阪神(☆3対2★)ヤクルト =リーグ戦9回戦(2022.05.05)・阪神甲子園球場=
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ヤクルト
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阪神
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勝利投手:岩崎 優(1勝0敗4S)
敗戦投手:大西 広樹(1勝1敗0S)
  DAZN
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DAZN

◆阪神がサヨナラ勝利。阪神は1点を追う5回裏、ロハス・ジュニアが押し出し四球を選び、同点とする。そのまま迎えた9回には、2死満塁から山本が押し出し四球を選び、試合を決めた。投げては、6番手・岩崎が今季1勝目。敗れたヤクルトは、5番手・大西が踏ん張りきれなかった。

◆2試合連続完封負けを喫していた阪神が、21イニングぶりの得点を挙げた。2点ビハインドの3回1死一、二塁。3番佐藤輝明内野手(23)が、ヤクルト高梨から中前適時打を放った。佐藤輝は球団広報を通じ、「連打で作ってもらったチャンスだったので、いい流れで打席に入ることができました。子どもたちにいいところを見せたいです!!」とコメントした。佐藤輝は4月30日巨人戦以来、4試合ぶりの打点。こどもの日に球場に駆けつけた満員のファンを喜ばせた。ホームのヤクルト戦では、3月25日の開幕戦の4回以来、44イニングぶりの得点。長い「ゼロトンネル」を脱出した。阪神はこれで1点差に迫ったが、後続が倒れ、この回での逆転とはならなかった。

◆阪神が今季初めてのサヨナラ勝利で、連敗を2で止めた。同点の9回に先頭の近本光司外野手(27)が左前打で出塁。続く中野拓夢内野手(25)が送りバントを決め、佐藤輝明内野手(23)は敬遠。大山悠輔内野手(27)は内野ゴロに倒れ、代打糸井嘉男外野手(40)が敬遠されて2死満塁。この場面で山本泰寛内野手(28)が押し出し四球を選んだ。押し出し四球でサヨナラ勝ちは7年ぶり。お立ち台に上がった山本は「最高です」と声を張り上げた。サヨナラ場面については「みんながつないでくれた大チャンスだったので、なんとかランナーをかえそうという気持ちで打席に立ちました」と振り返った。ともにヒーローインタビューを受けた3安打の近本は「(9回は)サヨナラの場面つくることができて良かったです」と笑顔。「なんとしても今日は勝たないと、というのがあったので、こういう最高の形で勝てて、これからもどんどん勝っていきたいと思います」とも語った。3日連続満員の甲子園。前日までの2試合は0封負けを喫していたが、子どもの日にようやく白星を届けることができた。久しぶりの得点は4回だった。近本、中野の連打で1死一、二塁とし、佐藤輝が中前に鋭くはじき返し、1点を返した。「ホームでのヤクルト戦」という条件では4試合連続無得点が続いていたが、3月25日の開幕戦(京セラドーム大阪)で4回に得点して以来、44イニングぶりに得点を挙げた。さらに、5回も近本、中野の連打でチャンスを作り、押し出し四球で2-2とした。その後はしのぎ合いとなった。先発のジョー・ガンケル投手(30)は5回2失点(自責1)。2勝目はならなかったが、無失点でつないだブルペン陣を含めた粘りが打線の反撃を呼んだ。?▼阪神が今季初のサヨナラ勝ちを収めた。昨年9月4日巨人戦(甲子園)で、大山がビエイラから逆転サヨナラ本塁打を放って以来。押し出し四球に限ると、15年5月28日楽天戦(甲子園)で福留が戸村から選んで以来、7年ぶり。▼山本は2年連続で、阪神のシーズン初のサヨナラ打点を挙げた。移籍1年目の昨年4月3日中日戦(京セラドーム大阪)で、自身初のサヨナラ打となる中越え二塁打を福から打った。

◆こどもの日に、子どもたちに贈る1勝だ。阪神が今季初めてのサヨナラ勝利で、連敗を2で止めた。同点の9回に先頭の近本光司外野手(27)が左前打で出塁。続く中野拓夢内野手(25)が送りバントを決め、佐藤輝明内野手(23)は敬遠。大山悠輔内野手(27)は内野ゴロに倒れ、代打糸井嘉男外野手(40)が敬遠されて2死満塁。この場面で山本泰寛内野手(28)が押し出し四球を選んだ。「ゴールデンウイークこどもまつり」と題されたヤクルト3連戦の、最後の一戦でようやく勝利。ファンクラブKIDS会員から抽選で選ばれた子どもたちがインタビュアーとなり、近本と山本がヒーローインタビューを受けた。インタビューの一問一答は以下の通り。(子どもインタビュアー)-どうしたら山本選手みたいになれますか?山本「何事にも一生懸命取り組むことが、今につながっていると思います」-勝つために他の選手より努力していることはありますか?山本「打つだけじゃない、バントだったり、フォアボールだったり、そういうので貢献しようという気持ちでいつも臨んでいます」-ファンに何て呼ばれたいですか?近本「チームから『チカ』って呼ばれていますし、みんなも『チカ』って呼んでくれたらうれしいです」-今日、神奈川県に帰るのですが、夕食に食べて帰った方がいい、オススメのメニューはありますか?近本「そうですね~、今日帰るんですよね。ほんとだったら淡路島に寄って帰ってもらいたいんですけど、そうですね…。なんでしょうかね…(笑い)。たこ焼きおいしいですね! たこ焼き食べて帰ってください」?(インタビュアーがアナウンサーに代わり)-今の心境は山本「最高です」-9回、満塁で回ってきた時の気持ちは山本「みんながつないでくれた大チャンスだったので、なんとかランナーをかえそうという気持ちで打席に立ちました」-9回先頭で回ってきた近本選手は、どんな気持ちで近本「風が吹いていたんで、とにかく逆方向に打とうという気持ちで入って。先頭だったんで、バットに当たったらなんとかなるかなと思って、結果的にサヨナラの場面を作ることができたので、よかったです」-大勢の子どもたちの前で勝てた近本「ほんとに、こどもの日の3連戦で1勝もできずに帰ってもらうっていうのは悔しいと思いましたし、なんとしても今日は勝たないとっていうのがあったんで。こういう最高の形で勝てて、これからもどんどん勝っていきたいと思います」-最後に子どもたちへ山本「僕も小さい頃、プロ野球を見てプロ野球選手になりたいと思っていました。ここにいるみんなも、1人でも多く、プロ野球選手になりたいと思ってくれたらうれしいです。今日はありがとうございました」近本「最高の形で、こどもの日、子どもたちがこういう試合を見れて、僕たちもうれしいですし、またこうしてたくさんの方に来てもらって、たくさんの方が喜んで今日帰ってもらって。明日からの連戦、これからも巻き返していきたいと思います。応援よろしくお願いします!」

