むしろ、一度、ナマで完全試合というものを拝ませてもらいたい、と阪神ファンに殴られそうな気持ちにもなっていた。そういえば、試合間に2人でロクでもない会話をしたことも悔いた。ビジョンに、ホームラン賞、第1安打賞など、選手がもらえるバンテリンドーム特別の賞の数々を紹介されていた。「ノーヒットノーラン賞は...」と紹介されたので、つい漏らしたのだ。「なんで、完全試合賞はないんやろ」その時、キャップは笑っていたが、すぐに笑いごとではなくなっていった。先日、佐々木朗希(ロッテ)の完全試合を阻止する秘策を、トラ番・原田遼太郎に話したら、彼がこの虎のソナタで披露していた。〝野球版カテナチオ〟だ。その昔、サッカーのイタリア代表が徹底的に守備重視で、0-0のドローを狙う芸術的戦術。つまり、野球では、対抗する先発投手がゼロに抑えれば、やがて敵の剛腕もマウンドを降りることになる...。実際、上沢(日本ハム)が佐々木朗に負けない快投を披露して、完全試合を〝阻止〟している。まあ、あれこれ言うより、素晴らしい投げ合いに乾杯だ。八回、石川昂を申告敬遠した瞬間の竜党のブーイング。九回2死、青柳は打席に入り、続投が決まった瞬間の竜党のどよめき。佐藤輝が大記録を粉砕した瞬間の左翼スタンドの狂乱...。すべての音響効果も、今季プロ野球界最高の投手戦を盛り上げていた。こんな投手戦ならまた見てみたい。そして、その時は、青柳が完全試合を...。

◆延長十回2死まで大野雄にパーフェクト。佐藤輝のヒットは出たものの、好投の青柳を見殺しにした猛虎打線に特別にこの方より一言頂きたいと思います。どうぞ...。「僭越(せんえつ)ながら、一言申し上げさせていただきます...。戦う顔になってなーい!!」以上、4日の試合で京田を試合中に強制送還した立浪監督でした。てかー!! これで今季9試合目の零封負けは、流石に全国の虎党は怒り狂ってもトーゼンだと思うのだ!! そりゃあ人生、こうしようと思ったのが、うまくいかないことはあるさ...。いや、マジメに考えることが今の阪神には無駄ですわー!!あー! 世紀の大トレードしたれ!! それは矢野監督と日本ハムビッグボス監督だー!! 小器用な選手を集めても、それを機能させることができないなら、未来の大砲に夢を託すビッグボスの方が1万倍ええわー!!

◆阪神での現役時代、〝代打の神様〟として、虎党から絶大な支持を得たサンケイスポーツ専属評論家・八木裕氏(56)は延長十回2死二塁で二飛に倒れるなど、19打席連続無安打の大山悠輔内野手(27)に言及。「大山以外の4番はいない」と力説した。阪神・青柳と中日・大野雄の素晴らしい投手戦だったし、あの投球をされたら、両チームともにそう簡単には打ち崩せない。少ない点数での勝負は、序盤から想像ができた。そして延長十回2死から佐藤輝に初安打を打たれても、続く大山を冷静に打ち取った大野雄に対して、その裏の青柳は明らかにスタミナ切れ。最後は逆球を打たれた。とはいえ、決して責められない。ただ打者出身の目線で言えば、大野雄に対してヒットはおろか四球での出塁も出来なかったのは、寂しすぎる。阪神は青柳を含めて、投手陣は非常に頑張っている。十分に評価してあげたい。ということは、浮上していくポイントは、打線の爆発しかない。打って、点を取らなければ、悔しい展開で試合を落とすことになる。大野雄には抑えられたが、1番からの3人(近本、中野、佐藤輝)は決して状態は悪いとは思わない。問題は4番以降。特に5番以降は、どの選手を起用していいのか、はっきりと見えてこないのがつらい。そして一番気になるのは大山だ。状態が明らかに悪いことがはっきりわかった試合でもあった。先に言っておくが、今の阪神のメンバーを見渡して、大山以外の4番はいないと思っている。大山が4番打者として復調しなければ、阪神の浮上も難しい。修正点としてはストレートを狙って、打つまでの時間がかかり過ぎている。元々、体重移動が大きいタイプの打者ではあるが、トップの位置からバックスイングに入り、打球を捉えるまでに時間が長すぎて、結果、詰まってしまう。ストレートに詰まるぐらい時間がかかっているから、変化球には待ちきれなくなってしまっている。ストレートにも変化球にも対応できていない。阪神の4番は負担も大きいし、責任も重い。大変だろうが、現状を乗り越えて、チームを引っ張る4番に成長してもらいたい。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
21150 0.583
(↓0.017)
-
(-)
107148
(+2)
150
(+13)
40
(+1)
14
(+1)
0.246
(-)
3.480
(↓0.25)
2
(-)
ヤクルト
18130 0.581
(↑0.014)
0.5
(↓1)
112122
(+13)
110
(+2)
30
(+3)
15
(-)
0.232
(↑0.008)
3.040
(↑0.04)
3
(-)
広島
18151 0.545
(↓0.018)
1.5
(-)
109142
(+3)
113
(+4)
10
(-)
7
(-)
0.254
(-)
3.140
(-)
4
(-)
中日
16150 0.516
(↑0.016)
2.5
(↑1)
112105
(+1)
111
(-)
17
(-)
13
(-)
0.248
(↓0.003)
3.410
(↑0.13)
5
(-)
DeNA
13160 0.448
(↑0.019)
4.5
(↑1)
114109
(+4)
125
(+3)
26
(+2)
11
(+1)
0.249
(↑0.001)
3.760
(↑0.06)
6
(-)
阪神
11231 0.324
(↓0.009)
9
(-)
108103
(-)
120
(+1)
23
(-)
21
(-)
0.227
(↓0.005)
3.240
(↑0.07)