◆禁断のブーイング連発がサヨナラを呼んだ?阪神が今季初のサヨナラ勝ち。同点の9回、押し出し四球で決着した。最初のブーイングは1死二塁で、佐藤輝明内野手(23)を迎えた場面。すかさずヤクルトベンチが申告敬遠を告げると、超満員の観衆は感染対策を意識してやや遠慮気味にブーイング。その後、2死一、三塁となって代打に糸井嘉男外野手(40)が告げられると割れるような大拍手が起きたが、再びヤクルトは敬遠を選び、全ての塁を埋めた。めずらしい1イニング2度の申告敬遠。しかも期待の高い強打者2人が歩かされただけに、ファンも我慢できず、ついに大音量のブーイングを“解禁”した。ヤクルト大西は続く山本泰寛内野手(28)に対し、ボールが先行。カウント3-1から最後の1球も高めに大きく外れた。3年目の右腕にとっては初めて味わう甲子園の「圧力」だった。?▼阪神が今季初のサヨナラ勝ちを収めた。昨年9月4日巨人戦(甲子園)で、大山がビエイラから逆転サヨナラ本塁打を放って以来。押し出し四球に限ると、15年5月28日楽天戦(甲子園)で福留が戸村から選んで以来、7年ぶり。▼山本は2年連続で、阪神のシーズン初のサヨナラ打点を挙げた。移籍1年目の昨年4月3日中日戦(京セラドーム大阪)で、自身初のサヨナラ打となる中越え二塁打を福から打った。

◆ヤクルトは今季2度目のサヨナラ負けで連勝が5で止まった。同点の9回2死満塁から大西が山本に痛恨の押し出し四球。4回以降は追加点を奪えない展開にも高津臣吾監督は「もう1点どこかで取れていたら、どこかで防げていたら、とは思いましたけど。よく粘って頑張っているなと感じます」と冷静に振り返った。6日からは1・5ゲーム差の首位巨人との3連戦。「しっかり準備したいと思います」と切り替えた。▽ヤクルト青木(3回2死二塁から左前適時打)「追い込まれていたので食らいついていきました。うまく打つことが出来ました」▽ヤクルト高梨(5回途中6安打2失点)「今日は状態があまり良くなかったが何とか最低限の仕事をしたかったのですが、粘り切れず申し訳ないです」

◆阪神が今季初のサヨナラ勝ちで連敗を2で止めた。同点の9回2死満塁から、山本泰寛内野手(28)が押し出しの四球を選んだ。3連戦はすべて完売で、この日も4万2417人が甲子園を埋め尽くした。矢野燿大監督(53)の試合後の一問一答は以下の通り。(テレビインタビュー)-今季初のサヨナラ勝ち「押し出しという形ですけどね、どんな形でも今は勝ちたいですし。うれしいです」-粘り強く流れをものにしたゲーム「投手陣が本当に粘ってくれたというところが、今日の勝ちにつながっていますし。攻撃の方はやっぱり課題っていうのが、まだ残っていますし、複雑ですけど、うれしいです」-タイムリーは佐藤輝から出た「チャンスにね、中心バッターに回ってもタイムリーが出ないという状況だったんで。いい当たりが正面突くとか。それがヒットになってね。かえすバッティング、これからもしていってもらいたいですね」-8回には右翼島田の好守もあって投手陣も奮起「球際で、しぶとくしっかり捕ってくれました。先頭打者だったので、あれを捕ってくれるというのは大きかったですね」-9回は先頭近本の出塁し中野が初球バント「そういう流れはつくってくれましたし、近本も複数安打が出るようになってきて、だいぶチームの形というものができつつありますし。どう1点を取るかというのは、僕も含めてやっていきたいと思います」-リリーフ陣の評価は「いや、もう本当に頼もしくね。浜地、湯浅、ナベ(渡辺)もそうですし、みんな本当に向かって行く気持ちを強く持っていってくれているんで。自信を持って送り出しています」-こどもの日にいい勝利を届けた「本当にこの2日間ね、満員で来てもらっているのに、こどもたちにいい勝利とかいい姿を見せられなくて。本当に悔しい思いをしていたんで、派手なゲームではなかったんですけど、こどもの日にこうやって勝つ試合を見せられてね、少しホッとしてますし、これからもっともっといい試合を見せられるように頑張っていきます」-こどもたちへメッセージを「僕たちもね、ホントにうまくいかないこと、今シーズン特に、そのようなことで苦しんでますけど、みんなもね、勉強やスポーツや、学校や、友達関係、いろんなことでうまくいかないこともね、あると思いますけど、それは失敗じゃなくてね、成功の途中だと思うのでね、それを成功に導けるように、1歩前に踏み出して、僕たちもそういう姿を見せていくのでね、一緒に頑張っていきましょう!」?(囲み)-山本は最後も何とかしてくれる予感は「そういう選手なんでね。守備でもいいプレーをしてくれるし、つなぎであったり何かこう、やれるっていう、それがヤスの強みだと思う。そういところでいい仕事をしてくれてます」-昨日は顔面をかすめたが、今日はバントも一発で「ちょっと心配はしてたんやけど、大ごとにならずに済んだんで、ヤス自身もタイガースに来てね、もっといい野球人生にしたいと思って来てると思うし、俺もトレードを経験しているんでね。そういうところの思いもあると思うし、いろんな思いを試合にぶつけてくれているのかなと思っています」-近本に複数安打が出てきたことはチームにとっても大きい「凡打の内容もいいしね。複数安打が(出た)。内容がよくても結果が伴っていないと、どうしてもテンションがなかなかつくりにくい部分がどうしても、人間なので出てしまうので。最後のヒットなんかも、ああいうバウンドでヒットになったりしてきたのは、上向いてきていると思うんでね。近本が出て動いてっていうのがうちの野球なんでね。そういうところが出てきて、楽しみがだいぶ出てきたなっていう状態になってきてるんかなと思ってます」-3回の佐藤輝の先制打は内角を攻められる中でしっかり外角を仕留めた「まあ、コースも若干、真ん中気味やし、輝に関してはね、そこをめちゃくちゃ苦手にしているわけじゃないしね。ただ、タイムリーというのは大きいんじゃないかなと思うけど」-ガンケルはまずい守備があった中でも粘った「コンディションもね、ちょっとどうかなと思ったんやけど、しっかり投げてくれたし、今日の状態見てたら大丈夫そうなんで、それも1つホッとする材料でもあるし、まあ粘ってくれてる、まだもちろんね、内容的にはいけたと思うし、しっかり先発投手としての仕事はしっかりやってくれたと思います」-2軍では藤浪と伊藤も好投「今、本当に投手陣が頑張ってくれてるので、何かきっかけがあればグッといけるようなチーム状態にはなりつつある。そこに将司や晋太郎が入ってくるのは、こっちとしては一気に波に乗る材料になると思う。だからこそバッター陣もどうとっていくか、どうつなげていくか。ミスが点につながっている部分もあるので。ミスもあるんだけどプロである以上、少なくしていかないとダメなんで」-大山の体の状態は。4月24日ヤクルト戦(神宮)で左脚を痛めた当初と比べどうか「あそこから悪くなってることはない」

◆ゼロ行進が続いていた阪神の嫌な流れを佐藤輝明内野手(23)が断ち切った。3回1死一、二塁からヤクルト高梨の高め直球を中前へ。1点差に迫る反撃の一打が、21イニングぶりの得点を刻んだ。この3連戦でようやくの得点にスタンドに詰めかけたこどもたちも大喜び。「めちゃめちゃ盛り上がったんで、すごくうれしいです」と、その姿を見て、喜んだ。コロナ禍もあり、プロ2年目のこの3連戦でようやく満員の甲子園を体験。「すごい力になりました」。連敗中は無安打で期待に応えられず、悔しさでバットを地面にたたきつけようとする場面もあった。グッとこらえ、気持ちを切り替え、日々の戦いに向かった。こどものころはレゴブロックが大好きだった。「小学生くらいまで好きで、1回完成させて、(その後は)自分で考えたやつをたくさんつくっていました」。もともと手先が器用。説明書通りではなく自由な発想でつくっていたことが、今の打撃の応用力にもつながっているのかもしれない。7回の右前打と合わせて今季10度目のマルチ安打。こどもたちが憧れる特大アーチはなかったが、「ゴールデンウイークこどもまつり」の最終日に白星をプレゼントできた。小学6年の弟がいることもあり、こどもが大好きだ。サヨナラ勝利後もベンチ前で、客席のこどもたちに笑顔で手を振った。野球少年たちには「一番は楽しく。怒られることを気にせず楽しくやってほしい。(ボールを遠く飛ばすには)ご飯をいっぱい食べて」とアドバイスした。これからも打ち続けて、子どもたちのヒーローであり続ける。【石橋隆雄】?○…阪神中野が親孝行の2安打だ。今回の3連戦は両親が山形から来場していた。3回、5回とともに1番近本との連打で得点につなげ、9回はサヨナラにつながる犠打。「自分のやるべきことは、どの打順でも後ろにつなぐこと。なんとか1つ勝てたので、喜んで帰ってもらえると思う」。打率2割9分2厘に上げ、3割も見えてきた。○…阪神は5回の同点シーンも押し出しだった。2死満塁でロハスが、カウント3-1から石山の低め150キロを冷静に見送った。9試合ぶりに5番に座った助っ人は「あの場面はどんな形でも点を取りたかった。すごく集中力を高めていた。状態は悪くない。試合に出たら結果を出せるよう、準備だけは怠らないようにしたい」と胸を張った。○…阪神右翼・島田が美技で流れを渡さなかった。8回、先頭青木の右翼線寄りの鋭い打球を走りながら好捕。勢いのまま頭から滑り込んだ。マウンドの湯浅は両手で拍手し感謝。矢野監督は「球際で、しっかりしぶとく捕ってくれた。先頭だったので、あれを捕ってくれたのは大きかった」と絶賛だった。今季3度目のスタメンは無安打だったが、守りで貢献した。○…阪神先発ガンケルも粘った。初回は先頭を中野の失策で出し、先制点を与える苦しい立ち上がり。それでもスライダーを軸に5回2失点(自責1)でまとめた。2勝目はならなかったが「相手の高梨投手も非常に粘り強い投球をしていた中でチームが(5回に)同点にしてくれたし、いい流れでバトンを渡せてよかったよ」と納得の表情だった。

◆子どもたち、お待たせしました! 阪神が「こどもの日」に今季初のサヨナラ勝ちを決めた。9回に先頭の近本光司外野手(27)の左前打と2つの申告敬遠で2死満塁とし、山本泰寛内野手(28)が押し出し四球を選んだ。今回のヤクルト3連戦(甲子園)は「ゴールデンウイークこどもまつり」として開催。そのフィナーレで連敗を2で止めた。チームは15年からこどもの日に引き分けを挟んで6連勝だ。子どもたちの目が輝いた。夕方の甲子園に、4万2417人のメガホン音が一斉に響いた。それに応えるように、山本が右手に持ったバットを突き上げる。押し出し四球で今季初のサヨナラ勝ち。本塁を踏んだ三塁走者近本は、仲間のウオーターシャワーを回避しながら、歓喜の渦に合流した。近本 こどもの日の3連戦で1勝もできずに帰ってもらうっていうのは悔しいと思いましたし、なんとしても今日は勝たないとっていうのがありました。同点の9回。先頭で左前打を放ちサヨナラ劇を呼んだ。3回にはチーム21イニングぶりの得点の起点となる中前打。昨季リーグ最多安打男が、今季2度目の猛打賞、全て生還して子どもたちの思いに応えた。「そりゃ叫びたい。バットも投げたいしヘルメットも投げたいけど、それをしたところでね。打てるかと言ったらそうではない」3、4月は打率2割台。打撃に手応えを感じていただけに、捉えた打球が正面を突き、フラストレーションがたまる日もあった。そんな中でも、フォームや感覚は「むしろ変えないように」。やるべきことを積み重ねた結果が数字に表れ始めている。5月は18打数9安打、打率5割。矢野監督も「近本が出て動いてっていうのが、うちの野球。楽しみがだいぶ出てきたっていう状態になってきてる」とうなずいた。日々思考し、愚直に己と向き合う。プロフェッショナルな生きざまは、何よりも子どもたちのお手本となったはずだ。リードオフマンとともに、虎の逆襲も加速していく。【中野椋】

◆阪神自慢のブルペン陣が、5月の空にはためいた。ガンケル降板後、6回から5人で無失点リリーフ。ヤクルトとの我慢くらべを制した。6回、渡辺は1死一、二塁を招いたが、途中救援した浜地が火消し。7回からは必勝トリオの登場だ。アルカンタラは最速153キロの剛球で危なげなく蹴散らした。8試合連続無失点の右腕は「ゼロで回ってきたバトンをつなぐことができてよかったよ」。8回は22歳の若きセットアッパー湯浅。2番青木から一番の難所だった主軸を抑えて、これで7試合無失点。「いい流れを持って来られるようにしようと思っていた。(島田)海吏さん(の好守)にも助けられました」。そして最後は岩崎だ。1安打を浴びたが、打者4人で抑えた。無失点リレーを完結させ、同点のまま9回裏のサヨナラ劇をお膳立てした。「勝つことができてよかったです」とお決まりの一言も頼もしい。大きいマゴイの風格で、連続試合無失点を10に伸ばした。必勝リレーの3人は5月初登板だった。「もう本当に頼もしく、ね。浜地、湯浅、ナベ(渡辺)も。みんな向かっていく気持ちを強く持っている。自信を持って送り出しています。投手陣が本当に粘ってくれた」。矢野監督の信頼度は、屋根より高い。【柏原誠】

◆子どもたち、お待たせしました!阪神が「こどもの日」に今季初のサヨナラ勝ちを決めた。 9回に先頭の近本光司外野手(27)の左前打と2つの申告敬遠で2死満塁とし、山本泰寛内野手(28)が押し出し四球を選んだ。今回のヤクルト3連戦(甲子園)は「ゴールデンウイークこどもまつり」として開催。そのフィナーレで連敗を2で止めた。チームは15年からこどもの日に引き分けを挟んで6連勝だ。◆インタビュアーは子どもたち! 近本&山本お立ち台一問一答石原朝稀(いしはら・あさき)ちゃん(10)が質問-どうしたら山本選手みたいになれますか?山本 何事にも一生懸命取り組むことが、今につながっていると思います。-勝つために他の選手より努力していることはありますか?山本 打つだけじゃない、バントだったり、フォアボールだったり、そういうので貢献しようという気持ちでいつも臨んでいます。仲田源輝(なかだ・げんき)くん(10)が質問-ファンに何て呼ばれたいですか?近本 チームから「チカ」って呼ばれていますし、みんなも「チカ」って呼んでくれたらうれしいです。-今日、神奈川県に帰るのですが、夕食に食べて帰った方がいい、オススメのメニューはありますか?近本 そうですね~、今日帰るんですよね。ほんとだったら(自身の故郷の)淡路島に寄って帰ってもらいたいんですけど、そうですね…なんでしょうかね(笑い)。たこ焼きおいしいですね! たこ焼き食べて帰ってください。(インタビュアーがアナウンサーに代わり)-子どもたちへメッセージ山本 僕も小さい頃、プロ野球を見てプロ野球選手になりたいと思っていました。ここにいるみんなも、1人でも多く、プロ野球選手になりたいと思ってくれたらうれしいです。今日はありがとうございました。近本 最高の形で、子どもたちがこういう試合を見られて、僕たちもうれしいです。たくさんの方に来てもらって、たくさんの方が喜んで今日帰ってもらって、明日からの連戦、これからも巻き返していきたいと思います。応援よろしくお願いします!

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】阪神はこどもの日にサヨナラ勝ちをプレゼント。前日、自打球を受けた山本泰寛。守備も光ったこの日は、サヨナラ四球を選びヒーローに。球場は歓喜に包まれました。

◆阪神・山本泰寛内野手(28)が「6番・二塁」で2試合連続のスタメン出場となった。4日の試合で、三回無死一塁でファウルが顔面付近に直撃。ヘルメットが吹っ飛び、その場に座り込むアクシデントがあった。一度、ベンチで手当てをし、打席に立ったが、四回から熊谷と交代していた。守備面のユーティリティーはもちろん、今季は20試合の出場で打率・300(30打数9安打)、1本塁打、5打点と打撃でも存在感を発揮。5番にはメル・ロハス・ジュニア外野手(31)が入った。チームは3月25日の開幕戦(京セラ)の五回から、ヤクルトとのホーム試合で41回連続無得点中。連日、4万人をこえる大観衆が詰めかける甲子園での連敗を、勝負強いバットで止めたい。

◆阪神が満塁の好機を逃した。0-1の二回、先頭の大山が四球、ロハスが左前打でつなぐと、山本が三塁線に絶妙なバントを決め、1死二、三塁の好機とした。島田が四球でつないで1死満塁。ここで8番・梅野が打席へ。カウント2-0から3球目をたたくも痛恨の二ゴロ併殺に倒れた。阪神はこれで20イニング連続無得点となった。その直後に先発の・ガンケルが2点目を奪われた。

◆先制したのはヤクルト。一回に1死三塁と好機を作ると、3番・山田が相手先発のガンケルから左犠飛を放った。三回には2死二塁で青木が左前適時打を放ち、2-0とした。◆ヤクルト・青木 「打ったのはフォーク追い込まれていたので食らいついていきました。うまく打つことができました」

◆阪神が21イニングぶりに得点をあげた。3番・佐藤輝明内野手(23)が中前適時打を放った。「打ったのはストレート。連打で作ってもらったチャンスだったので、いい流れで打席に入ることができました。子どもたちにいいところを見せたいです!!」。0-2の三回。1死から近本、中野の中前打で一、二塁とし、佐藤輝が打席へ。フルカウントから6球目、高梨の145㌔をとらえた。12打席ぶりのヒットは中前に弾むタイムリー。阪神は1日の巨人戦(東京D)の九回に得点して以来、21イニングぶりの得点となった。

◆阪神が同点に追いついた。五回2死満塁からメル・ロハス・ジュニア外野手(31)が押し出し四球をもぎ取った。1死から近本が中前打、中野が一塁強襲内野安打を放って一、二塁。ここでヤクルトは先発の高梨から石山に交代した。佐藤輝は遊ゴロも併殺崩れで走者として残り、大山が四球で2死満塁。5番・ロハスがカウント3-1から低め150㌔を見送り、押し出し四球で同点とした。なおも2死満塁と勝ち越しの好機だったが、山本は左飛に倒れた。

◆阪神は同点で迎えた九回2死満塁で山本泰寛内野手(28)が押し出し四球を選び、今季初のサヨナラ勝利を飾った。連敗を「2」で止めた矢野耀大監督(53)の一問一答は以下の通り(チーム成績11勝22敗1分、観衆4万2417人)。(テレビインタビュー)ーー今季初のサヨナラ勝利です「まあ、あの押し出しという形ですけど、どんな形でも今は勝ちたいですし、嬉しいです」ーー粘り強かった「投手陣が本当に粘ってくれたことが勝ちにつながっていますし、攻撃の方は、まだ課題が残っていますし、ええ…、うん、複雑ですけど、ハイ、嬉しいです」ーー佐藤輝に適時打「チャンスに中心バッターに回っても、タイムリーが出ないという状況だったので、いい当たりが正面を突くとか、そういうのが多かったんで、そういうところではヒットになってね。返すバッティングを、これからもしてほしいですね」ーー八回に島田の好守(青木の右翼線への打球を好捕)「球際でしぶとく、しっかり捕ってくれましたし、先頭打者だったので、捕ってくれるのが大きかったです」) ーー九回は近本安打に中野送りバント「そういう流れを作ってくれましたし、近本も複数安打が出るようになって、チームの形というのができつつありますし、どう1点を取るか、僕も含めてしっかりやっていきたいと思います」ーー中継ぎ陣は「頼もしく、浜地、湯浅、ナベもそうですし、向かっていく気持ちを持ってくれている。自信を持って送り出しています」ーーこどもの日に勝ちました「ホント、この2日間、満員で来てもらっているのに、子どもたちにいい勝利、いい姿を見せられなかったので、悔しい思いをしていたんで。派手なゲームではなかったですが、こどもの日に、こういう試合を見せられて、すこしホッとしていますし、これからもっともっといい試合を見せられるように、頑張っていきます」ーーこども達にメッセージを「僕たちも、うまくいかないこと、今シーズンは特に苦しんでいますけど、みんなも勉強やスポーツや、学校や、友達関係で、いろんなことで、うまくいかないこともあると思いますけど、それは失敗ではなくて、成功の途中だと思うんで、それを成功に導けるように一歩前に踏み出して、僕たちも、そういう姿を見せますんで、一緒に頑張っていきましょう」 (囲み)ーー山本は何とかしてくれる予感「そうやね、もうそういう選手なんでね。守備でもいいプレーをしてくれるし、つなぎであったり何かこう、やれるっていう、それがヤスの強みだと思うんで、そういところでいい仕事をしてくれてます。ーー4日は顔面をかすめたがバントも一発で「うん、ちょっと心配はしてたんやけど、大ごとにならずに済んだんで、ヤス自身もタイガースに来てね、やっぱりもっといい野球人生にしたいと思って来てると思うし、俺もトレードを経験しているんでね。そういうところの思いもあると思う。いろんな思いを試合にぶつけてくれているのかなと思っています」ーー近本に複数安打「凡打の内容もいい。内容がよくても結果が伴っていないと、どうしてもテンションが作りにくい部分が人間なので出てしまう。最後のヒットなんかも、ああいうバウンドでヒットになったりしてきたのは、本当に上向いてきていると思う。近本が出て動いて、がうちの野球なんでね。そういうところが出てきて、楽しみが出てきた状態になってきてるんかなと思ってます」ーー佐藤輝の適時打「まあ、コースも若干、真ん中気味やし、輝に関してはね、そこをめちゃくちゃ苦手にしているわけじゃないしね。ただ、タイムリーというのは大きいんじゃないかなと思うけど」ーーガンケルはまずい守備(一回の中野の失策)があった中で粘った「コンディションもね、ちょっとどうかなと思ったんやけど、しっかり投げてくれたし、今日の状態見てたら大丈夫そうなんで、ホッとする材料でもあるし、まあ粘ってくれてる、まだ内容的にはいけたと思うし、しっかり先発投手としての仕事はしっかりやってくれたと思います」ーー藤浪と伊藤将が2軍で好投「今、本当に投手陣が頑張ってくれてるので、何かきっかけがあればグッといけるようなチーム状態にはなりつつあるので、そこに将司や晋太郎が入ってくるのは、もちろんこっちとしては一気に波に乗る材料になると思う。だからこそバッター陣もどう取っていくか、どうつなげていくか。ミスが点につながっている部分もあるので。ミスもあるんだけど、やっぱりプロである以上ね、少なくしていかないとダメなんで」ーー大山の体の状態は痛めた当初と比べどうか「あそこから悪くなってることはない」

◆中日、阪神、西武で通算1560安打を放ち、楽天初代監督を務めたサンケイスポーツ専属評論家の田尾安志氏(68)は5月1日の巨人戦(東京ドーム)の第4打席から、15打席連続無安打の大山悠輔内野手(27)について言及した。代打・糸井の勝負強さが申告敬遠を選択させ、阪神のサヨナラ勝ちを呼び込んだ。相手から、もらったような勝利という感じだが今後、阪神が乗っていけるかどうかは大山のバットにかかっている。15打席連続無安打が示すように、あまりにも状態が悪い。グリップが体から離れすぎて〝手打ち〟になっている。内角にくればまだ対応可能かもしれないが、今のフォームであれば外角のボール球に対してもどんどん追いかけてしまって、崩れる一方になる。首脳陣で誰か指摘する人はいないのか。そうであれば寂しすぎる。なぜならば、すぐに修正できるからだ。一つの練習法としては両腕をゴムで体に縛った状態で打ってみること。ボディースイングを体に染みこませることができれば、七回、ワンバウンドした外角のフォークを振りにいくことはなく、しっかりと我慢できる。ボクシングに例えると、腕が伸びきっている状態で強いパンチは打てないだろう。首脳陣も大山も聞く耳を持ってほしい。大山とは対照的に佐藤輝はそれができている。三回の中前適時打は高めの直球を打ったもの。昨季までは空振りをしていたコースだ。グリップが体の近くにあるからこそ対応できた。今季の逆方向への打球を見ても、狙って打てているように思える。内からバットを出せていることで、ここからさらに状態は上がってくるのではないか。矢野監督の采配も、この日に関しては積極的だった。やはり連敗を脱出するには、どんどん仕掛けていかないとダメだ。あとは個々の状態を上げていくこと。近本、中野、佐藤輝は上昇カーブを描いているように思える。糸井の体は心配だが、5番に戻ればベスト。仮に3点を先にとられても、はね返すことができる布陣にはなりつつある。だからこそ、今すぐ、大山を復調させること。ここから再び連勝街道を歩めるかの鍵になる。

◆阪神が今季初のサヨナラ勝ち。九回2死満塁から山本泰寛内野手(28)が押し出し四球で決勝点をあげた。山本は4日の一戦で顔面に自打球があたり、負傷交代。痛みを乗り越え出場したこの日の一戦で歓喜のウォーターシャワーを浴びた。打線は0-2の三回に佐藤輝の中前適時打で1点差。五回は2死満塁からロハスが押し出し四球をもぎ取り、同点に追いついた。先発のガンケルは5回4安打2失点(自責1)と粘投。六回からはブルペン陣が踏ん張り、スコアボードに0を並べた。九回に登板した岩崎が今季初勝利をマーク。こどもの日で大観衆の甲子園で阪神は連敗を2で止めた。

◆阪神は同点で迎えた九回2死満塁で山本泰寛内野手(28)が押し出し四球を選び、今季初のサヨナラ勝利を飾った。こどもの日とあって、山本と3安打の近本光司外野手(27)による、お立ち台では、ちびっ子がインタビュアーを務めた(チーム成績11勝22敗1分、観衆4万2417人)。ーーどうしたら山本選手みたいになれますか山本 「そうですね。何事にも一生懸命に取り組むことが今につながっていると思います」ーー勝つために、他の選手より努力している事はありますか山本 「打つだけじゃない。バントだったり、四球だったり、そういうのでチームに貢献しようという気持ちで、いつも臨んでいます」ーーファンになんて呼ばれたいですか近本 「チームから、チカと呼ばれていますし、みんなも、チカって呼んでくれたら嬉しいですね」ーー今日、神奈川県に帰るのですが、夕食に食べて帰った方がいい、お勧めのメニューはありますか近本 「そうですね。今日帰るんですよね。本当なら、淡路島に寄って帰ってもらいたいんですけど、そうですねぇ…(かなり困った表情になり)何ですかね、あッ、たこ焼きがおいしいですね。たこ焼き食べて帰ってください」(ここからはアナウンサー)ーー今のお気持ちを聞かせてください山本 「(ちょっとためて)最高デス!」ーー満塁ではどんな気持ちで「みんながつないでくれた大チャンスだったので、何とかランナーを返そうという気持ちで打席に立ちました」ーー九回先頭では、どんな気持ちで近本 「風もあったので、とにかく逆方向に打とう、という気持ちで入った。先頭だったんで、バットに当たれば何とかなるかなあと思って、結果的にサヨナラの場面を作ることができたんで、よかったです」ーーこどもの日に勝てました「この3連戦で1勝もできずに帰ってもらうのは本当に悔しいと思いましたし、何としても、勝たないと、というのがあったので、最高の形で勝てたので…。これからも、どんどん勝っていきたいです」ーーこども達にメッセージを山本 「僕も小さい頃、プロ野球を見て、プロ野球選手になりたいと思っていました。一人でも多くプロ野球選手になりたいと思ってくれたら、嬉しいです」近本 「たくさんの方に来てもらって、喜んで帰ってもらって…。明日から巻き返していきたいと思います。応援よろしくお願いします」

◆阪神は同点で迎えた九回2死満塁で山本泰寛内野手(28)が押し出し四球を選び、今季初のサヨナラ勝利を飾った。連敗を「2」で止めた矢野耀大監督(53)のテレビインタビューは以下の通り(チーム成績11勝22敗1分、観衆4万2417人)。ーー今季初のサヨナラ勝利です「まあ、あの押し出しという形ですけど、どんな形でも今は勝ちたいですし、嬉しいです」ーー粘り強かった「投手陣が本当に粘ってくれたことが勝ちにつながっていますし、攻撃の方は、まだ課題が残っていますし、ええ…、うん、複雑ですけど、ハイ、嬉しいです」ーー佐藤輝に適時打「チャンスに中心バッターに回っても、タイムリーが出ないという状況だったので、いい当たりが正面を突くとか、そういうのが多かったんで、そういうところではヒットになってね。返すバッティングを、これからもしてほしいですね」ーー八回に島田の好守(青木の右翼線への打球を好捕)「球際でしぶとく、しっかり捕ってくれましたし、先頭打者だったので、捕ってくれるのが大きかったです」ーー九回は近本安打に中野送りバント「そういう流れを作ってくれましたし、近本も複数安打が出るようになって、チームの形というのができつつありますし、どう1点を取るか、僕も含めてしっかりやっていきたいと思います」ーー中継ぎ陣は「頼もしく、浜地、湯浅、ナベもそうですし、向かっていく気持ちを持ってくれている。自信を持って送り出しています」ーーこどもの日に勝ちました「ホント、この2日間、満員で来てもらっているのに、子どもたちにいい勝利、いい姿を見せられなかったので、悔しい思いをしていたんで。派手なゲームではなかったですが、こどもの日に、こういう試合を見せられて、すこしホッとしていますし、これからもっともっといい試合を見せられるように、頑張っていきます」ーーこども達にメッセージを「僕たちも、うまくいかないこと、今シーズンは特に苦しんでいますけど、みんなも勉強やスポーツや、学校や、友達関係で、いろんなことで、うまくいかないこともあると思いますけど、それは失敗ではなくて、成功の途中だと思うんで、それを成功に導けるように一歩前に踏み出して、僕たちも、そういう姿を見せますんで、一緒に頑張っていきましょう」

◆やっぱり、こどもの日は強い!! 阪神はヤクルトに3-2で今季初のサヨナラ勝ちを収め、連敗を2で止めた。近本光司外野手(27)が3安打をマークし、全3得点のホームを踏む大活躍。こどもの日はこれで2015年から引き分けを挟んで6連勝となった。チビっ子を喜ばすのが虎の役目や!!) いつもは駆け抜けている三塁線をこのときばかりはゆっくり歩き、近本はホームを踏みしめた。見つめる先にはスタンドの子供たちの笑顔-。今季初のお立ち台に上がった選手会長は、〝チビっ子虎党〟に向かって叫んだ。「こどもの日、この3連戦で1勝もできずに帰ってもらうというのは悔しいと思いました。何としてもきょうは勝たないとっていうのがあった」今季初のサヨナラ劇は、近本の一打がなければ開演しなかった。九回先頭の第5打席。大西の初球、149キロにバットを上から振り下ろす〝大根斬り〟。大きくバウンドした打球は、ジャンプした三塁手・村上の頭上を越え、左翼芝生を転々とした。その後、三塁まで進むと、最後は2死満塁から山本の押し出し四球でホームイン。喜びの渦が巻くウオーターシャワーの輪に加わった。ゴールデンウイーク中3連休のホームゲームは連日チケット完売の超満員だった。しかし、2日連続で完封負け。これ以上、子供たちを悲しませるわけにはいかない。この日も4万2417人の観衆が甲子園に詰めかけてくれていた。こどもの日は絶対に勝つ-。近本の心を熱くする思いが勝利の道を切り開いた。 三回、五回はいずれも中前打を放ち、1日の巨人戦(東京ドーム)以来、今季2度目の猛打賞をマーク。そして、3安打の出塁全てでホームを踏み、全3得点をあげた。5月5日に背番号5が躍動し、こどもの日は球団6連勝。一時は・231まで落ちた打率も・267まで回復したが、これまでも決して調子が悪いわけではなかった。「状態、内容がすごくいいのに、(打球が)野手の正面にいっていたというのがある。フラストレーションもたまる。そりゃ叫びたいですよ。バットもヘルメットも投げたいですけど」ただ、そんなときは大学時代から心がける言葉を思い出した。「be cool supper aggressive」(心は熱く、頭は冷静に)。サヨナラの期待を一身に背負った九回も「大西投手だったので、こういう球で来て、どうやって打っていこうかと。いつでも冷静です」。近本の熱い心と、冷静な頭が呼び込んだ劇的勝利だった。矢野監督は「近本が出て動いてというのがうちの野球。楽しみがだいぶ出てきたなっていう状態」と期待した。連敗は2でストップ。スタンドで目を輝かせる大勢の子供たちに近本は誓った。「子どもたちがこういう試合を見られて、本当に僕たちもうれしいです。明日からの連戦、またこれからも巻き返していきたいと思います!」首位・巨人とは9差もまだまだここから。虎キッズの夢を乗せ、近本は勝利に向かって走り続ける。(原田遼太郎)

◆5番で出場した阪神・ロハスが抜群の選球眼で試合を振り出しに戻した。1点を追う五回2死満塁で石山が投じた内角低めの150キロを悠然と見送り、押し出し四球。「とにかく集中力を高めて、何でも1点をという気持ちで打席に立った」。二回にはチーム初安打となる左前打。打率・191だが「決して状態は悪くない」と胸を張る。糸井がコンディション不良を抱えているだけに、またチャンスはありそうだ。

◆や~っと止まった。20個もスコアボードに並んでいた「0」を、佐藤輝が書き換えた。21イニングぶりの得点を刻む姿に心躍らせた小さな虎党たちも、佐藤輝の名前入りのタオルを上下左右に振り回し、応援グッズを目いっぱい打ち鳴らした。「めちゃめちゃ盛り上がったんですごいうれしい。(無得点中も)いつも通り、僕は自分のスイングをしようと心がけていただけです」0-2の三回1死から近本、中野の連打で一、二塁とし、フルカウントからヤクルト先発・高梨の高め145キロを捉えて、二遊間を破る中前適時打を放った。「子どもたちにいいところを見せたいです?」と試合中から気合満点のコメントを残していたが、劇勝まで全力で駆け抜けた。自身にとって、この日の適時打が1日の巨人戦(東京ドーム)の第3打席で二塁打を放って以来、12打席ぶりの安打。「なんとかヒットが出てほしいなと思っていました」。七回にも右前打を放ち、2安打1打点1盗塁で8試合ぶりのマルチ安打とした。 子供のころの宝物は「レゴブロック」。建物や飛行機、車などを組み立てる過程で、イマジネーションを働かせた。「小学校ぐらいまで好きで、とりあえずデカいやつを買ってもらって、たくさん作っていました」。毎打席ごとの相手投手との駆け引きの際に必要な想像力の下地は、小学生時代から築いてきたのかもしれない。野球少年たちに向けては「一番は楽しく、怒られることを気にすることなく、それができたら一番いい。楽しく、やってほしい」とメッセージを送った。矢野監督は内角攻めに苦しむ中で快音を響かせた佐藤輝について「中心打者に回ってもタイムリーが出ない状況だった。輝に関しては、そこ(内角)をめちゃくちゃ苦手にしているわけじゃない。ただ、タイムリーというのは大きい」とうなずいた。佐藤輝は「名古屋でしっかり勝って帰りたい」と力を込めた。甲子園に充満した子供たちの期待を背負い、6日からの中日戦(バンテリンドーム)でも打ちまくる。(新里公章)

◆阪神・中野は見事なつなぎで山形から訪れた両親に白星を届けた。「おととい(3日のカード初戦)から、両親も山形から見に来ていて。ファンの方もたくさん入っていただいていますし、一つでも勝つことで喜んで帰ってもらえる」。2点を追う三回1死一塁では中前打、1点を追う五回1死一塁では一塁内野安打。サヨナラにつながった九回無死一塁ではきっちり捕前犠打も決め3得点すべてに絡んだ。遊撃守備では一回先頭で失策したが、打では佐藤輝と並びチームトップタイの10度目のマルチ安打と気を吐く。

◆苦労人の選球眼で今季初のサヨナラ勝利だ。2-2の九回2死満塁。カウント3-1から外角高めのボール球を見送った山本に待っていたのは、ナインからウオーターシャワーの祝福だ。「チームの勝利に貢献したいという思いでやっている。サヨナラという形で、勝ってよかった」前日、ファウルが垂直方向に飛び、顔面付近に直撃し、途中交代。一夜明けても右目付近の腫れは残っていた。「視界もあんまり良くなくて。でも多少の痛みなら」とスタメンを志願。「6番・二塁」で出場すると、痛みにも負けず、攻守で持ち味を発揮した。二回無死一、二塁で、三塁線に送りバントを決め、七回には中村の中堅に抜けそうなゴロを好捕し、一塁アウトに。九回は佐藤輝に続いて、2死一、三塁から代打・糸井も申告敬遠で歩いたが、打ちたい気持ちを抑えて、冷静にボールを見極めた。「ミスをしたときには(スタンドから)言われることもありますけど、勝って、喜んでくれる姿を見るのはやっぱりいいですね」2020年オフに金銭トレードで阪神に移籍。昨季は4月3日の中日戦(京セラ)で同年チーム初となるサヨナラ勝利となる中前打を放ったが、主に守備固めで69試合出場にとどまり、先発出場は8試合。「打たないと試合に出られない」。打撃力アップの早出特打は日課となった。今季はここまでスタメン7試合で打率・281。徐々に出番を増やす中で今年も初のサヨナラ勝ちを演出した。プライベートでは、昨年3月末に夫人でMBSの辻沙穂里アナウンサーとの間に長男が誕生し、風呂で〝会話〟するのが日課。「(父親がまだ)何をやっているか分からないですけど『いつか、あの時ああだったね』という話ができたらいいなと思います」。山本にとっては、忘れられない「こどもの日」となった。(三木建次)

◆鉄壁の勝利の方程式がサヨナラ勝ちを呼んだ。5番手の〝八回の男〟湯浅は燕打線の2番から始まる大事な回を託されると、味方の好守にも燃えて、7試合連続無失点の快投で応えた。「チームにいい流れを持ってこられるような投球をしようとマウンドに上がりました。(島田)海吏さんにも助けられましたし、ゼロで抑えることができてよかった」先頭の青木に右翼線を襲うライナー性の当たりを打たれたが、島田がダイビングしダイレクト捕球。湯浅も両手を挙げてよろこんだ。山田は空振り三振。村上にこそ四球を与えたが、最後はオスナを見逃し三振に斬って耐えた。直後の攻撃で味方が得点していればプロ初勝利が転がり込んだが、それはおあずけに。登板3戦連続の、今季8ホールド目をつかんだ。開幕当初は不安定だった救援陣が、湯浅の台頭もあり最近10試合では驚異の防御率0・66を誇る(27回?を自責2)。矢野監督は「みんな本当に向かっていく気持ちを強く持っていってくれているんで。自信を持って送り出しています」とたたえた。(長友孝輔)

◆阪神・岩崎は同点の九回をゼロで封じ、直後のサヨナラで今季初勝利をつかんだ。これで2014年の新人年から9年連続白星だ。「(チームが)勝つことができて良かったです」といつものフレーズも飛び出した。4月28日の中日戦(甲子園)以来、7日ぶりの登板。1死から中村に中前打を浴びたが、落ち着いて後続を断った。意外にも登板6戦連続で安打を許しているが、10試合連続無失点。四死球も被本塁打も今季ゼロと抜群の安定感だ。

◆浜地が〝リベンジ〟に成功した。2-2の六回1死一、二塁のピンチで渡辺の後を受けると、オスナを146キロ直球で右飛、宮本は変化球で二ゴロに仕留めて切り抜けた。「昨日と同じくピンチの場面で同じ打者でしたし、絶対に抑えたいと思っていました。結果的に0で抑えることができて、役割を果たせた」。前日に六回1死二、三塁でオスナに右前適時打を浴びた借りを返し、自信に変えた。

◆セ・リーグ2位のヤクルトは5日、阪神9回戦(甲子園)に2―3で今季2度目のサヨナラ負けを喫した。それでも、今カード3連戦は全て3点差以内と、高津臣吾監督(53)が掲げる「ロースコアのゲーム」を実践。選手たちが粘りを見せた。6日からは1・5ゲーム差で追う首位・巨人と敵地・東京ドームで首位攻防3連戦。〝高津野球〟を体現し、首位浮上を狙う。サヨナラ負けにも、悲観的にはならない。高津監督は「もう1点、どこかで取れていたら、どこかで防げていたらとは思うけど、よく粘って頑張っていると感じる。ロースコアとずっと言っているので、そういう野球をやっていかないといけない」と、ロースコアのゲーム展開を前向きに捉えた。九回2死満塁。5番手・大西の直球が高めに浮き、押し出し四球で勝負が決した。それでも、2度の申告敬遠と作戦を遂行した上での結末。石山が連続四球で同点とされた五回も1失点にとどめており、指揮官は「あそこで1点に収まったというところは大きい」と責めなかった。打線は少ない好機で、つながりを見せた。一回は塩見の敵失で始まり、山田が左犠飛を放って無安打で先制した。三回も長岡のチーム初安打となる中前打から、青木がしぶとく左前に落として加点。この粘りと、つながりこそ〝高津野球〟の理想形だ。6日からは1・5ゲーム差で追う巨人との3連戦に臨む。ゴールデンウイーク終盤で、多くの野球ファンが敵地・東京ドームに詰めかけるはずだ。高津監督は「しっかり準備したい。いろいろ考えることもあるし、作戦もある。選手もそうだと思う」と言葉に力を込めた。いざ、奪首だ。(赤尾裕希)

◆きょうは『こどもの日』だから童話だよ。【トラとツバメ】ある日、トラとうさぎとこいとほしとりゅうとツバメで、きょうそうをすることになりました。ヨーイドン!! のおととどうじに、せんとうにでようとした、トラをツバメがくちばしでたおして、ころばせたのです。そこからトラは9回もつづけてころび、ビリをはしることになってしまいました(開幕9連敗)。それでもトラはあきらめません…。ふだんは、にがてなウサギにもかち、ちょうしがもどってきたのでした。しかし、またまたトラのまえに、にくいツバメがたちはだかるではありませんか! こんども、くちばしでツンツンと2回もトラをつつき(2連敗)ました。しかし、きょうのツバメは、なぜかやさしくて「トラさんこのおまんじゅうをたべてがんばって」と2つもくれたのです(申告敬遠2つ)。でも、それにはどくがはいっていたのです。しかし、ヤマモトトラは、どくいりにきづき、どくのはいっていないおまんじゅうをえらび、みごとサヨナラおしだしで、ツバメをたおしたのでした。

◆勝つことが一番のファンサービスです。ほほえましいヒーローインタビューになりました。チビっ子の質問に笑顔で答える山本と近本。その楽しいやり取りは、トラ番原田遼太郎がまとめた1面の記事だけでなく2面にもはみ出しています。じっくりとお読みください。「甲子園球場は、やっぱりいいですね」原田は、2-4日は3連休をもらっていて、1日の東京ドームでの巨人戦(8-1で快勝)までの6連勝を取材して以来の出勤でした。「東京ドームもお客さんがいっぱいでしたけど雰囲気がまるで違います。デーゲームで屋外だから明るいし、スタンド全体がカラフルで、より華やかに見えます」今回の3連戦では各日先着7000人の子供にキッズユニホームが配られました。全体が黄色に染まったスタンドのあちこちに、白地に水色と黄色とピンクのパステルカラーのユニホームを着たチビっ子たちがいて、花畑のように見えたと言います。「試合前の打撃練習もいい感じでした。きょうも抽選で招待された200人の子供たちが一塁ベンチ上のスタンドで見学している中、佐藤輝が子供たちに手を振りながら登場して、歓声があがっていました。僕はきのうまでの2試合連続完封負けを見ていません。点を取って喜ばせてあげてくれると思います」期待と願望込みの予言です。生頼秀基局次長も紙面総括席で、うなずいていました。「電車で、大勢の子供連れのファンと一緒になりました。しばらく見ていなかった風景ですよ。祝日や日曜日のデーゲームでも人数が少なかったですから。昔の風景が戻ってきたなあと実感しました」大阪府八尾市在住で、近鉄大阪線(阪神なんば線に乗り換えると甲子園まで行けます)に乗って出勤している生頼は、同じ電車に乗っているファンの姿を見ながら「きょうは絶対勝たないかん」と力を込めていたのです。「負けたら今年6度目の同一カード3連敗になる。阪神はすでに5球団全部から3タテを食らっている。ヤクルトには2度目になる。シーズン序盤でこんなこと、過去にないでしょ」甲子園球場にはこの日、デスク阿部祐亮が応援取材にいっておりました。粟井一夫球団副社長や広報の村山久代さん、他紙のヤクルト担当記者ら久々に会った方々にあいさつすると一様に「痩せたねえ」と心配されてしまったそうです。「タイガースが弱いせいで…」と答えるわけにもいかず苦笑いしていた阿部ですが、実は前夜も「あまり寝られなかった」らしい。「パソコンのパスワードがわからなくなって仕事ができなくなる変な夢まで見ました」阪神の負けが続くとプレッシャーもかかってきます。そんなモヤモヤもサヨナラ勝ちが吹き飛ばしてくれました。それにしても、キッズインタビューが楽しかっただけに惜しまれるのが3、4日の連敗。あの2日間も、抽選に当たったチビっ子が2人ずつスタンバイしていたのです。その4人にもこの日のようなインタビューをさせてあげたかった。実は阪神、こどもの日は6連勝です。6日からの中日3連戦(バンテリンドーム)も、日付を忘れて毎日が「こどもの日」のつもりで臨みましょう。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
21140 0.600
(↓0.018)
-
(-)
108146
(-)
137
(+3)
39
(-)
13
(-)
0.246
(↓0.005)
3.230
(↑0.03)
2
(-)
ヤクルト
17130 0.567
(↓0.019)
1.5
(-)
113109
(+2)
108
(+3)
27
(-)
15
(+1)
0.224
(-)
3.080
(-)
3
(-)
広島
18141 0.563
(↑0.015)
1.5
(↑1)
110139
(+3)
109
(-)
10
(-)
7
(-)
0.254
(-)
3.140
(↑0.1)
4
(-)
中日
15150 0.500
(↓0.017)
3.5
(-)
113104
(+2)
111
(+10)
17
(-)
13
(-)
0.251
(↓0.001)
3.540
(↓0.2)
5
(-)
DeNA
12160 0.429
(↑0.022)
5.5
(↑1)
115105
(+10)
122
(+2)
24
(+4)
10
(-)
0.248
(↑0.004)
3.820
(↑0.06)
6
(-)
阪神
11221 0.333
(↑0.02)
9
(↑1)
109103
(+3)
119
(+2)
23
(-)
21
(+1)
0.232
(↑0.001
3.310
(↑0.08)